説明

サンプリングバッグ

【課題】多数の器具を用意することなく、検体のサンプリングを容易に行うことができるサンプリングバッグを提供する
【解決手段】サンプリングバッグ11は、一側に開閉可能に密封手段13を備えた開口部12aを有する袋体12と、開口部に対向する袋体の底部12bから袋体の内部に向かって折り返され、袋体の底部側に手指挿入口14aが開口した手袋部14とを備え、袋体及び手袋部は、透明又は半透明の可撓性を有する材料により形成され、手袋部は、手指挿入口から手袋部内に手指を挿入した状態で、開いた状態の開口部を通して袋体の内外に出没可能に形成されるとともに、手袋部の外面を含む袋体の内部が滅菌処理されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリングバッグに関し、詳しくは、食品や医薬品、化粧品などの検体を採取して保存するために使用するサンプリングバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品の細菌検査などを行う際には、検体となる食品の一部又は全部を収容袋に封入した状態で保存し、検査機関にて各種検査を行うようにしている。前記収容袋は、該収容袋の内部が滅菌された状態となっており、開口部から袋内に検体を投入して開口部を閉じた後は、外部から袋内に雑菌が侵入しないように形成されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−1068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、収容袋内に検体を投入する際には、別途に滅菌処理された器具や手袋を使用する必要があることから、検体をサンプリングする際には、収容袋を含めて多数の器具を用意する必要があり、サンプリング作業が繁雑になりやすく、また、サンプリング後の廃棄物の量も多くなっていた。
【0005】
さらに、例えば食肉の表面を拭き取って食中毒の原因となる菌の定性試験を行うような拭き取り検査の場合、市販の拭き取り検査キットでは、検体面積が広いため拭き取り作業に時間がかかるという問題もあった。
【0006】
そこで本発明は、多数の器具を用意することなく、検体のサンプリングを容易に行うことができるサンプリングバッグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のサンプリングバッグは、一側に開口部を有する袋体と、前記開口部を開閉可能に密封する密封手段と、前記開口部に対向する袋体の底部から前記袋体の内部に向かって折り返され、袋体の底部側に手指挿入口が開口した手袋部とを備え、前記袋体及び前記手袋部は、透明又は半透明の可撓性を有する材料により形成され、前記手袋部は、前記手指挿入口から手袋部内に手指を挿入した状態で、開いた状態の前記開口部を通して袋体の内外に出没可能に形成されるとともに、前記手袋部の外面を含む袋体の内部が滅菌処理されていることを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明のサンプリングバッグは、前記密封手段が複数組の雌雄咬合型のチャックを並列に配置して形成されていること、前記袋体の反開口部側に前記手袋部が一体に形成され、前記袋体の開口部側に、別体に形成された前記密封手段が接合されていること、前記袋体の内部に、拭き取り検査用の拭き取り部材が収容されていること、前記手袋部が左右対称に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のサンプリングバッグによれば、袋体底部側に開口した手指挿入口から手袋部の内部に手指を挿入し、密封手段で密封された開口部を開き、開いた状態の開口部から手袋部を袋体の開口部外側に押し出すようにして手袋部で検体を掴み、検体を掴んだ状態で手袋部を袋体の内部に引き戻した後、密封手段によって開口部を密封することにより、密封状態の袋体内に検体を収容することができる。したがって、別の器具を用いることなく、本発明のサンプリングバッグのみで検体のサンプリングを行うことができる。
【0010】
また、密封手段として複数組の雌雄咬合型のチャックを並列に配置することにより、確実な密封状態が得られるとともに、開口部の開閉操作も容易に行うことができる。さらに、袋体の反開口部側に手袋部を一体に形成し、袋体の開口部側に別に形成した密封手段を接合することにより、サンプリングバッグを容易に製造することができる。また、袋体の内部に拭き取り部材を収容しておくことにより、拭き取り検査用の検体も本発明のサンプリングバッグのみでサンプリングすることが可能である。特に、拭き取り検査を行う際の検体面積が広いような場合でも、手のひら全体を使って素早く容易に拭き取ることができる。さらに、手袋部を左右対称に形成することにより、作業時に手袋部の方向性を気にせずに手指を手袋部に挿入することができ、サンプリング時の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1形態例を示すサンプリングバッグの正面図である。
【図2】手袋部に手指を挿入して開口部を開いた状態を示す説明図である。
【図3】手袋部を袋体の開口部外側に押し出して検体を掴んだ状態を示す説明図である。
【図4】袋体内に検体を収容した状態示す説明図である。
【図5】サンプリングバッグの製造途中の状態を示す説明図である。
【図6】サンプリングバッグの変形例を示す説明図である。
【図7】本発明の第2形態例を示すサンプリングバッグの正面図である。
【図8】拭き取り部材を持った手袋部を袋体の開口部外側に押し出した状態を示す説明図である。
【図9】拭き取り部材で検体の表面を拭き取っている状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図5は本発明のサンプリングバッグの第1形態例を示すもので、本形態例に示すサンプリングバッグ11は、一側に開閉可能な開口部12aを有する袋体12と、前記開口部12aを開閉可能に密封する密封手段13と、前記開口部12aに対向する袋体12の底部12bから前記袋体12の内部に向かって折り返され、袋体12の底部12b側に手指挿入口14aが開口した手袋部14とを備えている。
【0013】
前記袋体12及び前記手袋部14は、透明又は半透明の可撓性を有する材料、例えばガスバリヤー性を有する合成樹脂シートやフィルムを所定の形状に成形することにより形成されたものであって、袋体12の大きさは、手指15を挿入した手袋部14及び採取する検体16を収納可能な大きさに形成されている。また、前記手袋部14は、前記手指挿入口14aから手袋部14内に手指15を挿入した状態で、開いた状態の前記開口部12aを通して袋体12の内外に出没可能に形成されている。
【0014】
密封手段13は、十分な気密性を有する2組の雌雄咬合型のチャック13a,13aを、袋体12の開口縁に対して平行な状態で2列に並列に配置したものであって、チャック13a,13aを閉じることによって袋体12内に細菌などが侵入することがないように形成されている。また、袋体12の表面には、採取した検体に関する情報を記入するためのラベル部17が設けられている。さらに、前記手袋部14の外面を含む袋体12の内部は、紫外線を照射するなどの通常の方法で滅菌処理されている。
【0015】
このように形成されたサンプリングバッグ11を使用して検体16のサンプリングを行う際には、まず、図2に示すように、袋体底部側に開口した手指挿入口14aから手袋部14の内部に手指15を挿入し、チャック13a,13aで密封されている開口部12aを開く。次に、図3に示すように、開いた状態の開口部12aから手袋部14を袋体12の開口部外側に押し出すようにして手袋部14を袋体12の外側に出し、手指15を操作して手袋部14で検体16を掴む。そして、図4に示すように、検体16を掴んだ状態のまま手袋部14を袋体12の内部に引き戻した後、チャック13a,13aを閉じて開口部12aを密封する。これにより、密封状態の袋体12内に検体16を収容することができ、このまま検査施設に送付したり、所定の条件下で保存しておくことができる。また、必要に応じてラベル部17に検体に関する情報を記入する。
【0016】
また、このサンプリングバッグ11は、図5に示すように、袋体12の開口部12aの反対側(反開口部側)に手袋部14を一体に形成した長手袋状成形品18に、別に形成したチャック13a,13aを有するチャック部品19を開口端部18aの部分で接合した後、手袋部14を袋体12の内部に折り返すようにして袋体12の内部に手袋部14を収納した状態とすることによって容易に製造することができる。
【0017】
さらに、図6の変形例に示すように、手袋部14を中指挿入部を中心として親指側と小指側とを同形状にして左右対称に形成することにより、サンプリングバッグ11の表裏を気にせずに、右手でも左手でも手袋部14内に挿入することができるので、サンプリング時の作業性を向上させることができる。
【0018】
図7乃至図9は、本発明の第2形態例を示すもので、前記第1形態例で示したサンプリングバッグ11における袋体12の内部に、拭き取り検査用の拭き取り部材21をあらかじめ収容した状態としている。このように、拭き取り部材21を収容した状態のサンプリングバッグ11は、図7に示すように、拭き取り部材21を掴んだ状態の手袋部14を、開いた状態の開口部12aから袋体12の外側に出し、図8に示すように、検体22の表面を拭き取り部材21で拭き取った後、拭き取り部材21を掴んだまま手袋部14を袋体12の内部に引き戻してチャック13a,13aを閉じることにより、検体22の表面を拭き取った拭き取り部材21を、密封状態の袋体12内に収容することができる。
【0019】
このように、本発明のサンプリングバッグは、他の器具を必要とせずに検体のサンプリングを行うことができ、さらに、拭き取り検査用の拭き取り部材をあらかじめ収容しておくことにより、検体面積が広い拭き取り検査にも容易に対応することができる。
【0020】
なお、袋体内部の滅菌処理は任意の方法で行うことができ、拭き取り部材も任意の拭き取り部材を使用することができ、特に限定されるものではない、また、密封手段も、十分な気密性を有するものであれば任意の密封手段を採用することができる。
【符号の説明】
【0021】
11…サンプリングバッグ、12…袋体、12a…開口部、12b…底部、13…密封手段、13a…チャック、14…手袋部、14a…手指挿入口、15…手指、16…検体、17…ラベル部、18…長手袋状成形品、18a…開口端部、19…チャック部品、21…拭き取り部材、22…検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側に開口部を有する袋体と、前記開口部を開閉可能に密封する密封手段と、前記開口部に対向する袋体の底部から前記袋体の内部に向かって折り返され、袋体の底部側に手指挿入口が開口した手袋部とを備え、前記袋体及び前記手袋部は、透明又は半透明の可撓性を有する材料により形成され、前記手袋部は、前記手指挿入口から手袋部内に手指を挿入した状態で、開いた状態の前記開口部を通して袋体の内外に出没可能に形成されるとともに、前記手袋部の外面を含む袋体の内部が滅菌処理されていることを特徴とするサンプリングバッグ。
【請求項2】
前記密封手段は、複数組の雌雄咬合型のチャックを並列に配置して形成されていることを特徴とする請求項1記載のサンプリングバッグ。
【請求項3】
前記袋体の反開口部側に前記手袋部が一体に形成され、前記袋体の開口部側に、別体に形成された前記密封手段が接合されていることを特徴とする請求項1又は2記載のサンプリングバッグ。
【請求項4】
前記袋体の内部に、拭き取り検査用の拭き取り部材が収容されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のサンプリングバッグ。
【請求項5】
前記手袋部は、左右対称に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のサンプリングバッグ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−68570(P2013−68570A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208848(P2011−208848)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000105154)株式会社GSIクレオス (31)
【Fターム(参考)】