説明

サンプリング手段

動物から生体試料(85)を採取するためのサンプリング手段。サンプリング手段は、使用時にはアプリケータ(100)の第1部分(70)に固定可能となるよう適合されたパンチ手段(18)を含む。ハウジング手段(8)は使用時にはアプリケータ(100)の第2部分(2)により収容され、または設けられるよう適合されている。アプリケータ(100)の使用時の操作は前記パンチ手段(18)を動物の必要部分(80)を貫通して移動させてその試料(85)を採取するよう適合されている。パンチ手段(18)は前記ハウジング手段(8)内部に受容可能であり、これにより前記ハウジング手段(8)が、前記パンチ手段(18)および前記試料(85)を伴って、前記アプリケータ(100)の前記第2部分(2)から取り外し可能となる。サンプリング手段は動物用タグと関連しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサンプリング手段またはその改良に関するものであり、より具体的には、分析用または動物を一意的に識別する使用の目的で動物から生体試料を採取するためのサンプリング手段に関するが、それらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
ニュージーランドおよび他の場所において、登録されている個々の動物の一意識別を必要とする種々のデータベースが作成されている。種々の区別可能な特性を利用することができるが、DNA検査用の生体試料、とりわけ組織の提供は好ましい選択肢のひとつである。
【0003】
今日まで種々の提案が掲示されており、それにより、特許文献1に開示されるとおり、生体試料を動物から取り出したのち、動物に取り付けられた耳タグとともに保持するか、あるいはサンプリング操作と同時に動物をタグ付けし、サンプル容器をタグから取り外し可能としている。
【0004】
しかしながら、タグ付とサンプリングの操作を関連付ける方法には、動物のタグ付が必要でない場合を含め、いくつかの不利点があることが分かっている。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,509,187号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、現在利用可能なサンプリング手段または方法に関する問題を克服あるいは少なくとも緩和すること、および/または少なくとも公に有利な選択肢を提供することである。
【0007】
さらなる目的は以下の詳細な説明から明白となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によれば、動物から生体試料を採取するためのサンプリング手段であって、使用時にはアプリケータの第1部分に固定可能となるよう適合されたパンチ手段と、使用時にはアプリケータの第2部分により収容され、または設けられるよう適合されたハウジング手段を含んでおり、前記アプリケータの使用時の操作は前記パンチ手段を動物の必要部分を貫通して移動させて試料を採取するよう適合されており、前記パンチ手段は前記ハウジング手段内部に受容可能であり、これにより前記ハウジング手段が、前記パンチ手段および前記試料を伴って、前記アプリケータの前記第2部分から取り外し可能となるサンプリング手段であって、且つ動物用タグと関連しないことを特徴とするサンプリング手段を提供する。
【0009】
本発明の第2の側面によれば、動物から生体試料を採取するためのサンプリング手段であって、分離したパンチ手段およびハウジング手段を具え、パンチ手段は動物の一部を貫通して移動してそこから試料を摘出するよう適合されており、パンチ手段およびハウジング手段は、前記ハウジング手段の内部に試料を収容するよう互いに係合可能であり、サンプリング手段は動物用タグと関連しないことを特徴とするサンプリング手段を提供する。
典型的には、パンチ手段はアプリケータの第1部分上に取り付けられるよう適合されており、ハウジング手段はアプリケータの第2部分上に取り付けられるよう適合されており、アプリケータの操作により、パンチ手段は動物の一部を貫通して移動し、且つハウジング手段と係合する。
【0010】
サンプリング手段は、アプリケータの第2部分内に位置する取り外し可能な保持手段をさらに具え、ハウジング手段は取り外し可能な保持手段内に位置する。
【0011】
本発明の第3の側面によれば、動物から生体物質の試料を提供するためのサンプリング方法であって、
(i)アプリケータの第1部分により、試料を採取するために動物の一部を貫通して移動可能となるよう適合されているパンチ手段を提供することと、
(ii)アプリケータの第2部分により収容されるよう適合されたハウジング手段を提供することと、
(iii)前記パンチ手段および前記ハウジング手段を、前記ハウジング手段の内部に試料とともに前記パンチ手段を収容するよう互いに係合可能となるよう適合することと
を含み、前記ハウジング手段および前記パンチ手段は、前記アプリケータの前記第2部分から取り外し可能となるよう適合される方法を提供する。
【0012】
本発明の第4の側面によれば、動物から生体物質の試料を採取するためのサンプリング方法であって、
(i)アプリケータの第1部分上にパンチ手段を取り付けることと、
(ii)アプリケータの第2部分上にハウジング手段を取り付けることと、
(iii)アプリケータの第1部分と第2部分との間に動物の一部を挿入することと、
(iv)アプリケータを作動させて、パンチ手段を、動物の一部から試料を取り出すよう動物の一部を貫通させるとともに、試料が前記ハウジング手段内に位置するようハウジング手段と係合させることとを含み、前記サンプリング方法は動物の一部へのタグの取り付けと同時に発生しない方法を提供する。
【0013】
選択的に、前記の方法は、アプリケータの第2部分から保持手段を取り外す方法であって、前記ハウジング手段の位置確認が可能である方法をさらに提供する。
【0014】
好ましくは、パンチ手段は細長体を具える。典型的には、細長体は、アプリケータの第1部分と係合する凹部を有する。好ましくは、細長体および凹部は細長体が動物の一部とアプリケータの第1部との接触を防止または最小化するよう、典型的には、アプリケータの第1部と本サンプリング方法の結果露出する動物の体液との接触を防止または最小化するよう構成されている。典型的には、アプリケータの第1部分はパンチ手段内の凹部に位置するピンである。
【0015】
典型的にはパンチ手段は試料チャンバを含む。好ましくは、試料チャンバは凹部の形状でパンチ手段内にある。パンチ手段に2個以上の試料チャンバを設けることが可能である。
【0016】
好ましくは、ハウジング手段とパンチ手段の一方は、例えば、チャンバ内に収集された試料の検査を可能にするために、クロージャを貫通して試料チャンバへのアクセスを可能にする開封可能なクロージャを有する。典型的には、クロージャは変形可能な部材を具える。好ましくは、変形可能な部材は弾性的に変形可能であり、これにより試料へのアクセスののちに、クロージャが自己閉鎖する。
【0017】
好ましくは、開封可能なクロージャは2個の変形可能な部材を具える。
【0018】
典型的には、これら2個の変形可能な部材は、クロージャが閉鎖する際に互いに係合し、且つクロージャが開封する際に少なくとも部分的に分離する。
【0019】
好ましくは、変形可能な部材は試料チャンバに向かって傾斜している、
【0020】
典型的には、開封可能なクロージャはハウジング手段内にあり、且つ好ましくは、ハウジング手段の、パンチ手段がハウジング手段と係合する端部とは反対の端部にある。
【0021】
好ましくは、クロージャはDNA検査プローブにより開封可能である。
【0022】
好ましくは、ハウジング手段およびパンチ手段の他方は、DNA検査トレイ等の、理化学トレイに係合するよう適合された部分を具える。
【0023】
本発明のさらなる側面によれば、サンプリング手段および/またはサンプリング方法は実質的には以下の説明/または添付の図に示すとおりである。
【0024】
本発明のさらなる側面は、その新規な側面のすべてにおいて考慮されるべきであるが、可能な実施態様の例として提示された以下の説明によって明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、事後の分析用に、動物から有機試料を迅速的且つ効果的に採取することを可能にする。前記の分析は、例えば登録データベースにおける、動物の一意識別を提供するためのDNA検査であり得る。しかしながら、代替的に、あるいは追加として、前記の分析は病気または他のいかなる所望の目的のための検査であり得る。
【0026】
試料の採取を容易にするため、本発明は、任意の適当な変更が可能である周知の耳タグ式アプリケータを用いることができる。
【0027】
そのようなアプリケータの一例が、ニュージーランド特許第335,702号において詳述されている周知のZee Tags(TM)であり、必要に応じて参照のためにその明細を全体としてここに組み入れる。このアプリケータは、動物の耳への2個のタグの取り付けに通常用いられる。アプリケータは回転可能に共に接続している2個のアームを有し、雄タグはアプリケータピン上に位置しており、これにより、雄タグは対向するアプリケータの第2アーム上に保持された雌タグと係合するため、動物の耳を貫通して挿入されるよう適合されている。アプリケータの第1および第2アームは、その後適当な時に分離するよう適合されており、動物の耳にタグを残し、且つ適当な識別を提供する。
【0028】
図1は、クランププレート3を有する第1アーム2と、ピン60を伴う第2アーム70とを含むアプリケータ100を示す。ピン60は、第2アーム70から、第1アーム2と、クランピングプレート3中の凹部61と、第2アーム2中の凹部62とに向かって延びる。アプリケータ100は、従来、動物に識別タグを取り付けるために用いられる。動物に識別タグを取り付ける際、タグの雌部はクランピングプレート3と第1アーム2との間に位置し、クランピングプレート3により位置を維持する。タグの雄部はピン60上に取り付けられている。
【0029】
しかしながら、動物から生体試料を取り出すため、タグの雌部はアダプタ4により置換され、ハウジング8はアダプタ4内の開口部6の内部に位置し(図12〜15を参照のこと)、且つパンチ18はピン60上に取り付けられている。
【0030】
図2〜5は、パンチ18をより詳細に示す。図2〜5に示すとおり、パンチ18は、細胞または他の有機質の好適な試料を収集するため、動物の必要部分を貫通して移動することができるよう適合されているチップ部40を有する。チップ40は略円錐台形状であり、チップ40の端14に凹部21を有する。チップ40の反対端は縁30を画定する。パンチ18の端29から、チップ40の縁30に向かって延びる3個のリブ付部分19は、パンチ18の本体部分41の周囲に等距離に離間している。本体部分41は中空であり、ピン60を受容するよう適合された凹部42を画定する。パンチ18は任意の好適な材料から製造することができ、例えば、成形プロセスを用いてプラスチック材料から製造することができる。リブ付部分19は典型的には本体部分41の周囲に等距離に離間しているが、それらは等距離に離間しないことも可能である。
【0031】
図6〜9は、ハウジング8をより詳細に示す。ハウジング8は、略管状であり内部チャンバ13を画定する本体部分35を有する。本体部分35の端36に、底縁10を有するフランジ9がある。さらに、細長平部37はフランジ9から延び、ハウジング8を操作するためのハンドルまたはグリップとして用いることができる。
【0032】
平部37は、フランジから分離して容易に取外しできるよう設計されている。さらに、または代替的に、試料および/または動物の識別を可能にするコード(例えばバーコード)および/または標識を携行する目的で平部37を使用することができる。コードおよび/または標識は、表面に直接印字することにより、あるいは接着ラベルにより、平部37におよび本体部分35に適用することができる。典型的には、同一のコードおよび/または標識をハウジングの本体部分35に外部適用することもでき、これにより、平部37をフランジ9から除去したのちもハウジング8がコードおよび/または標識を携行する。本体部分35の他方の端にはクロージャ12が存在する。
【0033】
クロージャ12は開封可能であり、図10および11により詳細に示す。クロージャ12は、本体部分35の端15から内部に本体部分35の直径38に向かって、且つ内部に長手方向軸に沿って、チャンバ13内へと延びる二個の部材16と17を具え、これにより、チャンバ13の外側にある部材16、17の側面54、55は、それぞれ、断面に略「V」形状を画定する。部材16、17の自由端52、53は、それぞれ、クロージャ12を閉鎖するために、互いに突き合わせ接合されていてもよい。しかしながら、側面54、55によって画定された「V」形状中に適当な物体を十分な力を伴って挿入すると、部材16、17は変形し、これにより自由端52、53は互いから分離してクロージャ12に、チャンバ13への開口を作成する。
【0034】
ハウジング8を任意の適当な材料から製造することができ、パンチ18と同様、例えば、成形プロセスを用いてプラスチック材料から製造することができる。
【0035】
アダプタ4を、図12〜15により詳細に示す。アダプタ4は、フランジ5を貫通し、且つフランジ5の下に位置する隆起部分7を貫通して延びる開口6を画定するフランジ5を有する。開口6はハウジング8の本体部分35を受容するよう構成されており、開口6は、フランジ9上の端10により係合されることが可能な肩部11を有する。ハウジング8をアダプタ4内に挿入する際、本体部分35は開口6を貫通して延び、ハウジング8をアダプタ4に対して回転することが可能であり、これによりハウジング8の平部37は、開口6から半径方向に外部に、且つ対角線上に延びるフランジ5中の2個の凹部45、46のいずれかの内部に位置する。図16〜19は、ハウジングがアダプタ4に挿入される際に、平部37が凹部46中にどのように位置するかを示す。同様に、平部は、代替的に、凹部45中に位置することができる。
【0036】
使用時には、ピン60はパンチ18の端29中の開口に挿入され、これによりピン60は凹部42中に位置する。クランププレート3は吊り上げられ、且つアダプタ4はアーム2中に挿入され、これによりフランジ5はプレート3とアーム2の上面63との間に位置し、且つ、これにより隆起7はアーム2中の凹部62中に位置する。アダプタ4のアーム2中への挿入に先立って、ハウジング8をアダプタ4中に挿入することができる。しかしながら、代替的に、フランジ5の端上にある溝部47を用いて、操作者はアダプタ4を握り、それをフランジ5の平面において90°回転させることが可能であり、これにより凹部45、46の一方がクランピングプレート3の凹部61と整列する。これは、平部37が凹部61中に位置する凹部45、46に位置している状態でハウジング8がアダプタ4中に挿入されることを可能にする。ハウジング8がアダプタ4に位置している際、アダプタ4は溝部47を用いて図1に示す位置に回転することができる。
【0037】
図20は第1位置にあるアプリケータ100の側面図であるが、パンチ18、アダプタ4、ハウジング8および第1アーム2の一部は断面で示されている。この図から、動物の一部からの試料の取り出しに先立って、ハウジング8はアダプタ4中に位置し、これによりフランジ9の底縁10はアダプタ4の肩部11から離間していることが理解される。
【0038】
パンチ18、ハウジング8およびアダプタ4をアプリケータ100上に取り付けたのち、図21に示すとおり、典型的には耳80である動物の一部を第1および第2アーム2、70の間のアプリケータに挿入する。
【0039】
耳80の挿入後、図22の矢印90により示すとおり、グリップ部分101、102は操作者により握られ、共に押圧される。これによって第2アーム2、70は互いに向って移動し、且つピン60は、パンチ18が上部に取り付けられた状態で、チップ40の端14が耳80に係合するまで、耳80に向かって矢印91の方向に移動する。
【0040】
グリップ101、102を矢印90の方向へさらに動かすことにより、図23に示すとおり、チップ40は耳80を貫通し、チップ40は、端36の開口を通ってハウジング8のチャンバ13中に入る。チップが耳80を貫通するに従い、組織85の一部は耳80から引き離され、且つチップ40の凹部21中に保持されることが、さらに図23から理解され得る。動物から2個以上の試料を収集することが望まれる場合、チップ40は2個以上の凹部を含むことができる。
【0041】
パンチ18のチップ40とハウジング8の本体部分35は、チップ40がチャンバ13内に締まりばめまたは摩擦ばめとなるよう構成されている。これは、例えば本体部分35およびチップ40を、端30がチャンバ13に入ることができるが、チップ40がチャンバ13からの取り外しに抵抗するよう、チャンバ13の内径が端30の直径よりも小さくなるよう設計することによって、および/または本体部分35が変形可能となるよう設計することによって、達成することができる。
【0042】
グリップ101、102の矢印90の方向へのさらなる移動は、第1および第2アーム2、70を共にさらに推進させ、フランジ9の底縁10が開口6中の肩部11に当接するまで、ハウジング8をアダプタ4中にさらに推進させる。パンチ18はチャンバ13中にさらに押し入れられ、チャンバ13の内部側壁と係合するチップ40の端30によりパンチ18がチャンバ13中に確実に配置される。また、端30はシールとして作用し、サンプルが汚染される危険性を最低限にする。この位置は図24に示されている。パンチ18が図24に示す位置までハウジング8内に押し込まれると、リブ部19はパンチ18をハウジング8内の中心に合わせるのに役立ち、且つ端30により形成されるシールを潜在的に破壊しおよび/またはパンチ18がハウジング8から分離することとなり得る、ハウジング8に対するパンチ18の旋回のおそれを低減するのに役立つ。加えて、パンチ18が図24に示す位置にあると、本体部分41は、耳80とピン60の間のバリアとして依然として機能し、耳80によるピン60の汚染の可能性を防止しまたは最小限にするのに、十分な長さである。このことは、動物間での交差感染または交差汚染の可能性を防止する上で役立つという利点を有する。
【0043】
図24に示す位置に達すると、図25に示すように、アプリケータ100は動物の耳80を裂くことがないように分離するよう構成される。これにより、サンプル25を採取した後に、第1および第2アーム2、70の間から耳80を即座に引き出すことが可能となる。
【0044】
耳80からサンプルを採取した後、操作者は、アダプタを90°回転した後、取り外しを容易にするために平部37を用いてハウジング8およびパンチ17を取り外すか、または、クランププレート3を持ち上げ、アダプタ4をハウジング8およびパンチ18とともに完全に取り外すかのいずれかにより、ハウジング8及びパンチ18からアダプタ4を取り外すことができる。
【0045】
ハウジング8およびパンチ18をアダプタ4から取り外した後、試料85に対してDNAテストを行うことができる。DNAテストを行うために、パンチ18の端29を理化学トレイの試料凹部88内に挿入し、ハウジング8の端36が試料凹部88の頂部を占め、パンチ18の本体部分41が凹部88内に延びる。しかし、組み合わされたパンチおよびハウジングが理化学トレイ20内に挿入されるより前に、典型的には平部37をフランジ9から取り外す。平部37を組み合わされたパンチ18およびハウジング8から取り外すが、試料または試料を採取した動物を同定するために、コードおよび/または標識も本体部分35上にある。組み合わされたパンチおよびハウジングが理化学トレイ20内の位置にある場合には、端151が部材16、17を変形させるように、部材16、17の表面54、55により形成されたV形状内にピペットを挿入することができ、これにより、自由端52、53が分離し、端151が自由端52、53の間を通過してチャンバ13に入ることができる。
【0046】
典型的には、DNAテストプロセスにおいて、ピペットを用いたチャンバ13内への液体の導入にピペット150を用いる。チャンバ13からおよび部材16、17の間からピペット150を取り外すことにより、部材16、17を図26に示す位置に戻すことができる。次いで、DNAテストプロセスは、典型的には試料および液体の加熱を伴い、これは試料85の組織を分解し液体と混合を生じさせる。他のピペット(図示せず)を、ピペット150と同様にして、クロージャ12を通して挿入し、試験のために、今や試料85からのDNAを含むこととなった液体を幾らか抽出する。
【0047】
複数の区画を有するトレイ20等を用いることは、無論、個々の試料を試験する前に、一時に適当な数の動物からのサンプリングを容易にし、同定したデータを特定の試料を採取した特定の動物と関連付けるのを容易にするであろう。
【0048】
したがって、この発明が、動物からの生体試料85の獲得およびサンプリング手段8、18の、その後の取り外しおよび試験のためのアプリケータ100内での保持を容易にすることが分かる。
【0049】
この発明と、タグ付けおよびサンプリング操作を組み合わせた従来の提案との間には、顕著な差異があることは理解されよう。特に、この発明のパンチ手段18は、試料を採取する動物の一部、通常は動物の耳を完全に貫通する。さらに、パンチ手段18は、適当なアプリケータピン60と直接嵌合するよう構成されており、サンプリング毎に1つのパンチ手段18を用いるので、アプリケータピン60がパンチ手段18により保護され、動物間での交差汚染の危険性が全くないまたは最小限となるであろう。
【0050】
さらに、取り外しアダプタ4を設けることで、それ以外は標準のアプリケータを用いることがよういとなる。アプリケータ100をこの発明のために特に設けることができることは予測されるが、この場合にはアダプタは、取り外しアダプタ4とは単体に永久的なホルダとなる。
【0051】
したがって、他の方法とは異なり、動物の耳または他の体の部分に、メールタブ等のものが残ることがない。
【0052】
上述の説明において、この発明の特定の部品または整数を参照してきたが、均等物が知られている場合には、かかる均等物についても、記載されているかの如く、ここに組み入れられる。
【0053】
可能性のある実施態様を例として参照してこの発明を説明したが、この発明の範囲または精神を離れることなく、改変または改良をおこなうことができることを理解すべきである。
【0054】
ここで説明した現在好適な実施態様に対する種々の変更および改変は当業者には明白であることに留意すべきである。この発明の精神および範囲から離れることなく、且つ付随する利点を損なうことなく、かかる変更および改変を行うことができる。したがって、かかる変更および改変をこの発明に含めることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】サンプリング操作に先立ってアプリケータ上に取り付けられたパンチ、アダプタ、およびハウジングを有するアプリケータの斜視図である。
【図2】パンチのチップとは反対の端部から見たパンチの平面図である。
【図3】パンチの側面および上方からの斜視図である。
【図4】パンチの側面図である。
【図5】図4と同様のパンチの側面図であるが、パンチを90°回転させたものである。
【図6】ハウジングの上面図である。
【図7】ハウジングの斜視図である。
【図8】ハウジングの第1側面図である。
【図9】図8と比較してハウジングを90°回転させた、ハウジングの第2側面図である。
【図10】ハウジングを貫通した断面図である。
【図11】図10において「A」として示した箇所の拡大断面図である。
【図12】アダプタの側面および上方からの斜視図である。
【図13】アダプタの平面図である。
【図14】アダプタの側面および下方からの斜視図である。
【図15】アダプタの側面図である。
【図16】ハウジングと係合したパンチおよびアダプタ内のハウジングとともに、試料を取り出したのちの側面および上方からの斜視図である。
【図17】図16に示したパンチ、ハウジングおよびアダプタの平面図である。
【図18】図16に示したパンチ、ハウジングおよびアダプタの、側面および下方からの斜視図である。
【図19】図16に示したパンチ、ハウジングおよびアダプタの側面図である。
【図20】試料の取り出しに先立ってパンチ、アダプタおよびハウジングがアプリケータに取り付けされた、第1位置にあるアプリケータの部分断面図である。
【図21】図20と同様のアプリケータの部分断面図であるが、アプリケータ内に動物の耳を挿入したものである。
【図22】アプリケータの部分断面図であり、サンプリング適用中に第2位置にあるアプリケータを示す。
【図23】アプリケータの部分断面図であり、サンプリング操作中に第3位置にあるアプリケータを示す。
【図24】アプリケータを貫通した部分断面図であり、サンプリング操作中に第4位置にあるアプリケータを示す。
【図25】アプリケータを貫通した部分断面図であり、試料を取り出したのちに第1位置へ帰還しているアプリケータを示す。
【図26】試料を取り出したのち、および、DNA検査操作中に、理化学トレイ中に配置されたパンチおよびハウジングを示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物から生体試料を採取するためのサンプリング手段であって、分離したパンチ手段およびハウジング手段を具え、前記パンチ手段は動物の一部を貫通して移動してそこから試料を摘出するよう適合されており、前記パンチ手段および前記ハウジング手段は、前記ハウジング手段の内部に試料を収容するよう互いに係合可能であり、前記サンプリング手段は動物用タグと関連しないことを特徴とするサンプリング手段。
【請求項2】
前記パンチ手段はアプリケータの第1部分上に取り付けられるよう適合されており、前記ハウジング手段はアプリケータの第2部分上に取り付けられるよう適合されており、前記アプリケータの操作により、前記パンチ手段は動物の一部を貫通して移動し、且つ前記ハウジング手段と係合することを特徴とする、請求項1に記載のサンプリング手段。
【請求項3】
使用時にはアプリケータの第1部分に固定可能となるよう適合されたパンチ手段と、使用時にはアプリケータの第2部分により収容され、または設けられるよう適合されたハウジング手段とを含む、動物から生体試料を採取するためのサンプリング手段であって、前記アプリケータの使用時の操作は前記パンチ手段を動物の必要部分を貫通して移動させてその試料を採取するよう適合されており、前記パンチ手段は前記ハウジング手段内部に受容可能であり、これにより前記ハウジング手段が、前記パンチ手段および前記試料を伴って、前記アプリケータの前記第2部分から取り外し可能となり、前記サンプリング手段は動物用タグと関連しないことを特徴とするサンプリング手段。
【請求項4】
前記アプリケータの前記第2部分内に位置する取り外し可能な保持手段をさらに具え、前記ハウジング手段は前記取り外し可能な保持手段内に位置する、請求項2または3に記載のサンプリング手段。
【請求項5】
前記パンチ手段はチップを含み、前記チップは動物の一部を貫通して切断し、試料を摘出する、請求項1〜4のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項6】
前記チップは前記ハウジング手段と内部で係合する、請求項1〜5のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項7】
前記チップは前記ハウジング手段内に締まりばめとなる、請求項6に記載のサンプリング手段。
【請求項8】
前記チップの幅は前記ハウジング手段の内幅より大きく、且つ前記チップおよび/または前記ハウジング手段は変形可能である、請求項7に記載のサンプリング手段。
【請求項9】
前記チップおよび/または前記ハウジング手段は少なくとも部分的に弾性的に変形可能である、請求項8に記載のサンプリング手段。
【請求項10】
前記チップは略円錐台形状である、請求項5〜9のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項11】
前記パンチ手段は試料チャンバを含む、請求項1〜10のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項12】
前記試料チャンバは前記パンチ手段内の凹部である、請求項11に記載のサンプリング手段。
【請求項13】
前記凹部は前記チップの端部にある、最終的に請求項5〜10のいずれかに従う、請求項12に記載のサンプリング手段。
【請求項14】
前記パンチ手段は2個以上の試料チャンバを含む、請求項11〜13のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項15】
前記ハウジング手段および前記パンチ手段の一方は、前記ハウジング手段内へのアクセスを可能にする開封可能なクロージャを有する、請求項1〜14に記載のサンプリング手段。
【請求項16】
前記クロージャは変形可能な部材を具える、請求項15に記載のサンプリング手段。
【請求項17】
前記変形可能な部材は弾性的に変形可能であり、これにより前記クロージャが自己閉鎖する、請求項16に記載のサンプリング手段。
【請求項18】
前記クロージャは2個の変形可能な部材を具える、請求項16または17に記載のサンプリング手段。
【請求項19】
前記2個の変形可能な部材は、前記クロージャが閉鎖する際に互いに係合し、且つ前記クロージャが開封する際に少なくとも部分的に分離する、請求項18に記載のサンプリング手段。
【請求項20】
前記変形可能な部材は前記ハウジングの内側に向かって傾斜している、請求項16〜19のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項21】
前記変形可能な部材は前記試料チャンバに向かって傾斜している、最終的に請求項11に従う、請求項20に記載のサンプリング手段。
【請求項22】
前記クロージャは前記ハウジング手段内にある、請求項15〜21のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項23】
前記クロージャは、前記ハウジング手段の、前記パンチ手段が前記ハウジング手段と係合する端部とは反対の端部にある、請求項22に記載のサンプリング手段。
【請求項24】
前記クロージャは理化学器具により開封可能である、請求項15〜23のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項25】
前記理化学器具はピペットである、請求項24に記載のサンプリング手段。
【請求項26】
前記ハウジング手段およびパンチ手段の他方は理化学トレイ内の試料凹部と係合するよう適合された部分を具える、請求項15〜25のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項27】
前記パンチ手段は細長部材を具える、請求項1〜26のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項28】
前記チップは前記細長部材の一方の端部にある、請求項5〜10のいずれかに従属する請求項27に記載のサンプリング手段。
【請求項29】
前記細長部材はアプリケータ上への前記パンチ手段の取り付けを可能とするよう適合された取り付け構造を有する、請求項27または28に記載のサンプリング手段。
【請求項30】
前記取り付け構造はアプリケータのピンを受容するよう適合された凹部を具える、請求項29に記載のサンプリング手段。
【請求項31】
前記チップは、前記細長部材の、取り付け構造とは反対の端部にある、最終的に請求項28に従う、請求項29または30に記載のサンプリング手段。
【請求項32】
前記パンチ手段および前記ハウジング手段の一方は前記パンチ手段が前記ハウジング手段と係合する際に前記パンチ手段と前記ハウジング手段の相対的整列を補助する整列手段を含む、請求項1〜31のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項33】
前記整列手段は前記パンチ手段の軸と前記ハウジング手段の軸とを整列させる、請求項32に記載のサンプリング手段。
【請求項34】
前記整列手段は前記ハウジング手段と協働して前記相対的整列を補助する整列構造を前記パンチ手段上に具える、請求項32または33に記載のサンプリング手段。
【請求項35】
前記整列構造は前記ハウジング手段の内部側面と協働する、請求項34に記載のサンプリング手段。
【請求項36】
前記整列構造は前記細長部材の外側上に位置する、請求項27〜31のいずれかに従う、請求項35に記載のサンプリング手段。
【請求項37】
前記整列構造は細長部材の部分上でチップとは異なる箇所にある、請求項28または31に従う、請求項36に記載のサンプリング手段。
【請求項38】
複数の整列構造が設けられている、請求項34〜37のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項39】
3個の整列構造が存在する、請求項38に記載のサンプリング手段。
【請求項40】
前記整列構造は前記パンチ手段の周囲に等間隔に離間している、請求項38または39に記載のサンプリング手段。
【請求項41】
前記整列構造は、前記パンチ手段の前記ハウジング手段との係合の方向に対応する、前記パンチ手段の軸線に沿った方向に延在する、請求項34〜40のいずれかに記載のサンプリング手段。
【請求項42】
前記整列構造は前記パンチ手段の長手方向軸に沿って延在する、請求項41に記載のサンプリング手段。
【請求項43】
動物から生体物質の試料を提供するためのサンプリング方法であって、
(iv)アプリケータの第1部分により、試料を採取するために動物の一部を貫通して移動可能となるよう適合されているパンチ手段を提供することと、
(v)アプリケータの第2部分により収容されるよう適合されたハウジング手段を提供することと、
(vi)前記パンチ手段および前記ハウジング手段を、前記ハウジング手段の内部に試料とともに前記パンチ手段を収容するよう互いに係合可能となるよう適合することと
を含み、
前記ハウジング手段および前記パンチ手段は、前記アプリケータの前記第2部分から取り外し可能となるよう適合される方法。
【請求項44】
動物から生体物質の試料を採取するためのサンプリング方法であって、
(i)アプリケータの第1部分上にパンチ手段を取り付けることと、
(ii)アプリケータの第2部分上にハウジング手段を取り付けることと、
(iii)アプリケータの第1部分と第2部分との間に動物の一部を挿入することと、
(iv)アプリケータを作動させて、前記パンチ手段を、前記動物の一部から試料を取り出すよう前記動物の一部を貫通させるとともに、前記試料が前記ハウジング手段内に位置するよう前記ハウジング手段と係合させることと、
(v)前記係合したパンチ手段およびハウジング手段を前記アプリケータから取り外すことと
を含み、
前記サンプリング方法は、前記動物の一部へのタグの取り付けと同時に発生しない方法。
【請求項45】
保持手段を前記アプリケータの第2部分上へ取り付けることをさらに具え、前記ハウジング手段は前記保持手段の内部または上部に位置する、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記係合したパンチ手段およびハウジング手段とともに、または前記係合したパンチ手段およびハウジング手段の取り外し後に、前記アプリケータの第2部分から前記保持手段を取り外すことをさらに具える、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記パンチ手段および前記ハウジング手段の一方の上において開封可能なクロージャを提供することと、前記開封可能なクロージャを通して理化学器具を挿入して分析用の前記試料の少なくとも一部を採取することとをさらに具える、請求項43〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記開封可能なクロージャから前記理化学器具を取り外すことをさらに具え、これにより前記クロージャは前記理化学器具の取り外し後に自己閉鎖する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記クロージャは、前記理化学器具を前記クロージャと係合させることにより開封される、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
前記パンチ手段と前記ハウジング手段の他方にトレイ係合部分を提供することと、クロージャを通して前記理化学器具を挿入するのに先立って、前記トレイ係合部分を試験用トレイ中に配置することとをさらに具える、請求項47〜49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記クロージャは前記ハウジング手段内に設けられている、請求項47〜50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記理化学器具はピペットである、請求項47〜51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記試料の一部が採取されるのに先立って、前記試料は前記ハウジング手段内で分析のため調製される、請求項47〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記アプリケータの第1部分とサンプリングされる動物の一部との間の接触を防止するため、前記パンチ手段は前記アプリケータの第1部分の少なくとも一部を覆う、請求項43〜53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記パンチ手段は、前記アプリケータの第1部分と本サンプリング方法の結果露出するいかなる動物の体液との接触を防止する、請求項54に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2009−503496(P2009−503496A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523827(P2008−523827)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/NZ2006/000190
【国際公開番号】WO2007/013820
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508015667)タガム リミテッド (4)
【Fターム(参考)】