説明

サンプルまたはサンプル成分の分析システム、およびこのシステムの製造方法および使用方法

【構成】光源によって励起されたときに蛍光を発光できる種を含有するサンプルまたはサンプル成分を分析する分析システムおよび分析方法である。ここで使用する光源は、電圧/電流調整回路を持つ高電圧電源を備えたエキシマー光源からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光検出サブシステムを有するサンプルまたはサンプル成分の分析システムまたは分析装置、およびこれらの製造方法および使用方法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明はサンプルまたはサンプル成分の分析システムまたは分析装置、およびこれらの製造方法および使用方法であって、実施態様にもよるが、高電圧、高周波電流および電圧制御式電源を有する蛍光検出サブシステム、ソフトウェア検出補正装置およびエキシマー光源またはランプを有する光源を備えた上記システムに関する。
【背景技術】
【0003】
紫外線蛍光は、サンプルの硫黄分を検出し、定量化するために利用されている一般的な技術である。最新の蛍光器具の場合、サンプルと相互作用する光の狭い波長帯または周波数帯を対象として設計されたフィルターを備えたブロードなスペクトル光源を利用している。一般的に、光は光チャンバー内のサンプルまたはサンプル成分中の蛍光活性化合物と相互作用する。なお、サンプルはサンプルループを介して、あるいはクロマトグラフィーカラムから光チャンバーに直接供給できる。
【0004】
ブロードなスペクトル光源のほかに、光源には原子蒸気ランプも利用されている。これらランプは波長帯または周波数帯がより狭く、フィルター機能はそれほど必要ないが、これらランプは光出力が経時的に一定の割合で小さくなる傾向がある。このような経時的な光出力低下は、結果的にシステム装置の安定性に関する、またシステム装置の検出限界に関する問題を生じる。紫外線蛍光検出の場合、亜鉛ランプ、カドミウムランプやその他の金属ランプが光源として利用されている。ところが、これらランプの多くは、SOの紫外線蛍光検出などのある種の検出のためには最適とはいえない光を発光する。SOは約190nmと約230nmとの間にある紫外光を吸収する。NOもこの帯域にある紫外光を吸収するが、NO吸収スペクトルは、約215nmと約225nmとの間に(光を吸収しない)ギャップをもつ。亜鉛ランプは220nmに中心をもつ光を発光するが、フィルターにかけても発光光は220nmよりも広く、SO検出に干渉するNOを励起できる光を含む。
【0005】
USP7,268,355には、光源として特別に設計されたエキシマーランプを使用した紫外線蛍光装置が開示されている。このランプの場合、クリプトン/塩素混合物を利用して、約222nmに中心がある狭い波長帯の光を発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】USP7,268,355
【特許文献2】USP4904606
【特許文献3】USP4914037
【特許文献4】USP4916077
【特許文献5】USP4950456
【特許文献6】USP5916523
【特許文献7】USP6075609
【特許文献8】USP6143245
【特許文献9】USP6458328
【特許文献10】USP6636314
【特許文献11】USP7018845
【特許文献12】USP7244395
【特許文献13】USP7291203
【特許文献14】USP10/970686
【特許文献15】USP10/970353
【特許文献16】USP11/949610
【特許文献17】USP11/834495
【特許文献18】USP11/834509
【特許文献19】USP11/834514
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
分析機器を使用対象とするエキシマー光源またはランプが開示されているが、当業界において紫外線蛍光機器を使用対象としたエキシマー光源またはランプの改良が必要である。特に、これは、電圧/電流制御サブシステムおよび/またはソフトウェア検出信号調整サブシステムを備えたエキシマー光源またはランプなどの蛍光光源を備え、安定性および信頼性を改善し、かつ全硫黄分および/または全窒素分の検出レベルを低く設定した分析機器についていえる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施態様は、サンプル供給搬送サブシステム、場合に応じて設けられる酸化処理サブシステム、検出サブシステムおよび分析素子サブシステムを備えた、サンプルまたはサンプル成分の分析システムまたは分析装置を提供するものである。サンプル供給搬送サブシステムは、直接注入装置、サンプルループ装置、インライン式サンプリング装置、クロマトグラフィーユニット(例えば、GC、LC、HPLCなど)またはその他のサンプル分離ユニットで構成できる。酸化処理サブシステムは、酸化処理域をもつ燃焼管を備え、この酸化処理域内で、すべての酸化性サンプル成分を対応する酸化物にほぼ完全に転換できる。検出サブシステムは電流および電圧をタイトに制御できる高周波/高電圧電源を備えた光源、場合に応じて設けられるソフトウェア検出信号調整サブシステム、検出チャンバー、および検出素子を備える。分析素子サブシステムは、一般的にいって、(コンピュータを使用できる)デジタル処理ユニット、メモリー、表示素子、印刷素子、大容量記憶素子、通信ハードウェア/ソフトウェア、他の公知周辺素子、および検出素子信号を受信分析するソフトウェアを備える。光源としては、金属蒸気ランプ、ガスランプまたは他のブロードスペクトル光源などのフィルター処理式ブロードスペクトル光源、フィルター処理式または非フィルター処理式エキシマー光源、あるいはフィルター処理式または非フィルター処理式レーザー光源を使用できる。
【0009】
また、本発明の実施態様は、サンプル供給搬送サブシステム、酸化処理サブシステム、検出サブシステム、および分析素子サブシステムを備えた、サンプルまたはサンプル成分の分析システムまたは分析装置を提供するものである。サンプル供給搬送サブシステムは直接注入装置、サンプルループ装置、インライン式サンプリング装置、クロマトグラフィーユニット(例えば、GC、LC、HPLCなど)またはその他のサンプル分離ユニットで構成できる。酸化処理サブシステムは、酸化処理域をもつ燃焼管を備え、この酸化処理域内で、すべての酸化性サンプル成分を対応する酸化物にほぼ完全に転換できる。検出サブシステムは電流および電圧をタイトに制御できる高周波電源を備えた光源、場合に応じて設けられるソフトウェア検出信号調整サブシステム、検出チャンバー、および検出素子を備える。分析素子サブシステムは、一般的にいって、(コンピュータを使用できる)デジタル処理ユニット、メモリー、表示素子、印刷素子、大容量記憶素子、通信ハードウェア/ソフトウェア、他の公知周辺素子、および検出素子信号を受信分析するソフトウェアを備える。光源としては、金属蒸気ランプ、ガスランプまたは他のブロードスペクトル光源などのフィルター処理式ブロードスペクトル光源、フィルター処理式または非フィルター処理式エキシマー光源、あるいはフィルター処理式または非フィルター処理式レーザー光源を使用できる。
【0010】
また、本発明の実施態様は、本発明システムにサンプルを供給するステップを有するサンプルまたはサンプル成分の分析方法を提供する。この分析方法は、サンプルを成分に分離するステップを有していてもよい。さらに、蛍光検出に先立ってサンプルまたはサンプル成分を対応する酸化物に酸化するステップを有していてもよい。サンプルまたはサンプル成分が適正な検出状態になったなら、サンプルまたはサンプル成分を検出サブシステムに送り出し、ここでサンプルまたはサンプル成分が蛍光反応チャンバーに流入し、光源から光を吸収する。サンプルまたはサンプル成分の一部が、励起サンプルまたは励起サンプル成分に転換する。励起サンプルまたは励起サンプル成分の一部が蛍光発光し、蛍光の一部が光反応チャンバーから出、検出素子入口から検出素子に流入する。検出素子では、検出素子に流入する多数の光子(蛍光強度)が比例電気信号に転換する。次にこの電気信号が分析装置で分析され、そしてサンプルまたはサンプル成分の蛍光活性種の濃度に関連付けられ、即ちサンプルまたはサンプル成分の硫黄、窒素などの原子種の濃度に関連付けられる。光源としては、金属蒸気ランプ、ガスランプまたは他のブロードスペクトル光源などのフィルター処理式ブロードスペクトル光源、フィルター処理式または非フィルター処理式エキシマー光源、あるいはフィルター処理式または非フィルター処理式レーザー光源を使用できる。
【0011】
例えば、蛍光活性種が二酸化硫黄(SO)の場合には、電気信号は光反応チャンバーの二酸化硫黄の量に比例し、即ちサンプルまたはサンプル成分の硫黄量に比例する。二つ以上のサンプル成分が硫黄を含有する場合、硫黄を含有する各成分の硫黄濃度の合計がサンプル中の全硫黄分になる。サンプルが成分として二酸化硫黄を含有する場合、電気信号はサンプルの硫黄濃度に正比例する。元のサンプルが化学結合硫黄か、あるいは二酸化硫黄と化学結合硫黄の組み合わせを含有する場合、酸化処理サブシステムを含むサブシステムで化学結合硫黄を二酸化硫黄に転換する。サンプルが化学結合窒素を含有する場合、オゾン誘導化学発光サブシステムによってNOを決定できる。実施態様にもよるが、NO化学発光は紫外線検出サブシステムの上流側で行う。
【0012】
また、本発明は、サンプルを各成分に分離する条件でサンプルをサンプル供給搬送システムから分離ユニットに供給するステップを有するクロマトグラフィー分析方法を提供するものでもある。分離後、サンプル成分を検出装置に送る。場合にもよるが、燃焼装置で最初に各成分を酸化処理してもよい。検出装置では、光反応チャンバーの光源(実施態様にもよるが、光源またはランプ)からの光に各成分を接触させる。ここで蛍光活性種の一部が励起し、励起種の一部が蛍光発光する。蛍光の一部がチャンバーを出、検出素子入口から検出素子に入り、電気信号が出力する。この電気信号が蛍光活性種の濃度に転換し、即ちサンプルの硫黄や窒素などの対象となる対応する原子成分の濃度に転換する。活性種が二酸化硫黄の場合、分析素子が、各成分の硫黄濃度およびサンプルの全硫黄濃度を出力する。光源としては、金属蒸気ランプ、ガスランプまたは他のブロードスペクトル光源などのフィルター処理式ブロードスペクトル光源、フィルター処理式または非フィルター処理式エキシマー光源、あるいはフィルター処理式または非フィルター処理式レーザー光源を使用できる。
【0013】
添付図面を参照して以下の詳細な説明を読めば、本発明をよりよく理解できるはずである。なお、同じ要素は同じ符号で示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】蛍光検出サブシステムを備えた本発明システムの一実施態様を示す図である。
【図1B】酸化処理サブシステムおよび蛍光検出サブシステムを備えた本発明システムの別な実施態様を示す図である。
【図1C】酸化処理装置、化学発光サブシステムおよび蛍光検出サブシステムを備えた本発明システムのさらに別な実施態様を示す図である。
【図2A】本発明の蛍光検出サブシステムの一実施態様を示す図である。
【図2B】本発明の蛍光検出サブシステムの別な実施態様を示す図である。
【図2C】本発明の蛍光検出サブシステムのさらに別な実施態様を示す図である。
【図3】本発明の高電圧電源の一実施態様を示す図である。
【図4A】本発明の酸化処理サブシステムの一実施態様を示す図である。
【図4B】本発明の酸化処理サブシステムの別な実施態様を示す図である。
【図4C】本発明の酸化処理サブシステムのさらに別な実施態様を示す図である。
【図5】本発明の化学発光検出サブシステムの一実施態様を示す図である。
【図6A】直線状の外側反射電極を備えた本発明のエキシマー光源の一実施態様を示す縦/横断面図である。
【図6B】直線状の外側反射電極を備えた本発明のエキシマー光源の一実施態様を示す縦/横断面図である。
【図6C】光源からの光射出量を増加させるようにテーパー加工した外側反射電極を備えた本発明のエキシマー光源の別な実施態様を示す縦/横断面図である。
【図6D】光源からの光射出量を増加させるようにテーパー加工した外側反射電極を備えた本発明のエキシマー光源の別な実施態様を示す縦/横断面図である。
【図6E】光源からの光射出量を増加させるようにテーパー加工した外側反射電極を備えた本発明のエキシマー光源のさらに別な実施態様を示す縦横の横断面図である。
【図6F】光源からの光射出量を増加させるようにテーパー加工した外側反射電極を備えた本発明のエキシマー光源のさらに別な実施態様を示す縦横の横断面図である。
【図7A】本発明のエキシマーランプまたはエキシマー光源の200nm〜900nmにおける出力スペクトルを示す図である。
【図7B】本発明のエキシマーランプまたはエキシマー光源の200nm〜250nmにおける展開出力スペクトルを示す図である
【発明の詳細な説明】
【0015】
本発明者の知見によれば、サンプルまたはサンプル成分の分析装置または分析システムは、他の潜在的な緩衝化合物を励起することなく、蛍光活性アナライト(被分析体)を選択的に分析できる波長に中心設定したきわめて狭い波長域(場合によって、近単色域)の光を発光するように特に設定されたエキシマー光源を利用して構成できる。例えば、SO蛍光検出に緩衝する種であるNOの励起を最小限に抑制した状態でSOを選択的に励起する光源を利用した、硫黄分または全硫黄分の分析装置である。また本発明者の知見によれば、分析システムは、機器安定性および機器信頼性を改善し、光源が設計されたアナライト(analyte)の検出限界を下げるソフトウェア検出信号調整サブシステムを備えることができる。本発明者のさらに別な知見によれば、このソフトウェア検出信号調整サブシステムは、エキシマー光源を備えた任意の光源と併用できる。例えば、アナライトが二酸化硫黄の場合、光源としては中心が厳密に222nm付近に設定された光を発光しなければならない。エキシマー光源の場合、約222nmに中心が設定された光を発光できるガス混合体を利用する。他の蛍光活性種を分析対象とする場合、エキシマー光源は、上記種の吸収スペクトル内の波長に中心設定された光を発光できるガス混合体を利用する。
【0016】
蛍光検出および化学発光の上記以外の細部については、以下の特許文献(いずれもアメリカ特許又はアメリカ特許出願)が参考になる。USP4904606、4914037、4916077、4950456,5916523、6075609、6143245、6458328、6636314、7018845、7244395、7291203、10/970686、10/970353、11/949610、11/834495、11/834509および11/834514。いずれも本開示に援用するものである。これら文献のうちいくつかは、酸化処理サブシステム設計、蛍光サブシステム設計、化学発光サブシステム設計における改善改良、そして一般的には、サンプルおよびサンプル成分の硫黄分および/または窒素分の蛍光測定および化学発光測定領域における改善改良に関する。
【0017】
本発明の一部の実施態様の場合広く括ると、蛍光分光を利用したサンプルまたはサンプル成分の分析システムまたは分析装置に関する。この装置は、直接供給搬送サブシステムまたはサンプル分離サブシステムが使用できるサンプル供給搬送サブシステムを備える。また場合に応じて、分析システムはサンプルの酸化性成分を対応する酸化物に酸化する酸化処理サブシステムを組み込むがことができる。なお、適正な周波数または周波数帯の光に照射される場合、酸化物の一つかそれ以上は蛍光活性種であればよい。また、分析システムは、励起光への照射後サンプル、サンプル成分または酸化物の励起蛍光活性種が発光する蛍光を検出する検出サブシステムを備え、また分析装置サブシステムを有する。一般に、この分析装置サブシステムは(コンピュータを使用できる)デジタル処理ユニット、メモリー、表示素子、印刷素子、大容量記憶素子、通信ハードウェア/ソフトウェア、他の公知周辺素子、および検出素子信号を受信分析するソフトウェアを備える。サンプル供給搬送サブシステムは直接注入装置、サンプルループ装置、ガスクロマトグラフィーユニット、液体(低速、中速、高速)クロマトグラフィーユニット、電気泳動ユニットまたはその他のサンプル分離ユニットを備える。検出サブシステムは光源装置、検出チャンバー、検出素子、およびソフトウェア検出素子信号調整サブシステムを備える。光源装置は供給電圧、供給周波数および/または供給電流を厳密に制御し、かつ金属蒸気ランプ、ガスランプ、エキシマーランプやレーザーなどの光源に給電する高周波電源を備える。
【0018】
本発明の他の実施態様の場合広く括ると、サンプルを検出装置に供給するステップを備えた、クロマトグラフィー分析を実行する方法に関する。実施態様にもよるが、サンプルは直接供給搬送装置を利用して、検出装置にサンプルを直接供給する。別な実施態様の場合、最初に、即ちサンプル成分を検出装置に供給する前に、サンプルの成分への所定の分離を行う条件で分離ユニットにおいてサンプルを成分に分離する。あるいは、サンプルまたはサンプル成分を酸化処理装置で酸化処理してサンプルまたはサンプル成分の全酸化性種を対応する酸化物に転換する。検出装置では、サンプル、サンプル成分、酸化されたサンプルまたは酸化されたサンプル成分を光反応チャンバーにおいて光源からの光に接触させる。蛍光活性種の一部が励起し、励起種の一部が蛍光発光する。蛍光の一部が検出装置入口から検出装置に入り、出力電気信号を出力する。電気信号は分析装置においてサンプル、サンプル成分、酸化されたサンプルまたは酸化されたサンプル成分中の活性種の濃度に転換する。次に、この情報を利用してサンプル全体および/または各サンプル成分中の原子成分の濃度を決定できる。
【0019】
本発明システムは、特に紫外線蛍光クロマトグラフィー対応でき、この場合には紫外線蛍光検出サブシステムを備える。この検出サブシステムは高周波電源をもつエキシマー光源、検出チャンバー、検出素子、およびソフトウェア検出信号調整サブシステムを備える。このエキシマー光源の場合、緩衝種の励起を最小限に抑えた状態で、目的のアナライトを効率よく励起できる波長に中心設定された電磁スペクトルの紫外線スペクトル内にあるきわめて狭い周波数または波長帯の光を発光する。例えば、クリプトン/塩化物エキシマー光源の場合、NO吸収スペクトルの吸収帯域間のギャップに中心設定された222nmに中心設定された光を発光する。フィルター処理後、クリプトン/塩化物エキシマー光源が発光した光は、NOの励起を最小限に抑えた状態で、SOを選択的に励起するために利用できる。しかし、この分析システムおよび方法はまた、金属蒸気ランプ、ガスランプおよびレーザーと共に実施できる。
【0020】
本発明の一実施態様の場合、光源はエキシマー光源である。エキシマー光源の場合、一般的には、内部貫通孔および放電ギャップを備えた形状が細長いトロイダル形状(toroidal shaped)の誘電体バリア放電ガスエンクロージャーである。このガスエンクロージャーの場合、ガスやガス混合体を充填でき、エンクロージャー内のガスから形成された原子種またはエキシマーのいずれかが発光する。エキシマーは多重原子錯体または分子錯体であり、原子または分子の少なくとも一つが励起状態にある。この場合、錯体が発光する。エキシマーにもよるが、発光光の一部が特定の波長または周波数に狭い範囲で中心設定される。
【0021】
また、エキシマー光源の場合、第1電極を内部貫通孔内に設けるか、あるいは内部貫通孔の内面に設ける。また、エキシマー光源の場合、光射出口は、光がエキシマー光源から射出するエンクロージャーの端部からなる。また、このエキシマー光源の場合、外部反射電極をエンクロージャーの外面に設ける。この外部反射電極のテーパー加工はあってもよく、あるいはなくてもよい。この外部反射電極の場合、射出口を射出する光を集光かつ強くできる。内外の電極は、高周波高電圧電源をもつエキシマー光源に電気的に接続する。
【0022】
電源装置は、誘電体バリアが制御された仕方で絶縁破壊する程度の十分な電位を電極間に印加する。この制御された絶縁破壊の結果、ギャップ間に微小な放電が生じる。これら微小な放電がガスまたはガス混合体を励起し、励起種が発生し、発光種の純度が高いため、きわめて狭い周波数帯の光が発光する。
【0023】
二酸化硫黄検出を対象とした実施態様の場合、エンクロージャー内のガスはクリプトンと塩素との混合体からなるため、ギャップ間の微小な放電により励起すると、クリプトン/塩化物エキシマーまたは励起錯体が形成する。ガス混合体の組成およびエンクロージャー内のガス混合体の圧力を制御することによって、クリプトン/塩化物(KrCl)エキシマー光源が同調し、所定の出力強度での二酸化硫黄蛍光検出に理想的な222nmに正確に中心設定された光が発光する。KrClエキシマー光源は222nmに中心設定された光を主に発光するが、一定の条件下では、より長い波長の光も発光する。実施態様にもよるが、エキシマー光は励起光フィルターを通過するため、発光された光のこれらより長い波長を減少または排除することができる。
【0024】
本発明システムすべてを通じて、検出サブシステムには場合に応じて、光フィルターまたは光学フィルターを蛍光反応チャンバーと光源との間に、そして蛍光反応チャンバーと検出素子との間に設ける。また本発明システムすべてを通じて、蛍光反応チャンバーにはサンプル入口とサンプル出口とを設ける。また蛍光反応チャンバーにも、光入射口と蛍光射出口を設ける。なお、蛍光射出口は入射口に対して所定の角度で設け、そしてこの角度は励起光が光射出口に入射しないように設定する。実施態様にもよるが、約60°〜約120°に設定する。また別な実施態様では、約70°〜約110℃に設定する。あるいは約80°〜約100°に、より狭く約85°〜約95°に、そして約90°に設定する。蛍光反応チャンバーについては、USP6075609、USP6636314に記載されているようにミラー化してもよい。いずれも本開示に援用するものである。
【0025】
酸化処理サブシステムを備えたシステムの場合、サンプルまたはサンプル成分は燃焼チャンバーに送る。この燃焼チャンバーはサンプル入口、酸化剤入口および酸化されたサンプルの出口を備える。サンプルおよび酸化剤は、同時にあるいは個別に燃焼チャンバーに導入できる。実施態様にもよるが、酸化剤は燃焼チャンバーに順次に送ってもよい。あるいは、サンプルおよび酸化剤とともに不活性ガスを燃焼チャンバーに導入してもよい。
【0026】
燃焼チャンバー内でサンプルの酸化性成分が対応する酸化物および水蒸気に転換したなら、酸化剤/サンプル混合物の点火温度より高い温度か、あるいは酸化性サンプル成分のすべてかあるいはほぼすべてが対応する酸化物に酸化するのに十分高い温度に燃焼チャンバーを維持する。この高温は一般的には約300℃以上に設定する。実施態様にもよるが、約600℃以上、または約900℃以上に設定してもよく、あるいは約300℃〜約2,000℃の範囲に、約600℃〜約1,500℃の範囲に、あるいは約800℃〜約1,300℃の範囲に設定すればよい。本発明の燃焼装置の動作圧力は周囲圧力でもよく、数十mm水銀の減圧でもよく、あるいは1,000psia以上の周囲圧力より高い圧力でもよい。
【0027】
燃焼域への入口は、酸化剤内にサンプルを噴霧できる噴霧器を備え、そして場合に応じて不活性ガスを利用して酸化効率を上げてもよい。
【0028】
酸化に関して使用する“ほぼすべて”は、可燃性材料の酸化性成分の少なくとも90%以上が対応する酸化物に転換している状態を示す。あるいは、可燃性材料の酸化性成分の少なくとも95%以上が対応する酸化物に転換している状態を示す。あるいは、可燃性材料の酸化性成分の少なくとも98%以上が対応する酸化物に転換している状態を示す。あるいは、可燃性材料の酸化性成分の少なくとも99%以上が対応する酸化物に転換している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
限定するわけではないが、好適な検出システムは光強度を比例的電気信号に転換する任意の素子を備える。素子を例示すればPMT(光電子増倍管)、CCD(電荷結合素子)、ICCD(増感電荷結合素子)などである。
【0030】
限定する意図はないが、好適なサンプル供給システムとしては、自動サンプラー、直接注入用セプタム、連続サンプリング用サンプリングループ、およびGC、LC、MPLC、HPLC、LPLCなどの分析分離システムを備えた任意のサンプル供給システム、あるいはサンプルを分析装置燃焼チャンバーに供給するために現在利用されているか将来利用される可能性のあるその他のサンプル供給システムであり、これらを複数組み合わせて利用してもよい。
【0031】
限定するわけではないが、好適な光源としては金属蒸気光源、ガス光源、エキシマー光源、レーザー光源があり、紫外光を発生できるその他の光源も利用できる。限定する意図はないが、金属蒸気光源又はランプを例示すれば、亜鉛ランプ、カドミウムランプ、水銀ランプ、ハロゲン化水銀ランプがあり、その他の金属ランプも光源として利用されている。限定する意図はないが、ガスランプを例示すると、キセノンランプ、重水素ランプがあり、紫外光を発光する他のガスランプである。
【0032】
本発明に使用するのに好適なエキシマー光源は表1に示す通りである。
表1
近/遠紫外線エキシマーガス発光種および発光周波数

SHG*は紫外線ガス‐イオン二次調波発光である。
ソフトウェア検出素子信号調整
背景
【0033】
本発明においては必須ではないが、例えば使用前に、本発明のシステムまたは装置は検定処理して、検定曲線を作成しておく。即ち、ある元素の目標蛍光活性種、例えば硫黄についてはSO、そして窒素についてはNOの既知ではあるが異なる濃度をもつ幾つかのサンプルを分析し、測定反応をプロットして検定曲線を作成する。未知サンプルの反応を次に測定し、検定曲線と比較する。この比較から未知サンプルの目標種の濃度がわかる。なお、この方法は、光源が発光する光の強度や光源の動きなどの装置条件が一定状態にあることを前提としている。
【0034】
光源が老化すると、光源出力が経時的に低下するなどの変化の原因になり、また出力ノイズレベルが上がるなどの変化の原因になることが多い。光出力および出力ノイズレベルがいずれも変化すると、測定結果、再現性および反復性に直ちに影響が出る。本発明の実施態様にもよるが、本発明システムは光源の動作条件を変えることなく、光出力およびノイズレベルの変化を補償する機能をもつ。この種の機能は、光源の最良の性能および寿命について最適化された電源を備え、ランプ強度の経時的低下などのランプ出力状態または強度状態の経時的な補正を可能にした状態で、ランプ動作を理想的な状態におく光源に対して良好に対応できる。
【0035】
制御機能の一つは、光源性能の経時的な変化に関する情報に基づいてソフトウェアによって検出素子信号を調整することである。このようにソフトウェアによって信号を調整すると、検定間隔を有意味に広げることができ、Znランプなどのより低い品質の光源やエキシマーランプなどのより高い品質の光源を含むあらゆるタイプの光源に良好に対応できる。さらに、光源の出力についてデジタル状態調整すると、光源性能についてより詳しく知ることができ、またこのような状態に基づき検出素子信号のソフトウェア補正を実行できる。また、このような制御システムの場合、ランプの寿命がいつ切れるか、あるいはランプをいつ交換するかを予測あるいは推測するさいに重要な情報、システムの作業中止時間の短縮に重要な情報、即ち保守計画の改善に重要な情報を取得できる。
【0036】
光源出力の信号フィルター処理を行うと、光源の出力ノイズレベルを低くあるいは最小限に抑えることができ、装置測定値の反復性が向上する。このような信号フィルター処理および信号調整を行うと、装置またはシステムの作業中止時間を短縮できるだけでなく、装置の性能が向上する。
応用
【0037】
本発明のソフトウェア検出素子信号調整または状態調整サブシステムはフォトダイオードなどの、光源の光出力をモニタリングできる光検出素子/センサー素子を備える。実施態様にもよるが、光検出素子/センサー素子は、蛍光チャンバーの後ろに設ける。なお、光の光出力を測定できる限りは、光検出素子/センサー素子の配設位置は任意でよい。この光検出素子/センサー素子は光源の光出力を検出、モニタリングし、強度値、ノイズ値などの現在時点での光源出力特性を出力するともに、光源出力特性に関する連続情報を出力する。光検出素子/センサー素子が検出した現在時点での光源強度値やその他の特性は、デジタル信号に転換する。光出力強度値は、記憶されている光源出力強度値と比較する。最後の検定時に取得された他の特性の値とも比較できる。現在時点の光源強度値と記憶されている光源強度値との差を未知サンプルの蛍光検出素子信号から減算するか、これに加算して、ランプ強度のずれまたは変化に応じて信号を調整する。この補正によって、最後の検定時の光源出力と各サンプル分析時の実際の光源出力との差を補償できる。
【0038】
さらに、光検出素子/センサー素子からの信号はデジタル処理し、蛍光検出素子信号のデジタルフィルター処理を行うと、光源ノイズを低くあるいは最小限に抑制でき、検定処理間の未知サンプルの測定値の反復性が向上する。
システムの各構成
光検出素子/センサー素子
【0039】
ソフトウェアフィードバック装置は、光源出力レベルを検出するために使用される安定なフォトダイオードなどの安定な光検出素子/センサー素子を備え、光強度を比例電気信号に転換する。光検出素子/センサー素子は、ソフトウェアフィードバックおよび検出素子信号処理の連続信号を出力する。
A/D転換素子
【0040】
また、ソフトウェアフィードバック装置は、解像度の高いアナログ/デジタル転換素子(例えば、シグマデルタA/D転換素子)を備える。この転換素子では、信号デジタル処理を介して光センサー素子信号をソフトウェアフィードバック制御デジタル信号に転換する。
デジタル信号状態調整
【0041】
また、ソフトウェアフィードバック装置はマイクロプロセッサー素子ユニットを備える。このユニットでは、検定時に取得された光源出力値を記憶する。記憶された光源出力値は、現在時点での光源出力値と比較し、この比較に基づいて、このユニットが光増幅素子などの検出素子からの信号を調整し、光源の老化による未知サンプルの測定値への影響を低くあるいは最小限に抑制する。このユニットは、また、信号のフィルター処理を行なう。また必要に応じて、他の必要な機能を発揮できる。
電流/電圧を厳格に制御した高電圧電源
【0042】
本発明では、DC電源を使用してエキシマー光源に給電する。DC電源を使用すると、ブリッジ制御素子およびMOSFETスイッチユニットへの給電を確実に制御できる。制御素子およびMOSFETスイッチユニットへの入力電圧については、約8V〜約30Vの間で厳格に制御する。ブリッジ制御素子をMOSFETスイッチユニットを駆動ゲートに使用すると、エキシマー光源電流および電圧を測定でき、過電流および過電圧から確実に保護できるとともに、エキシマー光源の明るさ(輝度)の厳格な制御を担保できる。本発明の電源はランプ動作に対して最善の状態、即ち最適化かつ制御された動作電流、最適化かつ制御された動作電圧、最適化かつ制御された動作周波数などを担保するように特化設計してある。
【0043】
ゲート駆動出力は、MOSFETスイッチユニットのゲートに直接接続する。これらゲートの場合、MOSFETスイッチユニットの上流側スイッチのうち一つがオンし、同時に他のハーフブリッジの下流側スイッチがオンすると、電流が変圧器のみに流れるように設計してある。一つのハーフブリッジの上流側スイッチのオン時間がMOSFETスイッチユニットの他のハーフブリッジの下流側スイッチのオン時間に正確に重なった場合に、最大出力が得られる。
【0044】
ランプ輝度を設定するには、2つの基本的な調光方法がある。アナログ調光とバースト調光の2つである。アナログ調光方法では、DC電圧プログラムに従ってランプ電流を調整する。この場合には、ランプ電流を電流調整素子によって調整する。即ち、ランプ電流を直接制御する。バースト調光方法では、負荷サイクルが一定の低周波数でランプをオンオフする。バースト調光は、内部的に(発生バーストパルスのDC電圧プログラム負荷サイクル)あるいは外部的に(外部PWM信号を直接使用してバースト調光を行う)行うことができる。
【0045】
調光回路はブリッジ制御素子に組み込む。各調光方法はそれぞれ独立して適用できる。アナログ調光およびバースト調光を備えたランプに高周波電力を入力できるブリッジ制御素子を使用できるが、本発明者はTexas Instruments社製のTPS68000高効率位相シフト式フルブリッジCCFLコントローラーを使用した。なお、参考情報としては、TIスペックSLVS524A、2005年10月、2006年2月改訂版がある。
【0046】
ブリッジ制御素子は高周波を出力する発振素子成分を備える。内部動作周波数は、周波数プログラム式入力に接続した抵抗素子によって設定する。過電流保護入力を使用して電流センサー素子から誘導される電圧をモニタリングする。ランプ電流はシャント抵抗素子の電圧から誘導する。測定された電圧を使用してランプ電流を調整する。ランプ電圧はキャパシタンス分周素子で分周する。測定された電圧を使用してランプ電圧を調整するとともに、過電圧保護を行う。ランプへのエネルギー入力の高周波によってランプ出力が増大する。あるいは、印加電圧を上げてランプ出力を高めてもよいが、高い電圧はランプエンベロープの絶縁破壊限界によって制限を受ける。
システム
【0047】
図1Aについて説明する。全体を参照符号100で示す本発明システムの一実施態様は、図示のように、サンプル供給または導入サブシステム102を備える。また、本システム100は、第1導管106によってサンプル供給または導入サブシステム102に接続した蛍光検出サブシステム104を備える。さらに本システム100は、第1信号導管110によって蛍光サブシステム104に接続した分析素子サブシステム108を備える。
【0048】
システム100の別な実施態様を図1Bに示す。本システム100は、さらにサンプル供給または導入サブシステム102間に配設された酸化処理サブシステム112を備える。酸化処理サブシステム112は、第2導管114によってサンプル供給または導入サブシステム102に、そして第3導管116によって蛍光検出サブシステム104に接続する。
【0049】
システム100のさらに別な実施態様を図1Cに示す。本システム100場合、さらに酸化処理サブシステム112と蛍光検出サブシステム104との間に化学発光検出サブシステム118を配設している。化学発光検出サブシステム118は、第4導管120によって酸化処理サブシステム112に、そして第5導管122によって蛍光サブシステム104に接続する。化学発光検出サブシステム118も第2信号導管124によって分析素子サブシステム108に接続する。場合にもよるが、サブシステム118は、酸化されたサンプルまたはサンプル成分にオゾンを導入してNOを少なくするか排除し、これを非干渉酸化窒素であるNOに転換するオゾン発生素子を単に備えたものでもよい。この構成ではまた、サブシステム118は、オゾンが酸化されたサンプルまたはサンプル成分と混合するチャンバーを備えていてもよい。
【0050】
各サブシステムについて以下詳細に説明する。
【0051】
本発明に使用するサンプル供給または導入システム102としては、自動サンプラー素子、直接注入用セプタム、連続サンプリング用サンプリングループ、インライン式注入システム、GC、LC、MPLC、HPLC、LPLCなどの分析分離システム、電気泳動を備えた任意のサンプル供給システムを使用できる。あるいは、本発明の分析装置にサンプルを供給または導入するために現在使用されているか、将来使用されるだろうその他の任意のサンプル供給または導入システムも使用可能である。図1Aのシステムの場合、酸化処理などの前処理を行わずに、サンプルを蛍光検出素子に直接導入する。このようなシステムは、一般的には、SOを含有していることがわかっているか予想されるサンプルを試験するために好適であるが、図1Bおよび図1Cのシステムの場合は、サンプルを酸化処理してSOを発生し、次に分析するシステムである。もちろん、図1Bおよび図1CのシステムはSOを含有することがわかっているか予想されるサンプルだけでなく、酸化されていない硫黄や化学結合硫黄を含有するサンプルにも使用できる。
【0052】
上記システム実施態様すべてにおいて、分析サブシステムは一般的にはデジタル処理システムであり、このシステムはデジタル処理ユニット、メモリー(キャッシュ、RAM、ROMなど)、大容量記憶装置、周辺素子などを備える。分析素子はPMTなどの検出サブシステムに対応する検出素子からの出力を入力とし、元のサンプル中の分析対象である元素の濃度に信号を転換する。データは表示またはプリントアウトなどされる。
蛍光検出サブシステム
【0053】
次に図2Aについて説明する。全体を参照符号200で示す本発明の紫外線蛍光検出サブシステムの一実施態様は、図示のように、光源装置202、蛍光反応装置240、および検出素子280を備える。
【0054】
光源装置202はエキシマー光源204および電源206を備え、そして場合によっては励起光フィルター208を備える。電源206は、電線用導管210aおよび210bによってエキシマー光源204に接続する。フィルター208が存在する場合には、励起光ビーム212がこれに入射し、励起光ビーム212をフィルター処理し、狭い波長(または周波数)帯の光、即ち目的の波長周囲に厳密に分布する波長帯の光をもつフィルター処理励起光ビーム214を出力する。実施態様にもよるが、目的の波長は、SO吸収に最適な波長である約220nmである。
【0055】
蛍光反応装置240は、蛍光反応チャンバー242を備える。このチャンバー242のサンプル入口244は、サンプル入口導管246に接続し、そしてサンプル出口248は出口導管250に接続する。また、チャンバー242の励起光口252は励起光ビーム212またはフィルター処理励起光ビーム214と光学的に連絡し、そして検出素子口254は検出素子280と光学的に連絡する。検出素子口254は励起口252に対して直角に設定するが、検出素子口254に入射する励起光の量を少なくするのに十分な角度である限り、任意に設定できる。USP6,075,609およびUSP6,636,314に記載されているように、チャンバー内壁256をミラー化すると、検出素子口254および検出素子280に入射する蛍光光量を増すことができる。なお、これら公報については本開示に援用するものである。
【0056】
検出素子280は信号導管282によって、前述した分析素子サブシステム108に接続する。
【0057】
次に図2Bについて説明する。全体を参照符号200で示す本発明の紫外線蛍光検出サブシステムの一実施態様は、図示のように、光源装置202、蛍光反応装置240および検出素子280を備える。
【0058】
光源202はエキシマー光源204および電源206を備え、そして場合に応じて励起光フィルター208を備える。電源206は、電線用導管210aおよび210bによってエキシマー光源204に接続する。フィルター208が存在する場合には、励起光ビーム212がこれに入射し、励起光ビーム212をフィルター処理し、狭い波長(または周波数)帯の光、即ち目的の波長周囲に厳密に分布する波長域の光をもつフィルター処理励起光ビーム214を出力する。実施態様にもよるが、目的の波長は、SO吸収に最適な波長である約220nmである。
【0059】
蛍光反応装置240は、蛍光反応チャンバー242を備える。このチャンバー242のサンプル入口244は、サンプル入口導管246に接続し、そしてサンプル出口248は出口導管250に接続する。また、チャンバー242の励起光口252は励起光ビーム212またはフィルター処理励起光ビーム214と光学的に連絡し、そして検出素子口254は検出素子280と光学的に連絡する。検出素子口254は励起口252に対して直角に設定するが、検出素子口254に入射する励起光の量を少なくするのに十分な角度である限り、任意に設定できる。USP6,075,609およびUSP6,636,314に記載されているように、チャンバー内壁256をミラー化すると、検出素子口254および検出素子280に入射する蛍光光量を増すことができる。なお、これら公報については本開示に援用するものである。また、蛍光反応チャンバー242は場合に応じて設けられる光強度検出素子/センサー素子258を備え、これを信号導管260によって分析素子108に接続すると、上記のソフトウェアフィードバック制御に利用できる。
【0060】
検出素子280は信号導管282によって、前述した分析素子サブシステム108に接続する。
【0061】
次に図2Cについて説明する。全体を参照符号200で示す本発明の紫外線検出サブシステムの別実施態様は、図示のように、光源装置202、蛍光反応装置240および検出素子280を備える。
【0062】
光源202はエキシマー光源204、電源206および励起光フィルター208を備える。電源206は、電線用導管210aおよび210bによってエキシマー光源204に接続する。フィルター208は、励起光ビーム212がこれに入射し、励起光ビーム212をフィルター処理し、狭い波長(または周波数)帯の光、即ち目的の波長周囲に狭い範囲で分布する波長帯の光をもつフィルター処理励起光ビーム214を出力する。実施態様にもよるが、目的の波長は、SO吸収に最適な波長である約220nmである。フィルター処理励起光ビーム214は、スプレッダー素子またはコリメーター素子216を通過して拡散ビーム218を形成する。
【0063】
蛍光反応装置240は蛍光反応チャンバー242を備える。このチャンバー242のサンプル入口244は、サンプル入口導管246に接続し、そしてサンプル出口248は出口導管250に接続する。また、チャンバー242の励起光口252は拡散ビーム218と光学的に連絡し、そして検出素子口254は検出素子280と光学的に連絡する。検出素子口254は励起口252に対して直角に設定するが、検出素子口254に入射する励起光の量を少なくするのに十分な角度である限り、任意に設定できる。USP6,075,609およびUSP6,636,314に記載されているように、チャンバー内壁256をミラー化すると、検出素子口254および検出素子280に入射する蛍光光量を増すことができる。なお、これら公報については本開示に援用するものである。また、チャンバー242には場合に応じて光強度検出素子/センサー素子258を設ける。この素子258は信号導管260によって分析素子108に接続し、上記ソフトウェアフィードバック制御に使用できるようにする。また、蛍光反応チャンバー242には蛍光フィルター262を配設できる。
【0064】
検出素子280は信号導管282によって、前述の分析素子サブシステム108に接続する。
【0065】
窒素および硫黄の両者を検出するシステムの場合、酸化処理されたサンプルを2つの部分に分割できる。即ち、硫黄検出システムに行く部分と窒素検出システムに行く部分である。蛍光サブシステムと化学発光サブシステムをもつシステムの場合、化学発光サブシステムはNOとして窒素を測定し、SOとして硫黄を測定する。
高電圧電源
【0066】
次に図3について説明する。全体を参照符号300で示す本発明のフィードバック/閉回路制御サブシステムの一実施態様は、DC電源302を備える。このDC電源302はエキシマー光源204などの光源の主電源として使用する。DC電源302からブリッジ制御素子304およびMOSFETスイッチユニット306に給電する。ブリッジ制御素子304は13個の入力/出力チャネルa〜mを備える。スイッチユニット306はスイッチ308a&bおよび310a&bを備える。また、スイッチユニット306は7個の入力/出力チャネルt〜zを備える。DC電源302は給電線312によって入力チャネルaのブリッジ制御素子304に、そして給電線312によって入力チャネルtのMOSFETスイッチユニット306に制御状態の良好な初期電圧を供給する。制御素子304およびMOSFETスイッチユニット306への入力電圧については、約8V〜約30Vに厳格に調整する。ブリッジ制御素子304は、MOSFETスイッチユニット306のゲート316a〜dを駆動するために使用されるゲート駆動出力314a〜dを備える。これらゲート314a〜dおよび316a〜dが、光源電流および電圧を測定し、過電流保護および過電圧保護を担保するとともに光源輝度を厳格に制御する。
【0067】
ブリッジ制御素子チャネルa〜mの定義は次の通りである。
表I
ブリッジ制御素子チャネル

【0068】
スイッチユニットチャネルt〜zの定義は次の通りである。
表II
スイッチユニットチャネル

【0069】
ゲート駆動出力314a〜dは、MOSFETスイッチユニット306のゲート316a〜dに直接接続する。一方のハーフブリッジ320aにおけるスイッチ308aをオンすると同時に、他方のハーフブリッジ320bにおけるスイッチ310aをオンすると、ゲート314a〜dおよびゲート316a〜dにより電流が変圧器318にのみ流れる。一方のハーフブリッジ320a、320bにおけるスイッチ308a、308bのオン時間が他方のハーフブリッジ320b、320aにおけるスイッチ310a、310bのオン時間と正確に重なった場合に、出力を最大化できる。
【0070】
光源204の輝度を設定する場合、本発明の装置および方法は、2つの基本的調光方法を利用する。第1調光方法はアナログ調光である。この場合、DC電圧が電流調整素子によって調整される光源204電流をプログラム処理するため、光源204電流を直接制御できる。第2調光方法はバースト調光である。この場合、負荷サイクルを一定にした状態で、低周波において光源204をオンオフする。バースト調光方法は内部方式(即ち、DC電圧が、発生されたバーストパルスの負荷サイクルをプログラム処理する)か、あるいは外部方式(即ち、外部PWM信号を直接使用してバースト調光を行う)のいずれか方式であればよい。調光回路は、ブリッジ制御素子304に集積一体化する。これら調光方法は独立して適用できる。
【0071】
また、高電圧電源300は、ブリッジ制御素子304の周波数プログラム処理入力チャネルfとして働く内部動作周波数を制御する周波数設定抵抗素子322を備える。過電流保護入力を使用して、電流センサー素子324から誘導される電圧をモニタリングする。光源電流は、シャント抵抗素子326の電圧から誘導される。電流測定装置328が、光源電流調整に使用される電流を測定する。光源電圧は、第1キャパシター素子332および第2キャパシター素子334を備えたキャパシタンス分割素子330から誘導される。また、電圧測定装置336が、ランプ電圧調整および光源過電圧保護に使用される電圧を測定する。高電圧電源300は、高電圧出力338および340を出力する。
酸化処理サブシステム
【0072】
図4Aについて説明する。本発明の酸化処理サブシステムまたは燃焼処理サブシステムの一実施態様は、全体を参照符号400で示す。図示のように、このサブシステムは燃焼炉402および酸化剤供給部404を備える。
【0073】
燃焼炉402は、サンプル入力導管408に接続されたサンプル入口406および酸化処理されたサンプルの導管412に接続された酸化処理サンプル出口410を備える。また、燃焼炉402は酸化処理域414およびヒーター素子416を備える。さらに、燃焼炉402の酸化剤入口418は、酸化剤導管420に接続する。
【0074】
図4Bについて説明する。全体を参照符号440で示す本発明の酸化処理サブシステムの一実施態様は、図示のように、燃焼炉442および酸化剤供給部444を備える。
【0075】
燃焼炉442は、サンプル入力導管450に接続されたサンプル入口448および酸化剤導管454に接続された酸化剤入口452を有する噴霧器446を備える。また、燃焼炉442は酸化処理域546およびヒーター素子458を備える。また、燃焼炉442の酸化処理サンプル出口460は、酸化処理サンプル導管462に接続する。
【0076】
図4Cについて説明する。全体を参照符号470で示す本発明の酸化処理サブシステムの一実施態様は、図示のように、燃焼炉472および酸化剤供給部474を備える。
【0077】
燃焼炉472は、サンプル入力導管480に接続されたサンプル入口478および酸化剤導管484に接続された酸化剤入口482を有する噴霧器476を備える。また、燃焼炉472は酸化処理域486およびヒーター素子488を備え、その第2酸化剤入口490を第2酸化剤導管492に接続する。燃焼炉472の酸化処理サンプル出口494は、酸化処理サンプル導管496に接続する。酸化処理域486は、2つの静止ミキサー498を備える。これら2つの静止ミキサー498および第2酸化剤入口490を設けたため、燃焼効率が改善する。
【0078】
化学発光検出サブシステム
次に図5について説明する。全体を参照符号500で示す本発明の化学発光サブシステムの一実施態様は、図示のように、オゾン反応チャンバー502、オゾン源504および検出素子506を備える。
【0079】
オゾン反応チャンバー502は、オゾン導管510に接続されたオゾン入口508を備え、またサンプル導管514に接続されたサンプル入口512を備える。このオゾン反応チャンバー502は、サンプル出口導管518に接続されたサンプル出口516を備え、検出素子口520を備える。このチャンバーの内壁をミラー化すると、検出素子口520および検出素子504に入射する化学発光光の量を大きくできる。この点については、USP6075609およびUSP6636314に詳しい説明がある。なお、これら公報の開示内容は本開示に援用されている。
【0080】
オゾン源504は、オゾン発生器522およびオゾン発生器電源524を備える。この電源524は、電線用導管526によってオゾン発生器522に接続する。オゾン発生器522のオゾン出口528は、オゾン導管510に接続し、オゾン発生器522の酸素または空気入口530は、酸素用または空気用電線用導管534によって酸素または空気供給部532に接続する。オゾン源504から十分な量のオゾンをオゾン反応チャンバーに供給し、NOを化学発光活性種に酸化するため、化学発光サブシステム内において窒素がSO検出に干渉することが少なくなる。
【0081】
検出素子504については、データ導管536によって上記分析素子サブシステムに接続する。
【0082】
あるいは、オゾンを酸化処理サンプルまたはサンプル成分に添加するだけでもNOを除去でき、従ってSO検出にNOが干渉することがなくなる。この点については、USP7244395に詳しい説明がある。なお、この公報の開示内容は本開示に援用されている。
エキシマー光源
【0083】
図6Aおよび図6Bについて説明する。全体を参照符号600で示す本発明のエキシマー光源サブシステムの一実施態様は、図示のように、ハウジング602、エキシマー光源装置620および光源電源装置670を備える。なお、エキシマー光源装置620はハウジング602によって取り囲まれている。
【0084】
エキシマー光源装置620は、誘電体バリアガスエンクロージャー622を備える。このエンクロージャー622は、外側誘電体バリア624、内側誘電体バリア626および端部誘電体バリア628を備え、これらがエンクロージャー内部630を構成する。エキシマー光源装置620の出力光ウインドー632は、エンクロージャー622の遠位端部634およびハウジング602の遠位端部604に設け、そして近位端部636は、ハウジング606の近位端部付近に設ける。さらに、エキシマー光源装置620は、以下に説明するように内部電極を配設できる中空の内部領域638を備える。エンクロージャー内部630には、目的の周波数を中心とした狭い周波数域の光を発光するエキシマーガス640を充填する。すべてのエキシマーが、他の周波数を中心とした光を発光できることはいうまでもない。なお、この他の光は蛍光チャンバーにおいて不要な背景になることが多く、あるいは蛍光チャンバーに存在するSO以外の他の種を励起することも多い。このような事態を想定して、光源装置620には下記の実施態様で説明するように、フィルターを設けることができる。
【0085】
電源装置670は電源672、導電性材料のメッシュからなる内側電極674、および固体の導電性材料からなり(即ち、シェル状か中空状管の形を取った)かつ内面678をミラー化した外側電極676を備える。内側電極674は、第1導電性導管680によって電源672に接続し、そして外側電極676は、第2導電性導管682によって電源672に接続する。第1導電性導管680および第2導電性導管682は、電源672の出力に接続する。電源672は、ガスエンクロージャー622の内部630においてエキシマーガス種640を発生できる出力を出す。一般的にいって、この出力は安定な光出力を出すように最適化された高周波波形出力の形を取る。波形は、発振器波形であり、純粋な正弦波形か、正弦波形(例えば正方波形など)の合成波形、あるいは安定なエキシマー光源出力を出力できるその他の連続発振波形であればよい。
【0086】
次に図6Cおよび図6Dについて説明する。全体を参照符号600で示す本発明のエキシマー光源サブシステムの別な実施態様は、図示のように、ハウジング602、エキシマー光源装置620、および光源電源装置670を備える。なお、エキシマー光源装置620はハウジングによって取り囲まれている。
【0087】
エキシマー光源装置620は誘電体バリアガスエンクロージャー622を備える。このエンクロージャー622は、外側誘電体バリア624、内側誘電体バリア626および端部誘電体バリア628を備え、これらがエンクロージャー内部630を構成する。エキシマー光源装置620の出力光ウインドー632は、エンクロージャー622の遠位端部634およびハウジング602の遠位端部604に設け、そして近位端部636は、ハウジング606の近位端部付近に設ける。さらに、エキシマー光源装置620は、以下に説明するように内部電極を配設できる中空の内部領域638を備える。エキシマー光源装置620は、目的の周波数を中心としない光を減らす光フィルター642も備える。エンクロージャー内部630には、目的の周波数を中心とした狭い周波数域の光を発光するエキシマーガス640を充填する。すべてのエキシマーが、他の周波数を中心とした光を発光できることはいうまでもない。なお、この他の光は蛍光チャンバーにおいて不要な背景になることが多く、あるいは蛍光チャンバーに存在するSO以外の他の種を励起することも多い。このような事態を想定して、光源装置620には下記の実施態様で説明するように、フィルターを設けることができる。
【0088】
電源装置670は電源672、固体の導電性材料からなる(即ち、シェル状か中空状管の形を取った)内側電極674、および固体の導電性材料からなり(即ち、シェル状か中空状管の形を取った)かつ内面678をミラー化した外側電極676を備える。内側電極674は、第1導電性導管680によって電源672に接続し、そして外側電極676は、第2導電性導管682によって電源672に接続する。第1導電性導管680および第2導電性導管682は、電源672の対向ポールに接続する。電源672は、ガスエンクロージャー622の内部630においてエキシマーガス種640を発生できる出力を出す。一般的にいって、この出力は安定な光出力を出すように最適化された高周波波形出力の形を取る。波形は、発振器波形であり、純粋な正弦波形か、正弦波形(例えば正方波形など)の合成波形、あるいは安定なエキシマー光源出力を出力できるその他の連続発振波形であればよい。
【0089】
次に図6Eおよび図6Fについて説明する。全体を参照符号600で示す本発明のエキシマー光源サブシステムのさらに別な実施態様は、図示のように、ハウジング602、エキシマー光源装置620、および光源電源装置670を備える。なお、エキシマー光源装置620はハウジングによって取り囲まれている。
【0090】
エキシマー光源装置620は誘電体バリアガスエンクロージャー622を備える。このエンクロージャー622は、外側誘電体バリア624、内側誘電体バリア626および端部誘電体バリア628を備え、これらがエンクロージャー内部630を構成する。エキシマー光源装置620の出力光ウィンドー632は、エンクロージャー622の遠位端部634およびハウジング602の遠位端部604に設け、そして近位端部636は、ハウジング606の近位端部付近に設ける。さらに、エキシマー光源装置620は、以下に説明するように内部電極を配設できる中空の内部領域638を備える。エキシマー光源装置620は、目的の周波数を中心としない光を減らす光フィルター642も備える。エンクロージャー内部630には、目的の周波数を中心とした狭い周波数域の光を発光するエキシマーガス640を充填する。すべてのエキシマーが、他の周波数を中心とした光を発光できることはいうまでもない。なお、この他の光は蛍光チャンバーにおいて不要な背景になることが多く、あるいは蛍光チャンバーに存在するSO以外の他の種を励起することも多い。このような事態を想定して、光源装置620には下記の実施態様で説明するように、フィルターを設けることができる。
【0091】
電源装置670は電源672、固体ロッド状導電性材料からなる内側電極674、および固体の導電性材料からなり(即ち、シェル状か中空状管の形を取った)かつ内面678をミラー化した外側電極676を備える。内側電極674は図6Eに示すように、ミラー化かつテーパー化してもよく、あるいは図6Fに示すようにテーパー化処理しなくてもよい。テーパー化電極674のテーパー化方向は、端部604に向かう方向に設定する。このテーパーがあるため、外側電極676のテーパーと調和して動作するウインドー632を励起する光が増加する。内側電極674は、第1導電性導管680によって電源672に接続し、そして外側電極676は、第2導電性導管682によって電源672に接続する。第1導電性導管680および第2導電性導管682は、電源672の対向ポールに接続する。電源672は、ガスエンクロージャー622の内部630においてエキシマーガス種640を発生できる出力を出す。一般的にいって、この出力は安定な光出力を出すように最適化された高周波波形出力の形を取る。波形は、発振器波形であり、純粋な正弦波形か、正弦波形(例えば正方波形など)の合成波形、あるいは安定なエキシマー光源出力を出力できるその他の連続発振波形であればよい。
【0092】
異なる3種類の内側電極674について説明してきたが、内側電極の厳密な特性からみて、これら一般的な3種類の電極を合成して使用してもよく、あるいは内面誘電体バリア626に隣接する内部領域638に配設できる他の電極を使用してもよい。また、外側電極676については、外側電極の内面間で紫外線光を反射できるように内面がミラー化されている限りは、直線部分およびテーパー化部分を設けてもよい。
エキシマー光源出力
【0093】
図7Aおよび図7Bに本発明のエキシマー光源サブシステムの実施態様の光出力スペクトルを示す。即ち、図7Aに示す出力スペクトルは、200nm〜900nmにある光源であり、図7Bに示す出力スペクトルは、200nm〜250nmの波長の光に焦点を当てた展開モードにある。両スペクトルから、ランプ即ち光源が222nmを中心とした大きな信号を出力していることが明らかである。励起光フィルターは、約225nmを超える波長すべてを抑制または遮断するものである。他の実施態様では、これらフィルターは約224nmを超える波長の光を遮断するものである。222nmを中心とし、そして約205nm〜約225nmの波長帯をもつ、あるいは別な実施態様では205nm〜224nmの波長帯をもつ狭い波長の光を出力するのは、サンプルに存在する恐れのあるNOの同時励起を抑制または排除するためである。SOおよびNOの吸収スペクトルおよび発光スペクトルは、約190nm〜約230nmの範囲にある紫外線域と同じ電磁スペクトル帯で発生する。ところが、NO吸収スペクトルは、多数の比較的広い間隔の吸収ピークからなり、その一方で、SO吸収スペクトルは、多数のより狭い間隔の吸収ピークからなる。約222nmを中心とした狭い波長帯にある光は、NOの2つの吸収ピーク間にあり、その一方でSO吸収ピークと重なっている。従って、SO吸収を励起するのに好適な光は、フィルター処理エキシマー光源からの光や、より理想的には将来利用可能になると考えられるレーザーからの光などの222nmを中心とした狭い波長帯の光であり、この光はNO励起を抑制または最小限に抑えることができ、従ってSO検出におけるNO干渉を抑制できる。USP7,244,395に開示されているように、蛍光反応チャンバーにおいて紫外線光を照射する前にサンプルにオゾンを添加すると、NOの破壊によりNO干渉を抑制または排除できる。この公報の開示内容は、本明細書に援用するものである。このように、本発明の一実施態様の場合、NO化学発光装置は、222nmを中心とする紫外線光に対して不活性な酸化窒素NOにNOを転換するオゾン導入ユニットだけで構成できる。
【0094】
本明細書で引用した従来例は、そのうちの幾つかが単に例示に過ぎない場合でも、法律で許された援用例である。本発明を好適な実施態様について説明してきたが、当業者ならば、本開示から、本発明の以上説明し、かつ特許請求の範囲に記載した精神および範囲から逸脱しなくても、各種の変更が本発明において可能であることを理解できるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルまたはサンプル成分の分析装置において、
サンプルを供給するサンプル供給システムを有し;
エキシマー光源および高電圧電源を備え、このエキシマー光源が検出すべき蛍光活性種の最適な吸収周波数を中心とした狭い波長帯または周波数帯をもつ励起光を発光する光源装置を有し、
サンプルを受け取るサンプル入口と、
検出チャンバーからサンプルを排出するサンプル出口と、
エキシマー光源と光学的に連絡し、かつ検出チャンバーへの励起光を受け取る励起光入口と、そして
励起光によって励起された検出チャンバー内の蛍光活性種が発光する蛍光の一部を受け取る蛍光出口を備えた検出チャンバーを有し、かつ
上記光出口と光学的に連絡し、かつこの光出口を通る蛍光の強度を検出し、この蛍光強度を比例的な電流信号に転換する検出素子を有する検出システムを有し;そして
上記検出素子と電気的に連絡し、この検出素子からの電流信号を検出チャンバー中の蛍光活性種の濃度およびサンプル中の対応する元素の濃度に転換する分析素子を有することを特徴とする分析装置。
【請求項2】
さらに燃焼システムをサンプル供給システムと検出システムとの間に配設し、この燃焼システムが、
燃焼域、
酸化剤供給サブシステム、
サンプル入口、
少なくとも一つの酸化剤入口、
検出チャンバーのサンプル入口に接続された出口、および
燃焼域を高温に維持するヒーター素子を備え、そして
この燃焼システムで、サンプル中のほぼすべての酸化性成分を対応する酸化物に酸化する請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
サンプルが炭化水素含有サンプル、燃料、化学反応装置流れ、精製装置流れ、または通気管ガス流れである請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
ガソリン、灯油、ジェット燃料、ディーゼル燃料、他の炭化水素系燃料、およびこれらの混合体または複合体からなる群から上記燃料を選択する請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
窒素、硫黄およびこれらの混合体または複合体からなる群から上記元素を選択する請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
上記蛍光活性種が二酸化硫黄、上記エキシマー光源が塩化クリプトンガスエキシマー光源、そして上記波長帯の中心が約222nmである請求項5に記載の分析装置。
【請求項7】
オートサンプラー、直接注入用セプタム、連続サンプリング用サンプリングループ、分析分離システムおよびこれらの混合体または複合体からなる群から上記サンプル供給システムを選択する請求項1に記載の分析装置。
【請求項8】
GC、LC、MPLC、HPLC、LPLC、電気泳動装置およびこれらの混合体または複合体からなる群から上記分析分離システムを選択する請求項9に記載の分析装置。
【請求項9】
さらに、上記光源の出力光特性値を連続的にモニタリングする光センサー素子、および現時点での光源出力特性値を受け取り、現時点での値を検定処理時に誘導された所定組の光源出力特製値と比較し、変化値を出力し、この変化値に基づいて検出素子信号を調整する処理ユニットからなるソフトウェア検出素子信号フィードバック補正装置を備えた請求項1に記載の分析装置。
【請求項10】
上記高電圧電源が、
入力DC電圧を出力するDC電源、
ブリッジ制御素子、
スイッチユニット、
変圧器、
周波数設定抵抗素子、
電流センサー素子、
分圧素子、
電圧測定装置、
シャント抵抗素子、および
電流測定装置を有し、
エキシマー光源に供給されている電圧および電流をブリッジ制御素子によって制御し、検定間にある所望レベルに励起光強度を維持する請求項1に記載の分析装置。
【請求項11】
サンプル供給ユニットと;、
酸化剤供給ユニットと;
燃焼域、およびサンプルの酸化性成分を対応する酸化物および水に酸化するのに十分な温度に燃焼域を維持するヒーター素子を備えた炉;
検出チャンバーと、
上記炉と検出チャンバーとを相互接続する伝達管と、
検出チャンバーと光学的に連絡し、検出すべき蛍光活性種の最適吸収周波数を中心とした狭い波長帯または周波数帯の光を発光するエキシマー光源と、
検出チャンバーと光学的に連絡して、励起光によって励起された検出チャンバー内の蛍光活性種によって発光した蛍光の一部を検出する光検出素子と、そして
光検出素子の出力を少なくともの一つの酸化物の元素のサンプルにおける濃度に転換する分析素子を備えた検出システムを有する装置にサンプルを供給する工程、
サンプルの酸化性化合物を対応する酸化物および水に酸化して酸化処理混合物を形成する工程、
酸化処理混合物を検出チャンバーに送る工程、
励起光で酸化処理混合物の酸化物を励起して蛍光活性種を形成する工程、
励起光に励起された検出チャンバー内の蛍光活性種が発光する蛍光部分を検出する工程、および
励起光によって励起された検出チャンバー内の蛍光活性種が発光する蛍光部分からサンプル内の所定元素の濃度を決定する工程からなることを特徴とする方法。
【請求項12】
さらに、光源の出力光特性値を連続的にモニタリングする光検出素子、および現時点での光源出力特性値を受け取り、現時点での値を検定処理時に誘導された所定組の光源出力特製値と比較し、変化値を出力する処理ユニットからなるソフトウェア検出素子信号フィードバック補正装置によって決定された光出力変化値に基づいて検出素子信号を調整する請求項11に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図6E】
image rotate

【図6F】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate


【公表番号】特表2012−508890(P2012−508890A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536516(P2011−536516)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/064391
【国際公開番号】WO2010/056998
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511109571)ペトローリアム アナライザー カンパニー,エルピー (1)
【氏名又は名称原語表記】PETROLEUM ANALYZER COMPANY,LP
【住所又は居所原語表記】8824 Fallbrook Drive,Houston,Texas 77064 United States of America
【Fターム(参考)】