説明

サンプルラック供給回収装置

【課題】サンプルラックの供給または回収作業を一つの構成で引き続き行い、また複数のサンプルラックを供給または回収する。
【解決手段】サンプルラック5をサンプラ部に供給する場合、トレイ部11をサンプラ部の側部に載置し、トレイ部11に配置したサンプルラック5を係合部12で係合して当該係合部12をサンプラ部に移動させる。一方、サンプルラック5をサンプラ部から回収する場合、トレイ部11をサンプラ部の側部に載置し、サンプラ部にあるサンプルラック5を係合部12で係合して当該係合部12をトレイ部11に移動させる。このため、サンプルラック5の供給または回収作業は、トレイ部11にサンプルラック5が無くなれば引き続き行えるので一つの構成で連続してサンプルラック5の供給または回収を行える。また、複数のサンプルラック5をサンプラ部に供給し、複数のサンプルラック5をサンプラ部から回収できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置において試料容器を収容したサンプルラックを移送するサンプラ部に対してサンプルラックを供給または回収するサンプルラック供給回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置では、検体試料中の目的物質を測定する。この場合、対象となる検体試料が入れられた試料容器は、サンプルラックに収納してある。また、サンプルラックは、例えばベルトコンベアなどで構成したサンプラ部に対して複数並べて収容してある。このような自動分析装置では、サンプラ部から所望とするサンプルラックを引き出して、その試料容器から検体試料をサンプリングして分注する一方、使用済みのサンプルラックをサンプラ部に戻す。
【0003】
従来、自動分析装置においてサンプラ部に対してサンプルラックを供給または回収するサンプルラック供給回収装置がある。サンプルラック供給回収装置は、サンプラ部にトレイを載置する構成である。トレイは、サンプラ部の搬送方向に略直交する方向に配置された複数のガイド部材を有し、複数のサンプルラックを各ガイド部材に沿って移動可能に配置してある。すなわち、サンプラ部にトレイを載置することによって複数のサンプルラックがサンプラ部に供給できる。そして、サンプラ部に載置されたトレイに配置してあるサンプルラックを必要に応じて1つずつ引き出し、あるいは1つずつ押し戻す。また、サンプルラックを配置したトレイをサンプラ部から取り外すことによって複数のサンプルラックをサンプラ部から回収できる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−196926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したサンプルラック供給回収装置では、サンプラ部にトレイを載置し、そこからサンプルラックを引き出す構成のため、トレイに配置した全てのサンプルラックが使用済みになる、あるいは全てのサンプルラックが引き出された状態になるまで待たなければトレイを次に使用できないという制限がある。このため、サンプラ部に載置するトレイを複数用意する必要があるので、未使用のトレイの保管場所を要したり、トレイを複数用意するコストが嵩んでしまう。
【0006】
また、サンプルラックを直接サンプラ部に載置する場合には、サンプラ部のベルトコンベア部分に当該サンプラ部の搬送方向に略直交する方向に複数のガイド部材を配置してサンプルラックの傾倒を防止する必要がある。しかし、このように構成すると、ガイド部材が邪魔になってトレイをサンプラ部に載置できないので複数のサンプルラックをサンプラ部に供給したり、回収することができなくなる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、サンプルラックの供給または回収作業を一つの構成で引き続き行うことができ、また複数のサンプルラックを供給または回収することができるサンプルラック供給回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係るサンプルラック供給回収装置は、試料容器が収納されたサンプルラックを自動分析装置のサンプラ部に対して供給または回収するサンプルラック供給回収装置において、前記サンプルラックを前記サンプラ部に向けて複数並べて配置するトレイ部と、前記トレイ部もしくは前記サンプラ部にあるサンプルラックに対して係合する係合部と、前記係合部を前記サンプラ部と前記トレイ部とに移動させる移動部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に係るサンプルラック供給回収装置は、上記請求項1において、前記トレイ部には前記係合部の移動方向に沿って延在して前記係合部の移動に伴う前記サンプルラックの個々の移動を案内する案内部が設けてあることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に係るサンプルラック供給回収装置は、上記請求項1または2において、前記トレイ部の位置に移動した前記係合部を磁着する磁着手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に係るサンプルラック供給回収装置は、上記請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記サンプラ部には前記サンプルラックを個々に挿通保持する保持板が平行に複数並設してあり、前記係合部は前記保持板に沿って移動し、自身の移動に際して前記保持板を避ける切欠溝を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるサンプルラック供給回収装置は、サンプルラックをサンプラ部に供給する場合、トレイ部に配置したサンプルラックを係合部で係合して当該係合部をサンプラ部に移動させる。一方、サンプルラックをサンプラ部から回収する場合、サンプラ部にあるサンプルラックを係合部で係合して当該係合部をトレイ部に移動させる。このため、サンプルラックの供給または回収作業は、トレイ部にサンプルラックが無くなれば引き続き行えるので一つの構成で連続してサンプルラックの供給または回収を行うことができる。また、複数のサンプルラックをサンプラ部に供給し、複数のサンプルラックをサンプラ部から回収することができる。
【0013】
トレイ部には、係合部の移動方向に沿って延在してサンプルラックの移動を案内する案内部が設けてある。このため、サンプルラックを倒すことなく整然と並べて当該サンプルラックの供給または回収を行うことができる。また、サンプルラックの配置が疎らであっても、サンプルラックを倒すことなく整然と並べて当該サンプルラックの供給または回収を行うことができる。
【0014】
トレイ部の位置に移動した係合部を磁着手段によって磁着することにより、係合部を不用意に移動させることなくトレイ部の内部に収納することができる。
【0015】
係合部はサンプラ部に並設した保持板に沿って移動し、自身の移動に際して保持板を避ける切欠溝を有している。このため、保持板の存在に関わらずに複数のサンプルラックをサンプラ部に供給し、複数のサンプルラックをサンプラ部から回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るサンプルラック供給回収装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明に係るサンプルラック供給回収装置が使用される自動分析装置の一例を示す平面図である。自動分析装置1は、例えば血液の不要物質を沈殿させた上澄み液(血清)である検体試料と、試薬とを混合させ、この混合液の光学的変化を測定することによって検体試料中に含まれる各種成分量を測定する。図1に示すように自動分析装置1は、サンプラ部2、搬送部3および分析部4を備えている。
【0018】
サンプラ部2は、ラック送りレーン2aおよびラック受けレーン2bを有している。ラック送りレーン2aおよびラック受けレーン2bは、例えばベルトコンベアとして構成してあり循環する無端状のベルト上にサンプルラック5を複数並べて載置する。サンプルラック5は長手状の直方体であって、検体試料を入れた試験管などの試料容器5aを長手方向(L)に複数(本実施の形態では10個)並べて収納する。ラック送りレーン2aは、自動分析装置1の一側である図1中の右側に配置してあり、分析を行う前の試料容器5aを収納したサンプルラック5を収容し図1中の矢印(イ)方向に移送する。一方、ラック受けレーン2bは、自動分析装置1の他側である図1中の左側に配置してあり、分析が完了した試料容器5aを収納したサンプルラック5を収容し図1中の矢印(ロ)方向に移送する。
【0019】
搬送部3は、分析部4の所定位置にサンプルラック5を搬送するものである。搬送部3は、例えばベルトコンベアとして構成してあり循環する無端状のベルト上にサンプルラック5を載置して図1中の矢印(ハ)方向に搬送する。この搬送部3は、前記サンプラ部2のラック送りレーン2aとラック受けレーン2bとを繋ぐ態様で設けてある。すなわち、搬送部3は、ラック送りレーン2aに収容してあるサンプルラック5を分析部4の所定位置に搬送し、分析が完了したサンプルラック5をラック受けレーン2bに搬送する。
【0020】
分析部4は、試薬部4a、反応部4b、分注アーム4cおよび洗浄部4dを有している。試薬部4aは、試薬が収納された試薬瓶を複数収容してある。反応部4bは、反応容器を周方向に並べて複数収容してある。分注アーム4cは、図示しない分注ノズルを有し、当該分注ノズルを試薬部4a、反応部4bおよび搬送部3の所定位置に移動する態様で旋回可能に設けてある。洗浄部4dは、分注アーム4cの分注ノズルの旋回移動範囲に設けてある。すなわち、図1に示すように分析部4では、分注アーム4cを旋回して分注ノズルを搬送部3の所定位置に移動してサンプルラック5の試料容器5aから検体試料を吸引する。そして、吸引した検体試料を反応部4bの反応容器に分注する。一方、分注アーム4cを旋回して分注ノズルを試薬部4aの試薬瓶に移動して試薬を吸引する。そして、吸引した試薬を反応部4bの反応容器に分注する。また、分注アーム4cの分注ノズルを必要に応じて洗浄部4dに移動して洗浄する。
【0021】
図2は本発明に係るサンプルラック供給回収装置を示す斜視図、図3は図1に示した自動分析装置のA−A部分断面図、図4および図5は図2に示したサンプルラック供給回収装置の動作を示す断面図である。
【0022】
サンプルラック供給回収装置10は、上述した自動分析装置1のサンプラ部2に対して、ラック送りレーン2aにサンプルラック5を供給する一方、ラック受けレーン2bからサンプルラック5を回収するものである。サンプルラック供給回収装置10は、トレイ部11、係合部12および移動部13を備えている。
【0023】
トレイ部11は、矩形状の底板11aを有し、当該底板11aの周縁において対向する各左右側板11bおよび後板11cを立設して前方および上方を開口して形成してある。底板11aの前後方向の寸法は、サンプルラック5の長手方向(L)の長さを収める長さを有している。また、左右側板11bおよび後板11cの高さ方向の寸法は、サンプルラック5の高さ方向(T)の高さを収める長さを有している。底板11aの上面には、案内部11dが突設してある。案内部11dは、前後方向に沿って延在して設けた凸条であり、サンプルラック5の幅方向(W)の厚さを挿通し得る間隔をおいて側方に複数並べて配置してある。すなわち、サンプルラック5は、各案内部11dおよび左右側板11bによって案内部11dが延在する前後方向に移動可能に案内される形態でトレイ部11に対して複数配置されることになる。なお、本実施の形態では、トレイ部11に10個のサンプルラック5が配置される。
【0024】
係合部12は、前後にて立設する前板12aおよび後板12bを有している。前板12aと後板12bとは、その上端縁に架かる棒状の連結部材12cを介して2箇所で連結してある。前板12aおよび後板12bの左右方向の長さ寸法は、トレイ部11の左右側板11bの間隔内に収まる長さを有している。また、前板12aおよび後板12bの間隔は、サンプルラック5の長手方向(L)の長さを収める間隔を有している。さらに、前板12aおよび後板12bの下端から連結部材12cに至る高さ方向の寸法は、サンプルラック5の高さ方向(T)の高さを収める間隔を有している。すなわち、係合部12は、前板12aと後板12bとの間でサンプルラック5を係合するとともに、トレイ部11の内部に収納可能に形成してある。なお、前板12aは、トレイ部11に設けた案内部11dと同じ間隔をおいて下端側に開放する複数の切欠溝12dを有している。
【0025】
移動部13は、係合部12の後板12bに連結して後方に長手状に延在する作動杆13aを有している。作動杆13aは、トレイ部11の後板11cを貫通して設けてある。図には明示しないが作動杆13aは、駆動機構に連係してある。駆動機構は、例えばソレノイドやモータなどからなり作動杆13aを長手方向に押し引きするものである。すなわち、駆動機構によって作動杆13aが長手方向に押し引きされることによって係合部12がトレイ部11に対して案内部11dの延在方向に沿って前後方向に移動することになる。なお、図2において作動杆13aは、単一で設けてあるが、後方に平行に延在する形態で複数設けてあってもよい。
【0026】
また、トレイ部11において後板11cの前面には、磁着手段14が固定してある。磁着手段14は、例えば永久磁石などからなる。さらに、係合部12において少なくとも後板12bは、磁性体からなる。すなわち、係合部12がトレイ部11に対して後方に移動してトレイ部11の内部に収納したとき、係合部12の後板12bがトレイ部11の後板11c側に磁着されることになる(図4参照)。この磁着力は、移動部13による係合部12の移動を阻害することはない。なお、本実施の形態において図2に示す磁着手段14は、円環状に形成してあり、その環状内に作動杆13aを挿通して設けてあるが、作動杆13aと関わらずにトレイ部11の後板11cに設けてあってもよい。さらに、磁着手段14は、単一に限らず複数設けてあってもよい。
【0027】
ところで、上述したように自動分析装置1のサンプラ部2は、ベルトコンベアとして構成してある。図3ではサンプラ部2のラック送りレーン2aの部分断面を示している。図3に示すようにラック送りレーン2aのベルトコンベアには、保持板15が設けてある。保持板15は、ラック送りレーン2aの送り方向(図1中の矢印(イ)方向)に対してほぼ直交するようにベルトコンベアのベルト上に設けてある。保持板15は、ラック送りレーン2aの送り方向に沿ってサンプルラック5の幅方向(W)の厚さを挿通し得る間隔をおいて複数並設してある。各保持板15を並設した間隔は、トレイ部11の底板11aに設けた案内部11dと同等の間隔であり、その間でサンプルラック5を挿通保持する。なお、図には明示しないが保持板15は、サンプラ部2におけるラック受けレーン2bのベルトコンベアにも同様に設けてある。
【0028】
また、図3に示すようにラック送りレーン2aの側部には、載置台16が設けてある。本実施の形態における載置台16は、自動分析装置1の本体1aに支承してあって揺動可能に設けてある。載置台16は、未使用時に図3中に実線で示すように立て起こして配置され、使用時に図3中に一点鎖線で示すように略水平に倒して配置される。また、図には明示しないが載置台16は、揺動可能な構成意外に自動分析装置1の本体1aから引き出し可能な構成としてもよい。この場合の載置台16は、未使用時に自動分析装置1の本体1aの内部であってラック送りレーン2aのベルトコンベアにおける無端状のベルトの間に収納され、使用時に本体1aの外部に引き出される。なお、図には明示しないが載置台16は、サンプラ部2におけるラック受けレーン2bの側部にも同様に設けてある。
【0029】
上記構成のサンプルラック供給回収装置は、図4に示すように載置台16を略水平に倒して配置し、その上にトレイ部11を載置する。係合部12は、トレイ部11の内部に収納してあり、磁着手段14によって磁着してある。このため、係合部12は、不用意に移動することなくトレイ部11の内部に収納される。また、移動部13によって移動する係合部12の移動方向は、サンプラ部2におけるラック送りレーン2aの送り方向(図1中の矢印(イ)方向)に直交する方向であって、保持板15に沿う方向である。この状態において、サンプルラック5をトレイ部11に配置する。サンプルラック5は、トレイ部11の側板11bと、トレイ部11に突設した案内部11dとによって倒れることなくサンプラ部2に向けて複数並べて配置される。また、サンプルラック5は、係合部12の前板12aと後板12bとの間で挟まれるようにして係合される。なお、サンプルラック5は、前板12aと後板12bとの間に対して上方から挿入されてトレイ部11に配置される。この際、前板12aと後板12bとを連結する連結部材12cが棒状であって、かつ、案内部11dの直上に設けてある。すなわち、連結部材12cが邪魔になることなくサンプルラック5を配置することが可能である。
【0030】
トレイ部11に配置したサンプルラック5をサンプラ部2(ラック送りレーン2a)に供給するには、図4に示すようにサンプルラック5を係合部12に係合させつつトレイ部11に配置した状態にて、移動部13によって係合部12をサンプラ部2側に移動させる。すると、サンプルラック5は、係合部12の前板12aと後板12bとの間に係合されたままで、側板11bおよび各案内部11dによって案内されつつトレイ部11の前側の開放部分から押し出される。そして、トレイ部11から押し出されたサンプルラック5は、サンプラ部2におけるラック送りレーン2aのベルトコンベアの各保持板15の間に移送される。この際、係合部12の前板12aに設けた切欠溝12dは、保持板15を避けるように作用する。さらに、ラック送りレーン2aのベルトコンベアが駆動されることによってサンプルラック5が図1中の矢印(イ)方向に移動して係合部12の前板12aと後板12bとの間の係合から離脱する。これにより、サンプルラック5がラック送りレーン2aに供給される。このとき、係合部12の前板12aと後板12bとの間にはサンプルラック5が無くなるので、係合部12をトレイ部11側に戻すことが可能であり、引き続きサンプルラック5の供給が行える。
【0031】
一方、サンプラ部2(ラック受けレーン2b)にあるサンプルラック5を回収するには、図5に示すように係合部12をサンプルラック5のラック受けレーン2b側に移動させる。そして、ラック受けレーン2bのベルトコンベアが駆動されることによってサンプルラック5が図1中の矢印(ロ)方向に移動して係合部12の前板12aと後板12bとの間に係合する。この状態で移動部13によって係合部12をトレイ部11側に移動させる。すると、サンプルラック5は、係合部12の前板12aと後板12bとの間に係合されたままで、保持板15によって案内されつつトレイ部11の前側の開放部分から引き戻される。そして、トレイ部11の内部に引き戻されたサンプルラック5は、側板11bおよび各案内部11dによって案内される。この際、係合部12の前板12aに設けた切欠溝12dは、保持板15を避けるように作用する。これにより、サンプルラック5がトレイ部11に回収される。そして、トレイ部11からサンプルラック5を取り除けば、係合部12を再びサンプラ部2側に移動することが可能であり、引き続きサンプルラック5の回収が行える。
【0032】
なお、サンプルラック5を供給または回収するとき、サンプラ部2のラック送りレーン2aおよびラック受けレーン2bは、そこに載置されているサンプルラック5の移送を止めていても、あるいはサンプルラック5の移送を行っていても何れであってもよい。サンプルラック5の移送を行っている場合には、保持板15が移送方向に移動することになるが、サンプルラック5を移送する1ストロークあたりの時間は5秒程なのでサンプラ部2に対するサンプルラック5の供給または回収に際して係合部12およびサンプルラック5の移動を保持板15が阻害することはない。
【0033】
このように上述したサンプルラック供給回収装置では、サンプルラック5をサンプラ部2に供給する場合、トレイ部11に配置したサンプルラック5を係合部12で係合して当該係合部12をサンプラ部2に移動させる。一方、サンプルラック5をサンプラ部2から回収する場合、サンプラ部2にあるサンプルラック5を係合部12で係合して当該係合部12をトレイ部11に移動させる。このため、サンプルラック5の供給または回収作業は、トレイ部11にサンプルラック5が無くなれば引き続き行えるので一つの構成で連続してサンプルラック5の供給または回収を行うことが可能になる。また、複数のサンプルラック5をサンプラ部2に供給し、複数のサンプルラック5をサンプラ部2から回収することが可能になる。
【0034】
トレイ部11には、係合部12の移動方向に沿って延在してサンプルラック5の移動を案内する案内部11dが設けてある。このため、サンプルラック5を倒すことなく整然と並べてサンプルラック5の供給または回収を行うことが可能になる。さらに、サンプルラック5の配置が疎らであっても、当該サンプルラック5を倒すことなく整然と並べてサンプルラック5の供給または回収を行うことが可能になる。
【0035】
トレイ部11の位置に移動した係合部12を磁着手段14によって磁着することにより、係合部12を不用意に移動させることなくトレイ部11の内部に収納することが可能になる。
【0036】
係合部12の前板12aに切欠溝12dを設けてある。このため、サンプラ部2においてサンプルラック5を挿通保持する保持板15が設けてあっても、係合部12の移動に際して保持板15を避ける。すなわち、保持板15の存在に関わらずに複数のサンプルラック5をサンプラ部2に供給し、複数のサンプルラック5をサンプラ部2から回収することが可能になる。
【0037】
なお、上述した実施の形態では、自動分析装置1においてサンプラ部2はラック送りレーン2aとラック受けレーン2bとを有する構成であるが、これに限らずサンプラ部2は1つのレーンで構成してあってもよい。この構成であっても上述したサンプルラック供給回収装置によれば、上記効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るサンプルラック供給回収装置が使用される自動分析装置の一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係るサンプルラック供給回収装置を示す斜視図である。
【図3】図1に示した自動分析装置のA−A部分断面図である。
【図4】図2に示したサンプルラック供給回収装置の動作を示す断面図である。
【図5】図2に示したサンプルラック供給回収装置の動作を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 自動分析装置
1a 本体
2 サンプラ部
2a ラック送りレーン
2b ラック受けレーン
3 搬送部
4 分析部
4a 試薬部
4b 反応部
4c 分注アーム
4d 洗浄部
5 サンプルラック
5a 試料容器
10 サンプルラック供給回収装置
11 トレイ部
11a 底板
11b 側板
11c 後板
11d 案内部
12 係合部
12a 前板
12b 後板
12c 連結部材
12d 切欠溝
13 移動部
13a 作動杆
14 磁着手段
15 保持板
16 載置台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料容器が収納されたサンプルラックを自動分析装置のサンプラ部に対して供給または回収するサンプルラック供給回収装置において、
前記サンプルラックを前記サンプラ部に向けて複数並べて配置するトレイ部と、
前記トレイ部もしくは前記サンプラ部にあるサンプルラックに対して係合する係合部と、
前記係合部を前記サンプラ部と前記トレイ部とに移動させる移動部と
を備えたことを特徴とするサンプルラック供給回収装置。
【請求項2】
前記トレイ部には前記係合部の移動方向に沿って延在して前記係合部の移動に伴う前記サンプルラックの個々の移動を案内する案内部が設けてあることを特徴とする請求項1に記載のサンプルラック供給回収装置。
【請求項3】
前記トレイ部の位置に移動した前記係合部を磁着する磁着手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のサンプルラック供給回収装置。
【請求項4】
前記サンプラ部には前記サンプルラックを個々に挿通保持する保持板が平行に複数並設してあり、前記係合部は前記保持板に沿って移動し、自身の移動に際して前記保持板を避ける切欠溝を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のサンプルラック供給回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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