説明

サンプル中の標的細胞の存在または非存在を検出するための方法

本発明は、(a) 該サンプル中の細胞を微粒子状の混合可能な固相支持体に結合させ;(b) 競合分子の使用なしに細胞と固相支持体間の相互作用を破壊して、固相支持体から細胞を溶出し;(c) 該細胞の溶解後、該標的細胞に特有の核酸の存在または非存在を検出することを含む、サンプル中の標的細胞の存在または非存在を検出するための方法であって、該固相支持体が、そこに固定された抗体または抗体断片を有さない方法に関する。本発明の方法を実施するためのキットもまた、提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル中の標的細胞の存在または非存在を検出するための方法、特に、サンプル中の標的細菌の存在または非存在を検出するための方法に関し、該方法は、核酸に基づく検出工程を含む。
【背景技術】
【0002】
今日使用されているサンプル中の細胞型または微生物を検出するための多くの方法、例えば、微生物感染の診断、科学捜査、組織および血液型の判定、遺伝的変異の検出などは、DNAまたはRNAの同定に依存している。
【0003】
DNAまたはRNA同定の使用は、異なる細胞もしくは細胞型間のまたはDNA突然変異を含む同じ細胞型の変異型間の区別をする手段として、現在、広く受け入れられている。したがって、より一般には、抗体を用いて特徴的な表面抗原の同定により行われるHLA分類は、あるいは、そのような抗原をコードするDNAの同定により達成し得る。微生物感染または汚染は、細胞または微生物の特徴づけられた特徴を検出することに依存するよりも、標的生物を検出するための核酸解析により、例えば、形態学的または生化学的マーカーにより同定し得る。遺伝的変異は、類似の手段により同定し得る。
【0004】
一般に、DNAまたはRNAは、低いレベルの非特異的結合を保証するストリンジェンシーな条件下で、1個またはそれ以上のオリゴヌクレオチドでのハイブリダイゼーションにより同定する。通常、ハイブリダイズするヌクレオチドは、現在利用可能なインビトロ増幅の様々な形態で、主に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および鎖置換解析(SDA)、またリガーゼ増幅反応(LAR)、自律的配列複製(3SR)およびQ-ベータレプリカーゼ増幅系で、プライマーとして対で使用する。増幅後、DNAをさらに、塩基配列決定により、例えば、サンガー法により特徴づけ得る。増幅および塩基配列決定を組合せ得る。
【0005】
核酸増幅に基づくあらゆる検出法での一貫したテーマは、核酸を、ハイブリダイゼーションおよび/または使用する増幅技術を妨害し得る物質、例えば、タンパク質から分離する、最初の核酸単離工程の存在である。
【0006】
核酸の単離のための様々な方法が既知であるが、一般に、これらは、複雑な一連の抽出および洗浄工程に依存し、時間を浪費し、実施するのが困難である。
【0007】
複雑な出発物質、例えば、血液または血液産物または組織からの核酸の単離のための古典的な方法は、場合によっては、タンパク質分解酵素の存在下で、界面活性剤またはカオトロープによる生物学的材料の溶解、その後の、有機溶媒、例えば、フェノールおよび/またはクロロホルムを用いた核酸の数回の抽出、エタノール沈殿、遠心分離および透析を含む。そのような方法は、行うのが煩わしく、時間がかかり、必要とされる相対的に多くの工程が、分解、サンプルロスまたはいくつかのサンプルを同時に調製するときのサンプルの交差汚染を増やす。
【0008】
核酸を単離するための方法の改良は、したがって、継続して探索されている。固相の使用に依存する方法が、提案された。US-A-5,234,809には、例えば、核酸が、例えば、グアニジン塩のようなカオトロピック剤の存在下で、シリカ粒子の形態で固相に結合し、それにより、サンプルの残りから分離する方法が記載されている。WO 91/12079は、核酸を、沈殿により固相の表面に捕捉する方法を開示している。一般的には、アルコールおよび塩を沈殿剤として使用する。核酸を単離する細胞を、最初に、ろ過、遠心分離または固相に結合した抗体への親和性結合により、サンプルから単離し得る。この方法で細胞を濃縮後、DNAを、次いで、しばしば、上記した古典的なフェノール/クロロホルム抽出法(付随する不利な点を有する)により、濃縮細胞から精製する。
【0009】
細胞を1つの固相に結合させ、それらの細胞を溶解し、次いで、放出された核酸を第2の固相支持体に結合させる一連の工程を含む他の方法が、記載されている(US-B1-6,255,477)。これらの方法は、さらに、細胞および放出された核酸が、同じ固相支持体に結合するように改良された(WO98/51693およびWO 01/53525)。
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、WO 98/51693に開示されたものよりもずっと単純な方法が、また、有効であることを発見した。特に、放出された核酸を固相支持体に結合させる独立した工程が必要とされず、したがって、必要とされるのは、より少ない試薬およびより少ない工程であり、例えば、核酸結合緩衝液は必要とされない。
【0011】
このようにして、サンプル中の標的細胞の存在または非存在を、30分以下であり得る単純で迅速な手順を実施することにより確かめる。
【発明の開示】
【0012】
最初の局面では、本発明は、したがって、サンプル中の標的細胞の存在または非存在を検出するための方法であって、
(a) 該サンプル中の細胞を微粒子状の混合可能な固相支持体に結合させ;
(b) 競合分子の使用なしに細胞と固相支持体間の相互作用を破壊して、固相支持体から細胞を溶出し;
(c) 該細胞の溶解後、該標的細胞に特有の核酸の存在または非存在を検出すること
を含み、ここで該固相支持体が、そこに固定された抗体または抗体断片を有さない方法を提供する。
【0013】
典型的には、検出工程(c)は、核酸増幅法を含む。
【0014】
“細胞”なる用語は、本明細書では、あらゆる原核細胞(古細菌およびマイコプラズマを含む)および真核細胞および他の生存している存在、例えば、ウイルス、ならびに細胞内構成要素、例えば、オルガネラのことを言う便利な方法として使用する。代表的な“細胞”は、したがって、あらゆる型のほ乳類および非ほ乳類動物細胞、植物細胞、プロトプラスト、細菌、原生動物およびウイルスを含む。ウイルス特異的もしくは細胞(すなわち、原核および真核)特異的検出法の互換性に関する推測は、この方法でのこの用語の使用を意味するべきではない。“標的細胞”はまた、特定の細胞型または選択した細胞の変異型であり得る。例えば、標的細胞は、同じ細胞型であり、サンプル中の細胞の残りとして同じ生物由来であり得るが、それは、少なくとも1つの局面では、例えば、特定の遺伝子における特定の突然変異で、サンプルの残りから変わる。
【0015】
好ましくは、該細胞は、原核細胞または真核細胞であり、より好ましくは、原核細胞である。最も好ましい原核細胞は、グラム陰性菌(例えば、百日咳菌およびリン菌)、モリキュート(マイコプラズマおよびウレアプラズマ、例えば、マイコプラズマ・ニューモニエ)ならびにクラミジア(例えば、クラミジア・トラコマチスおよびクラミジア・ニューモニエ)である。
【0016】
サンプルは、したがって、そのような細胞内に核酸を含むあらゆる材料であり得て、例えば、食品および関連製品、臨床および環境サンプルを含む。したがって、サンプルは、すべての原核もしくは真核細胞、ウイルス、バクテリオファージ、マイコプラズマ、プロトプラストおよびオルガネラを含むあらゆるウイルスまたは細胞材料を含み得る、生物学的サンプルであり得る。そのような生物学的材料は、したがって、すべての型のほ乳類および非ほ乳類動物細胞、植物細胞、藍藻を含む藻類、菌類、細菌、原生動物などを含み得る。代表的なサンプルは、したがって、ヒトまたは動物身体から取得した臨床サンプル、例えば、全血および血液由来産物、例えば、血漿または軟膜、尿、糞便、脳脊髄液またはあらゆる他の体液、組織、細胞培養、細胞懸濁液など、ならびに、例えば、体腔のスワブにより取得したサンプルを含む。さらなる代表的なサンプルは、例えば、湖、川、下水プラントおよび他の水処理センターからの水サンプルのような環境サンプル、または土壌サンプル、または食品サンプルを含む。好ましいサンプルは、尿、呼吸器サンプルならびに血漿および他の血液産物構成要素である。
【0017】
該方法はまた、例えば、食品が製造される領域での細菌レベルをモニターすることを望む場所で、食品サンプルの解析において、一般には、健康および衛生適用において、注目すべき利用がある。例えば、乳製品は、リステリア菌のために解析し得る。固定化抗体を用いた細菌単離のための慣用的な技術は、おそらく、固定化抗体の疎水的な性質のために、非特異的リガンドを用いたリステリア菌を単離するための我々の方法よりも、大幅に効率が悪いことが証明された。サンプルが、水サンプルであるとき、リガンドは、好ましくは、関心のある微生物の栄養物である。
【0018】
食品サンプルを、最初にホモジナイズし、所望により(固体サンプルの場合には)、次いで、適当なインキュベーション培地(例えば、ペプトン水)と混合し、37℃で一晩、インキュベートする。チーズ、アイスクリーム、卵、マーガリン、魚、エビ、鶏、牛肉、ポークリブ、小麦粉、ロールドオート、ご飯、こしょう、トマトのような野菜、ブロッコリー、大豆、ピーナッツおよびマジパンのような食品は、このような方法で解析し得る。本発明の方法は、食品サンプルが、フィルターを塞ぎ、遠心分離後にペレットを産生する多くの固体材料(塊および脂肪粒子)を含むとき(この場合、細菌が押し固められ、溶解または抗体への結合のために利用できない)、これらの解析のために特定の利益を提供する。
【0019】
サンプルはまた、相対的に純粋なまたは部分的に精製した出発物質、例えば、他の細胞分離工程により取得した半純粋調製物を含み得る。
【0020】
本発明の方法において使用する固相支持体は、微粒子状および混合可能であり、すなわち、混合することができる。“混合可能”であるために、サンプルの構成要素および固相支持体の構成要素の両方を、混合工程の間に他のものの間に拡散し得て、すなわち、両方の構成要素が、流動的である。微粒子材料、例えば、ビーズは、それらのより大きい結合能力のために有利である。繊維は、混合可能な微粒子状固相支持体であると考えられる。
【0021】
細胞の結合のための高い表面積を提示する材料が好ましい。そのような支持体は、一般に、不規則な表面を有し、例えば、多孔性であり得る。便利には、支持体は、ガラス、シリカ、ラテックスまたはポリマー材料で作られ得る。好ましくは、微粒子は、ポリマー材料で作られる。
【0022】
便利には、本発明にしたがって使用する微粒子状の固相支持体は、ビーズ、好ましくは、球状のまたは実質的に球状のビーズを含む。ビーズの大きさは、重要ではないが、それらは、例えば、少なくとも1 μm、および好ましくは、少なくとも2 μmのオーダーでの直径を有し得て、好ましくは、10 μm以下、およびより好ましくは、6 μm以下の最大直径を有し得る。
【0023】
大きさが実質的に均一(例えば、5%未満の直径標準偏差を有する大きさ)である単分散粒子は、それらが、まさに均一な反応の再現性を提供する利点を有する。US-A-4336173に記載された技術により製造される単分散ポリマー粒子は、特に、適当である。
【0024】
本発明の方法での使用のために適当な非磁性ポリマービーズは、Dyno Particles AS (Lillestrom, Norway)およびQiagen、PharmaciaおよびSerotecから入手可能である。
【0025】
しかしながら、操作および分離を助けるために、磁気ビーズが好ましい。本明細書で使用するとき、“磁性の”なる用語は、支持体が、磁場におかれた時に、それに与えられた磁気モーメントを有することができ、したがって、そのフィールドの作用の下で置換可能であることを意味する。すなわち、磁性粒子を含む支持体は、磁気凝集により、容易に除去し得て、細胞および核酸結合工程後に微粒子を分離する、素早く、単純で有効な方法を提供し、伝統的な技術、例えば、細胞を破壊するか、または核酸を分解し得る剪断力を発生する遠心分離よりもはるかに厳密な方法ではない。
【0026】
したがって、本発明の方法を用いて、結合した細胞を有する磁性粒子は、磁場、例えば、永久磁石の適用により、適当な表面で除去し得る。通常は、磁石を、サンプル混合物を含む容器の側面に適用するのが十分であり、容器の壁に粒子を凝集し、そしてサンプルの残りを流し捨てる。
【0027】
特に好ましいのは、超常磁性粒子、例えば、EP-A-106873でSintefにより記載されたものであり、反応の間の磁気凝集および粒子のクランピングを避け得て、したがって、均一性および核酸抽出を保証する。DYNAビーズとしてDynal AS (Oslo, Norway)により販売されている既知の磁性粒子は、特に、本発明での使用のために適当である。
【0028】
本発明での使用のための官能性被覆粒子は、米国特許第4,336,173号、第4,459,378号および第4,654,267号にしたがったビーズの修飾により製造し得る。したがって、異なる型の官能性表面、例えば、正または負に帯電した親水性もしくは疎水性の官能性表面を有するビーズ、または他の支持体を製造し得る。
【0029】
異なる細胞は、異なる表面および支持体への異なる程度の非特異的結合を示し、細胞結合状態を最適化し、最適な支持体領域、例えば、特定の系のための粒子濃度を決定するために、量単位あたり固相支持体の量(例えば、粒子の数)を“滴定する”のに有利であり得る。
【0030】
細胞の固相支持体への結合は、あらゆる既知のもしくは便利な方法で、達成し得る。例えば、細胞の固相支持体への非特異的結合は、固相支持体および状態、例えば、固相支持体の表面の化学的もしくは物理的性質(例えば、疎水性または荷電)、単離培地のpHまたは組成などの適当な選択により達成し得る。
【0031】
“非特異的結合”は、サンプル中に存在する大部分の割合の細胞(例えば、細菌)を、存在するすべての細胞の割合および細胞型の割合の観点で、固相支持体に結合させる。したがって、複数の細胞型を含むサンプル中の細胞の好ましくは、少なくとも30%、より好ましくは、少なくとも50%、最も好ましくは、少なくとも70または80%が、固相支持体に結合する。当然に、結合するサンプル中の細胞の割合は、サンプルに加える固相支持体の量および細胞結合リガンド(存在するならば)と細胞の割合に依存する。上記の割合に関しては、混合物中に存在する過度の固相支持体(および適当ならば細胞結合リガンド)の存在が想定される。
【0032】
好ましくは、固相支持体は、サンプル中の原核細胞の多く、またはすべてに結合できる固相支持体である。より好ましくは、固相支持体は、また、真核細胞を超えて、原核細胞に優先的に結合できる固相支持体である。したがって、ある程度の選択性は存在するが、結合は、なお、非特異的であると考えられる。結合工程の間に使用する状態は、これらの能力に影響を与え得るので、結合工程の間に使用する状態は、したがって、選択すべきである。当業者は、その必要性に関してそれらを最適化するための結合状態を調節できる。したがって、非特異的結合工程は、好ましくは、サンプル中の原核細胞の多く、またはすべての固相支持体への結合を生じる。より好ましくは、非特異的結合工程は、サンプル中の原核細胞の多く、またはすべての結合を生じるが、サンプル中の真核細胞のほとんど、またはすべての結合を生じない。
【0033】
標的細胞の性質はまた、役割を果たし、例えば、ある疎水性細胞は、容易に、非特異的に、疎水性表面に結合し得て、一方で、親水性細胞は、より親水性表面に結合し得ることが示された。負に帯電した細胞、例えば、Bリンパ球はまた、弱い正電荷表面に対して、高度の非特異的結合を有することが観察された。したがって、望む細胞型の結合のために適当な荷電表面を有する固相支持体を使用し得る。適当な緩衝液などは、細胞結合のための適当な状態を達成するために、細胞結合工程のための培地として使用し得て、したがって、単に、固相支持体およびサンプルを、適当な培地と接触させることが、結合を生じる。便利には、適当な荷電、浸透圧などの緩衝液を、固相支持体より先に、同時に、またはそれと接触させた後に、サンプルに添加し得る。
【0034】
有利には、細胞の非特異的結合は、沈殿剤を用いて細胞を支持体に沈殿させることにより、例えば、細胞を、アルコールおよび塩の存在下で、支持体と接触させることにより、例えば、サンプルにアルコールおよび塩を含む緩衝液を加えることにより、本発明にしたがって達成し得る。分離および精製手順、例えば、沈殿での、アルコールおよび塩の使用は、一般的であり、そのような手順で使用するあらゆる適当なアルコールまたは塩を、本発明にしたがって、使用し得る。したがって、便利には、アルコールは、あらゆるアルカノールであり得て、イソプロパノールおよびエタノールのような低級アルカノールが適当であることが見出された。他の適当なアルコールは、エタノールおよびn-ブタノールを含む。
【0035】
塩は、あらゆる便利な起源により、例えば、塩化ナトリウムもしくは塩化カリウムもしくは酢酸、または酢酸アンモニウムで提供し得る。アルコールおよび塩の適当な濃度は、使用する正確な系および試薬にしたがって、決定し得る。一般には、アルコールの0.5から3量、例えば、1量のサンプルへの添加が、適当であることが見出された。便利には、アルコールは、50-100% (w/v)の濃度で使用し得る。例えば、0.1から10.0 M、より特には、0.1から7.0 M、例えば、0.1から3.0 Mの塩濃度の使用が、適当であることが見出され、便利には、塩を、アルコール溶液中、上記の濃度で含み得る。したがって、望む濃度でのアルコールおよび塩を含む、いわゆる、“細胞結合緩衝液”を使用し得る。あるいは、塩およびアルコールは、別々に添加し得る。
【0036】
本発明に記載した細胞のための沈殿剤としてのアルコールの使用は、臨床サンプルを保存するアルコールの使用が一般的であるため、臨床診断手順での方法の使用のために有利である。したがって、患者のサンプルを、単に、アルコール含有細胞結合緩衝液に加え得て、それにより、該サンプルは、保存され、いつでも核酸の精製を行うことができる。
【0037】
塩/アルコールを用いた沈殿に変わるものとして、他の沈殿剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)または同様の特性を有する他の高分子量ポリマーを、単独で、または塩および/もしくはアルコールと組み合わせて使用し得る。そのようなポリマーの濃度は、正確な系、例えば、ポリマーおよび細胞型に依存して変わり得るが、一般には、1から50%(w/v)、例えば、2-30%の濃度を使用し得る。
【0038】
食作用活性を有する細胞は、微粒子固相、例えば、ビーズに“結合する”か、または“吸収する”それらの能力により捕捉し得て、それにより、容易に収集し得る。この場合には、細胞含有サンプルを、単に、適当な条件下で固相に接触させるか、またはそれらと共にインキュベートすることを必要とする。この種の細胞の捕捉は、特異的結合に依存しない。
【0039】
固相支持体はまた、細胞の非特異的結合を補助する部分と共に、例えば、非特異的に細胞に結合する炭水化物、タンパク質またはタンパク質断片またはポリペプチドと共に、提供し得る。したがって、例えば、炭水化物で覆われた固相支持体は、細胞表面上の受容体を介して、非特異的に細胞に結合する。固相上の炭水化物および他のタンパク質またはポリペプチドを固定化する技術は、当分野で既知である。
【0040】
リガンドを、非特異的結合に影響を与える支持体で使用するとき、リガンドは、“非特異的リガンド”であると考えられる。“非特異的リガンド”は、1個以上の型の細胞型、好ましくは、2個または3個以上、より好ましくは、5個または7個以上、例えば、10個または14個以上の異なる細胞型に結合できるものである。結合に関与する細胞表面上のリガンドおよび結合パートナー(複数もある)間の相互作用が存在し、細胞が沈殿により結合する場合のように、単に、細胞と固相支持体間の一般的な吸引力または結合が存在する場合はない。リガンドの非特異的特性は、それが、細胞表面の部分に、無差別に結合または連結できるが、その結合パートナー(複数もある)は、ある細胞または細胞型に特異的ではないという事実のことを言わない。リガンドは、したがって、一般の結合リガンドであると考え得る。上記したとおり、上記したとおり、非特異的結合を考えるとき、真核細胞を超えた原核細胞の選択的結合が好ましく、したがって、真核細胞よりもむしろ原核細胞に選択的に結合し、サンプル中の原核細胞の大部分またはすべてに結合するリガンドの使用が、最も好ましい。
【0041】
好ましくは、非特異的結合は、タンパク質−タンパク質相互作用を含まない。したがって、非特異的リガンドが、タンパク質またはタンパク質断片またはポリペプチドであるとき、主要な結合パートナーは、タンパク質またはタンパク質の一部ではない。好ましくは、非特異的リガンドは、非タンパク様である。好ましくは、非特異的リガンドは、炭水化物である。
【0042】
適当な炭水化物は、モノサッカライド、オリゴサッカライド(ジサッカライドおよびトリサッカライドを含む)ならびにポリサッカライドを含む。適当なモノサッカライドは、適当には、ピラノースおよびフラノース型でのヘキソースおよびペントース、ならびに糖誘導体、例えば、アルドン酸およびウロン酸およびデオキシ糖もしくはアミノ糖、無水糖ならびに糖アルコールを含む。適当なモノサッカライドは、マンノース(例えば、D-マンノース)、ガラクトース(例えば、D-ガラクトース)、グルコース(例えば、D-グルコース)、フルクトース、フコース(例えば、L-フコース)、N-アセチル-グルコサミン、N-アセチル-ガラクトサミン、ラムノース、ガラクトサミン、グルコサミン(例えば、D-グルコサミン)、ガラクツロン酸、グルクロン酸、N-アセチルノイラミン酸、メチルD-マンノピラノシド(マンノシド)、α-メチル-グルコシド、ガラクトシド、リボース、キシロース、アラビノース、サッカラート、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、グリセロールおよびこれらのモノマーの誘導体を例示し得る。これらの中で、マンノース、ガラクトース、無水ガラクトースおよびフコースが、好ましい。
【0043】
特に好ましいのは、モノサッカライドモノマーのポリマーであるオリゴサッカライドおよびポリサッカライドであり、例えば、上記のモノサッカライドモノマーおよびそれらの誘導体を組み込んだポリマーである。
【0044】
オリゴサッカライドは、同じであるか、または異なり得て、直鎖であるか、または分岐であり得る2から12個、好ましくは、4から8個の共有的に結合したモノサッカライド単位を含み、例えば、2から6個の単位を有するオリゴマンノシル、マルトース、スクロース、トレハロース、セロビオース、およびサリシン、特に、マルトースである。オリゴサッカライドの製造法は、Pan et al. Infection and Immunity (1997), 4199-4206に記載されている。
【0045】
ポリサッカライドは、同じであるか、もしくは異なり得て、直鎖であるか、もしくは分岐であり得て、好ましくは、分岐である、13個またはより多く共有的に結合したモノサッカライド単位を含む。適当なポリサッカライドは、マンノース、ガラクトース、無水ガラクトース、グルコースおよび/またはフルクトース、例えば、4個すべてのマンノースに1個のガラクトース鎖を有するマンノースの直鎖ポリマーであると考えられているガラクトマンナンポリサッカライド(本明細書では、ガム1と呼ぶ)(Sigma G-0753)に富んでいる。
【0046】
さらに、ポリサッカライドは、ガラクトース、ラムノース、アラビノースおよびグルクロン酸の分岐ポリマーであると考えられているアラビアガム(Sigma G 9752)ならびにガラクトース、ラムノースおよびグルクロン酸の部分的にアセチル化したポリマーであると考えられているカラヤガム(Sigma G 0503)を含む。
【0047】
マンノースおよびガラクトースサブユニットからなるポリサッカライドは、リガンドの好ましい型であり、さらなる例は、1,6 α結合でおよそすべての他の単位に関して、ガラクトース側鎖単位と共に、β 1,4結合直鎖マンノース骨格鎖を有するグアー(Sigma, G1429)である。マンノースとガラクトースの比率は、約1.8:1から約2:1である。さらに好ましい型のリガンドは、マンノース、ガラクトースおよび無水ガラクトースサブユニットからなるポリサッカライド、例えば、カラギナンである。
【0048】
適当なリガンドである糖誘導体は、ヘパリン、ヘパラン硫酸および硫酸デキストランを含む。硫酸化糖は、糖誘導体の好ましいクラスである。
【0049】
適当なタンパク質リガンドは、上記したとおり、非特異的に細胞に結合することができるレクチンまたはその誘導体の断片を含む。抗体または抗体断片は、適当なタンパク質であるとは考えられていない。
【0050】
微生物の栄養物である分子に基づくリガンドは、また、有用なリガンドである。したがって、本発明の方法にしたがって非特異的リガンドとして使用し得る微生物の栄養物は、ニコチン酸のようなビタミン、リボフラビン、チアミン、ピリドキシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンおよびコバミドおよび鉄キレート分子/化合物、例えば、ヘミン、ラクトフェリン、トランスフェリン、ヘモグロビンおよびある親鉄剤、例えば、エアロバクチン、フェリクローム(Sigma F8014)、フェリエンテロケリン(ferrienterochelin)、エンテロバクチンおよびフェリキサニン(ferrixanine)を含む。
【0051】
最終的には、上記したとおり、荷電した疎水性または親水性表面を有する固相支持体への非特異的細胞結合は、しばしば塩と組合せて、結合のために適当なpH条件を達成する緩衝液を用いることにより達成し得る。正確な緩衝液および状態は、細胞型、固相支持体などに依存して変わる。
【0052】
典型的には、様々な構成要素を混合し、単純に、細胞が支持体に結合することができる適当な時間間隔を表すのを可能にする。支持体を、次いで、当然に支持体の性質に依存した便利な手段により、溶液から除去し得て、支持体をサンプル上清から引き離すか、またはサンプルを支持体から引き離すすべての形態、例えば、遠心分離、デカンテーション、ピペッティングなどを含む。
【0053】
この工程の間の状態は、重要ではなく、便利に、例えば、単に、サンプルを固相の存在下で“細胞結合緩衝液”と混合し、それが、室温で、例えば、分離前5分から30分間、例えば、20分間で可能であることが見出された。上記したとおり、反応時間は重要ではなく、わずか5分で、しばしば十分であり得る。しかしながら、所望により、より長い時間、例えば、20分から3時間または一晩でさえ使用し得る。混合は、例えば、撹拌、ボルテックス、ピペッティング、倒置または他の磁場を用いた単純なかき混ぜを含む、あらゆる便利な方法で為し得る。また、所望により、より高温またはより低温を使用し得るが、必ずしもそうする必要はない。
【0054】
“細胞結合”組成物の他の任意の構成要素は、細胞をインタクトの状態に保つ限り、非荷電弱界面活性剤、例えば、Triton X-100、NP-40など、DNAseおよび他の酵素を含む。
【0055】
好ましい“細胞結合”組成物は、例えば、PBS、クエン酸緩衝液ならびにCa+2およびMg+2を含有する溶液である。
【0056】
細胞の非特異的結合は、本発明にしたがって好ましいが、また、核酸を含んだ望む細胞の選択的捕捉を可能にするために修飾された固相支持体を使用することも可能である。特異的に細胞に結合することができるリガンドの例は、ある親鉄剤および環状分子、例えば、ステロイド分子およびシグナル伝達分子を含む。
【0057】
特には、リガンドは、リガンドの特異的な結合領域を介して、単一細胞型または細胞の単一種もしくは属に結合可能であることのみを意味する。これは、複雑な混合物内の望む標的起源からの核酸のみを分離し得るので、核酸の単離に対してある程度の選択性を導入し得る。したがって、例えば、支持体は、望む標的細胞型などのみをサンプルから分離および除去するために使用し得る。そのような選択的細胞捕捉マトリックスの製造は、当分野で既知であり、文献に記載されている。
【0058】
細胞が固相支持体に結合し、次いで、それに結合した細胞を有する固相支持体を除去することによるか、または、例えば、サンプルの残りを流出して除去することにより、サンプルの残りから分離し得る。固相支持体が、磁気であるとき、支持体/細胞複合体の操作は、特に、便利である。
【0059】
溶出は、細胞と固相支持体間の相互作用の破壊を含む。上記したとおり、この相互作用は、固相支持体結合リガンドによるものであり得る。本発明にしたがって、溶出は、この破壊を達成するために競合分子の使用を含まない。
【0060】
競合分子は、少なくとも1個のさらなる分子の該第2分子または第2分子の該領域への結合を、妨害するか、または阻止する、第2分子または第2分子の領域に結合する分子である。競合分子および第2分子または第2分子の領域でのさらなる分子の結合サイトは、同じであるか、または重複し得る。あるいは、それらは、異なり得るが、ステアリン制限(stearic constraints)は、競合分子の結合が、さらなる分子の排除、または部分排除に対するものであることを意味する。例えば、競合分子および/またはさらなる分子の全体の大きさは、それらのサイトが、実質的に、互いに近接していなかったとしても、1つの結合により他の結合がその結合サイトに接近するのを妨げるものであり得る。あるいは、2個の結合領域は、それらが有する分子の一次構造で互いに分離し得るが、該分子が担う三次構造の点で互いに近接する。
【0061】
細胞が、固相支持体に固定されたリガンドにより固相支持体に結合するとき、細胞/固相支持体複合体は、該複合体の構成要素に相当する競合分子を用いて、破壊し得る。例えば、競合分子は、固相支持体のリガンドもしくは細胞の結合パートナーと同じであり得るか、または競合分子として機能する能力を保持するその断片、類似体もしくはホモログであり得る。競合分子はまた、結合反応に関与するリガンドもしくは結合パートナー内の領域と同じであり得るか、または競合分子として機能する能力を保持するその断片、類似体もしくはホモログであり得る。競合分子は、巨大分子の一部として存在し得る。典型的には、競合分子、すなわち、その中にある分子は、溶液中で遊離している。したがって、結合が、リガンドAと結合パートナーBの間で起こるとき、競合分子は、Aまたはその断片、類似体もしくはホモログであり得る。あるいは、競合分子は、Bまたはその断片、類似体もしくはホモログであり得る。典型的には、競合分子は、所望により、AまたはBを超える。
【0062】
当業者は、競合分子を含まない適当な溶出条件を考案できるであろう。典型的には、細胞および使用する固相支持体のために適当な溶出液を使用する。溶出液の最適化は、過度の負荷とはならないであろう。適当な溶出液の例は、水、弱アルカリ水、ウシ血清アルブミン(BSA)の水溶液、および塩水溶液、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムまたは塩化マグネシウムである。溶出液は、通常、TrisおよびMOPSのような緩衝液を用いて、中和し得る。溶出液の選択は、使用する下流の検出法に影響を与え得る。例えば、PCRが選択された増幅技術であるとき、溶出液は、PCR反応のために適当なレベルの塩化マグネシウムを含み得る。実際に、溶出は、次の増幅反応のために適当な反応緩衝液で達成し得ることが示され、これは、本発明の好ましい態様である。例えば、SDAが選択した増幅反応であるとき、溶出液は、便利には、SDA反応緩衝液であり得て、したがって、溶出産物は、SDA反応で、直接使用し得る。
【0063】
溶出は、室温で行い得るが、溶出は、溶出工程を高温で、例えば、30-45セルシウス度で行うことにより補助され得る。下記したとおり、細胞の溶解は、細胞を加熱することにより達成し得て、したがって、溶出は促進されるが、溶解は生じない温度帯が存在する。この温度帯の位置は、含まれる細胞に依存する。例えば、ウイルスおよび弾性細菌、例えば、マイコバクテリウムおよびクラミジアは、合理的に熱耐性であり、したがって、温度帯は、相対的に大きい。より精巧な細胞、例えば、真核細胞に関しては、温度帯が、より小さい。下記したとおり、しかしながら、該方法におけるこの地点で、単離した細胞を溶解することが望まれ得る。
【0064】
標的細胞の検出は、典型的には、核酸増幅に基づく核酸検出技術を用いて、標的細胞に特有の配列の検出により達成する。多くの型の増幅反応が、当分野で既知であり、上記したPCR、SDA、LAR、3SRおよびQ-ベータレプリカーゼ増幅系は、一般的な例である。好ましい増幅法は、PCRおよびSDAならびにそれらの修飾、例えば、ネスト化したプライマーおよびリアルタイムPCRの使用である(例えば、核酸増幅技術の参照のために、Abramson and Myers, 1993, Current Opinion in Biotechnology, 4: 41-47、およびSDAの記載のために、Walker et al. 1992 Nucleic Acid Research , 20: 1691-1696を参照のこと)。
【0065】
PCRに基づくか、または他の検出工程の結果は、多くの手段により検出し得るか、または視覚化し得て、それは、当分野で開示されている。例えば、PCRまたは他の増幅産物は、既知の技術を用いて、電気泳動ゲル、例えば、エチジウムブロマイド染色アガロースゲルに流し得る。あるいは、ネスト化プライマー技術の修飾であるDIANA系を使用し得る。
DIANA(固定増幅核酸の検出)系(Wahlberg et al., Mol. Cell Probes 4: 285(1990)を参照のこと)では、プライマーキャリアーの内部の第2対は、それぞれ、増幅したDNA、および標識の捕捉を可能にする固定化を意味するか、または認識を可能にする標識の結合を意味する。これは、増幅DNAの検出のための減少したバックグラウンドシグナル、および迅速で容易な手段の二重の利点を提供する。
【0066】
所望により、1個またはそれ以上の洗浄工程を、本発明の方法に導入し得る。特に、支持体結合細胞は、支持体結合細胞が、サンプルから単離された後の少なくとも1個の洗浄工程を受け得る。固相支持体から細胞の溶出を促進せず、細胞の破壊を促進しないあらゆる溶液を、洗浄緩衝液として使用し得る。一般的には、低から中のイオン強度緩衝液、例えば、pH 8.0/10mM NaClでの10 mM Tris-HClが、好ましい。BSAの洗浄緩衝液への組み込みはまた、1つの選択肢である。例えば、アルコールを含んだ他の標準洗浄培地は、また、所望により、例えば、70% エタノールを用いた洗浄で使用し得る。70% エタノールまたはPBSの洗浄溶液が好ましい。便利には、洗浄液および結合溶液は、同じである。
【0067】
溶解は、物理的手段により、すなわち、溶解薬品を必要としない手段により達成する。これは、加熱、浸透圧衝撃、超音波処理、凍結およびマイクロ波処理を含む。これらの処理のうち1個またはそれ以上を使用し得て、好ましい溶解は、適当な時間、適当な温度で、細胞を加熱し、および/または低張液で細胞を溶出することにより達成する。好ましくは、細胞を、50℃から95℃の間で、より好ましくは、55℃から85℃の間で、最も好ましくは、60℃から80℃の間で加熱する。加熱の持続時間は、細胞が加熱される温度および含まれる細胞型に依存するが、典型的には、溶解は、少なくとも5分間、好ましくは、少なくとも7分間、および最も好ましくは、少なくとも10分間、加熱することより達成される。好ましくは、低張液は、水である。
【0068】
この単純な方法での溶解は、放出された核酸を固相支持体に結合させる必要がないので、特に、適当である。
【0069】
溶出細胞は、核酸検出法で、典型的には、核酸増幅反応で、直接使用し得る。細胞の溶解は、増幅のために核酸に接近するのに必要であるが、分離した溶解工程または組み合わせた溶出および溶解工程は必要なく、核酸を変性させるために設計した増幅反応の最初の加熱工程はまた、細胞を溶解するのに役立ち得る。この文脈では、溶解は、好ましくは、80℃から100℃の間で、より好ましくは、90℃から98℃の間で、そして最も好ましくは、90℃から95℃の間で、細胞を加熱することにより行う。
【0070】
したがって、好ましい態様では、本発明は、サンプル中の標的細胞の存在または非存在を検出するための方法であって、
(a) 該サンプル中の細胞を微粒子状の混合可能な固相支持体に結合させ;
(b) 競合分子の使用なしに細胞と固相支持体間の相互作用を破壊して、固相支持体から細胞を溶出し;
(c) 加熱により溶出細胞を溶解し;そして
(d) 該標的細胞に特有の核酸の存在または非存在を検出すること
を含み、ここで該固相支持体が、そこに固定された抗体または抗体断片を有さない方法を提供する。
【0071】
溶出工程は、上記の溶出液を用いて、上記の溶解温度で全体にまたは部分的に行い得て、したがって、溶出および溶解は、単一の便利な工程で達成し得る。生じた生成物を、次いで、増幅反応で直接使用し得る。これにより、かなり単純で便利な検出法を生じる。
【0072】
したがって、好ましい態様では、本発明は、サンプル中の標的細胞の存在または非存在を検出するための方法であって、
(a) 該サンプル中の細胞を微粒子状の混合可能な固相支持体に結合させ;
(b) 競合分子の使用なしに該細胞の溶解を引き起こすのに十分な高温で、細胞と固相支持体間の相互作用を破壊して、固相支持体から細胞を溶出し;そして
(c) 該標的細胞に特有の核酸の存在または非存在を検出すること
を含み、ここで該固相支持体が、そこに固定された抗体または抗体断片を有さない方法を提供する。
【0073】
本発明の方法を実施するため必要な様々な反応物および構成要素は、便利には、キットの形態で提供し得る。そのようなキットは、本発明のさらなる局面を示す。
【0074】
その最も単純なものとして、本発明のこの局面は、
(a) 微粒子状の混合可能な固相支持体(ここで、該固相支持体が、そこに固定された抗体または抗体断片を有さない);所望により、
(b) 細胞を該固相支持体に結合させるための方法;所望により、
(c) 溶出液;および、所望により、
(d) 該標的細胞に特有な核酸の存在または非存在を検出するための方法
を含む、サンプル中の標的細胞の存在または非存在を検出するためのキットを提供する。
【0075】
(b)、(c)および(d)の様々な方法ならびに固相支持体は、本発明の方法に関連して、上記したとおりであり得る。
【0076】
典型的なキットは、固相支持体、例えば、ポリサッカライド、例えば、カラギナンで覆われた磁性粒子またはタンパク質、例えば、レクチン、結合/洗浄緩衝液、例えば、PBSならびに溶出液、例えば、SDA反応緩衝液を含み得る。
【0077】
任意の構成要素(d)は、増幅に基づく検出技術での使用のための適当なプライマーオリゴヌクレオチド配列を含み得る。
【0078】
所望により、そのようなキットはさらに、緩衝液、塩、ポリマー、酵素などを含み得る。
【0079】
キットを用いた使用のための適当なプロトコールは、下記のとおりであり、磁性または磁化可能ビーズは、固相支持体(a)として選択され:
-結合緩衝液(b)およびビーズと組合せ、尿サンプルのアリコートを加え、例えば、エッペンドルフチューブで混合し、
-磁石の影響下におき、細菌/ビーズ複合体がチューブの側面に移動するのを可能にし、
-上清をピペットでとり、捨て、
-ビーズを洗浄し、上清を除去し、
-溶出液(c)を加えて、80℃でインキュベートし、
-磁石を使用して上清からビーズを分離し、上清のアリコートを除去し、標的細胞に特有の核酸に特異的なプライマーを用いたPCR反応でのテンプレートとして使用し、所望により、構成要素(d)により提供されるものと想定される。
【0080】
さらなる局面では、本発明は、
(a) 該サンプル中の細胞を微粒子状の混合可能な固相支持体に結合させ;
(b) 単純な溶出液で固相支持体から細胞を溶出し;
(c) 該細胞の溶解後、該標的細胞に特有の核酸の存在または非存在を検出すること
を含む、サンプル中の標的細胞の存在または非存在を検出するための方法であって、該固相支持体が、そこに固定された抗体または抗体断片を有さない方法を提供する。
【0081】
細胞の溶出は、単純な溶出液で達成される。“単純な溶出液”は、競合分子の使用なしに細胞と固相支持体間の相互作用(該相互作用は、固相支持体結合リガンドによるものであり得る)を破壊して溶出を達成する、あらゆる溶液を意味する。上記の溶出液は、すべて、適当な溶出液であると考えられる。
【0082】
本発明は、図に関連して、本明細書中の下記の非限定的な実施例でより詳細に記載している。
【0083】
図1は、実施例1の方法にしたがって、以前に、クラミジア・トラコマチスに陽性であることが確認された(BDProbeTecの鎖置換により確認した)試料から単離したクラミジア・トラコマチス由来のPCR産物を示す、ゲルの写真である。M: マーカー; U1-U11: サンプル; (+)/(-): 最初のインキュベーションの間の磁性混合物の有/無。
【0084】
図2は、異なる洗浄条件、A:サンプル2、B:サンプル3で、実施例2の方法にしたがって単離した2個の異なるサンプル由来の増幅産物の融解解析である。
【0085】
図3は、異なる洗浄条件で、実施例3(A)の方法にしたがって単離したサンプルおよびBugs n ビーズ手順(B) (Genpoint AS, Norway) (Refseth et al., 2004, American Biotechnology Laboratory, June, p26-28)にしたがって単離したサンプル由来の増幅産物の融解解析である。
【0086】
図4は、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(hRSV)のプールした臨床サンプルの10-3希釈の3つのサンプル(a、bおよびc)から単離した核酸の逆転写から取得したcDNAのリアルタイムPCR解析である。
【実施例】
【0087】
実施例1
予め商業的に入手可能な検出系(BDProbeTec, Becton Dickinson)により、クラミジア・トラコマチスに陽性であることが決定されている11個の尿サンプルを、PCR解析と組み合わせたサンプル調製のために、下記のプロトコールを用いて解析した。
【0088】
700 μlの尿サンプルを、4つ並列に、手動で、1.5 mlサンプルチューブに加え、Tecan Miniprep 75のサンプルラックキャリアーに載せた。単離手順の残りの部分は、自動で行った。BUGS'n BEADS(商標)、BW緩衝液(Genpoint AS, Norway)および300μgの磁気ビーズ(U-バージョン, Genpoint AS, Norway)を、サンプルに加えた。サンプルの半分を、インキュベーションの間、磁性混合物にさらした。15分間のインキュベーション後、細菌/ビーズ複合体を、磁気選別機を用いて、チューブの側面に固定し、上清を除去した。ビーズを、70% EtOHで1回洗浄し、100μlの水で再懸濁し、残存エタノールを除去するために、80℃で10分間、インキュベートした。インキュベーション後、ビーズを、磁気選別により固定し、15 μlの上清を、PCR mastermixで予め満たしたPCRプレートに移した。PCRプレートを、増幅のために、MJ Opticonリアルタイム機に移した。
【0089】
PCR増幅は、下記のとおり行った。15μlのテンプレートを、50 μlの全量で使用した。増幅は、20 pmolのプライマー(C. trachomatis cryptic プラスミドに位置する、フォワード: 5'GCAAAAATACACTTGTGGGAGAA3'およびリバース: 5'GGTGCTCAGACTCCGACATAAT3')、0.2mM dNTP、1.25U Hot GoldStar (Eurogentec)、5mM MgCl2、1 x 反応緩衝液(Eurogentec)、検出用SYBR greenおよび0.02% BSAを用いて行った。下記のPCRプログラムを、MJ Opticon (MJ Research)を用いて、適用した:95℃、10分間で最初の活性化および変性、次いで、95℃、15秒間で変性、65℃、45秒間でアニーリング、および72℃、30秒間での合成を42サイクル。10 μlの増幅産物を、2%アガロースゲルに載せ、エチジウムブロマイドで染色した。
【0090】
結果を図1に示す。11個の尿サンプルのうち試験した7個は、すべての並列に陽性であり、1個(U9)は、磁性混合物を用いたときのみ陽性であり、2個は、磁性混合物サンプルなしの1個の並列に陽性であり、そして1個の尿サンプル(U1)は、すべての並列に陰性であった。結果は、単離が、最初のインキュベーションの間、混合の有無の両方で行い得ることを示している。
【0091】
実施例2
3個の尿サンプルを、異なる洗浄緩衝液を用いて、3回試験した。
【0092】
試験した洗浄溶液:
1. 70% EtOH、
2. 0.05% BSAを含むsdH2O、
3. BUGS'n BEADSキットからの希釈BW緩衝液、
4. BUGS'n BEADSキットからのBW緩衝液、
5. 0.05% BSAを含むBUGS'n BEADSキットからのBW緩衝液。
【0093】
予め商業的に入手可能な検出系(BDProbeTec, Becton Dickinsons)により、クラミジア・トラコマチスに対して陽性であることが決定されている3個の尿サンプルを、PCR解析と組合せたサンプル調製のために下記のプロトコールを用いて解析した。700 μlの各尿サンプルを、4つ並列に、手動で、1.5 mlサンプルチューブに加え、Tecan Miniprep 75のサンプルラックキャリアーに載せた。単離手順の残りの部分は、自動化された系で行った。BUGS'n BEADS(商標)、BW緩衝液および300μgの磁気ビーズ(U-バージョン)を、サンプルに加えた。サンプルの半分を、インキュベーションの間、磁性混合物にさらした。15分間のインキュベーション後、細菌/ビーズ複合体を、磁気選別機を用いて、チューブの側面に固定し、上清を除去した。ビーズを、次いで、洗浄液1から5のうちの1個で、1回洗浄し、100μlの水で再懸濁し、残存エタノールを除去するために、80℃で10 + 5分間インキュベートした。インキュベーション後、ビーズを、磁気選別により固定し、80 μlの上清をPCRストリップに移し、15 μlを、PCR mastermixを予め載せたPCRプレートに、手動で移した。PCRプレートを、増幅のために、MJ Opticonリアルタイム機に移した。
【0094】
PCR増幅は、下記のとおり行った。15μlのテンプレートを、50 μlの全量で使用した。増幅は、20 pmolのプライマー(C. trachomatis cryptic プラスミドに位置する、フォワード: 5' GCAAAAATACACTTGTGGGAGAA 3'およびリバース: 5' GGTGCTCAGACTCCGACATAAT 3')、0.2mM dNTP、1.25U Hot GoldStar (Eurogentec)、5mM MgCl2および1 x 反応緩衝液(Eurogentec)、検出用SYBR green(Eurogentec)ならびに0.02% BSAを用いて行った。下記のPCRプログラムを、MJ Opticon (MJ Research)を用いて、適用した:95℃、10分間で最初の活性化および変性、次いで、95℃、15秒間で変性、65℃、45秒間でアニーリング、および72℃、30秒間での合成を42サイクル。10 μlの増幅産物を、2%アガロースゲルに載せ、エチジウムブロマイドで染色した。増幅後、融解曲線解析を、60-95℃、0.2C/sから行った。
【0095】
結果を図2に示す。すべてのサンプルからの融解曲線の存在は、異なる洗浄液を、細菌細胞の単離後に使用し得ることを示し、DNAの成功した単離を生じる。
【0096】
実施例3
マイコバクテリウム膿瘍(10-2から10-7)の連続希釈物を調製し、単離手順を、洗浄液として70% EtOHを用いて、Tecan Miniprep 75で行い、その後、PCRで解析した。比較のために、サンプルを、手動で行う全BUGS'n BEADSプロトコールを用いて解析した。ロボット単離のために、30 μlのテンプレートを、PCRで使用し、一方で、15 μlを手動単離サンプルのために使用した。
【0097】
ロボット単離のためのプロトコールは、下記のとおりであった。並行して、700 μlの各サンプルを、手動で、1.5 mlサンプルチューブに加えた。BUGS'n BEADS(商標)、BW緩衝液および300μgの磁気ビーズ(U-バージョン)を、次いで、加えた。室温で15分間のインキュベーション後、細菌/ビーズ複合体を、磁気選別機を用いて、チューブの側面に固定し、上清を除去した。ビーズを、70% EtOHで1回洗浄し、100μlの水で再懸濁し、残存エタノールを除去するために、80℃で10 + 5分間インキュベートした。インキュベーション後、ビーズを、磁気選別により固定し、80 μlの上清をPCRストリップに移した。自動単離のために15 μlのテンプレートおよび手動単離のために30μlのテンプレートを、次いで、PCRプレートに移した。PCRプレートを、次いで、増幅のために、MJ Opticonリアルタイム機に移した。
【0098】
PCR増幅は、下記のとおり行った。15 μl/30 μlのテンプレートを、50 μlの全量で使用した。増幅は、20 pmolのプライマー(Mycobacterium spp.特異的なhsp65遺伝子に位置する、フォワード: 5' ACCAACGATGGTGTGTCCAT 3'およびリバース: 5' CTTGTCGAACCGCATACCCT 3')、0.2mM dNTP、1.25U Hot GoldStar (Eurogentec)、5mM MgCl2および1 x 反応緩衝液(Eurogentec)、検出用SYBR green(Eurogentec)ならびに0.02% BSAを用いて行った。下記のPCRプログラムを、MJ Opticon (MJ Research)を用いて、適用した:95℃、10分間で最初の活性化および変性、次いで、95℃、15秒間で変性、64℃、45秒間でアニーリング、および72℃、30秒間での合成を42サイクル。増幅後、融解曲線解析を、60-95℃、0.2C/sから行った。
【0099】
結果を図3に示す。融解曲線の存在は、マイコバクテリウムからのDNAの単離を示し、したがって、これらのデータは、この単離プロトコールが、Mycobacterium abscessusで使用できる証拠である。融解曲線は、全BUGS'n BEADS手順で達成されるものに相当し、したがって、現在の単離プロトコールは、全BUGS'n BEADS手順と同等である。
【0100】
実施例4
鎖置換増幅(SDA) (BDProbetec, Becton Dickinson)と共に、全BUGS' BEADS手順を用いて陽性であるか、または陰性であるかを以前に決定した尿サンプルを、SDAと共に、Tecan Miniprep 75ピペッティングロボットで、実施例1に記載した方法を用いて解析した。
【0101】
下記のパラメーターを試験した:
・BUGS'n BEADSキットのCおよびUバージョンビーズの両方、
・洗浄緩衝液としての70% エタノール、
・洗浄緩衝液としてのBUGS'n BEADSキットからのBW緩衝液、
・洗浄緩衝液として、0.05% BSAを含むBUGS'n BEADSキットからのBW緩衝液、
・室温で10分間、SDA反応緩衝液(BDProbeTec diluent)とのインキュベーションによる溶出、
・80℃で10分間、SDA反応緩衝液(BDProbeTec diluent)とのインキュベーションによる溶出、
・80℃で5分間、その後、室温で5分間、SDA反応緩衝液(BDProbeTec diluent)とのインキュベーションによる溶出。
【0102】
あらゆるサンプルを並列に単離し(1つは、C. trachomatis (CT)に対する試験のために、もう1つは、増幅コントロール (AC)のために)、鎖置換増幅のあらゆる潜在的な阻害を視覚化した。ACは、BUGS'n BEADS手順に含まれていなかった。DNA単離後、SDAを、BDProbetecマニュアルにしたがって行った。
【0103】
結果を下記表1に示す。すべての以前に決定したC. trachomatis陽性サンプルは、実施例1に記載の方法を用いて、陽性を示した。BUGS'n BEADSキット(Genpoint)のCバージョンおよびUバージョンビーズの両方は、陽性の結果を生じ、異なる固相支持体を使用し得ることを証明した。すべてのACは、ProbeTecキット製造者により定義されたとおり、阻害サンプルのためのカットオフ値を超えていた。C. trachomatisのための陽性の結果は、使用する洗浄緩衝液および洗浄後の溶出条件に関わらず取得された。これは、室温での溶出が、さらに有効であることを示している。これは、単離した細胞の溶解が、必須ではないことを示している。
【0104】
表1.
【表1】

【0105】
【表2】

CT: 鎖置換増幅を用いたクラミジア・トラコマチスのためのMOTA値、
AC: 鎖置換増幅を用いた増幅コントロールのためのMOTA値、
≡: 阻害 GZ−グレーゾーン * BUGS'n BEADSキットからのCバージョンビーズ。
【0106】
実施例5
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(hRSV)の10-3希釈サンプルを、下記のプロトコールを用いて、3回解析した。
【0107】
最初の10-3希釈は、以前に、hRSV陽性であることを決定した、プールした臨床痰サンプルからのCopanウイルス輸送培地で製造した。
【0108】
100 μlの希釈hRSVサンプルを、3つ並列に、手動で、1.5 mlサンプルチューブに加えた。150 μgの磁気ビーズ(U-バージョン)を、次いで、加えた。室温で15分間のインキュベーション後、細菌/ビーズ複合体を、磁気選別機を用いて、チューブの側面に固定し、上清を除去した。ビーズを、10 mM Trisで1回洗浄し、50μlの水で再懸濁し、80℃で10分間インキュベートした。インキュベーション後、ビーズを、磁気選別により固定し、45 μlの上清を、逆転写反応のために用意した新しいチューブに移した。
【0109】
逆転写反応は、下記の反応条件を用いて、LightCycler 480で行った。20 μlの最終量中には、組合せた9 μlのテンプレート(上記手順からの上清)、ヘキサマープライマー(0.02 μg/μl)、RT酵素を含む反応混合物(20 U/μl; RevertAid(商標) M-MuLV RT, Fermentas)およびリボヌクレアーゼインヒビター(2 U/μl; RiboLock(商標), Fermentas)が存在した。反応混合物を、次いで、25℃で5分間、その後、42℃で60分間、インキュベートし、その後、不活性化を、70℃、10分間で生じた。
【0110】
FRET PCR検出は、次いで、Whiley et al. J. Clin. Microbiol. 2002, 40(12): 4418-4422にしたがって、およびLightCycler 480を用いて行った。使用したプライマーは、RS上流(5'-GCCAAAAAATTGTTTCCACAATA-3')およびRS下流(5'-TCTTCATCACCATACTTTTCTGTTA-3')であった。使用したプローブは、RSV-LC1 (5'-GTTGTTCTATAAGCTGGTATTGATGCA-3'フルオレセイン)およびRSV-LC2 (Cy5-GGAATTCACATGGTCTACTACTGACTGT-3'ホスフェート)であった。18 μのmastermix (1 x 反応緩衝液、3.5 mM MgCl2、200 μM dNTPおよびTaqポリメラーゼ(Hot GoldStar) 0.025 U/μl、400 nMの各プライマーならびに200 nMの各2個のプローブ)を、2 μlのテンプレート(逆転写反応からの産物)と共に使用し、95℃、10分間の最初のインキュベーションにかけ、その後、95℃10秒間、55℃45秒間および72℃15秒間を42サイクル行った。
【0111】
結果を、図4に示す。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】図1は、実施例1の方法にしたがって、以前に、クラミジア・トラコマチスに陽性であることが確認された(BDProbeTecの鎖置換により確認した)試料から単離したクラミジア・トラコマチス由来のPCR産物を示す、ゲルの写真である。M: マーカー; U1-U11: サンプル; (+)/(-): 最初のインキュベーションの間の磁性混合物の有/無。
【図2】図2は、異なる洗浄条件、A:サンプル2、B:サンプル3で、実施例2の方法にしたがって単離した2個の異なるサンプル由来の増幅産物の融解解析である。
【図3】図3は、異なる洗浄条件で、実施例3(A)の方法にしたがって単離したサンプルおよびBugs n ビーズ手順(B) (Genpoint AS, Norway) (Refseth et al., 2004, American Biotechnology Laboratory, June, p26-28)にしたがって単離したサンプル由来の増幅産物の融解解析である。
【図4】図4は、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(hRSV)のプールした臨床サンプルの10-3希釈の3つのサンプル(a、bおよびc)から単離した核酸の逆転写から取得したcDNAのリアルタイムPCR解析である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の標的細胞の存在または非存在を検出するための方法であって、
(a) 該サンプル中の細胞を微粒子状の混合可能な固相支持体に結合させ;
(b) 競合分子の使用なしに細胞と固相支持体間の相互作用を破壊して、固相支持体から細胞を溶出し;
(c) 該細胞の溶解後、該標的細胞に特有の核酸の存在または非存在を検出すること
を含み、ここで該固相支持体が、そこに固定された抗体または抗体断片を有さない、方法。
【請求項2】
該細胞が、原核細胞または真核細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該細胞が、グラム陰性菌、モリキュートまたはクラミジアである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
該細胞が、百日咳菌、リン菌、マイコプラズマ・ニューモニエ、クラミジア・トラコマチスおよびクラミジア・ニューモニエからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該サンプルが、環境サンプル、臨床サンプルまたは食品サンプルである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
固相支持体が、ビーズを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該ビーズが、磁気ビーズである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
サンプル中の細胞の固相支持体への結合が、非特異的結合によるものである、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
固相支持体が、サンプル中の細胞の固相支持体への非特異的結合を可能にする培地の存在下で、サンプルとの接触をもたらす、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
細胞の固相支持体への非特異的結合を可能にする培地が、沈殿剤を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
沈殿剤が、アルコールおよび/または塩および/またはポリエチレングリコールである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アルコールが、イソプロパノール、エタノール、メタノールおよびn-ブタノールからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
塩が、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび酢酸アンモニウムからなる群から選択される、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
細胞の固相支持体への該結合が、固相支持体に固定された非特異的細胞結合部分により補助される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
非特異的細胞結合部分が、マンノース、ガラクトース、無水ガラクトース、グルコース、フルクトースおよび/またはその誘導体を含むポリサッカライドである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ポリサッカライドが、ガム1、アラビアガム、カラヤガム、グアー、カラギナン、ヘパリン、ヘパラン硫酸および硫酸デキストランからなる群から選択される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
サンプル中の細胞の固相支持体への非特異的結合を可能にする培地が、PBS、クエン酸緩衝液、Ca+2を含有する溶液またはMg+2を含有する溶液である、請求項9および請求項14から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
さらに、固相支持体をそれに結合した細胞と共にサンプルの残りから除去することにより、固相支持体に結合した細胞をサンプルの残りから分離する工程を含む、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
溶出が、水、弱アルカリ水、ウシ血清アルブミンの水溶液ならびに塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび/または塩化マグネシウムの水溶液からなる群から選択される溶出液で行われる、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
溶出液が、トリスまたはMOPSを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該標的細胞に特有な核酸の存在または非存在を、核酸増幅に基づく技術により検出する、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
細胞の溶解が、加熱および/または浸透圧衝撃によるものである、請求項1から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
固相支持体からの細胞の溶出および溶解が、一工程で行われる、請求項1から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
溶解が、低張液および/または高温での溶出によるものである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
細胞が、核酸検出法に直接使用される、請求項1から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
さらに1個またはそれ以上の洗浄工程を含む、請求項1から25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
(a) 微粒子状の混合可能な固相支持体(ここで、該固相支持体が、そこに固定された抗体または抗体断片を有さない);所望により、
(b) 細胞を該固相支持体に結合させるための方法;所望により、
(c) 溶出液;および、所望により、
(d) 該標的細胞に特有な核酸の存在または非存在を検出するための方法
を含む、サンプル中の標的細胞の存在または非存在を検出するためのキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−518053(P2009−518053A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545076(P2008−545076)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004629
【国際公開番号】WO2007/068904
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508177437)ジェンポイント・アクティーゼルスカブ (1)
【氏名又は名称原語表記】GENPOINT AS
【Fターム(参考)】