説明

サンプル中のHPVの存在を決定および確認する方法

サンプル中の標的核酸の遺伝子型を決定するための方法を提供する。様々な局面において、方法は、関心対象の遺伝子型に特異的なプローブと標的核酸との間で核酸ハイブリッドを生成すること、およびサンプル中のハイブリダイゼーションを検出することを含む。他の局面において、方法は、標的核酸の遺伝子型を決定するのに必要なサンプルの量を減らすためにマルチプローブ混合物を使用することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる2010年1月29日出願の米国特許仮出願第61/299,729号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示は、サンプル中の標的核酸の存在を決定および確認し、該標的核酸の遺伝子型を決定するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
様々なレベルの分析ためにサンプルの継続的な使用を保証するためには、生物学的サンプル、特に臨床サンプルの保存が必要である。多くの場合、研究者または医師は、一つのサンプルに対して多数の試験を実施して、一つの試験の結果を他の試験の結果と相関させることができるようにすることを望む。そのうえ、臨床サンプルを得ることが困難である、不快感を伴う、または痛みを伴う場合、同じ対象または患者に対して何度もサンプル採取を実施しないことが好ましい。そこで、一つのサンプルに対して実施することができる試験の回数を最大化するために、特定の試験に使用されるサンプルの量を最小化する必要性が存在する。
【0004】
一つの例として、婦人科検査の際には一般に子宮頚部サンプルが捕集される。そのようなサンプルの異常な細胞学的診断が認められる場合、多くの場合、組織が、子宮頚がんと関連するヒトパピローマウイルス(HPV)に感染していないかどうかを決定することが有益である。HPV感染にもっとも一般的に使用される試験は、通常、高リスクHPV感染と低リスクHPV感染とを区別するだけであり、高リスクまたは低リスクHPVの様々な種を区別することはできない。状況によっては、HPV感染の特定の遺伝子型を決定することが有用でありうる。
【0005】
HPV16、18、および45の特異的検出のためのdigene HPV Genotyping PS(商標)Test(PS試験)が開発された。これは、高リスクヒトパピローマウイルス(HR-HPV)を含むことが定性的に決定されたサンプルの、追加的な遺伝子型決定試験として使用される予定である。PS試験は、多くの場合、それぞれが参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,849,331号(特許文献1)、第4,849,332号(特許文献2)、第4,849,334号(特許文献3)、第4,908,306号(特許文献4)、第5,411,857号(特許文献5)、第5,643,715号(特許文献6)、第5,712,092号(特許文献7)、第5,876,922号(特許文献8)、第5,952,487号(特許文献9)、第5,958,674号(特許文献10)、第6,107,086号(特許文献11)および第5,981,173号(特許文献12)に記載されているdigene hc2 HPV試験(HC2試験)によって識別されたHR-HPV陽性サンプルの遺伝子型を決定するために使用される。PS試験およびHC2試験はいずれも、とりわけ、それぞれが参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,732,847号(特許文献13)、第4,865,980号(特許文献14)および第6,228,578号B1(特許文献15)に記載されているハイブリッド捕捉技術に基づく。PS試験は、Specimen Transport Medium(商標)(STM)媒質および一般的に使用される液状細胞診(LBC)媒質PreservCyt(登録商標)(PC)と適合性であることが実証されている。しかし、これは、頻繁に使用される別のLBC媒質SurePath(登録商標)を用いては試験されていない。加えて、PS試験の所期の用途は、HPV遺伝子型を別々に検出することであり、それには、試験される遺伝子型ごとに各患者検体の別々のアリコートを要する。加えて、一部の検体は、定性試験ののち、評価される遺伝子型ごとに別々の試験を実施するのに十分な量を欠くこともある。したがって、SPサンプルにおいて量を減らしてPS試験を実施するための材料および方法を開発することが有益であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,849,331号
【特許文献2】米国特許第4,849,332号
【特許文献3】米国特許第4,849,334号
【特許文献4】米国特許第4,908,306号
【特許文献5】米国特許第5,411,857号
【特許文献6】米国特許第5,643,715号
【特許文献7】米国特許第5,712,092号
【特許文献8】米国特許第5,876,922号
【特許文献9】米国特許第5,952,487号
【特許文献10】米国特許第5,958,674号
【特許文献11】米国特許第6,107,086号
【特許文献12】米国特許第5,981,173号
【特許文献13】米国特許第4,732,847号
【特許文献14】米国特許第4,865,980号
【特許文献15】米国特許第6,228,578号B1
【発明の概要】
【0007】
概要
本開示は、その局面および態様において、サンプル中の標的核酸の遺伝子型を決定する方法を提供することにより、これらの様々な必要性および課題に取り組む。
【0008】
ある局面において、以下の段階を含む、サンプル中の標的核酸の遺伝子型を決定するための方法が提供される:
(a)標的核酸の第一の遺伝子型に特異的な核酸プローブおよび標的核酸の第二の遺伝子型に特異的な核酸プローブを含むが、標的核酸の第三の遺伝子型に特異的な核酸プローブを含まない第一のプローブセットと、サンプルの一部分とを接触させることを含む方法によって、第一の検出混合物を生成する段階;
(b)標的核酸の第二の遺伝子型に特異的な核酸プローブおよび標的核酸の第三の遺伝子型に特異的な核酸プローブを含むが、標的核酸の第一の遺伝子型に特異的な核酸プローブを含まない第二のプローブセットと、サンプルの一部分とを接触させることを含む方法によって、第二の検出混合物を生成する段階;ならびに
(c)核酸プローブが標的核酸の第一、第二、および/または第三の遺伝子型に特異的にハイブリダイズする条件下で、第一および第二の検出混合物を処理する段階;ならびに
(d)標的核酸への核酸プローブのハイブリダイゼーションを検出する段階であって、
(i)第二の検出混合物中になく、第一の検出混合物中にあるハイブリダイゼーションによって、サンプルが標的核酸の第一の遺伝子型を含むことが示され、
(ii)第一の検出混合物中になく、第二の検出混合物中にあるハイブリダイゼーションによって、サンプルが標的核酸の第三の遺伝子型を含むことが示され、かつ
(iii)第一の検出混合物中および第二の検出混合物中にあるハイブリダイゼーションによって、サンプルが標的核酸の第二の遺伝子型を含むことが示される、段階。
【0009】
ある局面において、標的核酸はHPV核酸である。
【0010】
ある局面において、標的核酸の第一、第二、および第三の遺伝子型は、HPV2、HPV3、HPV6、HPV10、HPV11、HPV16、HPV18、HPV26、HPV27、HPV28、HPV29、HPV30、HPV31、HPV32、HPV33、HPV34、HPV35、HPV39、HPV42、HPV45、HPV51、HPV52、HPV53、HPV54、HPV56、HPV57、HPV58、HPV59、HPV64、HPV66、HPV67、HPV68、HPV69、HPV70、HPV73、HPV82、HPV84、HPV85、HPV86、HPV87、およびHPV94核酸からなる群より選択される。
【0011】
ある局面において、標的核酸の第一、第二、および第三の遺伝子型はHPV16、HPV18、およびHPV45核酸である。
【0012】
ある局面において、サンプルは、液状細胞診媒質中に保存された臨床サンプルである。
【0013】
ある局面において、液状細胞診媒質は、PreservcytおよびSurePathからなる群より選択される。
【0014】
ある局面において、核酸プローブのハイブリダーゼーションはDNA:RNAハイブリッドを形成する。
【0015】
ある局面において、DNA:RNAハイブリッドは、DNA:RNAハイブリッドとDNA:RNA特異的抗体とを接触させることを含む方法によって検出される。
【0016】
ある局面において、標的核酸は、まず、標的核酸の第一、第二、および第三の遺伝子型それぞれの少なくとも一部分を増幅することができるコンセンサスプライマーによりHPV核酸を増幅することを含む方法によって、標的核酸の第一、第二、または第三の遺伝子型であると識別される。
【0017】
ある局面において、標的核酸は、定性的PCRを含む方法によって増幅される。
【0018】
ある局面において、標的核酸は、まず、標的核酸の第一、第二、および第三の遺伝子型それぞれに特異的なコンセンサスプローブと標的核酸の遺伝子型とをハイブリダイズさせることを含む方法によって、標的核酸の第一、第二、または第三の遺伝子型であると識別される。
【0019】
ある局面において、第一、第二、および/または第三のHPV核酸へのコンセンサスプローブのハイブリダイゼーションはDNA:RNAハイブリッドを生成する。
【0020】
ある局面において、DNA:RNAハイブリッドは、DNA:RNAハイブリッドとDNA:RNA特異的抗体とを接触させることを含む方法によって検出される。
【0021】
ある局面において、DNA:RNAハイブリッドは、DNA:RNAハイブリッドとDNA:RNA特異的抗体とを接触させることを含む方法によって検出される。
【0022】
ある局面において、方法は、(1)HR-HPV遺伝子型の存在の最初の指標を得るために、サンプルに対して定性的PCR反応を実施すること、(2)HR-HPVの存在の決定を確認するために、ハイブリッド捕捉アッセイを実施すること、および(3)サンプル中に存在すると決定されたHR-HPVの遺伝子型を決定するために、PS試験を実施することを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】サンプル中のHPVの存在を決定するための例示的なワークフローを示す。
【図2】PS試験を実施するための例示的なワークフローを示す。
【図3】2pg/mL濃度のプラスミドDNAの検出の感度に関してマルチプローブミックスをシングルプローブミックスと比較する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本開示は、サンプル中の少なくとも1種のHPV核酸の遺伝子型を決定するための方法、組成物、試薬およびキットを包含する。方法、組成物、試薬、システムおよびキットは、以下に限定されないがHPV感染組織の検出および識別ならびにHPV感染と関連する病理学的状態を発症するリスクの決定をはじめとする臨床診断のために使用することができる。
【0025】
ある局面において、以下の段階を含む、サンプル中のHPV核酸の遺伝子型を決定するための方法が提供される:
(a)第一のHPV核酸に特異的な核酸プローブおよび第二のHPV核酸に特異的な核酸プローブを含むが、第三のHPV核酸に特異的な核酸プローブを含まない第一のプローブセットと、サンプルの一部分とを接触させることを含む方法によって、第一の検出混合物を生成する段階;
(b)第二のHPV核酸に特異的な核酸プローブおよび第三のHPV核酸に特異的な核酸プローブを含むが、第一のHPV核酸に特異的な核酸プローブを含まない第二のプローブセットと、サンプルの一部分とを接触させることを含む方法によって、第二の検出混合物を生成する段階;ならびに
(c)核酸プローブが第一、第二、および/または第三のHPV核酸に特異的にハイブリダイズする条件下で、第一および第二の検出混合物を処理する段階;ならびに
(d)HPV核酸への核酸プローブのハイブリダイゼーションを検出する段階であって、
(i)第二の検出混合物中になく、第一の検出混合物中にあるハイブリダイゼーションによって、サンプルが第一のHPV核酸を含むことが示され、
(ii)第一の検出混合物中になく、第二の検出混合物中にあるハイブリダイゼーションによって、サンプルが第三のHPV核酸を含むことが示され、かつ
(iii)第一の検出混合物中および第二の検出混合物中にあるハイブリダイゼーションによって、サンプルが第二のHPV核酸を含むことが示される、段階。
【0026】
A. サンプル
臨床サンプルおよび研究室生物学的サンプルおよび環境サンプルを含む検体または培養物(例えば、細胞、微生物およびウイルス培養物)をはじめとする任意のサンプルを出発点として使用することができる。生物学的サンプルは、ヒトを含む動物、流体、固体(例えば糞便)または組織、ならびに液体および固体の食品および飼料および成分、例えば乳製品、野菜、肉および肉副産物、ならびに廃棄物からのサンプルでありうる。環境サンプルは、環境物質、例えば表面物質、土壌、水および産業サンプル、ならびに食品および乳製品加工機器、装置、装備、用具、使い捨ておよび非使い捨て品から得られるサンプルを含む。
【0027】
例示的な生物学的サンプルは、子宮頚上皮細胞(例えば、子宮頚スワブから得られたサンプル)、アデノイド細胞、肛門上皮細胞、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、乳、リンパ液、痰および精液を含むが、これらに限定されない。
【0028】
ある局面において、生物学的サンプルは、捕集媒質中に捕集され、貯蔵される。捕集媒質は、核酸を保存し、ヌクレアーゼを阻害して分析前の核酸の分解を防止するための保存媒質としての機能を含むいくつかの機能を有する。一つの局面において、捕集媒質は界面活性剤ベースである。非限定的に、例示的な捕集媒質は、いずれも参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2010-0105060号A1および米国特許出願公開第2010-0159463号A1に見られるものを含む。
【0029】
一つの局面において、界面活性剤ベースの捕集媒質は、1.0%NP-40、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、50mM Tris-HCl、25mM EDTA、150mM NaClおよび0.05%アジ化ナトリウムを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。別の局面において、界面活性剤ベースの捕集媒質は、約0.5%〜約2.0%NP-40、約0.10%〜約0.40%デオキシコール酸ナトリウム、約25mM〜約75mM Tris-HCl、約10mM〜約50mM EDTA、約50mM〜約200mM NaClおよび約0.01%〜約0.10%アジ化ナトリウムを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。他の局面において、界面活性剤ベースの捕集媒質は、約0.8%〜約1.5%NP-40、約0.20%〜約0.40%デオキシコール酸ナトリウム、約30mM〜約60mM Tris-HCl、約20mM〜約40mM EDTA、約100mM〜約200mM NaClおよび約0.025%〜約0.075%アジ化ナトリウムを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。さらに別の局面において、界面活性剤ベースの捕集媒質は、約0.9%〜約1.2%NP-40、約0.20%〜約0.30%デオキシコール酸ナトリウム、約30mM〜約60mM Tris-HCl、約20mM〜約30mM EDTA、約100mM〜約150mM NaClおよび約0.04%〜約0.06%アジ化ナトリウムを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。
【0030】
ある局面において、捕集媒質は、NP-40およびEDTAを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。別の局面において、捕集媒質は、NP-40、EDTAおよびアジ化ナトリウムを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。一つの局面において、捕集媒質は、デオキシコール酸ナトリウム、EDTAおよびアジ化ナトリウムを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。ある局面において、捕集媒質は、NP-40、デオキシコール酸ナトリウム、EDTAおよびアジ化ナトリウムを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。ある局面において、捕集媒質は、NP-40、デオキシコール酸ナトリウム、Tris-HCl、EDTAおよびアジ化ナトリウムを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。
【0031】
別の局面において、捕集媒質は、0.5%〜約2.0%NP-40および10mM〜約50mM EDTAを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。別の局面において、捕集媒質は、0.5%〜約2.0%NP-40、10mM〜約50mM EDTAおよび約0.01%〜約0.10%アジ化ナトリウムを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。一つの局面において、捕集媒質は、約0.10%〜約0.40%デオキシコール酸ナトリウム、10mM〜約50mM EDTAおよび約0.01%〜約0.10%アジ化ナトリウムを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。ある局面において、捕集媒質は、約0.5%〜約2.0%NP-40、約0.10%〜約0.40%デオキシコール酸ナトリウム、10mM〜約50mM EDTAおよび約0.01%〜約0.10%アジ化ナトリウムを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。ある局面において、捕集媒質は、約0.5%〜約2.0%NP-40、約0.10%〜約0.40%デオキシコール酸ナトリウム、約25mM〜約75mM Tris-HCl、約10mM〜約50mM EDTAおよび約0.01%〜約0.10%アジ化ナトリウムを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。特定の局面において、媒質は、1%NP-40、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、50mM Tris-HCl、25mM EDTA、150mM NaClおよび0.09%アジ化ナトリウムを含む、または本質的にそれらからなる。この媒質は、本明細書中、しばしばDigene Collection MediumまたはDCMと呼ばれる。
【0032】
サンプルは、他の公知の捕集媒質中に捕集し、本明細書に記載される方法に使用することもできる。他の捕集媒質の例は、PRESERVCYT、SUREPATH、尿およびSTM(Sample/Specimen Transport Medium)を含む。これらの媒質のいくつかに捕集されたサンプルは、サンプル中の核酸が検出および分析されうる前に、処理を要することがある。様々なサンプル処理法(サンプル調製法としても知られる)が当技術分野において公知である。例えば、細胞学的分析のためにPRESERVCYTなどの媒質中に捕集された子宮頚細胞サンプルを界面活性剤ベースの溶解バッファーと合わせたのち、核酸結合面を含む磁気ビーズを添加することもできる。
【0033】
別の局面において、サンプルは、生物学的サンプルから抽出された核酸を含みうる、それからなりうる、または本質的にそれからなりうる。以下に限定されないがフェノール/クロロホルム抽出法、アニオン交換クロマトグラフィー法、塩化セシウム勾配超遠心法、サイズ排除クロマトグラフィー法およびシリカ/カオトロピック塩抽出法をはじめとする、生物学的サンプルまたは環境サンプルから核酸を抽出するための数多くの方法が公知である。特定の核酸サイズを含むサンプルが望まれるならば、抽出された核酸をゲル電気泳動法によってサイズごとにさらに分離し、ゲルから抽出することもできる。
【0034】
B. 標的核酸
上記のように、本明細書に開示される方法は、サンプル中の標的核酸の検出および遺伝子型決定に関する。標的核酸は、DNAであっても、もしくはRNAであってもよく、またはDNAおよびRNAの両方であってもよく、一本鎖、二本鎖または部分的に一本鎖でありうる。標的核酸は、より大きな核酸の中に含まれていてもよい。標的核酸または標的核酸を含むより大きな核酸の検出が本開示によって考慮されている。
【0035】
標的核酸は、非限定的に、生物学的サンプルおよび環境サンプルを含む検体または培養物(例えば、細胞、微生物およびウイルス培養物)中に見られる核酸を含みうる。標的核酸は、ヒトを含む動物、流体、固体(例えば糞便)または組織、ならびに液体および固体の食品および飼料および成分、例えば乳製品、野菜、肉および肉副産物、ならびに廃棄物からのサンプル中に見られることもある。標的核酸は、環境サンプル中に見られることもあり、環境物質、例えば表面物質、土壌、水および産業サンプル、ならびに食品および乳製品加工機器、装置、装備、用具、使い捨ておよび非使い捨て品から得られるサンプルを含む。
【0036】
生物学的サンプル中に見られる標的核酸は、子宮頚サンプル(例えば、子宮頚スワブから得られたサンプル)または子宮頚細胞サンプル、アデノイド細胞、肛門上皮細胞、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、乳、リンパ液、痰、尿および精液を含むが、これらに限定されない。標的核酸は、他のウイルス、細菌、マイコバクテリアまたはマラリア原虫、例えばサイトメガロウイルス(CMV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、H1N1、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)(GC)、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)(CT)、腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、結核菌(mycobacterium tuberculosis)、SARS関連コロナウイルスまたはインフルエンザからの核酸でありうる。
【0037】
ある局面において、標的核酸は、子宮頚サンプル(例えば、子宮頚スワブから得られたサンプル)または子宮頚細胞サンプル、アデノイド細胞、肛門上皮細胞、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、乳、リンパ液、痰、尿および精液、他のウイルス、細菌、マイコバクテリアまたはマラリア原虫、例えばサイトメガロウイルス(CMV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、H1N1、淋菌(GC)、トラコーマクラミジア(CT)、腟トリコモナス、黄色ブドウ球菌、結核菌、SARS関連コロナウイルスまたはインフルエンザのいずれか一つと関連する核酸と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である。
【0038】
一つの局面において、標的核酸はHPV核酸である。別の局面において、HPV核酸はHR-HPV型のHPV DNAである。別の局面において、HPV核酸はLR-HPV型のHPV RNAである。別の局面において、標的核酸は、HR-HPV 16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のいずれか一つまたはLR-HPV 2、3、6、7、10、11、13、27、28、30、32、40、42、43、53、54、55、61、62、67、69、70、71、72、74、81、83、84、85、86、87、89、90、および91型のいずれか一つである。
【0039】
別の局面において、複数種の標的核酸が標的とされる。一つの局面において、複数種の標的核酸は、異なるヌクレオチド配列を有する2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100種の核酸のセットからなる。標的とされる核酸の任意のセットを使用することができる。一つの局面において、複数種の標的核酸は、それぞれが他のものと関連するように選択される。一例として、非限定的に、核酸のセットは、互いに構造的に関連している(例えば、ある遺伝子ファミリーのメンバー)、互いに機能的に関連している(例えば、炎症誘発性サイトカインをコードする核酸)、互いに系統的に関連している(例えば、あるウイルスファミリーの様々なメンバーに特異的な、例えばHPVファミリーのウイルスに特異的な核酸)、異なる細胞または組織型での差次的発現(例えば、マクロファージ関連核酸および前立腺関連核酸)または疾病状態(子宮頚がん関連核酸)に関連しているものでありうる。別の局面において、核酸のセットは関連をもたないものである。
【0040】
一つの局面において、標的核酸のセットは、HR-HPV 16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型またはそれらのいずれかのサブセットを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。別の局面において、標的核酸のセットは、LR-HPV 2、3、6、7、10、11、13、27、28、30、32、40、42、43、53、54、55、61、62、67、69、70、71、72、74、81、83、84、85、86、87、89、90、および91型またはそれらのいずれかのサブセットを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。別の局面において、標的核酸のセットは、HR-HPV 16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型またはそれらのいずれかのサブセットならびにLR-HPV 2、3、6、7、10、11、13、27、28、30、32、40、42、43、53、54、55、61、62、67、69、70、71、72、74、81、83、84、85、86、87、89、90、および91型またはそれらのいずれかのサブセットを含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる。別の局面において、標的核酸は、HPV、HPVの遺伝子変異体、HR-HPV型のHPV DNA、またはHR-HPV型のHPV RNAのいずれか一つと関連する核酸と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である。別の局面において、標的核酸は、HR-HPV 16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のいずれか一つまたはLR-HPV 2、3、6、7、10、11、13、27、28、30、32、40、42、43、53、54、55、61、62、67、69、70、71、72、74、81、83、84、85、86、87、89、90、および91型のいずれか一つと関連する核酸と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である。
【0041】
別の局面において、HPVのサブセットを、まず感染の候補物質として識別し、次いで、それらについて、本明細書に開示される方法によって特異的に遺伝子型を決定することもできる。Qiagen Gaithersburg, Inc.から市販されているHC2(登録商標)HPV試験などの、サンプル中の高リスク核酸の存在を決定するための数多くの試験が市販されている。そのような試験は一般に、臨床的関連によって病理学的状態、例えば子宮頚がんに関連しているHPV核酸のグループを識別する。しかし、そのような試験は一般に、感染の型について特異的に遺伝子型を決定するためには使用されていない。
【0042】
一つの局面において、3種の標的核酸のセットが選択される。一例として、非限定的に、HPV16、HPV18、およびHPV45が、HPV関連子宮頚がんの発症ともっとも一般に関連する3種のHPV変異体である。したがって、方法は、まず、細胞学的分析によって異常な子宮頚細胞を識別すること、サンプル中のHPV16、HPV18、またはHPV45の一つの存在を確認すること、次いで、本明細書に記載される方法にしたがって遺伝子型を決定することを含むことができる。
【0043】
C. サンプル調製
上記のようにサンプルを捕集媒質中に捕集したのち、サンプルを変性試薬によって処理して、標的核酸がハイブリダイゼーションを達成しやすいようにすることができる。一つの局面において、サンプルはアルカリ性溶液で変性される。非限定的に、適当なアルカリはNaOHおよびKOHを含む。
【0044】
タンパク質のアルカリ処理は、検体を効果的に均質化し、所与のサンプルに関する分析結果の再現精度を保証する。また、サンプル中の内在性一本鎖RNA核酸、DNA-RNAハイブリッドまたはRNA-RNAハイブリッドを破壊することにより、サンプルの粘度を下げて反応速度を増し、サンプルを均質化し、バックグラウンドを減らすことができる。また、サンプル中に存在するおそれのあるRNA分解酵素およびDNA分解酵素などの酵素を不活性化するのに役立つ。当業者は、RNAが標的核酸であるならば(DNAとは反対に)、以下に限定されないがフェノール抽出およびTCA/アセトン沈殿およびグアニジニウムチオシアネート-フェノール-クロロホルム抽出をはじめとする様々な試薬が好ましいこともあることを理解するであろう。
【0045】
加熱ステップを使用して、例えばサンプルを約95℃に加熱して核酸の鎖を分離させる方法のような他の変性方法を使用することもできる。また、ヘリカーゼのような酵素を使用することもできる。
【0046】
D. 検出混合物
核酸を含むサンプルをハイブリダイゼーションに備えて調製したのち、そのサンプルを二つのアリコートに分け、それぞれを、試験される標的核酸の各遺伝子型に特異的な少なくとも1種のポリヌクレオチドプローブを含むプローブセットと、プローブがサンプル中の少なくとも1種の標的核酸にハイブリダイズするのに十分な条件下で接触させる。少なくとも1種のポリヌクレオチドプローブは、完全長、切断型、もしくは合成のDNAまたは完全長、切断型、もしくは合成のRNAでありうる。
【0047】
ある局面においては、各遺伝子型のために複数種のポリヌクレオチドプローブが使用される。一つの局面においては、各遺伝子型に特異的な2、3、4、5、6、7、8、9、または10種のポリヌクレオチドプローブが提供されうる。別の局面において、各ポリヌクレオチドプローブは、一つの遺伝子型だけに特異的であり、ストリンジェントな条件において他の標的核酸とは交差反応しないように選択される。さらに別の局面において、各遺伝子型に対して少なくとも2種のポリヌクレオチドプローブが提供され、各ポリヌクレオチドプローブが標的核酸の別個の領域にハイブリダイズする。一例として、標的核酸がHPV核酸を含む場合、HPV核酸のE6/E7領域およびL1領域それぞれに対して少なくとも1種のポリヌクレオチドが選択されうる。
【0048】
一つの局面において、ポリヌクレオチドプローブは、検出の前に標的核酸を精製するために使用される。そのような場合、各ポリヌクレオチドプローブは、一つの遺伝子型だけに特異的であってもよく、または検出混合物中の標的とされる各遺伝子型にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするように設計されてもよい。一例として、非限定的に、ポリヌクレオチドプローブを、特定の遺伝子産物をコードする核酸の高度に保存された領域に対して設計して、該ポリヌクレオチドプローブが、ストリンジェントな条件下、その遺伝子産物をコードする実質的にすべての核酸にハイブリダイズすることが見込まれるようにすることもできる。
【0049】
ある局面において、ポリヌクレオチドプローブは、HPV、HPVの遺伝子変異体、HR-HPV型のHPV DNA、またはHR-HPV型のHPV RNA、またはHR-HPV 16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のいずれか一つ、またはLR-HPV 2、3、6、7、10、11、13、27、28、30、32、40、42、43、53、54、55、61、62、67、69、70、71、72、74、81、83、84、85、86、87、89、90、および91型のいずれか一つと関連する核酸と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である核酸にハイブリダイズまたは結合することができる。別の局面において、プローブは、HPV、HPVの遺伝子変異体、HR-HPV型のHPV DNA、HR-HPV型のHPV RNA、またはHR-HPV 16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のいずれか一つ、またはLR-HPV 2、3、6、7、10、11、13、27、28、30、32、40、42、43、53、54、55、61、62、67、69、70、71、72、74、81、83、84、85、86、87、89、90、および91型のいずれか一つに相補的である。
【0050】
別の局面においては、複数種のポリヌクレオチドプローブが提供され、複数種のポリヌクレオチドプローブは、検出混合物中の標的とされる各遺伝子型にハイブリダイズし、それを精製するように選択されている。一つの局面において、複数種のポリヌクレオチドプローブは、HR-HPV 16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型の核酸からなる標的核酸のセットまたはそれらのいずれかのサブセットの各核酸にハイブリダイズすることができる。一つの局面において、複数種のポリヌクレオチドプローブは、LR-HPV 2、3、6、7、10、11、13、27、28、30、32、40、42、43、53、54、55、61、62、67、69、70、71、72、74、81、83、84、85、86、87、89、90、および91型からなる標的核酸のセットまたはそれらのいずれかのサブセットの各核酸にハイブリダイズすることができる。一つの局面において、複数種のポリヌクレオチドプローブは、HR-HPV 16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型からなる標的核酸のセットまたはそれらのいずれかのサブセットならびにLR-HPV 2、3、6、7、10、11、13、27、28、30、32、40、42、43、53、54、55、61、62、67、69、70、71、72、74、81、83、84、85、86、87、89、90、および91型からなる標的核酸のセットまたはそれらのいずれかのサブセットの各核酸にハイブリダイズすることができる。
【0051】
アルカリ処理を使用して標的核酸を変性させたならば、1種または複数種のポリヌクレオチドプローブを、中和ハイブリダイゼーションバッファーとしても働くことができるプローブ希釈剤中で希釈することもできる(塩基性変性試薬を中和するため)。
【0052】
DNAまたはRNAプローブに使用されるプローブ希釈剤は、DNA対RNAの安定性に必要な様々な要件によって異なる。例えば、プローブがRNAであるならば、サンプルをまず中和し、次いでプローブを加えるか、または過度のアルカリ性はRNAを破壊しうるが、RNAプローブと中和剤(プローブ希釈剤)を同時にサンプルに加えることが好ましい。プローブ希釈剤は、プローブを溶解および希釈し、また、サンプルをほぼ中性のpH、例えば約6〜約9のpHに復元することを支援して、ハイブリダイゼーションにとってより好ましい環境を提供するために使用することができる。塩基処理されたサンプルを中和するのに十分な量、好ましくはサンプルの半分の量のプローブ希釈剤を使用することができる。
【0053】
完全長プローブの場合、加熱されたアルカリ性溶液をサンプルに加え、次いでプローブ希釈剤を室温のサンプルに加え、次いでサンプルを再加熱してもよい。このようなプロセスは、二次構造が形成されるのを阻止することができる。抗体は、二次構造を有する構造に不可逆的に結合する傾向がある。非完全長プローブ、例えば切断型または合成プローブを使用する場合、二次構造問題が存在しないため、溶液またはサンプルの加熱は必要ではない。ある局面において、切断型または合成プローブとともに使用される場合、サンプルは加熱されない。
【0054】
変性試薬による処理ののち、中和バッファー、ある局面においては、1種または複数種のプローブが溶解している前記プローブ希釈剤のアリコートを、適切な条件下でサンプルに加えて、プローブと少なくとも1種の標的核酸とのハイブリダイゼーションまたは結合を起こすことができる。中和バッファーは一つの緩衝塩を含有することができる。ある局面において、中和バッファーは二つ以上の緩衝塩を含有しない。ハイブリダイゼーション条件は、1種または複数種のポリヌクレオチドプローブがサンプル中の対応する相補的核酸配列(あるならば)にアニールして二本鎖核酸ハイブリッドを形成することを許容するのに十分な条件である。
【0055】
本明細書に記載される特定のプローブおよび希釈剤に適したハイブリダイゼーション条件が用いられる。例えば、プローブおよびサンプル核酸は、ハイブリダイゼーションの時間、好ましくは少なくとも約5〜約30分間、約5〜約20分間、または約7〜約15分間、または約10分間、および1種または複数種のポリヌクレオチドプローブが対応する相補的核酸配列にアニールすることを許容するのに十分な前記範囲内の任意の時間インキュベートすることができる。ハイブリダイゼーション条件は、少なくとも約65℃、約68.5℃、および約67℃〜約70℃、ならびに前記範囲内の任意の℃数のハイブリダイゼーション温度を含みうる。所与の少なくとも1種の標的核酸および所与のプローブに関して、当業者は、所望のハイブリダイゼーション条件を通常実験によって容易に決定することができる。当業者はさらに、ハイブリダイゼーションの時間と温度とが互いに最適化されなければならないことを理解する。したがって、高めの温度でのハイブリダイゼーションを短めの期間で実施することもできるし、低めの温度でのハイブリダイゼーションを長めの期間で実施することもできる。非限定的に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、温度を上げる、イオン状態を0.5M超まで高める(例えばNaCl)、またはPAAの濃度を下げることによって制御することもできる。非限定的な例として、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、高温、例えば少なくとも約65℃、少なくとも約68.5℃、約67℃〜約70℃、および約69℃〜約70℃でハイブリダイゼーション反応を実施することを含みうる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件はまた、高温、例えば少なくとも約65℃、少なくとも約68.5℃、および約67℃〜約70℃を含みうる。核酸のハイブリダイゼーションに関する広範囲な手引きが、参照により本明細書に組み入れられるTijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2 "Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays", Elsevier, New York (1993)およびCurrent Protocols in Molecular Biology, Chapter 2, Ausubel, et al, Eds., Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (1995)に見られる。
【0056】
本趣旨に関して、「ストリンジェントな条件」は、ハイブリダイゼーション分子と標的配列との間のミスマッチが25%以下である場合のみハイブリダイゼーションが起こる条件を包含する。「ストリンジェントな条件」は、より正確な定義のために特定のレベルのストリンジェンシーに細分することができる。例えば、本明細書に使用される「ゆるいストリンジェンシー」の条件とは、25%を超える配列ミスマッチを有する分子がハイブリダイズしない条件であり、「中間的ストリンジェンシー」の条件とは、15%を超える配列ミスマッチを有する分子がハイブリダイズしない条件であり、「高いストリンジェンシー」の条件とは、10%を超えるミスマッチを有する配列がハイブリダイズしない条件である。「非常に高いストリンジェンシー」の条件とは、6%を超えるミスマッチを有する配列がハイブリダイズしない条件である。また、特定の程度のストリンジェンシーを達成するために求められるハイブリダイゼーション条件に関する計算が、参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al. (ed.), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989, chapters 9 and 11によって詳述されている。
【0057】
ある局面において、ハイブリダイゼーションステップは、50℃で約15〜25分間、50℃で約20〜25分間、または50℃で約22.5分間で完了する。
【0058】
一つの局面において、各検出混合物は、サンプルを捕集媒質中に懸濁させ、標的核酸を変性試薬によって変性させ、中和バッファー中に懸濁した核酸プローブと標的核酸とをハイブリダイズさせることによって形成される。別の局面において、中和バッファーは、2.2M BES(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、2.6%ポリアクリル酸、0.7N NaOHおよび0.05%アジ化ナトリウムを含むプローブ希釈剤である。
【0059】
E. 検出
プローブと少なくとも1種の標的核酸とをハイブリダイズさせ、二本鎖核酸ハイブリッドを形成させたのち、そのハイブリッドを検出する。
【0060】
ある局面においては、検出の前に、まずハイブリッドを固相に固定化する。固相へのハイブリッドの固定化ののち、捕捉されていない核酸を洗い落とすことにより、捕捉されたハイブリッドをサンプルの残りから分離することができる。そして、核酸ハイブリッドを検出する。
【0061】
一つの局面において、プローブは、固相に固定化されている(例えば共有結合によって)、または固相に固定化されるように適合されている(例えばストレプトアビジン-ビオチン相互作用を介して)。そのような場合、標的核酸と核酸プローブとのハイブリダイゼーションによって、標的核酸が固相に固定化されることになる。
【0062】
別の局面において、核酸プローブは固相に固定化されていない、または固定化されるように適合されていない。そのような場合、ハイブリッドを抗ハイブリッド抗体と接触させることによってハイブリッドを固相に固定化することができる。別の局面において、抗ハイブリッド抗体は、二本鎖核酸ハイブリッドが捕捉される前に支持体に固定化される。抗体を固体支持体に固定化する方法は当技術分野において周知である。一例として、非限定的に、抗体は、固体支持体に共有結合させることができる。別の例として、抗体は、例えばタンパク質-タンパク質相互作用、プロテインGビーズ、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用、カルボキシルもしくはトシル基などに結合するためのEDAC、または例えばアフィニティーカラム中で配列特異的核酸を使用する固体支持体への直接的なハイブリダイゼーションにより、固相に吸着させることができる。別の局面において、抗ハイブリッド抗体は、固体支持体に固定化される前に、二本鎖核酸ハイブリッドと複合化させることもできる。一例として、非限定的に、抗ハイブリッド抗体をビオチン標識とコンジュゲートさせ、支持体をストレプトアビジンモイエティとコンジュゲートさせることもできる。そして、固体支持体の非存在において、抗ハイブリッド抗体/二本鎖核酸ハイブリッド複合体を許容することができる。固体支持体が反応混合物に加えられると、抗ハイブリッド抗体/二本鎖核酸ハイブリッド複合体は、ビオチンコンジュゲートとストレプトアビジンモイエティとの間の相互作用によって、固体支持体に固定化される。
【0063】
そして、ひとたび固定化されたならば、検出を実施することができる。
【0064】
一つの局面において、ハイブリッドは、検出可能に標識された第二の核酸プローブと標的核酸とをハイブリダイズさせることにより、検出することができる。別の局面において、ハイブリッドは、該ハイブリッドと、二本鎖核酸ハイブリッドに特異的に結合する分子とを接触させることによって検出される。二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な分子は、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体、非限定的にRNA分解酵素Hなどのタンパク質、非限定的にアプタマーを含む核酸、または配列特異的核酸を含むが、これらに限定されない。アプタマーとは、標的にハイブリダイズし、ハイブリダイズしたアプタマーを増幅し、選択プロセスを繰り返すことによって配列のライブラリから連続的に選択されるランダムな配列の短い部分である。二本鎖核酸ハイブリッドに特異的に結合する分子を、検出可能に標識することができる。
【0065】
一つの局面において、プローブは、標的核酸にハイブリダイズすると、標的核酸とDNA:RNAハイブリッドを形成する。そのような状況において、固定化されたハイブリッドは、二本鎖DNA:RNAハイブリッドに特異的な抗体を使用して検出することもできる。抗体は、直接的または間接的に検出可能に標識することができ、かつモノクロナール抗体またはポリクロナール抗体でありうる。ある局面において、抗体はモノクロナール抗体である。別の局面において、抗体は、検出可能なマーカで直接的に標識され、モノクロナール抗体である。一つの局面において、抗体は、検出することができるシグナルを提供するために基質と反応しなければならない標識を有する。抗体は、適当なバッファー中に溶解させることができる。一つの局面において、バッファーは、100mM Tris-HCl、pH7.4、0.5M NaCl、0.1mM ZnCl2、1.0mM MgCl2、0.25% Tween 20、0.2mg/ml RNA分解酵素A、4%ヒドロキシプロピル-b-シクロデキストリン(シクロデキストリン)、上述した30%ビーズ希釈バッファー、0.05%ヤギIgG、0.05%アジ化ナトリウムを含む。
【0066】
一つの局面において、プローブは、標的核酸にハイブリダイズすると、標的核酸とDNA:RNAハイブリッドを形成し、二本鎖DNA:RNAハイブリッドに特異的な抗体を使用して固相に固定化され、二本鎖DNA:RNAハイブリッドに特異的な第二の抗体によって検出される。
【0067】
固体支持体は、ビーズ、常磁性、反磁性、強磁性、強磁性および反磁性ビーズを含む磁性ビーズ、カラム、プレート、ろ紙、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ディップスティック、コーティングされた管、プレートおよびディッシュ、ならびに樹脂カラムを含むが、これらに限定されない。液相の抽出を可能にし、結合した抗体と結合していない抗体とを分離する能力を提供する限り、任意の支持体を使用することができる。溶液中に残すことができ、ビーズを固定化するために磁場が印加されるならば液相を抽出またはデカントすることができるという点で常磁性ビーズが特に有用である。大きな表面積を有する小さなビーズ、例えば直径約1μmのビーズが好ましい。電荷切り替えまたはシリカ捕捉(磁場とは対照的に)を使用する他のビーズを使用することもできる。
【0068】
ある局面において、ハイブリッドは、固定化された抗ハイブリッド抗体による二本鎖核酸ハイブリッドの捕捉を可能にするのに十分な期間、支持体に付着された抗ハイブリッド抗体とともにインキュベートされる。ある局面において、支持体はビーズである。抗ハイブリッド抗体はモノクロナール抗体でもよいしポリクロナール抗体でもよい。一つの局面において、抗体はモノクロナール抗体である。一つの局面において、抗体は、1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDAC)リンカーによって支持体に結合される。一つの局面において、支持体はポリスチレンビーズである。ある局面において、抗体に結合した支持体またはビーズはビーズ希釈バッファー中で希釈される。ビーズ希釈バッファーは、ビーズ上でのタンパク質変性を最小化するのに役立つ。ビーズ希釈バッファーの一例は、6%カゼイン、100mM Tris-HCl、300mM NaClおよび0.05%アジ化ナトリウムを含む。
【0069】
ある局面において、抗ハイブリッド抗体でコーティングされたビーズは、サンプルとともに約67℃〜約70℃で約30分間インキュベートされる。別の局面において、ビーズおよびサンプルは、約68℃〜約69℃で約30分間インキュベートされる。さらに別の態様において、ビーズおよびサンプルは、約68.5℃で約30分間インキュベートされる。インキュベーション時間は、約5分〜約60分間、約15分〜約45分間、約20分〜約40分間、または前記範囲内の任意の時間であることができ、一般には温度に反比例する。当業者には、インキュベーション時間、温度および/または振とう条件を変化させて、望むような代替の捕捉速度を達成することができることが理解されよう。
【0070】
当業者には、非限定的に酵素、放射性分子、蛍光分子、または金属粒子、例えば金粒子などの、検出可能な標識を使用することができることが理解されよう。特定の局面において、検出可能な標識はアルカリホスファターゼでありうる。標識を抗体にコンジュゲートする方法は公知である。例えば、抗体をジチオトレイトール(DTT)で還元して一価の抗体断片を生じさせることができる。そして、いずれも参照により本明細書に組み入れられるIshikawa et al, J. Immunoassay 4:209-237 (1983)およびMeans et al, Chem. 1:2-12 (1990)の方法により、還元された抗体をマレイン化アルカリホスファターゼに直接コンジュゲートし、得られたコンジュゲートをHPLCによって精製することができる。コンジュゲートはまた、任意のタイプのサイズ排除クロマトグラフィーを使用して精製することもできる。精製の一つの利点は、タンパク質一つと抗体一つとのコンジュゲートを、他の比率のタンパク質と抗体とのコンジュゲートから分離することができることである。
【0071】
別の局面において、二本鎖核酸ハイブリッドは、直接的に標識されていない第二の抗ハイブリッド抗体によって検出することができる。例えば、第二の抗体は、標識されたヤギ抗マウス抗体によって検出されるマウス免疫グロブリンでありうる。
【0072】
標識された固体支持体上に存在する標識は、標的核酸の特定の遺伝子型を識別するために使用することができる。プローブまたは検出抗体上の標識は、精製される各核酸の量に関する情報を伝えることができ、加えて、標的核酸の遺伝子型に関するさらなる情報を伝えることができる。
【0073】
様々な標識を検出する方法は当技術分野において公知である。例えば、比色法、放射能、表面プラズモン共鳴法、または化学発光法が、例えば、参照により本明細書に組み入れられるCoutlee et al, J. Clin. Microbiol. 27: 1002-1007 (1989)によって記載されている。例えば、結合したアルカリホスファターゼコンジュゲートは、LUMI-PHOS 530試薬(Lumigen, Detroit, MI)またはDR2(Applied Biosystems, Foster City, CA)などの試薬を用いる化学発光によって、E/LUMINA luminometer(Source Scientific Systems, Inc., Garden Grove, CA)、OPTOCOMP I Luminometer(MGM Instruments, Hamden, CT)など、例えばTurner BiosystemsによるVeritas Microplate Luminometerのような検出器を使用して検出することができる。また、多数の検出技術を順次にまたは並行して使用することができる。例えば、コンジュゲートは、化学発光および蛍光によって検出することができる。別の局面において、コンジュゲートは、化学発光によって検出することができる。
【0074】
コンジュゲートに関して様々な検出技術を使用する検出器を、サンプル中の少なくとも1種の標的核酸の存在を決定する方法を実施することができる機械に対して、可逆的または不可逆的に、例えばモジュール方式で取り付けることができる。
【0075】
本明細書において使用されるすべてのプローブは、少なくとも1種の標的核酸のみに特異的に結合する短い合成RNAプローブであってもよい。例が、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2009-0298187号A1に記載されている。
【0076】
本開示はまた、標準的なFDA認可HPVアッセイ法およびプローブセットと比較した場合、HR-HPVプローブセットとLR-HPV型との間の交差反応性が劇的に低下したアッセイ組成物、プローブ、および条件を提供する。一つの局面において、HPV高リスクプローブセットは、HPV高リスク16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型またはLR-HPV 2、3、6、7、10、11、13、27、28、30、32、40、42、43、53、54、55、61、62、67、69、70、71、72、74、81、83、84、85、86、87、89、90、および91型からなる群より選択される。これらのHR-HPVプローブとともに本アッセイ法を使用すると、LR-HPV型とHR-HPVプローブとの間の交差反応性が低下する。例えば、米国特許出願公開第2009-0298187号A1を参照すること。
【0077】
本開示はまた、サンプル中の少なくとも1種の標的核酸、例えばHPVの存在を検出することによってがん、例えば子宮頚がんを検出する方法およびアッセイ法を提供する。
【0078】
当業者には、本発明が、以下に限定されないが管、ディップスティック、マイクロアレイ、マイクロプレート、384穴プレート、他のマイクロタイタプレートおよびマイクロ流体システムをはじめとする数多くのプラットフォームで実施されうることが理解されよう。当業者には、本発明が、発展途上国に該当するように、液体の移動を伴うステップに関して、滴瓶、ゴム球、パスツールピペットまたは噴射ボトルのようなローテク法を利用することもできることが理解されよう。これらの装置は、アッセイ法に求められるおおよその範囲内で比較的正確な量を送り出す。ある局面において、本開示の方法は、自動ピペッターまたは他のバッテリー駆動もしくはエネルギー駆動のピペット装置を含まない。
【実施例】
【0079】
I. SPサンプル
追加的な遺伝子型決定PS試験は、HR-HPV陽性であると定性的に決定されているサンプルの遺伝子型を決定するための非標的増幅プラットフォームである。PS試験のためのサンプル投入量は、STM、PCおよびSurePath媒質に関するHC2スクリーニング試験に求められるサンプル投入量と同一である。LBC媒質のためのサンプル調製もまた、HC2試験を実施するために求められる調製と同一である。遺伝子型決定PS試験とのSurePath媒質の適合性を実証するために、SurePath子宮頚検体を使用した。加えて、STM溶液検体とSurePath溶液検体との同等性を実証するために、各媒質中のHPV標的の回収を試験し、比較した。
【0080】
SurePath臨床検体に関して、PS試験は、STM媒質およびPC媒質と適合性であるだけでなく、SurePath媒質とも適合性であることが実証された。PS試験は、SurePath臨床検体において1アッセイあたり5000コピー以上のHPV16、18、および/または45の感染を検出し、その結果はqPCRによって確認された。加えて、結果は、HPV DNAの回収がSTM媒質とSurePath媒質とで同等であるということを実証した。各検体タイプをそれぞれの処理/変性手順にしたがって処理し、PS試験で試験した。
【0081】
参照または確認法として使用した定量的PCR(qPCR)によって、SurePath検体とHPV遺伝子型決定プローブセット試験(PS)との適合性を評価した。
【0082】
HC2試験は、サンプルが子宮頚検体中に高リスクヒトパピローマウイルス(HR-HPV)を含有するかどうかに関する定性的シグナルを生成するために使用される。SurePath検体700μLに対してHC2試験を実施した。50件のHC2陽性検体および10件のHC2陰性検体をこの実験で識別し、使用した。
【0083】
各サンプルから、粗SurePathの250μLアリコートをDNA分離用のマイクロ遠心管に移した。細胞を遠心法によってペレット化し、100mM Tris pH8.0 200μL中に再懸濁させた。バッファーATLおよびプロテイナーゼKを80:20の比で含有するバッファー溶液を各サンプルに加えた。サンプルを、600rpmで振とうしながら60℃で2時間インキュベートした。プロテイナーゼKによる消化ののち、QIAamp(登録商標)MinElute(登録商標)Virus Spinキットを製造者のプロトコルにしたがって使用してサンプルを処理した。三つの別々のPCR反応において参照法としてqPCR分析を実施して、HPV16、18、および/または45の存在およびウイルス負荷を決定した。
【0084】
HC2試験およびqPCRのためのサンプル調製ののちに残ったSurePath量(約1850μL)を遠心法によってペレット化した。上澄みを捨て、細胞をSTM150μLおよび変性試薬75μL中に再懸濁させた。その後、75μLを三つの別々のウェルの中に移して遺伝子型を個々に識別した。サンプルを変性させ、DNA:RNAハイブリッドをHC2捕捉プレート上に捕捉し、アルカリホスファターゼとコンジュゲートした専用ハイブリッド特異的抗体によって検出した。最後に、化学発光基質を加え、ウェルをルミノメーター上で読み取って相対発光量(RLU)を計測した。RLU値/カットオフ(RLU/CO)値が1.3以上であるならば、サンプルを遺伝子型に関して陽性と分類した。カットオフ値はアッセイ陽性較正物質によって決定される。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
検体のうち全部で16件がPS試験で陽性と判定され、4件の多重感染を含む全部で20件の陽性結果が得られた。試験したすべてのサンプルのうち、PS試験にしたがって60件中56件(93.3%)の検体結果がqPCRと一致し(不一致4件)、遺伝子型結果の174件/180件(96.7%)がqPCRと一致した(不一致6件)。すべての不一致結果はPS陽性であり、qPCR陰性であった。
【0087】
II. PreservCytサンプル
PS試験の所期の用途は多数のHPV遺伝子型を別々に検出することであり、それには、各患者検体の多数のアリコートを要する。HC2試験ののち、いくつかのPC検体は、所望の回数の試験に十分な量を欠くおそれがある。プローブのカクテル化を用いると、必要な試験の回数を抑えることができ、検体投入量を有意に減らす代替溶液を提供することができる。
【0088】
28件のHC2陽性PC検体をこの実験で使用した。媒質に関する標準的なHC2変換プロトコルにしたがって、PC検体12mlを処理した。変性された検体それぞれからの六つのアリコートに対して同時にPS試験を実施した。三つの試験は、それぞれが1種の型特異的プローブのみを含む3種の個々のプローブミックスを使用してHPV16、18、および45を別々に検出した。各検体に対して三つのさらなる試験を実施して、二つ以上の遺伝子型を一緒に検出した。一つの試験で2種以上の標的を検出するために、2種または3種の個々のプローブを一つのミックスに合わせた。マルチプローブカクテルを使用して、一つの試験でHPV16と18を一緒に検出し、HPV18と45を一緒に検出し、三つの型すべてを検出した。プローブカクテルを使用して2pg/mlの濃度のHPVプラスミドを検出することによって分析性能を評価した。結果を相対発光量対カットオフ(RLU/CO)として表す。実験は、表2に記すスキームにしたがって実施した。
【0089】
【表2】

* 方法は、HPV16と18を一緒に、HPV45を単独とする試験に適用することができる。
【0090】
PS試験を使用して、28件のHC2陽性PC検体をHPV16、18、および45に関して試験した。型特異的検出のための個別のプローブ、および二つ以上のHPV遺伝子型を一緒に検出するためのプローブカクテルを使用して、各検体を試験した。結果はすべての検体に関して一致した。28件のHC2陽性サンプルのうち、18件がHPV16、18、および45に関して陰性であった。表2に示すデータは、HPV16、18、および45陽性検体の結果を詳述する。陽性の結果は1.3以上のRLU/CO値を有する。図3に示すデータは、シングルプローブ検出と比べて同等である、個々のHPV型のマルチプローブ検出の感度を実証する。
【0091】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、サンプル中の標的核酸の遺伝子型を決定するための方法:
(a)該標的核酸の第一の遺伝子型に特異的な核酸プローブおよび該標的核酸の第二の遺伝子型に特異的な核酸プローブを含むが、該標的核酸の第三の遺伝子型に特異的な核酸プローブを含まない第一のプローブセットと、サンプルの一部分とを接触させることを含む方法によって、第一の検出混合物を生成する段階;
(b)該標的核酸の該第二の遺伝子型に特異的な核酸プローブおよび該標的核酸の該第三の遺伝子型に特異的な核酸プローブを含むが、該標的核酸の該第一の遺伝子型に特異的な核酸プローブを含まない第二のプローブセットと、サンプルの一部分とを接触させることを含む方法によって、第二の検出混合物を生成する段階;ならびに
(c)該核酸プローブが該標的核酸の該第一、第二、および/または第三の遺伝子型に特異的にハイブリダイズする条件下で、該第一および第二の検出混合物を処理する段階;ならびに
(d)該標的核酸への該核酸プローブのハイブリダイゼーションを検出する段階であって、
(i)該第二の検出混合物中になく、該第一の検出混合物中にあるハイブリダイゼーションによって、該サンプルが該標的核酸の該第一の遺伝子型を含むことが示され、
(ii)該第一の検出混合物中になく、該第二の検出混合物中にあるハイブリダイゼーションによって、該サンプルが該標的核酸の該第三の遺伝子型を含むことが示され、かつ
(iii)該第一の検出混合物中および該第二の検出混合物中にあるハイブリダイゼーションによって、該サンプルが該標的核酸の該第二の遺伝子型を含むことが示される、段階。
【請求項2】
標的核酸がHPV核酸であり、該標的核酸の第一、第二、および第三の遺伝子型が、HPV2、HPV3、HPV6、HPV10、HPV11、HPV16、HPV18、HPV26、HPV27、HPV28、HPV29、HPV30、HPV31、HPV32、HPV33、HPV34、HPV35、HPV39、HPV42、HPV45、HPV51、HPV52、HPV53、HPV54、HPV56、HPV57、HPV58、HPV59、HPV64、HPV66、HPV67、HPV68、HPV69、HPV70、HPV73、HPV82、HPV84、HPV85、HPV86、HPV87、およびHPV94からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
標的核酸の第一、第二、および第三の遺伝子型がHPV16、HPV18、およびHPV45である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
サンプルが、液状細胞診媒質中に保存された臨床サンプルである、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
液状細胞診媒質が、PreservcytおよびSurePathからなる群より選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
核酸プローブのハイブリダーゼーションがDNA:RNAハイブリッドを形成する、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
DNA:RNAハイブリッドが、該DNA:RNAハイブリッドとDNA:RNA特異的抗体とを接触させることを含む方法によって検出される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
標的核酸が、まず、該標的核酸の第一、第二、および第三の遺伝子型それぞれの少なくとも一部分を増幅することができるコンセンサスプライマーにより該標的核酸を増幅することを含む方法によって、該標的核酸の該第一、第二、または第三の遺伝子型であると識別される、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
標的核酸が、定性的PCRを含む方法によって増幅される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
標的核酸が、まず、該標的核酸の第一、第二、および第三の遺伝子型それぞれに特異的なコンセンサスプローブと該標的核酸とをハイブリダイズさせることを含む方法によって、該標的核酸の該第一、第二、または第三の遺伝子型であると識別される、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
第一、第二、および/または第三のHPV核酸へのコンセンサスプローブのハイブリダイゼーションがDNA:RNAハイブリッドを生成する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
DNA:RNAハイブリッドが、該DNA:RNAハイブリッドとDNA:RNA特異的抗体とを接触させることを含む方法によって検出される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
DNA:RNAハイブリッドが、該DNA:RNAハイブリッドとDNA:RNA特異的抗体とを接触させることを含む方法によって検出される、請求項6記載の方法。
【請求項14】
(1)HR-HPV遺伝子型の存在の最初の指標を得るために、サンプルに対して定性的PCR反応を実施すること、(2)該HR-HPVの存在の決定を確認するために、ハイブリッド捕捉アッセイを実施すること、および(3)該サンプル中に存在すると決定された該HR-HPVの遺伝子型を決定するために、PS試験を実施することを含む、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−517803(P2013−517803A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551315(P2012−551315)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/022904
【国際公開番号】WO2011/094528
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(510069559)キアジェン ゲイサーズバーグ インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】