説明

サンプル調製に使用するための方法及びサンプル保持アセンブリ

分析用のサンプルの調製に使用するための方法及びサンプル保持アセンブリが記載されている。公知の技術では、蒸発器を使用するサンプルの濃縮に続き、濃縮溶液が、ピペットを使用して分析装置と適合性があるより小さなバイアルに人間の手によって移送される。このことは、サンプルの損失をもたらし、クロス汚染の危険性がある。本発明の方法を使用すると、サンプルがバイアル内に直接濃縮される。本方法は、一方の端部で開放し、他方の端部で閉鎖している濃縮管(4)にサンプルを収集するステップを含み、閉鎖端は選択的に開放できる。バイアル(8)は開放端に結合され、管は反転され、閉鎖端は開放され、次に、濃縮サンプルがバイアルに閉じ込められるまで、開放端部を介してサンプルから溶剤が蒸発される。本発明の方法に使用するためのサンプル保持アセンブリも記載されている。サンプル保持アセンブリは、濃縮管(4)と、バイアル(8)を管の開放端に結合して管とバイアルとの間の流路を規定するためのアダプター装置(6、106)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶剤内に溶解された少なくとも1つの溶質をサンプルが含む分析用のサンプルの調製に関する。
【背景技術】
【0002】
分析用のサンプルを調製するために、分析装置と適合性があるバイアル内に保持された濃縮溶液を得ることがしばしば必要である。例えば、溶剤抽出システムは、典型的に、約40ml以上の体積を有する溶剤内に溶解された溶質の混合物から成るサンプルを提供することが可能である。次に、サンプルは、さらなる分析のために相当小さな体積に濃縮される必要がある。この濃縮プロセスは、例えば、遠心蒸発器によって実施可能である。サンプル体積は、典型的に、約0.5mlに低減することが可能である。
【0003】
次に、濃縮溶液は、分析装置と適合性があるバイアルに移送される。この移送は、ピペットを使用して人間の手によって実施される。このことは、必然的に、濃縮サンプルのいくらかの損失を含み、クロス汚染の危険性がある。さらに、これは、大きな注意をもって実施する必要がある遅いプロセスである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サンプルをバイアル(例えば本出願人によって市販されているSampleGenie製品)内に直接濃縮できるように、蒸発フラスコの基部の開口部に結合されたバイアルを有する蒸発フラスコを設けることが知られている。しかし、元のサンプルが比較的小さな容器を使用する装置に収集される場合、容器用の収集装置に利用可能な空間が限定されているため、フラスコ及びバイアルの組み合わせで容器を置き換えることは実際的でない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、溶剤内に少なくとも1つの溶質を含む分析用のサンプルを調製する方法であって、
一方の端部で開放し、他方の端部で閉鎖している濃縮管にサンプルを提供するステップであって、閉鎖端が選択的に開放できるステップと、
バイアルを一方の端部に結合するステップと、
管を反転させるステップと、
管の他方の端部を開放するステップと、
濃縮サンプルがバイアルに閉じ込められるまで、管の他方の端部を介してサンプルから溶剤を蒸発させるステップと、
を含む方法を提供する。
【0006】
したがって、サンプルは最初に濃縮管に収集される。濃縮管の寸法はサンプルを生成するシステムと適合性がある。濃縮管内のサンプルは、次に、バイアルを管の開放端に結合して、管を反転させることによって、バイアル内に直接濃縮するために容易にかつ確実に調製することができる。濃縮管及びバイアルを備えるアセンブリは、蒸発器内に装填することができ、さらなる処理のためにサンプルをバイアル内に濃縮することができる。
【0007】
したがって、バイアルを蒸発ステップの後に管から切り離し、クロマトグラフィー分析装置のような分析装置に装填することが可能である。より具体的には、分析装置は、ガスクロマトグラフィーシステムであり、バイアルは、このようなシステムと適合性があるガスクロマトグラフィーバイアルであることが可能である。
【0008】
さらに、本発明は、サンプル保持アセンブリであって、
サンプル保持アセンブリであって、
一方の端部で開放し、他方の端部で閉鎖している濃縮管であって、閉鎖端が選択的に開放できる濃縮管と、
バイアルを管の開放端に結合してバイアルと管の開放端との間の流路を規定するためのアダプター装置と、
を備えるサンプル保持アセンブリを備えるサンプル保持アセンブリを提供する。
【0009】
アダプター装置は、有利に、管に結合するための管端部とバイアルに結合するためのバイアル端部とを有するアダプターと、バイアルを受容するための容器(又は他の保持装置)とを備えることが可能であり、容器は、バイアルの開放端がアダプターを通して流路と流体連通して保持されるように、アダプターのバイアル端部と結合するように構成される。
【0010】
より具体的には、容器及びアダプターは相補的なねじ山によって共に結合され、アダプター装置はシールを含み、このシールは、容器がアダプターにねじ留めされるときに、容器に保持されたバイアルの開放端がシールに対抗して付勢されるように構成される。
【0011】
好ましくは、濃縮管の他方の閉鎖端は、取り外し可能なキャップによって閉鎖されるか、又は蒸発した溶剤が管の当該端部を介して逃れることを可能にするように選択的に開くことができる貫通流路を有する閉塞具によって閉鎖される。
【0012】
好ましい実施形態では、取り外し可能なキャップ及び管は、相補的なねじ山によって共に結合される。同様に、アダプター及び管は相補的なねじ山によって共に結合することが可能である。特に、管の各端部のねじ山は実質的に同一のピッチであり得る。
【0013】
次に、本発明を具体化するサンプル保持アセンブリについて、添付図面を参照して、一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】濃縮管及びキャップの側面断面図である。
【図2】一方の端部に結合されたバイアルを有する濃縮管の側面図である。
【図3】図2のアセンブリの方向Bの端面図である。
【図4】図2のアセンブリの線A−Aに沿った側面断面図である。
【図5】サンプル保持アセンブリの他の実施形態の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、濃縮管4とキャップ3の形態の関連の端部閉鎖部とを示している。管とキャップとの間に液密シールがシール5の形態で設けられる。シールは、例えばPTFEのような不活性な変形可能な材料から形成される。
【0016】
図2〜図4に示したサンプル保持アセンブリ2は、濃縮管4と、アダプター6と、濃縮バイアル8(キャップ3はこれらの図では省略されている)とを備える。
【0017】
濃縮管4は、円筒状の中央セクション及び中心の長手方向軸線12を有する。濃縮管はまた、中央セクションより小さな直径を有する円筒状端部セクション14と16を含む。例えば、約40mlの体積を有する濃縮管では、中央セクションは、約27.5mmの直径及び約140mmの長さを有し、端部セクション14、16の直径は約17mmである。各々の端部セクションは、管4の両端でそれぞれの開口部18、20を規定する。ねじ山22、24はそれぞれ各端部セクション14、16の外周面に形成される。ねじ山のピッチは等しいが、その代わりに異なるねじ山を各々の端部に設けることができる。管は、例えばホウケイ酸ガラスから形成される。
【0018】
濃縮管の寸法は、分析すべきサンプルを収集するために使用される抽出システムと適合性があるような寸法である。このような抽出システムの例は、Dionexによって市販されているAccelerated Solvent Extraction(ASE)システムである。
【0019】
バイアル8は、ガスクロマトグラフィーバイアルである。このようなバイアルの共通の寸法は、直径12mm及び長さ32mmである。
【0020】
バイアル8は、アダプター6によって濃縮管の開口部20に結合される。図4から理解できるように、アダプターは、濃縮管とバイアルとの間で流体が流れることを可能にするために、アダプターの中心軸線に沿って流路42を規定するコネクタ40から構成される。コネクタ40は、管のねじ山24に係合するねじ付きの結合部44によって濃縮管の開放端20に対し保持される。第2の結合部46は、バイアルの開口ネックの周りに規定されたねじ山の上にねじ留めすることによって、コネクタ40をバイアル8の開放端に対し保持する。アダプターの構成要素は、ポリプロピレン、PTFE、又は例えば他の不活性なポリマから形成することが可能である。
【0021】
図5は、図2〜図4と同様のサンプル保持アセンブリ102を示している。図5は、バイアル8を濃縮管4に締結する代わりの方法を示している。
【0022】
バイアル8は、アダプター106によって濃縮管4の開口部20に結合される。アダプターは、バイアルと管との間のアダプターの中心軸線に沿って流路142を規定する。アダプターは、管のねじ24に接続するための一方の端部の内面のねじ山152と、他方の端部の外面の別のねじ山154とを含む。
【0023】
一方の端部で閉じた円筒の形態の容器156は、バイアル8を受容かつ収容し、その基部の周りに嵌合するように構成される。容器の閉鎖端の内面162は、バイアルの基部の円周領域を補完し、かつ容器内の中心位置にバイアルを保持するように形状化される。容器の開放端は、アダプター106のねじ山154と係合するための容器の内面のねじ山158を規定する。Oリングシール160は、アダプター106とバイアル8の開放端との間に保持される。
【0024】
容器156(バイアル8が内側に保持される)がアダプター106にねじ留めされるとき、バイアルは、バイアルとアダプターとの間に液密シールを形成するようにシール160に対し付勢される。
【0025】
図5のアダプター及び容器の構造は、濃縮プロセス中にある程度バイアルを絶縁することが望ましい場合、特に有益である。このことは、例えば凝縮蒸発器(No.2436075の下で発行されかつ本出願人によって出願された英連合王国特許出願に記載された形態である)を使用する場合に当てはまり得る。容器によって設けられる絶縁は、蒸発プロセスを遅くするように機能し、サンプルの完全な乾燥を回避するために終端点の厳密な制御を可能にする。
【0026】
分析用のサンプルを調製する方法における図面に示した形態のサンプル保持アセンブリの使用について、次に説明する。最初に、キャップ3によって閉じられた一方の端部を有する濃縮管4が、抽出システムに挿入され、サンプルが管に収集される。サンプルを収容する管は、抽出システムから取り除かれ、アダプター6及びバイアル8が管の開放端に結合される。次に、サンプルが濃縮バイアル8内に流れるように管が反転され、管の端部の残部はバイアルに接続される。
【0027】
次に、遠心蒸発器のような濃縮器内にアセンブリを装填する前に、キャップ3が取り除かれる。濃縮器では、サンプルがバイアル8内に直接濃縮されるように、溶剤が管の開放端18を介してサンプルから蒸発される。
【0028】
濃縮管、バイアル及び抽出システム内に直接装填するためのアダプターを設けることは一般に実際的でないであろうが、この理由は、限定された利用可能な空間のため収集し得るサンプル体積の許容し難い低減をもたらすからである。本発明によれば、別個のバイアル内の濃縮サンプルの確実かつ効率的な製造を可能にしつつ、濃縮管のみが抽出システム内に装填される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤内に少なくとも1つの溶質を含む分析用のサンプルを調製する方法であって、
一方の端部で開放し、他方の端部で閉鎖している濃縮管に前記サンプルを提供するステップであって、前記閉鎖端が選択的に開放できるステップと、
バイアルを前記一方の端部に結合するステップと、
前記管を反転させるステップと、
前記管の前記他方の端部を開放するステップと、
濃縮サンプルが前記バイアルに閉じ込められるまで、前記管の前記他方の端部を介して前記サンプルから溶剤を蒸発させるステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記蒸発ステップの後に前記管から前記バイアルを切り離すステップと、前記バイアルを分析装置内に装填するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分析装置がクロマトグラフィー分析装置である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記バイアルがガスクロマトグラフィーバイアルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
一方の端部で開放し、他方の端部で閉鎖している濃縮管であって、前記閉鎖端が選択的に開放できる濃縮管と、
バイアルを前記管の開放端に結合して前記バイアルと前記管の開放端との間の流路を規定するためのアダプター装置とを備える、サンプル保持アセンブリ。
【請求項6】
前記アダプター装置が、前記管に結合するための管端部と、バイアルに結合するためのバイアル端部とを有するアダプターと、バイアルを受容するための容器であって、前記バイアルの開放端が前記アダプター装置を通して流路と流体連通して保持されるように、前記アダプターの前記バイアル端部と結合するように構成される容器とを備える、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記容器及び前記アダプターが相補的なねじ山によって共に結合され、前記アダプター装置がシールを含み、前記容器が前記アダプターにねじ留めされるときに、前記容器内に保持されたバイアルの開放端が前記シールに対抗して付勢されるように前記シールが構成される、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記管の他方の端部が、取り外し可能なキャップによって閉鎖される、請求項5〜7のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記取り外し可能なキャップ及び管が相補的なねじ山によって共に結合される、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記アダプター及び前記管が相補的なねじ山によって共に結合される、請求項5〜9のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記管の各端部の前記ねじ山が実質的に同一のピッチである、請求項9又は10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記アダプター装置が、ガスクロマトグラフィーバイアルを受容するように構成される、請求項5〜11のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で使用するための請求項5〜12のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
図面を参照して本明細書に記載したものと実質的に同じである、サンプルを調製する方法。
【請求項15】
図面を参照して本明細書に記載したものと実質的に同じである、サンプル保持アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−522240(P2012−522240A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502781(P2012−502781)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050523
【国際公開番号】WO2010/112902
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(500396528)ジェネバック・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】