説明

サージ抑制ユニット組み合せ体

【課題】本発明は、現在使用しているケーブル長を更に延長したいという要望やサージ効果を上げたいという要望に対して、改善をはかった改良バージョンである。
【解決手段】本発明の第1番目のケーブル長を更に延長したいという要望には、サージ抑制ユニットを複数個直列にすることにより対応可能である。次に、第2番目のサージ効果を上げたいという要望には、サージ抑制ユニットを複数個並列に接続することにより、サージ効果を上げることができる。このように、駆動ケーブル長の種類分けにより、最小限の組合せで済むため、製品品種の大幅低減は勿論のこと現場布設変更等の状況により、サージ効果を上げたい場合に、簡単に対応できるサージ抑制ユニット組み合せ体を提供することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インピーダンスミスマッチにより生じるサージ(不整合反射による不要高電圧波形)を抑制し、伝送品質劣化の改善は勿論のこと、ケーブル、接続機器等の絶縁劣化による寿命低下及びサージによるノイズの発生を低減化し、経済性、操作性、生産性および実用性に優れたサージ抑制ユニット組み合せ体で、特に、製品品種の低減化及び現在使用しているケーブル長を更に延長したいという要望やサージ効果を上げたいという要望に対して、改善をはかった改良バージョンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のサージ抑制ユニットは、ケーブルの特性インピーダンスを出力系及び負荷のインピーダンスに整合させることによりサージ発生を抑制出来ることになるが、使用機器、システムにより負荷のインピーダンスは千差万別であること、更に、同一インピーダンスで整合させたつもりでも整合部品或いはケーブルのインピーダンス偏差、周波数依存性からサージやリンギング(スイッチング回路において、動作又は復旧時に漂遊容量と残留インダクタンス又は反射等によって発生する振動現象)が発生し、信号品質を著しく劣化させる原因となっている。このような状況は伝送系だけでなく、駆動系でも高速化に伴い同様な問題が発生している。特に、負荷がモーターの場合は、通常の伝送系からみると掛け離れた大きなインピーダンス(500Ω以上)になることから、整合させたケーブルの作製は困難を極めている。
【0003】
これに対して、先に出願した下記の公報に示すように、上記従来技術の課題を殆ど解決することが可能になった。(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−184983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、現在使用しているケーブル長を更に延長したいという要望や何らかの布設状況によりサージ効果が落ちてしまう場合に簡単にサージ効果を上げたいという要望に対して、改善をはかった改良バージョンである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1番目のケーブル長を更に延長したいという要望には、サージ抑制ユニットを複数個直列にすることにより対応可能である。次に、第2番目のサージ効果を上げたいという要望には、サージ抑制ユニットを複数個並列に接続することにより、サージ効果を上げることができる。このように、駆動ケーブル長の種類分けにより、最小限の組合せで済むため、製品品種の大幅低減は勿論のこと現場布設変更等の状況により、サージ効果を上げたい場合に、簡単に対応できるサージ抑制ユニット組み合せ体を提供することが可能になる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のサージ抑制ユニット組み合せ体1は、
1.製品品種の大幅な低減をはかることが可能である。
2.サージ効果を簡単に上げることができる。
3.端子台により、直列接続が容易である。
4.既存設備に対して、後付けが可能である。
5.駆動信号の電圧減衰がない。
6.サージ抑圧によるEMI対策が可能。
7.高圧、高電流部品を必要としないため、低価格で省スペース。
8.波形歪みが小さいため、高速展開が可能。
という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のサージ抑制ユニット組み合せ体1の実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
始めに、本発明の第1実施例のサージ抑制ユニット組み合せ体1は、図1(ロ)に示すように、駆動用伝送路のインピーダンスと高インピーダンス負荷ユニット{図面では駆動体(モータ)}のインピーダンスミスマッチによりサージが発生する駆動用伝送路において、高インピーダンス負荷ユニット側に、並列にサージ抑制ユニット組み合せ体1A、1Bを接続し、終端を高インピーダンスにしたサージ抑制ユニット組み合せ体1A、1Bである。ここで、高インピーダンスにする方法の一つとして、例えば、開放系にすることによって可能になる。本発明のサージ抑制ユニット組み合せ体は、図に示すように、モータ駆動電流が殆ど流れないので、低電力構造で十分である。
【0010】
本発明の第2実施例のサージ抑制ユニット組み合せ体1の構造を図1(イ)の模式図に示す。第1実施例のサージ抑制ユニット組み合せ体は、導体の上に絶縁体を被覆した1条又は複数条の絶縁心線からなる図1(ハ)に示すサージ抑制体3を、ユニット内に所定長を巻き込み又はユニット内に所定長設け、前記ユニット内にシールドを施したもの(図示せず)或いは非シールドのサージ抑制ユニットを複数個直列に接続することにより、所望とするケーブル長に対応可能にしたサージ抑制ユニット組み合せ体1Aである。このような直列接続は、ケーブルの長さを更に伸ばしたい場合、サージ抑制ユニット2を直列に接続し、2Lm用に適用することが可能になる。現状は、100mまでの駆動ケーブル長に対し2種類のユニットで、1kw以下から数十kwでのモータに対応可能である。このサージ抑制体1Aは、絶縁体にシールドを施していない構造で代表的な単層型を例示するが、複数状の例として、3層型でも構わない。
【0011】
本発明の第3実施例のサージ抑制ユニット組み合せ体1の構造を同様の図1(イ)の模式図に示す。第1実施例のサージ抑制ユニット組み合せ体は、導体の上に絶縁体を被覆した1条又は複数条の絶縁心線からなるサージ抑制体を、ユニット内に所定長を巻き込み又はユニット内に所定長設け、前記ユニット内にシールドを施したもの(図示せず)或いは非シールドのサージ抑制ユニットを複数個並列に接続することにより、サージ効果を上げたサージ抑制ユニット組み合せ体である。現場布設変更等の状況により、サージ効果を上げたい場合には、ユニットを並列接続し、ユニット側の特性ImpをZunit(Ω)/2とすることにより、サージ効果を上げることができる。
【0012】
第4実施例は、第2実施例、第3実施例のサージ抑制体の導体の上に図1(ハ)に示すように、高誘電率絶縁体及び又は高誘電体損失絶縁体からなる1条又は複数条の絶縁心線を施し、更に、その上にシールドを施し、その上にシースを施したサージ抑制ユニット組み合せ体である。
【0013】
第5実施例は、図面を省略するが、第2実施例、第3実施例のサージ抑制体の上に、更にシールドを施し、その上にシースを施したサージ抑制ユニット組み合せ体である。
【0014】
第6実施例も、図面を省略するが、実施例2、実施例3のサージ抑制体の導体自体を、高域ノイズ劣化を促進し、抵抗増加とインダクタンスを増加させる為に導電材又はめっきで被覆したサージ抑制ユニット組み合せ体である。
【0015】
第7実施例は、図1(ハ)に示すように、実施例2、実施例3のサージ抑制ユニットの外側を開放させて端子台を設け、直列接続を容易にするサージ抑制ユニット組み合せ体である。
【0016】
次に、本発明の第2実施例である50mユニット2個を直列に接続した場合と100mユニットを単体接続した場合のサージ波形比較結果を以下の表1に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
このことから、本発明の第2実施例である50mユニット2個を直列に接続した場合も100mユニットを単体接続した場合と同様な効果が得られていることがわかる。
次に、モータ駆動ケーブルがシールド型の場合で、本発明の第3実施例である100mユニットを2個並列に接続した場合と100mユニットを単体接続した場合のサージ発生比較結果を以下の表2に示す。
【0019】
【表2】

【0020】
このことから、本発明の第3実施例である並列接続の場合、抑制効果が改善されており、モータ駆動ケーブルの低Imp対策がなされていることがわかる。
次に、本発明の第3実施例である50mユニット2個を並列に接続した場合と50mユニットを単体接続した場合のサージ発生比較結果を以下の表3に示す。
【表3】

【0021】
このことから、本発明の第3実施例である50mユニット2個を並列に接続した場合は、50mユニットを単体接続した場合よりサージ抑制効果が大きいことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の実施例では、1条と3条の絶縁心線を代表例に取って説明したが、絶縁心線の条数は、これに限るものではない。また、シースの材料としては、代表的なPVCを、シールドとしては代表的な編組シールドを、高誘電率と高誘電体損失を併せ持った絶縁材料として代表的な弗化ビニリデンを挙げたが、これに限るものではない。更に、信号導体のめっきの場合、Niを適用材料として取り上げたが、これに限るものではない。また、本発明のサージ抑制ユニット組み合せ体について、TP(ツイストペア)線のように多少の変形をしたもの同士でも構わない。ここではケーブルを対象としたが、他の伝送媒体、例えばFPCやラミネートテープ電線のストリップライン等でも同様な効果を出すことが可能である。また、本部品の応用範囲としては、高インピダンス負荷の代表的な例としてのモータに限らず、照明や電源切り替え時のサージ抑制や高速伝送ラインへの適用も可能になり、応用範囲は広い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(イ)は、本発明のサージ抑制ユニット2を複数個直列又は並列に接続したサージ抑制ユニット組み合せ体1の模式図である。(ロ)は、本発明のサージ抑制ユニット組み合せ体1A、1Bの接続構成の説明図である。(ハ)は、本発明のサージ抑制体3とサージ抑制ユニット2の代表例についての説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1A、1B 本発明のサージ抑制ユニット組み合せ体
2 サージ抑制ユニット
3 サージ抑制体
4 導体
5 高誘電率絶縁体及び又は高誘電体損失絶縁体
7 シールド
8 シース
9 駆動用伝送路
10 駆動回路
11 高インピーダンス負荷ユニット(適用例モータ)
12 端子台
13 外側ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用伝送路のインピーダンスと高インピーダンス負荷ユニットのインピーダンスミスマッチによりサージが発生する駆動用伝送路において、高インピーダンス負荷ユニット側に、並列にサージ抑制ユニット組み合せ体を接続し、終端を高インピーダンスにしたことを特徴とするサージ抑制ユニット組み合せ体。
【請求項2】
請求項1のサージ抑制ユニット組み合せ体は、導体の上に絶縁体を被覆した1条又は複数条の絶縁心線からなるサージ抑制体を、ユニット内に所定長を巻き込み又はユニット内に所定長設け、前記ユニット内にシールドを施したもの或いは非シールドのサージ抑制ユニットを複数個直列に接続することにより、所望とするケーブル長に対応可能にしたことを特徴とするサージ抑制ユニット組み合せ体。
【請求項3】
請求項1のサージ抑制ユニット組み合せ体は、導体の上に絶縁体を被覆した1条又は複数条の絶縁心線からなるサージ抑制体を、ユニット内に所定長を巻き込み又はユニット内に所定長設け、前記ユニット内にシールドを施したもの或いは非シールドのサージ抑制ユニットを複数個並列に接続することにより、サージ効果を上げたことを特徴とするサージ抑制ユニット組み合せ体。
【請求項4】
請求項2、3のサージ抑制体の導体の上に高誘電率絶縁体及び又は高誘電体損失絶縁体からなる1条又は複数条の絶縁心線を施し、更に、その上にシールドを施し、その上にシースを施したことを特徴とするサージ抑制ユニット組み合せ体。
【請求項5】
請求項2、3のサージ抑制体の上に、更にシールドを施し、その上にシースを施したことを特徴とするサージ抑制ユニット組み合せ体。
【請求項6】
請求項2、3のサージ抑制体の導体自体を、高域ノイズ劣化を促進し、抵抗増加とインダクタンスを増加させる為に導電材又はめっきで被覆したことを特徴とするサージ抑制ユニット組み合せ体。
【請求項7】
請求項2、3のサージ抑制ユニット開放端側に端子台を設け、複数ユニットの直列接続を容易にすることを特徴とするサージ抑制ユニット組み合せ体。

【図1】
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