サーバ装置、通信サービス提供方法、及びプログラム
【課題】端末装置が、他人のために通知データをサーバ装置に送信するシステムにおいて、サーバ装置が、端末装置から受信する不正なデータを識別し、不正利用を防止する。
【解決手段】無線端末から検証用データを含む通知データ送信依頼を受信する端末装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置において、前記通知データ送信依頼を受信した前記端末装置から、前記検証用データを含む通知データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した通知データに含まれる検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データであるか否かを検証する検証手段と、前記検証手段により、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定された場合に、前記端末装置のユーザに対して、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行う課金手段と、を備える。
【解決手段】無線端末から検証用データを含む通知データ送信依頼を受信する端末装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置において、前記通知データ送信依頼を受信した前記端末装置から、前記検証用データを含む通知データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した通知データに含まれる検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データであるか否かを検証する検証手段と、前記検証手段により、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定された場合に、前記端末装置のユーザに対して、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行う課金手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被監視者が保持する無線端末から位置送信依頼を受信した他人の端末装置が、位置情報を含む通知データをセンター装置に送信する場合において、当該他人の端末装置のユーザに対して、通信料金や電気料金、あるいは端末装置で使用されるアプリケーションの費用等の通信に関わるコストを割り引くための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の犯罪の増加に伴い、幼児・児童等の被監視者が犯罪に巻き込まれないように、常に被監視者の位置を把握できるようにしたり、犯罪に巻き込まれた場合に、すばやく被監視者の位置を確認することを可能とした様々なシステムが提案されている。
【0003】
このようなシステムとして、例えば、小型無線端末を被監視者に保持させておき、小型無線端末が定期的に信号を発信し、端末装置(例えば、自宅のPC端末、親が所有する携帯端末等)が、小型無線端末から信号を受信している間は被監視者が近くにいると判断し、信号の受信が途切れた場合に、被監視者が近くにいなくなったと判断して、その旨の通知を行うシステムがある。
【0004】
また、被監視者が自宅から離れた場合に、被監視者の近くにある端末装置(他人が所有する携帯端末等)が、被監視者が保持する小型無線端末から発信される信号(位置送信依頼)を受信することにより、当該端末装置が、自身の位置情報を被監視者の位置情報として所定のサーバ装置(センター装置等)に通信ネットワークを介して送信するシステムも提案されている。このようなシステムによれば、被監視者がGPS装置付きの高性能な機器を保持していなくても、容易に身に付けられる小型無線端末を保持するだけで、広範囲にわたって被監視者の位置を把握することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-293519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のシステムのように、被監視者にとっての他人の端末装置が、位置情報を通信ネットワークを介して送信する場合、当該端末装置の保有者は、他人のためにデータを送信することになり、何の対処もしないとすれば、端末装置の保有者が、他人の用に供するデータ送信のためのコスト(通信料金や電気料金、もしくは、端末装置で使用されるアプリケーションの費用等の通信に関わるコスト)を負担することになる。
【0007】
しかし、このように、端末装置の保有者が、他人のデータ送信のための通信に関わるコストを負担することになると、上記のようなシステムにおける端末装置の保有者になろうとするインセンティブが働かず、被監視者を広範に保護可能な上記システムの普及が妨げられてしまう。
【0008】
そこで、端末装置が、他人の小型無線端末からの信号受信により、位置情報を送信した場合には、上記通信に関わるコストを、当該端末装置の保有者に課さないことが考えられる。そのために、当該保有者に課される通信料金(携帯電話網でのパケット通信料金等)等の上記通信に関わるコストを、上記システムを運営するサービス提供者が負担することにより、実質的に端末装置の保有者に対する通信に関わるコストを割り引くことが考えられる。
【0009】
ところで、ほとんどの通信事業者において、パケット通信料金に上限額を定め、上限額に達するまでは通信したパケット量見合いでパケット通信料金が増加し、上限額に達した以降は、パケット通信を行ってもパケット通信料金が増加しない料金プランが提供されている。
【0010】
ここで、他人である被監視者のために位置情報通知を行う端末装置の保有者に対して、サービス提供者が通信料金等の通信に関わるコストの負担を行うようにした場合、当該保有者は、上記のような料金プランを悪用することを意図して、実際の被監視者の位置情報通知であると見せかけるために偽造したデータや、過去にセンターに送信したデータを、再度センターに送信する可能性がある。すなわち、当該保有者は、パケット通信料金の上限額までサービス提供者に通信に関わるコストを負担させ、それ以降は、実質的に無料で自分のためのパケット通信を行う恐れがある。
【0011】
上記のように料金プランを悪用したパケット通信料金に関わる不正ばかりでなく、その他の通信に関わるコストをサービス提供者に負担させるために、過去にセンターに送信したデータを、再度センターに送信する不正が行われることも考えられる。
【0012】
このような行為は、位置情報提供サービスのサービス提供者にとって無駄なコストの負担となるばかりでなく、センター側において、被監視者の正しい位置を把握し、迅速に通知するという本来の処理動作を実行する上での妨げになる可能性もある。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、端末装置が、他人のために通知データをサーバ装置に送信するシステムにおいて、サーバ装置が、端末装置から受信する不正なデータを識別し、不正利用を防止するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明は、無線端末から検証用データを含む通知データ送信依頼を受信する端末装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置であって、前記通知データ送信依頼を受信した前記端末装置から、前記検証用データを含む通知データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した通知データに含まれる検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データであるか否かを検証する検証手段と、前記検証手段により、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定された場合に、前記端末装置のユーザに対して、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行う課金手段とを備えることを特徴とするサーバ装置として構成される。
【0015】
前記サーバ装置は、前記無線端末から送信され、前記端末装置を介して通知された検証用データを格納する検証用データ格納手段を備え、前記検証手段は、前記受信手段により受信した前記検証用データと同じ検証用データが、前記検証用データ格納手段に格納されていない場合に、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定するようにしてもよい。
【0016】
また、前記検証用データ格納手段は、現在から一定時間だけ過去にわたる所定の期間に受信した検証用データを格納し、前記検証手段は、前記検証用データと同じ検証用データが、前記検証用データ格納手段に格納されておらず、なおかつ、前記検証用データが、前記検証用データ格納手段に格納されている検証用データの中で最も古い検証用データよりも古くないことを確認した場合に、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定するようにしてもよい。
【0017】
また、前記課金手段は、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定され、なおかつ、前記検証用データの送信元の無線端末のユーザと、前記端末装置のユーザとが異なる場合に、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行うこととしてもよい。
【0018】
また、前記課金手段は、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理として、前記通知データの通信量に対応するポイントを、前記端末装置のユーザに対して付与する処理を行うこととしてもよい。
【0019】
また、前記検証用データは、前記無線端末において、前記サーバ装置のみが復号化可能なように暗号化されたデータであってもよく、その場合、前記サーバ装置は、受信した通知データに含まれる暗号化された検証用データを復号化する復号化手段を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、端末装置が、他人のために通知データをセンター装置に送信するシステムにおいて、センター装置が、端末装置から受信する不正なデータを識別し、不正利用を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る位置情報提供システムの全体構成図である。
【図2】小型無線端末3の機能構成図である。
【図3】端末装置2の機能構成図である。
【図4】センター装置1の機能構成図である。
【図5】小型無線端末3及び端末装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】センター装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】位置情報格納部18に格納されるテーブル情報の一例を示す図である。
【図8】課金情報格納部19に格納されるテーブル情報の一例を示す図である。
【図9】変形例1において、検証用データ格納部17に格納される検証用データの例を示す図である。
【図10】変形例2における端末装置2の機能構成図である。
【図11】変形例2におけるセンター装置1の機能構成図である。
【図12】端末装置位置情報格納部20に格納されるテーブル情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(システム構成)
図1に、本発明の実施の形態に係る位置情報提供システムの全体構成図を示す。図1に示すように、本実施の形態に係る位置情報提供システムは、センター装置1、端末装置2、及び、小型無線端末3を有する。センター装置1、端末装置2は、それぞれ通信ネットワーク4に接続可能であり、通信ネットワーク4を介して他の装置とデータ通信を行うことが可能である。
【0024】
本実施の形態では、端末装置2として携帯端末(携帯電話機、スマートフォン等)を用いることを想定しており、通信ネットワーク4は、携帯電話網とインターネットとが接続された網であることを想定している。
【0025】
ただし、本発明の実施にあたり、端末装置2は携帯端末に限定されるわけではなく、例えば、PC端末であってもよい。また、通信ネットワーク4も、携帯電話網を用いるものに限定されるわけではなく、例えば、無線LANからインターネットにアクセスするようなネットワークであってもよい。以下では、各装置の機能概要について説明し、各装置の動作詳細については、後に説明する。
【0026】
小型無線端末3は、被監視者が保持する端末であり、端末装置2と無線通信が可能な小型の無線端末である。図2に、小型無線端末3の機能構成図を示す。図2に示すように、小型無線端末3は、無線通信部31、位置送信依頼部32、暗号化検証用データ作成部33、及びデータ格納部34を備える。なお、小型無線端末3として、小型でない無線端末を用いることとしてもよい。
【0027】
無線通信部31は、例えばbluetooth等の短距離無線方式により無線通信を行う機能部である。位置送信依頼部32は、位置送信依頼の契機を検出したときに、位置送信依頼信号を作成して、当該位置送信依頼信号を無線通信部31を介して送出する機能部である。暗号化検証用データ作成部33は、センター装置1において正当性検証に用いられる検証用データを作成し、これを暗号化して暗号化検証用データを作成する機能部である。データ格納部34は、暗号鍵と、小型無線端末3を一意に識別するための小型無線端末IDを格納している。
【0028】
端末装置2は、被監視者が保持する小型無線端末3からの位置送信依頼を受けて、通知データをセンター装置1に送信する装置である。図1には、複数の端末装置2が示されており、例えば、これらのうちの1つが、被監視者の親が保有する携帯端末であり、その他が、被監視者にとって他人の携帯端末である。
【0029】
図3に、端末装置2の機能構成図を示す。図3に示すように、端末装置2は、無線通信部21、対ネットワーク通信部22、通知データ作成部23、通知データ送信部24、GPS部25、及びデータ格納部26を備える。
【0030】
無線通信部21は、小型無線端末3における無線通信部3と同様の方式で無線通信を行う機能部である。対ネットワーク通信部22は、通信ネットワーク4を介してデータ通信を行うための機能部である。通知データ作成部23は、小型無線端末3から受信する暗号化検証用データと、GPS部25から取得する位置情報等を含む通知データを作成し、通知データ送信部24は、通知データを、対ネットワーク通信部22を介してセンター装置1に送信する。
【0031】
GPS部25は、GPS衛星から受信する信号を用いて、端末装置2の位置(経度、緯度)を算出する機能部である。本実施の形態における位置情報提供サービスにおいては、この位置の情報が、小型無線端末3を保持する被監視者の位置情報として用いられる。データ格納部26は、端末装置2を一意に識別可能な端末IDを格納している。
【0032】
端末装置2では、上記の機能を実現するためのアプリケーションが動作している。当該アプリケーションは、例えば、位置情報提供サービスのサービス提供者から、有料もしくは無料でユーザに提供されるものである。
【0033】
センター装置4は、端末装置2から通知データを受信し、通知データに基づき、位置情報の提供を行うサーバ装置である。
【0034】
図4に、センター装置1の機能構成図を示す。図4に示すように、センター装置1は、対ネットワーク通信部11、通知データ受信部12、検証用データ復号化部13、データ検証部14、位置情報サービス提供部15、課金処理部16、検証用データ格納部17、位置情報格納部18、課金情報格納部19を備える。
【0035】
対ネットワーク通信部11は、通信ネットワーク4を介してデータ通信を行うための機能部である。通知データ受信部12は、端末装置2から送信された通知データを受信し、通知データに含まれる情報を検証用データ復号化部13に渡す機能部である。検証用データ復号化部13は、暗号化検証用データを復号化して検証用データを取得する等の処理を行う機能部である。データ検証部14は、検証用データの正当性を検証する機能部である。
【0036】
位置情報サービス提供部15は、位置情報を位置情報格納部18に格納するとともに、被監視者の位置情報の通知を行う機能部である。課金処理部16は、端末装置2の保有者に対する通信に関わるコストの負担を行うためのデータを課金情報格納部19に格納する機能部である。検証用データ格納部17、位置情報格納部18、及び課金情報格納部19に格納される情報についてはシステムの動作説明のところで述べる。
【0037】
センター装置1は、例えば、CPUやメモリ等を備えたコンピュータに、各処理に対応するプログラムを実行させることにより実現可能である。当該プログラムは、可搬メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して配布してもよいし、ネットワーク上のサーバからダウンロードすることもできる。
【0038】
また、センター装置1は、1つのコンピュータで実現してもよいし、複数のコンピュータを、ネットワークを介して接続することにより実現してもよい。例えば、複数の格納部のうちの1つ又は複数を、外部のサーバ装置として構成することは、センター装置1を複数のコンピュータで実現する場合の一例である。
【0039】
(システムの動作)
次に、上記構成を有する位置情報提供システムの動作について、図5、図6のフローチャートの手順に沿って説明する。
【0040】
まず、小型無線端末3の位置送信依頼部32は、位置送信依頼信号を送信するタイミングになったことを検知する(ステップ1)。ここで、位置送信依頼信号の送信は、例えば、一定時間間隔に行うこととしてよく、その場合、上記の検知は、前回の位置送信依頼信号の送信から、一定時間が経過したことを検知したことに相当する。
【0041】
もちろん、位置送信依頼信号の送信の契機は、上記以外でもよい。例えば、小型無線端末3が、被監視者が保持する小型無線端末以外の無線端末との通信が一定時間途切れたときに、位置送信依頼信号の送信を行うと判断するようにしてもよい。また、被監視者が、小型無線端末3を操作(例えば、小型無線端末3に備えられたボタンを押す等)することにより、位置送信依頼信号の送信を行ってもよい。
【0042】
位置送信依頼信号を送信するタイミングになると、位置送信依頼部32は、暗号化検証用データ作成部33に対して 暗号化検証用データ作成を指示し、暗号化検証用データ作成部33は暗号化検証用データの作成を行う(ステップ2)。
【0043】
ここでは、まず、暗号化検証用データ作成部33は、検証用データを作成する(ステップ2)。検証用データは、小型無線端末3とセンター装置1のみが把握している規則に従って作成される毎回異なるデータであり、例えば、ワンタイムパスワード、現在時刻を表すタイムスタンプ、予め定めた規則で値が増加していく数列の値等である。
【0044】
続いて、暗号化検証用データ作成部33は、データ格納部34から小型無線端末IDを読み出し、それを検証用データに付加するとともに、検証用データ、もしくは、小型無線端末ID+検証用データに対応したチェックフラグを付加する(ステップ3)。チェックフラグは、例えば、これを付加するデータ部分の誤りや改ざん等をチェック可能な、データ部分から所定の規則で生成されたコードである。また、チェックフラグは、小型無線端末3とセンター装置1のみが知っている所定のコードであってもよい。
【0045】
なお、小型無線端末ID及びチェックフラグを付加することは必ずしも必要でなく、これらを検証用データに付加しなくてもよいが、本実施の形態では付加するものとする。小型無線端末IDを検証用データに付加しない場合、小型無線端末IDは、位置送信依頼信号の中に含められる。
【0046】
続いて、暗号化検証用データ作成部33は、データ格納部34から暗号鍵を読み出し、小型無線端末IDと、チェックフラグと、検証用データとからなるデータを、当該暗号鍵を用いて暗号化し、暗号化検証用データを作成し、作成した暗号化検証用データを位置送信依頼部32に渡す(ステップ4)。ここでの暗号化は、センター装置1のみが復号化可能であるような暗号化である。なお、通信機能としてセキュアな通信方式を用いることができる場合等においては、検証用データを暗号化することは必ずしも必要ではない。
【0047】
位置送信依頼部32は、暗号化検証用データと、位置送信依頼であることを識別するための識別情報とを含む位置送信依頼信号を作成し、無線通信部3を介して無線で送信する(ステップ5)。
【0048】
位置送信依頼信号を受信した端末装置2において、位置送信依頼信号に含まれる上記識別情報により、受信した信号が位置送信依頼信号であることが識別されると、通知データ作成部23が、GPS部25から位置情報を取得するとともに、データ格納部26から端末装置2の端末IDを取得する(ステップ6)。
【0049】
続いて、通知データ作成部23は、位置情報と、端末IDと、位置送信依頼信号から取り出した暗号化検証用データとを含む通知データを作成し(ステップ7)、通知データ送信部24が当該通知データを、対ネットワーク通信部22を介してセンター装置1に送信する(ステップ8)。センター装置1に送信した通知データは、端末装置2において破棄(削除)される。
【0050】
次に、通知データを受信するセンター装置1の処理動作を、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0051】
センター装置1において、通知データ受信部12が、対ネットワーク通信部11を介して通知データを受信し、通知データから、位置情報、端末ID、及び暗号化検証用データを取得して、これらを検証用データ復号化部13に渡す(ステップ9)。
【0052】
検証用データ復号化部13は、暗号化検証用データを復号化して、チェックフラグ、小型無線端末ID、及び検証用データを取得し、これらの情報をデータ検証部14に渡す(ステップ10)。また、検証用データ復号化部13は、課金処理部16や位置情報サービス提供部15で用いられるデータである位置情報、端末ID、及び小型無線端末IDをメモリ等の記憶手段に保持しておく。
【0053】
続いて、データ検証部14は、チェックフラグを用いたデータ検証を行う(ステップ11)。データ検証の結果、データの誤りや改ざんが検出された場合、これ以降の処理を行わない(ステップ12)。また、誤りが検出された検証用データ、位置情報、端末ID、及び小型無線端末IDを、不正データとして、記憶手段に記憶しておくこととしてもよい。
【0054】
チェックフラグを用いたデータ検証の結果、データは正常であると判定された場合、以下の処理が行われる。
【0055】
データ検証部14は、検証用データの正当性をチェックする(ステップ13)。すなわち、データ検証部14は、検証用データが、予め定めた規則に従った値を持つかどうかをチェックする。例えば、検証用データとしてタイムスタンプを利用した場合、検証用データであるタイムスタンプが示す時刻が、センター装置1で計測される現在時刻よりも所定の時間以上前の時刻である場合に、検証用データは過去のデータを再度送信したものであると推定できる。
【0056】
また、検証用データとしてタイムスタンプを用いる場合、小型無線端末ID毎に、直前に受信した検証用データ(タイムスタンプ)(チェック対象の検証用データの前に受信した検証用データ)を検証用データ格納部17に格納しておき、チェック対象である検証用データ(タイムスタンプ)と、検証用データ格納部17に格納されている、該当小型無線端末IDについての直前に受信した検証用データ(タイムスタンプ)とを比較して、チェック対象である検証用データが示す時刻が、直前に受信した検証用データよりも過去の時刻である場合に、チェック対象の検証用データは過去のデータを再度送信したものであると推定できる。
【0057】
また、検証用データとして、予め定めた規則で増加する数列の値を用いる場合、センター装置1では、小型無線端末ID毎に、直前に受信した検証用データ(数字)を検証用データ格納部17に格納しておき、チェック対象である検証用データ(数字)と、検証用データ格納部17に格納されている、該当小型無線端末IDについての直前に受信した検証用データ(数字)とを比較して、チェック対象である検証用データである数字が、直前に受信した検証用データである数字と同じ、もしくはそれ以下の値であれば、チェック対象の検証用データは過去のデータを再度送信したものであると推定できる。
【0058】
上記のように、チェック対象の検証用データは、過去のデータを再度送信したものであると推定される場合、以降の処理を行わない(ステップ12)。また、不正であると推定された検証用データ、位置情報、端末ID、及び小型無線端末IDを、不正データとして、記憶手段に記憶しておくこととしてもよい。
【0059】
ステップ13における正当性チェックの結果、検証用データは正常であると判定された場合、データ検証部14は、チェック対象であった検証用データを、対応する小型無線端末IDに対応付けて検証用データ格納部17に格納する(ステップ14)。ただし、格納された検証用データを用いない検証方法を用いる場合には、チェック対象であった検証用データを検証用データ格納部17に格納することは必ずしも必要ではない。
【0060】
ステップ14の後、位置情報サービス提供部15は、検証用データ復号化部13から、位置情報及び小型無線端末IDを取得して、位置情報を小型無線端末IDに対応付けて位置情報格納部18に格納する(ステップ15)。
【0061】
ここで、位置情報格納部18に格納されるテーブル情報の一例を図7に示す。図7に示すように、位置情報格納部18には、小型無線端末ID毎に、通知先アドレス(メールアドレス、電話番号、IPアドレス等)、及び位置情報が格納される。ここで、小型無線端末IDと通知先アドレスは、予め登録される情報である。
【0062】
図6のステップ16において、位置情報サービス提供部15は、位置情報格納部18に格納された情報を用いて、小型無線端末IDに対応する通知先に、位置情報の通知を行う。また、位置情報格納部18に、過去から現在まで時系列で位置情報を格納しておくことにより、被監視者の移動経路をサービス利用者のPC端末上に地図で表示するといった位置情報サービスも提供可能である。
【0063】
続いて、課金処理部16は、課金情報を課金情報格納部19に格納する(ステップ17)。図8に、課金情報格納部19に格納されるテーブル情報の例を示す。図8に示すように、本実施の形態に係る課金情報格納部19には、位置情報提供サービスの加入者であるユーザのユーザIDと、当該ユーザの端末装置2の端末IDと、当該ユーザの小型無線端末IDと、当該ユーザに対して、位置情報提供サービスのサービス提供者が通信料を負担する対象となるパケット量が記録されている。つまり、図8に記録されたパケット量に対応する通信料の分、サービス提供者が該当ユーザに対して通信料を負担することになる。
【0064】
より詳細には、ステップ17において、課金処理部16は、通知データ受信部12が受信した通知データから通信パケット量を求める。そして、課金処理部16は、図8に示した課金情報格納部19を参照して、検証用データ復号化部13から取得した端末IDに対応するユーザIDの欄(フィールド)を検出し、当該ユーザの小型無線端末IDの中に、検証用データ復号化部13から取得した小型無線端末IDが含まれていない場合に、上記通信パケット量を、当該ユーザに対して既に記録されているパケット量に加算する。
【0065】
上記ユーザの小型無線端末IDの中に、検証用データ復号化部13から取得した小型無線端末IDが含まれていない場合に、パケット量を加算するのは、端末装置2と小型無線端末3が同じユーザ(サービス加入者)のものである場合、通信に関わるコスト負担の対象外としているからである。ただし、例えば、位置情報サービスの提供料金を、通知データ送信の回数見合いにする等の場合には、端末装置2と小型無線端末3が同じユーザ(サービス加入者)である場合でも、通信に関わるコスト負担の対象としてもよい。
【0066】
実際のコスト負担の形態は、特定のものに限定されない。例えば、課金処理部16が、課金情報格納部19に格納されたパケット量に基づき、パケット通信料や電気料金、あるいは端末装置2で動作するアプリケーションの費用等の通信に関わるコストを算出し、当該通信に関わるコストを、割り引くべき料金として通信事業者に通知してもよいし、当該通信に関わるコストを、位置情報サービスの提供料金から割り引くこととしてもよい。また、課金処理部16が、上記通信に関わるコストに対応するポイント数を算出し、そのポイントを該当ユーザに与える(課金情報格納部19にポイントデータとして格納する)こととしてもよい。このポイントは、商品やお金と交換可能なポイントであるものとする。
【0067】
(変形例1)
端末装置2が携帯電話網を介して通信を行う携帯端末である場合や、公衆の無線LANを用いて通信を行う携帯端末である場合において、当該端末装置2が小型無線端末3から位置送信依頼を受信したときに、通信圏外である場合があり得る。
【0068】
そのような場合、端末装置2が、通信圏内に入ったときに、上記位置送信依頼に基づく通知データを作成、送信する方式をとることが考えられる。しかし、このような方式を採用した場合、これまでに説明した処理方法では、端末装置2が正しい通知データをセンター装置1に送信したとしても、センター装置1において、過去のデータを再送信したものであると判断してしまう可能性がある。このような問題を生じないようにするための処理方法を変形例1として説明する。以下では、これまでに説明した処理方法と異なる点を中心に説明する。
【0069】
変形例1においては、センター装置1のデータ検証部14は、受信した検証用データを、小型無線端末ID毎に全て検証用データ格納部17に格納する。変形例1において、検証用データ格納部17に格納される検証用データの例を図9に示す。
【0070】
そして、データ検証部14は、新たに受信する通知データから得られたチェック対象の検証用データが、検証用データ格納部17の中の該当小型無線端末IDの欄に含まれているかどうかをチェックする。含まれている場合、チェック対象の検証用データは、過去に受信したことがあるものであるから、不正なデータであると推定できる。
【0071】
また、端末装置2において、通信圏外等で、一定時間以上(例えば1週間)送信できなかった通知データに関しては、センター装置1に送信せずに破棄する機能を備えるとともに、センター装置1においては、全ての検証用データを格納するのではなく、現在から上記一定時間だけ過去のものまでの検証用データを格納するようにしてもよい。このように構成することにより、正当な機能を有する端末装置2は、センター装置1に蓄積される検証用データよりも古いデータを持つことができないから、当然にセンター装置1に蓄積される検証用データよりも古いデータを送信することはできない。
【0072】
上記のように構成することで、データ検証部14は、チェック対象の検証用データが、"検証用データ格納部17の中に記録されておらず、なおかつ、検証用データ格納部17の中に記録されている検証用データのうちの最も古い値よりも古い値でない"ことをチェックすることにより、正当なデータを確実に判別可能としながら、検証用データ格納部17に格納するデータ量を削減できる。すなわち、この場合、チェック対象の検証用データが、検証用データ格納部17の中に記録されていれば不正なデータ(過去のデータ)であると判断でき、また、チェック対象の検証用データが、検証用データ格納部17の中に記録されていないが、記録されている検証用データのうちの最も古い値よりも古い値である場合にも、不正なデータ(過去のデータ)であると判断できる。
【0073】
(変形例2)
これまでに説明した例では、端末装置2がGPS部25を備え、端末装置2がセンター装置1に位置情報を送ることとしていたが、端末装置2としてデスクトップPC等の一定の場所(自宅等)で使用される端末を用いる場合等を考慮して、端末装置2にGPS部25を備えずに、位置情報サービスを実現することも可能である。
【0074】
この場合の端末装置2の機能構成図を図10に示す。図10に示すように、本例では、GPS部25を備えていない。図11に、本例でのセンター装置1の機能構成図を示す。図11に示すように、本例では、端末装置位置情報格納部20を備えている。
【0075】
図12に、端末装置位置情報格納部20に格納される情報の例を示す。図12に示すように、端末装置位置情報格納部20には、端末IDと、当該端末IDを持つ端末装置2の位置情報とが対応付けて格納されている。これらの情報は予め登録しておく情報である。
【0076】
変形例2では、端末装置2は、端末IDと暗号化検証用データを含む通知データを作成し、センター装置1に送信する。センター装置1では、位置情報サービス提供部15が、位置情報を位置情報格納部18に格納する段階において、端末装置位置情報格納部20から、通知データに含まれている端末IDに対応する位置情報を取得し、当該位置情報を小型無線端末IDと対応付けて位置情報格納部18に格納する。
【0077】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。例えば、本発明の実施の形態では、本発明を位置情報提供サービスに適用する場合の例を説明したが、本発明は、位置情報提供サービスに限らず、他人のために端末装置からデータ送信を行う通信サービスであればどのような通信サービスに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 センター装置
11 対ネットワーク通信部
12 通知データ受信部
13 検証用データ復号化部
14 データ検証部
15 位置情報サービス提供部
16 課金処理部
17 検証用データ格納部
18 位置情報格納部
19 課金情報格納部
20 端末装置位置情報格納部
2 端末装置
21 無線通信部
22 対ネットワーク通信部
23 通知データ作成部
24 通知データ送信部
25 GPS部
26 データ格納部
3 小型無線端末
31 無線通信部
32 位置送信依頼部
33 暗号化検証用データ作成部
34 データ格納部
4 通信ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、被監視者が保持する無線端末から位置送信依頼を受信した他人の端末装置が、位置情報を含む通知データをセンター装置に送信する場合において、当該他人の端末装置のユーザに対して、通信料金や電気料金、あるいは端末装置で使用されるアプリケーションの費用等の通信に関わるコストを割り引くための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の犯罪の増加に伴い、幼児・児童等の被監視者が犯罪に巻き込まれないように、常に被監視者の位置を把握できるようにしたり、犯罪に巻き込まれた場合に、すばやく被監視者の位置を確認することを可能とした様々なシステムが提案されている。
【0003】
このようなシステムとして、例えば、小型無線端末を被監視者に保持させておき、小型無線端末が定期的に信号を発信し、端末装置(例えば、自宅のPC端末、親が所有する携帯端末等)が、小型無線端末から信号を受信している間は被監視者が近くにいると判断し、信号の受信が途切れた場合に、被監視者が近くにいなくなったと判断して、その旨の通知を行うシステムがある。
【0004】
また、被監視者が自宅から離れた場合に、被監視者の近くにある端末装置(他人が所有する携帯端末等)が、被監視者が保持する小型無線端末から発信される信号(位置送信依頼)を受信することにより、当該端末装置が、自身の位置情報を被監視者の位置情報として所定のサーバ装置(センター装置等)に通信ネットワークを介して送信するシステムも提案されている。このようなシステムによれば、被監視者がGPS装置付きの高性能な機器を保持していなくても、容易に身に付けられる小型無線端末を保持するだけで、広範囲にわたって被監視者の位置を把握することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-293519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のシステムのように、被監視者にとっての他人の端末装置が、位置情報を通信ネットワークを介して送信する場合、当該端末装置の保有者は、他人のためにデータを送信することになり、何の対処もしないとすれば、端末装置の保有者が、他人の用に供するデータ送信のためのコスト(通信料金や電気料金、もしくは、端末装置で使用されるアプリケーションの費用等の通信に関わるコスト)を負担することになる。
【0007】
しかし、このように、端末装置の保有者が、他人のデータ送信のための通信に関わるコストを負担することになると、上記のようなシステムにおける端末装置の保有者になろうとするインセンティブが働かず、被監視者を広範に保護可能な上記システムの普及が妨げられてしまう。
【0008】
そこで、端末装置が、他人の小型無線端末からの信号受信により、位置情報を送信した場合には、上記通信に関わるコストを、当該端末装置の保有者に課さないことが考えられる。そのために、当該保有者に課される通信料金(携帯電話網でのパケット通信料金等)等の上記通信に関わるコストを、上記システムを運営するサービス提供者が負担することにより、実質的に端末装置の保有者に対する通信に関わるコストを割り引くことが考えられる。
【0009】
ところで、ほとんどの通信事業者において、パケット通信料金に上限額を定め、上限額に達するまでは通信したパケット量見合いでパケット通信料金が増加し、上限額に達した以降は、パケット通信を行ってもパケット通信料金が増加しない料金プランが提供されている。
【0010】
ここで、他人である被監視者のために位置情報通知を行う端末装置の保有者に対して、サービス提供者が通信料金等の通信に関わるコストの負担を行うようにした場合、当該保有者は、上記のような料金プランを悪用することを意図して、実際の被監視者の位置情報通知であると見せかけるために偽造したデータや、過去にセンターに送信したデータを、再度センターに送信する可能性がある。すなわち、当該保有者は、パケット通信料金の上限額までサービス提供者に通信に関わるコストを負担させ、それ以降は、実質的に無料で自分のためのパケット通信を行う恐れがある。
【0011】
上記のように料金プランを悪用したパケット通信料金に関わる不正ばかりでなく、その他の通信に関わるコストをサービス提供者に負担させるために、過去にセンターに送信したデータを、再度センターに送信する不正が行われることも考えられる。
【0012】
このような行為は、位置情報提供サービスのサービス提供者にとって無駄なコストの負担となるばかりでなく、センター側において、被監視者の正しい位置を把握し、迅速に通知するという本来の処理動作を実行する上での妨げになる可能性もある。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、端末装置が、他人のために通知データをサーバ装置に送信するシステムにおいて、サーバ装置が、端末装置から受信する不正なデータを識別し、不正利用を防止するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明は、無線端末から検証用データを含む通知データ送信依頼を受信する端末装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置であって、前記通知データ送信依頼を受信した前記端末装置から、前記検証用データを含む通知データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した通知データに含まれる検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データであるか否かを検証する検証手段と、前記検証手段により、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定された場合に、前記端末装置のユーザに対して、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行う課金手段とを備えることを特徴とするサーバ装置として構成される。
【0015】
前記サーバ装置は、前記無線端末から送信され、前記端末装置を介して通知された検証用データを格納する検証用データ格納手段を備え、前記検証手段は、前記受信手段により受信した前記検証用データと同じ検証用データが、前記検証用データ格納手段に格納されていない場合に、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定するようにしてもよい。
【0016】
また、前記検証用データ格納手段は、現在から一定時間だけ過去にわたる所定の期間に受信した検証用データを格納し、前記検証手段は、前記検証用データと同じ検証用データが、前記検証用データ格納手段に格納されておらず、なおかつ、前記検証用データが、前記検証用データ格納手段に格納されている検証用データの中で最も古い検証用データよりも古くないことを確認した場合に、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定するようにしてもよい。
【0017】
また、前記課金手段は、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定され、なおかつ、前記検証用データの送信元の無線端末のユーザと、前記端末装置のユーザとが異なる場合に、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行うこととしてもよい。
【0018】
また、前記課金手段は、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理として、前記通知データの通信量に対応するポイントを、前記端末装置のユーザに対して付与する処理を行うこととしてもよい。
【0019】
また、前記検証用データは、前記無線端末において、前記サーバ装置のみが復号化可能なように暗号化されたデータであってもよく、その場合、前記サーバ装置は、受信した通知データに含まれる暗号化された検証用データを復号化する復号化手段を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、端末装置が、他人のために通知データをセンター装置に送信するシステムにおいて、センター装置が、端末装置から受信する不正なデータを識別し、不正利用を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る位置情報提供システムの全体構成図である。
【図2】小型無線端末3の機能構成図である。
【図3】端末装置2の機能構成図である。
【図4】センター装置1の機能構成図である。
【図5】小型無線端末3及び端末装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】センター装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】位置情報格納部18に格納されるテーブル情報の一例を示す図である。
【図8】課金情報格納部19に格納されるテーブル情報の一例を示す図である。
【図9】変形例1において、検証用データ格納部17に格納される検証用データの例を示す図である。
【図10】変形例2における端末装置2の機能構成図である。
【図11】変形例2におけるセンター装置1の機能構成図である。
【図12】端末装置位置情報格納部20に格納されるテーブル情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(システム構成)
図1に、本発明の実施の形態に係る位置情報提供システムの全体構成図を示す。図1に示すように、本実施の形態に係る位置情報提供システムは、センター装置1、端末装置2、及び、小型無線端末3を有する。センター装置1、端末装置2は、それぞれ通信ネットワーク4に接続可能であり、通信ネットワーク4を介して他の装置とデータ通信を行うことが可能である。
【0024】
本実施の形態では、端末装置2として携帯端末(携帯電話機、スマートフォン等)を用いることを想定しており、通信ネットワーク4は、携帯電話網とインターネットとが接続された網であることを想定している。
【0025】
ただし、本発明の実施にあたり、端末装置2は携帯端末に限定されるわけではなく、例えば、PC端末であってもよい。また、通信ネットワーク4も、携帯電話網を用いるものに限定されるわけではなく、例えば、無線LANからインターネットにアクセスするようなネットワークであってもよい。以下では、各装置の機能概要について説明し、各装置の動作詳細については、後に説明する。
【0026】
小型無線端末3は、被監視者が保持する端末であり、端末装置2と無線通信が可能な小型の無線端末である。図2に、小型無線端末3の機能構成図を示す。図2に示すように、小型無線端末3は、無線通信部31、位置送信依頼部32、暗号化検証用データ作成部33、及びデータ格納部34を備える。なお、小型無線端末3として、小型でない無線端末を用いることとしてもよい。
【0027】
無線通信部31は、例えばbluetooth等の短距離無線方式により無線通信を行う機能部である。位置送信依頼部32は、位置送信依頼の契機を検出したときに、位置送信依頼信号を作成して、当該位置送信依頼信号を無線通信部31を介して送出する機能部である。暗号化検証用データ作成部33は、センター装置1において正当性検証に用いられる検証用データを作成し、これを暗号化して暗号化検証用データを作成する機能部である。データ格納部34は、暗号鍵と、小型無線端末3を一意に識別するための小型無線端末IDを格納している。
【0028】
端末装置2は、被監視者が保持する小型無線端末3からの位置送信依頼を受けて、通知データをセンター装置1に送信する装置である。図1には、複数の端末装置2が示されており、例えば、これらのうちの1つが、被監視者の親が保有する携帯端末であり、その他が、被監視者にとって他人の携帯端末である。
【0029】
図3に、端末装置2の機能構成図を示す。図3に示すように、端末装置2は、無線通信部21、対ネットワーク通信部22、通知データ作成部23、通知データ送信部24、GPS部25、及びデータ格納部26を備える。
【0030】
無線通信部21は、小型無線端末3における無線通信部3と同様の方式で無線通信を行う機能部である。対ネットワーク通信部22は、通信ネットワーク4を介してデータ通信を行うための機能部である。通知データ作成部23は、小型無線端末3から受信する暗号化検証用データと、GPS部25から取得する位置情報等を含む通知データを作成し、通知データ送信部24は、通知データを、対ネットワーク通信部22を介してセンター装置1に送信する。
【0031】
GPS部25は、GPS衛星から受信する信号を用いて、端末装置2の位置(経度、緯度)を算出する機能部である。本実施の形態における位置情報提供サービスにおいては、この位置の情報が、小型無線端末3を保持する被監視者の位置情報として用いられる。データ格納部26は、端末装置2を一意に識別可能な端末IDを格納している。
【0032】
端末装置2では、上記の機能を実現するためのアプリケーションが動作している。当該アプリケーションは、例えば、位置情報提供サービスのサービス提供者から、有料もしくは無料でユーザに提供されるものである。
【0033】
センター装置4は、端末装置2から通知データを受信し、通知データに基づき、位置情報の提供を行うサーバ装置である。
【0034】
図4に、センター装置1の機能構成図を示す。図4に示すように、センター装置1は、対ネットワーク通信部11、通知データ受信部12、検証用データ復号化部13、データ検証部14、位置情報サービス提供部15、課金処理部16、検証用データ格納部17、位置情報格納部18、課金情報格納部19を備える。
【0035】
対ネットワーク通信部11は、通信ネットワーク4を介してデータ通信を行うための機能部である。通知データ受信部12は、端末装置2から送信された通知データを受信し、通知データに含まれる情報を検証用データ復号化部13に渡す機能部である。検証用データ復号化部13は、暗号化検証用データを復号化して検証用データを取得する等の処理を行う機能部である。データ検証部14は、検証用データの正当性を検証する機能部である。
【0036】
位置情報サービス提供部15は、位置情報を位置情報格納部18に格納するとともに、被監視者の位置情報の通知を行う機能部である。課金処理部16は、端末装置2の保有者に対する通信に関わるコストの負担を行うためのデータを課金情報格納部19に格納する機能部である。検証用データ格納部17、位置情報格納部18、及び課金情報格納部19に格納される情報についてはシステムの動作説明のところで述べる。
【0037】
センター装置1は、例えば、CPUやメモリ等を備えたコンピュータに、各処理に対応するプログラムを実行させることにより実現可能である。当該プログラムは、可搬メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して配布してもよいし、ネットワーク上のサーバからダウンロードすることもできる。
【0038】
また、センター装置1は、1つのコンピュータで実現してもよいし、複数のコンピュータを、ネットワークを介して接続することにより実現してもよい。例えば、複数の格納部のうちの1つ又は複数を、外部のサーバ装置として構成することは、センター装置1を複数のコンピュータで実現する場合の一例である。
【0039】
(システムの動作)
次に、上記構成を有する位置情報提供システムの動作について、図5、図6のフローチャートの手順に沿って説明する。
【0040】
まず、小型無線端末3の位置送信依頼部32は、位置送信依頼信号を送信するタイミングになったことを検知する(ステップ1)。ここで、位置送信依頼信号の送信は、例えば、一定時間間隔に行うこととしてよく、その場合、上記の検知は、前回の位置送信依頼信号の送信から、一定時間が経過したことを検知したことに相当する。
【0041】
もちろん、位置送信依頼信号の送信の契機は、上記以外でもよい。例えば、小型無線端末3が、被監視者が保持する小型無線端末以外の無線端末との通信が一定時間途切れたときに、位置送信依頼信号の送信を行うと判断するようにしてもよい。また、被監視者が、小型無線端末3を操作(例えば、小型無線端末3に備えられたボタンを押す等)することにより、位置送信依頼信号の送信を行ってもよい。
【0042】
位置送信依頼信号を送信するタイミングになると、位置送信依頼部32は、暗号化検証用データ作成部33に対して 暗号化検証用データ作成を指示し、暗号化検証用データ作成部33は暗号化検証用データの作成を行う(ステップ2)。
【0043】
ここでは、まず、暗号化検証用データ作成部33は、検証用データを作成する(ステップ2)。検証用データは、小型無線端末3とセンター装置1のみが把握している規則に従って作成される毎回異なるデータであり、例えば、ワンタイムパスワード、現在時刻を表すタイムスタンプ、予め定めた規則で値が増加していく数列の値等である。
【0044】
続いて、暗号化検証用データ作成部33は、データ格納部34から小型無線端末IDを読み出し、それを検証用データに付加するとともに、検証用データ、もしくは、小型無線端末ID+検証用データに対応したチェックフラグを付加する(ステップ3)。チェックフラグは、例えば、これを付加するデータ部分の誤りや改ざん等をチェック可能な、データ部分から所定の規則で生成されたコードである。また、チェックフラグは、小型無線端末3とセンター装置1のみが知っている所定のコードであってもよい。
【0045】
なお、小型無線端末ID及びチェックフラグを付加することは必ずしも必要でなく、これらを検証用データに付加しなくてもよいが、本実施の形態では付加するものとする。小型無線端末IDを検証用データに付加しない場合、小型無線端末IDは、位置送信依頼信号の中に含められる。
【0046】
続いて、暗号化検証用データ作成部33は、データ格納部34から暗号鍵を読み出し、小型無線端末IDと、チェックフラグと、検証用データとからなるデータを、当該暗号鍵を用いて暗号化し、暗号化検証用データを作成し、作成した暗号化検証用データを位置送信依頼部32に渡す(ステップ4)。ここでの暗号化は、センター装置1のみが復号化可能であるような暗号化である。なお、通信機能としてセキュアな通信方式を用いることができる場合等においては、検証用データを暗号化することは必ずしも必要ではない。
【0047】
位置送信依頼部32は、暗号化検証用データと、位置送信依頼であることを識別するための識別情報とを含む位置送信依頼信号を作成し、無線通信部3を介して無線で送信する(ステップ5)。
【0048】
位置送信依頼信号を受信した端末装置2において、位置送信依頼信号に含まれる上記識別情報により、受信した信号が位置送信依頼信号であることが識別されると、通知データ作成部23が、GPS部25から位置情報を取得するとともに、データ格納部26から端末装置2の端末IDを取得する(ステップ6)。
【0049】
続いて、通知データ作成部23は、位置情報と、端末IDと、位置送信依頼信号から取り出した暗号化検証用データとを含む通知データを作成し(ステップ7)、通知データ送信部24が当該通知データを、対ネットワーク通信部22を介してセンター装置1に送信する(ステップ8)。センター装置1に送信した通知データは、端末装置2において破棄(削除)される。
【0050】
次に、通知データを受信するセンター装置1の処理動作を、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0051】
センター装置1において、通知データ受信部12が、対ネットワーク通信部11を介して通知データを受信し、通知データから、位置情報、端末ID、及び暗号化検証用データを取得して、これらを検証用データ復号化部13に渡す(ステップ9)。
【0052】
検証用データ復号化部13は、暗号化検証用データを復号化して、チェックフラグ、小型無線端末ID、及び検証用データを取得し、これらの情報をデータ検証部14に渡す(ステップ10)。また、検証用データ復号化部13は、課金処理部16や位置情報サービス提供部15で用いられるデータである位置情報、端末ID、及び小型無線端末IDをメモリ等の記憶手段に保持しておく。
【0053】
続いて、データ検証部14は、チェックフラグを用いたデータ検証を行う(ステップ11)。データ検証の結果、データの誤りや改ざんが検出された場合、これ以降の処理を行わない(ステップ12)。また、誤りが検出された検証用データ、位置情報、端末ID、及び小型無線端末IDを、不正データとして、記憶手段に記憶しておくこととしてもよい。
【0054】
チェックフラグを用いたデータ検証の結果、データは正常であると判定された場合、以下の処理が行われる。
【0055】
データ検証部14は、検証用データの正当性をチェックする(ステップ13)。すなわち、データ検証部14は、検証用データが、予め定めた規則に従った値を持つかどうかをチェックする。例えば、検証用データとしてタイムスタンプを利用した場合、検証用データであるタイムスタンプが示す時刻が、センター装置1で計測される現在時刻よりも所定の時間以上前の時刻である場合に、検証用データは過去のデータを再度送信したものであると推定できる。
【0056】
また、検証用データとしてタイムスタンプを用いる場合、小型無線端末ID毎に、直前に受信した検証用データ(タイムスタンプ)(チェック対象の検証用データの前に受信した検証用データ)を検証用データ格納部17に格納しておき、チェック対象である検証用データ(タイムスタンプ)と、検証用データ格納部17に格納されている、該当小型無線端末IDについての直前に受信した検証用データ(タイムスタンプ)とを比較して、チェック対象である検証用データが示す時刻が、直前に受信した検証用データよりも過去の時刻である場合に、チェック対象の検証用データは過去のデータを再度送信したものであると推定できる。
【0057】
また、検証用データとして、予め定めた規則で増加する数列の値を用いる場合、センター装置1では、小型無線端末ID毎に、直前に受信した検証用データ(数字)を検証用データ格納部17に格納しておき、チェック対象である検証用データ(数字)と、検証用データ格納部17に格納されている、該当小型無線端末IDについての直前に受信した検証用データ(数字)とを比較して、チェック対象である検証用データである数字が、直前に受信した検証用データである数字と同じ、もしくはそれ以下の値であれば、チェック対象の検証用データは過去のデータを再度送信したものであると推定できる。
【0058】
上記のように、チェック対象の検証用データは、過去のデータを再度送信したものであると推定される場合、以降の処理を行わない(ステップ12)。また、不正であると推定された検証用データ、位置情報、端末ID、及び小型無線端末IDを、不正データとして、記憶手段に記憶しておくこととしてもよい。
【0059】
ステップ13における正当性チェックの結果、検証用データは正常であると判定された場合、データ検証部14は、チェック対象であった検証用データを、対応する小型無線端末IDに対応付けて検証用データ格納部17に格納する(ステップ14)。ただし、格納された検証用データを用いない検証方法を用いる場合には、チェック対象であった検証用データを検証用データ格納部17に格納することは必ずしも必要ではない。
【0060】
ステップ14の後、位置情報サービス提供部15は、検証用データ復号化部13から、位置情報及び小型無線端末IDを取得して、位置情報を小型無線端末IDに対応付けて位置情報格納部18に格納する(ステップ15)。
【0061】
ここで、位置情報格納部18に格納されるテーブル情報の一例を図7に示す。図7に示すように、位置情報格納部18には、小型無線端末ID毎に、通知先アドレス(メールアドレス、電話番号、IPアドレス等)、及び位置情報が格納される。ここで、小型無線端末IDと通知先アドレスは、予め登録される情報である。
【0062】
図6のステップ16において、位置情報サービス提供部15は、位置情報格納部18に格納された情報を用いて、小型無線端末IDに対応する通知先に、位置情報の通知を行う。また、位置情報格納部18に、過去から現在まで時系列で位置情報を格納しておくことにより、被監視者の移動経路をサービス利用者のPC端末上に地図で表示するといった位置情報サービスも提供可能である。
【0063】
続いて、課金処理部16は、課金情報を課金情報格納部19に格納する(ステップ17)。図8に、課金情報格納部19に格納されるテーブル情報の例を示す。図8に示すように、本実施の形態に係る課金情報格納部19には、位置情報提供サービスの加入者であるユーザのユーザIDと、当該ユーザの端末装置2の端末IDと、当該ユーザの小型無線端末IDと、当該ユーザに対して、位置情報提供サービスのサービス提供者が通信料を負担する対象となるパケット量が記録されている。つまり、図8に記録されたパケット量に対応する通信料の分、サービス提供者が該当ユーザに対して通信料を負担することになる。
【0064】
より詳細には、ステップ17において、課金処理部16は、通知データ受信部12が受信した通知データから通信パケット量を求める。そして、課金処理部16は、図8に示した課金情報格納部19を参照して、検証用データ復号化部13から取得した端末IDに対応するユーザIDの欄(フィールド)を検出し、当該ユーザの小型無線端末IDの中に、検証用データ復号化部13から取得した小型無線端末IDが含まれていない場合に、上記通信パケット量を、当該ユーザに対して既に記録されているパケット量に加算する。
【0065】
上記ユーザの小型無線端末IDの中に、検証用データ復号化部13から取得した小型無線端末IDが含まれていない場合に、パケット量を加算するのは、端末装置2と小型無線端末3が同じユーザ(サービス加入者)のものである場合、通信に関わるコスト負担の対象外としているからである。ただし、例えば、位置情報サービスの提供料金を、通知データ送信の回数見合いにする等の場合には、端末装置2と小型無線端末3が同じユーザ(サービス加入者)である場合でも、通信に関わるコスト負担の対象としてもよい。
【0066】
実際のコスト負担の形態は、特定のものに限定されない。例えば、課金処理部16が、課金情報格納部19に格納されたパケット量に基づき、パケット通信料や電気料金、あるいは端末装置2で動作するアプリケーションの費用等の通信に関わるコストを算出し、当該通信に関わるコストを、割り引くべき料金として通信事業者に通知してもよいし、当該通信に関わるコストを、位置情報サービスの提供料金から割り引くこととしてもよい。また、課金処理部16が、上記通信に関わるコストに対応するポイント数を算出し、そのポイントを該当ユーザに与える(課金情報格納部19にポイントデータとして格納する)こととしてもよい。このポイントは、商品やお金と交換可能なポイントであるものとする。
【0067】
(変形例1)
端末装置2が携帯電話網を介して通信を行う携帯端末である場合や、公衆の無線LANを用いて通信を行う携帯端末である場合において、当該端末装置2が小型無線端末3から位置送信依頼を受信したときに、通信圏外である場合があり得る。
【0068】
そのような場合、端末装置2が、通信圏内に入ったときに、上記位置送信依頼に基づく通知データを作成、送信する方式をとることが考えられる。しかし、このような方式を採用した場合、これまでに説明した処理方法では、端末装置2が正しい通知データをセンター装置1に送信したとしても、センター装置1において、過去のデータを再送信したものであると判断してしまう可能性がある。このような問題を生じないようにするための処理方法を変形例1として説明する。以下では、これまでに説明した処理方法と異なる点を中心に説明する。
【0069】
変形例1においては、センター装置1のデータ検証部14は、受信した検証用データを、小型無線端末ID毎に全て検証用データ格納部17に格納する。変形例1において、検証用データ格納部17に格納される検証用データの例を図9に示す。
【0070】
そして、データ検証部14は、新たに受信する通知データから得られたチェック対象の検証用データが、検証用データ格納部17の中の該当小型無線端末IDの欄に含まれているかどうかをチェックする。含まれている場合、チェック対象の検証用データは、過去に受信したことがあるものであるから、不正なデータであると推定できる。
【0071】
また、端末装置2において、通信圏外等で、一定時間以上(例えば1週間)送信できなかった通知データに関しては、センター装置1に送信せずに破棄する機能を備えるとともに、センター装置1においては、全ての検証用データを格納するのではなく、現在から上記一定時間だけ過去のものまでの検証用データを格納するようにしてもよい。このように構成することにより、正当な機能を有する端末装置2は、センター装置1に蓄積される検証用データよりも古いデータを持つことができないから、当然にセンター装置1に蓄積される検証用データよりも古いデータを送信することはできない。
【0072】
上記のように構成することで、データ検証部14は、チェック対象の検証用データが、"検証用データ格納部17の中に記録されておらず、なおかつ、検証用データ格納部17の中に記録されている検証用データのうちの最も古い値よりも古い値でない"ことをチェックすることにより、正当なデータを確実に判別可能としながら、検証用データ格納部17に格納するデータ量を削減できる。すなわち、この場合、チェック対象の検証用データが、検証用データ格納部17の中に記録されていれば不正なデータ(過去のデータ)であると判断でき、また、チェック対象の検証用データが、検証用データ格納部17の中に記録されていないが、記録されている検証用データのうちの最も古い値よりも古い値である場合にも、不正なデータ(過去のデータ)であると判断できる。
【0073】
(変形例2)
これまでに説明した例では、端末装置2がGPS部25を備え、端末装置2がセンター装置1に位置情報を送ることとしていたが、端末装置2としてデスクトップPC等の一定の場所(自宅等)で使用される端末を用いる場合等を考慮して、端末装置2にGPS部25を備えずに、位置情報サービスを実現することも可能である。
【0074】
この場合の端末装置2の機能構成図を図10に示す。図10に示すように、本例では、GPS部25を備えていない。図11に、本例でのセンター装置1の機能構成図を示す。図11に示すように、本例では、端末装置位置情報格納部20を備えている。
【0075】
図12に、端末装置位置情報格納部20に格納される情報の例を示す。図12に示すように、端末装置位置情報格納部20には、端末IDと、当該端末IDを持つ端末装置2の位置情報とが対応付けて格納されている。これらの情報は予め登録しておく情報である。
【0076】
変形例2では、端末装置2は、端末IDと暗号化検証用データを含む通知データを作成し、センター装置1に送信する。センター装置1では、位置情報サービス提供部15が、位置情報を位置情報格納部18に格納する段階において、端末装置位置情報格納部20から、通知データに含まれている端末IDに対応する位置情報を取得し、当該位置情報を小型無線端末IDと対応付けて位置情報格納部18に格納する。
【0077】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。例えば、本発明の実施の形態では、本発明を位置情報提供サービスに適用する場合の例を説明したが、本発明は、位置情報提供サービスに限らず、他人のために端末装置からデータ送信を行う通信サービスであればどのような通信サービスに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 センター装置
11 対ネットワーク通信部
12 通知データ受信部
13 検証用データ復号化部
14 データ検証部
15 位置情報サービス提供部
16 課金処理部
17 検証用データ格納部
18 位置情報格納部
19 課金情報格納部
20 端末装置位置情報格納部
2 端末装置
21 無線通信部
22 対ネットワーク通信部
23 通知データ作成部
24 通知データ送信部
25 GPS部
26 データ格納部
3 小型無線端末
31 無線通信部
32 位置送信依頼部
33 暗号化検証用データ作成部
34 データ格納部
4 通信ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末から検証用データを含む通知データ送信依頼を受信する端末装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置であって、
前記通知データ送信依頼を受信した前記端末装置から、前記検証用データを含む通知データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した通知データに含まれる検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データであるか否かを検証する検証手段と、
前記検証手段により、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定された場合に、前記端末装置のユーザに対して、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行う課金手段と
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記無線端末から送信され、前記端末装置を介して通知された検証用データを格納する検証用データ格納手段を備え、
前記検証手段は、前記受信手段により受信した前記検証用データと同じ検証用データが、前記検証用データ格納手段に格納されていない場合に、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定することを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記検証用データ格納手段は、現在から一定時間だけ過去にわたる所定の期間に受信した検証用データを格納しており、
前記検証手段は、前記検証用データと同じ検証用データが、前記検証用データ格納手段に格納されておらず、なおかつ、前記検証用データが、前記検証用データ格納手段に格納されている検証用データの中で最も古い検証用データよりも古くないことを確認した場合に、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定することを特徴とする請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記課金手段は、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定され、なおかつ、前記検証用データの送信元の無線端末のユーザと、前記端末装置のユーザとが異なる場合に、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行うことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記課金手段は、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理として、前記通知データの通信量に対応するポイントを、前記端末装置のユーザに対して付与する処理を行うことを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記検証用データは、前記無線端末において、前記サーバ装置のみが復号化可能なように暗号化されたデータであり、
前記サーバ装置は、受信した通知データに含まれる暗号化された検証用データを復号化する復号化手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項7】
無線端末から検証用データを含む通知データ送信依頼を受信する端末装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置が実行する通信サービス提供方法であって、
前記通知データ送信依頼を受信した前記端末装置から、前記検証用データを含む通知データを受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより受信した通知データに含まれる検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データであるか否かを検証する検証ステップと、
前記検証ステップにより、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定された場合に、前記端末装置のユーザに対して、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行う課金ステップと
を備えることを特徴とする通信サービス提供方法。
【請求項8】
コンピュータを、無線端末から検証用データを含む通知データ送信依頼を受信する端末装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置として機能させるためのプログラムであって、コンピュータを、
前記通知データ送信依頼を受信した前記端末装置から、前記検証用データを含む通知データを受信する受信手段、
前記受信手段により受信した通知データに含まれる検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データであるか否かを検証する検証手段、
前記検証手段により、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定された場合に、前記端末装置のユーザに対して、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行う課金手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
無線端末から検証用データを含む通知データ送信依頼を受信する端末装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置であって、
前記通知データ送信依頼を受信した前記端末装置から、前記検証用データを含む通知データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した通知データに含まれる検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データであるか否かを検証する検証手段と、
前記検証手段により、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定された場合に、前記端末装置のユーザに対して、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行う課金手段と
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記無線端末から送信され、前記端末装置を介して通知された検証用データを格納する検証用データ格納手段を備え、
前記検証手段は、前記受信手段により受信した前記検証用データと同じ検証用データが、前記検証用データ格納手段に格納されていない場合に、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定することを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記検証用データ格納手段は、現在から一定時間だけ過去にわたる所定の期間に受信した検証用データを格納しており、
前記検証手段は、前記検証用データと同じ検証用データが、前記検証用データ格納手段に格納されておらず、なおかつ、前記検証用データが、前記検証用データ格納手段に格納されている検証用データの中で最も古い検証用データよりも古くないことを確認した場合に、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定することを特徴とする請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記課金手段は、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定され、なおかつ、前記検証用データの送信元の無線端末のユーザと、前記端末装置のユーザとが異なる場合に、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行うことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記課金手段は、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理として、前記通知データの通信量に対応するポイントを、前記端末装置のユーザに対して付与する処理を行うことを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記検証用データは、前記無線端末において、前記サーバ装置のみが復号化可能なように暗号化されたデータであり、
前記サーバ装置は、受信した通知データに含まれる暗号化された検証用データを復号化する復号化手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項7】
無線端末から検証用データを含む通知データ送信依頼を受信する端末装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置が実行する通信サービス提供方法であって、
前記通知データ送信依頼を受信した前記端末装置から、前記検証用データを含む通知データを受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより受信した通知データに含まれる検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データであるか否かを検証する検証ステップと、
前記検証ステップにより、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定された場合に、前記端末装置のユーザに対して、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行う課金ステップと
を備えることを特徴とする通信サービス提供方法。
【請求項8】
コンピュータを、無線端末から検証用データを含む通知データ送信依頼を受信する端末装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置として機能させるためのプログラムであって、コンピュータを、
前記通知データ送信依頼を受信した前記端末装置から、前記検証用データを含む通知データを受信する受信手段、
前記受信手段により受信した通知データに含まれる検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データであるか否かを検証する検証手段、
前記検証手段により、前記検証用データが、以前に前記端末装置を介して送信された検証用データでないと判定された場合に、前記端末装置のユーザに対して、前記通知データの通信に関わるコストを割り引くための処理を行う課金手段、
として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−250171(P2011−250171A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121686(P2010−121686)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(399035766)エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 (321)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(399035766)エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 (321)
【Fターム(参考)】
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