説明

サービスノードおよび移動端末

【課題】移動端末が接続している起点無線アクセスネットワークから目標無線アクセスネットワークへの異種網間の高速ハンドオーバを行うことを可能にするサービスノードを提供する。
【解決手段】サービスノードは、パケットデータゲートウェイ(PDG)からコンテキストを生成することを要求する要求メッセージを受信する受信部と、受信部が要求メッセージを受信したとき、コンテキストを生成する生成部と、移動端末に無線アクセスベアラ(RAB)を確立することを要求するベアラセットアップ要求メッセージを送信する送信部とを有し、受信部は、目標無線アクセスネットワークを介して、移動端末からコンテキストのアップデートを開始させるサービス要求メッセージを受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスノードおよび移動端末に関する。
【背景技術】
【0002】
W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access:広帯域符号分割多重接続)は、IMT−2000(国際移動体通信)の無線インタフェースであり、第三世代の無線移動体電気通信システムに用いられるよう標準化が行われた。この方法は、音声サービス、マルチメディア移動体通信サービスといった各種サービスを柔軟かつ効率的に提供する。日本、欧州、米国、また他国の標準化団体は、W−CDMAの共通無線インタフェース使用を作るため合同で第三世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)を組織した。
【0003】
標準化されたIMT−2000の欧州版は、通例UMTS(Universal Mobile Telecommunication System:ユニバーサル移動体電気通信システム)と呼ばれている。UMTS仕様書の第一版は1999年に公開された(リリース99)。その間、標準規格に対するいくつかの改良が3GPPによりリリース4およびリリース5として標準化され、リリース6を視野に入れたさらなる改良についての議論が進んでいる。
【0004】
将来の移動体通信において、一層重要になる他の課題は、異種ネットワーク環境での異種アクセスネットワーク技術間の相互連携である。
【0005】
WLAN(Wireless Local Area Networks:WLAN)は、現在、そして今後とも継続して独自の運営者により配備され、3GPPのような移動体通信システムと相互連携できるか真偽不明であることが認識されている。さらに、これらのWLANは、自宅および外出先の移動体通信システムと相互連携できるWLANと、部分的にまたは完全に重なり合ってしまう。さらにまた、これらのWLANは、自宅および外出先の3GPPシステムと相互連携するWLANとも、互いに重なり合ってしまうだけでなく、移動体通信システムの無線アクセスネットワークとも同様に重なり合ってしまう。これらの事態は、注意深く理解しされ管理される必要のあるサービスエリアとサービス状況の多重変形を引き起こす。
【0006】
この観点から、3GPPでは3GネットワークとWLANの相互連携を標準化している(非特許文献1,2,3参照、すべてhttp://www.3gpp.orgから入手可能)。
【0007】
3GPPシステムとWLANの相互連携が必要とされる、多くの異種運営環境があり得る。3GPPは、公共環境、企業環境、住居環境において広く運営されている。WLANもまた、これらのあらゆる環境に配置され得るし、3GPPのWLANとの相互連携の標準規格がこれらの環境に適合することができれば有利となるであろう。このような性能は、さらに、移動体システムユーザの使い勝手を増し、各システムの有効なサービスエリアを事実上拡大するであろう。
【0008】
異種環境とは、WLANの異なる管理ドメインや、その技術性能の幅広い多様性を包含し得る。一つの例は、セキュリティ性能、方針が、公共、企業、住居のWLAN間で異なり得ることである。これらの差異は、3GPPとWLANとの間の異なる相互連携方法をもたらすことができる。
【0009】
異なるレベルの相互連携を記述する異なったシナリオが特定されている。例えば、シナリオ2は、3GPPベースのアクセス制御と課金を記述し、シナリオ3は、例えばIMSのような3GPP PSベースのサービスに関連し、シナリオ4と5は、サービスの継続性を有する3GPP PSベースのサービスへのアクセスを考慮する。
【0010】
プロトコルの詳細は、いくつかの文献に分けられている。非特許文献4にはWLAN UEとネットワークとの間のプロトコルの詳細が記述されている。非特許文献5には、いくつかのネットワーク参照ポイントのプロトコルが特定されており、非特許文献6では、セキュリティアーキテクチャ、すなわち3GPPシステムとWLANアクセスネットワークの信用モデル要件とセキュリティ要件が議論されている。
【0011】
アーキテクチャの観点からのWLANアクセス認証と許可手続きの詳細は、非特許文献7の第7.2章に、W−APN(WLANアクセスポイントネーム)解決とトンネル構築は、非特許文献7の第7.9章に記述されている。
【0012】
GPRSアーキテクチャならびにそのエンティティおよび機能に関する記述は非特許文献8に見出される。特に、論理アーキテクチャは第5.4章に、GPRS接続手続きは第6.5章に、モビリティ管理状態は第6.1.2章に、位置管理手続きは第6.9.2章に、PDPコンテキストアクティブ化手続きは第9.2章に、適切なHLR GPRSサブスクリプションデータ(subscription data)、MMコンテキストおよびPDPコンテキストは第13章に、説明されている。
【0013】
端末が、3GネットワークからWLANへハンドオーバし、その後、3Gネットワーク内でアイドリング(idle)モードであったとする。その端末は、周期的なルーティングエリアアップデート(Routing Area Update:RAU)メッセージを、3G SGSNにおいてMMコンテキストとPDPコンテキストを保存するために3Gエアインタフェースで送る必要がある。これは、3Gネットワークカバレージが利用可能であることと、RAU実行のための周期的な3G接続の確立を必要とする。3Gネットワークカバレージが利用不可能(ユーザがショッピングセンタ、空港、地下鉄にいる)で、RAアップデートタイマが満了すると、MMコンテキストとPDPコンテキストはSGSNから削除される。さらに、RAU実行のための3Gネットワークの接続確立は、3GシグナリングオーバヘッドとUEの電力消費を増加させるであろう。
【0014】
加えて、端末がWLANカバレージから3Gサービスを開始する場合、適切な3G SGSNには、PDPコンテキストが確立されていない。よって、WLANから3Gへのハンドオーバが開始されると、GPRS接続手続きとPDPコンテキストアクティブ化とを実行することにより、サービスのための3G接続を最初から始めなければならない。GPRS接続手続きとPDPコンテキストアクティブ化は、時間がかかり、3Gネットワーク経由でのサービス提供の大きな遅延を暗示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】3GPP TR 22.934: "Feasibility study on 3GPP system to Wireless Local Area Network (WLAN) interworking"
【非特許文献2】3GPP TS 22.234: "Requirements on 3GPP system to Wireless Local Area Network (WLAN) interworking"
【非特許文献3】3GPP TS 23.234: "3GPP system to Wireless Local Area Network (WLAN) interworking; System Description"
【非特許文献4】3GPP TS 24.234: "3GPP system to Wireless Local Area Network (WLAN) interworking; UE to Network protocols"
【非特許文献5】3GPP TS 29.234: "3GPP system to Wireless Local Area Network (WLAN) interworking; Stage 3 Description"
【非特許文献6】3GPP TS 33.234: "Wireless Local Area Network (WLAN) interworking security"
【非特許文献7】3GPP TS 23.234
【非特許文献8】3GPP TS 23.060: "General Packet Radio Service (GPRS); Service Descriptions; Stage 2"
【非特許文献9】RFC 2486: "The Network Access Identifier"
【発明の概要】
【0016】
従って、本発明の目的は、可能な限り高速に、例えばUTMSのような無線アクセスネットワークから、移動端末へのパケットデータサービス配信のための接続確立を可能にする方法を提供することである。
【0017】
本目的は、独立請求項の主題により解決される。本発明の有利な実施の形態は、従属請求項の主題である。
【0018】
本発明に係るサービスノードは、移動端末が接続している起点無線アクセスネットワークから目標無線アクセスネットワークへの異種網間の高速ハンドオーバを行うことを可能にするサービスノードであって、パケットデータゲートウェイからコンテキストを生成することを要求する要求メッセージを受信する受信部と、前記受信部が前記要求メッセージを受信したとき、前記コンテキストを生成する生成部と、前記移動端末に無線アクセスベアラ(RAB)を確立することを要求するベアラセットアップ要求メッセージを送信する送信部とを有し、前記受信部は、前記目標無線アクセスネットワークを介して、前記移動端末から前記コンテキストのアップデートを開始させるサービス要求メッセージを受信する。
【0019】
本発明に係る移動端末は、接続している起点無線アクセスネットワークから目標無線アクセスネットワークへの異種網間のハンドオーバを行う移動端末であって、前記目標無線アクセスネットワークにおいて、制御ノードと前記移動端末との間で無線ベアラを確立するベアラ確立部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】異種ネットワーク間の移動端末のハンドオーバを支援する3GPPシステムからWLANへの相互連携のアーキテクチャを示す図
【図2】本発明の例示的な実施の形態に係るコンテキスト確立手続きのフローチャート
【図3】本発明の異なる例示的な実施の形態に係る、図2に示すコンテキスト確立手続きのフローチャートに示された異なる手続きの詳細を示す図
【図4】本発明の異なる例示的な実施の形態に係る、図2に示すコンテキスト確立手続きのフローチャートに示された異なる手続きの詳細を示す図
【図5】本発明の異なる例示的な実施の形態に係る、図2に示すコンテキスト確立手続きのフローチャートに示された異なる手続きの詳細を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。図中の同様のまたは対応する細部には同じ参照番号が記されている。
【0022】
以下の段落では本発明のさまざまな実施の形態を述べる。例示するだけの目的で、ほとんどの実施の形態は、UMTS通信システムのWLANとの連携に関して概説される。また、以下の項で用いられる専門用語は、主にUMTS専門用語およびWLAN専門用語に関係する。しかしながら、本実施の形態でUMTSとWLANの相互連携アーキテクチャに関して用いられる専門用語と記述は、そのようなシステムに対する本発明の原理と思想の限定を意図したものではない。
【0023】
また背景技術の項で与えられた説明は、以下に記述される主にUMTSとWLANの特定の例示的実施の形態のよりよい理解を意図したものにすぎず、移動体通信ネットワークまたはWLANにおける処理と機能の記述された特定の実施例だけに本発明を限定するものとは理解されるべきではない。
【0024】
本発明の一つの主な態様は、移動端末が起点ネットワークに接続され、起点ネットワーク経由でパケットサービスを受信している間に、認証サーバがパケットデータサービスの目標ネットワーク内のコンテキストの確立を開始することを可能にすることである。
【0025】
例示を目的として、以下のケースを考慮することができる。端末が、WLANカバレージと、WLAN上でのアクティブ化された3Gサービスとを有する場合、適切な3G SGSNが、位置情報とマッピング機能を用いてAAAサーバにより決定される。AAAは、GPRS接続とルーティングエリアアップデートを行い、PDPコンテキストアクティブ化を、端末が3Gネットワークに接続する前に端末に変わって開始する。この動作は、3Gシグナリングオーバヘッドと端末の電力消費を低減し、さらに3Gカバレージに依存しない。
【0026】
ハンドオーバ支援を有する3GPPシステムからWLANへの相互連携のアーキテクチャの一例が図1に示されている。シナリオ2と3に対する、現行の3GPPシステムからWLANへの相互連携アーキテクチャに加え、このアーキテクチャは、パケットデータゲートウエイ(PDG)とGGSNとの間に、GGSNからPDGへのまたはその逆のデータパケットのルーティング/中継を行うインタフェースを有する。PDGの機能は、かなりの程度までGGSNの一つと同様であることは注意すべきである。
【0027】
さらに、認証サーバ(例示するアーキテクチャではAAAサーバ)とSGSNとの間に、ユーザのために、MM(モビリティ管理)コンテキストとPDP(Packet Data Protocol:パケットデータプロトコル)コンテキストを確立するインタフェースが含まれている。
【0028】
3GPP/WLANデュアルモード移動端末では、アクティブな3G接続からもアクティブなWLAN接続からも3Gサービスにアクセス可能である。
【0029】
本発明の一つの実施の形態では、移動端末はGPRSサービスにアクセスするために、3GネットワークにおいてGPRS接続手続きを実行することができる。GPRS接続手続きが完了した後、移動端末は、いわゆる“PMM接続状態”になり、MMコンテキストがSGSNにおいて生成され得る。このコンテキストは、ユーザのIMSIと、現在のMM状態と、移動端末の現在位置の一つないしいくつかのセルを同定するルーティングエリアと、を特に有している。ルーティングエリア識別子(RAI)は、RRCアイドリングモードにある移動端末に報知され得るものであり、RRC接続モードにある移動端末は、確立されたRRC(無線リソース制御)接続について通知され得る。
【0030】
ユーザが3Gサービス(例えばSMS、MMS、IMS)をその端末で開始することを望む場合、サービスのアクティブ化は、PDPコンテキストアクティブ化手続きにより開始され得る。PDPコンテキストアクティブ化手続きでは、アクセスポイント名(APN)と要求QoSがシグナリングされる。APNは、GGSNと、パケットデータネットワークと、任意には提供されるサービスとを同定することができる。PDPコンテキストアクティブ化が受理されると、PDPコンテキストが例えばSGSNとGGSNにおいて確立されて、PDP PDU(プロトコルデータユニット)が移動端末とGGSNとの間で転送され得る。
【0031】
移動端末が3Gサービスを確立し、WLANのビーコン(それぞれのWLANビーコンは各々のWLANを識別するSSIDを有する)の走査によりWLANのカバレージを検出すると、3GからWLANへのハンドオーバが、より高いデータレートとより低い遅延という点で有利となり得る。移動端末は、受信SSIDに基づいて、例えば利用可能なWLANの一つを選択することができる。
【0032】
さらに、移動端末は、一つより多くのビーコンが移動端末によって受信された場合に用いられ得る好適WLANのリストを提供され得る。移動端末は、目標無線アクセスネットワーク、すなわち選択したWLANと接続を確立することができる。このWLANへの接続確立は、WLANへの移動端末の関連付けとも呼ばれる。
【0033】
WLANへの関連付け後、移動端末はそのWLANにおいて認証される必要があってもよい。例えば、WLANアクセス認証(再認証)がこの目的のために開始され得る。このWLANアクセス認証手続きの間、通常、EAP(Extensible Authentication Protocol:拡張認証プロトコル)メッセージが、移動端末とWLANアクセスネットワーク(AN)と3GPP AAAサーバとの間で授受される。ユーザ認証のために、ユーザ識別が、EAPメッセージ内のNAIフォーマット(NAI=ネットワークアクセス識別子、非特許文献9参照、http://www.ietf.orgから入手可能)でAAAサーバに提供され得る。
【0034】
移動端末は、通常、認証された後にWLAN内のIPアドレスを割り当てられることに注意すべきである。それゆえ、移動端末がIPアドレスをまだ割り当てられていないことは、WLANが移動端末からAAAサーバにAAAメッセージを伝送する手段をサポートすべきことを暗示している。WLAN側では、例えばWLAN標準規格IEEE 802.11iにより特定されたような特定の手段が用いられ得る。WLANアクセスネットワークからAAAサーバへのEAPメッセージの伝送は、RADIUSまたはDiameterによって達成することができる。
【0035】
RADIUSまたはDiameterによるEAPメッセージの伝送の際には、WLANアクセスネットワークの識別子がそのメッセージに含まれる。この識別子は、例えば、移動端末にとってRADIUSクライアントとしての機能を果たすネットワークアクセスサーバの任意のIPアドレス(NAS−IP)をRADIUSメッセージの中に包含することにより、暗示的に含まれ得る。あるいは、このWLANアクセスネットワークの識別子は、移動端末により、またはWLANアクセスネットワーク内のエンティティにより、例えば、WLANアクセスポイントのMACアドレス(リンク識別子)またはアクセスルータアドレス(APID)をEAPメッセージの中に包含することにより、明示的に含まれ得る。
【0036】
WLANでのサービスアクティブ化のために、W−APN解決手続きと、UEとPDGとの間にトンネルを設定するトンネル確立手続きとが、実行される。トンネルQoS設定、すなわち、トンネルQoSパラメータの設定のために、QoS要求が確立メッセージに直接含まれてもよいし、QoSシグナリングがトンネル確立の前後に独立して実行されてもよい。さらに、PDGは、特定のサービスに基づいて、QoS要求を決定することができる。
【0037】
WLANアクセスネットワークの識別子は、トンネル確立中にMSとPDGとの間で授受されるメッセージに含まれ得る。例えば、WLAN AN識別子は明示的に含まれ得る。例えば3G RAIでは、AP MACアドレス(リンク識別子)、通知されたARアドレス(APID)、GPS取得位置、またはWLANアクセスネットワーク内のMSに割り当てられたトランスポートIPアドレスが、MSにより、またはWLAN AN内のエンティティによりメッセージに包含される。この識別子は、例えば、認証および認証確認の間に、RDGからAAAサーバへ送信され得る。
【0038】
トンネル確立およびQoS設定の後、GGSNは、PDGへのパケットのルーティング/中継を始動し、PDGはパケットをWLAN内のMSにトンネリングすることができる。GGSNとPDGは一つの単独のネットワーク要素内に物理的に位置することが可能であることに注意されたい。さらに、MSへの3G無線ベアラは解放され、MSは3Gアイドリングモードに移行する。
【0039】
既に上述したように、3G SSGN内のMMコンテキストおよびPDPコンテキストを保存するために、端末が3Gエアインタフェースで周期的なルーティングエリアアップデート(RAU)メッセージを送信しなければならない場合に、3Gネットワークカバレージが利用不可能(ユーザが、ショッピングセンタ、空港、地下鉄にいる)で、RAアップデートタイマが満了すると、MMコンテキストとPDPコンテキストはSGSNから削除され得る。
【0040】
また、MSがWLAN内のサービスを最初にアクティブ化する場合には、MSがGPRS接続されず、3Gネットワーク内の確立されたPDPコンテキストを持たないという状況が起こり得る。ここでは、GGSNは、図1に示されているようにPDGが外部ネットワークかサービスプロバイダに直接接続され得るので、MSへのまたはMSからのデータパケットの配信プロセスに関与しなくてもよい。
【0041】
WLANカバレージは突然失われることがあるので、WLANから3Gへ戻るハンドオーバの後、またはその間に、より高速なサービスアクティブ化を有することは有利である。この目的のために、本発明の一つの実施の形態は、前もって、すなわちMSが3Gネットワークに接続する以前に、GGSNおよびSGSNでのPDP(およびMM)コンテキストを確立することを提案する。
【0042】
ユーザが異種ネットワーク、例えばWLANから3Gへの、シームレスなサービスハンドオーバの支援に契約している場合には、WLAN接続中の、コアネットワークノードでのMMコンテキストおよびPDPコンテキストの確立は、異なるレベルで実行される。契約レベルによって、ユーザは、MSが3Gネットワークに接続されていることなしに、3Gでのパケットデータサービス配信のためのリソース予約を全く持たない、少しのリソース予約を持つ、または十分なリソース予約を持つことが許可され得る。
【0043】
本発明の一つの実施の形態によれば、GPRS接続手続きとRAアップデートは、3Gネットワークでリソースが予約されていなかった場合に行われる。少しの予約とは、PDPコンテキストが3Gネットワークのコアネットワーク要素内でアクティブ化されるがQoSの取り決めがない、すなわちネットワーク内でサービス配信のためにリソースが予約されない(0kbit/s)ことを意味し得る。「十分な予約」の場合、PDPコンテキストはアクティブ化されてよく、取り決められたQoSパラメータに従って3Gネットワーク内のリソースが予約され、任意には、MSが実際に3Gネットワークにハンドオーバする以前に、サービス配信のためのRABも設定される。
【0044】
SGSNでのMMコンテキストおよびPDPコンテキストを維持するために、またMSのGPRS接続を保つために、保存機能を用いることができる。この機能は、解放された無線ベアラ(無線接続の切断により例えばRANにより解放される)のためにSGSNにおけるアクティブなPDPコンテキストを保存して、後に無線ベアラを再確立することを可能にする。既に概説されたように、これは、周期的なRAアップデートがSGSNに送られることを必要とする。さもなければ、SGSNの移動到達可能タイマ(mobile reachable timer)が満了し、MSに対するGPRS切断手続きがアクティブ化するであろう。あるいは、特別なWLAN RAIが、MSからSGSNに送られて、アクティブ化の持続時間を制御するタイマが非常に高い値に設定されるように、または移動到達可能タイマが使われることさえないように、すなわちMMコンテキストとPDGコンテキストのタイムアウトが予測されないようにすることができる。しかしながら、この後者のオプションは、MMコンテキストまたはPDPコンテキストをアクティブ化するすべてのネットワーク要素がその非アクティブ化をも追跡しなければならないといった別の問題を引き起こし得る。
【0045】
MSからのRAアップデートの送信には、3Gカバレージが利用可能であること、MSが連続して同報メッセージを聞いていること、RRC接続が確立されていること、が求められる。
【0046】
一つの例示的な実施の形態では、MSはアクティブなWLAN接続を有し、AAAサーバは、MSの現在位置について知らされている(明示的/暗示的に送信されたWALN識別子による)。よって、MSにとって、3G無線リソースを占有する必要も、SGSN内の状態を保存するために3G接続上で能動的にメッセージを送る必要もない。この状況は、例えば図2に示されている。ここでは、WLAN接続設定および3Gサービスアクティブ化201が、MSのWLANへの接続およびGPRSサービスのアクティブ化の例示的な例証であることを意図している。
【0047】
本実施の形態によれば、3Gネットワーク内のAAAサーバは、位置マッピング機能にアクセスすることができる。このマッピング機能は、3Gネットワークへのハンドオーバが生じた際に端末にサービスを提供することが可能なSGSNと、現在のWLANの同じカバレージにおける3Gネットワーク内の整合ルーティングエリアとを決定する(202)ために利用され得る。
【0048】
AAAサーバは、MSが移動してその位置を変えるたびにMSの認証手続きを介して、新しい位置について通知され得る。MSの位置が変わりつつあるときは、AAAサーバは、対応するSGSNとRAIを再度決定することができ、変化した場合にはAAAサーバは、アップデートを適切な3Gネットワークノードにシグナリングすることができる。
【0049】
任意には、AAAサーバは、HLR/HSS内のMSに対して登録されたSGSNがあるかを最初に確認することができる(203)。決められたSGSNとは異なる登録済みのSGSNがあれば、そのSGSN内のPDPコンテキストは削除され得る(204)。この確認は、例えばAAAサーバがMSのHLR/HSSに尋ねることにより行われ得る。3GネットワークにおいてWLANのカバレージエリアにサービスを提供するSGSNを決定した後、AAAサーバは、GPRS接続手続きを開始する(205)。本発明の例証的な実施の形態に係るGPRS接続手続きが図3に示されている。この例示的な手続きでは、AAAサーバは、GPRAS接続メッセージを、決定されたSGSNに送信することができる。さらに、AAAサーバまたはSGSNは、HLR/HSS内のMSの位置をアップデートすることができ(302,305)、HLR/HSSは、SGSNにユーザのサブスクリプションデータをSGSNに送ることを始動する(303,304)。このSGSNにおいてMSが既にGPRS接続されていれば、メッセージは無視され得る。最後には、ネットワークで開始されたGPRS接続は受理され(306)、MMコンテキストがSGSNにおいて確立される。
【0050】
AAAサーバが開始したGPRS接続の完了後(205)、AAAサーバは、ルーティングエリアアップデート手続き206を実行することができる(任意)。この手続きにおいて、AAAサーバは、UEのPDPコンテキストおよびMMコンテキストを保持するようにSGSNに対して示すために、SGSNにルーティングエリアアップデートを送信することができる。さらに、ルーティングエリアアップデートは、対応する3G RAIも変化しているようにWLAN内のMSの位置が変化するたびに、AAAサーバによって送信され得る。さらに、AAAサーバは、満了前にルーティングエリアアップデートタイマを再開するために、ルーティングエリアアップデートをSGSNに送信することができる。
【0051】
上述のように、PDGはユーザへのサービス、およびWLAN内のMSへのトンネルのQoSを通知され得る。次に、AAAサーバは、コアネットワークのネットワークノードにおいてPDPコンテキスト確立を始めることができる(207)。例示的なコンテキスト確立手続き207が図4に示されている。AAAサーバは、3Gネットワーク内のユーザのために確立されたトンネルに関連するPDPコンテキストをアクティブ化するように、PDGに要求することができる(401)。この目的のために、PDGは、WLANのトンネル設定、例えばそれに関連するQoSパラメータから、PDPコンテキストパラメータを決定することができる(402)。3GネットワークのGSN内のコンテキストアクティブ化は、WLAN内のトンネルのQoSパラメータだけでなく、個々のユーザの契約レベルにも基づくことができることは注意されるべきである。
【0052】
PDPコンテキストアクティブ化を実行するための付加的なパラメータは、AAAサーバからPDGへのメッセージ(401参照)に含まれ得る。PDGは、とりわけ、IMSI、SGSNアドレス、APN、PDPアドレス、要求されたQoSおよび取り決められたQoSを要求メッセージに集めることができ、PDPコンテキストを生成しアクティブ化するようにその要求をGGSNに送ることができる(403)。GGSNのアドレスは、例えば、AAAサーバから受信されたAPNに基づきPDGにより決定され得る。GGSNは、受信されたパラメータに従って3GのアイドリングユーザのPDPコンテキストを生成することができ、加えて、PDPコンテキストアクティブ化が、GGSNからSGSNに対して開始される(404,406)。
【0053】
GGSNからPDPコンテキストアクティブ化メッセージを受信すると、SGSNは、ユーザのコンテキストを確立する。さらに、ユーザのl契約レベルに基づいて、SGSNは、ユーザに対してRANにおけるRABを任意に確立することができる(405)、すなわち、3Gネットワーク経由でのユーザへのサービス提供のリソースを予約することができる。コンテキスト確立を報告するPDPコンテキストアクティブ化応答メッセージを受信すると(407)、PDGは、AAAサーバにコンテキストがGSNにおいて確立された旨報告することができる(408)。
【0054】
あるいは、PDGは、要求メッセージをSGSNに直接送ってもよい。SGSNのアドレスは、AAAサーバからPDGに知らされていてもよく、この場合、APNからのGGSNアドレスを解決する必要はもはやなくなるであろう。このSGSNは、コンテキスト(一つまたは複数)を生成しアクティブ化することができ、またそのSGSNにおけるコンテキスト確立を始動させることができる。
【0055】
MSがWLANカバレージを失った場合、またはMSを3Gネットワークにハンドオーバさせる別の誘因がある場合、3G無線接続が確立(再確立)される(208)。通常、この点に関して考慮した以下の3つのシナリオが存在する。
【0056】
RANにおいて既に確立されたRABがあり、サービス提供のためのリソースが予約されている場合、RANからMSへの無線ベアラのみが設定されなければならない。これは異種ネットワーク間のハンドオーバの性能をさらに向上させる。
【0057】
さもなければ、MSは、RABおよび無線ベアラを確立(再確立)するサービス要求手続きを、SGSNに対して開始することができる。RABおよび無線ベアラがMSのハンドオーバ前に構成され確立されているが、コアネットワークにおいてリソースが予約されていない場合、PDPコンテキスト修正手続きが、割り当てられたQoSを変えるために開始され得る。
【0058】
三番目のオプションとしては、RABが設定されているが、RANにおいてリソースが予約されていない場合があり得る。コアネットワークのネットワークノードにおいて、予約QoS(reserved QoS)パラメータと要求QoS(required QoS)パラメータとを有するPDPコンテキストが確立され得る。予約QoSパラメータが、リソースを「予約」していない(0kbit/s)とき、これは、コアネットワーク内にリソースは予約されていないが、ネットワークノードにおいてPDPコンテキストは確立されていることを意味する。RANにおいて同様のメカニズムが用いられ得る。よって、RABを確立する場合、RANにはリソースが予約されていないことがあり得るが、MSが3Gネットワークに接続する前に、RABに関連するコンテキストが確立され得る。
【0059】
3G接続208の完了後(またはその間)、MSは、3Gサービス設定手続きを開始することができる(209)。例示的な手続きが図5に示されている。この手続きによれば、GPRSサービスに対するサービス要求501がSGSNにより受信される。SGSNは、MSが3Gネットワーク経由でのGPRSサービス受信を望んでいる旨を、PDPコンテキストアップデート要求によりGGSNに通知することができる(502)。このメッセージは、例えば、以前になされていなければサービス配信のために3Gネットワークにおけるリソースを割り当てることにも用いられ得る。このメッセージを受信すると、GGSNは、下り回線パケットをSGSNに送ることができる。
【0060】
例えば、最初のサービスアクティブ化手続きが、直接PDGに対するものであったのならば、PDGは、もはやWLANにおける下流側のノードに対してではなくGGSNに対してパケットを中継することも通知されてよい(503)。MS(UE)、SGSN、GGSNおよびPDGの間で授受されるメッセージは、それぞれのメッセージにより確認され応答され得る(504,505,506)。
【0061】
本発明の他の実施の形態は、上記各種の実施の形態をハードウエアとソフトウエアを用いて実施することに関する。上記各種の方法は、上述の各種論理ブロック、モジュール、回路と同様に、例として、汎用プロセッサ、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、カスタムIC(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のプログラム可能な論理素子などの、コンピューティングデバイスによっても実施または実行され得ることが認識される。本発明の各種実施の形態は、これらのデバイスの組み合わせによって実行または実施することもできる。
【0062】
さらに、本発明の各種実施の形態は、プロセッサにより実行されるソフトウエアモジュールにより、またはハードウエアにおいて直接、実施され得る。ソフトウエアモジュールとハードウエア実装の組み合わせもまた可能である。ソフトウエアモジュールは、例えばRAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD−ROM、DVDなど、任意の種類のコンピュータ可読媒体に保存され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末が接続している起点無線アクセスネットワークから目標無線アクセスネットワークへの異種網間の高速ハンドオーバを行うことを可能にするサービスノードであって、
パケットデータゲートウェイからコンテキストを生成することを要求する要求メッセージを受信する受信部と、
前記受信部が前記要求メッセージを受信したとき、前記コンテキストを生成する生成部と、
前記移動端末に無線アクセスベアラ(RAB)を確立することを要求するベアラセットアップ要求メッセージを送信する送信部とを有し、
前記受信部は、前記目標無線アクセスネットワークを介して、前記移動端末から前記コンテキストのアップデートを開始させるサービス要求メッセージを受信するサービスノード。
【請求項2】
前記コンテキストは、前記移動端末のために生成される請求項1に記載のサービスノード。
【請求項3】
前記目標無線アクセスネットワークにおいて、前記移動端末によって制御ノードと前記移動端末との間で無線ベアラが確立されるのに先立って、前記生成部は前記コンテキストの生成を開始する請求項1に記載のサービスノード。
【請求項4】
前記サービスノードは、GPRSサポートノードである請求項1から請求項3のいずれかに記載のサービスノード。
【請求項5】
前記起点無線アクセスネットワークはWLANであり、前記目標無線アクセスネットワークはUMTS無線ネットワークである請求項1から請求項4のいずれかに記載のサービスノード。
【請求項6】
接続している起点無線アクセスネットワークから目標無線アクセスネットワークへの異種網間のハンドオーバを行う移動端末であって、
前記目標無線アクセスネットワークにおいて、制御ノードと前記移動端末との間で無線ベアラを確立するベアラ確立部を有する移動端末。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−138944(P2012−138944A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50398(P2012−50398)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【分割の表示】特願2011−269962(P2011−269962)の分割
【原出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】