説明

サービス要求に応ずるサーバを決定する方法及び装置

【課題】サービス要求に応ずるサーバを決定する。
【解決手段】本方法は、ある移動デバイスから要求されたサービスを特定するURIに加えて、前記移動デバイスのロケーションの情報をも含むDNS要求を生成するステップ(1)と、前記サービスDNS要求をサービス移行に対応したサービスであるものとして特定するキーワードを前記DNS要求内に挿入するステップ(1)と、前記DNS要求をDNSサーバに転送するステップ(2)と、前記URIに追加された前記ロケーションの情報が示す前記移動デバイスのロケーションに基づいて、前記DNSサーバが、前記サービス要求に応ずる最適なサーバを決定するステップ(3)と、前記ロケーションに基づいて決定されたサーバのアドレスを前記移動デバイスに返すステップ(4)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス要求に応ずるサーバを決定する方法に関する。本方法は、ユーザのロケーションに基づいた、名前解決(name resolution)及びサービスへの動的なアクセスに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
ユーザの移動デバイスがあるサービスに接続しようとする場合には、その移動デバイスは、まず、当該サービスを提供するノードのアドレスを見いだす必要がある。これは、インターネットを介してアクセスされるサービスの場合には、DNS(ドメインネームシステム)によって通常は行われる。DNSは、人間にとって意味のあるドメイン名を、世界中のネットワーク機器又はネットワークサービスを検索してアドレス指定するためにこれらの機器又はサービスに関連付けられている数値識別子へと変換するものである。DNS要求に対応する、ネットワークエンティティの数値アドレス(IPアドレス)を特定するプロセスは、DNS解決と呼ばれている。IMS(IPマルチメディアサブシステム)も、多くの場合にDNSを用いてサーバのアドレスを見いだす。
【0003】
サービスを要求する移動デバイスが、訪問先ネットワークに接続されていて、ホームネットワークには接続されていない場合には、通常、ホームネットワークにおいて実行されているサービスへの接続が行われる。これは、ローミングに起因してコストが増加し、そのサービスを訪問先ネットワーク内で実行できる場合に必要となるネットワークサービスよりも多くのネットワークサービスが必要となるという点において不利である。したがって、このような場合、訪問先ネットワークへのサービスの移行が可能であるか、又はサービス移行がサポートされていない場合であっても、少なくとも、ローミングしているユーザにより近い場所でサービスを提供することが望ましい。
【0004】
あるサービスを複数のロケーションが提供できる場合には、特定のユーザに最も適したサービスのアドレスを提供できる方法が望ましい。これは、ユーザのロケーション及びサーバ負荷等の要因によるものである。そのため、DNSによりサーバのアドレスを提供する際に、DNSは、ユーザを導く(direct)べきサーバを決めるために、ユーザのロケーションに関する情報を必要とする。DNSサーバに対してロケーションに関する情報を提供することができる場合には、最も良いサーバを決定して当該サーバのアドレスを提供する手順を用いてこのDNSサーバを改良することもできる。厳密に言えば、このDNSサーバは標準的なDNSサーバではない。標準的なDNSサーバはユーザのロケーションに基づいて最良のサーバを選択する機能を有していないため、本DNSサーバは、むしろ、異なったDDDS(Dynamic Delegation Discovery System、動的委任発見システム)アプリケーションとみなすことができる。
【0005】
EPCの3GPP標準規格では、S−GW及びP−GWの選択メカニズムはDNSに基づいている(非特許文献1を参照されたい)。これらの選択メカニズムは、DNS要求に対してUEのロケーションに関する情報、例えばTAI又はセルIDを利用する、MME内のDNSサーバを用いる。これらのメカニズムは、動的委任発見システム(DDDS)(非特許文献2を参照されたい)に基づいている。DDDSは、DNSのための大まかなバインディング(lazy binding)を可能とするものである。これは、これら特定のサーバの選択に限定され、これらのメカニズムがMME内で行われることを要求するものである。他方、任意のSPM(service program mobility、サービスプログラムモビリティ)に対応したサービスを、移動体ネットワークの外部に存在している可能性のある任意のサーバへと導くためにDNSが用いられることを可能にすることが望ましい。さらに、訪問先ネットワークからの特別なサポートを必要とせずに、これによってSPMの展開(deployment)を簡単にすることが望ましい。
【0006】
Akamai等のコンテンツ配信ネットワークは、DNSを用いて、ユーザのロケーションに基づき最良のロケーションにあるサーバにユーザを導く(非特許文献3を参照されたい)。しかし、Akamaiシステムは、多くのDNSサーバを用いて、ユーザと様々なサーバとの間の遅延を推定することによってユーザのロケーションを求めることに基づくものである。より単純で実施が容易な手法が望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】3GPP Technical Specification 29.303, Domain Name System Procedures, Stage 3 (Release 9)
【非特許文献2】M. Mealling「Dynamic Delegation Discovery System (DDDS) Part One: The Comprehensive DDDS」(IETF RFC 3401, October 2002)
【非特許文献3】Mukaddim Pathan及びRajkumar Buyya「A Taxonomy of CDNs」(Content Delivery Networks, R. Buyya, M. Pathan, and A. Vakali (Eds.), Springer-Verlag, Germany, 2008)
【発明の概要】
【0008】
一実施形態によれば、移動デバイスからのサービス要求に応ずるサーバを決定する方法が提供される。本方法は、ある移動デバイスから要求されたサービスを特定するURIに加えて、前記移動デバイスのロケーションの情報をも含むDNS要求を生成するステップと、前記DNS要求をDNSサーバに転送するステップと、前記URIに追加された前記ロケーションの情報が示す前記移動デバイスのロケーションに基づいて、前記DNSサーバが、前記サービス要求に応ずる最適なサーバを決定するステップと、前記ロケーションに基づいて決定されたサーバのアドレスを前記移動デバイスに返すステップとを含む。
【0009】
これによって、サービスを要求した移動デバイスのロケーションに応じて最適なサーバを選択することができる。
【0010】
また、前記ロケーションの情報は、当該移動体ネットワークの無線インターフェースによりブロードキャストされる情報に基づくものであるか、又は、前記移動デバイスのロケーションの情報は、移動体国コードMCCと、当該ネットワークの移動体ネットワークコードMNCと、前記移動デバイスが現在接続しているセルのIDとのうちの少なくともいずれかを含むかのいずれか又は両方の形態をとることもできる。
【0011】
これによって、移動デバイスがロケーション情報を得ることができるようになり、その後、その移動デバイスはそのロケーション情報をサービス要求内に挿入することができる。
【0012】
また、前記ロケーションの情報に基づいて、前記サービスを実行している複数のサーバの中で他のサーバよりも前記移動デバイスに近いサーバが選択されるか、又は、前記ロケーションの情報に基づいて、前記サービスを実行しているか又は実行することのできる複数のサーバの中から、前記移動デバイスが接続している訪問先ネットワーク内に位置し、かつ当該移動デバイスのホームネットワーク内には位置していないサーバが選択されるかのいずれか又は両方の形態をとることもできる。
【0013】
近いサーバを選択することにより、接続の品質が向上し、コストを削減することができる。後者は、訪問先ネットワークからホームネットワークへのローミングを回避することができる場合にもあてはまる。
【0014】
他の形態によれば、前記移動デバイスのロケーションの情報は、当該移動デバイスによって取得されて前記DNS要求内に挿入されるか、又は、前記移動デバイスのロケーションの情報は、当該移動デバイスのロケーションの情報を認識しているネットワーク内のあるエンティティにより、又はそのエンティティから取得されるようにすることもできる。
【0015】
移動デバイスがロケーションを取得することは好都合である。なぜならば、このとき、要求元がロケーション情報を直接入力することができるためである。あるいは、これが何らかの理由で可能ではない場合であっても、別のエンティティからロケーション情報を取得することによって後の段階でその情報を入力することもできる。
【0016】
他の形態によれば、前記ロケーションの情報は、前記移動デバイスが直接接続しているネットワーク内のDNSサーバが、当該情報を認識しているあるネットワークエンティティ、好ましくは3GPPのSAEネットワーク内のMME若しくはHSSのいずれか又は両方、又は、これに相当する別の規格のエンティティ、例えばHLR若しくはVLRのいずれか又は両方を参照することにより取得することができる。
【0017】
これは、後の段階において、好ましくは移動デバイスが接続しているネットワーク内の第1のDNSサーバがロケーション情報を取得する方法である。
【0018】
他の形態によれば、前記移動デバイスのロケーションの情報は、要求されたサービスを特定するURI内の1つ以上のサブドメインとして前記DNS要求に含めることができる。
【0019】
これは、ロケーションの情報に基づくリダイレクション(redirection、誘導)を可能にしつつ、当該情報が標準的なDNSの動作を妨げないようにこの情報を含める特に効率的で好都合な方法である。
【0020】
他の形態によれば、前記方法は、前記DNS要求内にキーワードを挿入するステップを更に含むことができる。このキーワードは、前記サービスDNS要求をサービス移行に対応したサービスであるものとして特定するか、又は、前記DNSサービス要求を、前記移動デバイスのロケーションに基づいて、あるサーバへの前記DNSサービス要求のダイレクション(direction、誘導)を試みるべきサービスであるものとして特定するものである。
【0021】
これによって、「標準的」又は従来のDNS要求と、ロケーション情報に基づくリダイレクションを試みるべきDNS要求との区別が可能となる。
【0022】
他の形態によれば、前記方法は、前記移動デバイスのロケーションに応じて利用すべきサーバに関する情報を保存するサーバデータベースを用いるステップか、又は、前記最適なサーバを決定する際に、利用可能なサーバのロケーションに加えて、当該サーバの負荷をも考慮するステップかのいずれか又は両方を更に含む。
【0023】
このようにして、ロケーション情報に基づいてデータベースを検索することにより最適なサーバを決定することができる。
【0024】
他の形態によれば、前記方法は、前記DNSサービス要求が、前記移動デバイスのロケーションに基づいてダイレクションを試みるべきDNSサービス要求として当該DNSサービス要求を特定するためのキーワード又はコードを含むか否かをDNSサーバがチェックするステップと、前記移動デバイスのロケーションに基づくダイレクションを試みるべきと判断された場合には、前記移動デバイスのロケーションに基づいて選択される適切なサーバを決定するステップと、決定されたサーバのアドレスを前記移動デバイスに返すステップとを更に含む。
【0025】
これによって、従来のDNSサービス要求との下位互換性を確保しつつ、(キーワードに基づいて)要求された場合のリダイレクション処理が可能になる。
【0026】
他の形態によれば、前記方法は、前記移動デバイスが訪問先ネットワーク内にある場合には、前記DNS要求を前記移動デバイスのホームネットワークに転送するステップと、前記ホームネットワークと前記訪問先ネットワークとの間で、ホームネットワークサーバからのサービス移行を可能にして前記訪問先ネットワーク内のあるサーバ上で前記サービスを実行できるように交渉するステップと、前記交渉に成功した場合には、要求されたサービスを実行している前記訪問先ネットワーク内のサーバのアドレスを前記移動デバイスに返すステップとを更に含む。
【0027】
このようにして、ロケーション情報を含むDNS要求をサービス移行のきっかけとすることができる。
【0028】
他の形態によれば、前記方法は、前記移動デバイスが訪問先ネットワーク内にある場合には、当該訪問先ネットワークのDNSサーバが、前記サービスを当該訪問先ネットワーク内のサーバ上で実行できるか否かを判断するステップと、必要に応じて、前記訪問先ネットワークと前記移動デバイスのホームネットワークとの間で、前記訪問先ネットワークにおいて前記サービスを実行する条件について交渉するステップと、前記訪問先ネットワーク内のサーバ上で前記サービスを実行できる場合には、当該サーバのアドレスを前記移動デバイスに返すステップとを更に含む。
【0029】
このようにして、訪問先ネットワーク内のDNSサーバがDNS要求を「インターセプト」して、当該訪問先ネットワーク内でサービスを実行しようとすることによって、標準的なDNS処理を回避することができる。
【0030】
一実施形態によれば、移動デバイスからのサービス要求に応ずるサーバを決定する装置が提供される。本装置は、ある移動デバイスから要求されたサービスを特定するURIに加えて、前記移動デバイスのロケーションの情報をも含むDNS要求を生成するモジュールと、前記DNS要求をDNSサーバに転送するモジュールと、前記URIに追加された前記ロケーションの情報が示す前記移動デバイスのロケーションに基づいて、前記DNSサーバが、前記サービス要求に応ずる最適なサーバを決定するためのモジュールと、前記ロケーションに基づいて決定されたサーバのアドレスを前記移動デバイスに返すモジュールとを備えている。
【0031】
このようにして、本発明の一実施形態の装置(又はシステム)を提供することができる。
【0032】
一実施形態によれば、本発明の一実施形態による装置とともに動作する移動デバイスを有する装置が提供される。本装置は、前記移動デバイスのロケーションの情報を、好ましくは前記移動デバイスが接続しているネットワークからブロードキャストされる情報に基づいて決定するモジュールと、前記移動デバイスから要求されたサービスを特定するURIに加えて、前記移動デバイスのロケーションの情報をも含むDNS要求を生成するモジュールとを備えている。
【0033】
このようにして、本発明の一実施形態による移動デバイスを実施することができる。
【0034】
一実施形態によれば、本発明の一実施形態による装置とともに動作するネットワーク内のDNSサーバを有する装置が提供される。本装置は、ある移動デバイスから要求されたサービスを特定するURIに加えて、前記移動デバイスのロケーションの情報をも含むDNS要求を前記移動デバイスから受信するモジュールと、前記移動デバイスのロケーションに基づいてサーバを決定するモジュールと、前記ロケーションに基づいて決定されたサーバのアドレスを前記移動デバイスに返すモジュールとを備えている。
【0035】
このようにして、本発明の一実施形態によるDNSサーバを実施することができる。
【0036】
上記装置は、本発明の実施形態による方法のうちの1つにおけるステップ又は特徴を実行する1つ以上のモジュールを更に備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態によるリダイレクションの方法を概略的に示す説明図である。
【図2】本発明の他の実施形態によるリダイレクションの方法を概略的に示す説明図である。
【図3】本発明の他の実施形態によるリダイレクションの方法の一部を概略的に示す説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態によるデータベースサーバを概略的に示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態によるリダイレクションの方法を概略的に示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態によるリダイレクションの方法を概略的に示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態によるリダイレクションの方法の一部を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
まず始めに、以下の説明において用いられるいくつかの用語を説明する。
・CSCF:呼セッション制御機能(Call Session Control Function)
・DDDS:動的委任発見システム(Dynamic Delegation Discovery System)
・DNS:ドメインネームシステム(Domain Name System)
・HLR:ホームロケーションレジスタ(Home Location Register)
・IMS:IPマルチメディアシステム(IP Multimedia System)
・NAPTR:名前付け権限ポインタ(Name Authority Pointer)(DNSリソースレコード)
・P−CSCF:プロキシCSCF(Proxy CSCF)
・S−CSCF:サービスCSCF(Serving CSCF)
・SPM:サービスプログラムモビリティ(Service Program Mobility)
・UE:ユーザ機器(User Equipment)
・VLR:ビジターロケーションレジスタ(Visitor Location Register)
【0039】
1つの実施形態によれば、現在のネットワークにおいてSPM(サービスプログラムモビリティ)対応のアプリケーションを実施するための高速な移行パスを可能にする解決法が提案される。サービスプログラムモビリティは、大域的なサービス提供のための新しいパラダイムである。1つの実施形態によるシステムアーキテクチャは、事業者(operator)ドメインをまたがる動的なサービスコンポーネントの移行と、ローミングしているユーザに対してホームネットワークにいるときと同様の使用感(experience)をもたらすプラットフォームとを実現する。
【0040】
DNSサーバにユーザのロケーションを通知するメカニズムと、この情報を用いてクライアントに返すサーバアドレスを判断するためのDNSサーバの改良とがもたらされる。
【0041】
このようなメカニズムは、スマートフォン用のアプリケーションとして実施することができ、SPMのサポートを有しない訪問先ネットワークにおいて機能しうる。
【0042】
DNSサーバがユーザのロケーションを推定する最も簡単な方法は、要求の発信元のIPアドレスを用いることである。しかし、この手法にはいくつかの不利な点がある。DNS要求が仲介DNSサーバから到着した場合、見えるのは仲介サーバのアドレスである。
【0043】
IPアドレスを用いることと比較した本発明の実施形態の1つの利点は、訪問先ネットワークにおけるIPアドレスの構成に対する依存が回避できることである。これは、例えば移動体ネットワークコードに基づいて移動デバイスのロケーションの情報(indication)を追加することによってなされる。移動体ネットワークコードはより不変であり、そのため必要な動作上の負担も低減する。第2の利点は、一実施形態において提案される手法によって、DNSサーバが、訪問先ネットワークから来る直接のクエリとは別のパスを通る要求もサポートできることである。これは特に、要求がホームネットワーク内のS−CSCFから到着するIMSに有用である。
【0044】
1つの実施形態によれば、DNSが、ユーザのロケーションに関する情報に基づいてユーザ要求を利用可能な最良のサーバに導くことができるように、DNSを改良する方法が提供される。
【0045】
この目的のために、ある移動デバイスから要求されたサービスを特定するURIに加えて、当該移動デバイスのロケーションの情報をも含むDNS要求が生成される。このDNS要求はDNSサーバへと転送され、続いて、上記サービス要求に応じた最適なサーバがDNSサーバにより決定される。この決定は、上記URIに追加されているロケーションの情報が示すロケーションに基づいている。このように決定されたサーバのアドレスが当該移動デバイスへ返される。
【0046】
一実施形態における移動デバイスのロケーションの情報には、移動体国コードMCC(mobile country code)と、そのネットワークの移動体ネットワークコードMNC(mobile network code)と、当該移動デバイスが現在接続しているセルのIDとのうちの少なくとも一つが含まれる。ロケーション情報に基づいて、次に、上記サービスが稼働している複数のサーバの中から、それら複数のサーバの中で他のサーバよりも上記移動デバイスに近いサーバが選択される。
【0047】
一実施形態では、システムは主要かつ新たな2つの構成要素を有している。1つは、移動体ネットワークの無線インターフェースからブロードキャストされた情報(移動体国コードMCCと、そのネットワークの移動体ネットワークコードMNCと、セルIDとのうちの少なくとも一つなど)を取得し、この情報をDNSによる解決の前にURIに追加する、UE(移動デバイス)内のソフトウェアコンポーネントである。もう一つは、ユーザのロケーションに基づいてどのサーバアドレスを返すかを決定する改良されたDNS(又はDDDS)サーバである。特定の実施形態におけるDNSサーバは、サーバにおけるソフトウェアコンポーネントの利用可能性、候補となる様々なサーバの現在の負荷、外部のサービスプロバイダとの通信結果といった追加の情報も用いることができる。利用可能なサーバの負荷を考慮する一実施形態によれば、例えばロケーションの観点で最も好ましいサーバの負荷がある閾値を超えている場合には、ロケーションの観点で次に好ましいサーバを、そのサーバの負荷が許容可能な場合に選択することができる。
【0048】
提案の手法は、訪問先ネットワーク事業者によるサポートを必要とせずに機能するため、すべての事業者がSPMを展開するのを待つ必要なく、SPMの高速な展開が可能となる。実際に、任意の他のエンティティ、例えばクラウドコンピューティングプロバイダ、ベンダー、海外データセンターの事業者によりサービスイネーブラ(service enabler)がもたらされうる。これによって、様々なベンダーからのサービスイネーブラとの不適合の問題を回避するための手法も可能となる。なぜならば、イネーブラを、ベンダー自体等の外部機関が提供することができるためである。
【0049】
ユーザのロケーションを導き出すために要求元のクライアント又はDNSサーバのIPアドレスのみを用いる場合と比較して、以下の利点がある。
・より正確なロケーション情報により、ホームネットワークにおける配置(placement)の最適化が可能になる。
・他のDNSサーバ(例えば、グーグル社のDNSサーバ 8.8.8.8)を使用するユーザに対してロバストになる。
【0050】
以下、更なる実施形態をより詳細に説明する。そのためにまず、DNSの技術も更に説明する。
【0051】
インターネットにおいてサーバアドレスを提供するためにDNSが広く用いられている。そのため、DNSは例えばコンテンツ配信ネットワークにおいてサービスのルーティングを最適化するためのツールとしても用いられる。移動体ネットワーク事業者は通常、クライアントを最も適したサーバに導くために用いることのできる事業者自身のDNSサーバを設けている。このサーバは、サービスを見いだすためにDNSが用いられる多くの異なるシナリオにおいて利用することができる。例えば、S−CSCFは、DNSを用いて特定のサービスコンポーネントのロケーションを要求することができる。しかし、DNSサーバは、クライアント毎に応答を提供するために、十分な情報の提供を受けなくてはならない。基本的なDNS要求は、要求元のクライアント又はプロキシのIPアドレスのみを含んでいるため、要求それ自体の中に追加情報を含めることが必要となるか、さもなければ、サーバのロケーションに基づくことになる。さらに、MCC及びMNCは非常に安定している一方で、IPアドレスは割当てし直される場合があり、それにより、MCCあるいはMNCを用いる場合と比較して、IPアドレスをネットワーク又はロケーションへとマッピングできるようにするための更なる動作上の処理が必要となる。
【0052】
したがって、一実施形態による解決法は、UEのロケーション及び好ましくはサービスの詳細に関する情報を、DNSサーバに対して十分な情報を提供するためにDNS要求の中に含めることである。これは、例えば、無線インターフェースを介してブロードキャストされるセル情報及びネットワーク情報を用いることによって可能となる。このように情報を提供することの欠点は、この情報を追加するためにDNS要求に変更を施すことが必要となることである。しかし、ほとんどのスマートフォンのオペレーティングシステム及びデバイスは必要なインターフェースを提供するものであり、それによって、これをSPM対応アプリケーションにより実施することができる。したがって、スマートフォン用のSPMサービスのための展開モデルは、アプリケーション開発者が用いることのできるSPM特有の機能を実施するライブラリを提供することとすることができる。しかし、既存のアプリケーション及びより制限されたオペレーティングシステムの場合には、このリダイレクション方法をサポートするのは容易ではない場合がある。そのため、この場合に解決法をどのように適用することができるかの一実施形態も以下に説明する。
【0053】
クライアントがサーバに対して直接的に新たなサービスを要求する場合には、DNSによって(又は担当のDNSサーバによって)リダイレクションを処理することができる。このセクションにおいて、DNSサーバというときは、リダイレクション機能としての役割を果たすか又はリダイレクション機能を提供する改良されたサーバを意味する。まず、DNS要求が、ドメイン名に追加されたUEのロケーション情報を含む場合を説明する。この場合、DDDS法を用いるDNSサーバは、ロケーション情報を直接用いて、ユーザを導くサーバを、サーバデータベースからの追加情報を用いて選択することができる。次に、DNSサーバは適切なIPアドレスを用いて応答し、クライアントはサーバに接続することができる。このことを図1に示している。次に、図1に示す動作を簡単に説明する。
【0054】
図1は、訪問先ネットワークからのサポートを必要とせずにリダイレクションが行なわれる一実施形態を示している。
【0055】
UEは、アプリケーションの開始時に訪問先ネットワークに接続されている。ステップ1では、移動体国コード(MCC)と移動体ネットワークコード(MNC)とからなるPLMN−IDが、移動電話機のOS(例えば、Symbian、Android等)のAPIを通じて読み取られる。これは移動デバイスのロケーションの情報であり、「SPM.MCC.MNC.Servicename.DocomoDomain」という形式に変更されたDNS要求を生成するために用いられる。ここで、「ServiceName」というサービスは、移動体事業者であるドコモ社のドメイン(つまり、「Docomodomain」のサブドメインであるドメイン「ServiceName」)の下で提供されるものである。また、「MNC」及び「MCC」は2つのサブドメインによりUEのロケーションの情報を構成している。(最下位の)サブドメイン「SPM」は、サービス要求がSPM対応ネットワークによりサポートされうる(この実施形態にはあてはまらない)ことを示している。
【0056】
ステップ2では、DNSによる解決が行われ、要求が訪問先ネットワークから(ドコモ社の)ホームネットワーク内のDNSサーバへと転送される。
【0057】
ステップ3では、「MCC」、「MNC」及びサービスの名称(「ServiceName」)に基づいて解決が行われる。そのために、UEのロケーションに応じた適切な(外部)サーバのリストが保存されているサーバデータベースを参照することができる。(データベースを検索することにより、)適した(ホームネットワークから見て外部の)外部サーバが存在することが判明した場合、かつ当該サーバがサービスに必要な機能を有している場合には、ステップ4にてこのサーバのアドレスを含むDNS応答が返送される。このようにして、ホームネットワーク(ここではドコモ社のネットワーク)内のサーバよりもUEに近いか、又はローミングの必要がないかのいずれか又は両方である外部サーバのアドレスを決定し、UEに返すことができる。
【0058】
次に、ステップ5において、UEはインターネットを通じてこの外部サーバへの接続を確立することができる。
【0059】
サービスが、クライアントが接続する必要のあるサーバを複数有している場合には、複数のDNS要求が行われることになる。アプリケーションサーバは、追加のサーバに接続する必要がある場合には、その接続のために適切なサーバを見つけるべくDNS要求を行う。この第2のサーバを、クライアント識別情報又はUEのロケーションに基づいて選択する必要がある場合には、この情報はサーバに提供されなければならない。これは通常、アプリケーションの中で発生する。あるいは、移動体ネットワーク内のエンティティを用いて、必要な情報を提供することもできる。
【0060】
DNSリダイレクションのために考慮すべき別の側面は、ドメイン名に関して権限のあるDNSサーバ(authoritative DNS server)を誰が制御するかである。通常、これはサービスプロバイダである。サービスプロバイダはホームネットワークプロバイダとすることができるが、そうではなくてもよい。最も重要なケースは、ホームネットワークプロバイダがサービスプロバイダでもあるときである。SPM対応サービスが、(少なくとも仲介である)ホームネットワーク事業者により提供されていないサービスについてもサポートされている場合には、DNS解決要求は、ホームネットワーク事業者のDNSサーバに導くことができる。
【0061】
クライアントがローミングしている場合には、訪問先ネットワーク内のDNSサーバが要求を受信するものと想定される(全てのデータトラフィックがホームネットワークを通じてルーティングされる場合には、そうとも限らない。しかし、その場合にはSPMを展開することによる利得がない)。DNSクエリは、サービスを配置(place)する場所を決める、権限のあるDNSサーバへと転送される。ここで、生じる可能性がある1つの厄介な問題(complication)は、訪問先ネットワーク内のDNSサーバがDNS要求に対する応答をキャッシュし、以前の要求と同じサーバ内に同一の要求を配置することである。これは、ホームネットワークに対し、サービスの要求回数に基づいて配置を変更する機会が与えられないため問題である。したがって、DNS応答のキャッシングは最小限にするのが好ましく、これは応答に関して優先度を設けることによって実現できる。
【0062】
DNSに基づくリダイレクションの1つの側面は、訪問先ネットワークの協力を受けることなく展開できるということである。このことは、サービスを訪問先ネットワーク内に配置することができないものの、ユーザに近い、適切なロケーションに配置できることを意味する。図1はそのようなシナリオを示したものである。訪問先ネットワークはSPMに特有の処理を一切行う必要がなく、標準的なDNS解決を行いささえすればよい。当業者には明らかなように、このシナリオが機能するには、ネットワークは、データトラフィックをホームネットワークに戻すようにルーティングするのではなく、当該トラフィックのローカルブレイクアウト(local breakout)をサポートする必要がある。
【0063】
図2は、訪問先ネットワークもSPMをサポートする一実施形態を示している。本実施形態は、訪問先ネットワークもSPMをサポートしている場合の、図1の手順の変更形態とみなすことができる。本実施形態は、複数のシナリオにおいて手順をどのように用いることができるか、及びその手順がSPMの段階的な展開をどのようにサポートするかを示すものである。
【0064】
この場合、サービスを訪問先ネットワークに移動させるか又はホームネットワークにおいて実行するかと、サービスを訪問先ネットワークに移行させる追加の手順を開始するかとを判断する必要がある。したがって、ホームネットワーク及び訪問先ネットワークは、配置コントローラと呼ばれる追加機能を有している。これらのコントローラは、サービスを訪問先ネットワーク内に配置することに関して交渉することができる。これらの機能の必要性は、SPMが具体的にどのように実装されているかの詳細、例えばサービスを訪問先ネットワークにおいて常に実行することができるか否か、そして、訪問先ネットワークにおいてサービスコンポーネントが既に利用可能であるか否かに依存する。
【0065】
次に、図2に示すプロセスを、特に図1に示したプロセスとの違いを説明しながら簡単に説明する。
【0066】
ステップ1においてDNS要求にロケーション情報を追加した後に、訪問先ネットワークのDNSサーバによりDNS解決が行われる。DNS要求はホームネットワークへと転送される。要求されたサービスが既に移行されている場合(ネットワーク及び実施態様に依存する)、その要求は訪問先ネットワーク内で直接処理することができる。この事例については後に別の実施形態との関連で説明する。
【0067】
ステップ3では、DNS要求が解決され、訪問先ネットワークにおいてサービスを実行できる可能性を、場合によってはサーバデータベースを参照することによってチェックする。
【0068】
ステップ3’では、ホームネットワーク内の配置コントローラが、訪問先ネットワーク内でサーバを実行できる可能性について訪問先ネットワーク内の配置コントローラと交渉する。これには、訪問先ネットワーク内でサービスを実行するための料金に関する交渉をも含めることができる。ここでも、サービスが訪問先ネットワーク内で利用可能である場合には、本ステップは必要ではない場合がある。
【0069】
次に、ステップ4では、サーバアドレスがDNS応答として返される。次に、ステップ5では、UEとこのサーバ(訪問先ネットワークサーバ)との間の接続が確立される。
【0070】
改良されたDNSサーバは、DNS要求に含まれている文字列(URI)に基づいた検索手順を行うことができる。この手順を図3に示している。DNSサーバは、これがSPM対応サービスであることを検出した後に(この検出は、例えば図3の第1のチェックボックスに示しているように、DNS要求の文字列内のキーワード(spm)に基づいて行うことができる)、サービス及びMCC、MNCに基づいて対象となるサーバの集合を絞り込む。これらの2つのステップの順序は、展開のシナリオに依存する。原則として、第1のステップにおいて可能な限りサーバの集合を絞り込むことが好ましい。そのため、サーバが通常、少ない一部のサービスしか提供できない場合には、まず図3に示すようにサービスに基づいて選択を行うことが好ましい。これは例えば、特定のベンダーのサービスイネーブラを選択しなくてはならないような場合である。あるいは、ほとんどのサーバがたいていのサービスを提供できる場合には、最初にMCC、MNCを用いて対象となるサーバの集合を絞り込むことが好ましい。
【0071】
図3において、DNSサーバがサーバデータベースと通信することも見て取れる。このサーバデータベースの構造の一例を図4に(部分的に)示している。サーバの能力は、まず、ネットワークによって提供される一組のサービスに対応した長さを有するビットマスクで表すことができる。ここで、各ビットはある1つのサービスを表している。ネットワーク内で提供されるサービスが多いほど、例えばサポートされているAPI及びハードウェアリソースの観点からサービスに特化しない形式でサーバの能力を定めることが好ましい場合がある。したがって、データベースは、これらの特定のための方法の双方の列を含むように拡張することができる。MCC、MNCの情報は、ロケーション、及びそのロケーションを所与として、どのサーバを要求されたサービスに用いることができるかに関する情報を提供する。サーバ事業者が該事業者のネットワークの部分ごとに異なるサーバを用いることを優先する場合には、いくつかのサーバに関してセルID、ロケーションの情報を設けることができる。サーバを制御するエンティティも含まれる(ここでは、サーバ利用の交渉のための制御装置に到達する方法に関する情報も含まれるべきである)。また、サーバアドレスも含まれるが、これは、サーバが異なる装置によって制御されている場合に交渉中に提供することができる。原則として、これによって、訪問先ネットワーク事業者は、UEのロケーションがわかるので、プライベートIPアドレスを提供することも可能になる。
【0072】
一実施形態によれば、UEのロケーションがDNS要求に含まれていない場合、ネットワーク、すなわちMME(Mobility Management Entity、移動性制御エンティティ)又はHSS(Home Subscriber Server、ホーム加入者サーバ)からの情報を用いてなおもロケーションを推定することができる。DNSクエリが第1のDNSサーバにおいて(該サーバが接続されているネットワーク内で)この情報を用いて改良されている場合には、クエリは、ロケーション情報を有する端末から到来したのと同じに見え、ホームネットワークにおいて上記の実施形態において説明したのと同じDNS手順を行うことが可能となる。クエリは、この情報で、ホームネットワーク内のDNSサーバによって、UEがどのネットワークに接続されているかに関するHSSからの情報を用いて改良することもできる。
【0073】
ロケーション情報は、改良されたDNSサーバによって、図3において説明した手順に入る前の処理段階としてネットワークに要求することができる。ローミングの場合には、MMEからロケーション情報を得ることは、それにより、権限のあるDNSサーバがホームネットワークの制御下にない場合(すなわち外部サービスプロバイダ)であっても、その権限のあるDNSサーバに全ての必要な情報が提供されるため、利点がある。あるいは、配置コントローラがロケーション情報を要求することもできる。配置コントローラにロケーション情報を要求させる動機づけは、配置コントローラがこの情報を必要とする機能であることにある。
【0074】
図5は、ロケーションの情報がDNSリゾルバ(DNS resolver)に加えられる、SPM対応アプリケーションのない一実施形態を示している。
【0075】
ステップ1では、ロケーション情報のないサービス要求が発行される。次に、DNSサーバは、当該サービスに関してSPMが可能であるか否かをチェックする。ステップ2’では、MME又はHSSの少なくとも一方からUEのロケーションの情報が得られる。
【0076】
次に、サービスロケーションクエリが配置コントローラへ転送され(ステップ3)、この配置コントローラはそれに対応する応答を発行する(ステップ4)。このとき、これはサーバアドレス又はサービスのアドレスに相当し、ステップ5ではDNSサーバが返す。次に、ステップ6では、返されたアドレスを有するサーバへの接続が確立される。
【0077】
以下、IMSの場合のDNSリダイレクションの適用について説明する。IMSにおいては、UEからサービス要求が発行されると、P−CSCFはユーザのホームネットワーク内のS−CSCF(サービスCSCF)と通信する。次に、S−CSCFは、セッションをアプリケーションサーバ(AS)へ導く。ASを見つけるためには、S−CSCFはDNSを用いることができる。これにより、DNSリダイレクションがこの場合にも有用となる。しかし、これには、UEのロケーションに関する情報がDNS要求の中に含まれることが必要であり、さもなければ、S−CSCFのIPアドレスに基づいてサーバの選択を最適化する。呼(call)を確立するときに、発信元の端末は、IMS信号の中にアクセスネットワーク技術及びセルIDを含めることができる。この情報は、ロケーションに応じた応答を得るためにMCCとMNCとセルIDとをURIに加えることによりDNS検索の際に用いることができる。そのため、DNSサーバの変更もIMSが利用できる。
【0078】
続いて、複合的な(composed)サービスへのアプローチの適用について説明する。多くのサービスが複数のコンポーネントにより構成されている。コンポーネントのそれぞれがUEにのみ接続されている場合には、これまでに説明した方法は各コンポーネントに対して個々に適用できる。しかし、サービスコンポーネントが互いに内部的に接続されている場合もある。この場合には、UEに直接接続されているコンポーネントのみがUEのロケーションを考慮する必要がある。その他のコンポーネントは、相互に接続されているコンポーネントのロケーションを考慮しさえすればよい。後者の問題は、様々なサーバの静的なロケーションに関する情報しか必要とせず、そのため、UEの(動的な)ロケーションをどのように考慮するかという問題とは無関係である。
【0079】
以下、訪問先ネットワーク事業者がSPMをサポートしている場合の、オプションの拡張を伴う一実施形態を説明する。この実施形態では、訪問先ネットワークのDNSサーバは、自己のネットワーク内で実行することができるSPM対応サービスを検出するように構成されている。次に、DNSサーバは、ホームネットワークとの交渉を開始し、自己のネットワーク内でサービスを実行することを提案する。これは、サービスプロバイダが移動体ネットワーク事業者ではない場合にも機能するものである。そのため、移動体事業者は、外部のサービスプロバイダに対して、例えば追加収入を生み出すために、自己のサービス配信プラットフォームを動的に提供することができる。
【0080】
図6は、要求をどのようにインターセプトすることができるか、及びサービスの配置に関する交渉を訪問先ネットワークからどのように開始することができるかに関する一実施形態を示している。
【0081】
ステップ1は、これまでの実施形態に関して説明したものと同じである。次に、ステップ2では、DNS解決要求を、NDSサーバが訪問先ネットワークにおいてインターセプトする。訪問先ネットワーク内のDNSサーバが行う手順を図7に示している。インターセプトは、例えば図7に示しているように、要求内の最初の要素がspmであるということをそのきっかけとすることができる。これにより、DNSサーバは、要求をホームネットワークに転送するのではなく、その要求をインターセプトすることを認識する。次に、ステップ3では、例えば図7に示しているようにサーバデータベースを参照することにより、又は場合によってはデータベースに関連して、図6に示しているような配置コントローラを用いることにより、訪問先ネットワークにおいてサービスを実行できる可能性を調べる。
【0082】
そのような可能性が存在しない場合には、要求がホームネットワークへと転送される(図7)。これに対し、訪問先ネットワークにおいてサービスを実行できる可能性がある場合には、図6のステップ3’と図7に示しているように、(例えば価格などの)条件についてホームネットワークとの間で(例えば各ネットワークの2つの配置コントローラの間で)交渉がなされる。
【0083】
交渉に成功した場合には、訪問先ネットワークにおいてサービスが実行されることになるサーバのアドレスを含むDNS応答が送信され(ステップ4)、次にステップ5では接続が確立される。交渉が成功しなかった場合には、要求がホームネットワークに転送される。
【0084】
本発明の実施形態に関連して説明した方法、要素、ユニット、及び装置は、ハードウェア、ソフトウェア、又は両者の組合せとして実施できることが当業者には容易に明らかとなろう。特に、本発明の実施形態及びそれに関連して説明したモジュールの要素は、コンピューター上で実行されているか又はマイクロプロセッサによって実行されている1つ以上のコンピュータープログラムによって実施できることが理解されよう。本発明を実施する任意の装置は、特に、ネットワーク内で動作するルーター、サーバ(特にDNSサーバ)、モジュール等のネットワークエンティティ、又は移動電話機、スマートフォン、PDA、UE、若しくは任意の同様のもの等の移動デバイスの形態をとることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある移動デバイスから要求されたサービスを特定するURIに加えて、前記移動デバイスのロケーションの情報をも含むDNS要求を生成するステップと、
前記サービスDNS要求をサービス移行に対応したサービスであるものとして特定するキーワードを前記DNS要求内に挿入するステップと、
前記DNS要求をDNSサーバに転送するステップと、
前記URIに追加された前記ロケーションの情報が示す前記移動デバイスのロケーションに基づいて、前記DNSサーバが、前記サービス要求に応ずる最適なサーバを決定するステップと、
前記ロケーションに基づいて決定されたサーバのアドレスを前記移動デバイスに返すステップと
を含む、移動デバイスからのサービス要求に応ずるサーバを決定する方法。
【請求項2】
前記ロケーションの情報は、当該移動体ネットワークの無線インターフェースによりブロードキャストされる情報に基づくものであるか、又は、
前記移動デバイスのロケーションの情報は、移動体国コードMCCと、当該ネットワークの移動体ネットワークコードMNCと、前記移動デバイスが現在接続しているセルのIDとのうちの少なくともいずれかを含むか
のいずれか又は両方である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロケーションの情報に基づいて、前記サービスを実行している複数のサーバの中で他のサーバよりも前記移動デバイスに近いサーバが選択されるか、又は、
前記ロケーションの情報に基づいて、前記サービスを実行しているか又は実行することのできる複数のサーバの中から、前記移動デバイスが接続している訪問先ネットワーク内に位置し、かつ当該移動デバイスのホームネットワーク内には位置していないサーバが選択されるか
のいずれか又は両方である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記移動デバイスのロケーションの情報は、当該移動デバイスによって取得されて前記DNS要求内に挿入されるか、又は、
前記移動デバイスのロケーションの情報は、当該移動デバイスのロケーションの情報を認識しているネットワーク内のあるエンティティにより、又はそのエンティティから取得される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ロケーションの情報は、前記移動デバイスが直接接続しているネットワーク内のDNSサーバが、当該情報を認識しているあるネットワークエンティティ、好ましくは前記ネットワーク内のMME若しくはHSSのいずれか又は両方、又はHLR若しくはVLRのいずれか又は両方を参照することにより取得するものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記移動デバイスのロケーションの情報は、要求されたサービスを特定するURI内の1つ以上のサブドメインとして前記DNS要求に含まれるものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記移動デバイスのロケーションに応じて利用すべきサーバに関する情報を保存するサーバデータベースを用いるステップか、又は、
前記最適なサーバを決定する際に、利用可能なサーバのロケーションに加えて、当該サーバの負荷をも考慮するステップか
のいずれか又は両方を更に含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記DNSサービス要求が、前記移動デバイスのロケーションに基づいたダイレクションを試みるべきDNSサービス要求として当該DNSサービス要求を特定するためのキーワード又はコードを含むか否かをDNSサーバがチェックするステップと、
前記移動デバイスのロケーションに基づいたダイレクションを試みるべきと判断された場合には、前記移動デバイスのロケーションに基づいて選択される適切なサーバを決定するステップと、
決定されたサーバのアドレスを前記移動デバイスに返すステップと
を更に含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記移動デバイスが訪問先ネットワーク内にある場合には、前記DNS要求を前記移動デバイスのホームネットワークに転送するステップと、
前記ホームネットワークと前記訪問先ネットワークとの間で、ホームネットワークサーバからのサービス移行を可能にして前記訪問先ネットワーク内のあるサーバ上で前記サービスを実行できるように交渉するステップと、
前記交渉に成功した場合には、要求されたサービスを実行している前記訪問先ネットワーク内のサーバのアドレスを前記移動デバイスに返すステップと
を更に含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記移動デバイスが訪問先ネットワーク内にある場合には、当該訪問先ネットワーク内のDNSサーバが、前記サービスを当該訪問先ネットワーク内のサーバ上で実行できるか否かを判断するステップと、
必要に応じて、前記訪問先ネットワークと前記移動デバイスのホームネットワークとの間で、前記訪問先ネットワークにおいて前記サービスを実行する条件について交渉するステップと、
前記訪問先ネットワーク内のサーバ上で前記サービスを実行できる場合には、当該サーバのアドレスを前記移動デバイスに返すステップと
を更に含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ある移動デバイスから要求されたサービスを特定するURIに加えて、前記移動デバイスのロケーションの情報をも含むDNS要求を生成するモジュールと、
前記サービスDNS要求をサービス移行に対応したサービスであるものとして特定するキーワードを前記DNS要求内に挿入するモジュールと、
前記DNS要求をDNSサーバに転送するモジュールと、
前記URIに追加された前記ロケーションの情報が示す前記移動デバイスのロケーションに基づいて、前記DNSサーバが、前記サービス要求に応ずる最適なサーバを決定するためのモジュールと、
前記ロケーションに基づいて決定されたサーバのアドレスを前記移動デバイスに返すモジュールと
を備えた、移動デバイスからのサービス要求に応ずるサーバを決定する装置。
【請求項12】
前記移動デバイスのロケーションの情報を、好ましくは前記移動デバイスが接続しているネットワークからブロードキャストされる情報に基づいて決定するモジュールと、
前記移動デバイスから要求されたサービスを特定するURIに加えて、前記移動デバイスのロケーションの情報をも含むDNS要求を生成するモジュールと
を備えた、請求項11に記載の装置とともに動作する移動デバイスを有する装置。
【請求項13】
ある移動デバイスから要求されたサービスを特定するURIに加えて、前記移動デバイスのロケーションの情報をも含むDNS要求を前記移動デバイスから受信することと、
前記移動デバイスのロケーションに基づいてサーバを決定するモジュールと、
前記ロケーションに基づいて決定されたサーバのアドレスを前記移動デバイスに返すモジュールと
を備えた、請求項11又は12に記載の装置とともに動作するネットワーク内のDNSサーバを有する装置。
【請求項14】
請求項2〜10のいずれか1項に記載のステップ又は特徴を実行するモジュールを更に備えた請求項11〜13のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−161078(P2012−161078A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−16978(P2012−16978)
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】