サーボプレスの制御装置及び制御方法
【課題】プレスの圧力能力と駆動系のトルク能力に対する過負荷を防止した、サーボプレスの制御装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】サーボモータの駆動力を駆動機構を介してスライドに伝達することでプレス成形を行うサーボプレスの制御装置において、スライド目標位置データを算出するモーション演算部と、スライド目標位置データに基いてプレス成形に必要な加工トルクとサーボモータの速度変化に必要な制御トルクに分割するトルク分割部と、分轄された加工トルクを所定の加工制限トルクに制限する加工系制限部と、加工制限トルクと制御トルクとの合成トルクを所定の駆動制限トルクに制限する駆動系制限部を設け、駆動制限トルクの指令に基いて前記サーボモータが駆動されることを特徴とする。
【解決手段】サーボモータの駆動力を駆動機構を介してスライドに伝達することでプレス成形を行うサーボプレスの制御装置において、スライド目標位置データを算出するモーション演算部と、スライド目標位置データに基いてプレス成形に必要な加工トルクとサーボモータの速度変化に必要な制御トルクに分割するトルク分割部と、分轄された加工トルクを所定の加工制限トルクに制限する加工系制限部と、加工制限トルクと制御トルクとの合成トルクを所定の駆動制限トルクに制限する駆動系制限部を設け、駆動制限トルクの指令に基いて前記サーボモータが駆動されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボモータで、クランク軸やエキセン軸による偏心機構、ナックル機構やリンク機構による倍力機構等を介してスライドを駆動する、サーボプレスの制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に一般的な機械プレスの構成を示す。フライホイール3のエネルギーが摩擦板で構成されたクラッチ4を経由してピニオンギヤ5からメインギヤ6に伝達され、クランクシャフト8を駆動してスライド10が昇降する構造になっている。
【0003】
クラッチ4は、プレスの加圧力を示す図3の行程圧力線図を満足させるトルク伝達力を有しており、フライホイール3が持つ大きなトルクは、摩擦板で構成されるクラッチ4で伝達トルクが必要トルク以下に制限されているため、クラッチ4が駆動系であるピニオンギヤ5、メインギヤ6、クランクシャフト8、コネクティングロッド9にストレスが掛からない構造となっている。
【0004】
図2は一般的なサーボプレスの構成図で、上記機械プレスで用いられているクラッチ4を設けず、ピニオンギヤ5にサーボモータ11が直接接続されるか、或いは減速用のギヤを経由して接続される構成としている。サーボプレスをスライド10の位置や速度等を数値制御でコントロールするために、機械プレスのクラッチ4を設けずサーボモータ11の回転位置とスライド10の位置が常に固定された関係に保たれている。
【0005】
また、サーボプレスに使用されるサーボモータ11は、プレスの加圧力を示す図3の行程圧力線図を満足させるうえで、十分トルクの大きいモータが選定されるため、サーボプレスが発生可能な加圧力は図3のサーボプレスの線図のようになる。図3で横軸はスライドの下死点位置からの高さ(単位mm)、縦軸はプレスの加圧力(単位kN)を表す。
【0006】
しかしながら、サーボモータ11が十分なトルクを発揮できるとしても、プレス機械の構造設計上で、必要以上のトルクが掛けられると、ピニオンギヤ5やメインギヤ6の駆動機構にピッチング等のダメージが発生し、そのまま使い続けると機械を壊す恐れが有る。
【0007】
従来のプレスの過負荷保護装置として、コネクティングロッド9とスライド10の結合部に油圧室を設けて、予め設定された以上の加圧力が発生すると油圧をリークさせる保護装置や、プレス機械のフレームに歪ゲージを取付けて加圧力をフレームの延びとして検出し、所定値以上を検出したときプレスを止めるオーバ荷重検出装置がある。
【0008】
しかし、サーボプレスはプレス加工中にもサーボモータ11の速度が可変であって、プレス加工時にサーボモータ11が加速中であるか減速中であるかの違いにより、プレス荷重は同一であっても、サーボモータ11から駆動軸へ伝わるトルクが異なるため、従来の機械プレスで使用されている過負荷保護装置では保護できない問題がある。
【0009】
この種問題の対策として、特許文献1では、サーボプレスの機械保護のために、スライド下死点近傍で、スライド加圧力が制限値を略一定に保つよう、偏心軸回転角度に応じてモータトルクを減少させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−174591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、実際のプレス加工において、下死点近傍だけで加工の仕事をするケースはブランキング加工に限定され、それ以外の絞り加工等では下死点手前のスライドが高い位置からプレス加工が行なわれる。したがって、特許文献1に示される技術では、絞り加工等のプレス加工中に加圧力が制限されない場合があり、大きいトルクにより駆動系や機械にダメージを与えてしまう恐れがある。
【0012】
また、モータトルクはプレス加工時の外乱トルクに対向する加工トルクとは別に、モータ及びモータと結合されている駆動系で、高速で回転することにより慣性エネルギーが発生し、この慣性エネルギーはモータ速度に比例してモータをアシストする慣性トルクとなる。一方で、駆動系で発生する回転による摩擦力がモータに負荷を掛ける摩擦トルクとなる。これらの慣性トルクと摩擦トルクは、モータを回すことで生じる機械的なトルク変動要素であり、これらを総称して変動トルクとする。
変動トルク(モータ速度に応じて変化)=慣性トルク+摩擦トルク
更に、サーボプレスはプレス加工時のモーションが任意に変更できることが特徴であるが、モータが加速中に加工する場合と、モータが減速中に加工する場合とでは、必要なモータトルクが異なる。ここで、モーションにより決められる加減速トルクと、モータ速度に応じて変化する変動トルクをまとめたものを制御トルクとすると、必要なモータトルクは、以下の式で表される。
モータトルク=加工トルク(外乱対向トルク)+制御トルク(加減速トルク+変動トルク)
特許文献1に示される、偏心軸回転角度に応じてモータトルクを減少させる方法では、モータ加減速中の加工時に変化する制御トルク成分を考慮していないため、プレスの機械保護方法としては不十分である。
【0013】
図4に、一般的なサーボプレスの制御装置を示す。プレス情報記憶部20には、プレス能力、スライドストローク長さ、ピニオンギヤ5とメインギヤ6の歯数で決まる減速比や、コネクティングロッド9(いずれも図2参照)の長さ、駆動系の慣性モーメント等の情報がパラメータとして予め記憶されている。
【0014】
モーションデータ設定部21では、プレススライド28が1サイクル運転するモーションをスライド位置基準で区切り、工程として設定入力される。モーションデータ設定部21で設定されるデータは、モーションデータ22に示すように、工程毎にスライド位置と、スライド速度として設定入力される。
【0015】
図4の例では、スライド位置800mm(スライド下死点上の高さ)から1工程が始まり、200mmからが2工程、0mm(下死点)からが3工程、そして最終の4工程を800mmからとしている。また、スライド速度はモータ速度を基準に、プレスの仕様上で最速の速度を100%とした比率で表し、1工程と2工程の区間速度を100%として1工程の速度欄に設定され、2工程と3工程の区間速度を50%として2工程の速度欄に設定され、3工程と4工程の区間速度を100%として3工程の速度欄に設定されている。
【0016】
モーション演算部23では、実際にモータを制御するために必要とする時間毎に、移動すべきスライド目標位置を決めるための演算を行ない、起動装置24の入力信号をトリガとして、上記演算結果の目標位置指令がアンプ25へ出力される。サーボモータ26とクランク27とは所定関係で結合されているため、アンプ25の制御によりサーボモータ26が回転することでプレススライド28は昇降動作を行うことになる。
【0017】
図4のサーボプレスで、サーボモータ26とクランク27が結合されている場合、行程圧力線図上の加圧力を発生させるためスライド位置に対する必要モータトルクと、サーボモータ26が単体で持つ最大トルクを実際モータトルクとすれば、実際モータトルクに余裕をもたせるため、関係は下記式と図5のようになる。
必要モータトルク < 実際モータトルク
図6は、機械仕様として決められた行程圧力線図(仕様)に対し、実際モータトルクに制限を掛けずに使用した場合の行程圧力線図(実際)がどのようになるのかを表したものである。図5、図6で、横軸はスライドの下死点位置からの高さ(単位mm)、左縦軸はプレスの加圧力(単位kN)、右縦軸はトルク(単位kNm)をそれぞれ示す。
【0018】
図6に示される二つの行程圧力線図から、スライド加工域全てにおいて、行程圧力線図(仕様)となるように、サーボモータのトルク制限を行なわなければ、駆動系や機械にダメージを与える恐れがあることが分かる。
【0019】
本発明は、上記問題点に鑑み、プレスの圧力能力と駆動系のトルク能力に対する過負荷を防止した、サーボプレスの制御装置及び制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記従来の課題を解決するため、サーボモータの駆動力を駆動機構を介してスライドに伝達することでプレス成形を行うサーボプレスの制御装置において、
現在位置データを出力するエンコーダと、プレス装置固有の情報が記憶されるプレス情報記憶部と、スライド位置とスライド速度が設定されるモーションデータ設定部と、上記エンコーダ、プレス情報記憶部およびモーションデータ設定部からの情報に基いてスライド目標位置データを算出するモーション演算部と、スライド目標位置データをプレス成形に必要な加工トルクとサーボモータの速度変化に必要な制御トルクに分割するトルク分割部と、分割された加工トルクを所定のトルクに制限する加工系制限部と、制限された加工トルクと制御トルクとの合成トルクを所定の駆動トルクに制限する駆動系制限部を設け、制限された駆動トルクに基いて前記サーボモータが駆動されることを特徴とする。
【0021】
また、上記に記載のサーボプレスの制御装置において、前記加工系制限部は加工トルクをプレス装置固有のプレスの圧力能力以下の加工制限トルクに制限することを特徴とする。
【0022】
また、上記に記載のサーボプレスの制御装置において、前記駆動系制限部は、上記合成トルクをプレス装置固有の駆動系の駆動トルク能力以下に制限することを特徴とする。
【0023】
また、上記に記載のサーボプレスの制御装置において、前記トルク分割部は、スライド目標位置データとエンコーダからの現在位置データに基いて加工トルクを出力する加工トルク発生部と、スライド目標位置データとプレス装置固有の情報に基いて制御トルクを出力する制御トルク発生部とを備えたことを特徴とする。
【0024】
また、上記に記載のサーボプレスの制御装置において、前記プレス情報記憶部のプレス装置固有の情報は任意に設定されることを特徴とする。
【0025】
本発明は、上記従来の課題を解決するため、現在位置データを出力するエンコーダと、プレス装置固有の情報が記憶されるプレス情報記憶部と、スライド位置とスライド速度とが設定されるモーションデータ設定部と、上記エンコーダ、プレス情報記憶部およびモーションデータ設定部からの情報に基いてスライド目標位置データを算出するモーション演算部を備え、スライド目標位置データに基いて駆動されるサーボモータの駆動力を駆動機構を介してスライドに伝達することでプレス成形を行うサーボプレスの制御方法において、
前記スライド目標位置データをプレス成形に必要な加工トルクとサーボモータの速度変化に必要な制御トルクに分割し、分割された加工トルクを所定のトルクに制限し、制限された加工トルクと制御トルクの合成トルクを所定の駆動トルクに制限し、制限された駆動トルクに基いて前記サーボモータが駆動されることを特徴とする。
【0026】
また、上記に記載のサーボプレスの制御方法において、前記分割された加工トルクはプレス装置固有のプレスの圧力能力以下の加工トルクに制限されることを特徴とする。
【0027】
また、上記に記載のサーボプレスの制御方法において、前記制限された加工トルクと分割された制御トルクの合成トルクはプレス装置固有の駆動系の駆動トルク能力以下に制限されることを特徴とする。
【0028】
また、上記に記載のサーボプレスの制御方法において、前記加工トルクは、スライド目標位置データとエンコーダからの現在位置データに基いて出力され、前記制御トルクは、スライド目標位置データとプレス装置固有の情報に基いて出力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、プレスの圧力能力と駆動系のトルク能力に対する過負荷を確実に防止し、駆動系や機械へのダメージを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】一般的な機械プレスの構成図である。
【図2】一般的なサーボプレスの構成図である。
【図3】行程圧力線図とサーボプレスの線図の関係を示す特性線図である。
【図4】一般的なサーボプレスの制御装置のブロック構成図である。
【図5】実際モータトルクと必要モータトルクの関係を示す特性線図である。
【図6】実際モータトルクを制限しない場合の特性線図である。
【図7】本発明実施例の制御系のブロック構成図である。
【図8】同じく、トルク分割部のブロック構成図である。
【図9】仕様より大きなモータトルクを出力する場合の特性線図である。
【図10】トルク制限無しでモータ速度一定の場合の特性線図である。
【図11】トルク制限無しでモータ速度を変えた場合の特性説明線図である。
【図12】本発明実施例のモータ速度一定の場合の特性線図である。
【図13】本発明実施例のモータ速度を変えた場合の特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施例を図7で説明する。本実施例でのハード構成は図2のサーボプレスの構成を用いる。図7において図4と同一部分は同一符号で示す。
【0032】
プレス情報記憶部20には、プレス能力(加圧力など)、スライドストローク長さ、ピニオンギヤ5とメインギヤ6の歯数で決まる減速比や、コネクティングロッド9の長さ、駆動系の慣性モーメント等のプレス装置固有の情報が、パラメータとして予め設定で記憶されている。プレス装置固有の情報として、プレス金型が交換された場合プレス能力(加圧力など)が変わるので、任意に設定される。
【0033】
モーションデータ設定部21では、プレススライド28が1サイクル運転するモーションをスライド位置(スライド28の下死点からの高さ)基準で区切り、工程として設定入力する。モーションデータ設定部21で設定するデータは、モーションデータ22に示すように、工程毎にスライド位置とスライド速度とが予め記憶される。
【0034】
図7の例では、スライド位置は、位置800mm(スライド上死点)から1工程が始まり、200mmからが2工程、0mm(スライド下死点)からが3工程、そして最終の4工程を800mmからとしている。また、スライド速度は、モータ速度を基準にプレスの仕様上で最速の速度を100%とした比率で表し、1工程と2工程の区間速度を100%として1工程の速度欄に設定され、2工程と3工程の区間速度を50%として2工程の速度欄に設定され、3工程と4工程の区間速度を100%として3工程の速度欄に設定され記憶されている。
【0035】
モーション演算部23には、プレス情報記憶部20からのプレス装置固有の情報、モーションデータ設定部21に設定されたプレススライド28が1サイクル運転するモーションデータ、およびエンコーダ29からフィードバックされたスライド28の現在位置データが入力される。エンコーダ29はクランク27を通じてスライド28の位置を検出しているが、サーボモータ26の回転位置を検出する構成でも良い。
【0036】
モーション演算部23は、上記三種のデータに基いて、実際にモータを制御するために必要な時間毎の移動すべきスライド目標位置を演算で求め、起動装置24の入力信号をトリガとして演算結果のスライド目標位置指令(目標位置データ)Tをトルク分割部31へ出力する。
【0037】
トルク分割部31には、モーション演算部23からのスライド目標位置指令Tの他に、プレス情報記憶部20からのプレス装置固有の情報と、エンコーダ29からフィードバックされた現在位置データが入力される。トルク分割部31では、上記三種のデータに基いて、入力された目標位置指令Tを、加工トルクTaと制御トルクTbに分割する。以下、トルク分割部31の構成、及び動作を図8を用いて説明する。
【0038】
トルク分割部31は、加工トルク発生部31aと制御トルク発生部31bから構成され、さらに制御トルク発生部31bは加減速トルク抽出部31cと慣性トルク抽出部31dから構成される。トルク分割部31内の動作は、動作ステップ(S)で示す手順に従って進められる。
【0039】
モーション演算部23から出力される目標位置指令(目標位置データ)Tは、ステップ1(S1)で一時記憶される。目標位置データTは、加工トルク発生部31a、加減速トルク抽出部31c、および慣性トルク抽出部31dに入力される。エンコーダ29からフィードバックされる現在位置データは加工トルク発生部31aに入力される。プレス情報記憶部20からのプレス装置固有の情報は、加減速トルク抽出部31c、および慣性トルク抽出部31dに入力される。
【0040】
加工トルク発生部31aでは、S2で現在位置データと目標位置データTを比較して位置偏差量が抽出され、この位置の差分を取戻すために必要な速度の増減量が必要速度として抽出され(S3)、この速度の増減量に応じた必要なトルクの増減量が必要トルクとして抽出される(S4)。S4で求められた必要トルクとは、プレス加工時の加工トルクとモータの加減速トルクや慣性トルクからなる制御トルクが含まれた合成トルクである。
【0041】
加減速トルク抽出部31cでは、S6で目標位置データTに基づいて目標加速度が抽出され、S7で目標加速度とプレス装置固有の情報に基づいて加減速トルクが抽出される。目標位置データTの単位時間当たりの位置変化量が目標速度になり、更にこの速度データの単位時間当たりの速度変化量が目標加速度となる。プレス情報記憶部20に予め記憶されているプレス装置固有の情報としての駆動系の慣性モーメント値と、S6で抽出された目標加速度とからプレススライドのモーション変更で必要とされる加減速トルクがS7で求められる。
【0042】
慣性トルク抽出部31dでは、S8で目標位置データTとプレス装置固有の情報に基づいて慣性エネルギーが計算され、S9で慣性エネルギーから慣性トルクが抽出される。目標位置データTの単位時間当たりの位置変化量である目標速度と、プレス情報記憶部20に予め記憶されている駆動系の慣性モーメントにより、S8で慣性エネルギー計算を行う。この慣性エネルギーの単位時間当たりの変化量は仕事率であり、この仕事率と上記目標速度からモータトルクをアシストする慣性トルクがS9で求められる。
【0043】
制御トルク発生部31bでは、S10で上記加減速トルク抽出部31cで抽出された加減速トルクと、慣性トルク抽出部31dで抽出された慣性トルクとがS10で合成され、制御トルク指令(制御トルク)Tbが出力される。
【0044】
さらに、加工トルク発生部31aでは、偏差部31eで先のS4で抽出済みの必要トルクから制御トルクTbが差引かれ、S5で加工トルク指令(加工トルク)Taが出力される。
【0045】
図7に示すように、加工トルクTaは加工系制限部32に送られ、プレス加圧力が行程圧力線図(仕様)以下のモータトルクへ制限され、加工制限トルクTa1として出力される。この制限動作はプレス情報記憶部20に記憶されたプレスの圧力能力(加圧力など)に基いてその能力以下となるようになされる。加工系制限部32は、加工トルクTaを所定値(行程圧力線図)以下に制限するリミッタで構成される。
【0046】
上記加工制限トルクTa1は、先にトルク分割部31で出力された制御トルクTbと合成部30で合成される。加工制限トルクTa1と制御トルクTbの合成トルクは、駆動系制限部33に送られ、駆動系(駆動機構)が耐え得る駆動トルクへ制限される。この制限動作はプレス情報記憶部20に記憶されたプレス装置固有の駆動系の駆動トルク能力に基いてその能力以下となるように、リミッタにより制限される。
【0047】
上記で制限された駆動トルクはアンプ25へ出力される。サーボモータ26とクランク27が所定関係に結合されているため、サーボモータ26が回転することでプレススライド28は昇降動作を行うことになる。
【0048】
例えば、行程圧力線図(仕様)に沿うようなプレス加圧力(加工トルク)が必要な成形をしながら、更にスライド(モータ)を加速するような場合には、加工トルク上では問題が無いものの、加工トルクに制御トルク(加速トルク)が合成された駆動トルクが駆動系に加わるので、駆動系が耐え得るトルクを超えてしまうケースが発生する場合がある。
【0049】
同様に、例えばスライドを減速しながら加工すると、加工トルクとマイナス側の制御トルクが合成されるため、行程圧力線図を越えるようなプレス加圧力が発生していても、モータトルクから見ると、その状態が分らないケースが発生する。
【0050】
本実施例では加工系制限部32と駆動系制限部33に分けて各トルクを別個に制限することで上記問題を回避している。しかも、先に加工系制限部32で加工系の加工トルクを制限し、その後に、制限済の加工系のトルク(加工制限トルクTa1)を含んだ駆動系の制御トルクを制限しているので、加工系と駆動系のそれぞれのトルクを各系の能力以下に確実に制限することができる。
【0051】
図9は、従来の一般的なサーボプレスでプレス下死点上約40mmの位置から、行程圧力線図(仕様)の必要モータトルクより大きなモータトルク(実際モータトルク)を出力しなければならないプレス対象物(負荷)が有ると仮定した場合を示している。プレス下死点上の位置に対して、プレス加圧力がどのようになるのかを行程圧力線図(実際)として表している。横軸はスライドの下死点位置からの高さ(単位mm)、左縦軸はプレスの加圧力(単位kN)、右縦軸はトルク(単位kNm)をそれぞれ示す。行程圧力線図(実際)上でプレス加工し始める40mm以下となった時点から、行程圧力線図(仕様)を既に超えた力を発生していることから、既にこの時点で駆動系や機械にダメージを与えていることになる。
【0052】
図10は、トルク制限無しでプレス運転した場合のスライド位置(左縦軸)、モータ回転数(左縦軸)、モータトルク(右縦軸)を時間軸(横軸)上に表したものである。モータ回転数を300min-1と一定にした状態で、図9に示す行程圧力線図(実際)に相当するプレス加工をした場合の例を示している。プレス下死点上約40mmの位置である0.8秒過ぎからモータトルクが23kNmに急峻に立ち上がり、下死点通過後にモータトルクが急峻に立ち下がっている。モータ回転数が一定のため、モータトルクとして加工トルクのみが現れている。
【0053】
図11は、トルク制限無しでプレス下死点上200mmの位置である0.6秒過ぎから下死点に向かいモータ速度を300min-1から600min-1に上昇させて、図10と同じプレス加工をした場合の例である。図10のモータ速度が一定の場合は、プレス加工の23kNmのモータトルクとして必要であったが、図11ではモータを加速するためのトルクが0.6秒後から発生している8kNmで有り、これにプレス加工に必要とされる23kNmが加わり、その結果として31kNmのモータトルクをモータが出力しないとプレス加工ができないということになる。これは以下の式で表される。
31kNm(モータトルク)=23kNm(加工トルク)+8kNm(制御トルク)
加工トルク値(23kNm)がプレスの圧力能力やトルク能力に換算して、その限界以下であったとしても、制御トルク(8kNm)が合算されるため、モータトルク(31kNm)が駆動系の限界を超える場合が発生してしまう恐れがある。制御トルクは、モーションにより決められる加減速トルクと、モータ速度と駆動系の慣性モーメントで決められる慣性トルクを合成したものである。
【0054】
以下に、本実施例により機械保護が行なわれる例を説明する。加工トルクTaは、図9の行程圧力線図(実際)に相当するプレス加工をした場合のモータトルクで有り、このままのモータトルクを発生したのでは、駆動系や機械にダメージを与えてしまう。
【0055】
本実施例では前述したように、加工トルクは加工トルクTaを加工系制限部33で所定値以下に抑えた加工制限トルクTa1として出力される。図12は本実施例において、モータ速度を300min-1と一定にした状態で、加工トルクを制限して加工制限トルクTa1として出力された場合の特性線図である。上死点から0.8秒過ぎからモータトルク(加工トルクのみ)が急峻に立ち上がるが、ピーク値が約20kNmに制限されている。参考にトルク制限無しの場合のモータトルクを破線で示している。この加工制限トルクTa1と制御トルクTbは、合成部30で合成されて駆動系制限部33へ入力され、プレス駆動系のトルク能力以下に制限されたものをアンプ25へ出力される。
【0056】
図13は本実施例において、プレス下死点上200mmの位置付近である0.6秒過ぎから下死点に向かいモータ速度を300min-1から600min-1に上昇させて、駆動系制限部33でプレス駆動系のトルク能力以下に制限されたモータトルクの特性線図である。モータを加速するための約8kNmのトルクが0.6秒後から発生し、0.7秒過ぎからこれにプレス加工に必要とされる約12kNmのトルクが加わり、その結果として約20kNmのモータトルクに制限されている。参考にトルク制限無しの場合のモータトルクを破線で示している。
【0057】
本実施例では、図12、図13に示すように、加工系トルクの制限と、加工系と駆動系の合成トルクの制限が個別に確実に実施される。
【0058】
以上のように本実施例によれば、プレス成形時に発生するモータトルクを、成形に必要な加工トルクとモータの速度変化に必要な制御トルクに分割する。加工トルクはプレスの圧力能力以下に制限され、この制限された加工トルクと制御トルクを合成されたものをプレス駆動系のトルク能力以下に制限することで、サーボプレスの特徴でもあるモーションが逐次変化しながら成形する場合においても、プレスの圧力能力とトルク能力を超えない保護が可能になる。従来の機械プレスで使用されている過負荷保護装置は、プレス荷重値オーバー等の過負荷を検出してからプレスを止めるため、過負荷が発生する度にプレスをダメージをあたえてしまうが、本発明はプレスの圧力能力とトルク能力の両方に対して過負荷状態にならないようにモータトルクを制限するため、プレスへのダメージが発生しない。
【符号の説明】
【0059】
20…プレス情報記憶部、21…モーションデータ設定部、22…成形モーションデータ、23…モーション演算部、24…起動装置、25…アンプ、26…サーボモータ、27…クランク(駆動機構)、28…スライド、29…エンコーダ、30…合成部、31…トルク分割部、31a…加工トルク発生部、31b…制御トルク発生部、31c…加減速トルク抽出部、31d…慣性トルク抽出部、31e…偏差部、T…目標位置データ、Ta…加工トルク、Ta1…加工制限トルク、Tb…制御トルク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボモータで、クランク軸やエキセン軸による偏心機構、ナックル機構やリンク機構による倍力機構等を介してスライドを駆動する、サーボプレスの制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に一般的な機械プレスの構成を示す。フライホイール3のエネルギーが摩擦板で構成されたクラッチ4を経由してピニオンギヤ5からメインギヤ6に伝達され、クランクシャフト8を駆動してスライド10が昇降する構造になっている。
【0003】
クラッチ4は、プレスの加圧力を示す図3の行程圧力線図を満足させるトルク伝達力を有しており、フライホイール3が持つ大きなトルクは、摩擦板で構成されるクラッチ4で伝達トルクが必要トルク以下に制限されているため、クラッチ4が駆動系であるピニオンギヤ5、メインギヤ6、クランクシャフト8、コネクティングロッド9にストレスが掛からない構造となっている。
【0004】
図2は一般的なサーボプレスの構成図で、上記機械プレスで用いられているクラッチ4を設けず、ピニオンギヤ5にサーボモータ11が直接接続されるか、或いは減速用のギヤを経由して接続される構成としている。サーボプレスをスライド10の位置や速度等を数値制御でコントロールするために、機械プレスのクラッチ4を設けずサーボモータ11の回転位置とスライド10の位置が常に固定された関係に保たれている。
【0005】
また、サーボプレスに使用されるサーボモータ11は、プレスの加圧力を示す図3の行程圧力線図を満足させるうえで、十分トルクの大きいモータが選定されるため、サーボプレスが発生可能な加圧力は図3のサーボプレスの線図のようになる。図3で横軸はスライドの下死点位置からの高さ(単位mm)、縦軸はプレスの加圧力(単位kN)を表す。
【0006】
しかしながら、サーボモータ11が十分なトルクを発揮できるとしても、プレス機械の構造設計上で、必要以上のトルクが掛けられると、ピニオンギヤ5やメインギヤ6の駆動機構にピッチング等のダメージが発生し、そのまま使い続けると機械を壊す恐れが有る。
【0007】
従来のプレスの過負荷保護装置として、コネクティングロッド9とスライド10の結合部に油圧室を設けて、予め設定された以上の加圧力が発生すると油圧をリークさせる保護装置や、プレス機械のフレームに歪ゲージを取付けて加圧力をフレームの延びとして検出し、所定値以上を検出したときプレスを止めるオーバ荷重検出装置がある。
【0008】
しかし、サーボプレスはプレス加工中にもサーボモータ11の速度が可変であって、プレス加工時にサーボモータ11が加速中であるか減速中であるかの違いにより、プレス荷重は同一であっても、サーボモータ11から駆動軸へ伝わるトルクが異なるため、従来の機械プレスで使用されている過負荷保護装置では保護できない問題がある。
【0009】
この種問題の対策として、特許文献1では、サーボプレスの機械保護のために、スライド下死点近傍で、スライド加圧力が制限値を略一定に保つよう、偏心軸回転角度に応じてモータトルクを減少させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−174591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、実際のプレス加工において、下死点近傍だけで加工の仕事をするケースはブランキング加工に限定され、それ以外の絞り加工等では下死点手前のスライドが高い位置からプレス加工が行なわれる。したがって、特許文献1に示される技術では、絞り加工等のプレス加工中に加圧力が制限されない場合があり、大きいトルクにより駆動系や機械にダメージを与えてしまう恐れがある。
【0012】
また、モータトルクはプレス加工時の外乱トルクに対向する加工トルクとは別に、モータ及びモータと結合されている駆動系で、高速で回転することにより慣性エネルギーが発生し、この慣性エネルギーはモータ速度に比例してモータをアシストする慣性トルクとなる。一方で、駆動系で発生する回転による摩擦力がモータに負荷を掛ける摩擦トルクとなる。これらの慣性トルクと摩擦トルクは、モータを回すことで生じる機械的なトルク変動要素であり、これらを総称して変動トルクとする。
変動トルク(モータ速度に応じて変化)=慣性トルク+摩擦トルク
更に、サーボプレスはプレス加工時のモーションが任意に変更できることが特徴であるが、モータが加速中に加工する場合と、モータが減速中に加工する場合とでは、必要なモータトルクが異なる。ここで、モーションにより決められる加減速トルクと、モータ速度に応じて変化する変動トルクをまとめたものを制御トルクとすると、必要なモータトルクは、以下の式で表される。
モータトルク=加工トルク(外乱対向トルク)+制御トルク(加減速トルク+変動トルク)
特許文献1に示される、偏心軸回転角度に応じてモータトルクを減少させる方法では、モータ加減速中の加工時に変化する制御トルク成分を考慮していないため、プレスの機械保護方法としては不十分である。
【0013】
図4に、一般的なサーボプレスの制御装置を示す。プレス情報記憶部20には、プレス能力、スライドストローク長さ、ピニオンギヤ5とメインギヤ6の歯数で決まる減速比や、コネクティングロッド9(いずれも図2参照)の長さ、駆動系の慣性モーメント等の情報がパラメータとして予め記憶されている。
【0014】
モーションデータ設定部21では、プレススライド28が1サイクル運転するモーションをスライド位置基準で区切り、工程として設定入力される。モーションデータ設定部21で設定されるデータは、モーションデータ22に示すように、工程毎にスライド位置と、スライド速度として設定入力される。
【0015】
図4の例では、スライド位置800mm(スライド下死点上の高さ)から1工程が始まり、200mmからが2工程、0mm(下死点)からが3工程、そして最終の4工程を800mmからとしている。また、スライド速度はモータ速度を基準に、プレスの仕様上で最速の速度を100%とした比率で表し、1工程と2工程の区間速度を100%として1工程の速度欄に設定され、2工程と3工程の区間速度を50%として2工程の速度欄に設定され、3工程と4工程の区間速度を100%として3工程の速度欄に設定されている。
【0016】
モーション演算部23では、実際にモータを制御するために必要とする時間毎に、移動すべきスライド目標位置を決めるための演算を行ない、起動装置24の入力信号をトリガとして、上記演算結果の目標位置指令がアンプ25へ出力される。サーボモータ26とクランク27とは所定関係で結合されているため、アンプ25の制御によりサーボモータ26が回転することでプレススライド28は昇降動作を行うことになる。
【0017】
図4のサーボプレスで、サーボモータ26とクランク27が結合されている場合、行程圧力線図上の加圧力を発生させるためスライド位置に対する必要モータトルクと、サーボモータ26が単体で持つ最大トルクを実際モータトルクとすれば、実際モータトルクに余裕をもたせるため、関係は下記式と図5のようになる。
必要モータトルク < 実際モータトルク
図6は、機械仕様として決められた行程圧力線図(仕様)に対し、実際モータトルクに制限を掛けずに使用した場合の行程圧力線図(実際)がどのようになるのかを表したものである。図5、図6で、横軸はスライドの下死点位置からの高さ(単位mm)、左縦軸はプレスの加圧力(単位kN)、右縦軸はトルク(単位kNm)をそれぞれ示す。
【0018】
図6に示される二つの行程圧力線図から、スライド加工域全てにおいて、行程圧力線図(仕様)となるように、サーボモータのトルク制限を行なわなければ、駆動系や機械にダメージを与える恐れがあることが分かる。
【0019】
本発明は、上記問題点に鑑み、プレスの圧力能力と駆動系のトルク能力に対する過負荷を防止した、サーボプレスの制御装置及び制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記従来の課題を解決するため、サーボモータの駆動力を駆動機構を介してスライドに伝達することでプレス成形を行うサーボプレスの制御装置において、
現在位置データを出力するエンコーダと、プレス装置固有の情報が記憶されるプレス情報記憶部と、スライド位置とスライド速度が設定されるモーションデータ設定部と、上記エンコーダ、プレス情報記憶部およびモーションデータ設定部からの情報に基いてスライド目標位置データを算出するモーション演算部と、スライド目標位置データをプレス成形に必要な加工トルクとサーボモータの速度変化に必要な制御トルクに分割するトルク分割部と、分割された加工トルクを所定のトルクに制限する加工系制限部と、制限された加工トルクと制御トルクとの合成トルクを所定の駆動トルクに制限する駆動系制限部を設け、制限された駆動トルクに基いて前記サーボモータが駆動されることを特徴とする。
【0021】
また、上記に記載のサーボプレスの制御装置において、前記加工系制限部は加工トルクをプレス装置固有のプレスの圧力能力以下の加工制限トルクに制限することを特徴とする。
【0022】
また、上記に記載のサーボプレスの制御装置において、前記駆動系制限部は、上記合成トルクをプレス装置固有の駆動系の駆動トルク能力以下に制限することを特徴とする。
【0023】
また、上記に記載のサーボプレスの制御装置において、前記トルク分割部は、スライド目標位置データとエンコーダからの現在位置データに基いて加工トルクを出力する加工トルク発生部と、スライド目標位置データとプレス装置固有の情報に基いて制御トルクを出力する制御トルク発生部とを備えたことを特徴とする。
【0024】
また、上記に記載のサーボプレスの制御装置において、前記プレス情報記憶部のプレス装置固有の情報は任意に設定されることを特徴とする。
【0025】
本発明は、上記従来の課題を解決するため、現在位置データを出力するエンコーダと、プレス装置固有の情報が記憶されるプレス情報記憶部と、スライド位置とスライド速度とが設定されるモーションデータ設定部と、上記エンコーダ、プレス情報記憶部およびモーションデータ設定部からの情報に基いてスライド目標位置データを算出するモーション演算部を備え、スライド目標位置データに基いて駆動されるサーボモータの駆動力を駆動機構を介してスライドに伝達することでプレス成形を行うサーボプレスの制御方法において、
前記スライド目標位置データをプレス成形に必要な加工トルクとサーボモータの速度変化に必要な制御トルクに分割し、分割された加工トルクを所定のトルクに制限し、制限された加工トルクと制御トルクの合成トルクを所定の駆動トルクに制限し、制限された駆動トルクに基いて前記サーボモータが駆動されることを特徴とする。
【0026】
また、上記に記載のサーボプレスの制御方法において、前記分割された加工トルクはプレス装置固有のプレスの圧力能力以下の加工トルクに制限されることを特徴とする。
【0027】
また、上記に記載のサーボプレスの制御方法において、前記制限された加工トルクと分割された制御トルクの合成トルクはプレス装置固有の駆動系の駆動トルク能力以下に制限されることを特徴とする。
【0028】
また、上記に記載のサーボプレスの制御方法において、前記加工トルクは、スライド目標位置データとエンコーダからの現在位置データに基いて出力され、前記制御トルクは、スライド目標位置データとプレス装置固有の情報に基いて出力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、プレスの圧力能力と駆動系のトルク能力に対する過負荷を確実に防止し、駆動系や機械へのダメージを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】一般的な機械プレスの構成図である。
【図2】一般的なサーボプレスの構成図である。
【図3】行程圧力線図とサーボプレスの線図の関係を示す特性線図である。
【図4】一般的なサーボプレスの制御装置のブロック構成図である。
【図5】実際モータトルクと必要モータトルクの関係を示す特性線図である。
【図6】実際モータトルクを制限しない場合の特性線図である。
【図7】本発明実施例の制御系のブロック構成図である。
【図8】同じく、トルク分割部のブロック構成図である。
【図9】仕様より大きなモータトルクを出力する場合の特性線図である。
【図10】トルク制限無しでモータ速度一定の場合の特性線図である。
【図11】トルク制限無しでモータ速度を変えた場合の特性説明線図である。
【図12】本発明実施例のモータ速度一定の場合の特性線図である。
【図13】本発明実施例のモータ速度を変えた場合の特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施例を図7で説明する。本実施例でのハード構成は図2のサーボプレスの構成を用いる。図7において図4と同一部分は同一符号で示す。
【0032】
プレス情報記憶部20には、プレス能力(加圧力など)、スライドストローク長さ、ピニオンギヤ5とメインギヤ6の歯数で決まる減速比や、コネクティングロッド9の長さ、駆動系の慣性モーメント等のプレス装置固有の情報が、パラメータとして予め設定で記憶されている。プレス装置固有の情報として、プレス金型が交換された場合プレス能力(加圧力など)が変わるので、任意に設定される。
【0033】
モーションデータ設定部21では、プレススライド28が1サイクル運転するモーションをスライド位置(スライド28の下死点からの高さ)基準で区切り、工程として設定入力する。モーションデータ設定部21で設定するデータは、モーションデータ22に示すように、工程毎にスライド位置とスライド速度とが予め記憶される。
【0034】
図7の例では、スライド位置は、位置800mm(スライド上死点)から1工程が始まり、200mmからが2工程、0mm(スライド下死点)からが3工程、そして最終の4工程を800mmからとしている。また、スライド速度は、モータ速度を基準にプレスの仕様上で最速の速度を100%とした比率で表し、1工程と2工程の区間速度を100%として1工程の速度欄に設定され、2工程と3工程の区間速度を50%として2工程の速度欄に設定され、3工程と4工程の区間速度を100%として3工程の速度欄に設定され記憶されている。
【0035】
モーション演算部23には、プレス情報記憶部20からのプレス装置固有の情報、モーションデータ設定部21に設定されたプレススライド28が1サイクル運転するモーションデータ、およびエンコーダ29からフィードバックされたスライド28の現在位置データが入力される。エンコーダ29はクランク27を通じてスライド28の位置を検出しているが、サーボモータ26の回転位置を検出する構成でも良い。
【0036】
モーション演算部23は、上記三種のデータに基いて、実際にモータを制御するために必要な時間毎の移動すべきスライド目標位置を演算で求め、起動装置24の入力信号をトリガとして演算結果のスライド目標位置指令(目標位置データ)Tをトルク分割部31へ出力する。
【0037】
トルク分割部31には、モーション演算部23からのスライド目標位置指令Tの他に、プレス情報記憶部20からのプレス装置固有の情報と、エンコーダ29からフィードバックされた現在位置データが入力される。トルク分割部31では、上記三種のデータに基いて、入力された目標位置指令Tを、加工トルクTaと制御トルクTbに分割する。以下、トルク分割部31の構成、及び動作を図8を用いて説明する。
【0038】
トルク分割部31は、加工トルク発生部31aと制御トルク発生部31bから構成され、さらに制御トルク発生部31bは加減速トルク抽出部31cと慣性トルク抽出部31dから構成される。トルク分割部31内の動作は、動作ステップ(S)で示す手順に従って進められる。
【0039】
モーション演算部23から出力される目標位置指令(目標位置データ)Tは、ステップ1(S1)で一時記憶される。目標位置データTは、加工トルク発生部31a、加減速トルク抽出部31c、および慣性トルク抽出部31dに入力される。エンコーダ29からフィードバックされる現在位置データは加工トルク発生部31aに入力される。プレス情報記憶部20からのプレス装置固有の情報は、加減速トルク抽出部31c、および慣性トルク抽出部31dに入力される。
【0040】
加工トルク発生部31aでは、S2で現在位置データと目標位置データTを比較して位置偏差量が抽出され、この位置の差分を取戻すために必要な速度の増減量が必要速度として抽出され(S3)、この速度の増減量に応じた必要なトルクの増減量が必要トルクとして抽出される(S4)。S4で求められた必要トルクとは、プレス加工時の加工トルクとモータの加減速トルクや慣性トルクからなる制御トルクが含まれた合成トルクである。
【0041】
加減速トルク抽出部31cでは、S6で目標位置データTに基づいて目標加速度が抽出され、S7で目標加速度とプレス装置固有の情報に基づいて加減速トルクが抽出される。目標位置データTの単位時間当たりの位置変化量が目標速度になり、更にこの速度データの単位時間当たりの速度変化量が目標加速度となる。プレス情報記憶部20に予め記憶されているプレス装置固有の情報としての駆動系の慣性モーメント値と、S6で抽出された目標加速度とからプレススライドのモーション変更で必要とされる加減速トルクがS7で求められる。
【0042】
慣性トルク抽出部31dでは、S8で目標位置データTとプレス装置固有の情報に基づいて慣性エネルギーが計算され、S9で慣性エネルギーから慣性トルクが抽出される。目標位置データTの単位時間当たりの位置変化量である目標速度と、プレス情報記憶部20に予め記憶されている駆動系の慣性モーメントにより、S8で慣性エネルギー計算を行う。この慣性エネルギーの単位時間当たりの変化量は仕事率であり、この仕事率と上記目標速度からモータトルクをアシストする慣性トルクがS9で求められる。
【0043】
制御トルク発生部31bでは、S10で上記加減速トルク抽出部31cで抽出された加減速トルクと、慣性トルク抽出部31dで抽出された慣性トルクとがS10で合成され、制御トルク指令(制御トルク)Tbが出力される。
【0044】
さらに、加工トルク発生部31aでは、偏差部31eで先のS4で抽出済みの必要トルクから制御トルクTbが差引かれ、S5で加工トルク指令(加工トルク)Taが出力される。
【0045】
図7に示すように、加工トルクTaは加工系制限部32に送られ、プレス加圧力が行程圧力線図(仕様)以下のモータトルクへ制限され、加工制限トルクTa1として出力される。この制限動作はプレス情報記憶部20に記憶されたプレスの圧力能力(加圧力など)に基いてその能力以下となるようになされる。加工系制限部32は、加工トルクTaを所定値(行程圧力線図)以下に制限するリミッタで構成される。
【0046】
上記加工制限トルクTa1は、先にトルク分割部31で出力された制御トルクTbと合成部30で合成される。加工制限トルクTa1と制御トルクTbの合成トルクは、駆動系制限部33に送られ、駆動系(駆動機構)が耐え得る駆動トルクへ制限される。この制限動作はプレス情報記憶部20に記憶されたプレス装置固有の駆動系の駆動トルク能力に基いてその能力以下となるように、リミッタにより制限される。
【0047】
上記で制限された駆動トルクはアンプ25へ出力される。サーボモータ26とクランク27が所定関係に結合されているため、サーボモータ26が回転することでプレススライド28は昇降動作を行うことになる。
【0048】
例えば、行程圧力線図(仕様)に沿うようなプレス加圧力(加工トルク)が必要な成形をしながら、更にスライド(モータ)を加速するような場合には、加工トルク上では問題が無いものの、加工トルクに制御トルク(加速トルク)が合成された駆動トルクが駆動系に加わるので、駆動系が耐え得るトルクを超えてしまうケースが発生する場合がある。
【0049】
同様に、例えばスライドを減速しながら加工すると、加工トルクとマイナス側の制御トルクが合成されるため、行程圧力線図を越えるようなプレス加圧力が発生していても、モータトルクから見ると、その状態が分らないケースが発生する。
【0050】
本実施例では加工系制限部32と駆動系制限部33に分けて各トルクを別個に制限することで上記問題を回避している。しかも、先に加工系制限部32で加工系の加工トルクを制限し、その後に、制限済の加工系のトルク(加工制限トルクTa1)を含んだ駆動系の制御トルクを制限しているので、加工系と駆動系のそれぞれのトルクを各系の能力以下に確実に制限することができる。
【0051】
図9は、従来の一般的なサーボプレスでプレス下死点上約40mmの位置から、行程圧力線図(仕様)の必要モータトルクより大きなモータトルク(実際モータトルク)を出力しなければならないプレス対象物(負荷)が有ると仮定した場合を示している。プレス下死点上の位置に対して、プレス加圧力がどのようになるのかを行程圧力線図(実際)として表している。横軸はスライドの下死点位置からの高さ(単位mm)、左縦軸はプレスの加圧力(単位kN)、右縦軸はトルク(単位kNm)をそれぞれ示す。行程圧力線図(実際)上でプレス加工し始める40mm以下となった時点から、行程圧力線図(仕様)を既に超えた力を発生していることから、既にこの時点で駆動系や機械にダメージを与えていることになる。
【0052】
図10は、トルク制限無しでプレス運転した場合のスライド位置(左縦軸)、モータ回転数(左縦軸)、モータトルク(右縦軸)を時間軸(横軸)上に表したものである。モータ回転数を300min-1と一定にした状態で、図9に示す行程圧力線図(実際)に相当するプレス加工をした場合の例を示している。プレス下死点上約40mmの位置である0.8秒過ぎからモータトルクが23kNmに急峻に立ち上がり、下死点通過後にモータトルクが急峻に立ち下がっている。モータ回転数が一定のため、モータトルクとして加工トルクのみが現れている。
【0053】
図11は、トルク制限無しでプレス下死点上200mmの位置である0.6秒過ぎから下死点に向かいモータ速度を300min-1から600min-1に上昇させて、図10と同じプレス加工をした場合の例である。図10のモータ速度が一定の場合は、プレス加工の23kNmのモータトルクとして必要であったが、図11ではモータを加速するためのトルクが0.6秒後から発生している8kNmで有り、これにプレス加工に必要とされる23kNmが加わり、その結果として31kNmのモータトルクをモータが出力しないとプレス加工ができないということになる。これは以下の式で表される。
31kNm(モータトルク)=23kNm(加工トルク)+8kNm(制御トルク)
加工トルク値(23kNm)がプレスの圧力能力やトルク能力に換算して、その限界以下であったとしても、制御トルク(8kNm)が合算されるため、モータトルク(31kNm)が駆動系の限界を超える場合が発生してしまう恐れがある。制御トルクは、モーションにより決められる加減速トルクと、モータ速度と駆動系の慣性モーメントで決められる慣性トルクを合成したものである。
【0054】
以下に、本実施例により機械保護が行なわれる例を説明する。加工トルクTaは、図9の行程圧力線図(実際)に相当するプレス加工をした場合のモータトルクで有り、このままのモータトルクを発生したのでは、駆動系や機械にダメージを与えてしまう。
【0055】
本実施例では前述したように、加工トルクは加工トルクTaを加工系制限部33で所定値以下に抑えた加工制限トルクTa1として出力される。図12は本実施例において、モータ速度を300min-1と一定にした状態で、加工トルクを制限して加工制限トルクTa1として出力された場合の特性線図である。上死点から0.8秒過ぎからモータトルク(加工トルクのみ)が急峻に立ち上がるが、ピーク値が約20kNmに制限されている。参考にトルク制限無しの場合のモータトルクを破線で示している。この加工制限トルクTa1と制御トルクTbは、合成部30で合成されて駆動系制限部33へ入力され、プレス駆動系のトルク能力以下に制限されたものをアンプ25へ出力される。
【0056】
図13は本実施例において、プレス下死点上200mmの位置付近である0.6秒過ぎから下死点に向かいモータ速度を300min-1から600min-1に上昇させて、駆動系制限部33でプレス駆動系のトルク能力以下に制限されたモータトルクの特性線図である。モータを加速するための約8kNmのトルクが0.6秒後から発生し、0.7秒過ぎからこれにプレス加工に必要とされる約12kNmのトルクが加わり、その結果として約20kNmのモータトルクに制限されている。参考にトルク制限無しの場合のモータトルクを破線で示している。
【0057】
本実施例では、図12、図13に示すように、加工系トルクの制限と、加工系と駆動系の合成トルクの制限が個別に確実に実施される。
【0058】
以上のように本実施例によれば、プレス成形時に発生するモータトルクを、成形に必要な加工トルクとモータの速度変化に必要な制御トルクに分割する。加工トルクはプレスの圧力能力以下に制限され、この制限された加工トルクと制御トルクを合成されたものをプレス駆動系のトルク能力以下に制限することで、サーボプレスの特徴でもあるモーションが逐次変化しながら成形する場合においても、プレスの圧力能力とトルク能力を超えない保護が可能になる。従来の機械プレスで使用されている過負荷保護装置は、プレス荷重値オーバー等の過負荷を検出してからプレスを止めるため、過負荷が発生する度にプレスをダメージをあたえてしまうが、本発明はプレスの圧力能力とトルク能力の両方に対して過負荷状態にならないようにモータトルクを制限するため、プレスへのダメージが発生しない。
【符号の説明】
【0059】
20…プレス情報記憶部、21…モーションデータ設定部、22…成形モーションデータ、23…モーション演算部、24…起動装置、25…アンプ、26…サーボモータ、27…クランク(駆動機構)、28…スライド、29…エンコーダ、30…合成部、31…トルク分割部、31a…加工トルク発生部、31b…制御トルク発生部、31c…加減速トルク抽出部、31d…慣性トルク抽出部、31e…偏差部、T…目標位置データ、Ta…加工トルク、Ta1…加工制限トルク、Tb…制御トルク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボモータの駆動力を駆動機構を介してスライドに伝達することでプレス成形を行うサーボプレスの制御装置において、
現在位置データを出力するエンコーダと、プレス装置固有の情報が記憶されるプレス情報記憶部と、スライド位置とスライド速度が設定されるモーションデータ設定部と、上記エンコーダ、プレス情報記憶部およびモーションデータ設定部の情報に基いてスライド目標位置データを算出するモーション演算部と、スライド目標位置データをプレス成形に必要な加工トルクとサーボモータの速度変化に必要な制御トルクに分割するトルク分割部と、分割された加工トルクを所定のトルクに制限する加工系制限部と、制限された加工トルクと上記制御トルクとの合成トルクを所定の駆動トルクに制限する駆動系制限部を設け、制限された駆動トルクに基いて前記サーボモータが駆動されることを特徴とするサーボプレスの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサーボプレスの制御装置において、
前記加工系制限部は加工トルクをプレス装置固有のプレスの圧力能力以下の加工トルクに制限することを特徴とするサーボプレスの制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のサーボプレスの制御装置において、
前記駆動系制限部は上記合成トルクをプレス装置固有の駆動系の駆動トルク能力以下のトルクに制限することを特徴とするサーボプレスの制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のサーボプレスの制御装置において、
前記トルク分割部は、スライド目標位置データとエンコーダからの現在位置データに基いて加工トルクを出力する加工トルク発生部と、スライド目標位置データとプレス装置固有の情報に基いて制御トルクを出力する制御トルク発生部とを備えたことを特徴とするサーボプレスの制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のサーボプレスの制御装置において、
前記プレス情報記憶部のプレス装置固有の情報は任意に設定されることを特徴とするサーボプレスの制御装置。
【請求項6】
現在位置データを出力するエンコーダと、プレス装置固有の情報が記憶されるプレス情報記憶部と、スライド位置とスライド速度とが設定されるモーションデータ設定部と、上記エンコーダ、プレス情報記憶部およびモーションデータ設定部からの情報に基いてスライド目標位置データを算出するモーション演算部を備え、スライド目標位置データに基いて駆動されるサーボモータの駆動力を駆動機構を介してスライドに伝達することでプレス成形を行うサーボプレスの制御方法において、
前記スライド目標位置データをプレス成形に必要な加工トルクとサーボモータの速度変化に必要な制御トルクに分割し、分割された加工トルクを所定のトルクに制限し、制限された加工トルクと制御トルクの合成トルクを所定の駆動トルクに制限し、制限された駆動トルクに基いて前記サーボモータが駆動されることを特徴とするサーボプレスの制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載のサーボプレスの制御方法において、
前記分割された加工トルクはプレス装置固有のプレスの圧力能力以下の加工制限トルクに制限されることを特徴とするサーボプレスの制御方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載のサーボプレスの制御方法において、
前記制限された加工トルクと制御トルクの合成トルクは、プレス装置固有の駆動系の駆動トルク能力以下に制限されることを特徴とするサーボプレスの制御方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載のサーボプレスの制御方法において、
前記加工トルクは、スライド目標位置データとエンコーダからの現在位置データに基いて出力され、前記制御トルクは、スライド目標位置データとプレス装置固有の情報に基いて出力されることを特徴とするサーボプレスの制御方法。
【請求項1】
サーボモータの駆動力を駆動機構を介してスライドに伝達することでプレス成形を行うサーボプレスの制御装置において、
現在位置データを出力するエンコーダと、プレス装置固有の情報が記憶されるプレス情報記憶部と、スライド位置とスライド速度が設定されるモーションデータ設定部と、上記エンコーダ、プレス情報記憶部およびモーションデータ設定部の情報に基いてスライド目標位置データを算出するモーション演算部と、スライド目標位置データをプレス成形に必要な加工トルクとサーボモータの速度変化に必要な制御トルクに分割するトルク分割部と、分割された加工トルクを所定のトルクに制限する加工系制限部と、制限された加工トルクと上記制御トルクとの合成トルクを所定の駆動トルクに制限する駆動系制限部を設け、制限された駆動トルクに基いて前記サーボモータが駆動されることを特徴とするサーボプレスの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサーボプレスの制御装置において、
前記加工系制限部は加工トルクをプレス装置固有のプレスの圧力能力以下の加工トルクに制限することを特徴とするサーボプレスの制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のサーボプレスの制御装置において、
前記駆動系制限部は上記合成トルクをプレス装置固有の駆動系の駆動トルク能力以下のトルクに制限することを特徴とするサーボプレスの制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のサーボプレスの制御装置において、
前記トルク分割部は、スライド目標位置データとエンコーダからの現在位置データに基いて加工トルクを出力する加工トルク発生部と、スライド目標位置データとプレス装置固有の情報に基いて制御トルクを出力する制御トルク発生部とを備えたことを特徴とするサーボプレスの制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のサーボプレスの制御装置において、
前記プレス情報記憶部のプレス装置固有の情報は任意に設定されることを特徴とするサーボプレスの制御装置。
【請求項6】
現在位置データを出力するエンコーダと、プレス装置固有の情報が記憶されるプレス情報記憶部と、スライド位置とスライド速度とが設定されるモーションデータ設定部と、上記エンコーダ、プレス情報記憶部およびモーションデータ設定部からの情報に基いてスライド目標位置データを算出するモーション演算部を備え、スライド目標位置データに基いて駆動されるサーボモータの駆動力を駆動機構を介してスライドに伝達することでプレス成形を行うサーボプレスの制御方法において、
前記スライド目標位置データをプレス成形に必要な加工トルクとサーボモータの速度変化に必要な制御トルクに分割し、分割された加工トルクを所定のトルクに制限し、制限された加工トルクと制御トルクの合成トルクを所定の駆動トルクに制限し、制限された駆動トルクに基いて前記サーボモータが駆動されることを特徴とするサーボプレスの制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載のサーボプレスの制御方法において、
前記分割された加工トルクはプレス装置固有のプレスの圧力能力以下の加工制限トルクに制限されることを特徴とするサーボプレスの制御方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載のサーボプレスの制御方法において、
前記制限された加工トルクと制御トルクの合成トルクは、プレス装置固有の駆動系の駆動トルク能力以下に制限されることを特徴とするサーボプレスの制御方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載のサーボプレスの制御方法において、
前記加工トルクは、スライド目標位置データとエンコーダからの現在位置データに基いて出力され、前記制御トルクは、スライド目標位置データとプレス装置固有の情報に基いて出力されることを特徴とするサーボプレスの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−101243(P2012−101243A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250953(P2010−250953)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000100861)アイダエンジニアリング株式会社 (153)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000100861)アイダエンジニアリング株式会社 (153)
【Fターム(参考)】
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