説明

サーボ・システム、位置決め方法、および、データ・ストレージ・デバイス

【課題】 テープが横方向にシフトしたときに、長手テープ上に定められた長手方向サーボ・トラックを追従するための、トラック追従サーボ・システムを提供すること。
【解決手段】 テープがヘッドの一方の側からもう一方の側への横方向シフト偏位を受けた場合に、少なくとも1つの長手方向に定められたサーボ・トラックを有する長手テープの横方向運動に微動アクチュエータが追従できるように、粗動アクチュエータが横方向に位置決めされる。位置決めエラー信号ループは、サーボ・センサを検知し、ヘッドと定められたサーボ・トラックに関する所望の位置との間の位置決めエラーを判定するように構成される。サーボ制御部は、定められたサーボ・トラックの横方向シフト偏位を検知し、横方向シフト偏位の正の最大ピーク及び負の最大ピークを判定し、粗動アクチュエータを、定められたサーボ・トラックの横方向シフト偏位の正の最大ピークと負の最大ピークとの中点に実質的に位置決めする。このようにして、微動アクチュエータは横方向シフト偏位に追従し、その間、粗動アクチュエータは中点にとどまる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に駆動される長手テープのためのサーボ・システムに関し、より具体的には、テープが横方向にシフトしたときに、長手テープ上に定められた長手方向サーボ・トラックを追従するための、トラック追従サーボ・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気テープなどの長手テープのためのトラック追従サーボ・システムの機能は、ヘッドを、例えばヘッドの読み取り/書き込み動作中に、テープの横方向運動に正確に追従するように長手テープの横方向に動かすことである。正確に行われると、データ・トラックは、テープが長手方向に駆動されるにつれて長手テープに沿った直線状に書き込まれ、かつ読み取られる。磁気テープに関しては、データは、磁気テープの長手方向に記録されたストライプを含む。サーボ・トラックは、予期されるデータ・ストライプに対して平行に、そこから横方向にオフセットして、磁気テープ上に予め記録される。典型的には、磁気テープの横方向運動は、ヘッドのいずれかの側のテープ・ガイド上に存在するフランジにより拘束され、LTM(横方向テープ運動)と呼ばれる制限されたテープの横方向運動から主として生じる外乱の存在下で、サーボ・システムがヘッドをデータ・ストライプに追従させるようになっている。
【0003】
サーボ・システムは、トラック追従のため、並びに1つのサーボ・トラック(又はサーボ・トラックの組)から別のサーボ・トラック(又はサーボ・トラックの組)へとシフトすること及び異なる組のデータ・ストライプを追従することの両方を目的としてヘッドを横方向に動かすために、しばしば複合アクチュエータを使用する。粗動アクチュエータと、粗動アクチュエータ上に取り付けられた微動アクチュエータとを含む複合アクチュエータは、広い動作範囲と高バンド幅の両方を提供する。高バンド幅の微動アクチュエータは、典型的には、高バンド幅を得るために移動範囲が限定されており、マスターとしての微動アクチュエータと、微動アクチュエータの運動に対するスレーブとしての粗動アクチュエータとを備えた典型的なトラック追従配置においては、テープが横方向に移動するにつれて微動アクチュエータが片側にずれたときに、粗動アクチュエータは、微動アクチュエータの運動の中心線に(より遅い速度で)追従する。
【0004】
ローラなどのテープ・ガイドのフランジは、テープの横方向運動を制限するが、テープをたわませ、かつフランジに破片を蓄積させる傾向を有することがあり、これは、テープの寿命に影響を与え、そのうえ望ましくない動的作用を生じさせる。
【0005】
フランジ無しのテープ・ガイドはフランジ付きテープ・ガイドの問題の解決には役立つが、拘束されないと、長手テープは、経路の一方の側からもう一方の側へと急速にシフトしがちであり、経路の一方の側を短時間しか走行しないことがある。したがって、テープを一方の側からもう一方の側まで追従しようとすると、微動アクチュエータの運動の中心線に追従している粗動アクチュエータは、テープが急速にシフトするときに、その最高速度で端から端まで移動することを要求される。この動きは、粗動アクチュエータを消耗させ、その寿命を縮めがちであり、かつ粗動アクチュエータによって電力が消費される。
【0006】
2009年11月4日付で出願された米国特許出願番号第12/612,403号の「Positioning Coarse Servo Actuator of Tape Servo System to Allow Fine Servo Actuator to Follow Tape Shift Extensions」は、微動サーボ・アクチュエータがテープのシフト偏位に追従できるように粗動サーボ・アクチュエータを位置決めするためのテープ・サーボ・システムを開示し、これは、粗動アクチュエータを、微動アクチュエータに追従させようとするのではなく、横方向シフト偏位の中点にセンタリングする。したがって、微動アクチュエータは横方向シフト偏位に追従し、その間、粗動アクチュエータは中点にとどまる。
【0007】
従って、当該技術分野には、前述の問題に対処する必要性がある
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、テープが横方向にシフトしたときに、長手テープ上に定められた長手方向サーボ・トラックを追従するための、トラック追従サーボ・システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ヘッドを、少なくとも1つの長手方向に定められたサーボ・トラックを有する長手テープの横方向運動に追従できるように横方向に位置決するための方法、サーボ・システム、データ・ストレージ・ドライブ、及びコンピュータ・プログラム製品が提供される。サーボ・システムは、定められたサーボ・トラックに対するヘッドの横方向位置を検知するように構成された少なくとも1つのサーボ・センサと、ヘッドを長手テープに対して横方向に並進させるように構成された微動アクチュエータと、微動アクチュエータを長手テープに対して横方向に並進させるように構成された粗動アクチュエータと、サーボ・センサを検知し、ヘッドと定められたサーボ・トラックに関する所望の位置との間の位置決めエラーを判定し、判定された位置決めエラーを低減するようにヘッドを横方向に並進させるために微動アクチュエータを操作するように構成された、位置決めエラー信号ループとを含む。
【0010】
好ましい実施形態において、方法は、位置決めエラー信号ループから、定められたサーボ・トラックの横方向シフト偏位を検知することと、横方向シフト偏位の正の最大ピーク及び負の最大ピークを判定することと、粗動アクチュエータが定められたサーボ・トラックの横方向シフト偏位の正の最大ピークと負の最大ピークとの中点に実質的に位置決めされるように粗動アクチュエータを操作することとを含む。
【0011】
更なる実施形態において、長手テープは、複数の定められたサーボ・トラックと、各々が2つの定められたサーボ・トラックの間に位置決めされた複数のデータバンドとを含み、中点は理論上のものあるので、粗動アクチュエータが、理論上の中点からの所望のデータバンドのオフセットに等しい理論上の中点からのオフセットに位置決めされるように、粗動アクチュエータが操作される。
【0012】
更なる実施形態において、判定された正の最大ピークは、以前の正の最大ピークを超えるピークによってのみ更新され、判定された負の最大ピークは、以前の負の最大ピークを超えるピークによってのみ更新される。
【0013】
別の実施形態において、ピークが最大ピークであるかどうかの判定は、ピークが横方向シフト偏位のゼロ交差の後に生じた場合にのみ実行される。
【0014】
さらに別の実施形態において、横方向シフト偏位の正の最大ピーク及び負の最大ピークを判定するステップは、長手テープの運動の各々の長手方向について別々に実行される。
【0015】
さらに別の実施形態は、位置決めエラー信号ループを検知して、位置決めエラー信号ループが定められたサーボ・トラックを所定の位置決めエラー閾値内でトラック追従していることを判定する、予備的なステップを付加的に含む。
【0016】
別の実施形態において、位置決めエラー信号ループを検知するステップは、ループの積分関数を検知することを含む。
【0017】
更なる実施形態において、位置決めエラー信号ループを検知するステップは、積分関数の振幅が所定の閾値未満であることを判定する予備的なステップを付加的に含む。
【0018】
ここで、本発明を、例示のみの目的で、添付の図面に示される好ましい実施形態を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好ましい実施形態を実装することができる、従来技術による例示的な磁気テープ・データ・ストレージ・ドライブの部分切取図を示す。
【図2】本発明の好ましい実施形態を実装することができる、カバーを取り除いた図1のデータ・ストレージ・ドライブの図を示す。
【図3】本発明の好ましい実施形態を実装することができる、図1の長手テープ、テープ・ヘッド及びサーボ・システムの線図を示す。
【図4】本発明の好ましい実施形態を実装することができる、図1のデータ・ストレージ・ドライブの磁気テープ・ヘッド及び複合アクチュエータの図を示す。
【図5】本発明の好ましい実施形態を実装することができる、図4の磁気テープ・ヘッド及び複合アクチュエータの部分切取側面図を示す。
【図6】本発明の好ましい実施形態を実装することができる、図3のサーボ・システムの実施形態のブロック図を示す。
【図7】本発明の好ましい実施形態を実装することができる、図6のサーボ・システムの積分器の例示的な信号の図を示す。
【図8】本発明の方法の実施形態を記述するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、以下の説明において、図面を参照して、好ましい実施形態において説明され、図中、同様の符号は同一又は類似の要素を表す。本発明は、本発明の目的を達成するための最良の形態に関して説明されるが、当業者であれば、これらの教示に照らして、本発明の範囲から逸脱することなく変形を実現することができることを認識するであろう。
【0021】
図1及び図2は、磁気テープ・データ・ストレージ媒体11を含む長手テープに対してデータ18の書き込み及び読み取りを行う、磁気テープ・データ・ストレージ・ドライブ10を示す。当業者には理解されるように、磁気テープ・ドライブ又はテープ・ドライブとも呼ばれる磁気テープ・データ・ストレージ・ドライブは、種々の形態のうちのいずれの形態であってもよい。図示された磁気テープ・データ・ドライブ10は、磁気テープ11を、テープの長手方向のテープ経路に沿って、磁気テープ・データ・ストレージ・カートリッジ13内の繰り出しリール12から巻き取りリール14へと移動させる。磁気テープ・ドライブの一例は、IBM(登録商標)のLTO(Linear Tape Open)磁気テープ・ドライブである。磁気テープ・ドライブの別の一例は、IBM(登録商標)のTotalStorage Enterprise磁気テープ・ドライブである。磁気テープ・ドライブの上記の例は両方とも、シングル・リール式テープ・カートリッジ13を使用する。代替的な磁気テープ・ドライブ及び磁気テープ・カートリッジは、リール12及び14が両方ともカートリッジ内に収容されているデュアル・リール式カートリッジ及びドライブである。IBMは、世界の多数の管轄区において登録されているインターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの商標である。
【0022】
磁気テープ媒体11は、テープ・ヘッド65を横切って長手方向に移動する。テープ・ヘッドは、トラック追従サーボ・システムの複合アクチュエータ17によって支持され、横方向に動かすことができる。磁気テープ媒体が長手方向に移動する間、磁気テープ媒体は、フランジ無しのローラ・テープ・ガイド50、51、52、53により支持される。
【0023】
典型的な磁気テープ・データ・ストレージ・ドライブは、順方向と逆方向の両方で動作して、データの読み取り及び書き込みを行う。したがって、磁気テープ・ヘッド65は、順方向で動作する一組の読み取り及び書き込み素子と、逆方向で動作するもう一組の読み取り及び書き込み素子とを含む場合もあり、あるいは、書き込み素子のいずれかの側に二組の読み取り素子を有するようにして、同じ書き込み素子で両方向の書き込みができるようにすると同時に、二組の読み取り素子で両方向でのリード・アフター・ライトができるようになっている場合もある。
【0024】
磁気テープ・データ・ストレージ・ドライブ10は、外部システムから受信したコマンドに従って磁気テープ・データ・ストレージ・ドライブを作動させるための、1つ又は複数の制御部20を含む。外部システムは、当業者には公知のように、ネットワーク、ホスト・システム、データ・ストレージ・ライブラリ又はオートメーション・システム、データ・ストレージ・サブシステム等を含むことができる。制御部は、典型的には論理及び/又は1つ若しくは複数のマイクロプロセッサを、マイクロプロセッサ及びドライブを作動させるための情報及びプログラム情報を格納するためのメモリと共に含む。プログラム情報は、フロッピィ又は光ディスクといった制御部20への入力を介して、又は磁気テープ・カートリッジから読み出すことにより、又は他のいずれかの適切な手段により、制御メモリに供給することができる。磁気テープ・データ・ストレージ・ドライブ10は、スタンドアロン型ユニットを構成することができ、又はテープ・ライブラリ若しくは他のサブシステムの一部を構成することができ、これは、外部システムを構成することができる。当業者には公知のように、制御部20は、磁気テープ媒体から読み取られるデータ及びそこに書き込みされるデータのためのデータ・フロー及びフォーマッタを提供する。
【0025】
カートリッジ・レシーバ39は、単一の方向に方向づけられた磁気テープ・カートリッジ13を受け入れるように、かつ、磁気テープ・カートリッジを、例えばガイド・ピン41を用いてカートリッジ・レシーバに対して位置合わせするように、構成される。正しい向きは、例えばカートリッジ上の矢印42により、カートリッジ自体の上に図示することができる。当業者には公知のように、正しい向きは、カートリッジの特定の形状により、又はレシーバと相互に作用する種々のノッチを用いて実現することができる。磁気テープ・カートリッジの向きは、磁気テープ11がカートリッジ・レシーバの指定された地点でカートリッジから出るような向きとされる。テープ・スレッディング機構は、磁気テープ11の自由端を、例えば自由端のリーダ・ブロックを巻き取りリールの中心軸線75に位置決めして、磁気テープ・カートリッジ13から巻き取りリール14まで移動させることができる。磁気テープはこのようにしてテープ経路に沿って位置決めされる。
【0026】
図示された実施形態においては、フランジ無しテープ・ガイド・ローラ50、51、52及び53は各々、磁気テープ11が磁気テープ・ヘッド65を横切るためのテープ経路を提供するように方向付けられた円筒状表面80、81、82、83を有する。
【0027】
テープ経路は、磁気テープ・カートリッジ13と磁気テープ・ヘッド65との間に位置決めされた少なくとも1つのフランジ無しテープ・ガイド・ローラ50を含み、そして磁気テープ・ヘッド65のいずれかの側に少なくとも1つのフランジ無しテープ・ガイド・ローラ50、51を含むことができる。付加的なテープ・ガイド・ローラ又は他のタイプのガイドをテープ経路の長さ及び/又は複雑さに応じて設けることができ、好ましくはテープ・ガイド・ローラ52及び53のようなフランジ無しテープ・ガイド・ローラを含む。
【0028】
図3を参照すると、当業者には公知のように、図2のローラ50、51、52及び53のようなフランジ無しテープ・ガイドは、フランジ付きテープ・ガイドの問題の解決には役立つが、長手テープ11が磁気テープ・ヘッド65を横切って長手方向に移動する際に、拘束されないと、テープは、テープ・ヘッドの一方の側からもう一方の側へと急速にシフトしがちであり、テープ・ヘッドの一方の側を短時間しか走行しない傾向がある。
【0029】
さらに図3を参照すると、長手テープ11は、図1の制御部20のテープ運動コントローラ66の制御下のリール・モータ15及び16により、テープ・ヘッド65を横切ってリール12及び14(テープ・ガイド・ローラは図示されていない)の間を移動する。リール・モータは、磁気テープ媒体が、もう一方のリールに巻き取られるのと同じ速度で一方のリールから繰り出されることを保証するよう、テープ運動コントローラにより制御される種々の速度で操作される。テープ運動コントローラはまた、テープ・ヘッド65において磁気テープ媒体にかかる張力を制御するために、各駆動モータ15及び16にかかるトルクを制御する。
【0030】
磁気テープ・ヘッド65は、テープ11の少なくとも1つのサーボ・トラック68に記録されたサーボ・パターンを検知する少なくとも1つのサーボ読み取りヘッド又はセンサ76を含む。サーボ・トラック68は、テープ11にわたって種々の位置にいくつかの平行なサーボ・トラックを含むことができ、サーボ・センサ76は、一例において、2つのサーボ・トラックが離間されているのと同じ距離だけ離間された複数のサーボ読み取りセンサを含む。当業者には理解されるように、サーボ・トラックは、典型的には、長手方向にテープの全長にわたって延びており、テープ・カートリッジ13の製造プロセスの一部として、予め記録され、定められている。データ・ヘッドは、幾つかのデータ読み取り/書き込みトランスデューサを含むことができ、例えば複数の平行なデータ・トラックを収容する、テープのデータ・トラック領域の上に位置決めされる。当業者には理解されるように、典型的には、磁気テープ・システムの定められたサーボ・トラックは、データ・トラックに平行であり、かつデータ・トラックからオフセットしており、例えば、サーボ・トラック68間にデータバンドを形成する。サーボ・トラックは、トラックの中心線を表す単一の線として描かれているが、一例において、サーボ・トラックは十分に広いので、サーボ・ヘッドを中心線からオフセットすることにより、単一のサーボ・トラック又はサーボ・トラックの組でデータバンド内の種々のデータ・トラックの組をサーボ制御することを可能にすることができる。
【0031】
テープ11がテープ経路に沿って長手方向に移動するにつれて、サーボ読み取りヘッド76はサーボ信号を読み取り、この信号が、サーボ信号線路84でサーボ・デコーダ86に送られる。サーボ・デコーダは受信したサーボ信号を処理して位置信号を生成し、これは位置信号線路88でサーボ制御部90に送られる。サーボ制御部90は、図1の制御部20の機能のうちの幾つかを含む。図3において、サーボ制御部90は、シーク信号に応答して、複合アクチュエータ17をサーボ・トラック間で動かし、位置信号に応答して、アクチュエータ17を所望のサーボ・トラックに追従させる。
【0032】
上述のように、長手テープ11が磁気テープ・ヘッド65を長手方向に横切って移動するときに、テープはテープ・ヘッドの一方の側からもう一方の側へと急速にシフトしがちであり、テープ・ヘッドの一方の側を短時間しか走行しないことがある。テープ11のシフトの結果として、図3に横方向シフト極値77と横方向シフト極値79との間のシフトとして示される、2つの極値間の横方向シフト偏位を含む、サーボ・トラック68の横方向のシフトが生じる。
【0033】
図3、図4及び図5を参照すると、複合アクチュエータ17の一実施形態が示される。アクチュエータ17は、磁気テープ・ヘッド65を取り付けるアクチュエータ・アーム32を含む。粗動アクチュエータ・モータ59は、リードねじ36を駆動して、微動アクチュエータ・ステージ44を開口部44Aにおいて基部55に対して直角な垂直方向に動かす。回転防止ピン34を受け入れるために開口部44Bが設けられ、ハウジング26とステージ44との間に荷重ばね48が設けられる。ねじりばね46がステージ44に固定され、その端部46A及び46Bでアクチュエータ・アーム32に結合されているので、ステージ44は、アクチュエータ・アーム32に取り付けられたヘッド65をテープを横切る垂直方向に動かすことができるようになっている。
【0034】
アクチュエータ・アーム32の一端に微動アクチュエータ・コイル組立体60が取り付けられている。コイル組立体60は、コイル・フレーム71と、コイル72と、マンドレル74とを含む。コイル72は、上部72A及び下部72Bを有しており、N極とS極とがほぼ線路70において分かれるように配列された、磁石ハウジング38内に保持された磁石40Aと40Bとの間に配置される。コイル72に電流が印加されると、コイルは垂直方向に動き、アクチュエータ・アーム32をねじりばね46の周りで旋回させ、テープ・ヘッド65をテープ11の横方向に動かして、トラック追従モードの場合のような小規模な調整を行う。
【0035】
サーボ制御部90は、位置信号に応答して、所望のサーボ・トラックを追従するように微動アクチュエータ60を操作するためのサーボ制御信号を線路91上に生成し、そして微動アクチュエータの運動が最大限の動きに対処するには不十分である場合、又は他の目的で大規模な動きが必要とされる場合には、サーボ制御部90は、粗動アクチュエータ59が微動アクチュエータを所望の方向に動かすようにさせるためのサーボ制御信号を線路93上に生成する。
【0036】
高バンド幅を提供するが移動範囲が制限されている微動アクチュエータと、広い動作範囲を提供する粗動アクチュエータの両方を全てが有する、代替的な複合アクチュエータが当業者には公知である。
【0037】
サーボ制御部90の実施形態が、サーボ・システム180の位置決めエラー信号ループ170の一部として図6に示される。初期化された後の通常のサーボ・システムの動作は、米国特許出願番号第12/612,403号において論じられている。簡単に述べれば、ヘッド65のサーボ・センサ76によってサーボ信号が検知され、サーボ・トラックに対するサーボ・センサの位置がサーボ信号から信号デコーダ86により検出される。検出された位置信号は線路88に送られ、好ましくはデジタル信号を含む。次いで、位置信号は比較器178によって参照信号177と比較され、読み取り値と定められたサーボ・トラックに関連した所望の位置との間の位置決めエラー信号又は「PES」と呼ばれる位置決めエラーが、線路179上で判定される。
【0038】
微動アクチュエータ・サーボは、典型的には、位置決めエラー信号ループ内に補償器関数185を有しており、これは、妥当な安定余裕を有する最大バンド幅を可能にするように設計されている。補償器関数185は、PES信号に可変利得を適用することによりPES信号を変更し、この利得は、入力PES信号179の周波数に基づき、又は別の観点からすると入力PES信号の変化の速度に基づく。
【0039】
補償器関数185は、所望の静的及び動的システム性能並びに全体としての安定性を実現するために、積分器関数187と、進み/遅れ関数要素186のような他の伝達関数要素とを含む。各要素は、個別のコンポーネントを用いるアナログ・フィルタ、又はIIR(無限インパルス応答)若しくはFIR(有限インパルス応答)などのデジタル・フィルタのいずれかのフィルタとして、又はマイクロプロセッサにその関数を実行させるマイクロコードとして実装することができる。
【0040】
積分器関数187は、周波数が増大するにつれて一般に利得が小さくなる応答200を提供する。これは、積分される信号の幾つかのサンプルの総和としても機能することができる。進み/遅れ要素186は、特定の周波数範囲において強められ又は弱められる応答201を提供する。合成された応答205は、当業者には理解されるように、高バンド幅及び安定性の両方を有する微動アクチュエータ60に対するサーボ信号を提供する。デジタル−アナログ変換器206及び電力増幅器207が、微動アクチュエータ60に信号を印加する。
【0041】
積分器関数187は、微動アクチュエータに印加される電流、したがって力を近似する現在の信号を以前の信号とともに積分して、微動アクチュエータのPESの直流電流(DC)成分を判定する。微動アクチュエータがばね上に取り付けられている場合、積分器関数は、微動アクチュエータの位置を表す。代替的な積分関数は、微動アクチュエータのための駆動電流のDC成分を判定することを含む。
【0042】
このようにして、積分器関数の出力200は、実際の横方向テープ運動(LTM)を忠実に近似する。
【0043】
粗動アクチュエータがPESに従う場合は、接続200上の積分関数出力信号は、ドライバ211に積分制御信号を提供し、ドライバは、粗動アクチュエータ59を駆動して、微動アクチュエータを並進させるように粗動アクチュエータを操作する。
【0044】
粗動アクチュエータがステッパ・モータである場合、ドライバ211は、デジタル・アップ・ダウン論理及びステッパ・ドライバであることが好ましい。ステッパ・モータの1ステップは、微動アクチュエータの例えば3ミクロンの直線並進をもたらすことができる。代替的に、粗動アクチュエータがアナログである場合には、ドライバ211は、デジタル信号をアナログに変換し、電力増幅器を用いて粗動アクチュエータ59を操作することができる。
【0045】
粗動アクチュエータは、シーク関数183によって操作することも可能であり、シーク関数は、粗動アクチュエータを1つのサーボ・トラック若しくはサーボ・トラックの組から別のサーボ・トラック若しくはサーボ・トラックの組に移動させ、又は、サーボ・トラック若しくはサーボ・トラックの組内でのヘッドの位置を調整することにより、粗動アクチュエータをデータバンド内のデータ・トラックの組の間で移動させる。
【0046】
積分器の出力200は、本発明の好ましい実施形態によれば、シフト制御部220にも供給され、シフト制御部は、粗動アクチュエータを特定の位置に移動させ、その位置に維持する。
【0047】
図3、図6、図7及び図8を参照すると、上述のように、図2のフランジ無しテープ・ガイド50、51、52及び53はフランジ付きテープ・ガイドの問題の解決には役立つが、拘束されないと、長手テープ11は、経路の一方の側からもう一方の側へと急速にシフトしがちであり、経路の一方の側を短時間しか走行しないことがある。その動きは、微動アクチュエータ60の一方向における範囲を超える場合があり、微動アクチュエータの偏位を小さくするために粗動アクチュエータを常に動かすことになる。したがって、テープを一方の側からもう一方の側まで追従しようとすると、微動アクチュエータ60の動きに追従している粗動アクチュエータ59は、テープが急速にシフトするときに、端から端まで移動することを要求される。この動きは、粗動アクチュエータを消耗させ、その寿命を縮めがちであり、かつ粗動アクチュエータによって電力が消費される。さらに、その応答は、テープのシフトに比べて遅い。
【0048】
米国特許出願番号第12/612,403号は、粗動アクチュエータを、微動アクチュエータに追従させようとするのではなく、横方向シフト偏位の中点にセンタリングすることにより、この問題を解決する。したがって、微動アクチュエータは横方向シフト偏位に追従し、その間、粗動アクチュエータは中点にとどまる。
【0049】
本発明の好ましい実施形態は、横方向シフト偏位の正の最大ピーク及び負の最大ピークを判定することにより粗動アクチュエータのための中点を決定し、粗動アクチュエータが定められたサーボ・トラックの横方向シフト偏位の正の最大ピークと負の最大ピークとの中点に実質的に位置決めされるように、粗動アクチュエータを操作する。
【0050】
図7は、テープ・ヘッド65における例示的な磁気テープ11の横方向のテープ運動を示す。図示された信号は、例えば、積分器関数187の信号とすることができる。テープ位置は二位置的(bi−positional)であり、即ち、通常は上位置又は下位置のいずれかにあることが優先され、テープ経路の中心にあることはめったにないことに留意されたい。上又は下への横方向テープ運動の絶対値は可変であり得る。当業者には公知のように、テープの横方向運動の絶対値の変動は、テープが繰り出されているリールへのテープの巻かれ方、リールのフランジ、データ・ストレージ・ドライブ内での、テープ・カートリッジ軸線、データ・ストレージ・ドライブ・リール及びテープ・ガイドの相対角度、並びに長手方向のテープの移動の速度又はバック・ヒッチ状態といった種々の要因のいずれかに依るものであり得る。
【0051】
ステップ230において、サーボ・センサ76は、例えば、テープがデータ・ストレージ・ドライブに装填され、所定スピードまで到達するときに、1つのサーボ・トラック又は隣接するサーボ・トラック68にロックされる。一例において、テープ経路の中心を判定するために、中心に位置するデータバンドの両側にわたるサーボ・トラックがロックの対象に選択される。ステップ233は、テープの動きが安定化するための整定時間を表す。例えば、テープは、所定スピードに到達するまでの、長手方向での加速又は減速プロセスにあり得る。
【0052】
ステップ235において、信号デコーダ86及びサーボ制御部は、位置決めエラー信号ループを検知し、位置決めエラー信号ループが、定められたサーボ・トラックを所定の位置決めエラー閾値内でトラック追従していることを判定する、予備的ステップを実行する。このステップは、サーボ・システムが実際にトラック追従していることを保証するためのものである。好ましい実施形態において、PESは5μm以下でなければならない。サーボ・システムがトラック追従していない場合、プロセスは、トラック追従が機能するようになるまでループする。
【0053】
本発明の好ましい実施形態に従って展開される中心位置は、主としてドライブに関連するものとなる傾向がある。それゆえ、粗動アクチュエータは、最初に、中心になる可能性が最も高い位置に位置決めすることができる。しかしながら、最初の位置決めが全面的に正しいという保証はない。別の予備的ステップ238において、PESは、積分関数187に供給され、シフト制御部220が、積分関数の振幅が所定の閾値未満であることを判定する。このようにして、粗動アクチュエータが正しく位置決めされていないため微動アクチュエータが所望の範囲を超えて並進する危険がある場合には、ステップ238においてそのことが検出され、そして、ステップ240において、積分器を閾値内に入らせるように粗動アクチュエータが動かされる。この事例では、ステップ240は、サーボ・トラックの位置から遠い位置にある場合にのみ、粗動アクチュエータを動かす。好ましい実施形態において、プロセスは、ステップ238において再び閾値を検定する前に、予備的ステップ235を通るサイクルを経る。
【0054】
シフト制御部220は正及び負の最大ピークを探しており、ステップ245は、ピークが最大ピークであるかどうかの判定を、そのピークが横方向シフト偏位のゼロ交差の後に生じた場合にのみ観察するように限定することにより、正と負の間で切り替えを行う。よって、ステップ245は、積分器のゼロ値交差を待機する。ステップ246は、以前に検知されたピーク(ピークが最大ピークとして選択されたか否かに依らない)に基づき、又は以前のゼロ交差に基づき、ステップ245で検出された現在のゼロ交差が負のゼロ交差であるか正のゼロ交差であるかを判定する。
【0055】
ステップ246が、負のゼロ交差が生じたと判定した場合、ステップ247は、積分器信号を観察し、次に遭遇する負のピーク250が最大ピークであるかどうかを判定する。図7に示された例において、ピーク250は、遭遇した最初のピークであり、したがって最大ピークであるので、その値がステップ247において記録される。
【0056】
次にステップ246が、正のゼロ交差が生じたと判定した場合、ステップ249は、積分信号を観察し、次に遭遇する正のピーク251が最大ピークであるかどうかを判定する。ピーク251は、遭遇した最初のピークであり、したがって最大ピークである。
【0057】
正と負の両方の最大ピークを検出した上で、ステップ260は、現在の信号が、判定された最大値及び最小値の中心にあるかどうかを判定し、最大値は正の最大ピークを含み、最小値は負の最大ピークを含む。中心になかった場合には、ステップ265において、シフト制御部220は、粗動アクチュエータを操作して、信号が中心になるように動かし、最大値及び最小値を確立する。次いで、プロセスはステップ235に戻る。
【0058】
正確な正の最大ピーク及び負の最大ピークを見つけるために、プロセスを少なくともある期間にわたって続ける。詳細には、判定された正の最大ピークは、以前の正の最大ピークを超えるピークによってのみ更新され、判定された負の最大ピークは、以前の負の最大ピークを超えるピークによってのみ更新される。
【0059】
例えば、ステップ246において検出された次の負のゼロ交差において、ステップ247は、負のピーク270が以前の負の最大ピークを超えたかどうかを判定する。この例では、負のピーク270は以前の負の最大ピーク250を超えている。よって、ステップ247は、負の最大ピークをピーク270の値で更新し、ステップ260は、新たなピークに起因して中心が移動したことを判定する。ステップ265は、粗動アクチュエータ59を調整し、調整が反映されるように最大値及び最小値を調整する。次に、ステップ246において正のゼロ交差を検出した後で、ステップ249は、正のピーク271が以前の正の最大ピーク251を超えたかどうかを判定する。この例では、正のピーク271は以前の正のピーク251を超えており、ステップ260は、新たなピークに起因して中心が僅かにシフトしたことを判定する。ステップ265は、粗動アクチュエータ59を調整し、調整が反映されるように最大値及び最小値を調整する。
【0060】
プロセスを繰り返し、負のピーク280及び正のピーク281を調べる。しかしながら、どちらのピークも以前の最大ピークを超えておらず、無視されるので、ステップ260は、プロセスを次のピークの検定に戻す。
【0061】
例えば、ステップ246において検出された次の負のゼロ交差において、ステップ247は、負のピーク290が以前の負の最大ピークを超えたかどうかを判定する。この例では、負のピーク290は以前の負の最大ピーク270を超えている。よって、ステップ247は、負の最大ピークをピーク290の値で更新し、ステップ260は、新たなピークに起因して中心が移動したことを判定する。ステップ265は、粗動アクチュエータ59を調整し、調整が反映されるように最大値及び最小値を調整する。
【0062】
ステップ246において検出された次の正のゼロ交差において、ステップ247は、正のピーク291が以前の正の最大ピークを超えたかどうかを判定する。この例では、正のピーク291は以前の正の最大ピーク271を超えている。よって、ステップ247は、正の最大ピークをピーク291の値で更新し、ステップ260は、新たなピークに起因して中心が移動したことを判定する。ステップ265は、粗動アクチュエータ59を調整し、調整が反映されるように最大値及び最小値を調整する。
【0063】
この例では、その後の全ての負及び正のピークは以前のピークを超えないので、無視される。次いで、粗動アクチュエータの中心位置は、例えばシフト制御プロセッサのメモリ内に入れることにより、この磁気テープの現在の運動方向について固定することができる。
【0064】
好ましい実施形態において、横方向シフト偏位の正の最大ピーク及び負の最大ピークを判定するステップは、テープの運動の各々の長手方向について、別々に実行される。図1を参照すると、例えば、リールの仕様は、データ・ストレージ・ドライブのリール14の方がポータブル・データ・ストレージ・カートリッジ13のリール12よりも厳しい。したがって、結果として生じる横方向テープ運動は、テープの移動方向、及びどちらのリールからテープが繰り出されているかによって、異なるものとなり得る。
【0065】
図3を参照すると、微動アクチュエータの横方向運動は制限されており、高バンド幅を提供する。横方向運動は、例えば、位置77から位置79までの横方向偏位を一定量だけ超えるが、磁気テープ11の一方の側からもう一方の側まで移動するには不十分であり、サーボ・システムが別のデータバンドに移動して、サーボ・センサ76がサーボ・トラック68の別の組をトラック追従しようとする場合には、粗動アクチュエータの再位置決めが必要となる。したがって、長手テープが複数の定められたサーボ・トラックと、各々が2つの定められたサーボ・トラック間に位置決めされた複数のデータバンドとを含む場合には、中点は理論上のものであるので、粗動アクチュエータが理論上の中点からの所望のデータバンドのオフセットに等しい理論上の中点からのオフセットに位置決めされるように、粗動アクチュエータが操作される。図示された例では5つのサーボ・トラックが存在し、この場合、理論上の中点は、中央のサーボ・トラックの中央とすることができ、あるいは、所定のデータバンドのいずれかの側のサーボ・トラック内の位置とすることができる。
【0066】
テープの長手方向運動の各方向について最終的に判定された中点、又はいくつかのテープから取った平均を格納し、その後のテープのための粗動アクチュエータの初期開始位置として使用することができる。
【0067】
実装は、ソフトウェア、ファームウェア、マイクロコード、ハードウェア、及び/又はそのいずれかの組み合わせを含むことができる。実装は、制御部20又はサーボ制御部90のような、媒体内に実装されたコード又は論理の形態を取ることができ、ここで媒体は、ハードウェア論理(例えば集積回路チップ、プログラマブル・ゲート・アレイ[PGA]、特定用途向け集積回路[ASIC]、又はその他の回路、論理若しくはデバイス)を含むことができ、磁気ストレージ媒体などのコンピュータ可読ストレージ媒体(例えば電子、磁気、光学、電磁気、赤外線又は半導体のシステム、半導体又は固体メモリ、磁気テープ、取り外し可能なコンピュータ・ディスケット、及びランダム・アクセス・メモリ[RAM]、読み出し専用メモリ[ROM]、剛体磁気ディスク及び光ディスク、コンパクト・ディスク−読み出し専用メモリ[CD−ROM]、コンパクト・ディスク−読み出し/書き込み[CD−R/W]、及びDVD)に格納される。
【0068】
当業者であれば、上で論じられた方法に関して、ステップの順序の変更を含めて、変更を行うことができることを理解するであろう。さらに、当業者であれば、本明細書において示されたものとは異なる特定のコンポーネント構成を用いることができることを理解するであろう。
【0069】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して上記で説明された。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図内のブロックの組み合わせは、コンピュータ・プログラム命令によって実装することができることが理解されるであろう。これらのコンピュータ・プログラム命令を、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスを特定の方式で機能させるように指示することができるコンピュータ・プログラム製品として、上記で論じられたようなプロセッサに提供し、上記で論じられたようなコンピュータ可読ストレージ媒体内に格納し、その結果、そのコンピュータ可読媒体内に格納された命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実装する命令を含む製品を製造するようにすることもできる。コンピュータ・プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上にロードして、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上で実行される一連の動作ステップによりコンピュータ実施のプロセスを生成し、その結果、コンピュータ又は他のプログラム可能装置上で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実行するプロセスをもたらすようにすることもできる。
【0070】
上記の図面内のフローチャート及びブロック図は、本発明の種々の実施形態によるシステム、方法及びコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能及び動作を示す。この点に関して、フローチャート又はブロック図内の各ブロックは、特定の論理関数を実装するための1つ又は複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの部分を表すことができる。幾つかの代替的な実装において、ブロック内に記した機能は、図中に記された順序とは異なる順序で行われ得ることにも留意すべきである。例えば、連続して示された2つのブロックは、関与する機能に応じて、実際には、実質的に同時に実行されることもあり、又はこれらのブロックは、ときには逆の順序で実行されることもある。また、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、及び、ブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせは、特定の機能又は動作を実行する専用ハードウェアをベースとするシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実行できることにも留意される。
【0071】
当業者であれば、上記で論じられた方法に関して、ステップの順序の変更を含む変更を行うことができることを理解するであろう。さらに、当業者であれば、本明細書において示されたものとは異なる特定のコンポーネント構成を用いることができることを理解するであろう。
【0072】
本発明の好ましい実施形態を詳細に示してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲で記述される本発明の範囲から逸脱することなくこれらの実施形態の修正及び応用に想到することができることは明らかである。
【符号の説明】
【0073】
10:磁気テープ・データ・ストレージ・ドライブ
11:磁気テープ・データ・ストレージ媒体(磁気テープ)
12:繰り出しリール
13:テープ・データ・ストレージ・カートリッジ(磁気テープ・カートリッジ)
14:巻き取りリール
15、16:リール・モータ(駆動モータ)
17:複合アクチュエータ
18:データ
20:制御部
26:ハウジング
32:アクチュエータ・アーム
34:回転防止ピン
36:リードねじ
38:磁石ハウジング
39:カートリッジ・レシーバ
40A、40B:磁石
41:ガイド・ピン
44:微動アクチュエータ・ステージ
44A、44B:開口部
46:ねじりばね
48:荷重ばね
50、51、52、53:ローラ・テープ・ガイド(テープ・ガイド・ローラ)
55:基部
59:粗動アクチュエータ
60:微動アクチュエータ
65:磁気テープ・ヘッド
68:サーボ・トラック
71:コイル・フレーム
72:コイル
74:マンドレル
76:サーボ・センサ
77、79:横方向シフト極値
170:位置決めエラー信号ループ
180:サーボ・システム
250、270、280、290:負のピーク
251、271、281、291:正のピーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手テープの少なくとも1つの定められたサーボ・トラックに対してヘッドを横方向に位置決めするように構成されたサーボ・システムであって、
前記長手テープの前記少なくとも1つの定められたサーボ・トラックに対する前記ヘッドの横方向位置を検知するための少なくとも1つのサーボ・センサと、
前記ヘッドを前記長手テープに対して横方向に並進させるように構成された微動アクチュエータと、
前記微動アクチュエータを前記長手テープに対して横方向に並進させるように構成された粗動アクチュエータと、
前記少なくとも1つのサーボ・センサを検知し、前記ヘッドと前記少なくとも1つの定められたサーボ・トラックに関する所望の位置との間の位置決めエラーを判定し、前記判定された位置決めエラーを低減するように前記ヘッドを横方向に並進させるために前記微動アクチュエータを操作する信号を提供し、前記位置決めエラー信号から、前記少なくとも1つの定められたサーボ・トラックの横方向シフト偏位を検知し、前記横方向シフト偏位の正の最大ピーク及び負の最大ピークを判定し、前記粗動アクチュエータが前記少なくとも1つの定められたサーボ・トラックの前記横方向シフト偏位の前記正の最大ピークと前記負の最大ピークとの中点に実質的に位置決めされるように前記粗動アクチュエータを操作するよう、構成されたサーボ制御部と、
を含む、サーボ・システム。
【請求項2】
前記長手テープが、複数の前記定められたサーボ・トラックと、各々が2つの前記定められたサーボ・トラックの間に位置決めされた複数のデータバンドとを含み、前記中点は理論上のものであるので、前記サーボ制御部は、前記粗動アクチュエータが前記理論上の中点からの所望のデータバンドのオフセットに等しい前記理論上の中点からのオフセットに位置決めされるように、前記粗動アクチュエータを操作する、請求項1に記載のサーボ・システム。
【請求項3】
前記サーボ制御部が、前記判定された正の最大ピークを、以前の正の最大ピークを超えるピークによってのみ更新し、前記判定された負の最大ピークを、以前の負の最大ピークを超えるピークによってのみ更新するように構成される、請求項1又は請求項2に記載のサーボ・システム。
【請求項4】
前記サーボ制御部が、ピークが前記横方向シフト偏位のゼロ交差の後に生じた場合にのみ、前記ピークが最大ピークであるかどうかを判定するように構成される、請求項3に記載のサーボ・システム。
【請求項5】
前記サーボ制御部が、前記長手テープの運動の各々の長手方向について、前記横方向シフト偏位の正の最大ピーク及び負の最大ピークを別々に判定するように構成される、請求項3又は請求項4に記載のサーボ・システム。
【請求項6】
前記サーボ制御部がさらに、前記位置決めエラー信号を予備的に検知し、前記サーボ制御部が前記少なくとも1つの定められたサーボ・トラックを所定の位置決めエラー閾値内でトラック追従していることを判定するように構成される、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のサーボ・システム。
【請求項7】
前記サーボ制御部が、前記検知された前記位置決めエラー信号を積分関数として提供するように構成される、請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載のサーボ・システム。
【請求項8】
前記サーボ制御部がさらに、前記積分関数の振幅が所定の閾値未満であることを予備的に判定するように構成される、請求項7に記載のサーボ・システム。
【請求項9】
サーボ・システムにおいて、ヘッドを横方向に位置決めするための方法であって、
長手テープの少なくとも1つの定められたサーボ・トラックを設けるステップと、
前記長手テープの前記少なくとも1つの定められたサーボ・トラックに対する前記ヘッドの横方向位置を検知するステップと、
前記ヘッドを前記長手テープに対して横方向に並進させるステップと、
前記ヘッドを横方向に並進させるステップに応答して、前記長手テープに対して横方向に並進させるステップと、
前記少なくとも1つのサーボ・センサを検知するステップと
前記ヘッドと前記少なくとも1つの定められたサーボ・トラックに関する所望の位置との間の位置決めエラーを判定するステップと、
前記判定された位置決めエラーを低減するように前記ヘッドを横方向に並進させるために微動アクチュエータを操作する信号を提供するステップと、
前記位置決めエラー信号から、前記少なくとも1つの定められたサーボ・トラックの横方向シフト偏位を検知するステップと、
前記横方向シフト偏位の正の最大ピーク及び負の最大ピークを判定するステップと、
粗動アクチュエータが前記少なくとも1つの定められたサーボ・トラックの前記横方向シフト偏位の前記正の最大ピークと前記負の最大ピークとの中点に実質的に位置決めされるように前記粗動アクチュエータを操作するステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記長手テープを設ける前記ステップが、複数の前記定められたサーボ・トラックと、各々が2つの前記定められたサーボ・トラックの間に位置決めされた複数のデータバンドとを設けるステップをさらに含み、前記中点は理論上のものであるので、前記サーボ制御部は、前記粗動アクチュエータが前記理論上の中点からの所望のデータバンドのオフセットに等しい前記理論上の中点からのオフセットに位置決めされるように、前記粗動アクチュエータを操作する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記判定された正の最大ピークを、以前の正の最大ピークを超えるピークによってのみ更新するステップと、
前記判定された負の最大ピークを、以前の負の最大ピークを超えるピークによってのみ更新するステップと、
をさらに含む、請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ピークが前記横方向シフト偏位のゼロ交差の後に生じた場合にのみ、前記ピークが最大ピークであるかどうかを判定するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記長手テープの運動の各々の長手方向について、前記横方向シフト偏位の正の最大ピーク及び負の最大ピークを別々に判定するステップをさらに含む、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記位置決めエラー信号を予備的に検知するステップと、前記サーボ制御部が前記少なくとも1つの定められたサーボ・トラックを所定の位置決めエラー閾値内でトラック追従していることを判定するステップとをさらに含む、請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記検知された前記位置決めエラー信号を積分関数として提供するステップをさらに含む、請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、前記積分関数の振幅が所定の閾値未満であることを予備的に判定するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
長手テープ・データ・ストレージ媒体上でデータを記録し、かつ読み取るように構成されたヘッドと、
前記長手テープ・データ・ストレージ媒体を前記ヘッドに対して長手方向に動かすように構成されたドライブであって、前記ヘッドの前記長手方向のいずれかの側に少なくとも1つのフランジ無しテープ・ガイドを含み、前記長手テープ・データ・ストレージ媒体を前記ヘッドに対して近傍に位置決めするように構成された、ドライブと、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のサーボ・システムと、
を含む、データ・ストレージ・デバイス。
【請求項18】
サーボ・システムにおいてヘッドを横方向に位置決めし、長手テープの少なくとも1つの定められたサーボ・トラックに対してヘッドを横方向に位置決めするように構成されたサーボ・システムを操作するためのコンピュータ・プログラム製品であって、
処理回路により読み出し可能な、請求項9乃至請求項16のいずれか1項に記載の方法を実施するために前記処理回路により実行される命令を格納するコンピュータ可読ストレージ媒体を含む、
コンピュータ・プログラム製品。
【請求項19】
コンピュータ可読媒体上に格納され、デジタル・コンピュータの内部メモリ内にロード可能なコンピュータ・プログラムであって、前記プログラムがコンピュータ上で実行されたときに請求項9乃至請求項16のいずれか1項に記載の方法を実施するためのソフトウェア・コード部分を含む、コンピュータ・プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−521591(P2013−521591A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555356(P2012−555356)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052386
【国際公開番号】WO2011/107350
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】