説明

サーボ信号検査装置およびサーボ信号検査方法

【課題】 TBS信号を書き込む磁気テープにおいて、狭トラック化を目指したテープのサーボ信号品質を、十分な分解能で測定・評価できるサーボ信号検査装置およびサーボ信号検査方法を提供する。
【解決手段】 基準クロック信号に基づいて逐次測定されるサーボ信号から求められるサンプリングピークのピーク強度を時系列で配列して、N−2番目〜N+1番目(Nは1以上の整数)のサンプリングピークに対して、時間およびピーク強度をそれぞれX軸およびY軸とする2次元平面において、N−2番目、N−1番目、N番目およびN+1番目のサンプリングピークに基づいて、新たな測定点を求め、新たなパルスピークの位置を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボ信号検査装置およびサーボ信号検査方法に関し、特に、サーボ信号検査装置およびサーボ信号検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、データを記録/再生するための記録媒体として、磁気テープが広く用いられている。この磁気テープにおいては、単位面積当たりの記録密度を高くするために、データが記録されるデータトラックが磁気テープの幅方向に多数形成されている。この磁気テープは、様々な理由により走行時に微小な幅方向の移動を繰り返すため、データの記録/再生時に、記録/再生ヘッドがデータトラックを完全にトレースすることが困難となる。そこで、この種の磁気テープを記録/再生する装置では、データの記録/再生時に、予め磁気テープに書き込まれているサーボ信号を基準にして、磁気テープに対する記録/再生ヘッドのトラッキングを動的に制御している。すなわち、記録/再生ヘッドと一体に形成されたサーボ信号読取ヘッドでサーボ信号を読み取り、磁気テープの幅方向における記録/再生ヘッドの位置のずれを検出し、このずれを修正するように記録/再生ヘッドを移動させている。このサーボ信号は、専用のサーボライタにより、予め磁気テープの走行方向に沿って書き込まれる(特許文献1参照)。
【0003】
このサーボ信号として、タイミングベースドサーボ(Timing Based Servo;以下、TBSという)信号が知られている。このTBS信号は、サーボトラック上に非平行なサーボパターンとして書き込まれる。そして、テープ走行系にてテープを搬送させながら磁気テープと摺動するMRヘッドによりサーボ信号を読み取り、そのサーボ信号のピークの時間間隔を測定して、トラッキング制御が行なわれる。
【0004】
こうした磁気テープ上に記録されたTBS信号を用いて、トラッキング制御するシステム用の磁気テープを製造・検査する工程においては、記録済みのサーボ信号の品質を正しく測定して検査する必要がある。TBS信号においては、非平行なサーボパターンの間隔と非平行なサーボパターンの間隔を、走行系にてテープを搬送させながらMRヘッドによりサーボ信号を再生し、そのピークの時間間隔として測定している。そのため、測定系の精度は、ピーク間隔を測定するクロックの精度に依存する。例えば、テープの搬送スピードが、5m/sの時に50MHzのクロック信号を使ってピーク時間間隔を測定したときには、1クロック当たり20ns×5m/s=100nmが最小の分解能となる。例えば、従来のLTO−G1、G2のように、トラックピッチが20−30μm程度あるシステムにおいては、この程度の分解能でも十分であった。
【0005】
しかし、近年のデータ記録再生システムに用いられる磁気テープにおいては、更なる高容量化が求められている。そこで、高容量化を目指して、狭トラック化を推進するために、(1)TBS信号のサーボパターンにおけるハの字の広がり角度を広げる、(2)磁気テープのMrtを低減する、(3)DCライト(直流磁化書込み)を併用してサーボ信号のSNを向上させる方法が提案されている。そして、こうした狭トラック化に向けたサーボ信号の書込み方法および磁気テープ自体の改良に伴って、サーボ信号に要求される品質は更に厳しくなり、そのサーボ信号の品質を検査する装置においては、サーボ信号の測定精度の向上が求められる。
【特許文献1】特開2003−141836号公報(段落0002〜0005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
TBS信号を書き込む磁気テープにおいて、狭トラック化を目指したテープのサーボ信号品質を、十分な分解能で測定・評価できるサーボ信号検査装置およびサーボ信号検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明のサーボ信号検査装置は、磁気テープに書き込まれたサーボ信号を読み取るサーボ信号検査ヘッドと、読み取られたサーボ信号の品質を検査するサーボ信号検査部とを備えるサーボ信号検査装置であって、前記サーボ信号検査部は、前記読み取られたサーボ信号から少なくとも一つのパルスピークAとそのパルスピークAに対応する所定のパルスピークBの間の時間間隔を計測する時間間隔計測手段と、計測されたパルスピークAとパルスピークBの間の時間間隔からサーボ信号の品質を評価するサーボ信号評価手段とを備え、前記サーボ信号検査部は、前記パルスピークA,Bを求めるに際して、基準クロック信号に基づいて逐次測定される前記サーボ信号をA/D変換して求められるサンプリングピークのピーク強度を時系列で配列して、N−2番目、N−1番目、N番目およびN+1番目(Nは1以上の整数)のサンプリングピークに対して、時間およびピーク強度をそれぞれX軸およびY軸として各サンプリングピークを示す2次元平面において、前記N−2番目のサンプリングピークと前記N−1番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−2,N−1)と、前記N−1番目のサンプリングピークと前記N番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−1,N)とで挟まれる角αをP等分(P:2以上の整数)し、前記直線L(N−1,N)に対して角度nα/P(1≦n≦Pの整数)の方向で前記N−1番目のサンプリングピークを通る直線L(N−1/nP)と、
前記N番目のサンプリングピークと前記N+1番目のサンプリングピークを通る直線L(N,N+1)と、前記直線L(N−1,N)とで挟まれる角βをP等分し、前記直線L(N−1,N)に対して角度mβ/P(1≦m≦Pの整数)の方向で前記N番目のサンプリングピークを通る直線L(N/mP)とを求め、さらに、前記直線L(N−1/nP)と、前記直線L(N/mP)との交点Qを求め、その交点Qを新たなサンプリングピークとして、パルスピークの位置を求めるデータ処理部を備え、求められた新たなパルスピークの位置に基づいて前記時間間隔計測手段においてパルスピークの時間間隔を算出するようにしたことを特徴とする。
【0008】
このサーボ信号検査装置では、前記データ処理部が、サーボ信号をA/D変換して求められるサンプリングピークのピーク強度を時系列で配列して、N−2番目、N−1番目、N番目およびN+1番目(Nは1以上の整数)の測定値に対して、時間およびピーク強度をそれぞれX軸およびY軸とする2次元平面に配列して、前記所定の方法で新たなサンプリングピークを算出し、その新たなサンプリングピークに基づいてパルスピークを求めて時間間隔計測手段においてパルスピークの時間間隔を算出することによって、基準クロック周波数を高くすることなく、実際に測定されたサンプリングピークに加えて、新たなサンプリングピークを求めることができ、これらのサンプリングピークの増加によって、見かけ上、基準クロック周波数を高くした場合と同様に、高い測定精度を得ることができる。
【0009】
また、本発明は、磁気テープに書き込まれたサーボ信号を読み取り、読み取られたサーボ信号から少なくとも一つのパルスピークAとそのパルスピークAに対応する所定のパルスピークBの間の時間間隔を計測する時間間隔計測段階と、計測されたパルスピークAとパルスピークBの間の時間間隔からサーボ信号の品質を評価するサーボ信号評価手段とを含むサーボ信号検査工程を有するサーボ信号検査方法であって、前記サーボ信号検査工程が、前記パルスピークA,Bを求めるに際して、基準クロック信号に基づいて逐次測定される前記サーボ信号をA/D変換して求められるサンプリングピークのピーク強度を時系列で配列して、N−2番目、N−1番目、N番目およびN+1番目(Nは1以上の整数)のサンプリングピークに対して、時間およびピーク強度をそれぞれX軸およびY軸として各サンプリングピークを示す2次元平面において、前記N−2番目のサンプリングピークと前記N−1番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−2,N−1)と、前記N−1番目のサンプリングピークと前記N番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−1,N)とで挟まれる角αをP等分(P:2以上の整数)し、前記直線L(N−1,N)に対して角度nα/P(1≦n≦Pの整数)の方向で前記N−1番目のサンプリングピークを通る直線L(N−1/nP)と、前記N番目のサンプリングピークと前記N+1番目のサンプリングピークを通る直線L(N,N+1)と、前記直線L(N−1,N)とで挟まれる角βをP等分し、前記直線L(N−1,N)に対して角度mβ/P(1≦m≦Pの整数)の方向で前記N番目のサンプリングピークを通る直線L(N/mP)とを求め、さらに、前記直線L(N−1/nP)と、前記直線L(N/mP)との交点Qを求め、その交点Qを新たなサンプリングピークとして、パルスピークの位置を求め、新たなパルスピークの位置に基づいて前記時間間隔計測段階においてパルスピークの時間間隔を算出するようにしたことを特徴とするサーボ信号検査方法を提供する。
【0010】
このサーボ信号検査方法では、基準クロック周波数を高くすることなく、実際に測定されたサンプリングピークに加えて、新たなサンプリングピークを求め、これらのサンプリングピークの増加によって、見かけ上、基準クロック周波数を高くした場合と同様に、高い測定精度を得ることができる。
【0011】
さらに、本発明は、磁気テープに書き込まれたサーボ信号を読み取るサーボ信号検査ヘッドと、読み取られたサーボ信号の品質を検査するサーボ信号検査部とを備えるサーボ信号検査装置であって、前記サーボ信号検査部は、前記読み取られたサーボ信号から少なくとも一つのパルスピークAとそのパルスピークAに対応する所定のパルスピークBの間の時間間隔を計測する時間間隔計測手段と、計測されたパルスピークAとパルスピークBの間の時間間隔からサーボ信号の品質を評価するサーボ信号評価手段とを備え、前記サーボ信号検査部は、前記パルスピークA,Bを求めるに際して、基準クロック信号に基づいて逐次測定される前記サーボ信号をA/D変換して求められるサンプリングピークのピーク強度を時系列で配列して、N−1番目、N番目およびN+1番目(Nは1以上の整数)のサンプリングピークに対して、時間およびピーク強度をそれぞれX軸およびY軸として各サンプリングピークを示す2次元平面において、前記N−2番目のサンプリングピークと前記N−1番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−2,N−1)と、前記N−1番目のサンプリングピークと前記N番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−1,N)と、前記N番目のサンプリングピークと前記N+1番目のサンプリングピークを通る直線L(N,N+1)とを求め、前記直線L(N−2,N−1)と、前記直線L(N−1,N)と、前記直線L(N,N+1)とで囲まれる三角形の重心Gを求め、その重心Gを新たなサンプリングピークとして、パルスピークの位置を求めるデータ処理部を備え、求められた新たなパルスピークの位置に基づいて前記時間間隔計測手段においてパルスピークの時間間隔を算出するようにしたことを特徴とするサーボ信号検査装置を提供する。
【0012】
このサーボ信号検査装置では、前記サーボ信号検査部が、前記直線L(N−2,N−1)と、前記直線L(N−1,N)と、前記直線L(N,N+1)とで囲まれる三角形の重心Gを求め、その重心Gを新たなサンプリングピークとして、パルスピークの位置を求め、そのパルスピークに基づいて時間間隔計測手段においてパルスピークの時間間隔を算出することによって、基準クロック周波数を高くすることなく、実際に測定されたサンプリングピークに加えて、新たなサンプリングピークを求めることができ、これらのサンプリングピーク増加によって、見かけ上、基準クロック周波数を高くした場合と同様に、高分解能で測定精度を向上させることができる。
【0013】
さらにまた、本発明は、磁気テープに書き込まれたサーボ信号を読み取り、読み取られたサーボ信号から少なくとも一つのパルスピークAとそのパルスピークAに対応する所定のパルスピークBの間の時間間隔を計測する時間間隔計測段階と、計測されたパルスピークAとパルスピークBの間の時間間隔からサーボ信号の品質を評価するサーボ信号評価手段とを含むサーボ信号検査工程を有するサーボ信号検査方法であって、前記サーボ信号検査工程が、前記パルスピークA,Bを求めるに際して、基準クロック信号に基づいて逐次測定される前記サーボ信号をA/D変換して求められるサンプリングピークのピーク強度を時系列で配列して、N−2番目、N−1番目、N番目およびN+1番目(Nは1以上の整数)のサンプリングピークに対して、時間およびピーク強度をそれぞれX軸およびY軸として各サンプリングピークを示す2次元平面において、前記N−2番目のサンプリングピークと前記N−1番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−2,N−1)と、前記N−1番目のサンプリングピークと前記N番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−1,N)と、前記N番目のサンプリングピークと前記N+1番目のサンプリングピークを通る直線L(N,N+1)とを求め、前記直線L(N−2,N−1)と、前記直線L(N−1,N)と、前記直線L(N,N+1)とで囲まれる三角形の重心Gを求め、その重心Gを新たなサンプリングピークとして、パルスピークの位置を求め、新たなパルスピークの位置に基づいて前記時間間隔計測段階においてパルスピークの時間間隔を算出するようにしたことを特徴とするサーボ信号検査方法を提供する。
【0014】
このサーボ信号検査方法では、基準クロック周波数を高くすることなく、前記直線L(N−2,N−1)と、前記直線L(N−1,N)と、前記直線L(N,N+1)とで囲まれる三角形の重心Gを求め、その重心Gを新たなサンプリングピークとして、実際に測定されたサンプリングピークに加えて、新たなサンプリングピークを求め、これらのサンプリングピークの増加によって、見かけ上、基準クロック周波数を高くした場合と同様に、高い測定精度を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、TBS信号の検査において、狭トラック化を目指したテープのサーボ信号品質を、十分な分解能で測定・評価することが可能となる。すなわち、基準クロック周波数を高くした場合と同様に、測定点を増加させて、測定精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るサーボライタ10の概略構成を示す模式図である。
このサーボライタ10は、磁気テープMTを送り出すための送出リール11と、送出リール11から送り出される磁気テープMTを巻き取るための巻取リール12とを備える。送出リール11の下流側には、サーボ信号書込みヘッドH1、サーボ信号検査ヘッドH2が、この順で配設される。そして、サーボ信号書込みヘッドH1の上流側と下流側には、磁気テープMTをサーボ信号書込みヘッドH1に摺接させて走行させるために、磁気テープMTを幅方向を規制して案内するテープガイド13a,13bが配設されている。また、サーボ信号検査ヘッドH2の近傍には、磁気テープMTをサーボ信号検査ヘッドH2に沿わせて走行させるためのガイド14,・・・が設けられている。さらに、サーボ信号検査ヘッドH2は、サーボ信号書込みヘッドH1によって磁気テープMTに書き込まれたサーボ信号の品質を評価するサーボ信号検査部15に接続されている。サーボ信号検査部15は、サーボ信号検査ヘッドH2によって磁気テープMTから読み取られたサーボ信号を受信して、そのサーボ信号の品質を検査して、所定の検査基準にしたがって評価する。なお、サーボライタ10には、磁気テープMTの張力を所定張力に調整するための張力調節装置(図示せず)、張力検出装置Tの他、磁気テープMTをガイドするためのガイドローラR…等の各種装置が備えられている。
【0017】
前記サーボ信号検査部15は、例えば、図2(a)に示すように、サーボ信号検査ヘッドH2によって読み取られたサーボ信号を増幅する増幅器15aと、基準クロック回路15cから供給される基準クロック信号に基づいて増幅されたサーボ信号をサンプリングしてサンプリングピークを検出するサンプリング回路15bと、サンプリング回路15bによってサンプリングされたサンプリングピークをA/D変換するA/D変換回路15dと、A/D変換されたサンプリングピークを演算処理する演算処理回路15eとを備える。
【0018】
このサーボ信号検査部15において、増幅器15aは、図3(a)に示すように、磁気テープMTにデータバンドDB1,DB2,DB3,DB4を挟んで設けられたサーボバンドSB1,SB2,SB3,SB4,SB5からサーボ信号検査ヘッドH2によって読み取られたサーボ信号を増幅する。
【0019】
また、基準クロック回路15cは、例えば、水晶振動子等による基準振動を分周して所定の周波数の基準クロック信号を発生する発振回路、素子を用いることで、磁気テープMTに書き込まれるサーボ信号パターンの時間間隔を求める。
【0020】
増幅器によって増幅されるサーボ信号として、TBS信号を例にとると、図3(b)に示すように、5つの非平行なサーボパターンの対(SP1A,SP1B,SP1C,SP1D,SP1Eと、SP2A,SP2B,SP2C,SP2D,SP2E)を、さらに、4本の非平行なサーボパターン(SP3A,SP3B,SP3C,SP4Dと、SP4A,SP4B,SP4C,SP4D)の対とを1単位として、これを繰返して書き込まれている。そして、サーボ信号の品質は、例えば、図3(c)に示すように、サーボパターンSP1AによるサンプリングピークPA1の立ち上がり時からサーボパターンSP2AによるサンプリングピークPB1の立ち上がり時までの時間間隔AB0、サーボパターンSP1AによるサンプリングピークPA1の立ち上がり時からサーボパターンSP3AによるサンプリングピークPC1の立ち上がり時までの時間間隔AC0等を測定し、AB0/AC0の比等を算出して、その磁気テープMTについて規定されている基準に適合するかを検査して、サーボ信号の品質が評価される。
【0021】
サンプリング回路15bでは、前記増幅器15aによって増幅されたサーボ信号を、図4に示すように、基準クロック回路15cから供給される基準クロック信号に基づいてサンプリングして、各サンプリングピークが検出される。このサンプリング回路15bによってサンプリングされたサンプリングピークPPは、A/D変換回路15dによってA/D変換されて演算処理回路15eに入力される。
【0022】
そして、演算処理回路15eは、A/D変換されたサンプリングピークの時間とピーク強度とから新たなサンプリングピークをデータ処理回路16と、新たに求められたサンプリングピークに基づいてサンプリングピークの時間間隔求める時間間隔計測回路17とを備える。
【0023】
この演算処理回路15eのデータ処理回路16は、図5に示すように、A/D変換されたサンプリングピークの時間とピーク強度を時系列で配列して、N−2番目、N−1番目、N番目およびN+1番目(Nは1以上の整数)のサンプリングピークに対して、時間およびピーク強度をそれぞれX軸およびY軸として各サンプリングピークを示す2次元平面において、前記N−2番目のサンプリングピークと前記N−1番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−2,N−1)と、前記N−1番目のサンプリングピークと前記N番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−1,N)とで挟まれる角αを2等分し、前記直線L(N−1,N)に対して角度α/2の方向で前記N−1番目のサンプリングピークを通る直線L(N−1/2)と、前記N番目のサンプリングピークと前記N+1番目のサンプリングピークを通る直線L(N,N+1)と、前記直線L(N−1,N)とで挟まれる角βを2等分し、前記直線L(N−1,N)に対して角度β/2の方向で前記N番目のサンプリングピークを通る直線L(N/2)とを求め、さらに、前記直線L(N−1/2)と、前記直線L(N/2)との交点Qを求め、その交点Qを新たなサンプリングピークとして、パルスピークの位置を求め、その交点Qを新たなサンプリングピークとする。このようにして、逐次、交点Qを求めて、その交点Qと、実際にサーボ信号から求められたサンプリングピークの中から、最もピーク強度の大きいサンプリングピークをパルスピークとする。
【0024】
このようにして、基準クロック回路15cにおける基準クロック周波数を高くすることなく、実際に測定されたサンプリングピークの測定点に加えて、新たなサンプリングピークの測定点を求め、これらのサンプリングピークの測定点の増加によって、基準クロック周波数を高くした場合と同様に、見かけ上2倍の解像度が得られ、基準クロックの周波数を変えることなく、最小分解能が1/2となり、トラックピッチの狭い磁気テープMTにおけるサーボ信号の品質の検査・評価が十分な精度で行えるようになる。
【0025】
なお、前記第1実施形態は、P=2およびn=m=1として直線L(N−1/nP)および前記直線L(N/mP)を求めた例であるが、本発明は、P=2かつn=m=1、すなわち、角αおよびβを2等分(P=2)する直線をそれぞれ直線L(N−1/nP)および前記直線L(N/mP)とする場合に限定されず、例えば、角αをP等分(P:2以上の整数)して前記N−1番目のサンプリングピークを通るP−1本の直線の中から、直線L
直線L(N−1,N)の側から数えてn(kは1<j≦P−1の整数)本目の直線Ljと、角βをP等分して前記N番目のサンプリングピークを通るP−1本の直線の中から、直線L(N−1,N)の側から数えてk(lは1<k≦P−1の整数)本目の直線Lkとを選択して、直線Ljと直線Lkの交点を交点Qとして求める場合をも含む。このとき、j=k(n=m)としてもよい。また、jとkを異なる整数としてもよい。このようにして、各サンプリングピークを用いて、実際にサーボ信号からパルスピークの演算を逐次行ない、最も適切なP値を決定して、サーボ信号の品質の検査および評価を行なうこともできる。
【0026】
次に、図6は、第2の実施形態におけるパルスピークの算出方法を説明する図である。なお、サーボライタの構成等については、第1の実施形態と同様であるので、図示および説明を省略する。
この第2の実施形態においては、サーボライタ10のサーボ信号検査部15において、前記パルスピークA,Bを求めるに際して、基準クロック信号に基づいて逐次測定される前記サーボ信号をA/D変換して求められるサンプリングピークのピーク強度を時系列で配列して、図6に示すように、N−1番目、N番目およびN+1番目(Nは1以上の整数)のサンプリングピークに対して、時間およびピーク強度をそれぞれX軸およびY軸として各サンプリングピークを示す2次元平面において、前記N−2番目のサンプリングピークと前記N−1番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−2,N−1)と、前記N−1番目のサンプリングピークと前記N番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−1,N)と、前記N番目のサンプリングピークと前記N+1番目のサンプリングピークを通る直線L(N,N+1)とを求め、前記直線L(N−2,N−1)と、前記直線L(N−1,N)と、前記直線L(N,N+1)とで囲まれる三角形の重心Gを求め、その重心Gを新たなサンプリングピークとして、パルスピークの位置を求めるデータ処理部を備える。そして、求められた新たなパルスピークの位置に基づいて前記時間間隔計測手段においてパルスピークの時間間隔を算出する。
【0027】
このように、前記直線L(N−2,N−1)と、前記直線L(N−1,N)と、前記直線L(N,N+1)とで囲まれる三角形の重心Gを求め、その重心Gを新たなサンプリングピークとして、パルスピークの位置を求め、そのパルスピークに基づいてパルスピークの時間間隔を算出することによって、基準クロック周波数を高くすることなく、実際に測定されたサンプリングピークに加えて、新たなサンプリングピークを求めることができ、これらのサンプリングピーク増加によって、見かけ上、基準クロック周波数を高くした場合と同様に、高分解能で測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係るサーボライタの概略を示す模式平面図である。
【図2】(a)はサーボ信号検査部の構成を示す模式図、(b)は演算処理回路を示す模式図である。
【図3】(a)は、サーボトラックを示す模式図、(b)は、タイミングベースドサーボ信号のサーボパターンを示す図、(c)はパルスピークの時間間隔を説明する図である。
【図4】サーボ信号のパルスピークと基準クロックとの関係を示す図である。
【図5】第1実施形態におけるパルスピークの算出方法を説明する図である。
【図6】第2実施形態におけるパルスピークの算出方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0029】
15b サンプリング回路
15c 基準クロック回路
15d A/D変換回路
15e 演算処理回路
16 データ処理回路
17 時間間隔計測回路
Q 交点
G 重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気テープに書き込まれたサーボ信号を読み取るサーボ信号検査ヘッドと、読み取られたサーボ信号の品質を検査するサーボ信号検査部とを備えるサーボ信号検査装置であって、
前記サーボ信号検査部は、前記読み取られたサーボ信号から少なくとも一つのパルスピークAとそのパルスピークAに対応する所定のパルスピークBの間の時間間隔を計測する時間間隔計測手段と、計測されたパルスピークAとパルスピークBの間の時間間隔からサーボ信号の品質を評価するサーボ信号評価手段とを備え、
前記サーボ信号検査部は、前記パルスピークA,Bを求めるに際して、基準クロック信号に基づいて逐次測定される前記サーボ信号をA/D変換して求められるサンプリングピークのピーク強度を時系列で配列して、N−2番目、N−1番目、N番目およびN+1番目(Nは1以上の整数)のサンプリングピークに対して、時間およびピーク強度をそれぞれX軸およびY軸として各サンプリングピークを示す2次元平面において、
前記N−2番目のサンプリングピークと前記N−1番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−2,N−1)と、前記N−1番目のサンプリングピークと前記N番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−1,N)とで挟まれる角αをP等分(P:2以上の整数)し、前記直線L(N−1,N)に対して角度nα/P(1≦n≦Pの整数)の方向で前記N−1番目のサンプリングピークを通る直線L(N−1/nP)と、
前記N番目のサンプリングピークと前記N+1番目のサンプリングピークを通る直線L(N,N+1)と、前記直線L(N−1,N)とで挟まれる角βをP等分し、前記直線L(N−1,N)に対して角度mβ/P(1≦m≦Pの整数)の方向で前記N番目のサンプリングピークを通る直線L(N/mP)とを求め、さらに、前記直線L(N−1/nP)と、前記直線L(N/mP)との交点Qを求め、その交点Qを新たなサンプリングピークとして、パルスピークの位置を求めるデータ処理部を備え、求められた新たなパルスピークの位置に基づいて前記時間間隔計測手段においてパルスピークの時間間隔を算出するようにしたことを特徴とするサーボ信号検査装置。
【請求項2】
前記Pが2であることを特徴とする請求項1に記載のサーボ信号検査装置。
【請求項3】
前記N番目のパルスピークとして、パルスピークの絶対値が最大のピーク強度を示すパルスピークを選択することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサーボ信号検査装置。
【請求項4】
磁気テープに書き込まれたサーボ信号を読み取り、読み取られたサーボ信号から少なくとも一つのパルスピークAとそのパルスピークAに対応する所定のパルスピークBの間の時間間隔を計測する時間間隔計測段階と、計測されたパルスピークAとパルスピークBの間の時間間隔からサーボ信号の品質を評価するサーボ信号評価手段とを含むサーボ信号検査工程を有するサーボ信号検査方法であって、
前記サーボ信号検査工程が、前記パルスピークA,Bを求めるに際して、基準クロック信号に基づいて逐次測定される前記サーボ信号をA/D変換して求められるサンプリングピークのピーク強度を時系列で配列して、N−2番目、N−1番目、N番目およびN+1番目(Nは1以上の整数)のサンプリングピークに対して、時間およびピーク強度をそれぞれX軸およびY軸として各サンプリングピークを示す2次元平面において、前記N−2番目のサンプリングピークと前記N−1番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−2,N−1)と、前記N−1番目のサンプリングピークと前記N番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−1,N)とで挟まれる角αをP等分(P:2以上の整数)し、前記直線L(N−1,N)に対して角度nα/P(1≦n≦Pの整数)の方向で前記N−1番目のサンプリングピークを通る直線L(N−1/nP)と、
前記N番目のサンプリングピークと前記N+1番目のサンプリングピークを通る直線L(N,N+1)と、前記直線L(N−1,N)とで挟まれる角βをP等分し、前記直線L(N−1,N)に対して角度mβ/P(1≦m≦Pの整数)の方向で前記N番目のサンプリングピークを通る直線L(N/mP)とを求め、さらに、前記直線L(N−1/nP)と、前記直線L(N/mP)との交点Qを求め、その交点Qを新たなサンプリングピークとして、パルスピークの位置を求め、新たなパルスピークの位置に基づいて前記時間間隔計測段階においてパルスピークの時間間隔を算出するようにしたことを特徴とするサーボ信号検査方法。
【請求項5】
磁気テープに書き込まれたサーボ信号を読み取るサーボ信号検査ヘッドと、読み取られたサーボ信号の品質を検査するサーボ信号検査部とを備えるサーボ信号検査装置であって、
前記サーボ信号検査部は、前記読み取られたサーボ信号から少なくとも一つのパルスピークAとそのパルスピークAに対応する所定のパルスピークBの間の時間間隔を計測する時間間隔計測手段と、計測されたパルスピークAとパルスピークBの間の時間間隔からサーボ信号の品質を評価するサーボ信号評価手段とを備え、
前記サーボ信号検査部は、前記パルスピークA,Bを求めるに際して、基準クロック信号に基づいて逐次測定される前記サーボ信号をA/D変換して求められるサンプリングピークのピーク強度を時系列で配列して、N−1番目、N番目およびN+1番目(Nは1以上の整数)のサンプリングピークに対して、時間およびピーク強度をそれぞれX軸およびY軸として各サンプリングピークを示す2次元平面において、
前記N−2番目のサンプリングピークと前記N−1番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−2,N−1)と、前記N−1番目のサンプリングピークと前記N番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−1,N)と、前記N番目のサンプリングピークと前記N+1番目のサンプリングピークを通る直線L(N,N+1)とを求め、
前記直線L(N−2,N−1)と、前記直線L(N−1,N)と、前記直線L(N,N+1)とで囲まれる三角形の重心Gを求め、その重心Gを新たなサンプリングピークとして、パルスピークの位置を求めるデータ処理部を備え、求められた新たなパルスピークの位置に基づいて前記時間間隔計測手段においてパルスピークの時間間隔を算出するようにしたことを特徴とするサーボ信号検査装置。
【請求項6】
磁気テープに書き込まれたサーボ信号を読み取り、読み取られたサーボ信号から少なくとも一つのパルスピークAとそのパルスピークAに対応する所定のパルスピークBの間の時間間隔を計測する時間間隔計測段階と、計測されたパルスピークAとパルスピークBの間の時間間隔からサーボ信号の品質を評価するサーボ信号評価手段とを含むサーボ信号検査工程を有するサーボ信号検査方法であって、
前記サーボ信号検査工程が、前記パルスピークA,Bを求めるに際して、基準クロック信号に基づいて逐次測定される前記サーボ信号をA/D変換して求められるサンプリングピークのピーク強度を時系列で配列して、N−2番目、N−1番目、N番目およびN+1番目(Nは1以上の整数)のサンプリングピークに対して、時間およびピーク強度をそれぞれX軸およびY軸として各サンプリングピークを示す2次元平面において、
前記N−2番目のサンプリングピークと前記N−1番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−2,N−1)と、前記N−1番目のサンプリングピークと前記N番目のサンプリングピークとを通る直線L(N−1,N)と、前記N番目のサンプリングピークと前記N+1番目のサンプリングピークを通る直線L(N,N+1)とを求め、
前記直線L(N−2,N−1)と、前記直線L(N−1,N)と、前記直線L(N,N+1)とで囲まれる三角形の重心Gを求め、その重心Gを新たなサンプリングピークとして、パルスピークの位置を求め、新たなパルスピークの位置に基づいて前記時間間隔計測段階においてパルスピークの時間間隔を算出するようにしたことを特徴とするサーボ信号検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−147017(P2006−147017A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333831(P2004−333831)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】