説明

サーマルプリンタユニット

【課題】受容紙の厚さや剛性に関わらず、高い画質で印刷を行うこと。
【解決手段】ヘッド53と、ヘッド53に対向配置されたプラテンローラ62と、ヘッド53とプラテンローラ62との間に熱転写リボンRと受容紙Pを加圧挟持し、ヘッド53を固定する支持部材41と、ヘッド53とプラテンローラ62とにより、熱転写リボンRと受容紙Pを搬送する搬送機構70と、支持部材41が、ヘッド53の用紙搬送方向への移動を防止する係合溝42aと、ヘッド53のプラテンローラ62の回転に伴い、ヘッド53の回転方向への移動を防止する保持部44とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POS、ECR、バーコード印刷、計量器等に使用されるサーマルプリンタユニットに関し、特に印字品質を向上させることができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタユニットは、サーマルプリンタの要部を構成する機構である。サーマルプリンタユニットは、サーマルヘッドとプラテンローラとの位置関係が印字品質に大きな影響を及ぼすことが知られている。したがって、サーマルヘッドとプラテンローラとの位置関係は重要であり、一般的には調節機構又は、未調節でも適正な位置関係が得られるような機構が設けられている。
【0003】
しかしながら、プラテンローラによって受容紙(用紙)が搬送されると、プラテンローラに対するサーマルヘッドの位置が用紙搬送方向に移動するという問題がある。このため、用紙搬送方向に対して、サーマルヘッドが移動しないように、プラテンローラの軸にサーマルヘッドが取り付けられている部材の一部が噛み合う搬送方向に対するサーマルヘッドの移動を防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2762045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したサーマルヘッド移動防止方法では、次のような問題があった。すなわち、サーマルヘッドTと前記プラテンローラの頂点の間で感熱紙又は熱転写リボンと受容紙を加圧挟持し、かつ感熱紙又は受容紙Wの供給方向が水平方向である場合には、図13に示すように回転方向への力F2によって、サーマルヘッドTは力F1を受ける。しかし、高い印字品質を得るためには、サーマルヘッドTと前記プラテンローラが、プラテンローラの頂点より離れた位置で感熱紙又は熱転写リボンと受容紙を加圧挟持する場合がある。また、感熱紙又は受容紙Wが、図13に示すように下方から供給された場合には、サーマルヘッドTは回転方向への力F3を受ける。そのため、サーマルヘッドTは回転方向に移動し、サーマルヘッドTとプラテンローラEとの相対位置が変わり、画質低下が生じる虞があった。更に、上述したサーマルヘッド移動防止方法では、次のような問題があった。すなわち、受容紙は、タグ(例えば厚さ160μm、剛性78mm)やラベル(厚さ150μm、剛性39mm)のように種類が異なる場合、その厚さや剛性が異なるため、サーマルヘッドが受容紙から受ける前記回転方向への力3が異なる。そのため、厚さや剛性が異なる受容紙毎に、初期設定したサーマルヘッドTとプラテンローラEとの相対位置の変化量が異なる。そのため、感熱紙又は受容紙に印字する時に、サーマルヘッドTとプラテンローラとの相対位置関係を最適に保つためには、前記相対位置の変化量を考慮してサーマルヘッドTとプラテンローラEとの相対位置が最適になるように位置調整機構によって位置調整を行う必要があった。しかも、それぞれの感熱紙又は受容紙の種類毎に設定し直す必要があった。
【0006】
更に、前記プラテンローラの駆動部が左右どちらか片側だけにある場合、駆動遅れや加圧バランスにより、サーマルヘッドの左右でねじれの現象が発生する場合がある。
【0007】
そこで本発明は、受容紙の厚さや剛性に関わらず、高い画質で印刷を行うことができるサーマルプリンタユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明のサーマルプリンタユニットは次のように構成されている。
【0009】
サーマルヘッドと、このサーマルヘッドに対向配置されたプラテンローラと、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの間に感熱紙又は熱転写リボンと受容紙を挟持し、前記サーマルヘッドを固定する固定手段と、この固定手段に設けられ、前記サーマルヘッドの用紙搬送方向への移動を防止するサーマルヘッド移動防止手段と、前記固定手段に設けられ、前記サーマルヘッドの前記プラテンローラの回転に伴い、前記サーマルヘッドの回転方向への移動を防止するサーマルヘッド回転防止手段とを備えていることを特徴とする。
【0010】
サーマルヘッドと、このサーマルヘッドに対向配置されたプラテンローラと、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの間に感熱紙又は熱転写リボンと受容紙を加圧挟持し、前記サーマルヘッドを固定する固定手段と、この固定手段が、前記サーマルヘッドの用紙搬送方向への移動を防止するサーマルヘッド移動防止手段と、前記サーマルヘッドの前記プラテンローラの回転に伴い、前記サーマルヘッドの用紙搬送方向に対して垂直の向きへの変動を抑止するサーマルヘッド垂直方向移動抑止手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
サーマルヘッドと、このサーマルヘッドに対向配置されたプラテンローラと、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの間に感熱紙又は熱転写リボンと受容紙を加圧挟持し、前記サーマルヘッドを固定する固定手段と、この固定手段が、前記サーマルヘッドの用紙搬送方向への移動を防止するサーマルヘッド移動防止手段と、前記サーマルヘッドの前記プラテンローラの回転に伴い、前記サーマルヘッドの回転方向への移動を防止するサーマルヘッド回転防止手段と、プラテンローラの駆動部が左右どちらか片側に設けることに伴い、前記サーマルヘッドのねじれを防止するねじれ防止手段とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、受容紙の厚さや剛性に関わらず、高い画質で印刷を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るサーマルプリンタユニットが組み込まれたサーマルプリンタを模式的に示す縦断面図。
【図2】同サーマルプリンタユニットの要部を図3中X−Xの位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図3】同サーマルプリンタユニットに組み込まれた支持部材を示す図であって、(a)は正面図、(b)はX−Xの位置で切断して矢印方向に見た断面図。
【図4】同サーマルプリンタユニットに組み込まれたサーマルプリンタヘッド部及びプラテンローラ部を示す斜視図。
【図5】同サーマルプリンタヘッド部に組み込まれたヘッド取付軸の要部を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図。
【図6】同サーマルプリンタユニットの変形例を示す説明図。
【図7】同サーマルプリンタユニットの変形例を示す説明図。
【図8】同変形例の要部を示す斜視図。
【図9】同サーマルプリンタユニットの変形例を示す斜視図。
【図10】同変形例の要部を示す側面図。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るサーマルプリンタユニットが組み込まれたサーマルプリンタの要部を示す正面図。
【図12】同要部を開いた状態で示す側面図。
【図13】同要部を閉じた状態で示す側面図。
【図14】サーマルプリンタユニットの課題を示す説明図。
【図15】ヘッド取付ブラケットの変形例を示す説明図。
【図16】同サーマルプリンタユニットを示す図であって、(a)は側面図、(b)はプラテンローラの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るサーマルプリンタユニット40が組み込まれたサーマルプリンタ10を模式的に示す縦断面図、図2は要部を示す断面図、図3はサーマルプリンタユニット40に組み込まれた支持部材41を示す図であって、(a)は正面図、(b)はX−Xの位置で切断して矢印方向に見た断面図、図4はサーマルプリンタユニット40に組み込まれたサーマルプリンタヘッド部50及びプラテンローラ部60を示す斜視図、図5はサーマルプリンタヘッド部50に組み込まれたヘッド取付軸51の要部を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。なお、図1中Pは受容紙、Qは受容紙ロール、Rはリボンを示している。
【0015】
サーマルプリンタ10は、筐体11を備えており、各機構を収容する筐体本体12と、この筐体本体12に対して開閉自在に設けられた開閉蓋13とを備えている。
【0016】
筐体11内には、受容紙Pを巻回した受容紙ロールQを回転自在に支持し、受容紙Pを供給する受容紙供給部20と、リボンRを供給・巻取を行うリボン供給機構30と、受容紙P及びリボンRを搬送する搬送機構70と、供給されたリボンRを受容紙Pに熱転写するサーマルプリンタユニット40が収容されている。
【0017】
受容紙供給部20は、受容紙ロールQを保持するとともに送り出すロール保持部21と、受容紙ガイド部材22とを備えている。
【0018】
リボン供給機構30は、リボンRを供給する供給ローラ31と、リボンRを巻き取る巻取ローラ32とを備え、供給ローラ31と巻取ローラ32の周速度を調整しながら適正な張力でリボンRをサーマルプリンタユニット40に供給する機能を有している。
【0019】
サーマルプリンタユニット40は、後述するヘッド取付軸51及びプラテンローラ軸61を支持する一対の支持部材41と、サーマルヘッド部50と、サーマルヘッド部50に対向して配置されたプラテンローラ部60を備えている。
【0020】
支持部材41は、図2及び図3に示すように、ヘッド取付軸(サーマルヘッド軸支部材)51を係合させる係合溝(サーマルヘッド移動防止手段)42a及びプラテンローラ軸61が挿入される挿入孔42bを有する支持板42と、この支持板42と平行に一体的に設けられた後側支持板43と、この後側支持板43の上部に設けられ、挿入孔42aに挿脱可能な保持部44とを備えている。保持部44と後側支持板43との間には、保持部44をヘッド取付軸51側に付勢する圧縮バネ45が取り付けられている。保持部44の先端(係止部)44aは断面矩形状に形成されている。
【0021】
サーマルヘッド部50は、ヘッド取付軸51と、このヘッド取付軸51に取り付けられたヘッド取付ブラケット52と、このヘッド取付ブラケット52に取り付けられたヘッド53と、このヘッド53の先端に設けられた発熱体54とを備えている。したがって、ヘッド取付軸51はヘッド53を軸支している。ここで、ヘッド取付軸51、このヘッド取付軸51に取り付けられたヘッド取付ブラケット52、ヘッド取付軸51及びプラテンローラ軸61を支持する一対の支持部材41はサーマルヘッドを固定する固定手段を形成する。
【0022】
ヘッド取付軸51は、図5の(a),(b)に示すように、ヘッド取付軸51の回転軸を含む軸面に対し平行な矩形状の切り溝穴(係合部)51aが設けられ、この切り溝穴51aには前述した保持部44の先端44aが嵌合できる。ヘッド取付軸51に設けられ、ヘッド取付軸51の軸方向に矩形形状に設けられた切り溝穴51aと、プラテンローラ軸61が挿入される挿入孔42aを有する支持板42と、この支持板42の前記挿入孔42aより上部に設けられ、ヘッド取付軸51を係合させる係合溝42aと、前記係合溝42aに係合されたヘッド取付軸51の切り溝穴51aに挿入される保持部44とが、サーマルヘッド回転防止手段及びサーマルヘッド移動防止手段及びサーマルヘッド垂直移動防止手段を構成する。
【0023】
すなわち、保持部44の先端44aがヘッド取付軸51の切り溝穴51aに挿入され、係合されると、切り溝穴51aは先端44aを図5の(a)中上下左右方向に拘束する。また、先端44a及び切り溝穴51aは共に矩形状であるため、ヘッド取付軸51は回転方向に係止され、ヘッド取付軸51を介してヘッド53は回転が規制される。同時に図5の(a)中左右方向についても係止され、ヘッド取付軸51を介してヘッド53の用紙搬送方向への移動も規制される。さらに、同時に図5の(a)中上下方向(垂直方向)についても係止され、ヘッド取付軸51を介してヘッド53の移動も規制される。
【0024】
プラテンローラ部60は、プラテンローラ軸61と、このプラテンローラ軸61に取り付けられたプラテンローラ62とを備えている。
【0025】
また、ヘッド取付軸51の切り溝穴51aに嵌合するように挿入される保持部44の先端44aと、プラテンローラ軸61が挿入される支持部材41の挿入孔42bとの相対位置関係は、ヘッド53とプラテンローラ部との相対位置関係が最適な位置関係になるように設定されている。すなわちヘッド53とプラテンローラ62とのあたり位置や角度を決めている。
【0026】
また、例えば図1のヘッド取付けブラケット52上部にバネ機構を設けて(図視せず)、そのバネの反発力を用いて、ヘッド取付けブラケット52を加圧する。これにより、前記固定手段によってサーマルヘッド53とプラテンローラ60との間で狭持された感熱紙又は熱転写リボンと受容紙を、プラテンローラ60の方向に加圧する。
【0027】
サーマルプリンタユニット40は、次のようにして組み立てられる。すなわち、プラテンローラ軸61の支持部材41の挿入孔42bにベアリングを装着し、そこにプラテンローラ軸61を挿入し、次に、保持部44を図2中右方向に押して保持部44を挿入孔42aから脱しさせ、ヘッド取付軸51を支持部材41の係合溝42aに挿入する。このとき、保持部44の先端44aがヘッド取付軸51の切り溝穴51aに嵌合するように挿入する。その後、保持部44は、ヘッド取付軸51側に付勢する圧縮バネ45によって、挿入孔42aに挿入された状態で保持される。
【0028】
このようにして組み立てられたサーマルプリンタ10では、次のようにして印刷が行われる。外部からの印刷指令が入力されると、駆動モータ(不図示)により、プラテンローラ60が駆動され、受容紙Pを搬送機構70まで供給する。搬送機構70は受容紙P及びリボンRをサーマルプリンタユニット40まで供給する。サーマルプリンタユニット40では、ヘッド53とプラテンローラ62との間に受容紙PとリボンRが挟持され、発熱体54が発熱することにより受容紙Pへの印刷が行われる。
【0029】
印刷時に、ヘッド53とプラテンローラ62との間にリボンRとともに挟持された受容紙Pが、プラテンローラ62の回転によって搬送される際に、受容紙Pの剛性により、ヘッド53に図13に示したような力F3が加わり、ヘッド取付軸51を回転軸とした回転する可能性が生じる。しかし、サーマルヘッド回転防止手段によって、ヘッド取付軸51の回転方向への移動が防止される。さらに、サーマルヘッド移動防止手段によって、ヘッド取付軸51の受容紙搬送方向への移動が防止される。さらに、サーマルヘッド垂直移動防止手段によって、プラテンローラ62に対して垂直方向へのヘッド取付軸51の移動が防止される。そのため、ヘッド53とプラテンローラ部との相対位置関係が保たれ、ヘッド53とプラテンローラ62とのあたり位置や角度や圧力が変化しない。したがって、印字の高画質化を図ることができる。
【0030】
上述したように、本実施の形態に係るサーマルプリンタ10によれば、サーマルプリンタユニット40において、受容紙Pの印刷を行う際に、受容紙Pの厚さや剛性に関わらず、印刷の高画質化を図ることが可能となる。
【0031】
図6は上述したサーマルプリンタユニット40の変形例に係るサーマルプリンタユニット40Aを模式的に示す側面図である。図6において図1と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0032】
サーマルプリンタユニット40Aは、支持固定部材80を備えている。支持固定部材80は、支持部材41を保持する本体部81と、この本体部81に対して蝶番82を介して開閉可能に設けられ、サーマルヘッド部50を支持する蓋部83とを備えている。すなわち、プラテンローラ62を支持する支持部材41と、ヘッド53を支持するサーマルヘッド部50とは共通の支持固定部材80によって結合されていることとなる。
【0033】
このように構成されたサーマルプリンタ10Aでは、支持固定部材80を備えているため、組立メカ公差や許容誤差を低減し、ヘッド53とプラテンローラ62との位置関係を一定範囲内に制限することができ、さらに、印字の高画質化が可能となる。
【0034】
図7は上述したサーマルプリンタユニット40の変形例に係るサーマルプリンタユニット40Bの要部を示す断面図、図8は同要部を拡大して示す斜視図である。図7,8において図1と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0035】
サーマルプリンタユニット40Bでは、ヘッド取付軸51の回転軸を含む軸面に平行な平面を有する係合部51bが設けられている。また、保持部44に係合部51bと面接触する係止部44bが形成されている。ヘッド取付軸51に設けられ、ヘッド取付軸51の回転軸を含む軸面に平行な平面を有する係合部51bと、プラテンローラ軸61が挿入される挿入孔42bを有した支持板42と、この支持板42の、前記挿入孔42bより上部に設けられ、ヘッド取付軸51を係合させる係合溝42aと、前記係合溝42aに係合されたヘッド取付軸51に設けられた係合部51bと面接触をする係止部44bを有する保持部44とが、サーマルヘッド回転防止手段及びサーマルヘッド垂直移動防止手段を構成する。これにより、保持部44に対してヘッド取付軸51の回転移動及び垂直方向及び用紙搬送方向の移動が防止される。
【0036】
すなわち、保持部44の係止部44bがヘッド取付軸51の係合部51bに面接触すると、先端44aと係合部51bが図7中上下方向に係合する。固定された係止部44bは係合部51bに対し矩形状の面で接触しているため、ヘッド取付軸51は回転方向に係止され、ヘッド取付軸51を介してヘッド53は回転が規制される。同時に図7中上下方向(垂直方向)についても係止され、ヘッド取付軸51を介してヘッド53の移動も規制される。
【0037】
本実施の形態においても、上述したサーマルプリンタユニット40と同様の効果を得ることができる。
【0038】
図9は上述したサーマルプリンタユニット40の変形例に係るサーマルプリンタユニット40Cを模式的に示す斜視図、図10は側面図である。なお、図9,10において図1と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0039】
サーマルプリンタユニット40Cでは、ヘッド取付軸51の代わりに、断面視で下側が半円状及び上側が矩形状に形成されたヘッド取付軸51Aが設けられている。ヘッド取付軸51と後述する係合溝42cとの接触面を係合面51cとする。また、プラテンローラ軸61を支持する支持部材41の支持板42には、係合溝42aの代わりに係合溝42cが設けられている。また、ヘッド取付軸51Aの最大径と係合溝42cの幅がほぼ同じに形成されている。これにより、係合溝42cに対してヘッド取付軸51Aの回転移動及び用紙搬送方向の移動が防止される。そのため、ヘッド53とプラテンローラ部との相対位置関係が保たれ、ヘッド53とプラテンローラ62とのあたり位置や角度が変化しない。したがって、印字の高画質化を図ることができる。
【0040】
図11は本発明の第2の実施の形態に係るサーマルプリンタユニット90の要部を模式的に示す正面図、図12は同要部を開いた状態で示す側面図、図13は同要部を閉じた状態で示す側面図である。なお、図11〜13において図1と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0041】
サーマルプリンタ10の開閉蓋13の下面に、上側支持部材92を開閉蓋13に取り付ける取付け部材91が設けられている。そして、この取付け部材91に上側支持部材92が取り付けられている。取付け部材91を介して、開閉蓋13から吊り下げられた上側支持部材92の図12中下側には、下向きに開口した係合溝93が設けられている。開閉蓋13を閉じた状態で、上側支持部材92の係合溝93と支持部材42の係合溝42aとで、サーマルヘッド部50のヘッド取付軸51が挟持される。開閉蓋13に設けられた取付け部材91と取付け部材91に取り付けられた上側支持部材92の下側に設けられた、下向きに開口し、ヘッド取付軸51を係合させるための係合溝93と、プラテンローラ軸61が挿入される挿入孔42bを有した支持板42と、この支持板42の、前記挿入孔42より上部に設けられ、ヘッド取付軸51を係合させるための係合溝42aとがサーマルヘッド移動防止手段及びサーマルヘッド垂直移動防止手段を構成する。このため、ヘッド取付軸51の受容紙搬送方向への移動及びプラテンローラ60に対して垂直方向への移動が規制される。
【0042】
すなわち、ヘッド取付軸51が係合溝42aと係合溝93との間に挟持されると、係合溝42a及び係合溝93はヘッド取付軸51を図13中上下左右方向に拘束する。したがって、図13中左右方向についても係止され、ヘッド取付軸51を介してヘッド53の用紙搬送方向への移動も規制される。さらに、同時に図13中上下方向(垂直方向)についても係止され、ヘッド取付軸51を介してヘッド53の移動も規制される。
【0043】
このようなサーマルプリンタユニット90が組み立てられたサーマルプリンタ10においては、次のようにして印刷が行われる。外部からの印刷指令が入力されると、駆動モータ(不図示)により、プラテンローラ60が駆動され、受容紙Pをサーマルプリンタユニット90まで供給する。サーマルプリンタユニット90では、ヘッド53とプラテンローラ62との間に受容紙PとリボンRが挟持され、発熱体54が発熱することにより受容紙Pへの印刷が行われる。
【0044】
このとき、受容紙Pの剛性により、ヘッド53に図14に示したような力F3が加わるが、ヘッド取付軸51は上方向及び用紙搬送方向への移動が防止される。したがって、ヘッド53とプラテンローラ部との相対位置関係が保持できる。そのため、ヘッド53とプラテンローラ部との相対位置関係が保たれ、ヘッド53とプラテンローラ62とのあたり位置や圧力が変化しない。したがって、印字の高画質化を図ることができる。
【0045】
上述したように、本実施の形態に係るサーマルプリンタユニット40によれば、受容紙Pの印刷を行う際に、受容紙Pの厚さや剛性に関わらず、印刷の高画質化を図ることが可能となる。
【0046】
図15は上述した各サーマルプリンタユニット40,40A〜40C,90に組み込まれたヘッド取付ブラケット52の変形例を示す斜視図、図16は同サーマルプリンタユニット40,40A〜40C,90を示す図であって、(a)は側面図、(b)はプラテンローラ部60の正面図である。なお、図15及び図16において図1と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
ヘッド取付ブラケット52は、4つの前記ヘッド取付軸51Aが設けてある。また、前記ヘッド取付ブラケット52は上部からの加圧によって支持部材41へ誘導される。その際、前記ヘッド取付軸51Aは支持部材41に設けてある係合溝42aに挿入する。これにより、前記ヘッド取付ブラケット52は4点支持固定となり、用紙搬送方向への移動防止及び回転、ねじれ方向への移動を抑制する。さらに前記支持部材41にはプラテンローラ軸61が挿入される挿入孔42bが設けてある。前記支持部材41の前記挿入孔42bとの相対位置関係は、ヘッド53とプラテンローラ部との相対位置関係が最適となるよう設定されている。すなわち前記ヘッド53とプラテンローラ62とのあたり位置や角度を決めている。前記4点支持固定にすることにより、更なる印字の高画質化を図ることができる。
【0048】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
10…サーマルプリンタ、12…筐体本体、13…開閉蓋、20…受容紙供給部、30…リボン供給機構、40,40A〜40C,90…サーマルプリンタユニット、41…支持部材、42…支持板、50…サーマルヘッド部、51…ヘッド取付軸、53…ヘッド、54…発熱体、60…プラテンローラ部、61…プラテンローラ軸、62…プラテンローラ、70…搬送機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドと、
このサーマルヘッドに対向配置されたプラテンローラと、
前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの間に感熱紙又は熱転写リボンと受容紙を挟持し、前記サーマルヘッドを固定する固定手段と、
この固定手段に設けられ、前記サーマルヘッドの用紙搬送方向への移動を防止するサーマルヘッド移動防止手段と、
前記固定手段に設けられ、前記サーマルヘッドの前記プラテンローラの回転に伴い、前記サーマルヘッドの回転方向への移動を防止するサーマルヘッド回転防止手段とを備えていることを特徴とするサーマルプリンタユニット。
【請求項2】
前記固定手段は、前記プラテンローラを支持する支持部材を含み、前記支持部材に前記サーマルヘッド移動防止手段と前記サーマルヘッド回転防止手段とが設けられていることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタユニット。
【請求項3】
前記固定手段は、前記サーマルヘッドを軸支するサーマルヘッド軸支部材と前記サーマルヘッド軸支部材及び前記プラテンローラを支持する支持部材を含み、前記サーマルヘッド回転防止手段は、前記サーマルヘッド軸支部材の端面に設けられ、その軸面と平行な平面を有する切り溝穴と、前記支持部材に設けられるとともに、前記切り溝穴に嵌合される係止部とを具備することを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタユニット。
【請求項4】
前記固定手段は、前記サーマルヘッドを軸支する断面円形のサーマルヘッド軸支部材と前記サーマルヘッド軸支部材及び前記プラテンローラを支持する支持部材を含み、前記サーマルヘッド回転防止手段は、前記サーマルヘッド軸支部材に設けられ、その軸面に平行な平面を有する係合部と、前記支持部材に設けられるとともに、前記係合部に対向配置された前記軸面に平行な平面を有する係止部とを具備することを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタユニット。
【請求項5】
前記固定手段は、前記サーマルヘッドを軸支するとともにプラテンローラの回転軸及び用紙搬送方向に直交する向きの係合面を有するサーマルヘッド軸支部材と前記サーマルヘッド軸支部材及び前記プラテンローラを支持する支持部材を含み、前記サーマルヘッド回転防止手段は、前記サーマルヘッド軸支部材と、前記支持部材に設けられるとともに、前記サーマルヘッド軸支部材の係合面が係合する係合溝とを具備することを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタユニット。
【請求項6】
前記固定手段は、前記サーマルヘッドを軸支する4つのサーマルヘッド軸支部材と前記サーマルヘッド軸支部材を支持する4点支持固定手段を含み、前記4点支持固定手段は、前記4つのサーマルヘッド軸支部材のねじれ防止手段を備えていることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のサーマルプリンタユニット。
【請求項7】
前記支持部材と、前記サーマルヘッドとは共通の支持固定部材によって結合されていることを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリンタユニット。
【請求項8】
サーマルヘッドと、
このサーマルヘッドに対向配置されたプラテンローラと、
前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの間に感熱紙又は熱転写リボンと受容紙を加圧挟持し、前記サーマルヘッドを固定する固定手段と、
この固定手段が、前記サーマルヘッドの用紙搬送方向への移動を防止するサーマルヘッド移動防止手段と、
前記サーマルヘッドの前記プラテンローラの回転に伴い、前記サーマルヘッドの用紙搬送方向に対して垂直な向きへの変動を防止するサーマルヘッド垂直方向移動防止手段とを備えていることを特徴とするサーマルプリンタユニット。
【請求項9】
前記固定手段は、前記プラテンローラを支持する支持部材を含み、前記支持部材に前記サーマルヘッド移動防止手段と前記サーマルヘッド垂直方向移動防止手段とが設けられていることを特徴とする請求項8に記載のサーマルプリンタユニット。
【請求項10】
前記サーマルヘッド垂直方向移動防止手段は、前記サーマルヘッドを軸支する軸を前記垂直な向きで、かつ、逆方向が開口した一対の支持部材によって挟持するものであることを特徴とする請求項8に記載のサーマルプリンタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−96548(P2012−96548A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−85(P2012−85)
【出願日】平成24年1月4日(2012.1.4)
【分割の表示】特願2007−205858(P2007−205858)の分割
【原出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】