サーマルプリンタ
【課題】粘着剤を塗布された印字媒体が収納部から繰出されて先端が印字部まで搬送されると、粘着剤が用紙搬送路に付着する。
【解決手段】サーマル用紙12の収納部、粘着剤を塗布された印字媒体12の収納部及び排出口を有する筐体と、給紙路17及び給紙路17を有する給紙部19と、給紙路17及び給紙路17の合流位置から用紙搬送方向下流側へサーマル用紙又は印字媒体を送る合流部20と、合流部20から排出口へ用紙搬送方向に用紙搬送し及びその逆方向の搬送を行う搬送機構21と、それぞれサーマル用紙11、印字媒体12に印字を行う印字部22と、印字部22及び合流部20の間に設けられ、サーマル用紙11及び印字媒体12間で共通の用紙搬送路24とを備え、用紙搬送路24及び給紙部の給紙路17には粘着量低減処理が施されたサーマルプリンタ10が提供される。
【解決手段】サーマル用紙12の収納部、粘着剤を塗布された印字媒体12の収納部及び排出口を有する筐体と、給紙路17及び給紙路17を有する給紙部19と、給紙路17及び給紙路17の合流位置から用紙搬送方向下流側へサーマル用紙又は印字媒体を送る合流部20と、合流部20から排出口へ用紙搬送方向に用紙搬送し及びその逆方向の搬送を行う搬送機構21と、それぞれサーマル用紙11、印字媒体12に印字を行う印字部22と、印字部22及び合流部20の間に設けられ、サーマル用紙11及び印字媒体12間で共通の用紙搬送路24とを備え、用紙搬送路24及び給紙部の給紙路17には粘着量低減処理が施されたサーマルプリンタ10が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態はサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、剥離紙上に仮着されたラベルのラベル面に各商品の情報をサーマルヘッドにより印字してシート材を搬送するサーマルプリンタが知られている(例えば特許文献1参照)。ロール紙の側面を規制する面にロール紙の側面との摩擦抵抗を小さくする非粘着処理を施したプリンタ(例えば特許文献2参照)や、カッタユニットの可動刃及び固定刃の先端部に非粘着のコーティングを施したプリンタ(例えば特許文献3参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−168193号公報
【特許文献2】特許第4685189号公報
【特許文献3】特開2010−179462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、剥離紙、粘着剤及びスタンプ用紙やラベル用紙から成るシール用紙が用紙収納部から繰出され、巻き終り側の先端が印字部まで搬送されると、粘着剤が用紙搬送路に付着することがある。例えば粘着剤の付着面が下方を向いたシール用紙が、上板及び下板から成る用紙搬送路を通過すると、下板の上面に粘着剤が付着する。搬送路幅方向で両端のガイド壁に粘着剤が付着することもある。粘着剤によってシール用紙は搬送面あるいは壁面にくっ付く。閉鎖された空間内でジャム(用紙詰まり)が発生する。狭い空間の搬送路からシール用紙を取除くことは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するため、一実施形態によれば、サーマル用紙の第1の収納部、表面及び裏面の少なくとも何れか一方に粘着剤を塗布された印字媒体の第2の収納部およびこれらのサーマル用紙及び印字媒体が排出される排出口を有する筐体と、この筐体の前記第1の収納部からの前記サーマル用紙を通過させる第1の給紙路および前記第2の収納部からの前記印字媒体を通過させる第2の給紙路を有する給紙部と、この給紙部に形成され、前記第1の給紙路および前記第2の給紙路の合流位置から用紙搬送方向下流側へ前記サーマル用紙又は前記印字媒体を送り出す合流部と、この合流部から前記排出口へ前記用紙搬送方向に前記サーマル用紙又は前記印字媒体を搬送し及びその逆方向の搬送を行う搬送機構と、この搬送機構が搬送する前記サーマル用紙および前記印字媒体に印字を行う少なくとも1つの印字部と、これらの印字部および前記合流部の間に設けられ、前記サーマル用紙および前記印字媒体間で共通の用紙搬送路と、を備え、この用紙搬送路および前記給紙部の前記第2の給紙路には、前記粘着剤の粘着量を低減させる粘着量低減処理が施されたことを特徴とするサーマルプリンタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一実施形態に係るサーマルプリンタの斜視図である。
【図2】一実施形態に係るサーマルプリンタの一側面図である。
【図3】一実施形態に係るサーマルプリンタの第1の給紙路及び第2の給紙路及び用紙搬送路を拡大して示す一側面図である。
【図4】一実施形態に係るサーマルプリンタによる粘着量低減処理を施された部分を示す図である。
【図5】一実施形態に係るサーマルプリンタの第2の給紙路の分解斜視図である。
【図6】一実施形態に係るサーマルプリンタのサーマル用紙及び印字媒体が装填されていない状態を示す斜視図である。
【図7】一実施形態に係るサーマルプリンタの給紙ユニット及び複数の印字部からなるユニットが開位置であるときの一側面図である。
【図8】一実施形態に係るサーマルプリンタの給紙ユニットの拡大斜視図である。
【図9】比較例に係るサーマルプリンタの同等箇所の拡大斜視図である。
【図10】(a)は一実施形態に係るサーマルプリンタにおけるトランスポート部の上面図であり、(b)は比較例に係るサーマルプリンタの同等箇所の上面図である。
【図11】(a)はシボパターンの一例を示す図であり、(b)はリブのパターンの一例を示す図であり、(c)はシボ及びリブを併せ持つパターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態に係るサーマルプリンタについて、図1乃至図11を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0008】
図1は一実施形態に係るサーマルプリンタの斜視図である。図2は一実施形態に係るサーマルプリンタの一側面図である。図3は一実施形態に係るサーマルプリンタの2本の給紙路及び用紙搬送路を拡大して示す一側面図である。これらの図中、同じ符号を有するものは互いに同じ要素を表す。
【0009】
サーマルプリンタ10(実施の形態に係るサーマルプリンタ)は、ロール状に巻回されたサーマル用紙11と、ロール状に巻回された感熱式のシール用紙12(印字媒体)と、サーマル用紙11用の第1のサーマルヘッドと、シール用紙12用の第2のサーマルヘッドとを有し、このサーマル用紙11又はシール用紙12を個別に引込み、各サーマルヘッドによりサーマル用紙11又はシール用紙12に熱を与えて発色印刷するプリンタである。
【0010】
サーマルプリンタ10は、サーマル用紙11の収納部13(第1の収納部)、シール用紙12の収納部14(第2の収納部)、及びこれらのサーマル用紙11及びシール用紙12の排出口15を有する筐体16と、サーマル用紙11を通過させる給紙路17(第1の給紙路)及びシール用紙12を通過させる給紙路18(第2の給紙路)を有する給紙部19と、給紙部19に形成されこれらの給紙路17、18の合流位置から用紙搬送方向下流側へサーマル用紙11又はシール用紙12を送り出す合流部20とを備えている。更にサーマルプリンタ10は、合流部20から排出口15へ用紙搬送方向にサーマル用紙11又はシール用紙12を搬送し及びその逆方向の搬送を行う搬送機構21と、搬送機構21が搬送するサーマル用紙11に印字を行う印字部22と、シール用紙12に印字を行う印字部23と、合流部20及び印字部23間に設けられサーマル用紙11及びシール用紙12間で共通の用紙搬送路24とを備えている。この用紙搬送路24及び給紙部19内の給紙路18には、テフロン(登録商標)コーティング(PTFE[ポリテトラフルオロエチレン]コーティング)によって粘着剤の粘着量を低減させる粘着量低減処理が施されている。
【0011】
サーマル用紙11は、片面上に感熱層が形成されており、この感熱面を外側、即ち上方側に向けた状態で給紙部19へ繰出されるようにされている。サーマル用紙11はレシート用紙として用いられる。シール用紙12は長尺状の剥離紙、この剥離紙の片面上に塗布された粘着剤の層、及びこの層を介して剥離紙の片面上に仮着した列状の被印字片から成る。シール用紙12は筒状のコアの外周面に巻回されている。被印字片とはシール式の切手(スタンプ用紙)や、荷物などに貼付される配送先等のラベル(ラベル用紙)を指す。スタンプ用紙又はラベル用紙としてのシール用紙は片面上に加熱によって発色する感熱層が形成されており、この感熱面が下方を向くようにして繰出される。収納部13はシャフト部25によりサーマル用紙11を保持する。収納部14は、コア部26によりシール用紙12を保持する。排出口15は用紙搬送路24の用紙搬送方向で下流側の端に位置する。筐体16はシャフト部25、コア部26を、これらを互いに平行にして側板間に掛け渡している。
【0012】
図4は粘着量低減処理を施された部分を示す図であり、同図には第1の給紙路17、第2の給紙路18及び用紙搬送路24が示されている。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。サーマル用紙11用の給紙路17は、上板17aと、この上板17aの下方に対向する下板17bとを有する。給紙路17は上板17aの下面と、下板17bの上面との間の空隙をサーマル用紙11に通過させる。上板17a、下板17bは例えば板金であり、板金が予め折り曲げ加工されることによってサーマル用紙11に対する傾斜面が与えられている。
【0013】
図5は第2の給紙路18の分解斜視図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。シール用紙12用の給紙路18は、互いに平行な一対の上板18a、18aと、これらの上板18aの下方に対向する下板18bと、この下板18bの上面上に施されたPTFEコーティング層27とを有する。一対の上板18a、18aは上側ペーパガイドである。下板18bは下側ペーパガイドである。2枚の上板18a及び1枚の下板18bは折り曲げ加工された板金であり、用紙傾斜面を形成している。上板18a、下板18bには屈曲形成された合成樹脂を用いてもよい。PTFEコーティング層27は、PTFE材を板金に付着させてから板金ごと焼成し、あるいはPTFEフイルムやPTFEシートを板金に貼ること等によって生成される。このPTFEコーティング層27を形成しておく処理が粘着量低減処理である。給紙路18はこのPTFEコーティング層27の上面と、2枚の上板18aの各下面との間の空隙をシール用紙12に通過させる。
【0014】
給紙部19(図2、図3等)は、それぞれ給紙路17、18を保持し、筐体16に対して回動可能な左右一対のフレーム28と、それぞれこれらのフレーム28の各外側面に固定された左右一対の板片29と、これらのフレーム28及び板片29の全てに軸受された軸受機構30とを備えている。左右とは用紙搬送方向で左方、右方を指す。フレーム28の外側面とは筐体16の側板側の面を指す。一対の板片29は一対のフレーム28とともに筐体16に対して回動する。各フレーム28には切欠き31が形成されており、左右の切欠き31は筐体16の側板に連なる壁の間に掛け渡されたシャフト32に嵌合する。各板片29の外側面にはケース33が取付けられており、このケース33及び板片29で囲まれた空間内に、モータ35のシャフトに連結されたギア列等が収められている。給紙路17、18、左右のフレーム28、板片29及び搬送機構21は一体化され、デュアルフィーダユニット(給紙ユニット)80を構成している。このデュアルフィーダユニット80は、サーマル用紙11及びシール用紙12の何れかを選択的に用紙搬送路24へ給紙する。デュアルフィーダユニット80は、軸受機構30の軸芯を回動支点として、このデュアルフィーダユニット80が筐体16に装着される位置と、筐体16から例えば45度の傾斜角をもって上方に引き起こされる位置とを取るようになっている。
【0015】
また、合流部20は、図4に示すように給紙路17の端部と、給紙路18の端部と、上段用紙搬送路34の一部とを含む空間である。デュアルフィーダユニット80の回動により給紙路17、18がともに上方に持ち上げられると、これらの給紙路17、18は上段用紙搬送路34から離れ、デュアルフィーダユニット80が筐体16に押込まれると、合流部20が形成されるようになっている。
【0016】
搬送機構21は、シール用紙12の搬送系として、モータ35と、ピンチローラ36と、給紙路18を挟んでピンチローラ36に対向する駆動ローラ37と、給紙路18よりもこの給紙路18外側に位置するガイドローラ38とを備えている。モータ35にはステッピングモータが用いられる。ピンチローラ36及び駆動ローラ37は軸シャフトに弾性部材を設けており、これらの弾性部材によりシール用紙12を挟持する。給紙路18には貫通孔39が形成されている。この貫通孔39を介して駆動ローラ37及びピンチローラ36は対面している。駆動ローラ37はケース33により覆われたギア列やクラッチなどにより駆動される。ガイドローラ38はシール用紙12を、このガイドローラ38の外周面と、給紙路18の上板18aの下面との間に導く。
【0017】
搬送機構21は、サーマル用紙11の搬送系として、他のモータと、ピンチローラ40と、給紙路17を挟んでこのピンチローラ40に対向する駆動ローラ41と、給紙路17よりもこの給紙路17の外側に位置するガイドローラ42とを備えている。ガイドローラ42は、自身の正方向の回転により、サーマル用紙11を、このガイドローラ42の外周面と、給紙路17の上板17aの下面との間に導く。
【0018】
印字部22は、図4に示すように、サーマル用紙11の感熱層に接するよう下方に向いて配置された第1のサーマルヘッド43と、このサーマルヘッド43にサーマル用紙11を挟んで対向するプラテンローラ44と、サーマルヘッド43をこのプラテンローラ44に向けて押圧する付勢手段45と、付勢手段45の一端に固定された台座46とを備えている。サーマルヘッド43は、それぞれ用紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に配列された複数の発熱素子を有する。印字部22は、印刷に必要な情報に応じてこれらの発熱素子から選択的に発熱素子を加熱してサーマル用紙11に印字を行う。プラテンローラ44は、ギア47、48を介してモータ49によって回転駆動される。プラテンローラ44は搬送機構21の要素としても機能する。
【0019】
印字部23は、シール用紙12の感熱層に接するよう上方に向いて配置された第2のサーマルヘッド50と、このサーマルヘッド50にシール用紙12を挟んで対向するプラテンローラ51と、サーマルヘッド50をこのプラテンローラ51に向けて押圧する付勢手段52と、付勢手段52の一端に固定された台座53とを備えている。サーマルヘッド50は、それぞれ主走査方向に配列された複数の発熱素子を有する。サーマルヘッド50は、印刷に必要な情報に応じてこれらの発熱素子から選択的に発熱素子を加熱してシール用紙12に印字を行う。プラテンローラ51は、ギア54等を介して他のモータによって回転駆動される。プラテンローラ51は搬送機構21の要素としても機能する。印字部22、23はヒートシンク55を設けてもよい。
【0020】
用紙搬送路24は、上段用紙搬送路34、中段用紙搬送路56、下段用紙搬送路57及び終段用紙搬送路66を有する。上段用紙搬送路34は、上板58、59及び下板60から成る。この下板60の上面がPTFEコーティングされている。中段用紙搬送路56は上板61、下板62から成り、この下板62の上面がPTFEコーティングされている。下段用紙搬送路57は上板63、下板64から成り、この下板64の上面がPTFEコーティングされている。つまり粘着量低減処理は用紙搬送路24の搬送面のうちの少なくともシール用紙12の通過側に施されている。
【0021】
また、給紙路17、18はデュアルフィーダユニット80と一体化されており筐体16に対して可動である。ギア47、48の各軸部、プラテンローラ44、上段用紙搬送路34の下板60、印字部23のサーマルヘッド50よりも下方の部材は筐体16内に保持され固定的である。ギア54、プラテンローラ51、印字部22のサーマルヘッド43よりも上方の部材、上段用紙搬送路34の上板58、59、中段用紙搬送路56、下段用紙搬送路57及び終段用紙搬送路66は筐体16に対して可動である。これらのギア54、プラテンローラ51、サーマルヘッド43よりも上方の印字部22、上板58、59、中段用紙搬送路56、下段用紙搬送路57及び終段用紙搬送路66はフレーム76に一体化され、シール用紙印字ユニット81を構成している。シール用紙印字ユニット81はシャフト32の軸芯を回動支点として、このシール用紙印字ユニット81が筐体16に装着される位置と、筐体16から例えば45度の傾斜角をもって上方に引き起こされる位置とを取るようになっている。
【0022】
サーマルプリンタ10(図2、図3)は更に、排出口15の排出側に設けられたカッタ65と、このカッタ65よりも搬送方向下流側に設けられた終段用紙搬送路66と、この終段用紙搬送路66に連続しカットされたサーマル用紙11又はシール用紙12を発行する橇状のトランスポート部67と、用紙搬送制御を行うコントローラ82とを備えている。カッタ65は終段用紙搬送路66とともにフレーム76内に設けられている。終段用紙搬送路66は上板66a、下板66bから成り、この下板66bの上面がPTFEコーティングされている。
【0023】
図10(a)はトランスポート部67の上面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。トランスポート部67は、排出口15の後段側に連続するプレート68と、プレート68上にサーマル用紙11又はシール用紙12をそのベルト面により押し付けつつ回転走行する無端状のベルト69と、ベルト69に駆動力を与える駆動ローラ70及び駆動ローラ70に連れ回る従動ローラ71を有し、サーマル用紙11又はシール用紙12の印字発行される方向にベルト69を走行させるモータ72とを備えている。プレート68のプレート上面はPTFEコーティングが施されている。ベルト69は、駆動ローラ70、従動ローラ71間では互いに逆方向に走行する上方、及び下方のベルト部分からなる。下方のベルト部分のベルト面がサーマル用紙11又はシール用紙12を搬送面上に押し付けている。モータ72はギア列とともにベルト駆動機構を構成している。更にトランスポート部67は、サーマル用紙11又はシート用紙12が通過する部分を空けて対向配置された板状の一対のガイド部77と、プレート68上にサーマル用紙11又はシール用紙12の通過面に敷いたシート部78とを備えてもよい。左右一対のガイド部77は上側ペーパガイドであり、上板18a、18aによる機能と同様に各下面が用紙に当たる。シート部78の下面はプレート面上に固定されており、シート部78の上面にPTFEコーティングが施されている。側板79はガイド部77を支持する。
【0024】
また、図3に戻ってコントローラ82はCPU、ROM、RAMを備える。コントローラ82は、それぞれサーマル用紙11及びシール用紙12が通過する位置に設けられた複数のセンサ73からの信号を収集し、ジャムの有無を検知するようにしている。各センサ73は遮光式のセンサである。センサ73は例えば、レーザダイオード、フォトダイオード、及び検知電流のオフオンに応じてコントローラ82へ用紙有り又は用紙無しを示す信号を通知する検知回路を備える。センサ73は、給紙路17、18、用紙搬送路24及びトランスポート部67に設けられている。板材やプレート材には開口が複数の箇所に形成されている。これらの開口により検知用の光ビームが送受信される。
【0025】
このような構成のサーマルプリンタ10は、サーマル用紙11及びシール用紙12がセットされる前、デュアルフィーダユニット80、シール用紙印字ユニット81を開位置にしている。
【0026】
図6はサーマル用紙11及びシール用紙12が装填されていない状態を示す斜視図である。図7はデュアルフィーダユニット80及びシール用紙印字ユニット81が開位置である場合のサーマルプリンタ10の一側面図である。これらの図中、既述の符号はそれらと同じ要素を表す。筐体16に人がサーマル用紙11とシール用紙12とを装着する。サーマル用紙11がシャフト部25に装着される。シール用紙12は、コア部26の外周面がシール用紙12のコア内筒面に接するようにしてシャフト部25に挿入される。コア部26はフランジ等によりシール用紙12の搬送路幅方向のずれを規制する。給紙路17、18、用紙搬送路24に粘着剤の残りなどの汚れが無いことを人が目視により判断した後、デュアルフィーダユニット80及びシール用紙印字ユニット81を閉じる。デュアルフィーダユニット80の切欠き31がシャフト32に嵌合する。シール用紙印字ユニット81のシャフト74が、筐体16側の切欠き75に嵌合する。人が収納部13、14からサーマル用紙11、シール用紙12を引出して、それぞれガイドローラ42、38に導く。このときの状態が図1に示されており、筐体16、シャフト部25、コア部26等によってデュアルホッパ部が構成される。コントローラ82はユーザ操作による印字指令を受けると、搬送機構21を駆動し始める。
【0027】
最初にシール用紙12へサーマルプリンタ10は印字する。例えば図3に示すように、コントローラ82は搬送機構21の正回転によりシール用紙12を合流部20に向かって給紙し、印刷されるべきラベル用紙が下方に向いた状態でこのシール用紙12を印字部23へ搬送する。図5に示すように、2枚の上板18aの外側の辺縁間の寸法Aはシール用紙12の用紙幅Cよりも大きい。この用紙幅Cはこれらの上板18aの内側の辺縁間の寸法Bよりも小さい。シール用紙12は上板18a間の空隙からはみ出さずに搬送される。シール用紙12の搬送中、コントローラ82は、サーマル用紙11を給紙路17上の待機位置に待機させ続ける。サーマル用紙11の位置が待機位置やシール用紙12が印刷開始位置であることをコントローラ82はそれぞれこれらの位置の近傍に設けられたセンサ73により検知する。コントローラ82はシール用紙12の印刷開始位置がサーマルヘッド50にかかったことを検知すると、印字部23に印刷を始めさせる。
【0028】
コントローラ82はシール印刷を終えると、シール用紙12を規定量搬送する。コントローラ82はカッタ65によりシール用紙12から一枚のラベル用紙片を切り離す。コントローラ82はトランスポート部67を起動する。トランスポート部67はラベル用紙片を発行口83から発行する。例えば配送業者が客から料金の支払いを受けて荷物の包装に貼るためのシール状のラベルが発行される。例えばシール式の郵便切手や、切手代や送料に代えて封筒等に貼られるスタンプが発行される。
【0029】
引き続き、コントローラ82は、切断後のシール用紙12を搬送機構21に逆方向搬送(バックフィード)させる。コントローラ82はセンサ73によりこのシール用紙12を規定量戻し、給紙路18上の待機位置に再度停止させる。給紙路17、用紙搬送路24及び終段用紙搬送路66のそれぞれ下側の板材の上面のPTFEコーティング層27により、このPTFEコーティング層27とシール用紙12との間の摺接時の摩擦抵抗力が小さくされる。PTFEコーティング層27により耐摩耗性を発揮しつつ用紙搬送が行われる。
【0030】
次に、サーマルプリンタ10は、サーマル用紙11に印字する。コントローラ82は搬送機構21の正回転によりサーマル用紙11を合流部20経由で用紙搬送路24へ引出す。感熱層を上方に向けた状態で搬送機構21はサーマル用紙11を印字部22へ送る。コントローラ82がサーマル用紙11の印刷開始位置がサーマルヘッド43にかかったことを検知すると、印字部22に印刷を始めさせる。コントローラ82は取引結果情報等をサーマル用紙11に印字する。コントローラ82は印刷後、サーマル用紙11を規定量搬送する。コントローラ82はカッタ65により、サーマル用紙11から一枚のレシート片を切り離す。トランスポート部67はレシート片を発行口83から発行する。取引結果情報等が印字されたレシートが発行される。コントローラ82は、切断後のサーマル用紙11を逆方向搬送する。コントローラ82はサーマル用紙11を規定量戻し、給紙路17上の待機位置に再度停止させる。
【0031】
またコントローラ82が搬送機構21に正逆方向の搬送や停止のシーケンスを実行させているときに、センサ73が用紙有りの信号を出力し続けるとする。コントローラ82ジャム処理の割込みを生成する。例えばサーマル用紙11やシール用紙12の切断端部にささくれ立ちが生じたときに、このささくれが搬送面の凹凸に引っ掛かってジャムが起きる。サーマルプリンタ10は、左右に配置した上板18a、18aの間に、指を差し入れるスペースを確保しており、デュアルフィーダユニット80を上方へ跳ね上げる。このスペースに人が指を入れることによってジャムを除去する。このスペースについて図8から図10を参照し、サーマルプリンタ10と、比較例とを比較して述べる。
【0032】
図8は一対の上板18a、18aを含むデュアルフィーダユニット80の拡大斜視図である。図9は比較例に係るサーマルプリンタの同等の箇所の拡大斜視図である。図8中、既述の符号はそれらと同じ要素を表す。図9中、既述の符号はそれらと同等の要素を表す。図9のガイド板101は上側ペーパガイドである。ガイド板101は、図8の上板18a、18aと異なり、左右に分割されていない一枚の板材である。比較例に係るサーマルプリンタが印字発行中に内部でジャムが起き、ラベル用紙が剥離紙から剥離したとする。ラベル用紙の粘着面がサーマルヘッド、プラテンローラや用紙の搬送路に張り付くことがある。あるいはラベル用紙の薄厚の用紙側面にはみ出した粘着剤によりサーマルヘッド、プラテンローラや用紙の搬送路に張り付くことがある。比較例に係るサーマルプリンタでは、ガイド板101が開口100を設けているにせよ、このガイド板101により搬送路の多くが遮られ、ラベル用紙を取る為の指の入る充分なスペースがない。ガイド板101及びこのガイド板101を含む給紙部が筐体16に固定的である。ジャムの解除及び清掃作業が非常に困難である。剥離紙を伴うシール用紙12を用いる場合、印字途中のジャムを簡単に解除することができる機構をプリンタ本体が有することがユーザにとって大切である。
【0033】
これに対して本実施形態では図8に示すように、サーマルプリンタ10がデュアルフィーダユニット80を、軸受機構30を支点にして上方に持ち上げ可能であり、指を差し入れるスペースが確保されている。用紙搬送路24の多くに指が遮られることなく接触可能になる。給紙路18の上板18aを露出させることができる。貫通孔39により、指の入るスペースを確保できる。シール用紙12からラベル用紙が剥離し、又はジャムが生じたとしても、このラベル用紙を取る為、あるいはジャムを除くためのスペースが生成され、ジャムの解除及び清掃作業を行いやすくなる。
【0034】
また、図10(b)は比較例に係るサーマルプリンタのトランスポート部の上面図である。同図中、既述の符号はそれらと同等の要素を表す。トランスポート部120は、上側ペーパガイドとして一枚のガイド板121を設けている。比較例に係るサーマルプリンタでは、このガイド板121により搬送路が遮られ、ジャムが生じた場合、ラベル用紙を取ることができない。これに対して本実施形態では、図10(a)に示すように、一対のガイド部77、77が上側ペーパガイドとして用紙通過部分を挟んで対峙しているため、万一ラベル用紙がシート部78に張り付いたとしてもこのラベル用紙を取り除くことができる。
【0035】
このように、給紙路18及び用紙搬送路24にPTFEコーティングを施し、シール用紙12がこれらの搬送面に張り付かないため、ジャムがサーマルプリンタ10内部で起こった場合でも容易にシール用紙12を取り払うことができる。通常の印刷にすばやく復帰できるようになる。
【0036】
給紙路18を左右の上板18a、18aに分割配置し、印刷媒体を容易に除去できる作業スペースを設けたため、スタンプ用紙やラベル用紙を排除する為の保守のアクセスエリアが設けることができる。デュアルフィーダユニット80、トランスポート部67において印字中に用紙搬送路24でジャムが起こった場合でも、印字時通常の印刷にすばやく復帰できることできるようになる。
【0037】
また、印字途中にジャムが起こって給紙路17や用紙搬送路24の搬送面(ペーパパス面)に印刷媒体が張り付いた場合でも、デュアルフィーダユニット80が45度以上開くことによってジャムした用紙を除去するための為の作業スペースを作ることができる。揺動角はデュアルフィーダユニット80と筐体16側とが接触するかどうか、当たるかどうか等により決まる。更にこの揺動角はデュアルフィーダユニット80と、筐体16の構造及び用紙搬送路24の形状との関係により決められる値であり、45度よりも広く又は狭くすることができる。何れの揺動角を採用しても容易に印刷媒体を除去することができる。デュアルフィーダユニット80を回動させることにより、印字部23にたとえスタンプ用紙やラベル用紙が付着したとしても、これらのスタンプ用紙やラベル用紙を排除する為の指を挿入してスタンプ用紙やラベル用紙に容易にアクセスすることができる。
【0038】
閉鎖された給紙空間や搬送空間内でジャムが発生すると、これらの空間から、特に粘着剤付きのシール用紙を取除くことは難しい。用紙搬送路24の周辺には搬送機構21やギア列、及び印字部22、23が設けられており、筐体16は内部に詰まった状態のシール用紙を取除くためのサイズが大きい開口を設けることができない。比較例に係るサーマルプリンタでは狭隘な空間からスタックしているシール用紙を除去するためには、最悪の場合、給紙部ユニットを分解して開けることを要する。サーマルプリンタ10によれば、このような不具合が起きることを防止できる。
【0039】
また、比較例ではジャムが発生しない状況が続いても、粘着剤が搬送面あるいは壁面に付着すると、シール用紙と搬送路との間に摩擦による接触抵抗が作用する。シール用紙が給紙される速度や搬送される速度が設定値よりも遅くなる。サーマルプリンタ10によれば、PTFEコーティングにより粘着量を低減させることができ、接触抵抗を実質発生させないようにできる。
【0040】
(第1の変形例)
実施の形態に係るサーマルプリンタは、コーティング材として、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、フェノール樹脂(PF)等の何れかを用いてもよい。これらのポリエーテルエーテルケトン等をコーティングすることにより、低摩擦、耐摩耗性を実現できる。
【0041】
(第2の変形例)
上記実施形態及び第1の変形例では、給紙路17、18、用紙搬送路24、及びプレート68の各搬送面にコーティング層27によりコーティングしていたが、これらの搬送面のシール用紙12と接する部位に表面仕上げ処理を施しても良い。
【0042】
図11(a)はシボパターンの一例を示す図である。実施の形態に係るサーマルプリンタは、例えば梨(ナシ)地模様のシボパターン84により給紙面、搬送面をシボ処理してもよい。このシボ処理によって搬送面、給紙路面と、シール用紙12の粘着面との間の接触抵抗が低減される。シボ加工は用紙搬送路24の搬送路幅方向の両端部に設けられたガイド壁面及び給紙路18の幅方向の両端部に設けられたガイド壁面に形成されてもよい。ガイド壁面はシート用紙12からはみ出た粘着剤による粘着量を低減させる。
【0043】
図11(b)はリブのパターンの一例を示す図である。実施の形態に係るサーマルプリンタは、リブ凸条を縦長に細くし、それ以外を平坦にしたリブパターン85を搬送面、給紙路面に形成してもよい。シボパターンやリブパターンは種々変更可能である。
【0044】
図11(c)はシボ及びリブを併せ持つパターンの一例を示す図である。実施の形態に係るサーマルプリンタは、リブ凸条が互いに斜行して交差する2種類のリブと、これらのリブの凸条部分に施したシボ処理とを組み合わせたパターン86を搬送面、給紙路面に形成してもよい。
【0045】
また、図11(a)から図11(c)の処理を、トランスポート部67のシート部78に加工してもよい。
【0046】
(その他)
上記実施形態では、サーマル用紙11及びシール用紙12の2種類の感熱層に対してそれぞれサーマルヘッド43、50が設けられていたが、実施の形態に係るサーマルプリンタは、単一のサーマルヘッドによりサーマル用紙11及びシール用紙12の双方の感熱層に熱を与えるようにもできる。一例として、サーマルヘッドを上方から下方へと付勢してこのサーマルヘッドよりも下方にプラテンローラを設けるとともに、サーマル用紙11の被印字面とシール用紙12の被印字面とが同一面、例えば下面を向くようにサーマル用紙11の巻芯部に対する当接面を上記例とは反対側に変えるようにする。単一のサーマルヘッドに対してサーマル用紙11の感熱層とシール用紙12の感熱層とを対向させることにより、1個のサーマルヘッド及びプラテンローラでレシート用紙及びスタンプ/ラベル用紙の発行が可能になる。
【0047】
また、実施の形態に係るサーマルプリンタは、例えば剥離紙無しのライナレスラベルのように、両面に粘着剤が付着し粘着領域が露出しているシール用紙を使うこともできる。この場合、給紙路18の上板18aの下面にも、PTFEコーティング、シボ加工あるいはリブ付きなどの粘着量低減処理を施すようにする。ライナレスラベルの薄厚の用紙側面からはみ出した粘着剤によりラベルが張り付かないように搬送路方向両側のガイド壁面に上記粘着量低減処理を施しても良い。
【0048】
また、実施の形態に係るサーマルプリンタはシール用紙12の代わりに、印字媒体としてRFID(Radio Frequency IDentification)ラベルを使うこともできる。
【0049】
尚、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば各図に示される給紙路17、18や用紙搬送路24を構成する上下板材の搬送方向に沿う板長さや、屈曲の度合い又は傾斜の大きさは種々変更可能である。筐体16の形状や、シャフトやローラの径及び軸位置、各プーリの径及び軸位置、あるいは搬送機構の構成要素の配置などは一例であり、これらは種々変形することが可能である。給紙路17、18や用紙搬送路24、筐体形状及びモータ位置などを変形して実施したに過ぎない実施品に対して本実施形態の優位性は何ら損なわれるものではない。
【0050】
実施の形態に係るサーマルプリンタは、シール用紙として、紙や合成樹脂製のシートの表面に印字され、裏面に粘着剤を塗布されたステッカー又はデカールを用いたり、あるいはシール用紙として、細線状又は帯状のテープを用いてもよい。これらの呼称の差異あるいは用紙幅の差異に過ぎない被印字片を使って実施したに過ぎない実施品に対しても本実施形態の優位性は何ら損なわれるものではない。
【0051】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
10…サーマルプリンタ、11…サーマル用紙、12…シール用紙(印字媒体)、13…収納部(第1の収納部)、14…収納部(第2の収納部)、15…排出口、16…筐体、17…給紙路(第1の給紙路)、17a…上板、17b…下板、18…給紙路(第2の給紙路)、18a…上板、18b…下板、19…給紙部、20…合流部、21…搬送機構、22,23…印字部、24…用紙搬送路、25…シャフト部、26…コア部、27…PTFEコーティング層、28…フレーム、29…板片、30…軸受機構、31…切欠き、32…シャフト、33…ケース、34…上段用紙搬送路、35…モータ、36…ピンチローラ、37…駆動ローラ、38…ガイドローラ、39…貫通孔、40…ピンチローラ、41…駆動ローラ、42…ガイドローラ、43…サーマルヘッド、44…プラテンローラ、45…付勢手段、46…台座、47,48…ギア、49…モータ、50…サーマルヘッド、51…プラテンローラ、52…付勢手段、53…台座、54…ギア、55…ヒートシンク、56…中段用紙搬送路、57…下段用紙搬送路、58,59…上板、60…下板、61…上板、62…下板、63…上板、64…下板、65…カッタ、66…終段用紙搬送路、66a…上板、66b…下板、67…トランスポート部、68…プレート、69…ベルト、70…駆動ローラ、71…従動ローラ、72…モータ、73…センサ、74…シャフト、75…切欠き、76…フレーム、77…ガイド部、78…シート部、79…側板、80…デュアルフィーダユニット(給紙ユニット)、81…シール用紙印字ユニット、82…コントローラ、83…発行口、84…シボパターン、85…リブパターン、86…パターン。
【技術分野】
【0001】
一実施形態はサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、剥離紙上に仮着されたラベルのラベル面に各商品の情報をサーマルヘッドにより印字してシート材を搬送するサーマルプリンタが知られている(例えば特許文献1参照)。ロール紙の側面を規制する面にロール紙の側面との摩擦抵抗を小さくする非粘着処理を施したプリンタ(例えば特許文献2参照)や、カッタユニットの可動刃及び固定刃の先端部に非粘着のコーティングを施したプリンタ(例えば特許文献3参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−168193号公報
【特許文献2】特許第4685189号公報
【特許文献3】特開2010−179462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、剥離紙、粘着剤及びスタンプ用紙やラベル用紙から成るシール用紙が用紙収納部から繰出され、巻き終り側の先端が印字部まで搬送されると、粘着剤が用紙搬送路に付着することがある。例えば粘着剤の付着面が下方を向いたシール用紙が、上板及び下板から成る用紙搬送路を通過すると、下板の上面に粘着剤が付着する。搬送路幅方向で両端のガイド壁に粘着剤が付着することもある。粘着剤によってシール用紙は搬送面あるいは壁面にくっ付く。閉鎖された空間内でジャム(用紙詰まり)が発生する。狭い空間の搬送路からシール用紙を取除くことは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するため、一実施形態によれば、サーマル用紙の第1の収納部、表面及び裏面の少なくとも何れか一方に粘着剤を塗布された印字媒体の第2の収納部およびこれらのサーマル用紙及び印字媒体が排出される排出口を有する筐体と、この筐体の前記第1の収納部からの前記サーマル用紙を通過させる第1の給紙路および前記第2の収納部からの前記印字媒体を通過させる第2の給紙路を有する給紙部と、この給紙部に形成され、前記第1の給紙路および前記第2の給紙路の合流位置から用紙搬送方向下流側へ前記サーマル用紙又は前記印字媒体を送り出す合流部と、この合流部から前記排出口へ前記用紙搬送方向に前記サーマル用紙又は前記印字媒体を搬送し及びその逆方向の搬送を行う搬送機構と、この搬送機構が搬送する前記サーマル用紙および前記印字媒体に印字を行う少なくとも1つの印字部と、これらの印字部および前記合流部の間に設けられ、前記サーマル用紙および前記印字媒体間で共通の用紙搬送路と、を備え、この用紙搬送路および前記給紙部の前記第2の給紙路には、前記粘着剤の粘着量を低減させる粘着量低減処理が施されたことを特徴とするサーマルプリンタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一実施形態に係るサーマルプリンタの斜視図である。
【図2】一実施形態に係るサーマルプリンタの一側面図である。
【図3】一実施形態に係るサーマルプリンタの第1の給紙路及び第2の給紙路及び用紙搬送路を拡大して示す一側面図である。
【図4】一実施形態に係るサーマルプリンタによる粘着量低減処理を施された部分を示す図である。
【図5】一実施形態に係るサーマルプリンタの第2の給紙路の分解斜視図である。
【図6】一実施形態に係るサーマルプリンタのサーマル用紙及び印字媒体が装填されていない状態を示す斜視図である。
【図7】一実施形態に係るサーマルプリンタの給紙ユニット及び複数の印字部からなるユニットが開位置であるときの一側面図である。
【図8】一実施形態に係るサーマルプリンタの給紙ユニットの拡大斜視図である。
【図9】比較例に係るサーマルプリンタの同等箇所の拡大斜視図である。
【図10】(a)は一実施形態に係るサーマルプリンタにおけるトランスポート部の上面図であり、(b)は比較例に係るサーマルプリンタの同等箇所の上面図である。
【図11】(a)はシボパターンの一例を示す図であり、(b)はリブのパターンの一例を示す図であり、(c)はシボ及びリブを併せ持つパターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態に係るサーマルプリンタについて、図1乃至図11を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0008】
図1は一実施形態に係るサーマルプリンタの斜視図である。図2は一実施形態に係るサーマルプリンタの一側面図である。図3は一実施形態に係るサーマルプリンタの2本の給紙路及び用紙搬送路を拡大して示す一側面図である。これらの図中、同じ符号を有するものは互いに同じ要素を表す。
【0009】
サーマルプリンタ10(実施の形態に係るサーマルプリンタ)は、ロール状に巻回されたサーマル用紙11と、ロール状に巻回された感熱式のシール用紙12(印字媒体)と、サーマル用紙11用の第1のサーマルヘッドと、シール用紙12用の第2のサーマルヘッドとを有し、このサーマル用紙11又はシール用紙12を個別に引込み、各サーマルヘッドによりサーマル用紙11又はシール用紙12に熱を与えて発色印刷するプリンタである。
【0010】
サーマルプリンタ10は、サーマル用紙11の収納部13(第1の収納部)、シール用紙12の収納部14(第2の収納部)、及びこれらのサーマル用紙11及びシール用紙12の排出口15を有する筐体16と、サーマル用紙11を通過させる給紙路17(第1の給紙路)及びシール用紙12を通過させる給紙路18(第2の給紙路)を有する給紙部19と、給紙部19に形成されこれらの給紙路17、18の合流位置から用紙搬送方向下流側へサーマル用紙11又はシール用紙12を送り出す合流部20とを備えている。更にサーマルプリンタ10は、合流部20から排出口15へ用紙搬送方向にサーマル用紙11又はシール用紙12を搬送し及びその逆方向の搬送を行う搬送機構21と、搬送機構21が搬送するサーマル用紙11に印字を行う印字部22と、シール用紙12に印字を行う印字部23と、合流部20及び印字部23間に設けられサーマル用紙11及びシール用紙12間で共通の用紙搬送路24とを備えている。この用紙搬送路24及び給紙部19内の給紙路18には、テフロン(登録商標)コーティング(PTFE[ポリテトラフルオロエチレン]コーティング)によって粘着剤の粘着量を低減させる粘着量低減処理が施されている。
【0011】
サーマル用紙11は、片面上に感熱層が形成されており、この感熱面を外側、即ち上方側に向けた状態で給紙部19へ繰出されるようにされている。サーマル用紙11はレシート用紙として用いられる。シール用紙12は長尺状の剥離紙、この剥離紙の片面上に塗布された粘着剤の層、及びこの層を介して剥離紙の片面上に仮着した列状の被印字片から成る。シール用紙12は筒状のコアの外周面に巻回されている。被印字片とはシール式の切手(スタンプ用紙)や、荷物などに貼付される配送先等のラベル(ラベル用紙)を指す。スタンプ用紙又はラベル用紙としてのシール用紙は片面上に加熱によって発色する感熱層が形成されており、この感熱面が下方を向くようにして繰出される。収納部13はシャフト部25によりサーマル用紙11を保持する。収納部14は、コア部26によりシール用紙12を保持する。排出口15は用紙搬送路24の用紙搬送方向で下流側の端に位置する。筐体16はシャフト部25、コア部26を、これらを互いに平行にして側板間に掛け渡している。
【0012】
図4は粘着量低減処理を施された部分を示す図であり、同図には第1の給紙路17、第2の給紙路18及び用紙搬送路24が示されている。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。サーマル用紙11用の給紙路17は、上板17aと、この上板17aの下方に対向する下板17bとを有する。給紙路17は上板17aの下面と、下板17bの上面との間の空隙をサーマル用紙11に通過させる。上板17a、下板17bは例えば板金であり、板金が予め折り曲げ加工されることによってサーマル用紙11に対する傾斜面が与えられている。
【0013】
図5は第2の給紙路18の分解斜視図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。シール用紙12用の給紙路18は、互いに平行な一対の上板18a、18aと、これらの上板18aの下方に対向する下板18bと、この下板18bの上面上に施されたPTFEコーティング層27とを有する。一対の上板18a、18aは上側ペーパガイドである。下板18bは下側ペーパガイドである。2枚の上板18a及び1枚の下板18bは折り曲げ加工された板金であり、用紙傾斜面を形成している。上板18a、下板18bには屈曲形成された合成樹脂を用いてもよい。PTFEコーティング層27は、PTFE材を板金に付着させてから板金ごと焼成し、あるいはPTFEフイルムやPTFEシートを板金に貼ること等によって生成される。このPTFEコーティング層27を形成しておく処理が粘着量低減処理である。給紙路18はこのPTFEコーティング層27の上面と、2枚の上板18aの各下面との間の空隙をシール用紙12に通過させる。
【0014】
給紙部19(図2、図3等)は、それぞれ給紙路17、18を保持し、筐体16に対して回動可能な左右一対のフレーム28と、それぞれこれらのフレーム28の各外側面に固定された左右一対の板片29と、これらのフレーム28及び板片29の全てに軸受された軸受機構30とを備えている。左右とは用紙搬送方向で左方、右方を指す。フレーム28の外側面とは筐体16の側板側の面を指す。一対の板片29は一対のフレーム28とともに筐体16に対して回動する。各フレーム28には切欠き31が形成されており、左右の切欠き31は筐体16の側板に連なる壁の間に掛け渡されたシャフト32に嵌合する。各板片29の外側面にはケース33が取付けられており、このケース33及び板片29で囲まれた空間内に、モータ35のシャフトに連結されたギア列等が収められている。給紙路17、18、左右のフレーム28、板片29及び搬送機構21は一体化され、デュアルフィーダユニット(給紙ユニット)80を構成している。このデュアルフィーダユニット80は、サーマル用紙11及びシール用紙12の何れかを選択的に用紙搬送路24へ給紙する。デュアルフィーダユニット80は、軸受機構30の軸芯を回動支点として、このデュアルフィーダユニット80が筐体16に装着される位置と、筐体16から例えば45度の傾斜角をもって上方に引き起こされる位置とを取るようになっている。
【0015】
また、合流部20は、図4に示すように給紙路17の端部と、給紙路18の端部と、上段用紙搬送路34の一部とを含む空間である。デュアルフィーダユニット80の回動により給紙路17、18がともに上方に持ち上げられると、これらの給紙路17、18は上段用紙搬送路34から離れ、デュアルフィーダユニット80が筐体16に押込まれると、合流部20が形成されるようになっている。
【0016】
搬送機構21は、シール用紙12の搬送系として、モータ35と、ピンチローラ36と、給紙路18を挟んでピンチローラ36に対向する駆動ローラ37と、給紙路18よりもこの給紙路18外側に位置するガイドローラ38とを備えている。モータ35にはステッピングモータが用いられる。ピンチローラ36及び駆動ローラ37は軸シャフトに弾性部材を設けており、これらの弾性部材によりシール用紙12を挟持する。給紙路18には貫通孔39が形成されている。この貫通孔39を介して駆動ローラ37及びピンチローラ36は対面している。駆動ローラ37はケース33により覆われたギア列やクラッチなどにより駆動される。ガイドローラ38はシール用紙12を、このガイドローラ38の外周面と、給紙路18の上板18aの下面との間に導く。
【0017】
搬送機構21は、サーマル用紙11の搬送系として、他のモータと、ピンチローラ40と、給紙路17を挟んでこのピンチローラ40に対向する駆動ローラ41と、給紙路17よりもこの給紙路17の外側に位置するガイドローラ42とを備えている。ガイドローラ42は、自身の正方向の回転により、サーマル用紙11を、このガイドローラ42の外周面と、給紙路17の上板17aの下面との間に導く。
【0018】
印字部22は、図4に示すように、サーマル用紙11の感熱層に接するよう下方に向いて配置された第1のサーマルヘッド43と、このサーマルヘッド43にサーマル用紙11を挟んで対向するプラテンローラ44と、サーマルヘッド43をこのプラテンローラ44に向けて押圧する付勢手段45と、付勢手段45の一端に固定された台座46とを備えている。サーマルヘッド43は、それぞれ用紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に配列された複数の発熱素子を有する。印字部22は、印刷に必要な情報に応じてこれらの発熱素子から選択的に発熱素子を加熱してサーマル用紙11に印字を行う。プラテンローラ44は、ギア47、48を介してモータ49によって回転駆動される。プラテンローラ44は搬送機構21の要素としても機能する。
【0019】
印字部23は、シール用紙12の感熱層に接するよう上方に向いて配置された第2のサーマルヘッド50と、このサーマルヘッド50にシール用紙12を挟んで対向するプラテンローラ51と、サーマルヘッド50をこのプラテンローラ51に向けて押圧する付勢手段52と、付勢手段52の一端に固定された台座53とを備えている。サーマルヘッド50は、それぞれ主走査方向に配列された複数の発熱素子を有する。サーマルヘッド50は、印刷に必要な情報に応じてこれらの発熱素子から選択的に発熱素子を加熱してシール用紙12に印字を行う。プラテンローラ51は、ギア54等を介して他のモータによって回転駆動される。プラテンローラ51は搬送機構21の要素としても機能する。印字部22、23はヒートシンク55を設けてもよい。
【0020】
用紙搬送路24は、上段用紙搬送路34、中段用紙搬送路56、下段用紙搬送路57及び終段用紙搬送路66を有する。上段用紙搬送路34は、上板58、59及び下板60から成る。この下板60の上面がPTFEコーティングされている。中段用紙搬送路56は上板61、下板62から成り、この下板62の上面がPTFEコーティングされている。下段用紙搬送路57は上板63、下板64から成り、この下板64の上面がPTFEコーティングされている。つまり粘着量低減処理は用紙搬送路24の搬送面のうちの少なくともシール用紙12の通過側に施されている。
【0021】
また、給紙路17、18はデュアルフィーダユニット80と一体化されており筐体16に対して可動である。ギア47、48の各軸部、プラテンローラ44、上段用紙搬送路34の下板60、印字部23のサーマルヘッド50よりも下方の部材は筐体16内に保持され固定的である。ギア54、プラテンローラ51、印字部22のサーマルヘッド43よりも上方の部材、上段用紙搬送路34の上板58、59、中段用紙搬送路56、下段用紙搬送路57及び終段用紙搬送路66は筐体16に対して可動である。これらのギア54、プラテンローラ51、サーマルヘッド43よりも上方の印字部22、上板58、59、中段用紙搬送路56、下段用紙搬送路57及び終段用紙搬送路66はフレーム76に一体化され、シール用紙印字ユニット81を構成している。シール用紙印字ユニット81はシャフト32の軸芯を回動支点として、このシール用紙印字ユニット81が筐体16に装着される位置と、筐体16から例えば45度の傾斜角をもって上方に引き起こされる位置とを取るようになっている。
【0022】
サーマルプリンタ10(図2、図3)は更に、排出口15の排出側に設けられたカッタ65と、このカッタ65よりも搬送方向下流側に設けられた終段用紙搬送路66と、この終段用紙搬送路66に連続しカットされたサーマル用紙11又はシール用紙12を発行する橇状のトランスポート部67と、用紙搬送制御を行うコントローラ82とを備えている。カッタ65は終段用紙搬送路66とともにフレーム76内に設けられている。終段用紙搬送路66は上板66a、下板66bから成り、この下板66bの上面がPTFEコーティングされている。
【0023】
図10(a)はトランスポート部67の上面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。トランスポート部67は、排出口15の後段側に連続するプレート68と、プレート68上にサーマル用紙11又はシール用紙12をそのベルト面により押し付けつつ回転走行する無端状のベルト69と、ベルト69に駆動力を与える駆動ローラ70及び駆動ローラ70に連れ回る従動ローラ71を有し、サーマル用紙11又はシール用紙12の印字発行される方向にベルト69を走行させるモータ72とを備えている。プレート68のプレート上面はPTFEコーティングが施されている。ベルト69は、駆動ローラ70、従動ローラ71間では互いに逆方向に走行する上方、及び下方のベルト部分からなる。下方のベルト部分のベルト面がサーマル用紙11又はシール用紙12を搬送面上に押し付けている。モータ72はギア列とともにベルト駆動機構を構成している。更にトランスポート部67は、サーマル用紙11又はシート用紙12が通過する部分を空けて対向配置された板状の一対のガイド部77と、プレート68上にサーマル用紙11又はシール用紙12の通過面に敷いたシート部78とを備えてもよい。左右一対のガイド部77は上側ペーパガイドであり、上板18a、18aによる機能と同様に各下面が用紙に当たる。シート部78の下面はプレート面上に固定されており、シート部78の上面にPTFEコーティングが施されている。側板79はガイド部77を支持する。
【0024】
また、図3に戻ってコントローラ82はCPU、ROM、RAMを備える。コントローラ82は、それぞれサーマル用紙11及びシール用紙12が通過する位置に設けられた複数のセンサ73からの信号を収集し、ジャムの有無を検知するようにしている。各センサ73は遮光式のセンサである。センサ73は例えば、レーザダイオード、フォトダイオード、及び検知電流のオフオンに応じてコントローラ82へ用紙有り又は用紙無しを示す信号を通知する検知回路を備える。センサ73は、給紙路17、18、用紙搬送路24及びトランスポート部67に設けられている。板材やプレート材には開口が複数の箇所に形成されている。これらの開口により検知用の光ビームが送受信される。
【0025】
このような構成のサーマルプリンタ10は、サーマル用紙11及びシール用紙12がセットされる前、デュアルフィーダユニット80、シール用紙印字ユニット81を開位置にしている。
【0026】
図6はサーマル用紙11及びシール用紙12が装填されていない状態を示す斜視図である。図7はデュアルフィーダユニット80及びシール用紙印字ユニット81が開位置である場合のサーマルプリンタ10の一側面図である。これらの図中、既述の符号はそれらと同じ要素を表す。筐体16に人がサーマル用紙11とシール用紙12とを装着する。サーマル用紙11がシャフト部25に装着される。シール用紙12は、コア部26の外周面がシール用紙12のコア内筒面に接するようにしてシャフト部25に挿入される。コア部26はフランジ等によりシール用紙12の搬送路幅方向のずれを規制する。給紙路17、18、用紙搬送路24に粘着剤の残りなどの汚れが無いことを人が目視により判断した後、デュアルフィーダユニット80及びシール用紙印字ユニット81を閉じる。デュアルフィーダユニット80の切欠き31がシャフト32に嵌合する。シール用紙印字ユニット81のシャフト74が、筐体16側の切欠き75に嵌合する。人が収納部13、14からサーマル用紙11、シール用紙12を引出して、それぞれガイドローラ42、38に導く。このときの状態が図1に示されており、筐体16、シャフト部25、コア部26等によってデュアルホッパ部が構成される。コントローラ82はユーザ操作による印字指令を受けると、搬送機構21を駆動し始める。
【0027】
最初にシール用紙12へサーマルプリンタ10は印字する。例えば図3に示すように、コントローラ82は搬送機構21の正回転によりシール用紙12を合流部20に向かって給紙し、印刷されるべきラベル用紙が下方に向いた状態でこのシール用紙12を印字部23へ搬送する。図5に示すように、2枚の上板18aの外側の辺縁間の寸法Aはシール用紙12の用紙幅Cよりも大きい。この用紙幅Cはこれらの上板18aの内側の辺縁間の寸法Bよりも小さい。シール用紙12は上板18a間の空隙からはみ出さずに搬送される。シール用紙12の搬送中、コントローラ82は、サーマル用紙11を給紙路17上の待機位置に待機させ続ける。サーマル用紙11の位置が待機位置やシール用紙12が印刷開始位置であることをコントローラ82はそれぞれこれらの位置の近傍に設けられたセンサ73により検知する。コントローラ82はシール用紙12の印刷開始位置がサーマルヘッド50にかかったことを検知すると、印字部23に印刷を始めさせる。
【0028】
コントローラ82はシール印刷を終えると、シール用紙12を規定量搬送する。コントローラ82はカッタ65によりシール用紙12から一枚のラベル用紙片を切り離す。コントローラ82はトランスポート部67を起動する。トランスポート部67はラベル用紙片を発行口83から発行する。例えば配送業者が客から料金の支払いを受けて荷物の包装に貼るためのシール状のラベルが発行される。例えばシール式の郵便切手や、切手代や送料に代えて封筒等に貼られるスタンプが発行される。
【0029】
引き続き、コントローラ82は、切断後のシール用紙12を搬送機構21に逆方向搬送(バックフィード)させる。コントローラ82はセンサ73によりこのシール用紙12を規定量戻し、給紙路18上の待機位置に再度停止させる。給紙路17、用紙搬送路24及び終段用紙搬送路66のそれぞれ下側の板材の上面のPTFEコーティング層27により、このPTFEコーティング層27とシール用紙12との間の摺接時の摩擦抵抗力が小さくされる。PTFEコーティング層27により耐摩耗性を発揮しつつ用紙搬送が行われる。
【0030】
次に、サーマルプリンタ10は、サーマル用紙11に印字する。コントローラ82は搬送機構21の正回転によりサーマル用紙11を合流部20経由で用紙搬送路24へ引出す。感熱層を上方に向けた状態で搬送機構21はサーマル用紙11を印字部22へ送る。コントローラ82がサーマル用紙11の印刷開始位置がサーマルヘッド43にかかったことを検知すると、印字部22に印刷を始めさせる。コントローラ82は取引結果情報等をサーマル用紙11に印字する。コントローラ82は印刷後、サーマル用紙11を規定量搬送する。コントローラ82はカッタ65により、サーマル用紙11から一枚のレシート片を切り離す。トランスポート部67はレシート片を発行口83から発行する。取引結果情報等が印字されたレシートが発行される。コントローラ82は、切断後のサーマル用紙11を逆方向搬送する。コントローラ82はサーマル用紙11を規定量戻し、給紙路17上の待機位置に再度停止させる。
【0031】
またコントローラ82が搬送機構21に正逆方向の搬送や停止のシーケンスを実行させているときに、センサ73が用紙有りの信号を出力し続けるとする。コントローラ82ジャム処理の割込みを生成する。例えばサーマル用紙11やシール用紙12の切断端部にささくれ立ちが生じたときに、このささくれが搬送面の凹凸に引っ掛かってジャムが起きる。サーマルプリンタ10は、左右に配置した上板18a、18aの間に、指を差し入れるスペースを確保しており、デュアルフィーダユニット80を上方へ跳ね上げる。このスペースに人が指を入れることによってジャムを除去する。このスペースについて図8から図10を参照し、サーマルプリンタ10と、比較例とを比較して述べる。
【0032】
図8は一対の上板18a、18aを含むデュアルフィーダユニット80の拡大斜視図である。図9は比較例に係るサーマルプリンタの同等の箇所の拡大斜視図である。図8中、既述の符号はそれらと同じ要素を表す。図9中、既述の符号はそれらと同等の要素を表す。図9のガイド板101は上側ペーパガイドである。ガイド板101は、図8の上板18a、18aと異なり、左右に分割されていない一枚の板材である。比較例に係るサーマルプリンタが印字発行中に内部でジャムが起き、ラベル用紙が剥離紙から剥離したとする。ラベル用紙の粘着面がサーマルヘッド、プラテンローラや用紙の搬送路に張り付くことがある。あるいはラベル用紙の薄厚の用紙側面にはみ出した粘着剤によりサーマルヘッド、プラテンローラや用紙の搬送路に張り付くことがある。比較例に係るサーマルプリンタでは、ガイド板101が開口100を設けているにせよ、このガイド板101により搬送路の多くが遮られ、ラベル用紙を取る為の指の入る充分なスペースがない。ガイド板101及びこのガイド板101を含む給紙部が筐体16に固定的である。ジャムの解除及び清掃作業が非常に困難である。剥離紙を伴うシール用紙12を用いる場合、印字途中のジャムを簡単に解除することができる機構をプリンタ本体が有することがユーザにとって大切である。
【0033】
これに対して本実施形態では図8に示すように、サーマルプリンタ10がデュアルフィーダユニット80を、軸受機構30を支点にして上方に持ち上げ可能であり、指を差し入れるスペースが確保されている。用紙搬送路24の多くに指が遮られることなく接触可能になる。給紙路18の上板18aを露出させることができる。貫通孔39により、指の入るスペースを確保できる。シール用紙12からラベル用紙が剥離し、又はジャムが生じたとしても、このラベル用紙を取る為、あるいはジャムを除くためのスペースが生成され、ジャムの解除及び清掃作業を行いやすくなる。
【0034】
また、図10(b)は比較例に係るサーマルプリンタのトランスポート部の上面図である。同図中、既述の符号はそれらと同等の要素を表す。トランスポート部120は、上側ペーパガイドとして一枚のガイド板121を設けている。比較例に係るサーマルプリンタでは、このガイド板121により搬送路が遮られ、ジャムが生じた場合、ラベル用紙を取ることができない。これに対して本実施形態では、図10(a)に示すように、一対のガイド部77、77が上側ペーパガイドとして用紙通過部分を挟んで対峙しているため、万一ラベル用紙がシート部78に張り付いたとしてもこのラベル用紙を取り除くことができる。
【0035】
このように、給紙路18及び用紙搬送路24にPTFEコーティングを施し、シール用紙12がこれらの搬送面に張り付かないため、ジャムがサーマルプリンタ10内部で起こった場合でも容易にシール用紙12を取り払うことができる。通常の印刷にすばやく復帰できるようになる。
【0036】
給紙路18を左右の上板18a、18aに分割配置し、印刷媒体を容易に除去できる作業スペースを設けたため、スタンプ用紙やラベル用紙を排除する為の保守のアクセスエリアが設けることができる。デュアルフィーダユニット80、トランスポート部67において印字中に用紙搬送路24でジャムが起こった場合でも、印字時通常の印刷にすばやく復帰できることできるようになる。
【0037】
また、印字途中にジャムが起こって給紙路17や用紙搬送路24の搬送面(ペーパパス面)に印刷媒体が張り付いた場合でも、デュアルフィーダユニット80が45度以上開くことによってジャムした用紙を除去するための為の作業スペースを作ることができる。揺動角はデュアルフィーダユニット80と筐体16側とが接触するかどうか、当たるかどうか等により決まる。更にこの揺動角はデュアルフィーダユニット80と、筐体16の構造及び用紙搬送路24の形状との関係により決められる値であり、45度よりも広く又は狭くすることができる。何れの揺動角を採用しても容易に印刷媒体を除去することができる。デュアルフィーダユニット80を回動させることにより、印字部23にたとえスタンプ用紙やラベル用紙が付着したとしても、これらのスタンプ用紙やラベル用紙を排除する為の指を挿入してスタンプ用紙やラベル用紙に容易にアクセスすることができる。
【0038】
閉鎖された給紙空間や搬送空間内でジャムが発生すると、これらの空間から、特に粘着剤付きのシール用紙を取除くことは難しい。用紙搬送路24の周辺には搬送機構21やギア列、及び印字部22、23が設けられており、筐体16は内部に詰まった状態のシール用紙を取除くためのサイズが大きい開口を設けることができない。比較例に係るサーマルプリンタでは狭隘な空間からスタックしているシール用紙を除去するためには、最悪の場合、給紙部ユニットを分解して開けることを要する。サーマルプリンタ10によれば、このような不具合が起きることを防止できる。
【0039】
また、比較例ではジャムが発生しない状況が続いても、粘着剤が搬送面あるいは壁面に付着すると、シール用紙と搬送路との間に摩擦による接触抵抗が作用する。シール用紙が給紙される速度や搬送される速度が設定値よりも遅くなる。サーマルプリンタ10によれば、PTFEコーティングにより粘着量を低減させることができ、接触抵抗を実質発生させないようにできる。
【0040】
(第1の変形例)
実施の形態に係るサーマルプリンタは、コーティング材として、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、フェノール樹脂(PF)等の何れかを用いてもよい。これらのポリエーテルエーテルケトン等をコーティングすることにより、低摩擦、耐摩耗性を実現できる。
【0041】
(第2の変形例)
上記実施形態及び第1の変形例では、給紙路17、18、用紙搬送路24、及びプレート68の各搬送面にコーティング層27によりコーティングしていたが、これらの搬送面のシール用紙12と接する部位に表面仕上げ処理を施しても良い。
【0042】
図11(a)はシボパターンの一例を示す図である。実施の形態に係るサーマルプリンタは、例えば梨(ナシ)地模様のシボパターン84により給紙面、搬送面をシボ処理してもよい。このシボ処理によって搬送面、給紙路面と、シール用紙12の粘着面との間の接触抵抗が低減される。シボ加工は用紙搬送路24の搬送路幅方向の両端部に設けられたガイド壁面及び給紙路18の幅方向の両端部に設けられたガイド壁面に形成されてもよい。ガイド壁面はシート用紙12からはみ出た粘着剤による粘着量を低減させる。
【0043】
図11(b)はリブのパターンの一例を示す図である。実施の形態に係るサーマルプリンタは、リブ凸条を縦長に細くし、それ以外を平坦にしたリブパターン85を搬送面、給紙路面に形成してもよい。シボパターンやリブパターンは種々変更可能である。
【0044】
図11(c)はシボ及びリブを併せ持つパターンの一例を示す図である。実施の形態に係るサーマルプリンタは、リブ凸条が互いに斜行して交差する2種類のリブと、これらのリブの凸条部分に施したシボ処理とを組み合わせたパターン86を搬送面、給紙路面に形成してもよい。
【0045】
また、図11(a)から図11(c)の処理を、トランスポート部67のシート部78に加工してもよい。
【0046】
(その他)
上記実施形態では、サーマル用紙11及びシール用紙12の2種類の感熱層に対してそれぞれサーマルヘッド43、50が設けられていたが、実施の形態に係るサーマルプリンタは、単一のサーマルヘッドによりサーマル用紙11及びシール用紙12の双方の感熱層に熱を与えるようにもできる。一例として、サーマルヘッドを上方から下方へと付勢してこのサーマルヘッドよりも下方にプラテンローラを設けるとともに、サーマル用紙11の被印字面とシール用紙12の被印字面とが同一面、例えば下面を向くようにサーマル用紙11の巻芯部に対する当接面を上記例とは反対側に変えるようにする。単一のサーマルヘッドに対してサーマル用紙11の感熱層とシール用紙12の感熱層とを対向させることにより、1個のサーマルヘッド及びプラテンローラでレシート用紙及びスタンプ/ラベル用紙の発行が可能になる。
【0047】
また、実施の形態に係るサーマルプリンタは、例えば剥離紙無しのライナレスラベルのように、両面に粘着剤が付着し粘着領域が露出しているシール用紙を使うこともできる。この場合、給紙路18の上板18aの下面にも、PTFEコーティング、シボ加工あるいはリブ付きなどの粘着量低減処理を施すようにする。ライナレスラベルの薄厚の用紙側面からはみ出した粘着剤によりラベルが張り付かないように搬送路方向両側のガイド壁面に上記粘着量低減処理を施しても良い。
【0048】
また、実施の形態に係るサーマルプリンタはシール用紙12の代わりに、印字媒体としてRFID(Radio Frequency IDentification)ラベルを使うこともできる。
【0049】
尚、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば各図に示される給紙路17、18や用紙搬送路24を構成する上下板材の搬送方向に沿う板長さや、屈曲の度合い又は傾斜の大きさは種々変更可能である。筐体16の形状や、シャフトやローラの径及び軸位置、各プーリの径及び軸位置、あるいは搬送機構の構成要素の配置などは一例であり、これらは種々変形することが可能である。給紙路17、18や用紙搬送路24、筐体形状及びモータ位置などを変形して実施したに過ぎない実施品に対して本実施形態の優位性は何ら損なわれるものではない。
【0050】
実施の形態に係るサーマルプリンタは、シール用紙として、紙や合成樹脂製のシートの表面に印字され、裏面に粘着剤を塗布されたステッカー又はデカールを用いたり、あるいはシール用紙として、細線状又は帯状のテープを用いてもよい。これらの呼称の差異あるいは用紙幅の差異に過ぎない被印字片を使って実施したに過ぎない実施品に対しても本実施形態の優位性は何ら損なわれるものではない。
【0051】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
10…サーマルプリンタ、11…サーマル用紙、12…シール用紙(印字媒体)、13…収納部(第1の収納部)、14…収納部(第2の収納部)、15…排出口、16…筐体、17…給紙路(第1の給紙路)、17a…上板、17b…下板、18…給紙路(第2の給紙路)、18a…上板、18b…下板、19…給紙部、20…合流部、21…搬送機構、22,23…印字部、24…用紙搬送路、25…シャフト部、26…コア部、27…PTFEコーティング層、28…フレーム、29…板片、30…軸受機構、31…切欠き、32…シャフト、33…ケース、34…上段用紙搬送路、35…モータ、36…ピンチローラ、37…駆動ローラ、38…ガイドローラ、39…貫通孔、40…ピンチローラ、41…駆動ローラ、42…ガイドローラ、43…サーマルヘッド、44…プラテンローラ、45…付勢手段、46…台座、47,48…ギア、49…モータ、50…サーマルヘッド、51…プラテンローラ、52…付勢手段、53…台座、54…ギア、55…ヒートシンク、56…中段用紙搬送路、57…下段用紙搬送路、58,59…上板、60…下板、61…上板、62…下板、63…上板、64…下板、65…カッタ、66…終段用紙搬送路、66a…上板、66b…下板、67…トランスポート部、68…プレート、69…ベルト、70…駆動ローラ、71…従動ローラ、72…モータ、73…センサ、74…シャフト、75…切欠き、76…フレーム、77…ガイド部、78…シート部、79…側板、80…デュアルフィーダユニット(給紙ユニット)、81…シール用紙印字ユニット、82…コントローラ、83…発行口、84…シボパターン、85…リブパターン、86…パターン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマル用紙の第1の収納部、表面及び裏面の少なくとも何れか一方に粘着剤を塗布された印字媒体の第2の収納部およびこれらのサーマル用紙及び印字媒体が排出される排出口を有する筐体と、
この筐体の前記第1の収納部からの前記サーマル用紙を通過させる第1の給紙路および前記第2の収納部からの前記印字媒体を通過させる第2の給紙路を有する給紙部と、
この給紙部に形成され、前記第1の給紙路および前記第2の給紙路の合流位置から用紙搬送方向下流側へ前記サーマル用紙又は前記印字媒体を送り出す合流部と、
この合流部から前記排出口へ前記用紙搬送方向に前記サーマル用紙又は前記印字媒体を搬送し及びその逆方向の搬送を行う搬送機構と、
この搬送機構が搬送する前記サーマル用紙および前記印字媒体に印字を行う少なくとも1つの印字部と、
これらの印字部および前記合流部の間に設けられ、前記サーマル用紙および前記印字媒体間で共通の用紙搬送路と、を備え、
この用紙搬送路および前記給紙部の前記第2の給紙路には、前記粘着剤の粘着量を低減させる粘着量低減処理が施されたことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記粘着量低減処理は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コーティングであることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記粘着量低減処理は、前記印字媒体の前記粘着剤の付着面と対向する部位に形成されたシボ加工であることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記粘着量低減処理は、前記用紙搬送路の搬送路幅方向の端部あるいは前記第2の給紙路の幅方向の端部に設けられたガイド壁面に形成されたシボ加工であることを特徴とする請求項3記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記粘着量低減処理は、互いに隔設された複数のリブであることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項6】
前記印字媒体が剥離紙、この剥離紙の表裏何れか片面上の前記粘着剤の層、およびこの層を介して前記剥離紙の前記片面上に仮着した被印字用紙を備え、
前記粘着量低減処理は、前記用紙搬送路の搬送面のうちの少なくとも前記被印字用紙側に施されたことを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載のサーマルプリンタ。
【請求項7】
前記給紙部はこの給紙部が前記筐体に装着される位置、および前記筐体から傾斜角をもって上方に引き起こされる位置をとる機構を有し、
この機構により前記給紙部が上方に移動し、各給紙路および前記用紙搬送路を露出させ、前記印刷媒体のジャムを除くためのスペースが生成されることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項8】
前記給紙部の前記第1の給紙路および前記第2の給紙路と、前記搬送機構と、複数に分割可能に構成された前記用紙搬送路のうちの上段側の用紙搬送路とは一体化されて給紙ユニットを構成し、この給紙ユニットが前記筐体には軸受けされたことを特徴とする請求項7記載のサーマルプリンタ。
【請求項9】
前記給紙部は、それぞれ前記用紙搬送路よりも上方に前記用紙搬送方向に対して左右に配置されたペーパガイドを備えたことを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項10】
前記排出口の後段に前記用紙搬送路に連続し、前記サーマル用紙又は前記印刷媒体の搬送面を有するシート部と、
このシート部の前記搬送面上に前記サーマル用紙又は前記印刷媒体をベルト面により押し付けつつ回転走行する無端状のベルトと、
このベルトに駆動力を与えるローラ、および従動するローラを有し、前記サーマル用紙又は前記印刷媒体が前記筐体の外部へ印字発行される方向に前記ベルトを走行させるベルト駆動機構と、を更に備え、
前記シート部の前記搬送面に、前記粘着量低減処理が施されたことを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項1】
サーマル用紙の第1の収納部、表面及び裏面の少なくとも何れか一方に粘着剤を塗布された印字媒体の第2の収納部およびこれらのサーマル用紙及び印字媒体が排出される排出口を有する筐体と、
この筐体の前記第1の収納部からの前記サーマル用紙を通過させる第1の給紙路および前記第2の収納部からの前記印字媒体を通過させる第2の給紙路を有する給紙部と、
この給紙部に形成され、前記第1の給紙路および前記第2の給紙路の合流位置から用紙搬送方向下流側へ前記サーマル用紙又は前記印字媒体を送り出す合流部と、
この合流部から前記排出口へ前記用紙搬送方向に前記サーマル用紙又は前記印字媒体を搬送し及びその逆方向の搬送を行う搬送機構と、
この搬送機構が搬送する前記サーマル用紙および前記印字媒体に印字を行う少なくとも1つの印字部と、
これらの印字部および前記合流部の間に設けられ、前記サーマル用紙および前記印字媒体間で共通の用紙搬送路と、を備え、
この用紙搬送路および前記給紙部の前記第2の給紙路には、前記粘着剤の粘着量を低減させる粘着量低減処理が施されたことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記粘着量低減処理は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コーティングであることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記粘着量低減処理は、前記印字媒体の前記粘着剤の付着面と対向する部位に形成されたシボ加工であることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記粘着量低減処理は、前記用紙搬送路の搬送路幅方向の端部あるいは前記第2の給紙路の幅方向の端部に設けられたガイド壁面に形成されたシボ加工であることを特徴とする請求項3記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記粘着量低減処理は、互いに隔設された複数のリブであることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項6】
前記印字媒体が剥離紙、この剥離紙の表裏何れか片面上の前記粘着剤の層、およびこの層を介して前記剥離紙の前記片面上に仮着した被印字用紙を備え、
前記粘着量低減処理は、前記用紙搬送路の搬送面のうちの少なくとも前記被印字用紙側に施されたことを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載のサーマルプリンタ。
【請求項7】
前記給紙部はこの給紙部が前記筐体に装着される位置、および前記筐体から傾斜角をもって上方に引き起こされる位置をとる機構を有し、
この機構により前記給紙部が上方に移動し、各給紙路および前記用紙搬送路を露出させ、前記印刷媒体のジャムを除くためのスペースが生成されることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項8】
前記給紙部の前記第1の給紙路および前記第2の給紙路と、前記搬送機構と、複数に分割可能に構成された前記用紙搬送路のうちの上段側の用紙搬送路とは一体化されて給紙ユニットを構成し、この給紙ユニットが前記筐体には軸受けされたことを特徴とする請求項7記載のサーマルプリンタ。
【請求項9】
前記給紙部は、それぞれ前記用紙搬送路よりも上方に前記用紙搬送方向に対して左右に配置されたペーパガイドを備えたことを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項10】
前記排出口の後段に前記用紙搬送路に連続し、前記サーマル用紙又は前記印刷媒体の搬送面を有するシート部と、
このシート部の前記搬送面上に前記サーマル用紙又は前記印刷媒体をベルト面により押し付けつつ回転走行する無端状のベルトと、
このベルトに駆動力を与えるローラ、および従動するローラを有し、前記サーマル用紙又は前記印刷媒体が前記筐体の外部へ印字発行される方向に前記ベルトを走行させるベルト駆動機構と、を更に備え、
前記シート部の前記搬送面に、前記粘着量低減処理が施されたことを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−52605(P2013−52605A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192908(P2011−192908)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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