説明

サーモパイル型赤外線センサおよびその製造方法

【課題】サーモパイルにおける冷接点の赤外線の影響を低減し、より感度よく、正確に計測ができ、低コストで小型化なサーモパイル型赤外線センサを提供する。
【解決手段】サーモパイルの形成部において、冷接点側を含む所定領域のみが赤外線遮へい層で覆われる。赤外線遮へい層は金属の台座部と金属で接続する構造をとる。赤外線遮へい層の熱は、効率よく放熱される。そのため、赤外線遮へい層の温度は冷接点側に伝わり難く、冷接点の温度上昇を防ぎ、簡便な構造で製造コストを抑えながら、センサ素子の強度を確保しつつ小型化することができる構造を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源から放射される赤外線を検知して電気信号に変換する赤外線センサ、特に、温度変化を異種金属の接点の起電力に反映させる熱電対が複数直列接続されたサーモパイルを備えたサーモパイル型赤外線センサに関する。
【背景技術】
【0002】
サーモパイル型赤外線センサは、周知のように基板上に形成した異種金属の互いの端部を接点として接続した熱電対を複数直列接続することによりサーモパイルが構成されている。これにより、ゼーベック効果を利用して赤外線の放射吸収による温度変化を熱起電力として検出(出力)する。一般に、サーモパイル型赤外線センサでは、赤外線を受光する熱吸収体の熱伝導影響下に入るサーモパイルの各接点を温接点と呼ぶ。また、上記熱吸収体の熱伝導の影響が少ない方のサーモパイルの各接点を冷接点と呼ぶ。冷接点は、温度変化に際し基準温度となる接点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−156283号公報
【特許文献2】特開平5−126643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図13は、従来のサーモパイル型赤外線センサ100の要部を示す断面図である。サーモパイル型赤外線センサ100は、例えばP型の単結晶Si基板101に支えられた熱を伝え難い絶縁層上102にサーモパイルを有する。サーモパイルは、異種金属の互いの端部を接点として接続した熱電対を複数直列接続して構成される。サーモパイルにおける温接点108側は、絶縁基材102の中央付近にあり、下の基板は熱容量を懸念してエッチング除去される。温接点108側近傍には外部からの赤外線を受光する赤外線吸収層113が配される。また、サーモパイルにおける冷接点107側は温度変化に際し基準温度となる接点である。冷接点107側は絶縁層102の周辺付近にあり、下の基板101は絶縁層102を支える形態となっている。サーモパイルは、保護膜105により覆われ、その上に赤外線吸収層113が配置される。赤外線吸収層113が赤外線を受けて温度変化すると、これに伴い温接点108も温度変化する。サーモパイルの冷接点107側は、保護膜105により覆われ、その上に赤外線遮へい層106が配置される。赤外線遮へい層106が冷接点107側に照射される赤外線を反射し、または赤外線を吸収し、直接に冷接点107が赤外線により温度上昇することを防ぐ形態となっている。温接点108と冷接点107の間で生じる起電力(出力電圧)は、温接点と冷接点間の接点間温度差に依存する。
【0005】
しかしながら、赤外線吸収層113に吸収されるべき赤外線は、一部が冷接点107側に到達し、その一部が赤外線遮へい層106に吸収され、赤外線遮へい層106の温度が上昇し、その熱が基板101および、冷接点107を温めてしまう問題があった。これにより、冷接点107の予期せぬ温度上昇が現れ、実際の温接点と冷接点間の接点間温度差が小さくなる。よって、サーモパイルにおける起電力(出力電圧)が小さくなるため、感度の低下や計測誤差が生じる問題に至る。
【0006】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたもので、サーモパイルにおける冷接点の赤外線の影響を低減し、より感度よく、正確に計測ができ、簡便な工程で作成できる安価で、より小型なサーモパイル型赤外線センサを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る赤外線センサは、電気絶縁性を有するフィルムと、前記フィルムの一方の面側に配置されたサーモパイルと、前記フィルムの一部を覆う赤外線遮へい層と、前記フィルムを支持する台座部と、を備えたサーモパイル型赤外線センサであって、前記フィルムは、樹脂を主成分とする材料で構成され、前記サーモパイルは、一部または全体が前記フィルムに埋没し、前記フィルムの中央部側から外周部分まで配置され、前記赤外線遮へい層は、前記フィルムの一方の面側において前記フィルムの外周部分に配置された前記サーモパイルを覆うとともに、前記フィルムの外周部分から延出して配置され、前記台座部は、金属からなり、前記フィルムの他方の面側における外周部分から前記赤外線遮へい層の前記フィルムと対向する面側における前記フィルムの外周部分から延出して配置された部分まで配置されるとともに、前記フィルム及び前記赤外遮へい層と熱的に接続していることを特徴とする。
【0008】
この発明の構成によれば、サーモパイルがフィルムに埋没されているため、この埋没部分のフィルムの受光部表面は平坦面となる。そのため、受光部の温度均一性が高まり、安定的な出力を与えることができる赤外線センサを提供できる。さらに、フィルム受光部の凹凸による放熱が最小化できるため、さらに感度を向上させることができる。
【0009】
また、この発明によれば、赤外線センサが台座部を介して配線基板等に実装されることになるので、熱電対が配線基板等に対して離間配置されることになる。そのため、サーモパイルの熱絶縁性を確保することができる。
【0010】
また、この発明によれば、赤外線遮へい層が備わっているため、被測定物から照射される赤外線が赤外遮へい層によって冷接点に直接照射されない。これにより、赤外線による冷接点の温度上昇を防ぎ、サーモパイルの感度を向上させることができる。また、前記台座部が前記赤外線遮へい層と金属で接続されているため、被測定物から照射される赤外線が赤外遮へい層と接続する金属の台座部により放熱される。これにより、赤外線による冷接点の温度上昇を防ぎ、サーモパイルの感度をさらに向上させることができる。
【0011】
また、この発明によれば、前記冷接点の熱を放熱する金属の台座部と、赤外線遮へい層の熱を放熱する金属の台座部とが一体の構造をとることにより、センサ素子を金属で構成する台座部が外周を覆うことで、簡便な構造で製造コストを抑えながら、センサ素子の強度を確保しつつ小型化することができ、赤外線による冷接点の温度上昇を防ぎ、サーモパイルの感度を向上させることができる。また、他のプロセスで作製した赤外線センサに赤外線遮へい層と台座部とを接続する金属部を作成することで、簡便に、同様の構造を適用することができる。
【0012】
本発明に係る赤外線センサは、前記サーモパイルは、前記フィルムの面方向に沿って直列に接合された複数の膜状熱電対からなり、前記膜状熱電対は、互いに接合された2種類の膜状材料からなり、前記複数の膜状熱電対のうち、一の膜状熱電対における第1の膜状材料との一端側と、前記一の膜状材料における第2の膜状材料の一端側とを接続した温接点を前記フィルムの中央部側に配置するとともに、前記一の膜状熱電対における第1の膜状材料の他端側と、前記一の膜状熱電対に隣接する膜状熱電対における前記第2の膜状材料の他端側とを接続した冷接点を前記フィルムの外周部分に配置することを特徴とする。
この発明によれば、赤外線センサのうち受光部(熱電対の温接点形成領域)が、熱伝導率の低い樹脂のフィルムで構成されているので、熱電対の温接点とそれ以外の領域とでの温度差を大きく取ることができる。そのため、赤外線センサの感度をより大きくすることができる。
【0013】
この発明によれば、受光により温度上昇が生ずる膜状熱電対の温接点とこれと対をなす冷接点との間の温度差を大きく取ることができるため、出力電圧をより大きくすることができる。また膜状熱電対が樹脂フィルムに埋没しているので、受光部(膜状熱電対の温接点周辺)の温度均一性が高まり、安定的な出力を与えることができるサーモパイル型赤外線センサを提供できる。
【0014】
本発明に係る赤外線センサは、前記赤外線遮へい層は、前記フィルムの一方の面側において前記冷接点を覆い、前記台座部は、前記フィルムの他方の面側における外周部分において、前記冷接点が配置された部分に配置されることを特徴とする。また、前記台座部がめっき法により析出される金属からなることを特徴とする。この発明によれば、例えばサーモパイルに膜状熱電対を採用した場合には、温度上昇を極力避ける必要がある膜状熱電対の冷接点から台座部を伝って熱が放熱され易くなる。そのため、冷接点の温度上昇を防ぐことができるので、温接点と冷接点との温度差が大きくなり、膜状熱電対の起電力を大きくすることができる。その結果、高感度(出力)の赤外線センサを提供できる。
【0015】
本発明に係る赤外線センサは、前記フィルムの他方の面および前記赤外遮へい層の前記フィルムと対向する面に導電層が形成され、前記台座部が、前記導電層から析出されることを特徴とする。また、本発明に係る赤外線センサは、前記めっき法により析出される材料が、ニッケル、金、白金、ロジウム、鉄、パラジウム、銅から選ばれる材料、またはこれらから選ばれる材料を主成分とする材料であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る赤外線センサは、前記赤外線遮へい層が、赤外線反射層であることを特徴とする。この発明によれば、被測定物から照射される赤外線が赤外反射層によって反射される。一部吸収することにより生じた熱は、冷接点の熱を放熱する金属の台座部と、前記赤外線遮へい層の熱を放熱する金属の台座部が一体となった構造の台座部により放熱される。これにより、赤外線による冷接点の温度上昇を防ぐと共に、赤外反射層の温度上昇を抑制することができる。
【0017】
また、前記赤外線反射層が、めっき法により析出される金属からなることを特徴とする。この発明によれば、前記台座部と前記赤外線反射層に同一の金属材料を用いることで、製造プロセス上の利便性が得られる。
【0018】
また、本発明に係る赤外線センサは、前記赤外線遮へい層が、赤外線吸収層であることを特徴とする。この発明によれば、被測定物から照射される赤外線が赤外吸収膜によって吸収されることになる。吸収することにより生じた熱は、冷接点の熱を放熱する金属の台座部と、前記赤外線遮へい層の熱を放熱する金属の台座部が一体となった構造の台座部により放熱される。これにより、赤外線による冷接点の温度上昇を防ぐと共に、実装時の周辺部材からの二次ふく射等による誤差を低減することができる。
【0019】
また、本発明に係る赤外線センサは、前記赤外線吸収層が、金黒またはNiCr合金などの赤外線吸収性が高い金属からなることを特徴とする。この発明によれば、高い赤外線吸収率を得ることができる。
【0020】
また、前記赤外線遮へい層は、前記フィルムの一部を、前記フィルムの一部に形成された絶縁層を介して覆うことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る赤外線センサは、前記フィルムの他方の面側における温接点が配置された部分に、赤外線吸収層を形成させることを特徴とする。この発明によれば、被測定物から照射される赤外線が赤外吸収膜によって吸収されることになる。そのため、赤外吸収膜で吸収した赤外線によって、熱電対の温接点側を速やかに温度上昇させることができる。これにより、サーモパイルの感度をさらに向上させることができる。
前記台座部が、実装により配線基板と熱的に接合することを特徴とする。
【0022】
本発明に係る赤外線センサの製造方法は、基板の外周部分に、赤外線遮へい層を形成する赤外線遮へい層形成工程と、前記基板の中央部の上部から外周部分の上部までサーモパイルを形成するサーモパイル形成工程と、 前記サーモパイルを覆うように、電気的に絶縁性を有する樹脂を主成分とするフィルムを形成するフィルム層形成工程と、前記フィルムの外周部分から前記赤外線遮へい層の露出した部分まで金属からなる台座部を形成する台座部形成工程と、前記基板を剥離する剥離工程と、を備えていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る赤外線センサの製造方法は、基板上に剥離層を形成する剥離層形成工程と、前記剥離層の外周部分に、赤外線遮へい層を形成する赤外線遮へい層形成工程と、前記基板の中央部の上部から外周部分の上部までサーモパイルを形成するサーモパイル形成工程と、前記サーモパイルを覆うように、電気的に絶縁性を有する樹脂を主成分とするフィルムを形成するフィルム層形成工程と、前記フィルムの外周部分から前記赤外線遮へい層の露出した部分まで金属からなる台座部を形成する台座部形成工程と、前記剥離層を除去する剥離工程と、を備えていることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、基板との分離が容易である剥離層を形成し、この剥離層上に形成された熱電対上にフィルム層を形成することにより、熱電対をフィルム層に埋没させることができる。次いで、接合体を剥離層と一体分離することで、基板から接合体を容易に分離することができる。その後、剥離層をエッチング等の手段により除去することにより、熱電対が樹脂製フィルムに埋没された赤外線センサを製造することができる。
【0025】
また、本発明に係る赤外線センサの製造方法は、前記サーモパイル形成工程は、膜状熱電対を構成する第1の材料からなる第1の薄膜パターンを形成し、前記膜状熱電対を構成する第2の材料からなり、前記第1の薄膜パターンと接合する第2薄膜パターンを形成するとともに、前記第1の薄膜パターンと前記第2の薄膜パターンとの接点である温接点および冷接点をそれぞれ前記剥離層上および前記絶縁層上に形成してサーモパイルを形成することを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係る赤外線センサの製造方法は、前記赤外線遮へい層形成工程の後、前記サーモパイル形成工程の前において、前記赤外線遮へい層上の基板の中央側に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を備えることを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る赤外線センサの製造方法は、前記台座部形成工程において、前記赤外遮へい層上および前記フィルム上に電気的に導電性を有する導電層を形成し、前記台座部が前記フィルムおよび前記赤外遮へい層に接合する導電層から析出されることを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係る赤外線センサの製造方法は、前記台座部形成工程において、前記導電層を形成した後、前記導電層の基板の端部に形成された部分および前記導電層のフィルムの中央部に形成された部分に、フォトレジスト層を形成することを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係る赤外線センサの製造方法は、前記台座部が、めっき法により析出される金属からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、赤外線遮へい層は金属からなる台座部および金属に接続し、フィルムの赤外線遮へい層および台座部で覆われた部分を効率よく放熱することができる。これにより、冷接点の温度上昇を防ぐことができる。また、サーモパイルにおける冷接点の赤外線の影響を低減し、より感度よく、正確に計測ができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第一実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサをサーモパイル形成面方向と主要部断面を表す図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサのサーモパイル形成面方向断面を表す図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサを作製するための工程のうち、剥離層を形成する工程を示す説明図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサを作製するための工程のうち、赤外線遮へい層を形成する工程を示す説明図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサを作製するための工程のうち、絶縁層を形成する工程を示す説明図である
【図6】本発明の第一実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサを作製するための工程のうち、膜状熱電対を構成する第一の材料からなる薄膜パターンと第二の材料からなる薄膜パターンを形成する工程を示す説明図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサを作製するための工程のうち、受光部等を構成することとなる電気的に絶縁性を有する樹脂を主成分とする層を形成する工程を示す説明図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサを作製するための工程のうち、膜状熱電対の冷接点からの熱を放熱し、冷接点の温度を一定に保つための金属部を形成する工程を示す説明図である。
【図9】本発明の第一実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサを作製するための工程のうち、膜状熱電対の冷接点からの熱を放熱し、冷接点の温度を一定に保つための金属部を形成する工程を示す説明図である。
【図10】本発明の第一実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサを作製するための工程のうち、基板と剥離層を剥離する工程と剥離層を除去する工程を示す説明図である。
【図11】本発明の第一実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサモジュールを配線基板に実装した断面を表す図である。
【図12】本発明の第二実施形態に係るサーモパイル型赤外線センサの主要部断面を表す図である。
【図13】従来のサーモパイル型赤外線センサの主要部断面を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る第一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1(a)は、本発明の第一実施形態であるサーモパイル型赤外線センサをサーモパイル形成面方向から示したものであり、図1(b)は、図1(a)におけるA−Aにおける断面を表す図面である。
【0033】
図1に示すように、サーモパイル型赤外線センサ1は、フィルム2と、第1の薄膜状熱電対材料3及び第2の薄膜状熱電対材料4が対となって構成された複数の膜状熱電対と、台座部18とを有し、膜状熱電対はフィルム2の中に埋没している。
【0034】
台座部18は、中央に貫通孔を有する矩形枠型形状のものであり、その一方側の開口縁を覆うようにフィルム2が形成されている。また、導電層9は、フィルムおよび赤外遮へい層のフィルムと対向する面に形成される。なお、台座部18は、導電層9上にめっき層が形成されたものである。すなわち、台座部18は、金属からなっている。また、台座部18は、フィルムの外周部分から赤外線遮へい層のフィルムと対向する面側におけるフィルムの外周部分から延出して配置された部分まで配置される。さらに、台座部18は、フィルム及び赤外遮へい層と熱的に接続している。また、台座部が、めっきで形成される場合、ニッケル、金、白金、ロジウム、鉄、パラジウム、銅から選ばれる材料、またはこれらから選ばれる材料を主成分とする材料で形成することができる。
【0035】
フィルム2は、電気的に絶縁性を有する樹脂を主成分とする、例えば、紫外線硬化型のエポキシ系フォトレジストなどの材料で構成されており、厚さ方向から見て平面視矩形状のものである。フィルム2は、その外周側において台座部18に支持されるとともに、赤外線の輻射を受光する受光部とを構成している。すなわち、本実施形態のサーモパイル型赤外線センサは、フィルム2の外周部分が台座部18に支持されたメンブレン構造をとっている。
【0036】
図2は、図1(a)の赤外遮へい層6を省略した図である。点線で示された領域が赤外遮へい層6を示している。
【0037】
図2に示すように、複数対の膜状熱電対は、第1の薄膜状熱電対材料3及び第2の薄膜状熱電対材料4が交互に直列接続されることでサーモパイルを構成している。具体的に、各膜状熱電対は、一の膜状熱電対における第1の薄膜状熱電対材料3の一端側と、一の膜状熱電対における第2の薄膜状熱電対材料4の一端側とが接続された温接点8がフィルム2の受光部上に配置される一方、一の膜状熱電対における第1の薄膜状熱電対材料3の他端側と、一の膜状熱電対に隣接する膜状熱電対における第2の薄膜状熱電対材料4の他端側とが接続された冷接点7がフィルム2の台座1上に配置されている。これにより、複数の膜状熱電対が直列接続された状態でフィルム2内に埋没されている。
【0038】
そして、複数の膜状熱電対の最終端には、それぞれ出力電極(接続用端子部)14に接続されており、膜状熱電対に発生する電圧は、最終端である出力電極14にて取り出されるようになっている。
【0039】
また、図1に示すように、フィルムのサーモパイル側の面の冷接点7が配置された部分に絶縁層5が形成されている。絶縁層5上には、赤外線遮へい部6が形成されている。また、赤外線遮へい層は、フィルムの外周部分から延出して配置されている。絶縁層5は、例えば紫外線硬化型のエポキシ系フォトレジストで形成される。赤外線遮へい層(赤外線反射層)は、めっきで形成された場合、ニッケル、金、白金から選ばれる材料、またはこれらから選ばれる材料を主成分とする材料で形成することができる。赤外線遮へい層(赤外線反射層)は、スパッタリングで形成された場合、AlやAgなどの材料で形成することができる。赤外線遮へい層(赤外線吸収層)は、真空蒸着法で形成された場合、金黒等の材料で形成することができる。赤外線遮へい層(赤外線吸収層)は、スパッタリングで形成された場合、NiCrなどの材料で形成することができる。なお、フィルム2の材料に紫外線硬化型のエポキシ系フォトレジストを用いた場合、熱的な絶縁性も有する。そのため、冷接点と台座部とをさらに熱絶縁することが可能である。
【0040】
次に、このような構成からなるサーモパイル型赤外線センサ1の製造方法について説明する。図3から図10は、サーモパイル型赤外線センサの製造方法を示す工程図である。
図2は剥離層11を形成する剥離層形成工程を示している。
【0041】
まず図3(a)に示すシリコンウエハからなる基板10を用意する。なお、基板10の材料は、シリコンに限らず、金属、ガラス、セラミックス等を用いることが可能である。
図3(b)、図3(c)は基板10上に剥離層11を形成する工程を示す図である。
図3(b)の工程では、基板10上に赤外線センサを基板10から容易に引き剥がすことができる剥離層11として、銅薄膜等を真空蒸着法により形成する。
【0042】
さらに、図3(c)の工程では、図3(b)の工程で形成した剥離層11上にマスク等を用いてさらに剥離層11を基板の中央部に図3(b)と同様に形成する。これにより、基板10上に形成された剥離層11は凸状に構成される。この工程により、後述する赤外線遮へい層、絶縁層を形成しない領域を形成することができる。
【0043】
図4(a)に示すように、ポジ型フォトレジスト等により、赤外線遮へい層6を形成する部分に開口部を有するフォトレジスト層12を形成する。具体的には、剥離層11の外周部及び基板10の中央部に形成された剥離層11上、すなわち剥離層の凸部分の上に形成する。これにより、基板10の中央部の剥離層11またはフォトレジスト層12と剥離層11の外周部との間に開口部が形成される。
【0044】
次いで、図4(b)に示すように、電気めっき法により開口部に赤外線遮へい層6を形成する。図4(a)において、基板10の中央部の剥離層11および剥離層11の外周部にフォトレジスト層12を形成しているため、この部分には赤外線遮へい層6が形成されず、開口部に形成することができる。この部分には赤外線遮へい層6が形成されず、開口部のみに形成することができる。なお、赤外遮へい層6は、スパッタ、真空蒸着等でも形成できる。
その後、図4(c)に示すように、フォトレジスト層12をエッチングにより剥離する。
赤外線遮へい層6は、赤外線を反射することで遮へいする赤外線反射層または、赤外線を吸収することで遮へいする赤外線吸収層のいずれかで構成されている。
【0045】
図5は、絶縁層5を形成する絶縁層形成工程を示している。
図5に示すように、電気的に絶縁性を有する材料、例えば紫外線硬化型のエポキシ系フォトレジストをスピンコート法により塗布しフォトレジスト層を形成する。その後、フォトレジスト層に対して露光、現像を行うことによりセンサの平面視の外形を形成するようにパターニングし、絶縁層5を形成する。なお、絶縁層5はポリイミド等を用いても構わない。なお、紫外線硬化型のエポキシ系フォトレジストなど熱的に絶縁性を有する材料を用いることで、冷接点へ熱を伝え難くすることが可能である。
【0046】
図6は、第1の薄膜状熱電対材料3及び第2の薄膜状熱電対材料4からなる薄膜パターンを形成し、サーモパイルを形成するサーモパイル形成工程を示している。
【0047】
図6(a)の工程では、第1の薄膜状熱電対材料3を絶縁層5及び剥離層11上にスパッタリング等の真空成膜技術を用いて成膜し第1の薄膜パターンを形成する。
さらに、図6(b)の工程で不要部分にマスクを行い、第2の薄膜状熱電対材料4を第1の薄膜状熱電対材料3、絶縁層5、及び剥離層上に図6(a)と同様の方法を用いて成膜し、第2の薄膜パターンを形成する。成膜後、マスクにエッチングを施し、さらに、第1の薄膜状熱電対材料3及び第2の薄膜状熱電対材料4、すなわち前記第1の薄膜パターンと前記第2の薄膜パターンとの熱電対接点である冷接点7及び温接点8を形成する。第1の薄膜状熱電対材料3と第2の薄膜状熱電対材料4の熱電材料はNiとAuなど様々な熱電材料の組み合わせが可能である。
【0048】
さらに、膜状熱電対と同じ材料を用いて図2に記載した出力電極14を構成することで、膜状熱電対の形成工程と同時に出力電極14を形成することができる。よって、サーモパイル型赤外線センサを配線基板に実装する際、出力電極14と配線基板の電極パッドとをワイヤボンディングや導電性物質で電気的に接続するために、別途、出力電極を形成する必要が無い。そのため、実装面積を小さくすることができ、小型のサーモパイル型赤外線センサを提供できる。
【0049】
図7は、絶縁層(フィルム)2を形成するフィルム層形成工程を示している。
図7に示すように、紫外線硬化型のエポキシ系フォトレジストを剥離層11、赤外線遮へい層6、絶縁層5、第1の薄膜状熱電対材料3及び第2の薄膜状熱電対材料4を覆うようにスピンコート法により塗布し、フォトレジスト層を形成する。なお、フィルムは、電気的に絶縁性を有し、樹脂を主成分とする材料で形成することが可能である。その後、フォトレジスト層に対して露光、現像を行う。この工程で、フォトレジスト層のうち、剥離層11及び赤外線遮へい層6のうち外周部分、すなわちセンサの外周部分を構成する部分を除去する。これにより、残ったフォトレジスト層がフィルム2を形成することになる。このとき、薄膜状熱電対材料3,4及び出力電極14(図2)は、絶縁性フィルム2内に埋没することとなる。なお、フィルム2はポリイミド等を用いても構わない。また、これにより、赤外線遮へい層6は、フィルムの外周部分から延出して配置される部分を有している。
【0050】
図8、図9は、膜状熱電対の冷接点7からの熱を放熱し、温接点8の温度を一定に保つための台座部18を形成する台座部形成工程を示している。
図8(a)はフィルム2上に導電層9を形成する工程を示す図である。この工程に置いて、スパッタリング等によりクロム、銅薄膜を順次形成することによりフィルム2上に導電層9を形成する。
【0051】
図8(b)は、導電層9上にフォトレジスト層17を形成する工程を示す図である。この工程では、導電層9上にドライフィルムフォトレジストにより台座部18となる部分に開口部を有するフォトレジスト層17を形成する。具体的にはフォトレジスト層17は、導電層9上の基板の端の部分、および導電層9上のフィルム2の中央部に形成される。よって、開口部は、フィルムにおいて冷接点が配置された部分から赤外線遮へい層のうちフィルムの外周部分から延出して配置された部分までに形成されている。
【0052】
図8(c)は、導電層9上の露出している部分にニッケルめっき層を形成する工程を示す図である。この工程では、導電層9を利用して、電気めっき法により30μmの厚みを有するニッケルめっき層(台座部18)を形成する。
【0053】
図9(a)は、フォトレジスト層17を剥離する工程を示す図である。図8の工程後、図9(a)に示すように、フォトレジスト層17をエッチングにより剥離する。
図9(b)は、導電層9の一部を除去し、台座部18を熱的に絶縁する工程を示す図である。図9(b)に示すように、ニッケルめっき層(台座部18)をマスキング層として、導電層9のうちニッケルめっき層を形成していない、すなわち露出している部分をエッチングにより除去する。これにより、熱的に絶縁された台座部18を形成する。この工程で、フィルム2内に複数の膜状熱電対及び出力電極14(図2)と、台座部18とを有するセンサ本体部分が剥離層11上に形成される。
【0054】
図10は、基板10と剥離層11の界面からセンサ本体部を引き剥がす工程と、剥離層11をエッチングにより除去する工程を示している(剥離工程)。
図10(a)は、剥離層11の一部を除去する工程を示す図である。図10(a)に示すように、基板の外周部分において、剥離層の表面を露出している部分をエッチングにより除去する。
【0055】
図10(b)は、基板10を剥離層11から剥離する工程を示す図である。図10(b)に示すように、基板10を剥離層11との界面で引き剥がす。
図10(c)は、剥離層11を除去する工程である。図10(c)に示すように、エッチングにより剥離層11を除去することにより、膜状熱電対及び出力電極14(図2)がフィルム2に埋没したサーモパイル型赤外線センサ1が作製される。
【0056】
以上のように作製されたサーモパイル型赤外線センサ1は、温接点8が配置された受光部と、冷接点7が配置された放熱部とが熱伝導率の低いエポキシ樹脂等からなる絶縁性フィルム2であることから、冷接点7と温接点8との間に大きな温度差を作ることができる。これにより、出力電圧をより高くすることができる。同時に、膜状熱電対や出力電極14がフィルム2に埋没されているため、フィルム2の受光部表面は平坦面となる。そのため、受光部の温度均一性が高まり、安定的な出力を与えることができるサーモパイル型赤外線センサ1を提供できる。さらに、フィルム2の凹凸による放熱が最小化できるため、さらに感度を向上させることができる。
【0057】
また、台座部18を金属材料で形成することで、フィルム2の放熱部がフィルム2に対して十分熱伝導性が良い台座部18に支持されることになる。その結果、温度上昇を極力避ける必要がある膜状熱電対の冷接点7から台座部18を伝って熱が放熱され易くなるため、冷接点7の放熱効果が高まる。これにより、冷接点7の温度上昇を防ぐことができるので、冷接点7と温接点8との温度差を大きくすることができ、膜状熱電対の起電力を大きくすることができる。
【0058】
また、前記フィルム2における前記熱電対の冷接点7側と重なる領域に赤外遮へい層6が配置される構成とした。この赤外遮へい層6により、被測定物から照射される温接点8側領域に吸収されるべき赤外線の一部が赤外遮へい層6によって吸収することにより生じた熱は、赤外遮へい層6と金属で接続する台座部18により効率よく放熱される。これにより、赤外線による冷接点7の温度上昇を防ぎ、サーモパイルの感度をさらに向上させることができる。
【0059】
また、前記台座部18が冷接点7の熱と、前記赤外線遮へい層6の熱を放熱する構造をとる。その結果、サーモパイル型赤外線センサ1を金属で構成する台座部18が外周を覆うことで、簡便な構造で製造コストを抑えながら、サーモパイル型赤外線センサ1の強度を確保しつつ小型化することができる。なお、本実施形態において、剥離層11を形成したが、剥離層11を形成せずに基板に直接赤外線遮へい層等を形成して、製造された赤外線センサを基板から剥離してもよい。
【0060】
次に、本発明の第一実施形態について説明する。図11は、第二実施形態におけるサーモパイル型赤外線センサモジュール20の断面を示したものである。
図11は、第一実施形態におけるサーモパイル型赤外線センサモジュール20の断面を示したものである。図11に示すように、サーモパイル型赤外線センサ1の台座部18がはんだ21付けにより実装され、サーモパイル型赤外線センサ1の台座部18と、配線基板23の配線22が熱的に接続されている。これにより、台座部18の熱を効率よく配線基板23の配線22に放熱することができる。これにより、他の部品とともに実装することができ、実装工程を簡略化、コストダウンを図ることができる。
【0061】
次に、本発明の第二実施形態におけるサーモパイル型赤外線センサについて説明する。
図12は、第二実施形態におけるサーモパイル型赤外線センサ40の断面を示したものである。なお、第一実施形態と同様の構成については、その詳細な説明を省略する。第二実施形態におけるサーモパイル型赤外線センサにおいて、フィルムの台座部18が形成された側の面における温接点が形成された部分に、赤外線吸収層13が形成されていることを除き、第一実施形態と同様である。
【0062】
図12に示すように、第二実施形態におけるサーモパイル型赤外線センサにおいて、フィルムの台座部18が形成された側の面における温接点が形成された部分に、赤外線吸収層13が形成されている。赤外線吸収層13は、スパッタリングや真空蒸着等で形成するNiCr合金や金黒等である。被測定物から照射される赤外線が赤外吸収膜13によって吸収されることになる。そのため、赤外吸収膜で吸収した赤外線によって、熱電対の温接点8側を速やかに温度上昇させることができる。これにより、サーモパイルの感度をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0063】
1、 40、 100 サーモパイル型赤外線センサ
2 絶縁層(フィルム)
3、 103 第一熱電材料
4、 104 第二熱電材料
5、 102 絶縁層
6、 106 赤外線遮へい層
7、 107 冷接点
8、 108 温接点
9 導電層
10、 101 基板
11 剥離層
12、 17 フォトレジスト層
13、 113 赤外線吸収層
14 出力電極
18 台座部(金属)
19 熱電対
20 サーモパイル型赤外線センサモジュール
21 はんだ
22 配線
23 配線基板
105 保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性を有するフィルムと、前記フィルムの一方の面側に配置されたサーモパイルと、前記フィルムの一部を覆う赤外線遮へい層と、前記フィルムを支持する台座部と、を備えたサーモパイル型赤外線センサであって、
前記フィルムは、樹脂を主成分とする材料で構成され、
前記サーモパイルは、一部または全体が前記フィルムに埋没し、前記フィルムの中央部側から外周部分まで配置され、
前記赤外線遮へい層は、前記フィルムの一方の面側において前記フィルムの外周部分に配置された前記サーモパイルを覆うとともに、前記フィルムの外周部分から延出して配置され、
前記台座部は、金属からなり、前記フィルムの他方の面側における外周部分から前記赤外線遮へい層の前記フィルムと対向する面側における前記フィルムの外周部分から延出して配置された部分まで配置されるとともに、前記フィルム及び前記赤外遮へい層と熱的に接続していることを特徴とするサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項2】
前記サーモパイルは、前記フィルムの面方向に沿って直列に接合された複数の膜状熱電対からなり、
前記膜状熱電対は、互いに接合された2種類の膜状材料からなり、前記複数の膜状熱電対のうち、一の膜状熱電対における第1の膜状材料との一端側と、前記一の膜状材料における第2の膜状材料の一端側とを接続した温接点を前記フィルムの中央部側に配置するとともに、前記一の膜状熱電対における第1の膜状材料の他端側と、前記一の膜状熱電対に隣接する膜状熱電対における前記第2の膜状材料の他端側とを接続した冷接点を前記フィルムの外周部分に配置することを特徴とする請求項1に記載のサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項3】
前記赤外線遮へい層は、前記フィルムの一方の面側において前記冷接点を覆い、前記台座部は、前記フィルムの他方の面側における外周部分において、前記冷接点が配置された部分に配置されることを特徴とする請求項2に記載のサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項4】
前記台座部が、めっき法により析出される金属からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項5】
前記フィルムの他方の面および前記赤外遮へい層の前記フィルムと対向する面に導電層が形成され、前記台座部が、前記導電層から析出されることを特徴とする請求項4に記載のサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項6】
前記台座部が、ニッケル、金、白金、ロジウム、鉄、パラジウム、銅から選ばれる材料、またはこれらから選ばれる材料を主成分とする材料であることを特徴とする請求項5に記載のサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項7】
前記赤外線遮へい層が、赤外線反射層であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項8】
前記赤外線反射層が、めっき法により析出される金属からなることを特徴とする請求項7に記載したサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項9】
前記赤外線遮へい層が、赤外線吸収層であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載したサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項10】
前記赤外線吸収層が、金黒またはNiCr合金などの赤外線吸収性が高い金属からなることを特徴とする請求項9に記載したサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項11】
前記赤外線遮へい層は、前記フィルムの一部を、前記フィルムの一部に形成された絶縁層を介して覆うことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項12】
前記フィルムの他方の面側における温接点が配置された部分に、赤外線吸収層を形成させることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項13】
前記台座部が、実装により配線基板と熱的に接合することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のサーモパイル型赤外線センサ。
【請求項14】
基板の外周部分に、赤外線遮へい層を形成する赤外線遮へい層形成工程と、
前記基板の中央部の上部から外周部分の上部までサーモパイルを形成するサーモパイル形成工程と、
前記サーモパイルを覆うように、電気的に絶縁性を有する樹脂を主成分とするフィルムを形成するフィルム層形成工程と、
前記フィルムの外周部分から前記赤外線遮へい層の露出した部分まで金属からなる台座部を形成する台座部形成工程と、
前記基板を剥離する剥離工程と、
を備えていることを特徴とするサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
【請求項15】
基板上に剥離層を形成する剥離層形成工程と、
前記剥離層の外周部分に、赤外線遮へい層を形成する赤外線遮へい層形成工程と、
前記基板の中央部の上部から外周部分の上部までサーモパイルを形成するサーモパイル形成工程と、
前記サーモパイルを覆うように、電気的に絶縁性を有する樹脂を主成分とするフィルムを形成するフィルム層形成工程と、
前記フィルムの外周部分から前記赤外線遮へい層の露出した部分まで金属からなる台座部を形成する台座部形成工程と、
前記剥離層を除去する剥離工程と、
を備えていることを特徴とするサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
【請求項16】
前記サーモパイル形成工程は、膜状熱電対を構成する第1の材料からなる第1の薄膜パターンを形成し、前記膜状熱電対を構成する第2の材料からなり、前記第1の薄膜パターンと接合する第2薄膜パターンを形成するとともに、前記第1の薄膜パターンと前記第2の薄膜パターンとの接点である温接点および冷接点をそれぞれ前記剥離層上および前記絶縁層上に形成してサーモパイルを形成することを特徴とする請求項14または請求項15に記載のサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
【請求項17】
前記赤外線遮へい層形成工程の後、前記サーモパイル形成工程の前において、前記赤外線遮へい層上の基板の中央側に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を備えることを特徴とする請求項14から16のいずれか一項に記載のサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
【請求項18】
前記台座部形成工程において、前記赤外遮へい層上および前記フィルム上に電気的に導電性を有する導電層を形成し、前記台座部が前記フィルムおよび前記赤外遮へい層に接合する導電層から析出されることを特徴とする請求項14から17のいずれか一項に記載のサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
【請求項19】
前記台座部形成工程において、前記導電層を形成した後、前記導電層の基板の端部に形成された部分および前記導電層のフィルムの中央部に形成された部分に、フォトレジスト層を形成することを特徴とする請求項18に記載のサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
【請求項20】
前記台座部が、めっき法により析出される金属からなることを特徴とする請求項19に記載のサーモパイル型赤外線センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−191215(P2011−191215A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58438(P2010−58438)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】