説明

シェービング用金型、加工板の製造方法、及び、製品板の製造方法

【課題】製造コストの増大及び製造効率の低下を生じさせることなく、シェービングを高精度に行うことが可能なシェービング用金型、加工板の製造方法及び製品板の製造方法を提供すること。
【解決手段】以下の構成を備えたシェービング用金型、並びに、これを用いた加工板の製造方法及び製品板の製造方法。(1)シェービング用金型は、母板の搬送方向に対して上流側に配置された第1手段と、母板の搬送方向に対して下流側に配置された第2手段とを備えている。(2)第1手段は、加工板と同一又はそれより大きい領域をプッシュバックするプッシュバック手段を備えている。(3)第2手段は、プッシュバックされた領域を母板から再度打ち抜くシェービング手段と、シェービング前に、母板から前記領域の全部又は一部を抜き出し、抜き出された前記領域の周囲に空間を形成し、シェービング中に発生する切り屑を前記空間内に排出する切り屑排出手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェービング用金型、加工板の製造方法、及び、製品板の製造方法に関し、さらに詳しくは、プリント回路板がプッシュバック法により枠部に仮止めされた実装用基板、プリント回路板が幅の狭い連結部を介して枠部に仮止めされた実装用基板、そのままの状態で自動実装及び各種装置への組み付けが行われる実装用基板などの各種加工板の外形切断及び外周部のシェービングを行うためのシェービング用金型、このようなシェービング用金型を用いた加工板の製造方法、及び、このような方法により得られる加工板から製品板(プリント回路板)を得る製品板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化に伴い、電子機器に用いられるプリント回路板に対しても小型化、異形化の要求が増大している。一方、プリント回路板に電子部品を装着するためのチップマウンターや自動挿入機などの電子部品自動装着機(以下、これを「自装機」という。)は、搬送の関係から、ワークの大きさに上限と下限がある。また、自装機に使用するワークの外形は、実質的に長方形であること、すなわち、少なくとも一つの辺が直線で、これに直交する辺の少なくとも1つが直線であることが要求される。
【0003】
そこで、小型、かつ異形のプリント回路板上に自装機を用いて電子部品を装着する場合には、まず、プリント配線母板に複数のプリント回路板を作り込み、Vカット法、プッシュバック法、ミシン目法等を用いて、プリント回路板がもとのプリント配線母板に仮止めされた状態とし、次いで、プリント配線母板の外形を自装機で搬送可能な大きさ、形状を有する基板(実装用基板)に切断する方法が用いられている。
【0004】
この内、Vカット法は、プリント配線母板上に印刷されたプリント回路の境界線に沿ってV字形、U字型等の凹溝(Vカット)を入れ、プリント回路上に電子部品を実装した後、Vカットに沿って破断させる方法である。従って、Vカット法は、その外形が直線的であるプリント回路板に対してのみ適用可能である。
また、ミシン目法は、プリント回路板の境界線に沿って、多数の小孔をあけ、小孔に沿って破断させる方法である。ミシン目法は、破断後の境界線に凹凸が残るので、外形の寸法精度が要求されないプリント回路板に対してのみ適用可能である。なお、ミシン目に代えて、プリント回路板の境界線に沿って不連続な長孔を離散的に形成し、幅の狭い連結部で枠部に仮止めする方法も知られている。
【0005】
一方、プッシュバック法は、上型及び下型でプリント配線母板を狭持しながら、所定の形状を有する刃物を用いてプリント回路板を打ち抜き、次いで、打ち抜かれたプリント回路板を元の穴にはめ込む方法である。プッシュバック法は、外形の寸法精度が高く、かつ、プリント回路板の形状に制約はないので、特に、異形のプリント回路板に電子部品を自動装着する場合に有効な方法である。
【0006】
プッシュバック法を用いたプリント配線母板の加工は、一般に、
(1) 電気回路が印刷されたプリント配線母板にプッシュバック用の基準穴を形成し、
(2) プッシュバック用金型を用いて、プリント回路板のプッシュバック加工、及び、必要に応じて部品穴等の穿孔を行い、
(3) 外形切断用金型を用いてプリント配線母板の外形を切断し、所定個数のプリント回路板を含む実装用基板を母板から切り出す、
ことにより行われている。
【0007】
しかしながら、プッシュバック加工は、一般に、プリント配線母板に強いせん断力が作用するため、反りが発生しやすい。プッシュバック加工と外形切断は、従来、別個の金型を用いて行うのが一般的であったが、母板に対してプッシュバック加工のみを連続して行うと母板に大きな反りが発生し、外形切断が困難になるという問題があった。また、プッシュバック加工用の金型と外形切断用の金型が必要となり、高コスト化を招くという問題があった。さらに、製造された実装用基板に反りが発生し、あるいは、相対的に大きな残留応力があると、枠部からプリント回路板を取り外すのが困難になるという問題があった。
【0008】
同様に、プリント回路板の境界線に不連続な長孔を形成する場合において、これを金型プレス法で形成するためには、従来、2個の金型を用い、かつ2回の工程に分けてプレスを行う必要があった。その結果、金型費用及び工数が増大するという問題がある。一方、金型プレス法以外の方法(例えば、ルータ加工)では、長穴の形成コストをさらに増大させるという問題がある。
【0009】
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、プリント配線母板の搬送方向に対して上流側に配置され、前記プリント配線母板からプリント回路板を打ち抜き、打ち抜かれた前記プリント回路板を元の穴にはめ込むためのプッシュバック手段と、前記プリント配線母板の搬送方向に対して下流側に配置され、プッシュバックされた1又は2以上の前記プリント回路板を含む実装用基板を前記プリント配線母板から切り出すための外形切断手段とを備えたプリント配線母板加工用金型が開示されている。
同文献には、プッシュバック手段によりプッシュバックされた領域が外形切断手段により逐次切り離されるので、プリント配線母板の反りの影響を大きく受けることなく容易に外形切断が行える点、及び、1つの金型でプッシュバック加工と外形切断加工とを行うことができるので、金型コストを低減できる点が記載されている。
【0010】
また、特許文献2には、
母板の搬送方向に対して上流側に配置された第1手段と、前記母板の搬送方向に対して下流側に配置された第2手段とを備え、
前記第1手段は、加工板と同一又はそれより大きい領域を前記母板から打ち抜き、打ち抜かれた前記領域を元の穴にはめ込むプッシュバック手段と、前記領域のプッシュバックと同時に、前記領域内に形成された製品板の外周の一部に、離散的に第1長穴を形成する第1長穴形成手段とを備え、
前記第2手段は、前記製品板を含む前記加工板を前記母板から打ち抜く打抜手段と、前記加工板の打ち抜きと同時に、少なくともその一端が前記第1長穴の一端に近接するように、前記製品板の外周であって、前記第1長穴の間に第2長穴を形成する第2長穴形成手段とを備えた母板加工用金型が開示されている。
同文献には、このような構成を採用することによって、直前のプレスで形成された第1長穴に近接して、第2長穴を形成することができるので、別個の金型を用いた従来の方法に比べて、金型費用及び工数を大幅に削減することができる点、及び、長穴が2段階に分けて形成されるので、プレス時に連結部が破損することもない点が記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開2002−233996号公報
【特許文献2】特開2005−022072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年、電子機器の高精度化に伴い、プリント回路板を装置に組み込む際における装置内へのゴミの侵入防止が重要な課題となっている。一般に、プレス法で製造されたプリント回路板は、切断面に切り屑などのゴミが付着している場合が多く、ゴミの侵入源となりやすい。
これに対し、特許文献2に開示されているように、上流側に実装用基板のプッシュバック手段、下流側に実装用基板の打抜手段を備えた金型を用いると、離散的な長孔を効率よく形成できるだけでなく、実装用基板の外周面のシェービングも同時に行うことができるという利点がある。また、同一の長孔や部品孔などを上流側及び下流側で2回プレスを行うと、孔の内周面のシェービングを行うこともできる。
【0013】
しかしながら、特許文献2に開示された金型を用いて矩形の実装用基板の外周面のシェービングを行った場合、搬送方向に対して左右辺及び下流側の辺に比べて、上流側の辺のシェービング精度が低いという問題があった。
一方、実装用基板の全周に渡って高精度のシェービングを行うためには、別個の金型を用いて2回プレスする必要がある。しかしながら、このような方法では、製造コストが高くなり、効率も極めて悪い。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、製造コストの増大及び製造効率の低下を生じさせることなく、加工板(例えば、実装用基板)のシェービングを高精度に行うことが可能なシェービング用金型、これを用いた加工板の製造方法、及び、このような加工板から製品板(例えば、プリント回路板)を製造する製品板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明に係るシェービング用金型は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1) 前記シェービング用金型は、母板の搬送方向に対して上流側に配置された第1手段と、前記母板の搬送方向に対して下流側に配置された第2手段とを備えている。
(2) 前記第1手段は、加工板と同一又はそれより大きい領域を前記母板から打ち抜き、打ち抜かれた前記領域を元の穴にはめ込むプッシュバック手段を備えている。
(3) 前記第2手段は、
前記領域を前記母板から再度打ち抜くことによって、外周がシェービングされた前記加工板を得るシェービング手段と、
前記シェービング手段によるシェービングが行われる前に、前記母板から前記領域の全部又は一部を抜き出し、抜き出された前記領域の周囲に空間を形成し、シェービング中に発生する切り屑を前記空間内に排出する切り屑排出手段と
を備えている。
前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方は、前記領域内に含まれる製品板の外周に離散的な長孔を形成するための長孔形成手段をさらに備えていても良い。
【0016】
本発明に係る加工板の製造方法の1番目は、以下の工程を備えていることを要旨とする。
(1) 請求項1から8までのいずれかに記載のシェービング用金型を用いて、
前記第1手段において、前記母板から領域(A)をプッシュバックする第1工程。
(ロ) 前記領域(A)が前記第2手段上に来るように、前記母板を搬送し、前記第1手段において、前記母板から新たに領域(B)をプッシュバックすると同時に、
前記第2手段において、前記領域(A)の周囲に形成された前記空間内にシェービング時の切り屑を排出しながら、前記母板から前記領域(A)を打ち抜き、前記領域(A)の周囲をシェービングする第2工程。
【0017】
本発明に係る製品板の製造方法の1番目は、前記母板が前記領域内にプッシュバックされた製品板を備えている場合において、本発明に係る第1の製造方法により得られた加工板から枠部を分離し、製品板を得ることを要旨とする。
【0018】
本発明に係る加工板の製造方法の2番目は、以下の工程を備えていることを要旨とする。
(1) 請求項9に記載のシェービング用金型を用いて、
前記第1手段において、前記母板から領域(A)をプッシュバックする第1工程。
(ロ) 前記領域(A)が前記第2手段上に来るように、前記母板を搬送し、前記第1手段において、前記母板から新たに領域(B)をプッシュバックすると同時に、
前記第2手段において、前記領域(A)の周囲に形成された前記空間内にシェービング時の切り屑を排出しながら、前記母板から前記領域(A)を打ち抜き、前記領域(A)の周囲をシェービングする第2工程。
【0019】
さらに、本発明に係る製品板の製造方法の2番目は、本発明に係る第2の製造方法により得られた加工板から枠部を分離し、製品板を得ることを要旨とする。
【発明の効果】
【0020】
上流側に配置された第1手段において加工板を含む領域をプッシュバックし、下流側に配置された第2手段においてその領域を再度打ち抜き、外周がシェービングされた加工板を得る場合において、シェービング精度が低下する原因は、シェービング時に発生する切り屑が逃げ場を失い、雌型と加工板との隙間に切り屑が咬み込むためと考えられる。
これに対し、このような金型を用いてシェービングする場合において、シェービングが行われる前に、母板から領域の全部又は一部を抜き出し、抜き出された領域の周囲に空間を形成すると、シェービング中に発生する切り屑が空間内に排出される。そのため、雌型と加工板との隙間への切り屑の咬み込みが抑制され、別個の金型を用いて2段階に分けてシェービングを行った場合とほぼ同等のシェービング精度が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、プリント配線母板からシェービングされた実装用基板を製造するためのシェービング用金型、及び、このような金型を用いた実装用基板の製造方法について説明するが、本発明は、プリント配線母板以外の「母板」、実装用基板以外の「加工板」についても適用することができる。
また、本発明は、プリント配線母板から切り出された実装用基板がそのままプリント回路板(製品板)となる加工板だけでなく、プリント回路板(製品板)がプッシュバック法や離散的な長孔によって枠部に仮止めされた実装用基板(加工板)に対しても適用することができる。
【0022】
[1. 第1の実施の形態]
[1.1 シェービング用金型(1)]
図1、2に、本発明の第1の実施の形態に係るシェービング用金型1を示す。図1、2において、シェービング用金型1は、下型20と上型50とを備えている。また、下型20及び上型50は、それぞれ、母板の搬送方向に対して上流側が第1プレス部(第1手段)3に、また、搬送方向に対して下流側が第2プレス部(第2手段)5になっている。
【0023】
第1プレス部3は、実装用基板と同一又はそれより大きい領域をプリント配線母板から打ち抜き、打ち抜かれた領域を元の穴にはめ込むプッシュバック手段を備えている。
第2プレス部5は、実装用基板を含む領域をプリント配線母板から再度打ち抜くことによって、外周がシェービングされた加工板を得るシェービング手段と、シェービング手段によるシェービングが行われる前に、プリント配線母板からプッシュバックされた領域の全部又は一部を抜き出し、抜き出された領域の周囲に空間を形成し、シェービング中に発生する切り屑を空間内に排出する切り屑排出手段とを備えている。
【0024】
下型20は、図1に示すように、下型ベース板22と、下型ストリッパー24とを備えている。下型ベース板22の第1プレス部3には、実装用基板と同一又はそれより大きい領域をプッシュバックするための第1下パンチ22aが設けられている。また、第2プレス部5には、プリント配線母板から実装用基板を含む領域を再度、打ち抜くための第2下パンチ22bが設けられている。
【0025】
第1下パンチ22aと第2下パンチ22bの外形は、同一であっても良いが、シェービングにより実装用基板の外周面を平滑化するためには、第2下パンチ22bの外形を第1下パンチ22aの外形よりやや小さくするのが好ましい。好適な寸法差は、実装用基板の形状、大きさ、材質などにもよるが、通常は、0〜300μm程度である。寸法差は、さらに好ましくは、70〜200μmである。
なお、図1に示す例において、第1下パンチ22a及び第2下パンチ22bの外形は、矩形になっているが、これは単なる例示であり、これらの下パンチの外形は、矩形に限定されるものではない。すなわち、第1下パンチ22a及び第2下パンチ22bの外形は、部分的に凹凸、切り欠き、曲線などを含んでいるものでも良い。
【0026】
本実施の形態において、第2下パンチ22bの上面は、第1下パンチ22aの上面より高くなっている(切り屑排出手段)。第2下パンチ22bと第1下パンチ22aの上面の高さの差(パンチ上面の高低差)は、シェービングが行われる前に、プリント配線母板からプッシュバックされた領域の全部又は一部を抜き出し、抜き出された領域の周囲に空間を形成可能なものであれば良い。従って、領域(シェービング加工前の実装用基板)の周囲に切り屑を排出可能な空間を形成可能である限り、パンチ上面の高低差は、プリント配線母板の板厚より小さくても良い。
しかしながら、切り屑の排出を確実に行うためには、パンチ上面の高低差は、プリント配線母板の板厚の1.0倍以上が好ましく、さらに好ましくは、1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上である。
【0027】
下型ストリッパー24には、第1下パンチ22a及び第2下パンチ22bに対応する位置に貫通孔が設けられ、第1下パンチ22a及び第下パンチ22bの周壁面に沿って下型ストリッパー24が上下動可能になっている。また、下型ストリッパー24は、下型ベース板22の下方から遊挿される複数個のボルト26、26…によって上方向への移動が規制され、かつ、下型ベース板22と下型ストリッパー24の間に介挿される弾性部材28、28…によって上方向に付勢されている。弾性部材28、28…の材質は、特に限定されるものではないが、ウレタンゴムが好適である。
なお、第2プレス部5においてシェービングが始まる前にプッシュバック領域を母板から確実に抜き出し、かつ、第1プレス部3においてプッシュバック領域を確実に元の穴にはめ込むためには、図1に示すように、第1下パンチ22aと下型ストリッパー24の上面をほぼ同一にするのが好ましい。しかしながら、パンチ上面の高低差、弾性部材の付勢力、プッシュバック領域の形状等によっては、プッシュバック領域の抜き出しとプッシュバック領域の元の穴へのはめ込みに支障がない場合もある。そのような場合には、第2下パンチ22bの上面と下型ストリッパー24の上面がほぼ同一となるように、ボルト26、26…の長さ、及び、弾性部材28、28…の付勢力を調整しても良い。
【0028】
下型ストリッパー24の四隅には、下型ベース板22の下方から挿入されるポスト30a〜30dが立設される。ポスト30a〜30dは、プレスの際に下型20及び上型50の位置決めに用いられるものである。
【0029】
第1下パンチ22aの上面には、プッシュバックの際の位置決めに用いられる位置決めピン32a、32bが立設されている。同様に、第2下パンチ22bの上面には、領域の打ち抜き(実装用基板のシェービング)の際の位置決めに用いられる位置決めピン32c、32dが立設されている。位置決めピン32c、32dは、それぞれ、位置決めピン32a、32bに対応する位置に設けられている。
【0030】
本実施の形態において、第1下パンチ22a及び下型ベース板22には、貫通孔形成ピンを誘導するための第1誘導孔(第1貫通孔形成手段)34aが設けられている。同様に、第2下パンチ22b及び下型ベース板22には、同じく、貫通孔形成ピンを誘導するための第2誘導孔(第2貫通孔形成手段)34bが設けられている。第2誘導孔34bは、第1誘導孔34aに対応する位置に設けられている。
単に貫通孔を形成する場合には、第1誘導孔34a又は第2誘導孔34b(及び、これに対応する貫通孔形成ピン)のいずれか一方があれば足りる。しかしながら、双方の下パンチの対応する位置にそれぞれ誘導孔を設けると、実装用基板の外周のシェービングと同時に、貫通孔内周面のシェービングも行うことができる。この場合、第2誘導孔34bの内径は、第1誘導孔34aの内径と同一でも良いが、第2貫通孔34bの内径を第1誘導孔34aの内径よりやや大きくすると、より平滑な内周面が得られる点は、実装用基板外周のシェービングと同様である。
【0031】
なお、図1に示す例において、各パンチには、それぞれ、1個の誘導孔が設けられているが、これは単なる例示であり、誘導孔は2個以上あっても良い。例えば、各種電子部品を実装するための部品孔や、自動実装の際の基準となる基準孔及びサブ基準孔などを設けるための誘導孔を設けることができる。この場合、これらの誘導孔は、いずれか一方のパンチ側で形成しても良く、あるいは、双方のパンチ側で同一箇所を打ち抜き、実装用基板に形成された貫通孔の内周面のシェービングを行っても良い。
また、図示はしないが、幅の狭い連結部を介して枠部に仮止めされたプリント回路板を含む実装用基板を製造する場合、第1下パンチ22a及び第2下パンチ22bの少なくとも一方に、離散的な長孔を形成するための誘導孔(長孔形成手段)を設けても良い。この場合、特許文献2に開示されるように、いずれか一方のパンチ側で離散的な長孔を互い違いに打ち抜いても良く、あるいは、双方のパンチ側で同一の長孔を打ち抜き、離散的に形成された長孔の内周面のシェービングを行っても良い。
【0032】
上型50は、図2に示すように、上型ベース板52と、4つのホルダ54a〜54dとを備えている。上型ベース板52及び各ホルダ54a〜54dは、上型ベース板52に立設されたノックピン(図示せず)を基準として積層され、複数の締結ボルト(図示せず)により締結されている。
【0033】
上型50の最先端に位置するホルダ54dの第1プレス部3、及び、第2プレス部5には、それぞれ、実装用基板と同一又はそれより大きい領域をプッシュバックするための第1上型ストリッパー60a、及び、実装用基板を打ち抜くための第2上型ストリッパー60bが取り付けられている。第1上型ストリッパー60a及び第2上型ストリッパー60bは、それぞれ、下型に設けられる第1下パンチ22a及び第2下パンチ22bに対応する位置に設けられる。
【0034】
第1上型ストリッパー60a及び第2上型ストリッパー60bは、それぞれ、ホルダ54dに設けられた第1雌型62a及び第2雌型62b内に遊挿される。第1上型ストリッパー60a及び第2上型ストリッパー60bは、ホルダ54cの上方から遊挿されるボルト64、64…によって支持され、かつ、下方向への移動が規制されている。また、ボルト64、64…は、ホルダ54b内に設けられる貫通孔65、65…に沿って上下動可能になっている。
第1上型ストリッパー60aの下面は、シェービング前にプリント配線母板からプッシュバックされた領域の全部又は一部を抜き出し、抜き出された領域の周囲に空間を形成することができるように、上型50の下面より突き出している必要がある(切り屑排出手段)。そのためには、上型50の下面の第1上型ストリッパー60a下面の差(突き出し長さ)は、第1下パンチ22aと第2下パンチ22bの上面の高低差以上が好ましい。
一方、第2上型ストリッパー60bには、プリント配線母板からプッシュバックされた領域を抜き出す機能はないので、その下面は、必ずしも第1上型ストリッパー60aの下面と同一面上にある必要はない。
【0035】
第1押圧ピン66a、66a…は、第1上型ストリッパー60aを下方に押圧するためのものであり、ホルダ54b、54cを縦方向に貫通する貫通孔内に遊挿される。その一端は、第1上型ストリッパー60aの上面に当接し、その他端は、ホルダ54aの中央スペース68内に配置される第1押圧板70aの下面に当接している。
【0036】
また、第2押圧ピン66b、66b…は、第2上型ストリッパー60bを下方に押圧するためのものであり、ホルダ54b、54cを縦方向に貫通する貫通孔内に遊挿される。その一端は、第2上型ストリッパー60bの上面に当接し、その他端は、ホルダ54aの中央スペース68内に配置される第2押圧板70bの下面に当接している。
【0037】
第1押圧板70aは、第1押圧ピン66a、66a…を下方に押圧するためのものである。第1押圧板70aの上面とキャップボルト72、72…との間には、それぞれ、弾性部材74、74…が介挿され、弾性部材74、74…により、第1押圧板70aを下方に付勢するようになっている。弾性部材74、74…の材質は、特に限定されるものではないが、ウレタンゴムが好適である。
【0038】
第2押圧板70bは、第2押圧ピン66b、66b…を下方に押圧するためのものである。第2押圧板70bの上面には、第2押圧板70bを下方に押圧するためのノックアウト用ブッシュ76が設けられる。ノックアウト用ブッシュ76は、無負荷状態において、その先端が上型ベース板52の上面から僅かに突出するように、その長さが決められている。
【0039】
ホルダ54dには、下型20に立設されるポスト30a〜30dに対応する位置に、それぞれ、ポスト誘導穴78a〜78dが設けられる。また、第1上型ストリッパ60a及び第2上型ストリッパ60bの下面には、下型20に立設される位置決めピン32a〜32dに対応する位置に、それぞれ、位置決めピン誘導穴80a〜80dが設けられる。
【0040】
第1下パンチ22aの上面に形成される第1誘導孔34aに対応する位置には、第1貫通孔形成ピン(第1貫通孔形成手段)82aが設けられている。同様に、第2下パンチ22bの上面に形成される第2誘導孔34bに対応する位置には、第2貫通孔形成ピン(第2貫通孔形成手段)82bが設けられている。
なお、シェービングを行わない貫通孔を形成する場合、いずれか一方のパンチ側にのみ貫通孔形成ピンを設けることができる。また、離散的な長孔を形成する場合、いずれか一方又は双方のパンチ側に、長孔を形成するための長孔形成ピン(長孔形成手段)を設けることができる。
【0041】
第1貫通孔形成ピン82aの先端は、第1上型ストリッパー60aに設けられた貫通孔内に遊挿されており、先端の位置は、上型50の下面とほぼ同一面上にある。そのため、第1上型ストリッパー60aが第1雌型62aの内周面に沿って上方に移動するに伴い、第1上型ストリッパー60aの下面から、ピン先端が突き出すようになっている。この点は、第2貫通孔形成ピン82b及び図示しない他のピンも同様である。
【0042】
さらに、第2上型ストリッパー60bの両端には、ホルダ54c、54dに貫通孔が設けられ、貫通穴内には、母板押圧用の押圧ピン84、84…が上下動自在となるように挿入されている。また、押圧ピン84、84…の基端には、これを下方に付勢するための弾性部材86、86…が設けられている。弾性部材86、86…には、ウレタンゴム、バネなどを用いることができる。押圧ピン84、84…は、プッシュバックされた領域を母板から抜き出すことができ、かつ、抜き出し後は上型50内に完全に押し込められるようになっている。
押圧ピン84、84…、及び、弾性部材86、86…は、弾性部材86、86…の下方向の付勢力によってシェービング前にプリント配線母板を下方に押圧し、プリント配線母板からプッシュバックされた領域の全部又は一部を抜き出すためのもの(弾性押圧手段)である。弾性押圧手段は、必ずしも必要ではないが、これを設けることによってプッシュバックされた領域の抜き出しが容易化するという利点がある。
なお、図2に示す例においては、第2上型ストリッパー60bの側方に、合計4個の押圧ピン84、84…が配置されているが、これは単なる例示であり、第2上型ストリッパー60bの周囲であって、プッシュバック領域の抜き外しが可能であれば、その個数や配置は特に限定されるものではない。
【0043】
[1.2 実装用基板の製造方法及びプリント回路板の製造方法]
次に、本実施の形態に係るシェービング用金型1を用いた実装用基板の製造方法について説明する。図3〜図5に、プレス加工の工程図を示す。
まず、図3(a)に示すように、下型20の上面に母板10を載せる。この母板10は、直前のプレスにおいて、実装用基板11と同一又はこれより大きい形状を有する領域(A)11Aのプッシュバックと、第1貫通孔形成ピン82aによる貫通孔の打ち抜きが行われた状態になっている。
【0044】
母板10は、直前のプレスが終了した後、図3(a)の右方向に搬送され、直前のプレス工程において、第1プレス部3でプッシュバックされた領域(A)11Aが第2プレス部5上に来るように、下型20の上面に載置される。母板10の位置決めは、下型20の上面に設けられた位置決めピン32a〜32dを母板10に予め形成されたプッシュバック基準穴に挿入することにより行われる。
また、図3に示す例では、第2下パンチ22bの上面は、下型ストリッパー24の上面より突き出している。このような場合には、母板10の上流端は、図示しない支持板で支えるか、あるいは、作業者が手で支持し、母板10を下型ストリッパー24の上面とほぼ平行に保っておく。
【0045】
この状態から上型50を下降させると、まず、第1上型ストリッパー60a及び第2上型ストリッパー60bの先端が母板10の上面に接触し、第1上型ストリッパー60a及び第2上型ストリッパー60bは、それぞれ、第1雌型62a及び第2雌型62bの内周面に沿って上方に移動する。
【0046】
さらに上型50を下降させると、図3(b)に示すように、第1プレス部3では、弾性部材74、74により下方向に付勢された第1上型ストリッパー60aが母板10を下方に押し下げる。また、第2プレス部5に、押圧ピン84、84…、及び、弾性部材86、86…が設けられている場合には、同時に押圧ピン84、84…が母板10を下方に押し下げる。その結果、第2下パンチ22bにより、領域(A)11Aが母板10から押し出される。また、これと同時に、領域(A)11Aの周囲には、下パンチの上面の高低差に相当する空間が形成される。
【0047】
さらに上型50を下降させると、図4(a)に示すように、第2プレス部5では、領域(A)11Aが第2雌型62b内に押し込まれる。その結果、領域(A)11Aの外周部がシェービングされる。シェービング時に発生する切り屑は、領域(A)11Aの周囲に形成された空間内に排出される。
また、第2上型ストリッパー60bが上方に押し上げられるに伴い、第2上型ストリッパー60bの下面から、第2貫通孔形成ピン82bが突き出す。その結果、第1貫通孔形成ピン82aにより形成された貫通孔に、再度、第2貫通孔形成ピン82bが挿入され、貫通孔の内周面がシェービングされる。シェービング時に発生する切り屑は、第2誘導孔34bを通って下型20の下方から排出される。
【0048】
さらに上型50を下降させると、図4(b)に示すように、第1プレス部3では、第1下パンチ22aが第1上型ストリッパー60aを上方に押し上げることによって、新たな領域(B)11Bを打ち抜く。
また、第1上型ストリッパー60aが上方に押し上げられるに伴い、第1上型ストリッパー60aの下面から、第1貫通孔形成ピン82aの先端が突出し、領域(B)11Bの内部に貫通孔を形成する。これと同時に、ホルダ54dは、弾性部材28の弾性力に抗して、領域(B)11Bが打ち抜かれた後の母板10及び下型ストリッパー24を下方に押し下げる。また、貫通孔の抜きカスは、第1誘導孔34aを通って下型20の下方から排出される。
【0049】
一方、第2プレス部5側では、第2下パンチ22bが第2上型ストリッパー60bを上方に押し上げることによって、シェービングが終了した後の領域(A)11Aをさらに上方に押し上げる。
【0050】
次に、打ち抜きが終了した後、上型50を上昇させると、図5(a)に示すように、弾性部材28、28…が、その復元力によって、下型ストリッパー24と共に母板10を上方に押し上げる。この時、第1プレス部3側では、弾性部材74、74…により付勢された第1押圧板70aが第1押圧ピン66a、66aを介して第1上型ストリッパー60aを下方に押し下げる。その結果、上型50が下型20から完全に離脱するときには、図5(a)に示すように、新たに打ち抜かれた領域(B)11Bが母板10の元の穴にはめ込まれた状態となる。
【0051】
一方、第2プレス部5側では、第2上型ストリッパー60bには下方向の付勢力が作用しない。そのため、図5(a)に示すように、上型50が下型20から離脱しても、第2上型ストリッパー60bは下降せず、シェービングされた実装用基板11(領域(A)11A)は、第2雌型62b内に一旦保持される。また、この時、ノックアウト用ブッシュ76は、上型ベース板52の上方から突き出た状態となる。
【0052】
上型50をさらに上昇させ、上型50が上死点近傍に近づくと、やがて、プレス機械に設けられた図示しない押圧手段がノックアウト用ブッシュ76を下方に押圧する。また、第2押圧板70bは、第2押圧ピン66b、66bを介して第2上型ストリッパー60bを下方に押し下げる。そのため、上型50が上死点に達した時には、図5(b)に示すように、第2上型ストリッパー60bが元の位置まで押し下げられ、これと同時に、実装用基板11が第2雌型62b内から押し出される。
【0053】
この後、新たに打ち抜かれた領域(B)11Bが第2プレス部5の真下に来るように、母板10を右方向に搬送する。そして、上述した手順と同一の手順に従って、次の領域の打ち抜き及び貫通孔の形成、並びに、直前のプレスで打ち抜かれた領域及び貫通孔のシェービングを必要な回数だけ繰り返す。
【0054】
得られた実装用基板11は、自動実装工程に送られ、表面に各種の電子部品が実装される。実装後、基板をそのまま各種の電子機器に組み込むことができる。また、プレス時に離散的な長孔を形成した場合には、自動実装後、連結部を破断することによって枠部とプリント回路板を分離し、分離したプリント回路板を各種の電子機器に組み込むことができる。
さらに、プリント配線母板に対して、予めプッシュバック加工を行うと、プリント回路板が元の孔にはめ込まれたプリント配線母板が得られる。このような母板を用いて、本実施の形態に係るシェービング用金型1により実装用基板11のプッシュバック及びシェービングを行うと、プッシュバック法によりプリント回路板が仮止めされた実装用基板が得られる。このような場合には、実装基板への自動実装終了後、枠部を破断させることによって枠部とプリント回路板を分離し、分離したプリント回路板を各種の電子機器に組み込むことができる。
【0055】
[1.3 本実施の形態に係るシェービング用金型の作用]
上流側に配置された第1プレス部3において実装用基板を含む領域をプッシュバックし、下流側に配置された第2プレス部5においてその領域を再度打ち抜くと、同一箇所を2度、打ち抜くことになるので、実装用基板の外周部をシェービングすることができる。しかしながら、実装用基板の左右辺及び下流側の辺は平滑な面になるが、搬送方向に対して上流側(プッシュバック手段側)の辺は、これらに比べて平滑性に劣る。
【0056】
母板を下流側に順送りしながらプッシュバックする場合において、プッシュバックされた領域の左右辺及び下流側の辺は、いずれも枠部の剛性が弱く、たわみやすい。一方、上流側の辺は、未だプッシュバック加工が行われていない領域が近接しているので、剛性が高い。母板を順送りしながらプッシュバック加工及びシェービング加工を行う場合において、上流側の辺におけるシェービング精度が低下するのは、シェービング時に発生する切り屑が逃げ場を失い、雌型と実装用基板との隙間に切り屑が咬み込むためと考えられる。
【0057】
これに対し、このような金型を用いてシェービングする場合において、第2下パンチ22bの上面を第1下パンチ22aの上面より高くすると、シェービングが行われる前に、母板からプッシュバックされた領域の全部又は一部が抜き出される。また、プッシュバックされた領域11Aが母板10から抜けることによって、領域11Aの周囲に空間が形成される。そのため、シェービング中に発生する切り屑が空間内に排出され、第2雌型62bと実装用基板11との隙間への切り屑の咬み込みが抑制される。また、これによって、別個の金型を用いて2段階に分けてシェービングを行った場合とほぼ同等のシェービング精度が得られる。
【0058】
また、プッシュバックされた領域の抜き外しは、上型50の下面から突き出した第1上型ストリッパー60aの押圧力のみによっても行うことができる。しかしながら、第1上型ストリッパー60aの押圧力のみでは、母板にかかる力が不均一となり、プッシュバック領域の抜き外しの際に母板が大きくたわむおそれがある。
これに対し、第2上型ストリッパー60bの周囲に、弾性押圧手段(押圧ピン84、84…及び弾性部材86、86…)を設けると、第1上型ストリッパー60aと弾性押圧手段の双方により、母板10が均等に下方に押圧される。その結果、プッシュバックされた領域11Aの抜き外しを確実に行うことができる。
【0059】
[2. 第2の実施の形態]
[2.1 シェービング用金型(2)]
図6、7に、本発明の第2の実施の形態に係るシェービング用金型1’を示す。なお、各部の符号の内、図1、2に示すシェービング用金型1に対応する部分については同一の符号を用いた。
図6、7において、シェービング用金型1’は、下型20と上型50とを備えてる。また、下型20及び上型50は、それぞれ、母板の搬送方向に対して上流側が第1プレス部(第1手段)3に、また、搬送方向に対して下流側が第2プレス部(第2手段)5になっている。
【0060】
第1プレス部3は、実装用基板と同一又はそれより大きい領域をプリント配線母板から打ち抜き、打ち抜かれた領域を元の穴にはめ込むプッシュバック手段を備えている。
第2プレス部5は、実装用基板を含む領域をプリント配線母板から再度打ち抜くことによって、外周がシェービングされた加工板を得るシェービング手段と、シェービング手段によるシェービングが行われる前に、プリント配線母板からプッシュバックされた領域の全部又は一部を抜き出し、抜き出された領域の周囲に空間を形成し、シェービング中に発生する切り屑を空間内に排出する切り屑排出手段とを備えている。
【0061】
本実施の形態において、第1下パンチ22aの上面と第2下パンチ22bの上面の高さは、ほぼ同一になっている。また、上型50の下面の第2雌型62bの外周には、切り屑を排出する空間を形成するための凹溝56が形成されている。さらに、凹溝56内には、シェービング時に母板の周囲を押圧するためのシェービング用押圧板58a〜58dを備えている。この点が、第1の実施の形態とは異なる。
【0062】
第2下パンチ22bの上面の高さは、第1下パンチ22aの上面の高さと同一であっても良く、第1下パンチ22aの上面の高さより低くなっていても良く、あるいは、第1下パンチ22bの上面の高さより高くなっていても良い。いずれの場合であっても、凹溝56があるために、実装用基板の外周のシェービング前に実装用基板の外周に空間を形成することができる。
【0063】
凹溝56は、シェービングが行われる前に、プリント配線母板からプッシュバックされた領域の全部又は一部を抜き出し、抜き出された領域の周囲に空間を形成可能なものであれば良い。従って、領域(シェービング加工前の実装用基板)の周囲に切り屑を排出可能な空間を形成可能である限り、凹溝56の深さは、プリント配線母板の板厚より浅くても良い。
しかしながら、切り屑の排出を確実に行うためには、凹溝56の深さは、プリント配線母板の板厚の1.0倍以上が好ましく、さらに好ましくは、1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上である。
【0064】
シェービング用押圧板58a〜58dは、シェービング時に母板を押圧し、プッシュバックされた領域を母板から抜き出すためのものである。本実施の形態では、母板を上下の金型で狭持しながら、第2下パンチ22bでプッシュバックされた領域を凹溝56内に押し上げるので、シェービング用押圧板58a〜58dは、必ずしも必要ではない。しかしながら、第2下パンチ22bの形状、凹溝56の形状、母板の大きさ等によっては、第2プレス部5における母板の押さえが不十分となり、プッシュバックされた領域の抜き外しが不安定となる場合がる。このような場合には、切り屑を排出するための空間を残しながら、母板を支持するためのシェービング用押圧板58a〜58dを設けるのが好ましい。
【0065】
また、図7に示す例においては、第2上型ストリッパー60bの4辺すべてに近接して、合計4個のシェービング用押圧板58a〜58dが設けられているが、必ずしも4個のシェービング用押圧板を設ける必要もない。例えば、母板の横幅(搬送方向に対して垂直方向の長さ)が相対的に短い場合、少なくとも、母板の両端を押圧するためのシェービング用押圧板58a、58bがあれば良い。
一方、母板の横幅が相対的に短い場合において、シェービング用押圧板58a、58bに加えてシェービング用押圧板58c、さらには、シェービング用押圧板58dを設けると、母板の外周が押圧板によって確実に狭持されるので、プッシュバックされた領域の抜き外しをさらに容易化することができる。
【0066】
第2の実施の形態に係るシェービング用金型1’に関するその他の点については、第1の実施の形態に係るシェービング用金型1と同様であるので、説明を省略する。
【0067】
[2.2 実装用基板の製造方法及びプリント回路板の製造方法]
次に、本実施の形態に係るシェービング用金型1’を用いた実装用基板の製造方法について説明する。図8〜図10に、プレス加工の工程図を示す。
まず、図8(a)に示すように、下型20の上面に母板10を載せる。この母板10は、直前のプレスにおいて、実装用基板11と同一又はこれより大きい形状を有する領域(A)11Aのプッシュバックと、第1貫通孔形成ピン82aによる貫通孔の打ち抜きが行われた状態になっている。
【0068】
母板10は、直前のプレスが終了した後、図8(a)の右方向に搬送され、直前のプレス工程において、第1プレス部3でプッシュバックされた領域(A)11Aが第2プレス部5上に来るように、下型20の上面に載置される。母板10の位置決めは、下型20の上面に設けられた位置決めピン32a〜32dを母板10に予め形成されたプッシュバック基準穴に挿入することにより行われる。
【0069】
この状態から上型50を下降させると、図8(b)に示すように、第1上型ストリッパー60a及び第2上型ストリッパー60bの先端が母板10の上面に接触し、第1上型ストリッパー60a及び第2上型ストリッパー60bは、それぞれ、第1雌型62a及び第2雌型62bの内周面に沿って上方に移動する。
【0070】
さらに上型50を下降させると、図9(a)に示すように、第1プレス部3では、第1下パンチ22aが第1上型ストリッパー60aを上方に押し上げることによって、新たな領域(B)11Bを打ち抜く。
また、第1上型ストリッパー60aが上方に押し上げられるに伴い、第1上型ストリッパー60aの下面から、第1貫通孔形成ピン82aの先端が突出し、領域(B)11Bの内部に貫通孔を形成する。これと同時に、ホルダ54dは、弾性部材28の弾性力に抗して、領域(B)11Bが打ち抜かれた後の母板10及び下型ストリッパー24を下方に押し下げる。また、貫通孔の抜きカスは、第1誘導孔34aを通って下型20の下方から排出される。
【0071】
一方、第2プレス部5では、ホルダ54d及びシェービング用押圧板58a〜58dが母板10及び下型ストリッパー24を下方に押し下げることによって、第2下パンチ22bが突き出す。その結果、領域(A)11Aが母板10から凹溝56内に押し出される。
また、これと同時に、第2上型ストリッパー60bの下面から、第2貫通孔形成ピン82bが突き出す。その結果、第1貫通孔形成ピン82aにより形成された貫通孔に、再度、第2貫通孔形成ピン82bが挿入され、貫通孔の内周面がシェービングされる。シェービング時に発生する切り屑は、第2誘導孔34bを通って下型20の下方から排出される。
【0072】
さらに上型50を下降させると、図9(b)に示すように、第2プレス部5では、領域(A)11Aが第2雌型62b内に押し込まれる。その結果、領域(A)11Aの外周部がシェービングされる。シェービング時に発生する切り屑は、領域(A)11Aの周囲に形成された凹溝56内に排出される。
【0073】
次に、打ち抜きが終了した後、上型50を上昇させると、図10(a)に示すように、弾性部材28、28…が、その復元力によって、下型ストリッパー24と共に母板10を上方に押し上げる。この時、第1プレス部3側では、弾性部材74、74…により付勢された第1押圧板70aが第1押圧ピン66a、66aを介して第1上型ストリッパー60aを下方に押し下げる。その結果、上型50が下型20から完全に離脱するときには、図10(a)に示すように、新たに打ち抜かれた領域(B)11Bが母板10の元の穴にはめ込まれた状態となる。
【0074】
一方、第2プレス部5側では、第2上型ストリッパー60bには下方向の付勢力が作用しない。そのため、図10(a)に示すように、上型50が下型20から離脱しても、第2上型ストリッパー60bは下降せず、シェービングされた実装用基板11(領域(A)11A)は、第2雌型62b内に一旦保持される。また、この時、ノックアウト用ブッシュ76は、上型ベース板52の上方から突き出た状態となる。
【0075】
上型50をさらに上昇させ、上型50が上死点近傍に近づくと、やがて、プレス機械に設けられた図示しない押圧手段がノックアウト用ブッシュ76を下方に押圧する。また、第2押圧板70bは、第2押圧ピン66b、66bを介して第2上型ストリッパー60bを下方に押し下げる。そのため、上型50が上死点に達した時には、図10(b)に示すように、第2上型ストリッパー60bが元の位置まで押し下げられ、これと同時に、実装用基板11が第2雌型62b内から押し出される。
【0076】
この後、新たに打ち抜かれた領域(B)11Bが第2プレス部5の真下に来るように、母板10を右方向に搬送する。そして、上述した手順と同一の手順に従って、次の領域の打ち抜き及び貫通孔の形成、並びに、直前のプレスで打ち抜かれた領域及び貫通孔のシェービングを必要な回数だけ繰り返す。
【0077】
得られた実装用基板11は、自動実装工程に送られ、表面に各種の電子部品が実装される。実装後、基板をそのまま各種の電子機器に組み込むことができる。また、プレス時に離散的な長孔を形成した場合には、自動実装後、連結部を破断することによって枠部とプリント回路板を分離し、分離したプリント回路板を各種の電子機器に組み込むことができる。
さらに、プリント配線母板に対して、予めプッシュバック加工を行うと、プリント回路板が元の孔にはめ込まれたプリント配線母板が得られる。このような母板を用いて、本実施の形態に係るシェービング用金型1’により実装用基板11のプッシュバック及びシェービングを行うと、プッシュバック法によりプリント回路板が仮止めされた実装用基板が得られる。このような場合には、実装基板の自動実装終了後、枠部を破断させることによって枠部とプリント回路板を分離し、分離したプリント回路板を各種の電子機器に組み込むことができる。
【0078】
[2.3 本実施の形態に係るシェービング用金型の作用]
上流側に配置された第1プレス部3において実装用基板を含む領域をプッシュバックし、下流側に配置された第2プレス部5においてその領域を再度打ち抜くと、同一箇所を2度、打ち抜くことになるので、実装用基板の外周部をシェービングすることができる。しかしながら、実装用基板の左右辺及び下流側の辺は平滑な面になるが、搬送方向に対して上流側(プッシュバック手段側)の辺は、これらに比べて平滑性に劣る。
【0079】
母板を下流側に順送りしながらプッシュバックする場合において、プッシュバックされた領域の左右辺及び下流側の辺は、いずれも枠部の剛性が弱く、たわみやすい。一方、上流側の辺は、未だプッシュバック加工が行われていない領域が近接しているので、剛性が高い。母板を順送りしながらプッシュバック加工及びシェービング加工を行う場合において、上流側の辺におけるシェービング精度が低下するのは、シェービング時に発生する切り屑が逃げ場を失い、雌型と加工板との隙間に切り屑が咬み込むためと考えられる。
【0080】
これに対し、このような金型を用いてシェービングする場合において、第2上型ストリッパー60bの周囲に凹溝56を形成すると、シェービングが行われる前に、母板10からプッシュバックされた領域11Aの全部又は一部が抜き出される。また、プッシュバックされた領域11Aが母板10から抜けることによって、領域11Aの周囲に空間が形成される。そのため、シェービング中に発生する切り屑が空間内に排出され、第2雌型62bと実装用基板11との隙間への切り屑の咬み込みが抑制される。また、これによって、別個の金型を用いて2段階に分けてシェービングを行った場合とほぼ同等のシェービング精度が得られる。
【0081】
また、プッシュバックされた領域の抜き外しは、上型50の押圧力のみによっても行うことができる。しかしながら、第2上型ストリッパー60bの周囲に凹溝56を形成した場合、凹溝56の形状等によっては、上型50の押圧力のみでは、母板にかかる力が不均一となり、プッシュバック領域の抜き外しの際に母板が大きくたわむおそれがある。
これに対し、第2上型ストリッパー60bの周囲に、シェービング用押圧板58a〜58dを設けると、上型50とシェービング用押圧板58a〜58dの双方により、母板10が均等に下方に押圧される。その結果、プッシュバックされた領域11Aの抜き外しを確実に行うことができる。
【0082】
[3. 第3の実施の形態]
[3.1 シェービング用金型(3)]
図11に、本発明の第3の実施の形態に係るシェービング用金型1cを示す。なお、各部の符号の内、図1、2に示すシェービング用金型1に対応する部分については同一の符号を用いた。
図11において、シェービング用金型1cは、下型20と上型(図示せず)とを備えてる。また、下型20及び上型は、それぞれ、母板の搬送方向に対して上流側が第1プレス部(第1手段)3に、また、搬送方向に対して下流側が第2プレス部(第2手段)5になっている。
【0083】
本実施の形態において、下型ストリッパ24の上面の第2下パンチ22bの周囲には、母板付勢用弾性部材92、92…が設けられている。また、下型ストリッパ24の上面の第1下パンチ22aの上流側には、母板支持用弾性部材94、94が設けられている。この点が、第1の実施の形態とは異なる。母板付勢用弾性部材92、92…及び母板支持用弾性部材94、94は、いずれか一方が設けられていても良く、あるいは、双方が設けられていても良い。また、これらの材質は、特に限定されるものではないが、ウレタンゴム、バネで付勢されたピンなどが好適である。また、これらの弾性部材としてウレタンゴムを用いる場合には、図11に示すように、弾性部材の周囲に、その弾性変形を吸収するための凹溝を設けるのが好ましい。
【0084】
母板付勢用弾性部材92、92…は、その付勢力によってプレス終了後に母板を第2下パンチ22bの上面まで持ち上げ、母板の下流側への搬送を容易化するためのものである。図11に示す例においては、第2下パンチ22bに対して下流側の左右に2個、上流側の中央に1個の母板付勢用弾性部材92、92…が設けられているが、これは単なる例示であり、母板付勢用弾性部材92、92…の配置、数、付勢力等は、母板の持ち上げが容易となるように、パンチ形状、母板の材質などに応じて、最適なものを選択することができる。
例えば、図2に示すように、上型50に母板押圧用の押圧ピン84、84…が設けられている場合には、押圧ピン84、84…に対応する位置に母板付勢用弾性部材92、92…を設け、押圧ピン84、84…を付勢する弾性部材86、86…より母板付勢用弾性部材92、92…の付勢力を弱くすると、母板に曲げ応力を作用させることなく、プッシュバック領域の抜き外し及びプレス終了後の母板の持ち上げを行うことができる。
【0085】
母板支持用弾性部材94、94は、プレス前後において母板を水平に支持するためのものであり、第1プレス部3のいずれかの部分に設けられる。図11に示す例においては、第1下パンチ22aに対して上流側の左右に2個の母板支持用弾性部材94、94が設けられているが、これは単なる例示であり、母板支持用弾性部材94、94の配置、数、付勢力等は、母板の水平支持が容易となるように、パンチ形状、母板の材質などに応じて、最適なものを選択することができる。
一般に、第2下パンチ22b及び母板付勢用弾性部材92、92…より遠い位置に母板支持用弾性部材94、94を設けると、母板を安定に支持することができる。また、母板支持用弾性部材94、94と母板付勢用弾性部材92、92…の付勢力及び配置を均等にすると、プレス時における母板の変形が抑制され、かつ、母板を安定に支持することができる。
シェービング用金型1cに関するその他の点は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0086】
[3.2 実装用基板の製造方法及びプリント回路板の製造方法]
次に、本実施の形態に係るシェービング用金型1cを用いた実装用基板の製造方法について説明する。
本実施の形態において、第1プレス部3に母板支持用弾性部材94、94が設けられているので、プレス前の母板を水平に支持することができる。また、第2下パンチ22bの周辺に母板付勢用弾性部材92、92…が設けられているので、プレス終了後にその付勢力によって母板が第2下パンチ22bの上面の位置まで押し上げられ、かつ、プレス後も母板が水平に支持される。そのため、母板の下流側への搬送が容易化する。プレス時における金型の動作に関するその他の点は、第1の実施の形態に係るシェービング金型1と同様であるので、説明を省略する。
【0087】
得られた実装用基板は、自動実装工程に送られ、表面に各種の電子部品が実装される。実装後、基板をそのまま各種の電子機器に組み込むことができる。また、プレス時に離散的な長孔を形成した場合には、自動実装後、連結部を破断することによって枠部とプリント回路板を分離し、分離したプリント回路板を各種の電子機器に組み込むことができる。
さらに、プリント配線母板に対して、予めプッシュバック加工を行うと、プリント回路板が元の孔にはめ込まれたプリント配線母板が得られる。このような母板を用いて、本実施の形態に係るシェービング用金型1cにより実装用基板のプッシュバック及びシェービングを行うと、プッシュバック法によりプリント回路板が仮止めされた実装用基板が得られる。このような場合には、実装基板の自動実装終了後、枠部を破断させることによって枠部とプリント回路板を分離し、分離したプリント回路板を各種の電子機器に組み込むことができる。
【0088】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係るシェービング用金型は、
(1)プリント回路板がプッシュバック法により枠部に仮止めされた実装用基板、
(2)プリント回路板が幅の狭い連結部を介して枠部に仮止めされた実装用基板、
(3)母板から切り出したままの状態で自動実装及び各種装置への組み付けが行われる実装用基板、
などの各種加工板の打ち抜き及び外周部のシェービングを行うための金型として用いることができる。
また、本発明に係る加工板の製造方法及び製品板の製造方法は、このようなシェービング用金型を用いた実装用基板の製造方法、及び、このような方法により得られる実装用基板から枠部を分離し、プリント回路板を得る方法として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、それぞれ、本発明の第1の実施の形態に係るシェービング用金型の下型の平面図、及び、そのB−B’線断面図である。
【図2】図2(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るシェービング用金型の上型の底面図、図2(a)は、そのA−A’線断面図、図2(c)は、そのC−C’線断面図である。
【図3】図1及び図2に示すシェービング用金型を用いた加工板(実装用基板)の製造方法を示す工程図である。
【図4】図3に示す工程図の続きである。
【図5】図4に示す工程図の続きである。
【図6】図6(a)及び図6(b)は、それぞれ、本発明の第2の実施の形態に係るシェービング用金型の下型の平面図、及び、そのB−B’線断面図である。
【図7】図7(b)は、本発明の第2の実施の形態に係るシェービング用金型の上型の底面図、図7(a)は、そのA−A’線断面図である。
【図8】図6及び図7に示すシェービング用金型を用いた加工板(実装用基板)の製造方法を示す工程図である。
【図9】図8に示す工程図の続きである。
【図10】図9に示す工程図の続きである。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、それぞれ、本発明の第3の実施の形態に係るシェービング用金型の下型の平面図、及び、そのB−B’線断面図である。
【符号の説明】
【0091】
1 シェービング用金型
3 第1プレス部(第1手段)
5 第2プレス部(第2手段)
10 プリント配線母板(母板)
11 実装用基板(加工板)
20 下型
22a、22b 第1、第2下パンチ
24 下型ストリッパ
50 上型
60a、60b 第1、第2上型ストリッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構成を備えたシェービング用金型。
(1) 前記シェービング用金型は、母板の搬送方向に対して上流側に配置された第1手段と、前記母板の搬送方向に対して下流側に配置された第2手段とを備えている。
(2) 前記第1手段は、加工板と同一又はそれより大きい領域を前記母板から打ち抜き、打ち抜かれた前記領域を元の穴にはめ込むプッシュバック手段を備えている。
(3) 前記第2手段は、
前記領域を前記母板から再度打ち抜くことによって、外周がシェービングされた前記加工板を得るシェービング手段と、
前記シェービング手段によるシェービングが行われる前に、前記母板から前記領域の全部又は一部を抜き出し、抜き出された前記領域の周囲に空間を形成し、シェービング中に発生する切り屑を前記空間内に排出する切り屑排出手段と
を備えている。
【請求項2】
以下の構成をさらに備えた請求項1に記載のシェービング用金型。
(4) 前記プッシュバック手段は、
下型に立設された、前記領域をプッシュバックするための第1下パンチと、
前記第1下パンチの側壁に沿って上下方向にスライドし、かつ上方向に付勢された下型ストリッパと、
上型下面に設けられた第1雌型内を上下方向にスライドし、かつ下方向に付勢された、前記領域をプッシュバックするための第1上型ストリッパと
を備えている。
(5) 前記シェービング手段は、
前記下型に立設された、前記領域を打ち抜くための第2下パンチと、
前記上型下面に設けられた第2雌型内を上下方向にスライドする第2上型ストリッパと
を備えている。
(6) 前記切り屑排出手段は、
前記第1下パンチと、
シェービング時に前記空間を形成することができるように、その上面が前記第1下パンチの上面より高くなっている前記第2下パンチと、
シェービング時に前記空間を形成することができるように、その下面が前記上型下面より突き出ている前記第1上型ストリッパと
を備えている。
【請求項3】
前記第2上型ストリッパの周囲に設けられ、弾性部材の下方向の付勢力によってシェービング前に前記母板を下方に押圧し、前記母板から前記領域の全部又は一部を抜き出すための弾性押圧手段をさらに備えた請求項2に記載のシェービング用金型。
【請求項4】
前記下型ストリッパの上面の前記第2下パンチの周囲に設けられた、前記母板を上方に付勢するための母板付勢用弾性部材をさらに備えた請求項2又は3に記載のシェービング用金型。
【請求項5】
前記下型ストリッパの上面の前記第1手段のいずれかの部分に設けられた、前記母板を水平に支持するための母板支持用弾性部材をさらに備えた請求項2から4までのいずれかに記載のシェービング用金型。
【請求項6】
以下の構成をさらに備えた請求項1に記載のシェービング用金型。
(4) 前記プッシュバック手段は、
下型に立設された、前記領域をプッシュバックするための第1下パンチと、
前記第1下パンチの側壁に沿って上下方向にスライドし、かつ上方向に付勢された下型ストリッパと、
上型下面に設けられた第1雌型内を上下方向にスライドし、かつ下方向に付勢された、前記領域をプッシュバックするための第1上型ストリッパと
を備えている。
(5) 前記シェービング手段は、
前記下型に立設された、前記領域を打ち抜くための第2下パンチと、
前記上型下面に設けられた第2雌型内を上下方向にスライドする第2上型ストリッパと
を備えている。
(7) 前記切り屑排出手段は、
前記上型下面の前記第2雌型の外周に形成された、前記空間を形成するための凹溝
を備えている。
【請求項7】
前記凹溝内に設けられた、シェービング前に前記母板の周囲を押圧するためのシェービング用押圧板をさらに備えた請求項6に記載のシェービング用金型。
【請求項8】
前記第1領域は、前記領域内に貫通孔を形成するための第1貫通孔形成手段をさらに備え、
前記第2領域は、前記貫通孔をシェービングするための第2貫通孔形成手段をさらに備えている請求項1から7までのいずれかに記載のシェービング用金型。
【請求項9】
前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方に設けられた、前記領域内に含まれる製品板の外周に離散的な長孔を形成するための長孔形成手段をさらに備えた請求項1から8までのいずれかに記載のシェービング用金型。
【請求項10】
以下の工程を備えた加工板の製造方法。
(1) 請求項1から8までのいずれかに記載のシェービング用金型を用いて、
前記第1手段において、前記母板から領域(A)をプッシュバックする第1工程。
(ロ) 前記領域(A)が前記第2手段上に来るように、前記母板を搬送し、前記第1手段において、前記母板から新たに領域(B)をプッシュバックすると同時に、
前記第2手段において、前記領域(A)の周囲に形成された前記空間内にシェービング時の切り屑を排出しながら、前記母板から前記領域(A)を打ち抜き、前記領域(A)の周囲をシェービングする第2工程。
【請求項11】
前記母板は、前記領域内にプッシュバックされた製品板を備えている請求項10に記載の加工板の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法により得られた加工板から枠部を分離し、製品板を得る製品板の製造方法。
【請求項13】
以下の工程を備えた加工板の製造方法。
(1) 請求項9に記載のシェービング用金型を用いて、
前記第1手段において、前記母板から領域(A)をプッシュバックする第1工程。
(ロ) 前記領域(A)が前記第2手段上に来るように、前記母板を搬送し、前記第1手段において、前記母板から新たに領域(B)をプッシュバックすると同時に、
前記第2手段において、前記領域(A)の周囲に形成された前記空間内にシェービング時の切り屑を排出しながら、前記母板から前記領域(A)を打ち抜き、前記領域(A)の周囲をシェービングする第2工程。
【請求項14】
請求項13に記載の方法により得られた加工板から枠部を分離し、製品板を得る製品板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−208153(P2009−208153A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46165(P2008−46165)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(500055670)太平電子工業有限会社 (18)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】