説明

シクロヘキセノンオキシムエーテル/(グリホセート/グルホシネート)濃厚懸濁液

【課題】除草性の十分に貯蔵安定性である親油性濃厚懸濁液配合物の提供。
【解決手段】本質的に、a)下記に例示するようなシクロヘキセノンオキシムエーテル系除草成分:すなわちセトキシジム、シクロキシジム、トラルコキシジム、ブトロキシジム、2−[1−(2−P−クロロフェノキシプロピルオキシ)イミノブチル]−5−(テトラヒドロチオピラン−3−イル)−3−ヒドロキシシクロヘキサ−2−エノン、特にクレトジムまたは2−[1−(3−クロロアリルオキシ)イミノプロピル]−5−(テトラヒドロピラン−4−イル)−3−ヒドロキシシクロヘキサ−2−エノン;b)N-ホスホノメチルグリシン、DL-ホモアラニン-4-イル(メチル)ホスフィン酸;c)成分a)およびb)を懸濁させる20〜80重量%の非プロトン性または弱プロトン性溶剤;d)乳化剤、界面活性剤および/または活性増強添加剤からなる、実質的に無水の作物保護活性成分配合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本質的に、
a) 式Iのシクロヘキセノンオキシムエーテル
【化1】

【0002】
(式中、
は、エチルまたはプロピルであり;
は、水素または1価の農業上有用な陽イオンであり;
は、2-(チオエチル)プロピル、テトラヒドロチオピラン-3-イル、テトラヒドロチオピラン-4-イル、テトラヒドロピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、1-(メチルチオ)シクロプロピル、5-(イソプロピル)イソオキサゾール-3-イル、2,5-ジメチルピラゾール-3-イル、2,4,6-トリメチルフェニルまたは 2,4,6-トリメチル-3-ブチリルフェニルであり;
およびRは、互いに独立して、それぞれ水素、メチルまたはメトキシカルボニルであり;
Alkは、CHCH、CHCH(CH)、CHCH=CH、
CHCH=C(Cl)またはCHCHCH=CHであり;
は、水素、フェニル、ハロフェニル、ジハロフェニル、フェノキシ、ハロフェノキシまたはジハロフェノキシである);
b) N-ホスホノメチルグリシン(グリホセート(glyphosate))、そのエステルまたは塩、DL-ホモアラニン-4-イル(メチル)ホスフィン酸(グルホシネート(glufosinate))またはそのアンモニウム塩;
c) 成分a)およびb)を溶解または懸濁させる20〜80重量%の非プロトン性または弱プロトン性溶剤;
d) 所望により、乳化剤、界面活性剤、界面活性助剤および/または活性増強助剤;
を含む、実質的に水を含まない新規の作物保護剤配合物に関する。
【0003】
さらに本発明は、望ましくない植物を防除するためのスプレー液の調製方法に関する。
【背景技術】
【0004】
シクロヘキセノンオキシムエーテルの化合物クラスからの除草剤は、水性またはプロトン性溶剤中で加水分解反応または化学分解反応を受けやすいことが知られている。この理由のため、シクロヘキセノンオキシムエーテル類は、これまで水を含まない濃厚乳液として調製され、用いられていたにすぎない。
【0005】
可能な代替物は、WO 96/29869に記載されているような、固体の配合物によって提供される。
【0006】
しかしながら、固体の配合物は、活性増強添加剤、例えばオレイン酸メチル、ラウリン酸またはアジピン酸のエステルのような親油性エステル、ならびにパラフィン油または脂肪酸エステルを、適宜に選択された乳化剤と組み合わせて、配合することできないか、極めて少量でしか配合できないという欠点を有する。
【0007】
しかし、シクロヘキセノンオキシムエーテルIとグリホセート、グルホシネートまたはこれらの誘導体との混合物は、望ましくない植物の防除を、グリホセート/グルホシネートそれ自体よりも、より良く可能にするであろう。これは、「Round up Ready」ダイズ中の「Round up Ready」自生トウモロコシを経済的に防除するための必須の前提条件である。このことは、グリホセートに対して抵抗性(耐性)である草に一般的に当てはまる。
【特許文献1】国際公開第96/29869号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、シクロヘキセノンオキシムエーテル除草剤、N-ホスホノメチルグリシンまたはその誘導体、および所望により活性増強助剤を含み、十分に貯蔵安定性である完成した液体配合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、この目的が冒頭に記載した濃厚懸濁液によって達成されることを見出した。本発明者らはさらに、除草活性スプレー液の調製方法を見出した。
【0010】
本発明の濃厚懸濁液は、遊離水(結晶水として結合されていない水)の割合が0〜5重量%、好ましくは0〜2重量%、特に好ましくは僅かに0〜0.5重量%であるという事実により特徴づけられる。
【0011】
好ましい除草剤成分a)は、以下の化合物:セトキシジム(sethoxydim)、シクロキシジム(cycloxydim)、クレトジム(clethodim)、トラルコキシジム(tralkoxydim)、ブトロキシジム(butroxydim)、2-[1-(3-クロロアリルオキシ)イミノプロピル]-5-(テトラヒドロピラン-4-イル)-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン、2-[1-(2-p-クロロフェノキシプロピルオキシ)イミノブチル]-5-(テトラヒドロチオピラン-3-イル)-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン、またはこれらの混合物からなる群から選択されるシクロヘキセノンオキシムエーテル、特にクレトジムまたは 2-[1-(3-クロロアリルオキシ)イミノプロピル]-5-(テトラヒドロピラン-4-イル)-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノンである。これらの活性成分は通常は油相に可溶性である。しかしながら、好ましいとして上に挙げた、または特定して挙げたシクロヘキセノンオキシムエーテルのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩も好適であり、これらは、選択された助剤と組み合わせて、連続油相に実質的に不溶性であり、その結果として活性成分Iの分解が実質的に防止される。従って、好ましいシクロヘキセノンオキシムエーテルの塩は、油相中に1%未満、特に好ましくは0.1〜0.5%未満の量で溶存するものである。
【0012】
シクロヘキセノンオキシムエーテルIの塩は、一般的に遊離の化合物I(R=水素)を塩基性金属塩溶液と反応させることによって得ることができる。好適な塩基性金属塩の供給源は、典型的にはアルカリ金属、アルカリ土類金属または遷移金属の水酸化物、炭酸塩またはリン酸塩である。化合物Iに対してほぼ等モル量で用いた、カルシウムおよびマグネシウムのような原子価がより高い陽イオンは、電荷中和のために無機酸または有機酸の陰イオンとさらに結合させてもよい。カリウム塩またはカルシウム塩の水溶液を噴霧乾燥することにより、約100重量%のシクロヘキセノンオキシムエーテル金属塩を含有する顆粒を製造することが可能である。
【0013】
成分b)は、公知の市販の製品からなる。その一般名は、グリホセート、スルホセート(sulfosate)およびグルホシネートであり、対応する商標名はそれぞれRoundUp (登録商標)、Touchdown (登録商標) および Basta (登録商標) である。
【0014】
本発明において特に好ましいものは、N-ホスホノメチルグリシンの誘導体として、グリホセートとして知られているN-ホスホノメチルグリシンのイソプロピルアンモニウム塩を含む混合物である。ホスホノメチルグリシンの他の公知の誘導体は、スルホセートの名称で知られているトリメチルスルホニウム塩、およびアンモニウム塩である。しかしながら特に好ましいものは、グリホセートとして知られている上記の製品、とりわけそのアンモニウム塩である。
【0015】
グリホセートのモノ-、ジ-またはトリ脱プロトン塩、特にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩またはアンモニウム塩は、有用な除草剤成分b)であることが見出された。グリホセートのアンモニウム塩が特に好ましい。
【0016】
一般的に、成分a)の量に基づいて約10倍モル量まで、特に約7〜8倍モル量の過剰の成分b)が用いられる。
【0017】
成分c)として役立つ好適な非プロトン性または弱プロトン性溶剤は、もし示したとしても、成分b)に対して低い可溶化力しか示さない非極性、極性または双極性の脂肪族または芳香族溶剤である。貯蔵安定性の配合物を得るためには、油相中の活性化合物b)の溶解度が1重量%未満(全配合物に基づく)であるべきである。これは、化合物Iの塩を用いる限り成分a)にも当てはまる。好ましいものは、炭化水素、例えばベンゼン、アルキルベンゼンおよびナフタレン、およびこれらのモノ-およびポリアルキル置換されたおよび/または部分水素化された誘導体、8〜30個の炭素原子を有するn-またはイソパラフィン、モノ-またはジカルボン酸の脂肪族または芳香族エステル、例えばオレイン酸メチル、ラウリン酸オクチルおよびアジピン酸オクチルおよび安息香酸エステル、または未改質または改質天然油脂、例えばダイズ油、ヒマワリ油およびナタネ油メチルエステルである。
【0018】
特に好ましいものは、ベンゼン系およびナフタレン系の芳香族溶剤、例えば Solvesso (登録商標) 150 および Solvesso (登録商標) 200 (Exxonからのアルキル芳香族化合物)である。
【0019】
成分c)に加えて、本発明に係る配合物は、一般的に乳化剤、界面活性剤、および湿潤剤および分散剤のような界面活性助剤を、さらなる成分として含む。
【0020】
好適な界面活性剤、湿潤剤および分散剤は、例えば以下のものである。
【0021】
1. 陰イオン性の界面活性剤および分散剤、特に
石鹸(脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩)、例えばステアリン酸カリウム;
アルキルスルフェート;
アルキルエーテルスルフェート、例えば硫酸化ヘキサ-、ヘプタ-およびオクタデカノールおよび脂肪アルコールグリコールエーテル;
アルキル-またはイソアルキルスルホネート;
アリールスルホン酸またはアルキルベンゼンスルホン酸、例えばリグノ-、フェノールスルホン酸、ナフタレン-およびジブチルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩、または Na-ドデシルベンゼンスルホネート;
アルキルナフタレンスルホネート;
アルキルメチルエステルスルホネート;
アシルグルタメート;
アルキルコハク酸のスルホネートエステル;
アルキルモノ/ジホスフェート;
サルコシネート、例えば Na-ラウロイルサルコシネート;
タウレート;
スルホン化ナフタレンおよびその誘導体とホルムアルデヒドとの縮合物;
ナフタレンスルホン酸、フェノール-および/またはフェノールスルホン酸、ホルムアルデヒドおよび尿素の縮合物;
タンパク質加水分解物;
リグノサルファイト廃液およびメチルセルロース(これらの物質は特に分散剤として作用する);
Aerosol (登録商標) OT-A;
2. 陽イオン性界面活性剤:
アルキルトリメチルアンモニウムハライド/アルキルスルフェート;
アルキルピリジニウムハライド;
ジアルキルジメチルアンモニウムハライド/アルキルスルフェート;
3. 非イオン性界面活性剤:
脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、例えばラウリルアルコールポリオキシエチレンエーテルアセテート;
例えばイソトリデシルアルコールの、アルキルポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシプロピレンエーテル、および脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテル;
アルキルアリールアルコールポリオキシエチレンエーテル、例えばオクチルフェノールポリオキシエチレンエーテル;
アルコキシル化された動物性/植物性油脂、例えばコーン油エトキシル化物、ヒマシ油エトキシル化物および牛脂エトキシル化物;
グリセロールエステル、例えばグリセロールモノステアレート;
脂肪アルコールアルコキシレートまたはオキソアルコールアルコキシレート;
脂肪酸アルコキシレート、例えばオレイン酸アルコキシレート;
アルキルフェノールアルコキシレート、例えばエトキシル化イソオクチル-、オクチル-またはノニルフェノール、およびトリブチルフェノールポリオキシエチレンエーテル;
脂肪アミンアルコキシレート;
脂肪酸アミドアルコキシレート;
糖界面活性剤、ソルビトールエステル、例えばソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリステアレート)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシドおよび N-アルキルグルコンアミド;
アルキルメチルスルホキシド;
アルキルジメチルホスフィンオキサイド、例えばテトラデシルジメチルホスフィンオキサイド;
ポリオキシエチレン糖アルコール脂肪アルキルカルボキシレート、例えば ICI surfactants からのポリオキシエチレン-(40)-ソルビトールヘキサオレエート Atlas G 1086 (CAS No. 057171-56-9);
4. 両性イオン性界面活性剤:
スルホベタイン;
カルボキシベタイン;
アルキルジメチルアミンオキサイド、例えばテトラデシルジメチルアミンオキサイド;
5. ポリマー界面活性剤:
(AB)、ABAおよびBABの型のジ-、トリ-およびマルチ-ブロックポリマー、例えばポリエチレンオキサイドブロックポリプロピレンオキサイドまたはポリスチレンブロックポリエチレンオキサイド;
ABくし形ポリマー、例えばポリメタ/アクリレートくし形ポリエチレンオキサイド;
6. 他の界面活性剤、例えば
パーフルオロ界面活性剤;
シリコーン界面活性剤;
リン脂質、例えばレシチンまたは化学変性レシチン;
アミノ酸界面活性剤、例えば N-ラウロイルグルタメート;
界面活性ホモ-およびコポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、無水マレイン酸/イソブテンコポリマーおよびビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー。
【0022】
上記界面活性剤の混合物も好適である。ポリオキシエチレン糖アルコール脂肪アルキルカルボキシレートからなる群からの非イオン性界面活性剤、例えば ICI surfactants からのポリオキシエチレン-(40)-ソルビトールヘキサオレエート Atlas G 1086 (CAS No. 057171-56-9)、およびアルカリ金属およびアルカリ土類金属のアルキル、ジアルキル-またはアルキルアリールスルホネート系からのイオン性界面活性剤が特に適している。天然油、特にヒマシ油と、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドとの反応により得られた乳化剤および界面活性剤は、さらに有利である(この文脈において、例えば DE-A 19 701 123 の記載参照)。
上記界面活性剤、湿潤剤および分散剤のアルキル鎖は、直鎖状でも分岐状でもよく、アルキル鎖の長さは一般的にC〜C20である。
【0023】
漿液生成の減少および沈降の減少に関する物理的性質を改善するために、本発明に係る配合物はさらに、増粘剤(これは一般的に無機成分と考えられる)、例えばベントナイト、タリサイト(talicites)およびヘクトライト(hectorites)、またはヒマシ油誘導体を含むことができる。粘度上昇が得られるので、貯蔵に際して配合物中で起こる化学的過程は場合により抑制され、これが活性化合物の改善された安定性をもたらしうる。
【0024】
活性増強助剤、例えばアジピン酸エステル、オレイン酸メチル、および天然のカルボン酸、ジカルボン酸または脂肪酸に基づく他の工業用エステルに関しては、WO 96/22020、DE-A 44 45 546 およびこれらで引用された文献が参照される。
【0025】
上記助剤の全てを、粉砕の前または後に配合物バッチに添加することができる。配合物中の助剤の総割合は、一般的に0〜80重量%、特に5〜40重量%である。
【0026】
所望により、配合物はまた、アリールオキシフェノキシプロピオン酸およびそのエステル、好ましくはクロジナホプ (clodinafop)、シハロホプ (cyhalofop)、フェノキサプロプ (fenoxaprop)、フルアジホプ (fluazifop)、ハロキシホプ (haloxyfop)、プロパキザホプ (propaquizafop)、キザロホプ (quizalofop) またはこれらの化合物のエステルからなる群から選択される第三の除草活性化合物、特にクロジナホプ、キザロホプ、キザロホプ-エチルまたはキザロホプ-テフリル (tefuryl)を、0〜60重量%、特に1〜30重量%含むことができる。これらの化合物のエナンチオマー、例えばキザロホプ-P、キザロホプ-P-エチルおよびキザロホプ-P-テフリルも適している。
【0027】
本発明に係る新規配合物は、有利には、これらを発芽前法または発芽後法により望ましくない植物またはその生育地に適用する前に、例えばタンクミックス法により最初に水で希釈される。この場合、水の量は例えば100〜400L/haである。
【0028】
タンクミックスのpHを低下させ、活性をさらに高めるために、慣用のタンクミックス助剤、例えば硫酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウム尿素のようなアンモニウム塩、油乳化剤添加剤および特に Dash HC(BASF)を、0.1〜5.0kg/haまたは0.1〜5.0L/haの量で添加することが有利な場合がある。
【0029】
本発明に係る濃厚懸濁液は、結晶形態の活性化合物a)およびb)、および成分c)および所望により助剤および/または他の除草活性化合物を、慣用のボールミル、ビーズミルまたはスターラーミルを用いて激しく粉砕することにより製造される。
【0030】
粉砕媒体として使用するのに適するものは、例えば0.1〜30mm、好ましくは0.6〜2mmの大きさを有するガラス粉砕媒体または他の鉱物質または金属粉砕媒体であり、懸濁液は一般的に平均粒径が10μmよりもかなり小さくなるまで微粉砕される。
【0031】
この場合、タンクミックスにおいて水で希釈するときに、微粒子状の塩形態の活性化合物が定量的に溶解することが特に有利である。その結果として、活性化合物は均一な事実上単分子の形態で植物に対して利用しうる。そのため、一般的に、特に好ましい除草特性が達成される。
【0032】
高割合の親油性助剤および双極性界面活性剤は、葉中への活性化合物の浸透または導入/透過を有利に援助する。このような助剤は、天然の油脂および特にこれらの脂肪酸メチルエステル、例えばオレイン酸メチルである。
【0033】
本発明の実質的に水を含まない配合物は、さらにULV法(ウルトラライト適用法)による適用を可能にし、この場合、例えば飛行機で適用するために、一般的に良好な混和性で、配合物を1ヘクタール当たり10〜50Lの水を含まない油性濃縮物(例えば Spraytex-Ol、Exxonの製品)と直接に混合できるか、または該油性濃縮物で直接に希釈できる。
【0034】
本発明に係る配合物は、広い範囲の望ましくない有害植物に対して優れた活性を有する。
【0035】
加えて、これらの配合物はまた、好適な改変により N-ホスホノメチルグリシン(これ自体は総合的除草剤として作用する)に対して高められた抵抗性が与えられている作物植物において、望ましくない植物を防除するための使用に特に好ましく適している。
【0036】
本発明に係る配合物は除草剤として用いられる。相当する除草組成物は、耕作されていない土地における植物を、特に高い適用率で極めて効果的に防除する。グリホセートまたはグルホシネートに対して高められた抵抗性を有する遺伝子改変双子葉植物、例えばダイズ、ナタネ、サトウダイコン、アマ、エンドウ、ジャガイモ、レンズマメおよび綿花において、上記組成物は、作物植物を有意に損傷することなく、雑草および有害な草に対して作用する。この効果は低い適用率において既に観察される。
【0037】
本発明に係る配合物は、ダイズ植物自体が N-ホスホノメチルグリシンおよびそのエステルまたは塩に対して抵抗性であるダイズ作物において望ましくない植物を防除するのに特に有用である。これに関連して、ダイズとトウモロコシとの間の1年ごとの輪作により、ダイズ耕作地に生じることのある望ましくないトウモロコシ植物(いわゆる「自生トウモロコシ」)を選択的に防除できるということが、特に有利であることが見出された。
【0038】
問題の適用方法に応じて、本発明に係る配合物またはこれから製造されたスプレー液は、望ましくない植物を駆除するために、多数の他の改変作物植物に使用することができる。好適な作物は、例えば下記のものである:
タマネギ(Allium cepa)、パイナップル(Ananas comosus)、ラッカセイ(Arachis hypogaea)、アスパラガス(Asparagus officialis)、サトウダイコンのアルチッシマ種(Beta vulgaris spec.altissima)、テンサイ(Beta vulgaris spec.rapa)、セイヨウアブラナのナパス品種(Brassica napus var. napus)、スウェーデンカブ(Brassica napus var. napobrassica)、アブラナのシルバストリス品種(Brassica rapa var.silvestris)、チャ(Camellia sinensis)、ベニバナ(Carthamus tinctorius)、ペカン(Carya illinoinensis)、レモン(Citrus limon)、オレンジ(Citrus sinensis)、アラビアコーヒーノキ(Coffea arabica)、カネフォーラコーヒーノキ(Coffea canephora)、リベリアコーヒーノキ(Coffea liberica)、キュウリ(Cucumis sativus)、ギョウギシバ(Cynodon dactylon)、ニンジン(Daucus carota)、アブラヤシ(Elaeis guineensis)、イチゴ(Fragaria vesca)、ダイズ(Glycine max)、リクチワタ(Gossypium hirsutum)(キダキワタ(Gossypium araboreum)、シロバナワタ(Gossypium herbaceum)、ワタビチホリウム(Gossypium vitifolium))、ヒマワリ(Helianthus annuus)、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)、オオムギ(Hordeum vulgare)、ホップ(Humulus lupulus)、サツマイモ(Ipomoea batatas)、カシグルミ(Juglans regia)、ヒラマメ(Lens culinaris)、アマ(Linum usitatissimum)、トマト(Lycopersicon lycopersicum)、リンゴ種(Malus spec.)、キャッサバ(Manihot esculenta)、アルファルファ(Medicago sativa)、バショウ属(Musa spec.)、タバコ(Nicotiana tabacum)(N. rustica)、オリーブ(Olea europaea)、イネ(Oryza sativa)、ライマメ(Phaseolus lunatus)、サヤインゲン(Phaseolus vulgaris)、ヨーロッパトウヒ(Picea abies)、マツ種(Pinus spec.)、エンドウ(Pisum sativum)、セイヨウミザクラ(Prunus avium)、モモ(Prunus persica)、セイヨウナシ(Pyrus communis)、スグリ(Ribes sylvestre)、トウゴマ(Ricinus communis)、サトウキビ(Saccharum officinarum)、ライムギ(Secale cereale)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、モロコシ(Sorghum bicolor)(S. vulgare)、カカオ(Theobroma cacao)、アカツメクサ(Trifolium pratense)、パンコムギ(Triticum aestivum)、マカロニコムギ(Triticum durum)、ソラマメ(Vicia faba)、ブドウ(Vitis vinifera)およびトウモロコシ(Zea mays)。
【0039】
除草剤組成物または有効成分を植物の出芽前または出芽後に施用できる。ある作物が、活性化合物に十分に耐性でない場合、スプレー装置を用いて除草剤組成物を噴霧する応用技術を使用できる。その際の方法は、有効成分が感受性作物に、有効成分が接触するとしてもできる限り少量しか接触しないようにし、一方、活性化合物が望ましくない下部で成長する植物の葉またはむき出しの土壌表面に達する(出芽後に向けられた(post-directed)、レイバイ(lay-by))ような方法である。
【0040】
完成したスプレー液の適用率は、意図する標的、季節、標的植物および成長期に応じて、0.001〜3.0、好ましくは0.01〜2.0kg/haの活性物質(a.s.)である。
【0041】
さらに、完成したスプレー液を他の除草剤と組み合わせるだけでなく、他の作物保護剤、例えば害虫または植物病原性の真菌もしくは細菌を制御する薬剤と組み合わせて適用することが有用な場合がある。栄養および微量元素の欠乏を克服するために用いられる無機塩溶液との混和性も重要である。植物無毒性の油および油性濃縮物を添加することもできる。
【0042】
本発明の配合物に基づく作物保護剤配合物の除草有効量を、作物植物、その生育地および/またはその種子に作用させることにより、望ましくない植物が防除される。
【0043】
製造例
実施例1
0.9〜1.2mmのガラスビーズを粉砕媒体として用い、成分a)およびb)の活性化合物を、一般的に約0〜30℃で、成分c)および所望により他の配合助剤および/または除草活性化合物とともに粉砕した。
【0044】
シクロヘキセノンオキシムエーテルIを遊離酸の形態で用いた場合は、成分b)が粉砕されてしまうまでは、またはその後では、この遊離酸を加えないことが好ましい。
【0045】
活性化合物の濃度は合計で約10〜60%、一般的に30〜60%であった。
【0046】
粉砕は Bachofen からの Dynomill 中で0.5〜1Lのバッチサイズを用い、通過操作法で行った。一般的に5回の通過(蠕動ポンプを用いてミルにスラリーを通過させる)の後、顕微鏡評価によれば1〜10μmの平均粒径が得られた。
【0047】
次いで、KPG撹拌器または磁気撹拌器を用いて10分間均質化することにより、他の助剤および場合により活性成分I(遊離酸として)の混合およびこれらでの希釈を行った。
【0048】
実施例2
出発材料(一般的な基礎配合):
240〜550g/Lのグリホセート(純粋な活性成分画分に関して計算)
10〜80g/Lのシクロヘキセノンオキシムエーテル
100〜350g/Lの乳化剤(類)
非プロトン性希釈剤/溶剤で1Lにする。
【0049】
上記基礎処方に従って、グリホセート(遊離化合物としてまたは塩として)を乳化剤と混合し、1Lの油性濃厚懸濁液当たり0.9Lの体積とした。
【0050】
上記成分を1〜2分間撹拌することにより前均質化し、ガラスビーズミルまたは Dynomill を用い、蠕動ポンプにより微粉砕した。
【0051】
活性成分グリホセートの特性に応じて、またはその結晶の大きさに応じて、乾燥活性成分を、例えばピンディスクミルを用いてあらかじめ微粉砕する必要があった。
【0052】
微粉砕パラメーター:
ミル容器体積は0.5L、ガラスビーズ装填は約80%1)(すなわち、ミルにガラスビーズを80体積%まで充填した)。ガラスビーズ直径は1.0〜1.4mm;5回通過の回分式;水でミルを冷却(10℃の入口温度および約20℃の出口温度)。
【0053】
典型的な粒径:微粉砕の後、0.1〜10μm、特に2μm未満のものを30〜80%含む。
【0054】
均質な、場合によっては僅かに粘性の油性濃厚懸濁液またはグリホセート油性濃厚懸濁液の予備濃縮物が得られた。
【0055】
次いで、意図する量のシクロヘキセノンオキシムエーテルI(必要に応じて希薄な予備濃縮物として)を、グリホセート油性濃厚懸濁液中に約20℃で撹拌混合した(ディソルバーを用い、800回転/分で約30分間)。最後に、この混合物を溶剤または希釈剤で1.0Lにした。
【0056】
全ての活性成分(すなわち、Iおよびグリホセート/グルホシネート)を塩の形態で用いる場合は、最初に成分a)およびb)の別個の油性濃厚懸濁液(マスター濃厚懸濁液)を製造するのが有利なことがある。
【0057】
実施例3:貯蔵寿命
本来公知の手段で、対応する金属水酸化物または炭酸塩およびグリホセートを混合または均質化し、減圧濃縮し、乾燥オーブン中で10〜50ミリバールの減圧下において一晩乾燥し、その後で残留湿分(含水量)を0.5%未満にすることにより、グリホセート塩の製造を行った。グリホセートの上記の量は純粋な活性成分に関して計算される。
【0058】
新規混合物において、グリホセートおよびその塩は一般的に活性成分の劣化を受けないので、安定性のデータはシクロヘキセノンオキシムエーテルについてだけ示される。
【0059】
使用したシクロヘキセノンオキシムエーテルIは、2-[1-(3-クロロアリルオキシ)イミノプロピル]-5-(テトラヒドロピラン-4-イル)-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノンであった。
【表1】

【0060】
助剤に関する説明:
Atlas G 1086 は、ポリオキシエチレン-(40)-ソルビトールヘキサオレエート(CAS No. 057171-56-9);以前は ICI surfactants であった Uniqema からの製品である。
【0061】
Solvesso 200 は、アルキル置換C10-芳香族物質;Exxon からの製品である。
【0062】
Aerosol OT-A は、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(CAS No. 000577-11-7);Cytec の製品である。
【0063】
Lutensol ON 110 は、エトキシル化イソデカノール;BASF AG の製品である。
【0064】
Sokalan HP 50 は、ポリビニルピロリドン;BASF AG の製品である。
【0065】
実施例4
比較実験
比較実験において、2-[1-(3-クロロアリルオキシ)イミノプロピル]-5-(テトラヒドロピラン-4-イル)-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エノン5)を、表2に示す助剤とともに撹拌して、市販品 Roundup(登録商標)Ultra(Monsanto の製品および標章)中に混入した。そうして得られた配合物のグリホセート含有量は、それぞれの場合に25重量%であった。2週間貯蔵した後に依然として存在する上記シクロヘキセノンオキシムエーテルの量を試験した。
【表2】

【0066】
実施例3および4の実験は、驚くべきことに、シクロヘキセノンオキシムエーテルIを安定な新規油性濃厚懸濁液配合物として処方できることを実証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に、
a) 少なくとも1種の式Iのシクロヘキセノンオキシムエーテル塩
【化1】

(式中、
1は、エチルまたはプロピルであり;
2は、農業上有用な陽イオンの当量であり;
3は、2-(チオエチル)プロピル、テトラヒドロチオピラン-3-イル、テトラヒドロチオピラン-4-イル、テトラヒドロピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、1-(メチルチオ)シクロプロピル、5-(イソプロピル)イソオキサゾール-3-イル、2,5-ジメチルピラゾール-3-イル、2,4,6-トリメチルフェニルまたは2,4,6-トリメチル-3-ブチリルフェニルであり;
4およびR5は、互いに独立して、それぞれ水素、メチルまたはメトキシカルボニルであり;
Alkは、CH2CH2、CH2CH(CH3)、CH2CH=CH、CH2CH=C(Cl)またはCH2CH2CH=CHであり;
6は、水素、フェニル、ハロフェニル、ジハロフェニル、フェノキシ、ハロフェノキシまたはジハロフェノキシである);
c) 成分a)を懸濁させる20〜80重量%の非プロトン性または弱プロトン性溶剤;
d) 所望により、乳化剤、界面活性剤、界面活性助剤および/または活性増強助剤;
を含む、油性濃厚懸濁液。
【請求項2】
成分a)として、R2がアルカリ金属またはアルカリ土類金属陽イオンの当量である、少なくとも1種の式Iのシクロヘキセノンオキシムエーテル塩を含む、請求項1に記載の油性濃厚懸濁液。
【請求項3】
シクロヘキセノンオキシムエーテル塩が、1%未満の量で油相中に溶存している、請求項2に記載の油性濃厚懸濁液。

【公開番号】特開2006−36773(P2006−36773A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212835(P2005−212835)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【分割の表示】特願2000−587616(P2000−587616)の分割
【原出願日】平成11年12月15日(1999.12.15)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】