説明

シス桂皮酸誘導体化合物及び植物生長調節剤

【課題】自然環境下での分解が容易で、且つ人体に対する安全性の高い植物生長抑制効果を有する、新規な化合物を提供する。
【解決手段】6員芳香環にハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有する、新規なシス桂皮酸誘導体。該化合物は植物生長調節を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のシス桂皮酸誘導体化合物、及び該化合物を有効成分とする植物生長調節剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農耕地等においては雑草害を回避するために、多くの合成除草剤が使用されている。また、公園等の緑地においては適切な植生管理を行うために、やはり多くの合成化合物が植物生長調節剤として投入されている。これらの植物生長調節剤にはフェノール系、ジフェニールエーテル系、酸アミド系、トリアジン系、カーバメイト系、フェノキシ系等多くの種類があるが、いずれもその有効成分は人工的に合成された有機化合物が主流である。これらの製剤は一般に疎水性が高く、自然環境中では分解されにくいものが多い(例えば非特許文献1を参照。)。
【0003】
また、合成除草剤は人体においては、特定の臓器に蓄積して障害を引き起こしやすいとされていることから、近年は環境や人体に対して、より安全性の高い植物生長調節剤が求められていた(例えば非特許文献2を参照。)。
【0004】
本発明者は先に植物のアレロパシーの研究において、ユキヤナギが他の植物に対して示す強い生長抑制作用の原因物質がグリコピラノシル‐シス桂皮酸であることを解明し、植物生長調節剤としてのシス桂皮酸について報告している (特許文献1を参照。)。しかしながら、シス桂皮酸のフェニル基の置換基についてはなんら検討が為されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−62967号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】石崎寛著「農薬科学」養賢堂1987年
【非特許文献2】植村振作・他著「農薬毒性の事典」三省堂1988年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、自然環境下での分解が容易で、且つ人体に対する安全性の高い植物生長抑制効果を有する、新規な化合物を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは既にシス桂皮酸が強力な植物生長調節効果があることを見出しているが、該シス桂皮酸のベンゼン環上の置換基は全て水素であった。該ベンゼン環上の置換基について検討することにより、本発明をするに至った。即ち本発明は、
【0009】
<1> 下記一般式(1)で示される化合物である。
【化1】


前記一般式(1)中、Rはハロゲン、置換基を有しても良いC1-5直鎖アルキル基、置換基を有してもよいC1-5分岐鎖アルキル基、置換基を有してもよいC1-5アルケニル基、置換基を有してもよいC1-5アルコキシル基、ヒドロキシル基、またはニトロ基を示す。
<2> さらに本発明は、前記化合物を含む植物生長調節剤である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、植物生長調節作用を有する新規化合物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、下記一般式(1)で表されるシス桂皮酸誘導体化合物である。以下本発明について詳細に説明する。
【0012】
【化2】

【0013】
前記一般式(1)において、Rは、ハロゲン、置換基を有しても良いC1-5直鎖アルキル基、置換基を有してもよいC1-5分岐鎖アルキル基、置換基を有してもよいC1-5アルケニル基、置換基を有してもよいC1-5アルコキシル基、ヒドロキシル基、またはニトロ基である。
【0014】
前記シス桂皮酸誘導体は、Rが前記のいずれの置換基の場合も除草効果を有するが、植物生長調節剤としては(以下に示す置換基も同様である。)、Rがハロゲン、置換基を有しても良いC1-5直鎖アルキル基、置換基を有してもよいC1-5アルコキシル基が特に好ましい。
【0015】
前記ハロゲンとしては、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素がより好ましい。
【0016】
また前記置換基を有しても良いC1-5直鎖アルキル基におけるC1-5直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基がより好ましく、該置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、水酸基を挙げることができる。
【0017】
前記置換基を有しても良いC1-5分枝鎖アルキル基におけるC1-5分枝鎖アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基がより好ましく、該置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、水酸基を挙げることができる。
【0018】
また前記置換基を有してもよいC1-5アルコキシル基としては、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基、ペントキシル基がより好ましく、該置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、水酸基を挙げることができる。
【0019】
前記シス桂皮酸誘導体におけるRの置換位置としては、メタ位、及びパラ位がより好ましく、特にメタ位が好ましい。
【0020】
本発明の化合物であるシス桂皮酸誘導体は、フェニル基上に置換基を有するベンズアルデヒドをテトラヒドロフランに溶かしトリトンB存在下、氷点下60度〜80度で、ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetateと反応させたのち、そこで得られた生成物を水酸化ナトリウム水溶液で加水分解することにより得ることができる。
【0021】
本発明の植物生長調節剤は、対象とする植物を限定しない。例えば、水田においては、タイヌビエ、タマガヤツリ、アゼナなどの一年生雑草、および、ホタルイ、ミズガヤツリ、ウリカワなどの多年生雑草の防除を目的とした、水田用除草剤として用いることが出来る。
【0022】
畑地や樹園地においては、スズメノテッポウ、ヤエムグラ、メヒシバ、オオイヌノフグリなどの一年生および越年生雑草、およびオオアレチノギク、セイタカアワダチソウ、カヤツリグサなどの多年生雑草を目的とした畑地用および樹園地用除草剤あるいは植物生長調節剤として使用することが出来る。
【0023】
更に本発明の植物生長調節剤は、水田や畑地以外に、例えば休耕田畑、畦畔、農道、水路、牧草造成地、墓地、公園、道路、運動場、建物の周辺の空き地、開墾地、線路、森林等における一般雑草の防除に使用することもできる。
【0024】
本発明の植物生長調節剤は、出芽前及び出芽後1〜3日目の植物に対して特に優れた生長抑制作用を示す。したがって、有用植物の植え付け予定地に予め処理するか、有用植物の植え付け後(有用植物が樹園地の如く既に定植されている場合を含む)雑草の発生一ヶ月以内に処理することが、本発明植物生長調節剤の有する生理活性を効果的に発現させる上から望ましい。
【0025】
しかし本発明の植物生長調節剤は、雑草の生育始期に限定されるものではなく、発生後一ヶ月以降の栄養生長期あるいは繁殖栄養期の雑草の防除も可能である。
【0026】
本発明の植物生長調節剤は、化合物単体を水に溶解して使用することができるが、界面活性剤あるいは溶剤などの液体担体に溶解若しくは分散させ、又はベントナイト等の粉末担体と混合若しくは吸着させての使用がより好ましい。さらに、効果を高める目的でこれら溶解若しくは分散させ、又は混合若しくは吸着させた本発明の植物生長調節剤に、乳化剤、分散剤、懸濁剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、安定剤などを添加し、乳剤、油剤、水和剤、粉剤、水溶剤などの製剤として使用することができる。
【0027】
本発明の植物生長調節剤は、0.001〜100%の濃度のものを、生長阻害若しくは枯殺目的の植物の茎葉に直接施用する。又、植物の発生を防止するためには、当該目的とする場所の土壌に直接処理して使用する。
【0028】
本発明の植物生長調節剤の使用量は、種々の因子、例えば目的とする植物、該植物の発生・生育状況、植物の発育傾向、天候、環境条件、剤型、施用方法、施用場所、施用時期等により変動する。目的に応じて剤型、施用量を適宜選択して使用する。
【0029】
本発明の植物生長調節剤は、防除対象草種、防除適期の拡大のため、あるいは薬量の低減をはかる目的で、他の除草剤、植物生長調節剤などと配合して使用することも可能である。
【実施例】
【0030】
以下に本発明の内容を実施例によりさらに具体的に示すが、本発明は本実施例の記載に限定されるものではない。
実施例1《化合物1:(Z)-3-(2-fluorophenyl)-2-propenoicacidの合成》
【0031】
【化3】

【0032】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(3.5 g)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(4.6mL)を加え-78度で20分攪拌した。次に2−フルオロベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(30 mL)を加え、2時間、同温で攪拌した。
【0033】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1.47 gの(Z)-ethyl 3-(2-fluorophenyl)propenoateを得た。
【0034】
これをエタノール(8 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、0.38g (28%)の化合物1を無色針状結晶として得た。
【0035】
m.p. 70.1 ~ 71.7 °C; 1H-NMR (400MHz, CDCl3) d: 7.62(t, 1H), 7.36 (m, 1H), 7.16 - 7.04 (m, 3H), 6.10 (d, 1H, J = 12.4 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) d: 171.34, 161.41, 158.90, 138.14 (d, J = 13.2 Hz), 131.05 (d, J = 13.2 Hz), 123.59 (d, J = 13.2 Hz), 122.64 (d, J = 13.2 Hz), 121.18, 115.39; IR: 3022,1697 cm-1; ESI-MS m/z: 165 (M-1); Anal: Calcd for C9H8O2,C: 65.06, H:4.25; Found C: 65.02, H: 4.29.
【0036】
実施例2 《化合物2:(Z)-3-(2-chlorophenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0037】
【化4】

【0038】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(3. 0g)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(4.1mL)を加え-78度で20分攪拌した。次に2−クロロベンズアルデヒド(1.0g)のテトラヒドロフラン溶液(30mL)を加え、4.5時間、同温で攪拌した。
【0039】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、(Z)-ethyl3-(2-chlorophenyl)propenoateを得た。
【0040】
これをエタノール(3 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で3時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、0.89gの化合物2を無色針状結晶として収率69%で得た。
【0041】
m.p. 136 ~ 137 °C;1H-NMR (400MHz, CDCl3) d : 7.507 (d, 1H),7.391 (d, 1H), 7.289 ~ 7.201 (m, 3H), 6.093 (d, 1H, J = 12.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) d: 170.96,143.03, 133.36, 133.21, 130.91, 130.09, 129.08, 126.17, 120.85; IR: 3022, 1697cm-1; ESI-MS m/z: 181 (M-1); Anal: Calcd for C9H8O2,C: 59.20, H: 3.86 ; Found C: 59.38, H: 3.85.
【0042】
実施例3 《化合物3: (Z)-3-(2-bromophenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0043】
【化5】

【0044】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(3.50g)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(4.7mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に2−ブロモベンズアルデヒド(1.50g)のテトラヒドロフラン溶液(130mL)を加え、6時間、同温で攪拌した。
【0045】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1.68gのethyl 3-(2-bromophenyl)propenoateを得た。
【0046】
これをエタノール(3mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、1M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、0.95gの化合物3を収率52%で得た。
【0047】
m.p. 146 ~ 147 °C; 1H-NMR(400 MHz, CDCl3) d: 7.578 ( d, 1H), 7.468 ( dd, 1H), 7.275 ~7.170, ( m, 3H), 6.056 ( d, 1H, J = 12.0 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3)d: 170.4, 145.0, 135.3, 132.2, 130.9, 130.2,126.8, 123.0, 120. 6; IR 3022, 1697 cm-1; ESI-MS m/z : 227; Anal:Calcd for C9H8O2, C: 47.61, H: 3.11; Found, C: 47.76, H: 3.11.
【0048】
実施例4 《化合物4:(Z)-3-(2-iodophenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0049】
【化6】

【0050】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(1.8g)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(2.5mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に2−ヨードベンズアルデヒド(1.0g)のテトラヒドロフラン溶液(30 mL)を加え、8時間、同温で攪拌した。
【0051】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(6%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1.1gの(Z)-ethyl 3-(2-iodophenyl)propenoateを得た。
【0052】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で8時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、0.45gの化合物4を収率38%で得た。
【0053】
m.p. 122 ~ 124 °C; 1H-NMR (400MHz, CDCl3) d : 7.870(d, 1H), 7.435 (d, 1H), 7.336 (t 1H), 7.089 ( d, 1H, J = 12.4 Hz), 7.039 (dt, 1H), 6.036 (d, 1H, J = 12.0 Hz); 13C-NMR d: 170.83, 148.96, 138.97, 138.53, 130.22, 130.02,127.58, 120.23, 98.03; IR 3022, 1697 cm-1; ESI-MS m/z: 273 (M-1);Anal: Calcd for C9H8O2, C: 39.44, H: 2.57;Found C: 39.81, H: 3.11.
【0054】
実施例5 《化合物5: (Z)-3-(2-methylphenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0055】
【化7】

【0056】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(5.3 g)をテトラヒドロフラン(150mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(7.3mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に2−メチルベンズアルデヒド(1.5g)のテトラヒドロフラン溶液(50 mL)を加え、4時間、同温で攪拌した。
【0057】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、2.03gの(Z)-ethyl 3-(2-methylphenyl)propenoateを得た。
【0058】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で8時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、6M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、0.98gの化合物5を無色針状結晶として収率48%で得た。
【0059】
m.p. 95.5 ~ 96.5 ℃; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d : 7.629 (d, 1H), 7.421 (dd, 1H), 7.146 (d,1H, J = 12.8 Hz), 6.769 (d, 1H),6.832 (d, 2H), 5.883 ( d, 1H, J =12.4 Hz); 13C-NMR (CDCl3, 100MHz) d: 170.89, 145.48, 135.86, 134.38, 129.72,128.94, 128.79, 125.35, 119.99, 19.85; IR: 3020, 1699 cm-1; ESI-MSm/z: 161 (M-1); Anal: Calcd for C9H8O2, C:74.06,H : 6.21; Found C: 74.02, H: 6.21.
【0060】
実施例6 《化合物6:(Z)-3-(2-methoxyphenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0061】
【化8】

【0062】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(6.3 g)をテトラヒドロフラン(60mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(8.8mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に2−メトキシベンズアルデヒド(2.0g)のテトラヒドロフラン溶液(100 mL)を加え、4時間、同温で反応させた。
【0063】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出(100 mL, 50 mL x 2)した。有機層を合わせ、水で洗浄(150 mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx3回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、3.00gの(Z)-ethyl 3-(2-methoxyphenyl)propenoateを得た。
【0064】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で4.5時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、6M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、1.70gの化合物6を無色針状結晶として収率65%で得た。
【0065】
m.p. 89.5 ~ 93.0 ℃; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d : 7.63 (d, 1H), 7.42 ( dd, 1H), 7.15 (d, 1H, J = 12.8 Hz), 6.769 (d, 1H), 6.832 (d,2H), 5.883 (d, 1H, J = 12.4 Hz); 13C-NMR(100 MHz, CDCl3) d: 172.1,157.0, 141.4, 130.8, 130.6, 123.4, 119.8, 118.8, 110.2, 55.1; IR: 3022, 1697 cm-1;ESI-MS m/z: 177 (M-1); Anal. Calcd for C9H8O2,C: 67.41, H: 5.66; Found C: 67.54, H: 5.62.
【0066】
実施例7 《化合物7: (Z)-3-(2-trifluoromethylphenyl)-2-propenoicacidの合成》
【0067】
【化9】

【0068】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(3.7 g)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(5.2mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に2−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(50 mL)を加え、2時間、同温で反応させた。
【0069】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出(100 mL, 70 mL x 2)した。有機層を合わせ、水で洗浄(100 mLx10回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx1回)、飽和食塩水で洗浄(250mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1.74gの(Z)-ethyl 3-(2-trifluoromethylphenyl)propenoateを得た。
【0070】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、6M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで3回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、1.03gの化合物7を無色針状結晶として収率55%で得た。
【0071】
m.p. 113 ~ 114 ℃; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d : 7.68 (d, 1H), 7.512 - 7.365 (m, 4H), 6.121 (d, 1H, J = 12.4 Hz); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) d: 170.97,143.16, 134.08, 131.23, 130.30, 128.31, 128.01, 125.58, 122.62, 121.95, 119.88;IR: 3022, 1697 cm-1; ESI-MS m/z: 215 (M-1); Anal. Calcd for C9H8O2,C: 55.56, H: 3.26; Found C: 55.68, H: 3.30.
【0072】
実施例8 《化合物8:(Z)-3-(3-fluorophenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0073】
【化10】

【0074】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(5.2 g)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(7.1mL)を加え-78度で20分攪拌した。次に3−フルオロベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(50 mL)を加え、1.5時間、同温で攪拌した。
【0075】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(6%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、2.27gの(Z)-ethyl 3-(3-fluorophenyl)propenoateを得た。
【0076】
これをエタノール(8 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をエーテル/ヘキサンから再結晶し、0.92gの化合物8を無色針状結晶として収率48%で得た。
【0077】
m.p. 39.5 ~ 41.0 ℃; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d: 7.63 (d, 1H), 7.42 (dd, 1H), 7.15 (d, 1H, J = 12.8 Hz), 6.77 (d, 1H), 6.83 (d,2H), 5.88 (d, 1H, J = 12.4 Hz); 13C-NMRd: 171.81, 146.03, 146.00, 131.71, 130.37,127.61, 117.621, 28.73, 15.21; IR: 3022, 1697 cm-1; ESI-MS m/z: 165(M-1); Anal: Calcd for C9H8O2, C: 65.06,H:4.25; Found C: 64.96, H: 4.34.
【0078】
実施例9 《化合物9:(Z)-3-(3-chlorophenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0079】
【化11】

【0080】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(4.6 g)をテトラヒドロフラン(60mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(6.2mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に3−クロロベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(50 mL)を加え、2.5時間、同温で攪拌した。
【0081】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200 mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(6 %酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、2.19gの(Z)-ethyl3-(3-chlorophenyl)propenoateを得た。
【0082】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をエーテル/ヘキサンから再結晶し、0.88gの化合物9を無色針状結晶として収率61%で得た。
【0083】
m.p. 70.0 ~ 71.0 ℃; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d: 7.58 (d, 1H), 7.47 ( d, 1H), 7.34 - 7.31,(m, 2H), 7.02 (d, 1H, J = 12.4 Hz),6.036 (d, 1H, J = 12.4 Hz); 13C-NMR(100 MHz, CDCl3) d: 171.26,144.27, 136.04, 133.92, 129.63, 129.27, 129.22, 127.86, 120.03; IR: 3022, 1697cm-1; ESI-MS m/z: 181 (M-1); Anal. Calcd for C9H8O2,C: 59.20, H: 3.86; Found C: 59.13, H: 3.89.
【0084】
実施例10 《化合物10:(Z)-3-(3-bromophenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0085】
【化12】

【0086】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(4.6 g)をテトラヒドロフラン(60mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(6.2mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に3−ブロモベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(50 mL)を加え、2.5時間、同温で攪拌した。
【0087】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200 mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5 %酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1.6gの(Z)-ethyl3-(3-bromophenyl)propenoateを得た。
【0088】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、0.40gの化合物10を無色針状結晶として収率21%で得た。
【0089】
m.p. 80.0 ~ 81.0 ℃; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d : 7.72 (s, 1H), 7.53 (dd, 2H), 7.24 (d,1H), 7.02 (d, 1H, J = 12.8 Hz), 6.00(d, 1H, J = 12.8 Hz); 13C-NMR(100 MHz, CDCl3) d: 171.27,144.22, 136.28, 132.50, 132.09, 129.53, 128.29, 121.99, 120.05; IR: 3022, 1697cm-1; ESI-MS m/z: 227 (M-1); Anal. Calcd for C9H8O2,C: 47.61, H: 3.11; Found C: 47.66, H: 3.04.
【0090】
実施例11 《化合物11:(Z)-3-(3-iodophenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0091】
【化13】

【0092】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(4.6 g)をテトラヒドロフラン(60mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(6.2mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に3−ヨードベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(50 mL)を加え、7時間、同温で攪拌した。
【0093】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200 mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5 %酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1.84gの(Z)-ethyl3-(3-iodophenyl)propenoateを得た。
【0094】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、0.82gの化合物11を無色針状結晶として収率46%で得た。
【0095】
m.p. 102 ~ 104 ℃; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d: 7.89 (s, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.56, (d,1H), 7.10, ( t, 1H), 6.98 (d, 1H, J =12.8 Hz), 6.00 (d, 1H, J = 12.8 Hz); 13C-NMR(100 MHz, CDCl3) d: 171.04,144.11, 138.41, 138.01, 136.42, 129.68, 128.85, 119.99, 93.66; IR: 3022, 1697cm-1; ESI-MS m/z : 273 (M-1); Anal. Calcd for C9H8O2,C : 39.44, H: 2.57; Found C: 39.55, H: 2.51.
【0096】
実施例12 《化合物12:(Z)-3-(3-methylphenyl)-2-propenoic acidの合成
【0097】
【化14】

【0098】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(5.4 g)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(7.3mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に3−ヨードベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(50 mL)を加え、1.5時間、同温で攪拌した。
【0099】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200 mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2 %酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、2.24gの(Z)-ethyl 3-(3-methylphenyl)propenoateを得た。
【0100】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をエーテル/ヘキサンから再結晶し、0.80gの化合物12を無色針状結晶として収率39%で得た。
【0101】
m.p. 36 ~ 38.5 °C; 1H-NMR(400 MHz, CDCl3) d: 7.63 (d, 1H), 7.421 (dd, 1H), 7.15 (d, 1H, J = 12.8 Hz), 6.77 ( d, 1H), 6.83 (d,2H), 5.88 (d, 1H, J = 12.4 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) d: 171.70,145.94, 137.61, 134.30, 130.54, 130.13, 127.96, 126.97, 118.50, 21.27; IR:3022, 1697; ESI-MS m/z: 161 (M-1); Anal. Calcd for C9H8O2,C: 74.06, H: 6.21; Found C: 74.20, H: 6.10.
【0102】
実施例13 《化合物13: (Z)-3-(3-methoxyphenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0103】
【化15】

【0104】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(4.7 g)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(6.6mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に3−ヨードベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(50 mL)を加え、3時間、同温で攪拌した。
【0105】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200 mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3 %酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、2.2gの(Z)-ethyl 3-(3-methoxyphenyl)propenoateを得た。
【0106】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をエーテル/ヘキサンから再結晶し、0.60gの化合物13を無色針状結晶として収率48%で得た。
【0107】
m.p. 36.0 ~ 38.5 °C; 1H-NMR(400 MHz, CDCl3) d: 7.63 (d, 1H), 7.42 ( dd, 1H), 7.15 ( d, 1H, J= 12.8 Hz), 6.77 (d, 1H), 6.83 (d, 2H), 5.88 (d, 1H, J = 12.4 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) d: 170.94, 158.71, 145.18, 135.13, 128.60,122.21, 118.34, 115.13, 114.37, 54.76; IR 3022, 1697 cm-1; ESI-MSm/z: 177 (M-1); Anal. Calcd for C9H8O2, C:67.41, H: 5.66; Found C: 67.49, H: 5.67.
【0108】
実施例14 《化合物14:(Z)-3-(3-trifluoromethylphenyl)-2-propenoicacidの合成》
【0109】
【化16】

【0110】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(4.7 g)をテトラヒドロフラン(40mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(3.5mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(1.0 g)のテトラヒドロフラン溶液(40 mL)を加え、3時間、同温で攪拌した。
【0111】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200 mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5 %酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1.2gの(Z)-ethyl 3-(3-trifluoromethylphenyl)propenoateを得た。
【0112】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、0.45gの化合物14を無色針状結晶として収率36%で得た。
【0113】
m.p. 56.0 ~ 57.0 °C; 1H-NMR(400 MHz, CDCl3) d: 7.83 (s, 1H), 7.78 ( d, 1H), 7.61, ( d,1H), 7.50, ( t, 1H), 7.12 ( d, 1H, J= 12.4 Hz), 6.09 (d, 1H, J = 12.8Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) d: 170.83, 144.33, 135.02, 132.88, 130.99, 128.52,126.66, 125.85, 125.28, 120.45; IR 3022, 1697 cm-1; ESI-MS m/z: 215(M-1); Anal. Calcd for C9H8O2, C: 55.56, H:3.26; Found C: 55.68, H: 3.30.
【0114】
実施例15 《化合物15:(Z)-3-(4-fluorophenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0115】
【化17】

【0116】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(5.2g)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(7.1mL)を加え-78度で20分攪拌した。次に4−フルオロベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(50 mL)を加え、14時間、同温で攪拌した。
【0117】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、2.5gのethyl3-(4-fluorophenyl)propenoateを得た。
【0118】
これをエタノール(8 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、6M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をエーテル/ヘキサンから再結晶し、0.40gの化合物15を無色針状結晶として収率68%で得た。
【0119】
m.p. 89.5 ~ 93.0 ℃; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d: 7.63 (d, 1H), 7.42 (dd, 1H), 7.15 (d, 1H, J = 12.8 Hz) 6.77 (d, 1H) 6.83 (d, 2H)5.88 (d, 1H, J = 12.4 Hz); 13C-NMR(100 MHz, CDCl3): d 170.96, 143.03, 133.36, 133.21, 130.91,130.09, 129.08, 126.17, 120.85; IR 3022, 1697; ESI-MS m/z: 165 (M-1); Anal.Calcd for C9H8O2, C: 65.06, H:4.25; Found C:74.96, H: 6.89.
【0120】
実施例16 《化合物16:(Z)-3-(4-chlorophenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0121】
【化18】

【0122】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(4.6g)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(6.2mL)を加え-78度で20分攪拌した。次に4−クロロベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(60 mL)を加え、1時間、同温で攪拌した。
【0123】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、2.21gの(Z)-ethyl 3-(4-chlorophenyl)propenoateを得た。
【0124】
これをエタノール(8 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、6M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、1.2gの化合物16を無色針状結晶として収率61%で得た。
【0125】
m.p. 108 ~ 110 ℃; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d : 7.57 (d, 2H), 7.35 (d, 2H), 7.03 (d, 1H, J = 12.4 Hz) 6.00 (d, 1H, J = 12.4 Hz); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) d: 171.52,144.75, 135.33, 132.66, 131.37, 128.26, 119.11; IR 3022, 1697 cm-1;ESI-MS m/z : 181 (M-1); Anal. Calcd for C9H8O2,C: 59.20, H: 3.86; Found C: 59.33, H: 3.86.
【0126】
実施例17 《化合物17:(Z)-3-(4-bromophenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0127】
【化19】

【0128】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(3.50g)をテトラヒドロフラン(80mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(5.8mL)を加え-78度で20分攪拌した。次に4−ブロモベンズアルデヒド(1.83g)のテトラヒドロフラン溶液(120 mL)を加え、14時間、同温で攪拌した。
【0129】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1.76gの(Z)-ethyl 3-(4-bromophenyl)propenoateを得た。
【0130】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、6M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、0.98gの化合物17を収率68%で得た。
【0131】
m.p. 124 ~ 127 °C; 1H-NMR(400 MHz, CDCl3) d : 7.501~ 7.452 ( m, 4H), 7.001 ( d, 1H, J = 12.8 Hz), 6.003 ( d, 1H, J = 12.8 Hz); 13C-NMR(100 MHz, CDCl3) d: 171.1,144.8, 133.2, 131.5, 131. 3, 123.8, 119.3; IR cm-1: 3022, 1697;ESI-MS m/z : 227 (M-1); Anal: Calcd for C9H8O2,C: 47.61, H: 3.11 ; Found C : 47.70, H : 3.13.
【0132】
実施例18 《化合物18:(Z)-3-(4-iodophenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0133】
【化20】

【0134】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(1.8 g)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(2.5mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に4−ヨードベンズアルデヒド(1.0 g)のテトラヒドロフラン溶液(30 mL)を加え、6時間、同温で攪拌した。
【0135】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1.30gの(Z)-ethyl 3-(4-iodophenyl)propenoateを得た。
【0136】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、6M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、0.56gの化合物18を黄色針状結晶として収率47%で得た。
【0137】
mp. 126 ~ 129 °C; 1H-NMR(400 MHz, CDCl3) d : 7.70 (d, 2H) 7.33 (d, 2H), 6.98 (d, 1H, J = 13.2 Hz), 5.99 ( d, 1H, J = 12.8 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) d :171.27, 144.86, 137.24, 133.72, 131.57, 119.37, 95.81; IR: 3022, 1697; ESI-MSm/z: 273 (M-1); Anal. Calcd for C9H8O2, C:39.44, H: 2.57; Found C: 39.61, H: 2.66.
【0138】
実施例19 《化合物19: (Z)-3-(4-methylphenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0139】
【化21】

【0140】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(5.4 g)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(7.3mL)を加え-78度で20分攪拌した。次に4−メチルベンズアルデヒド(1.0 g)のテトラヒドロフラン溶液(30 mL)を加え、6時間、同温で攪拌したのち、さらに-50度で1時間攪拌した。
【0141】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、2.2gの(Z)-ethyl 3-(4-methylphenyl)propenoateを得た。
【0142】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で18時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、6M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、0.76gの化合物19を無色針状結晶として収率37%で得た。
【0143】
m.p. 77.0 ~ 79.5 °C; 1H-NMR(400 MHz, CDCl3) d: 7.63(d, 1H), 7.42 (dd, 1H), 7.15 (d, 1H, J= 12.8 Hz), 6.77 (d, 1H), 6.83 ( d, 2H), 5.88 (d, 1H, J = 12.4 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) d: 171.85, 146.00, 139.76, 131.51, 130.24,128.80, 117.65, 21.40; IR: 3022, 1697; ESI-MS m/z: 161 (M-1); Anal. Calcd for C9H8O2,C: 74.06, H: 6.21; Found C: 74.06, H: 6.19.
【0144】
実施例20 《化合物20:3-(4-methoxyphenyl)-2-propenoicacidの合成》
【0145】
【化22】

【0146】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(9.4 g)をテトラヒドロフラン(80mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(13.2mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に4−メトキシベンズアルデヒド(3.0g)のテトラヒドロフラン溶液(120 mL)を加え、5時間、同温で反応させた後、さらに-50度で5時間反応させた。
【0147】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200 mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、4.75gの(Z)-ethyl 3-(4-methoxyphenyl)propenoateを得た。
【0148】
これをエタノール(8 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、2時間加熱還流した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、6M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、1.70gの化合物20を収率43%で得た。
【0149】
mp. 67.4 ~ 69.2 °C; 1H-NMR(400 MHz, CDCl3) d: 7.629 (d, 1H), 7.421 ( dd, 1H), 7.146 (d, 1H, J = 12.8 Hz), 6.769 (d, 1H), 6.832 (d,2H), 5.883 (d, 1H, J = 12.4 Hz): 13C-NMR (100 MHz, CDCl3)d: 172.095, 160.648, 145.937, 132.570,126.884, 115.923, 113.451, 55.210; IR : 3022, 1697 cm-1; ESI-MS m/z:177 (M-1); Anal : Calcd for C9H8O2, C: 67.41,H: 5.66 ; Found C: 67.41, H: 5.67.
【0150】
実施例21 《化合物21: (Z)-3-(4-trifluoromethylphenyl)-2-propenoicacidの合成》
【0151】
【化23】

【0152】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(3.7 g)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(5.2mL)を加え-78度で15分攪拌した。次に4−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(80 mL)を加え、3時間、同温で攪拌した。
【0153】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200 mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10 %酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1.93gの(Z)-ethyl 3-(4-trifluoromethylphenyl)propenoateを得た。
【0154】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をトルエンから再結晶し、0.90gの化合物21を無色針状結晶として収率24%で得た。
【0155】
m.p. 89.5 ~ 93.0 °C; 1H-NMR(400 MHz, CDCl3) d: 7.667(dd, 4H), 7.12 (d, 1H, J = 12.8 Hz)6.10 (d, 1H, J = 12.4 Hz); 13C-NMR(100 MHz, CDCl3) d: 171.10,144.31, 137.89, 131.03, 129.85, 125.29, 125.05, 122.55, 120.84; IR: 3022, 1697cm-1; ESI-MS m/z : 215 (M-1); Anal. Calcd for C9H8O2,C: 55.56, H: 3.26; Found C: 55.65, H : 3.33.
【0156】
実施例22 《化合物22:(Z)-3-(4-ethylphenyl)-2-propenoic acidの合成》
【0157】
【化24】

【0158】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(4.8 g)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(6.7mL)を加え-78度で20分攪拌した。次に4−エチルベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(30 mL)を加え、8時間、同温で攪拌した。
【0159】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200 mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1.9gの(Z)-ethyl 3-(4-ethylphenyl)propenoateを得た。
【0160】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をエーテル/ヘキサンから再結晶し、0.60gの化合物22を無色針状結晶として収率30%で得た。
【0161】
m.p. 61.0 ~ 63.0 °C; 1H-NMR(400 MHz, CDCl3) d: 7.63 (d,1H) 7.42 (dd, 1H) 7.15 (d, 1H, J =12.8 Hz), 6.77 ( d, 1H) 6.83 (d, 2H), 5.88 (d, 1H, J = 12.4 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) d: 171.81, 146.03, 146.00, 131.71, 130.37,127.61, 117.62, 28.73, 15.21; IR: 3022, 1697 cm-1; ESI-MS m/z : 175(M-1); Anal. Calcd for Calcd for C9H8O2, C:74.98, H: 6.86; Found C: 74.96, H: 6.89.
【0162】
実施例23 《化合物23: (Z)-3-(4-(1-methylethyl)phenyl)-2-propenoicacidの合成》
【0163】
【化25】

【0164】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(4.3 g)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(6.1mL)を加え-78度で20分攪拌した。次に4−イソプロピルベンズアルデヒド(1.5 g)のテトラヒドロフラン溶液(30 mL)を加え、7時間、同温で攪拌した。
【0165】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200 mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1.87gのethyl (Z)-3-(4-(1-methylethyl)phenyl)-2-propenateを得た。
【0166】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をヘキサンから再結晶し、1.3gの化合物23を無色針状結晶として収率68%で得た。
【0167】
m.p. 41.5 ~ 43.0 °C; 1H-NMR(400 MHz, CDCl3) d: 7.70(d, 2H), 7.33 (d, 2H), 6.98 (d, 1H, J= 13.2 Hz), 5.99 (d, 1H, J = 12.8Hz), 2.97 (septet, 1H), 1.263 (d, 6H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3)d: 171.979, 150.610, 145.995, 131.796,130.452, 126.183, 117.563, 33.989, 23.713; IR: 3022, 1697 cm-1;ESI-MS m/z : 189 (M-1); Anal. Calcd for Calcd for C9H8O2,C: 75.76, H: 7.42; Found C: 75.81, H: 7.46.
【0168】
実施例24 《化合物24:(Z)-3-(4-(1,1-dimethylethyl)phenyl)-2-propenoicacidの合成》
【0169】
【化26】

【0170】
ethyl [bis(O-isopropylphenyl)phosphono]acetate(4.1 g)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し-78度に冷却した。そこにTriton B(ベンジルリメチルアンモニウムヒドロキシド)40%メタノール溶液(5.8mL)を加え-78度で20分攪拌した。次に4−tert−ブチルベンズアルデヒド(1.5g)のテトラヒドロフラン溶液(30 mL)を加え、6時間、同温で攪拌した。
【0171】
前記反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで4回抽出(各40 mL)した。有機層を合わせ、水で洗浄(200 mLx2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄(200mLx2回)、飽和食塩水で洗浄(200mL)、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、有機溶媒を減圧溜去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、2.01gのethyl (Z)-3-(4-(1,1-dimethylethyl)phenyl)-2-propenateを得た。
【0172】
これをエタノール(6 mL)に溶かし10%水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液にエーテルを加え10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。この水酸化ナトリウム水溶液層を合わせ、3M塩酸を加えて酸性とし、エーテルで4回抽出した。エーテル層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、有機溶媒を減圧溜去した。得られた粗抽出物をエーテル/ヘキサンから再結晶し、0.19gの化合物24を無色針状結晶として収率10%で得た。
【0173】
m.p. 88.5 ~ 90.0 °C; 1H-NMR(400 MHz, CDCl3) d: 7.62(d, 2H), 7.39 (d, 2H), 7.03 (d, 1H, J= 12.4 Hz), 5.93 (d, 1H, J = 13.2 Hz)1.32 (s, 1H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) d: 171.65, 152.90, 145.90, 131.42, 130.21,125.10, 117.60, 34.79, 31.15; IR: 3022, 1697 cm-1; ESI-MS m/z: 203(M-1); Anal. Calcd for Calcd for C9H8O2, C:76.44, H: 7.90; Found C: 76.56, H: 7.91.
【0174】
実施例25 《一般式(1)で示される化合物の植物生長阻害活性》
本発明の一般式式(1)で示され、前記実施例で合成された化合物1〜化合物24について、植物生長阻害活性を以下により測定した。
【0175】
直径27mmのガラス製ペトリ皿に、同径のろ紙(東洋ろ紙、No. 1)を1枚敷き、これに前記化合物1〜化合物24の各々を、0.1μM、0.3μM、1.0μM、3.0μM、10.0μM、30.0μM、100.0μMの7区分として添加した。
【0176】
前記添加後のろ紙を40℃にて減圧・乾固後、水0.7 mLを加え、レタスの催芽種子を6粒置床した。その後、20℃、暗所にて48時間インキュベートし、この間に伸長生長した植物の根の長さを測定することによって、幼根伸長に対する生長阻害活性を検出した。植物生育阻害活性は、水のみを加えた対照区の植物の根の長さに対して50%阻害した濃度(EC50)で表した。結果を表1に示す。
【0177】
【表1】

【0178】
本発明の一般式(1)で示される化合物は、いずれも10-6 M前後でレタスの幼根伸長を50 %阻害した。無置換のシス桂皮酸と比較すると、3-ヨード体、3−トリフルオロメチル体が特に、高い阻害活性を示した。メタ位(3位)に疎水性置換基を挿入すると阻害活性が向上する可能性がある。また、4-メチル体もシス桂皮酸よりも高い阻害活性を示した。
【0179】
シス桂皮酸は天然植物生育阻害物質としては非常に強い活性を持っているシスアブシジン酸よりも高活性であることが知られているが、そのシス桂皮酸の誘導体である本発明の一般式(1)で示される化合物はそれよりもさらに強い植物生育阻害活性を持っていることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0180】
農地等において作物を雑草害から守るために、単独あるいは他の化合物と混合して、分解が容易で、且つ人体に対する安全性の高い除草剤あるいは植物生長調節剤として、利用することができる。
又、公園等において植物の生長を適切に制御するために、単独あるいは他の化合物と混合して、分解が容易で、且つ人体に対する安全性の高い除草剤あるいは植物生長調節剤として、利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物。
【化1】


前記一般式(1)中、Rはハロゲン、置換基を有しても良いC1-5直鎖アルキル基、置換基を有してもよいC1-5分岐鎖アルキル基、置換基を有してもよいC1-5アルケニル基、置換基を有してもよいC1-5アルコキシル基、ヒドロキシル基、またはニトロ基を示す。
【請求項2】
下記一般式(2)で示される化合物。
【化2】


前記一般式(2)中、Rはハロゲン、置換基を有しても良いC1-5直鎖アルキル基、置換基を有してもよいC1-5分岐鎖アルキル基、置換基を有してもよいC1-5アルコキシル基、ヒドロキシル基、またはニトロ基を示す。
【請求項3】
請求項2に記載の一般式2において、Rがヨウ素置換基である化合物。
【請求項4】
請求項2に記載の一般式2において、Rがトリフルオロメチル基である化合物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物を含む植物生長調節剤。

【公開番号】特開2011−46631(P2011−46631A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195012(P2009−195012)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年3月5日 発行の「大会講演要旨集■2009年度(平成21年度)大会[福岡]■(社団法人日本農芸化学会)」に発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、農林水産省、イノベーショ ン創出基礎研究推進事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(501245414)独立行政法人農業環境技術研究所 (60)
【Fターム(参考)】