説明

シナカルセト塩酸塩の調製方法

シナカルセトの調製方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、シナカルセト(cinacalcet)、すなわち(R)−α−メチル−N−[3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピル]−1−ナフタレンメタンアミンの調製方法に向けられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
(R)−α−メチル−N−[3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピル]−1−ナフタレンメタンアミン(“シナカルセト”又は“CNC”)は、226256−56−0のCAS番号、C22H22F3Nの式、及び次の構造:
【0003】
【化1】

を有する。
【0004】
この分子は、364782−34−3のCAS番号及び次の構造:
【化2】

を有する、シナカルセト塩酸塩(“CNC−HCl”)の遊離塩基形である。
【0005】
CNC−HClは、SENSIPARTMとして市販されており、そしてFDAにより許可されているカルシウム擬似薬(Calcimimetics)として知られている種類の化合物における最初の薬物であった。
【0006】
カルシウム擬似薬は、カルシウム受容体を活性化することにより副甲状腺ホルモン(“PTH”)の分泌を低める経口活性の小分子の種類である。PTHの分泌は通常、カルシウム感染性受容体により調節される。カルシウム擬似薬は、カルシウムに対するこの受容体の感受性を高め、副甲状腺ホルモンの放出を阻害し、そして数時間内にPTHレベルを低める。カルシウム擬似薬は、上皮小体亢進症、すなわち副甲状腺上のカルシウム受容体が血流におけるカルシウムに対して正しく応答するのに失敗する場合にもたらされるPTHの過剰分泌により特徴づけられる状態を処理するために使用される。
【0007】
二次上皮小体亢進症のインジケーターであるPTHの高められたレベルは、カルシウム及びリンの変更された代謝、骨の痛み、骨折、及び心血管死についての高められた危険性に関連している。カルシウム擬似薬として、CNC−HClは、慢性腎臓疾患を有する患者における二次上皮小体亢進症の透析による処理のために許可されている。CNC−HClによる処理は、PTHの血清レベル、及びカルシウム/リンイオン生成物、すなわち血液におけるカルシウム及びリンの量の程度を低める。
【0008】
アメリカ特許第6,011,068号は、無機イオン受容体活性、特にカルシウム受容体−活性分子、例えばシナカルセトの一般構造を有するそれらの分子を開示する。
【0009】
アメリカ特許第6,211,244号は、シナカルセトに関連するカルシウム受容体−活性化合物及びそのような化合物の製造方法を開示する。この特許によれば、シナカルセトが、下記スキーム1に従って、1−アセチルナフタレンと、3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピルアミンとを、チタンイソプロポキシドの存在下で反応せしめ、シナカルセトに対応するイミンが生成され、続いてメタノール性シアノ硼水素化ナトリウムにより処理し、そしてキラル液体クロマトグラフィーによりラセミ性シナカルセト塩基を分離することにより生成され得る:
【0010】
【化3】

【0011】
同様に、アメリカ特許第6,211,244号及びDrugs of the Future (2002) 27(9): 831に開示される方法を用いて、所望するシナカルセト構造異性体が、下記スキーム2に従って、(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミンと、3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピオンアルデヒドとを、チタンイソプロポキシドの存在下で反応せしめ、シナカルセトに対応するイミンが生成され、続いて、エタノール性シアノ硼水素化ナトリウムにより処理することにより生成される:
【0012】
【化4】

【0013】
アメリカ特許第6,211,244号は、シナカルセトの合成のための追加の方法を開示する。この方法は、下記スキーム3に従って、アメリカ特許第4,966,988号に開示のようにして調製され得る3−トリフルオロメチルシンナモニトリルを、ジイソブチルアルミニウム水素化物により処理し、続いて、中間体アルミにイウム−イミン複合体を、(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミンにより処理し、そして中間体イミンを、エタノール性シアノ硼水素化ナトリウムにより還元することを包含する:
【0014】
【化5】

【0015】
しかしながら、それらの3種の方法は、試薬、例えば高い吸湿性であり、且つ高価であり、そして毒性であるチタンイソプロポキシド、及び高い毒性であり、且つ火炎性であり、そして環境的に優しくなく、産業規模への適用を困難性にするメタノール性シアノ硼水素化ナトリウムの使用を必要とする。さらに、それらの方法の説明は、詳しくない。
【0016】
さらに、スキーム2に記載される方法の前駆体、すなわち3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピオンアルデヒド(FMPP)について知られている唯一の合成路が、Tetrahedron Letters (2004)45: 8355のフットノート12に開示され、そして下記スキーム4に記載されている:
【0017】
【化6】

【0018】
ここで、前記対応する桂皮酸誘導体の二重結合の還元、続いて対応するアルコールのカルボン酸成分の還元、次にSwern−酸化によるアルデヒドの酸化が存在する。Swern−酸化反応は、環境的に優しくなく、そして高い収率をもたらさず、産業規模への適用を困難にする試薬、例えば塩化オキサリル及びDMSOの使用を包含する。
【0019】
従って、より直接的で、高い収率で、環境的に優しく且つ産業規模生成に適用できる、シナカルセト塩基及び塩の調製のための他の方法が所望される。本発明は、そのような他の方法を提供する。
【発明の開示】
【0020】
発明の要約
第1の態様においては、本発明は、スキーム5に例示されるように、
(a)化合物Vのヒドロキシル成分を、良好な脱離基に転換して、化合物VIを得;そして
(b)化合物VIと、(R)−1−ナフチルエチルアミン(ここで、R-NEAと称する)及び塩基とを、シナカルセト塩基を得るのに少なくとも十分な時間、組合すことを含んで成る、化合物Vからのシナカルセト塩基の調製方法を提供する:
【0021】
【化7】

【0022】
化合物Vのヒドロキシル成分の良好な脱離基への転換方法は、塩素化された脂肪族炭化水素、アセトニトリル、C2-6エーテル及びC6-8芳香族炭化水素から成る群から選択された非プロトン性有機溶媒中、化合物Vの溶液と、良好な脱離基を有する試薬とを組合し、反応混合物を得;そして前記反応混合物を、試薬に依存して、約0℃〜約50℃の温度で維持し、化合物VIを得ることを含んで成る。
【0023】
化合物VIのシナカルセト塩基への転換方法は、C6-8芳香族炭化水素、C1-4アルコール、C3-6エステル、C3-6ケトン及びアセトニトリルから成る群から選択された有機溶媒、又は水及びC6-8芳香族炭化水素の混合物中、化合物VIの溶液と、(R)−1−ナフチルエチルアミン(この後、R-NEAと称する)とを、塩基の存在下で組合し、反応混合物を得、そして前記反応混合物を、約50℃〜約120℃の温度で、シナカルセト塩基を得るのに少なくとも十分な時間、維持することを含んで成る。
【0024】
特に好ましい態様においては、0.2面積%以下のR-NEA、好ましくは0.1面積%以下のR−REAを含む、R−NEAを実質的に有さないシナカルセト塩基の調製方法が提供され、ここで前記方法は、
(a)シナカルセト塩基が溶解する溶媒中、シナカルセト塩基残渣の溶液を提供し;
(b)前記溶液を酸性化し、約0〜2のpHを得;
(c)前記有機相を中和し、約7〜約8.5のpHを得;そして
(d)R-NEAを実質的に有さないシナカルセト塩基を回収することを含んで成る。
【0025】
本発明のもう1つの態様においては、下記スキーム6及び7に示されるように、化合物IV、化合物II、化合物IX及びIIを含んで成る混合物、及び化合物II及びIII を含んで成る混合物から成る群から選択された、シナカルセトの中間体又は中間体混合物から化合物Vを調製するための方法が提供される:
【0026】
【化8】

【0027】
【化9】

【0028】
発明の特定の記載
本発明は、シナカルセト中間体の調製のための改良された方法、及びそれにより、シナカルセト遊離塩基、その塩、結晶形及び溶媒化合物の調製のための改良された方法を提供する。特に、本発明の方法は、より直接的で、高い収率で、主要反応で、且つ従来方法よりも環境的に優しい化学物質の使用のために、産業規模への適用のために最も適切である方法を提供する。
【0029】
本明細書において使用される場合、周囲温度とは、約18℃〜約25℃、好ましくは約20℃〜約22℃の温度を意味する。
本明細書において使用される場合、化合物Iは、下記構造:
【0030】
【化10】

【0031】
[式中、Rは、C1-C6脂肪族の枝分れ鎖又は環状の、架橋された又は架橋されていないアルキルである]で表される1−メチル−3−[(1E)−3−メチルブト−1−エニル]ベンゼンを意味する。
【0032】
本明細書において使用される場合、化合物IIは、次の構造:
【化11】

【0033】
[式中、Rは、C1-C6脂肪族の枝分れ鎖又は環状の、架橋された又は架橋されていないアルキルである]を意味する。
本明細書において使用される場合、化合物III は、下記構造:
【0034】
【化12】

で表される2−プロペナール、3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]を意味する。
【0035】
本明細書において使用される場合、化合物IVは、下記構造:
【化13】

【0036】
で表される(2E)−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロプ−2−エン−1−オールを意味する。
【0037】
本明細書において使用される場合、化合物Vは、下記構造:
【化14】

で表される3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン−1−オールを意味する。
【0038】
本明細書において使用される場合、化合物VIは、下記構造:
【化15】

【0039】
[式中、Xは、C1-3アルキルスルホネート、置換された及び置換されていないC6-10アリールスルホネート又はハロゲンである]を意味する。
本明細書において使用される場合、化合物IXは、下記構造:
【0040】
【化16】

を意味する。
【0041】
本明細書において使用される場合、化合物Xは、下記構造:
【化17】

【0042】
[式中、Rは、C1-C6脂肪族の枝分れ鎖又は環状の、架橋された又は架橋されていないアルキルである]を意味する。
本明細書において使用される場合、良好な脱離基は、強酸の共役塩基であるものとして定義される[良好な脱離基については、Streitwieserなど. (1976) Introduction to Organic Chemistry Ch8, pg141を参照のこと]。
【0043】
本発明は、一般的に当業者に知られているHeckカップリング反応を包含する方法を提供する[Heck反応については、Battistuzziなど. (2003) Organic letters 5(5), 777; Catalysis Letters, (2005) 102: 281-284を参照のこと]。この反応は典型的には、混合物を得るために、塩基及び金属触媒の存在下で、極性非プロトン性有機溶媒において行われる。次に、その混合物が、約81℃〜約145℃の温度に約1〜約10時間、加熱される。前記極性プロトン性溶媒は、好ましくは、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、N, N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、それらの又は水との混合物である。
【0044】
好ましい塩基は、イオン又は非イオン性塩基、最も好ましくはK2CO3, Na2CO3, KOAc、HaOAc及びトリアルキルアミン、例えばEt3N(TEA)又はBu3N(TBA)である。金属触媒はパラジウムである。貴金属触媒は、不活性支持体、例えば炭素、活性炭又はアルミニウム上に供給され得る。好ましくは、貴金属触媒は、押出物又は粉末又はPd(OAc)2の形で炭素上パラジウム(“Pd/C”)である。任意には、生成物は、当業者に知られている従来の手段、例えば蒸発又は濾過により回収され得る。
【0045】
本発明は、一般的に当業者に知られている、二重結合の還元を包含する方法を提供する。この反応は典型的には、金属触媒又はラネーニッケルの存在下で極性有機触媒において、生成物を得るために約5〜約24時間、水素ガスを泡立てることにより実施される。任意には、生成物は回収され得る。[二重結合の還元については、Advanced Organic Chemistry 2nd Ed. Vol. 1, 779-834を参照のこと]。
【0046】
本発明は、一般的に当業者に知られている、カルボニル成分の還元を包含する方法を提供する。この反応は典型的には、反応混合物を得るために、還元剤の存在下で、有機溶媒、例えばC1-4アルコール又はC2-6エーテル、又は混合物、例えば水及びC1-4アルコール又はC2-C6エーテルとC1-4アルコールとの混合物において出発材料を提供し;そして還元剤に依存して、前記反応混合物を、適切な時間及び温度で維持することを包含する。好ましくは、還元剤は金属水素化物である。金属水素化物は好ましくは、硼水素化ナトリウム(NaBH4)、硼水素化リチウム(LiBH4)、硼水素化カルシウム[Ca(BH4)2]、アルミニウム水素化リチウム(LiAlH4)又はB2H6とTHF, Et3N又はMe2Sとの複合体である。より好ましくは還元剤は、LiAlH4である。[カルボニル成分の還元については、Synthetic Communications (1982) 12(0), 463-467; Modern Synthetic Reactions (1972) W.A. Benjamin Inc., Californiaを参照のこと]。
【0047】
エーテルが有機溶媒として使用される場合、ジエチルエーテル又はテトラヒドロフランが好ましい。メタノール及びエタノールが、好ましいアルコールである。好ましくは、C6-8芳香族炭化水素はトルエンである。好ましい混合物は、C1-4アルコール及び水の混合物、又はTHF及びトルエンの混合物である。使用される還元剤に依存して、適切な溶媒が選択される。例えば、選択される還元試薬が硼水素化ナトリウム又は硼水素化リチウムである場合、より好ましい溶媒はエタノールであるが、ところが還元試薬がLiAlH4である場合、好ましい溶媒はTHFであり、そして好ましい混合物はC6-8芳香族炭化水素とエーテルとの混合物、より好ましくはTHF及びトルエンの混合物である。
【0048】
反応混合物は、使用される還元試薬に従って、特定の時間及び温度が維持される。当業者は、適切な時間及び温度範囲を決定することができる。一般的に、この温度は、約-50℃〜約50℃であり得る。例えば、還元試薬がLiBH4又はNaBH4である場合、好ましい温度は、約-40℃〜ほぼ周囲温度であり、そして好ましい時間は約16〜約24時間である。しかしながら、還元試薬がLiAlH4である場合、好ましい温度は約-20℃〜約0℃であり、そして好ましい時間は約1〜約5時間である。
【0049】
任意には、得られる生成物は、当業界において知られている従来の手段、例えば抽出、蒸発、濾過又は蒸留により回収され得る。
本発明は、アルデヒドの保護基(例えば、アセチル基)の除去を包含する方法を提供する。この反応は一般的に、当業者に知られている。この反応は典型的には、酸、例えば塩酸塩との組合せを包含する。[Streiwieserなど. (1976)Introduction to Organic Chemistry Ch15, 376を参照のこと]。
【0050】
第1の態様においては、本発明は、スキーム5に例示されるように、
(a)化合物Vのヒドロキシル成分を、良好な脱離基に転換して、化合物VIを得;そして
(b)化合物VIと、(R)−1−ナフチルエチルアミン(ここで、R-NEAと称する)及び塩基とを、シナカルセト塩基を得るのに少なくとも十分な時間、組合すことを含んで成る、化合物Vからのシナカルセト塩基の調製方法を提供する:
【0051】
【化18】

【0052】
化合物Vのヒドロキシル成分の良好な脱離基への転換方法は、塩素化された脂肪族炭化水素、アセトニトリル、C2-6エーテル及びC6-8芳香族炭化水素から成る群から選択された非プロトン性有機溶媒中、化合物Vの溶液と、良好な脱離基を有する試薬とを組合し、反応混合物を得;そして前記反応混合物を、試薬に依存して、約0℃〜約50℃の温度で維持し、化合物VIを得ることを含んで成る。
【0053】
有機溶媒のうち、好ましい塩素化された脂肪族炭化水素はジクロロメタンであり、好ましいエーテルはテトラヒドロフランであり、そして好ましいC6-8芳香族炭化水素はトルエンである。より好ましい有機溶媒はトルエンである。
【0054】
好ましくは、脱離基を含む試薬は、ハロゲン化チオニル、脂肪族ハロゲン化スルホニル及び芳香族ハロゲン化スルホニルから成る群から選択される。より好ましくは、ハロゲン化スルホニルは、臭化チオニル又は塩化チオニルのいずれかであり、そして好ましい脂肪族ハロゲン化スルホニルは、メタンスルホニル塩化物(MsClと称する)であり、そして好ましい芳香族ハロゲン化スルホニルは、ベンゼンスルホニル塩化物、4−ニトロベンゼンスルホニル塩化物(塩化ノシル、NsCl と称する)又はp−トルエンスルホニル塩化物(TsClと称する)である。
【0055】
脱離基を含む、最も好ましい試薬は、メタンスルホニル塩化物である。脱離基がハロゲン、例えば塩化物である場合、触媒量のKI又はDMFが好ましくは、混合物に添加される。
好ましくは、脱離基を含む試薬は、有機溶媒中、化合物Vの溶液に添加される。より好ましくは、試薬は、滴下様態様でゆっくりと添加される。最も好ましくは、この添加は、約0℃〜約10℃の温度で反応混合物を維持しながら、行われる。
【0056】
任意には、反応混合物は塩基を含む。当業者は、塩基が反応のために必要である時間を知っているであろう。好ましくは、塩基は、有機塩基又は無機塩基のいずれかである。好ましくは、有機塩基はアミン、より好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチル又は他の第三アミンであり、そして好ましい無機塩基はアルカリカーボネート、より好ましくはK2CO3, NaHCO3, Na2CO3又はKHCO3である。より好ましい塩基はトリエチルアミンである。
【0057】
化合物VIを得るために必要な十分な時間は、反応のパラメーターに依存するであろう。好ましくは、反応混合物の維持は、約0.5〜約24時間である。より好ましくは、反応混合物は、約0.5〜約5時間、維持される。
【0058】
粗化合物VIは、当業者に知られているいずれかの手段により回収され得、そして当業者は、パラメーターを容易に最適化するであろう。1つの例においては、回収は、濾過、洗浄及び蒸発によってであり得る。
好ましくは、粗化合物VIは、いずれの精製方法も伴わないで、次の段階に直接的に使用される。
【0059】
シナカルセト塩基への化合物VIの転換方法は、C6-8芳香族炭化水素、C1-4アルコール、C3-6エステル、C3-6ケトン及びアセトニトリルから成る群から選択された有機溶媒、又は水及びC6-8芳香族炭化水素の混合物中、化合物VIの溶液と、(R)−1−ナフチルエチルアミン(この後、R-NEAと称する)とを、塩基の存在下で組合し、反応混合物を得、そして前記反応混合物を、約50℃〜約120℃の温度で、シナカルセト塩基を得るのに少なくとも十分な時間、維持することを含んで成る。
【0060】
好ましくは、C6-8芳香族炭化水素は、混合物及び有機溶媒の両者に関して、トルエン又はアセトニトリルである。好ましいC1-4アルコールは、エタノール又はイソプロピルアルコールであり、C3-6エステルはEtOAcであり、そして好ましいケトンは、メチルイソブチルケトン(MIBKと称する)又はアセトンである。化合物VIの最も好ましい溶液は、化合物IV及びアセトニトリル、又はトルエン及び水の混合物から成る。
R−NEAは商業的に入手され得る。好ましくは、化合物VIに対して約1〜約1.5モル当量、最も好ましくは、約1モル当量が添加される。
【0061】
好ましくは、塩基は、無機塩基又は有機塩基である。好ましい無機塩基は、アルカリカーボネート、より好ましくはK2CO3, Na2CO3, NaHCO3又はKHCO3である。好ましい有機塩基は、アミン、より好ましくは第三アミン、及び最も好ましくは、トリブチルアミン(TBAを称する)又はジイソプロピルエチルアミンである。最も好ましい塩基はK2CO3である。
反応混合物は、好ましくは約70℃〜約100℃の温度で維持される。好ましくは、反応時間は、約5〜約90時間、より好ましくは約21〜約40時間である。
【0062】
任意には、相移行触媒は、混合物を加熱しながら、その混合物に添加され得る。好ましくは、相移行触媒は、テトラブチルアンモニウム臭化物(TBAB)である。任意には、水が反応溶媒の約10%v/vの量で反応混合物に添加され得る。
シナカルセト塩基が得られると、それは続いて、当業者に知られているいずれかの手段、例えば反応において得られる塩を濾過し、そして蒸発し、残渣を得ることにより回収され得る。
【0063】
特に好ましい態様においては、0.2面積%以下のR-NEA、好ましくは0.1面積%以下のR−REAを含む、R−NEAを実質的に有さないシナカルセト塩基の調製方法が提供され、ここで前記方法は、
(a)シナカルセト塩基が溶解する溶媒中、シナカルセト塩基残渣の溶液を提供し;
(b)前記溶液を酸性化し、約0〜2のpHを得;
(c)前記有機相を中和し、約7〜約8.5のpHを得;そして
(d)R-NEAを実質的に有さないシナカルセト塩基を回収することを含んで成る。
好ましくは、段階(b)の前、約50℃〜約80℃への加熱が行われる。
【0064】
好ましくは、溶媒は、トルエン、酢酸エチル、DCM又はそれらの混合物である。好ましくは、溶媒は、溶液を得るのに十分な量で存在する。例えば、トルエンが使用される場合、g残渣当たり約5〜約7体積が適切である。
好ましくは、酸性化は、塩酸の添加によってである。
pHは、約1.5体積の水により約2又は3度、及び次に、2体積のNaHCO3の飽和溶液による洗浄により(蒸発の後、残渣1g当たり1×2体積)、約8に調節される。
【0065】
次に、シナカルセト塩基の回収は好ましくは、水不混和性溶媒、例えばアセトニトリル、アルコール又は存在するなら、アセトンの蒸発、水による洗浄(蒸発の後、残渣1g当たり1×1.5体積)、及び次に、減圧下での蒸発によってである。
【0066】
本発明のもう1つの態様においては、スキーム6及び7に示されるように、化合物IV、化合物II、化合物IX及びIIを含んで成る混合物、及び化合物II及びIII を含んで成る混合物から成る群から選択されたシナカルセトの中間体、又はそれらの中間体の混合物からの化合物Vの調製方法が提供される。
この態様の1つの観点においては、本発明は、化合物IVの二重結合反応の還元による化合物Vの調製方法を提供する。
【0067】
好ましくは、化合物IVは、化合物Xから、又は他方では、化合物II及びIII の混合物から調製される。化合物Xからの化合物IVの調製は、化合物Xのカルボニル成分の還元によってである。化合物Xのこの不飽和エステルは例えば、1−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン(3−BrTFTと称する)及びアルキルアクリレートのHeck反応により調製され得る。好ましくは、アルキルアクリレートは、エチルアクリレートである。化合物II及びIII の混合物からの化合物IVの調製は好ましくは、化合物IV及び化合物Vを含む混合物を得るために、両化合物のカルボニル成分の還元によってである。
【0068】
式IVの不飽和アルコール及び式Vの飽和アルコールの混合物は、当業界において知られている従来の手段、例えばEtOAc, DCM及びトルエンから成る群から選択された有機溶媒による抽出、続いて、相の分離及び溶媒の蒸発により回収され得る。好ましくは、化合物IV及び化合物Vの粗混合物は、さらなる精製を伴わないで、次の段階に直接的に使用される。しかしながら、上記混合物の精製は、当業界において知られている手段、例えば真空下での蒸留により行われ得る。
【0069】
化合物II及びIII の混合物は、当業者に知られているいずれかの手段、例えばアメリカ特許出願2005/0234261A1号、Battistuzziなど. (2003) Organic letters 5(5), 777及びBattistuzziなど. Synlett (2003)8:1133により記載される方法により供給され得る。好ましくは、化合物II及びIII の調製は、化合物I及びIIの粗混合物からである。化合物I及びIIの供給される混合物は好ましくは、3−BrTFT及びアクロレインジアルキルアセタールのHeckカップリング反応により調製される:
【0070】
【化19】

【0071】
この態様のもう1つの観点においては、本発明は、化合物IIのカルボニル成分の還元による化合物Vの調製方法を提供する。好ましくは、化合物IIは、二重結合の還元により化合物Xから調製される。化合物Xは、上記のようにして調製される。
【0072】
【化20】

【0073】
この態様のもう1つの観点においては、本発明は、カルボニル成分の還元により、化合物IX及びIIの混合物から化合物Vの調製方法を提供する。
【0074】
好ましくは、化合物IX及びIIの混合物は、化合物III を化合物IXに、二重結合の還元により転換することにより調製され、ここで混合物が化合物IIを含む。化合物II及びIII の混合物は、当業者に知られているいずれかの手段、例えばアメリカ特許出願2005/0234261A1号、Battistuzziなど. (2003) Organic letters 5(5), 777及びBattistuzziなど. Synlett (2003)8:1133により記載される方法により提供される。好ましくは、化合物II及びIII の調製は、化合物I及びIIの混合物からである。化合物I及びIIの供給される混合物は好ましくは、スキーム6に示されるように、3−BrTFT及びアクロレインジアルキルアセタールのHeckカップリング反応により調製される。
【0075】
この態様のもう1つの観点においては、本発明は、カルボニル成分の還元を通して化合物II及びIII の混合物から調製される化合物V及びIVの混合物の調製方法を提供する。化合物II及びIII の混合物は、当業者に知られているいずれかの手段、例えばアメリカ特許出願2005/0234261A1号、Battistuzziなど. (2003) Organic letters 5(5), 777及びBattistuzziなど. Synlett (2003)8:1133により記載される方法により提供される。好ましくは、化合物II及びIII の調製は、化合物I及びIIの混合物からである。化合物I及びIIの供給される混合物は好ましくは、スキーム6に示されるように、3−BrTFT及びアクロレインジアルキルアセタールのHeckカップリング反応により調製される。
【0076】
計測
R−NEAを分析するためのHPLC方法
カラム&充填物:Hypersil GOLD 250mm 4.6mm 3μ C.N25003-254630
溶離剤 :40%−0.02のKH2PO4(KOHによりpH=6.0に調節された)
60%−アセトニトリル
停止時間 :35分
流速 :1.0ml/分
検出器 :210nm
注入体積 10μl
希釈剤 :50%水:50%ACN
カラム温度 :周囲温度。
【実施例】
【0077】
HECK反応:
化合物I及びIIの混合物の調製
例1
磁気攪拌機、温度計、ガス入口アダプター及び還流冷却器を備えた500mlの三つ首フラスコを、N2によりフラッシュし、そして次のものにより充填した:
【0078】
【表1】

【0079】
反応混合物を、N2により15分間フラッシュし、そして次に、140℃に2.5時間、加熱した。次に、その反応混合物を室温に冷却し、そして触媒及び塩を濾過した。ケークを、10mlのNMPにより洗浄した。溶媒を、減圧(87℃/12mmHg)下で除去し、暗色の残渣を得た。水(100ml)又は1NのHCl(20〜30ml)及びブライン(50ml)を、次にEtOAc(55ml)を、前記残渣に添加した。相分離を行い、そして水性相をEtOAc(55ml)により、もう1度、抽出した。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして濾過した。溶媒を真空下で除去し、不飽和のアセタール(I)及びエステル(II)の混合物(それぞれ、1:1.2の比)37.87gを得た。
【0080】
例2
磁気攪拌機、温度計、ガス入口アダプター及び還流冷却器を備えた500mlの三つ首フラスコを、N2によりフラッシュし、そしてDMF(18ml)、3−BrTFT(5.0g、1当量)、アクロレインジアルキルアセタール(3.5g、1.2当量)、K2CO3(2.14g、0.7当量)及びPd/C5%(0.47g)により充填した。反応混合物を、N2により15分間フラッシュし、そして次に、125℃に5時間、加熱した。次に、その反応混合物を室温に冷却し、そして触媒及び塩を濾過した。ケークを、5mlのDMFにより洗浄した。
【0081】
溶媒を、減圧(35℃/10mmHg)下で除去した。1NのHCl(50ml)を、残渣に添加し、そしてその混合物を、室温で20分間、攪拌した。次に、次にEtOAc(50ml)を、添加した。相分離を行い、そして水性相をEtOAc(50ml)により、もう1度、抽出した。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして濾過した。溶媒を減圧下で除去し、不飽和のアルデヒド(III)及びエステル(II)の混合物4.7gを得た。
【0082】
化合物Xの調製
例3
磁気攪拌機、温度計、ガス入口アダプター及び還流冷却器を備えた500mlの三つ首フラスコを、N2によりフラッシュし、そして次のものにより充填した:
【表2】

【0083】
反応混合物を、N2により15分間フラッシュし、そして次に、140℃に2.5時間、加熱した。次に、その反応混合物を室温に冷却し、そして触媒及び塩を濾過した。ケークを、10mlのNMPにより洗浄した。溶媒を、減圧(87℃/12mmHg)下で除去し、暗色の残渣を得た。水(100ml)又は1NのHCl(20〜30ml)及びブライン(50ml)を、次にEtOAc(55ml)を、前記残渣に添加した。相分離を行い、そして水性相をEtOAc(55ml)により、もう1度、抽出した。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして濾過した。溶媒を真空下で除去し、不飽和エステル(X)を得た。
【0084】
例4
磁気攪拌機、温度計、ガス入口アダプター及び還流冷却器を備えた500mlの三つ首フラスコを、N2によりフラッシュし、そしてDMF(18ml)、3−BrTFT(5.0g、1当量)、エチルアクリレート(2.7g、1.2当量)、K2CO3(2.14g、0.7当量)及びPd/C5%(0.47g)により充填した。反応混合物を、N2により15分間フラッシュし、そして次に、125℃に5時間、加熱した。次に、その反応混合物を室温に冷却し、そして触媒及び塩を濾過した。
【0085】
ケークを、5mlのDMFにより洗浄した。溶媒を、減圧(35℃/10mmHg)下で除去した。次に、EtOAc(50ml)、水(100ml)及びブライン(50ml)を添した。相分離を行い、そして水性相をEtOAc(50ml)により、もう1度、抽出した。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして濾過した。溶媒を減圧下で除去し、不飽和エステル(X)を得た。
【0086】
加水分解反応:
化合物II及びIII の混合物の調製
例5
不飽和アセタール(I)及びエステル(II)の混合物(段階1の粗材料)10gを、1Nの塩酸において室温で3時間、攪拌した。EtOAc(50ml)を添加した。相分離を行った。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、不飽和アルデヒド(III )及びエステル(II)の混合物8.17gを、褐色の油状物として得た。
【0087】
例6(ワンポット)
機械攪拌機、温度計、ガス入口アダプター及び還流冷却器を備えた12Lの反応器を、N2によりフラッシュし、そしてDMF(8.1L)、3−BrTFT(1.38L、1当量)、アクロレインジアルキルアセタール(1.8L、1.2当量)、K2CO3(1.0Kg、0.7当量)及びPd/C5%(44.6g)により充填した。反応混合物を、N2により15分間フラッシュし、そして次に、130℃に5時間、加熱した。次に、その反応混合物を室温に冷却し、そして触媒及び塩を濾過した。ケークを、500mlのDMFにより洗浄した。溶媒を、減圧(65℃/10mmHg)下で除去した。1NのHCl(3.4L)を、残渣に添加し、そしてその混合物を室温で1時間、攪拌した。次に、トルエン(3.4L)を添した。相分離を行い、そして水性相を捨てた。有機相を、ブライン(3.4L)及び水(3.4L)により洗浄した。水/トルエンの共沸蒸留を減圧下で行い、不飽和アルデヒド(III )及びエステル(II)の混合物4.95Lを得た。
カルボニル基反応の還元:
【0088】
化合物IV及びVの混合物の調製
例7
不飽和アルデヒド(III )及びエステル(II)の混合物8.17gを、エタノール(95%、70ml)に溶解した。硼水素化ナトリウム(3.12g)を、前記溶液に添加した。その反応混合物を室温で24時間、攪拌した。次に、水(130ml)、ブライン(30ml)及びEtOAc(70ml)を添加した。相分離を行い、そして有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過の後、溶媒を真空下で除去し、不飽和アルコール(IV)及び飽和アルコール(V)の混合物3.41gを得た。
【0089】
化合物IVの調製
例8
飽和エステル(II)10gを、エタノール(95%、70ml)に溶解した。硼水素化ナトリウム(1.5当量)を、前記溶液に添加した。その反応混合物を室温で24時間、攪拌した。次に、水(130ml)、ブライン(30ml)及びEtOAc(70ml)を添加した。相分離を行い、そして有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過の後、溶媒を真空下で除去し、飽和アルコール(V)を得た。
【0090】
化合物IVの調製
例9
不飽和エステル(X)10gを、エタノール(95%、70ml)に溶解した。硼水素化ナトリウム(1.5当量)を、前記溶液に添加した。その反応混合物を室温で24時間、攪拌した。次に、水(130ml)、ブライン(30ml)及びEtOAc(70ml)を添加した。相分離を行い、そして有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過の後、溶媒を真空下で除去し、不飽和アルコール(IV)を得た。
【0091】
化合物IX及びIIの混合物の調製
例10
飽和アルデヒド(IX)及び飽和エステル(II)の混合物8.2gを、エタノール(95%、70ml)に溶解した。硼水素化ナトリウム(3.12g)を、前記溶液に添加した。その反応混合物を室温で24時間、攪拌した。次に、水(130ml)、ブライン(30ml)及びEtOAc(70ml)を添加した。相分離を行い、そして有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過の後、溶媒を真空下で除去し、飽和アルコール(V)を得た。
【0092】
IV及びVの混合物の調製
例11
不飽和アルデヒド(III )及び飽和エステル(II)の混合物10.0gを、THF(40ml)に溶解した。その混合物を-5℃に冷却し、そしてTHF中、LAHの1M溶液(17.5ml、0.42当量)を、反応の温度を-5℃で維持しながら、滴下した。その混合物を、室温で、さらに40分間、攪拌した。アセトン(2.5ml)を滴下した。次に、硫酸の水溶液(66%、10ml)を滴下した。得られる沈殿物を濾過した。トルエン(80ml)及びブライン(80ml)を、前記濾液(THF溶液)に添加した。相分離を行った。有機相を、水(80ml)により洗浄し、そして溶媒を、乾燥まで蒸発し、不飽和アルコール(IV)及び飽和アルコール(V)の粗混合物8.2gを得た。さらなる精製を、63〜70℃/LT 1mバールで、前記得られる混合物の蒸留により行うことができる。
【0093】
IV及びVの混合物の調製
例12
不飽和アルデヒド(III )及び飽和エステル(II)の混合物10.0gを、THF(40ml)に溶解した。その混合物を-5℃に冷却し、そしてTHF中、LAHの1M溶液(17.5ml、0.42当量)を、反応の温度を-5℃で維持しながら、滴下した。その混合物を、室温で、さらに40分間、攪拌した。アセトン(2.5ml)を滴下した。次に、NaOHの水溶液(22%、10ml)を滴下した。得られる沈殿物を濾過した。濾液を(THF溶液)を、ブライン(1×80ml)及び水(3×80ml)により洗浄し、pH 7を得た。溶媒を、乾燥まで蒸発し、不飽和アルコール(IV)及び飽和アルコール(V)の粗混合物7.2gを得た。さらなる精製を、63〜70℃/LT 1mバールで、前記得られる混合物の蒸留により行うことができる。
【0094】
例13
不飽和アルデヒド(III )及びエステル(II)の混合物2.72L(1.2kg)を、10Lの反応器において、-10℃〜-20℃に冷却した。THF(2.1L)中、LiAlH4の1M溶液を滴下した。その反応混合物を、アセトン(250ml)及び次に5%硫酸(2.5L)により処理した。相分離を行い、そして有機相を、5%硫酸(2.5L)、ブライン(2.0L)及び水(2.0L)によりもう1度、洗浄した。溶媒を、70℃/25mバールで蒸留し、不飽和アルコール(IV)及び飽和アルコール(V)の混合物を得た。
【0095】
水素化反応:
化合物Vの調製
例14
化合物IV及びVの混合物(30mlのエタノール中、3.41g)のエタノール溶液を、炭素上パラジウム(出発材料の10%w/v)の存在下で、室温で16時間、水素化した(1atmの水素)。次に、触媒を濾過し、そして溶媒を蒸発乾燥し、飽和アルコール(V)を得た。
【0096】
例15
不飽和アルコール(IV)及び飽和アルコール(V)の混合物を、140℃/1mバールで高い真空蒸留により、さらに精製し、13%(HPLCによる面積に基づく%)の不飽和アルコール(IV)及び87%(HPLCによる面積に基づく%)の飽和アルコール(V)を含む上記混合物1.4kgを得た。
【0097】
II及びIXの混合物の調製
例16
不飽和アルデヒド(III)及び飽和エステル(II)の混合物(30mlのエタノール中、3.5g)のエタノール溶液を、炭素上パラジウム(出発材料の10%w/v)の存在下で、室温で16時間、水素化した(1atmの水素)。次に、触媒を濾過し、そして溶媒を蒸発乾燥し、飽和アルデヒド(IX)及び飽和エステル(II)の混合物を得た。
【0098】
化合物Vの調製
例17
不飽和アルコール(IV)(30mlのエタノール中、3.5g)のエタノール溶液を、炭素上パラジウム(出発材料の10%w/v)の存在下で、室温で16時間、水素化した(1atmの水素)。次に、触媒を濾過し、そして溶媒を蒸発乾燥し、飽和アルコール(V)を得た。
【0099】
化合物Vの調製
例18
不飽和エステル(X)(30mlのエタノール中、3.5g)のエタノール溶液を、炭素上パラジウム(出発材料の10%w/v)の存在下で、室温で16時間、水素化した(1atmの水素)。次に、触媒を濾過し、そして溶媒を蒸発乾燥し、飽和エステル(II)を得た。
【0100】
良好な脱離基へのOHの転換:
化合物VIの調製
例19
8.0gの飽和アルコール(V)を、THF又はトルエン(40ml)に溶解した。触媒量のDMF(0.3ml)を、前記溶液に添加した。塩化チオニル(SOCl2)(3.2ml)を、室温で滴下した。その反応混合物を、45℃に20時間、加熱した。溶媒及び微量のSOCl2を、減圧下で蒸発し、9.5gの粗塩化物誘導体(VI)を得た。その粗材料を、真空蒸留(80〜87℃/2mmHg)により精製できる。
【0101】
例20
3.0gの化合物Vの粗材料を、DCM(60ml)に溶解した。TEA(5.6ml)を添加し、続いて塩化メタンスルホニル(1.2ml)を室温で滴下した。反応混合物を、室温で2時間、攪拌した。次に、反応混合物を、粉砕された氷(98g)及び1NのHCl(30ml)中の注いだ。DCM(30ml)を、前記混合物に添加した。相分離を行ない、そして水性相をDCM(30ml)により再び抽出した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして溶媒を真空下で蒸発し、3.39gの化合物VIを得た。
【0102】
例21
10Lのガラス攪拌反応器を、窒素によりフラッシュした。窒素ブランケットを、反応の間、続け、そして作業が開始される場合、停止した。600gの化合物V、3.6Lのトルエン及び492mlのトリエチルアミンを、室温で反応器中に充填した。攪拌を開始し、そして次に、反応器内容物を4.5℃に冷却した。255.6mlの塩化メシル(MsCl)を、反応器を冷却しながら、50分間、滴下した。反応器を25℃に加熱し、そしてトリエチルアミン塩(TEA・HCl)を減圧下で濾過し、そして次に、フィルターケークを1.8Lのトルエン(3×600ml)により洗浄した。有機相を、500mlの0.2NのHClにより洗浄し、次に相を分離し、そして有機相を、水(3×1.2L)により洗浄し、pH=7を達成した。トルエンを減圧下で蒸発した。蒸発の完結の後、1.2Lの新鮮なトルエンを反応器中に充填し、そして溶媒を類似する条件下で蒸発した。858gの化合物VIを得た。
【0103】
シナカルセト塩基の調製
例22
1.7gの化合物VIを、アセトニトリル(30ml)に溶解した。(R)−1−ナフチルエチルアミン(1.03g)及び無水K2CO3(1.66g)を添加し、そして反応混合物を、還流温度に7時間、加熱した。次に、塩を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去し、2.4gの粗シナカルセト塩基を得た。粗生成物を、溶離剤として、ジクロロメタン〜2.5〜5%のメタノール/97.5〜95%のジクロロメタンの混合物のグラジエントを用いて、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0104】
例23
2.2gの塩化物(VI)を、アセトニトリル(17.5ml)に溶解した。(R)−1−ナフチルエチルアミン(1.5ml)及び無水K2CO3(2.7g)を添加し、そして反応混合物を、還流温度に5時間、加熱した。ヨウ化カリウム(230mg)を添加し、そして反応混合物を還流下で、さらに19時間、攪拌した。次に、塩を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCM(16ml)に溶解した。得られる溶液を、5%HCl水溶液(1×17ml)、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(1×16ml)、及び最終的に、水(2×16ml)により洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして溶媒を、乾燥まで蒸発し、1.6gのシナカルセト塩基を得た。
【0105】
例24
25.5gの化合物(VI)を、アセトニトリル(204ml)に溶解した。(R)−1−ナフチルエチルアミン(14.5ml)及び無水K2CO3(24.9g)を添加し、そして反応混合物を、還流温度に16時間、加熱した。次に、塩を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCM(75ml)に溶解した。得られる溶液を、5%HCl水溶液(pH =1)、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(pH=8〜9)、及び最終的に、水により洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして溶媒を、乾燥まで蒸発し、33.4gのシナカルセト塩基を得た。
【0106】
例25
25.5gの化合物(VI)を、アセトニトリル(204ml)に溶解した。(R)−1−ナフチルエチルアミン(14.5ml)及び無水K2CO3(24.9g)を添加し、そして反応混合物を、還流温度に16時間、加熱した。次に、塩を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル(75ml)に溶解した。得られる溶液を、5%HCl水溶液(pH =1)、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(pH=8〜9)、及び最終的に、水により洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして溶媒を、乾燥まで蒸発し、33.4gのシナカルセト塩基を得た。
【0107】
例26
25.5gの化合物(VI)を、アセトニトリル(204ml)に溶解した。(R)−1−ナフチルエチルアミン(14.5ml)及び無水K2CO3(24.9g)を添加し、そして反応混合物を、還流温度に16時間、加熱した。次に、塩を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残渣をトルエン(75ml)に溶解した。得られる溶液を、5%HCl水溶液(pH =1)、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(pH=8〜9)、及び最終的に、水により洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして溶媒を、乾燥まで蒸発し、33.4gのシナカルセト塩基を得た。
【0108】
例27
25.5gの化合物(VI)を、アセトニトリル(204ml)に溶解した。(R)−1−ナフチルエチルアミン(14.5ml)及び無水K2CO3(24.9g)を添加し、そして反応混合物を、還流温度に16時間、加熱した。次に、塩を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCM(75ml)に溶解した。得られる溶液を、5%HCl水溶液(pH =1)、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(pH=8〜9)、及び最終的に、水により洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして溶媒を、乾燥まで蒸発し、33.4gのシナカルセト塩基を得た。カラムクロマトグラフィーによるさらなる精製は必要とされなかった。
【0109】
例28
25.5gの化合物(VI)を、アセトニトリル(204ml)に溶解した。(R)−1−ナフチルエチルアミン(14.5ml)及び無水K2CO3(24.9g)を添加し、そして反応混合物を、還流温度に16時間、加熱した。次に、塩を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCM(75ml)に溶解した。得られる溶液を、5%HCl水溶液(pH =1)、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(pH=8〜9)、及び最終的に、水により洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして溶媒を、乾燥まで蒸発し、33.4gのシナカルセト塩基を得た。
【0110】
例29
10.0gの化合物(VI)(1当量)を、トルエンル(60ml)に溶解した。(R)−1−ナフチルエチルアミン(0.98当量)及び無水K2CO3(2当量)を添加し、そして反応混合物を、還流温度に14時間、加熱した。次に、塩を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCM(75ml)に溶解した。得られる溶液を、5%HCl水溶液(pH =1)、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(pH=8〜9)、及び最終的に、水により洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして溶媒を、乾燥まで蒸発し、11.0gのシナカルセト塩基を得た。
【0111】
例30
5.0gの化合物(VI)(1当量)を、トルエンル(80ml)に溶解した。(R)−1−ナフチルエチルアミン(0.98当量)及び無水K2CO3(2当量)を添加し、そして反応混合物を、80℃に12時間、加熱した。次にテトラブチルアンモニウム臭化物(TBAB)(VIモル当たり5%)を添加した。その混合物を80℃でさらに1時間、加熱した。塩を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCM(75ml)に溶解した。得られる溶液を、5%HCl水溶液(pH =1)、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(pH=8〜9)、及び最終的に、水により洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして溶媒を、乾燥まで蒸発し、シナカルセト塩基を得た。
【0112】
RNEAを実質的に有さないシナカルセト塩基の調製
例31
5.0gの化合物(VI)を、アセトニトリル(20ml)に溶解した。(R)−1−ナフチルエチルアミン(R-NEA)(1当量)及び無水K2CO3(1当量)を添加し、そして反応混合物を、還流温度に22時間、加熱した。次に、塩を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残渣をトルエン又は酢酸エチル(蒸発後、1gの残渣当たり7体積)に溶解した。
【0113】
得られる溶液を、70℃に加熱し、そして32%HCl(蒸発後、1gの残渣当たり2体積)を添加し、pH=0〜1を得た。次に有機相を、水(蒸発後、1gの残渣当たり2〜3×1.5体積)、NaHCO3の飽和溶液(蒸発後、1gの残渣当たり1×2体積)(pH=8を得た)、及び最終的に、水(蒸発後、1gの残渣当たり1×1.5体積)により洗浄した。次に、溶媒(トルエン又は酢酸エチル)を、乾燥まで、減圧下で蒸発し、0.1%以下のR−NEAのシナカルセト遊離塩基を得た。
【0114】
例32
化合物VI(10g、1当量)及び(R)−1−ナフチルエチルアミン(R−NEA)(4.7ml、1当量)を、トルエン(20ml、2体積)に溶解した。K2CO3(4g、1当量)を、蒸留水(20ml、2体積)に溶解し、そして得られる溶液を、N2下で化合物VI及びR−NEAのトルエン溶液に添加した。反応混合物を還流温度(85℃)に20時間、加熱した。次に、それを室温に冷却し、そして相分離を行った。有機相を70℃に加熱し、そして得られる溶液を、10%HCl水溶液(2×10ml)(pH =0)、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(1×20ml)(pH=8〜9)、及び最終的に、水(pH =7)により洗浄した。溶媒を減圧下で、乾燥まで蒸発し、シナカルセト塩基を得た。
【0115】
RNEAを実質的に有さないシナカルセト塩基のワンポット調製
例33
10Lのガラス攪拌反応器を、窒素により低流速でラッシュした。窒素ブランケットを、反応の間、続け、そして作業が開始した場合、停止した。820gの化合物V、3Lのアセトニトリル、367.5gのK2CO3及び455.6gのR−ナフチルエチルアミン(R-NEA)を、室温で反応器中に充填した。攪拌機を開始し、次に反応器を、還流温度(81.7℃)に加熱し、そしてその温度で22時間、攪拌した。反応器を50℃に冷却し、そして塩を減圧下で濾過した。フィルターケークを、アセトニトリル(4×750ml)により洗浄した。
【0116】
反応器を20℃に冷却し、そしてアセトニトリルを減圧下で蒸発した。反応器を10℃に冷却し、そして32%HCl水溶液5.25Lを反応器中に充填した。反応器を70℃に加熱し、そして32%HCl水溶液1.78Lを、50分間にわたって充填した。反応器を15分間、攪拌し、そして次に、酸性水性相を分離した。有機相を水(3×1340ml)、次に飽和炭酸水素ナトリウム(2×1781ml)により洗浄した。最終的に、有機相を水により洗浄した。トルエンを減圧下で蒸発し、886gのシナカルセト塩基を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造:
【化1】

で表される化合物Vを供給し;化合物Vのヒドロキシル成分を、良好な脱離基に転換して、下記構造:
【化2】

で表される化合物VIを得;そして前記化合物VIと、(R)−1−ナフチルエチルアミン(NEA)とを、約50℃〜約120℃の温度で塩基の存在下で一緒にし、シナカルセト(cinacalcet)塩基を得ることを含んで成る、シナカルセト塩基の調製方法。
【請求項2】
前記化合物Vのヒドロキシル成分の良好な脱離基への転換が、
(a)塩素化された脂肪族炭化水素、アセトニトリル、C2-6エーテル及びC6-8芳香族炭化水素から成る群から選択された非プロトン性有機溶媒中、化合物Vの溶液と、良好な脱離基を有する試薬とを一緒にして、反応混合物を得;そして
(b)前記反応混合物を、約0℃〜約50℃の温度で維持し、化合物VIを得る;
ことを含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記非プロトン性有機溶媒が、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン及びトルエンから成る群から選択される請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記非プロトン性有機溶媒がトルエンである請求項2又は3記載の方法。
【請求項5】
前記試薬が、チオニルハロゲン化物、脂肪族スルホニルハロゲン化物及び芳香族スルホニルハロゲン化合物から成る群から選択される請求項2〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記試薬が、臭化チオニル、塩化チオニル、塩化メタンスルホニル(MsCl)、塩化ベンゼンスルホニル、4−ニトロベンゼンスルホニル塩化物(NsCl)及びp−トルエンスルホニル塩化物(TsCl)から成る群から選択される請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記試薬が、塩化メタンスルホニルである請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記試薬が、化合物V含有溶液に徐々に添加される請求項2〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記試薬が、約0℃〜約10℃の温度で徐々に添加される請求項2〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記反応混合物が、有機又は無機塩基を含む請求項2〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記有機又は無機塩基が、アミン及びアルカリカーボネートから成る群から選択される請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記アミン又はアルカリカーボネートが、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、第三アミン、K2CO3, NaHCO3, Na2CO3及びKHCO3、から成る群から選択される請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記塩基が、トリエチルアミンである請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記反応混合物が、約0.5〜約24時間維持される、請求項2〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記反応混合物が、約0.5〜約5時間維持される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
化合物VIが、C6-8芳香族炭化水素、C1-4アルコール、C3-6エステル、C3-6ケトン及びアセトニトリル、又は水及びC6-8芳香族変化水素の混合物、から成る群から選択された有機溶媒において溶液として存在する請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記有機溶媒が、トルエン、エタノール、イソプロピルアルコール、EtOAc、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン及びアセトニトリルから成る群から選択される請求項16記載の方法。
【請求項18】
化合物VIが、アセトニトリル、又は水及びトルエンの混合物において溶液として存在する請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記(R)−1−ナフチルエチルアミンが、化合物VIに対して約1〜約1.5モル当量の量で存在する請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記塩基が、アルカリカーボネート及びアミンから成る群から選択される請求項1〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記塩基が、第三アミンである請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記塩基が、K2CO3, Na2CO3, NaHCO3, KHCO3, トリブチルアミン(TBA)、及びジイソプロピルエチルアミンから成る群から選択される請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記塩基が、K2CO3である請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記塩基が、化合物VI及び(R)−1−ナフチルエチルアミンの溶液に添加される請求項1〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記化合物VI及び(R)−1−ナフチルエチルアミンが、約70℃〜約100℃の温度で組合される請求項1〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記組合せが、約5〜約90時間である請求項1〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記組合せが、約21〜約40時間である請求項26記載の方法。
【請求項28】
相移行触媒が、前記化合物VI及び(R)−1−ナフチルエチルアミンの組合せの間、混合される請求項1〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記相移行触媒が、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)である請求項28記載の方法。
【請求項30】
濾過及び溶媒の蒸発によりシナカルセト塩基の残渣を回収することをさらに含んで成る請求項16記載の方法。
【請求項31】
0.2面積%以下の(R)−1−ナフチルエチルアミンを有するシナカルセト塩基が、
(a)シナカルセト塩基が溶解する溶媒中、(R)−1−ナフチルエチルアミンにより汚染されたシナカルセト塩基の溶液を提供し;
(b)前記溶液を酸性化し、約0〜2のpHを得;
(c)前記有機相を中和し、約7〜約8.5のpHを得;そして
(d)0.2面積%以下の(R)−1−ナフチルエチルアミンを含むシナカルセト塩基を回収する;
ことを含んで成る方法により調製される請求項16記載の方法。
【請求項32】
前記シナカルセト塩基が、0.1面積%以下の(R)−1−ナフチルエチルアミンを含む請求項31記載の方法。
【請求項33】
段階(b)の前、約50℃〜約80℃への加熱が行われる請求項31項記載の方法。
【請求項34】
前記シナカルセト塩基の溶液が、トルエン、酢酸エチル、DCM及びそれらの混合物から成る群から選択された溶媒を含んで成る請求項31記載の方法。
【請求項35】
前記溶媒が、溶液を得るのに十分な量で存在する請求項31記載の方法。
【請求項36】
前記溶液の酸性化が、塩酸の添加によってである請求項31記載の方法。
【請求項37】
前記中和が、NaHCO3の飽和溶液による洗浄、及び続く水による洗浄によってである請求項31記載の方法。
【請求項38】
(R)−1−ナフチルエチルアミンを実質的に有さないシナカルセト遊離塩基の回収が、過剰の溶媒の蒸発によってである請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記化合物Vが、下記構造:
【化3】

[式中、Rは、C1-C6脂肪族、枝分れ鎖又は環状の、架橋されているか又は架橋されていないアルキルである]
で表される化合物IIから、式IIのカルボニル成分の還元により調製される請求項1〜38のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
前記化合物IIが、下記構造:
【化4】

[式中、Rは、C1-C6脂肪族、枝分れ鎖又は環状の、架橋されているか又は架橋されていないアルキルである]で表される化合物Xから、カルボニル成分の還元により調製される請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記化合物Vが、下記式:
【化5】

で表される化合物IV、すなわち(2E)−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロプ−2−エン−1−オールから、化合物IVの二重結合の還元による調製される請求項1〜40のいずれか1項記載の方法。
【請求項42】
化合物IVが、化合物Xから、カルボニルの還元により調製される請求項41記載の方法。
【請求項43】
化合物Vが、化合物II及びIII の化合物から、カルボニルの還元により、化合物V及びIVの混合物として調製され、ここで前記化合物III が、下記構造:
【化6】

で表される2−プロペナール、3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]である請求項1〜42のいずれか1項記載の方法。
【請求項44】
前記化合物Vが、化合物II及び次の構造:
【化7】

で表される化合物IXの混合物から、カルボニルの還元により調製される請求項1〜43のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
前記化合物II及びIXの混合物が、化合物II及びIII の混合物から、カルボニルの還元により調製される請求項44記載の方法。

【公表番号】特表2008−505981(P2008−505981A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521726(P2007−521726)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/019131
【国際公開番号】WO2006/125026
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】