シナリオテストのテスト項目生成装置及び方法及びプログラム
【課題】 ユースケース記述の欠落部分を検出し、網羅的なシナリオテストを実行する。
【解決手段】 本発明は、入力されたユーザとシステム間のインタラクションの流れを示すユースケース記述に基づいて実行経路を抽出し、実行経路記憶手段に格納し、ユースケース記述と、画面間の遷移を示す画面遷移図のマッチングを行い、該画面遷移図には存在するが該ユースケース記述には存在しない遷移がある場合は、該ユースケース記述が不完全であると判断し、ユースケース記述が不完全であると判断された場合に、欠落している遷移について新たな実行経路を生成し、実行経路記憶手段に格納し、実行経路記憶手段から実行経路を読み出して、該実行経路に対するテスト項目を生成する。
【解決手段】 本発明は、入力されたユーザとシステム間のインタラクションの流れを示すユースケース記述に基づいて実行経路を抽出し、実行経路記憶手段に格納し、ユースケース記述と、画面間の遷移を示す画面遷移図のマッチングを行い、該画面遷移図には存在するが該ユースケース記述には存在しない遷移がある場合は、該ユースケース記述が不完全であると判断し、ユースケース記述が不完全であると判断された場合に、欠落している遷移について新たな実行経路を生成し、実行経路記憶手段に格納し、実行経路記憶手段から実行経路を読み出して、該実行経路に対するテスト項目を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シナリオテストのテスト項目生成装置及び方法及びプログラムに係り、特に、ユーザとシステム間のインタラクションがシナリオとして書かれたユースケース記述を用いて網羅的なテスト項目を生成するためのシナリオテストのテスト項目生成装置及び方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユースケース記述のみを入力としてテスト項目を生成する技術として以下のようなものがある。
【0003】
要求仕様の記法として用いられる、ユースケース記述からテスト項目とテストケースを抽出したり(例えば、特許文献1参照)、ユースケースの包含関係に基づき、テスト項目を実施する優先順位を決定する方法がある。
【0004】
また、フローチャートを入力として結合テストのテスト項目を生成する技術がある。当該技術は、処理概要フロー図、入力制約定義書等を入力として処理の振る舞い、入力エラーの有無等を含むテスト項目を生成するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-293382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ユースケースは、システムの振舞いの一側面を表すものであり、例えば、Webアプリケーションの各画面での「戻る」リンク押下のように、本筋と関係のないシナリオは省略されて記述されないことが多い。このように、ユースケース記述が不完全である場合、従来技術ではシステムの振る舞いを検証する網羅的なテスト項目を得られないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、ユースケース記述の欠落部分を検出し、網羅的なシナリオテストを実行することが可能なシナリオテストのテスト項目生成装置及び方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明(請求項1)は、テスト項目の欠落を補完して網羅的なテスト項目を生成するためのシナリオテストのテスト項目生成装置であって、
入力されたユーザとシステム間のインタラクションの流れを示すユースケース記述に基づいて実行経路を抽出し、実行経路記憶手段に格納する実行経路抽出手段と、
前記ユースケース記述と、画面間の遷移を示す画面遷移図のマッチングを行い、該画面遷移図には存在するが該ユースケース記述には存在しない遷移がある場合は、該ユースケース記述が不完全であると判断するマッチング手段と、
前記マッチング手段で前記ユースケース記述が不完全であると判断された場合に、該マッチング手段において画面遷移図から見つけたユースケース記述から欠落している遷移について新たな実行経路を生成し、前記実行経路記憶手段に格納する欠落補完手段と、
前記実行経路記憶手段から実行経路を読み出して、該実行経路に対するテスト項目を生成するテスト項目生成手段と、を有する。
【0009】
また、本発明(請求項2)は、請求項1の前記マッチング手段に、
前記画面遷移図から遷移の一覧を取得して、各遷移毎に、遷移元画面、遷移先画面、イベントの3つ組を取得し、前記ユースケース記述に、該3つ組が存在するかを判定し、存在しない場合に、該遷移元画面と該遷移先画面が共に該ユースケース記述に存在する場合に、該ユースケース記述が不完全であると判定する手段を含む。
【0010】
また、本発明(請求項3)は、請求項1または2の前記欠落補完手段に、
前記ユースケース記述中の、前記欠落している遷移の遷移元画面と遷移先画面の場所を特定する手段と、
前記ユースケース記述の始点から前記遷移元画面に至る最短経路Sと、前記遷移先画面から該ユースケース記述の終点までの最短経路Eを抽出する手段と、
前記経路S、前記欠落している遷移、前記経路Eを順番にマージして新しい経路を生成する手段と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユースケース記述書と画面遷移図という2つの入力ドキュメントを突き合せることにより、ユースケース記述の漏れを検知し、画面遷移図を利用して補完することにより、網羅的なシナリオテストのためのテスト項目を抽出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態におけるシナリオテストのテスト項目生成装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるユースケース記述の例である。
【図3】本発明の一実施の形態における画面遷移図の例である。
【図4】本発明の一実施の形態におけるユースケース記述のデータ構造である。
【図5】本発明の一実施の形態における画面遷移図のデータ構造である。
【図6】本発明の一実施の形態におけるテスト項目生成装置の概要動作のフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態におけるステップ110の詳細フローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態におけるステップ120の詳細フローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態におけるステップ130の詳細フローチャートである。
【図10】本発明の一実施の形態におけるステップ420の詳細フローチャートである。
【図11】本発明の一実施の形態におけるテスト項目のデータ構造である。
【図12】本発明の一実施の形態におけるステップ430の詳細フローチャートである。
【図13】本発明の一実施の形態におけるユースケース記述と画面遷移図の比較を示す図である。
【図14】本発明の一実施の形態におけるステップ450の詳細フローチャートである。
【図15】本発明の一実施の形態におけるテスト項目表の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面と共に、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
まず、本明細書中で用いる用語について説明する。
【0015】
・シナリオテスト:要求定義に基づき、ユーザが行う業務を想定してシナリオを作成して、システムが想定シナリオどおりに振舞うか確認するテスト。
【0016】
・テスト項目:シナリオテストにおけるテスト項目は、「テストシナリオ」と「確認観点」を含む。「テストシナリオ」は、画面と操作で構成されたシーケンスであり、「確認観点」は画面遷移の正しさ、画面表示内容の正しさ、データベース破壊の有無、などがある。
【0017】
・画面遷移図:設計ドキュメントの一種である。特定の機能内における各画面間の遷移を示す。
【0018】
・ユースケース記述:設計ドキュメントの一種である。要求を明確化するための記法でもある。ユーザとシステムの間のインタラクションの流れを示す。流れは「基本フロー」に沿って進むが、「代替フロー」や「例外フロー」に分岐することもある。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態におけるシナリオテストのテスト項目生成装置の構成を示す。
【0020】
テスト項目生成装置10は、設計情報読込部1、設計モデル分析部2、実行経路抽出部3、実行経路補完部4、実行経路記憶部5、テスト項目生成部6から構成され、設計情報読込部1及びテスト項目生成部6は、ユーザ端末20と接続されている。
【0021】
設計情報読込部1は、ユーザ端末20から設計ドキュメント情報を取得して、指定されたファイルパスのユースケース記述書及び画面遷移図を抽出する。ユーザ端末20から入力されるユースケース記述の例を図2に示し、画面遷移図の例を図3に示す。ユースケース記述は、基本フロー、代替フロー、例外フロー毎に、利用者のアクション、システムアクション、ジャンプ先、復帰先のフロー番号を含む。画面遷移図は、画面の遷移を矢印で表したものである。また、設計情報読込部1で抽出されるユースケース記述のデータ構造を図4に示す。ユースケース記述のデータ構造は、フローID,フロー種別(基本/代替)、主体(システム/ユーザ)、フロー内容(「トップ画面を表示する」、「認証情報を入力し、ログインボタンを押下」等)、遷移先からなる。また、抽出される画面遷移図のデータ構造を図5に示す。当該画面遷移図は、矢印イメージで表示される遷移の集合を表しており、各遷移は、遷移ID、遷移元画面、遷移先場面、イベント、遷移条件から構成される。図5の例の「transition 0」では、ログインボタンが押下され、認証が成功すると、遷移元画面"トップ画面"から遷移先画面"メニュー画面"に遷移することを表している。
【0022】
設計モデル分析部2は、設計情報読込部1から取得したユースケース記述書及び画面遷移図から設計モデルを生成する。
【0023】
実行経路抽出部3は、ユースケース記述由来のテストシナリオ(実行経路)を生成し、実行経路記憶部5に格納する。生成されるテスト項目のデータ構造を図4に示す。
【0024】
実行経路補完部4は、ユースケース記述と画面遷移図を付き合わせ、ユースケースの記述が不完全であれば、画面遷移図由来のテストシナリオ(実行経路)を生成し、実行経路記憶部5に格納する。
【0025】
テスト項目生成部6は、実行経路記憶部5から実行経路を読み出して、テスト項目表を生成して、ユーザ端末20に渡す。
【0026】
以下に、上記の構成における動作を説明する。
【0027】
図6は、本発明の一実施の形態におけるテスト項目生成装置の概要動作のフローチャートである。
【0028】
ステップ110) 設計情報読込部1は、ユーザ端末20から入力された設計ドキュメント群(画面遷移図(Visio(登録商標) VDX形式ファイル)、ユースケース記述書(Excel(登録商標) XLS形式ファイル)を読み込み、それぞれ、Java(登録商標) Objectに変換する。詳細は、図7にて詳述する。
【0029】
ステップ120) 設計モデル分析部2は、設計情報読込部1から入力されたJava(登録商標) Objectを単一の設計モデル(XMI形式UML)に変換する。詳細は、図8にて詳述する。
【0030】
ステップ130) 設計モデル解析部2、実行経路抽出部3及び実行経路補完部4、テスト項目生成部6は、設計モデルを解析し、その結果に基づいて、テストシナリオを抽出し、テスト項目を生成する。詳細は、図9にて詳述する。
【0031】
ステップ140) テスト項目生成部6は、テスト項目を帳票形式に成型し、テスト項目表(Excel(登録商標) XLS形式ファイル)を出力する。
【0032】
次に、上記のステップ110の処理について説明する。
【0033】
図7は、本発明の一実施の形態におけるステップ110の詳細フローチャートである。
【0034】
ステップ210) 設計情報読込部1は、読み込むべき設計ドキュメントを特定する処理として、ファイルを階層的に探索し、画面遷移図、もしくは、ユースケース記述書であるファイルのファイルパスをメモリ(図示せず)に記録する。その他のファイルは無視するものとする。
【0035】
ステップ220) 設計情報読込部1は、ステップ210で探索されたユースケース記述書(Excel(登録商標)XLS形式ファイル)のファイルパスをメモリ(図示せず)から取得し、指定されたファイルパスに存在するユースケース記述書を読み込み、対応する中間言語(ユースケース記述Object)を生成し、ユースケース記述Objectのリストとしてメモリ(図示せず)に格納する。
【0036】
ステップ230) 設計情報読込部1は、ステップ210で探索された画面遷移図(Visio (登録商標)VDX形式のファイル)のファイルパスをメモリ(図示せず)から読み込み、指定されたファイルパスに存在する画面遷移図を読み込み、対応する中間言語(画面遷移図Object)を生成し、画面遷移図Objectのリストとしてメモリ(図示せず)に格納する。
【0037】
次に、図6のステップ120の設計モデル生成処理について説明する。
【0038】
図8は、本発明の一実施の形態におけるステップ120の詳細フローチャートである。
【0039】
ステップ310) 設計モデル分析部2は、メモリ(図示せず)からユースケース記述Objectを読み込む。
【0040】
ステップ320) 設計モデル分析部2は、それぞれのフローに対して、ユースケース記述Objectに含まれる各フローを基にUML Activity(XMI形式)を構築する。具体的には、遷移先画面や遷移元画面をUML ActivityNode、フローをUML ActivityEdgeに変換し、UML Activityを構築する。
【0041】
ステップ330) 設計モデル分析部2は、メモリ(図示せず)より画面遷移図Objectを読み込む。
【0042】
ステップ340) 設計モデル分析部2は、それぞれの遷移に対して、画面遷移Objectに含まれる各遷移をもとにUML StateMachine (XMI形式)を構築する。詳しくは、遷移先画面や遷移元画面をUML State、遷移をUML Transitionに変換し、UML StateMachineを構築する。なお、XMI形式を構築するための手法として、「XStream http://xstream.codehaus.org/tutorial.html」を用いるものとする。
【0043】
ステップ350) 設計モデル分析部2は、ステップ320やステップ340で作成した情報をマージして設計モデル(XMI形式)を作成する。詳しくは、設計モデル中の各機能がUML Activity、UML StateMachineのペアを保持するよう、全体の設計モデル(XMI形式)を作成し、メモリ(図示せず)に格納する。
【0044】
次に、ステップ130のテスト項目抽出処理の詳細な動作を説明する。
【0045】
図9は、本発明の一実施の形態におけるステップ130の詳細フローチャートである。
【0046】
ステップ410)設計モデル分析2は、メモリ(図示せず)を走査し、ステップ350で生成された設計モデルからテスト対象となる各機能を抽出する。
【0047】
ステップ420) 実行経路抽出部3は、抽出した各機能のユースケース記述から、抽出した実行経路をそれぞれテストシナリオとしてテスト項目を生成する。詳細な動作は図10にて詳述する。
【0048】
ステップ430) 実行経路補完部4は、設計モデル分析部2で抽出された設計モデルの機能のユースケース記述と画面遷移図を順に取得し、両者の遷移群を比較する。詳細な動作は図12にて詳述する。
【0049】
ステップ440) 実行経路補完部4は、画面遷移図に存在するがユースケース記述に存在しない遷移を、ユースケース記述の抜けと見做して、漏れ遷移リストとしてメモリ(図示せず)に格納し、ステップ450に移行し、両者に遷移の漏れがない場合は当該処理を終了する。
【0050】
ステップ450) 実行経路補完部4は、ステップ440でメモリ(図示せず)に格納されている漏れ遷移リストを読み出し、ユースケース記述に基づいて、漏れ遷移のそれぞれについてテスト項目を生成し、実行経路記憶部5に格納する。
【0051】
次に、上記のステップ420のユースケース記述由来のテスト項目の生成処理について説明する。
【0052】
図10は、本発明の一実施の形態におけるステップ420の詳細フローチャートである。
【0053】
ステップ510) 実行経路抽出部3は、設計モデル分析部2からユースケース記述(UML Activity)を取得する。
【0054】
ステップ520) 実行経路抽出部3は、UML Activityで有向グラフにおける深さ優先探索を行い、始点から終点までの経路を網羅的に抽出する。有向グラフからの経路抽出のための深さ優先探索の手法としては、例えば、文献1「杉原厚吉著、『データ構造とアルゴリズム』、共立出版、ISBN4-320-12034-5」を用いればよい。
【0055】
ステップ530) 実行経路抽出部3は、実行経路を始点から終点まで辿り、カギ括弧などでマークアップされた画面名とイベント名の文字列を順次収集し、画面名とイベント名のリストを生成し、実行経路記憶部5に格納する。
【0056】
ステップ540) テスト項目生成部6は、画面名とイベント名のリストをテストシナリオとしてまとめる。
【0057】
ステップ550) テスト項目生成部6は、テストシナリオ、実行経路に加え、ユーザ設定の確認観点からテスト項目を生成する。生成されたテスト項目のデータ構造を図11に示す。テスト項目は、テスト項目ID、パス情報、テストシナリオ、確認観点を含む。なお、確認観点は、予め設定された固定文字列である。ユーザがこれを変えることができる。
【0058】
次に、上記の図9のステップ430のユースケース記述と画面遷移図を付き合わせる処理について説明する。
【0059】
図12は、本発明の一実施の形態におけるステップ430の詳細フローチャートである。
【0060】
ステップ610) 実行経路補完部4は、設計モデル分析部2からユースケース記述(UML Activity)を取得し、エッジ(UML ActivityEdge)を抽出する。
【0061】
ステップ620) 実行経路補完部4は、設計モデル分析部2から画面遷移図(UML StateMachine)を取得し、遷移(UML Transition)を抽出する。
【0062】
ステップ630) 実行経路補完部4は、ステップ620で抽出された遷移(UML Transition)に対応付けられている遷移元画面、遷移先画面、イベントを取得する。例えば、図5の例では、「transition0」に対応付けられている遷移元画面は「トップ画面」であり、遷移先画面は「メニュー画面」であり、イベントは「ログインボタン押下」である。実行経路補完部4は、これらを{遷移元画面・遷移先画面・イベント}の3つ組とする。
【0063】
ステップ640) 実行経路補完部4は、ステップ630で得られた3つ組み{遷移元画面・遷移先画面・イベント}を基に、ユースケース記述(UML Activity)に該当するエッジがあるかを調べる。
【0064】
ステップ650) ユースケース記述に該当するエッジがある場合は、当該処理を終了し、ない場合は、ステップ660に移行する。
【0065】
ステップ660) 実行経路補完部4は、遷移元画面と遷移先画面が共にユースケース記述に存在するかを判定し、存在する場合はユースケース記述が不完全であると判断し、存在しない場合は当該処理を終了する。
【0066】
ステップ670) 実行経路補完部4は、ユースケース記述が不完全であると認定し、該当遷移をユースケース記述から欠落している遷移(漏れ遷移)と見做し、漏れ遷移リストに加えてメモリ(図示せず)に格納する。
【0067】
上記のステップ650〜670の処理を具体的に説明する。
【0068】
図13は、本発明の一実施の形態におけるユースケース記述と画面遷移図の比較を示す。
【0069】
ユースケース記述と画面遷移図を比較した結果、画面遷移図に存在し、ユースケース記述に存在しない遷移は、
画面C⇒イベント4⇒画面B
画面B⇒イベント5⇒画面D
画面E⇒イベント6⇒画面C
画面E⇒イベント7⇒画面D
の4つとなる(ステップ650)。このうち、遷移元画面と遷移先画面の両方がユースケースに存在するのは
画面C⇒イベント4⇒画面B
であるため(ステップ660、Yes)、これをユースケースから漏れた「漏れ遷移」(欠落部分)としてメモリ(図示せず)に格納する(ステップ670)。
【0070】
上記のように、欠落を判定する際に、ユースケース記述と関連ある部分のみを篩い分けて使用することで、シナリオテストにとって無駄なテスト項目を生成しなくともよく、従来技術で生成可能なユースケース記述に由来するテスト項目に加えて、画面遷移図に由来するテスト項目も生成でき、ユースケース記述の欠落部分を検出できる。
【0071】
次に、図9のステップ450の画面遷移図由来のテスト項目生成処理について説明する。
【0072】
図14は、本発明の一実施の形態におけるステップ540の詳細フローチャートである。
【0073】
ステップ710) 実行経路補完部4は、メモリ(図示せず)から漏れ遷移リストを取得する。
【0074】
ステップ720) 実行経路補完部4は、漏れ遷移リストから漏れ遷移の遷移元画面を取得し、ユースケース記述から該当する画面を検索する。
【0075】
ステップ730) 実行経路補完部4は、漏れ遷移の遷移先画面を取得し、ユースケース記述の中から該当画面の場所を特定する。
【0076】
ステップ740) 実行経路補完部4は、ユースケース記述の始点からステップ720で特定した遷移元画面の位置に至る最短の実行経路Sを抽出する。
【0077】
ステップ750) ステップ730で特定した遷移先画面の位置から、ユースケース記述の終点までの最短の実行経路Eを抽出する。
【0078】
なお、上記のステップ740,750の経路探索には、有向グラフの2点間の最短経路の探索手法として、前述の文献1のダイクストラのアルゴリズム等を用いればよい。
【0079】
ステップ760) 実行経路補完部4は、ステップ740,750で探索された部分経路S、漏れ遷移、部分経路Eを順番にマージして新しい経路を生成し、実行経路記憶部5に格納する。
【0080】
ステップ770) テスト項目生成部6は、実行経路記憶部5から実行経路抽出部3で抽出された実行経路及び実行経路補完部4で生成された新しい経路を読み込み、テストシナリオを生成し、図15に示すようなテスト項目表を生成する。
【0081】
上記の処理により、ユースケース記述の漏れを検出し、画面遷移図を利用して補完することで、網羅的なテスト項目を抽出できる。
【0082】
なお、上記の図1に示すテスト項目生成装置の構成要素の動作をプログラムとして構築し、テスト項目生成装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0083】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 設計情報読込部
2 設計モデル分析部
3 実行経路抽出部
4 実行経路補完部
5 実行経路記憶部
6 テスト項目生成部
10 テスト項目生成装置
20 ユーザ端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、シナリオテストのテスト項目生成装置及び方法及びプログラムに係り、特に、ユーザとシステム間のインタラクションがシナリオとして書かれたユースケース記述を用いて網羅的なテスト項目を生成するためのシナリオテストのテスト項目生成装置及び方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユースケース記述のみを入力としてテスト項目を生成する技術として以下のようなものがある。
【0003】
要求仕様の記法として用いられる、ユースケース記述からテスト項目とテストケースを抽出したり(例えば、特許文献1参照)、ユースケースの包含関係に基づき、テスト項目を実施する優先順位を決定する方法がある。
【0004】
また、フローチャートを入力として結合テストのテスト項目を生成する技術がある。当該技術は、処理概要フロー図、入力制約定義書等を入力として処理の振る舞い、入力エラーの有無等を含むテスト項目を生成するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-293382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ユースケースは、システムの振舞いの一側面を表すものであり、例えば、Webアプリケーションの各画面での「戻る」リンク押下のように、本筋と関係のないシナリオは省略されて記述されないことが多い。このように、ユースケース記述が不完全である場合、従来技術ではシステムの振る舞いを検証する網羅的なテスト項目を得られないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、ユースケース記述の欠落部分を検出し、網羅的なシナリオテストを実行することが可能なシナリオテストのテスト項目生成装置及び方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明(請求項1)は、テスト項目の欠落を補完して網羅的なテスト項目を生成するためのシナリオテストのテスト項目生成装置であって、
入力されたユーザとシステム間のインタラクションの流れを示すユースケース記述に基づいて実行経路を抽出し、実行経路記憶手段に格納する実行経路抽出手段と、
前記ユースケース記述と、画面間の遷移を示す画面遷移図のマッチングを行い、該画面遷移図には存在するが該ユースケース記述には存在しない遷移がある場合は、該ユースケース記述が不完全であると判断するマッチング手段と、
前記マッチング手段で前記ユースケース記述が不完全であると判断された場合に、該マッチング手段において画面遷移図から見つけたユースケース記述から欠落している遷移について新たな実行経路を生成し、前記実行経路記憶手段に格納する欠落補完手段と、
前記実行経路記憶手段から実行経路を読み出して、該実行経路に対するテスト項目を生成するテスト項目生成手段と、を有する。
【0009】
また、本発明(請求項2)は、請求項1の前記マッチング手段に、
前記画面遷移図から遷移の一覧を取得して、各遷移毎に、遷移元画面、遷移先画面、イベントの3つ組を取得し、前記ユースケース記述に、該3つ組が存在するかを判定し、存在しない場合に、該遷移元画面と該遷移先画面が共に該ユースケース記述に存在する場合に、該ユースケース記述が不完全であると判定する手段を含む。
【0010】
また、本発明(請求項3)は、請求項1または2の前記欠落補完手段に、
前記ユースケース記述中の、前記欠落している遷移の遷移元画面と遷移先画面の場所を特定する手段と、
前記ユースケース記述の始点から前記遷移元画面に至る最短経路Sと、前記遷移先画面から該ユースケース記述の終点までの最短経路Eを抽出する手段と、
前記経路S、前記欠落している遷移、前記経路Eを順番にマージして新しい経路を生成する手段と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユースケース記述書と画面遷移図という2つの入力ドキュメントを突き合せることにより、ユースケース記述の漏れを検知し、画面遷移図を利用して補完することにより、網羅的なシナリオテストのためのテスト項目を抽出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態におけるシナリオテストのテスト項目生成装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるユースケース記述の例である。
【図3】本発明の一実施の形態における画面遷移図の例である。
【図4】本発明の一実施の形態におけるユースケース記述のデータ構造である。
【図5】本発明の一実施の形態における画面遷移図のデータ構造である。
【図6】本発明の一実施の形態におけるテスト項目生成装置の概要動作のフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態におけるステップ110の詳細フローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態におけるステップ120の詳細フローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態におけるステップ130の詳細フローチャートである。
【図10】本発明の一実施の形態におけるステップ420の詳細フローチャートである。
【図11】本発明の一実施の形態におけるテスト項目のデータ構造である。
【図12】本発明の一実施の形態におけるステップ430の詳細フローチャートである。
【図13】本発明の一実施の形態におけるユースケース記述と画面遷移図の比較を示す図である。
【図14】本発明の一実施の形態におけるステップ450の詳細フローチャートである。
【図15】本発明の一実施の形態におけるテスト項目表の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面と共に、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
まず、本明細書中で用いる用語について説明する。
【0015】
・シナリオテスト:要求定義に基づき、ユーザが行う業務を想定してシナリオを作成して、システムが想定シナリオどおりに振舞うか確認するテスト。
【0016】
・テスト項目:シナリオテストにおけるテスト項目は、「テストシナリオ」と「確認観点」を含む。「テストシナリオ」は、画面と操作で構成されたシーケンスであり、「確認観点」は画面遷移の正しさ、画面表示内容の正しさ、データベース破壊の有無、などがある。
【0017】
・画面遷移図:設計ドキュメントの一種である。特定の機能内における各画面間の遷移を示す。
【0018】
・ユースケース記述:設計ドキュメントの一種である。要求を明確化するための記法でもある。ユーザとシステムの間のインタラクションの流れを示す。流れは「基本フロー」に沿って進むが、「代替フロー」や「例外フロー」に分岐することもある。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態におけるシナリオテストのテスト項目生成装置の構成を示す。
【0020】
テスト項目生成装置10は、設計情報読込部1、設計モデル分析部2、実行経路抽出部3、実行経路補完部4、実行経路記憶部5、テスト項目生成部6から構成され、設計情報読込部1及びテスト項目生成部6は、ユーザ端末20と接続されている。
【0021】
設計情報読込部1は、ユーザ端末20から設計ドキュメント情報を取得して、指定されたファイルパスのユースケース記述書及び画面遷移図を抽出する。ユーザ端末20から入力されるユースケース記述の例を図2に示し、画面遷移図の例を図3に示す。ユースケース記述は、基本フロー、代替フロー、例外フロー毎に、利用者のアクション、システムアクション、ジャンプ先、復帰先のフロー番号を含む。画面遷移図は、画面の遷移を矢印で表したものである。また、設計情報読込部1で抽出されるユースケース記述のデータ構造を図4に示す。ユースケース記述のデータ構造は、フローID,フロー種別(基本/代替)、主体(システム/ユーザ)、フロー内容(「トップ画面を表示する」、「認証情報を入力し、ログインボタンを押下」等)、遷移先からなる。また、抽出される画面遷移図のデータ構造を図5に示す。当該画面遷移図は、矢印イメージで表示される遷移の集合を表しており、各遷移は、遷移ID、遷移元画面、遷移先場面、イベント、遷移条件から構成される。図5の例の「transition 0」では、ログインボタンが押下され、認証が成功すると、遷移元画面"トップ画面"から遷移先画面"メニュー画面"に遷移することを表している。
【0022】
設計モデル分析部2は、設計情報読込部1から取得したユースケース記述書及び画面遷移図から設計モデルを生成する。
【0023】
実行経路抽出部3は、ユースケース記述由来のテストシナリオ(実行経路)を生成し、実行経路記憶部5に格納する。生成されるテスト項目のデータ構造を図4に示す。
【0024】
実行経路補完部4は、ユースケース記述と画面遷移図を付き合わせ、ユースケースの記述が不完全であれば、画面遷移図由来のテストシナリオ(実行経路)を生成し、実行経路記憶部5に格納する。
【0025】
テスト項目生成部6は、実行経路記憶部5から実行経路を読み出して、テスト項目表を生成して、ユーザ端末20に渡す。
【0026】
以下に、上記の構成における動作を説明する。
【0027】
図6は、本発明の一実施の形態におけるテスト項目生成装置の概要動作のフローチャートである。
【0028】
ステップ110) 設計情報読込部1は、ユーザ端末20から入力された設計ドキュメント群(画面遷移図(Visio(登録商標) VDX形式ファイル)、ユースケース記述書(Excel(登録商標) XLS形式ファイル)を読み込み、それぞれ、Java(登録商標) Objectに変換する。詳細は、図7にて詳述する。
【0029】
ステップ120) 設計モデル分析部2は、設計情報読込部1から入力されたJava(登録商標) Objectを単一の設計モデル(XMI形式UML)に変換する。詳細は、図8にて詳述する。
【0030】
ステップ130) 設計モデル解析部2、実行経路抽出部3及び実行経路補完部4、テスト項目生成部6は、設計モデルを解析し、その結果に基づいて、テストシナリオを抽出し、テスト項目を生成する。詳細は、図9にて詳述する。
【0031】
ステップ140) テスト項目生成部6は、テスト項目を帳票形式に成型し、テスト項目表(Excel(登録商標) XLS形式ファイル)を出力する。
【0032】
次に、上記のステップ110の処理について説明する。
【0033】
図7は、本発明の一実施の形態におけるステップ110の詳細フローチャートである。
【0034】
ステップ210) 設計情報読込部1は、読み込むべき設計ドキュメントを特定する処理として、ファイルを階層的に探索し、画面遷移図、もしくは、ユースケース記述書であるファイルのファイルパスをメモリ(図示せず)に記録する。その他のファイルは無視するものとする。
【0035】
ステップ220) 設計情報読込部1は、ステップ210で探索されたユースケース記述書(Excel(登録商標)XLS形式ファイル)のファイルパスをメモリ(図示せず)から取得し、指定されたファイルパスに存在するユースケース記述書を読み込み、対応する中間言語(ユースケース記述Object)を生成し、ユースケース記述Objectのリストとしてメモリ(図示せず)に格納する。
【0036】
ステップ230) 設計情報読込部1は、ステップ210で探索された画面遷移図(Visio (登録商標)VDX形式のファイル)のファイルパスをメモリ(図示せず)から読み込み、指定されたファイルパスに存在する画面遷移図を読み込み、対応する中間言語(画面遷移図Object)を生成し、画面遷移図Objectのリストとしてメモリ(図示せず)に格納する。
【0037】
次に、図6のステップ120の設計モデル生成処理について説明する。
【0038】
図8は、本発明の一実施の形態におけるステップ120の詳細フローチャートである。
【0039】
ステップ310) 設計モデル分析部2は、メモリ(図示せず)からユースケース記述Objectを読み込む。
【0040】
ステップ320) 設計モデル分析部2は、それぞれのフローに対して、ユースケース記述Objectに含まれる各フローを基にUML Activity(XMI形式)を構築する。具体的には、遷移先画面や遷移元画面をUML ActivityNode、フローをUML ActivityEdgeに変換し、UML Activityを構築する。
【0041】
ステップ330) 設計モデル分析部2は、メモリ(図示せず)より画面遷移図Objectを読み込む。
【0042】
ステップ340) 設計モデル分析部2は、それぞれの遷移に対して、画面遷移Objectに含まれる各遷移をもとにUML StateMachine (XMI形式)を構築する。詳しくは、遷移先画面や遷移元画面をUML State、遷移をUML Transitionに変換し、UML StateMachineを構築する。なお、XMI形式を構築するための手法として、「XStream http://xstream.codehaus.org/tutorial.html」を用いるものとする。
【0043】
ステップ350) 設計モデル分析部2は、ステップ320やステップ340で作成した情報をマージして設計モデル(XMI形式)を作成する。詳しくは、設計モデル中の各機能がUML Activity、UML StateMachineのペアを保持するよう、全体の設計モデル(XMI形式)を作成し、メモリ(図示せず)に格納する。
【0044】
次に、ステップ130のテスト項目抽出処理の詳細な動作を説明する。
【0045】
図9は、本発明の一実施の形態におけるステップ130の詳細フローチャートである。
【0046】
ステップ410)設計モデル分析2は、メモリ(図示せず)を走査し、ステップ350で生成された設計モデルからテスト対象となる各機能を抽出する。
【0047】
ステップ420) 実行経路抽出部3は、抽出した各機能のユースケース記述から、抽出した実行経路をそれぞれテストシナリオとしてテスト項目を生成する。詳細な動作は図10にて詳述する。
【0048】
ステップ430) 実行経路補完部4は、設計モデル分析部2で抽出された設計モデルの機能のユースケース記述と画面遷移図を順に取得し、両者の遷移群を比較する。詳細な動作は図12にて詳述する。
【0049】
ステップ440) 実行経路補完部4は、画面遷移図に存在するがユースケース記述に存在しない遷移を、ユースケース記述の抜けと見做して、漏れ遷移リストとしてメモリ(図示せず)に格納し、ステップ450に移行し、両者に遷移の漏れがない場合は当該処理を終了する。
【0050】
ステップ450) 実行経路補完部4は、ステップ440でメモリ(図示せず)に格納されている漏れ遷移リストを読み出し、ユースケース記述に基づいて、漏れ遷移のそれぞれについてテスト項目を生成し、実行経路記憶部5に格納する。
【0051】
次に、上記のステップ420のユースケース記述由来のテスト項目の生成処理について説明する。
【0052】
図10は、本発明の一実施の形態におけるステップ420の詳細フローチャートである。
【0053】
ステップ510) 実行経路抽出部3は、設計モデル分析部2からユースケース記述(UML Activity)を取得する。
【0054】
ステップ520) 実行経路抽出部3は、UML Activityで有向グラフにおける深さ優先探索を行い、始点から終点までの経路を網羅的に抽出する。有向グラフからの経路抽出のための深さ優先探索の手法としては、例えば、文献1「杉原厚吉著、『データ構造とアルゴリズム』、共立出版、ISBN4-320-12034-5」を用いればよい。
【0055】
ステップ530) 実行経路抽出部3は、実行経路を始点から終点まで辿り、カギ括弧などでマークアップされた画面名とイベント名の文字列を順次収集し、画面名とイベント名のリストを生成し、実行経路記憶部5に格納する。
【0056】
ステップ540) テスト項目生成部6は、画面名とイベント名のリストをテストシナリオとしてまとめる。
【0057】
ステップ550) テスト項目生成部6は、テストシナリオ、実行経路に加え、ユーザ設定の確認観点からテスト項目を生成する。生成されたテスト項目のデータ構造を図11に示す。テスト項目は、テスト項目ID、パス情報、テストシナリオ、確認観点を含む。なお、確認観点は、予め設定された固定文字列である。ユーザがこれを変えることができる。
【0058】
次に、上記の図9のステップ430のユースケース記述と画面遷移図を付き合わせる処理について説明する。
【0059】
図12は、本発明の一実施の形態におけるステップ430の詳細フローチャートである。
【0060】
ステップ610) 実行経路補完部4は、設計モデル分析部2からユースケース記述(UML Activity)を取得し、エッジ(UML ActivityEdge)を抽出する。
【0061】
ステップ620) 実行経路補完部4は、設計モデル分析部2から画面遷移図(UML StateMachine)を取得し、遷移(UML Transition)を抽出する。
【0062】
ステップ630) 実行経路補完部4は、ステップ620で抽出された遷移(UML Transition)に対応付けられている遷移元画面、遷移先画面、イベントを取得する。例えば、図5の例では、「transition0」に対応付けられている遷移元画面は「トップ画面」であり、遷移先画面は「メニュー画面」であり、イベントは「ログインボタン押下」である。実行経路補完部4は、これらを{遷移元画面・遷移先画面・イベント}の3つ組とする。
【0063】
ステップ640) 実行経路補完部4は、ステップ630で得られた3つ組み{遷移元画面・遷移先画面・イベント}を基に、ユースケース記述(UML Activity)に該当するエッジがあるかを調べる。
【0064】
ステップ650) ユースケース記述に該当するエッジがある場合は、当該処理を終了し、ない場合は、ステップ660に移行する。
【0065】
ステップ660) 実行経路補完部4は、遷移元画面と遷移先画面が共にユースケース記述に存在するかを判定し、存在する場合はユースケース記述が不完全であると判断し、存在しない場合は当該処理を終了する。
【0066】
ステップ670) 実行経路補完部4は、ユースケース記述が不完全であると認定し、該当遷移をユースケース記述から欠落している遷移(漏れ遷移)と見做し、漏れ遷移リストに加えてメモリ(図示せず)に格納する。
【0067】
上記のステップ650〜670の処理を具体的に説明する。
【0068】
図13は、本発明の一実施の形態におけるユースケース記述と画面遷移図の比較を示す。
【0069】
ユースケース記述と画面遷移図を比較した結果、画面遷移図に存在し、ユースケース記述に存在しない遷移は、
画面C⇒イベント4⇒画面B
画面B⇒イベント5⇒画面D
画面E⇒イベント6⇒画面C
画面E⇒イベント7⇒画面D
の4つとなる(ステップ650)。このうち、遷移元画面と遷移先画面の両方がユースケースに存在するのは
画面C⇒イベント4⇒画面B
であるため(ステップ660、Yes)、これをユースケースから漏れた「漏れ遷移」(欠落部分)としてメモリ(図示せず)に格納する(ステップ670)。
【0070】
上記のように、欠落を判定する際に、ユースケース記述と関連ある部分のみを篩い分けて使用することで、シナリオテストにとって無駄なテスト項目を生成しなくともよく、従来技術で生成可能なユースケース記述に由来するテスト項目に加えて、画面遷移図に由来するテスト項目も生成でき、ユースケース記述の欠落部分を検出できる。
【0071】
次に、図9のステップ450の画面遷移図由来のテスト項目生成処理について説明する。
【0072】
図14は、本発明の一実施の形態におけるステップ540の詳細フローチャートである。
【0073】
ステップ710) 実行経路補完部4は、メモリ(図示せず)から漏れ遷移リストを取得する。
【0074】
ステップ720) 実行経路補完部4は、漏れ遷移リストから漏れ遷移の遷移元画面を取得し、ユースケース記述から該当する画面を検索する。
【0075】
ステップ730) 実行経路補完部4は、漏れ遷移の遷移先画面を取得し、ユースケース記述の中から該当画面の場所を特定する。
【0076】
ステップ740) 実行経路補完部4は、ユースケース記述の始点からステップ720で特定した遷移元画面の位置に至る最短の実行経路Sを抽出する。
【0077】
ステップ750) ステップ730で特定した遷移先画面の位置から、ユースケース記述の終点までの最短の実行経路Eを抽出する。
【0078】
なお、上記のステップ740,750の経路探索には、有向グラフの2点間の最短経路の探索手法として、前述の文献1のダイクストラのアルゴリズム等を用いればよい。
【0079】
ステップ760) 実行経路補完部4は、ステップ740,750で探索された部分経路S、漏れ遷移、部分経路Eを順番にマージして新しい経路を生成し、実行経路記憶部5に格納する。
【0080】
ステップ770) テスト項目生成部6は、実行経路記憶部5から実行経路抽出部3で抽出された実行経路及び実行経路補完部4で生成された新しい経路を読み込み、テストシナリオを生成し、図15に示すようなテスト項目表を生成する。
【0081】
上記の処理により、ユースケース記述の漏れを検出し、画面遷移図を利用して補完することで、網羅的なテスト項目を抽出できる。
【0082】
なお、上記の図1に示すテスト項目生成装置の構成要素の動作をプログラムとして構築し、テスト項目生成装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0083】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 設計情報読込部
2 設計モデル分析部
3 実行経路抽出部
4 実行経路補完部
5 実行経路記憶部
6 テスト項目生成部
10 テスト項目生成装置
20 ユーザ端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト項目の欠落を補完して網羅的なテスト項目を生成するためのシナリオテストのテスト項目生成装置であって、
入力されたユーザとシステム間のインタラクションの流れを示すユースケース記述に基づいて実行経路を抽出し、実行経路記憶手段に格納する実行経路抽出手段と、
前記ユースケース記述と、画面間の遷移を示す画面遷移図のマッチングを行い、該画面遷移図には存在するが該ユースケース記述には存在しない遷移がある場合は、該ユースケース記述が不完全であると判断するマッチング手段と、
前記マッチング手段で前記ユースケース記述が不完全であると判断された場合に、該マッチング手段において画面遷移図から見つけたユースケース記述から欠落している遷移について新たな実行経路を生成し、前記実行経路記憶手段に格納する欠落補完手段と、
前記実行経路記憶手段から実行経路を読み出して、該実行経路に対するテスト項目を生成するテスト項目生成手段と、
を有することを特徴とするシナリオテストのテスト項目生成装置。
【請求項2】
前記マッチング手段は、
前記画面遷移図から遷移の一覧を取得して、各遷移毎に、遷移元画面、遷移先画面、イベントの3つ組を取得し、前記ユースケース記述に、該3つ組が存在するかを判定し、存在しない場合に、該遷移元画面と該遷移先画面が共に該ユースケース記述に存在する場合に、該ユースケース記述が不完全であると判定する手段を含む
請求項1記載のシナリオテストのテスト項目生成装置。
【請求項3】
前記欠落補完手段は、
前記ユースケース記述中の、前記欠落している遷移の遷移元画面と遷移先画面の場所を特定する手段と、
前記ユースケース記述の始点から前記遷移元画面に至る最短経路Sと、前記遷移先画面から該ユースケース記述の終点までの最短経路Eを抽出する手段と、
前記経路S、前記欠落している遷移、前記経路Eを順番にマージして新しい経路を生成する手段と、
を含む請求項1または2記載のシナリオテストのテスト項目生成装置。
【請求項4】
テスト項目の欠落を補完して網羅的なテスト項目を生成するためのシナリオテストのテスト項目生成方法であって、
実行経路抽出手段が、入力されたユーザとシステム間のインタラクションの流れを示すユースケース記述に基づいて実行経路を抽出し、実行経路記憶手段に格納する実行経路抽出ステップと、
マッチング手段が、前記ユースケース記述と、画面間の遷移を示す画面遷移図のマッチングを行い、該画面遷移図には存在するが該ユースケース記述には存在しない遷移がある場合は、該ユースケース記述が不完全であると判断するマッチングステップと、
欠落補完手段が、前記マッチングステップで前記ユースケース記述が不完全であると判断された場合に、該マッチングステップにおいて画面遷移図から見つけたユースケース記述から欠落している遷移について新たな実行経路を生成し、前記実行経路記憶手段に格納する欠落補完ステップと、
テスト項目生成手段が、前記実行経路記憶手段から実行経路を読み出して、該実行経路に対するテスト項目を生成するテスト項目生成ステップと、
を行うことを特徴とするシナリオテストのテスト項目生成方法。
【請求項5】
前記マッチングステップにおいて、
前記画面遷移図から遷移の一覧を取得して、各遷移毎に、遷移元画面、遷移先画面、イベントの3つ組を取得し、前記ユースケース記述に、該3つ組が存在するかを判定し、存在しない場合に、該遷移元画面と該遷移先画面が共に該ユースケース記述に存在する場合に、該ユースケース記述が不完全であると判定する
請求項4記載のシナリオテストのテスト項目生成方法。
【請求項6】
前記欠落補完ステップにおいて、
前記ユースケース記述中の、前記欠落している遷移の遷移元画面と遷移先画面の場所を特定し、
前記ユースケース記述の始点から前記遷移元画面に至る最短経路Sと、前記遷移先画面から該ユースケース記述の終点までの最短経路Eを抽出し、
前記経路S、前記欠落している遷移、前記経路Eを順番にマージして新しい経路を生成する
を含む請求項4または5記載のシナリオテストのテスト項目生成方法。
【請求項7】
コンピュータを、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のテスト項目生成装置の各手段として機能させるためのシナリオテストのテスト項目生成プログラム。
【請求項1】
テスト項目の欠落を補完して網羅的なテスト項目を生成するためのシナリオテストのテスト項目生成装置であって、
入力されたユーザとシステム間のインタラクションの流れを示すユースケース記述に基づいて実行経路を抽出し、実行経路記憶手段に格納する実行経路抽出手段と、
前記ユースケース記述と、画面間の遷移を示す画面遷移図のマッチングを行い、該画面遷移図には存在するが該ユースケース記述には存在しない遷移がある場合は、該ユースケース記述が不完全であると判断するマッチング手段と、
前記マッチング手段で前記ユースケース記述が不完全であると判断された場合に、該マッチング手段において画面遷移図から見つけたユースケース記述から欠落している遷移について新たな実行経路を生成し、前記実行経路記憶手段に格納する欠落補完手段と、
前記実行経路記憶手段から実行経路を読み出して、該実行経路に対するテスト項目を生成するテスト項目生成手段と、
を有することを特徴とするシナリオテストのテスト項目生成装置。
【請求項2】
前記マッチング手段は、
前記画面遷移図から遷移の一覧を取得して、各遷移毎に、遷移元画面、遷移先画面、イベントの3つ組を取得し、前記ユースケース記述に、該3つ組が存在するかを判定し、存在しない場合に、該遷移元画面と該遷移先画面が共に該ユースケース記述に存在する場合に、該ユースケース記述が不完全であると判定する手段を含む
請求項1記載のシナリオテストのテスト項目生成装置。
【請求項3】
前記欠落補完手段は、
前記ユースケース記述中の、前記欠落している遷移の遷移元画面と遷移先画面の場所を特定する手段と、
前記ユースケース記述の始点から前記遷移元画面に至る最短経路Sと、前記遷移先画面から該ユースケース記述の終点までの最短経路Eを抽出する手段と、
前記経路S、前記欠落している遷移、前記経路Eを順番にマージして新しい経路を生成する手段と、
を含む請求項1または2記載のシナリオテストのテスト項目生成装置。
【請求項4】
テスト項目の欠落を補完して網羅的なテスト項目を生成するためのシナリオテストのテスト項目生成方法であって、
実行経路抽出手段が、入力されたユーザとシステム間のインタラクションの流れを示すユースケース記述に基づいて実行経路を抽出し、実行経路記憶手段に格納する実行経路抽出ステップと、
マッチング手段が、前記ユースケース記述と、画面間の遷移を示す画面遷移図のマッチングを行い、該画面遷移図には存在するが該ユースケース記述には存在しない遷移がある場合は、該ユースケース記述が不完全であると判断するマッチングステップと、
欠落補完手段が、前記マッチングステップで前記ユースケース記述が不完全であると判断された場合に、該マッチングステップにおいて画面遷移図から見つけたユースケース記述から欠落している遷移について新たな実行経路を生成し、前記実行経路記憶手段に格納する欠落補完ステップと、
テスト項目生成手段が、前記実行経路記憶手段から実行経路を読み出して、該実行経路に対するテスト項目を生成するテスト項目生成ステップと、
を行うことを特徴とするシナリオテストのテスト項目生成方法。
【請求項5】
前記マッチングステップにおいて、
前記画面遷移図から遷移の一覧を取得して、各遷移毎に、遷移元画面、遷移先画面、イベントの3つ組を取得し、前記ユースケース記述に、該3つ組が存在するかを判定し、存在しない場合に、該遷移元画面と該遷移先画面が共に該ユースケース記述に存在する場合に、該ユースケース記述が不完全であると判定する
請求項4記載のシナリオテストのテスト項目生成方法。
【請求項6】
前記欠落補完ステップにおいて、
前記ユースケース記述中の、前記欠落している遷移の遷移元画面と遷移先画面の場所を特定し、
前記ユースケース記述の始点から前記遷移元画面に至る最短経路Sと、前記遷移先画面から該ユースケース記述の終点までの最短経路Eを抽出し、
前記経路S、前記欠落している遷移、前記経路Eを順番にマージして新しい経路を生成する
を含む請求項4または5記載のシナリオテストのテスト項目生成方法。
【請求項7】
コンピュータを、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のテスト項目生成装置の各手段として機能させるためのシナリオテストのテスト項目生成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−58075(P2013−58075A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195931(P2011−195931)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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