説明

シフトレジスタ、走査線駆動回路、電気光学装置および電子機器

【課題】トランジスタの劣化を抑制することにより、長寿命化を図ることが可能なシフトレジスタを提供する。
【解決手段】この発明のシフトレジスタは、複数段のシフトレジスタ単位回路14を備える。また、複数段のシフトレジスタ単位回路14の各々は、CK1信号がソース(S)またはドレイン(D)のうち一方に入力され、CK1信号を略反転したCK2信号がゲートに入力されるトランジスタTr3を含む。また、トランジスタTr3のゲート(G)にHレベルまたはLレベルのうち一方のCK2信号が入力されている場合には、トランジスタTr3のドレインにHレベルまたはLレベルのうち他方のCK1信号が入力されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフトレジスタ、走査線駆動回路、電気光学装置および電子機器に関し、特に、トランジスタを備えるシフトレジスタ、走査線駆動回路、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トランジスタを備えるシフトレジスタ、走査線駆動回路、電気光学装置および電子機器が知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【0003】
上記特許文献1および2には、ソースまたはドレインのうち一方がLレベルの電位に固定されるとともに、ゲートにHレベルの信号とLレベルの信号とが交互に入力されることにより、オン状態とオフ状態とに切り替わるように構成されたトランジスタを備えるシフトレジスタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−182891号公報
【特許文献2】特開2006−351171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1および2に記載のシフトレジスタでは、トランジスタのゲートには、トランジスタのソースまたはドレインのうち一方に入力される信号に対して、同電位の信号(Lレベルの信号)またはHレベルの信号が入力される。そして、トランジスタのゲートにHレベルの信号が入力される場合には、電荷がゲート側に引き寄せられるとともに、ゲート絶縁膜側に蓄積される。このため、トランジスタのしきい値がHレベル側の電位にシフトするので、トランジスタのゲートにHレベルの信号を入力してもオン状態にならないという不都合がある。その結果、上記のようなしきい値の変動によるトランジスタの劣化に起因して、シフトレジスタの寿命が短くなるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、トランジスタの劣化を抑制することにより、長寿命化を図ることが可能なシフトレジスタ、走査線駆動回路、電気光学装置および電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるシフトレジスタは、複数段のシフトレジスタ単位回路を備え、複数段のシフトレジスタ単位回路の各々は、第1クロック信号がソースまたはドレインのうち一方に入力され、第1クロック信号を略反転した第2クロック信号がゲートに入力される第1トランジスタを含み、第1トランジスタのゲートにHレベルまたはLレベルのうち一方の第2クロック信号が入力されている場合には、第1トランジスタのソースまたはドレインのうち一方にHレベルまたはLレベルのうち他方の第1クロック信号が入力されるように構成されている。
【0008】
この第1の局面によるシフトレジスタでは、上記のように、第1トランジスタのゲートにHレベルまたはLレベルのうち一方の第2クロック信号が入力されている場合には、第1トランジスタのソースまたはドレインのうち一方にHレベルまたはLレベルのうち他方の第1クロック信号を入力する。これにより、第1トランジスタのゲートにHレベルの信号、および、第1トランジスタのソースまたはドレインのうち一方にLレベルの信号が入力されている場合には、第1トランジスタのゲートの電圧がチャネルの電圧(ソース−ドレイン側の電圧)よりも高くなるので、電荷が第1トランジスタのゲート側に引き寄せられるとともに、ゲート絶縁膜側に蓄積される。その一方、第1トランジスタのゲートにLレベルの信号、および、第1トランジスタのソースまたはドレインのうち一方にHレベルの信号が入力されている場合には、第1トランジスタのチャネルの電圧(ソース−ドレイン側の電圧)がゲートの電圧よりも高くなるので、第1トランジスタのゲート絶縁膜側に蓄積されている電荷がゲート絶縁膜側からソースまたはドレイン側に移動する。これにより、第1トランジスタのゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されにくくなるので、ゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されることに起因して第1トランジスタのしきい値がシフトするのを抑制することができる。その結果、第1トランジスタの劣化を抑制することにより、シフトレジスタの長寿命化を図ることができる。
【0009】
上記第1の局面によるシフトレジスタにおいて、好ましくは、第1トランジスタのソースまたはドレインのうち一方に入力される第1クロック信号と、第1トランジスタのゲートに入力される第2クロック信号との両方がLレベルの期間を経た後に、第1クロック信号または第2クロック信号のうち一方がLレベルからHレベルになるように構成されている。このように構成すれば、第1トランジスタが確実にオフ状態になった後に、第1クロック信号または第2クロック信号のうち一方がLレベルからHレベルになるので、第1トランジスタがオフ状態になる前にHレベルの信号が出力されるのを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面によるシフトレジスタにおいて、好ましくは、複数段のシフトレジスタ単位回路の各々は、第1クロック信号がソースまたはドレインのうち一方に入力された第2トランジスタを含み、第2トランジスタのソースまたはドレインのうち他方は、第1トランジスタのソースまたはドレインのうち他方に接続されてシフトレジスタ単位回路の出力端を形成し、シフトレジスタ単位回路の出力端は、シフトレジスタ単位回路の次段の入力端に接続されている。このように構成すれば、第1および第2トランジスタのゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されにくくなるので、ゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されることに起因して、第1および第2トランジスタのしきい値がシフトするのを抑制することができる。これにより、確実に、走査線に信号を出力させることができる。
【0011】
この場合、好ましくは、複数段のシフトレジスタ単位回路の各々は、第1トランジスタのソースまたはドレインのうち一方に入力される信号と同じ信号が一方電極に入力されるキャパシタと、キャパシタの他方電極にゲートが接続される第3トランジスタとを含み、第3トランジスタのゲートにキャパシタを介してHレベルの信号が入力されている場合には、第3トランジスタのソースまたはドレインのうち一方にLレベルの信号が入力されるように構成されるとともに、第3トランジスタのゲートにキャパシタを介してLレベルの信号が入力されている場合には、第3トランジスタのソースまたはドレインのうち一方にHレベルの信号が入力されるように構成されている。このように構成すれば、第1および第2トランジスタのゲート絶縁膜側に加えて第3トランジスタのゲート絶縁膜側にも電荷が蓄積されにくくなるので、ゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されることに起因して第3トランジスタのしきい値がシフトするのを抑制することができる。これにより、第1、第2および第3トランジスタのしきい値がシフトするのを抑制することができる。
【0012】
上記第3トランジスタを備えるシフトレジスタにおいて、好ましくは、第3トランジスタのソースまたはドレインのうち一方には、第1トランジスタのゲートに入力される信号と同じ信号が入力されるように構成され、第3トランジスタのゲートには、第1トランジスタのソースまたはドレインのうち一方に入力される信号と同じ信号がキャパシタを介して入力されるように構成されている。このように構成すれば、第3トランジスタのしきい値がシフトするのを抑制するための信号を別途設ける必要がないので、回路構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0013】
上記第2トランジスタを備えるシフトレジスタにおいて、好ましくは、第1および第2トランジスタは、非晶質シリコンからなる能動層を有する。このように構成すれば、性能が劣化しやすい非晶質シリコンからなる能動層を有するトランジスタの性能の劣化を抑制することができるので、シフトレジスタの長寿命化を図ることができる。
【0014】
上記第2トランジスタを備えるシフトレジスタにおいて、好ましくは、第1および第2トランジスタは、同一の導電型のトランジスタから構成されている。このように構成すれば、同一の導電型のトランジスタの性能の劣化を抑制することができるので、シフトレジスタの長寿命化を図ることができる。
【0015】
この発明の第2の局面による走査線駆動回路は、複数の走査線と、複数のデータ線と、走査線とデータ線の交差に対応して設けられたスイッチング素子とを備え、走査線に接続された走査線駆動回路であって、上記のいずれかの構成を有するシフトレジスタを備え、シフトレジスタ単位回路の出力端は、走査線に接続されている。このように構成すれば、トランジスタの劣化を抑制することにより、長寿命化を図ることが可能なシフトレジスタを備えた走査線駆動回路を得ることができる。
【0016】
この発明の第3の局面による電気光学装置は、上記のいずれかの構成を有する走査線駆動回路を備える。このように構成すれば、トランジスタの劣化を抑制することにより、長寿命化を図ることが可能な走査線駆動回路を備えた電気光学装置を得ることができる。
【0017】
この発明の第4の局面による電子機器は、上記のいずれかの構成を有する電気光学装置を備える。このように構成すれば、トランジスタの劣化を抑制することにより、長寿命化を図ることが可能な電気光学装置を備えた電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による走査線駆動回路のブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態による走査線駆動回路のシフトレジスタ単位回路の等価回路図である。
【図4】本発明の第1実施形態による走査線駆動回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態による走査線駆動回路のシフトレジスタ単位回路の等価回路図である。
【図6】本発明の第3実施形態による走査線駆動回路のシフトレジスタ単位回路の等価回路図である。
【図7】本発明の第1〜第3実施形態による液晶表示装置を用いた電子機器の第1の例を説明するための図である。
【図8】本発明の第1〜第3実施形態による液晶表示装置を用いた電子機器の第2の例を説明するための図である。
【図9】本発明の第1〜第3実施形態による液晶表示装置を用いた電子機器の第3の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による液晶表示装置100の構成について説明する。なお、第1実施形態では、本発明の走査線駆動回路6を液晶表示装置100に適用した例について説明する。なお、液晶表示装置100は、本発明の「電気光学装置」の一例である。
【0021】
本発明の第1実施形態による液晶表示装置100は、図1に示すように、互いに対向するように配置されるTFT基板1および対向基板2と、複数の画素3を含む表示部4と、液晶表示装置100を駆動させるための駆動IC5と、TFT基板1の表面上に設けられた走査線駆動回路6と、駆動IC5に種々の信号を出力するFPC7(Flexible Printed Circuits)とを備えている。
【0022】
また、表示部4は、Y方向に沿って延びる複数のデータ線8と、データ線8に略直交するとともに、X方向に沿って延びるように設けられた複数の走査線9とを含んでいる。また、複数の走査線9は、走査線駆動回路6に接続されている。走査線9は、TFT基板1のY方向に沿って複数設けられるとともに、Y1方向側からY2方向側に沿って、1ライン目、2ライン目、・・・、Nライン目、および、(N+1)ライン目という順番に配置されている。
【0023】
また、画素3は、走査線9と、データ線8とが交差する領域に設けられている。また、画素3には、スイッチング用の薄膜トランジスタ10が設けられている。なお、薄膜トランジスタ10は、本発明の「スイッチング素子」の一例である。薄膜トランジスタ10のソース(S)は、データ線8に接続されるとともに、薄膜トランジスタ10のゲート(G)は、走査線9に接続されている。また、薄膜トランジスタ10のドレイン(D)は、画素電極11に接続されている。また、画素電極11に対向するように液晶層12を挟んで対向電極13が設けられている。
【0024】
また、駆動IC5は、LレベルのVGL信号と、STV信号(スタート信号)と、走査線駆動回路6の出力信号を形成するとともに出力信号をシフトさせるためのパルス状のクロック信号であるCK1信号と、CK1信号の略反転信号であり出力信号をシフトさせるためのクロック信号であるCK2信号とを生成し、走査線駆動回路6に出力するように構成されている。なお、CK1信号は、本発明の「第1クロック信号」の一例であり、CK2信号は、本発明の「第2クロック信号」の一例である。また、Hレベルの信号は、高電位側の信号であり、たとえば+15Vの信号である。また、Lレベルの信号は、低電位側の信号であり、たとえば−10Vの信号である。なお、略反転信号であるCK2信号は、例えば、CK1信号と位相が反転する信号であり、また、後述する図4のようにほぼCK1信号と反転する信号であるが、ともにLレベルの期間となる信号を含むものである。このともにLレベルになる期間は、1周期の約10%程度以下である。
【0025】
走査線駆動回路6は、図2に示すように、複数段のシフトレジスタ単位回路14を含んでいる。シフトレジスタ単位回路14は、OUT端子から信号を出力するとともに、信号を次段のシフトレジスタ単位回路14に順次転送する機能を有している。なお、走査線駆動回路6の出力端であるOUT端子から走査線9にCK1信号またはCK2信号を出力する。また、複数のシフトレジスタ単位回路14は、それぞれ、走査線9の1ライン目、2ライン目、・・・、Nライン目および(N+1)ライン目に接続されている。なお、1ライン目の走査線9に接続されたシフトレジスタ単位回路14は、シフトレジスタ単位回路(1)と図示し、2ライン目の走査線9に接続されたシフトレジスタ単位回路14は、シフトレジスタ単位回路(2)と図示し、Nライン目の走査線9に接続されたシフトレジスタ単位回路14は、シフトレジスタ単位回路(N)と図示し、(N+1)ライン目の走査線9に接続されたシフトレジスタ単位回路14は、シフトレジスタ単位回路(N+1)と図示している。
【0026】
また、走査線駆動回路6の1ライン目の走査線9に接続された1段目のシフトレジスタ単位回路14は、CK1信号が入力されるCK端子と、CK2信号が入力されるCKB端子と、LレベルのVGL信号が入力されるVGL端子と、STV信号が入力されるSET端子と、走査線9に信号を出力するためのOUT端子と、次段のシフトレジスタ単位回路14のOUT端子からの信号が入力されるRESET端子とを含んでいる。2ライン目の走査線9に接続された2段目のシフトレジスタ単位回路14は、CK1信号が入力されるCKB端子と、CK2信号が入力されるCK端子と、LレベルのVGL信号が入力されるVGL端子と、前段のシフトレジスタ単位回路14のOUT端子から出力される信号が入力されるSET端子と、走査線9に信号を出力するためのOUT端子と、次段のシフトレジスタ単位回路14のOUT端子からの信号が入力されるRESET端子とを含んでいる。なお、2段目以降のシフトレジスタ単位回路14のSET端子には、前段のシフトレジスタ単位回路14のOUT端子から出力される信号が入力されるように構成され、奇数段目のシフトレジスタ単位回路14のCK端子、CKB端子に、それぞれCK1信号、CK2信号が入力され、遇数段目のシフトレジスタ単位回路14のCK端子、CKB端子に、それぞれCK2信号、CK1信号が入力されている。シフトレジスタ単位回路14のその他の構成は、1段目のシフトレジスタ単位回路14と同様である。なお、最終ラインの走査線9に接続されたシフトレジスタ単位回路14の次段には、ダミーのシフトレジスタ単位回路14が設けられている。
【0027】
シフトレジスタ単位回路14の詳細な構成としては、図3に示すように、非晶質シリコンからなる能動層を有する7つの同一導電型であるn型のトランジスタ(トランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTr3、トランジスタTr4、トランジスタTr5、トランジスタTr6およびトランジスタTr7)、および、2つのコンデンサ(コンデンサC1およびコンデンサC2)から構成されている。なお、トランジスタTr3は、本発明の「第1トランジスタ」の一例であり、トランジスタTr1は、本発明の「第2トランジスタ」の一例であり、トランジスタTr2は、「第3トランジスタ」の一例である。
【0028】
トランジスタTr1のソース(S)は、CK端子に接続されるとともに、パルス状のCK1信号(クロック信号)が入力されるように構成されている。また、トランジスタTr1のソース(S)は、コンデンサC1の一方電極に接続されている。トランジスタTr1のドレイン(D)は、OUT端子を介して、走査線9(図1参照)に接続されている。
【0029】
また、トランジスタTr1のドレイン(D)は、トランジスタTr2のソース(S)、トランジスタTr3のソース(S)およびコンデンサC2の一方電極に接続されている。また、トランジスタTr1のゲート(G)は、トランジスタTr4のゲート(G)、トランジスタTr5のドレイン(D)、トランジスタTr6のソース(S)、トランジスタTr7のソース(S)およびコンデンサC2の他方電極に接続されている。
【0030】
また、トランジスタTr2のドレイン(D)は、トランジスタTr4のドレイン(D)、トランジスタTr5のソース(S)、トランジスタTr6のドレイン(D)およびVGL端子に接続されている。また、トランジスタTr2のゲート(G)は、トランジスタTr4のソース(S)、トランジスタTr6のゲート(G)およびコンデンサC1の他方電極に接続されている。
【0031】
ここで、第1実施形態では、トランジスタTr3のゲート(G)は、CKB端子に接続されるとともに、パルス状のCK2信号が入力されるように構成されている。トランジスタTr3のドレイン(D)は、CK端子に接続されるとともに、パルス状のCK1信号が入力されるように構成されている。そして、トランジスタTr3のゲート(G)にHレベルの信号が入力されている場合には、トランジスタTr3のドレイン(D)にLレベルの信号が入力されるように構成されている。また、トランジスタTr3のゲートにLレベルの信号が入力されている場合には、トランジスタTr3のドレイン(D)にHレベルの信号が入力されるように構成されている。
【0032】
また、第1実施形態では、トランジスタTr3のゲート(G)にHレベルのCK2信号が入力されるとともに、トランジスタTr3のドレイン(D)にLレベルのCK1信号が入力される場合には、トランジスタTr3のゲートの電圧がチャネルの電圧よりも高くなるので、電荷がトランジスタTr3のゲート側に引き寄せられるとともに、ゲート絶縁膜側に蓄積される。次に、トランジスタTr3のゲート(G)にLレベルのCK2信号が入力されるとともに、トランジスタTr3のドレイン(D)にHレベルのCK1信号が入力される場合には、トランジスタTr3のチャネルの電圧がゲートの電圧よりも高くなる。これにより、トランジスタTr3のゲート絶縁膜側に蓄積されている電荷がゲート絶縁膜側からドレイン(D)側に移動する。その結果、トランジスタTr3のゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されにくくなる。
【0033】
また、トランジスタTr5のゲート(G)は、RESET端子に接続されるとともに、次段のシフトレジスタ単位回路14のOUT端子からの出力信号が入力されるように構成されている。また、トランジスタTr7のドレイン(D)およびトランジスタTr7のゲート(G)は、SET端子に接続されており、1ライン目の走査線9に接続されたシフトレジスタ単位回路14のSET端子には、STV信号(スタート信号)が入力されるように構成されており、2ライン目以降の走査線9に接続されたシフトレジスタ単位回路14のSET端子には、前段のシフトレジスタ単位回路14のOUT端子からの出力信号が入力されるように構成されている。
【0034】
次に、図1〜図4を参照して、上記した走査線駆動回路6の動作について説明する。
【0035】
まず、走査線駆動回路6の1ライン目のシフトレジスタ単位回路14(図2参照)には、図4に示す時間Aにおいて、図3に示すLレベルのSTV信号がトランジスタTr7のゲート(G)に入力されることにより、トランジスタTr7がオフ状態になる。また、トランジスタTr7のソース(S)に接続されたトランジスタTr1およびTr4のゲート(G)には、信号が入力されないので、トランジスタTr1およびTr4はオフ状態になる。また、HレベルのCK1信号がコンデンサC1を介して、トランジスタTr2およびTr6のゲート(G)に入力されるので、トランジスタTr2およびTr6はオン状態になる。このとき、トランジスタTr2およびTr6のドレイン(D)には、LレベルのVGL信号が入力される。このLレベルのVGL信号は、トランジスタTr2およびOUT端子を介して走査線9(図1参照)に出力される。また、トランジスタTr3のゲート(G)には、LレベルのCK2信号が入力されるので、トランジスタTr3はオフ状態になる。また、トランジスタTr5のゲート(G)には、LレベルのRESET信号が入力されるので、トランジスタTr5はオフ状態になる。
【0036】
なお、図4に示す時間Aの終期付近においては、CK1信号は、Hレベルの状態からLレベルの状態になり、時間A1においては、CK1信号とCK2信号との両方がLレベルの状態になる。つまり、時間A1においては、トランジスタTr3のゲート(G)とドレイン(D)との両方にLレベルの信号が入力される。そして、時間A1経過直後、CK2信号は、Lレベルの状態からHレベルの状態になる。
【0037】
次に、走査線駆動回路6の1ライン目のシフトレジスタ単位回路14(図2参照)には、図4に示す時間Bにおいて、図3に示すHレベルのSTV信号がトランジスタTr7のゲート(G)に入力されることにより、トランジスタTr7がオン状態になる。これにより、Hレベルの信号がノードN1を介してトランジスタTr1のゲート(G)、トランジスタTr4のゲート(G)、トランジスタTr5のドレイン(D)、トランジスタTr6のソース(S)およびコンデンサC2の他方電極に入力される。その結果、トランジスタTr1およびトランジスタTr4がオン状態になる。そして、ノードN2がLレベルの電位になる。また、コンデンサC1の他方電極は、Hレベルになるとともに、充電を開始する。また、第1実施形態では、トランジスタTr3のゲート(G)には、HレベルのCK2信号が入力されるので、トランジスタTr3はオン状態になる。そして、トランジスタTr3のドレイン(D)には、LレベルのCK1信号が入力されるので、LレベルのCK1信号がトランジスタTr3およびOUT端子を介して、走査線9に出力される。また、トランジスタTr2のゲート(G)およびトランジスタTr6のゲート(G)には、LレベルのVGL信号がオン状態のトランジスタTr4を介して入力されるので、トランジスタTr2およびトランジスタTr6はオフ状態になる。また、トランジスタTr5には、LレベルのRESET信号が入力されるので、トランジスタTr5はオフ状態のままである。
【0038】
なお、図4に示す時間Bの終期付近においては、CK2信号は、Hレベルの状態からLレベルの状態になり、時間B1においては、CK1信号とCK2信号との両方がLレベルの状態になる。つまり、時間B1においては、トランジスタTr3のゲート(G)とドレイン(D)との両方にLレベルの信号が入力される。そして、時間B1経過直後、CK1信号は、Lレベルの状態からHレベルの状態になり、HレベルのCK1信号がトランジスタTr3のドレイン(D)に入力される。このとき、トランジスタTr3のゲート(G)には、LレベルのCK2信号が入力されるので、トランジスタTr3はオフ状態になる。これにより、トランジスタTr3のドレイン(D)に入力されるHレベルのCK1信号は、トランジスタTr3を介してOUT端子には出力されない。
【0039】
次に、走査線駆動回路6の1ライン目のシフトレジスタ単位回路14(図2参照)には、図6に示す時間Cにおいて、図3に示すLレベルのSTV信号がトランジスタTr7のゲート(G)に入力されることにより、トランジスタTr7がオフ状態になる。このとき、上記した時間Bにおいて充電されたコンデンサC2からHレベルの信号が放電され、トランジスタTr1のゲート(G)およびトランジスタTr4のゲート(G)にHレベルの信号が入力されることにより、トランジスタTr1およびトランジスタTr4は、オン状態のままである。そして、HレベルのCK1信号が、トランジスタTr1を介して、OUT端子から走査線9に出力される。これにより、出力された信号が表示部4の画素3に設けられた薄膜トランジスタ10を駆動させる。また、OUT端子に出力された信号は、次段のシフトレジスタ単位回路14のSET端子に入力される。また、LレベルのVGL信号が、トランジスタTr4およびノードN2を介して、トランジスタTr2のゲート(G)およびトランジスタTr6のゲート(G)に入力されるので、トランジスタTr2およびトランジスタTr6はオフ状態のままである。
【0040】
なお、図4に示す時間Cの終期付近においては、CK1信号は、Hレベルの状態からLレベルの状態になり、時間C1においては、CK1信号とCK2信号との両方がLレベルの状態になる。つまり、時間C1においては、トランジスタTr3のゲート(G)とドレイン(D)との両方にLレベルの信号が入力される。そして、時間C1経過直後、CK2信号は、Lレベルの状態からHレベルの状態になり、LレベルのCK1信号がトランジスタTr3のドレイン(D)に入力される。このとき、トランジスタTr3のゲート(G)には、HレベルのCK2信号が入力されるので、トランジスタTr3はオン状態になる。これにより、トランジスタTr3のドレイン(D)に入力されるLレベルCK1の信号は、トランジスタTr3を介してOUT端子に出力される。
【0041】
次に、走査線駆動回路6の1ライン目のシフトレジスタ単位回路14(図2参照)には、図6に示す時間Dにおいて、図3に示すLレベルのSTV信号がトランジスタTr7のゲート(G)に入力されるので、トランジスタTr7はオフ状態のままである。また、LレベルのCK1信号は、トランジスタTr1のソース(S)に入力される。また、第1実施形態では、トランジスタTr3のゲート(G)には、HレベルのCK2信号が入力されるので、トランジスタTr3はオン状態になり、Lレベルの信号がトランジスタTr3およびOUT端子を介して、走査線9に出力される。
【0042】
なお、図4に示す時間Dの終期付近においては、CK2信号は、Hレベルの状態からLレベルの状態になり、時間D1においては、CK1信号とCK2信号との両方がLレベルの状態になる。つまり、時間D1においては、トランジスタTr3のゲート(G)とドレイン(D)との両方にLレベルの信号が入力される。そして、時間D1経過直後、CK1信号は、Lレベルの状態からHレベルの状態になり、HレベルのCK1信号がトランジスタTr3のドレイン(D)に入力される。このとき、トランジスタTr3のゲート(G)には、LレベルのCK2信号が入力されるので、トランジスタTr3はオフ状態になる。これにより、トランジスタTr3のドレイン(D)に入力されるHレベルの信号は、トランジスタTr3を介してOUT端子には出力されない。
【0043】
また、トランジスタTr5のゲート(G)には、2ライン目(次段)のシフトレジスタ単位回路14から出力されたHレベルのRESET信号が入力されるので、トランジスタTr5がオン状態になる。そして、LレベルのVGL信号が、トランジスタTr5を介して、トランジスタTr1のゲート(G)、トランジスタTr4のゲート(G)、トランジスタTr6のソース(S)、および、トランジスタTr7のソース(S)に入力される。これにより、トランジスタTr1およびトランジスタTr4は、オフ状態になる。また、トランジスタTr2のゲート(G)およびトランジスタTr6のゲート(G)には、信号が入力されないので、フローティング状態になる。なお、2ライン目以降の走査内容は、上記した1ライン目の走査内容と同様である。
【0044】
第1実施形態では、上記のように、トランジスタTr3のゲート(G)にHレベルのCK2信号が入力されている場合には、トランジスタTr3のドレイン(D)にLレベルのCK1信号を入力するとともに、トランジスタTr3のゲート(G)にLレベルの信号が入力されている場合には、トランジスタTr3のドレイン(D)にHレベルの信号を入力するように構成する。これにより、トランジスタTr3のゲート(G)にHレベルの信号、および、トランジスタTr3のドレイン(D)にLレベルの信号が入力されている場合には、トランジスタTr3のゲート(G)の電圧がチャネルの電圧(ソース(S)−ドレイン(D)側の電圧)よりも高くなるので、電荷がトランジスタTr3のゲート(G)側に引き寄せられるとともに、ゲート絶縁膜側に蓄積される。その一方、トランジスタTr3のゲート(G)にLレベルの信号、および、トランジスタTr3のドレイン(D)にHレベルの信号が入力されている場合には、トランジスタTr3のチャネルの電圧(ソース(S)−ドレイン(D)側の電圧)がゲート(G)の電圧よりも高くなるので、トランジスタTr3のゲート(G)絶縁膜側に蓄積されている電荷がゲート絶縁膜側からソース(S)またはドレイン(D)側に移動する。これにより、トランジスタTr3のゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されにくくなるので、ゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されることに起因してトランジスタTr3のしきい値がシフトするのを抑制することができる。その結果、トランジスタTr3の劣化を抑制することにより、走査線駆動回路6の長寿命化を図ることができる。
【0045】
また、第1実施形態では、上記のように、トランジスタTr3のドレイン(D)に入力されるCK1信号と、トランジスタTr3のゲート(G)に入力されるCK2信号との両方がLレベルの期間を経た後に、CK1信号またはCK2信号のうち一方がLレベルからHレベルになるように構成することによって、トランジスタTr3を確実にオフ状態になった後に、CK1信号またはCK2信号のうち一方がLレベルからHレベルになるので、トランジスタTr3がオフ状態になる前にHレベルの信号が出力されるのを抑制することができる。
【0046】
また、第1実施形態では、上記のように、トランジスタTr1のドレイン(D)は、トランジスタTr3のソース(S)に接続されてシフトレジスタ単位回路14の出力端(OUT)を形成し、シフトレジスタ単位回路14の出力端(OUT)を、シフトレジスタ単位回路14の次段の入力端に接続することによって、トランジスタTr1およびTr3のゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されにくくなるので、ゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されることに起因してトランジスタTr1およびTr3のしきい値がシフトするのを抑制することができる。これにより、確実に、走査線9に信号を出力させることができる。
【0047】
また、第1実施形態では、上記のように、特にトランジスタTr1〜Tr7が、性能が劣化しやすい非晶質シリコンからなる能動層を有したn型導電型のトランジスタTr1〜Tr7の場合、その性能の劣化を抑制することができるので、シフトレジスタ単位回路14の長寿命化を図ることができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、図5を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態による走査線駆動回路6aが設けられた液晶表示装置100aでは、トランジスタTr3のみのドレインにパルス状のCK2信号(クロック信号)を入力した上記第1実施形態とは異なり、トランジスタTr3に加えてトランジスタTr12のドレイン(D)にもパルス状のCK2信号(クロック信号)を入力する例について説明する。
【0049】
この第2実施形態による走査線駆動回路6aが設けられた液晶表示装置100aでは、図5に示すように、シフトレジスタ単位回路14aは、非晶質シリコンからなる能動層を有した同一導電型であるn型の7つのトランジスタ(トランジスタTr1、トランジスタTr12、トランジスタTr3、トランジスタTr4、トランジスタTr5、トランジスタTr16およびトランジスタTr7)、および、2つのコンデンサ(コンデンサC1およびコンデンサC2)から構成されている。なお、液晶表示装置100aは、本発明の「電気光学装置」の一例である。また、トランジスタTr12は、本発明の「第3トランジスタ」の一例である。また、コンデンサC2は、本発明の「キャパシタ」の一例である。
【0050】
トランジスタTr12のドレイン(D)は、CKB端子に接続されるとともに、パルス状のCK2信号が入力されるように構成されている。また、トランジスタTr16のドレイン(D)は、CKB端子に接続されるとともに、パルス状のCK2信号が入力されるように構成されている。なお、トランジスタTr12およびTr16のドレイン(D)に入力されるCK2信号は、トランジスタTr3のゲート(G)に入力されるCK2信号と同じ信号である。また、トランジスタTr12およびTr16のゲート(G)には、トランジスタTr3のドレイン(D)に入力されるCK1信号がコンデンサC2を介して入力されるように構成されている。なお、トランジスタTr12およびTr16のゲートには、トランジスタTr12およびTr16のゲート(G)に入力されるCK1信号がLレベルからHレベルになる際に、コンデンサC2の容量と、トランジスタTr12およびTr16のゲート(G)との間において、電荷が分配されるので、トランジスタTr3のゲート(G)に入力される信号よりも小さい信号が入力される。
【0051】
また、第2実施形態では、トランジスタTr12およびTr16のゲート(G)にHレベルのCK1信号が入力されている場合には、トランジスタTr12およびTr16のドレイン(D)にLレベルのCK2信号が入力されるように構成されている。また、トランジスタTr12およびTr16のゲートにLレベルのCK1信号が入力されている場合には、トランジスタTr12およびTr16のドレイン(D)にHレベルのCK2信号が入力されるように構成されている。
【0052】
また、トランジスタTr12およびTr16のゲート(G)にHレベルのCK2信号が入力されるとともに、トランジスタTr12およびTr16のドレイン(D)にLレベルのCK1信号が入力される場合には、トランジスタTr12およびTr16のゲート(G)の電圧がチャネルの電圧よりも高くなるので、電荷がトランジスタTr12およびTr16のゲート側に引き寄せられるとともに、電荷がゲート絶縁膜側に蓄積される。次に、トランジスタTr12およびTr16のゲート(G)にLレベルのCK2信号が入力されるとともに、トランジスタTr12およびTr16のドレイン(D)にHレベルのCK1信号が入力される場合には、トランジスタTr12およびTr16のチャネルの電圧がゲートの電圧よりも高くなる。これにより、上記したトランジスタTr12およびTr16のゲート(G)にHレベルのCK2信号が入力されるとともに、トランジスタTr12およびTr16のドレイン(D)にLレベルのCK1信号が入力される場合とは異なり、トランジスタTr12およびTr16のゲート絶縁膜側に蓄積されている電荷がゲート絶縁膜側からドレイン(D)側に移動する。その結果、トランジスタTr12およびTr16のゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されにくくなる。なお、第2実施形態のその他の構成および動作は、上記した第1実施形態と同様である。
【0053】
第2実施形態では、上記のように、複数段のシフトレジスタ単位回路14aの各々は、トランジスタTr12およびTr16のゲート(G)にコンデンサC21を介してHレベルの信号が入力されている場合には、トランジスタTr12およびTr16のドレイン(D)にLレベルの信号が入力されるように構成されるとともに、トランジスタTr12およびTr16のゲート(G)にコンデンサC21を介してLレベルの信号が入力されている場合には、トランジスタTr12およびTr16のドレイン(D)にHレベルの信号が入力されるように構成する。これにより、トランジスタTr1およびTr3のゲート絶縁膜側に加えてトランジスタTr12のゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されにくくなるので、ゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されることに起因してトランジスタTr12のしきい値がシフトするのを抑制することができる。これにより、トランジスタTr1、トランジスタTr3およびトランジスタTr12でしきい値がシフトするのを抑制することができる。
【0054】
また、第2実施形態では、上記のように、トランジスタTr12のゲート(G)に、トランジスタTr3のドレイン(D)に入力される信号と同じ信号をコンデンサC21を介して入力することによって、トランジスタTr12のしきい値がシフトするのを抑制するための信号を別途設ける必要がないので、回路構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0055】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0056】
(第3実施形態)
次に、図6を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態による走査線駆動回路6bが設けられた液晶表示装置100bでは、7つのトランジスタから構成したシフトレジスタ単位回路に本発明を適用した上記第1実施形態とは異なり、4つのトランジスタから構成したシフトレジスタ単位回路に本発明を適用した例について説明する。
【0057】
この第3実施形態による走査線駆動回路6bが設けられた液晶表示装置100bでは、図6に示すように、シフトレジスタ単位回路14bは、非晶質シリコンからなる能動層を有した同一導電型であるn型の4つのトランジスタ(トランジスタTr21、トランジスタTr22、トランジスタTr23、トランジスタTr24、および、1つのコンデンサC21から構成されている。なお、液晶表示装置100bは、本発明の「電気光学装置」の一例である。また、トランジスタTr22は、本発明の「第1トランジスタ」の一例であり、トランジスタTr21は、本発明の「第2トランジスタ」の一例である。
【0058】
トランジスタTr21のソース(S)は、CK端子に接続されるとともに、パルス状のCK1信号が入力されるように構成されている。トランジスタTr21のドレイン(D)は、コンデンサC21の一方電極と、OUT端子と、トランジスタTr22のソース(S)に接続されている。トランジスタTr21のゲート(G)は、コンデンサC21の他方電極と、トランジスタTr23のソース(S)と、トランジスタTr24のソース(S)とに接続されている。
【0059】
また、第3実施形態では、トランジスタTr22のゲート(G)は、CKB端子に接続されるとともに、パルス状のCK2信号が入力されるように構成されている。トランジスタTr22のドレイン(D)は、CK端子に接続されるとともに、パルス状のCK1信号が入力されるように構成されている。なお、CK1信号とCK2信号とは、互いに略反転するようなパルス状の信号である。
【0060】
また、トランジスタTr22のゲート(G)にHレベルのCK2信号が入力されるとともに、トランジスタTr22のドレイン(D)にLレベルのCK1信号が入力される場合には、トランジスタTr22のゲート(G)の電圧がチャネルの電圧よりも高くなるので、電荷がトランジスタTr22のゲート側に引き寄せられるとともに、ゲート絶縁膜側に蓄積される。次に、トランジスタTr22のゲート(G)にLレベルのCK2信号が入力されるとともに、トランジスタTr22のドレイン(D)にHレベルのCK1信号が入力される場合には、トランジスタTr22のチャネルの電圧がゲートの電圧よりも高くなる。これにより、上記したトランジスタTr22のゲート絶縁膜側に蓄積されている電荷がゲート絶縁膜側からドレイン(D)側に移動する。その結果、トランジスタTr22のゲート絶縁膜側に電荷が蓄積されにくくなる。
【0061】
また、トランジスタTr23のドレイン(D)およびゲート(G)は、SET端子(STV端子)に接続されるとともに、SET信号(STV信号)が入力されるように構成されている。また、トランジスタTr24のドレイン(D)は、Lレベルの信号が入力されるVGL端子に接続されている。トランジスタTr24のゲート(G)は、RESET端子に接続されるとともに、次段のシフトレジスタ単位回路14bのOUT端子からの出力信号が入力されるように構成されている。なお、第3実施形態のその他の構成および動作は、上記した第1実施形態と同様である。
【0062】
(応用例)
図7〜図9は、それぞれ、上記した本発明の走査線駆動回路6、6aおよび6bがそれぞれ設けられた液晶表示装置100、100aおよび100bを用いた電子機器の第1の例〜第3の例を説明するための図である。図7〜図9を参照して、本発明の液晶表示装置100、100aおよび100bを用いた電子機器について説明する。
【0063】
本発明の走査線駆動回路6、6aおよび6bがそれぞれ設けられた液晶表示装置100、100aおよび100bは、図7〜図9に示すように、第1の例としてのPC(Personal Computer)200、第2の例としての携帯電話300、および、第3の例としての情報携帯端末400(PDA:Personal Digital Assistants)などに用いることが可能である。
【0064】
図7の第1の例によるPC200においては、キーボードなどの入力部210および表示画面220などに本発明の走査線駆動回路6、6aおよび6bがそれぞれ設けられた液晶表示装置100、100aおよび100bを用いることが可能である。図8の第2の例による携帯電話300においては、表示画面310に本発明の走査線駆動回路6、6aおよび6bがそれぞれ設けられた液晶表示装置100、100aおよび100bが用いられる。図9の第3の例による情報携帯端末400においては、表示画面410に本発明の走査線駆動回路6、6aおよび6bがそれぞれ設けられた液晶表示装置100、100aおよび100bが用いられる。
【0065】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0066】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、本発明を液晶表示装置に適用する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、本発明を液晶表示装置以外の表示装置に適用可能である。
【0067】
また、上記第1〜第3実施形態では、シフトレジスタ単位回路を7つのトランジスタ、6つのトランジスタ、および4つのトランジスタにより構成する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、シフトレジスタ単位回路を7つ、6つおよび4つ以外の個数のトランジスタにより構成してもよい。
【0068】
また、上記第1〜第3実施形態では、トランジスタのゲート(G)とドレイン(D)とには、Hレベルの信号とLレベルの信号とが交互に連続して入力される例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、Hレベルの信号とLレベルの信号とがそれぞれ1回ずつトランジスタのゲート(G)およびドレイン(D)に入力されるようにしてもよい。
【0069】
また、上記第1〜第3実施形態では、トランジスタのゲート(G)とドレイン(D)とにHレベルの信号とLレベルの信号とを入力する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、トランジスタのゲート(G)とソース(S)とにHレベルの信号とLレベルの信号とを入力してもよい。
【0070】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明の走査線駆動回路の一例として、非晶質シリコンからなる能動層を有するトランジスタを適用する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、走査線駆動回路に低温ポリシリコン(LTPS)または高温ポリシリコン(HTPS)などの能動層を有するトランジスタを適用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
3 画素 6、6a、6b 走査線駆動回路 9 走査線 10 薄膜トランジスタ(スイッチング素子) 14、14a、14b シフトレジスタ単位回路 200 PC(電子機器) 300 携帯電話(電子機器) 400 情報携帯端末(電子機器) Tr3、Tr22(第1トランジスタ) Tr1、Tr21(第2トランジスタ) Tr2、Tr12(第3トランジスタ) C21 コンデンサ(キャパシタ) CK1、CK1信号(第1クロック信号) CK2、CK2信号(第2クロック信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段のシフトレジスタ単位回路を備え、
前記複数段のシフトレジスタ単位回路の各々は、第1クロック信号がソースまたはドレインのうち一方に入力され、前記第1クロック信号を略反転した第2クロック信号がゲートに入力される第1トランジスタを含み、
前記第1トランジスタのゲートにHレベルまたはLレベルのうち一方の前記第2クロック信号が入力されている場合には、前記第1トランジスタのソースまたはドレインのうち一方にHレベルまたはLレベルのうち他方の前記第1クロック信号が入力されるように構成されている、シフトレジスタ。
【請求項2】
前記第1トランジスタのソースまたはドレインのうち一方に入力される前記第1クロック信号と、前記第1トランジスタのゲートに入力される前記第2クロック信号との両方がLレベルの期間を経た後に、前記第1クロック信号または前記第2クロック信号のうち一方がLレベルからHレベルになるように構成されている、請求項1に記載のシフトレジスタ。
【請求項3】
前記複数段のシフトレジスタ単位回路の各々は、第1クロック信号がソースまたはドレインのうち一方に入力された第2トランジスタを含み、
前記第2トランジスタのソースまたはドレインのうち他方は、前記第1トランジスタのソースまたはドレインのうち他方に接続されて前記シフトレジスタ単位回路の出力端を形成し、
前記シフトレジスタ単位回路の出力端は、前記シフトレジスタ単位回路の次段の入力端に接続されている、請求項1または2に記載のシフトレジスタ。
【請求項4】
前記複数段のシフトレジスタ単位回路の各々は、前記第1トランジスタのソースまたはドレインのうち一方に入力される信号と同じ信号が一方電極に入力されるキャパシタと、前記キャパシタの他方電極にゲートが接続される第3トランジスタとを含み、
前記第3トランジスタのゲートに前記キャパシタを介してHレベルの信号が入力されている場合には、前記第3トランジスタのソースまたはドレインのうち一方にLレベルの信号が入力されるように構成されるとともに、前記第3トランジスタのゲートに前記キャパシタを介してLレベルの信号が入力されている場合には、前記第3トランジスタのソースまたはドレインのうち一方にHレベルの信号が入力されるように構成されている、請求項3に記載のシフトレジスタ。
【請求項5】
前記第3トランジスタのソースまたはドレインのうち一方には、前記第1トランジスタのゲートに入力される信号と同じ信号が入力されるように構成され、
前記第3トランジスタのゲートには、前記第1トランジスタのソースまたはドレインのうち一方に入力される信号と同じ信号が前記キャパシタを介して入力されるように構成されている、請求項4に記載のシフトレジスタ。
【請求項6】
前記第1および第2トランジスタは、非晶質シリコンからなる能動層を有する、請求項3に記載のシフトレジスタ。
【請求項7】
前記第1および第2トランジスタは、同一の導電型のトランジスタから構成されている、請求項3に記載のシフトレジスタ。
【請求項8】
複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線の交差に対応して設けられたスイッチング素子とを備え、前記走査線に接続された走査線駆動回路であって、請求項3〜7のいずれか1項に記載のシフトレジスタを備え、
前記シフトレジスタ単位回路の出力端は、前記走査線に接続されている、走査線駆動回路。
【請求項9】
請求項8に記載の走査線駆動回路を備える、電気光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電気光学装置を備える、電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−181122(P2011−181122A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41673(P2010−41673)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】