説明

シフトレバー装置

【課題】組み付け性が良く、締結部材の小サイズ化を可能とする。
【解決手段】ロアブラケット10とアッパーブラケット11の互いに対向する縦壁50A〜50D,61A〜61Dに突き合わせ面50a,61aをそれぞれ設け、双方の一対の突き合わせ面50a,61aに軸受溝51a,51bをそれぞれ設け、ロアブラケット10とアッパーブラケット11の互いの突き合わせ面50a,61aを突き合わせてなる一対の軸受孔51でシフトレバー3のシフト回転軸24を支持するシフトレバー装置1に、ロアブラケット10の軸受溝51aを設けた一対の縦壁50A,50Cに直交する一対の縦壁50B,50Dに、縦壁50B,50Dに沿って上方に延びる係合突出部52を設け、アッパーブラケット11の軸受溝51bを設けた一対の縦壁61A,61Cに直交する一対の縦壁61B,61Dに、係合突出部52が係合する係合凹部を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に搭載される自動変速機のシフトレバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来のシフトレバー装置は、ロアブラケットとアッパーブラケットから成るベースブラケットを有する。ロアブラケットの互いに対向する縦壁に一対の軸受孔を開口し、この一方の軸受孔より支持軸を挿入し、挿入した支持軸にロアブラケット内でシフトレバーを貫通させる。この貫通させた支持軸の先端を他方の軸受孔に挿入する。このような組み付けによって、シフトレバーをベースブラケットに揺動自在に支持する(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
また、他の従来のシフトレバー装置は、縦方向に2分割された2つのサイドブラケットから成るベースブラケットを有する。各サイドブラケットの互いに対向する箇所には軸受孔が形成されている。この一対の軸受孔にシフトレバーの支持軸を挿入しつつ双方のサイドブラケットを組み付ける。このような組み付けによって、シフトレバーをベースブラケットに揺動自在に支持する(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
しかし、前者のシフトレバー装置では、ロアブラケット内で支持軸の先端にシフトレバーを貫通させなければならないため、組み付け性が悪い。後者のシフトレバー装置では、シフトレバーの支持軸を各サイドブラケットの軸受孔に挿入しつつ一対のサイドブラケット間を組み付けする必要があるため、このシフトレバー装置も組み付け性が悪い。
【0005】
そこで、組み付け性を改善したシフトレバー装置としては次のようなものがある。このシフトレバー装置は、ロアブラケットとアッパーブラケットから成るベースブラケットを有する。ロアブラケットとアッパーブラケットの互いに対向する縦壁に突き合わせ面をそれぞれ設ける。双方の一対の突き合わせ面に軸受溝をそれぞれ設け、ロアブラケットとアッパーブラケットの互いの突き合わせ面を突き合わせた状態で双方の軸受溝によって構成された一対の軸受孔でシフトレバーの支持軸を支持する。
【0006】
このシフトレバー装置によれば、ロアブラケットの軸受溝にシフトレバーの支持軸を載置し、その上からアッパーブラケットを被せて双方の突き合わせ面同士を突き合わせ、その後、双方のブラケット間を固定することによってシフトレバーを揺動自在に組み付ける。つまり、シフトレバーの支持軸をロアブラケットの軸受溝に載置する、アッパーブラケットをロアブラケットに被せるという簡単な作業のみによって組み付けできるため、組み付け性が良い。
【0007】
そして、このような構成のシフトレバー装置は、ロアブラケットとアッパーブラケットの各軸受溝が組み合わさって単一の軸受孔が構成されるため、ロアブラケットとアッパーブラケット間を正確に位置合わせするべく双方の突き合わせ面に位置決めピンや位置決め孔を形成し、ビス等の締結部材で固定するのが一般的である。

【特許文献1】特許第3459325号公報
【特許文献2】特開2001−294054号公報
【特許文献3】特開2004−268728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記したシフトレバー装置では、シフトレバーの支持軸からロアブラケットとアッパーブラケットに外力が入力される。位置決めピンは強度的に強い構造ではないため、上記外力をビス等の締結部材で受けることになる。そのため、ビス等の締結部材は強度的に強いもの、つまり、大サイズのものを使用しなければならない。
【0009】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、組み付け性が良く、しかも、締結部材の小サイズ化が可能であるシフトレバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、ロアブラケットとアッパーブラケットの互いに対向する縦壁に突き合わせ面をそれぞれ設け、双方の一対の前記突き合わせ面に軸受溝をそれぞれ設け、前記ロアブラケットと前記アッパーブラケットの互いの前記突き合わせ面を突き合わせた状態で、双方の互いに対向する前記軸受溝によって構成された一対の軸受孔でシフトレバーの支持軸を支持するシフトレバー装置であって、前記ロアブラケットの前記軸受溝を設けた一対の前記縦壁とは異なる一対の縦壁に、当該縦壁に沿って上方に延びる係合突出部を設け、前記アッパーブラケットの前記軸受溝を設けた一対の前記縦壁とは異なる一対の縦壁に、前記係合突出部が係合する係合凹部を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載のシフトレバー装置であって、前記係合突出部の上端側と前記係合凹部の最奥側は、互いに接触する円弧面に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載のシフトレバー装置であって、前記アッパーブラケットの一対の前記縦壁に、当該縦壁から下方に延び、且つ、前記ロアブラケットの一対の前記縦壁の外面に当接する延長縦壁をそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3記載のシフトレバー装置であって、前記アッパーブラケットの一対の前記延長縦壁とこれに当接する前記ロアブラケットの一対の縦壁の箇所に締結用孔をそれぞれ設け、前記締結用孔を用いて締結部材で前記アッパーブラケットと前記ロアブラケットとの間を締結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、ロアブラケットの軸受溝にシフトレバーの支持軸を載置し、その上からアッパーブラケットを被せて双方の突き合わせ面同士を突き合わせ、その後、双方のブラケット間を固定することによってシフトレバーを揺動自在に取り付けできるものであり、シフトレバーの支持軸をロアブラケットの軸受溝に載置する、アッパーブラケットをロアブラケットに被せるという簡単な作業によって組み付けできるため、組み付け性が良い。
【0015】
又、ロアブラケットの縦壁に沿って突出する係合突出部とアッパーブラケットの縦壁に形成された係合凹部とが係合され、双方のブラケット間に作用する外力を実質的に縦壁同士で受けることができるため、双方のブラケット間を締結する締結部材で上記外力を受ける必要がなく締結部材を小サイズのものとすることができる。以上より、組み付け性が良く、しかも、締結部材の小サイズ化が可能である。
【0016】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、アッパーブラケットをロアブラケットに被せる際に係合突出部の上端側の円弧面が挿入ガイド機能を果たすため、アッパーブラケットの組み付け性が良い。又、係合突出部と係合凹部は双方の円弧面でも当接し、この円弧面でも上記外力を受けるため、強度アップに寄与する。又、アッパーブラケットの上面壁と縦壁の角部の外周面を緩やかな傾斜面とすることができるため、上記したように組み付け性の向上と強度アップ化を図りつつシフトレバー装置の小型化にも寄与する。
【0017】
請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2の発明の効果に加え、アッパーブラケットの延長縦壁の分だけロアブラケットとの係合面積が増えるため、双方のブラケット間に作用する外力をより確実に受けることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、係合突出部と係合凹部より離れた位置に締結用孔を設けるため、係合突出部と係合凹部の近傍の強度低下を防止でき、締結部材の更なる小サイズ化が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図7は本発明の一実施形態を示し、図1はシフトレバー装置の組み付け状態の斜視図、図2はシフトレバー装置の分解斜視図、図3は図1のA−A線断面図、図4は図1のB−B線断面図、図5はロアブラケットの要部斜視図、図6はアッパーブラケットの内面側を見た斜視図、図7はシフトポジション、シフトレバーの移動軌道及びホーム自動復帰機能(セルフリターン)を説明する図である。
【0020】
図1〜図4に示すように、車両用のシフトレバー装置1は、車体に固定されたベースブラケット2と、このベースブラケット2に揺動自在に支持されたシフトレバー3と、このシフトレバー3の各シフト位置を電気信号として検出するシフト位置検出ユニット4と、ベースブラケット2の下面を被うように取り付けられたチェックブロック5とから大略構成されている。
【0021】
ベースブラケット2は、ロアブラケット10と、このロアブラケット10の上部に組み付けされたアッパーブラケット11とから構成されている。ロアブラケット10には車体にシフトレバー装置1を取り付けるための取付孔10aが適所に設けられている。アッパーブラケット11の上面の中央には、シフトレバー3が貫通するレバー孔11aが形成されている。アッパーブラケット11の内面側で、且つ、レバー孔11aの周囲には遮音ダンパープレート12が取り付けられている。シフト位置は、ニュートラル位置「N」、ドライブ位置「D」、リバース位置「R」、ホーム位置「H」、ダウンシフト位置「−」及びアップシフト位置「+」である(図7参照)。
【0022】
又、ロアブラケット10とアッパーブラケット11は上下方向に組み付けされ、シフトレバー3の支持軸であるシフト回転軸24を挟み込むことによってシフトレバー3を揺動自在に支持している。ロアブラケット10とアッパーブラケット11の組み付け構造、及び、シフト回転軸24の支持構造は、下記に詳述する。
【0023】
シフトレバー3は、ロッド状のレバー本体20と、このレバー本体20の上端に固定された握持部21と、レバー本体20の下端に固定された中央支持ブロック22と、この中央支持ブロック22の下端突出部22aに圧入された円筒状の下ロッド部23とを備えている。
【0024】
レバー本体20の根本より上方がアッパーブラケット11のレバー孔11aより外部に突出され、レバー本体20の根本部より下方がベースブラケット2内に配置されている。
【0025】
中央支持ブロック22は、シフト回転軸24のレバー貫通孔24a内に配置され、シフト回転軸24に支持されたセレクト回転軸25によってセレクト方向に回転自在に支持されている。セレクト回転軸25の先端には抜止部材26が装着されている。シフト回転軸24の両端には円柱状の回転支持部24bがそれぞれ突設されている。この一対の回転支持部24bがブッシュ27を介してベースブラケット2の左右一対の軸受孔51に回転自在に支持されている。
【0026】
つまり、シフトレバー3は、セレクト回転軸25を中心に揺動することによってセレクト方向に揺動し、セレクト回転軸25と一体となってシフト回転軸24を中心に揺動することによってシフト方向に揺動できる。シフトレバー3は、図7に示すように、セレクト方向の揺動によって、ホーム位置「H」とニュートラル位置「N」の間を移動する。シフトレバーは、シフト方向の揺動によって、ドライブ位置「D」、ニュートラル位置「N」及びリバース位置「R」の間と、ダウンシフト位置「−」、ホーム位置「H」及びアップシフト位置「+」の間を選択的に移動する。
【0027】
又、下ロッド部23の外周には、チェックロッド28が軸方向に摺動自在に挿入されていると共に、下ロッド部23とチェックロッド28の内部スペースにはチェックブロック5側にチェックロッド28を付勢するコイルスプリング29が収納されている。チェックロッド28は、下ロッド部23の外周径より若干だけ大きな内径を有する円筒部28aと、この先端に一体に設けられた半球先端部28bとから構成されている。チェックロッド28は、その円筒部28aが下ロッド部23にほぼ完全にオーバーラップする位置と円筒部28aが下ロッド部23に支持される最少オーバーラップ位置との間で摺動可能であり、チェックブロック5の摺動面40が大きな高低差を有するものでも十分に追従できるようになっている。
【0028】
シフト位置検出ユニット4は、方形枠体形状のユニットケース30と、このユニットケース30の互いに対向する内面から突出する一対のセレクト検知スライダ31と、ユニットケース30の他の互いに対向する内面から突出する一対のシフト検知スライダ32と、ユニットケース30内に収容され、これら検知スライダ31,32が表面を摺動するベース基板(図示せず)とを備えている。一対のセレクト検知スライダ31は、セレクト方向に移動自在で、且つ、シフトレバー3に密着する方向に付勢されている。一対のシフト検知スライダ32は、シフト方向に移動自在となっている。各セレクト検知スライダ31と各シフト検知スライダ32には複数の移動接点(図示せず)がそれぞれ設けられ、ベース基板(図示せず)上には複数の固定接点(図示せず)が適所に設けられている。シフトレバー3が変位すると、これに追従して一対のセレクト検知スライダ31や一対のシフト検知スライダ32が変位し、各シフト位置に応じて複数の移動接点(図示せず)と複数の固定接点(図示せず)間の導通パターンが変化し、この出力によって位置情報を得るようになっている。
【0029】
チェックブロック5は、大略扁平方形形状を有し、その上面より一段低い位置にシフトレバー3の移動軌道であるH字形状の摺動面40を有する。摺動面40は、シフト位置毎に下記するように高さが異なり、且つ、シフトレバー3の各シフト位置に対応する位置では緩やかな傾斜面に、隣り合うシフト位置の間では急な傾斜面として形成されている。これによって、各シフト位置に変位したことを摺動抵抗の変化によって操作者が確認できるようになっている(シフトチェック機能)。又、摺動面40はホーム位置が最も低く、且つ、ホーム位置以外のいずれのシフト位置からもホーム位置に向かって徐々に降下する方向に傾斜されている。これによって、図7に示すように、操作者がホーム位置以外でシフトレバー3から手を離すと、シフトレバー3がコイルスプリング29のスプリング力によって摺動面40を降下する方向に自動的に移動し、最終的にホーム位置に戻るようになっている(ホーム自動復帰機能)。
【0030】
次に、ロアブラケット10とアッパーブラケット11の組み付け構造、及び、シフト回転軸24の支持構造を詳しく説明する。図2〜図5に示すように、ロアブラケット10は、上下2段の方形箱形状をなし、上方の箱形状は、4つの縦壁50A〜50Dによって構成されている。この4つの縦壁50A〜50Dの上端面は、下記する係合突出部52が突設された箇所を除いて突き合わせ面50aとして構成されている。互いに対向する一対の縦壁50A,50Cの突き合わせ面50aには、半円状の軸受溝51aがそれぞれ形成されている。軸受溝51aを設けた一対の縦壁50A,50Cに直交する一対の縦壁50B,50Dには、当該縦壁50B,50Dに沿って上方に延びる係合突出部52がそれぞれ設けられている。この係合突出部52の外周面の上端側は、円弧面52aに形成されている。
【0031】
アッパーブラケット11は、図2〜図4、図6に示すように、レバー孔11aが開口された上面壁60と、この上面壁60より垂設された4つの縦壁61A〜61Dを有する。この各縦壁61A〜61Dの下端面は、下記する延長縦壁が下設された箇所を除いて突き合わせ面61aとして構成されている。互いに対向する一対の縦壁61A,61Cの突き合わせ面61aには、半円状の軸受溝51bがそれぞれ形成されている。アッパーブラケット11とブラケット10が組み付けされた状態では、双方の軸受溝51a,51bによって円状の軸受孔51が形成され、この一対の軸受孔51によってシフト回転軸24の両端が回転自在に支持される。
【0032】
軸受溝51bを設けた一対の縦壁61A,61Cに直交する一対の縦壁61B,61Dには、係合突出部52が係合する係合凹部62がそれぞれ形成されている。係合凹部62の最奥側は、円弧面62aに形成されている。又、軸受溝51bを設けた一対の縦壁61A,61Cに直交する一対の縦壁61B,61Dには、当該縦壁61B,61Dに沿って下方に延びる延長縦壁63がそれぞれ設けられている。この一対の延長縦壁63はロアブラケット10との組み付け状態では、ロアブラケット10の一対の縦壁50B,50Dの外面に当接する。各延長縦壁63とこれに対応するロアブラケット10の縦壁50B,50Dの箇所に、締結用孔であるビス用孔64がそれぞれ形成されている。これらビス用孔64に螺入された締結部材であるビス65によってロアブラケット10とアッパーブラケット11間が締結されている。
【0033】
次に、ベースブラケット2にシフトレバー3を組み付ける手順を簡単に説明する。ロアブラケット10の軸受溝51aにシフトレバー3のシフト回転軸24を載置し、その上からアッパーブラケット11を被せて双方の突き合わせ面50a,61a同士を突き合わせ、その後、双方のブラケット10,11間をビス65で固定することによってシフトレバー3を揺動自在に取り付けることができる。
【0034】
次に、シフトレバー装置1の動作を簡単に説明する。操作者がシフトレバー3の握持部21を握持してシフトレバー3をホーム位置から所定のシフト位置に向かって操作力を付与すると、コイルスプリング29のスプリング力が付勢されたチェックロッド28がチェックブロック5の摺動面40を追従移動し、シフトレバー3が目的のシフト位置に変位する。ホーム位置から目的のシフト位置との間は、摺動面40が急な傾斜であるが目的のシフト位置では摺動面40が緩やかな傾斜となり、操作者がシフトレバー3から受ける摺動抵抗が急に弱くなり、これによってシフト位置に変位したことをチェック(認識)できる。目的のシフト位置に変位すると、これをシフト位置検出ユニット4が検出してその情報を電気信号として変速機に伝達することになる。又、操作者が目的のシフト位置でシフトレバー3から手を離すと、コイルスプリング29に付勢されたチェックロッド28が摺動面40に降下する方向に付勢力を作用させるため、シフトレバー3が摺動面40を降下する方向に自動的に移動し、最終的にホーム位置に戻る。
【0035】
以上、本実施形態では、ロアブラケット10の軸受溝51aを設けた一対の縦壁50A,50Cに直交する一対の縦壁50B,50Dに、当該縦壁50B,50Dに沿って上方に延びる係合突出部52を設け、アッパーブラケット11の軸受溝51bを設けた一対の縦壁61A,61Cに直交する一対の縦壁61B,61Dに、係合突出部52が係合する係合凹部62を設けた。従って、シフトレバー3のシフト回転軸24をロアブラケット10の軸受溝51aに載置する、アッパーブラケット11をロアブラケット10に被せるという簡単な作業によってシフトレバー3をベースブラケット2に組み付けできるため、組み付け性が良い。
【0036】
又、ロアブラケット10の縦壁50B,50Dに沿って突出する係合突出部52とアッパーブラケット11の縦壁61B,61Dに形成された係合凹部62とが係合され、双方のブラケット10,11間に作用する外力を縦壁50B,50D,61B,61D同士(詳細には、縦壁50B,50Dの係合突出部52と係合凹部62を形成した縦壁61B,61D)で受けることができるため、双方のブラケット10,11間を締結するビス65で上記外力を受ける必要がなく、締結部材であるビス65を小サイズのものとすることができる。以上より、組み付け性が良く、しかも、締結部材であるビス65の小サイズ化が可能である。
【0037】
この実施形態では、係合突出部52の上端側と係合凹部62の最奥側は、互いに接触する円弧面52a,62aに形成されているので、アッパーブラケット11をロアブラケット10に被せる際に係合突出部52の上端側の円弧面52aが挿入ガイド機能を果たすため、アッパーブラケット11の組み付け性が良い。係合突出部52と係合凹部62は双方の円弧面52a,62aでも当接し、この円弧面52a,62aでも上記外力を受けるため、強度アップに寄与する。又、アッパーブラケット11の上面壁60と縦壁61B,61Dの角部の外周面を緩やかな傾斜面とすることができるため、上記したように組み付け性の向上と強度アップ化を図りつつシフトレバー装置1の小型化にも寄与する。
【0038】
この実施形態では、アッパーブラケット11の一対の縦壁60B,60Dには、当該縦壁60B,60Dから下方に延び、且つ、ロアブラケット10の一対の縦壁50B,50Dの外面に当接する延長縦壁63がそれぞれ設けられている。従って、アッパーブラケット11の延長縦壁63の分だけロアブラケット10との係合面積が増えるため、双方のブラケット10,11間に作用する外力をより確実に受けることができる。
【0039】
この実施形態では、一対の延長縦壁60B,60Dとこれに当接するロアブラケット10の一対の縦壁50B,50Dの箇所がビス65で締結されている。従って、係合突出部52と係合凹部62より離れた位置にビス用孔64が設けられるため、係合突出部52と係合凹部62の近傍の強度低下を防止でき、締結部材であるビス65の更なる小サイズ化が可能である。
【0040】
尚、この実施形態では、シフトレバー3は、H字状の移動軌道を有するものであったが、H字状以外の移動軌道(例えばゲート式)であっても本発明を適用できることはもちろんである。
【0041】
尚、この実施形態では、車両用のシフトレバーのシフト位置を電気信号として変速機に出力する、いわゆるシフトバイワイヤー方式のシフトレバー装置に本発明を適用したが、シフトレバーのシフト位置をワイヤー等のメカニカル構造によって変速機に出力する通常方式のシフトレバー装置にも同様に適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態を示し、シフトレバー装置の組み付け状態の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、シフトレバー装置の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、図1のA−A線断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、図1のB−B線断面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、ロアブラケットの要部斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、アッパーブラケットの内面側を見た斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、シフトポジション、シフトレバーの移動軌道及びホーム自動復帰機能(セルフリターン)を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
1 シフトレバー装置
3 シフトレバー
24 シフト回転軸(支持軸)
10 ロアブラケット
11 アッパーブラケット
50A〜50D 縦壁
50a 突き合わせ面
51 軸受孔
51a,51b 軸受溝
52 係合突出部
52a 円弧面
61A〜61D 縦壁
61a 突き合わせ面
62 係合凹部
62a 円弧面
63 延長縦壁
64 ビス用孔(締結用孔)
65 ビス(締結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロアブラケットとアッパーブラケットの互いに対向する縦壁に突き合わせ面をそれぞれ設け、双方の一対の前記突き合わせ面に軸受溝をそれぞれ設け、前記ロアブラケットと前記アッパーブラケットの互いの前記突き合わせ面を突き合わせた状態で、双方の互いに対向する前記軸受溝によって構成された一対の軸受孔でシフトレバーの支持軸を支持するシフトレバー装置であって、
前記ロアブラケットの前記軸受溝を設けた一対の前記縦壁とは異なる一対の縦壁に、当該縦壁に沿って上方に延びる係合突出部を設け、前記アッパーブラケットの前記軸受溝を設けた一対の前記縦壁とは異なる一対の縦壁に、前記係合突出部が係合する係合凹部を設けたことを特徴とするシフトレバー装置。
【請求項2】
請求項1記載のシフトレバー装置であって、
前記係合突出部の上端側と前記係合凹部の最奥側は、互いに接触する円弧面に形成されていることを特徴とするシフトレバー装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のシフトレバー装置であって、
前記アッパーブラケットの一対の前記縦壁に、当該縦壁から下方に延び、且つ、前記ロアブラケットの一対の前記縦壁の外面に当接する延長縦壁をそれぞれ設けたことを特徴とするシフトレバー装置。
【請求項4】
請求項3記載のシフトレバー装置であって、
前記アッパーブラケットの一対の前記延長縦壁とこれに当接する前記ロアブラケットの一対の縦壁の箇所に締結用孔をそれぞれ設け、前記締結用孔を用いて締結部材で前記アッパーブラケットと前記ロアブラケットとの間を締結したことを特徴とするシフトレバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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