説明

シミ予防・改善剤の評価又は選択方法

【課題】シミ予防又は改善剤を確実且つ効率よくスクリーニングすることができる評価又は選択方法、シミ形成の予知方法、シミ状況分析方法の提供。
【解決手段】表皮細胞において、p53活性、又はp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現を抑制する物質を評価することを特徴とするシミ予防又は改善剤の評価又は選択方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミの予防又は改善剤の評価又は選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シミは加齢に伴い増加する色素増加症であり、露出部に頻発する。発生原因としては、長期の反復性の日光暴露が考えられ、病変部の表皮細胞では、色素細胞を活性化するサイトカインの分泌亢進がみられることが報告されている(非特許文献1−3)。
【0003】
従来、紫外線による一過性の色素沈着(日焼け)の機構については、様々な研究知見が蓄積されてきたが(非特許文献4)、一方で、紫外線照射がなくても慢性的に続く色素沈着(老人性色素斑など)の機構はほとんど明らかにされていなかった。
近年、慢性的色素沈着の機構解明の重要性が指摘され、老人性色素斑における網羅的遺伝子発現解析(非特許文献5)や、ヒトシミ組織を用いた関与因子の同定(特許文献1)が行われている。
【0004】
また、紫外線照射と老人性色素斑では、発現挙動に違いがある機能分子も見出され、例えば、IL-1αはヒト皮膚に対する紫外線の単回照射によって遺伝子発現が増加するが(非特許文献6)、老人性色素斑では逆に減少すること(非特許文献2)が報告されている。 そして、紫外線を単回又は連続して照射した場合でも機能分子の発現挙動には違いが観察されていることから(非特許文献6)、一過性の色素沈着と慢性的な色素沈着では、機序が異なることが十分に考えられ得る。
さらに、老人性色素斑は加齢により増加することが知られており、過度の日光暴露部位以外の部位でも観察される場合もあることから、他の何らかの因子が発症に寄与している可能性も指摘されている(非特許文献7)。
斯様に、老人性色素斑で認める慢性的な色素沈着では、紫外線による一過的な色素沈着とは異なる機構が関与していると考えられる。
【0005】
一方、p53遺伝子は、癌抑制遺伝子として知られ、多くの種類の癌において、その有無と、悪性度、予後経過、転移の有無に相関があることが知られており、癌化の抑制に重要な機能を果たしている。
また、近年、p53の新たな転写標的遺伝子としてpro-opiomelanocortin(POMC)が同定され、その転写活性化を介してUV照射における一過性の色素沈着にp53が中心的な働きを果たしているが、一方で、ベースの色素沈着にはp53は関与していないことが報告されている(非特許文献8)。さらに、当該文献では、Etoposideや5−fluorouracilといったDNAを損傷させる作用のある薬剤によるUV非依存的なp53の活性化が色素沈着を引き起こすことを示し、UV非依存的な色素沈着に対するp53の関与も示唆されている。
また、皮膚疾患との関連では、p53蛋白質の活性を増加させる剤が、高増殖性、前癌、又はUV誘導皮膚病の治療又は予防のために表皮に使用できることが報告されている(特許文献2)。
【0006】
しかしながら、p53活性又は、p53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物とシミとの関係を示した報告はこれまでに存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3943490号公報
【特許文献2】特表平11−506755号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】最新皮膚科学大系第8巻 色素異常症 中山書店
【非特許文献2】Kadono S et al. (2001) J. Invest. Dermatol. 116: 571-577
【非特許文献3】Hattori H et al. (2004) J. Invest. Dermatol. 122: 1256-1265
【非特許文献4】Enk CD et al. (2004) Photodermatol. Photoimmunol. Photomed. 20: 129-137
【非特許文献5】Aoki H et al. (2007) Br. J. Dermatol. 156: 1214-1223
【非特許文献6】Seite S et al. (2004) Photochem. Photobiol. 79: 265-271
【非特許文献7】Unver N et al. (2006) Br. J. Dermatol. 155: 119-128
【非特許文献8】Cui R et al. (2007) Cell 128, 853-864
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、シミ予防又は改善剤を確実且つ効率よくスクリーニングすることができる評価又は選択方法、シミ状況分析方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、シミ形成機構の上流メカニズムを分子レベルで検討したところ、シミが形成された皮膚組織においては、表皮細胞(ケラチノサイト)において、p53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現が顕著に増加しており、p53活性或いは、当該蛋白質又は遺伝子の発現量を指標とすれば、シミの予防又は改善剤の評価又は選択、或いはシミ状況分析が可能となることを見出した。
すなわち、本発明は、下記の発明に関するものである。
1)表皮細胞において、p53活性を抑制する物質、あるいはp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を抑制する物質を評価することを特徴とするシミ予防又は改善剤の評価又は選択方法。
2)以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする、シミ予防又は改善剤の評価又は選択方法。
(1)p53活性が存在するか、あるいはp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物が発現している表皮細胞に、被験物質を接触させる工程、
(2)当該表皮細胞中のp53活性、あるいはp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を測定する工程、
(3)(2)で測定された活性又は発現量を、被験物質に接触させない対照表皮細胞の同p53活性、或いはp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量と比較する工程、
(4)(3)の結果に基づいて、p53活性を抑制する物質、或いはp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を減少させる被験物質をシミ予防又は改善剤として選択する工程。
3)表皮細胞において、p53活性を抑制する物質、或いはp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を抑制する物質を評価することを特徴とするSCF又はEndothelin−1の発現制御剤の評価又は選択方法。
4)ヒト表皮細胞におけるp53活性、又は、p53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を指標とし、当該皮膚のシミ形成の進行度若しくは改善度を把握することを特徴とする皮膚のシミ状況分析方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シミ予防又は改善剤を確実且つ効率よく評価又は選択することができる。また、本発明によれば、シミ形成の進行度若しくは改善度を客観的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ヒト皮膚組織におけるp53の発現を示す特性図である。
【図2】ヒト皮膚表皮組織におけるCDKN1A(p21)遺伝子、GADD45A遺伝子、MDM2遺伝子の遺伝子発現量を示す特性図である。
【図3】培養表皮細胞における5−fluorouracil(5−FU)添加時のSCF(KITLG)遺伝子、Endothelin−1遺伝子の遺伝子発現量の変化を示す特性図である。
【図4】培養表皮細胞におけるPifithrin−alpha(PFT)添加時のSCF(KITLG)遺伝子、Endothelin−1遺伝子の遺伝子発現量の変化を示す特性図である。
【図5】3次元培養皮膚モデルにおけるPifithrin−alpha(PFT)添加時の組織中メラニン量の変化を示す特性図である。
【図6】光線性花弁状色素斑皮膚組織の器官培養におけるPifithrin−alpha(PFT)添加時のTyrosinase遺伝子、SCF(KITLG)遺伝子、Endothelin−1遺伝子の遺伝子発現量の変化を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、「シミ」とは主に老人性色素斑を意味するが、それに限らず皮膚に現われる茶褐色ないし濃褐色の斑紋であって、慢性的にメラニンなどの色素が沈着または停滞した光線性花弁状色素斑、雀卵斑、そばかす、肝斑などの色素斑を広く含む意味として用いる。
【0014】
「p53遺伝子」とは、癌において最も高頻度に変異を認める遺伝子であり、癌抑制遺伝子として知られている。p53遺伝子の機能はその産物が転写因子として細胞周期制御、アポトーシス誘導、DNA修復、細胞老化などに関与する遺伝子群の転写を活性化することであり、p53遺伝子の異常によりこれらp53標的遺伝子群の量的減少(不活性化)を引き起こすことで細胞が癌化することが知られている。
p53標的遺伝子としては、例えば、DNA修復、細胞周期制御に関与するGADD45A遺伝子、DNA修復に関与するp53R2遺伝子、XPC遺伝子、細胞周期制御に関与するCDKN1A(p21)遺伝子、14−3−3δ遺伝子、cdc25C遺伝子、p53機能制御に関与するMDM2遺伝子、cyclin G遺伝子、アポトーシスに関与するBAX遺伝子、PUMA遺伝子、PIG3遺伝子等多数挙げられる。
また、本発明の各方法においては、これらの各遺伝子の発現産物、例えばp53蛋白質、Gadd45a蛋白質、p53R2蛋白質、XPC蛋白質、p21蛋白質、Mdm2蛋白質、Bax蛋白質等が挙げられる。
【0015】
後記実施例に示すとおり、ヒト老人性色素斑部より皮膚組織を採取し、p53蛋白質の発現を解析したところ、老人性色素斑の周辺部位ではp53はほとんど発現が認められないのに対して、色素沈着部位では表皮においてp53の顕著な発現亢進が認められた。また、健常男性のシミ部、シミ周辺部(前腕外側)及び非露光部(上腕内側)の皮膚から表皮を採取し、p53標的遺伝子の発現解析を行ったところ、p53標的遺伝子であるCDKN1A(p21)遺伝子、GADD45A遺伝子、MDM2遺伝子の発現量が、シミ部において有意に亢進していた。
【0016】
また、培養ヒト表皮細胞に、p53活性化剤である5−fluorouracilを添加し、遺伝子発現解析を行ったところ、SCF(KITLG)遺伝子、Endothelin−1遺伝子の有意な発現亢進が認められ、一方、p53阻害剤であるPifithrin−alpha(PFT)を添加した場合には、SCF(KITLG)遺伝子、Endothelin−1遺伝子の有意な発現低下が認められた。
更に、ヒト正常表皮細胞(ケラチノサイト)及び色素細胞(メラノサイト)から構成された3次元培養皮膚モデルにPFTを添加した場合はメラニン量がPFTの用量依存的に低下し、ヒト光線性花弁状色素斑器官培養にPFTを添加した場合はメラニン合成において重要な役割をしているTyrosinase遺伝子、SCF(KITLG)遺伝子の発現が有意に低下した。同様に、Endothelin−1遺伝子の発現が有意に低下する傾向が認められた。ここで、SCF(Stem cell factor)は、造血幹細胞の表面に発現しているc−kitレセプターのリガンドであり、造血細胞の増殖、分化を促す膜結合型の増殖因子として知られているが、近年、c−kitが造血細胞の他に、肥満細胞、メラノサイト及び生殖細胞の表面にも発現していることが明らかになり(J.Exp.Med.,183,2681-2686,1996)、また最近では、皮膚にのみSCFを発現させるトランスジェニックマウスにおいて、肥満細胞の誘導とメラノサイトの増殖により、メラニン合成が増強されることが報告され(J.Exp.Med.,187,1565-1573,1998)、メラニンの過剰生産に深く関与すると考えられている。
また、p53の転写標的遺伝子をヒトゲノムにおいて網羅的に調べた知見が2006年に報告された(Cell, 124, 207-219, 2006)。その中で、SCF(KITLG)遺伝子が新しい標的遺伝子の一つとして同定され、ヒト結腸癌細胞株であるHCT116細胞に対する5−fluorouracil添加によって遺伝子発現が上昇することが確認されている。しかしながら、皮膚或いは表皮組織におけるp53とSCFとの関連性は不明であった。
また、Endothelin−1は、紫外線UVB照射後に表皮ケラチノサイトから産生が上昇するサイトカインの一つとして知られ、表皮におけるメラニンの過剰生産に深く関与すると考えられている(Pigment Cell Res., 10, 218-228, 1997)。
さらに、これらのサイトカインは慢性色素沈着の病変部において過剰発現していることが明らかとなっている。そして、これらのサイトカインの相乗的作用により色素沈着が促進されることも分かっている(Am. J. Pathol.,165 , 2099-2109, 2004)。
【0017】
これらの結果は、シミの形成における慢性色素沈着の上流機構の一つとして、表皮細胞におけるp53活性又は、p53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現が深く関与していることを示している。従って、その活性又は発現を抑制する物質は、シミ形成を抑制或いは形成されたシミを改善するシミの予防又は改善剤として、またSCF又はEndothelin−1発現制御剤として有用であり、また、p53活性又は、p53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を指標としてシミ予防又は改善剤やSCF又はEndothelin−1発現制御剤を評価又は選択できることを示唆している。また、p53活性又は、p53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を指標とすれば、当該皮膚のシミ形成の進行度、改善度等のシミ状況分析が可能となる。
【0018】
1)シミ予防又は改善剤の評価又は選択方法
本方法は、表皮細胞において、p53活性又は、p53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を低下させる物質を候補として選択するものである。
【0019】
表皮細胞としては、p53活性が存在するか、又はp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物が発現している動物由来の表皮細胞であればよいが、当該遺伝子又は蛋白質の発現量が正常表皮細胞に比べて増加したものが好ましい。また、表皮細胞は皮膚組織中に存在するものでも、組織から単離したものでもよい。また、正常表皮細胞のほかにHaCaT細胞等の株化表皮細胞を使用することもできる。
当該表皮細胞の由来動物としては、非ヒト動物、例えばマウス、ラット、モルモット等げっ歯類でもよいが、ヒトであるのが好ましい。
当該表皮細胞の由来組織としては、生体から外科的に切除した皮膚組織、それを免疫不全マウス等に移植した皮膚組織や、表皮細胞及びその他の皮膚構成細胞から作製した培養皮膚モデルや免疫不全マウス等を用いて作製した再構成皮膚等を使用できる。
【0020】
p53活性とは、p53蛋白質の転写活性化能、p53蛋白質の活性化状態をしめすリン酸化或いはアセチル化等の蛋白質修飾能等をいい、p53活性を抑制する物質とは、当該転写活性、蛋白質修飾能等を調節する物質をいう。
また、p53遺伝子若しくはその標的遺伝子の発現量を低下させる物質とは、当該遺伝子を構成するポリヌクレオチドに相補性のmRNAの発現を抑制する又は分解を促進する物質をいい、当該遺伝子の発現産物の発現量を低下させる物質とは、p53蛋白質等の当該遺伝子の発現産物の発現を抑制又は発現産物の分解を促進し、その発現量を減少させる物質をいう。
【0021】
本発明の評価又は選択方法のうち、p53遺伝子若しくはその標的遺伝子の発現量を指標とする候補物質の選択は、具体的には、例えば以下のように行われる。
(1a)p53遺伝子若しくはその標的遺伝子が発現している表皮細胞に、被験物質を接触させる工程、
(2a)被験物質を接触させた表皮細胞における、同遺伝子の発現量を測定する工程、
(3a)(2a)で測定された発現量を被験物質に接触させない対照表皮細胞の同遺伝子の発現量と比較する工程、
(4a)(3a)の結果に基づいて、同遺伝子の発現量を減少させる被験物質をシミ予防又は改善剤として選択する工程。
【0022】
工程(1a)における被験物質の表皮細胞への接触は、例えば、エタノール、DMSO、水等の溶媒に溶解した被験物質0.0001〜10w/v%溶液を、直接若しくは適宜希釈した後、塗布又は培地中に添加することにより行うことができる。
【0023】
遺伝子発現の検出及び定量は、前記組織から調製したRNA又はそれから転写された相補的なポリヌクレオチドを用いて、RT−PCR法など公知の方法で実施できる。
【0024】
本発明の評価又は選択方法のうち、p53遺伝子又はその標的遺伝子の発現産物の発現量を指標とする候補物質の選択は、具体的には、例えば以下のように行われる。
(1b)p53遺伝子又はその標的遺伝子の発現産物が発現している表皮細胞に、被験物質を接触させる工程、
(2b)当該表皮細胞中の同遺伝子発現産物の発現量を測定する工程、
(3b)(2b)で測定された発現量を、被験物質に接触させない対照表皮細胞の同遺伝子発現産物の発現量と比較する工程、
(4b)(3b)の結果に基づいて、同遺伝子発現産物の発現量を減少させる被験物質をシミ予防又は改善剤として選択する工程。
【0025】
工程(1b)における被験物質の表皮細胞への接触は、上記(1a)と同様に行うことができる。
【0026】
工程(2b)における遺伝子発現産物の発現量の測定は、例えば、当該発現産物を認識する抗体、例えば、抗p53抗体、抗p21抗体、抗Gadd45a抗体、抗Mdm2抗体等を用いたウェスタンブロット法等の公知の方法に従って定量できる。
ウェスタンブロット法は、一次抗体として当該発現産物を認識する抗体を用いた後、二次抗体として125Iなどの放射性同位元素、蛍光物質、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)等の酵素等で標識した一次抗体に結合する抗体を用いて標識し、これら標識物質由来のシグナルを放射線測定器、蛍光検出器などで測定することによって実施できる。
抗体は、当該発現産物を免疫抗原とするポリクローナル抗体であっても、またモノクローナル抗体であってもよい。また、抗体は当該発現産物を認識することが保証されている市販の製品を使用すればよいが、ウサギやマウスなどを免疫動物として作製してもよい。
【0027】
本発明の評価又は選択方法のうち、p53活性を指標とする候補物質の選択は、具体的には、例えば以下のように行われる。
(1c)p53活性が存在する表皮細胞に、被験物質を接触させる工程、
(2c)当該表皮細胞中のp53活性を測定する工程、
(3c)(2c)で測定された活性を被験物質に接触させない対照表皮細胞の同活性と比較する工程、
(4c)(3c)の結果に基づいて、同活性を減少させる被験物質をシミ予防又は改善剤として選択する工程。
【0028】
工程(1c)における被験物質の表皮細胞への接触は、上記(1a)と同様に行うことができる。
【0029】
工程(2c)における活性の測定は、例えば、p53の活性化状態をしめす種々の蛋白質修飾を認識する抗体、例えば、抗リン酸化p53抗体、抗アセチル化p53抗体を用いたウェスタンブロット法等の公知の方法に従って定量できる。また、リン酸化或いはアセチル化の各修飾部位は1箇所に限らず、p53蛋白質について修飾部位として同定されているものを広く使用することができる。
ウェスタンブロット法は、一次抗体としてp53の活性化状態をしめす抗体を用いた後、二次抗体として125Iなどの放射性同位元素、蛍光物質、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)等の酵素等で標識した一次抗体に結合する抗体を用いて標識し、これら標識物質由来のシグナルを放射線測定器、蛍光検出器などで測定することによって実施できる。
抗体は、当該修飾部位を免疫抗原とするポリクローナル抗体であっても、またモノクローナル抗体であってもよい。また、抗体は当該修飾部位を認識することが保証されている市販の製品を使用すればよいが、ウサギやマウスなどを免疫動物として作製してもよい。
【0030】
工程(2c)における活性の測定は、例えば、p53活性を有する表皮細胞から抽出された細胞抽出液と、32Pなどの放射性同位元素、蛍光物質等で標識したp53が特異的に結合する配列を含むDNA断片を用いたゲルシフトアッセイ法等の公知の方法に従って定量できる。
ゲルシフトアッセイ法は、p53活性を有する表皮細胞から抽出された細胞抽出液と、32Pなどの放射性同位元素、蛍光物質等で標識したp53が特異的に結合する配列を含むDNA断片を混合・インキュベートしたものをポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、これら標識物質由来のシグナルを放射線測定器、蛍光検出器などで測定することによって実施できる。
p53が特異的に結合する配列は文献或いは既存のデータベースから得ることができる。DNA断片は従来公知の方法により作製することができる。
工程(2c)における活性の測定は、例えば、p53活性を有する表皮細胞に対してp53が特異的に結合する配列を発現プロモーターに含むレポーター遺伝子(プラスミド)導入するレポータージーンアッセイ法等の公知の方法に従って定量できる。
レポータージーンアッセイ法は、ホタルルシフェラーゼなどの酵素を発現する遺伝子の発現プロモーターにp53が特異的に結合する配列を組み込んだレポーター遺伝子(プラスミド)を、p53活性が存在する表皮細胞に導入し、酵素反応による蛍光或いは発色の強度を検出器で測定することによって実施できる。
レポーター遺伝子(プラスミド)は従来公知の方法により作製することができる。
【0031】
以上より、定量したp53活性、p53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量に基づき、p53活性、又は当該遺伝子又は蛋白質の発現抑制物質を選択することができるが、この場合、その活性又は発現量が、対照の表皮細胞での活性又は発現量と比較して統計的に有意に低ければ、該被験物質を活性又は発現抑制物質として選択することができる。
【0032】
2)シミ状況分析方法
本発明のシミ状況分析方法は、例えばシミが観察される部位の表皮細胞におけるp53活性、p53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量が、正常な表皮細胞に比べて亢進しているかどうかを調べることにより行うことができる。コントロールとして用いる正常部位としては、シミ周辺部位を比較対照としてよいが、シミが比較的できにくい非露光部位であってもよい。
すなわち、シミ部の表皮細胞におけるp53活性、p53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量が、コントロールである正常部の表皮細胞と比較して亢進している場合、当該皮膚のシミ形成の進行度若しくは改善度を把握でき、皮膚のシミ状況分析が可能となる。
ここで、測定対象としては、パンチバイオプシーなどの皮膚生検により採取した皮膚組織でもよいし、サクションブリスター法などにより採取した表皮組織であってもよい。また、採取した皮膚組織に酵素処理或いは熱処理などを施して分離した表皮組織であってもよい。また、採取した皮膚又は表皮組織を器官培養したものでもよい。さらに、皮膚又は表皮組織から分離した表皮細胞を用いてもよく、適宜培養を行ったものでもよい。
【実施例】
【0033】
実施例1
本実施例では、ヒト皮膚組織における免疫組織染色により、p53発現を解析した。
ヒト老人性色素斑部より皮膚組織を採取し、パラフィン切片を作製した。脱パラフィン後、REALTM Target Retrieval Solution(DAKO社製)中95℃ 45分間の熱処理により、抗原の賦活化を行った。常温で30分間冷却後phosphate buffered saline (PBS)で洗浄し、0.3% H2O2溶液で30分間処理した。PBSで洗浄後、10%ヤギ正常血清(ニチレイバイオサイエンス社製)にて室温1時間ブロッキング後、1次抗体としてブロッキング液で100倍希釈したマウス抗ヒトp53抗体(DO-7、DAKO社製)を加え、4℃で一晩静置した。PBSで洗浄後、2次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgGポリクローナル抗体(Fab')(ニチレイバイオサイエンス社製)を加え、室温で30分間静置した。PBSで洗浄後、HistoMark(登録商標) TrueBlueTM Peroxidase System(KPL社製)を用いて酵素反応を行った。発色を確認後、水中で反応を停止し、NUCLEAR FAST RED(Vector Laboratories社製)で対比染色を行った。流水中で10分間洗浄後、グリセリンとカバーガラスにより封入し、顕微鏡と撮影装置(カールツァイス社製)により組織染色像を取得した。
図1に示すとおり、老人性色素斑の周辺部位ではp53はほとんど発現が認められないのに対して、色素沈着部位では表皮においてp53の顕著な発現亢進が観察された(青色染色部位)。
【0034】
実施例2
本実施例では、ヒト皮膚表皮組織におけるp53標的遺伝子の発現解析を行った。
先ず、健常男性のシミ部、シミ周辺部(前腕外側)及び非露光部(上腕内側)の皮膚から、サクションブリスター法を用いて表皮を採取した。具体的には、被験部位を消毒し、1.0〜2.5 mm径シリンジ(TERUMO社製)を皮膚表面に接し、ポンプで約1〜2時間吸引することで表皮と真皮を剥離した。滅菌鋏を用いて剥離した表皮を採取し、被験者から生体由来試料を調製した。
得られた表皮組織をPBS中で洗浄後、1 mlのRNAlaterTM(QIAGEN社製)を入れたチューブに移し、4℃一晩静置した。組織をPBS中で洗浄し、RNeasy micro kit(QIAGEN社製)を用いて、定法に従いtotal RNAを調製した。
抽出したRNA溶液のうち1μgを用いて、逆転写反応によりcDNAを合成した。逆転写反応には、SuperScript III First-Strand Synthesis System for RT-PCR(インビトロジェン社製)を用い、定法に従って行った。反応には、MJ Research社製のPeltier Thermal Cyclerを用いた。
合成したcDNAを用いて、Taqman probeを用いた定量的PCR法による遺伝子発現解析を行った。各遺伝子特異的なプローブ及びプライマーは、アプライドバイオシステムズ社製のTaqman(登録商標) Gene Expresson Assays(P/N 4331182)を用いた。それぞれの遺伝子について検量線法による絶対定量を行った。各々の発現量は、内部標準遺伝子RPLP0(Assay ID: Hs99999902_m1)の発現量により補正した。反応条件は定法に従い、アプライドバイオシステムズ社製のシークエンスディテクター(ABI PRISM 7500 Real Time PCR System)を用いて行った。
具体的に、本実施例では、従来公知のp53標的遺伝子であるCDKN1A(p21)遺伝子(Assay ID: Hs00355782_m1)、GADD45A遺伝子(Assay ID: Hs00169255_m1)、MDM2遺伝子(Assay ID: Hs01066938_m1)の発現量を測定した。
尚、これら遺伝子の発現量を測定するためのプローブ及びプライマーは、発現定量用として設計済みで市販されている製品と同様に、目的の遺伝子特異的なプローブ及びプライマーを設計・作製することもできる。具体的には、データベースよりcDNA等の遺伝子配列情報を取得し、Primer Express(アプライドバイオシステムズ社製)等の設計ソフトを用いることで、遺伝子特異的なプローブ及びプライマーを設計・使用することができる。
図2に示すとおり、従来公知のp53標的遺伝子であるCDKN1A(p21)遺伝子、GADD45A遺伝子、MDM2遺伝子について、シミ部における有意な発現亢進が観察された。
【0035】
実施例3
ヒト新生児包皮由来表皮細胞はクラボウ社より購入し、増殖用無血清基礎培地(EpiLife,クラボウ社製)を用いて、5% (v/v) CO2雰囲気下、37℃で前培養した。前培養で得られた表皮細胞を6穴培養プレート(ファルコン社製)に1.0×105 cells/wellで播種し、24時間後に増殖用培地からBPE(牛脳下垂体抽出液)とhEGF(ヒト上皮成長因子)を除いた培地で培養し、さらに24時間後に従来公知のp53活性化剤である5−fluorouracil(5−FU、カルビオケム社製)を1又は10 μg/ml濃度で添加し、48時間培養後にTRIzol(登録商標) Reagent(インビトロジェン社製)を用いてTotal RNAを抽出した。すなわち、培養プレートの各wellをPBSで洗浄した後、1 mlのTRIsol Reagentを加え、1.5 mlチューブに回収した。クロロホルムを200μl添加し、よく攪拌後、15000 rpmで15分間遠心した。上層を新しい1.5 mlチューブに移し、等量のイソプロパノールを添加し、攪拌後12000 rpmで10分間遠心した。上清をアスピレートし、75%エタノールを1 ml添加し、8500 rpmで5分間遠心した。上清をアスピレートにより除いた後、沈殿を15〜30μlのdH2Oに溶解し、total RNAを調製した。
抽出したtotal RNAから逆転写反応によりcDNAを合成し、Taqman probeを用いた定量的PCR法による遺伝子発現解析を行った。具体的に、本実施例では、SCF(KITLG)遺伝子(Assay ID: Hs00241497_m1)、Endothelin−1遺伝子(Assay ID: Hs00174961_m1)の発現量を測定した。なお、本実施例における遺伝子発現解析の詳細は、実施例2記載の方法に準ずる。
図3に示すとおり、従来公知のp53活性化剤である5−fluorouracil(5−FU)の添加により、培養表皮細胞におけるSCF(KITLG)遺伝子、Endothelin−1遺伝子の有意な発現亢進が認められた。
【0036】
実施例4
ヒト新生児包皮由来表皮細胞はクラボウ社より購入し、増殖用無血清基礎培地(EpiLife,クラボウ社製)を用いて、5% (v/v) CO2雰囲気下、37℃で前培養した。前培養で得られた表皮細胞を6穴培養プレート(ファルコン社製)に1.0×105 cells/wellで播種し、24時間後に増殖用培地からBPE(牛脳下垂体抽出液)とhEGF(ヒト上皮成長因子)を除いた培地で培養し、さらに24時間後に従来公知のp53阻害剤であるPifithrin-alpha(PFT、カルビオケム社製)を1又は10μM濃度で添加し、24時間培養後にTRIzol(登録商標) Reagent(インビトロジェン社製)を用いてTotal RNAを抽出した。抽出したtotal RNAから逆転写反応によりcDNAを合成し、Taqman probeを用いた定量的PCR法による遺伝子発現解析を行った。具体的に、本実施例では、SCF(KITLG)遺伝子、Endothelin−1遺伝子の発現量を測定した。なお、本実施例における遺伝子発現解析の詳細は、実施例2及び3記載の方法に準ずる。
図4に示すとおり、従来公知のp53阻害剤であるPifithrin-alpha(PFT)の添加により、培養表皮細胞におけるSCF(KITLG)遺伝子、Endothelin−1遺伝子の有意な発現低下が認められた。
【0037】
実施例5
3次元培養皮膚モデル(MEL-300A)はクラボウ社より購入した。製品は入手後直ちに組織カップを6穴培養プレート(ファルコン社製)に移し、1 mlの長期維持培地(EPI-100-NMM-113、クラボウ社製)中で一晩5% (v/v) CO2雰囲気下、37℃で培養した。次に、従来公知のp53阻害剤であるPifithrin-alpha(PFT)を添加し、14日間培養を行った。培養は、滅菌したステンレスワッシャー(クラボウ社製)上に組織カップを静置し、長期維持培地を5 ml使用した。培地交換は3日毎に行った。培養後、組織カップからピンセットで皮膚組織を剥離し、PBSで3回洗浄し、5%(v/v)トリクロロ酢酸で1回洗浄し、3倍容のエタノールと混合したジエチルエーテルで1回洗浄した。その後、50℃で2時間インキュベートして組織を乾燥させた。2Nの水酸化ナトリウム水溶液(2N)200μLを加え組織を溶解した。15000 rpmで15分間遠心後、培養上清を回収し、405nmの吸光度を測定することにより組織中のメラニン量を算出した。コントロールのメラニン量を100(%)とした相対量の比較を図5に示した。
図5に示すとおり、従来公知のp53阻害剤であるPifithrin-alpha(PFT)の添加により、3次元培養皮膚モデルにおいて、メラニン量の用量依存的な低下が認められた。
【0038】
実施例6
コントラクトラボラトリー(Stephens & Associates, Carrollton, TX)にシミを持つ被験者のリクルートを依頼し、同施設が契約する皮膚科医が56歳のCaucasian女性2名の肩から直径4 mmの生検トレパンを用いて光線性花弁状色素斑を1名につき2箇所採取した。その後、生検皮膚をDulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)中に浸漬し、4〜10℃前後に保った状態で、Cincinnatiの生物科学研究所アメリカ分室まで輸送した。シミ採取から24時間以内にdisposableのメスを用いてその光線性花弁状色素斑を半切し、一つはp53の阻害剤であるPifithrin-alpha(PFT)を10μM含むDMEM中で器官培養し、もう一つはPifithrin-alpha(PFT)を含まないDMEM中で培養した。なお、器官培養用ディッシュ(BD Biosciences(San Jose, CA))の内側に納まるようにカットし、かつ中心に直径3 mmの穴を設けたコラーゲンスポンジ(Avitene Ultrafoam, MedChem Products, Inc. Woburn, MA)を準備し、光線性花弁状色素斑の表面とスポンジの表面高さが揃うように、その穴に光線性花弁状色素斑組織を納めてから器官培養を開始した。器官培養用ディッシュの外側は5 mlのPBSで満たし、5%のCO2濃度を保つ37℃のインキュベーター内で培養を開始した。培養開始から24時間後、48時間後に培地を交換し、72時間後に70℃の熱水で1分間光線性花弁状色素斑組織を処理し、表皮のみをRNAlater(Qiagen, Valencia, CA)に回収した。
その後、RNeasy micro kit(Qiagen)を用いてtotal RNAを抽出後、常法に従いThermoScript RT-PCR Systems (Invitrogen, Carlsbad, CA) を用いてcDNAを合成した。Tyrosinase、SCF(KITLG)、Endothelin−1 mRNAに特異的なprobeをTaqMan Gene Expression Assays(Applied Biosystems)から購入し(Assay ID: Hs00165976_m1、Hs00241497_m1、 Hs00174961_m1)、ABI PRISM 7300 sequence detection system(Applied Biosystems)を用いてreal-time定量的RT-PCRを実施した。各々の発現量は、内部標準遺伝子RPLP0(Assay ID: Hs99999902_m1)の発現量により補正した。各シミにおけるコントロール(対照)の値を1として、PFT処理における相対値を算出した。
図6に示すとおり、Tyrosinase 、SCF(KITLG)に関してはp53の阻害に伴い、有意にその発現が抑制されることが明らかになった。Endothelin−1に関しては、その発現が有意に抑制される傾向が示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮細胞において、p53活性を抑制する物質、或いはp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を抑制する物質を評価することを特徴とするシミ予防又は改善剤の評価又は選択方法。
【請求項2】
以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする、シミ予防又は改善剤の評価又は選択方法。
(1)p53活性が存在するか、或いはp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物が発現している表皮細胞に、被験物質を接触させる工程、
(2)当該表皮細胞中のp53活性、或いはp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を測定する工程、
(3)(2)で測定された活性又は発現量を、被験物質に接触させない対照表皮細胞の同p53活性、或いはp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量と比較する工程、
(4)(3)の結果に基づいて、p53活性を抑制する物質、或いはp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を減少させる被験物質をシミ予防又は改善剤として選択する工程。
【請求項3】
p53標的遺伝子が、GADD45A、CDKN1A(p21)、MDM2から選ばれる1以上の遺伝子である請求項1又は2記載のシミ予防又は改善剤の評価又は選択方法。
【請求項4】
表皮細胞において、p53活性を抑制する物質、或いはp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を抑制する物質を評価することを特徴とするSCF又はEndothelin−1発現制御剤の評価又は選択方法。
【請求項5】
ヒト表皮細胞におけるp53活性、又はp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量を指標とし、対照部位の同p53活性、又はp53遺伝子若しくはその標的遺伝子又はこれらの発現産物の発現量と比較することにより、当該皮膚のシミ形成の進行度若しくは改善度を把握することを特徴とする皮膚のシミ状況分析方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公表番号】特表2011−515649(P2011−515649A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525097(P2010−525097)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際出願番号】PCT/JP2009/051926
【国際公開番号】WO2009/110279
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】