説明

シャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置

【課題】シャッターカーテンの巻取軸を回転させるチェーンが切断したことを検出するためのセンサを、巻取軸の自由回転を止めるための回転止め手段との関係で合理的に配置できるシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置を提供すること。
【解決手段】シャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸に取り付けられた第1スプロケットホイール11は、駆動装置に取り付けられた第2スプロケットホイール12と及びチェーン13により回転し、チェーン13が切断すると、付勢手段でチェーン13に接触する接触部を有する回転止め手段70の回動部材75の係合部となっている突起部75Aが第1スプロケットホイール11に係合する。チェーン13の切断はセンサ85で検出され、回転止め手段70の付勢手段及び突起部75Aがチェーン13の内側に配置されているとともに、センサ85がチェーン13の外側に配置されている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置のシャッターカーテンを開閉移動させるための巻取軸を回転させるチェーンが切断したときに、シャッターカーテンが制御不能に急速異常降下することを防止するための装置に係り、例えば、出入口や窓等の開口部をシャッターカーテンで開閉するための開口部用シャッター装置や、シャッターカーテンで防災区画を形成するための防災用シャッター装置等の各種のシャッター装置に利用することができるものである。
【背景技術】
【0002】
出入口等の開口部をシャッターカーテンで開閉するための開口部用シャッター装置は、開閉移動方向が上下方向になっているシャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸と、巻取軸を回転させるための駆動装置になっている開閉機と、巻取軸に取り付けられた第1スプロケットホイールと、開閉機に取り付けられた第2スプロケットホイールと、第1スプロケットホイールと第2スプロケットホイールに架け回されたチェーンと、を備えている。開閉機の駆動力が第2スプロケットホイール、チェーン、第1スプロケットホイールを介して巻取軸に伝達されることにより、巻取軸は、シャッターカーテンを巻き取り、繰り出す回転を行い、これにより、シャッターカーテンは上下方向に開閉移動する。
【0003】
このような構造を有しているシャッター装置においては、チェーンが経年劣化や疲労破壊等によって切断すると、シャッターカーテンの自重が作用している巻取軸は自由回転し、シャッターカーテンが制御不能に急速異常降下することになるため、このような問題を解決するための手段が下記の特許文献1に示されている。
【0004】
この特許文献1では、巻取軸と一体に回転する回転部材となっているラチェットギヤをシャッター装置に設けるとともに、このシャッター装置の不動部材に、付勢手段であるばねでチェーンに接触する接触部となっているアイドラーと、ラチェットギヤに係合可能となっている係合部とを有しているストッパーを回動自在に設け、チェーンの切断時に、巻取軸の回転を止めるための回転止め手段となっているストッパーを、係合部がラチェットギヤに係合する側へ前記ばねで回動させることにより、係合部がラチェットギヤに係合することになり、これにより、巻取軸の自由回転でシャッターカーテンが制御不能に急速異常降下することを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平2−105494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来技術によると、チェーンの切断時において、巻取軸の自由回転でシャッターカーテンが制御不能に急速異常降下することを防止するためには、シャッター装置に、巻取軸と一体に回転するラチェットギヤを特別に設けなければならない。これによると、シャッター装置の部材点数が増加し、構造が複雑になる。
【0007】
本発明の目的は、シャッター装置の構造の簡単化を図りながら、チェーンの切断時に巻取軸の自由回転でシャッターカーテンが制御不能に急速異常降下することを防止することができるシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置は、上下方向が開閉移動方向になっているシャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸に取り付けられた第1スプロケットホイールと、前記巻取軸を回転させるための駆動装置に取り付けられた第2スプロケットホイールと、前記第1スプロケットホイールと前記第2スプロケットホイールに架け回されたチェーンと、このチェーンに付勢手段の付勢力で接触する接触部を有し、かつ、前記チェーンの切断時に、前記巻取軸と一体に回転する回転部材に前記付勢手段の付勢力で係合することによって前記巻取軸の回転を止めるための係合部を有している回転止め手段と、を備えているシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置において、前記回転部材が前記第1スプロケットホイールになっていることを特徴とするものである。
【0009】
この装置では、チェーンの切断時において、回転止め手段の係合部が係合することにより、巻取軸の自由回転でシャッターカーテンが急速異常降下することを防止するための回転部材は、巻取軸に取り付けられ、チェーンを介して駆動装置の駆動力を巻取軸に伝達するための第1スプロケットホイールになっている。このため、第1スプロケットホイールの兼用化により、シャッターカーテンの急速異常降下を防止することができ、これにより、シャッター装置の構造の簡単化を図ることができる。
【0010】
回転止め手段の係合部が係合する第1スプロケットホイールの部分は、第1スプロケットホイールの任意の部分でよい。その一例は、回転止め手段の係合部が係合する第1スプロケットホイールの部分を、第1スプロケットホイールの外周部の歯とすることである。これによると、歯は、第1スプロケットホイールにもともと形成されているものであるため、第1スプロケットホイールに特別の部材や部分を設けることなく、回転止め手段の係合部を第1スプロケットホイールに係合させることができる。
【0011】
また、シャッター装置に設ける第1スプロケットホイールの個数は1個でもよく、複数個でもよい。
【0012】
シャッター装置に設ける第1スプロケットホイールの個数を1個とする場合には、前記駆動装置に取り付けられた第2スプロケットホイールに前記チェーンを介して連結される第1スプロケットホイールに、チェーンの切断時において、回転止め手段の係合部を係合させることになる。
【0013】
また、シャッター装置に設ける第1スプロケットホイールの個数を複数個とする場合には、これらの第2スプロケットホイールを同軸的に結合配置するとともに、これらの第1スプロケットホイールのうちの1個の第1スプロケットホイールと第2スプロケットホイールに前記チェーンを架け回し、回転止め手段の係合部を、複数個の第1スプロケットホイールに係合させる。
【0014】
これによると、回転止め手段の係合部は複数個の第1スプロケットホイールに係合するため、回転止め手段の係合部から第1スプロケットホイールに作用するシャッターカーテン急速異常降下防止のための荷重を分散させることができ、これにより、シャッターカーテンの急速異常降下防止を大きな強度によって一層確実に行うことができる。
【0015】
また、第1スプロケットホイールと第2スプロケットホイールと回転止め手段は、巻取軸を回転自在に支持するブラケットに露出状態で配置してもよく、あるいは、これらの第1スプロケットホイールと第2スプロケットホイールと回転止め手段とを、巻取軸を回転自在に支持するブラケットに配置するとともに、このブラケットに、第1スプロケットホイールと第2スプロケットホイールとチェーンと回転止め手段とを前記ブラケットと共に覆うためのカバー構成体を取り付けてもよい。
【0016】
後者によると、例えば、シャッター装置が海岸に近い場所に建築された建物に設置されても、ブラケットとカバー構成体との間に配置されている第1スプロケットホイール、第2スプロケットホイール、チェーン、回転止め手段が塩害によって腐食することをブラケットとカバー構成体によって防止でき、また、これらの第1スプロケットホイール、第2スプロケットホイール、チェーン、回転止め手段を予期できない外部力から保護することもできる。
【0017】
このように、第1スプロケットホイールと第2スプロケットホイールと回転止め手段とをブラケットに配置するとともに、このブラケットに、第1スプロケットホイールと第2スプロケットホイールとチェーンと回転止め手段とをブラケットと共に覆うためのカバー構成体を取り付ける場合には、このカバー構成体には、ブラケットとカバー構成体との間に配置されている部材及び/又はブラケットとカバー構成体との間に配置されている部材の部分を視認するための少なくとも1個の窓孔を形成することが好ましい。
【0018】
これによると、ブラケットとカバー構成体との間に配置されている部材及び/又はブラケットとカバー構成体との間に配置されている部材の部分が、ブラケットとカバー構成体によって外部から遮蔽された状態になっていても、これらの部材、部分の状態を、カバー構成体に形成されている窓孔によって視認することができるため、これらの部材、部分についてのメインテナンス作業の必要性等の確認を容易に行うことができる。
【0019】
カバー構成体に形成されている窓孔によって視認されるものは、ブラケットとカバー構成体との間に配置されている部材及び/又はブラケットとカバー構成体との間に配置されている部材の部分であれば、任意なものでよい。その一例は、前述したチェーンであり、他の例は、前述した第1スプロケットホイールと、この第1スプロケットホイールと間隔を開けて対向している前述した回転止め手段の係合部と、であり、さらに他の例は、この回転止め手段の前述した接触部である。
【0020】
また、カバー構成体は1個の部材によって形成されてもよく、あるいは、カバー構成体を複数個のカバー部材によって構成し、それぞれのカバー部材を、前記ブラケットに個別に取り付け、取り外し可能としてもよい。
【0021】
後者によると、それぞれのカバー部材を、ブラケットに対して個別に取り付け、取り外すことができるため、メインテナンス作業等を実施するときに行うカバー構成体の取り付け、取り外し作業を、ブラケットに配置されている部材に影響されることなく容易に行えることになる。
【0022】
また、本発明において、前述の回転止め手段に設けられていて、チェーンに接触する接触部は、任意な構造、形状のものでよく、その一例は、チェーンが接触しながらスライド移動するスライド式のものであり、他の例は、チェーンと噛合し、チェーンの走行によって回転する歯車等の回転式のものである。
【0023】
さらに、本発明は、上下方向が開閉移動方向になっているシャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸に取り付けられた第1スプロケットホイールと、巻取軸を回転させるための駆動装置に取り付けられた第2スプロケットホイールと、第1スプロケットホイールと第2スプロケットホイールに架け回されたチェーンと、を備えているシャッター装置であれば、任意な用途に用いられる各種のシャッター装置に適用することができ、このシャッター装置は、例えば、出入口や窓等の開口部をシャッターカーテンで開閉するための開口部用シャッター装置でもよく、シャッターカーテンで防災区画を形成するための防災用シャッター装置でもよい。防災用シャッター装置には、エレベータや階段等の昇降手段の近辺の空間と、この空間を除く一般の室内空間との間をシャッターカーテンで遮断するための昇降手段用シャッター装置も含まれる。
【0024】
さらに、シャッターカーテンを形成する部材も任意であり、この部材はスラットでもよく、シートでもよく、互いにリンク部材で連結されたパイプでもよく、ネットでもよく、パネルでもよい。また、シャッターカーテンは、一種類の部材で形成されているのではなく、例えば、スラットとシートのように、異なる種類の部材の複合で形成されているものでもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、シャッター装置の構造の簡単化を図りながら、チェーンの切断時に巻取軸の自由回転でシャッターカーテンが制御不能に急速異常降下することを防止することができるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の係るシャッター装置の全体を示す正面図である。
【図2】図2は、巻取軸の側から見たブラケットとカバー構成体を示す側面図である。
【図3】図3は、図2で示されたカバー構成体を構成している第2〜第4カバー部材を取り外したときを示す図2と同様の図である。
【図4】図4は、図2で示されたブラケットとカバー構成体とを、図1と同じく、シャッターカーテンの前側から見た正面図である。
【図5】図5は、図4で示された棒状部材に駆動装置である開閉機を取り付けたときを示す図4と同様の図である。
【図6】図6は、図3で示された回転止め手段の拡大図である。
【図7】図7は、図6のS7−S7線断面図である。
【図8】図8は、チェーンが切断したときを示す図3と同様の図である。
【図9】図9は、図3で示した回転止め手段の接触部材等の向きを図3で示した向きとは逆の向きとした場合の実施形態を示す図3と同様の図である。
【図10】図10は、第2スプロケットホイールの個数を2個とした実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係るシャッター装置は、上下方向が開閉移動方向になっているシャッターカーテンによって出入口等の開口部を開閉するための開口部用シャッター装置である。
【0028】
図1には、本実施形態に係る開口部用シャッター装置の正面図が示されており、このシャッター装置のシャッターカーテン1で開閉される出入口等の開口部2の左右両側には、壁や柱等の建物躯体3に取り付けられた左右一対のガイドレール4が設けられ、これらのガイドレール4の内部に、シャッターカーテン1の左右方向である幅方向の両端部がスライド自在に挿入され、このシャッターカーテン1はガイドレール4に案内されて上下方向に開閉移動する。開口部2の上側にはシャッターケース5が配置され、このシャッターケース5の内部に、シャッターカーテン1の上端部が結合された巻取軸6が収納され、この巻取軸6の正逆回転により、シャッターカーテン1は、巻取軸6による巻き取り、繰り出しによって上下方向の開閉移動を行う。
【0029】
巻取軸6は、シャッターケース5の左右両側の側面部材を形成している一対のブラケット7,8に回転自在に水平に架設されている。また、シャッターケース5の内部には、巻取軸6に取り付けられた第1スプロケットホイール11と、巻取軸6を正逆回転させるための駆動装置になっている開閉機9と、この開閉機9に取り付けられた第2スプロケットホイール12と、第1スプロケットホイール11と第2スプロケットホイール12に架け回されたチェーン13とが収納されている。開閉機9は、電動モータとブレーキとの組み合わせからなり、電動モータの駆動軸に第2スプロケットホイール12が取り付けられているため、電動モータの駆動軸の正逆回転が第2スプロケットホイール12、チェーン13、第1スプロケットホイール11を介して巻取軸6に伝達され、これにより、シャッターケース5の下面部に形成されたスリットに上下に挿通されているシャッターカーテン1は、前述したように上下方向に開閉移動する。
【0030】
シャッターカーテン1の最下部に設けられている座板1Aがシャッターケース5の下面部に達しているシャッターカーテン1の全開時や、座板1Aが開口部2の床2Aに達しているシャッターカーテン1の全閉時、さらには、シャッターカーテン1が全開位置と全閉位置との間の途中位置に停止しているときには、開閉機9のブレーキはオンとなっており、これにより、シャッターカーテン1は全開位置や全閉位置、途中位置に停止している。シャッターカーテン1が全開位置や途中位置に停止しているときに、図示しないスイッチ装置の「閉」ボタンをオン操作すると、ブレーキはオフとなって開閉機9の電動モータが正回転し、このため、正回転する巻取軸6からシャッターカーテン1が繰り出され、シャッターカーテン1は下方へ閉じ移動する。また、シャッターカーテン1が全閉位置や途中位置に停止しているときに、スイッチ装置の「開」ボタンをオン操作すると、ブレーキはオフとなって開閉機9の電動モータが逆回転し、このため、逆回転する巻取軸6にシャッターカーテン1は巻き取られ、シャッターカーテン1は上方へ開き移動する。また、閉じ移動又は開き移動したシャッターカーテン1が全開位置又は全閉位置に達すると、これらの位置を検知した図示しないセンサからの信号で開閉機9の電動モータが停止するとともに、開閉機9のブレーキはオンとなる。さらに、シャッターカーテン1が閉じ移動又は開き移動している途中において、スイッチ装置の「停」ボタンをオン操作すると、開閉機9の電動モータが停止するとともに、開閉機9のブレーキはオンとなり、これにより、シャッターカーテン1は全開位置と全閉位置との間の途中位置に停止する。
【0031】
なお、巻取軸6に対する開閉機9の配置位置は、図1から分かるように、シャッターカーテン1の厚さ方向を前後方向とすると、巻取軸6よりも手前側である前側の位置となっている。
【0032】
図1に示されているように、上述の第1スプロケットホイール11と第2スプロケットホイール12とチェーン13は、シャッターケース5を構成している前述の一対のブラケット7,8のうち、ブラケット7に近い位置に配置されている。また、ブラケット7には、シャッターケース5の内部において、カバー構成体10が取り付けられており、これらのブラケット7とカバー構成体10との間に、第1スプロケットホイール11と第2スプロケットホイール12とチェーン13が配置されている。このため、これらの第1スプロケットホイール11と第2スプロケットホイール12とチェーン13は、ブラケット7とカバー構成体10とによって覆われている。
【0033】
図2は、ブラケット7とカバー構成体10を示す図であって、巻取軸6の側から見たこれらのブラケット7とカバー構成体10の側面図である。カバー構成体10は、4個の第1〜第4カバー部材21〜24で構成され、これらのカバー部材21〜24は、ブラケット7と同じく、板金の折り曲げ品である。また、これらのカバー部材21〜24のうち、第1カバー部材21は、シャッターカーテン1の厚さ方向を前後方向とすると、ブラケット7の略半分となっているブラケット7の後側部分と対向する面積を有している。そして、第2〜第4カバー部材22〜24は、ブラケット7の前側部分と対向して配置されているとともに、第2カバー部材22は、ブラケット7の前側部分のうちの上側部分と、第3カバー部材23は、ブラケット7の前側部分のうちの上下中間部分と、第4カバー部材24は、ブラケット7の前側部分のうちの下側部分と、それぞれ対向して配置されている。
【0034】
第1カバー部材21は、ブラケット7の突片部7A,7B,7Cにビス等の止着具30〜32で止着され、第2カバー部材22は、ブラケット7の突片部7B,7Dにビス等の止着具33,34で止着され、第4カバー部材24は、ブラケット7の突片部7C,7Eにビス等の止着具35,36で止着されている。
【0035】
図3は、第2〜第4カバー部材22〜24を取り外したときを示す図2と同様の図である。この図3に示されているように、第1カバー部材21には、ブラケット7側へ少し折り曲げられた突片部21Aが形成され、この突片部21Aにおいても第1カバー部材21はブラケット7にビス等の止着具37で止着されている。また、図2に示されているとおり、第3カバー部材23はこの止着具37でブラケット7に止着され、さらに、第3カバー部材23は、この第3カバー部材23のブラケット7側へ少し折り曲げられた突片部23Aにおいて、ビス等の止着具38で第2カバー部材22に止着されているとともに、第3カバー部材23は、第4カバー部材24にブラケット7側へ少し折り曲げられて形成されている突片部24Aにおいて、ビス等の止着具39で第4カバー部材24に止着されている。
【0036】
さらに、図2に示されているように、第3カバー部材23は、ビス等の止着具40,41によっても間接的にブラケット7に止着されている。これらの止着具40,41は、図3及び図6による後述の説明で分かるように、ブラケット7とカバー構成体10との間の空間に配置される本実施形態に係る回転止め手段70のために用いられるものでもある。
【0037】
また、図2に示されているように、第3カバー部材23には、3個の第1〜第3窓孔51〜53が形成され、これらの窓孔51〜53を通してブラケット7とカバー構成体10との間の空間部を覗くことができるようになっている。
【0038】
さらに、図2に示されているように、第1カバー部材21には、前述した巻取軸6におけるブラケット7側の中心軸6Aが露出する孔54が形成され、この中心軸6Aに前述した第1スプロケットホイール11が結合されているとともに、中心軸6Aの巻取軸6側の端部の外周部には、巻取軸6と凹凸嵌合して中心軸6Aと巻取軸6とを連結一体化するためのカップリング部6Bが形成されている。このカップリング部6Bで中心軸6Aと巻取軸6とが連結一体化されることにより、ブラケット7で回転自在に支持されていて、第1カバー部材21に設けられている軸受け部材20でも回転自在に支持されている中心軸6A(図1も参照)を中心として、巻取軸6と第1スプロケットホイール11とが一体となって回転する。
【0039】
また、第4カバー部材24には、前述した第2スプロケットホイール12の中心軸になっている軸部材12Aが露出する孔55が形成され、この軸部材12Aの前述した開閉機9側の端部の外周部には、開閉機9の電動モータの駆動軸9A(図5を参照)と凹凸嵌合して軸部材12Aと駆動軸9Aとを連結一体化するためのカップリング部12Bが形成されている。このカップリング部12Bで軸部材12Aと駆動軸9Aとが連結一体化されることにより、第2スプロケットホイール12は、ブラケット7で回転自在に支持されている軸部材12A(図1も参照)を中心として、開閉機9の電動モータの駆動力で回転する。
【0040】
さらに、図3に示されているように、ブラケット7には、開閉機9側へ延びる丸棒状の3本の棒状部材56〜58が結合され、図2に示されているとおり、第4カバー部材24には、これらの棒状部材56〜58を第4カバー部材24に貫通させて開閉機9まで到達させるための欠部や孔による貫通部59〜61が形成されている。図4及び図5は、図2のブラケット7とカバー構成体10とを、図1と同じく、シャッターカーテン1の前側から見た正面図であり、図5には、棒状部材56〜58が、図2の貫通部59〜61によって第4カバー部材24を貫通して開閉機9まで到達している状態が示されている。図4は、開閉機9の取り付け前を示しており、図5は、開閉機9の取り付け後を示している。
【0041】
図4に示されているように、棒状部材56の開閉機9側の端部には、開閉機9側へ延びる細径のねじ軸部56Aが形成され、棒状部材57,58の開閉機9側の端部には、開閉機9側とは反対側へ延びるねじ穴57A,58Aが形成されている。
【0042】
また、図2に示されているとおり、第4カバー部材24には、開閉機9側へ延びる丸棒状の棒状部材62が取り付けられ、この棒状部材62の開閉機9側の端部には、開閉機9側とは反対側へ延びるねじ穴62Aが形成されている。
【0043】
図5に示すように、開閉機9に設けられているフランジ部9Bの孔にねじ部材63を挿入し、これらのねじ部材63を棒状部材57,58,62のねじ穴57A,58A,62Aに螺入することにより、開閉機9は棒状部材57,58,62に取り付けられる。この取り付けが行われるときに、前述したように第2スプロケットホイール12の中心軸になっている軸部材12Aと、開閉機9の電動モータの駆動軸9Aとが、カップリング部12Bによって連結一体化される。
【0044】
また、棒状部材56のねじ軸部56Aは、ねじ部材63によって開閉機9を棒状部材57,58,62に取り付けるまで、棒状部材56に開閉機9を仮止め状態にしておくために用いられる。すなわち、開閉機9のフランジ部9Bに形成されている図5の孔9Cにねじ軸部56Aを挿入することにより、棒状部材56に開閉機9を仮止め状態にしておくことができ、この仮止め状態にした後、フランジ部9Bの孔に挿入したねじ部材63によって開閉機9を棒状部材57,58,62に取り付けるとともに、フランジ部9Bから突出したねじ軸部56Aにナット56Bを螺合して締め付ける。これによると、ねじ部材63及びナット56Bによって開閉機9を棒状部材56〜58,62に取り付けるまで、開閉機9の重量を棒状部材56のねじ軸部56Aで支持しておくことができるため、棒状部材56〜58,62への開閉機9の取付作業を一人の作業者によって行うことができる。
【0045】
また、3本の棒状部材57,58,62のうち、1本の棒状部材62は、ブラケット7ではなく、第4カバー部材24に設けられているため、この棒状部材62をブラケット7に設けた場合に、棒状部材62の配置位置が、ブラケット7と第4カバー部材24との間に配置される部材(本実施形態では前述したチェーン13や第2スプロケットホイール12等)と干渉してしまう位置となっていても、この干渉をなくして棒状部材62の配置を行える。
【0046】
図3に示されているように、ブラケット7には、第1スプロケットホイール11と第2スプロケットホイール12との間において、チェーン13の切断時にシャッターカーテン1の自重による巻取軸6の自由回転を止め、シャッターカーテン1の急速異常降下を防止するための回転止め手段70が配置されている。このため、図1で示したブラケット8と共に巻取軸6を回転自在に支持しているブラケット7には、第1スプロケットホイール11と第2スプロケットホイール12と回転止め手段70とが配置されていることになる。また、この回転止め手段70は、図3で示されているとおり、第1スプロケットホイール11と第2スプロケットホイール12に架け回されているチェーン13の内側に配置されている。
【0047】
図6には、回転止め手段70の拡大図が示されている。この回転止め手段70は、ブラケット7に複数個のビス等の止着具71で止着されたベース部材72と、このベース部材72に2個形成され、それぞれが開閉機9側へ、言い換えると巻取軸6側へ棒状となって突出している柱部72Aと、これらの柱部72Aに、図2で説明した止着具40,41で取り付けられた覆い部材73と、柱部72Aの高さ寸法と対応する厚さ寸法を有し、ベース部材72と覆い部材73との間において、中心軸74を中心に回動自在に配置された回動部材75と、を含んで構成されている。中心軸74は、この中心軸74の一方の端部が挿入される孔がブラケット7に形成されているため、ブラケット7によって支持されているとともに、図2で示されている前述の第3カバー部材23には、中心軸74の他方の端部が挿入される孔76が形成されているため、中心軸74は第3カバー部材23によっても支持されている。すなわち、中心軸74は、ブラケット7と第3カバー部材23とによって両持ち状態で支持されている。なお、この中心軸74は、回動部材75の筒状の胴部75Aに挿通されている。
【0048】
また、図3に示されているように、回動部材75には、第1スプロケットホイール11と対向する箇所において、第1スプロケットホイール11側へ突出した突起部75Bが形成されている。そして、回転止め手段70には、図6に示されているように、回動部材75に回動付勢力を常時付与している付勢手段となっているねじりコイルばね77が設けられ、このばね77は、回動部材75の突起部75Bを第1スプロケットホイール11の外周部に形成されている歯11A(図3を参照)に係合させる側へ回動部材75を中心軸74を中心に回動付勢している。ばね77の一端部77Aは、ベース部材72の柱部72Aに係止され、他端部77Bは回動部材75に係止され、コイル部77Cは回動部材75の胴部75Aの周囲に巻回されている。
【0049】
突起部75Bは、チェーン13の切断時に、第1スプロケットホイール11の歯11Aに係合することにより、巻取軸6の自由回転を止め、シャッターカーテン1の急速異常降下を防止するための本実施形態における係合部となっている。この突起部75Bは、第1スプロケットホイール11の歯11Aよりも大きな厚さ寸法で形成することが好ましく、また、歯11Aへの突起部75Bの係合は、歯11Aの厚さ中央部と突起部75Bの厚さ中央部とが一致又は略一致して行われるように設定することが好ましい。
【0050】
図6に示されているとおり、回動部材75には、開口部78Aを有する断面チャンネル状の接触部材78がビス等によるピン部材79で揺動自在に取り付けられ、この接触部材78の開口部78Aの内部に、図3に示されているように、チェーン13が挿入されている。言い換えると、接触部材78は、チェーン13に対してこのチェーン13を跨いだ状態で配置されていて、チェーン13がスライド移動できるスライド式のものとなっている。図7は、図6のS7−S7線断面図であり、この図7に示されているように、接触部材78の開口部78Aの内面部には、この開口部78Aの内部をスライド移動するチェーン13との接触摩擦を軽減し、チェーン13が開口部78Aを円滑に通過できるようにするための滑り体80が取り付けられている。
【0051】
本実施形態の滑り体80は、断面チャンネル状の接触部材78を形成している両側の側部78B,78Cと、これらの側部78B,78Cを連結している連結部78Dとのうち、一方の側部78B及び連結部78Dに配置された第1滑り部材81と、他方の側部78Cに配置された第2滑り部材82とからなり、これらの滑り部材81,82は、滑り部材81,82に設けられた突部81A,82Aが側部78B、78Cに形成された孔部78E,78Fに圧入されているため、滑り部材81,82は、接触部材78に着脱自在に、言い換えると交換自在に取り付けられている。
【0052】
すなわち、走行するチェーン13との接触によって滑り部材81,82が所定量以上に摩滅したときには、これらの滑り部材81,82を交換することができる。また、滑り部材82を接触部材78から取り外すことにより、回動部材75の突起部75Bが第1スプロケットホイール11の歯11Aに係合することを確認するための作業を行うことができるようになっている。このために、滑り部材82の厚さ寸法は、回動部材75が中心軸74を中心に回動することにより、第1スプロケットホイール11の歯11Aから離れていた突起部75Bがこの歯11Aに係合するまでの回動部材75の回動ストロークと対応する寸法又はこれよりも大きい寸法に設定されている。
【0053】
滑り部材81,82は、例えば、ウレタン等の硬質合成樹脂で形成されており、これらの滑り部材81,82を含油硬質合成樹脂で形成してもよい。また、滑り体80を1個の滑り部材で形成してもよい。
【0054】
また、図6に示されているとおり、滑り部材81,82におけるチェーン13の走行方向の両側の端部には、接触部材78の開口部78Aの内側から外側へ向かうにしたがって斜め外側へ傾斜しているテーパー部81B,81C,82B,82Cが形成されている。このため、前述した第1スプロケットホイール11及び第2スプロケットホイール12が正逆回転してチェーン13が走行したとき、チェーン13は接触部材78の開口部78Aに対して円滑に出入りできることになる。
【0055】
以上の接触部材78は、本実施形態の回転止め手段70におけるチェーン13と接触する接触部となっており、この接触部材78の滑り部材82は、図6で示したばね77により、チェーン13と接触する側へ付勢されている。そして、接触部材78は、回動部材75にピン部材79で揺動自在に連結されているため、接触部材78はチェーン13の振れ運動等に追従することができる。
【0056】
なお、回動手段70の回動部材75には上述したねじりコイルばね77による付勢力が常時作用しており、この付勢力は、図3及び図6において、回動部材75及び接触部材78を中心軸74を中心に時計回りの方向へ回動させようとするものであるため、接触部材78は、滑り体80を介して無端チェーンとなっているチェーン13に外側から内側に向かって接触している。
【0057】
また、このように接触部材78は、ねじりコイルばね77によって滑り体80を介してチェーン13に外側から内側に向かって押し付けられているため、この押し付け力により、チェーン13は第1及び第2スプロケットホイール11,12に深く噛み込むことになり、これによって通常時のチェーン13の張力が確保されているとともに、第1及び第2スプロケットホイール11,12からのチェーン13の外れが抑制されている。
【0058】
そして、接触部材78の配置位置は、チェーン13の切断後においても第2スプロケットホイール12と干渉しない位置となっている。
【0059】
図3に示されているように、ブラケット7には、チェーン13の切断時に作動し、チェーン13の切断に関する信号を送信するセンサ85が取り付けられている。そして、回転止め手段70の回動部材75には、センサ85の可動部85Aを起動させるための起動部材86が取り付けられている。この起動部材86は、図6に示されているように、回動部材75に基端部がビス等の止着具87で止着されたアーム部86Aと、このアーム部86Aの先端部に設けられた起動部86Bとを有する。図3において、チェーン13の切断時に、回動部材75が中心軸74を中心に時計回りの方向に回動することにより、起動部86Bがセンサ85の可動部85Aに当接してこの可動部85Aを作動させ、これにより、センサ85からチェーン13の切断に関する信号が送信されるようになっている。
【0060】
また、図3に示されているように、ブラケット7には、第1スプロケットホイール11と第2スプロケットホイール12に架け回されているチェーン13の外側において、アングル材によるガード部材88が取り付けられている。このガード部材88は、後述の説明で分かるように、チェーン13が切断したときに、チェーン13が外側へ跳ね上がってブラケット7等に配置されている部材が損傷することを防止するためなどの目的でブラケット7に配置されている。本実施形態では、このガード部材88は、センサ85の両側に2個配置されているが、センサ85の配置位置を、例えば、第2スプロケットホイール12の近辺の位置とすることにより、これらのガード部材88の代わりに、1個のガード部材88よりも長い長さとなったガード部材をブラケット7に取り付けてもよい。
【0061】
図2に示されているように、ブラケット7に第1カバー部材21を取り付け、さらに第2〜第4カバー部材22〜24も取り付けた場合には、第3カバー部材23に形成されている前述した第1〜第3窓孔51〜53のうち、第1窓孔51の位置は、チェーン13の配置位置と対応しており、第2窓孔52の位置は、第1スプロケットホイール11の歯11Aと、この歯11Aと間隔を開けて対向している回転止め手段70の回動部材75の突起部75Bとの配置位置と対応しており、第3窓孔53の位置は、回転止め手段70の接触部材78の配置位置と対応している。このため、前述した開閉機9の電動モータにより、第2スプロケットホイール12、チェーン13及び第1スプロケットホイール11を介して巻取軸6を正逆回転させ、シャッターカーテン1の開閉移動を所定期間等行った後に、開閉機9を前述した棒状部材56〜58、62から取り外すことにより、又は、開閉機9は第4カバー部材24と対応する位置に配置され、第1〜第3窓孔51〜53は第3カバー部材23に形成されているため、開閉機9を棒状部材56〜58、62から取り外さないことにより、第1窓孔51からチェーン13の状態、例えば、チェーン13が許容できないまで経年劣化等しているか否かの状態を視認でき、第2窓孔52から、第1スプロケットホイール11の歯11Aと、回転止め手段70の回動部材75の突起部75Bとの間の間隔が、許容できる適正範囲内の量に維持されている状態になっているか否かを視認でき、第3窓孔53から回転止め手段70の接触部材78の状態、特に、前述の滑り体80の摩滅状態を視認できる。
【0062】
これらの視認によって確認することができる状態が、許容できない状態まで進行している場合には、前述したカバー構成体10を構成している第2〜第4カバー部材22〜24をブラケット7から取り外すことにより、チェーン13の交換作業、回転止め手段70の回動部材75の調整作業や交換作業、接触部材78や滑り体80の交換作業等を行うことができる。
【0063】
そして、カバー構成体10は、第1〜第4カバー部材21〜24によって構成され、これらのカバー部材21〜24はブラケット7に対して個別に取り付け、取り外し可能になっているため、カバー構成体10の近くに巻取軸6や開閉機9が配置される構造になっていても、巻取軸6や開閉機9を取り外したり、あるいは、取り外さないことにより、上記調整作業や交換作業等を行うために必要なカバー部材だけを取り外すことができ、これらの調整作業や交換作業等を容易に行うことができる。
【0064】
特に、開閉機9が取り付けられている前述の棒状部材56〜58は、第1〜第4カバー部材21〜24のうち、第4カバー部材24と対応する位置に配置されているため、開閉機9を棒状部材56〜58から取り外すことはなく、上記の調整作業や交換作業を行うときには、第1〜第3カバー部材21〜23を、又は第2及び第3カバー部材22,23を、又は第2カバー部材22を、又は第3カバー部材23を、ブラケット7から取り外すことにより、これらの作業等を行うことができる。
【0065】
また、第3カバー部材23を取り外すときには、図2、図3及び図6で示した止着具40,41を取り外すことになり、これらの止着具40,41は図6の回転止め手段70の覆い部材73をベース部材72に取り付けていたものであるため、止着具40,41の取り外しによって覆い部材73の取り外しも行える。これにより、図6の止着具87で起動部材86が止着されていた回動部材75が露出することになり、このため、回動部材75についての調整作業や交換作業等を容易に行うことができ、また、起動部材86についての調整作業や交換作業等も容易に行うことができ、さらに、ピン部材79で回動部材75に取り付けられていた接触部材78や、この接触部材78に取り付けられている滑り体80についての調整作業や交換作業等も容易に行うことができる。
【0066】
なお、ブラケット7に第1〜第4カバー部材21〜24を取り付けている図2の止着具30〜37や、第3カバー部材23を第2及び第4カバー部材22,24に取り付けている図2の止着具38,39は、ブラケット7と第1〜第4カバー部材21〜24との間の空間に配置されている第1スプロケットホイール11、第2スプロケットホイール12、チェーン13、回転止め手段70、センサ85等と干渉しない位置に配置されているため、これらの止着具30〜39によるブラケット7へのカバー部材21〜24の取付作業や、第3カバー部材23の第2及び第4カバー部材22,24への取付作業を支障なく行える。
【0067】
さらに、本実施形態では、前述した回転止め手段70は、ベース部材72と、覆い部材73と、これらのベース部材72と覆い部材73の間に配置された回動部材75と、この回動部材75の筒状の胴部75Aに挿通された中心軸74と、回動部材75に取り付けられた接触部材78と、回動部材75に取り付けられた起動部材86と、回動部材75を中心軸74を中心に、この回動部材75の突起部75Bを第1スプロケットホイール11の歯11Aに係合させる側へ回動付勢するばね77と、によって構成され、ばね77の一端部77Aは、ベース部材72の柱部72Aに係止され、他端部77Bは回動部材75に係止され、コイル部77Cは回動部材75の胴部75Aの周囲に巻回されているため、回転止め手段70は、全体がユニット化された構造となっている。
【0068】
このため、回転止め手段70の全体の交換作業等を行う場合には、この回転止め手段70をユニットとして取り扱うことができるため、交換作業等を容易に行える。
【0069】
また、前述した第1スプロケットホイール11、第2スプロケットホイール12、チェーン13、回転止め手段70、センサ85等は、ブラケット7と、このブラケット7に取り付けられた第1〜第4カバー部材21〜24で構成されるカバー構成体10とによって覆われた状態になっている。このため、シャッター装置が海岸に近い場所に建築された建物に設置されていても、これらの第1スプロケットホイール11、第2スプロケットホイール12、チェーン13等が塩害によって腐食することを防止でき、また、これらの第1スプロケットホイール11、第2スプロケットホイール12、チェーン13を予期できない外部力から保護することもできる。
【0070】
特に、図2に示されているように、第1〜第4カバー部材21〜24には、ブラケット7側へ折り曲げられた折曲部21H〜24Hが形成されているとともに、ブラケット7の四周辺の縁部には、カバー部材21〜24側へ折り曲げられた折曲部7H〜7Kが形成されているため、第1スプロケットホイール11、第2スプロケットホイール12、チェーン13等は、ブラケット7とカバー部材21〜24とで形成される略密閉空間に収納されていることになる。このため、第1スプロケットホイール11、第2スプロケットホイール12、チェーン13等についての塩害による腐食の防止や、予期できない外部力からの保護を一層有効に達成することができる。
【0071】
図8は、開閉機9の電動モータにより、巻取軸6を正逆回転させてシャッターカーテン1の開閉移動を行っているときに、チェーン13が、例えば、経年劣化や疲労破壊等で切断したときを示している。この図8では、理解の便宜上、第2〜第4カバー部材22〜24を取り外して示している。チェーン13が切断すると、チェーン13は張力を消失し、これにより、チェーン13によって規制されていた前述のばね77による接触部材78の中心軸74を中心とした回動が解除されるため、回転止め手段70の回動部材75は、ばね77のばね力により、図3及び図8において、中心軸74を中心に時計回りの方向へ回動する。このため、回動部材75の突起部75Bは、第1スプロケットホイール11の歯11Aに係合し、この係合により、第1スプロケットホイール11と連結されている巻取軸6が、シャッターカーテン1の自重によって図8のA方向へ自由回転することが阻止され、シャッターカーテン1が制御不能に急速異常降下することが防止される。
【0072】
また、回動部材75の突起部75Bが係合する第1スプロケットホイール11の部分は、第1スプロケットホイール11の外周部の歯11Aであり、この歯11Aは、第1スプロケットホイール11にもともと形成されているものであるため、第1スプロケットホイール11に特別の部材や部分を設けることなく、回動部材75の突起部75Bを第1スプロケットホイール11に係合させることができる。
【0073】
さらに、第1スプロケットホイール11の回転中心部から第1スプロケットホイール11の歯11Aまでの距離と、回動部材75の回動中心部となっている中心軸74の中心部から回動部材75の突起部75Bの先端までの距離と、の合計は、第1スプロケットホイール11の回転中心部から中心軸74の中心部までの距離よりも長くなっている。また、第1スプロケットホイール11の回転中心部から突起部75Bが歯11Aに係合する位置まで引いた線分は、第1スプロケットホイール11の回転中心部から中心軸74まで引いた線分に対して、巻取軸6の図8で示された回転方向Aとは反対側への角度をなしている。このため、巻取軸6がA方向へ回転しようとすると、回動部材75の突起部75Bは歯11Aに一層深く係合することになり、このため、巻取軸6の自由回転の阻止によるシャッターカーテン1の急速異常降下防止を、回転止め手段70によって有効に達成することができる。
【0074】
また、第1スプロケットホイール11の歯11A同士の間の谷部は、ラウンド形状のU字状になっているとともに、この谷部に侵入する突起部75Bの先端もラウンド形状となっているため、歯11Aに突起部75Bが係合することは、大きな接触面積により、集中荷重の発生を抑えて実施されることになり、これにより、第1スプロケットホイール11及び巻取軸6の回転止めを一層確実に行える。
【0075】
また、チェーン13が切断すると、回動部材75に連結されている起動部材86も中心軸74を中心に回動するため、図8に示されているように、この起動部材86の起動部86Bがセンサ85の可動部85Aを作動させ、これにより、センサ85からの信号によって前述の開閉機9の電動モータを駆動させるための電気回路が遮断される。すなわち、第1スプロケットホイール11の歯11Aに回動部材75の突起部75Bが係合すると、巻取軸6は図8のA方向へは回転できないが、巻取軸6はシャッターカーテン1を巻き上げる方向である、A方向と逆方向へは回転できるため、切断したチェーン13がまだ架け回されている第1及び第2スプロケットホイール11,12を介して、開閉機9の電動モータが巻取軸6をA方向と逆方向へ回転させることがないようにするために、センサ85からの信号により、電動モータを駆動させるための電気回路を遮断する。
【0076】
なお、センサ85からの信号によって異常発生報知装置を作動させ、シャッター装置の管理者やシャッター装置の周辺の人達にチェーン13の切断を報知するようにしてもよい。
【0077】
また、チェーン13が切断した場合には、この切断したチェーン13が外側へ跳ね上がることは、ガード部材88によって防止されるため、外側へ跳ね上がったチェーン13によってブラケット7等に配置されている部材が損傷することを防止することができ、また、切断したチェーン13が第1及び第2スプロケットホイール11,12から外れることもガード部材88によって抑制することができる。
【0078】
また、切断したチェーン13が外側へ跳ね上がった場合には、この跳ね上がりにより、接触部材78及び回動部材75が中心軸74を中心に図3において時計回りの方向に回動することが遅れ、これによって回動部材75の突起部75Bが第1スプロケットホイール11の歯11Aに係合するまでにタイムラグが生ずるおそれがあるが、チェーン13の外側への跳ね上がりがガード部材88で防止されることにより、チェーン13の切断後、瞬時に回動部材75の突起部75Bを第1スプロケットホイール11の歯11Aに係合させ、巻取軸6の自由回転の阻止によってシャッターカーテン1の急速異常降下を防止することができる。
【0079】
以上説明した実施形態では、図3に示されているように、起動部材86のアーム部86Aはチェーン13とブラケット7との間を通っていたが、図9の実施形態では、このアーム部86Aをチェーン13と第3カバー部材23との間を通すようにした。また、図3に示されているように、前述した実施形態では、回転止め手段70の接触部材78は、チェーン13とブラケット7との間を通っていたが、図9の実施形態では、接触部材78を、チェーン13と第3カバー部材23との間を通すようにした。すなわち、図9の実施形態における接触部材78は第3カバー部材23の側からチェーン13に被せられ、これにより、接触部材78の開口部78Aの内部にチェーン13が挿入されている。
【0080】
この図9の実施形態によると、第3カバー部材23又は第2〜第4カバー部材22〜24を取り外して行う起動部材86、接触部材78、滑り体80の交換作業等を、チェーン13が邪魔にならずに容易に行うことができる。
【0081】
図10は、巻取軸に取り付けられる第1スプロケットホイール111の個数を2個とし、これらの第1スプロケットホイール111を同軸的に結合配置した実施形態を示している。この実施形態では、2個の第1スプロケットホイール111のうち、1個の第1スプロケットホイール111と、開閉機の電動モータの駆動軸に連結された第2スプロケットホイールとにチェーン113が架け回される。また、回転止め手段170の回動部材175は、2個の第1スプロケットホイール111に跨る大きさを有する。
【0082】
このため、チェーン113が切断したときには、回転止め手段170の係合部になっている回動部材175の突起部175Bが、2個の第1スプロケットホイール111の歯に係合することになる。
【0083】
この実施形態によると、回動部材175の突起部175Bは2個の第1スプロケットホイール111の歯に同時に係合するため、回動部材175の突起部175Bから第1スプロケットホイール111に作用するシャッターカーテン急速異常降下防止のための荷重を分散させることができ、これにより、シャッターカーテンの急速異常降下防止を大きな強度によって一層確実に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、巻取軸に第1スプロケットホイールが取り付けられ、巻取軸を回転させるための駆動装置に第2スプロケットホイールが取り付けられ、これらのスプロケットホイールがチェーンで連結されるシャッター装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 シャッターカーテン
6 巻取軸
7 ブラケット
9 駆動装置である開閉機
10 カバー構成体
11,111 第1スプロケットホイール
11A 歯
12 第2スプロケットホイール
13 チェーン
21〜24 第1〜第4カバー部材
51〜53 第1〜第3窓孔
70 回転止め手段
75,175 回動部材
75B,175B 係合部である突起部
77 付勢手段であるばね
78 接触部である接触部材
85 センサ
85A 可動部
86 起動部材
86A アーム部
86B 起動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向が開閉移動方向になっているシャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸に取り付けられた第1スプロケットホイールと、前記巻取軸を回転させるための駆動装置に取り付けられた第2スプロケットホイールと、前記第1スプロケットホイールと前記第2スプロケットホイールに架け回されたチェーンと、このチェーンに付勢手段の付勢力で接触する接触部を有し、かつ、前記チェーンの切断時に、前記巻取軸と一体に回転する前記第1スプロケットに前記付勢手段の付勢力で係合することによって前記巻取軸の回転を止めるための係合部を有している回転止め手段と、を備えているシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置であって、
前記チェーンの切断を検出するセンサを備えており、前記回転止め手段は、中心軸を中心に回動自在となった回動部材を含んで構成され、この回動部材に前記係合部が設けられ、前記中心軸及び前記回動部材が前記チェーンの内側に配置されているとともに、前記センサが前記チェーンの外側に配置されていることを特徴とするシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置において、前記付勢手段は、前記中心軸の外周に配置されたねじりコイルばねであり、このねじりコイルばねも前記チェーンの内側に配置されていることを特徴とするシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置において、前記センサは可動部を有し、前記回動部材に、前記可動部を起動させるための起動部材が取り付けられていることを特徴とするシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置において、前記起動部材は、前記回動部材に基端部が止着され、前記チェーンの内側から外側に達する長さとなっているアーム部と、このアーム部の先端部に設けられた起動部とを有することを特徴とするシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置。
【請求項5】
請求項4に記載のシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置において、前記巻取軸と前記第1スプロケットホイールはブラケットで回転自在に支持されているとともに、このブラケットには、前記回転止め手段を前記ブラケットと共に覆うカバー構成体が取り外し可能に取り付けられ、前記起動部材は、前記アーム部が前記チェーンと前記カバー構成体との間に配置されて前記基端部が前記回動部材に止着可能となっていることを特徴とするシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置において、前記チェーンの外側に、切断した前記チェーンが外側に跳ね上がることを防止するためのガード部材が配置されていることを特徴とするシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置。
【請求項7】
請求項6に記載のシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置において、前記ガード部材は、前記センサに対し前記チェーンの走行方向両側に配置されていることを特徴とするシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置において、前記駆動装置は、前記第2スプロケットホイールを駆動させる電動モータを有し、この電動モータを駆動させるための電気回路が、前記チェーンの切断時の前記センサからの信号で遮断されることを特徴とするシャッター装置のシャッターカーテン急速異常降下防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−246757(P2012−246757A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204015(P2012−204015)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2008−150059(P2008−150059)の分割
【原出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】