説明

シャッター装置

【課題】移動光学系の重量を軽減でき、かつ、シャッター羽根の駆動源(アクチュエータ)への電力供給系の長寿命化を図れるシャッター装置を提供する。
【解決手段】レンズ枠13に立設された支軸2にシャッター羽根1が回動自在に支持され、該シャッター羽根1にはスライド係合部3が設けられる一方、撮像装置の本体側には、シャッター羽根1を回動動作させるための駆動源4が設けられ、該駆動源4の出力軸8には、光軸方向に延びる羽根操作軸5が設けられ、該羽根操作軸5に対して、スライド係合部3を、光軸方向にスライド自在となるように係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯電話機やパソコン等に付設されるズーム機能を備えた撮像装置に設けられるシャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ズーム機能を備えた撮像装置では、シャッター装置が移動光学系に設けられることが多い。例えば、ズーム鏡胴内に、カム機構を介して光軸方向に移動自在な前群レンズユニットと後群レンズユニットを備え、その前群レンズユニットを保持する前群支持枠の上部にシャッター羽根とアクチュエータを備えたシャッター装置を設けた構成のカメラが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−177693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように、アクチュエータを含むシャッター装置を移動光学系(前群支持枠)に設ける場合には、必然的に移動光学系の重量が増加する。そのため、ズーム操作時にモータ等の駆動手段で移動光学系を移動させるように構成する場合には、駆動手段に対する負荷が増えることになり、電源電池の消耗が早くなってしまう。
【0004】
特に、顕著なコンパクト化が要求される携帯電話機やパソコン等に付設される撮像装置では、シャッター装置のアクチュエータは移動光学系に対して相当な重量物となり、ズーム操作用の駆動手段への負担もかなり大きくなってしまう。
【0005】
また、上記のような携帯電話機等の小型機器に適用する場合、シャッター装置のアクチュエータは、大きさの面でも移動光学系に対して相当な大きさとなり、移動光学系の移動に伴うアクチュエータの移動スペースも確保する必要が生じ、これも装置のコンパクト化を妨げる大きな要因となる。
【0006】
また、シャッター装置のアクチュエータを移動光学系に設ける場合には、アクチュエータに電力を供給するために用いられるフレキシブル基板が、度重なる強制的な伸縮(変形)によって疲労しやすくなるため、その寿命が妨げられるという難点もある。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、移動光学系の重量を軽減でき、かつ、シャッター羽根の駆動源(アクチュエータ)への電力供給系の長寿命化を図れるシャッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のシャッター装置は、光軸方向に移動自在なレンズ枠を備えてズーム操作が可能な撮像装置に設けられるシャッター装置であって、前記レンズ枠に立設された支軸にシャッター羽根が回動自在に支持され、該シャッター羽根にはスライド係合部が設けられる一方、前記撮像装置の本体側には、前記シャッター羽根を回動動作させるための駆動源が設けられ、該駆動源の出力軸には、該出力軸と平行に設置される羽根操作軸が設けられ、該羽根操作軸に対して、前記スライド係合部を、光軸方向にスライド自在となるように係合させたことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、ズーム操作によってレンズ枠と共にシャッター羽根が移動する際に、スライド係合部が羽根操作軸に係合した状態で移動するため、レンズ枠の位置が変化しても、羽根操作軸を介して駆動源(アクチュエータ)からの駆動力をシャッター羽根に伝達することができ、レンズ枠の位置の如何にかかわらず、シャッター羽根を回動動作させることができる。
【0010】
また、特に顕著なコンパクト化が要求される携帯電話機やパソコン等に付設される撮像装置では、移動光学系にシャッター羽根の駆動源を設ける場合と比較して、この駆動源の重量分だけ移動光学系の重量を軽減することができるため、その光学系移動用の駆動源への負荷を低減することができ、電源電池の消耗を低く抑えることができる。
【0011】
また、光学系の光軸方向への移動に伴い、シャッター羽根の駆動源が移動するためのスペースを確保する必要がなく、装置のコンパクト化が可能となる。
【0012】
そして、シャッター羽根を回動動作させるための駆動源が撮像装置の本体側に設けられているため、ズーム操作をした場合でも駆動源は移動しないので、移動光学系にシャッター装置を設ける場合のような駆動源への配線の変形がなく、その劣化の度合いを軽減することができ、電力供給系の長寿命化を図ることができる。
【0013】
(2)このようなシャッター装置では、前記スライド係合部が、前記羽根操作軸に係合する凹状に形成されてもよい。このようにすれば、スライド係合部を容易に製作することができる。また、シャッター装置の組み付けの際に、羽根操作軸にスライド係合部を容易に係合させることができる。また、容易に分離することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシャッター装置は、シャッター羽根を回動動作させるための駆動源を撮像装置の本体側に設けると共に、光軸方向に延びる羽根操作軸を設け、該羽根操作軸に対して、シャッター羽根に設けたスライド係合部を、光軸方向にスライド自在となるように係合させるので、レンズ枠の位置が変化しても、羽根操作軸を介して駆動源からの駆動力をシャッター羽根に伝達することができ、レンズ枠の位置の如何にかかわらず、シャッター羽根を回動動作させることができる。
【0015】
また、移動光学系にシャッター羽根の駆動源を設ける場合と比較して、移動光学系の重量を軽減することができるので、その光学系移動用の駆動源への負荷を低減することができ、電源電池の消耗を低く抑えることができる。
【0016】
また、光学系の光軸方向への移動に伴い、シャッター羽根の駆動源が移動するためのスペースを確保する必要がなく、装置のコンパクト化が可能となる。
【0017】
そして、シャッター羽根を回動動作させるための駆動源が撮像装置の本体側に設けられているので、ズーム操作をした場合でも駆動源は移動しないため、移動光学系にシャッター装置を設ける場合のような駆動源への配線の変形がなく、その劣化の度合いを軽減することができ、電力供給系の長寿命化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の最良の実施の形態に係るシャッター装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
図1はシャッター装置の組み付け状態を示す斜視図、図2は平面図、図3は第2レンズ枠に第1レンズ枠を組み付けた状態の斜視図である。これらの図にて、符号1はシャッター羽根、2はシャッター羽根1を回動自在に支持する支軸で、第2レンズ枠13に立設されている。3はシャッター羽根1の基部側に設けられるスライド係合部で、略U字状(凹状)に形成されておりシャッター羽根1の揺動端側には遮光部1aが形成されている。
【0020】
4は駆動源で、図示省略の撮像装置の本体側(筐体側)に固定されている。5は光軸方向に延びる羽根操作軸で、アーム6,7を介して駆動源4の出力軸8に固定されており、スライド係合部3がこの羽根操作軸5に対して光軸方向にスライド自在となるように係合する。9〜12は駆動源4を構成する部材で、9はマグネット、10はコイル、11,12はステータである。
【0021】
14は第2レンズ群で第2レンズ枠13に支持され、15は第1レンズ群で第1レンズ枠16に支持され、これらで移動光学系20が構成される(図3参照)。17,18はガイド軸で、光軸方向に配設され、第1レンズ枠16と第2レンズ枠13を光軸方向に案内する。19は、第1レンズ枠16に設けられる係合部で、この係合部19が、光軸方向に沿って配設されるねじ機構(図示省略)のナット部材に係合する。
【0022】
第2レンズ枠13は、筐体側に設けたカム機構(図示省略)を介して第1レンズ枠16と連係動作するため、第1レンズ枠16と第2レンズ枠13が、駆動源(図示省略)により、ねじ機構を介してズーム動作し、シャッター羽根1は、第1レンズ群15と第2レンズ群14の間にあって第2レンズ枠13と共に移動する。その間、シャッター羽根1のスライド係合部3が羽根操作軸5に係合したままの状態が維持される。
【0023】
以上のように構成されるシャッター装置では、ズーム操作によって第2レンズ枠13と共にシャッター羽根1が移動する際に、スライド係合部3と羽根操作軸5との係合状態が維持されるため、第2レンズ枠13の(筐体側に対する)位置が変化しても、羽根操作軸5を介して駆動源4からの駆動力がシャッター羽根1に確実に伝達される。従って、ズーム操作の如何にかかわらず、常に、シャッター羽根1を確実に回動動作させることができる。
【0024】
また、移動光学系20にシャッター羽根1の駆動源4を設ける場合と比較して、移動光学系20の重量を軽減することができるため、その光学系移動用の駆動源への負荷を低減することができ、電源電池の消耗を低く抑えることができる。また、移動光学系20の光軸方向への移動に伴い、シャッター羽根1の駆動源4が移動するためのスペースを確保する必要がなく、装置のコンパクト化が可能となる。したがって、特に顕著なコンパクト化が要求される携帯電話機やパソコン等に付設される撮像装置において、装置のコンパクト化やコストの低減化が可能となる。
【0025】
そして、シャッター羽根1を回動動作させるための駆動源4が撮像装置の本体側に設けられているため、ズーム操作をした場合でも駆動源4は移動しないので、駆動源4への配線(図示省略)の変形がなく、その劣化の度合いを軽減することができ、電力供給系の長寿命化を図ることができる。
【0026】
なお、本発明は、実施の形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜、必要に応じて、設計変更や改良等を行うのは自由である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係るシャッター装置は、移動光学系の重量を軽減でき、かつ、シャッター羽根の駆動源(アクチュエータ)への電力供給系の長寿命化を図れるので、特に、顕著なコンパクト化が要求される携帯電話機やパソコン等に付設される撮像装置の分野等に好適である。
【0028】
本発明に係るシャッター装置は、スライド係合部を羽根操作軸に係合する凹状に形成することでシャッター装置の組み付け作業性が良好となるので、小型カメラ等の分野における組み付け作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係るシャッター装置の組み付け状態を示す斜視図
【図2】同平面図
【図3】同第2レンズ枠に第1レンズ枠を組み付けた状態の斜視図
【符号の説明】
【0030】
1 シャッター羽根
2 支軸
3 スライド係合部
4 駆動源
5 羽根操作軸
8 出力軸
13 レンズ枠


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向に移動自在なレンズ枠を備えてズーム操作が可能な撮像装置に設けられるシャッター装置であって、
前記レンズ枠に立設された支軸にシャッター羽根が回動自在に支持され、該シャッター羽根にはスライド係合部が設けられる一方、前記撮像装置の本体側には、前記シャッター羽根を回動動作させるための駆動源が設けられ、該駆動源の出力軸には、該出力軸と平行に設置される羽根操作軸が設けられ、該羽根操作軸に対して、前記スライド係合部を、光軸方向にスライド自在となるように係合させたことを特徴とするシャッター装置。
【請求項2】
前記スライド係合部が、前記羽根操作軸に係合する凹状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のシャッター装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate