説明

シャッタ役物装置

【課題】低コストにて、配線に係わる問題を生じさせず、遊技の演出効果を更に高めることのできるシャッタ役物装置を提供する。
【解決手段】表示器画面を一対の可動部材3,3によって開閉可能で、同可動部材を画面左右端間の中間位置で合体可能なシャッタ役物装置において、合体後の一対の可動部材3,3に直下から作用部材6を上昇させ当接させて押圧力を与え、その形態を変化させる、簡易構成の可動部材形態可変機構5を設けた。この形態可変機構5及び作動用モータ11を一対の可動部材3,3とは別個独立に設け、一対の可動部材移動時(合体前)に可動部材3,3との間で何ら機械的な拘束を生じさせない構成とした。一対の可動部材3,3との間に配線を要せず、配線を要するモータ11は静止部材側に固定する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技状況に応じた画像を表示する表示器の画面を一対の可動部材(遮蔽部材)によって開閉すると共に、その一対の可動部材を画面の両端間の中間位置で合体可能な遊技機のシャッタ役物装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては特許文献1に記載のものがあった。これは、両開き扉状の可動役物(遮蔽部材)であって遊技機の表示器の前側にあって左右方向に開閉自在で、閉じているときの大きさを表示器画面の大きさよりも小さくすることによって、閉じている間も表示器による演出が視認可能になるという可動役物装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−252533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術によれば、扉状の可動役物の適時の作動によって遊技の演出効果を高めることができるが、その動きは「開く」と「閉じる」の2パターンだけであるので飽きられやすかった。
そこで、可動役物自体にモータや発光素子を設け、可動役物自体の形態(見た目)に変化を持たせることが考えられるが、このようなモータや発光素子には配線を要する。
このため、可動役物の「開く」、「閉じる」の移動に伴って配線も移動することになり、また、その移動距離は、近年の表示器の大型化によって長くなってきた。しかも、両開き扉状の可動役物の場合において、左右各扉を構成する役物部材自体に形態の変化を持たせるためには、左右各側の役物部材に配線が施され、これら双方の配線が移動することによって配線に係わる問題を生じさせた。具体的には、配線の断線や接触不良による故障、あるいは配線により可動役物の移動に不調をもたらす等の問題を生じさせた。また、このような問題を解消するためには、構成が複雑になりコスト高になるという新たな問題を生じさせた。
【0005】
本発明の目的は、低コストにて、配線に係わる問題を生じさせず、遊技の演出効果を更に高めることのできるシャッタ役物装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、遊技状況に応じた画像を表示する表示器の画面の前側で、一対の可動部材を移動させて前記画面を開閉可能であり、かつその一対の可動部材を前記画面の両端間の中間位置で合体させ得る可動部材移動機構を備えるシャッタ役物装置において、前記可動部材移動機構により合体された前記一対の可動部材に作用部材を接触させて駆動力を与え、その形態を変化させる、前記一対の可動部材とは別個独立の可動部材形態可変機構と、この可動部材形態可変機構を作動させる、前記一対の可動部材とは別個独立に設けられたモータとを具備することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記作用部材及びモータは各々単一の作用部材及びモータであり、前記可動部材形態可変機構は、前記可動部材移動機構により合体された前記一対の可動部材の各々に、それらの直下から前記単一の作用部材を上昇させ当接させて押圧力を与え、その形態を変化させる、前記一対の可動部材とは別個独立の機構であることを特徴とする。
請求項3項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記一対の可動部材の形態を変化させた際の、該一対の可動部材の予め決められた位置に対応する前記作用部材の前面特定位置に、発光素子が配設されたことを特徴とする。
請求項4項に記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の発明において、前記一対の可動部材は、前、後面板を有する可動部材ベースを各々備え、前記作用部材を前記一対の可動部材に接触させるための移動の方向に沿う該作用部材の両端側の特定位置には、前記の各可動部材ベースの後面板に穿設されたスリット内に、該作用部材の前記移動に伴って進入、移動可能のリブが各々形成され、かつ、前記作用部材には、該作用部材の前記移動の際に前記の各可動部材ベースの前、後面板間に形成された隙間内を移動可能の剛性部が形成されたことを特徴とする。
請求項5項に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記スリットは、その始端が該スリットへの前記リブの進入をガイド可能な形状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、遊技状況に応じた画像を表示する表示器の画面の前側で、一対の可動部材を移動させて画面を開閉可能であり、かつその一対の可動部材を画面の両端間の中間位置で合体させ得る可動部材移動機構を備えるシャッタ役物装置において、遊技の演出効果を更に高めることのできるシャッタ役物装置を、低コストにて、配線に係わる問題を生じさせずに提供できる。
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係るシャッタ役物装置を更に低コストにて提供できる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載のシャッタ役物装置において、発光素子の点灯あるいは点滅により、一対の可動部材の姿勢変化による形態変化と発光素子の点消灯による形態変化とを別々あるいは同時に行う等によって、遊技の演出効果を一層高めることができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1、2又は3に記載のシャッタ役物装置において、一対の可動部材に各々備えられた可動部材ベースの奥行方向及び左右方向の両方向において位置ずれが防止でき、合体状態における一対の可動部材が表す形態に歪みが発生することを防止できる。
請求項5項に記載の発明によれば、請求項4に記載のシャッタ役物装置において、スリット内へのリブの進入を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るシャッタ役物装置の休止状態(一対の可動部材が開いている状態)を示す正面図である。
【図2】同上装置の一対の可動部材の合体状態を示す正面図である。
【図3】同上一対の可動部材の合体後、形態が変化した状態を示す斜視図である。
【図4】図2における要部を取り出して示す斜視図である。
【図5】図4において形態が変化しない部分を除いて示す斜視図である。
【図6】同じく正面図である。
【図7】同じく裏面側から示す斜視図である。
【図8】図3における要部を取り出して示す斜視図である。
【図9】図8において形態が変化しない部分を除いて示す斜視図である。
【図10】同じく正面図である。
【図11】同じく裏面側から示す斜視図である。
【図12】図10中のA−A線断面矢視図である。
【図13】本発明の一実施形態が適用された遊技盤の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、各図間において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1及び図2から分かるように、本実施形態に係る遊技機のシャッタ役物装置は、表示器1の画面2の前側で、一対の可動部材(遮蔽部材)3,3を移動させて画面2を開閉可能であり、かつその一対の可動部材3,3を画面2の左右端間の中間位置で合体させ得る可動部材移動機構4を備える。
表示器1は、遊技状況に応じた画像をその画面2に表示し、可動部材移動機構4による一対の可動部材3,3の開閉移動とによって遊技の演出効果を高める部材で、液晶表示器等からなる。
また本実施形態において、一対の可動部材3,3の開閉移動は画面2の左右端方向で行われ、合体(一対の可動部材3,3が突き合わされ全閉する動作)は画面2左右端間のほぼ中央位置で行われる。
【0010】
また、図1及び図2を比較して分かるように、一対の可動部材3,3は、合体時において一対の可動部材3,3の一方又は双方の合体(突合わせ)端の少なくとも一部が相反する可動部材3の一部と重なり合うように形成されている。本実施形態では、左側の可動部材3の合体端の一部が右側の可動部材3の一部と重なり合うように形成されている。これは、合体時、一対の可動部材3,3の境界において隙間を生じさせず、あるいは目立たなくするように機能する。
【0011】
更に、このシャッタ役物装置は、可動部材移動機構4により図2に示すように合体された一対の可動部材3,3の形態を、図3に例示するように変化させる可動部材形態可変機構5を備えている。
可動部材形態可変機構5は、単一の作用部材6を合体状態にある一対の可動部材3,3の直下から上昇させ当接させて押圧力を与え、その形態を変化させる(図2及び図3参照)。
【0012】
図6及び図7から分かるように、可動部材形態可変機構5は、一対の可動部材3,3とは別個独立に構成され、作動開始前、つまり休止状態においては一対の可動部材3,3と非接触状態にある。
すなわち、この可動部材形態可変機構5は、合体状態にある一対の可動部材3,3の形態を変化させる時、及びその後に形態を復帰させる時以外は一対の可動部材3,3とは非接触で分離した状態にある。したがって、可動部材移動機構4による一対の可動部材3,3の開閉移動において、一対の可動部材3,3との間で何ら機械的な拘束を生じさせない。
【0013】
もちろん、一対の可動部材3,3との間に配線等もすることなく、この一対の可動部材3,3の形態を変化させることができ、配線に係わる問題を生じさせない。具体的には、配線の断線や接触不良による故障、あるいは配線により可動部材3の動きに不調をもたらす等の問題を生じさせない。
また、このような問題を生じさせないための構成も、基本的には、一対の可動部材3,3とは別個独立の作用部材6を必要時にその一対の可動部材3,3に当接させて押圧力を与えるような構成であればよく、低コストですむ。
【0014】
以下、図4〜図12を併用して可動部材形態可変機構5、及びこの可動部材形態可変機構5によって形態が変化させられる一対の可動部材3,3の具体例について説明する。
まず、可動部材形態可変機構5について、主に図6及び図10を参照して述べると、この可動部材形態可変機構5は、可変機構ベース7(図1〜図3参照)、作用部材6、ラックギヤ8、ピニオンギヤ9、及びモータギヤ10を備えてなり、モータ(電気モータ)11によって作動される。
上記作用部材6は、図1〜図3に示す可動部材移動機構4の基台12に固定された可変機構ベース7に、上下動可能に保持されている。この作用部材6は、上部側の左右両側に、各々外側方に向かって下り傾斜する傾斜部13を有する肩部14を備える。またこの作用部材6の右側端には、上下方向に向けられたラックギヤ8が固定されている。このラックギヤ8と作用部材右側の肩部14とは、一対の可動部材3,3を正面視したときの奥行方向に相当する方向(以下、単に奥行方向と記す。)で位置を異ならせている。
【0015】
またピニオンギヤ9は、その回転によって作用部材6を上下動可能に、ラックギヤ8と噛合する。このピニオンギヤ9は、モータ11の回転軸に填め込み固着されたモータギヤ10にも噛合し、モータ11の回転によりモータギヤ10を介して回転可能である。
したがって作用部材6は、モータ11が回転し、モータギヤ10及びピニオンギヤ9が回転してラックギヤ8が上方に移動されることにより上昇し、またモータ11が逆転し、モータギヤ10、ピニオンギヤ9及びラックギヤ8が反転動作することにより下降する。
なおピニオンギヤ9は、可変機構ベース7(図1〜図3参照)に支持されている。
モータ11も可変機構ベース7(図1〜図3参照)、つまり静止部材側に支持固定され、一対の可動部材3,3とは別個独立に設けられている。
【0016】
上記一対の可動部材3,3は、一部を除いて左右ほぼ対称の外形をなし、図1及び図2に示すように左右方向に分離し、あるいは中央位置で合体可能である。
またこの一対の可動部材3,3は、固定片17及び可動片18を各々備えてなる。この場合、固定片17は各可動部材3,3に備えられた可動部材ベース15の前面板16に一体形成されている。可動片18は上記可動部材形態可変機構5によって形態変化可能である。
各可動部材ベース15の前面板16、固定片17及び可動片18は、各々特定の形状、着色等による装飾が施されている。本実施形態では、合体状態において「顔」や「つの(角)」等が表されるように、一対の可動部材3,3の各部に装飾が施されている。
【0017】
また本実施形態では、可動片18は一対の可動部材3,3の各々に上下1つずつ、左右対称をなす位置に備えられている。各可動部材3が備える上可動片19及び下可動片20は、合体後、形態変化前は図2、図4〜図7に示すように上可動片19が上向き、下可動片20が下向きの休止姿勢をとっている。また、合体後、形態変化後は、図3、図8〜図11に示すように上可動片19及び下可動片20共に、休止姿勢から外側方に向けてほぼ45°開いた作動後姿勢(4つの可動片18全体を見ると×形姿勢)をとる。
【0018】
一対の可動部材3,3による形態変化、すなわち休止姿勢から作動後姿勢への姿勢変化のための構成を動作と共に以下に説明する。
まず、上可動片19について説明する。
図4〜図7(特に図6及び図7)において、作用部材6が図示休止位置から上昇すると、作用部材上端6aが上可動片19に一体形成された円柱状の凸部21を押圧する。これにより、上可動片19は図示休止姿勢から支軸22を中心に回動開始し、作用部材6が作動後位置に達するとほぼ45°回動した状態、つまり作動後姿勢となって停止する(図8〜図11、特に図10及び図11参照)。
【0019】
作用部材6は可動部材ベース15の後面板23の裏側を上下動するので、上記凸部21は先端側が貫通穴24を通って可動部材ベース15の後面板23の裏側に突出している。上記貫通穴24は上可動片19の支軸22を中心とする弧状に形成されており、上可動片19の回動角は、その貫通穴24の弧の長さによって規制されている。
【0020】
また、上記凸部21及び可動部材ベース15の後面板23間にはコイルスプリング25が設けられている。このコイルスプリング25は上可動片19が休止姿勢にあるとき圧縮状態にあり、作動後姿勢にあるときに伸張状態になるので、作用部材6が下降して休止位置に戻る際には、上可動片19はコイルスプリング25の復元力によって休止姿勢に復帰する。
なお、左側の上可動片19と右側の上可動片19とは回動方向が逆になる。
【0021】
上記作用部材6の左右端上下方向には各々リブ26が形成され、各リブ26は、作用部材6が上下動する際、各可動部材ベース15の後面板23の上下方向に穿設されたスリット27内を上下動する。各スリット27の始端(下端)は、スリット27幅よりも幅広で、スリット27内に進入しようとするリブ26を同スリット27内にガイド可能な形状、例えば八の字状に形成されている。これによれば、作用部材6の上昇時にリブ26が上記八の字状形成部でガイドされ、スリット27内に進入しやすくなる。
【0022】
上記肩部14は、リブ26に連設されていてリブ26と同様に剛性を有し、作用部材6が上下動する際、可動部材ベース15の前,後面板16,23間に形成された隙間28(図12参照)内を上下動する。この肩部(剛性部)14の隙間28内の上下動によれば、合体状態における両可動部材ベース15の奥行(前後)方向の位置補正が行われる。一方、上記リブ26のスリット27内の上下動によれば、合体状態における両可動部材ベース15の左右方向の位置補正が行われるので、両可動部材ベース15は奥行方向及び左右方向の両方向において位置ずれが防止される。したがって、合体状態において一対の可動部材3,3が表す「顔」や「つの(角)」に歪みが発生することが防止される。
肩部14はリブ26に連設するので、上記のような歪み発生防止のための構成の簡易化、低コスト化が図れる。
【0023】
次に、下可動片20について説明する。
図4〜図7(特に図6及び図7)において、作用部材6が図示休止位置から上昇すると、作用部材6の肩部14上端に形成された傾斜部13が下可動片20の支軸29の奥側端部に一体形成されたクランク片30を下方側から上方側に向けて押圧する。これにより、下可動片20は図示休止姿勢から支軸29を中心に回動開始し、作用部材6が作動後位置に達するとほぼ45°回動した状態、つまり作動後姿勢となって停止する(図8〜図11、特に図10及び図11参照)。
【0024】
作用部材6の肩部14は可動部材ベース15の前,後面板16,23間の隙間28内を上下動するので、上記クランク片30はその隙間28内に位置されており、肩部傾斜部13と接触する先端部31は、その接触を円滑にするために円形に形成されている。下可動片20の回動角は、肩部傾斜部13の傾斜角度や作用部材6の上昇距離等により規定される。
【0025】
この下可動片20は、図6に示すように、作用部材6が休止位置にあるときに自重で垂れ下がった休止姿勢になるようにその重心が設定されているので、作用部材6が下降して休止位置に戻ることによって自重で休止姿勢に復帰する。
左側の下可動片20と右側の下可動片20とで回動方向が逆になることは、上記一対の上可動片19,19の場合と同様である。
【0026】
本実施形態では、図4〜図6に示すように、作用部材6の前面上部には発光素子32が配設されている。この発光素子32の配設位置は、作用部材6が上昇して作動後位置で停止したとき、合体状態の一対の可動部材3,3が表す「顔」中の「ゴーグル」内に対応する位置に設定されいる(図8参照)。したがって、例えば、一対の可動部材3,3が休止姿勢から作動後姿勢への変化に応じて発光素子32を点灯あるいは点滅させれば、一対の可動部材3,3の姿勢変化による形態変化と発光素子32の点消灯による形態変化とが同時に行われ、遊技の演出効果が一層高められる。
【0027】
この場合、発光素子32は作用部材6に設けられており、この作用部材6は可動部材3よりも移動距離が短い。また、この作用部材6は上下方向のみに移動するので、発光素子32への配線は垂下状態で上下動するだけであるが、可動部材3に配線されて左右方向に移動する場合には、配線の動きは上下左右方向に亘る。したがって、発光素子32への配線に係わる問題は、発光素子32が可動部材3に設けられた場合に比べて発生し難い。
なお、図1、図2及び図4〜図11において、33は作用部材位置検知用のフォトインタラプタで、可変機構ベース7(図1〜図3参照)に取り付けられている。
【0028】
以上述べたように本実施形態では、図1及び図2に示すように、表示器1の画面2を開閉する一対の可動部材3,3を、画面2の左右端間ほぼ中央位置で合体させるシャッタ役物装置において、遊技の演出効果を更に高めるために次のように構成した。これを、主に図6を参照して説明する。
すなわち本実施形態では、遊技の演出効果を更に高めるために一対の可動部材3,3自体の形態を変化させるが、そのためのモータ11を一対の可動部材3,3には設けず、一対の可動部材3,3への配線を不要とした。この場合、モータ11は一対の可動部材3,3外の静止部材側に設け(一対の可動部材3,3とは別個独立に設け)、このモータ11への配線が一対の可動部材3,3の形態の変化に伴って動くことがないようにした。したがって配線に係わる問題、例えば配線の断線や接触不良による故障、あるいは配線により可動部材3の動きに不調をもたらす等の問題を生じさせずに、一対の可動部材3,3自体の形態を変化させることができる。
【0029】
また、一対の可動部材3,3の形態を変化させるための可動部材形態可変機構5を、合体時(非開閉移動時)の一対の可動部材3,3の各々に、それらの直下から、つまり一対の可動部材3,3とは離れた位置から作用部材6を上昇させ当接させて押圧力を与え、その形態を変化させるように構成した。つまり可動部材形態可変機構5を、非開閉移動時のみに一対の可動部材3,3と係わる、一対の可動部材3,3とは別個独立の構成とした。また、上記のようにモータ11も一対の可動部材3,3とは別個独立に設けたので、可動部材形態可変機構5もその作動用のモータ11も、一対の可動部材3,3の開閉移動時(合体前)において、その一対の可動部材3,3との間で何ら機械的な拘束を生じさせない。したがって、上記の配線に係わる問題を生じさせないことと相俟って、一対の可動部材3,3の開閉移動に何ら支障を与えることなく、一対の可動部材3,3の形態変化を行わせることができる。
【0030】
また、可動部材形態可変機構5は、可変機構ベース7(図1〜図3参照)、作用部材6及び数個のギヤ8〜10による等、簡単に構成でき、コストを低減できる。本実施形態では、作用部材6もモータ11も単一であるので、更なる低コスト化が図れる。
【0031】
図13は、本実施形態に係るシャッタ役物装置101が適用されたパチンコ機の遊技盤の分解斜視図で、図中、手前側からセンタ役物102、遊技盤本体(未完成状態)103、シャッタ役物装置101及び表示器1を示す。
この図に示すように、シャッタ役物装置101は表示器1の画面2の前側に配置される。そして、その一対の可動部材3,3が移動して画面2を開閉可能であり、かつその一対の可動部材3,3を画面2の左右端間のほぼ中央位置で合体可能である(図1及び図2参照)。また合体後、一対の可動部材3,3の形態が変化し(図3参照)、遊技の演出効果を更に高めることができる。本実施形態によれば、このような遊技の演出効果を更に高めるための構成を、低コストにて、配線に係わる問題を生じさせずに達成できる。
【0032】
なお本実施形態では、図2に示すように、一対の可動部材3,3を画面2の左右端間のほぼ中央位置で合体させるように構成したが、これのみに限られず、中央位置からずれた位置で合体させるように構成してもよい。
また、図3に示すように、一対の可動部材3,3の各々について形態を変化させるように構成したが、いずれか一方のみの形態を変化させるように構成してもよい。この場合、作用部材6は一方の可動部材3の形態を変化させるだけの構成、例えば傾斜部13、肩部14等を、一方の可動部材3についてのみ設ければよい。
【符号の説明】
【0033】
1:表示器、2:画面、3:可動部材、4:可動部材移動機構、5:可動部材形態可変機構、6:作用部材、11:モータ、14:肩部(剛性部)、15:可動部材ベース、
16:可動部材ベースの前面板、23:可動部材ベースの後面板、26:リブ、27:スリット、発光素子32。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技状況に応じた画像を表示する表示器の画面の前側で、一対の可動部材を移動させて前記画面を開閉可能であり、かつその一対の可動部材を前記画面の両端間の中間位置で合体させ得る可動部材移動機構を備えるシャッタ役物装置において、
前記可動部材移動機構により合体された前記一対の可動部材に作用部材を接触させて駆動力を与え、その形態を変化させる、前記一対の可動部材とは別個独立の可動部材形態可変機構と、
この可動部材形態可変機構を作動させる、前記一対の可動部材とは別個独立に設けられたモータとを具備することを特徴とするシャッタ役物装置。
【請求項2】
前記作用部材及びモータは各々単一の作用部材及びモータであり、
前記可動部材形態可変機構は、前記可動部材移動機構により合体された前記一対の可動部材の各々に、それらの直下から前記単一の作用部材を上昇させ当接させて押圧力を与え、その形態を変化させる、前記一対の可動部材とは別個独立の機構であることを特徴とする請求項1に記載のシャッタ役物装置。
【請求項3】
前記一対の可動部材の形態を変化させた際の、該一対の可動部材の予め決められた位置に対応する前記作用部材の前面特定位置に、発光素子が配設されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のシャッタ役物装置。
【請求項4】
前記一対の可動部材は、前、後面板を有する可動部材ベースを各々備え、
前記作用部材を前記一対の可動部材に接触させるための移動の方向に沿う該作用部材の両端側の特定位置には、前記の各可動部材ベースの後面板に穿設されたスリット内に、該作用部材の前記移動に伴って進入、移動可能のリブが各々形成され、
かつ、前記作用部材には、該作用部材の前記移動の際に前記の各可動部材ベースの前、後面板間に形成された隙間内を移動可能の剛性部が形成されたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のシャッタ役物装置。
【請求項5】
前記スリットは、その始端が該スリットへの前記リブの進入をガイド可能な形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のシャッタ役物装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−55892(P2011−55892A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205927(P2009−205927)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】