シャッタ
【課題】開閉操作を軽い力で行ない得るようにする。
【解決手段】シャッタSは、ガイドレールにスライド移動可能に支持されて該ガイドレールに合わせて屈伸変形するシャッタ基材SBと、スライド移動方向における一端側だけをシャッタ基材SBに固定して該シャッタ基材SBに重ねて設けられたパッド部材PDとを備える。シャッタ基材SBは、パッド部材PDに該シャッタ基材SBから離れる方向で引掛かる一方、該パッド部材PDのスライド移動方向の移動を許容する係止爪部62を備える。従って、シャッタ基材SBがガイドレールに合わせて屈伸変形する際に、パッド部材PDがシャッタ基材SBに対してスライド移動方向へ移動することが許容されるから、該パッド部材PDはスライド移動方向へ引っ張られない。
【解決手段】シャッタSは、ガイドレールにスライド移動可能に支持されて該ガイドレールに合わせて屈伸変形するシャッタ基材SBと、スライド移動方向における一端側だけをシャッタ基材SBに固定して該シャッタ基材SBに重ねて設けられたパッド部材PDとを備える。シャッタ基材SBは、パッド部材PDに該シャッタ基材SBから離れる方向で引掛かる一方、該パッド部材PDのスライド移動方向の移動を許容する係止爪部62を備える。従って、シャッタ基材SBがガイドレールに合わせて屈伸変形する際に、パッド部材PDがシャッタ基材SBに対してスライド移動方向へ移動することが許容されるから、該パッド部材PDはスライド移動方向へ引っ張られない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向設置された一対のガイドレールに沿ってスライド移動可能に配設されるシャッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図10に示すように、自動車の乗員室内に設置されるフロアコンソールFCでは、上方に開口した物品収納部102がコンソール本体100の内部に画成されており、該物品収納部102の上部開口104を開閉する蓋部材としてシャッタS1を採用したものがある。前記シャッタS1は、フロアコンソールFC内において物品収納部102を挟んで左右に対向して配設された一対のガイドレールGR1,GR2に、一端部に設けた摺動支持部94および他端部に設けた摺動支持部94を夫々係合させることで、該ガイドレールGR1,GR2に沿って前後方向のスライド移動が可能となっている。
【0003】
前記一対のガイドレールGR1,GR2は、図10に示すように、幅方向において対称形状に形成されており、物品収納部102の上部開口104の側縁に前後方向へ水平に延在する直線部110と、該直線部110の後部から所定の曲率で物品収納部102の後側下方へ円弧状に湾曲する曲線部112とを備えている。従って前記シャッタS1は、物品収納部102の上部開口104を閉じる閉成位置ではコンソール本体100の上面に略水平かつ平坦状に延在し、該上部開口104を開く開放位置では該コンソール本体100の後側内部に湾曲状態で収納されるため、平坦状態と湾曲状態とに変形することが要求される。またシャッタS1は、物品収納部102の上部開口104を閉じた状態において、上面に物品や腕(肘)を載せたり、乗員室に乗降する際に手を着く等の使用態様が起こり得る。このためシャッタS1は、湾曲状態への変形を可能とする可撓性および荷重を支える剛性の両方を兼備する必要がある。
【0004】
そこで、従来のシャッタS1は、図11および図12に示すように、軟質樹脂(熱可塑性エラストマ等)により成形されたプレート部材80と、この軟質樹脂より硬い硬質樹脂(ポリエチレンやポリプロピレン等)から成形されたリブ部材90とを備えている。前記プレート部材80は、セル部82と該セル部82より薄いヒンジ部84とがスライド方向に交互に形成されており、各ヒンジ部84において弾力的な湾曲変形が可能となっている。また、各リブ部材90は、前記セル部82に沿って延在するリブ部92と、該リブ部92の一端部および他端部の夫々に設けた摺動支持部94,94とを備えている。従ってシャッタS1は、各リブ部材90の各摺動支持部94,94を、対応するガイドレールGR1,GR2の溝部114に係合させることで、該ガイドレールGR1,GR2に沿ったスライド移動が可能となる。
【0005】
しかし、前記従来のシャッタS1は、図11および図12に示すように、ヒンジ部84を形成することによる凹凸がプレート部材80の表面に形成されているので質感が高くない。また、プレート部材80を形成する前記軟質樹脂は、内部に空隙を有さない所謂ソリッドタイプであるから、荷重が加わった際に圧縮変形するほどの柔軟性は備えていない。このため、物品収納部102を閉じた平坦状態のシャッタS1の上面に腕(肘)を載せた場合には、プレート部材80が殆ど圧縮変形しないから該シャッタS1をアームレストとして使用するには硬すぎる問題がある。そこで、前記シャッタS1におけるプレート部材80の表面に、適宜の表皮材を直接貼付けるようにしたシャッタも提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2010−510135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述した表皮材をプレート部材80の表面に装着して構成されるシャッタS1では、該プレート部材80を内側にして湾曲状態に変形するに際して内側の該プレート部材80と外側の表皮材との間に周長差が生ずることから、ゴムの如く伸縮変形に富む素材から形成された表皮材を使用しなければならない。換言すると、伸縮変形し難い素材からなる表皮材をプレート部材80に装着した場合には、シャッタS1の湾曲状態への変形が阻害されて該シャッタS1の開閉操作に係る荷重が増加して開閉し難くなったり、当該表皮材がプレート部材80から剥離する問題が発生する。また、伸縮変形に富む素材から形成された表皮材を使用した場合には、シャッタS1が湾曲状態と平坦状態との間で変形を繰り返すと該表皮材が伸びた状態となって弛みや皺が発生する問題が発生する。特に、表皮材の厚みが大きくなるほど、前述した問題が発生し易い。
【0008】
従って本発明では、開閉操作を軽い力で行なうことができるシャッタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に記載の発明では、対向設置された一対のガイドレールに沿ってスライド移動可能に配設されるシャッタであって、
スライド移動方向に沿う端縁が対応のガイドレールにスライド移動可能に支持され、該ガイドレールに合わせて屈伸変形するシャッタ基材と、
スライド移動方向における一端側だけを前記シャッタ基材に固定して該シャッタ基材に重ねて設けられ、可撓性を有するパッド部材と、
前記シャッタ基材に設けられ、前記パッド部材にシャッタ基材から離れる方向で引掛かる一方、該パッド部材のスライド移動方向の移動を許容する係止部とを備えたことを要旨とする。
【0010】
従って、請求項1に係る発明によれば、シャッタ基材に重ねて設けられたパッド部材は、スライド移動方向における一端側だけがシャッタ基材に固定されると共に、シャッタ基材に設けた係止部により、シャッタ基材から離れる方向の移動が規制されると共にスライド移動方向の移動が許容されている。従って、シャッタ基材がガイドレールに合わせて屈伸変形する際には、パッド部材がシャッタ基材に対してスライド移動方向へ移動して、該パッド部材がスライド移動方向へ引っ張られないので、シャッタの湾曲状態への変形が阻害され難く、シャッタの開閉操作を軽い力で行ない得る。また、パッド部材がシャッタ基材に重ねて配設されているので、シャッタ基材がパッド部材で隠されてシャッタの質感を高めることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、前記パッド部材は、スライド移動方向に沿う側面に、該スライド移動方向へ前記シャッタ基材と平行に延在する被係止部を備え、
前記係止部は、前記シャッタ基材から離間して形成されて、該シャッタ基材とで前記被係止部を挟持する係止片を備えることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、パッド部材におけるスライド移動方向に沿う側面にスライド移動方向へ延在するように設けた被係止部に、シャッタ基材に設けた係止部の係止片が係止するので、パッド部材の側面側がシャッタ基材から離間して捲れることが防止され、パッド部材をシャッタ基材に接触した状態で適切に保持することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、前記パッド部材は、前記係止片を挟んで前記被係止部に相対する当接部を備え、
前記当接部は、前記シャッタ基材が特定の姿勢において前記係止片に接触し、該シャッタ基材が該特定の姿勢から変形すると該係止片から離れるように形成されたことを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、シャッタ基材が特定の姿勢にある場合には、係止片を被係止部および当接部で挟持し得るので、パッド部材をシャッタ基材に対して適切に保持し得る。また、シャッタ基材がスライド移動して特定の姿勢から変形した場合には、係止片が被係止部および当接部で挟持されないので、シャッタ基材に対するパッド部材のスライド移動方向への移動が阻害されない。
【0013】
請求項4に記載の発明では、前記シャッタ基材は、スライド移動方向に並べて設けられた複数の支持体部と、隣り合う支持体部の間に両支持体部を繋ぐように形成されて屈曲変形可能なヒンジ部とを備え、
前記係止部は、前記支持体部のうちの選択された支持体部に、前記スライド移動方向に沿って直列に設けられたことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、シャッタ基材が各ヒンジ部の弾性変形により屈伸変形しても、支持体部に設けた各係止部がパッド部材を係止しているので、該パッド部材はシャッタ基材の変形に追従して適切に変形する。また、係止部がヒンジ部にかかるように設けられていないので、シャッタ基材の屈伸変形が阻害されない。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るシャッタによれば、パッド部材がシャッタ基材に対して移動し得るようになっているので、開閉操作を軽い力で行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例のシャッタの斜視図である。
【図2】平坦状態となった実施例のシャッタの側面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】シャッタ基材の1つの支持体部を示す斜視図である。
【図5】シャッタ基材の各支持体部の両端に設けた摺動支持部を示す部分拡大図である。
【図6】シャッタ基材に設けられた係止爪部と、パッド部材に設けられた係止突片部および当接突部とを示す説明図であって、(a)は、シャッタ基材の平坦状態を示し、(b)は、シャッタ基材の湾曲状態を示している。
【図7】湾曲状態に変形した実施例のシャッタの側面図である。
【図8】実施例のシャッタをフロアコンソールの蓋部材として実施した状態を示す説明斜視図である。
【図9】係止手段の変更例を示す説明断面図である。
【図10】従来のシャッタをフロアコンソールの蓋部材として実施した状態を示す説明斜視図である。
【図11】従来のシャッタの斜視図である。
【図12】従来のシャッタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係るシャッタにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、図8に示すように、フロアコンソールFCの蓋部材として実施されるシャッタを例示して説明するが、本願のシャッタが実施される対象は、このフロアコンソールFCに限定されない。なお実施例では、図1に示すように、シャッタSが水平かつ平坦状態において、該シャッタSのスライド移動方向を「長さ方向」、スライド移動方向と水平に直交する方向(両ガイドレールGR1,GR2の対向方向)を「幅方向」、スライド移動方向と垂直に直交する方向を「重なり方向」と指称する。また、重なり方向においては、上側をシャッタSの表側、下側を該シャッタSの裏側とする。
【実施例】
【0017】
実施例のシャッタSが配設されるフロアコンソールFCは、図8に示すように、コンソール本体100における前後方向の後側内部に、上方に開口した物品収納部102が画成されており、該物品収納部102の上部開口104を該シャッタSで開閉可能に覆蓋するようになっている。実施例のシャッタSは、コンソール本体100内に、該コンソール本体100の前後方向に延在すると共に物品収納部102を挟んで該コンソール本体100の幅方向に対向するよう配設された一対のガイドレールGR1,GR2に、後述する各摺動支持部30,30を各々係合させることで、該ガイドレールGR1,GR2に沿ったスライド移動が可能となっている。
【0018】
各ガイドレールGR1,GR2は、図8に示すように、幅方向において対称形状に形成されており、物品収納部102の上部開口104の側縁に前後方向へ水平に延在する直線部110と、該直線部110の後部から所定の曲率で物品収納部102の後側下方へ円弧状に湾曲する曲線部112とを備えている。各ガイドレールGR1,GR2は、互いに対向する内側面に、直線部110から曲線部112に亘って延在する溝部114が形成されており、各溝部114に前記摺動支持部30,30が突入して係合する。
【0019】
実施例のシャッタSは、図1〜図7に示すように、スライド方向に沿う各端が対応のガイドレールGR1,GR2にスライド移動可能に支持され、該ガイドレールGR1,GR2に合わせて伸びた状態と曲がった状態とに屈伸変形するシャッタ基材SBと、前記シャッタ基材SBの表面側に該シャッタ基材SBと重ねて装着されるパッド部材PDとを備えている。実施例のシャッタSは、パッド部材PDにおける長さ方向の一端側である前側部分だけを固定部分PDaとしてシャッタ基材SBに固定し、該パッド部材PDにおける固定部分PDa以外の非固定部分PDbは、該シャッタ基材SBに非固定状態となっている。そして、パッド部材PDの非固定部分PDbは、後述する係止手段60により、シャッタ基材SBに係止されている。このようなシャッタSは、シャッタ基材SBが屈伸変形すると共にパッド部材PDが該シャッタ基材SBに追従して変形することで、物品収納部102の上部開口104を閉じた閉成位置において特定の姿勢である平坦状態となり、該上部開口104を開く開放位置において湾曲状態に変形する。
【0020】
前記シャッタ基材SBは、長さ方向に並べて設けられて、当該シャッタに加わる荷重を支える支持体部10と、隣り合う支持体部10の間に両支持体部10,10を繋ぐように形成されたヒンジ部20と、各支持体部10における一方のガイドレールGR1に対向する一端部10Aおよび他方のガイドレールGR2に対向する他端部10Bの夫々に設けた摺動支持部30,30とを備えている。そしてシャッタ基材SBは、前記支持体部10、ヒンジ部20および摺動支持部30を、1種類の同一の成形材料によりインジェクション成形型を用いて1工程で一体成形された成形部材である。なお成形材料としては、硬質のポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の合成樹脂が好適に採用される。
【0021】
シャッタ基材SBは、合計21個の支持体部10が長さ方向に並べて設けられており、幅方向において対称形状に形成されている。各支持体部10は、図2、図3および図4に示すように、両ガイドレールGR1,GR2の間隔に適合する長さで、幅方向へ細長い形状でヒンジ部20からシャッタSの裏側へ突出した形状に形成されている。各支持体部10は、シャッタSの表面を構成する板部12と、シャッタSの幅方向へ延在する第1梁部14および該第1梁部14と長さ方向へ離間しかつ平行に延在する第2梁部16と、第1梁部14および第2梁部16を連設する複数の連設部18とを備えている。各連設部18は、第1梁部14および第2梁部16の間において幅方向へ所要間隔毎に配設されている。従って支持体部10は、第1梁部14と第2梁部16との間に空間が画成された所謂梯子状のリブ構造体として構成されている。
【0022】
第1梁部14および第2梁部16は、図3および図4に示すように、シャッタSの長さ方向において対称となる形状に形成されており、該シャッタSの長さ方向での幅寸法に対して該シャッタSの重なり方向での高さ寸法が大きく設定されている。そして、第1梁部14および第2梁部16は、幅方向において4等分に便宜的に区切った場合に、中央寄りの2区分に対応する部分において高さが最大に形成され、当該支持体部10の一端部10A側および他端部10B側において高さが最小に形成されている。更に、第1梁部14および第2梁部16における一端部10A側の部分では、中央側から該一端部10Aに近づくにつれて高さが徐々に小さくなるように傾斜状に形成されていると共に、他端部10B側の部分では、中央側から該他端部10Bに近づくにつれて高さが徐々に小さくなるように傾斜状に形成されている。従って、リブ構造体として構成された支持体部10は、両梁部14,16間が硬質樹脂で埋まった形状の場合と同等の剛性が確保されており、幅方向における中間部に対し上方から荷重が加わっても、幅方向での撓み変形や捻れ変形が発現し難い。そして各支持体部10は、図2に示すように、シャッタSの長さ方向での幅寸法が、ヒンジ部20側(板部12側)が最大となるように形成され、重なり方向においてヒンジ部20から離れるにつれて徐々に小さくなり、ヒンジ部20と反対側の端部が最小となるように形成されている。すなわち支持体部10は、シャッタSの幅方向の外方から見た形状が、ヒンジ部20から離れるにつれて先細となる台形形状をなし、シャッタSの裏側へ突出して形成されている。
【0023】
ヒンジ部20は、図2〜図7に示すように、長さ方向で隣り合う支持体部10,10の板部12と一体的に形成され、各支持体部10を、重なり方向の表側で横並び状に連設している。そしてヒンジ部20は、支持体部10より薄肉に形成されて長さ方向で撓曲変形または折曲変形が可能となっており、支持体部10の表側から離間した裏側が近接して、隣り合う一方の支持体部10における第1梁部14と他方の支持体部10における第2梁部16とが接触するまで変形が可能となっている。ヒンジ部20を挟んで隣り合う両支持体部10,10の間隔は、前述したように該支持体部10が台形形状に形成されていることで、シャッタSの平坦状態において、ヒンジ部20側が最も狭く、該ヒンジ部20から離れるにつれて徐々に大きくなっている(図2)。そしてヒンジ部20は、厚みが0.5mm程度に設定されており、必要な剛性を有する硬質の合成樹脂からなる成形材料により形成されていても、隣り合う支持体部10,10が互いに接触するまで撓曲変形または折曲変形し得ると共に、隣り合う支持体部10,10が互いに接触するまで折曲させた際でも塑性変形による破断が発生しないよう構成されている。
【0024】
各支持体部10の両端部10A,10Bに設けた各摺動支持部30は、図1〜図3に示すように、重なり方向においてヒンジ部20より裏側に設けられ、第1当接部32と、この第1当接部32に対し長さ方向に離間して設けた第2当接部34とを備えている。なお、両端部10A,10Bに設けた各摺動支持部30は幅方向で対称形状に形成されており、ここでは同一部位は同一符号を付して説明する。各摺動支持部30の第1当接部32は、支持体部10における第1梁部14の端部から水平に延出するように形成されて、幅方向において同一の軸線上に位置しており、第1梁部14の端部に連設された腕部32Aと、該腕部32Aの先端に形成された当接突部32Bとを備えている。当接突部32Bは、図3および図4に示すように、長さ方向から見た形状が円形で前記ガイドレールGR1,GR2の溝部114に突入可能な直径に形成されており、長さ方向の両端面が平面状に形成されると共に外周面が外方へ膨出する曲面状に形成され、溝部114の底面114A、上面114Bおよび側面114Cの夫々に外周面が点接触するようになっている。腕部32Aは、縦断面形状が略矩形に形成されて、第1梁部14に対して長さ方向および重なり方向の撓み変形が起こり難く構成されている。
【0025】
各摺動支持部30の第2当接部34は、第1当接部32と長さ方向において対称となる形状に形成されて、第2梁部16の端部に連設された腕部34Aと、該腕部34Aの先端に形成された当接突部34Bとを備えている。各第2当接部34は、支持体部10における第2梁部16の端部から水平に延出するように形成されて、幅方向において同一の軸線上に位置しており、第2梁部16の端部に連設された腕部34Aと、該腕部34Aの先端に形成された当接突部34Bとを備えている。当接突部34Bは、長さ方向から見た形状が円形で前記ガイドレールGR1,GR2の溝部114に突入可能な直径に形成されており、長さ方向の両端面が平面状に形成されると共に外周面が外方へ膨出する曲面状に形成され、溝部114の底面114A、上面114Bおよび側面114Cの夫々に外周面が点接触するようになっている。腕部34Aは、縦断面形状が略矩形に形成されて、第2梁部16に対して長さ方向および重なり方向の撓み変形が起こり難く構成されている。
【0026】
そして各支持体部10は、図5に示すように、一端部10Aに設けた摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34と他端部10Bに設けた摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34との計4つの当接部による4点支持態様により、一対のガイドレールGR1,GR2に支持される。すなわち、一方の摺動支持部30の各当接部32,34が一方のガイドレールGR1における溝部114の底面114Aに当接する当接ポイントP1,P2と、他方の摺動支持部30の各当接部32,34が他方のガイドレールGR2における溝部114の底面114Aに当接する当接ポイントP3,P4とは、四角形に延在するライン(図5に一点鎖線で表示)の各角部に位置する関係となっている。従って各支持体部10は、板部12に対して重なり方向から荷重が加わった際に、幅方向に延在する軸線Jを中心とした回転変位が規制されて安定的に支持される構造となっている。なお、計4つの前記当接部うちの少なくとも3つ以上の当接部が一対のガイドレールGR1,GR2に当接すれば、支持体部10は軸線Jを中心として回転変位することが規制されて安定的に支持される。
【0027】
シャッタ基材SBには、図1および図2に示すように、前から3番目に位置する支持体部10および該支持体部10から後方へ1つおきに位置する合計9個の支持体部10における幅方向の両端部に、係止手段60を構成する係止爪部(係止部)62が、上方へ突出した状態で設けられている。すなわち、支持体部10における左端部に設けたられた各係止爪部62および右端部に設けられた各係止爪部62は、上方へ突出すると共に折曲した倒立L形に形成され、板部12の左端部から垂直に立ち上がった基部64と、基部64の上端から水平に延出して該板部12の上方に離間して位置する係止片66とを備えている。支持体部10の左端部および右端部に設けたられた各係止爪部62は、シャッタ基材SBの長さ方向へ直列に配置され、後述するように、パッド部材PDに対して該パッド部材PDがシャッタ基材SBから離れる方向で引掛かるように構成されている。なお、各係止爪部62は、ヒンジ部20にかかるように設けられていないので、シャッタ基材SBの屈伸変形は阻害されない。
【0028】
前記パッド部材PDは、図1〜図3に示すように、シャッタ基材SBの一面を被覆する矩形板状に発泡成形されて弾力性を有する発泡体40と、この発泡体40の表面を被覆するように配設されて可撓性を有する表皮材50とを備え、前記シャッタ基材SBより弾力性および柔軟性が高く構成されている。これによりパッド部材PDは、シャッタ基材SBの平坦状態および湾曲状態の屈伸変形に追従して、平坦状および湾曲状に弾性変形が可能となっている。
【0029】
発泡体40は、例えば連続気泡構造をなす軟質のポリウレタンフォームであって、曲げや捻りおよび圧縮に対して軟らかく、かつ充分な復元性を有しており、前記シャッタ基材SBよりかなり軟らかく形成されている。この発泡体40は、図1および図2に示すように、長さがシャッタ基材SBの長さと同じく、幅が支持体部10の幅と同じであり、厚みはシャッタ基材SBの厚みと略同じで、全体が略同じ厚みの矩形板状となっている。発泡体40の幅方向の左側面は、シャッタ基材SB側に近づくにつれて右方へ変位する傾斜面となっていると共に、該発泡体40の幅方向の右側面は、シャッタ基材SBに近づくにつれて左方へ変位する傾斜面となっている。また、発泡体40の長さ方向の前端面はおよび後端面は、シャッタ基材SBの板部12に対して垂直な垂直面となっている。なお発泡体40は、(1)注型発泡成形方法により前記形状に発泡成形したもの、(2)予め発泡成形された発泡製造体(スラブ)を後加工により前記形状に裁断したもの等、様々な製造方法により成形されたものが実施可能である。
【0030】
表皮材50は、パッド部材PDの表側を構成する上表皮部51、該パッド部材PDの左側面を構成する左表皮部52および右側面を構成する右表皮部53、該パッド部材PDの前端面を構成する前表皮部54および後端面を構成する後表皮部55、該パッド部材PDの裏側(シャッタ基材SB側)を構成する下表皮部56とを有している。前記左表皮部52は、上表皮部51からシャッタ基材SBに近づくにつれて右方へ変位するよう傾斜状に形成されていると共に、右表皮部53は、上表皮部51からシャッタ基材SBに近づくにつれて左方へ変位するよう傾斜状に形成されている。また、前記前表皮部54は、上表皮部51からシャッタ基材SBに向けて垂直に形成されていると共に、後表皮部55は、上表皮部51からシャッタ基材SBに向けて垂直に形成されている。
【0031】
前記表皮材50は、(A)ポリ塩化ビニル(PVC)や熱可塑性ポリウレタン(TPU)等の合成樹脂製のもの、(B)ファブリックやトリコット等の布製のもの、(C)本革製のもの等が選択的に実施可能である。なお(A)の表皮材50は、樹脂シートから真空成形したもの、樹脂粉末からパウダースラッシュ成形したもの、ウレタンをスプレー成形したものが採用可能である。また、(B)および(C)の表皮材50は、複数の表皮片を前記形状に立体的に縫合したものが採用可能である。このような表皮材50は、前記発泡体40よりは硬く、前記シャッタ基材SBよりはかなり軟らかく形成されている。また表皮材50は、該表皮材50の厚み方向へは容易に撓曲変形および屈曲変形するが、面方向へは伸縮変形し難いものも採用できる。なお、(A)〜(C)の表皮材50は、前述した(1)および(2)の発泡体40に対して接着剤等により貼り込んで装着することが可能である。また、(A)および(B)の表皮材50は、前述した(1)の発泡体40に対して、発泡成形型内にセットして発泡体40を発泡成形することで成形された該発泡体40に装着することが可能である。
【0032】
前記発泡体40および表皮材50から構成されたパッド部材PDは、図2および図3に示すように、シャッタ基材SBに相対する下面PD6は、該シャッタ基材SBの板部12の表面に全体的に接触し得る面形状に形成されている。また、パッド部材PDにおける長さ方向に沿う左側面PD2および右側面PD3は、下面PD6側から上面PD1側に近づくにつれて互いに離れるように斜めに設けられており、上面PD1の幅は下面PD2の幅より大きくなっている。また、パッド部材PDにおける前面PD4および後面PD5は、下面PD6に対して垂直に設けられており、上面PD1の長さと下面PD6の長さは同じになっている。
【0033】
前述のように構成されたパッド部材PDは、その前面PD4をシャッタ基材SBの前端に一致させた状態で、両面テープや接着剤等を利用して前側部分だけを固定部分PDaとしてシャッタ基材SBにおける板部12表面に固定される。なお実施例では、シャッタ基材SBの前側に位置する2つの支持体部10に相対する部分が固定部分PDaとされている。従って、図7に示すように、シャッタSがシャッタ基材SBを内側にして湾曲状態に変形する場合には、該シャッタ基材SBとパッド部材PDとの間に周長差が生ずることにより、パッド部材PDにおけるシャッタ基材SBに固定されていない非固定部分PDbに対して、該シャッタ基材SBが後方へ相対的に移動してずれることが許容されるようになっている。
【0034】
図1〜図3に示すように、パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3には、該パッド部材PD内へ嵌凹して長さ方向に延在する溝部70が形成されている。左側面PD2に設けた溝部70には、シャッタ基材SBの左端に設けた各係止爪部62の係止片66が、該溝部70に向けて左方から突入している。また、右側面PD3に設けた溝部70には、シャッタ基材SBの右端に設けた各係止爪部62の係止片66が、該溝部70に向けて右方から突入している。
【0035】
パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3には、図1〜図3および図6に示すように、前記溝部70の下面PD6側に隣接して、係止手段60を構成する係止突部72が、前記溝部70の形成により、パッド部材PDの側方へ突出すると共に該パッド部材PDの長さ方向へ延在するように設けられている。左側面PD2に設けた係止突部72は、シャッタ基材SBにおける左端に設けた各係止爪部62の係止片66と該シャッタ基材SBの板部12との間に、幅方向において右方から係止され、これら係止爪部62と係止突部72とは重なり方向で引掛かっている。また、右側面PD3に設けた係止突部72は、シャッタ基材SBにおける右端に設けた各係止爪部62の係止片66と該シャッタ基材SBの板部12との間に、幅方向における左方から係止され、これら係止爪部62と係止突部72とは重なり方向で引掛かっている。
【0036】
すなわち、パッド部材PDの左側面PD2に設けた係止突部72および右側面PD3に設けた係止突部72は、シャッタ基材SBの板部12から離れる方向の移動は規制されるが、シャッタ基材SBの板部12に沿った長さ方向の移動は許容される。これにより、パッド部材PDの非固定部分PDbは、シャッタ基材SBに対して、該シャッタ基材SBから離れる方向の移動が規制されると共に、長さ方向の移動は許容されるように構成されている。換言すると、シャッタSがシャッタ基材SBを内側にして湾曲状態に変形して、シャッタ基材SBとパッド部材PDとの間に周長差が生じた場合には、係止爪部62が各係止突部72に係止されながら相対的に長さ方向へ移動することで、パッド部材PDの非固定部分PDbは、シャッタ基材SBに接触した状態で該シャッタ基材SBに対して前方へ相対的に移動してずれることが許容される。
【0037】
また、パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3には、図1〜図3および図6に示すように、前記溝部70の上面PD1側に隣接して、パッド部材PDの側方へ延出して該パッド部材PDの長さ方向へ延在する当接突部(当接部)74が形成されている。左側面PD2に設けた当接突部74は、該左側面PD2に設けた係止突部72に対して上方から相対して、シャッタ基材SBにおける左端に設けた各係止爪部62の係止片66に対して、シャッタSの平坦状態に対応したシャッタ基材SBの平坦状の姿勢において上方から接触可能となっている。また、右側面PD3に設けた当接突部74は、該右側面PD3に設けた係止突部72に対して上方から相対して、シャッタ基材SBにおける右端に設けた各係止爪部62の係止片66に対して、前記閉成位置で上方から接触可能となっている。
【0038】
ここで、左側面PD2および右側面PD3に設けた当接突部74は、図1、図2および図6に示すように、長さ方向において重なり方向へ凹凸した形状となっている。すなわち当接突部74は、下方へ突出して係止突部72との間隔が狭くなっている複数(実施例では9個)の当接面76と、各当接面76の後方に位置して係止突部72との間隔が該当接面76より広くなっている複数(実施例では9個)の非当接面78とが、長さ方向へ交互に設けられている。各当接面76は、シャッタSの平坦状態に対応したシャッタ基材SBの平坦状の姿勢において、各係止爪部62における係止片66の上方に位置するようになっている(図1、図6(a))。また各非当接面78は、シャッタSが平坦状態と湾曲状態と変位してシャッタ基材SBが平坦状から変形すると、パッド部材PDがシャッタ基材SBに対して長さ方向でずれることで、各係止爪部62における係止片66の上方に位置するようになっている(図6(b)、図7)。そして、図6(a)に示すように、当接面76と係止突部72との重なり方向での間隔H1は、係止爪部62における係止片66の厚みTと同じか略同じに設定されている。これにより、シャッタSが閉成位置において平坦状態となった場合には、各係止爪部62の係止片66が当接突部74と係止突部72とで重なり方向から挟持され、パッド部材PDの非固定部分PDbが該シャッタ基材SBにがたつきなく保持される。また、非当接面78と係止突部72との重なり方向での間隔H2は、係止爪部62における係止片66の厚みTより大きく設定されている。これにより、シャッタSが閉成位置から外れた位置において部分的に湾曲したり全体が湾曲状態となった場合には、各係止爪部62の係止片66が当接突部74と係止突部72とで重なり方向から挟持されず、シャッタ基材SBに対するパッド部材PDの長さ方向への移動が円滑になされる。
【0039】
なお実施例のシャッタSは、パッド部材PDにおける上面PD1の前縁近傍に、指先を引っ掛けることが可能な指掛部材58が装着されている。従って、指掛部材58を指先で把持することで、シャッタSの開閉操作を簡易に行ない得る。
【0040】
前述のように構成された実施例のシャッタSは、各支持体部10の一端部10Aに設けた各摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34を一方のガイドレールGR1の溝部114に各々突入して係合させると共に、各支持体部10の他端部10Bに設けた各摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34を他方のガイドレールGR2の溝部114に各々突入して係合させることで、スライド移動が可能にコンソール本体100に配設される。そしてシャッタSは、図1〜図3に示すように、物品収納部102の上部開口104を閉じるように閉成位置までスライド移動させると、各支持体部10の摺動支持部30,30が各ガイドレールGR1,GR2の直線部110に位置するので、シャッタ基材SBおよび該シャッタ基材SBの上に位置するパッド部材PDは何れも平坦状となり、全体が一枚の平板の如く平坦状態となって上部開口104を全体的に覆蓋する。そして、シャッタ基材SBの左右両端に設けた各係止爪部62の係止片66が、該パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3に設けた各係止突部72および各当接突部74により重なり方向で挟持されるので、パッド部材PDの非固定部分PDbがシャッタ基材SBにがたつくことなく保持されている。特に、パッド部材PDが発泡体40および表皮材50から形成されているので、各係止爪部62の係止片66は、係止突部72および当接突部74で弾力的に支持され得る。
【0041】
従って、実施例のシャッタSによれば、シャッタ基材SBの表面側に、弾力性を有する発泡体40および可撓性を有する表皮材50から構成されたパッド部材PDが配設されているので、シャッタ基材SBがパッド部材PDで隠れてシャッタSの質感が高くなっている。そしてシャッタSは、上部開口104を閉じた閉成位置となった際に平坦状態となり、弾力性を有するパッド部材PDがシャッタ基材SBの上方に位置するため、アームレストとして好適に実施し得る。すなわちシャッタSは、重なり方向において上方から荷重が加わった際に、該シャッタSを構成する各支持体部10が、一端部10Aおよび他端部10Bの夫々に設けた摺動支持部30,30における長さ方向に並べて2つずつ設けた各第1当接部32および各第2当接部34の計4つのうちの3つ以上で、一対のガイドレールGR1,GR2に支持される。このため、支持体部10は幅方向に延在する軸線Jを中心として回転変位し難く、各支持体部10に荷重が加わった際に該支持体部10を繋ぐヒンジ部20に応力が集中し難いので、て該ヒンジ部20を薄く形成することが可能となる。
【0042】
また実施例のシャッタSは、閉成位置からコンソール本体100の後方に向けてスライド移動させる際に、図7に示すように、長さ方向における後側の支持体部10から各ガイドレールGR1,GR2の曲線部112に順次移動するようになる。これにより、シャッタ基材SBの前記曲線部112に位置する部位では、各ヒンジ部20が屈曲変形することで、一方の支持体部10に対して他方の支持体部10が互いに近づくように姿勢変位し、該シャッタ基材SBは曲線部112の曲率に合わせて湾曲状態に変形するようになる。そして、シャッタ基材SBより軟らかいパッド部材PDは、係止爪部62および係止突部72の重なり方向での引掛かりにより、該シャッタ基材SBの湾曲状態への変形に追従して湾曲状態に変形する。しかも実施例のシャッタSは、パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3に長さ方向に沿って設けた各係止突部72を、シャッタ基材SBの左端部および右端部に長さ方向に直列に設けた各係止爪部62で重なり方向から係止する係止手段60を採用したので、パッド部材PDの非固定部分PDbは、シャッタ基材SBに接触した状態で長さ方向へスムーズに移動する。しかも、左右の各係止爪部62によりパッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3が長さ方向に沿って係止されるので、パッド部材PDが幅方向へずれることが防止されると共に、該パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3がシャッタ基材SBから離間して捲れることも防止し得る。なおパッド部材PDは、厚み方向の中央に位置する溝部70より下面PD6の側が長さ方向で圧縮し、該溝部70より上面PD1の側が長さ方向で伸長が、溝部70では殆ど変形しないので、係止爪部62の係止片66と係止突部72との係止状態は適切に維持される。
【0043】
従って、実施例のシャッタSによれば、シャッタ基材SBを内側として湾曲状態に変形するに際し、パッド部材PDは長さ方向へ引っ張られないので、シャッタSの湾曲状態への変形が阻害されることなく該シャッタSのスムーズな開閉が可能となる。また、パッド部材PDの表皮材50や発泡体40が長さ方向へ引っ張られないので、これら表皮材50や発泡体40に亀裂が発生し難くなると共に、該表皮材50と発泡体40との剥離も防止し得る。
【0044】
更に、実施例のシャッタSによれば、シャッタ基材SBに設けた各係止爪部62がパッド部材PDに設けた各係止突部72に対して引掛かることで、パッド部材PDがシャッタ基材SBだけに保持されているから、該シャッタ基材SBがガイドレールGR1,GR2に沿ってスライド移動する際に、該パッド部材PDが適切にスライド移動する。すなわち、パッド部材PDがシャッタ基材SB用のガイドレールGR1,GR2とは別のパッド部材用のガイドレールにスライド移動可能に支持された構成のシャッタの場合では、パッド部材用のガイドレールに対するパッド部材のスライド不良が発生するとシャッタのスライド不良が発生してしまうが、実施例のシャッタSではパッド部材PDを原因としたスライド不良が発生することがない。しかも、シャッタ基材SBに設けた各係止爪部62がパッド部材PDに設けた各係止突部72に対して引掛かっているので、該パッド部材PDの変形がパッド部材用のガイドレールの延在形状に依存するものではないから、シャッタ基材SBの屈伸変形に対してパッド部材PDを適切かつ確実に変形させることができる。
【0045】
(変更例)
(1)実施例では、係止手段60として、シャッタ基材SBの左右両端に各々9個ずつの係止爪部62を設けたが、該係止突部72の配設数はこれに限定されず、パッド部材PDのサイズに応じて変更可能である。また実施例では、シャッタ基材SBの左端および右端に設けた各々9個ずつの係止爪部62は長さ方向へ等間隔に配置したが、各係止爪部62の配置間隔が等間隔でなくてもよい。
(2)実施例では、パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3に設けた各係止突部72が、パッド部材PDの長さ方向へ連続して9個の各係止爪部62が係止する形態を例示したが、係止突部72は、各係止爪部62に対応して断続して設けるようにしてもよい。
(3)係止手段60は、パッド部材PDの非固定部分PDbを、シャッタ基材SBの板部12から離間移動することを規制し、該板部12の表面に沿った長さ方向への移動を許容するものであれば、実施例に例示した形態に限定されない。例えば、図9に示すように、パッド部材PDにおけるシャッタ基材SBに相対する下面PD6に被係止部72を設け、シャッタ基材SBにおける板部12の表面に、該被係止部72に係止する鈎状の係止部62を設けても、前記実施例と同等の作用効果が得られる。
(4)実施例では、シャッタSにおける特定の姿勢を、上部開口104を閉じた閉成位置に対応する全体が平坦状態となった場合を例示したが、この特定の姿勢とはこれに限らず、例えば長さ方向において全体が緩やかに曲がっている状態や、略全体が平坦で後側の一部だけが円弧状に湾曲している状態等であってもよい。換言すると、シャッタSにおける特定の姿勢とは、長さ方向において円弧状に湾曲した部分が最も少ない状態であって、該シャッタSは該特定の姿勢から長さ方向へスライド移動すると円弧状に湾曲した部分が多くなる。
(5)実施例では、パッド部材PDを構成する発泡体40としてポリウレタンフォームを例示したが、弾力性を有して外力により好適に圧縮変形すると共に適切な復元性を有するものであれば、該発泡体40はスポンジやゴム等であってもよい。
(6)シャッタ基材SBの支持体部10の配設数は、実施例に例示の数に限定されず、上部開口104の開口サイズに応じて増減する。
(7)シャッタ基材SBは、支持体部10、ヒンジ部20および摺動支持部30が一体成形されたものに限定されず、図11および図12に例示した従来のシャッタS1のような構成であってもよい。
(8)本願のシャッタSは、実施例で例示した自動車の乗員室内に設置されるフロアコンソールFC以外にも実施可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 支持体部,20 ヒンジ部,40 発泡体,50 表皮材,62 係止爪部(係止部)
66 係止片,72 係止突部(被係止部),74 当接突部(当接部)
GR1,GR2 ガイドレール,PD パッド部材,PD2 左側面,PD3 右側面
SB シャッタ基材
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向設置された一対のガイドレールに沿ってスライド移動可能に配設されるシャッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図10に示すように、自動車の乗員室内に設置されるフロアコンソールFCでは、上方に開口した物品収納部102がコンソール本体100の内部に画成されており、該物品収納部102の上部開口104を開閉する蓋部材としてシャッタS1を採用したものがある。前記シャッタS1は、フロアコンソールFC内において物品収納部102を挟んで左右に対向して配設された一対のガイドレールGR1,GR2に、一端部に設けた摺動支持部94および他端部に設けた摺動支持部94を夫々係合させることで、該ガイドレールGR1,GR2に沿って前後方向のスライド移動が可能となっている。
【0003】
前記一対のガイドレールGR1,GR2は、図10に示すように、幅方向において対称形状に形成されており、物品収納部102の上部開口104の側縁に前後方向へ水平に延在する直線部110と、該直線部110の後部から所定の曲率で物品収納部102の後側下方へ円弧状に湾曲する曲線部112とを備えている。従って前記シャッタS1は、物品収納部102の上部開口104を閉じる閉成位置ではコンソール本体100の上面に略水平かつ平坦状に延在し、該上部開口104を開く開放位置では該コンソール本体100の後側内部に湾曲状態で収納されるため、平坦状態と湾曲状態とに変形することが要求される。またシャッタS1は、物品収納部102の上部開口104を閉じた状態において、上面に物品や腕(肘)を載せたり、乗員室に乗降する際に手を着く等の使用態様が起こり得る。このためシャッタS1は、湾曲状態への変形を可能とする可撓性および荷重を支える剛性の両方を兼備する必要がある。
【0004】
そこで、従来のシャッタS1は、図11および図12に示すように、軟質樹脂(熱可塑性エラストマ等)により成形されたプレート部材80と、この軟質樹脂より硬い硬質樹脂(ポリエチレンやポリプロピレン等)から成形されたリブ部材90とを備えている。前記プレート部材80は、セル部82と該セル部82より薄いヒンジ部84とがスライド方向に交互に形成されており、各ヒンジ部84において弾力的な湾曲変形が可能となっている。また、各リブ部材90は、前記セル部82に沿って延在するリブ部92と、該リブ部92の一端部および他端部の夫々に設けた摺動支持部94,94とを備えている。従ってシャッタS1は、各リブ部材90の各摺動支持部94,94を、対応するガイドレールGR1,GR2の溝部114に係合させることで、該ガイドレールGR1,GR2に沿ったスライド移動が可能となる。
【0005】
しかし、前記従来のシャッタS1は、図11および図12に示すように、ヒンジ部84を形成することによる凹凸がプレート部材80の表面に形成されているので質感が高くない。また、プレート部材80を形成する前記軟質樹脂は、内部に空隙を有さない所謂ソリッドタイプであるから、荷重が加わった際に圧縮変形するほどの柔軟性は備えていない。このため、物品収納部102を閉じた平坦状態のシャッタS1の上面に腕(肘)を載せた場合には、プレート部材80が殆ど圧縮変形しないから該シャッタS1をアームレストとして使用するには硬すぎる問題がある。そこで、前記シャッタS1におけるプレート部材80の表面に、適宜の表皮材を直接貼付けるようにしたシャッタも提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2010−510135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述した表皮材をプレート部材80の表面に装着して構成されるシャッタS1では、該プレート部材80を内側にして湾曲状態に変形するに際して内側の該プレート部材80と外側の表皮材との間に周長差が生ずることから、ゴムの如く伸縮変形に富む素材から形成された表皮材を使用しなければならない。換言すると、伸縮変形し難い素材からなる表皮材をプレート部材80に装着した場合には、シャッタS1の湾曲状態への変形が阻害されて該シャッタS1の開閉操作に係る荷重が増加して開閉し難くなったり、当該表皮材がプレート部材80から剥離する問題が発生する。また、伸縮変形に富む素材から形成された表皮材を使用した場合には、シャッタS1が湾曲状態と平坦状態との間で変形を繰り返すと該表皮材が伸びた状態となって弛みや皺が発生する問題が発生する。特に、表皮材の厚みが大きくなるほど、前述した問題が発生し易い。
【0008】
従って本発明では、開閉操作を軽い力で行なうことができるシャッタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に記載の発明では、対向設置された一対のガイドレールに沿ってスライド移動可能に配設されるシャッタであって、
スライド移動方向に沿う端縁が対応のガイドレールにスライド移動可能に支持され、該ガイドレールに合わせて屈伸変形するシャッタ基材と、
スライド移動方向における一端側だけを前記シャッタ基材に固定して該シャッタ基材に重ねて設けられ、可撓性を有するパッド部材と、
前記シャッタ基材に設けられ、前記パッド部材にシャッタ基材から離れる方向で引掛かる一方、該パッド部材のスライド移動方向の移動を許容する係止部とを備えたことを要旨とする。
【0010】
従って、請求項1に係る発明によれば、シャッタ基材に重ねて設けられたパッド部材は、スライド移動方向における一端側だけがシャッタ基材に固定されると共に、シャッタ基材に設けた係止部により、シャッタ基材から離れる方向の移動が規制されると共にスライド移動方向の移動が許容されている。従って、シャッタ基材がガイドレールに合わせて屈伸変形する際には、パッド部材がシャッタ基材に対してスライド移動方向へ移動して、該パッド部材がスライド移動方向へ引っ張られないので、シャッタの湾曲状態への変形が阻害され難く、シャッタの開閉操作を軽い力で行ない得る。また、パッド部材がシャッタ基材に重ねて配設されているので、シャッタ基材がパッド部材で隠されてシャッタの質感を高めることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、前記パッド部材は、スライド移動方向に沿う側面に、該スライド移動方向へ前記シャッタ基材と平行に延在する被係止部を備え、
前記係止部は、前記シャッタ基材から離間して形成されて、該シャッタ基材とで前記被係止部を挟持する係止片を備えることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、パッド部材におけるスライド移動方向に沿う側面にスライド移動方向へ延在するように設けた被係止部に、シャッタ基材に設けた係止部の係止片が係止するので、パッド部材の側面側がシャッタ基材から離間して捲れることが防止され、パッド部材をシャッタ基材に接触した状態で適切に保持することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、前記パッド部材は、前記係止片を挟んで前記被係止部に相対する当接部を備え、
前記当接部は、前記シャッタ基材が特定の姿勢において前記係止片に接触し、該シャッタ基材が該特定の姿勢から変形すると該係止片から離れるように形成されたことを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、シャッタ基材が特定の姿勢にある場合には、係止片を被係止部および当接部で挟持し得るので、パッド部材をシャッタ基材に対して適切に保持し得る。また、シャッタ基材がスライド移動して特定の姿勢から変形した場合には、係止片が被係止部および当接部で挟持されないので、シャッタ基材に対するパッド部材のスライド移動方向への移動が阻害されない。
【0013】
請求項4に記載の発明では、前記シャッタ基材は、スライド移動方向に並べて設けられた複数の支持体部と、隣り合う支持体部の間に両支持体部を繋ぐように形成されて屈曲変形可能なヒンジ部とを備え、
前記係止部は、前記支持体部のうちの選択された支持体部に、前記スライド移動方向に沿って直列に設けられたことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、シャッタ基材が各ヒンジ部の弾性変形により屈伸変形しても、支持体部に設けた各係止部がパッド部材を係止しているので、該パッド部材はシャッタ基材の変形に追従して適切に変形する。また、係止部がヒンジ部にかかるように設けられていないので、シャッタ基材の屈伸変形が阻害されない。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るシャッタによれば、パッド部材がシャッタ基材に対して移動し得るようになっているので、開閉操作を軽い力で行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例のシャッタの斜視図である。
【図2】平坦状態となった実施例のシャッタの側面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】シャッタ基材の1つの支持体部を示す斜視図である。
【図5】シャッタ基材の各支持体部の両端に設けた摺動支持部を示す部分拡大図である。
【図6】シャッタ基材に設けられた係止爪部と、パッド部材に設けられた係止突片部および当接突部とを示す説明図であって、(a)は、シャッタ基材の平坦状態を示し、(b)は、シャッタ基材の湾曲状態を示している。
【図7】湾曲状態に変形した実施例のシャッタの側面図である。
【図8】実施例のシャッタをフロアコンソールの蓋部材として実施した状態を示す説明斜視図である。
【図9】係止手段の変更例を示す説明断面図である。
【図10】従来のシャッタをフロアコンソールの蓋部材として実施した状態を示す説明斜視図である。
【図11】従来のシャッタの斜視図である。
【図12】従来のシャッタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係るシャッタにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、図8に示すように、フロアコンソールFCの蓋部材として実施されるシャッタを例示して説明するが、本願のシャッタが実施される対象は、このフロアコンソールFCに限定されない。なお実施例では、図1に示すように、シャッタSが水平かつ平坦状態において、該シャッタSのスライド移動方向を「長さ方向」、スライド移動方向と水平に直交する方向(両ガイドレールGR1,GR2の対向方向)を「幅方向」、スライド移動方向と垂直に直交する方向を「重なり方向」と指称する。また、重なり方向においては、上側をシャッタSの表側、下側を該シャッタSの裏側とする。
【実施例】
【0017】
実施例のシャッタSが配設されるフロアコンソールFCは、図8に示すように、コンソール本体100における前後方向の後側内部に、上方に開口した物品収納部102が画成されており、該物品収納部102の上部開口104を該シャッタSで開閉可能に覆蓋するようになっている。実施例のシャッタSは、コンソール本体100内に、該コンソール本体100の前後方向に延在すると共に物品収納部102を挟んで該コンソール本体100の幅方向に対向するよう配設された一対のガイドレールGR1,GR2に、後述する各摺動支持部30,30を各々係合させることで、該ガイドレールGR1,GR2に沿ったスライド移動が可能となっている。
【0018】
各ガイドレールGR1,GR2は、図8に示すように、幅方向において対称形状に形成されており、物品収納部102の上部開口104の側縁に前後方向へ水平に延在する直線部110と、該直線部110の後部から所定の曲率で物品収納部102の後側下方へ円弧状に湾曲する曲線部112とを備えている。各ガイドレールGR1,GR2は、互いに対向する内側面に、直線部110から曲線部112に亘って延在する溝部114が形成されており、各溝部114に前記摺動支持部30,30が突入して係合する。
【0019】
実施例のシャッタSは、図1〜図7に示すように、スライド方向に沿う各端が対応のガイドレールGR1,GR2にスライド移動可能に支持され、該ガイドレールGR1,GR2に合わせて伸びた状態と曲がった状態とに屈伸変形するシャッタ基材SBと、前記シャッタ基材SBの表面側に該シャッタ基材SBと重ねて装着されるパッド部材PDとを備えている。実施例のシャッタSは、パッド部材PDにおける長さ方向の一端側である前側部分だけを固定部分PDaとしてシャッタ基材SBに固定し、該パッド部材PDにおける固定部分PDa以外の非固定部分PDbは、該シャッタ基材SBに非固定状態となっている。そして、パッド部材PDの非固定部分PDbは、後述する係止手段60により、シャッタ基材SBに係止されている。このようなシャッタSは、シャッタ基材SBが屈伸変形すると共にパッド部材PDが該シャッタ基材SBに追従して変形することで、物品収納部102の上部開口104を閉じた閉成位置において特定の姿勢である平坦状態となり、該上部開口104を開く開放位置において湾曲状態に変形する。
【0020】
前記シャッタ基材SBは、長さ方向に並べて設けられて、当該シャッタに加わる荷重を支える支持体部10と、隣り合う支持体部10の間に両支持体部10,10を繋ぐように形成されたヒンジ部20と、各支持体部10における一方のガイドレールGR1に対向する一端部10Aおよび他方のガイドレールGR2に対向する他端部10Bの夫々に設けた摺動支持部30,30とを備えている。そしてシャッタ基材SBは、前記支持体部10、ヒンジ部20および摺動支持部30を、1種類の同一の成形材料によりインジェクション成形型を用いて1工程で一体成形された成形部材である。なお成形材料としては、硬質のポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の合成樹脂が好適に採用される。
【0021】
シャッタ基材SBは、合計21個の支持体部10が長さ方向に並べて設けられており、幅方向において対称形状に形成されている。各支持体部10は、図2、図3および図4に示すように、両ガイドレールGR1,GR2の間隔に適合する長さで、幅方向へ細長い形状でヒンジ部20からシャッタSの裏側へ突出した形状に形成されている。各支持体部10は、シャッタSの表面を構成する板部12と、シャッタSの幅方向へ延在する第1梁部14および該第1梁部14と長さ方向へ離間しかつ平行に延在する第2梁部16と、第1梁部14および第2梁部16を連設する複数の連設部18とを備えている。各連設部18は、第1梁部14および第2梁部16の間において幅方向へ所要間隔毎に配設されている。従って支持体部10は、第1梁部14と第2梁部16との間に空間が画成された所謂梯子状のリブ構造体として構成されている。
【0022】
第1梁部14および第2梁部16は、図3および図4に示すように、シャッタSの長さ方向において対称となる形状に形成されており、該シャッタSの長さ方向での幅寸法に対して該シャッタSの重なり方向での高さ寸法が大きく設定されている。そして、第1梁部14および第2梁部16は、幅方向において4等分に便宜的に区切った場合に、中央寄りの2区分に対応する部分において高さが最大に形成され、当該支持体部10の一端部10A側および他端部10B側において高さが最小に形成されている。更に、第1梁部14および第2梁部16における一端部10A側の部分では、中央側から該一端部10Aに近づくにつれて高さが徐々に小さくなるように傾斜状に形成されていると共に、他端部10B側の部分では、中央側から該他端部10Bに近づくにつれて高さが徐々に小さくなるように傾斜状に形成されている。従って、リブ構造体として構成された支持体部10は、両梁部14,16間が硬質樹脂で埋まった形状の場合と同等の剛性が確保されており、幅方向における中間部に対し上方から荷重が加わっても、幅方向での撓み変形や捻れ変形が発現し難い。そして各支持体部10は、図2に示すように、シャッタSの長さ方向での幅寸法が、ヒンジ部20側(板部12側)が最大となるように形成され、重なり方向においてヒンジ部20から離れるにつれて徐々に小さくなり、ヒンジ部20と反対側の端部が最小となるように形成されている。すなわち支持体部10は、シャッタSの幅方向の外方から見た形状が、ヒンジ部20から離れるにつれて先細となる台形形状をなし、シャッタSの裏側へ突出して形成されている。
【0023】
ヒンジ部20は、図2〜図7に示すように、長さ方向で隣り合う支持体部10,10の板部12と一体的に形成され、各支持体部10を、重なり方向の表側で横並び状に連設している。そしてヒンジ部20は、支持体部10より薄肉に形成されて長さ方向で撓曲変形または折曲変形が可能となっており、支持体部10の表側から離間した裏側が近接して、隣り合う一方の支持体部10における第1梁部14と他方の支持体部10における第2梁部16とが接触するまで変形が可能となっている。ヒンジ部20を挟んで隣り合う両支持体部10,10の間隔は、前述したように該支持体部10が台形形状に形成されていることで、シャッタSの平坦状態において、ヒンジ部20側が最も狭く、該ヒンジ部20から離れるにつれて徐々に大きくなっている(図2)。そしてヒンジ部20は、厚みが0.5mm程度に設定されており、必要な剛性を有する硬質の合成樹脂からなる成形材料により形成されていても、隣り合う支持体部10,10が互いに接触するまで撓曲変形または折曲変形し得ると共に、隣り合う支持体部10,10が互いに接触するまで折曲させた際でも塑性変形による破断が発生しないよう構成されている。
【0024】
各支持体部10の両端部10A,10Bに設けた各摺動支持部30は、図1〜図3に示すように、重なり方向においてヒンジ部20より裏側に設けられ、第1当接部32と、この第1当接部32に対し長さ方向に離間して設けた第2当接部34とを備えている。なお、両端部10A,10Bに設けた各摺動支持部30は幅方向で対称形状に形成されており、ここでは同一部位は同一符号を付して説明する。各摺動支持部30の第1当接部32は、支持体部10における第1梁部14の端部から水平に延出するように形成されて、幅方向において同一の軸線上に位置しており、第1梁部14の端部に連設された腕部32Aと、該腕部32Aの先端に形成された当接突部32Bとを備えている。当接突部32Bは、図3および図4に示すように、長さ方向から見た形状が円形で前記ガイドレールGR1,GR2の溝部114に突入可能な直径に形成されており、長さ方向の両端面が平面状に形成されると共に外周面が外方へ膨出する曲面状に形成され、溝部114の底面114A、上面114Bおよび側面114Cの夫々に外周面が点接触するようになっている。腕部32Aは、縦断面形状が略矩形に形成されて、第1梁部14に対して長さ方向および重なり方向の撓み変形が起こり難く構成されている。
【0025】
各摺動支持部30の第2当接部34は、第1当接部32と長さ方向において対称となる形状に形成されて、第2梁部16の端部に連設された腕部34Aと、該腕部34Aの先端に形成された当接突部34Bとを備えている。各第2当接部34は、支持体部10における第2梁部16の端部から水平に延出するように形成されて、幅方向において同一の軸線上に位置しており、第2梁部16の端部に連設された腕部34Aと、該腕部34Aの先端に形成された当接突部34Bとを備えている。当接突部34Bは、長さ方向から見た形状が円形で前記ガイドレールGR1,GR2の溝部114に突入可能な直径に形成されており、長さ方向の両端面が平面状に形成されると共に外周面が外方へ膨出する曲面状に形成され、溝部114の底面114A、上面114Bおよび側面114Cの夫々に外周面が点接触するようになっている。腕部34Aは、縦断面形状が略矩形に形成されて、第2梁部16に対して長さ方向および重なり方向の撓み変形が起こり難く構成されている。
【0026】
そして各支持体部10は、図5に示すように、一端部10Aに設けた摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34と他端部10Bに設けた摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34との計4つの当接部による4点支持態様により、一対のガイドレールGR1,GR2に支持される。すなわち、一方の摺動支持部30の各当接部32,34が一方のガイドレールGR1における溝部114の底面114Aに当接する当接ポイントP1,P2と、他方の摺動支持部30の各当接部32,34が他方のガイドレールGR2における溝部114の底面114Aに当接する当接ポイントP3,P4とは、四角形に延在するライン(図5に一点鎖線で表示)の各角部に位置する関係となっている。従って各支持体部10は、板部12に対して重なり方向から荷重が加わった際に、幅方向に延在する軸線Jを中心とした回転変位が規制されて安定的に支持される構造となっている。なお、計4つの前記当接部うちの少なくとも3つ以上の当接部が一対のガイドレールGR1,GR2に当接すれば、支持体部10は軸線Jを中心として回転変位することが規制されて安定的に支持される。
【0027】
シャッタ基材SBには、図1および図2に示すように、前から3番目に位置する支持体部10および該支持体部10から後方へ1つおきに位置する合計9個の支持体部10における幅方向の両端部に、係止手段60を構成する係止爪部(係止部)62が、上方へ突出した状態で設けられている。すなわち、支持体部10における左端部に設けたられた各係止爪部62および右端部に設けられた各係止爪部62は、上方へ突出すると共に折曲した倒立L形に形成され、板部12の左端部から垂直に立ち上がった基部64と、基部64の上端から水平に延出して該板部12の上方に離間して位置する係止片66とを備えている。支持体部10の左端部および右端部に設けたられた各係止爪部62は、シャッタ基材SBの長さ方向へ直列に配置され、後述するように、パッド部材PDに対して該パッド部材PDがシャッタ基材SBから離れる方向で引掛かるように構成されている。なお、各係止爪部62は、ヒンジ部20にかかるように設けられていないので、シャッタ基材SBの屈伸変形は阻害されない。
【0028】
前記パッド部材PDは、図1〜図3に示すように、シャッタ基材SBの一面を被覆する矩形板状に発泡成形されて弾力性を有する発泡体40と、この発泡体40の表面を被覆するように配設されて可撓性を有する表皮材50とを備え、前記シャッタ基材SBより弾力性および柔軟性が高く構成されている。これによりパッド部材PDは、シャッタ基材SBの平坦状態および湾曲状態の屈伸変形に追従して、平坦状および湾曲状に弾性変形が可能となっている。
【0029】
発泡体40は、例えば連続気泡構造をなす軟質のポリウレタンフォームであって、曲げや捻りおよび圧縮に対して軟らかく、かつ充分な復元性を有しており、前記シャッタ基材SBよりかなり軟らかく形成されている。この発泡体40は、図1および図2に示すように、長さがシャッタ基材SBの長さと同じく、幅が支持体部10の幅と同じであり、厚みはシャッタ基材SBの厚みと略同じで、全体が略同じ厚みの矩形板状となっている。発泡体40の幅方向の左側面は、シャッタ基材SB側に近づくにつれて右方へ変位する傾斜面となっていると共に、該発泡体40の幅方向の右側面は、シャッタ基材SBに近づくにつれて左方へ変位する傾斜面となっている。また、発泡体40の長さ方向の前端面はおよび後端面は、シャッタ基材SBの板部12に対して垂直な垂直面となっている。なお発泡体40は、(1)注型発泡成形方法により前記形状に発泡成形したもの、(2)予め発泡成形された発泡製造体(スラブ)を後加工により前記形状に裁断したもの等、様々な製造方法により成形されたものが実施可能である。
【0030】
表皮材50は、パッド部材PDの表側を構成する上表皮部51、該パッド部材PDの左側面を構成する左表皮部52および右側面を構成する右表皮部53、該パッド部材PDの前端面を構成する前表皮部54および後端面を構成する後表皮部55、該パッド部材PDの裏側(シャッタ基材SB側)を構成する下表皮部56とを有している。前記左表皮部52は、上表皮部51からシャッタ基材SBに近づくにつれて右方へ変位するよう傾斜状に形成されていると共に、右表皮部53は、上表皮部51からシャッタ基材SBに近づくにつれて左方へ変位するよう傾斜状に形成されている。また、前記前表皮部54は、上表皮部51からシャッタ基材SBに向けて垂直に形成されていると共に、後表皮部55は、上表皮部51からシャッタ基材SBに向けて垂直に形成されている。
【0031】
前記表皮材50は、(A)ポリ塩化ビニル(PVC)や熱可塑性ポリウレタン(TPU)等の合成樹脂製のもの、(B)ファブリックやトリコット等の布製のもの、(C)本革製のもの等が選択的に実施可能である。なお(A)の表皮材50は、樹脂シートから真空成形したもの、樹脂粉末からパウダースラッシュ成形したもの、ウレタンをスプレー成形したものが採用可能である。また、(B)および(C)の表皮材50は、複数の表皮片を前記形状に立体的に縫合したものが採用可能である。このような表皮材50は、前記発泡体40よりは硬く、前記シャッタ基材SBよりはかなり軟らかく形成されている。また表皮材50は、該表皮材50の厚み方向へは容易に撓曲変形および屈曲変形するが、面方向へは伸縮変形し難いものも採用できる。なお、(A)〜(C)の表皮材50は、前述した(1)および(2)の発泡体40に対して接着剤等により貼り込んで装着することが可能である。また、(A)および(B)の表皮材50は、前述した(1)の発泡体40に対して、発泡成形型内にセットして発泡体40を発泡成形することで成形された該発泡体40に装着することが可能である。
【0032】
前記発泡体40および表皮材50から構成されたパッド部材PDは、図2および図3に示すように、シャッタ基材SBに相対する下面PD6は、該シャッタ基材SBの板部12の表面に全体的に接触し得る面形状に形成されている。また、パッド部材PDにおける長さ方向に沿う左側面PD2および右側面PD3は、下面PD6側から上面PD1側に近づくにつれて互いに離れるように斜めに設けられており、上面PD1の幅は下面PD2の幅より大きくなっている。また、パッド部材PDにおける前面PD4および後面PD5は、下面PD6に対して垂直に設けられており、上面PD1の長さと下面PD6の長さは同じになっている。
【0033】
前述のように構成されたパッド部材PDは、その前面PD4をシャッタ基材SBの前端に一致させた状態で、両面テープや接着剤等を利用して前側部分だけを固定部分PDaとしてシャッタ基材SBにおける板部12表面に固定される。なお実施例では、シャッタ基材SBの前側に位置する2つの支持体部10に相対する部分が固定部分PDaとされている。従って、図7に示すように、シャッタSがシャッタ基材SBを内側にして湾曲状態に変形する場合には、該シャッタ基材SBとパッド部材PDとの間に周長差が生ずることにより、パッド部材PDにおけるシャッタ基材SBに固定されていない非固定部分PDbに対して、該シャッタ基材SBが後方へ相対的に移動してずれることが許容されるようになっている。
【0034】
図1〜図3に示すように、パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3には、該パッド部材PD内へ嵌凹して長さ方向に延在する溝部70が形成されている。左側面PD2に設けた溝部70には、シャッタ基材SBの左端に設けた各係止爪部62の係止片66が、該溝部70に向けて左方から突入している。また、右側面PD3に設けた溝部70には、シャッタ基材SBの右端に設けた各係止爪部62の係止片66が、該溝部70に向けて右方から突入している。
【0035】
パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3には、図1〜図3および図6に示すように、前記溝部70の下面PD6側に隣接して、係止手段60を構成する係止突部72が、前記溝部70の形成により、パッド部材PDの側方へ突出すると共に該パッド部材PDの長さ方向へ延在するように設けられている。左側面PD2に設けた係止突部72は、シャッタ基材SBにおける左端に設けた各係止爪部62の係止片66と該シャッタ基材SBの板部12との間に、幅方向において右方から係止され、これら係止爪部62と係止突部72とは重なり方向で引掛かっている。また、右側面PD3に設けた係止突部72は、シャッタ基材SBにおける右端に設けた各係止爪部62の係止片66と該シャッタ基材SBの板部12との間に、幅方向における左方から係止され、これら係止爪部62と係止突部72とは重なり方向で引掛かっている。
【0036】
すなわち、パッド部材PDの左側面PD2に設けた係止突部72および右側面PD3に設けた係止突部72は、シャッタ基材SBの板部12から離れる方向の移動は規制されるが、シャッタ基材SBの板部12に沿った長さ方向の移動は許容される。これにより、パッド部材PDの非固定部分PDbは、シャッタ基材SBに対して、該シャッタ基材SBから離れる方向の移動が規制されると共に、長さ方向の移動は許容されるように構成されている。換言すると、シャッタSがシャッタ基材SBを内側にして湾曲状態に変形して、シャッタ基材SBとパッド部材PDとの間に周長差が生じた場合には、係止爪部62が各係止突部72に係止されながら相対的に長さ方向へ移動することで、パッド部材PDの非固定部分PDbは、シャッタ基材SBに接触した状態で該シャッタ基材SBに対して前方へ相対的に移動してずれることが許容される。
【0037】
また、パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3には、図1〜図3および図6に示すように、前記溝部70の上面PD1側に隣接して、パッド部材PDの側方へ延出して該パッド部材PDの長さ方向へ延在する当接突部(当接部)74が形成されている。左側面PD2に設けた当接突部74は、該左側面PD2に設けた係止突部72に対して上方から相対して、シャッタ基材SBにおける左端に設けた各係止爪部62の係止片66に対して、シャッタSの平坦状態に対応したシャッタ基材SBの平坦状の姿勢において上方から接触可能となっている。また、右側面PD3に設けた当接突部74は、該右側面PD3に設けた係止突部72に対して上方から相対して、シャッタ基材SBにおける右端に設けた各係止爪部62の係止片66に対して、前記閉成位置で上方から接触可能となっている。
【0038】
ここで、左側面PD2および右側面PD3に設けた当接突部74は、図1、図2および図6に示すように、長さ方向において重なり方向へ凹凸した形状となっている。すなわち当接突部74は、下方へ突出して係止突部72との間隔が狭くなっている複数(実施例では9個)の当接面76と、各当接面76の後方に位置して係止突部72との間隔が該当接面76より広くなっている複数(実施例では9個)の非当接面78とが、長さ方向へ交互に設けられている。各当接面76は、シャッタSの平坦状態に対応したシャッタ基材SBの平坦状の姿勢において、各係止爪部62における係止片66の上方に位置するようになっている(図1、図6(a))。また各非当接面78は、シャッタSが平坦状態と湾曲状態と変位してシャッタ基材SBが平坦状から変形すると、パッド部材PDがシャッタ基材SBに対して長さ方向でずれることで、各係止爪部62における係止片66の上方に位置するようになっている(図6(b)、図7)。そして、図6(a)に示すように、当接面76と係止突部72との重なり方向での間隔H1は、係止爪部62における係止片66の厚みTと同じか略同じに設定されている。これにより、シャッタSが閉成位置において平坦状態となった場合には、各係止爪部62の係止片66が当接突部74と係止突部72とで重なり方向から挟持され、パッド部材PDの非固定部分PDbが該シャッタ基材SBにがたつきなく保持される。また、非当接面78と係止突部72との重なり方向での間隔H2は、係止爪部62における係止片66の厚みTより大きく設定されている。これにより、シャッタSが閉成位置から外れた位置において部分的に湾曲したり全体が湾曲状態となった場合には、各係止爪部62の係止片66が当接突部74と係止突部72とで重なり方向から挟持されず、シャッタ基材SBに対するパッド部材PDの長さ方向への移動が円滑になされる。
【0039】
なお実施例のシャッタSは、パッド部材PDにおける上面PD1の前縁近傍に、指先を引っ掛けることが可能な指掛部材58が装着されている。従って、指掛部材58を指先で把持することで、シャッタSの開閉操作を簡易に行ない得る。
【0040】
前述のように構成された実施例のシャッタSは、各支持体部10の一端部10Aに設けた各摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34を一方のガイドレールGR1の溝部114に各々突入して係合させると共に、各支持体部10の他端部10Bに設けた各摺動支持部30の第1当接部32および第2当接部34を他方のガイドレールGR2の溝部114に各々突入して係合させることで、スライド移動が可能にコンソール本体100に配設される。そしてシャッタSは、図1〜図3に示すように、物品収納部102の上部開口104を閉じるように閉成位置までスライド移動させると、各支持体部10の摺動支持部30,30が各ガイドレールGR1,GR2の直線部110に位置するので、シャッタ基材SBおよび該シャッタ基材SBの上に位置するパッド部材PDは何れも平坦状となり、全体が一枚の平板の如く平坦状態となって上部開口104を全体的に覆蓋する。そして、シャッタ基材SBの左右両端に設けた各係止爪部62の係止片66が、該パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3に設けた各係止突部72および各当接突部74により重なり方向で挟持されるので、パッド部材PDの非固定部分PDbがシャッタ基材SBにがたつくことなく保持されている。特に、パッド部材PDが発泡体40および表皮材50から形成されているので、各係止爪部62の係止片66は、係止突部72および当接突部74で弾力的に支持され得る。
【0041】
従って、実施例のシャッタSによれば、シャッタ基材SBの表面側に、弾力性を有する発泡体40および可撓性を有する表皮材50から構成されたパッド部材PDが配設されているので、シャッタ基材SBがパッド部材PDで隠れてシャッタSの質感が高くなっている。そしてシャッタSは、上部開口104を閉じた閉成位置となった際に平坦状態となり、弾力性を有するパッド部材PDがシャッタ基材SBの上方に位置するため、アームレストとして好適に実施し得る。すなわちシャッタSは、重なり方向において上方から荷重が加わった際に、該シャッタSを構成する各支持体部10が、一端部10Aおよび他端部10Bの夫々に設けた摺動支持部30,30における長さ方向に並べて2つずつ設けた各第1当接部32および各第2当接部34の計4つのうちの3つ以上で、一対のガイドレールGR1,GR2に支持される。このため、支持体部10は幅方向に延在する軸線Jを中心として回転変位し難く、各支持体部10に荷重が加わった際に該支持体部10を繋ぐヒンジ部20に応力が集中し難いので、て該ヒンジ部20を薄く形成することが可能となる。
【0042】
また実施例のシャッタSは、閉成位置からコンソール本体100の後方に向けてスライド移動させる際に、図7に示すように、長さ方向における後側の支持体部10から各ガイドレールGR1,GR2の曲線部112に順次移動するようになる。これにより、シャッタ基材SBの前記曲線部112に位置する部位では、各ヒンジ部20が屈曲変形することで、一方の支持体部10に対して他方の支持体部10が互いに近づくように姿勢変位し、該シャッタ基材SBは曲線部112の曲率に合わせて湾曲状態に変形するようになる。そして、シャッタ基材SBより軟らかいパッド部材PDは、係止爪部62および係止突部72の重なり方向での引掛かりにより、該シャッタ基材SBの湾曲状態への変形に追従して湾曲状態に変形する。しかも実施例のシャッタSは、パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3に長さ方向に沿って設けた各係止突部72を、シャッタ基材SBの左端部および右端部に長さ方向に直列に設けた各係止爪部62で重なり方向から係止する係止手段60を採用したので、パッド部材PDの非固定部分PDbは、シャッタ基材SBに接触した状態で長さ方向へスムーズに移動する。しかも、左右の各係止爪部62によりパッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3が長さ方向に沿って係止されるので、パッド部材PDが幅方向へずれることが防止されると共に、該パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3がシャッタ基材SBから離間して捲れることも防止し得る。なおパッド部材PDは、厚み方向の中央に位置する溝部70より下面PD6の側が長さ方向で圧縮し、該溝部70より上面PD1の側が長さ方向で伸長が、溝部70では殆ど変形しないので、係止爪部62の係止片66と係止突部72との係止状態は適切に維持される。
【0043】
従って、実施例のシャッタSによれば、シャッタ基材SBを内側として湾曲状態に変形するに際し、パッド部材PDは長さ方向へ引っ張られないので、シャッタSの湾曲状態への変形が阻害されることなく該シャッタSのスムーズな開閉が可能となる。また、パッド部材PDの表皮材50や発泡体40が長さ方向へ引っ張られないので、これら表皮材50や発泡体40に亀裂が発生し難くなると共に、該表皮材50と発泡体40との剥離も防止し得る。
【0044】
更に、実施例のシャッタSによれば、シャッタ基材SBに設けた各係止爪部62がパッド部材PDに設けた各係止突部72に対して引掛かることで、パッド部材PDがシャッタ基材SBだけに保持されているから、該シャッタ基材SBがガイドレールGR1,GR2に沿ってスライド移動する際に、該パッド部材PDが適切にスライド移動する。すなわち、パッド部材PDがシャッタ基材SB用のガイドレールGR1,GR2とは別のパッド部材用のガイドレールにスライド移動可能に支持された構成のシャッタの場合では、パッド部材用のガイドレールに対するパッド部材のスライド不良が発生するとシャッタのスライド不良が発生してしまうが、実施例のシャッタSではパッド部材PDを原因としたスライド不良が発生することがない。しかも、シャッタ基材SBに設けた各係止爪部62がパッド部材PDに設けた各係止突部72に対して引掛かっているので、該パッド部材PDの変形がパッド部材用のガイドレールの延在形状に依存するものではないから、シャッタ基材SBの屈伸変形に対してパッド部材PDを適切かつ確実に変形させることができる。
【0045】
(変更例)
(1)実施例では、係止手段60として、シャッタ基材SBの左右両端に各々9個ずつの係止爪部62を設けたが、該係止突部72の配設数はこれに限定されず、パッド部材PDのサイズに応じて変更可能である。また実施例では、シャッタ基材SBの左端および右端に設けた各々9個ずつの係止爪部62は長さ方向へ等間隔に配置したが、各係止爪部62の配置間隔が等間隔でなくてもよい。
(2)実施例では、パッド部材PDの左側面PD2および右側面PD3に設けた各係止突部72が、パッド部材PDの長さ方向へ連続して9個の各係止爪部62が係止する形態を例示したが、係止突部72は、各係止爪部62に対応して断続して設けるようにしてもよい。
(3)係止手段60は、パッド部材PDの非固定部分PDbを、シャッタ基材SBの板部12から離間移動することを規制し、該板部12の表面に沿った長さ方向への移動を許容するものであれば、実施例に例示した形態に限定されない。例えば、図9に示すように、パッド部材PDにおけるシャッタ基材SBに相対する下面PD6に被係止部72を設け、シャッタ基材SBにおける板部12の表面に、該被係止部72に係止する鈎状の係止部62を設けても、前記実施例と同等の作用効果が得られる。
(4)実施例では、シャッタSにおける特定の姿勢を、上部開口104を閉じた閉成位置に対応する全体が平坦状態となった場合を例示したが、この特定の姿勢とはこれに限らず、例えば長さ方向において全体が緩やかに曲がっている状態や、略全体が平坦で後側の一部だけが円弧状に湾曲している状態等であってもよい。換言すると、シャッタSにおける特定の姿勢とは、長さ方向において円弧状に湾曲した部分が最も少ない状態であって、該シャッタSは該特定の姿勢から長さ方向へスライド移動すると円弧状に湾曲した部分が多くなる。
(5)実施例では、パッド部材PDを構成する発泡体40としてポリウレタンフォームを例示したが、弾力性を有して外力により好適に圧縮変形すると共に適切な復元性を有するものであれば、該発泡体40はスポンジやゴム等であってもよい。
(6)シャッタ基材SBの支持体部10の配設数は、実施例に例示の数に限定されず、上部開口104の開口サイズに応じて増減する。
(7)シャッタ基材SBは、支持体部10、ヒンジ部20および摺動支持部30が一体成形されたものに限定されず、図11および図12に例示した従来のシャッタS1のような構成であってもよい。
(8)本願のシャッタSは、実施例で例示した自動車の乗員室内に設置されるフロアコンソールFC以外にも実施可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 支持体部,20 ヒンジ部,40 発泡体,50 表皮材,62 係止爪部(係止部)
66 係止片,72 係止突部(被係止部),74 当接突部(当接部)
GR1,GR2 ガイドレール,PD パッド部材,PD2 左側面,PD3 右側面
SB シャッタ基材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向設置された一対のガイドレールに沿ってスライド移動可能に配設されるシャッタであって、
スライド移動方向に沿う端縁が対応のガイドレールにスライド移動可能に支持され、該ガイドレールに合わせて屈伸変形するシャッタ基材と、
スライド移動方向における一端側だけを前記シャッタ基材に固定して該シャッタ基材に重ねて設けられ、可撓性を有するパッド部材と、
前記シャッタ基材に設けられ、前記パッド部材にシャッタ基材から離れる方向で引掛かる一方、該パッド部材のスライド移動方向の移動を許容する係止部とを備えた
ことを特徴とするシャッタ。
【請求項2】
前記パッド部材は、スライド移動方向に沿う側面に、該スライド移動方向へ前記シャッタ基材と平行に延在する被係止部を備え、
前記係止部は、前記シャッタ基材から離間して形成されて、該シャッタ基材とで前記被係止部を挟持する係止片を備える請求項1記載のシャッタ。
【請求項3】
前記パッド部材は、前記係止片を挟んで前記被係止部に相対する当接部を備え、
前記当接部は、前記シャッタ基材が特定の姿勢において前記係止片に接触し、該シャッタ基材が該特定の姿勢から変形すると該係止片から離れるように形成された請求項2記載のシャッタ。
【請求項4】
前記シャッタ基材は、スライド移動方向に並べて設けられた複数の支持体部と、隣り合う支持体部の間に両支持体部を繋ぐように形成されて屈曲変形可能なヒンジ部とを備え、
前記係止部は、前記支持体部のうちの選択された支持体部に、前記スライド移動方向に沿って直列に設けられた請求項1〜3の何れか一項に記載のシャッタ。
【請求項1】
対向設置された一対のガイドレールに沿ってスライド移動可能に配設されるシャッタであって、
スライド移動方向に沿う端縁が対応のガイドレールにスライド移動可能に支持され、該ガイドレールに合わせて屈伸変形するシャッタ基材と、
スライド移動方向における一端側だけを前記シャッタ基材に固定して該シャッタ基材に重ねて設けられ、可撓性を有するパッド部材と、
前記シャッタ基材に設けられ、前記パッド部材にシャッタ基材から離れる方向で引掛かる一方、該パッド部材のスライド移動方向の移動を許容する係止部とを備えた
ことを特徴とするシャッタ。
【請求項2】
前記パッド部材は、スライド移動方向に沿う側面に、該スライド移動方向へ前記シャッタ基材と平行に延在する被係止部を備え、
前記係止部は、前記シャッタ基材から離間して形成されて、該シャッタ基材とで前記被係止部を挟持する係止片を備える請求項1記載のシャッタ。
【請求項3】
前記パッド部材は、前記係止片を挟んで前記被係止部に相対する当接部を備え、
前記当接部は、前記シャッタ基材が特定の姿勢において前記係止片に接触し、該シャッタ基材が該特定の姿勢から変形すると該係止片から離れるように形成された請求項2記載のシャッタ。
【請求項4】
前記シャッタ基材は、スライド移動方向に並べて設けられた複数の支持体部と、隣り合う支持体部の間に両支持体部を繋ぐように形成されて屈曲変形可能なヒンジ部とを備え、
前記係止部は、前記支持体部のうちの選択された支持体部に、前記スライド移動方向に沿って直列に設けられた請求項1〜3の何れか一項に記載のシャッタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−250570(P2012−250570A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122884(P2011−122884)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
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