説明

シャフトスライド式バルブ機構

【課題】流体の停止及び開放の制御を、より簡便な方法で行うバルブシステムを提供する。
【解決手段】入力筐体1の両端に、左排出口3及び右排出口4を設け。左排出口3及び右排出口4のそれぞれに漏出防止パッキン7を配し、シャフトバルブ5を左排出口3及び右排出口4を塞ぐように挿入したシャフトスライド式バルブ機構を提供する。これによって閉鎖密閉状態では、流体圧力によって入力筐体1及びシャフトバルブ5を静止状態にし、開放移動状態では流体圧力によってシャフトバルブ5を押し出そうとしてシャフトバルブ5は開放状態を持続するので、開放状態維持のために複雑な機構を必要としない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフト状のバルブを入力筐体両壁に貫通させ、その移動によって入力筐体内の流体の開放移動と停止気密制御するバルブ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のバルブ機構の多くは、入力導入口とは別に排出口を設けその排出口を塞ぐ様に傘状の弁部をもつバルブを使用するものである。以下、図4により従来のバルブ機構について説明する。本方式によると、傘状バルブ10は停止密封状態において流体の圧力とバルブ閉鎖スプリング11によって閉鎖状態を保っている。この状態から開放移動状態にするには、傘状バルブ10を外力によって右方向に押し出すと、傘状バルブ10に塞がれていた排出口から流体を排出するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする課題は、傘状バルブを用いた機構では、流体の移動を停止させるためには、その傘部をバルブ閉鎖スプリングと流体の圧力によって排出口に押し付けて閉鎖し、流体を移動を再開させる為にはバルブの軸部に外圧を加え、弁部を排気口から持ち上げて開放するものであるため、閉鎖力と気密性には優れるものの、開放させるには強い外力が必要であり、更に開放時間を延長させる為には、これらの閉鎖させようとする力を上回る外力で軸部に力を加え続けねばならず、軸部を固定する為のカムやロック機構が必要となる為、内部機構が複雑になるという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、シャフト状のバルブを筐体両壁に貫通させ、シャフトバルブ移動によって気室内の流体の開放移動と停止気密制御する事を最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のシャフトスライド式バルブ機構は、一旦外力によって、バルブを開放状態にすれば、開放状態を保つ為のロック機構やカム機構などの複雑な仕組みを必要としない利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
筐体内の流体自身の圧力でバルブ軸が気室外へ押し出されようとする力を分散中和させるため、バルブ形状を傘状の弁部を持たない軸部だけのシャフト状として、気室隔壁を貫通させた。この状態で筐体内の流体は停止気密されている。このとき、筐体内の両貫通口に挿入されているシャフト両端が同径、同形状であれば、シャフトにかかる流体圧力が筐体内容積を拡張する為シャフトを筐体外に押し出そうとしても、シャフトの移動によって筐体内容積は変化しない為シャフトは停止している。流体を開放移動させる際は、筐体両壁にある貫通口から外部に露出している軸部のどちらか一方を引き込むと反対側の貫通口に入り込んでいたシャフトが引き抜かれ、その貫通口が排出口となる。この構造により、シャフトは閉鎖用スプリングを必要とせず、また、弁側となったどちらか一方のシャフト軸端が排出口を開放すると同時に、筐体内の流体圧力によってシャフト全体はより開放する方向に移動させられる。従って、一度開放させられると、その後の継続した外力を必要とせずにバルブを開放し続けることが可能となる。
【実施例1】
【0007】
図1は閉鎖密封状態のシャフトスライド式バルブ機構の内部構造である。気室筐体1に対し入力導入口2から流体が導入される。また、入力筐体1の両端には、左排出口3及び右排出口4が設けられている。シャフトバルブ5は左排出口3及び右排出口4を塞ぐように挿入されており、閉鎖密封状態では、入力導入口2から導入された流体は入力筐体1内に充填され、入力筐体1の内壁及びシャフトバルブ5に圧力を与えて、静止状態を保っている。
【0008】
図2は、外力によってシャフトバルブ5が左方向に引き出され、閉鎖密封状態から開放移動状態になった図を表している。この状態において、入力筐体1内に充満され、密封状態となっていた流体を右排出口4を通じて一気に放出しようとする。同時に、流体の圧力によって気室筐体1内の容積を広げようと働く為、シャフトバルブ5をより左方向に排出しようとする。なお、シャフトバルブ5が外力によって右方向に引き出された場合も同様である。
【実施例2】
【0009】
図3はシャフトバルブの右端が左端に比べて細くなっているもの(以下、異径シャフトバルブ6)を使用した場合である。図1と同様に左排気口3及び右排気口4には、弾性の漏出防止パッキン7が設けられおり密封性が高くなっている。入力導入口2から流体が導入されると、異径シャフトバルブ右端9が異径シャフトバルブ左端8より細くなっているので、流体の圧力よって入力筐体1の容積を拡大させようとする為、異径シャフトバルブ6が圧力によって徐々に左方向に移動することになる。最終的に異径シャフトバルブ右端9が入力筐体1内に引き込まれ、開放移動状態へ移行することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】閉鎖密封状態でのシャフトスライド式バルブ機構の概念図を表したものである。(実施例1)
【図2】開放移動状態でのシャフトスライド式バルブ機構の概念図を表したものである。
【図3】異径シャフトバルブを使用したシャフトスライド式バルブ機構の概念図を表したものである。(実施例2)
【図4】従来のバルブシステムについての概念図を表したものである。
【符号の説明】
【0011】
1 入力筐体
2 入力導入口
3 左排出口
4 右排出口
5 シャフトバルブ
6 異径シャフトバルブ
7 漏出防止パッキン
8 異径シャフトバルブ左端
9 異径シャフトバルブ右端
10 傘状バルブ
11 バルブ閉鎖スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内を貫通し、流体の開放移動と停止密封とをシャフトバルブを移動させることによって制御するシャフトスライド式バルブ機構。
【請求項2】
シャフトバルブの両端の径を異径にした場合に、シャフトバルブを流体の圧力によって小径側から大径側に移動させ自己解放するシャフトスライド式バルブ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−307928(P2006−307928A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129689(P2005−129689)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(301022323)株式会社エスコート (1)
【Fターム(参考)】