説明

シャボン玉作成装置

【課題】 径の大きなシャボン玉を間欠的に作成し、且つ、作成したシャボン玉を空中に浮遊させるシャボン玉作成装置を提供する。
【解決手段】 シャボン玉作成装置1は、複数の膜形成部44と複数の通風部45が周方向に交互に配置された回転体41と、回転体41を回転駆動する駆動機構31と、送風口65が回転体41の内側であって上向きに位置するように配置された送風機構35と、シャボン液入れ容器33と、上方に噴出口を有した外殻と、を備え、回転体41の回転に伴い、下方に来た膜形成部44に設けられた膜形成穴がシャボン液に浸漬され、シャボン液に浸漬された膜形成穴が送風口65と外殻の噴出口との間に達したとき、送風機構の送風口65から噴出される一定の空気の流れにより膜形成穴44aで径が大きく少量のシャボン玉が作成され、作成されたシャボン玉が通風部45を通る送風によって献血的に噴出口から高く浮き上がる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャボン玉を作成するシャボン玉作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャボン玉を作成する装置であるシャボン玉作成装置に関して、従来より多くの提案がなされ多くの製品が発売されている。このシャボン玉作成装置には、息を吹き込むことによってシャボン玉が作成されるもの(例えば、特許文献1)、使用者の動作(振り回す等)が動力となってシャボン玉が作成されるもの(例えば、特許文献2)、電力によってモータを稼動させることにより自動的にシャボン玉が作成されるもの(例えば、特許文献3)等がある。
【0003】
自動的にシャボン玉が作成されるシャボン玉作成装置は、複数の開口を備えた回転体と、回転体を回転させるモータと、風を発生させる送風機構と、を備えたものが一般的である。このようなシャボン玉作成装置では、回転体をシャボン液に浸漬することにより開口に膜が生成され、この回転体を回転させた状態で膜に対して風をあてると、連続してシャボン玉が作成される。よって、このようなシャボン玉作成装置では、大量にシャボン玉を作成することができ、美しさを感じさせると共に日常にはない驚きを与える派手な演出を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7−46320号公報
【特許文献2】特公平6−75619号公報
【特許文献3】特許第2701142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような自動的にシャボン玉が作成されるシャボン玉作成装置では、大量にシャボン玉を作成することができるが、作成されるシャボン玉の径は小さなものが多い。大きな径のシャボン玉を作成するための条件は、以下のようなものである。1つめの条件は、開口の径を大きくすることである。2つめの条件は、膜に対して当てる風圧を小さくし、且つ、膜に風を当てる時間を長くすることである。3つめの条件は、開口の中心近傍に風を当てることである。
【0006】
よって、従来のシャボン玉作成装置では、弱い風を開口に向けて連続で当て続けることにより、大きな径のシャボン玉を作成することができた。しかしながら、風の強弱を制御する場合、専用のIC(Integrated Circuit)チップを組み込む必要がある等、製品の製造コストが高くなるという問題点があった。又、このように風の強弱を安価な装置で制御した場合、電力消費量が多くなり、電池等の消費が早くなるという問題点もあった。
【0007】
更に、従来の自動的にシャボン玉が作成されるシャボン玉作成装置は、大量のシャボン玉を作成することを目的としているものが多く、大量のシャボン玉によって美しさを感じさせると共に日常にはない驚きを与える派手な演出を実現できるという効果はあったが、近年注目されている癒し(ストレス等を軽減させること)の効果を提供できる装置ではなかった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、径の大きなシャボン玉を間欠的に作成し、且つ、作成したシャボン玉を空中にゆったりと浮遊させることにより、癒しの効果を提供できるシャボン玉作成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシャボン玉作成装置は、複数の膜形成部と複数の通風部が周方向に交互に配置された回転体と、前記回転体を回転駆動する駆動機構と、送風口が前記回転体の内側であって上向きに位置するように配置された送風機構と、シャボン液入れ容器と、上方に噴出口を有した外殻と、を備え、前記回転体の回転に伴い、下方に来た前記膜形成部に設けられた膜形成穴がシャボン液に浸漬され、シャボン液に浸漬された前記膜形成穴が前記送風口と送風機構前記外殻の前記噴出口との間に達したとき、前記送風口から噴出される一定の空気の流れにより前記シャボン液に浸漬された前記膜形成穴で径が大きく少量のシャボン玉が作成され、作成されたシャボン玉が前記通風部を通る送風によって間欠的に前記噴出口から高く浮き上がることを特徴とする。
【0010】
又、前記膜形成穴の夫々の直下には、前記送風口から噴出される風が前記膜形成穴の略中心に当たるように整風板が配置されていることを特徴とする。
【0011】
更に、前記整風板は、方形状の2枚の板が前記膜形成穴の直径よりも僅かに小さな間隔を空けた状態で配置されることによって形成されていることを特徴とする。
【0012】
そして、前記シャボン玉作成装置は、前記回転体の回転速度を切替える回転速度切替手段を備えることを特徴とする。
【0013】
又、前記回転体の通風部には、回転軸を中心とした曲面形状とされる曲面板が配置され、該曲面板には通風穴が形成されていることを特徴とする。
【0014】
更に、前記通風部は、夫々の前記膜形成穴の間に形成された開口とされ、前記回転体と該回転体の回転軸との間には、所定値以上の負荷がかかると空転するクラッチ機構が組み込まれていることを特徴とする。
【0015】
又、本発明のシャボン玉作成装置は、上方に噴出口を有する外殻と、複数のシャボン玉形成穴が周方向に間隔をおいて配置された回転体と、前記回転体を回転駆動する駆動機構と、送風機構と、前記回転体の内側に配置され、前記送風機構から供給される空気の流れを前記噴出口方向に上向きに供給する送風口であって、前記回転体の回転に伴い前記シャボン玉形成穴のいずれかが前記噴出口と前記送風口の間に来たとき前記送風口から送り出される空気が当該シャボン玉形成穴を経由して前記噴出口方向に流れるように配置された送風口と、前記シャボン玉形成穴の径より小さい幅のスリットを有し、前記送風口から供給される空気の流れが前記スリットを経由し前記シャボン玉形成穴の中央部に誘導されるように前記送風口と前記シャボン玉形成穴の間に配置された整風板と、前記回転体の回転に伴い下方に移動してきた前記シャボン玉形成穴がシャボン液に浸漬される位置に配置されたシャボン液入れ容器と、を備え、シャボン液に浸漬された前記シャボン玉形成穴が前記送風口の上に来たとき、前記送風口から供給される空気の流れが前記シャボン玉形成穴の中央部に誘導されることで形成されたシャボン玉が順次前記外殻の前記噴出口から間欠的に噴出されるように形成されてなることを特徴とする。
【0016】
更に、前記回転体が、前記シャボン玉形成穴が形成された部材の複数と通風穴が設けられた部材の複数とが交互に配置される構成を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のシャボン玉作成装置によれば、回転体を膜形成部と通風部が周方向に交互に配置された形状とすることにより、シャボン玉を作成できると共に、この作成されたシャボン玉を間欠的に高く且つ長く浮遊させることができ、従来のような派手な演出でなく、癒しを目的とした落ち着いた演出を実現できる。
【0018】
又、膜形成穴(シャボン玉形成穴)の径を大きくし、且つ、整風板を設けることにより、一定の風量で径の大きなシャボン玉を作成できる。よって、風量を調整することによって電池の消費が早くなるといった問題点を解消できる。
【0019】
更に、整風板を2枚の方形状板によって形成し、各方形状板の間隔(スリット)を膜形成穴の直径よりも僅かに小さく形成することにより、膜形成穴の円周部近傍に当たる風の量を少なくすることができ、小さなシャボン玉が作成されることを防止できる。
【0020】
又、回転速度切替手段を設けることにより、径の異なるシャボン玉を作成できると共に、異なる量のシャボン玉を作成することもでき、1つの装置で多数の演出を実現できる。
【0021】
そして、通風部に曲面板を配置することにより、通風部から異物が侵入することを防止でき、異物によってシャボン玉作成装置が破損することを防止できる。又、通風部45を開口とし、回転体と回転軸の間にクラッチ機構を組み込むことにより、通風部45に異物が絡まった場合等には回転体の回転を停止させてシャボン玉作成装置が破損することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例に係るシャボン玉作成装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係るシャボン玉作成装置の上殻を取り除いた状態の斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係るシャボン玉作成装置の外殻を取り除いた状態の斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係るシャボン玉作成装置の回転体の斜視図である。
【図5】本発明の実施例に係るシャボン玉作成装置の駆動機構の拡大斜視図である。
【図6】本発明の実施例に係るシャボン玉作成装置の送風機構を構成する送風機ケースの一部を切り欠いた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態について述べる。シャボン玉作成装置1は、図1に示すように、上方に噴出口24を有した外殻2を備え、図2に示すように、外殻2の内側には、複数の膜形成部44と複数の通風部45が周方向に交互に配置された回転体41と、回転体41を回転駆動する駆動機構31と、送風口65が回転体41の内側であって上向きに位置するように配置された送風機構35と、シャボン液入れ容器33と、を備える。
【0024】
そして、シャボン玉作成装置1は、回転体41の回転に伴い、回転体41下方に来た膜形成部44に設けられた膜形成穴(シャボン玉形成穴)44aがシャボン液に浸漬され、シャボン液に浸漬された膜形成穴44aが送風口65と外殻2の噴出口24との間に達したとき、送風機構の送風口65から噴出される一定の空気の流れによりシャボン液に浸漬された膜形成穴44aで径が大きく少量のシャボン玉が作成され、作成されたシャボン玉が通風部45を通る送風によって間欠的に噴出口24から高く浮き上がることを特徴とする。
【0025】
又、図4に示したように、膜形成穴44aの直下には、送風口65から噴出される風が膜形成穴44aの略中心に当たるように整風板47が配置されている。この整風板47は、方形状の2枚の板が膜形成穴44aの直径よりも僅かに小さな間隔(スリット)を空けた状態で配置されることにより形成されている。更に、シャボン玉作成装置1は、図2に示したように、回転体41の回転速度を切替える回転速度切替手段として速度切替スイッチ12を備えている。
【実施例1】
【0026】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、本実施例に係るシャボン玉作成装置1の斜視図である。本実施例のシャボン玉作成装置1は、図1に示すように、外殻2が鯨を模した形状とされ、鯨の鼻孔(潮吹き穴)の位置にシャボン玉が吹き上がる噴出口24が形成されている。又、外殻2の尾鰭(おびれ)部分には電源スイッチ11と、速度切替スイッチ12と、が配置されている。そして、シャボン玉作成装置1は、電源スイッチ11をONに入れると、噴出口24から径が大きく少量のシャボン玉が作成され、更に、作成されたシャボン玉が間欠的に吹き上がる様子を楽しむことができる装置である。
【0027】
図2は、上殻22を取り除いたシャボン玉作成装置1の斜視図である。このシャボン玉作成装置1の外殻2は、図1及び図2に示すように、下殻21と上殻22と尾鰭殻23とから形成され、この上殻22は、下殻21に対して着脱自在とされている。又、シャボン玉作成装置1の内側は、区画板25によって内部を上下に区画され、区画板25には、上殻22を内側から係止する係止部材26が配置されている。更に、下殻21の下方には、シャボン玉作成装置1を固定するための固定部材8が配置されている。この固定部材8は、両面に複数の吸盤が形成されており、シャボン玉作成装置1を配置する場合に、外殻2の下面と配置場所の平面とを吸着させることにより固定するものである。
【0028】
図3は、外殻2を取り除いた内部構造の斜視図である。シャボン玉作成装置1は、図3に示すように、下方に配置される電池収納箱71を備え、この電池収納箱71の上方にシャボン液入れ容器33と、シャボン液入れ容器33内に回転可能に配置された回転体41と、回転体41を回転させる駆動機構31と、を備えている。又、シャボン玉作成装置1は、電池収納箱71の側方に配置された送風機構35と、送風機構35の側方に配置されたスイッチ群37と、を備えている。この送風機構35は、図2に示したように送風口65を備え、この送風口65が回転体41の内側であって上向きに位置するよう配置されている。
【0029】
シャボン液入れ容器33は、図3に示したように、下方に位置するシャボン液充填部と、上方に位置する回転体保持部とから形成された箱型形状である。又、シャボン液充填部の一側面にはシャボン液抽出口が形成されており、このシャボン液抽出口には着脱自在とされた栓38が係合されている。更に、回転体保持部の一側面には、後述する送風機構35の風誘導筒67が位置する切欠きが形成されている。そして、シャボン液入れ容器33は、回転体61の回転に伴い下方に移動してきた後述の膜形成部44の膜形成穴44aがシャボン液に浸漬される位置にシャボン液充填部がくるように配置されている。このシャボン液入れ容器33にシャボン液を充填する場合には、シャボン液入れ容器33の下方に形成されたシャボン液充填部にのみシャボン液を充填するものである。
【0030】
図4は、回転体41の斜視図である。回転体41は、図4に示したように、略円形の側板43と、3つの膜形成部44と、膜形成部44間に位置する3つの通風部45と、から形成されている。つまり、この3つの膜形成部44及び通風部45は、回転体41の周方向に交互に配置され、膜形成部44は、側板43の外周縁から側板43に対して垂直に立ち上がるように形成されている。尚、本実施例においては、膜形成部44と通風部45の数を3つとしているがこの数に限定されるものではない。
【0031】
回転体41の膜形成部44は、図4に示したように、中心近傍に円形であってシャボン玉形成穴とされる膜形成穴44aを備えた方形状の平板である。又、膜形成穴44aの周縁であって内外両面には、複数の突起によって形成されるシャボン液吸着部44bを備える。この膜形成穴44aは、シャボン液に浸漬されることによりシャボン液の膜が形成され、この膜に風が当たるとシャボン玉が作成される。更に、膜形成部44のシャボン液吸着部44bは、シャボン液に浸すと各突起間に表面張力によってシャボン液が吸着するため、膜形成穴44aに膜を形成し易くすると共に、膜形成穴44aにシャボン液を供給する役目を果たす。そして、本実施例のシャボン玉作成装置1は、径の大きなシャボン玉を作成することを目的の1つとしているため、膜形成穴44aの径は大きく形成され、具体的には直径が15mmとされている。
【0032】
又、回転体41の通風部45には、回転体41の回転軸を中心とした曲面形状とされる曲面板が配置され、この曲面板に複数の通気口45aが形成されている。この通風部45は、送風機構35の送風口65から噴出した風を通気させることにより、膜形成部44で作成されたシャボン玉を上方に吹き上げるために形成されている。尚、通風部45は、曲面板を配置せずに各膜形成部44間に形成された開口とすることもある。このように通風部45を開口とする場合、回転体41にクラッチ機構を形成し、回転に対して所定値以上の負荷がかかった場合には回転体41と回転軸間で空転させる構造とすることで、開口から侵入した異物によってシャボン玉作成装置1が破損することを防止できる。
【0033】
又、側板43には、膜形成穴44aの直下となる位置に整風板47が形成されている。この整風板47は、方形状の2枚の板が膜形成穴44aの直径よりも狭い間隔(スリット)を空けた状態で、側板43から突出するように形成されるものである。つまり、整風板47は、膜形成穴44aの径より小さい幅のスリットを有し、送風機構35の送風口65から供給される空気の流れがスリットを経由し膜形成穴44aの中央部に誘導されるように送風口65と膜形成穴44aの間に配置されている。尚、この整風板47を形成する2枚の板の厚みは2mmとされ、2枚の板の間隔(スリットの幅)は6mmとされている。
【0034】
そして、整風板47を形成する2枚の板は、送風口65と膜形成穴44aの間に配置されており、これによって、膜形成部44に吹き込む風が整風板47によって膜形成穴44aの中心近傍へと整風されることとなり、膜形成穴44aの中心に長時間風を当てることができるため、大きな径のシャボン玉を作成できる。尚、送風機構35の送風口65と膜形成穴44aの距離は9mmとされ、整風板47と膜形成穴44aの距離は4mmとされ、送風口65と整風板47との距離は3mmとされている。
【0035】
そして、回転体41は、シャボン液入れ容器33内にシャボン液が充填されている状態で回転すると、回転に伴って下方に来た膜形成穴44aがシャボン液に浸漬され、膜形成穴44aにシャボン液が充填されて、シャボン液の膜が形成される。尚、回転体41は、駆動機構31によって回転を制御されている。
【0036】
図5は、駆動機構31の構造を示す部分拡大図である。駆動機構31は、図5に示すように、駆動用モータ51と、駆動用モータ51の回転を回転体41に伝達する歯車群52とから構成されている。この駆動用モータ51は、電池収納箱71に収納された電池及びスイッチ群37と電力線等によって接続されている。そして、スイッチ群37の電源スイッチ11がONとなると回転を始動し、速度切替スイッチ12によって回転速度が切り替わる。又、歯車群52は、歯車群収納箱54に収納され、シャボン液入れ容器33の近傍に配置されている。この歯車群52は、ウォームギアを用いることにより駆動用モータ51の回転を減速して回転体41に伝達している。
【0037】
図6は、送風機構35を構成する送風機ケース63の一部を破断した斜視図である。送風機構35は、図6に示すように、送風用モータ61と、送風用モータ61の回転軸に装着された回転フィン62と、送風機ケース63と、を備えている。この送風用モータ61は、電池収納箱71に収納された電池及びスイッチ群37と電力線等によって接続されている。又、送風機ケース63は、回転フィン62の周縁を覆う本体部66と、本体部66から図3に示した回転体41の内側までを覆う風誘導筒67とから形成されている。
【0038】
更に、本体部66の上面には吸気口68が形成され、風誘導筒67の回転体41側の端部上方には送風口65が形成されている。この送風口65は、送風機構35から供給される空気の流れを噴出口24方向に上向きに供給する送風口であって、回転体61の回転に伴い膜形成穴44aのいずれかが噴出口24と送風口65の間に来たとき送風口65から送り出される空気が膜形成穴44aを経由して噴出口24方向に流れるように配置されている。尚、この送風口65の直径は9mmとされている。そして、送風機構35は、電源スイッチ11がONとなると送風用モータ61が回転し、回転フィン62も回転して風が生成され、送風機ケース63内を空気が流れて送風口65から上方に向けて一定の風力の風が噴出される。つまり、送風口65から一定の空気の流れが形成されるものである。
【0039】
スイッチ群37は、電源スイッチ11と速度切替スイッチ12とを備えている。この電源スイッチ11は、シャボン玉作成装置1のON/OFFを切替えるスイッチである。又、速度切替スイッチ12は、回転速度切替手段として機能する装置であり、駆動用モータ51の速度を低速と高速の2段階で切替えるスイッチである。尚、本実施例では電源スイッチ11と速度切替スイッチ12とを別々のスイッチとしているが、中央がニュートラル(電源OFF)、一方側が低速、他方側が高速というような速度を切替える機能を備えた一つのスイッチを使用することもできる。
【0040】
以上のような構成とされたシャボン玉作成装置1は、上殻22を外した状態でシャボン液入れ容器33にシャボン液を充填し、上殻22を閉じて電源スイッチ11をONにすると、駆動用モータ51及び送風用モータ61が始動し、送風口65で一定の空気の流れが形成されると共に、回転体41が回転を開始する。回転体41が回転すると、膜形成部44の膜形成穴44aが順にシャボン液内に沈水し、膜形成穴44aに膜が形成される。
【0041】
そして、回転体41が回転し、膜が形成された膜形成穴44aが送風口65と外殻2の噴出口24との間に達したとき、整風板47によって誘導された一定の空気の流れである風が膜形成穴44aの略中心に吹き込み、径が大きく少量のシャボン玉が作成され、このシャボン玉が上殻22の噴出口24から外方に向かって僅かに浮き上がる。回転体41が更に回転すると、送風口65と噴出口24との間に通風部45が達し、送風口65から噴出された一定の空気の流れが通風部45を介して上殻22の噴出口24に吹き込み、噴出口24の近傍に位置するシャボン玉を吹き上げ、シャボン玉は80cm程の高さまで浮き上がることとなる。つまり、本実施例のシャボン玉作成装置1では、シャボン玉の作成、シャボン玉の吹き上げという2つの動作を連続で行なうため、径が大きく少量のシャボン玉が作成されると共に、作成されたシャボン玉が間欠的に噴出口24から高く浮き上がることとなる。
【0042】
又、速度切替えスイッチ12が低速モードである場合、回転体41の回転速度が遅くなるため、作成されるシャボン玉が膜形成穴44aから離れるまでに1つの膜形成穴44aに送風口65から噴出された風が当たる時間が長くなり、比較的大きな径のシャボン玉が生成される可能性が高くなる。一方速度切替えスイッチ12が高速モードである場合には、回転体41の回転速度が速くなるため、作成されるシャボン玉が膜形成穴44aから離れるまでに1つの膜形成穴44aに送風口65から噴出された風が当たる時間が短くなって、作成されるシャボン玉の径は小さくなる傾向となる。尚、送風機から供給される風力は強すぎると作成されるシャボン玉が十分大きくなる前に膜形成穴44aから離脱してしまうおそれがあるので、送風口65から供給される空気の量と速度を適切に設定する必要がある。
【0043】
この本実施例におけるシャボン玉作成装置1は、入浴時に風呂場の中で使用するのが好適である。風呂場でシャボン玉作成装置1を使用する場合、風呂桶の縁等とシャボン玉作成装置1の下面とを固定部材8で固定して使用する。又、シャボン液は、風呂場に予め置かれているシャンプーやボーディーソープを利用して作成することができる。
【0044】
以上のように、本実施例のシャボン玉作成装置1では、回転体41を膜形成部44と通風部45が周方向に交互に配置された形状とすることにより、シャボン玉を作成できると共に、作成されたシャボン玉を上方に向けた送風口65からの一定の空気の流れである風により吹き上げることによって、高く、ゆっくりと、間欠的に浮遊させることができ、従来のような派手な演出ではなく、癒しを目的とした落ち着いた演出を実現できる。
【0045】
又、膜形成穴44aの径を大きくし、且つ、整風板47を設けることにより、送風機構35から噴出される風量は一定のままで径の大きなシャボン玉を作成できる。よって、風量を調整することによって電池の消費が早くなるといった問題点を解消できる。
【0046】
更に、整風板47を膜形成穴44aの直径よりも僅かに小さく形成することにより、膜形成穴44aの円周部近傍に当たる風の量を少なくすることができ、小さなシャボン玉が作成されることを防止できる。
【0047】
又、回転速度切替手段を設けることにより、大きな径のシャボン玉を作成できると共に、回転体61の回転速度を早めることで小さな径のシャボン玉を作成することもでき、一つの装置で多数の演出を実現できる。尚、回転体41の回転速度は高速低速切替えに限ることなく、複数段の切替え又は低速から高速に連続変化調整を可能とすることもある。
【0048】
更に、通風部45に曲面板を配置することにより、通風部45から異物が侵入することを防止でき、異物によってシャボン玉作成装置1が破損することを防止できる。又、通風部45を開口とし、回転体41と回転軸の間にクラッチ機構を組み込むことにより、通風部45に異物が絡まった場合等に、クラッチ機構により回転軸が空転し、回転体41の回転が続くことによりシャボン玉作成装置1が破損するといったことを防止できる。
【0049】
尚、本実施例において外殻2は、鯨を模した形状とされているがこれに限定されることはない。又、各膜形成部44の膜形成穴44aの径を、夫々異なる値とすることもできる。このように各膜形成穴44aの径の値を異なる値とすることにより、様々な大きさのシャボン玉を連続で作成することができ、鑑賞をより楽しむことができる。更に、上述した実施例において、数値が記載されている箇所があるがこの記載されている数値に何ら限定されるものではない。そして、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない限りあらゆる設計変更等により様々な実施形態をとることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 シャボン玉作成装置 2 外殻
8 固定部材 11 電源スイッチ
12 速度切替スイッチ 21 下殻
22 上殻 23 尾鰭殻
24 噴出口 25 区画板
26 係止部材 31 駆動機構
33 シャボン液入れ容器 35 送風機構
37 スイッチ群 38 栓
41 回転体 43 側板
44 膜形成部 44a 膜形成穴
44b シャボン液吸着部 45 通風部
45a 通気口 47 整風板
51 駆動用モータ 52 歯車群
54 歯車群収納箱 61 送風用モータ
62 回転フィン 63 送風機ケース
65 送風口 66 本体部
67 風誘導筒 68 吸気口
71 電池収納箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の膜形成部と複数の通風部が周方向に交互に配置された回転体と、
前記回転体を回転駆動する駆動機構と、
送風口が前記回転体の内側であって上向きに位置するように配置された送風機構と、
シャボン液入れ容器と、
上方に噴出口を有した外殻と、を備え、
前記回転体の回転に伴い、下方に来た前記膜形成部に設けられた膜形成穴がシャボン液に浸漬され、シャボン液に浸漬された前記膜形成穴が前記送風口と前記外殻の噴出口との間に達したとき、前記送風機構の送風口から噴出される一定の空気の流れにより前記シャボン液に浸漬された前記膜形成穴で径が大きく少量のシャボン玉が作成され、作成されたシャボン玉が前記通風部を通る送風によって間欠的に前記噴出口から高く浮き上がることを特徴とするシャボン玉作成装置。
【請求項2】
前記膜形成穴の夫々の直下には、前記送風口から噴出される風が前記膜形成穴の略中心に当たるように整風板が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシャボン玉作成装置。
【請求項3】
前記整風板は、方形状の2枚の板が前記膜形成穴の直径よりも僅かに小さな間隔を空けた状態で配置されることによって形成されていることを特徴とする請求項2に記載のシャボン玉作成装置。
【請求項4】
前記回転体の回転速度を切替える回転速度切替手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のシャボン玉作成装置。
【請求項5】
前記回転体の通風部には、回転軸を中心とした曲面形状とされる曲面板が配置され、該曲面板には通風穴が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシャボン玉作成装置。
【請求項6】
前記通風部は、夫々の前記膜形成穴の間に形成された開口とされ、
前記回転体と該回転体の回転軸との間には、所定値以上の負荷がかかると空転するクラッチ機構が組み込まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシャボン玉作成装置。
【請求項7】
上方に噴出口を有する外殻と、
複数のシャボン玉形成穴が周方向に間隔をおいて配置された回転体と、
前記回転体を回転駆動する駆動機構と、
送風機構と、
前記回転体の内側に配置され、前記送風機構から供給される空気の流れを前記噴出口方向に上向きに供給する送風口であって、前記回転体の回転に伴い前記シャボン玉形成穴のいずれかが前記噴出口と前記送風口の間に来たとき前記送風口から送り出される空気が当該シャボン玉形成穴を経由して前記噴出口方向に流れるように配置された送風口と、
前記シャボン玉形成穴の径より小さい幅のスリットを有し、前記送風口から供給される空気の流れが前記スリットを経由し前記シャボン玉形成穴の中央部に誘導されるように前記送風口と前記シャボン玉形成穴の間に配置された整風板と、
前記回転体の回転に伴い下方に移動してきた前記シャボン玉形成穴がシャボン液に浸漬される位置に配置されたシャボン液入れ容器と、を備え、
シャボン液に浸漬された前記シャボン玉形成穴が前記送風口の上に来たとき、前記送風口から供給される空気の流れが前記シャボン玉形成穴の中央部に誘導されることで形成されたシャボン玉が順次前記外殻の前記噴出口から間欠的に噴出されるように形成されてなることを特徴とするシャボン玉作成装置。
【請求項8】
前記回転体が、前記シャボン玉形成穴が形成された部材の複数と通風穴が設けられた部材の複数とが交互に配置される構成を有することを特徴とする請求項7記載のシャボン玉作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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