シャワー装置
【課題】大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受させることができると共に、全ての散水孔により安定して気泡混入水を供給することが可能なシャワー装置を提供すること。
【解決手段】このシャワー装置F1は、給水部21と、通過する水を下流側に噴射するための絞り部22と、絞り部22を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成す空気混入部23と、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔243が形成されている散水部24とを備え、絞り部22は扁平形状の絞り流路221を有しており、この絞り流路221から噴射された水が膜状水流WFとなって、気液界面BW3に突入して気泡混入水を生成し、この生成された気泡混入水が散水孔243から吐出される。
【解決手段】このシャワー装置F1は、給水部21と、通過する水を下流側に噴射するための絞り部22と、絞り部22を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成す空気混入部23と、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔243が形成されている散水部24とを備え、絞り部22は扁平形状の絞り流路221を有しており、この絞り流路221から噴射された水が膜状水流WFとなって、気液界面BW3に突入して気泡混入水を生成し、この生成された気泡混入水が散水孔243から吐出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野において、いわゆるエジェクタ効果を利用して水に空気を混入させ、気泡混入水と成して吐出するシャワー装置が知られている。シャワー装置は、その装置内に流入した水を複数の散水孔に分散して吐水するものであるから、吐水に空気を混入させる場合には、装置内に流入した水に空気を混入させてから各散水孔に分散させるように構成されている。
【0003】
このようなシャワー装置の一例として、下記特許文献1に記載されているようなシャワー装置が提案されている。下記特許文献1に記載されているシャワー装置は、円盤状のハウジングシェルの前面に複数の散水孔が設けられており、ハウジングシェルの後面の中央から流入させた水をそれら複数の散水孔に分配して吐出するものである。このシャワー装置では、ハウジングシェルに水が流入してから空気を混入させて気泡混入水とし、この気泡混入水を円盤状のハウジングシェルの前面全体に分布するように形成されている複数の散水孔に分配するものであるので、気泡混入水の進行方向に乱流発生拡張部を配置し、この乱流発生拡張部に気泡混入水を衝突させて方向を転換させ、気泡混入水をハウジングシェルの前面全体に行き渡るようにしている。
【0004】
また、このようなシャワー装置の別な一例として、下記特許文献2に記載されているようなシャワー装置も提案されている。下記特許文献2に記載されているシャワー装置は、湯水混合栓等のコックを開くと、ホースから水が供給されてオリフィス部材内を水が通過する。このとき、オリフィス部材の下流側に設けられている減圧室においては減圧状態が形成されるので、この減圧室内に開口した内側吸引口から空気が吸引され、水と空気とが混合される。下記特許文献2に記載されているシャワー装置はこのようにして気泡混入水を生成し、シャワーヘッドに設けられた複数の散水孔から吐出するものである。このシャワー装置では、生成後の気泡混入水は、減圧室の下流側に設けられている区画管内のネジ部材や更にその下流側のシャワーヘッド内壁に当たって方向が転換されながら散水孔に向かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−509629号公報
【特許文献2】特許第3747323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、水に空気を混入させ気泡混入水と成してシャワー吐水を行うにあたって、その気泡混入水が使用者に当たった際の使用感をどのように設定するかは、シャワーを浴びる使用者が感じる質感として重要なものである。上記特許文献2に記載のシャワー装置では、同文献の段落0015に記載されているように、途切れ途切れに水が使用者に当たる感覚を実現するためのものである。この「途切れ途切れ」とは、不均一な粒径に粒化された水滴が使用者に当たることで、大きな粒径の水滴が当たれば強い水浴び感を使用者に与え、小さな粒径の水滴が当たれば弱い水浴び感を使用者に与えることになり、これら水浴び感の強弱を断続的に使用者に与えることができることを表現しているものと思われる。本発明者らの具体的な考察によれば、生成直後の気泡混入水は水に対して空気が略均一に混入されていると推察されるところ、生成後の気泡混入水がネジ部材やシャワーヘッド内壁に当たって方向が転換されることで気泡同士の衝突が発生し、散水孔に到達した段階では気泡径が不均一になっているものと考えられる。そして、このような気泡混入水を散水孔から吐出することで不均一な粒径の水滴となし、それら不均一な粒径の水滴を使用者に当てることで上述したような感覚を実現しているものと考えられる。
【0007】
一方、上記特許文献1に記載のシャワー装置によって吐出される気泡混入水の性状については同文献に記載がないけれども、上記特許文献2に記載のシャワー装置同様に気泡径が不均一な気泡混入水を散水孔に供給し吐出することで不均一な粒径の水滴となし、それら不均一な粒径の水滴を使用者に当てているものと考えられる。上記特許文献1に記載のシャワー装置は、気泡混入水の進行方向に乱流発生拡張部を配置し、この乱流発生拡張部に気泡混入水を衝突させて方向を転換させていることからして、上記特許文献2に記載のシャワー装置においても同様の不均一な気泡成長が起こっており、不均一な粒径の水滴を使用者に当てているものと考えられるからである。
【0008】
本発明者らはこのような状況に対して、大粒の雨を浴びているような量感のある心地良い浴び心地のシャワー吐水を可能とするシャワー装置を提供しようと考えた。これに対して上述した従来の技術では、既述の通り不均一な粒径の水滴が使用者に当たる感覚を実現するものであるから、大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワー吐水を提供するものではなかった。
【0009】
本発明者らはこの新しい浴び心地のシャワー吐水を提供するため、散水孔内及び散水孔から吐出された直後の気泡混入水の状態に着目した。散水孔内及び散水孔から吐出された直後の気泡混入水は、気体と液体という異なった2種類の流体が同一流路管内に混在・移動している気液二相流の状態にあるから、代表的な流動様式である気泡流・スラグ流・環状流のいずれかの流動様式で流動しているものと考えられる。これら流動様式はそれぞれ気泡の混在状態が異なることから、散水孔から吐出された後の粒化の状態は異なるものと考えられる。そこで本発明者らは、上述した従来の技術では、散水孔に供給される気泡混入水の気泡径が不均一であるため、これら気泡流・スラグ流・環状流が混在した状態で気泡混入水が吐出され、結果として不均一な粒径の水滴が使用者に当たる感覚となってしまっているのではないかと仮定し、散水孔に供給する気泡混入水の気泡径を均一なものとなるように制御することが必要だと考えた。
【0010】
しかしながら、シャワー装置に水を供給する際には通常一つの供給口から供給するものであり、そのように一つの供給口から供給される水に対して空気を混入させて気泡混入水を生成するものである。これに対して、散水孔は多数設けられるものであるから、気泡混入水の進行方向を転換して各散水孔に分配する際に気泡混入水に刺激を与えることになってしまい、気泡を成長させずに各散水孔から吐出させることは極めて困難である。
【0011】
本発明者らはこのような課題を解決し、気泡径を極力均一に保った気泡混入水を散水孔に供給することで、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができるシャワー装置を提供することを目的として本発明の基本構想に想到したものである。
【0012】
このように本発明者らが想到したシャワー装置は、気泡径を極力均一に保った気泡混入水を散水孔に供給することで、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができるものである。具体的には、水を供給するための給水部と、前記給水部の下流側に設けられ、前記給水部よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部と、前記絞り部の下流側に設けられ、前記絞り部を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口が形成されている空気混入部と、前記空気混入部の下流側に設けられ、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔が形成されている散水部とを備えるものである。このような構成によって、上述したような大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを提供することはできるものの、例えば散水部の散水孔が形成されている面を広くとろうとする場合等には、絞り部から離れた領域では場合によっては浮力によって気泡が上昇してしまい滞留してしまうおそれがある。本発明者らは、このように浮力によって気泡が上昇して滞留してしまうと、安定して散水孔に気泡混入水が供給されないという従来には無かった新たな課題を見出した。
【0013】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、気泡径を極力均一に保った気泡混入水を散水孔に供給することで、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができると共に、全ての散水孔により安定して気泡混入水を供給することが可能なシャワー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明に係るシャワー装置は、空気を混入させた気泡混入水を吐出するシャワー装置であって、水を供給するための給水部と、前記給水部の下流側に設けられ、前記給水部よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部と、前記絞り部の下流側に設けられ、前記絞り部を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口が形成されている空気混入部と、前記空気混入部の下流側に設けられ、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔が、前記絞り部から噴射される水の噴射方向に沿って形成されている散水部と、を備え、前記絞り部は少なくとも一つの絞り流路を有しており、この絞り流路は前記複数の散水孔が配された散水面に沿った方向が長辺側となるように扁平形状に形成され、前記絞り流路から噴射された水が膜状の水流となって、この膜状の水流が前記空気混入部及び前記散水部に一時的に貯留される水と空気との気液界面に突入し、前記開口から取り入れられる空気を膜状の水流が巻き込むことで気泡混入水が生成されるものであって、この生成された気泡混入水が前記散水孔から吐出されることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、給水部から供給される水が絞り部を通って空気混入部及び散水部に向けて噴射され、空気混入部及び散水部に一時的に貯留された水が散水部の複数の散水孔から外部へと吐出される。絞り部を通って噴射される水は、空気混入部に形成されている開口から取り込まれた空気を伴って、空気混入部及び散水部に一時的に貯留された水と空気との気液界面に突入することで気泡混入水となり、散水部の複数の散水孔から散水される。
【0016】
絞り部を通って噴射された水が気液界面に突入して気泡混入水となる段階では、気泡混入水中の気泡は略均一な径となるように構成できるので、気泡混入水はその略均一な気泡径のまま散水孔が形成された位置まで到達することができる。このように略均一な気泡径の気泡を含む気泡混入水が散水孔に供給されると、散水孔内及び散水孔から吐出された直後において気泡流又はスラグ流を形成することができる。このように略均一な気泡径の気泡を含み気泡流又はスラグ流として形成される気泡混入水が散水孔から吐出されると、環状流のようにミスト化することなく、吐出方向と略直交する方向にせん断されて略均一に粒化される。従って、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴が連続して使用者に着水し、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができる。
【0017】
更に本発明では、より微細な気泡を含む気泡混入水を生成するため、絞り部を構成する絞り流路を、散水孔が配された散水面に沿った方向が長辺側となるように扁平形状に形成している。扁平形状の絞り流路から噴射された水流は、その断面形状が扁平形状を成す膜状の水流となって気液界面へと向う。膜状の水流が気液界面に突入すると、膜状の水流に沿った領域では膜状の水流が略平面状に延びる方向に沿って、その膜状の水流が気液界面に突入する方向に沿った対流が並ぶように発生する。このような対流が発生すると、対流の発生方向が膜状の水流の一方側では揃うと共に、他方側で発生する対流とは回転方向が逆になるものの膜状の水流が突入する気液界面近傍では双方の対流の進行方向が揃うため、近接する対流が互いに衝突するおそれが低減される。膜状の水流の両端ではその対流に加えて膜状の水流の両端に向う対流も発生するが、膜状の水流の両端を除いた領域では、膜状の水流を挟んで膜状の水流に向う対流のみが発生するので、全体としてみた場合にも気液界面近傍での対流の衝突が低減される。
【0018】
一方、線状の水流を気液界面に突入させた場合は、水流が線ではなく点で気液界面に突入するため、線状の水流を中心にその突入点を囲むように全方向から対流が発生する。このように線状の水流が突入する突入点を囲み、その突入点に向うように全方向から対流が発生すると、それら対流は互いに衝突する方向に発生することになる。従って、線状の水流を気液界面に突入させた場合には、その突入点を囲んで発生する対流が互いに衝突しやすくなり、気泡の衝突が発生し気泡の肥大化を招くおそれがある。
【0019】
これに対して本発明のように膜状の水流を発生させると、上述したように膜状の水流が突入する突入線を挟んで互いに衝突し難い対流が発生する。このように互いに衝突し難い対流が発生すると、気泡の衝突による気泡の肥大化の可能性を低減することができる。気泡混入水中の気泡が微細化され、気泡混入水の流れが衝突し難くなって微細化された気泡が維持されると、絞り流路から離れた位置に散水孔が配置されるような場合でも、気泡は浮力の影響を受けずに散水孔に供給されることになる。従って、全ての散水孔により安定して気泡混入水を供給することが可能となる。
【0020】
また本発明に係るシャワー装置では、前記気液界面は、前記開口よりも下流側であって前記散水孔よりも上流側に形成されることも好ましい。
【0021】
この好ましい態様では、絞り流路から噴射される水は膜状の水流として気液界面に突入する。従って、噴射される水によって加わる力を気液界面全体に均一に伝えるように構成することが可能となり、安定して気液界面を散水孔と開口との間に位置させることができる。このように安定して気液界面を形成し、その気液界面に絞り流路から噴射される膜状の水流を突入させて気泡混入水を生成しているので、安定した気液界面において周囲の空気を巻き込むような水の流れを誘発し、気液界面に突入した水流近傍での対流も衝突し難いことから気泡を肥大化させずにその数を増やすことができる。
【0022】
また本発明に係るシャワー装置では、前記開口は、前記膜状の水流を挟んで一方側と他方側とに位置するように少なくとも一対設けられていることも好ましい。
【0023】
本発明では、絞り流路から膜状の水流を噴射するため、上述したような気泡肥大化の抑制効果があるものの水流を挟んだ空気の移動が抑制される。そこでこの好ましい態様では、膜状の水流を挟んで一方側と他方側との双方に開口を設けているので、膜状水流の双方に空気をムラ無く供給することができ、円滑な気泡混入水の生成に寄与することができる。
【0024】
また本発明に係るシャワー装置では、前記絞り流路は、前記散水面に沿った方向に複数並設されており、これら複数並設された前記絞り流路は互いに所定間隔を保つように配置され、それぞれの前記絞り流路から噴射される膜状の水流の間から空気が往来可能なように構成されていることも好ましい。
【0025】
本発明では、絞り流路から膜状の水流を噴射するため、上述したような気泡肥大化の抑制効果があるものの水流を挟んだ空気の移動が抑制される。そこでこの好ましい態様では、扁平形状の絞り流路を複数並設すると共に、それら相互の間隔を所定間隔に保つように配置するので、膜状の水流の間に空気が往来可能な隙間ができる。従って、膜状水流の一方側と他方側との間で空気を行き来させることができ、膜状水流の双方に空気をムラ無く供給することができるため、円滑な気泡混入水の生成に寄与することができる。
【0026】
また本発明に係るシャワー装置では、前記開口は、前記膜状の水流に対して一方側にのみ設けられていることも好ましい。
【0027】
この好ましい態様では、膜状水流の一方側と他方側との間で空気を行き来させることができるため、開口を膜状水流の一方側にのみ設けたとしても、膜状水流の双方に空気をムラ無く供給することができる。従って、開口を膜状水流に対する一方側にのみ設けた簡単な構造で、円滑な気泡混入水の生成に寄与することができる。
【0028】
また本発明に係るシャワー装置では、前記絞り流路は、放射状に膜状の水流を噴射するように構成され、前記複数の散水孔は、膜状の水流が噴射される領域に散在するように配置されていることも好ましい。
【0029】
この好ましい態様では、絞り流路から放射状に膜状の水流を噴射するので、絞り流路から膜状の水流が広がっていくように噴射することができ、より広い領域に膜状の水流を行き渡らせることができる。更に、絞り流路から膜状の水流が広がっていくように噴射するので、膜状の水流は薄く広がるように噴射されることになり、気液界面により薄い膜状の水流となって突入し、より微細な気泡が混入した気泡混入水を生成することができる。そのように膜状の水流が噴射される領域に複数の散水孔が散在するように構成されているので、より広い領域に複数の散水孔を配置することができると共に、より微細な気泡が混入した気泡混入水をそれら複数の散水孔に供給することができる。
【0030】
また本発明に係るシャワー装置では、前記絞り流路が噴射する放射状且つ膜状の水流は、それぞれが扇形状を成すように分離されて噴射されることも好ましい。
【0031】
この好ましい態様では、絞り流路が噴射する放射状且つ膜状の水流は、それぞれが扇形状を成すように分離されて噴射されるので、膜状の水流の間に空気が往来可能な隙間ができる。従って、膜状水流の一方側と他方側との間で空気を行き来させることができ、膜状水流の双方に空気をムラ無く供給することができるため、円滑な気泡混入水の生成に寄与することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、気泡径を極力均一に保った気泡混入水を散水孔に供給することで、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができると共に、全ての散水孔から安定して吐水することが可能なシャワー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本願発明の第一実施形態に係るシャワー装置を示す図であって、(A)は平面図を示し、(B)は側面図を示し、(C)は下面図を示している。
【図2】図1の(B)におけるA−A断面を示す断面図である。
【図3】図1の(A)におけるB−B断面側から見た断面斜視図である。
【図4】図1の(B)におけるC矢視図である。
【図5】図1の(A)におけるB−B断面に相当する断面を示す図であって、シャワー装置内の水の流れを示す図である。
【図6】本願発明の第一実施形態に係るシャワー装置内の気泡混入水の発生状態を示す図である。
【図7】比較例に係るシャワー装置内の気泡混入水の発生状態を示す図である。
【図8】本願発明の第二実施形態に係るシャワー装置を示す図であって、(A)は平面図を示し、(B)は側面図を示し、(C)は下面図を示している。
【図9】図8の(A)におけるF−F断面を示す断面図である。
【図10】図9に示す水噴射コマ近傍を拡大して示す拡大斜視断面図である。
【図11】図9に示す水噴射コマを示す斜視図である。
【図12】図11に示す水噴射コマの中央近傍における断面を示す斜視断面図である。
【図13】図11に示す水噴射コマを用いた場合の水噴射状態を示す平面図である。
【図14】図9に示す水噴射コマの変形例を示す斜視図である。
【図15】図14に示す水噴射コマの中央近傍における断面を示す斜視断面図である。
【図16】図14に示す水噴射コマを用いた場合の水噴射状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0035】
続いて、本発明の第一実施形態であるシャワー装置について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係るシャワー装置F1を示す図であって、図1の(A)は平面図を示し、図8の(B)は側面図を示し、図8の(C)は下面図を示している。
【0036】
図1の(A)に示されるように、シャワー装置F1は主に略直方体を成す本体2によって構成されており、シャワー装置F1(本体2)の上面2aには開口231が形成されている。図1の(B)に示されるように、シャワー装置F1の上面2aと対向する下面2bには複数の散水突起242が設けられている。各散水突起242には散水孔243が形成されている。図1の(C)に示されるように、本体2の下面2bには複数の散水突起242が設けられている。本実施形態の場合、散水突起242は7行×10列に70個形成されている。
【0037】
続いて、図1の(B)のC−C断面図である図2を参照しながらシャワー装置F1について説明を加える。図2に示されるように、シャワー装置F1は、給水部21と、絞り部22と、空気混入部23と、散水部24とを備えている。
【0038】
給水部21は、水を供給するための部分であって、給水口21dから導入した水を絞り部22へと供給する部分である。給水口21dには図示しない給水手段(給水ホース等)が接続可能であって、その給水手段から供給される水が給水部21から絞り部22へと供給される。給水部21は、水の進行方向に沿うように本体2の一部分としての側壁21e及び側壁21fを有しており、側壁21eと側壁21fとは互いに平行になるように配置されている。
【0039】
絞り部22は、給水部21の下流側に設けられており、給水部21よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部22は、水の進行方向に沿うように本体2の一部分としての側壁22e及び側壁22fを有しており、側壁22eと側壁22fとは互いに平行になるように配置されている。
【0040】
絞り部22には、単一の絞り流路221が設けられている。絞り流路221は、側壁22eから側壁22fに向う方向が長辺側となるように扁平形状且つスリット状に形成されている。
【0041】
絞り流路221の様子を図4に示す。図4は、図1の(B)のC矢視図である。図4に示すように、絞り流路421は、本体2の上面2a及び下面2bに沿った辺が長辺となり、側壁22e,22fに沿った辺が短辺となるように扁平形状且つスリット状に形成されている。
【0042】
図2に戻ってその他の部分の説明を続ける。空気混入部23は、絞り部22の下流側に設けられており、絞り部22を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口231が形成されている部分である。空気混入部23は、水の進行方向に沿うように本体2の一部分としての側壁23ea,23eb及び側壁23fa,23fbを有している。
【0043】
側壁23eaと側壁23faとは互いに平行になるように配置されている。側壁23ebは側壁23eaの下流側に連続して設けられている壁であって、側壁23eaに繋がっている部分よりも下流側に向かって外側に流路を広げるように斜めに配置されている。同様に、側壁23fbは側壁23faの下流側に連続して設けられている壁であって、側壁23faに繋がっている部分よりも下流側に向かって外側に流路を広げるように斜めに配置されている。
【0044】
散水部24は、空気混入部23の下流側に設けられており、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔243が形成されている部分である。散水孔243は、散水突起242(図2においては明示しない)に形成されている。
【0045】
図2に示すように、給水部21を構成する側壁21eと、絞り部22を構成する側壁22eと、空気混入部23の一部を構成する側壁23eaとは同一面上に位置するように配置されている。空気混入部23の残部を構成する側壁23ebは本体2の外側側面に向かうように斜めに配置され、散水部24を構成する側壁24eに繋がっている。同様に、給水部21を構成する側壁21fと、絞り部22を構成する側壁22fと、空気混入部23の一部を構成する側壁23faとは同一面上に位置するように配置されている。空気混入部23の残部を構成する側壁23fbは本体2の外側側面に向かうように斜めに配置され、散水部24を構成する側壁24fに繋がっている。
【0046】
続いて、図1の(A)のB−B断面図である図3を参照しながらシャワー装置F1について説明を加える。図3に示されるように、給水部21は、側壁21eと側壁21fとを繋ぐ側壁21b及び側壁21cを有している。側壁21b及び側壁21cは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁21e及び側壁21fよりも長くなるように形成されている。従って、給水部21は流路断面が扁平形状となるように形成されている。給水部21と絞り部22との境界部分には、前壁面21aが設けられていて、側壁21e,21f,21b,21cは前壁面21aに繋がっている。前壁面21aは、側壁21bから側壁21cに延びる部分と、側壁21cから側壁21bに延びる部分とで構成されている。
【0047】
前壁面21aを下流側に越えた領域には絞り部22が設けられている。絞り部22は、側壁22eと側壁22fとを繋ぐ側壁22b及び側壁22cを有している。側壁22b及び側壁22cは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁22e及び側壁22fよりも長くなるように形成されている。従って、絞り部22の側壁22b,22c,22e,22fで囲まれた流路断面は扁平形状となるように形成されている。絞り部22と空気混入部23との境界部分には仕切壁22aが設けられていて、側壁22e,22f,22b,22cは仕切壁22aに繋がっている。仕切壁22aには、扁平形状且つスリット状の絞り流路221が形成されている。
【0048】
仕切壁22aを下流側に越えた領域には空気混入部23が設けられている。空気混入部23は、側壁23ea,23ebと側壁23fa,23fbとを繋ぐ側壁23b、側壁23ea,23ebと側壁23fa,23fbとを繋ぐ側壁であって側壁23bと対向し相対的に側壁23bから遠い位置に配置されている側壁23c、側壁23ea,23ebと側壁23fa,23fbを繋ぐ側壁であって側壁23bと対向し相対的に側壁23bに近い位置に配置されている側壁23dを有している。側壁23cは散水部24側に、側壁23dは絞り部22側に、それぞれ配置されており側壁23cと側壁23dとを繋ぐ段差部23gが形成されている。側壁23b,23c,23dは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁23ea,23eb及び側壁23fa,23fbよりも長くなるように形成されている。従って、空気混入部23は流路断面が扁平形状となるように形成されている。
【0049】
側壁23cよりも下流側の領域には散水部24が設けられている。散水部24は、側壁24eと側壁24fとを繋ぐ側壁であって、空気混入部23の側壁23bと同一面を形成する側壁24bを有している。更に散水部24は、側壁24eと側壁24fとを繋ぐ側壁であって、空気混入部23の側壁23cと同一平面を形成する側壁24cを有している。側壁24b,24c,24e,24fは、給水口21dと対向するように位置し流路の末端として機能する奥側の側壁24aに繋がっている。散水部24には、本体2の下面2bから突出する散水突起242が形成されており、散水突起242には散水孔243が形成されている。
【0050】
続いて、シャワー装置F1内部の水の流れについて図5を参照しながら説明する。図5は、図1の(A)のB−B断面を簡略化して示す図であって、シャワー装置F1に水を供給した際の内部の水の状態を示す図である。
【0051】
図5に示すように、給水部21に給水手段(図示しない)から水が所定圧力以上で供給されると、絞り部22に形成された絞り流路221を通って下流側に噴射される。絞り流路221から下流側の空気混入部23及び散水部24に噴射された膜状の水流である膜状水流WFは、空気混入部23の側壁23b,23c,23d,23e,23f及び散水部24の側壁24b,24c,24d,24eと干渉しないように、最も遠くに位置する散水孔243までその噴射水仮想直線BW1が延びるように噴射される。噴射水仮想直線BW1は、絞り部22から噴射される水の噴射方向を延伸させた仮想的な直線である。
【0052】
このように絞り部22から膜状水流が噴射されると、散水部24及び空気混入部23の少なくとも一部に一時的に水が溜まり、その溜まった水と空気との界面である気液界面BW3が形成される。従って、噴射水仮想直線BW1に沿って噴射された膜状水流が気液界面BW3から溜まった水に対して突入し、空気混入部23に存在する空気を巻き込んで気泡混入水BWが生成される。気泡混入水BWは各水流BW2に分かれて各散水孔243から外部に吐出される。空気混入部23には開口231が形成されているので、噴射水仮想直線BW1に沿って噴射された膜状水流が気液界面BW3から溜まった水に対して突入し、空気混入部23に存在する空気を巻き込んでも、空気が常に供給される状態を維持することができる。
【0053】
本実施形態では、絞り部22の絞り流路221を扁平形状且つスリット状に形成し、膜状水流WFを噴射することで微細な気泡を含む気泡混入水BWを生成するものとしている。図6に、膜状水流WFが気液界面BW3に突入する状態を模式的に示す図を示す。
【0054】
図6に示すように、扁平形状且つスリット状の絞り流路221から噴射された水流は、その断面形状が扁平形状を成す膜状水流WFとなって気液界面BW3へと向う。膜状水流WFが気液界面BW3に突入すると、膜状水流WFに沿った領域では膜状水流WFが略平面状に延びる方向であるx方向に沿って、その膜状水流WFが気液界面BW3に突入する方向に沿った対流が並ぶように発生する。
【0055】
このような対流が発生すると、対流の発生方向が膜状水流WFの一方側(図中において膜状水流WFの手前側)では揃うと共に、他方側(図中において膜状水流WFの反対側)で発生する対流とは回転方向が逆になるものの膜状水流WFが突入する気液界面BW3近傍では双方の対流の進行方向が揃うため、近接する対流が互いに衝突するおそれが低減される。膜状水流WFの両端ではその対流に加えて膜状水流WFの両端に向う対流も発生するが、膜状水流WFの両端を除いた領域では、膜状水流WFを挟んで膜状水流WFに向う対流のみが発生するので、全体としてみた場合にも気液界面BW3近傍での対流の衝突が低減される。
【0056】
一方、線状の噴射水を気液界面に突入させた場合について図7を参照しながら説明する。図7は、線状水流WFsが気液界面BW3に突入する状態を模式的に示す図である。
【0057】
図7に示すように、線状水流WFsを気液界面BW3に突入させた場合は、水流が線ではなく点で気液界面BW3に突入するため、線状水流WFsを中心にその突入点を囲むように全方向(図中においてxz平面の全ての方向)から対流が発生する。このように線状水流WFsが突入する突入点を囲み、その突入点に向うように全方向から対流が発生すると、それら対流は互いに衝突する方向に発生することになる。従って、線状水流WFsを気液界面BW3に突入させた場合には、その突入点を囲んで発生する対流が互いに衝突しやすくなり、気泡の衝突が発生し気泡の肥大化を招くおそれがある。
【0058】
これに対して図6に示す本実施形態のように膜状水流WFを発生させると、上述したように膜状水流WFが突入する突入線を挟んで互いに衝突し難い対流が発生する。このように互いに衝突し難い対流が発生すると、気泡の衝突による気泡の肥大化の可能性を低減することができる。気泡混入水中の気泡が微細化され、気泡混入水の流れが衝突し難くなって微細化された気泡が維持されると、絞り流路221から離れた位置に散水孔243が配置されるような場合でも、気泡は浮力の影響を受けずに散水孔243に供給されることになる。従って、全ての散水孔243により安定して気泡混入水を供給することが可能となる。
【0059】
このように略均一な気泡径の気泡を含む気泡混入水BWが散水孔243に供給されると、散水孔243内及び散水孔243から吐出された直後において気泡流又はスラグ流を形成することができる。このように略均一な気泡径の気泡を含み気泡流又はスラグ流として形成される気泡混入水BWが散水孔243から吐出されると、環状流のようにミスト化することなく、吐出方向と略直交する方向にせん断されて略均一に粒化される。従って、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴が連続して使用者に着水し、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができる。
【0060】
このような作用効果を奏するために本発明の第一実施形態に係るシャワー装置F1は、上述したように、水を供給するための給水部21と、給水部21の下流側に設けられ、給水部21よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部22と、絞り部22の下流側に設けられ、絞り部22を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口231が形成されている空気混入部23と、空気混入部23の下流側に設けられ、気泡混入水BWを吐出するための複数の散水孔243が、絞り部22から噴射される水の噴射方向に沿って形成されている散水部24と、を備えている。
【0061】
絞り部22は単一の絞り流路221を有しており、この絞り流路221は複数の散水孔243が配された散水面としての側壁24cに沿った方向が長辺側となるように扁平形状に形成されている。絞り流路221から噴射された水は膜状水流WFとなり、この膜状水流WFが空気混入部23及び散水部24に一時的に貯留される水と空気との気液界面BW3に突入し、開口231から取り入れられる空気を膜状水流WFが巻き込むことで気泡混入水BWが生成されるものであって、この生成された気泡混入水BWが散水孔243から吐出される。
【0062】
また本実施形態に係るシャワー装置F1では、気液界面BW3は、開口231よりも下流側であって散水孔243よりも上流側に形成されている(図5参照)。
【0063】
本実施形態では、絞り流路221から噴射される水は膜状水流WFとして気液界面BW3に突入する。従って、噴射される水によって加わる力を気液界面BW3全体に均一に伝えるように構成することが可能となり、安定して気液界面BW3を散水孔243と開口231との間に位置させることができる。このように安定して気液界面BW3を形成し、その気液界面BW3に絞り流路221から噴射される膜状水流WFを突入させて気泡混入水BWを生成しているので、安定した気液界面BW3において周囲の空気を巻き込むような水の流れを誘発し、気液界面BW3に突入した水流近傍での対流も衝突し難いことから気泡を肥大化させずにその数を増やすことができる。
【0064】
また本実施形態に係るシャワー装置F1では、開口231は、膜状水流WFに対して一方側にのみ設けられているけれども、開口231を、膜状水流WFを挟んで一方側と他方側とに位置するように少なくとも一対設けられていることも好ましい。
【0065】
本実施形態では、絞り流路221から膜状水流WFを噴射するため、上述したような気泡肥大化の抑制効果があるものの膜状水流WFを挟んだ空気の移動が抑制される傾向にある。そこで、膜状水流WFを挟んで一方側と他方側との双方に開口231を設けることで、膜状水流WFの双方に空気をムラ無く供給することができ、円滑な気泡混入水BWの生成に寄与することができる。
【0066】
上述した第一実施形態に係るシャワー装置F1は、本体2を略直方体状に形成し、絞り部22によって噴射される水の方向を同一方向に揃えたものである。本発明の趣旨に鑑みれば実施の形態はこれらに限られるものではなく、絞り流路は、放射状に膜状の水流を噴射するように構成され、複数の散水孔は、膜状の水流が噴射される領域に散在するように配置されるように構成することも可能である。複数の散水孔が配置される領域は、円形領域であったり矩形領域であったり様々な形態の領域と成すことが可能である。続いて説明する本発明の第二実施形態では、本体を略円盤状に形成し、絞り部によって噴射される水の方向を放射状にするものを例にとって説明する。
【0067】
本発明の第二実施形態であるシャワー装置について図8を参照しながら説明する。図8は、本発明の第二実施形態に係るシャワー装置F3を示す図であって、図8の(A)は平面図を示し、図8の(B)は側面図を示し、図8の(C)は下面図を示している。図8の(A)に示されるように、シャワー装置F3は主に略円盤状を成す本体4によって構成されており、シャワー装置F3(本体4)の上面4aには給水口41dが形成されている。
【0068】
図8の(B)に示されるように、シャワー装置F3の本体4は、給水口41dが形成されているキャビティ4Aと、散水孔443が形成されているシャワープレート4Bとによってその外形が構成されている。図8の(C)に示されるように、本体4の下面4bには複数の散水孔443が形成されていると共に、開口431も形成されている。本実施形態の場合、散水孔443は開口431を中心とした放射状に配置されている。
【0069】
続いて、図8の(A)のF−F断面図である図9を参照しながらシャワー装置F3について説明を加える。図9に示されるように、シャワー装置F3は、キャビティ4Aと、シャワープレート4Bと、水噴射コマ4Cとによって構成されている。
【0070】
キャビティ4Aは、シャワープレート4Bと共に本体4の外形を形成する部材であって、本体4の上面4aとは反対側の当接面4Aaから上面4aに向けて円形の凹部4Abが形成されている。
【0071】
キャビティ4Aの中心近傍には、上面4aから凹部4Abに至る貫通穴4Acが形成されている。このように貫通穴4Acを設けることで、給水口41dから絞り部42に至る給水部41が形成されている。
【0072】
シャワープレート4Bは、キャビティ4Aと共に本体4の外形を形成する部材であって、散水孔443が放射状に複数個形成されている。この散水孔443が形成されている領域の下面4bとは反対側の当接面4Baは散水部44の側壁44cとなるように構成されている。
【0073】
シャワープレート4Bの当接面4Baとキャビティ4Aの当接面4Aaとを当接させると、キャビティ4Aの凹部4Abとの間には空隙が形成され、この空隙が空気混入部43及び散水部44となるように構成されている。凹部4Abの一部分は散水部44の側壁44aとなるように構成されている。
【0074】
続いて、水噴射コマ4Cについて図10〜図12を参照しながら説明する。図10は水噴射コマ4C近傍を拡大した斜視断面図である。図11は、水噴射コマ4Cを示す斜視図である。図12は、図11に示す水噴射コマ4Cの中央近傍の断面を示す斜視断面図である。図10〜図12に示されるように、水噴射コマ4Cは、フランジ4Cbをツバとする帽子形状を成しており、その帽子形状の頂部に相当するフランジ4Cbとは反対側の端部に空気導入突起部4Caが形成されている。空気導入突起部4Caとは反対側であってフランジ4Cbの中央近傍には絞り突起部4Cdが形成されている。
【0075】
絞り突起部4Cdは、絞り部42の一部を構成するものであって、キャビティ4Aと対向することで絞り流路421を形成している。従って、絞り流路421は、キャビティ4Aの中央近傍から放射状且つ膜状の水が噴射されるように全周に渡ってスリットを形成している。
【0076】
絞り突起部4Cdの周囲には空気導入孔431aが、絞り突起部4Cdの全周に渡って複数個形成されている。空気導入孔431aは、空気導入突起部4Caに形成されている開口431と連通しており、絞り流路421に対して空気を供給するものである。
【0077】
シャワープレート4Bにおいては、本体4の下面4bとは反対側の当接面4Baから下面4bに向けて円形の凹部4Bcが形成されている。凹部4Bcは、放射状に設けられた散水孔443の内側に位置するように、シャワープレート4Bの中央に設けられている。凹部4Bcの底面から下面4bに至るように貫通穴4Bbが形成されている。凹部4Bcには、水噴射コマ4Cが収められている。
【0078】
水噴射コマ4Cの空気導入突起部4Caは、貫通穴4Bbから外部に突出するように配置されている。従って、空気導入突起部4Caに形成されている開口431は、外気を取り込むことが可能なように構成されている。
【0079】
上述したようにキャビティ4Aと、シャワープレート4Bと、水噴射コマ4Cとを組み上げることで、シャワー装置F3は、給水部41と、絞り部42と、空気混入部43と、散水部44とを備えるように構成される。
【0080】
給水部41は、水を供給するための部分であって、給水口41dから導入した水を絞り部42へと供給する部分である。給水口41dには図示しない給水手段(給水ホース等)が接続可能であって、その給水手段から供給される水が給水部41から絞り部42へと供給される。
【0081】
絞り部42は、給水部41の下流側に設けられており、給水部41よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部42には、単一の絞り流路421が形成されている。
【0082】
空気混入部43は、絞り部42の下流側に設けられており、絞り部42を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口431が形成されている部分である。
【0083】
散水部44は、空気混入部43の下流側に設けられており、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔443が形成されている部分である。
【0084】
このシャワー装置F3では、給水部41から水を供給すると、絞り部42の絞り流路421から膜状水流WFcが噴射される。この膜状水流WFcの噴射状態を図13に示す。図13は、シャワー装置F3を給水部41側から見た場合の膜状水流WFcの噴射状態を模式的に示す図である。図13に示すように、膜状水流WFcは全周に渡って噴射される。
【0085】
このように膜状水流WFcを噴射することで、第一実施形態に係るシャワー装置F1と同様に、膜状水流WFcが突入する突入線を挟んで互いに衝突し難い対流が発生する。このように互いに衝突し難い対流が発生すると、気泡の衝突による気泡の肥大化の可能性を低減することができる。気泡混入水中の気泡が微細化され、気泡混入水の流れが衝突し難くなって微細化された気泡が維持されると、絞り流路421から離れた位置に散水孔443が配置されるような場合でも、気泡は浮力の影響を受けずに散水孔443に供給されることになる。従って、全ての散水孔443により安定して気泡混入水を供給することが可能となる。
【0086】
このように略均一な気泡径の気泡を含む気泡混入水が散水孔443に供給されると、散水孔443内及び散水孔443から吐出された直後において気泡流又はスラグ流を形成することができる。このように略均一な気泡径の気泡を含み気泡流又はスラグ流として形成される気泡混入水が散水孔443から吐出されると、環状流のようにミスト化することなく、吐出方向と略直交する方向にせん断されて略均一に粒化される。従って、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴が連続して使用者に着水し、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができる。
【0087】
本実施形態では、絞り流路421を全周に渡る単一のスリットとして構成したけれども、絞り流路を複数並設した状態とすることも好ましいものである。このように絞り流路を複数並設した変形例を図14〜図16を参照しながら説明する。図14は、変形例に係る水噴射コマ5Cを示す斜視図である。図15は、図14に示す水噴射コマ5Cの中央近傍における断面を示す断面斜視図である。図16は、図14及び図15に示す水噴射コマ5Cをシャワー装置F2における水噴射コマ4Cに代えて組み込んだ場合の膜状水流の噴射状態を示す図である。
【0088】
図14及び図15に示すように、水噴射コマ5Cは、フランジ5Cbをツバとする帽子形状を成しており、その帽子形状の頂部に相当するフランジ5Cbとは反対側の端部に空気導入突起部5Caが形成されている。空気導入突起部5Caとは反対側であってフランジ5Cbの中央近傍には絞り突起部5Cdが形成されている。
【0089】
絞り突起部5Cdは、絞り部42の一部を構成するものであって、キャビティ4Aと対向することで絞り流路を形成するものである。絞り突起部5Cdには、4つの仕切突起5Cdaが設けられている。4つの仕切突起5Cdaは互いに等間隔を保つように配置されており、キャビティ4Aと当接することで、絞り流路を4つに仕切る役割を果たすものである。従って、水噴射コマ5Cを用いた場合の絞り流路は、キャビティ4Aの中央近傍から放射状且つ膜状の水が扇状に噴射されるように分割されたスリットを形成する(図16参照)。
【0090】
絞り突起部5Cdの周囲には空気導入孔531aが、絞り突起部5Cdの全周に渡って複数個形成されている。空気導入孔531aは、空気導入突起部5Caに形成されている開口と連通しており、絞り流路に対して空気を供給するものである。
【0091】
このように水噴射コマ5Cを用いると、絞り流路は、散水面に沿った方向に複数並設され、これら複数並設された絞り流路は互いに所定間隔を保つように配置され、それぞれの絞り流路から噴射される膜状水流WFpの間から空気が往来可能なように構成される。
【0092】
本実施形態では、絞り流路から膜状の水流を噴射するため、上述したような気泡肥大化の抑制効果があるものの水流を挟んだ空気の移動が抑制される。そこでこの変形例では、扁平形状の絞り流路を複数並設すると共に、それら相互の間隔を所定間隔に保つように配置するので、膜状水流WFpの間に空気が往来可能な隙間ができる。従って、膜状水流WFpの一方側と他方側との間で空気を行き来させることができ、膜状水流WFpの双方に空気をムラ無く供給することができるため、円滑な気泡混入水の生成に寄与することができる。
【0093】
従ってこの変形例では、膜状水流WFpの一方側と他方側との間で空気を行き来させることができるため、開口に連通する空気導入孔531aを膜状水流WFpの一方側にのみ設けたとしても、膜状水流WFpの双方に空気をムラ無く供給することができる。従って、開口に連通する空気導入孔531aを膜状水流WFpに対する一方側にのみ設けた簡単な構造で、円滑な気泡混入水の生成に寄与することができる。
【0094】
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、複数の散水孔443は円形の領域に散在するように配置されており、絞り流路は、この円形の領域の中央近傍から放射状に膜状の水流を噴射し、この噴射した膜状水流WFpは扇形状を成すように構成されている。
【0095】
このように、散水孔443が散在する円形の領域に対して、その領域の中央近傍から放射状に膜状水流WFpを噴射するように絞り流路を構成しているので、散水孔443が配置された円形の領域にムラ無く膜状水流WFpを噴射でき、その円形の領域にムラ無く気泡混入水を供給することができる。また、膜状水流WFpは扇形状を成すように構成されているので、膜状水流WFpの流れが安定し、微細な気泡が混入された気泡混入水を供給することができる。
【0096】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0097】
F1:シャワー装置
2:本体
2a:上面
2b:下面
21:給水部
21a:前壁面
21b:側壁
21c:側壁
21d:給水口
21e:側壁
21f:側壁
22:絞り部
22a:仕切壁
22b:側壁
22c:側壁
22e:側壁
22f:側壁
221:絞り流路
23:空気混入部
23b:側壁
23c:側壁
23d:側壁
23ea:側壁
23eb:側壁
23fa:側壁
23fb:側壁
23g:段差部
231:開口
24:散水部
24a:側壁
24b:側壁
24c:側壁
24e:側壁
24f:側壁
242:散水突起
243:散水孔
BW:気泡混入水
BW1:噴射水仮想直線
BW2:水流
BW3:気液界面
WF:膜状水流
WFs:線状水流
F3:シャワー装置
4:本体
4A:キャビティ
4Aa:当接面
4Ab:凹部
4Ac:貫通穴
4B:シャワープレート
4Ba:当接面
4Bb:貫通穴
4Bc:凹部
4C:水噴射コマ
4Ca:空気導入突起部
4Cb:フランジ
4Cd:絞り突起部
4a:上面
4b:下面
41:給水部
41d:給水口
42:絞り部
421:絞り流路
43:空気混入部
43b:側壁
43c:側壁
431:開口
431a:空気導入孔
44:散水部
44a:側壁
44b:側壁
44c:側壁
443:散水孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野において、いわゆるエジェクタ効果を利用して水に空気を混入させ、気泡混入水と成して吐出するシャワー装置が知られている。シャワー装置は、その装置内に流入した水を複数の散水孔に分散して吐水するものであるから、吐水に空気を混入させる場合には、装置内に流入した水に空気を混入させてから各散水孔に分散させるように構成されている。
【0003】
このようなシャワー装置の一例として、下記特許文献1に記載されているようなシャワー装置が提案されている。下記特許文献1に記載されているシャワー装置は、円盤状のハウジングシェルの前面に複数の散水孔が設けられており、ハウジングシェルの後面の中央から流入させた水をそれら複数の散水孔に分配して吐出するものである。このシャワー装置では、ハウジングシェルに水が流入してから空気を混入させて気泡混入水とし、この気泡混入水を円盤状のハウジングシェルの前面全体に分布するように形成されている複数の散水孔に分配するものであるので、気泡混入水の進行方向に乱流発生拡張部を配置し、この乱流発生拡張部に気泡混入水を衝突させて方向を転換させ、気泡混入水をハウジングシェルの前面全体に行き渡るようにしている。
【0004】
また、このようなシャワー装置の別な一例として、下記特許文献2に記載されているようなシャワー装置も提案されている。下記特許文献2に記載されているシャワー装置は、湯水混合栓等のコックを開くと、ホースから水が供給されてオリフィス部材内を水が通過する。このとき、オリフィス部材の下流側に設けられている減圧室においては減圧状態が形成されるので、この減圧室内に開口した内側吸引口から空気が吸引され、水と空気とが混合される。下記特許文献2に記載されているシャワー装置はこのようにして気泡混入水を生成し、シャワーヘッドに設けられた複数の散水孔から吐出するものである。このシャワー装置では、生成後の気泡混入水は、減圧室の下流側に設けられている区画管内のネジ部材や更にその下流側のシャワーヘッド内壁に当たって方向が転換されながら散水孔に向かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−509629号公報
【特許文献2】特許第3747323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、水に空気を混入させ気泡混入水と成してシャワー吐水を行うにあたって、その気泡混入水が使用者に当たった際の使用感をどのように設定するかは、シャワーを浴びる使用者が感じる質感として重要なものである。上記特許文献2に記載のシャワー装置では、同文献の段落0015に記載されているように、途切れ途切れに水が使用者に当たる感覚を実現するためのものである。この「途切れ途切れ」とは、不均一な粒径に粒化された水滴が使用者に当たることで、大きな粒径の水滴が当たれば強い水浴び感を使用者に与え、小さな粒径の水滴が当たれば弱い水浴び感を使用者に与えることになり、これら水浴び感の強弱を断続的に使用者に与えることができることを表現しているものと思われる。本発明者らの具体的な考察によれば、生成直後の気泡混入水は水に対して空気が略均一に混入されていると推察されるところ、生成後の気泡混入水がネジ部材やシャワーヘッド内壁に当たって方向が転換されることで気泡同士の衝突が発生し、散水孔に到達した段階では気泡径が不均一になっているものと考えられる。そして、このような気泡混入水を散水孔から吐出することで不均一な粒径の水滴となし、それら不均一な粒径の水滴を使用者に当てることで上述したような感覚を実現しているものと考えられる。
【0007】
一方、上記特許文献1に記載のシャワー装置によって吐出される気泡混入水の性状については同文献に記載がないけれども、上記特許文献2に記載のシャワー装置同様に気泡径が不均一な気泡混入水を散水孔に供給し吐出することで不均一な粒径の水滴となし、それら不均一な粒径の水滴を使用者に当てているものと考えられる。上記特許文献1に記載のシャワー装置は、気泡混入水の進行方向に乱流発生拡張部を配置し、この乱流発生拡張部に気泡混入水を衝突させて方向を転換させていることからして、上記特許文献2に記載のシャワー装置においても同様の不均一な気泡成長が起こっており、不均一な粒径の水滴を使用者に当てているものと考えられるからである。
【0008】
本発明者らはこのような状況に対して、大粒の雨を浴びているような量感のある心地良い浴び心地のシャワー吐水を可能とするシャワー装置を提供しようと考えた。これに対して上述した従来の技術では、既述の通り不均一な粒径の水滴が使用者に当たる感覚を実現するものであるから、大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワー吐水を提供するものではなかった。
【0009】
本発明者らはこの新しい浴び心地のシャワー吐水を提供するため、散水孔内及び散水孔から吐出された直後の気泡混入水の状態に着目した。散水孔内及び散水孔から吐出された直後の気泡混入水は、気体と液体という異なった2種類の流体が同一流路管内に混在・移動している気液二相流の状態にあるから、代表的な流動様式である気泡流・スラグ流・環状流のいずれかの流動様式で流動しているものと考えられる。これら流動様式はそれぞれ気泡の混在状態が異なることから、散水孔から吐出された後の粒化の状態は異なるものと考えられる。そこで本発明者らは、上述した従来の技術では、散水孔に供給される気泡混入水の気泡径が不均一であるため、これら気泡流・スラグ流・環状流が混在した状態で気泡混入水が吐出され、結果として不均一な粒径の水滴が使用者に当たる感覚となってしまっているのではないかと仮定し、散水孔に供給する気泡混入水の気泡径を均一なものとなるように制御することが必要だと考えた。
【0010】
しかしながら、シャワー装置に水を供給する際には通常一つの供給口から供給するものであり、そのように一つの供給口から供給される水に対して空気を混入させて気泡混入水を生成するものである。これに対して、散水孔は多数設けられるものであるから、気泡混入水の進行方向を転換して各散水孔に分配する際に気泡混入水に刺激を与えることになってしまい、気泡を成長させずに各散水孔から吐出させることは極めて困難である。
【0011】
本発明者らはこのような課題を解決し、気泡径を極力均一に保った気泡混入水を散水孔に供給することで、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができるシャワー装置を提供することを目的として本発明の基本構想に想到したものである。
【0012】
このように本発明者らが想到したシャワー装置は、気泡径を極力均一に保った気泡混入水を散水孔に供給することで、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができるものである。具体的には、水を供給するための給水部と、前記給水部の下流側に設けられ、前記給水部よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部と、前記絞り部の下流側に設けられ、前記絞り部を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口が形成されている空気混入部と、前記空気混入部の下流側に設けられ、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔が形成されている散水部とを備えるものである。このような構成によって、上述したような大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを提供することはできるものの、例えば散水部の散水孔が形成されている面を広くとろうとする場合等には、絞り部から離れた領域では場合によっては浮力によって気泡が上昇してしまい滞留してしまうおそれがある。本発明者らは、このように浮力によって気泡が上昇して滞留してしまうと、安定して散水孔に気泡混入水が供給されないという従来には無かった新たな課題を見出した。
【0013】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、気泡径を極力均一に保った気泡混入水を散水孔に供給することで、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができると共に、全ての散水孔により安定して気泡混入水を供給することが可能なシャワー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明に係るシャワー装置は、空気を混入させた気泡混入水を吐出するシャワー装置であって、水を供給するための給水部と、前記給水部の下流側に設けられ、前記給水部よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部と、前記絞り部の下流側に設けられ、前記絞り部を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口が形成されている空気混入部と、前記空気混入部の下流側に設けられ、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔が、前記絞り部から噴射される水の噴射方向に沿って形成されている散水部と、を備え、前記絞り部は少なくとも一つの絞り流路を有しており、この絞り流路は前記複数の散水孔が配された散水面に沿った方向が長辺側となるように扁平形状に形成され、前記絞り流路から噴射された水が膜状の水流となって、この膜状の水流が前記空気混入部及び前記散水部に一時的に貯留される水と空気との気液界面に突入し、前記開口から取り入れられる空気を膜状の水流が巻き込むことで気泡混入水が生成されるものであって、この生成された気泡混入水が前記散水孔から吐出されることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、給水部から供給される水が絞り部を通って空気混入部及び散水部に向けて噴射され、空気混入部及び散水部に一時的に貯留された水が散水部の複数の散水孔から外部へと吐出される。絞り部を通って噴射される水は、空気混入部に形成されている開口から取り込まれた空気を伴って、空気混入部及び散水部に一時的に貯留された水と空気との気液界面に突入することで気泡混入水となり、散水部の複数の散水孔から散水される。
【0016】
絞り部を通って噴射された水が気液界面に突入して気泡混入水となる段階では、気泡混入水中の気泡は略均一な径となるように構成できるので、気泡混入水はその略均一な気泡径のまま散水孔が形成された位置まで到達することができる。このように略均一な気泡径の気泡を含む気泡混入水が散水孔に供給されると、散水孔内及び散水孔から吐出された直後において気泡流又はスラグ流を形成することができる。このように略均一な気泡径の気泡を含み気泡流又はスラグ流として形成される気泡混入水が散水孔から吐出されると、環状流のようにミスト化することなく、吐出方向と略直交する方向にせん断されて略均一に粒化される。従って、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴が連続して使用者に着水し、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができる。
【0017】
更に本発明では、より微細な気泡を含む気泡混入水を生成するため、絞り部を構成する絞り流路を、散水孔が配された散水面に沿った方向が長辺側となるように扁平形状に形成している。扁平形状の絞り流路から噴射された水流は、その断面形状が扁平形状を成す膜状の水流となって気液界面へと向う。膜状の水流が気液界面に突入すると、膜状の水流に沿った領域では膜状の水流が略平面状に延びる方向に沿って、その膜状の水流が気液界面に突入する方向に沿った対流が並ぶように発生する。このような対流が発生すると、対流の発生方向が膜状の水流の一方側では揃うと共に、他方側で発生する対流とは回転方向が逆になるものの膜状の水流が突入する気液界面近傍では双方の対流の進行方向が揃うため、近接する対流が互いに衝突するおそれが低減される。膜状の水流の両端ではその対流に加えて膜状の水流の両端に向う対流も発生するが、膜状の水流の両端を除いた領域では、膜状の水流を挟んで膜状の水流に向う対流のみが発生するので、全体としてみた場合にも気液界面近傍での対流の衝突が低減される。
【0018】
一方、線状の水流を気液界面に突入させた場合は、水流が線ではなく点で気液界面に突入するため、線状の水流を中心にその突入点を囲むように全方向から対流が発生する。このように線状の水流が突入する突入点を囲み、その突入点に向うように全方向から対流が発生すると、それら対流は互いに衝突する方向に発生することになる。従って、線状の水流を気液界面に突入させた場合には、その突入点を囲んで発生する対流が互いに衝突しやすくなり、気泡の衝突が発生し気泡の肥大化を招くおそれがある。
【0019】
これに対して本発明のように膜状の水流を発生させると、上述したように膜状の水流が突入する突入線を挟んで互いに衝突し難い対流が発生する。このように互いに衝突し難い対流が発生すると、気泡の衝突による気泡の肥大化の可能性を低減することができる。気泡混入水中の気泡が微細化され、気泡混入水の流れが衝突し難くなって微細化された気泡が維持されると、絞り流路から離れた位置に散水孔が配置されるような場合でも、気泡は浮力の影響を受けずに散水孔に供給されることになる。従って、全ての散水孔により安定して気泡混入水を供給することが可能となる。
【0020】
また本発明に係るシャワー装置では、前記気液界面は、前記開口よりも下流側であって前記散水孔よりも上流側に形成されることも好ましい。
【0021】
この好ましい態様では、絞り流路から噴射される水は膜状の水流として気液界面に突入する。従って、噴射される水によって加わる力を気液界面全体に均一に伝えるように構成することが可能となり、安定して気液界面を散水孔と開口との間に位置させることができる。このように安定して気液界面を形成し、その気液界面に絞り流路から噴射される膜状の水流を突入させて気泡混入水を生成しているので、安定した気液界面において周囲の空気を巻き込むような水の流れを誘発し、気液界面に突入した水流近傍での対流も衝突し難いことから気泡を肥大化させずにその数を増やすことができる。
【0022】
また本発明に係るシャワー装置では、前記開口は、前記膜状の水流を挟んで一方側と他方側とに位置するように少なくとも一対設けられていることも好ましい。
【0023】
本発明では、絞り流路から膜状の水流を噴射するため、上述したような気泡肥大化の抑制効果があるものの水流を挟んだ空気の移動が抑制される。そこでこの好ましい態様では、膜状の水流を挟んで一方側と他方側との双方に開口を設けているので、膜状水流の双方に空気をムラ無く供給することができ、円滑な気泡混入水の生成に寄与することができる。
【0024】
また本発明に係るシャワー装置では、前記絞り流路は、前記散水面に沿った方向に複数並設されており、これら複数並設された前記絞り流路は互いに所定間隔を保つように配置され、それぞれの前記絞り流路から噴射される膜状の水流の間から空気が往来可能なように構成されていることも好ましい。
【0025】
本発明では、絞り流路から膜状の水流を噴射するため、上述したような気泡肥大化の抑制効果があるものの水流を挟んだ空気の移動が抑制される。そこでこの好ましい態様では、扁平形状の絞り流路を複数並設すると共に、それら相互の間隔を所定間隔に保つように配置するので、膜状の水流の間に空気が往来可能な隙間ができる。従って、膜状水流の一方側と他方側との間で空気を行き来させることができ、膜状水流の双方に空気をムラ無く供給することができるため、円滑な気泡混入水の生成に寄与することができる。
【0026】
また本発明に係るシャワー装置では、前記開口は、前記膜状の水流に対して一方側にのみ設けられていることも好ましい。
【0027】
この好ましい態様では、膜状水流の一方側と他方側との間で空気を行き来させることができるため、開口を膜状水流の一方側にのみ設けたとしても、膜状水流の双方に空気をムラ無く供給することができる。従って、開口を膜状水流に対する一方側にのみ設けた簡単な構造で、円滑な気泡混入水の生成に寄与することができる。
【0028】
また本発明に係るシャワー装置では、前記絞り流路は、放射状に膜状の水流を噴射するように構成され、前記複数の散水孔は、膜状の水流が噴射される領域に散在するように配置されていることも好ましい。
【0029】
この好ましい態様では、絞り流路から放射状に膜状の水流を噴射するので、絞り流路から膜状の水流が広がっていくように噴射することができ、より広い領域に膜状の水流を行き渡らせることができる。更に、絞り流路から膜状の水流が広がっていくように噴射するので、膜状の水流は薄く広がるように噴射されることになり、気液界面により薄い膜状の水流となって突入し、より微細な気泡が混入した気泡混入水を生成することができる。そのように膜状の水流が噴射される領域に複数の散水孔が散在するように構成されているので、より広い領域に複数の散水孔を配置することができると共に、より微細な気泡が混入した気泡混入水をそれら複数の散水孔に供給することができる。
【0030】
また本発明に係るシャワー装置では、前記絞り流路が噴射する放射状且つ膜状の水流は、それぞれが扇形状を成すように分離されて噴射されることも好ましい。
【0031】
この好ましい態様では、絞り流路が噴射する放射状且つ膜状の水流は、それぞれが扇形状を成すように分離されて噴射されるので、膜状の水流の間に空気が往来可能な隙間ができる。従って、膜状水流の一方側と他方側との間で空気を行き来させることができ、膜状水流の双方に空気をムラ無く供給することができるため、円滑な気泡混入水の生成に寄与することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、気泡径を極力均一に保った気泡混入水を散水孔に供給することで、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができると共に、全ての散水孔から安定して吐水することが可能なシャワー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本願発明の第一実施形態に係るシャワー装置を示す図であって、(A)は平面図を示し、(B)は側面図を示し、(C)は下面図を示している。
【図2】図1の(B)におけるA−A断面を示す断面図である。
【図3】図1の(A)におけるB−B断面側から見た断面斜視図である。
【図4】図1の(B)におけるC矢視図である。
【図5】図1の(A)におけるB−B断面に相当する断面を示す図であって、シャワー装置内の水の流れを示す図である。
【図6】本願発明の第一実施形態に係るシャワー装置内の気泡混入水の発生状態を示す図である。
【図7】比較例に係るシャワー装置内の気泡混入水の発生状態を示す図である。
【図8】本願発明の第二実施形態に係るシャワー装置を示す図であって、(A)は平面図を示し、(B)は側面図を示し、(C)は下面図を示している。
【図9】図8の(A)におけるF−F断面を示す断面図である。
【図10】図9に示す水噴射コマ近傍を拡大して示す拡大斜視断面図である。
【図11】図9に示す水噴射コマを示す斜視図である。
【図12】図11に示す水噴射コマの中央近傍における断面を示す斜視断面図である。
【図13】図11に示す水噴射コマを用いた場合の水噴射状態を示す平面図である。
【図14】図9に示す水噴射コマの変形例を示す斜視図である。
【図15】図14に示す水噴射コマの中央近傍における断面を示す斜視断面図である。
【図16】図14に示す水噴射コマを用いた場合の水噴射状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0035】
続いて、本発明の第一実施形態であるシャワー装置について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係るシャワー装置F1を示す図であって、図1の(A)は平面図を示し、図8の(B)は側面図を示し、図8の(C)は下面図を示している。
【0036】
図1の(A)に示されるように、シャワー装置F1は主に略直方体を成す本体2によって構成されており、シャワー装置F1(本体2)の上面2aには開口231が形成されている。図1の(B)に示されるように、シャワー装置F1の上面2aと対向する下面2bには複数の散水突起242が設けられている。各散水突起242には散水孔243が形成されている。図1の(C)に示されるように、本体2の下面2bには複数の散水突起242が設けられている。本実施形態の場合、散水突起242は7行×10列に70個形成されている。
【0037】
続いて、図1の(B)のC−C断面図である図2を参照しながらシャワー装置F1について説明を加える。図2に示されるように、シャワー装置F1は、給水部21と、絞り部22と、空気混入部23と、散水部24とを備えている。
【0038】
給水部21は、水を供給するための部分であって、給水口21dから導入した水を絞り部22へと供給する部分である。給水口21dには図示しない給水手段(給水ホース等)が接続可能であって、その給水手段から供給される水が給水部21から絞り部22へと供給される。給水部21は、水の進行方向に沿うように本体2の一部分としての側壁21e及び側壁21fを有しており、側壁21eと側壁21fとは互いに平行になるように配置されている。
【0039】
絞り部22は、給水部21の下流側に設けられており、給水部21よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部22は、水の進行方向に沿うように本体2の一部分としての側壁22e及び側壁22fを有しており、側壁22eと側壁22fとは互いに平行になるように配置されている。
【0040】
絞り部22には、単一の絞り流路221が設けられている。絞り流路221は、側壁22eから側壁22fに向う方向が長辺側となるように扁平形状且つスリット状に形成されている。
【0041】
絞り流路221の様子を図4に示す。図4は、図1の(B)のC矢視図である。図4に示すように、絞り流路421は、本体2の上面2a及び下面2bに沿った辺が長辺となり、側壁22e,22fに沿った辺が短辺となるように扁平形状且つスリット状に形成されている。
【0042】
図2に戻ってその他の部分の説明を続ける。空気混入部23は、絞り部22の下流側に設けられており、絞り部22を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口231が形成されている部分である。空気混入部23は、水の進行方向に沿うように本体2の一部分としての側壁23ea,23eb及び側壁23fa,23fbを有している。
【0043】
側壁23eaと側壁23faとは互いに平行になるように配置されている。側壁23ebは側壁23eaの下流側に連続して設けられている壁であって、側壁23eaに繋がっている部分よりも下流側に向かって外側に流路を広げるように斜めに配置されている。同様に、側壁23fbは側壁23faの下流側に連続して設けられている壁であって、側壁23faに繋がっている部分よりも下流側に向かって外側に流路を広げるように斜めに配置されている。
【0044】
散水部24は、空気混入部23の下流側に設けられており、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔243が形成されている部分である。散水孔243は、散水突起242(図2においては明示しない)に形成されている。
【0045】
図2に示すように、給水部21を構成する側壁21eと、絞り部22を構成する側壁22eと、空気混入部23の一部を構成する側壁23eaとは同一面上に位置するように配置されている。空気混入部23の残部を構成する側壁23ebは本体2の外側側面に向かうように斜めに配置され、散水部24を構成する側壁24eに繋がっている。同様に、給水部21を構成する側壁21fと、絞り部22を構成する側壁22fと、空気混入部23の一部を構成する側壁23faとは同一面上に位置するように配置されている。空気混入部23の残部を構成する側壁23fbは本体2の外側側面に向かうように斜めに配置され、散水部24を構成する側壁24fに繋がっている。
【0046】
続いて、図1の(A)のB−B断面図である図3を参照しながらシャワー装置F1について説明を加える。図3に示されるように、給水部21は、側壁21eと側壁21fとを繋ぐ側壁21b及び側壁21cを有している。側壁21b及び側壁21cは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁21e及び側壁21fよりも長くなるように形成されている。従って、給水部21は流路断面が扁平形状となるように形成されている。給水部21と絞り部22との境界部分には、前壁面21aが設けられていて、側壁21e,21f,21b,21cは前壁面21aに繋がっている。前壁面21aは、側壁21bから側壁21cに延びる部分と、側壁21cから側壁21bに延びる部分とで構成されている。
【0047】
前壁面21aを下流側に越えた領域には絞り部22が設けられている。絞り部22は、側壁22eと側壁22fとを繋ぐ側壁22b及び側壁22cを有している。側壁22b及び側壁22cは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁22e及び側壁22fよりも長くなるように形成されている。従って、絞り部22の側壁22b,22c,22e,22fで囲まれた流路断面は扁平形状となるように形成されている。絞り部22と空気混入部23との境界部分には仕切壁22aが設けられていて、側壁22e,22f,22b,22cは仕切壁22aに繋がっている。仕切壁22aには、扁平形状且つスリット状の絞り流路221が形成されている。
【0048】
仕切壁22aを下流側に越えた領域には空気混入部23が設けられている。空気混入部23は、側壁23ea,23ebと側壁23fa,23fbとを繋ぐ側壁23b、側壁23ea,23ebと側壁23fa,23fbとを繋ぐ側壁であって側壁23bと対向し相対的に側壁23bから遠い位置に配置されている側壁23c、側壁23ea,23ebと側壁23fa,23fbを繋ぐ側壁であって側壁23bと対向し相対的に側壁23bに近い位置に配置されている側壁23dを有している。側壁23cは散水部24側に、側壁23dは絞り部22側に、それぞれ配置されており側壁23cと側壁23dとを繋ぐ段差部23gが形成されている。側壁23b,23c,23dは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁23ea,23eb及び側壁23fa,23fbよりも長くなるように形成されている。従って、空気混入部23は流路断面が扁平形状となるように形成されている。
【0049】
側壁23cよりも下流側の領域には散水部24が設けられている。散水部24は、側壁24eと側壁24fとを繋ぐ側壁であって、空気混入部23の側壁23bと同一面を形成する側壁24bを有している。更に散水部24は、側壁24eと側壁24fとを繋ぐ側壁であって、空気混入部23の側壁23cと同一平面を形成する側壁24cを有している。側壁24b,24c,24e,24fは、給水口21dと対向するように位置し流路の末端として機能する奥側の側壁24aに繋がっている。散水部24には、本体2の下面2bから突出する散水突起242が形成されており、散水突起242には散水孔243が形成されている。
【0050】
続いて、シャワー装置F1内部の水の流れについて図5を参照しながら説明する。図5は、図1の(A)のB−B断面を簡略化して示す図であって、シャワー装置F1に水を供給した際の内部の水の状態を示す図である。
【0051】
図5に示すように、給水部21に給水手段(図示しない)から水が所定圧力以上で供給されると、絞り部22に形成された絞り流路221を通って下流側に噴射される。絞り流路221から下流側の空気混入部23及び散水部24に噴射された膜状の水流である膜状水流WFは、空気混入部23の側壁23b,23c,23d,23e,23f及び散水部24の側壁24b,24c,24d,24eと干渉しないように、最も遠くに位置する散水孔243までその噴射水仮想直線BW1が延びるように噴射される。噴射水仮想直線BW1は、絞り部22から噴射される水の噴射方向を延伸させた仮想的な直線である。
【0052】
このように絞り部22から膜状水流が噴射されると、散水部24及び空気混入部23の少なくとも一部に一時的に水が溜まり、その溜まった水と空気との界面である気液界面BW3が形成される。従って、噴射水仮想直線BW1に沿って噴射された膜状水流が気液界面BW3から溜まった水に対して突入し、空気混入部23に存在する空気を巻き込んで気泡混入水BWが生成される。気泡混入水BWは各水流BW2に分かれて各散水孔243から外部に吐出される。空気混入部23には開口231が形成されているので、噴射水仮想直線BW1に沿って噴射された膜状水流が気液界面BW3から溜まった水に対して突入し、空気混入部23に存在する空気を巻き込んでも、空気が常に供給される状態を維持することができる。
【0053】
本実施形態では、絞り部22の絞り流路221を扁平形状且つスリット状に形成し、膜状水流WFを噴射することで微細な気泡を含む気泡混入水BWを生成するものとしている。図6に、膜状水流WFが気液界面BW3に突入する状態を模式的に示す図を示す。
【0054】
図6に示すように、扁平形状且つスリット状の絞り流路221から噴射された水流は、その断面形状が扁平形状を成す膜状水流WFとなって気液界面BW3へと向う。膜状水流WFが気液界面BW3に突入すると、膜状水流WFに沿った領域では膜状水流WFが略平面状に延びる方向であるx方向に沿って、その膜状水流WFが気液界面BW3に突入する方向に沿った対流が並ぶように発生する。
【0055】
このような対流が発生すると、対流の発生方向が膜状水流WFの一方側(図中において膜状水流WFの手前側)では揃うと共に、他方側(図中において膜状水流WFの反対側)で発生する対流とは回転方向が逆になるものの膜状水流WFが突入する気液界面BW3近傍では双方の対流の進行方向が揃うため、近接する対流が互いに衝突するおそれが低減される。膜状水流WFの両端ではその対流に加えて膜状水流WFの両端に向う対流も発生するが、膜状水流WFの両端を除いた領域では、膜状水流WFを挟んで膜状水流WFに向う対流のみが発生するので、全体としてみた場合にも気液界面BW3近傍での対流の衝突が低減される。
【0056】
一方、線状の噴射水を気液界面に突入させた場合について図7を参照しながら説明する。図7は、線状水流WFsが気液界面BW3に突入する状態を模式的に示す図である。
【0057】
図7に示すように、線状水流WFsを気液界面BW3に突入させた場合は、水流が線ではなく点で気液界面BW3に突入するため、線状水流WFsを中心にその突入点を囲むように全方向(図中においてxz平面の全ての方向)から対流が発生する。このように線状水流WFsが突入する突入点を囲み、その突入点に向うように全方向から対流が発生すると、それら対流は互いに衝突する方向に発生することになる。従って、線状水流WFsを気液界面BW3に突入させた場合には、その突入点を囲んで発生する対流が互いに衝突しやすくなり、気泡の衝突が発生し気泡の肥大化を招くおそれがある。
【0058】
これに対して図6に示す本実施形態のように膜状水流WFを発生させると、上述したように膜状水流WFが突入する突入線を挟んで互いに衝突し難い対流が発生する。このように互いに衝突し難い対流が発生すると、気泡の衝突による気泡の肥大化の可能性を低減することができる。気泡混入水中の気泡が微細化され、気泡混入水の流れが衝突し難くなって微細化された気泡が維持されると、絞り流路221から離れた位置に散水孔243が配置されるような場合でも、気泡は浮力の影響を受けずに散水孔243に供給されることになる。従って、全ての散水孔243により安定して気泡混入水を供給することが可能となる。
【0059】
このように略均一な気泡径の気泡を含む気泡混入水BWが散水孔243に供給されると、散水孔243内及び散水孔243から吐出された直後において気泡流又はスラグ流を形成することができる。このように略均一な気泡径の気泡を含み気泡流又はスラグ流として形成される気泡混入水BWが散水孔243から吐出されると、環状流のようにミスト化することなく、吐出方向と略直交する方向にせん断されて略均一に粒化される。従って、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴が連続して使用者に着水し、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができる。
【0060】
このような作用効果を奏するために本発明の第一実施形態に係るシャワー装置F1は、上述したように、水を供給するための給水部21と、給水部21の下流側に設けられ、給水部21よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部22と、絞り部22の下流側に設けられ、絞り部22を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口231が形成されている空気混入部23と、空気混入部23の下流側に設けられ、気泡混入水BWを吐出するための複数の散水孔243が、絞り部22から噴射される水の噴射方向に沿って形成されている散水部24と、を備えている。
【0061】
絞り部22は単一の絞り流路221を有しており、この絞り流路221は複数の散水孔243が配された散水面としての側壁24cに沿った方向が長辺側となるように扁平形状に形成されている。絞り流路221から噴射された水は膜状水流WFとなり、この膜状水流WFが空気混入部23及び散水部24に一時的に貯留される水と空気との気液界面BW3に突入し、開口231から取り入れられる空気を膜状水流WFが巻き込むことで気泡混入水BWが生成されるものであって、この生成された気泡混入水BWが散水孔243から吐出される。
【0062】
また本実施形態に係るシャワー装置F1では、気液界面BW3は、開口231よりも下流側であって散水孔243よりも上流側に形成されている(図5参照)。
【0063】
本実施形態では、絞り流路221から噴射される水は膜状水流WFとして気液界面BW3に突入する。従って、噴射される水によって加わる力を気液界面BW3全体に均一に伝えるように構成することが可能となり、安定して気液界面BW3を散水孔243と開口231との間に位置させることができる。このように安定して気液界面BW3を形成し、その気液界面BW3に絞り流路221から噴射される膜状水流WFを突入させて気泡混入水BWを生成しているので、安定した気液界面BW3において周囲の空気を巻き込むような水の流れを誘発し、気液界面BW3に突入した水流近傍での対流も衝突し難いことから気泡を肥大化させずにその数を増やすことができる。
【0064】
また本実施形態に係るシャワー装置F1では、開口231は、膜状水流WFに対して一方側にのみ設けられているけれども、開口231を、膜状水流WFを挟んで一方側と他方側とに位置するように少なくとも一対設けられていることも好ましい。
【0065】
本実施形態では、絞り流路221から膜状水流WFを噴射するため、上述したような気泡肥大化の抑制効果があるものの膜状水流WFを挟んだ空気の移動が抑制される傾向にある。そこで、膜状水流WFを挟んで一方側と他方側との双方に開口231を設けることで、膜状水流WFの双方に空気をムラ無く供給することができ、円滑な気泡混入水BWの生成に寄与することができる。
【0066】
上述した第一実施形態に係るシャワー装置F1は、本体2を略直方体状に形成し、絞り部22によって噴射される水の方向を同一方向に揃えたものである。本発明の趣旨に鑑みれば実施の形態はこれらに限られるものではなく、絞り流路は、放射状に膜状の水流を噴射するように構成され、複数の散水孔は、膜状の水流が噴射される領域に散在するように配置されるように構成することも可能である。複数の散水孔が配置される領域は、円形領域であったり矩形領域であったり様々な形態の領域と成すことが可能である。続いて説明する本発明の第二実施形態では、本体を略円盤状に形成し、絞り部によって噴射される水の方向を放射状にするものを例にとって説明する。
【0067】
本発明の第二実施形態であるシャワー装置について図8を参照しながら説明する。図8は、本発明の第二実施形態に係るシャワー装置F3を示す図であって、図8の(A)は平面図を示し、図8の(B)は側面図を示し、図8の(C)は下面図を示している。図8の(A)に示されるように、シャワー装置F3は主に略円盤状を成す本体4によって構成されており、シャワー装置F3(本体4)の上面4aには給水口41dが形成されている。
【0068】
図8の(B)に示されるように、シャワー装置F3の本体4は、給水口41dが形成されているキャビティ4Aと、散水孔443が形成されているシャワープレート4Bとによってその外形が構成されている。図8の(C)に示されるように、本体4の下面4bには複数の散水孔443が形成されていると共に、開口431も形成されている。本実施形態の場合、散水孔443は開口431を中心とした放射状に配置されている。
【0069】
続いて、図8の(A)のF−F断面図である図9を参照しながらシャワー装置F3について説明を加える。図9に示されるように、シャワー装置F3は、キャビティ4Aと、シャワープレート4Bと、水噴射コマ4Cとによって構成されている。
【0070】
キャビティ4Aは、シャワープレート4Bと共に本体4の外形を形成する部材であって、本体4の上面4aとは反対側の当接面4Aaから上面4aに向けて円形の凹部4Abが形成されている。
【0071】
キャビティ4Aの中心近傍には、上面4aから凹部4Abに至る貫通穴4Acが形成されている。このように貫通穴4Acを設けることで、給水口41dから絞り部42に至る給水部41が形成されている。
【0072】
シャワープレート4Bは、キャビティ4Aと共に本体4の外形を形成する部材であって、散水孔443が放射状に複数個形成されている。この散水孔443が形成されている領域の下面4bとは反対側の当接面4Baは散水部44の側壁44cとなるように構成されている。
【0073】
シャワープレート4Bの当接面4Baとキャビティ4Aの当接面4Aaとを当接させると、キャビティ4Aの凹部4Abとの間には空隙が形成され、この空隙が空気混入部43及び散水部44となるように構成されている。凹部4Abの一部分は散水部44の側壁44aとなるように構成されている。
【0074】
続いて、水噴射コマ4Cについて図10〜図12を参照しながら説明する。図10は水噴射コマ4C近傍を拡大した斜視断面図である。図11は、水噴射コマ4Cを示す斜視図である。図12は、図11に示す水噴射コマ4Cの中央近傍の断面を示す斜視断面図である。図10〜図12に示されるように、水噴射コマ4Cは、フランジ4Cbをツバとする帽子形状を成しており、その帽子形状の頂部に相当するフランジ4Cbとは反対側の端部に空気導入突起部4Caが形成されている。空気導入突起部4Caとは反対側であってフランジ4Cbの中央近傍には絞り突起部4Cdが形成されている。
【0075】
絞り突起部4Cdは、絞り部42の一部を構成するものであって、キャビティ4Aと対向することで絞り流路421を形成している。従って、絞り流路421は、キャビティ4Aの中央近傍から放射状且つ膜状の水が噴射されるように全周に渡ってスリットを形成している。
【0076】
絞り突起部4Cdの周囲には空気導入孔431aが、絞り突起部4Cdの全周に渡って複数個形成されている。空気導入孔431aは、空気導入突起部4Caに形成されている開口431と連通しており、絞り流路421に対して空気を供給するものである。
【0077】
シャワープレート4Bにおいては、本体4の下面4bとは反対側の当接面4Baから下面4bに向けて円形の凹部4Bcが形成されている。凹部4Bcは、放射状に設けられた散水孔443の内側に位置するように、シャワープレート4Bの中央に設けられている。凹部4Bcの底面から下面4bに至るように貫通穴4Bbが形成されている。凹部4Bcには、水噴射コマ4Cが収められている。
【0078】
水噴射コマ4Cの空気導入突起部4Caは、貫通穴4Bbから外部に突出するように配置されている。従って、空気導入突起部4Caに形成されている開口431は、外気を取り込むことが可能なように構成されている。
【0079】
上述したようにキャビティ4Aと、シャワープレート4Bと、水噴射コマ4Cとを組み上げることで、シャワー装置F3は、給水部41と、絞り部42と、空気混入部43と、散水部44とを備えるように構成される。
【0080】
給水部41は、水を供給するための部分であって、給水口41dから導入した水を絞り部42へと供給する部分である。給水口41dには図示しない給水手段(給水ホース等)が接続可能であって、その給水手段から供給される水が給水部41から絞り部42へと供給される。
【0081】
絞り部42は、給水部41の下流側に設けられており、給水部41よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部42には、単一の絞り流路421が形成されている。
【0082】
空気混入部43は、絞り部42の下流側に設けられており、絞り部42を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口431が形成されている部分である。
【0083】
散水部44は、空気混入部43の下流側に設けられており、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔443が形成されている部分である。
【0084】
このシャワー装置F3では、給水部41から水を供給すると、絞り部42の絞り流路421から膜状水流WFcが噴射される。この膜状水流WFcの噴射状態を図13に示す。図13は、シャワー装置F3を給水部41側から見た場合の膜状水流WFcの噴射状態を模式的に示す図である。図13に示すように、膜状水流WFcは全周に渡って噴射される。
【0085】
このように膜状水流WFcを噴射することで、第一実施形態に係るシャワー装置F1と同様に、膜状水流WFcが突入する突入線を挟んで互いに衝突し難い対流が発生する。このように互いに衝突し難い対流が発生すると、気泡の衝突による気泡の肥大化の可能性を低減することができる。気泡混入水中の気泡が微細化され、気泡混入水の流れが衝突し難くなって微細化された気泡が維持されると、絞り流路421から離れた位置に散水孔443が配置されるような場合でも、気泡は浮力の影響を受けずに散水孔443に供給されることになる。従って、全ての散水孔443により安定して気泡混入水を供給することが可能となる。
【0086】
このように略均一な気泡径の気泡を含む気泡混入水が散水孔443に供給されると、散水孔443内及び散水孔443から吐出された直後において気泡流又はスラグ流を形成することができる。このように略均一な気泡径の気泡を含み気泡流又はスラグ流として形成される気泡混入水が散水孔443から吐出されると、環状流のようにミスト化することなく、吐出方向と略直交する方向にせん断されて略均一に粒化される。従って、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴が連続して使用者に着水し、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができる。
【0087】
本実施形態では、絞り流路421を全周に渡る単一のスリットとして構成したけれども、絞り流路を複数並設した状態とすることも好ましいものである。このように絞り流路を複数並設した変形例を図14〜図16を参照しながら説明する。図14は、変形例に係る水噴射コマ5Cを示す斜視図である。図15は、図14に示す水噴射コマ5Cの中央近傍における断面を示す断面斜視図である。図16は、図14及び図15に示す水噴射コマ5Cをシャワー装置F2における水噴射コマ4Cに代えて組み込んだ場合の膜状水流の噴射状態を示す図である。
【0088】
図14及び図15に示すように、水噴射コマ5Cは、フランジ5Cbをツバとする帽子形状を成しており、その帽子形状の頂部に相当するフランジ5Cbとは反対側の端部に空気導入突起部5Caが形成されている。空気導入突起部5Caとは反対側であってフランジ5Cbの中央近傍には絞り突起部5Cdが形成されている。
【0089】
絞り突起部5Cdは、絞り部42の一部を構成するものであって、キャビティ4Aと対向することで絞り流路を形成するものである。絞り突起部5Cdには、4つの仕切突起5Cdaが設けられている。4つの仕切突起5Cdaは互いに等間隔を保つように配置されており、キャビティ4Aと当接することで、絞り流路を4つに仕切る役割を果たすものである。従って、水噴射コマ5Cを用いた場合の絞り流路は、キャビティ4Aの中央近傍から放射状且つ膜状の水が扇状に噴射されるように分割されたスリットを形成する(図16参照)。
【0090】
絞り突起部5Cdの周囲には空気導入孔531aが、絞り突起部5Cdの全周に渡って複数個形成されている。空気導入孔531aは、空気導入突起部5Caに形成されている開口と連通しており、絞り流路に対して空気を供給するものである。
【0091】
このように水噴射コマ5Cを用いると、絞り流路は、散水面に沿った方向に複数並設され、これら複数並設された絞り流路は互いに所定間隔を保つように配置され、それぞれの絞り流路から噴射される膜状水流WFpの間から空気が往来可能なように構成される。
【0092】
本実施形態では、絞り流路から膜状の水流を噴射するため、上述したような気泡肥大化の抑制効果があるものの水流を挟んだ空気の移動が抑制される。そこでこの変形例では、扁平形状の絞り流路を複数並設すると共に、それら相互の間隔を所定間隔に保つように配置するので、膜状水流WFpの間に空気が往来可能な隙間ができる。従って、膜状水流WFpの一方側と他方側との間で空気を行き来させることができ、膜状水流WFpの双方に空気をムラ無く供給することができるため、円滑な気泡混入水の生成に寄与することができる。
【0093】
従ってこの変形例では、膜状水流WFpの一方側と他方側との間で空気を行き来させることができるため、開口に連通する空気導入孔531aを膜状水流WFpの一方側にのみ設けたとしても、膜状水流WFpの双方に空気をムラ無く供給することができる。従って、開口に連通する空気導入孔531aを膜状水流WFpに対する一方側にのみ設けた簡単な構造で、円滑な気泡混入水の生成に寄与することができる。
【0094】
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、複数の散水孔443は円形の領域に散在するように配置されており、絞り流路は、この円形の領域の中央近傍から放射状に膜状の水流を噴射し、この噴射した膜状水流WFpは扇形状を成すように構成されている。
【0095】
このように、散水孔443が散在する円形の領域に対して、その領域の中央近傍から放射状に膜状水流WFpを噴射するように絞り流路を構成しているので、散水孔443が配置された円形の領域にムラ無く膜状水流WFpを噴射でき、その円形の領域にムラ無く気泡混入水を供給することができる。また、膜状水流WFpは扇形状を成すように構成されているので、膜状水流WFpの流れが安定し、微細な気泡が混入された気泡混入水を供給することができる。
【0096】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0097】
F1:シャワー装置
2:本体
2a:上面
2b:下面
21:給水部
21a:前壁面
21b:側壁
21c:側壁
21d:給水口
21e:側壁
21f:側壁
22:絞り部
22a:仕切壁
22b:側壁
22c:側壁
22e:側壁
22f:側壁
221:絞り流路
23:空気混入部
23b:側壁
23c:側壁
23d:側壁
23ea:側壁
23eb:側壁
23fa:側壁
23fb:側壁
23g:段差部
231:開口
24:散水部
24a:側壁
24b:側壁
24c:側壁
24e:側壁
24f:側壁
242:散水突起
243:散水孔
BW:気泡混入水
BW1:噴射水仮想直線
BW2:水流
BW3:気液界面
WF:膜状水流
WFs:線状水流
F3:シャワー装置
4:本体
4A:キャビティ
4Aa:当接面
4Ab:凹部
4Ac:貫通穴
4B:シャワープレート
4Ba:当接面
4Bb:貫通穴
4Bc:凹部
4C:水噴射コマ
4Ca:空気導入突起部
4Cb:フランジ
4Cd:絞り突起部
4a:上面
4b:下面
41:給水部
41d:給水口
42:絞り部
421:絞り流路
43:空気混入部
43b:側壁
43c:側壁
431:開口
431a:空気導入孔
44:散水部
44a:側壁
44b:側壁
44c:側壁
443:散水孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を混入させた気泡混入水を吐出するシャワー装置であって、
水を供給するための給水部と、
前記給水部の下流側に設けられ、前記給水部よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部と、
前記絞り部の下流側に設けられ、前記絞り部を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口が形成されている空気混入部と、
前記空気混入部の下流側に設けられ、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔が、前記絞り部から噴射される水の噴射方向に沿って形成されている散水部と、を備え、
前記絞り部は少なくとも一つの絞り流路を有しており、この絞り流路は前記複数の散水孔が配された散水面に沿った方向が長辺側となるように扁平形状に形成され、
前記絞り流路から噴射された水が膜状の水流となって、この膜状の水流が前記空気混入部及び前記散水部に一時的に貯留される水と空気との気液界面に突入し、前記開口から取り入れられる空気を膜状の水流が巻き込むことで気泡混入水が生成されるものであって、この生成された気泡混入水が前記散水孔から吐出されることを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
前記気液界面は、前記開口よりも下流側であって前記散水孔よりも上流側に形成されることを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項3】
前記開口は、前記膜状の水流を挟んで一方側と他方側とに位置するように少なくとも一対設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項4】
前記絞り流路は、前記散水面に沿った方向に複数並設されており、
これら複数並設された前記絞り流路は互いに所定間隔を保つように配置され、それぞれの前記絞り流路から噴射される膜状の水流の間から空気が往来可能なように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項5】
前記開口は、前記膜状の水流に対して一方側にのみ設けられていることを特徴とする請求項4に記載のシャワー装置。
【請求項6】
前記絞り流路は、放射状に膜状の水流を噴射するように構成され、
前記複数の散水孔は、膜状の水流が噴射される領域に散在するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項7】
前記絞り流路が噴射する放射状且つ膜状の水流は、それぞれが扇形状を成すように分離されて噴射されることを特徴とする請求項6に記載のシャワー装置。
【請求項1】
空気を混入させた気泡混入水を吐出するシャワー装置であって、
水を供給するための給水部と、
前記給水部の下流側に設けられ、前記給水部よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部と、
前記絞り部の下流側に設けられ、前記絞り部を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口が形成されている空気混入部と、
前記空気混入部の下流側に設けられ、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔が、前記絞り部から噴射される水の噴射方向に沿って形成されている散水部と、を備え、
前記絞り部は少なくとも一つの絞り流路を有しており、この絞り流路は前記複数の散水孔が配された散水面に沿った方向が長辺側となるように扁平形状に形成され、
前記絞り流路から噴射された水が膜状の水流となって、この膜状の水流が前記空気混入部及び前記散水部に一時的に貯留される水と空気との気液界面に突入し、前記開口から取り入れられる空気を膜状の水流が巻き込むことで気泡混入水が生成されるものであって、この生成された気泡混入水が前記散水孔から吐出されることを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
前記気液界面は、前記開口よりも下流側であって前記散水孔よりも上流側に形成されることを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項3】
前記開口は、前記膜状の水流を挟んで一方側と他方側とに位置するように少なくとも一対設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項4】
前記絞り流路は、前記散水面に沿った方向に複数並設されており、
これら複数並設された前記絞り流路は互いに所定間隔を保つように配置され、それぞれの前記絞り流路から噴射される膜状の水流の間から空気が往来可能なように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項5】
前記開口は、前記膜状の水流に対して一方側にのみ設けられていることを特徴とする請求項4に記載のシャワー装置。
【請求項6】
前記絞り流路は、放射状に膜状の水流を噴射するように構成され、
前記複数の散水孔は、膜状の水流が噴射される領域に散在するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項7】
前記絞り流路が噴射する放射状且つ膜状の水流は、それぞれが扇形状を成すように分離されて噴射されることを特徴とする請求項6に記載のシャワー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−167640(P2011−167640A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33980(P2010−33980)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]