説明

シュリンクフィルム接合部の位置検査方法

【課題】本発明は、紙パック容器などに装着されたシュリンクフィルムの包装状態の良否を自動で検査する方法を提供するものである。
【解決手段】紙パック容器の包装用に装着されたシュリンクフィルム接合部の位置検査方法であって、前記紙パック容器の上方より撮像して得られた画像情報を取得し、前記画像情報に含まれる、前記紙パック容器のセンターシール接合部とエンドシール接合部の二箇所のシュリンクフィルム接合部の内、前記エンドシール接合部のデーターの位置を検出することで、シュリンクフィルム包装状態の良否を判定することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に装着したシュリンクフィルムのシール位置を検査する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、酒等の飲料が充填された紙パック容器には、シュリンクフィルムで包装されることがある。シュリンクフィルムは、中の容器を汚れから保護する機能と同時に、商品のバージン性を証明する機能も持っている。
【0003】
一般的に、シュリンクフィルムで紙パック等の容器を包装する際は、帯状のシュリンクフィルムを容器に対してその上方から被せ、そのシュリンクフィルムの両側部を下方に垂らし、その両側部を静電気等を利用して接合することにより袋状にする。その後、その袋状のシュリンクフィルムを加熱して収縮させることによってシュリンクフィルムを容器に密着させる。
【0004】
シュリンクフィルムが正常に装着されたかどうかを判断する基準の一つに、シュリンクフィルム接合部の位置に関する制約が設けられることがある。つまり、紙パック容器を前面から見たときに、接合部が見えてはならないという検査項目が課せられる場合がある。これは、紙パック容器の前面部は、製品の顔とでも言うべき部分であって、シュリンクフィルム接合部が紙パック容器の前面から見えると、製品の外観を損ねてしまうことに起因している。
【0005】
シュリンクフィルム接合部には、本出願人らがセンターシールとエンドシールと呼んでいる部分がある。図1(a)に示すように、パックを立てた状態にしたときに、縦方向の接合部をセンターシール、横方向の接合部をエンドシールと呼んでいる。なお、図1(a)は、紙パックを後方から見たときの図であり、図1(b)は、紙パックを前方から見たときの図である(注ぎ口がある方が前)。
【0006】
シュリンクフィルムの包装工程上、センターシールが前側から見えてしまうようなことは起こらないが、図1(c)のように、エンドシールが前方から見えてしまうことはしばしば起こる。
【0007】
特許文献1には、紙パック容器などに装着されたシュリンクフィルムの穴や破れの検査方法および検査装置が記載されているが、シュリンクフィルム接合部の位置を検査する技術はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−177742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、エンドシールが前方から見えていないかどうかを自動で検査する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、紙パック容器の包装用に装着されたシュリンクフィルム接合部の位置検査方
法であって、前記紙パック容器の上方より撮像して得られた画像情報を取得し、前記画像情報に含まれる、前記紙パック容器のセンターシール接合部とエンドシール接合部の二箇所のシュリンクフィルム接合部の内、前記エンドシール接合部のデータの位置を検出することで、シュリンクフィルム包装状態の良否を判定することを特徴とするものである。
【0011】
本発明は、前記紙パック容器の上方より撮像して得られた画像からプロファイル情報を取得し、前記プロファイル情報に含まれるデータの極値に基づいてシュリンクフィルム接合部の位置の良否を自動で判定している、すなわち、本発明では、二箇所のシュリンクフィルム接合部の内、前記エンドシール接合部を、前記紙パック容器を正面より見たときに発見できない場合には、良い包装状態と判定するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、前記紙パック容器の二箇所のシュリンクフィルム接合部の内、前記エンドシール接合部の位置を自動で判定することによって、シュリンクフィルム包装状態の良否を判定できる効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】シュリンクフィルムが包装された紙パックの例を示す図である。
【図2】本発明の検査方法を行うための装置構成を示す図である。
【図3】本発明の検査方法を説明する図である
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2は、本発明の検査方法を実施する装置の概要図である。シュリンク装置1でシュリンク包装された紙パック2は、注ぎ口がある前面が上向きの状態で搬送手段5により搬送される。そして、紙パック2が、照明3により照射されている指定の位置まで搬送されたタイミングで図示しないセンサがカメラ4に撮像開始信号を送る。カメラ4は、撮像開始信号を受けて紙パック2の撮像を行い、取得した画像信号を画像入力手段6に転送する。
【0015】
画像入力手段6は、ハードディスク7、キーボード・マウス8、CPU9、メモリ10、モニタ11とともに、バス12に接続されている。
【0016】
図3(a)は、カメラ4が取得した、シュリンクフィルムが正常に装着された紙パック2の画像であり、図3(b)は、エンドシールが前方から見えてしまう紙パック2の画像である。
【0017】
そして、図3(a´)は、図3(a)内に示した矢印方向のプロファイル、図3(b´)は、図3(b)内に示した矢印方向のプロファイルである。図3(b´)のプロファイルには、エンドシール起因のピークが存在することがわかる。
【0018】
したがって、このピークの有無を判別することができれば、エンドシールが紙パック2の前方から見えてしまうかどうかを判定できる。
【0019】
以下、エンドシール起因のピークの有無の判別方法について説明する。まず、目印となるピーク(データ上の山部)またはバレー(データ上の谷部)をデータ図より検出し、そのピークまたはバレー位置を基準にして、その有無でエンドシール起因のピークの捜索範囲を設定する。
【0020】
ここで、目印となるピークまたはバレーとは、紙パック2の絵柄や形状に起因するものであって、エンドシールの位置に依存するものではなく、品種に依存するものである。たとえば、図3の場合は、注ぎ口キャップのあけ方などの説明文が記載されている黒線の枠
に起因するバレーが必ず検出されるはずなので、このようなわかりやすいものを基準にすればよい。
【0021】
エンドシール起因のピークの捜索範囲を設定できたら、あとはこの捜索範囲内でピークを検出すればよく、見つかった場合はエンドシールが前面から見えるとして、不良扱いとする。
【0022】
なお、図3(b)では、エンドシール部は背景よりも明るくなっているが、照明3のあてかたによってはエンドシール部が背景よりも暗くなる場合も想定できる。したがって、エンドシール起因のピークの捜索範囲内で、ピークを見つけるのか、バレーを見つけるのかをソフトウェア上で条件設定できるようにしておくことが好ましい。
【0023】
また、紙パック2の色が明るい色である場合には、エンドシールが暗く撮像されるように、紙パック2の色が暗い色である場合には、エンドシールが明るく撮像されるように、照明3の角度を適宜調整できるようにしておくことが好ましい。
【0024】
以上のように、本発明の検査方法によれば、シュリンクフィルム接合部の位置を自動で良否判定することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 シュリンク装置
2 紙パック
3 照明
4 カメラ
5 搬送手段
6 画像入力手段
7 ハードディスク(HDD)
8 キーボード・マウス
9 CPU
10 メモリ
11 モニタ
12 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙パック容器の包装用に装着されたシュリンクフィルム接合部の位置検査方法であって、前記紙パック容器の上方より撮像して得られた画像情報を取得し、
前記画像情報に含まれる、前記紙パック容器のセンターシール接合部とエンドシール接合部の二箇所のシュリンクフィルム接合部の内、前記エンドシール接合部のデーターの位置を検出することで、シュリンクフィルム包装状態の良否を判定することを特徴とするシュリンクフィルム接合部の位置検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−184999(P2012−184999A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47506(P2011−47506)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】