説明

シュリンクラベル付き容器及びくびれ部付き容器用シュリンクラベル

【課題】容器のくびれ部とシュリンクラベルとの間にエア溜まりが発生することを防止しつつ、熱収縮後において良好な手触り感を確保する。
【解決手段】くびれ部5を有する容器1に、主として周方向に熱収縮する筒状のシュリンクラベル10が少なくとも前記くびれ部5を覆うように装着されているシュリンクラベル付き容器であって、前記くびれ部5を覆うシュリンクラベル10の部分に少なくとも一つの小孔15が形成され、該小孔15は円形状あるいは周方向に長い楕円形状であり、該小孔15の開口縁部には、その上端部と下端部のうち何れか一方に小突片が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、くびれ部を覆うようにシュリンクラベルが装着されたシュリンクラベル付き容器とそれに使用されるシュリンクラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のシュリンクラベル付き容器としては、例えば上下方向の中央部に他の部分よりも小径のくびれ部を有する容器に、そのくびれ部を覆うようにして筒状のシュリンクラベルが装着されたものが存在する。
【0003】
しかしながら、熱収縮後のシュリンクラベルと容器のくびれ部との間にエア溜まりが起こることがあり、そのエア溜まりによって熱収縮が不完全となって仕上がりが悪化したり、また、シュリンクラベルが正規の箇所に装着されないで例えば下方に位置ずれして装着不良が生じたりするということがあった。
【0004】
一方、シュリンクラベルに小孔を形成しておいて熱収縮時にその小孔から脱気させることも知られている(下記特許文献1参照)。このような小孔は、ローラの外周面に周方向に間隔を開けて突設した円錐状の針で形成されるが、針を加熱すると装置が大型複雑化したりシュリンクラベルに熱の影響が及んだりすることから、一般には針を加熱することなくシュリンクラベルを突き刺すようにして形成される。そこで、上記くびれ部付きの容器に装着するシュリンクラベルに、この円錐状の針を用いて小孔の形成を試みた。
【特許文献1】特開平7−125765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、円錐状の針で小孔を形成したシュリンクラベルを熱収縮させると、その小孔の開口縁部が部分的に厚み方向に大きく波打つことがあった。具体的には、小孔の開口縁部のうち最も上側に位置する上端部と最も下側に位置する下端部とにおいては波打ちがなく比較的スムーズな形状である一方、小孔の開口縁部のうち最も左側に位置する左端部と最も右側に位置する右端部とにおいては波打ちが生じた。このように開口縁部の左端部と右端部で波打ちが生じると、容器を指先で把持した際に小孔の開口縁部に指先が引っかかりやすく、容器を持ったときに違和感が生じて商品価値が低下する。
【0006】
特に、くびれ部を覆う部分は他の部分よりも収縮率が大きいためその波打ち現象の程度も大きくなるうえに、くびれ部は指先で把持されて触れられる部分でもある。そして、くびれ部は周方向に延びているので、くびれ部を指先で把持した際には、上下方向よりもむしろ周方向に指先を滑らせることが多く、このことからもくびれ部を覆うシュリンクラベルの部分に形成された小孔の開口縁部においてその左右端部に波打ち現象が生じると、容器を持った時の手触り感が悪化するのである。
【0007】
そこで本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、容器のくびれ部とシュリンクラベルとの間にエア溜まりが発生することを防止しつつ、熱収縮後において良好な手触り感が得られるシュリンクラベル付き容器及びくびれ部付き容器用シュリンクラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係るシュリンクラベル付き容器は、くびれ部を有する容器に、主として周方向に熱収縮する筒状のシュリンクラベルが少なくとも前記くびれ部を覆うように装着されているシュリンクラベル付き容器であって、前記くびれ部を覆うシュリンクラベルの部分に少なくとも一つの小孔が形成され、該小孔は円形状あるいは周方向に長い楕円形状であり、該小孔の開口縁部には、その上端部と下端部のうち何れか一方に小突片が形成されていることを特徴とする。
【0009】
該構成のシュリンクラベル付き容器にあっては、くびれ部を覆うシュリンクラベルの部分に少なくとも一つの小孔が形成されているので、熱収縮時にシュリンクラベルと容器との間の空気がこの小孔から外部に排出されてシュリンクラベルはくびれ部において良好に熱収縮する。また、この小孔は円形状あるいは周方向に長い楕円形状であって、該小孔の開口縁部の上端部と下端部のうち何れか一方には小突片が形成されているので、小孔の開口縁部の左端部と右端部において波打ちが起こりにくい。小孔のこのような形状が左右両端部における波打ちを抑制できる理由は明らかではないが、開口縁部の上端部あるいは下端部における小突片の存在によって、開口縁部の左右両端部における熱収縮がスムーズに行われるものと考えられる。なお、小突片は開口縁部の上端部あるいは下端部に存在しているので、周方向に指先を滑らせた場合に開口縁部の左右両端部よりも違和感が生じにくい。
【0010】
特に、シュリンクラベルには小孔が上下方向に沿って一定間隔毎に連続して形成され、該小孔の間隔をPとし、くびれ部の上下幅をLとしたとき、L/2<P<Lの関係式を満たすように小孔の間隔が設定されていることが好ましい。
【0011】
くびれ部を覆うシュリンクラベルの部分にのみ小孔を形成してもよいが、シュリンクラベルの上端から下端まで連続的に小孔を形成すると小孔の形成工程が簡素化できる利点がある。そして、小孔の間隔をくびれ部の上下幅に対して所定の値に設定する、即ち、小孔の間隔をPとし、くびれ部の上下幅をLとしたとき、L/2<P<Lの関係式を満たすように小孔の間隔を設定することによって、くびれ部を覆うシュリンクラベルの部分に小孔が一つあるいは二つ形成される。この場合、例えば一般的な開封用ミシン目の場合よりも小孔の間隔が広くなり、くびれ部を覆うシュリンクラベルの部分には小孔が一つあるいは二つしか存在しないから、一般的な開封用ミシン目のように短い間隔で多数の小孔を形成した場合に比して良好な美観が得られると共に、小孔の形成に伴う手触り感の悪化を最小限に抑制することができる。
【0012】
また本発明に係るくびれ部付き容器用シュリンクラベルは、主として周方向に熱収縮することによって、くびれ部を有する容器に該くびれ部を覆うように装着される筒状のシュリンクラベルであって、前記くびれ部に対応した部分には切り込みが少なくとも一つ形成されており、該切り込みは、熱収縮前の状態において、シュリンクラベルの軸線方向に延びる直線部と、該直線部の一端部から斜め前方に二股に分岐して延びる二股傾斜部とから全体としてY字状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
該構成のくびれ部付き容器用シュリンクラベルにあっては、全体としてY字状の切り込みがくびれ部に対応した部分に形成されていて、該切り込みの直線部がシュリンクラベルの軸線方向に延びているので、シュリンクラベルが主として周方向に熱収縮すると、切り込みの両側の部分が互いに左右に離間して円形状あるいは周方向に長い楕円形状の小孔が形成される。また、二股傾斜部で囲まれた三角形状の部分が熱収縮後に小突片となって小孔の開口縁部の上端部あるいは下端部の一方に形成される。尚、シュリンクラベルの軸線方向を上下方向とする。そして、熱収縮時にくびれ部とシュリンクラベルとの間の空気は、この小孔から外部に排出される。また、切り込みがY字状であるので、直線部のみの切り込みの場合よりも左右に容易に開口して空気がスムーズに排出され、また、小孔の開口縁部における左右両端部において波打ちが生じにくくなる。これは、切り込みが直線状ではなくY字状であって二股傾斜部間に三角形状の部分が存在することが影響しているものと考えられる。
【0014】
特に、切り込みがシュリンクラベルの軸線方向に沿って一定間隔毎に連続して形成され、該切り込みの間隔をPとし、くびれ部に対応した部分におけるシュリンクラベルの軸線方向の長さをLとしたとき、L/2<P<Lの関係式を満たすように切り込みの間隔が設定されていることが好ましい。
【0015】
シュリンクラベルの上端から下端(軸線方向の一端から他端)まで連続的に切り込みを形成することにより切り込みの形成工程が簡素化できるという利点がある。そして、切り込みの間隔をくびれ部の上下幅に対して所定の値に設定する、即ち、切り込みの間隔をPとし、くびれ部に対応した部分におけるシュリンクラベルの軸線方向の長さをLとしたとき、L/2<P<Lの関係式を満たすように切り込みの間隔を設定することによって、熱収縮後に、くびれ部を覆うシュリンクラベルの部分に小孔が一つあるいは二つ形成される。この場合、例えば一般的な開封用ミシン目の場合よりも小孔の間隔が広くなり、くびれ部を覆うシュリンクラベルの部分には小孔が一つあるいは二つしか存在しないから、一般的な開封用ミシン目のように短い間隔で多数の小孔を形成した場合に比して良好な美観が得られると共に、小孔の形成に伴う手触り感の悪化を最小限に抑制することができる。
【0016】
また二股傾斜部の長さが0.03mm〜0.12mmであることが好ましい。二股傾斜部の長さが短くなると、熱収縮後におけるシュリンクラベルの触感(手触り感)は良くなる一方空気抜きの程度は悪化してくる。逆に、二股傾斜部の長さが長くなると、空気抜きの程度は良くなる一方熱収縮後の触感は悪化してくる。また、二股傾斜部の長さが短くなり過ぎても逆に長くなり過ぎても、熱収縮後のシュリンクラベルの見栄え(外観体裁)は悪化する。そして、二股傾斜部の長さが0.03mmよりも短いと、熱収縮後におけるシュリンクラベルの触感は良好であるものの空気抜きの程度と見栄えの点で評価が悪くなるので、総合評価として好ましくない。逆に、二股傾斜部の長さが0.12mmを超えると、空気抜きの程度は良好であるものの熱収縮後の触感と見栄えの点で評価が悪くなるので、総合評価として好ましくない。従って、二股傾斜部の長さを0.03mm〜0.12mmとすると、空気抜きの程度、熱収縮後の触感、見栄えの三つの観点の総合評価が良好なものとなる。
【0017】
更に、切り込みの全体の長さが0.25mm〜0.9mmであることが好ましい。切り込みの全体の長さが短くなると、熱収縮後におけるシュリンクラベルの触感は良くなる一方空気抜きの程度は悪化してくる。逆に、切り込みの全体の長さが長くなると、空気抜きの程度は良くなる一方熱収縮後の触感は悪化してくる。また、切り込みの全体の長さが短くなり過ぎても逆に長くなり過ぎても、熱収縮後のシュリンクラベルの見栄えは悪化する。そして、切り込みの全体の長さが0.25mmよりも短いと、熱収縮後におけるシュリンクラベルの触感は良好であるものの空気抜きの程度と見栄えの点で評価が悪くなるので、総合評価として好ましくない。逆に、切り込みの全体の長さが0.9mmを超えると、空気抜きの程度は良好であるものの熱収縮後の触感と見栄えの点で評価が悪くなるので、総合評価として好ましくない。従って、切り込みの全体の長さを0.25mm〜0.9mmとすると、空気抜きの程度、熱収縮後の触感、見栄えの三つの観点の総合評価が良好なものとなる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、くびれ部を覆うシュリンクラベルの部分に少なくとも一つ小孔が形成されていることから、くびれ部とシュリンクラベルとの間にエア溜まりが生じにくくなり、所定の熱収縮が得られると同時に所定位置に確実にシュリンクラベルが装着されて良好な仕上がりが得られる。また、小孔が円形状あるいは周方向に長い楕円形状であってその小孔の開口縁部の上端部あるいは下端部に小突片が形成された形状であるので、指先の引っかかりが特に問題となりやすい箇所である小孔の開口縁部の左右両端部において、波打ち等が起こりにくくなり、滑らかな感触が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態にかかるシュリンクラベル付き容器とそれに使用されるシュリンクラベルについて図面を参酌しつつ説明する。図1に示している本実施形態に係るシュリンクラベル付き容器は、上下方向をその軸線方向とする有底筒状、具体的には円筒状の容器1と、該容器1に装着された筒状のシュリンクラベル10とを備えている。
【0020】
前記容器1は、例えば、内部に液体や粉状体等を収納するように、上方開口の容器本体2と、該容器本体2の開口部を閉塞する蓋体3とを備えている。尚、図1において、破線4が蓋体3の下端部、即ち容器本体2と蓋体3との容器1の胴部外周面における境界部分を示している。
【0021】
容器本体2は、上下方向の中途部(例えば中央付近)に他の部分よりも小径となったくびれ部5を有しており、該くびれ部5に指が入り込むあるいは引っかかることで容器1を容易且つ確実に把持できるようになっている。従って、くびれ部5の上下幅Lは指が引っかかる程度の幅が好ましく、更には、少なくとも指一本が入り込む程度の幅が好ましく、例えば、10〜30mm程度のものが好ましい。また、くびれ部5の深さは任意であるが、例えばくびれ部5よりも上側の部分や下側の部分の直径に対して80%程度である。
【0022】
また、蓋体3は、例えば容器本体2の上部外周面に形成された図示しない雄ネジに着脱可能に螺着する構成となっていて、容器本体2の開口部をリキャップ可能に閉塞する。
【0023】
かかる容器1に装着されたシュリンクラベル10は、熱収縮により容器1の胴部外周面に密着しており、容器本体2の胴部外周面全体、即ち容器本体2の下端部2bから上端部2aまで覆っており、従って、容器本体2のくびれ部5もシュリンクラベル10によって覆われている。このシュリンクラベル10は主として周方向に熱収縮する、いわゆる一軸延伸のもの(例えば周方向に2〜6倍程度、上下方向に1〜1.5倍程度延伸されたもの)であって、90℃の温水に10秒間浸漬したときに周方向の収縮率が30〜80%、上下方向の収縮率が−5〜15%のものである。具体的には、スチレンブタジエン共重合体等のポリスチレン系、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体等のポリエステル系、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、環状ポリオレフィン系等の樹脂からなる単層や複層の厚さ20〜60μm程度のシュリンクフィルムから形成されている。
【0024】
更にシュリンクラベル10は容器本体2の上端部2aを上方に超えて蓋体3の下部所定領域まで覆っている。即ち、シュリンクラベル10の下端部10bは容器本体2の下端部2bに位置する一方、シュリンクラベル10の上端部10aは蓋体3の上下方向の中央付近に位置する。このように、シュリンクラベル10が容器本体2と蓋体3の境界部分4を覆うように装着されていることにより、例えば店頭において蓋体3がいたずらにより外されるということが防止され、いわゆる不正開封防止機能が発揮されることとなる。
【0025】
そのため、シュリンクラベル10の上部所定位置には、開封用のミシン目が形成されている。具体的には、容器本体2と蓋体3の境界部分4よりも僅かに下方の位置に全周に亘って形成された周方向に延びる横ミシン目11と、該横ミシン目11の所定位置からシュリンクラベル10の上端部10aまで上下方向に延びる左右一対の縦ミシン目12とが、開封用のミシン目として形成されている。そして、一対の縦ミシン目12間の縦帯部分13を縦ミシン目12に沿って下方に切離すると共に、横ミシン目11よりも上方の横帯部分14を横ミシン目11に沿って切離すると、容器本体2と蓋体3との境界部分4が露出開放するので、蓋体3を容器本体2から外すことが可能になる。
【0026】
また、このシュリンクラベル10には、その上端部10aから下端部10bにかけて一定間隔P毎に小孔15が連続的に形成されている。該小孔15は、くびれ部5を覆うシュリンクラベル10の部分に少なくとも一つ形成され、美観及び手触り感からすれば小孔15の数は少ない程好ましいため、くびれ部5を覆うシュリンクラベル10の部分に一つあるいは二つ形成されることが好ましい。このようにくびれ部5を覆うシュリンクラベル10の部分に小孔15が一つあるいは二つ形成されるように、くびれ部5の上下幅Lに対する小孔15の間隔Pが決められている。即ち、L/2<P<Lという関係式を満たすように、小孔15の間隔Pが設定される。一例としては、くびれ部5の上下幅Lが15mmの場合に小孔15の間隔を10mm程度とする。尚、くびれ部5を覆うシュリンクラベル10の部分に小孔15を一つ形成する場合には、くびれ部5を覆うシュリンクラベル10の部分において上下方向の何れの箇所に小孔15が位置してもよいが、収縮率の大きい箇所である中央付近に位置することが好ましい。
【0027】
かかる小孔15は、熱収縮前のシュリンクラベル10に形成されている所定形状の切り込みがシュリンクラベル10の熱収縮で開口することによって形成されたものである。その切り込みは図2に示すような円盤状の切り込み形成ブレード20を使用して連続的に形成される。該切り込み形成ブレード20は、中央に貫通孔21を有する円盤状の基部22の外周面に、径方向外側に突出するように多数の刃部23が形成されたものである。該刃部23は一定角度毎に突設されており、図2の場合には合計10個形成されている。該切り込み形成ブレード20は、図3(イ)及び(ロ)に示すように、その基部22の外側部分から刃部23の先端にかけて徐々に厚みがテーパ状に薄くなった形状をしている。また、基部22の厚さは0.8〜1.4mm程度であり、刃部23の周方向の幅は0.2〜0.9mm程度である。
【0028】
そして、図示省略するが、かかる切り込み形成ブレード20をその刃部23が径方向に突出するように組み込まれたカッターローラと、その刃部23が入り込む周溝が外周面に形成された受けローラとの間に、筒状とされる前の帯状シュリンクフィルムを送り込むことによって、該帯状シュリンクフィルムに一定間隔毎に切り込みを形成していく。尚、この切り込みの形成間隔は熱収縮後における小孔15の間隔Pを考慮して決定される。その後、帯状シュリンクフィルムを筒状にし、筒状となった長尺状のシュリンクフィルムを巻き取ってロール状にして保管、輸送等する。そして、そのロール状に巻回された長尺状の筒状のシュリンクフィルムを繰り出しながら順次所定の長さに切断することで、個々の筒状のシュリンクラベルを形成する。尚、熱収縮後に上述したような関係式(L/2<P<L)を満たすように切り込みの形成間隔を設定することにより、帯状シュリンクフィルムの送り精度がラフなものであっても、くびれ部5に対応した箇所に確実に切り込みを一つあるいは二つ形成することができる。即ち、切り込みの間隔をPとし、くびれ部5に対応した部分の上下幅(くびれ部5に対応した部分におけるシュリンクラベルの軸線方向の長さ)をLとしたとき、L/2<P<Lの関係式を満たすように切り込みの間隔を設定する。
【0029】
このような切り込み形成ブレード20を使用して形成された切り込み30は、図4に示すようにY字状となっている。図4において、矢印Aは、前記帯状シュリンクフィルムの搬送方向であって筒状シュリンクラベル10の上下方向(軸線方向)に相当し、また、矢印Bは、帯状シュリンクフィルムの幅方向であって筒状シュリンクラベル10の周方向に相当する。具体的には、切り込み30は、上下方向に直線状に延びる直線部31と、該直線部31の一端部、本実施形態では上端部から二股に分岐して斜め前方に直線状に延びる二股傾斜部32とから、全体としてY字状に形成されている。
【0030】
ここで、Y字状の切り込み30の全体の長さ(図4において符号E、上下方向の長さ)は、1mm以下、好ましくは0.25〜0.9mm、より好ましくは、0.5〜0.7mmである。切り込み30の全体の長さが短くなると、熱収縮後におけるシュリンクラベルの触感(手触り感)は良くなる一方空気抜きの程度は悪化してくる。逆に、切り込み30の全体の長さが長くなると、空気抜きの程度は良くなる一方熱収縮後の触感は悪化してくる。また、切り込み30の全体の長さが短くなり過ぎても逆に長くなり過ぎても、熱収縮後のシュリンクラベルの見栄え(外観体裁)は悪化する。そして、切り込み30の全体の長さが0.25mmよりも短いと、熱収縮後におけるシュリンクラベルの触感は良好であるものの空気抜きの程度と見栄えの点で評価が悪くなるので、総合評価として好ましくない。逆に、切り込み30の全体の長さが0.9mmを超えると、空気抜きの程度は良好であるものの熱収縮後の触感と見栄えの点で評価が悪くなるので、総合評価として好ましくない。従って、切り込み30の全体の長さを0.25〜0.9mmとすると、空気抜きの程度、熱収縮後の触感、見栄えの三つの観点の総合評価が良好なものとなる。また切り込み30の全体の長さを0.5〜0.7mmとすると、空気抜きの程度、触感、見栄えの三つの観点が何れも更に良好なものとなり総合的に最も優れる。
【0031】
一方、二股傾斜部32の各傾斜部33の長さ(図4において符号D)は、直線部31の長さ(図4において符号C)よりも短くなっており、好ましくは0.03〜0.12mm、より好ましくは0.05〜0.1mmである。傾斜部33の長さが短くなると、熱収縮後におけるシュリンクラベルの触感は良くなる一方空気抜きの程度は悪化してくる。逆に、傾斜部33の長さが長くなると、空気抜きの程度は良くなる一方熱収縮後の触感は悪化してくる。また、傾斜部33の長さが短くなり過ぎても逆に長くなり過ぎても、熱収縮後のシュリンクラベルの見栄えは悪化する。そして、傾斜部33の長さが0.03mmよりも短いと、熱収縮後におけるシュリンクラベルの触感は良好であるものの空気抜きの程度と見栄えの点で評価が悪くなるので、総合評価として好ましくない。逆に、傾斜部33の長さが0.12mmを超えると、空気抜きの程度は良好であるものの熱収縮後の触感と見栄えの点で評価が悪くなるので、総合評価として好ましくない。従って、傾斜部33の長さを0.03mm〜0.12mmとすると、空気抜きの程度、熱収縮後の触感、見栄えの三つの観点の総合評価が良好なものとなる。また傾斜部33の長さを0.05〜0.1mmとすると、空気抜きの程度、触感、見栄えの三つの観点が何れも更に良好なものとなり総合的に最も優れる。
【0032】
尚、図4に示す切り込み30においては、二股傾斜部32を構成する左右一対の傾斜部33は、直線部31に対する傾斜角度が互いに略等しく、長さも略等しいものであって、左右対称形状となっている。
【0033】
そして、例えば、直線部31の長さが0.2mm、左右の傾斜部33の長さがそれぞれ0.1mmの切り込み30を形成したシュリンクフィルムから形成した筒状のシュリンクラベル10を前記容器1に被嵌させて熱収縮させると、図5に示すような小孔15が形成される(実施例1)。図5において矢印Aが上下方向、矢印Bが周方向であり、該小孔15は、周方向に若干長い楕円形状となっており、その開口縁部16の上端部16aには中心に向かって突出する小突片17が形成されている。該小孔15のサイズは、上下方向(短軸方向)が約0.3mm、周方向(長軸方向)が約0.4mmであり、該小突片17は0.05mm程度である。即ち、図4のY字状の切り込み30における二股傾斜部32で囲まれた三角形状の部分34が熱収縮後に小突片17となって小孔15の開口縁部16の上端部16aに形成される。尚、図8が実施例1の熱収縮前の切り込み30を示す図面代用写真であり、図9が実施例1の熱収縮後の小孔15を示す図面代用写真であるが、切り込み30及び小孔15共に図4及び図5とは上下が逆に写っている。
【0034】
また、直線部31の長さが0.5mm、左右の傾斜部33の長さがそれぞれ0.1mmの切り込み30を形成したシュリンクフィルムの場合には、図6に示すような小孔15が形成された(実施例2)。図6において矢印Aが上下方向、矢印Bが周方向である。この場合、切り込み30における傾斜部33の長さが小さいため、小突片17は図5の場合よりも小さい。この小孔15のサイズは、上下方向(短軸方向)が約0.6mm、周方向(長軸方向)が約0.7mmであり、小突片17は0.03mm程度である。尚、図10が実施例2の熱収縮前の切り込み30を示す図面代用写真であり、図11が実施例2の熱収縮後の小孔15を示す図面代用写真であるが、切り込み30及び小孔15共に図4及び図6とは上下が逆に写っている。
【0035】
尚、切り込み30の全体の長さを一定とし、二股傾斜部32の長さを種々変更して、熱収縮後におけるシュリンクラベルの触感(手触り感)と空気抜きの程度と見栄え(外観体裁)の三つの観点でそれぞれ5段階評価(5が最良ランクで1が最低ランク)を行い、三つの評価点を合計して総合評価を行った。その評価結果を表1に示す。表1において、二股傾斜部32の長さが0.07mmのものが最も良好な結果であったため、それを最良ランクに位置づけ、それとの比較において他のものを評価している。尚、表1において、総合評価点(合計)が12〜15を◎(極めて優れている)、10〜11を○(優れている)、8〜9を△(普通)、7以下を×(要改善)とした。
【0036】
【表1】

【0037】
次に、表1において最も評価の良かった0.07mmに二股傾斜部32の長さを固定し、切り込み30の全体の長さを種々変更して更に評価を行った。その評価結果を表2に示す。このグループでは切り込み30の全体の長さが0.5mmのものと0.6mmのものが共に最も良好な結果が得られたため、表2においてはそれを最良ランクに位置づけて、それとの比較において他のものを評価している。尚、表2において、総合評価点(合計)が14〜15を◎(極めて優れている)、12〜13を○(優れている)、8〜11を△(普通)、7以下を×(要改善)とした。
【0038】
【表2】

【0039】
以上のように、シュリンクラベル10にY字状の切り込み30が形成され、該切り込み30が容器1のくびれ部5に対応した箇所に位置しているので、該シュリンクラベル10を容器1に被嵌させて熱収縮させたとき、Y字状の切り込み30が開口して図5や図6に示すような小孔15となって、シュリンクラベル10とくびれ部5との間に介在している空気が小孔15からスムーズに排出される。従って、シュリンクラベル10とくびれ部5との間に空気が残ってエア溜まりが生じることが防止され、くびれ部5においてシュリンクラベル10が確実に熱収縮できてくびれ部5に密着すると共に、所定位置に正確に装着されることとなる。特に、この小孔15が周方向に若干長い楕円形状であるので空気の排出がスムーズに行われる。
【0040】
そして、小孔15の開口縁部16の上端部16aには小突片17が形成されていて小孔15の開口縁部16の左端部16cと右端部16dにおいて波打ちが起こりにくい。またこの小突片17は開口縁部16の上端部16aに存在していてサイズも極小であるので、くびれ部5において周方向に指先を滑らせた場合に違和感がほとんど生じない。従って、小孔15を形成しても手触り感が悪化することがない。更に、一般的な開封用ミシン目のような短い間隔で小孔15が設けられているのではなく、長い間隔Pで小孔15が形成されているので、くびれ部5以外の部分に小孔15が形成されていても美観を損ねたり手触り感が悪化したりすることを抑制できる。
【0041】
また、Y字状の切り込み30においてその二股傾斜部32が直線部31よりも短いことから、二股傾斜部32間の三角形状の部分34が大きくなり過ぎることがない。
【0042】
しかも二股傾斜部32の長さが0.03mm〜0.12mmであるので、熱収縮後の小突片17も極小である。しかも、切り込み形成ブレード20によって切り込み30を形成する際に、二股傾斜部32間の三角形状の部分34、特にその先端部が厚み方向に反り返りにくくなり、空気抜きの程度、熱収縮後の触感、見栄えの三つの観点の総合評価が良好なものとなる。
【0043】
更に、両傾斜部33の長さと傾斜角度が互いに略等しくてY字状の切り込み30が左右対称形状であるので、熱収縮時に左右に略均一に熱収縮して開口し、開口縁部16における波打ち等の発生をより一層抑制でき、滑らかな手触りが得られる。
【0044】
尚、本実施形態では、Y字状の切り込み30の二股傾斜部32が何れも直線状となっているものについて説明したが、図7(イ)に示すように湾曲形状であってもよい。また、図7(ロ)に示すように、両傾斜部33の長さや傾斜角度が互いに異なった左右非対称形状であってもよい。何れにしても、Y字状の切り込み30とすることで熱収縮時においてスムーズに開口し、熱収縮後における手触りも良好なものとなる。尚、図7において矢印Aが上下方向、矢印Bが周方向である。
【0045】
また、Y字状の切り込み30について、二股傾斜部32が直線部31の上端部から上方に延設されたものを説明したが、逆に下端部から下方に延設形成されたものであってもよい。即ち、小孔15においてその開口縁部16の下端部16bに小突片17が形成されていてもよい。小孔15の形状も円形状であってもよい。尚、円形状あるいは周方向に長い楕円形状をなす小孔15のサイズは、上下方向(短軸方向)の長さが1mm以下、好ましくは0.25〜0.85mm、より好ましくは0.5〜0.7mmであり、周方向(長軸方向)の長さが1mm以下、好ましくは0.25〜0.9mm、より好ましくは0.5〜0.8mmである。
【0046】
また更に、例えば、印刷の図柄や色彩等から小孔15が目立ちにくいような場合には、小孔15や切り込み30がくびれ部5を覆う部分に三つ以上形成されていてもよい。
【0047】
尚、小孔15をシュリンクラベル10の上端部10aから下端部10bまで連続して形成する場合に限られず、くびれ部5を覆うシュリンクラベル10の部分にのみ小孔15を一つあるいは複数形成してもよい。
【0048】
また、シュリンクラベル10は少なくとも容器1のくびれ部5を覆っていればよく、容器1を覆う面積や比率は種々変形可能である。そして、容器1の全体形状やくびれ部5の位置、形状についても種々のものに対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態におけるシュリンクラベル付き容器を示す正面図。
【図2】同実施形態におけるシュリンクラベルに切り込みを形成するための切り込み形成ブレードを示す正面図。
【図3】同切り込み形成ブレードの要部を示す断面図であって、(イ)は図2のX−X断面図、(ロ)は図2のY−Y断面図。
【図4】同実施形態における熱収縮前のシュリンクラベルに形成された切り込みを示す正面図。
【図5】同実施形態における熱収縮後のシュリンクラベルに形成された小孔を示す正面図(実施例1)。
【図6】同実施形態における熱収縮後のシュリンクラベルに形成された小孔を示す正面図(実施例2)。
【図7】(イ)及び(ロ)は他の実施形態における熱収縮前のシュリンクラベルの切り込みを示す正面図。
【図8】図4に対応した熱収縮前のシュリンクラベルに形成された切り込みを示す図面代用写真(実施例1)。
【図9】図5に対応した熱収縮後のシュリンクラベルに形成された小孔を示す図面代用写真(実施例1)。
【図10】図4に対応した熱収縮前のシュリンクラベルに形成された切り込みを示す図面代用写真(実施例2)。
【図11】図6に対応した熱収縮後のシュリンクラベルに形成された小孔を示す図面代用写真(実施例2)。
【符号の説明】
【0050】
1 容器
2 容器本体
3 蓋体
4 容器本体と蓋体との境界部分
5 くびれ部
10 シュリンクラベル
11 横ミシン目
12 縦ミシン目
15 小孔
16 開口縁部
17 小突片
20 切り込み形成ブレード
21 貫通孔
22 基部
23 刃部
30 切り込み
31 直線部
32 二股傾斜部
33 傾斜部
34 三角形状の部分
L くびれ部の上下幅
P 小孔の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
くびれ部を有する容器に、主として周方向に熱収縮する筒状のシュリンクラベルが少なくとも前記くびれ部を覆うように装着されているシュリンクラベル付き容器であって、
前記くびれ部を覆うシュリンクラベルの部分に少なくとも一つの小孔が形成され、該小孔は円形状あるいは周方向に長い楕円形状であり、該小孔の開口縁部には、その上端部と下端部のうち何れか一方に小突片が形成されていることを特徴とするシュリンクラベル付き容器。
【請求項2】
シュリンクラベルには小孔が上下方向に沿って一定間隔毎に連続して形成され、該小孔の間隔をPとし、くびれ部の上下幅をLとしたとき、L/2<P<Lの関係式を満たすように小孔の間隔が設定されている請求項1記載のシュリンクラベル付き容器。
【請求項3】
主として周方向に熱収縮することによって、くびれ部を有する容器に該くびれ部を覆うように装着される筒状のシュリンクラベルであって、
前記くびれ部に対応した部分には切り込みが少なくとも一つ形成されており、該切り込みは、熱収縮前の状態において、シュリンクラベルの軸線方向に延びる直線部と、該直線部の一端部から斜め前方に二股に分岐して延びる二股傾斜部とから全体としてY字状に形成されていることを特徴とするくびれ部付き容器用シュリンクラベル。
【請求項4】
切り込みがシュリンクラベルの軸線方向に沿って一定間隔毎に連続して形成され、該切り込みの間隔をPとし、くびれ部に対応した部分におけるシュリンクラベルの軸線方向の長さをLとしたとき、L/2<P<Lの関係式を満たすように切り込みの間隔が設定されている請求項3記載のくびれ部付き容器用シュリンクラベル。
【請求項5】
二股傾斜部の長さが0.03mm〜0.12mmである請求項3又は4記載のくびれ部付き容器用シュリンクラベル。
【請求項6】
切り込みの全体の長さが0.25mm〜0.9mmである請求項3乃至5の何れかに記載のくびれ部付き容器用シュリンクラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−70243(P2010−70243A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242222(P2008−242222)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】