説明

シュリンクラベル付き容器及び巻き付け型のシュリンクラベル

【課題】巻き付けながら筒状とされる巻き付け型のシュリンクラベルが装着された容器において、貼り合わせ部において外側に位置する端部の熱収縮によるカールを抑制する。
【解決手段】枚葉型のシュリンクフィルム1における主延伸方向Mの一端部10の表面に他端部11の裏面が貼り合わせられて筒状とされて熱収縮により容器40に密着している巻き付け型のシュリンクラベル50を備えたシュリンクラベル付き容器であって、シュリンクラベル50の他端部11の端縁11aに、前記熱収縮を阻害するための収縮阻害処理としてのインキ層8が貼り合わせ部30の全長に亘って施されている。インキ層8は未塗布領域6よりも幅広である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き付けながら筒状とされる巻き付け型のシュリンクラベルが装着されたシュリンクラベル付き容器と、巻き付け型のシュリンクラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、短手方向を主延伸方向とする長尺状のシュリンクフィルムの両側部同士を貼り合わせて長尺筒状とし、それをロール状に巻回したものを順次繰り出しながら所定長さ毎に切断して筒状のシュリンクラベルを形成すると共に、その形成した筒状のシュリンクラベルを順次容器に被せてシュリンクトンネルに送り込み、そこでシュリンクラベルを熱収縮させて容器に密着させるという手法が採用されてきた。
【0003】
これに対して近年では、長手方向を主延伸方向とする長尺状のシュリンクフィルムを所定長さ毎に切断して枚葉型のシュリンクフィルムからなるシュリンクラベルを形成し、該シュリンクラベルを容器等に巻き付けながら主延伸方向の両端部同士を貼り合わせて筒状とし、その後に熱収縮させて容器に密着させる巻き付け型のシュリンクラベルも提案されている(下記特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、巻き付け型のシュリンクラベルにおいては巻き付けながら筒状とされるために、貼り合わせ部において外側に位置するシュリンクラベルの端部が熱収縮によって外側にカールしやすく、美観を損ねるうえに、搬送中等においてその端部がひっかかりやすくシュリンクラベルの破損につながる可能性がある。
【0005】
一方、巻き付け型のシュリンクラベルではなく従来型のものではあるが、貼り合わせ部の上下両端部におけるカールを抑制すると共にそこを摘んでラベルを容器から剥がしやすくすることについて下記特許文献2のような提案もされている。しかしながら、貼り合わせ部の上下両端部のみを他の部分とは異なる接着状態で接着する必要があり、製造が困難であるうえに、貼り合わせ部における中央部分等の他の部分においてはカールを抑制することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−128249号公報
【特許文献2】特開2010−64771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、巻き付けながら筒状とされる巻き付け型のシュリンクラベルが装着されたシュリンクラベル付き容器とその巻き付け型のシュリンクラベルにおいて、貼り合わせ部において外側に位置する端部の熱収縮によるカールを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係るシュリンクラベル付き容器は、枚葉型のシュリンクフィルムにおける主延伸方向の一端部の表面に他端部の裏面が貼り合わせられて筒状とされて熱収縮により容器に密着している巻き付け型のシュリンクラベルを備えたシュリンクラベル付き容器であって、シュリンクラベルの他端部の端縁に、前記熱収縮を阻害するための収縮阻害処理が貼り合わせ部の全長に亘って施されていることを特徴とする。
【0009】
該構成のシュリンクラベル付き容器に装着されたシュリンクラベルは、容器に巻き付けながら、あるいは、容器に被嵌する前に一旦ドラムに巻き付ける場合においてはそのドラムに巻き付けながら、シュリンクフィルムの主延伸方向の一端部の表面に他端部の裏面を貼り合わせることで筒状とされる。そして、容器に巻き付けた場合にはそのまま例えばシュリンクトンネルに入れて熱収縮させ、ドラムに巻き付けた場合には筒状となったシュリンクラベルを容器に被嵌させた後にシュリンクトンネル等で熱収縮させる。この熱収縮により容器にシュリンクラベルが密着することになる。貼り合わせ部において外側に位置する他端部の端縁には、貼り合わせ部の全長に亘って収縮阻害処理が施されているので、容器に密着させるための熱収縮の際にシュリンクラベルの他端部における熱収縮が抑制されることになる。
【0010】
特に、シュリンクラベルの他端部の表面であって端縁から所定幅の領域に、収縮阻害処理としてインキ層が形成されていることが好ましい。該インキ層が他端部の表面の端縁近傍の熱収縮を貼り合わせ部の全長に亘って阻害するので、特にカールしやすい箇所である端縁近傍においてカールが確実に抑制される。
【0011】
更に、シュリンクラベルの他端部の裏面には、該他端部の端縁から所定距離離間した位置に貼り合わせ用の接着剤層が形成されて、該他端部の裏面には、接着剤層が形成されていない領域である未塗布領域が端縁から所定幅を有して形成され、前記インキ層は、未塗布領域よりも幅広に形成されていることが好ましい。例えば、主延伸方向を長手方向とする長尺状のシュリンクフィルムの裏面に一定間隔毎に所定幅の接着剤層を形成しておき、その接着剤層を二分するように刃物で切断すると、刃物に接着剤が付着しやすい。この刃物への接着剤の付着を防止するために、上記一定間隔毎に形成する接着剤層を予め隙間を空けて二列形成し、二列の接着剤層の間の未塗布領域を刃物の切断位置とすることができる。このようにして枚葉型のシュリンクラベルを形成すると、フィルムの主延伸方向の両端部の裏面にはそれぞれ未塗布領域が端縁から所定幅に亘って形成され、未塗布領域の隣に接着剤層が位置することとなる。また、接着剤層を二列ではなく一列のみ形成してその接着剤層の隣の位置を切断位置とすれば、他端部の裏面のみに未塗布領域と接着剤層が形成される。また、容器等に巻き付ける直前に接着剤を塗布する場合においても、シュリンクラベルの端縁から接着剤がはみ出すことを防止するためには、端縁ぎりぎりまで接着剤を塗布するのではなく端縁から所定距離離間して接着剤を塗布することになる。何れにしても、少なくともシュリンクラベルの他端部の裏面における接着剤層は、端縁ぎりぎりまで形成されるのではなく端縁から所定距離離間した位置に形成されることになり、該他端部の裏面には、接着剤が塗布されていない未塗布領域が端縁から所定幅を有して形成されることになる。このようにシュリンクラベルの他端部の裏面に未塗布領域が形成されると、該他端部の端縁が一端部の表面に接着されていないために外側に浮き上がりやすく、端縁近傍が熱収縮によって外側にカールしやすくなる。従って、シュリンクラベルの他端部の裏面に未塗布領域が形成されている場合においては、他端部の表面に未塗布領域よりも幅広のインキ層を形成することが好ましく、これによって端縁近傍のカールが確実に抑制されることになる。
【0012】
また、シュリンクラベルの一端部の表面であって端縁から所定幅の領域に、他端部の表面に形成された前記インキ層よりも幅狭のインキ層が形成され、主延伸方向を長手方向とする長尺状のシュリンクフィルムを所定長さ毎にカットして枚葉型のシュリンクフィルムを形成する際に、長尺状のシュリンクフィルムの表面に形成された元のインキ層を分断するようにカットすることにより、他端部の表面のインキ層と一端部の表面のインキ層が形成されていることが好ましい。表面に形成された元のインキ層を分断するように長尺状のシュリンクフィルムをカットすれば、シュリンクラベルの他端部の端縁までインキ層が確実に形成されることになる。しかも、一端部側のインキ層の幅が他端部側のインキ層の幅よりも狭いことにより、元のインキ層の大部分を他端部側に位置させることができて元のインキ層を収縮阻害処理のために効率良く利用することができ、他端部側のインキ層の幅を十分確保することができてカールを抑制することができる。
【0013】
また一方、収縮阻害処理として、シュリンクラベルの他端部の端縁が前記熱収縮の前に予め熱処理されていることも好ましい。容器に密着させるための熱収縮よりも前にシュリンクラベルの他端部の端縁が予め熱処理されていれば、シュリンクトンネル等によってシュリンクラベル全体が熱収縮する際に、他端部の端縁近傍においては熱収縮が抑制され、カールが抑制される。
【0014】
この場合、特にシュリンクラベルの他端部の端縁がレーザーでカットされたものであることが好ましい。レーザー光線の照射によってシュリンクラベルの他端部の端縁が局所的に熱処理されることになる。即ち、シュリンクラベルの他端部の端縁が溶融して丸味を帯びた形状となる。このようにレーザーでカットすることにより、シュリンクフィルムの切断と端縁の熱処理とを同時に一工程で行うことができるうえに、端縁のみを確実に局所的に熱処理することができる。
【0015】
また、本発明に係る巻き付け型のシュリンクラベルは、枚葉型のシュリンクフィルムから構成され、該フィルムの主延伸方向の一端部の表面に他端部の裏面が貼り合わせられて筒状となる巻き付け型のシュリンクラベルであって、他端部の端縁に、熱収縮を阻害するための収縮阻害処理が貼り合わせ部の全長に亘って施されていることを特徴とする。
【0016】
特に、他端部の表面であって端縁から所定幅の領域に、収縮阻害処理としてインキ層が形成されていることや、収縮阻害処理として他端部の端縁が熱処理されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明に係るシュリンクラベル付き容器及び巻き付け型のシュリンクラベルは、収縮阻害処理によってシュリンクラベルの他端部の熱収縮が抑制されるので、熱収縮による他端部のカールが抑制され、良好な美観が得られると共に貼り合わせ部におけるシュリンクラベルの損傷も防止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態における巻き付け型のシュリンクラベルを示す断面図。
【図2】同シュリンクラベルを容器に巻き付けた状態を示す正面図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】同シュリンクラベルの製造途中の状態を示し、(a)は表側から見た図、(b)は裏側から見た図。
【図5】同シュリンクラベルの製造途中の状態を示す断面図。
【図6】本発明の他の実施形態における巻き付け型のシュリンクラベルの製造途中の状態を裏側から見た図。
【図7】(a)及び(b)は、本発明の他の実施形態における巻き付け型のシュリンクラベルの製造途中の状態を裏側から見た図。
【図8】本発明の他の実施形態における巻き付け型のシュリンクラベルを示す断面図。
【図9】本発明の他の実施形態における巻き付け型のシュリンクラベルを筒状にした状態を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る巻き付け型のシュリンクラベルとそれを装着したシュリンクラベル付き容器について図1〜図5を参酌しつつ説明する。本実施形態におけるシュリンクラベル50は、図1にその断面形状を示しているように、矢印Mを主延伸方向とする縦横所定長さの枚葉型のシュリンクフィルム1から構成されている。即ち、シュリンクラベル50は、矩形であって、その一方向が主延伸方向となった枚葉型のものである。図1に矢印Mで示している主延伸方向は、シュリンクラベル50が筒状になった際には周方向となり、主延伸方向Mと直交する方向は、シュリンクラベル50が筒状になった際には軸線方向となる。
【0020】
シュリンクフィルム1の裏面には印刷層2が形成されている。該印刷層2は、シュリンクフィルム1の裏面全体に形成されている。そして、シュリンクフィルム1の裏面のうち、主延伸方向Mの両端部10,11には、それぞれ貼り合わせ用の接着剤層3,4が形成されている。該接着剤層3,4は、主延伸方向Mと直交する方向の全長に亘って形成されている。また、接着剤層3,4は、各端縁10a,11aから所定距離離間した位置に形成されており、端縁10a,11aと接着剤層3,4との間には、接着剤層3,4が形成されていない未塗布領域5,6が形成されている。接着剤層3,4が主延伸方向Mと直交する方向の全長に亘って形成されていることから、未塗布領域5,6もその方向の全長に亘って形成される。接着剤層3,4の幅は例えば10mm程度であって、未塗布領域5,6の幅はそれよりも狭く例えば1mm程度である。
【0021】
シュリンクフィルム1の表面には、主延伸方向Mの両端部10,11にそれぞれ熱収縮を阻害するための収縮阻害処理としてのインキ層7,8が形成されている。主延伸方向Mの一端部10のインキ層7と他端部11のインキ層8は、それぞれ主延伸方向Mと直交する方向の全長に亘って形成され、且つ、それぞれ端縁10a,11aから離間することなく形成されている。一端部10のインキ層7は、他端部11のインキ層8よりも狭い。また、他端部11のインキ層8は、未塗布領域6よりも幅広であって、未塗布領域6の表面側の全体を覆うように形成されている。該他端部11のインキ層8は、接着剤層4よりも幅狭であって例えば5mm程度である。このように、シュリンクフィルム1の表面のうち両端部10,11のみにインキ層7,8が形成されている。
【0022】
シュリンクフィルム1としては、ポリエステル系のフィルムやポリスチレン系のフィルム、ポリオレフィン系のフィルム等、各種の熱収縮性フィルムが使用でき、単層のものの他、多層のものであってよい。また、接着剤層3,4として使用する接着剤には、例えばホットメルトや、ディレード、パートコート等がある。裏面の印刷層2や表面のインキ層7,8は、例えばグラビア印刷によって形成され、好ましくはアクリル系のインキであるが、ウレタン系のもの等、各種のグラビアインキが使用できる。また、インキには顔料が含まれていても含まれていなくてもよく、また、UV硬化型のインキでもよい。
【0023】
かかる構成のシュリンクラベル50は、図4のように、長手方向を主延伸方向Mとする長尺状のシュリンクフィルム20を所定長さ毎に切断することにより形成される。図4(a)は表面を示し、図4(b)は裏面を示しており、それぞれ一点鎖線でカット位置21を示している。切断手段としては例えば回転刃やトムソン刃等の刃物を使用することができる。図4(a)に示しているように、長尺状のシュリンクフィルム20の表面には、一定間隔毎に所定幅の元のインキ層22(多数のドットを付した領域)が形成されており、該元のインキ層22を中央ではなく一方に偏った位置で分断するようにカット位置21が定められておりその位置でカットされる。図5にカットした直後の状態を示しているが、このように元のインキ層22を二分するようにカットすれば、他端部11の表面の端縁11aぎりぎりまでインキ層8を形成することができる。そして、一端部10の表面にも幅狭のインキ層7が形成されることになる。また、図4(b)のように、長尺状のシュリンクフィルム20の裏面には、上記一定間隔毎に二列の接着剤層3,4(クロスハッチングを施した部分)が形成されており、二列の接着剤層3,4の間には接着剤層のない未塗布領域23が形成され、該未塗布領域23の中央付近をカット位置21としてカットされる。尚、図4(b)において多数のドットを付した領域は裏側の印刷層2である。このように接着剤が塗布されていない未塗布領域23にカット位置21を設定して長尺状のシュリンクフィルム20をカットすれば、刃物に接着剤が付着せず、切断工程を高効率化することができ、接着剤の選定にも制約が少ない。
【0024】
このようにして形成されたシュリンクラベル50は、図2及び図3のように、容器40に巻き付けられることで筒状となる。具体的には、一端部10の裏面の接着剤層3によって容器40に接着されると共に、他端部11の裏面の接着剤層4によって一端部10の表面に他端部11の裏面が貼り合わせられる。収縮阻害処理としての他端部11の表面のインキ層8は、図2のように貼り合わせ部30の全長に亘って形成されている。その後、シュリンクラベル50が接着された容器40はシュリンクトンネルへと送られて、シュリンクラベル50が熱収縮することにより容器40に密着するが、その際、他端部11の表面にインキ層8が貼り合わせ部30の全長に亘って形成されているので他端部11における熱収縮が抑制されてカールの発生を抑制することができる。また、他端部11の裏面に未塗布領域6が形成されていて他端部11の端縁11aの近傍が浮き上がりやすくなっているが、他端部11の表面のインキ層8によって他端部11の端縁11aの近傍のカールが抑制される。特に、他端部11の表面のインキ層8が未塗布領域6よりも幅広であるので、他端部11のカールが確実に抑制される。しかも、他端部11の表面のインキ層8は接着剤層4よりも幅狭であるので過度に目立つということがなく良好な美観も維持されている。
【0025】
尚、裏面の接着剤層3,4を二列形成するのではなく図6のように幅広の接着剤層25を一列のみ形成し、該幅広の接着剤層25を略中央で二分するようにカットしてもよい。この場合には刃物に接着しにくい接着剤を使用することが好ましい。このようにカットした場合には一端部10の裏面の端縁10a近傍位置と他端部11の裏面の端縁11a近傍位置には何れも未塗布領域5,6は形成されず、接着剤層3,4は各端縁10a,11aぎりぎりまで形成されるが、このような場合であっても他端部11の表面にインキ層8を形成しておくことにより他端部11の熱収縮とそれによるカールの発生を抑制できる。
【0026】
また、図7(a),(b)のように、接着剤層4を一列のみ形成しておくと共にその隣の位置をカット位置21としてカットしてもよい。この場合には他端部11の裏面のみに接着剤層4が形成され、一端部10の裏面には接着剤層が形成されない。また、他端部11の裏面の端縁11aの近傍には未塗布領域6が形成される。この場合、シュリンクラベル50を容器40に直接巻き付けるのではなく、一旦ドラムに巻き付けて筒状とし、該筒状のシュリンクラベル50を容器40に被嵌する。尚、ドラムには例えば吸引孔を形成して、巻き付けたシュリンクラベル50を吸引保持するようにすることができる。尚、裏面の印刷層2を全体に形成するのではなく、図7(b)のように、長尺状のシュリンクフィルム20の短手方向(幅方向)の両端部(あるいは一端部)に印刷層2のないクリアー領域24を長手方向に沿って連続的に形成してもよく、これは接着剤層3,4を二列形成する場合も同様である。
【0027】
更に、図8のように他端部11の裏面に印刷層2を形成しないで所定幅のクリアー領域24を全長に亘って設けるようにしてもよい。即ち、他端部11の裏面に所定幅のクリアー領域24を、主延伸方向Mと直交する方向に沿って全長に亘って形成する。他端部11の裏面に印刷層2を設けないことにより、熱収縮によって他端部11が外方にカールすることがより一層抑制される。その場合、接着剤層4は印刷層2の端縁まで設けるようにしてよいし、図8のようにクリアー領域24まで接着剤層4が及ぶようにしてもよい。つまり、未塗布領域6とクリアー領域24とが同幅であってもよく、図8のように、未塗布領域6よりもクリアー領域24が幅広であってもよい。
【0028】
尚、シュリンクフィルム1の表面のうち両端部10,11のみにインキ層7,8を設けたが、シュリンクフィルム1の他端部11の表面のみにインキ層8を設けてもよい。
【0029】
尚、上記実施形態では、収縮阻害処理として他端部11の表面にインキ層8を形成したが、収縮阻害処理として他端部11の端縁11aを、容器40に密着させるための熱収縮工程よりも前に、予め熱処理しておいてもよい。即ち、シュリンクラベル50は容器40に装着された状態でシュリンクトンネル等に入れられて容器40への密着のために熱収縮することになるが、容器40への装着前の状態において他端部11の端縁11a近傍を予め熱処理しておくことで、その他端部11の端縁11aの近傍におけるフィルム1の収縮性能を除去し消滅させておく。こうすることで、シュリンクラベル50が熱収縮して容器40に密着する際に、他端部11の端縁11aの近傍においては熱収縮せず、従って、他端部11におけるカールが抑制される。
【0030】
かかる他端部11の端縁11aの熱処理としては、レーザー光線を照射する方法がある。即ち、上述したように刃物でカットするのではなく、レーザー光線をカット位置21に照射して長尺状のシュリンクフィルム20をカットする。このようにレーザー光線により長尺状のシュリンクフィルム20をカットすれば、そのカットと同時にシュリンクラベル50の両端縁10a,11aが熱処理されることになる。このようにレーザーでカットすることにより形成されたシュリンクラベル50を筒状にした場合を図9に示しているが、この図のように、他端部11の端縁11aと一端部10の端縁10aは共にレーザーによって熱処理されて溶融により丸味を帯びた形状となる。この後、シュリンクトンネル等で熱収縮しても他端部11の端縁11aと一端部10の端縁11aはその状態からほとんど変化せず、両端部10,11におけるカールの発生が抑制される。しかも、レーザーを使用する場合には、非接触で熱処理を行うことができるうえに、局所的に熱を付与することができ、しかも、一工程で熱処理と切断とを行うことができて生産効率も優れている。
【0031】
但し、熱処理の方法としてはレーザー照射の方法以外にも種々の方法を採用できる。例えば、超音波でカットする方法や、熱を付与しながらカットするヒートカッターの方法もあり、これらの方法でカットした場合でも、上述したのと同様に両端縁10a,11aは溶融して丸味を帯びた形状となり、熱収縮後においてもその形状が維持されるため、熱収縮前に他端部11の端縁11aが予め熱処理されているか否かについては熱収縮後においても判別可能である。また、カット位置21付近に熱板を当ててその当接部分におけるフィルム20の配向をなくしておき、その後にカットする方法もある。このように部分的にフィルム20の配向をなくした場合には、偏光板を介してCCDカメラで、あるいは、X線回折で、端縁11aの分子配向を確認することによって、熱処理の有無を判別でき、この判別は熱収縮後においても可能である。尚、このように熱処理を行う場合でも、他端部11の表面にインキ層8も合わせて形成しておけば、より一層確実にカールを抑制できる。
【0032】
また、熱処理の方法以外にも、例えば、電子線をフィルム20のカット位置21に当ててその部分の分子結合を切断することにより熱収縮を阻害するようにしてもよい。
【0033】
尚、枚葉型のシュリンクラベル50に接着剤層3や接着剤層4を予め形成していたが、シュリンクラベル50を巻き付けながら筒状にする直前にその裏面に接着剤を塗布して接着剤層3や接着剤層4を形成してもよい。容器40やドラムに巻き付ける直前にシュリンクラベル50の裏面に接着剤を塗布する場合においても、端縁10aや端縁11aから所定距離離間した位置に接着剤を塗布して接着剤層3,4を形成することにより、接着の際の押圧力によって接着剤が端縁10aや端縁11aから外側にはみ出すということがなくなる。特に外側に位置する他端部11の端縁11aから接着剤層4がはみ出さないように、他端部11の裏面に未塗布領域6を形成するように接着剤を塗布するとよい。
【符号の説明】
【0034】
1 シュリンクフィルム
2 印刷層
3 接着剤層
4 接着剤層
5 未塗布領域
6 未塗布領域
7 インキ層
8 インキ層
10 一端部
10a 端縁
11 他端部
11a 端縁
20 長尺状のシュリンクフィルム
21 カット位置
22 元のインキ層
23 未塗布領域
24 クリアー領域
25 接着剤層
30 貼り合わせ部
40 容器
50 シュリンクラベル
M 主延伸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉型のシュリンクフィルムにおける主延伸方向の一端部の表面に他端部の裏面が貼り合わせられて筒状とされて熱収縮により容器に密着している巻き付け型のシュリンクラベルを備えたシュリンクラベル付き容器であって、
シュリンクラベルの他端部の端縁に、前記熱収縮を阻害するための収縮阻害処理が貼り合わせ部の全長に亘って施されていることを特徴とするシュリンクラベル付き容器。
【請求項2】
シュリンクラベルの他端部の表面であって端縁から所定幅の領域に、収縮阻害処理としてインキ層が形成されている請求項1記載のシュリンクラベル付き容器。
【請求項3】
シュリンクラベルの他端部の裏面には、該他端部の端縁から所定距離離間した位置に貼り合わせ用の接着剤層が形成されて、該他端部の裏面には、接着剤層が形成されていない領域である未塗布領域が端縁から所定幅を有して形成され、前記インキ層は、未塗布領域よりも幅広に形成されている請求項2記載のシュリンクラベル付き容器。
【請求項4】
シュリンクラベルの一端部の表面であって端縁から所定幅の領域に、他端部の表面に形成された前記インキ層よりも幅狭のインキ層が形成され、主延伸方向を長手方向とする長尺状のシュリンクフィルムを所定長さ毎にカットして枚葉型のシュリンクフィルムを形成する際に、長尺状のシュリンクフィルムの表面に形成された元のインキ層を分断するように長尺状のシュリンクフィルムをカットすることにより、他端部の表面のインキ層と一端部の表面のインキ層が形成されている請求項2又は3記載のシュリンクラベル付き容器。
【請求項5】
収縮阻害処理として、シュリンクラベルの他端部の端縁が前記熱収縮の前に予め熱処理されている請求項1乃至4の何れかに記載のシュリンクラベル付き容器。
【請求項6】
シュリンクラベルの他端部の端縁がレーザーでカットされたものである請求項5記載のシュリンクラベル付き容器。
【請求項7】
枚葉型のシュリンクフィルムから構成され、該フィルムの主延伸方向の一端部の表面に他端部の裏面が貼り合わせられて筒状となる巻き付け型のシュリンクラベルであって、
他端部の端縁に、熱収縮を阻害するための収縮阻害処理が貼り合わせ部の全長に亘って施されていることを特徴とする巻き付け型のシュリンクラベル。
【請求項8】
他端部の表面であって端縁から所定幅の領域に、収縮阻害処理としてインキ層が形成されている請求項7記載の巻き付け型のシュリンクラベル。
【請求項9】
収縮阻害処理として、他端部の端縁が熱処理されている請求項7又は8記載の巻き付け型のシュリンクラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−49459(P2013−49459A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188314(P2011−188314)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】