説明

シュレッダ

【課題】 ステープルシートのステープル針とシートとを分離させ、シートを確実にカッタで裁断することのできる装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 シート束の所定部分を切断する切断手段と切断手段で切断されたシート束を所定枚数に分離して搬送し、搬送されたシートを線状に断裁する断裁手段を備えた。これによって、ステープル等で綴じられたシート束による不具合を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを細かく裁断して排出するシュレッダに関し、詳しくはステープル針などで綴じられたシート束を裁断する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、書類を廃棄する際に、廃棄される書類に記載された事項の漏洩を防止するため、記載内容が把握できないように書類を裁断するシュレッダ装置が広く用いられている。一般に、シュレッダ装置は、例えば装置本体の上面に紙を投入するための投入口が設けられ、この投入口の下に、書類等のシートを細かく裁断する一対のロール状のカッタが設けられている。また、このシュレッダ装置には、装置の下側に裁断された紙を収容する収容箱が備え付けられている。このようなシュレッダ装置では、操作ボタンによって一対のカッタが駆動し、投入口より投入されたシートをカッタで細かく裁断して収容箱に収容する。そして、このシュレッダ装置には、シートを裁断する際に手動でシートを投入口に投入する装置と、自動的にシートを投入口に給紙する給紙装置を用いた装置がある(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−317740号公報
【特許文献2】特開平10−52648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したシュレッダ装置に投入されるシートには、金属製の綴じ針を使用してステープル処理が施された書類などのシートが多数含まれている。このようなステープルシートをシュレッダ装置に投入すると、シュレッダ装置のカッタの刃に損傷を与えたり、また制限された厚さ以上のシートの束が分離されない状態で投入されてカッタが過負荷によって停止する。さらに、ステープル針と裁断されたシートが混在して排出されるため、シートをリサイクルする上で好ましくない。
【0005】
このような問題を回避するためにはステープル処理が施されたシートの綴じ針を操作者が取り外して投入口に投入する必要があるが、この綴じ針を外す作業が煩わしく、手間がかかるとの問題が生じる。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ステープルシートのステープル針とシートとを分離させ、シートを確実にカッタで裁断することのできる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、シートの投入口から投入されたシートを裁断して排出する裁断手段と、裁断されたシートの小片を集積する集積手段と、を備えたシュレッダにおいて、投入口から投入されたシートを複数に切断する切断手段と、切断手段で切断されたシートの一片を収納する収納手段と、切断手段で一片を切断されたシートを断裁手段に向けて供給する供給手段と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートの投入口でシートの先端側の一部を切断手段で切断し、切断されたシートの一片を他のシート片と分類して収納手段に収納するようにしたので、ステープルやクリップなどの綴じ具で綴じた状態で裁断手段に送り込まれることがないので、裁断動作が支障なく行なわれる。また、ステープルやクリップなどの綴じ具とシートを自動的に分類できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明のシュレッダの一例を示す断面図であり、図2、図3はシートの切断部を示す断面図及び上面図である。また、図4はシュレッダの駆動構成を説明する駆動構成図である。
【0010】
図1において、シートを裁断するための断裁部1と、この裁断部1の下方に配置されて断裁されたシートの裁断片を集積する集積部2と、裁断部1の上方に配置されてシートを裁断部1に供給する投入口6が設けられた投入部3とで構成されている。
【0011】
裁断部1はシートを裁断する一対のロール状の回転カッタ10a、10bが設けられており、この一対の回転カッタ10a、10bはそれぞれの回転軸11a、11bの回転に伴って回転し、シートをその間に挟んで裁断する。なお、一対の回転カッタ10a、10bの回転軸11a、11bは図4に示すように裁断モータMT1に駆動連結され、裁断モータMT1によって駆動する。
【0012】
集積部2にはカッタ10にて裁断されたシートの裁断片を集積する集積箱4が配置されている。この集積箱4は集積部2のフロント側のカバー7を開閉することで、装置内より取り外せるように構成されている。なお図中の符号9は集積箱4にシートの裁断片が満杯になったか否かを検出するための検出レバーである。
【0013】
投入部3は、シートが積載されるシート載置台12と、載置台12上の積載シートを次繰り出す繰出ベルト13と、繰出ベルト13から繰り出されたシートを少数枚に分離して給紙する供給ローラ14と、供給ローラ14に接触して供給ローラ14によって多枚数のシートが供給されるのを阻止する分離部材15と、載置台12上にセットされるシートの先端を規制して位置決めする先端規制部材16と、載置台12上にセットされるシートの繰り出し方向と直交するシート幅方向の端部を規制する固定サイド規制部材17と移動サイド規制部材18と、が設けられている。
【0014】
また、投入部3にはステープルなどの綴じ処理が施されたシートの綴じ部分を切り離すための切断手段が設けられている。この切断手段は綴じ部分を切り取るための板状のプレートカッタ19と、プレートカッタ19に対向して配置されてカッタ19の刃を受ける刃受け部材20とを備える。さらに載置台12の下方にはプレートカッタ19にて切断されたシート切断片を収納する収納箱5が配置されており、この収納箱5は投入部3のフロント側のカバー8を開閉することで、装置内より取り外せるように構成されている。
【0015】
ここで、上述した切断手段について、図2〜図4に基づき詳しく説明すると、プレートカッタ19は図3に示すように載置台12の先端側における一端側にシートの繰り出し方向に対して斜めに配置されている。プレートカッタ19には図2に示すようにその側面に金属性のラック30が取り付けられ、ラック30は金属性のピニオン31に係合している。そして図4に示すようにピニオン31は切断モータMT3に連結されている。これによって、切断モータMT3の正逆転駆動でプレートカッタ19が上下方向に往復移動し、載置台12上の切断位置に位置決めされたシートの角部を切断する。
【0016】
刃受け部材20は、シートの先端側における角部を支持し、プレートカッタ19との間でシートを切断する。また刃受け部材20は図2(a)で示すようにシートの切断部分を支持する支持位置と図2(b)で示すように前記支持位置から退避した退避位置にソレノイドSOL1と圧縮バネ21によってスライド移動するように構成されている。そして、シートがプレートカッタ19によって切断された後にシート繰り出し方向の上流側の退避位置にスライド移動し、シートの切断部分の下方を開放する。これによって、切断された切断片は下方に落下して収容箱5に収納される(図2(b)参照)。
【0017】
先端規制部材16は、図3に示すように載置台12におけるシート幅方向の略中央に配置されている。先端規制部材16は、載置台12のシート載置面に対して出没自在に構成されている。つまり図2(a)で示すように投入口6に突出してシートの通過を遮断する遮断位置と図2(c)で示すように投入口6に退避してシートの通過を許す開放位置にソレノイドSOL2と圧縮バネ22によって移動するように構成されている。そして、シートがプレートカッタ19によって切断され、刃受け部材20が収納位置にスライド移動し、切断片が落下して収容箱5に収納された後に突出位置から退避位置に移動する。これによって繰出ベルト13によるシートの繰り出しが可能となる(図2(c)参照)。
【0018】
図5は、シュレッダの制御系を示すブロック図である。図5に基づきシュレッダの動作について説明すると、ステープル針にて綴じ処理が施されたシートが混在したシート束をシュレッダで処理しようとした場合、操作者は綴じ処理されたシートの角部が所定の切断位置となるように載置台12にセットする。なお、本実施の形態では切断位置を図3中における左下の位置としており、操作者が投入口6からシートを挿入する際に、シートの綴じ処理側を固定サイド規制部材に沿って、シートの先端が先端規制部材に到達するまで挿入することによって容易に切断位置にセットできるようになっている。
【0019】
操作者によって切断位置にシートがセットされた後に操作者が操作パネル71上の「ステープル針除去モード」を選択すると切断モータMT3が駆動し、プレートカッタ19によって綴じ処理が施されたシートの角部が切断される。シートの角部プレートカッタ19によって切断されるとスライドソレノイドSOL1を作動させ、刃受け部材20を退避位置にスライド移動させる。これによって、ステープル針を含んだシートの切断片が下方に落下して収納箱5に収納される。切断片が収納箱5に収納されると、スライドソレノイドSOL1の作動を解除する。これによって、刃受け部材20は圧縮バネ21の作用によってシートを支持する支持位置に復帰する。
【0020】
その後に規制ソレノイドSOL2を作動させて先端規制部材16を開放位置に退避させると同時に供給モータMT2及び裁断モータMT1を駆動する。これによって、シートは繰出ベルト13で繰り出され、供給ローラ14と分離部材15によって少数枚に分離されてロール状の回転カッタ10a、10bに供給される。そして、シートは回転カッタ10a、10bによって細かく裁断されて集積箱4に集積される。
【0021】
一方、ステープル針にて綴じ処理が施されたシートが混在しないシート束をシュレッダで処理しようとした場合、操作者がシート束を載置台12にセットした後に操作パネル71上で「通常モード」を選択することによって、先端規制部材16が開放位置に退避し、これと同時に供給モータMT2及び裁断モータMT1を駆動するように制御される。そして、繰出ベルト13によって繰り出されたシートが供給ローラ14と分離部材15によって少数枚に分離された後に回転カッタ10a、10bによって細かく裁断されて集積箱4に集積される。
【0022】
なお、図5及ぶ図1中に示される符号S1は供給ローラ14と回転カッタ10a、10bとの間の経路でシートジェムなどが発生し、シートが滞留していることを検出する滞留ジャム検出センサであり、この滞留ジャム検出センサS1がシートの滞留を検出するとシュレッダの全て動作を停止するとともに制御部70より表示パネル72に情報を送信して、操作者に報知する。また、検出レバー9の揺動によって満杯センサS2が集積箱4の小片の満杯を検出した際においても、シュレッダの全て動作を停止するとともに制御部70より表示パネル72に情報を送信して、操作者に集積箱4が満杯であることを報知する。
【0023】
上記実施の形態では、端部をステープル針で綴じたシートを対象としたが、シートの一辺に複数個所をステープル針で綴じたシートを切断するように構成してもよい。この場合には、プレートカッタと刃受け部材をシートの幅方向に延設させて設け、上記実施の形態と同様にシートを切断し、切断したシートを落下させて収納箱に収納すればよい。
【0024】
また、上記実施の形態では、綴じ具としてステープル針を使用したシートについて説明したが、クリップや糊などの他の綴じ具を使用したシートについても適用できる。
【0025】
次に、他の実施の形態について述べると、上記の実施の形態ではシートのステープル針で綴じられたシートの端部側から投入口に投入して位置決めされたシートの先端部をプレートカッタ19で切断するように構成したが、シートの略中央付近が綴じられた中綴じシートなどに対応するために操作者が指定した部分をプレートカッタで切り取るように構成してもよい。
【0026】
図6(a)(b)(c)は前述の他の実施の形態を示す投入部の断面図である。なお、図示しないが図6における投入部40の下方には、図1と同様な裁断部1と集積部2が設けられている。また、図1に示される上記の実施の形態と同一な機能、作用を有する部材は便宜上図1と同一符号で示す。
【0027】
他に実施の形態は、図6に示すように先端規制部材16の下流側にシート束を供給ローラ14と分離部材15に給紙するための積載台41と給紙ベルト42を設けている。そして、投入口6から載置台12にセットした後に操作者が操作パネル上の「マニュアルステープル針除去モード」の「先端綴じ」「中綴じ」「後端綴じ」の「切断モード」いずれか1つを選択すると選択された「切断モード」に応じて切断動作が実行される。
【0028】
ここで、それぞれのモードの動作について説明すると、「先端綴じ切断モード」では、載置台12上でその先端が先端規制部材16に突き当たってセットされたシートをその状態でプレートカッタ19によって切断する。その後に刃受け部材20をスライド移動し、切断片を収納箱に落下させて収納する。そして、先端規制部材16を退避させると同時に繰出ベルト13と給紙ベルト42を駆動してシートを給紙する。
【0029】
次に、「中綴じ切断モード」は、載置台12上にセットされると先端規制部材16が退避し、繰出ベルト13と給紙ベルト42が駆動する。これによって、シートが繰出方向に繰り出される。そして、ステープル針で綴じられた部位Xに到達する手前で繰出ベルト13と給紙ベルト42を図6(b)のように停止させる。この状態でプレートカッタ19によってシートを切断する。つまり、シートのステープル位置の手前でシートは切断され、切り離される。この切断動作が終了すると再び繰出ベルト13と給紙ベルト42を駆動する。そして、給紙ベルト42の駆動によって、切断されたシートの前部分は積載台41に案内され、さらに供給ローラ14と分離部材15に供給される。一方、繰出ベルト13によって切断された後部分は、シートのステープル針で綴じられた部位が切断位置Xを通過するまで送られる。そして、ステープル針で綴じられた部位が切断位置Xを通過すると繰出ベルト13が図6(c)に示すように停止する。そして、プレートカッタ19によってシートを切断する。これによって、シートはステープル位置の直後で切断される。その後に刃受け部材20をスライド移動し、ステープル針が付いた切断片を収納箱に落下させて収納する。
【0030】
つまり、「中綴じ切断モード」では、ステープル針で中綴じされた部位の前後の2箇所を切断することで、ステープル針で中綴じされた部分のみを切断して収納箱に収納するようにしている。
【0031】
なお、本変形例では、載置台12と積載台41との間に段差を設けている。これは、分離、給紙中のシート前部分の上方にシートの後部分を積載することで、載置台12上に次のシートをセットできるようにするためである。これによって、操作者は先のシートの裁断処理が終了するまで次のシートの投入を待つ必要がなくなる。
【0032】
最後に「後端綴じ切断モード」は、繰出ベルト13と給紙ベルト42を駆動し、シートの後端から所定量手前の位置が切断位置Xに到達すると繰出ベルト13と給紙ベルト42を停止させる。そして、プレートカッタ19によってシートを切断する。これによって、シートの後端部分が切断される。その後に刃受け部材20をスライド移動し、ステープル針が付いた後端切断片を収納箱に落下させて収納する。
【0033】
このように一般的な綴じモードに適応するように切断動作するように繰出ベルト13や給紙ベルト42、プレートカッタ19などを制御することで多様な綴じ処理シートを処理できる。
【0034】
なお、この変形例において、プレートカッタ19はシートの幅方向の一端から他端に掛けて延設して設けられており、シートを繰り出し方向途中で完全に切断する。また、刃受け部材20もプレートカッタ19に沿ってシートの幅方向の一端から他端に掛けて延設して設けられており、この延設された刃受け部材20の全体がスライド移動してシートの切断ステープル部分を下方に落下させる。
【0035】
実施の形態によれば、シートが回転カッタ10a、10bに供給される前にステープル針で綴じられた部分をシートより切り離すので、回転カッタ10a、10bが損傷することがない。また大量のシートを裁断処理する場合においてもステープル針でシートが綴じ連結されていないので、回転カッタ10a、10bに負荷を与えない適切なシート枚数に分離することが可能となり、回転カッタ10a、10bが過負荷で停止することがない。
【0036】
さらに、ステープル針で綴じられた部分を支持する刃受け部材20をスライド移動させてステープル針で綴じられた部分の下方を開放し、ステープル針を含む切断片を収納箱に落下させて収納するようにしたので、ステープル針とリサイクルシートとが簡素な構成で分類することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のシュレッダの一例を示す装置断面図である。
【図2】本発明のシュレッダのシート切断部を示す断面図である。
【図3】本発明のシュレッダのシート切断部を示す上面図である。
【図4】本発明のシュレッダの駆動構成を説明する駆動構成図である。
【図5】本発明のシュレッダの制御系を示すブロック図である
【図6】本発明に係る他の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 断裁部
2 集積部
3 投入部
4 集積箱
5 収納箱
6 投入口
10a、10b 回転カッタ
12 シート載置台
13 繰出ベルト
14 供給ローラ
15 分離部材
16 先端規制部材
17 固定サイド規制部材
18 移動サイド規制部材
19 プレートカッタ
20 刃受け部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの投入口から投入されたシートを裁断して排出する裁断手段と、裁断されたシートの小片を集積する集積手段と、を備えたシュレッダにおいて、
前記投入口から投入されたシートを複数に切断する切断手段と、前記切断手段で切断されたシートの一片を収納する収納手段と、前記切断手段で一片を切断されたシートを前記断裁手段に向けて供給する供給手段と、を備えたことを特徴とするシュレッダ。
【請求項2】
シートの投入口に設けられて投入されるシートを所定の位置に位置決めする位置決め手段を設け、前記切断手段は、前記位置決め部材で位置決めされたシートのシート投入方向の先端側の一部を切り取ることを特徴とする請求項1に記載のシュレッダ。
【請求項3】
前記位置決め手段は、シートの先端を前記所定の位置に規制する先端規制部材を有し、この先端規制部材を投入口に対して遮断する位置と開放する位置とに移動させるための第1の駆動手段と、前記切断手段にてシートの一片を切断した後に前記先端規制部材を前記遮断位置から前記開放位置とに移動させるように前記第1の駆動手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のシュレッダ。
【請求項4】
前記切断手段で切断されるシートの一部を支持し、前記切断手段との間でシートの一部を切り取る刃受け部材と、前記刃受け部材はシートを支持する支持位置とこのシート支持位置から退避した退避位置に移動させるための第2の駆動手段と、を備えたことを特徴とする請求項3に記載のシュレッダ。
【請求項5】
前記供給手段は、前記位置決め手段のシート投入方向下流側でシートを分離して前記裁断手段に供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシュレッダ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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