説明

シューホールドダウン装置

【課題】シューホールドダウン装置をドラムブレーキに短い工数で組み付けドラムブレーキを安価に製造できるシューホールドダウン装置を提供することにある。
【解決手段】シューホールドダウンピン54は、その先端部において、その長手方向に直交する方向に突き出して貫通穴16aの幅寸法よりも大きい幅寸法を有し、挿入方向では貫通穴16aの内周縁に当接することにより貫通穴16aを通過可能な幅寸法まで弾性変形により縮小させられるが、引き抜き方向では貫通穴16aの内周縁に当接するにも拘わらずその貫通穴16aを通過可能な幅寸法まで弾性変形しない一対の掛止突部54dを有するので、一対の掛止突部54dをバッキングプレート16の貫通穴16aに差し込むだけでシューホールドダウン装置46,48をドラムブレーキ10に装着することができため、シューホールドダウン装置46,48をドラムブレーキ10に短い工数で組み付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムブレーキ用のシューホールドダウン装置に係り、特にドラムブレーキの製造コストを安価にする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドラムブレーキに用いられるシューホールドダウン装置は、たとえば特許文献1に示すように、一対のブレーキシューをバッキングプレートに拡開可能に配設するために、そのバッキングプレートに向かって付勢するシューホールドダウンスプリングとそのシューホールドダウンスプリングを掛止する一端部とバッキングプレートを掛止する他端部とを有する上記付勢する方向に伸びたシューホールドダウンピンとを備え、そのシューホールドダウンスプリングの付勢力をそのシューホールドダウンピンの一端部と他端部とに介すことによって、一対のブレーキシューをバッキングプレートに対して面方向に相対移動が可能に保持するものである。
【特許文献1】特開2004−197903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のようなシューホールドダウン装置では、それをドラムブレーキに組み付ける際、上記シューホールドダウンピンの一端部を、車両側からバッキングプレートに設けられた貫通穴とブレーキシューのウェブに設けられた貫通穴とに通し、シューホールドダウンスプリングまたはそれに当接した部材に設けられた掛止穴に位置決めする。そして、取付工具を用いてシューホールドダウンスプリングをウェブ方向に押圧してシューホールドダウンピンの一端部がシューホールドダウンスプリングの掛止穴から突出したら取付工具を90度回転することにより、シューホールドダウン装置をドラムブレーキに組み付ける。そのため、上記のようなシューホールドダウン装置では、そのシューホールドダウン装置をドラムブレーキに組み付ける際に多くの工数がかかってしまいドラムブレーキを安価に製造できないという問題があった。
【0004】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、シューホールドダウン装置をドラムブレーキに短い工数で組み付けドラムブレーキを安価に製造できるシューホールドダウン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するための請求項1に係る発明の要旨とするところは、シューホールドダウンスプリングと、そのシューホールドダウンスプリングの一端部に設けられ、一対のブレーキシューを通してバッキングプレートに貫通して設けられた貫通穴に掛け止められるシューホールドダウンピンとを有し、そのシューホールドダウンスプリングの弾性復帰力を用いてその一対のブレーキシューをそのバッキングプレートに押圧した状態で拡開可能に保持するシューホールドダウン装置であって、前記シューホールドダウンピンが、その先端部において、長手方向に直交する方向に突き出して前記貫通穴の幅寸法よりも大きい幅寸法を有し、挿入方向ではその貫通穴の内周縁に当接することによりその貫通穴を通過可能な幅寸法まで弾性変形により縮小させられるが、引き抜き方向ではその貫通穴の内周縁に当接にも拘わらずその貫通穴を通過可能な幅寸法まで弾性変形しない一対の掛止突部を、有することにある。
【0006】
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、請求項1に係る発明において、前記シューホールドダウンピンは、長手状の板材が幅方向に2分割された一対の細板材から成り、前記一対の掛止突部は、前記一対の細板材の先端部が互いに反対側へ曲げ成形された、前記シューホールドダウンピンの長手方向に対して鋭角を成す傾斜部、およびそれに続いてその長手方向に対して直交する当接部とにより構成されていることにある。
【0007】
また、請求項3に係る発明の要旨とするところは、請求項2に係る発明において、前記一対の細板材は、その長手方向の中間部において前記掛止突部の突き出し方向と同じ方向へ突き出すように局部的に曲げられた操作突部をそれぞれ有することにある。
【0008】
また、請求項4に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至3のいずれかに係る発明において、前記シューホールドダウンスプリングは、所定長さの帯板状のばね材からU字状に一体に曲成されることにより、相対向する一対の平板部とその一対の平板部の一端を連結する湾曲した連結部とを備え、その一対の平板部が互いに離れる方向の弾性力により前記一対のブレーキシューを前記バッキングプレート側へに押圧するものであることにある。
【0009】
また、請求項5に係る発明の要旨とするところは、請求項4に係る発明において、前記シューホールドダウンピンを構成する一対の細板材は、前記帯板状のばね材の幅方向の中間部がその帯板状のばね材の一端部を基部として切り起こされたものであり、そのシューホールドダウンピンは、前記一対の平板部の一方から他方を貫通し、前記ブレーキシューを通して前記バックングプレートの貫通穴に掛け止められるものであることにある。
【0010】
また、請求項6に係る発明の要旨とするところは、請求項5に係る発明において、前記帯板状のばね材の一端部を基部として切り起こされることにより前記帯板状のばね材の幅方向の中間部に形成された長手状の切欠きの端縁を基部として前記ブレーキシュー側へ曲げられた回止め突起を備えることにある。
【0011】
また、請求項7に係る発明の要旨とするところは、請求項4に係る発明において、前記シューホールドダウンピンを構成する一対の細板材は、前記帯板状のばね材の幅方向の中間部がその帯板状のばね材の一端部からさらにその長手方向に突き出されたものであり、そのシューホールドダウンピンは、前記一対の平板部の一方の平板部から他方の平板部の端から形成された切欠きを貫通し、前記ブレーキシューを通して前記バックングプレートの貫通穴に掛け止められることにある。
【0012】
また、請求項8に係る発明の要旨とするところは、請求項7に係る発明において、前記他方の平板部の端縁の切欠きを形成するために切り起こされ且つ前記ブレーキシュー側へ曲げられた回止め突起を備えることにある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明のシューホールドダウン装置によれば、前記シューホールドダウンピンは、その先端部において、長手方向に直交する方向に突き出して前記貫通穴の幅寸法よりも大きい幅寸法を有し、挿入方向ではその貫通穴の内周縁に当接することによりその貫通穴を通過可能な幅寸法まで弾性変形により縮小させられるが、引き抜き方向ではその貫通穴の内周縁に当接にも拘わらずその貫通穴を通過可能な幅寸法まで弾性変形しない一対の掛止突部を有するので、単にシューホールドダウンピンの先端をバッキングプレートの貫通穴に差し込むだけで装着でき、シューホールドダウン装置をドラムブレーキに短い工数で組み付けられることができドラムブレーキを安価に製造することができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明のシューホールドダウン装置によれば、前記シューホールドダウンピンは、長手状の板材が幅方向に2分割された一対の細板材から成り、前記一対の掛止突部は、前記一対の細板材の先端部が互いに反対側へ曲げ成形された、前記シューホールドダウンピンの長手方向に対して鋭角を成す傾斜部、およびそれに続いてその長手方向に対して直交する当接部とにより構成されているので、その傾斜部と貫通穴の内周縁との当接によって掛止突部の幅寸法が小さくなってシューホールドダウンピンの先端部を容易に貫通穴に通すことができ、その先端部が貫通穴を通過した後は掛止突部の幅寸法が貫通穴の幅寸法よりも拡大されて、当接部がバッキングプレートの裏面に当接させられて抜けが阻止される。
【0015】
また、請求項3に係る発明のシューホールドダウン装置によれば、前記一対の細板材は、その長手方向の中間部において前記掛止突部の突き出し方向と同じ方向へ突き出すように局部的に曲げられた操作突部をそれぞれ有するので、その操作突部を相互に接近する方向に押圧操作すると、掛止突部の幅寸法が貫通穴の幅寸法よりも小さくされ、シューホールドダウン装置をドラムブレーキに組み付けた後にシューホールドダウン装置をドラムブレーキから短時間で取り外すことができる。
【0016】
また、請求項4に係る発明のシューホールドダウン装置によれば、前記シューホールドダウンスプリングは、所定長さの帯板状のばね材からU字状に一体に曲成されることにより、相対向する一対の平板部とその一対の平板部の一端を連結する湾曲した連結部とを備え、その一対の平板部が互いに離れる方向の弾性力により前記一対のブレーキシューを前記バッキングプレート側へに押圧するので、板ばね型のシューホールドダウンスプリングを構成することができる。
【0017】
また、請求項5に係る発明のシューホールドダウン装置によれば、前記シューホールドダウンピンを構成する一対の細板材は、前記帯板状のばね材の幅方向の中間部がその帯板状のばね材の一端部を基部として切り起こされたものであり、そのシューホールドダウンピンは、前記一対の平板部の一方から他方を貫通し、前記ブレーキシューを通して前記バックングプレートの貫通穴に掛け止められるものであるので、シューホールドダウン装置が一個の部品から構成され、部品点数が減少して生産現場での部品管理を容易にすることができる。
【0018】
また、請求項6に係る発明のシューホールドダウン装置によれば、前記帯板状のばね材の一端部を基部として切り起こされることにより前記帯板状のばね材の幅方向の中間部に形成された長手状の切欠きの端縁を基部として前記ブレーキシュー側へ曲げられた回止め突起を備えるので、走行中の振動等によってシューホールドダウン装置がシューホールドダウンピンまわりに回転させられることを防止することができる。
【0019】
また、請求項7に係る発明のシューホールドダウン装置によれば、前記シューホールドダウンピンを構成する一対の細板材は、前記帯板状のばね材の幅方向の中間部がその帯板状のばね材の一端部からさらにその長手方向に突き出されたものであり、そのシューホールドダウンピンは、前記一対の平板部の一方の平板部から他方の平板部の端から形成された切欠きを貫通し、前記ブレーキシューを通して前記バックングプレートの貫通穴に掛け止められるものであるので、シューホールドダウン装置が1個の部品から構成され、部品点数が減少して生産現場での部品管理を容易にすることができる。
【0020】
また、請求項8に係る発明のシューホールドダウン装置によれば、前記他方の平板部の端縁の切欠きを形成するために切り起こされ且つ前記ブレーキシュー側へ曲げられた回止め突起を備えるので、走行中の振動等によってシューホールドダウン装置がシューホールドダウンピンまわりに回転させられることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の一実施例のパーキングブレーキ用ドラムブレーキ(以下、ドラムブレーキという)10を中央部に備えたデュオサーボ型のドラムインディスクブレーキ12のハット型ディスクおよびキャリパ等を取り外した正面図である。上記ハット型ディスクは、円板状外周部と有底円筒状中央部とを備え、その円板状外周部がディスクブレーキの摩擦板として機能し、その有底円筒状中央部がブレーキドラムとして機能するように構成されている。図1の2点鎖線で示す円は上記有底円筒状中央部の外周面14を示している。
【0023】
ドラムブレーキ10は、略円板形状を成し、たとえば図示しない車軸管、アクスルハウジング、サスペンション装置などの車体側部材すなわち非回転部材に一体的に固設されたバッキングプレート16を備えている。このバッキングプレート16の外周部には、前記ハット型ディスクの円板状外周部を保護するためのディスクカバー18が固定されている。
【0024】
また、ドラムブレーキ10は、バッキングプレート16の左右の外周部に凸側が外側になる姿勢で互いに接近離間可能に略対称的に配設される円弧形状の一対のブレーキシュー20、22と、その一対のブレーキシュー20、22の一端部すなわち図1の下端部の間に介在させられてアジャストホイール24の回転に伴って全長が変化すなわち伸長させられることによりシュー間隙を調節する間隙調節装置26と、それら下端部間に張設されてそれら下端部を互いに接近する方向に常時付勢して間隙調節装置26を長手方向に挟圧するための中間部分がコイル状のスプリング28と、一対のブレーキシュー20、22の他端部すなわち図1の上端部の間において位置固定に設けられた拡開装置30と、それら上端部を互いに接近する方向に常時付勢して拡開装置30に当接させるためのコイル状のリターンスプリング32とを備えている。
【0025】
スプリング28の中間部分は間隙調節装置26のアジャストホイール24に接触させられており、アジャストホイール24が振動等によって回転しないようになっている。それら間隙調節装置26およびスプリング28は、一対のブレーキシュー20、22の一端部間を相対回転可能に連結するものであるので、間隙調節機能を備えた連結装置として機能している。
【0026】
一対のブレーキシュー20、22は、何れも、前記バッキングプレート16の板面と略平行な平板状を成し且つ図1に示す正面図において全体が円弧形状に湾曲したシューウェブ34,36と、それらの円弧形状を成す外周側端縁に沿って断面が略T字状を成すように一体的に固設された帯板状のシューリム38,40と、それらシューリム38,40の外周面に接着剤などで一体的に固着された摩擦材から成るライニング42,44とを備えてそれぞれ構成されている。バッキングプレート16、シューウェブ34,36、シューリム38,40は、いずれも鋼板から打ち抜かれかつ所定の曲げ成形が施されたプレス部品である。
【0027】
一対のブレーキシュー20,22は、シューウェブ34、36の長手方向の中央付近にそれぞれ配設されたシューホールドダウン装置46,48によって拡開可能にバッキングプレート16に設けられている。シューホールドダウン装置46および48は相互に同様に構成されているので、以下においてはその一方を用いて説明する。
【0028】
図2はシューホールドダウン装置46が一対のブレーキシュー20すなわちドラムブレーキ10に装着される前を示す斜視図である。シューホールドダウン装置46は、帯板状のばね材をU字状に曲成することにより相対向する一対の平板部50aとその一対の平板部50aの一端を連結する湾曲した連結部50bとを有する板ばね型のシューホールドダウンスプリング50と、そのシューホールドダウンスプリング50の幅方向の中間部がシューウェブ34側とは反対側の平板部50aを基部として切り起こされその切り起こしによってシューホールドダウンスプリング50の幅方向の中間部に切り欠かれた切欠50cと、一対の平板部50aのうちシューウェブ34側とは反対側の一方の切欠50cの端縁から他方の平板部50aおよびシューウェブ34に形成された貫通穴52とを通ように一体に突き出した細板状のシューホールドダウンピン54とを備えて構成されている。
【0029】
シューホールドダウンピン54は、上記細板状のシューホールドダウンピン54をその幅方向において2分割させた一対の細板材54aから構成され、それら細板材54aは、先端部にシューホールドダウンピン54の長手方向に対して鋭角を成す傾斜部54bおよびその傾斜部54bに続いてその長手方向に対して直交する当接部54cを有するようにシューホールドダウンピン54の厚み方向において互いに反対側へ曲げ成形された一対の掛止突部54dと、一対の細板材54aの長手方向の中間部にそれらの掛止突部54dの突き出し方向に局部的に突き出すように曲げられた一対の操作突部54eとを有している。シューホールドダウンピン54の厚み方向における一対の掛止突部54dの先端部間の幅寸法は、一対の操作突部54eを相互に接近する方向に押圧することによって、その幅寸法を縮小することができるようになっている。
【0030】
シューホールドダウンスプリング50は、シューウェブ34側の切欠50cの端縁を基部としてシューウェブ34側すなわち貫通穴52側へ曲げた回止め突起50dを備えており、その回止め突起50dは貫通穴52内に嵌められることによって、シューホールドダウン装置46がシューホールドダウンピン54まわりに回転しようとする回転を、その回止め突起50dおよびシューホールドダウンピン54を貫通穴52の内周縁に当接させることによって防止するためのものである。また、シューホールドダウンスプリング50、一対の平板部50a、連結部50b、切欠50c、回止め突起50d、シューホールドダウンピン54、一対の細板材54a、傾斜部54b、当接部54c、一対の掛止突部54d、一対の操作突部54eつまりシューホールドダウン装置46は前記帯板状のばね材から一体的に成形されたものである。
【0031】
バッキングプレート16は、円の両側を切り欠いた形状すなわち図2、3のような鍵穴形状に貫通された貫通穴16aを備えおり、その貫通穴16aはシューホールドダウンピン54の厚み方向とシューホールドダウンピン54の幅方向とに異なる幅寸法Aと幅寸法Bとを有している。図3に示すように、幅寸法Aはシューホールドダウンピン54の厚み方向における一つの掛止突部54dの幅寸法Cより大きくシューホールドダウンピン54の厚み方向における一対の掛止突部54dの幅寸法Dより小さい範囲内で設定され、幅寸法Bはシューホールドダウンピン54の厚み方向における一対の掛止突部54dの幅寸法Dより大きい範囲で設定されている。また、シューホールドダウンピン54の幅方向におけるシューホールドダウンピン54の幅寸法Eは幅寸法Aより小さくなるように設定されている。
【0032】
図4は、シューホールドダウン装置46を一対のブレーキシュー20すなわちドラムブレーキ10に装着する組付作業の工程を示す図であり、第1工程56は、シューホールドダウン装置46の一対の掛止突部54dをシューウェブ34の貫通穴52に通して図3に示すバッキングプレート16の貫通穴16aの開口縁に位置決めした状態を示している。
【0033】
図4の第2工程58は、第1工程56の状態からシューホールドダウンスプリング50の一対の平板部50aのうちのシューウェブ34とは反対側の平板部50aをそのシューウェブ34側に押圧してシューホールドダウンスプリング50を圧縮した状態を示している。この圧縮によって、一対の掛止突部54dの傾斜部54bは貫通穴16aの内周縁に当接させられて矢印方向の力を受ける。これによって、シューホールドダウンピン54の一対の掛止突部54dの幅寸法Dは貫通穴16aを通過可能な大きさつまり貫通穴16aの幅寸法A以下に弾性変形により縮小されるので、一対の掛止突部54dは貫通穴16aを通過することができる。
【0034】
図4の第3工程60は、一対の掛止突部54dを貫通穴16aに通過してシューホールドダウン装置46をドラムブレーキ10に装着した状態を示している。一対の掛止突部54dが貫通穴16aを通過させられると、傾斜部50bに作用していた力は解除され、弾性復帰力によってシューホールドダウンピン54の厚み方向における一対の掛止突部54dの幅寸法Dは第1工程56に示される本来の大きさまで戻される。
【0035】
このようにしてシューホールドダウン装置46が装着されると、シューホールドダウンスプリング54の弾性復帰力によって、一対の掛止突部54dはシューホールドダウンピン54を介してシューウェブ34側すなわち第3工程60に示す矢印方向に引き抜こうとされるがその当接部54cは貫通穴16aの内周縁に当接するが当接部54cの面と貫通穴16aの内周縁の面とは平行であるので一対の掛止突部54dの幅寸法Dは縮小されない。そのため、一対の掛止突部54dは貫通穴16aに掛け止められ、シューホールドダウンスプリング50が圧縮されることによって発生する弾性復帰力はシューホールドダウンピン54がバッキングプレート16の貫通穴16aに掛け止められることによって維持される。それによって、シューホールダウン装置46は、シューウェブ34をバッキングプレート16側へ常時付勢して、一対のブレーキシュー20をバッキングプレート16に対して面方向の相対移動可能に保持することができる。
【0036】
シューホールドダウン装置46は、一対のブレーキシュー20すなわちドラムブレーキ10に装着された後、以下の3つの方法でシューホールドダウン装置46をドラムブレーキ10から取り外すことができるようになっている。
【0037】
第1の方法は、一対の掛止突部54dの幅寸法が貫通穴16aを通過可能な大きさに縮小させるように、車両側から一対の掛止突部54dを挟圧した状態で一対の掛止突部54dをシューウェブ34側に引き抜くことによって、シューホールドダウン装置46をドラムブレーキ10から取り外すものである。
【0038】
第2の方法は、回止め突起50dを貫通穴16aに係合しない状態までシューウェブ34側の平板部50bを持ち上げてその状態で一対の掛止突部54dと貫通穴16aとがシューホールドダウンピン54の長手方向において重ならないように、シューホールドダウン装置46をシューホールドダウンピン54まわりに回転してその重ならない状態で一対の掛止突部54dをシューウェブ34側に引き抜くことによって、シューホールドダウン装置46をドラムブレーキ10から取り外すものである。
【0039】
第3の方法は、一対の操作突部54eを相互に接近する方向に押圧して、シューホールドダウンピン54の厚み方向における一対の掛止突部54dの幅寸法を貫通穴16aに通過可能な大きさに縮小してその状態で一対の掛止突部54dをシューウェブ34側に引き抜くことによって、シューホールドダウン装置46をドラムブレーキ10から取り外すものである。
【0040】
拡開装置30は、図5に示されるように、バッキングプレート16に対して面方向に移動可能な浮動式であり、一端部において連結ピン56により相対回動可能に連結されたレバー58およびストラット60を備えており、連結ピン56がバッキングプレート16と略平行となる姿勢で配設されている。レバー58は2枚の金属板で構成されており、連結ピン56に連結される一端部は互いに密着するように一体的に重ね合わせられているとともに、ブレーキシュー22と係合させられる係合凹部62が設けられている一方、他端部は互いに所定寸法だけ離間させられてケーブル掛止部64が設けられ、パーキングブレーキケーブル66の先端に固設された掛止部材68が掛止されている。また、ストラット60も2枚の金属板で構成されており、その内側にレバー58が配設されているとともに、連結ピン56と反対の他端部は互いに密着するように内側へ曲げられて一体的に重ね合わせられ、ブレーキシュー20と係合させられる係合凹部70が設けられている。また、レバー58には、所定形状に曲成された板ばね72が装着され、パーキングブレーキケーブル66をレバー58のケーブル掛止部64へ案内するとともに、一旦ケーブル掛止部64に挿入された掛止部材68が離脱しないようにしている。
【0041】
また、一対のブレーキシュー20、22が配設されたバッキングプレート16の一面には、複数本のボルト74によってアンカーブロック76がバッキングプレート16と共にアクスルハウジングやサスペンション装置など車体側部材に一体的に固定されており、拡開装置30は、それらボルト74の頭部74h上に当接して支持され、アンカーブロック76およびバッキングプレート16には、パーキングブレーキケーブル66を挿通させるための挿通孔78、80が設けられている。これら挿通孔78、80には、パーキングブレーキケーブル66を内周側に収容するガイドパイプ82が挿通され、それらにかしめ着けられている。
【0042】
このように構成された拡開装置30では、パーキングブレーキケーブル66を介して引張方向のパーキングブレーキレバーからの操作力が伝達されると、連結ピン56がバッキングプレート16側に接近させられるにともなって係合凹部62および70の間隔すなわち一対のブレーキシュー20、22の上端部が拡開され、制動力が発生させられる。また、反対にその操作力が戻されると、リターンスプリング32の付勢力に従って一対のブレーキシュー20、22が縮径され、制動力が解除されるようになっている。
【0043】
ここで、本実施例のシューホールドダウン装置46,48によれば、シューホールドダウンピン54は、その先端部において、そのシューホールドダウンピン54の長手方向に直交する方向に突き出して貫通穴16aの幅寸法よりも大きい幅寸法を有し、挿入方向ではその貫通穴16aの内周縁に当接することによりその貫通穴16aを通過可能な幅寸法まで弾性変形により縮小させられるが、引き抜き方向ではその貫通穴16aの内周縁に当接するにも拘わらずその貫通穴16aを通過可能な幅寸法まで弾性変形しない一対の掛止突部54dを有するので、単にシューホールドダウンピン54の一対の掛止突部54dをバッキングプレート16の貫通穴16aに差し込むだけでシューホールドダウン装置46,48をドラムブレーキ10に装着することができため、シューホールドダウン装置46,48をドラムブレーキ10に短い工数で組み付けられることができドラムブレーキ10を安価に製造することができる。
【0044】
また、本実施例のシューホールドダウン装置46,48によれば、シューホールドダウンピン54は、長手状の板材が幅方向に2分割された一対の細板材54aから成り、一対の掛止突部54dは、その一対の細板材54aの先端部が互いに反対側へ曲げ成形された、シューホールドダウンピン54の長手方向に対して鋭角を成す傾斜部54b、およびそれに続いてその長手方向に対して直交する当接部54cとにより構成されているので、その傾斜部54bと貫通穴16aの内周縁との当接によって一対の掛止突部54dの幅寸法が小さくなってシューホールドダウンピン54の先端部を容易に貫通穴16aに通すことができ、その先端部が貫通穴16aを通過した後は一対の掛止突部54dの幅寸法が貫通穴16aの幅寸法よりも拡大されて、当接部54cがバッキングプレート16の裏面に当接させられて抜けが阻止される。
【0045】
また、本実施例のシューホールドダウン装置46,48によれば、一対の細板材54aは、その長手方向の中間部において一対の掛止突部54dの突き出し方向と同じ方向へ突き出すように局部的に曲げられた操作突部54eをそれぞれ有するので、その操作突部54eを相互に接近する方向に押圧操作すると、一対の掛止突部54dの幅寸法が貫通穴16aの幅寸法よりも小さくされ、シューホールドダウン装置46,48をドラムブレーキ10に組み付けた後にシューホールドダウン装置46,48をドラムブレーキ10から短時間で取り外すことができる。
【0046】
また、本実施例のシューホールドダウン装置46,48によれば、シューホールドダウンスプリング50は、所定長さの帯板状のばね材からU字状に一体に曲成されることにより、相対向する一対の平板部50aとその一対の平板部50aの一端を連結する湾曲した連結部50bとを備え、その一対の平板部50aが互いに離れる方向の弾性力により一対のブレーキシュー20をバッキングプレート16側へに押圧するので、板ばね型のシューホールドダウンスプリングをシューホールドダウンスプリング50に構成することができる。
【0047】
また、本実施例のシューホールドダウン装置46,48によれば、シューホールドダウンピン54を構成する一対の細板材54aは、前記帯板状のばね材の幅方向の中間部がその帯板状のばね材の一端部を基部として切り起こされたものであり、そのシューホールドダウンピン54は、一対の平板部50aの一方から他方を貫通し、ブレーキシュー34を通してバックングプレート16の貫通穴16aに掛け止められるものであるので、シューホールドダウン装置46,48が一個の部品から構成され、部品点数が減少して生産現場での部品管理を容易にすることができる。
【0048】
また、本実施例のシューホールドダウン装置46,48によれば、前記帯板状のばね材の一端部を基部として切り起こされることによりその帯板状のばね材の幅方向の中間部に形成された長手状の切欠50cの端縁を基部としてブレーキシュー34側へ曲げられた回止め突起50dを備えるので、走行中の振動等によってシューホールドダウン装置46,48がシューホールドダウンピン54まわりに回転させられることを防止することができる。
【実施例2】
【0049】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の他の実施例において前述した実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
本実施例のドラムブレーキは、前述の実施例とは異なるシューホールドダウン装置84を備えた以外はドラムブレーキ10と略同様であって、図6はその他の実施例のシューホールドダウン装置84を説明する図であり、図2に対応するものである。
【0051】
図6に示すようにシューホールドダウン装置84は、帯板状のばね材をU字状に曲成することにより相対向する一対の平板部86aとその一対の平板部86aの一端を連結する湾曲した連結部86bとを有する板ばね型のシューホールドダウンスプリング86と、そのシューホールドダウンスプリング86の幅方向の中間部がシューウェブ34側とは反対側の平板部86aからさらにブレーキシュー34側の平板部86aを切り起こすことによって端縁から切り欠かれた切欠86cと貫通穴52とを通り突き伸ばされた細板状のシューホールドダウンピン88とを備え構成されている。また、シューホールドダウンスプリング86には切欠86cを形成するために切り起こされ貫通穴52に嵌めるためにブレーキシュー34側に曲げられた前述の実施例の回止め突起50dと同じ回止め突起84dが備えられている。
【0052】
シューホールドダウンピン88は、前述の実施例つまり図2〜4に示されたシューホールドダウンピン54と同様に、上記帯板状のシューホールドダウンピン88をその幅方向において2分割させた一対の細板材88aから構成されており、その一対の細板材88aには前述の実施例の傾斜部54b、当接部54c、一対の掛止突部54d、一対の操作突部54eと同じ傾斜部88b、当接部88c、一対の掛止突部88d、一対の操作突部88eが備えられている。また、シューホールドダウンスプリング86、一対の平板部86a、連結部86b、切欠86c、回止め突起86d、シューホールドダウンピン88、一対の細板材88a、傾斜部88b、当接部88c、一対の掛止突部88d、一対の操作突部88eつまりシューホールドダウン装置84は前記帯板状のばね材から一体的に成形されたものである。
【0053】
以上のように構成されたシューホールドダウン装置84の装着に際しては、一対の掛止突部88dをシューウェブ34の貫通穴52に通して前述の実施例の図3に示すバッキングプレート16の貫通穴16aの開口縁に位置決めし、その状態でシューホールドダウンスプリング86の一対の平板部86aのうちのシューウェブ34とは反対側の平板部86aをシューウェブ34側に押圧することによってシューホールドダウンスプリング86を圧縮させると、その圧縮によって一対の掛止突部88dの傾斜部88bは貫通穴16aの内周縁に当接されシューホールドダウンピン88の厚み方向における一対の掛止突部88dの幅寸法Dが貫通穴16aを通過可能な大きさつまり貫通穴16aの幅寸法A以下に弾性変形されて、掛止突部88dが貫通穴16aを通過させられる。その通過後には、傾斜部88bに作用していた力は解除され、弾性復帰力によってシューホールドダウンピン88の厚み方向における一対の掛止突部88dの幅寸法Dは一対の掛止突部88dが貫通穴16aの内周縁に当接される前の幅寸法までもどされる。
【0054】
このようにしてシューホールドダウン装置84が装着されると、シューホールドダウンスプリング88の弾性復帰力によって、一対の掛止突部88dはシューホールドダウンピン88を介してシューウェブ34側に引き抜こうとされ当接部88cは貫通穴16aの内周縁に当接するが、当接部88cの面と貫通穴16aの内周縁の面とは平行であるので、一対の掛止突部88dの幅寸法Dは縮小されず貫通穴16aに掛け止めされる。そのため、シューホールドダウンスプリング86が圧縮されることによって発生する弾性復帰力はシューホールドダウンピン88の先端部がバッキングプレート16の貫通穴16aに掛け止めることによって維持されるので、シューホールダウン装置84は、シューウェブ34をバッキングプレート16側へ常時付勢して、一対のブレーキシュー20をバッキングプレート16に対して面方向の相対移動可能に保持することができる。
【0055】
シューホールドダウン装置84は、一対のブレーキシュー20すなわち本実施例のドラムブレーキに装着された後、前述の実施例と同様な方法でそのドラムブレーキからシューホールドダウン装置84を取り外すことができるようになっている。
【0056】
本実施例のシューホールドダウン装置84によれば、シューホールドダウンピン88を構成する一対の細板材88aは、前記帯板状のばね材の幅方向の中間部がその帯板状のばね材の一端部からさらにその長手方向に突き出されたものであり、そのシューホールドダウンピン88は、一対の平板部86aの一方の平板部86aから他方の平板部86aの端から形成された切欠86cを貫通し、ブレーキシュー34を通してバックングプレート16の貫通穴16aに掛け止められるものであるので、シューホールドダウン装置84が1個の部品から構成され、部品点数が減少して生産現場での部品管理を容易にすることができる。
【0057】
また、本実施例のシューホールドダウン装置84によれば、切欠86cを形成するために切り起こされ且つブレーキシュー34側へ曲げられた回止め突起86dを備えるので、走行中の振動等によってシューホールドダウン装置84がシューホールドダウンピン88まわりに回転させられることを防止することができる。
【0058】
また、本実施例のシューホールドダウン装置84よれば、シューホールドダウンピン88を構成する一対の細板材88aはシューホールドダウンスプリング86の幅方向の中間部を切り起こすことによって構成されたものではないので、シューホールドダウンスプリング86を圧縮することによって発生する弾性復帰力を高めることができる。
【0059】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適応される。
【0060】
たとえば、前述の実施例のドラムブレーキ10は、デュオサーボ型ドラムブレーキであったが、ツーリーディング型やリーディング・トレーリング型などのシューホールドダウン装置を用いる形式のドラムブレーキであれば種々の態様が可能である。
【0061】
また、前述の実施例のドラムブレーキ10では、一対のブレーキシュー20,22が拡開装置30によって拡開されていたが、よく知られたホイールシリンダによって拡開されるものであってもよい。
【0062】
また、前述の実施例のドラムブレーキ10では、貫通穴16aの形状が鍵穴形状であったが、一対の掛止突部54d、88dが弾性変形して通過することができればどんな形状でも何等差し支えない。
【0063】
また、前述の実施例のシューホールドダウン装置46,48,84は、ドラムブレーキに組み付けられた後に3通りの方法で取り外すことができたが必ずしも3通りの方法をシューホールドダウン装置46,48,84に備えていなくてもよい。
【0064】
また、前述の実施例のシューホールドダウン装置46,48、84は、シューホールドダウンピン54、88の幅方向においてそのシューホールドダウンピン54、88を2分割したものであったが、3分割以上したものであってもよいし、分割しないものであってもよい。
【0065】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施例のデュオサーボ型ドラムブレーキを示す正面図である。
【図2】ドラムブレーキにシューホールドダウン装置が装着される前のシューホールドダウン装置を説明する斜視図である。
【図3】図2のIII-III視断面図である。
【図4】シューホールドダウン装置がドラムブレーキに装着されるまでの段階を示す図である。
【図5】図1の実施例のドラムブレーキに備えられた拡開装置の構成を説明するための拡大図である。
【図6】本発明の他の実施例のシューホールドダウン装置を示す図であり、図2に対応するものである。
【符号の説明】
【0067】
16:バッキングプレート
16a:貫通穴
20,22:一対のブレーキシュー
46,48、84:シューホールドダウン装置
50、86:シューホールドダウンスプリング
50a、86a:一対の平板部
50b、86b:連結部
50d、86d:回止め突起
54、88:シューホールドダウンピン
54a、88a:一対の細板材
54b、88b:傾斜部
54c、88c:当接部
54d、88d:一対の掛止突部
54e、88e:操作突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューホールドダウンスプリングと、該シューホールドダウンスプリングの一端部に設けられ、一対のブレーキシューを通してバッキングプレートに貫通して設けられた貫通穴に掛け止められるシューホールドダウンピンとを有し、該シューホールドダウンスプリングの弾性復帰力を用いて該一対のブレーキシューを該バッキングプレートに押圧した状態で拡開可能に保持するシューホールドダウン装置であって、
前記シューホールドダウンピンが、その先端部において、
長手方向に直交する方向に突き出して前記貫通穴の幅寸法よりも大きい幅寸法を有し、挿入方向では該貫通穴の内周縁に当接することにより該貫通穴を通過可能な幅寸法まで弾性変形により縮小させられるが、引き抜き方向では該貫通穴の内周縁に当接にも拘わらず該貫通穴を通過可能な幅寸法まで弾性変形しない一対の掛止突部を、
有することを特徴とするシューホールドダウン装置。
【請求項2】
前記シューホールドダウンピンは、長手状の板材が幅方向に2分割された一対の細板材から成り、
前記一対の掛止突部は、前記一対の細板材の先端部が互いに反対側へ曲げ成形された、前記シューホールドダウンピンの長手方向に対して鋭角を成す傾斜部、およびそれに続いて該長手方向に対して直交する当接部とにより構成されていることを特徴とする請求項1のシューホールドダウン装置。
【請求項3】
前記一対の細板材は、その長手方向の中間部において前記掛止突部の突き出し方向と同じ方向へ突き出すように局部的に曲げられた操作突部をそれぞれ有することを特徴とする請求項2のシューホールドダウン装置。
【請求項4】
前記シューホールドダウンスプリングは、所定長さの帯板状のばね材からU字状に一体に曲成されることにより、相対向する一対の平板部と該一対の平板部の一端を連結する湾曲した連結部とを備え、該一対の平板部が互いに離れる方向の弾性力により前記一対のブレーキシューを前記バッキングプレート側へに押圧するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかのシューホールドダウン装置。
【請求項5】
前記シューホールドダウンピンを構成する一対の細板材は、前記帯板状のばね材の幅方向の中間部が該帯板状のばね材の一端部を基部として切り起こされたものであり、
該シューホールドダウンピンは、前記一対の平板部の一方から他方を貫通し、前記ブレーキシューを通して前記バックングプレートの貫通穴に掛け止められることを特徴とする請求項4のシューホールドダウン装置。
【請求項6】
前記帯板状のばね材の一端部を基部として切り起こされることにより前記帯板状のばね材の幅方向の中間部に形成された長手状の切欠きの端縁を基部として前記ブレーキシュー側へ曲げられた回止め突起を備えることを特徴とする請求項5のシューホールドダウン装置。
【請求項7】
前記シューホールドダウンピンを構成する一対の細板材は、前記帯板状のばね材の幅方向の中間部が該帯板状のばね材の一端部からさらにその長手方向に突き出されたものであり、
該シューホールドダウンピンは、前記一対の平板部の一方の平板部から他方の平板部の端から形成された切欠きを貫通し、前記ブレーキシューを通して前記バックングプレートの貫通穴に掛け止められることを特徴とする請求項4のシューホールドダウン装置。
【請求項8】
前記他方の平板部の端縁の切欠きを形成するために切り起こされ且つ前記ブレーキシュー側へ曲げられた回止め突起を備えることを特徴とする請求項7のシューホールドダウン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−303537(P2007−303537A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131900(P2006−131900)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(390005670)豊生ブレーキ工業株式会社 (104)
【Fターム(参考)】