説明

シラン

本発明は、シラン、とくに両親媒性シラン、シランの製造方法、粒子の表面改質のためのそれらの使用、および、該シランによって表面が改質された粒子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン、とくに両親媒性シラン、シランの製造方法、粒子の表面改質のためのそれらの使用、および、該シランによって表面が改質された粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
シランは、多くの産業分野、とくに表面の改質において、重要性を増している。このことは、ビルやモニュメントなどの巨視的な表面にも関連し、さらに例えば、ナノメートルやマイクロの領域などの微視的なサイズの粒子の表面にもますます関連している。
【0003】
最も一般的な適用において、シランは、それでコートしたものの表面特性を改質する働きを有する。最も簡単な場合、疎水性シランの適用によって、全体として疎水性化され、例えば、湿気または埃に弱くなくなる。加えて、疎水性シランはまた、例えば、EP 0 634 459に記載されているように、対応するコーティングにおける真珠光沢のある顔料のアライメント特性の改質のために好適である。
【0004】
他の例は、例えば、周囲媒質(ambient medium)による反応などによる共有結合を形成することができる反応基を含むシランの使用に関する。これらの例として、WO 98/13426が挙げられ、それは、反応基が水性コーティングのポリマーと結合を形成し得る水性コーティングシステムのためのシラン改質真珠光沢顔料を開示する。
【0005】
全ての記載されるシランは、それでコートされた粒子の親水性化または粒子の表面の付加的な反応基の供給か、個々の場合において1つの機能的特性を達成できるだけであるという欠点を有する。しかしながら、特にナノテクノロジーの分野において、複数の特性は、多機能の粒子を提供することができるように互いに組み合わせることができることが望まれ、そして実際上、重要である。したがって、例えば、表面の改質の過程で多機能の特性を備えた粒子を提供することができるために、互いに複数の異なる特性を組み合わせる新しい多機能のシランに対する要求がある。
【0006】
したがって本発明の目的は、前記の複雑な要求プロファイルを満たす新規シランを提供することである。
【発明の開示】
【0007】
驚くべきことに、本発明のシランがこれらの要求にかなうことを見出した。したがって本発明は、一般式(I)
(R)Si−S−Ahp−Bhb (I)
式中、基Rは、同一または異なっていてもよく、加水分解的に切り離され得る基を示し、
基Sは、−O−、直鎖状または分枝状の1〜18個のC原子を有するアルキル、直鎖状または分枝状の2〜18個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有するアルケニル、直鎖状または分枝状の2〜18個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有するアルキニル、1〜6個のC原子を有するアルキル基で置換され得る、飽和、部分的または完全に不飽和である3〜7個のC原子を有するシクロアルキルを示し、
基Ahpは、親水性ブロックを示し、
基Bhbは、疎水性ブロックを示し、
ここで、少なくとも1つの反応性官能基が、Ahpおよび/またはBhb
に結合している、
で表わされるシラン、特に両親媒性シランに関する。
【0008】
本発明のシランは、それら自体が複数の特性を組み合わせるという利点を有する。それらは、例えば、親水性ブロックを介した親水性特性を有する表面と、同時に、疎水性ブロックを介した疎水性特性を有する表面とを備えた粒子を提供することができる。このことは、粒子表面の環境に依存して、親水性/疎水性の自己組織化された切替可能性(switchability)をもたらす。加えて、付加的な反応性官能基は、例えば、周囲媒質とさらなる結合を形成することができる。粒子の表面は、したがって、単一の改質によって非常に広い種々の適用に適合され、したがって、すべての適用に対して親和的になる。さらに、本発明の両親媒性シランは、例えば、比較的長い鎖長によって、例えば、表面におけるシランのアライメントおよび方向に関して、可動性(mobility)が増大されている。このことによって、周囲媒質と相互作用する両親媒性シランの夫々の領域の改善されたアライメントがサポートされ、よって同様に、それでコートされた粒子と非常に広い種々の媒質との親和性が改善される。
【0009】
本発明のシランの本質は、式(I)に示すとおり、個々のサブユニットの構造にある。
該シランは、頭部基(R)Siを含み、ここで基Rは、同一または異なっていてもよく、加水分解的に切り離され得る基である。基Rは、好ましくは、同一である。
【0010】
加水分解的に切り離され得る好適な基として、例えば、1〜10個のC原子を有する、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルコキシ基、ハロゲン、水素、2〜10個のC原子を有し、特に2〜6個のC原子を有するアシルオキシ基、またはNR’基が挙げられ、ここで基R’は、同一または異なっていてもよく、水素または1〜10個のC原子を有する、特に1〜6個のC原子を有するアルキルから選択される。好適なアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシ基である。好適なハロゲンは、特に、BrおよびClである。アシルオキシ基の例として、アセトキシまたはプロポキシ基が挙げられる。さらにまたオキシムは、加水分解的に切り離され得る基として好適である。ここでオキシムは、水素または任意の所望の有機基で置換されていてもよい。基Rは、好ましくは、アルコキシ基、および、特に、メトキシまたはエトキシ基である。
【0011】
Si頭部基と親水性ブロックAhpとの間の結合要素として機能し、本発明の目的の架橋機能を示すスペーサーSは、前記頭部基と共有結合する。基Sは、−O−、または、直鎖状または分枝状の1〜18個のC原子を有するアルキル、直鎖状または分枝状の2〜18個のC原子および1または2以上の二重結合を有するアルケニル、直鎖状または分枝状の2〜18個のC原子および1または2以上の三重結合を有するアルキニル、1〜6個のC原子を有するアルキル基で置換されてもよい、飽和、部分的または全体的に不飽和の3〜7個のC原子を有するシクロアルキルである。
【0012】
のC−C18−アルキル基は、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル基、さらにはペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルまたはテトラデシル基である。任意に、例えば、ジフルオロメチル、テトラフルオロエチル、ヘキサフルオロプロピルまたはオクタフルオロブチル基のようにペルフルオロ化されてもよい。
【0013】
2〜18個のC原子を有する直鎖状または分枝状の、複数の二重結合が存在してもよいアルケニルは、例えば、ビニル、アリル、2−または3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、さらに4−ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、−C16、−C1018から−C1834、好ましくは、アリル、2−または3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、さらに好ましくは、4−ペンテニル、イソペンテニルまたはヘキセニルである。
【0014】
2〜18個のC原子を有する直鎖状または分枝状の、複数の三重結合が存在してもよいアルキニルは、例えば、エチニル、1−または2−プロピニル、2−または3−ブチニル、さらに4−ペンチニル、3−ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、−C14、−C1016から−C1832、好ましくはエチニル、1−または2−プロピニル、2−または3−ブチニル、4−ペンチニル、3−ペンチニルまたはヘキシニルである。
【0015】
置換されていない飽和または部分的もしくは全体的に不飽和である、3〜7個のC原子を有するシクロアルキル基は、C−からC−アルキル基で置換されている、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタ−1,3−ジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサ−1,3−ジエニル、シクロヘキサ−1,4−ジエニル、フェニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル、シクロヘプタ−1,4−ジエニルまたはシクロヘプタ−1,5−ジエニル基であることができる。
【0016】
スペーサー基Sに親水性ブロックAhpが続く。これは、非イオン性、カチオン性、アニオン性または両性イオンの親水性のポリマー、オリゴマーまたは基から選択される。最も簡単な態様において、親水性ブロックは、アンモニウム、スルホニウムまたはホスホニウム基、アルキル鎖含有カルボキシル、スルフェートおよびホスフェート基であり、ここで後者は、対応する塩、部分的にエステル化した無水物を含む遊離酸または塩の基、OH‐置換アルキルまたはシクロアルキル鎖(例えば、糖類)を含む少なくとも1つのOH基、NH−およびSH−置換アルキルまたはシクロアルキル鎖またはモノ−、ジ−、トリ−またはオリゴエチレングリコール基の形態であってもよい。対応するアルキル鎖の長さは、1〜20個のC原子、好ましくは、1〜6個のC原子であることができる。
【0017】
ここで、非イオン性、カチオン性、アニオン性または両性イオンの親水性のポリマー、オリゴマーまたは基は、当業者に一般的に知られた方法による重合化によって対応するモノマーから製造することができる。好適な親水性モノマーは、ここで、
(i)中和剤によってアニオンに変換され得る官能基およびアニオン基、および/または、
(ii)中和剤および/または四級化剤によってカチオンに変換され得る官能基およびカチオン基、および/または、
(iii)非イオン性親水性基
からなる群から選択される少なくとも1つの分散性官能基を含む。
【0018】
官能基(i)は、好ましくは、カルボキシル、スルホニルおよびホスホニル基、酸の硫酸およびリン酸エステル基およびカルボキシレート、スルホネート、ホスホネート、スルフェートエステルおよびホスフェートエステル基からなる群から選択され、官能基(ii)は、好ましくは、一級、二級および三級アミノ基、一級、二級、三級および四級アンモニウム基、四級ホスホニウム基および三級スルホニウム基からなる群から選択され、そして官能基(iii)は、好ましくは、オメガ−ヒドロキシ−およびオメガ−アルコキシポリ(アルキレンオキシド)−1−イル基からなる群から選択される。
【0019】
中和されていない場合、一級および二級アミノ基は、イソシアネート−反応性官能基としても役立つことができる。
【0020】
非常に好適な官能基(i)を含む親水性モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ベータ−カルボキシエチルアクリレート、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸;オレフィン不飽和(olefinically unsaturated)であるスルホン酸またはホスホン酸またはそれらの部分エステル;または、モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルマレエート、モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルスクシネートまたはモノ(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、特にアクリル酸およびメタクリル酸が挙げられる。
非常に好適な官能基(ii)を含む親水性モノマーの例としては、2−アミノエチルアクリレートおよびメタクリレートまたはアリルアミンが挙げられる。
【0021】
非常に好適な官能基(iii)を含む親水性モノマーの例としては、オメガ−ヒドロキシ−またはオメガ−メトキシポリエチレンオキシド−1−イル、オメガ−メトキシポリプロピレンオキシド−1−イルまたはオメガ−メトキシポリ(エチレンオキシド−コポリプロピレンオキシド)−1−イルアクリレートまたはメタクリレート、および例えばヒドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシ置換エチレン、アクリレートまたはメタクリレートが挙げられる。
【0022】
両性イオンの親水性ポリマーの形成に好適なモノマーの例としては、ベタイン構造が側鎖で生じるものが挙げられる。側基は、好ましくは、−(CH−(N(CH)−(CH−SO、−(CH−(N(CH)−(CH−PO2−、−(CH−(N(CH)−(CH−O−PO2−または−(CH−(P(CH)−(CH−SOから選択され、ここで、mは、1〜30の範囲、好ましくは1〜6の範囲の整数、特に好ましくは2を表し、nは、1〜30の範囲、好ましくは1〜8の範囲の整数、特に好ましくは3を表す。
【0023】
ここで親水性ブロックの少なくとも1つの構造ユニットが、ホスホニウムまたはスルホニウム基を有する場合が特に好ましい可能性がある。
一般的に、対応する構造は、以下のスキーム:
【化1】

によって製造することができる。
【0024】
ここで、例えば、AIBNの添加でトルエン中のフリーラジカルによるなど、既知の方法によって、所望の量のラウリルメタクリレート(LMA)およびジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を共重合する。ベタイン構造は、続いて、既知の方法によって、アミンと1,3−プロパンスルトンとの反応で得られる。
【0025】
本発明の他の変形において、トルエン中のAIBNでのフリーラジカル重合によって、既知の手順で製造できるラウリルメタクリレート(LMA)およびヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)から実質的になるコポリマーを用いるのが好ましい。
【0026】
親水性モノマーを選択する場合、官能基(i)を含む親水性モノマーおよび官能基(ii)を含む親水性モノマーが、好ましくは互いに、不溶性の塩または錯体を形成しないように組み合わせることが保証されるべきである。これに対し、官能基(i)を含むかまたは官能基(ii)を含む親水性モノマーは、所望のとおり、官能基(iii)を含む親水性モノマーと組み合わせることができる。
上記の親水性モノマーでは、官能基(i)を含むモノマーが特に好ましく用いられる。
【0027】
アニオンに変換され得る官能基(i)の中和剤は、好ましくは、ここで、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、トリフェニルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、2−アミノメチルプロパノール、ジメチルイソプロピルアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラアミンからなる群から選択され、カチオンに変換され得る官能基(ii)の中和剤は、好ましくは、硫酸、塩酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、ジメチロールプロピオン酸およびクエン酸からなる群から選択される。
【0028】
親水性ブロックは、極めて特に好ましくは、モノ−、ジ−およびトリエチレングリコール構造ユニットから選択される。
疎水性ブロックBhbが、親水性ブロックAhpに続いて結合する。ブロックBhbは、疎水性基または、親水性ブロックのように、重合に好適な疎水性モノマーをベースとする。
【0029】
好適な疎水性基の例として、直鎖状または分枝状の1〜18個のC原子を有するアルキル、直鎖状または分枝状の2〜18個のC原子および1または2以上の二重結合を有するアルケニル、直鎖状または分枝状の2〜18個のC原子および1または2以上の三重結合を有するアルキニル、1〜6個のC原子を有するアルキル基で置換されていてもよい、飽和、部分的または全体的に不飽和の3〜7個のC原子を有するシクロアルキルが挙げられる。このような基の例は、既に前記のとおりである。さらに、アリール、ポリアリール、アリール−C−C−アルキルまたは2個を超えるC原子を有するエステルが好適である。該基は、さらに、置換されていてもよく、特にハロゲンで置換されていてもよく、ここでパーフルオロ化した基が特に好ましい。
【0030】
アリール−C−C−アルキルは、例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチルまたはフェニルヘキシルを示し、ここで、フェニル環およびアルキレン鎖の両方が、前記のとおり、部分的または全体的にFで置換されていてもよく、特に好ましくは、ベンジルまたはフェニルプロピルである。
【0031】
疎水性ブロックBhpについて、疎水性のオレフィン不飽和モノマーの好適な例として、以下のものが挙げられる。
(1)例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、エタクリル酸、ビニルホスホン酸または20個までの炭素原子をアルキル基中に有するビニルスルホン酸アルキルまたはシクロアルキルエステル、特に、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、ステアリルおよびラウリルアクリレート、メタクリレート、クロトネート、エタクリレートまたはビニルホスホネートまたはビニルスルホネート;シクロ脂肪族(メタ)アクリル酸、クロトン酸、エタクリル酸、ビニルホスホン酸またはビニルスルホン酸エステル、特に、シクロヘキシル、イソボロニル、ジシクロペンタジエニル、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンメタノールまたはtert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、クロトネート、エタクリレート、ビニルホスホネートまたはビニルスルホネートなどのオレフィン不飽和酸の実質的に酸基フリーのエステル。これらは、二次的な量(secondary amounts)の、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンジメタノールまたはシクロヘキサン−1,2−、−1,3−または−1,4−ジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートおよび類縁のエタクリレートまたはクロトネートなどの、より反応性の高い(メタ)アクリル酸、クロトン酸またはエタクリル酸アルキルまたはシクロアルキルエステルを含んでいてもよい。本発明の目的のため、二次的な量のより反応性の高いモノマー(1)は、ポリマーの架橋やゲル化をもたらすことのない量を意味する;
【0032】
(2)1分子あたり少なくとも1つのヒドロキシル基またはヒドロキシメチルアミノ基を有し、実質的に酸基を有さないモノマーであって、以下のものなどが挙げられる:
−例えば、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メタクリレートまたはエタクリレートなどヒドロキシアルキル基が20個までの炭素原子を含む、アクリル酸、メタクリル酸およびエタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなどのアルファ,ベータ−オレフィン不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンジメタノールまたはメチルプロパンジオールモノアクリレート、モノメタクリレートまたはモノクロトネート;または、例えば、イプシロン−カプロラクトンなどの環状エステルの反応産物およびこれらのヒドロキシアルキルエステル;
【0033】
−アリルアルコールなどのオレフィン不飽和アルコール;
−トリメチロールプロパンモノアリルエーテルまたはペンタエリスリトールモノ−、ジ−またはトリアリルエーテルなどの多価アルコールのアリルエーテル。より反応性の高いモノマーは、一般的に、二次的な量で用いられるだけである。本発明の目的のため、二次的な量のより反応性の高いモノマーは、ポリマーの架橋またはゲル化をもたらすことのない量を意味する;
【0034】
−アルファ,ベータ−オレフィン不飽和カルボン酸と、分子内に5〜18個の炭素原子を有するアルファ−分枝状モノカルボン酸のグリシジルエステルとの反応産物。アクリルまたはメタクリル酸と、四級アルファ−炭素原子を有するカルボン酸のグリシジルエステルとの反応は、重合反応の前、間または後に起こすことができる。用いられるモノマー(2)は、好ましくは、アクリルおよび/またはメタクリル酸と、Versatic(登録商標)酸のグリシジルエステルとの反応産物である。このグリシジルエステルは、Cardura(登録商標)E10の名称で商業的に利用可能である。さらなる情報として、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben [Roempp's Lexicon of Surface Coatings and Printing Inks], Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 1998, 605および606頁が参考となる。
【0035】
−N−メチロールおよびN,N−ジメチロールアミノエチルアクリレート、−アミノエチルメタクリレート、−アクリルアミドおよび−メタクリルアミドなどの、アルファ,ベータ−オレフィン不飽和カルボン酸の、および、アルファ,ベータ−オレフィン不飽和カルボキサミドのアミノアルキルエステルのホルムアルデヒド付加物;および、
【0036】
−ヒドロキシル−反応性シランとエピクロロヒドリン30との反応および続く中間体とアルファ,ベータ−オレフィン不飽和カルボン酸との反応によって製造することができる、アクリルオキシシラン基およびヒドロキシル基含有オレフィン不飽和モノマー、特にアクリル酸およびメタクリル酸またはこれらのヒドロキシアルキルエステル;
【0037】
(3)VeoVa(登録商標)のブランドで市場にあるVersatic(登録商標)酸のビニルエステルなどの分子中に5〜18個の炭素原子を有するアルファ−分枝状モノカルボン酸のビニルエステル;
【0038】
(4)エチレン、プロピレン、ブト−1−エン、ペント−1−エン、ヘキサ−1−エン、シクロヘキセン、シクロペンテン、ノルボルネン、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンなどの環状および/または非環状のオレフィン;
【0039】
(5)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−、N,N−ジメチル−、N−エチル−、N,N−ジエチル−、N−プロピル−、N,N−ジプロピル−、N−ブチル−、N,N−ジブチル−および/またはN,N−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリルアミドなどのアルファ、ベータ−オレフィン不飽和カルボン酸のアミド;
【0040】
(6)アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸および/またはイタコン酸のグリシジルエステルなどのエポキシ基を含むモノマー;
【0041】
(7)スチレン、ビニルトルエンまたはアルファ−アルキルスチレン、とくにアルファ−メチルスチレンなどのビニル芳香族炭化水素;
(8)アクリロニトリルまたはメタクリルニトリルなどのニトリル;
【0042】
(9)塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンジクロリド、ビニリデンジフルオリドなどのビニルハライド;N-ビニルピロリドンなどのビニルアミド;エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルおよびビニルシクロヘキシルエーテルなどのビニルエーテル;および、酢酸ビニル、ビニルプロピオネートおよびビニルブチレートなどのビニルエステルからなる群から選択されるビニル化合物;
【0043】
(10)プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテルまたはアリルアセテートまたはアリルプロピオネートなどのアリルエーテルおよびエステルからなる群から選択されるアリル化合物;前記のものは、より反応性の高いモノマーに対応して適用される;
【0044】
(11)飽和、不飽和、直鎖状または分枝状のアルキル基または既に前述した他の親水性基によって置換されていてもよいシロキサンまたはポリシロキサンモノマー。好適なものとして、数平均分子量1000から40000Mnおよび1分子あたりに平均0.5から2.5個のエチレン不飽和二重結合(ethylenically unsaturated double bonds)を有するポリシロキサンマクロモノマーも挙げられ、例えば、数平均分子量1000から40000Mnおよび1分子あたりに平均0.5から2.5個のエチレン不飽和二重結合を有するポリシロキサンマクロモノマーなどであり、特に、数平均分子量2000から20000、特に好ましくは、2500から10000、とりわけ3000から7000を有し、1分子あたりエチレン不飽和二重結合を平均0.5から2.5個、好ましくは、0.5から1.5個有するもので、DE 38 07 571 A1の5〜7頁、DE 37 06 095 A1の第3欄〜第7欄、EP 0 358 153 B1の3〜6頁、US 4,754,014 A1の第5欄〜第9欄、DE 44 21 823 A1または国際特許出願WO 92/22615の12頁18行〜18頁10行に記載されている;および、
【0045】
(12)アクリロイルオキシ−またはメタクリロイルオキシエチル、−プロピルまたは−ブチルカルバメートまたはアロファネートなどのカルバメートまたはアロファネート基を含むモノマー;さらなる、カルバメート基を含む好適なモノマーの例は、US 3,479,328 A1、US 3,674,838 A1、US 4,126,747 A1、US 4,279,833 A1またはUS 4,340,497 A1の特許明細書に記載されている。
【0046】
前記モノマーの重合は、例えば、重付加またはカチオン、アニオンまたはフリーラジカル重合によるなど、当業者に知られた任意の方法において行うことができる。種々のモノマータイプを、例えば、エポキシドとジカルボン酸またはイソシアネートとジオールのように、簡単な方法において互いに組み合わせることができるので、この点では、重付加が好ましい。
【0047】
個々の親水性および疎水性ブロックは、原則として、任意の望む方法によって、互いに組み合わせることができる。本発明の両親媒性シランは、2〜19の範囲、好ましくは4〜15の範囲のHLB値を有する。ここでHLB値は、
【数1】

【0048】
として定義され、シランが、より親水性または疎水性にふるまうかについて、すなわち、2つのブロックAhpおよびBhbのどちらが本発明のシランの特性に対して優位であるかを示す。HLB値は、理論的に計算され、親水性および疎水性の基の重量比に起因する。HLB値0は、親油性化合物を示す。HLB値20を有する化合物は、親水性成分だけを有する。
【0049】
本発明のシランは、さらにまた、少なくとも1つの反応性官能基がAhpおよび/またはBhbと結合するという事実によって区別される。反応性官能基は、好ましくは、疎水性ブロックBhbと結合し、特に好ましくは、疎水性ブロックの末端に結合する。好ましい態様において、頭部基(R)Siおよび反応性官能基は、できるだけ大きく離れている。このことは、例えば、周囲媒質と、反応基の潜在的な反応性を有意に制限することなく、ブロックAhpおよびBhbの鎖長の特に柔軟な設計を容易にする。
【0050】
反応性官能基は、加水分解的に切り離され得る基を含むシリル基、OH、カルボキシル、NHまたはSH基、ハロゲンまたは、例えば、アクリレートまたはビニル基などの二重結合を含む反応基から選択することができる。加水分解的に切り離され得る基を含む好適なシリル基は、頭部基(R)Siの記載において、既に前述した。反応基は好ましくは、OH基である。
【0051】
本発明は、同様に、好適な前駆体を化学反応で式(I)のシランへ変換する、
本発明のシラン、特に両親媒性シランの製造方法に関する。原則的に、反応が行われる方法に関し、何ら制限はない。最も簡単な場合、両親媒性シランは、好適な出発化合物の反応によって、1つのステップで得ることが可能である。例えば、本発明の両親媒性シランは、次にスキームに従い、製造することができる:
【化2】

【0052】
ここで、2つの出発物質は、例えば、トルエン中の保護ガス下で組み合わされ、90℃で一晩、互いに反応する。シランは続いて、当業者が知る任意の方法で、単離および精製することができる。
【0053】
好適なモノマーの重合の場合、親水性または疎水性ブロックは、第一ステップで第一に重合することができる。続く第二ステップにおいて、夫々の他のブロックは、次いで、第一ステップで得られた第一ブロックに重合される。
【0054】
好ましい両親媒性シランは、基Rがメトキシまたはエトキシである頭部基(R)Si、1〜18個のC原子を有する直鎖状アルキルを含有するスペーサーS、モノ−、ジ−およびトリエチレングリコール構造ユニットから選択される親水性ブロック、および1〜18個のC原子を有する直鎖状アルキルからなる疎水性ブロックを有する。親水性または疎水性ブロックに結合する反応性官能基は、好ましくは、OH、カルボキシ、NH、SH、アクリレートまたはビニル基から選択される。
【0055】
本発明のシラン、特に両親媒性シランは、粒子表面の改質に特に好適である。したがって同様に、本発明は、粒子の表面改質のための、シラン単独または他の表面改質剤と組み合わせての使用に関する。ここで原則として、用いることができる粒子に制限はない。したがって粒子は、例えば、球状または血小板形の粒子など、任意の形およびサイズの粒子であり得る。対応する血小板形の粒子の例は、例えば、Research Disclosures RD 471001およびRD 472005に記載のエフェクト顔料(effect pigments)などである。
【0056】
粒子は、好ましくは、ナノ粒子である。ナノ粒子は、通常、水分散液中で製造され、有機媒体へ移されなければならない。例えば、親水性ナノ粒子が非極性環境に急すぎるほどに持ち込まれた場合、粒子の凝集が起きる。この理由のため、標準的な方法は、通常、しばしば大量の溶媒を促進することによって、非常にゆっくりとした溶媒の交換をベースとする。これらの複数のステップの方法は、ゆっくりであって、複雑である。特にナノ粒子の場合、したがって本発明のシランの使用は、親水性環境においてのみならず、疎水性環境においても、粒子の有効な安定化を容易にする表面改質を可能にするので、特に有利である。したがって相転移は、本発明のシランの使用によって単純化される。この安定化が、両親媒性シランの鎖の可動性に起因し得ることが仮定される。環境に依存して、親水性または疎水性ブロックは、周囲媒質に面する。
【0057】
好適なナノ粒子は、シリコンの酸化物または水酸化物、任意に、シリコンの酸化物または水酸化物でコートされ得る、チタン、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、クロム、ニッケル、鉄、イットリウムおよび/またはジルコニウムをベースとした、または、例えば、Ag、Cu、Fe、Au、Pd、Ptまたは合金などのシリコンの酸化物または水酸化物でコートされた金属をベースとした、親水性および疎水性、特に親水性のナノ粒子からなる群から選択される。個々の酸化物は、混合物の形態であり得る。粒子は、好ましくは、3〜200nm、特に20〜80nm、極めて特に好ましくは、30〜50nmのMalvern ZETASIZER(動的光散乱)または透過型電子顕微鏡によって測定した平均粒子サイズを有する。同様に、本発明の特に好ましい態様において、粒子サイズの分布は狭い、すなわち、変動許容度(variation latitude)は、平均の100%未満であり、特に好ましくは、最大で平均の50%である。特に好ましいものとして、二酸化ケイ素をベースとしたナノ粒子の使用が挙げられる。
【0058】
極めて特に好ましいものとして、例えば、Optigel(登録商標)のブランドでSuedchemieによって、または、Laponite(登録商標)のブランドでLaporteによって、市場にあるナノヘクトライト(nanohectorites)の使用が挙げられる。さらにまた、イオン交換した水ガラスから製造されたシリカゾル(水中SiO)が特に好ましい。
【0059】
同様に本発明は、表面が、1種または2種以上の本発明のシラン単独、または他の表面改質剤との組み合わせによって改質された粒子に関する。
【0060】
本発明のシランとの組み合わせのための好適なさらなる表面改質剤は、例えば、有機官能性シラン、四級アンモニウム化合物、ホスホネート、ホスホニウムおよびスルホニウム化合物またはこれらの混合物である。付加的な表面改質剤は、好ましくは、有機官能性シランの群から選択される。
【0061】
記載された表面改質剤の要求は、特に、本発明に従い、2つまたは3つ以上の官能基を保持する接着促進剤に適合する。接着促進剤の1つの基は、ナノ粒子の酸化表面と化学的に反応する。アルコキシシリル基(例えば、メトキシ−またはエトキシシラン)、ハロシラン(例えば、クロロシラン)またはリン酸エステルまたはホスホン酸およびホスホン酸エステルの酸性基がここでは好ましい。記載された基は、異なる長さのスペーサーを介して第二の官能基と結合する。該スペーサーは、非反応性アルキル鎖、シロキサン、ポリエーテル、チオエーテルまたはウレタンまたは一般式(C,Si)(N,O,S)(式中、n=1−50、m=2−100、x=0−50)のこれらの基の組み合わせである。官能基は、好ましくは、アクリレート、メタクリレート、ビニル、アミノ、シアノ、イソシアネート、エポキシド、カルボキシルまたはヒドロキシル基である。
【0062】
シランベースの表面改質剤は、例えば、DE 40 11 044 C2に記載されている。リン酸をベースとする表面改質剤は、とりわけ、LUBRIZOL (Langer & Co.)から、Lubrizol(登録商標)2061および2063として、入手可能である。好適なシランは、例えば、ビニルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−エチルアミノ−N−プロピルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルエチルジクロロシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、フェニルアリルジクロロシラン、3−イソシアナトプロポキシトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロペニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、1,2−エポキシ−4−(エチルトリエトキシシリル)シクロヘキサン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリルオキシエチルトリメトキシシラン、2−アクリルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリルオキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリルオキシエチルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリス(プロポキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、3−アクリルオキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3−アクリルオキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3−アクリルオキシプロピルトリス(プロポキシ)シランおよび3−アクリルオキシプロピルトリス(ブトキシ)シランである。3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらのおよびさらなるシランは、例えば、ABCR GmbH & Co、Karlsruhe、またはデュッセルドルフのSivento Chemie GmbHより、商業的に利用可能である。
【0063】
ビニルホスホン酸およびジエチルビニルホスホネートは、ここで接着促進剤として述べてもよい(製造:Hoechst AG, フランクフルトアムマイン)。
【0064】
さらにまた同様に、本発明は、本発明の粒子の製造方法に関する。本発明の方法は、1つまたは2つ以上の本発明のシランと改質すべき粒子との、好ましくは、溶媒または溶媒混合物中での反応を含む。このタイプの方法は、当業者に知られており、夫々の要求に適合させることが可能である。溶媒または溶媒混合物は、例えば、水、アルコール、エーテルおよびケトンを含み得る。
【0065】
以下の例は、保護の範囲を制限することなく、本発明を示すだけである。特に、ここに記載された、問題となる例がベースとする定義された化合物の特徴、特性および利点はまた、詳細に述べていない他の物質および化合物に適用することができ、反対のことがどこにも述べられていなければ、クレームの保護の範囲にある。
【0066】
例:
例1:
【化3】

【0067】
a)
等モル量のイソシアナトプロピルトリエトキシシランおよびジエチレングリコールモノヘキシルエーテルを窒素丸底フラスコでトルエン中、保護ガス下で組み合わせ、還流冷却器で90℃で一晩攪拌した。薄層クロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル 1:1)による反応モニタリングによって、実際に完全な反応が示される。全ての揮発性成分は、ロータリーエバポレータによって除去される。
【0068】
b)
夫々0.208gの実施例a)のシランおよびメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(比1:1)を、55.50gのイオン交換シリカゾルLevasil 300/30(SiO粒子、直径10nm、H.C. Starck、ドイツより)に添加した。
全体で、SiO粒子の割合をベースとして、10%のシランを添加した。
混合物を、48時間攪拌し、わずかな濁度(turbidity)を示す単相反応バッチを得た。
【0069】
c)
100mlのイソプロパノールおよび100mlの1−ブタノールを、25.64gの例b)の混合物に添加した。蒸留による水およびイソプロパノールの除去によって、透明な溶液を得た。続いて、4.48gのLaromer LR 8987(UV−架橋アクリル樹脂、BASF製、ドイツ)を添加し、ブタノールを蒸留によって除去した。Laromerの量は、SiO:Laromerの比が30%:70%に対応している。得られたコーティング材料は、透明で黄色の液体であった。
【0070】
d)
100mlのイソプロパノールおよび100mlの1−ブタノールを、30.16gの例b)の混合物に添加した。蒸留による水およびイソプロパノールの除去により、透明な溶液を得た。続いて、2.26gのLaromer LR 8987(UV−架橋アクリル樹脂、BASF製、ドイツ)を添加し、ブタノールを蒸留によって除去した。Laromerの量は、SiO:Laromerの比が50%:50%に対応している。得られたコーティング材料は、透明で黄色の液体であった。
【0071】
例2:
【化4】

【0072】
a)
50gのTHF、30.4gのGeniosil GF 20 (トリエトキシシリルプロピル無水コハク酸、Wacker、ドイツ)および11.7gの1−アミノヘキサノールを混合し、攪拌しながら、1時間還流した。続いて、テトラヒドロフランを蒸留で除去した。
【0073】
b)
2gのステップa)の反応産物を、100gのアニオン安定化シリカゾル(Levasil 200/30, H.C. Starck、ドイツ)に添加し、該混合物を室温で24時間攪拌した。続いて、800gのイソプロパノールを添加し、固体含量が30重量%に達するまで、溶媒を蒸留で除去した。イソプロパノール中のSiOの半透明で安定した分散液が得られた。
【0074】
例3:
【化5】

【0075】
a)
23.6gのグリシドオキシプロピルトリメトキシシランを、50gのテトラヒドロフラン中、10.1gの1−アミノヘキサンの溶液に、攪拌しながら滴下して添加し、該混合物を続いて1時間還流した。続いてテトラヒドロフランを蒸留で除去した。
【0076】
b)
2gの例a)の反応産物を、100gのアニオン安定化シリカゾル(Levasil 200/30, H.C. Starck、ドイツ)に添加し、該混合物を室温で24時間攪拌した。続いて800gのイソプロパノールを添加し、溶媒を固体含量が30重量%に達するまで蒸留により除去した。イソプロパノール中のSiOの半透明で安定した分散液が得られた。
【0077】
例1〜3は、両親媒性シランでコートした粒子が、種々の媒質に組み込まれ得ることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
(R)Si−S−Ahp−Bhb (I)
式中、基Rは、同一または異なっていてもよく、加水分解的に切り離され得る基を示し、
基Sは、−O−、直鎖状または分枝状の1〜18個のC原子を有するアルキル、直鎖状または分枝状の2〜18個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有するアルケニル、直鎖状または分枝状の2〜18個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有するアルキニル、1〜6個のC原子を有するアルキル基で置換され得る、飽和、部分的または完全に不飽和である3〜7個のC原子を有するシクロアルキルを示し、
基Ahpは、親水性ブロックを示し、
基Bhbは、疎水性ブロックを示し、
ここで、少なくとも1つの反応性官能基が、Ahpおよび/またはBhb
に結合している、
で表わされるシラン。
【請求項2】
基Rが、1〜10個のC原子を有するアルコキシ、ハロゲン、水素、2〜10個のC原子を有するアシルオキシ、またはNR’基であって、ここで基R’は、同一または異なっていてよく、水素および1〜10個のC原子を有するアルキルから選択されることを特徴とする、請求項1に記載のシラン。
【請求項3】
親水性ブロックAhpが、ノニオン性、カチオン性、アニオン性または両性イオンの親水性ポリマー、オリゴマーまたは基から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載のシラン。
【請求項4】
疎水性ブロックBhbが、疎水性基をベースとするか、または疎水性モノマーの重合化をベースとすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のシラン。
【請求項5】
反応性官能基が、OH、カルボキシル、NHまたはSH基、ハロゲンまたは二重結合を有する反応基から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のシラン。
【請求項6】
シランが両親媒性であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のシラン。
【請求項7】
好適な前駆体を化学反応において式(I)のシランに変換することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のシランの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のシランの、単独でのまたは他の表面改質剤と組合せての粒子の表面改質のための使用。
【請求項9】
粒子がナノ粒子であることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
ナノ粒子が、任意にケイ素の酸化物または水酸化物でコートされてもよい、ケイ素、チタン、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、クロム、ニッケル、鉄、イットリウムおよび/またはジルコニウムの酸化物または水酸化物、またはそれらの混合物をベースとするか、または、ケイ素の酸化物または水酸化物でコートされた、例えば、Ag、Cu、Fe、Au、Pd、Ptまたは合金などの金属をベースとすることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載の1種または2種以上のシラン単独またはこれと他の表面改質剤と組合せによって、表面が改質された粒子。
【請求項12】
粒子が、任意にケイ素の酸化物または水酸化物でコートされてもよい、ケイ素、チタン、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、クロム、ニッケル、鉄、イットリウムおよび/またはジルコニウムの酸化物または水酸化物、またはそれらの混合物をベースとするか、または、ケイ素の酸化物または水酸化物でコートされた、例えば、Ag、Cu、Fe、Au、Pd、Ptまたは合金などの金属をベースとするナノ粒子であることを特徴とする、請求項11に記載の粒子。
【請求項13】
表面改質剤が、有機官能性シラン、四級アンモニウム化合物、ホスホネート、ホスホニウム化合物およびスルホニウム化合物またはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11または12に記載の粒子。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれかに記載の1種または2種以上のシランと、改質すべき粒子とを、好ましくは、溶媒または溶媒混合物中において反応させることを含む、請求項11〜13のいずれかに記載の粒子の製造方法。

【公表番号】特表2009−517349(P2009−517349A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541609(P2008−541609)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010329
【国際公開番号】WO2007/059842
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】