説明

シリカでコーティングされた溶融粒子

本発明は、シリカを含むコーティングによって少なくとも部分的に被覆された溶融基材粒子を含む被コーティング粒子であって、上記基材粒子がその重量を基準にして40重量%超のアルミナを含む被コーティング粒子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融粒子、例えば、アルミナの溶融粒子、アルミナ−ジルコニア粒子、または酸化マグネシウムを含有する溶融粒子に関する。本発明はまた、本発明による粒子を含む研磨具、および本発明の粒子を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
研磨具は、これを構成するセラミック粒子を形成する態様に従って一般に、支持体を用いずに発射または懸濁される遊離研磨材、粒子が布地、紙または高分子膜タイプの支持体に固定されている塗布研磨材、および円形のホイール、棒などの形態である結合研磨材に分類される。
【0003】
結合研磨材については、研磨材粒子は、有機結合剤、例えば、フェノール樹脂またはガラス状結合剤、例えば、酸化物によって構成される結合剤、特に、シリケート結合剤と共に押圧される。上記粒子は、それ自体が摩耗に関して良好な機械的特性、特に、高い靱性および/または硬度を有し、結合剤との良好な密着性(界面の固体性)を生じさせなければならない。
【0004】
現在、広範囲の用途および性能をカバーする種々のファミリーの研磨材粒子が存在する。「溶融粒子」と称される、出発物質を溶融することによって合成される粒子は、優れた性質/生産コストの折衷案を提示する。
【0005】
本明細書において、別段の指示がない限り、全ての粒子の組成を、粒子の全重量を基準にして重量百分率として与える。
【0006】
溶融粒子の範囲において、アルミナおよびジルコニアをベースとする材料が、米国特許第3181939号以来公知である。上記粒子は、補完物がアルミナであり、10%〜60%のジルコニア、0〜10%の添加物から一般に構成される。実際、市販製品におけるジルコニアの量は、約25%であり、すなわち、米国特許第3891408号に記載されているように、アルミナ−ジルコニア共晶混合物に関してはジルコニアのおよその値が約42%であり、一般には35%〜50%の範囲である。
【0007】
米国特許第4457767号にもまた、溶融粒子が記載されている。言及することができる例は、供給者Saint−Gobain(フランス)によって商品名NZPlus(登録商標)で販売されている粒子である。上記粒子は、補完物がアルミナであり、39重量%のジルコニアおよび0.8%のY、0.5%未満の不純物を典型的には含有する。上記粒子の混合物は、特に、多量の材料が除去される操作(粗研削、研削切断など)において、特に、ステンレス鋼に対しての塗布研磨材または有機結合剤含有研磨材ホイールに広く用いられる。
【0008】
さらに、EP−A−01613709号には、補完物がAlであり、数パーセントのMgOを含む粒子が記載されている。酸化マグネシウムを含有するこのようなアルミナ−含有粒子は、出発物質を溶融することによって製造される。次いで、溶融材料を好ましくは迅速に冷却して、薄い金属板間をキャストするためのデバイス、例えば、米国特許第3993119号に開示されているものなどを用いた、微細な配向構造の製造を促進する。冷却した材料を例えばローラ粉砕ミルを用いて最終的に破砕し、次いで篩にかけ、一連の粒径分布、すなわち、厳密な規格、例えばFEPAに準拠する「粒度」に分類する。
【0009】
米国特許第5042991号には、非水性液懸濁液中の疎水性シリカから得られるコーティングが記載されている。
【0010】
WO−A−2006/032982号には、ガラス親和性粒子をコーティングする方法が記載されている。アルミナは、ガラス親和性材料ではない。
【0011】
研磨材粒子と結合剤とのより良好な付着を得るために、粒子表面に、例えば、酸化マグネシウムもしくは酸化マンガンをベースとするコーティング(米国特許第4913708号)、またはアルミナ水和物およびケイ酸ナトリウムをベースとするコーティング(EP−A−0856037号)を適用することが公知である。しかし、これらのコーティングは、不都合、特に、酸化マンガンの毒性、またはアルミナ水和物もしくはケイ酸ナトリウムのその吸湿性に起因した早期エージングに関する問題に悩まされる場合がある。
【0012】
研磨材粒子の表面へのシリカの適用もまた、EP−A−0417729号において推奨されているが、ゾルゲル経路によって製造され、かつビトリファイドホイールを対象とした焼結粒子についてであり、溶融粒子についてではない。
【0013】
しかし、コーティングの適用によって誘導される粒子の性能の改変は、粒子が溶融されているか焼結されているかによって大きく異なり得る。これを理論的に説明することはできないが、EP−A−0417729号には、アルミナ含有研磨材粒子に同じ処理を同様に適用すること、およびガラス質結合剤を用いることにより、粒子がゾルゲル経路によって製造されるか、またはその他によって製造されるかによって、破砕の際に同じ性能を示さない研磨具を結果としてもたらすことが示されている。
【0014】
さらに、日本特許出願第60−98299号には、フレーク形態を有するシリカベースのコーティングを製造する方法が記載されている。この方法は、基材粒子をシリカゾルに浸漬するステップ、過剰のシリカを排除するステップ、次いで高温で加熱処理するステップを含む。この特許出願には、コロイド状シリカを用いて微粒子の凝集体である研磨材粒子をコーティングすることは一般に困難であることが示されている。
【0015】
結論として、溶融粒子をコーティングするのに使用される方法は、一般に複雑かつ高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第3181939号
【特許文献2】米国特許第3891408号
【特許文献3】米国特許第4457767号
【特許文献4】EP−A−01613709号
【特許文献5】米国特許第3993119号
【特許文献6】米国特許第5042991号
【特許文献7】WO−A−2006/032982号
【特許文献8】米国特許第4913708号
【特許文献9】EP−A−0856037号
【特許文献10】EP−A−0417729号
【特許文献11】日本特許出願第60−98299号
【特許文献12】WO/2004/094554号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
結合剤、特に有機結合剤との優れた付着を示し、および/または高い靱性を有する新規の研磨材粒子に対する継続的な必要性が存在する。本発明の一目的は、この必要性に対応することである。
【0018】
また、このような研磨材粒子を効果的なやり方かつ低コストで製造する新規の方法に対する必要性も存在する。本発明はまた、この必要性に対応することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、シリカを含むコーティングによって少なくとも部分的にまたはさらに完全に被覆された溶融基材粒子を含む被コーティング粒子であって、該基材粒子がその重量を基準にして、重量百分率で40%超のアルミナを含む、被コーティング粒子を提案する。
【0020】
残りの明細書においてより詳細に示すように、このようなシリカコーティングは、良好な衝撃強度および破壊強度ならびに/または結合剤との良好な付着を得ることを可能にする。
【0021】
本発明による粒子はまた、特に、以下の、場合による特徴の1つまたは複数を含んでもよい:
・コーティングが、その重量を基準にして、重量百分率で95%超のシリカを含む;
・シリカが親水性である;
・コーティングの重量が、基材粒子の重量の0.01%超、0.1%超および/または2%未満、0.75%未満、もしくは実に0.3%未満である;
・コーティングが、上記基材粒子の表面の実質的に全てを被覆する;
・コーティングが、クラックもフレークも有さない;
・コーティングが、基材粒子の表面と、上記コーティングおよび上記表面を分離する中間層を有さずに、接触している;
・基材粒子が、その重量を基準にして、重量百分率で少なくとも1%のジルコニア、マグネシア、またはジルコニアとマグネシアとの混合物を含む;
・基材粒子が、重量百分率で、全体で100%である、以下の化学分析:
Al: 45〜65%
ZrO+HfO: 35〜50%
他: 0〜12%、または
Al: 65〜80%
ZrO+HfO:15〜30%
他: 0〜12.0%、または
Al: 92.0〜98.5%
MgO: 1.5〜6.5%
他: <2.0%
の1つを有する;
・基材粒子の組成物中の添加物の全重量が10%未満である。
【0022】
本発明はまた、本発明による被コーティング粒子を含む粒子の混合物であって、上記被コーティング粒子のサイズが45μm(マイクロメートル)超、400μm超もしくは500μm超、および/または3.35mm(ミリメートル)未満もしくは2mm未満もしくは600μm未満である混合物も提供する。
【0023】
本発明はまた、結合剤によって結合され、支持体によって凝集または堆積された研磨材粒子を含む研磨具であって、上記研磨材粒子の少なくとも一部が本発明によるものである研磨具も提供する。結合剤は、特に有機結合剤であってよい。
【0024】
本発明はまた、被コーティング粒子を製造する方法であって、連続する以下のステップ:
1)特に、その重量を基準にして重量百分率で40%超のアルミナを含む溶融基材粒子を得るまたは製造するステップ;
2)上記基材粒子を、好ましくは水性の、シリカを含有する懸濁液によって少なくとも部分的にコーティングするステップ;
3)場合により、上記懸濁液によって湿らせた基材粒子を乾燥させて、シリカをベースとするコーティングを形成するステップ
を含む方法も提供する。
【0025】
特に、本発明による方法はまた、以下の、場合による特徴の1つまたは複数を含んでもよい:
・ステップ2)の前に、溶融基材粒子を、特に、600℃超、もしくは実に800℃超、もしくは実に1000℃超、および/または1550℃未満、もしくは実に1350℃未満、もしくは実に1250℃未満の温度で実施される「前」処理と称される加熱処理ステップに付す。前加熱処理の継続時間は、例えば、30分超、もしくは実に1時間超、もしくは3時間超、および/または10時間未満であってよい。代替的には、溶融基材粒子を、ステップ2)の前に、いずれの加熱処理ステップにも付さなくてよい;
・ステップ2)において、基材粒子を、ある量の懸濁液、すなわち、基材粒子100g当たり0.5g(グラム)超、0.75g超、もしくは実に1.0g超、および/または5g未満、4g未満、3g未満、もしくは実に2g未満の懸濁液と混合する。シリカ懸濁液は、25%未満、または実に10%未満、または実に5%未満のシリカ濃度を有していてよい;
・場合によるステップ3)の後に、上記方法は、加熱処理ステップ4)を含み、上記加熱処理を、100℃超、200℃超、300℃超、および/または1550℃未満、1500℃未満、1350℃未満、1000℃未満、もしくは実に500℃未満、もしくは450℃未満の温度で実施する。上記加熱処理を、30分超、1時間超、および/または24時間未満もしくは10時間未満の期間にわたって実施する;
・溶融基材粒子を、ステップ2)およびステップ3)またはステップ4)の間のいずれの中間ステップにも付さない;
・上記方法は、ステップ3)または、適切な場合にはステップ4)の終わりに得られる被コーティング粒子が本発明に従うように適合される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
定義
明確のために、用語「被コーティング粒子」は、溶融材料の「基材粒子」および前記基材粒子を少なくとも部分的に被覆するシリカ含有コーティングを含む粒子を表すのに用いられる。
【0027】
用語「コーティング」は、基材粒子の表面で延在する固体材料の層を意味する。コーティングは、基材粒子の表面においてあらゆる細孔に浸透していてよい。しかし、コーティングは、化学組成の区切りをマーキングする基材粒子との界面によって画定される。
【0028】
用語「溶融粒子」は、冷却による溶融物質の固化を含む方法を用いて得られる粒子を意味する。
【0029】
「溶融物質」は、その形状を保持するためには入れ物に含まれていなければならない塊である。溶融物質は、一般に液体である。しかし、上記物質は、固体微粒子を含有していてよいが、構造を上記塊にすることを可能にするには不十分な量である。
【0030】
用語「粒子の混合物」は、キャスト可能な粒子の混合物、すなわち、本質的な剛性を有さないことを意味する。小さいサイズの粒子については、用語「粉末」が従来的に用いられる。
【0031】
本発明の被コーティング粒子は、粒子の混合物の形態、特に、研磨具の製造のための出発物質として用いる準備が整っている粒子の混合物の形態、または、上記粒子が、例えば、剛性塊を構成するために、特に、結合研磨材を構成するために布地に固定されているかもしくは共に結合しているために互いに対して固定化されている形態であってよい。
【0032】
用語「シリカのコロイド懸濁液」は、シリカ微粒子の液体懸濁液、例えば、水性媒体懸濁液を従来的に意味し、微粒子は、凝集しているか否かに応じて、数ナノメートルから数百ナノメートルの寸法を有する。
【0033】
従来的に、基材粒子または被コーティング粒子の「サイズ」は、上記粒子が通過することができる標準篩の最小メッシュに相当する。
【0034】
懸濁液中のシリカ微粒子の「サイズ」は、レーザ粒度測定器、例えば、供給者HORIBA製のPartica LA−950型を用いて実施される粒径分布の特性決定によって従来的に与えられるサイズに相当する。
【0035】
粒度またはFEPA規格への言及は、FEPA規格42−GB−1984への言及を意味する。
【0036】
粒子の酸化物含量は、業界では従来的であるように、最も安定な酸化物の形態で表される、相当する各化学元素の全体量に対するものである;したがって、サブオキシドが含まれ、窒化物、酸窒化物、炭化物、酸炭化物、炭窒化物、またはさらに上記元素の金属種である可能性もある。
【0037】
溶融基材粒子の化学組成が記載されているとき、「他」は、どこにも明確に言及していない全ての化合物、特に不純物および「添加物」を表す。
【0038】
用語「不純物」は、出発物質と共に故意でなく必然的に導入される不可避の構成成分、またはこれらの構成成分との反応から結果として生じる不可避の構成成分を意味する。不純物は、必要ではないが、単に許容される構成成分である。例として、不純物は、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、酸炭化物、炭窒化物、ならびにナトリウムおよび他のアルカリ、鉄、バナジウム、およびクロムの金属種によって形成される群の一部を形成する化合物である。ジルコニアの供給源に2%未満の量で天然に存在する酸化ハフニウムは、所望の生成物がジルコニア、またはジルコニアおよびハフニウムの酸化物を含まなければならないとき、不純物であるとは考えられない。Cとして表される残りの炭素は、本発明の粒子の不純物の一部を形成する。
【0039】
用語「添加物」は、溶融アルミナまたはアルミナ−ジルコニアの粒子の製造に用いられる全ての添加物、特にジルコニア安定剤、ならびに特に酸化イットリウムおよび酸化チタンを包含する。さらに、マグネシウム、カルシウムの酸化物、および他の希土類酸化物、特にネオジムの酸化物も含むが、ランタン、セリウム、ジスプロシウムおよびエルビウムの酸化物も含む。用語「添加物」はまた、これらの種の混合物も含む。好ましくは、基材粒子の組成における添加物の全体量は、10%未満、または実に5%、3%、1%、0.8%、0.5%もしくは0.2%未満である。
【0040】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。
【0041】
詳細な説明
基材粒子は、種々の組成を有していてよい;特にαアルミナ、アルミナ−ジルコニアまたはアルミナ−マグネシアによって構成されていてよいが、少なくとも40重量%のアルミナを含むことを条件とする。
【0042】
基材粒子は、45重量%超、もしくは実に65重量%超、もしくは実に92重量%超、および/または98.5重量%未満、もしくは実に80重量%未満、もしくは実に65重量%未満の量のアルミナを含んでよい。
【0043】
好ましくは、基材粒子は、少なくとも1%のジルコニア、マグネシアまたはジルコニアとマグネシアとの混合物を含む。
【0044】
基材粒子は、15%超、20%超、もしくは実に35%超、および/または50%未満、もしくは実に30%未満の量のジルコニア(ZrO+HfO)を含んでよい。特定の実施形態において、基材粒子は、ジルコニアを含有しない。
【0045】
基材粒子はまた、マグネシア(MgO)を含んでもよく、マグネシアの重量分は、好ましくは、1.5%超、2.2%超、2.3%超、2.45%超、および/または6.5%未満、4.0%未満、もしくは実に2.5%未満である。
【0046】
特に、基材粒子は、粒子、例えば、特許出願WO/2004/094554号の主題を形成するものであってよい。
【0047】
一実施形態において、溶融基材粒子は、以下の化学分析を有する;百分率は、全体で100重量%によって与えられる:
Al: 45〜65%
ZrO+HfO: 35〜50%
他: 0〜12.0%。
【0048】
別の実施形態において、溶融基材粒子は、以下の化学分析を有する;百分率は、全体で100重量%によって与えられる:
Al: 65〜80%
ZrO+HfO:15〜30%
他: 0〜12.0%。
【0049】
別の実施形態において、溶融基材粒子は、以下の化学分析を有する;百分率は、全体で100重量%によって与えられる:
Al: 92.0〜98.5%
MgO: 1.5〜6.5%
他: <2.0%。
【0050】
基材粒子中の不純物の全体量は、好ましくは、0.5%未満、もしくは実に0.4%未満である。好ましくは、不純物の量は0.1%未満である。
【0051】
特に、シリカおよび酸化ナトリウムは、溶融基材粒子において不利であることが公知であり、そのそれぞれの量は、基材粒子において微量に制限されていなければならず、出発物質内に不純物として導入される。シリカの存在は、溶融基材粒子の研磨材特性および硬度を変更するガラス状面の形成を実際にもたらす。酸化ナトリウムの存在は、少量においても、ベータアルミナの形成をもたらす。アルミナのこの結晶学的形態は、粒子の研磨材特性を低減させる。好ましくは、NaO<0.1%、もしくは実にNaO<0.05%である。
【0052】
基材粒子中のCaO、TiO、FeまたはCrの量は、それぞれ好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.3%未満である。
【0053】
残りの炭素は、800ppm(百万分の1)未満、500ppm未満、または実に250ppm未満、または実に200ppm未満であってよく、溶融条件の低減に相当する。
【0054】
好ましくは、溶融基材粒子は、ヘリウム比重びん法によって測定され、3%未満の気孔率を有する。
【0055】
好ましくは、コーティングの重量は、基材粒子を基準にして重量百分率で、0.01%超、もしくは実に0.03%超、もしくは実に0.1%超、および/または2%未満、もしくは実に0.75%未満、もしくは実に0.3%未満である。
【0056】
コーティングは、50%超、または実に80%超、90%超、または95%超のシリカを含んでよい。コーティングは、コーティングの重量を基準にして重量百分率で100%のシリカによってさらに構成されていてよい。
【0057】
限定されないが、コーティングは、基材粒子の周囲に実質的に均一に延在することが好ましい。特定の実施形態において、コーティングは、基材粒子の全表面を実質的に被覆していてよい。
【0058】
コーティングは、特に、以下に記載の製造方法のステップ2)に従って適用されるとき、クラックもフレークも有さない場合がある。
【0059】
従来技術の溶融粒子は、不純物として、本発明の被コーティング粒子のシリカの量に相当する量のシリカを含んでよい。しかし、本発明の被コーティング粒子は、溶融基材粒子のシリカ含量よりかなり多いシリカ含量を有するコーティングを有するという点において、従来技術の粒子とは区別される。
【0060】
一実施形態において、コーティングは、基材粒子の表面と接触しており、すなわち、中間層によって上記表面から分離されていない。
【0061】
シリカは、好ましくは親水性であり、すなわち、水によって加湿されていてよい。シリカは、もともと親水性であり、これを疎水性にするには、通常は特に処理する必要がある。
【0062】
コーティングのシリカは、無定形であっても、部分的に結晶性であっても、またはさらに完全に結晶性であってもよい。
【0063】
本発明はまた、本発明の被コーティング粒子を含む、またはさらにこれによって構成される粒子の混合物も提供する。
【0064】
好ましくは、本発明による粒子の混合物によってコーティングされた粒子は、4超の粒度、12超の粒度、16超の粒度、および/または220未満の粒度、120未満の粒度、もしくは80未満の粒度を有する。
【0065】
好ましくは、被コーティング粒子のサイズは、45μm超、150μm超、300μm超、400μm超、500μm超、および/または3.35mm未満、2.8mm未満、2mm未満、1.4mm未満、1mm未満、850μm未満、もしくは実に600μm未満である。
【0066】
本発明はまた、結合剤によって結合され、かつ、例えば、ホイールの形態で凝集され、または支持体に堆積された、例えば、可撓性支持体に層として堆積された研磨材粒子を含む研磨具であって、研磨材粒子の少なくとも一部分、またはさらにその全部が本発明によるものであることが注目に値する研磨具を提供する。
【0067】
研磨具は、特に、粉砕ホイール、高精密ホイール、ソーガミングホイール、カットオフホイール、一体加工ホイール、フェトリングもしくは荒削りホイール、調整ホイール、携帯ホイール、鋳物ホイール、ドリルホイール、軸付きホイール、円筒ホイール、円錐ホイール、円盤ホイールもしくはセグメントホイール、または任意の他のタイプのホイールであってよい。
【0068】
このような研磨具の製造方法は周知である。
【0069】
結合研磨具は、研磨材粒子と結合剤との混合物の形態で押圧することによって形成されてもよい。
【0070】
本発明の研磨具において、結合剤は、ガラス状(例えば、酸化物、本質的にはシリケートによって構成される結合剤)であっても、有機であってもよい。有機結合剤が、適切であり、好ましい。
【0071】
結合剤は、特に、熱硬化性樹脂であってよい。結合剤は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、フェノールフルフラール樹脂、アニリン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−アルデヒド樹脂、レゾルシノール−アルデヒド樹脂、尿素−アルデヒド樹脂、またはメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、およびこれらの混合物によって構成される群から選択され得る。
【0072】
通常、結合剤は、混合物の2体積%〜60体積%の範囲、好ましくは20体積%〜40体積%の範囲を表す。
【0073】
結合剤はまた、有機充填剤または無機充填剤、例えば、水和されていてよい(例えば、アルミニウム三水和物またはベーマイト)または水和されていなくてよい(例えば、酸化モリブデン)無機充填剤、氷晶石、ハロゲン、ホタル石、硫化鉄、硫化亜鉛、マグネシア、炭化ケイ素、塩化ケイ素、塩化カリウム、二塩化マンガン、フルオロホウ酸カリウムもしくはフルオロホウ酸亜鉛、フルオロアルミン酸カリウム、酸化カルシウム、硫酸カリウム、塩化ビニリデンと塩化ビニルとのコポリマー、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、繊維、硫化物、塩化物、硫酸塩、フッ化物、およびこれらの混合物を混入していてもよい。結合剤はまた、強化用繊維、例えばガラス繊維を含有していてもよい。
【0074】
本発明はまた、被コーティング粒子を製造する方法であって、連続する以下のステップ:
1)溶融基材粒子を得るまたは製造するステップ;
2)上記基材粒子を、シリカ含有懸濁液によって少なくとも部分的にコーティングするステップ;
3)場合により、懸濁液によって湿らせた基材粒子を乾燥させるステップ;
4)場合による加熱処理ステップ
を含む方法も提供する。
【0075】
残りの明細書においてより詳細に示すように、この方法は、本発明の被コーティング粒子が非常に簡単なやり方で製造され得ること、ならびにこれらが良好な衝撃強度および結合剤の両方、特に有機結合剤との良好な付着を有することを意味する。
【0076】
ステップ1)において、溶融基材粒子を、アルミナまたはアルミナ−ジルコニアの溶融粒子を製造するあらゆる従来の方法を用いて、特に、出発物質の(メートル)トン当たり少なくとも1500kWh(キロワット−時間)のキャスティングの前に、溶融エネルギーによるショートアークを用いて、製造することができる。溶融条件は、基材粒子が800ppmの最大炭素含量を有するようにすることができる。特に、基材粒子を、連続する以下のステップ:
a)出発物質を混合するステップ;
b)上記混合出発物質を溶融材料が得られるまで従来的に電気炉において溶融するステップ;
c)上記溶融材料を、固体塊が得られるまで、好ましくは、3分未満で完全に固化するようにクエンチすることによって冷却するステップ;
d)上記固体塊を破砕して、溶融基材粒子、および上記基材粒子の場合による粒径分類を得るステップ
を含む方法を用いて製造することができる。
【0077】
粒子の形態は変動してよく、用途の機能に応じて選択され得る。
【0078】
一実施形態において、ステップ2)の前に中間層を溶融基材粒子に適用しない。
【0079】
しかし、基材粒子をステップ2)の前に洗浄してよい。上記前洗浄を水によって、または酸性水溶液、例えば、塩酸を用いて実施することができる。
【0080】
一実施形態において、溶融基材粒子をステップ2)の前に加熱処理ステップに付さない。有利には、これにより方法が簡素化される。
【0081】
一実施形態において、被覆ステップ2)の終わりの前の加熱処理は、ステップ1)とステップ2)との間の中間の操作のみである。
【0082】
別の実施形態において、対照的に、溶融基材粒子を、ステップ2)の前に加熱処理ステップに付す。上記前加熱処理を、特に、600℃超、もしくは実に800℃超、もしくは実に1000℃超、および/または1550℃未満、もしくは実に1350℃未満、もしくは実に1250℃未満の温度で実施することができる。
【0083】
上記加熱処理を、空気中、例えば、大気圧で実施することができる。
【0084】
有利には、上記処理は、上記コーティングを製造する前に基材粒子の靱性および脆弱性の程度を調整することができる。
【0085】
ステップ2)において、基材粒子をシリカ含有懸濁液によって少なくとも部分的に被覆する。
【0086】
好ましくは、基材粒子を限定量の懸濁液、粒子100g当たり好ましくは0.5g超、0.75g超、もしくは実に1.0g超、および/または5g未満、4g未満、3g未満、2g未満の懸濁液と混合する。基材粒子100g当たり1gの懸濁液の重量割合が適切である。このような量の懸濁液は、シリカ懸濁液による基材粒子の良好な被覆を製造することができる。
【0087】
こうして得られた混合物は、「湿砂」の粘稠度を有し、中間処理に付すことなく有利に乾燥され得る。有利にはまた、これらは、乾燥後に、被コーティング粒子が互いに付着しないか、またはかなり弱く付着するため、破砕されることなく容易に分離され得る。
【0088】
シリカ懸濁液は、25%未満、または実に10%未満、または実に5%未満のシリカ濃度を有し得る。
【0089】
シリカの懸濁液は、基材粒子を基準にして重量百分率で、0.01%以上、0.03%以上もしくは0.05%以上、および/または5%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.75%以下、0.3%以下もしくは実に0.1%以下のシリカを基材粒子に堆積することができることを意味する割合で好ましくは用いられる。
【0090】
懸濁液は、特に、シリカのコロイド懸濁液であってよい。添加物、例えば、界面活性剤、湿潤剤、または錯化剤を含有していてよい。
【0091】
好ましくは、コロイド懸濁液は、ナノメートルであり、すなわち、2〜200ナノメートルの範囲の寸法を有するシリカ微粒子を含む。有利には、これは、多数のシリカ微粒子が存在し、したがって重量基準で低濃度において広い表面積がコーティングされていることを意味する。
【0092】
場合によっては水性であるコロイド状シリカ懸濁液は、市販のものであってもよく、ポリビニルアルコール(PVA)とヒュームドシリカとの溶液と混合することによって得られる懸濁液であってもよい。
【0093】
懸濁液は、基材粒子と単に混合することによって有利に適用され得る。乾燥の際、特に乾燥ステップ3)の間、または加熱処理(ステップ4))の間に、コロイド懸濁液の液相が蒸発して、微粒子の表面にシリカを残す。
【0094】
一実施形態において、製造方法は、ステップ2)およびステップ3)またはステップ4)の間の中間ステップを含まない。特に、リンス、洗浄、または化学処理ステップを含まない。
【0095】
ステップ3)において、シリカを溶融基材粒子に効果的に付着させるために、乾燥を、60℃超、好ましくは80℃超、および/または200℃未満、好ましくは140℃未満の温度で好ましくは実施する。
【0096】
粒子を、加熱処理(ステップ4))に、好ましくは100℃超、200℃超、もしくは実に300℃超、もしくは350℃超、および/または好ましくは1550℃未満、1350℃未満、1000℃未満、800℃未満、600℃未満、もしくは実に500℃未満、もしくは450℃未満の温度で、好ましくは30分超、もしくは実に1時間超、もしくは実に2時間超、および/または24時間未満、10時間未満、もしくは実に8時間未満、もしくは6時間未満の期間にわたって供してよい。
【0097】
450℃超、500℃超、または600℃超での加熱処理も可能である。
【0098】
好ましくは、ステップ4)において実施する加熱処理を、遊離粒子の粉末、すなわち、本発明の被コーティング粒子が特に樹脂によって互いに付着していない粉末において実施する。
【0099】
約400℃の加熱処理温度が特に好適である。本発明の製造方法は、したがって、(特に、前加熱処理に付されたAZ粒子およびAl−MgO粒子について)比較的低い温度での加熱処理によって驚くべき性能をもたらすことができる。
【0100】
加熱処理は、基材粒子とコーティングとの間の界面の付着および性質を改善することができる。
【0101】
特に、基材粒子を、特許出願WO/2004/094554号に記載されている方法を用いて製造してもよい。一実施において、上記方法は、1250℃超、すなわち実に1350℃、1400℃で、好ましくは30分を超えて焼成するステップを含む。
【0102】
本発明の製造方法の一実施において、シリカ懸濁液によって基材粒子を被覆するステップ2)を、上記焼成ステップの前に、特に特許出願WO/2004/094554号に記載されている基材粒子については任意の加熱処理の前に実施する。本発明の製造方法のステップ4)は、したがって、焼成ステップとして有利に作用し得る。
【0103】
有利には、焼成ステップは、上記特許出願に記載されているように、基材粒子の性能を両方とも大幅に改善することができるが、同時に、基材粒子の表面へのシリカ微粒子の固定の程度を改善することもできる。
【0104】
場合による破砕の後、FEPA F規格に従って、12〜220の範囲、より好ましくは16〜120の範囲の粒度を有する被コーティング粒子が選択され得る。これらの粒径は、研磨材用途においてかなり効果的であることが証明されている。
【0105】
本発明の製造方法は、ステップ3)またはステップ4)の終わりに得られる被コーティング粒子が本発明に従うように好ましくは適合される。
【0106】
最後に、本発明は、本発明による製造方法を用いて得られる粒子または粒子の混合物を提供する。
【実施例】
【0107】
本発明を説明する目的で以下の非限定的な例を与える。
【0108】
用いた基材粒子を以下の出発物質から製造した:
・0.3%未満のソーダ含量を有する部分的に焼成されたBayer(登録商標)アルミナ;
・98%超のジルコニア+ハフニウム含量を有するジルコニア粉末;
・オイルコークス;
・アルミニウム金属チップ。
【0109】
基材粒子を、当業者に公知である従来の溶融方法を用いて調製した。
【0110】
基材粒子を製造することができるように、出発物質を初めに計量した。
【0111】
AZ基材粒子は、重量百分率で以下の化学分析を有した: Al:75.0%、ZrO + HfO:24.1%、TiO:0.1%、SiO<0.2%、MgO:0.05%、CaO:0.07%、他<0.8%。結晶学的および微細構造分析は、全てのジルコニアが共晶混合物形態でアルミナと結合していること;アルミナの補完物がアルファアルミナの形態であることを示した。
【0112】
Al−MgO基材粒子は、重量百分率で以下の化学分析を有した:Al:95.75%、MgO:3.6%、SiO:0.02%、CaO:0.07%、他:<0.6%。
【0113】
出発投入物を基準にして重量百分率で最小1%(最大3%)のオイルコークスを、炉の状態に応じてこれらの出発物質に添加し、約0.5%〜5.5%のアルミニウムチップを添加した。
【0114】
次いで、出発投入物を、黒鉛電極を備えた、直径0.8mの炉軸を有するHeroult型の単相電気アーク炉において、100V〜150Vの電圧、1800A〜2200Aの強度、および投入物1kg当たり1.8kWh〜2.5kWhで供給される比電気エネルギーで溶融した。
【0115】
次いで溶融材料を薄い金属板キャスティング装置、例えば米国特許第3993119号に開示されているものを用いて急冷却した。次いで溶融粒子を破砕し粒度分布に従って分類した。粒度12〜粒度220の範囲の粒度分布(FEPA F規格)を有する溶融粒子を選択した。
【0116】
次いで選択した粒子を水で洗浄し、シリカのコロイド懸濁液と混合して、粒子におけるシリカの百分率、PSを基材粒子の重量に対する重量百分率で得る。2種のシリカ懸濁液を用いた:Degussa AGによって販売されているAerosil 200ヒュームドシリカをポリビニルアルコール(PVA)の溶液と混合することによって得た懸濁液A、および、Cabotによって供給され、水性媒体中に分散した20%のシリカを含有する懸濁液C:CabOsperse 2020K。
【0117】
次いで混合物を2時間場合により加熱処理した(HTT:あり/なし)(温度Thtt)。
【0118】
例1B、2Bおよび3BのAl−MgO粒子を洗浄およびコロイド状シリカ懸濁液との混合の前に1500℃で4時間の加熱処理に付した。
【0119】
粒子の機械的特性を識別するために、以下のテストを実施した。
【0120】
テストA:衝撃強度および破壊強度の測定
テストAは、鋼製ミルボウルにおいて圧力をかけた後に所与の粒径のブラケットに残存する粒子画分を測定することを対象とした。このテストは、粒子の力学的機械的強度を測定することを可能にした。
【0121】
テストの前に、粒子の混合物をROTAP(登録商標)型振動篩(業界標準)において初めに篩にかけ、FEPA規格によるNo. F16(粒度16)を有する粒子を表す1180/1400μm画分、No. F20(粒度20)を有する粒子を表す1000/1180μm画分、No. F24(粒度24)を有する粒子を表す710/850μm画分、およびNo. F30(粒度30)を有する粒子を表す600/710μm画分を単離した。
【0122】
次いで、単離された粒径画分を磁気分離による脱鉄に付し、破砕に起因する汚染の兆候となる金属鉄を抽出した。
【0123】
テストについて、粉末を化学的に分析するために粉末を破砕するのに常套的に用いられるSodemi回転ミルを用いた。このミルを懸濁液中、8個の螺旋で取り付け、被験粒子、パックおよび自由な滑動リングを含有する中空の円筒ボウルを運動させた。円筒形の鋼製ミルボウル(グレードZ160C12)は、以下の寸法を有した:高さ50mm、内径139mm。パックは、グレードZ200C12を有する鋼製の固体シリンダ(直径75mm、高さ45mm)であり、重さが1546グラムであった。円筒形リング(内径/外径95/120mm、高さ45mm)は、同じグレードZ200C12を有する鋼から形成されており、重さが1464グラムであった。
【0124】
したがって、試料のテストAは以下のステップを含んだ。
1.ボウルを圧縮空気でクリーニングするステップ;
2.テスト生成物の粒径のブラケットの重さが25gである試料をミルボウルの壁とパックとの間に導入するステップ。Sodemiミルを名目上の速度(1400rpm)で4秒間作動させる。次いで、破砕した生成物を、ブラシ(50番)を用いてミルボウルから除去し、粒径分布を分析する。次いで、生成物を、以下のスクリーンTiを用いて、ROTAP(登録商標)篩の直径70mmの一連のスクリーンにおいて3分間篩にかける:
【0125】
【表1】

【0126】
T1+T2+T3をスクリーンT1、T2およびT3(例えば、1180/1400μmのブラケットにおいて1180μm、1000μmおよび500μmの開口を有する)からの重量基準での廃物の合計として表す。百分率で与えられる衝撃強度の値(テストA)は、参照試料の値T1+T2+T3で割られたテスト試料の値T1+T2+T3に相当する。したがって、テストAについて得られる値が高いほど、衝撃強度および破壊強度がより良好である。
【0127】
参照試料は、水で洗浄され、テスト試料と同等であるが粒子がコーティングされていない試料である。したがって、参照試料は、洗浄され、コーティングされていない、テスト試料の基材粒子の混合物と実質的に同一の粒子の混合物である。
【0128】
テストB:粒子と結合剤との間の付着の測定
テストBは、典型的な有機結合剤に結合するテスト粒子の混合物によって構成される棒の破壊係数、MORを測定することにあり、ここで、組成が、研磨材ホイールの挙動をシミュレートすることができる。100×25×10mmの寸法を有する上記棒のMORを、以下の式を用いて3点曲げによって評価した:
・MOR(メガパスカル)=(3FL)/(2e2l)、式中
・F:力(N);
・L:下側ローラの軸間分離(mm);
・e:棒の厚さ(mm);
・l:棒の幅(mm)
である。
【0129】
MORの値が小さいと、粒子/結合剤の界面が破壊する傾向にあり、研磨材ホイールが脆弱であることを意味する;これらは、使用の際の良くない挙動に相当する。
【0130】
百分率として与えられた、テストBで得られた結果を、テスト試料のMORを対応する参照試料のMOR(洗浄され、コーティングされておらず、テスト試料を製造するのに用いられる基材粒子(テスト試料の製造に効果的に用いられる基材粒子と同じ組成および同じサイズ)の混合物から形成された棒のMOR)で割ることによって得た。
【0131】
結果をTable 1(表2)に示す。
【0132】
【表2】

【0133】
Table 1(表2)において、「nd」は、「測定せず」を表す。
【0134】
結果は、本発明の被験生成物が、テストBにおいては改善された挙動、テストAにおいては同等または改善された挙動を示すことを示した。
【0135】
Table 1(表2)から、Al−MgO基材粒子の前加熱処理を回避することができることが分かる:例1Aの結果は、例1Bの結果と類似しており、同様に、例2Aおよび2B、ならびに3Aおよび3Bにおいても類似していた。1回の加熱処理によってこれらの改善された粒子を得ることは、経済的に有利である。
【0136】
しかし、Al−MgO以外の基材粒子について、特に、アルミナ−ジルコニア基材粒子については、加熱処理が有利である場合がある。
【0137】
Table 1(表2)は、有利な効果が、恐らくは2つのテストAおよびBのうち一方のみにおいて、基材粒子におけるシリカの百分率PSが非常に低い、特に0.03%以上のPSの値であることによって得られることを示している。
【0138】
例8は、加熱処理が、粒子の付着における改善を得るにおいて常に必須ではないことを示している。
【0139】
例11〜13の比較は、被験AZ粒子について、加熱処理温度を400℃超に上昇させることがテストBにおける結果を改善しないことを示している。さらに、テストAの結果は、この加熱処理温度が増加するとき大幅に悪化する。500℃未満または実に450℃未満の加熱処理が好ましいと思われる。この理論に束縛されることを望まないが、この現象を、本発明者らは、特にアルミナ−ジルコニア粒子について、高過ぎる温度での加熱処理が、収縮に伴うシリカコーティングの焼結、ならびにコーティングにおけるクラックの出現および/またはジルコニアの相変態を引き起こす可能性があり、粒子の特性に影響を及ぼすという事実によって説明する。
【0140】
シリカコーティングの適用の前に加熱処理されるAl−MgO粒子について、500℃超の温度での加熱処理は必要であるとは思われない。
【0141】
明らかに、本発明は、説明例として提供した実施形態に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性シリカを含むコーティングによって少なくとも部分的に被覆された溶融基材粒子を含む被コーティング粒子であって、前記基材粒子がその重量を基準にして、重量百分率で40%超のアルミナを含む、被コーティング粒子。
【請求項2】
コーティングが、水性シリカの懸濁液から得られる、請求項1に記載の被コーティング粒子。
【請求項3】
コーティングが、コーティングの重量を基準にして、重量百分率で95%超のシリカを含む、請求項1または2に記載の被コーティング粒子。
【請求項4】
コーティングの重量が、基材粒子の重量の0.01%超かつ2%未満である、請求項1から3のいずれか一項に記載の被コーティング粒子。
【請求項5】
コーティングの重量が、基材粒子の重量の0.1%超かつ0.75%未満である、請求項4に記載の被コーティング粒子。
【請求項6】
コーティングの重量が、基材粒子の重量の0.3%未満である、請求項1から5のいずれか一項に記載の被コーティング粒子。
【請求項7】
コーティングが、クラックもフレークも有さない、請求項1から6のいずれか一項に記載の被コーティング粒子。
【請求項8】
基材粒子が、その重量を基準にして、重量百分率で少なくとも1%のジルコニア、マグネシア、またはジルコニアとマグネシアとの混合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の被コーティング粒子。
【請求項9】
基材粒子が、重量百分率で、全体で100%である、以下の化学分析:
Al: 45〜65%
ZrO+HfO: 35〜50%
他: 0〜12%、または
a. Al: 65〜80%
ZrO+HfO:15〜30%
他: 0〜12.0%、または
b. Al: 92.0〜98.5%
MgO: 1.5〜6.5%
他: <2.0%
のうちの1つを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の被コーティング粒子。
【請求項10】
結合剤によって結合され、支持体に凝集または堆積された研磨材粒子を含む研磨具であって、前記研磨材粒子の少なくとも一部が請求項1から9のいずれか一項に記載されている、研磨具。
【請求項11】
被コーティング粒子を製造する方法であって、連続する以下のステップ:
1)基材粒子の重量を基準にして重量百分率で40%超のアルミナを含む溶融基材粒子を得るまたは製造するステップ;
2)前記基材粒子を、好ましくは水性の、シリカを含有する懸濁液によって少なくとも部分的にコーティングするステップ;
3)場合により、シリカをベースとするコーティングを形成するために、前記懸濁液によって湿らせた基材粒子を乾燥させるステップ
を含む方法。
【請求項12】
場合によるステップ3)の後に、100℃を超え1550℃未満の温度で加熱処理を実施する加熱処理ステップ4)を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記加熱処理を、300℃を超え500℃未満の温度で実施する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
溶融基材粒子を、ステップ2)の前に、600℃を超え1550℃未満の温度の前加熱処理ステップに付す、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記前加熱処理を、800℃を超え1350℃未満の温度で実施する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
溶融基材粒子を、ステップ2)の前にいずれの加熱処理ステップにも付さない、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
溶融基材粒子を、ステップ2)およびステップ3)、または、適切な場合には、ステップ4)の間にいずれの中間ステップにも付さない、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ステップ3)または、適切な場合にはステップ4)の終わりに得られた被コーティング粒子が、請求項1から9のいずれか一項に従うように適合される、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
基材粒子を被覆するためのステップ2)の前に、基材粒子を600℃から1550℃の範囲の温度で加熱処理に付す、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
200℃から1550℃の範囲の温度での加熱処理を、粒子を乾燥した後に実施する、請求項11から19のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−517712(P2011−517712A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500275(P2011−500275)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050471
【国際公開番号】WO2009/127796
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(506426269)サン−ゴベン・セントル・ドゥ・レシェルシェ・エ・デチュード・ユーロペアン (42)
【Fターム(参考)】