説明

シリコン精製方法および装置

クロロシラン(主に:トリクロロシラン)の製造のためおよびこれらのクロロシランからの高純度ポリシリコンの堆積のための方法および関係する材料。クロロシラン製造のためのソースは共晶または亜共晶の銅−シリコンであり、前記銅−シリコンの濃度範囲は10ないし16wt%シリコンである。共晶または亜共晶の銅−シリコンは、塩素処理反応器に好適な形状に鋳造され、そこで、少なくとも部分的にHClからなるプロセスガスに曝される。このガスは共晶または亜共晶の銅−シリコンの表面で反応してシリコンを揮発性クロロシランの形態で抽出する。貧化した共晶または亜共晶の材料はその後リサイクルすることができ、抽出された量のシリコンが補充され、この材料は所望の形状へ再鋳造される。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
発明の分野
本発明はシリコン精製のための方法および装置に関する。特に、本発明はクロロシランの生成のためおよび高純度シリコンの堆積のための方法および装置に関する。
【0002】
発明の背景
金属グレードシリコンは、これを光電子または半導体用途に使用しうる前の精製が必要である。通常、このプロセスは、連続的に行われる複数の工程で実施される:第1の工程では、クロロシランまたはモノシラン、たとえばTCS(トリクロロシランSiHCl3)、STC(四塩化ケイ素SiCl4)、ジクロロシランSiH2Cl2、またはモノシランSiH4を、通常、たとえば米国特許出願公開第2007/0086936 A1号公報に記載されているような、ある種類の流動床反応器において製造する。次の工程では、生成物ガスを捕捉して、部分蒸留によって精製し、気体状の金属塩化物、BCl3、PCl3、CH4などを除去する。次に、高純度クロロシランをいわゆるシーメンス法のためのプロセスガスとして使用し、ここではシランが反応してシリコンおよび種々のガス種となる。シーメンス法は開ループ系であり、このプロセスはプロセスガスを連続的に供給しなければならないし、排気ガスを連続的に補足しかつ特別な手段で処理しなければならない。これは、排気ガス処理に関するインフラストラクチャ、ロジスティックスおよび労力に関して、シーメンス法を幾分か費用のかかるものにする。シーメンス法の例は、米国特許第2,999,735号;第3,011,877号;および第6,221,155号、ならびに種々の教科書(たとえば、A. LuqueおよびS. Hegedus (Eds.): “Handbook of Photovoltaic Science and Engineering”, Wiley & Sons Ltd, ISBN 0-471-49196-9)に示されている。
【0003】
他の知られているアプローチは、金属シリコンの化学処理、たとえばエッチングおよび浸出を使用し、これを、金属不純物を除去するためおよび電気的に活性な元素、たとえばリンおよびホウ素の濃度を下げるための1回または複数回の固化サイクルと併用する。最終製品、すなわちアップグレードされた金属シリコン(umg−Si)は光電池用途に好適であるが、依然として多少高い濃度の不純物を含んでいる。
【0004】
シリコンを他の金属と共に鋳造することは、米国特許第4,312,848号での、mg−Siの前処理のための知られている技術であり、この場合、アルミニウムをシリコンに対する溶媒として使用する。
【0005】
クロロシランの製造のためのソース材料としての銅−シリコンについて>20wt%のシリコン濃度を使用することは、Olsonによって米国特許第4,481,232号に記載されている。Olsonでは、材料は単一チャンバのコンパートメント内に設置された。銅は、クロロシラン生成の生産性を向上させるための触媒として働くだけでなく、金属不純物のゲッター物質としても働くことが知られている。Olsonの特許では、ケイ化銅は加熱黒鉛フィラメントの直近に設置される。ガスの移動は、熱いフィラメントと相対的に冷たいチャンバの壁との間の温度差によって生じる自然対流によって起こる。一般に、単一チャンバの配置はいくつかの問題を起こしうる。たとえば、米国特許第4,481,232号に記載された方法では、限られた量のケイ化銅しかチャンバ内に装入することができず、合金はそのフィラメントへの近接のせいで間接的に加熱される。それゆえに、合金の温度は、適切に制御することができず、気体状シリコンの製造の最適温度範囲を超えて増加するであろう。当業者は、高すぎる温度は、銅−シリコン合金中にまたは銅自体の中に捕捉された金属不純物を動かすであろうし、その結果精製したシリコン中の金属不純物の濃度を高めるであろうということを認識するであろう。特に水素の存在下では、高過ぎる反応温度は、気体状のクロロシランの代わりに固体シリコンの方向へ化学平衡をシフトさせるであろうし、それにより生産性を下げることがさらに認められるであろう。また、単一チャンバの構成は、堆積させるシリコンの純度に悪影響を与えるであろう揮発性不純物および粒子の適切な抑制にも欠如している。微量の銅でさえ半導体または太陽電池用途でのシリコンの使用に非常に不都合であることは、シリコン産業において周知されている。
【0006】
そのため、米国特許第4,481,232号に開示された単一チャンバの配置は、実験室規模の用途にのみ適しており、スケールアップには最適でないであろう。Olsonによって提案された高濃度(たとえば20−30wt%シリコン)の銅−シリコン合金の重大な欠点は、この合金が大気に曝されると酸化する傾向があり、塩素処理の間、それが膨潤し崩壊するということにある。後者は、共晶の銅−シリコン合金中に散在した相当多量のシリコン晶子および関連するクラックによって生じうる。
【0007】
高純度シリコンは、太陽電池の使用および半導体デバイスの製造などの、電子産業におけるいかなる用途にも必要とされる。どの電子用途に必要な純度レベルも、いわゆる金属グレードシリコン(m.g.シリコン)によって提供されるものより著しく高い。そのため、複雑かつ費用のかかる精製工程が必要となる。これは、m.g.シリコンを単純化された方法で精製するために、費用対効果およびエネルギー効率がより高いプロセスの強い必要性をもたらす。
【0008】
一般に、シリコンの精製のための2つのアプローチ、化学パスおよび冶金学パスが有名である。化学精製の場合、m.g.シリコンを、クロロシランの形態で気相へ移し、その後、化学気相堆積(CVD)プロセスの形態で堆積させる(たとえば、従来のシーメンス法などのトリクロロシランの使用(たとえば米国特許第2,999,735号;第3,011,877号;第3,979,490号;および第6,221,155号を参照のこと)またはシランの使用(たとえば第4,444,811号および第4,676,967号を参照のこと))。この場合、第1の工程は、流動床反応器での小さなサイズの(顆粒状の/粉砕された)シリコン粒子からのクロロシランの形成、および結果としての気体種の蒸留である。シリコンはプロセスガスに完全に曝される小さな粒子の形態で使用されるので、不純物(金属不純物、ホウ素、リンなど)も気相となることがあり、それゆえに、シリコン堆積のために、またはシランの製造のための水素化などの他の化学的処理のためにクロロシランが使用されうる前に、これらを蒸留によって除去しなければならない。
【0009】
冶金学的アプローチは、単にシリコンとして(およびたとえばWO/2008/031,229 A1に開示されているように、分離および酸化による不純物の除去)かまたはm.g.シリコンと金属(たとえばアルミニウム)との合金としてのm.g.シリコンの鋳造を必要とする。後者の場合、前記金属は不純物のためのキャッチャー/ゲッターとして働くが、精製したシリコンを鋳造してインゴットにする前に、それを湿式化学的に浸出させなければならない。また、冶金学的アプローチは、化学パスよりも著しく低い純度レベルをもたらしうる。
【0010】
化学パスの主な欠点は、実際には、クロロシラン生成の間、m.g.シリコンの小さなサイズの粒子のストックが、反応のための大きなシリコン表面を提供するのに必要とされることである。さらに、望ましくない高圧および/または高温が、m.g.シリコンとプロセスガス(HCl、またはHCl、H2混合物)との間の反応を進めておくのに必要とされる。これは、クロロシラン流中の高い不純物(金属塩化物、BCl3、PCl3、CH4など)濃度をもたらしうるものであり、これは蒸留による徹底的な精製を必要としうる。
【0011】
銅などの金属は、必要とされる温度を下げかつ収率を高めるので、シリコンとHClとの間の反応のための触媒として働くことが知られている(たとえば、米国特許第2009/0060818 A1)。触媒として使用する場合、銅(またはどちらかといえば塩化銅の形態にある銅)をm.g.シリコン粒子と接触させ、それによりHClとのそれらの反応性を高める。この用途の場合、銅などの金属は別体のm.g.シリコンストックのための触媒としてのみ使用されるので、適用される金属/銅触媒の濃度は、より低いパーセントまたはパーミルの範囲内にある。この範囲の場合、銅などの金属は、m.g.シリコンストックからの不純物の精製またはゲッタリング(すなわち濾過)に関する機能を持たない。
【0012】
m.g.シリコンの精製のための銅−シリコン合金の使用が、Jerry Olson(米国特許第4.481.232;R.C. Powell, J.M. Olson, J. of Crystal Growth 70 (1984) 218; P. Tejedor, J.M. Olson, J. of Crystal Growth 94 (1989)579; P. Tejedor, J.M. Olson, J. of Crystal Growth 89 (1988) 220も参照のこと)によって提案された。Olsonは、20wt%Siより大きな(たとえば20−30wt%)銅−シリコンピースを鋳造し、彼はこれを加熱したシリコンフィラメントの直近に設置した。入れられたプロセスガス(HCl−H2混合物)は合金からシリコンをクロロシランの形態で抽出し、Olsonは精製したシリコンをシリコンフィラメント上に堆積させることができた。シリコンの抽出は、400ないし750℃の温度範囲で行われた。金属シリコン合金を使用する場合、合金材料16中に晶子が存在すると(たとえば、合金材料中に2つの相が存在する場合)、精製プロセスの内側および外側の両方での合金材料の不安定性などの重要な作業上欠点に遭遇しうることが認められるべきである。
【0013】
発明の概要
本発明の目的は、上に示した欠点のうち少なくとも1つを防ぐおよび/または緩和するための、低純度シリコンソースからの蒸気堆積搬送ガス(vapour deposition transport gas)の製造、前記低純度リシコンの精製、および/または結果としての高純度シリコンの製造用のシステム、方法および/または材料を提供することにある。
【0014】
本発明は、高純度シリコンの製造方法であって、シリコン−金属合金およびシリコンを運ぶことができるガスソースを収容するように構成された第1のチャンバ(塩素処理チャンバ)と、第1のチャンバに流体接続されており、堆積によってシリコンを受け取るように構成された少なくとも1つのフィラメントを含み、そこで、シリコンの堆積によって、第2のガス混合物が形成される第2のチャンバ(堆積チャンバ)とを具備する装置を使用する方法を提供する。第1のガス流路は、シリコンを運ぶガスを塩素処理チャンバから堆積チャンバへ通すように構成されており、第2のガス流路は、第2のガス混合物を堆積チャンバから塩素処理チャンバへ通すように構成されている。第2のガス混合物は、塩素処理チャンバに収容された際に、シリコンの塩素処理のためのガスソースとして働くことができる。
【0015】
他の側面では、本発明は、流体接続された塩素処理チャンバおよび堆積チャンバを有する装置を使用する高純度シリコンの製造方法であって、(i)塩素処理チャンバにおいてシリコンのソースを提供するのに適したシリコン−金属合金を提供する工程と、(ii)水素および塩素のソースを含む初期の第1のガス混合物を提供する工程と、(iii)塩素処理チャンバ内で、前記シリコン−金属合金と前記第1のガス混合物とが反応して1種以上のクロロシランのうちの少なくとも1種を含むシリコンソースガスを形成する温度まで、前記シリコン−金属合金を積極的に加熱する工程と、(iv)堆積チャンバ内に、シリコンをそこで受け取るように構成された少なくとも1つのフィラメントを提供する工程と、(v)前記シリコンソースガスが前記少なくとも1つのフィラメントの表面上にシリコンを堆積させかつ塩素のソースを含む第2のガス混合物を製造する温度まで、前記少なくとも1つのフィラメントを加熱する工程と、(vi)第2のガス混合物を塩素処理チャンバに戻して、これを前記シリコン合金と反応するガス混合物として働かせる工程と、(vii)工程iii)およびvi)を十分なシリコンが堆積するまで繰り返す工程とを含む方法を提供する。
【0016】
さらなる実施形態では、本発明は、流体接続された塩素処理チャンバおよび堆積チャンバを有する装置を使用する高純度シリコンの製造方法であって、(i)塩素処理チャンバにおいてシリコンのソースを提供するのに適したシリコン−金属合金を提供する工程と、(ii)H2、HClおよびクロロシランの混合物からなり、シリコンを運ぶための化学蒸気搬送ガスを提供できる初期の第1のガス混合物を提供する工程と、(iii)前記初期のガスソースを前記シリコン−金属合金に反応させて気体状のシリコンソースを含むプロセスガスを製造するのに十分な温度まで、塩素処理チャンバ内で前記シリコン−金属合金を積極的に加熱する工程と、(iv)シリコンをそこで受け取るように構成された少なくとも1つのフィラメントを堆積チャンバ内に提供する工程と、(v)前記気体状のシリコンを前記少なくとも1つのフィラメントの表面上に堆積させかつシリコンを運ぶための化学蒸気搬送ガスを提供できる第2のプロセスガスソースを製造する温度まで、前記少なくとも1つのフィラメントを加熱する工程と、(vi)第2のプロセスガスソースを塩素処理チャンバに戻して、これを前記シリコン合金と反応するガスソースとして働かせる工程と、(vii)工程iii)およびvi)を十分なシリコンが前記少なくとも1つのフィラメント上に堆積するまで繰り返す工程とを含む方法を提供する。
【0017】
複雑かつ費用のかかる精製工程が、今日の高純度シリコン精製プロセスでは必要とされうる。今日のプロセスの他の欠点は、化学蒸気(chemical vapour)中の高い不純物濃度であり、これは蒸留による徹底的な精製を必要としうる。過共晶合金は従来技術のプロセスにあったが、精製プロセスの内側および外側の両方での合金材料の不安定性などの重要な作業上欠点があった。この精製システムおよび方法と対照的に、シリコンの精製方法であって:それぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの共晶重量パーセント以下のシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料と注入ガスを反応させることと;前記金属シリコン合金材料の原子マトリックスから得られるシリコンを含む化学蒸気搬送ガスを生成させることと;シリコン堆積を促進するように構成されたフィラメントに前記蒸気搬送ガスを流すことと;精製された形態でシリコンを前記化学蒸気搬送ガスから前記フィラメント上に堆積させることとを含む方法が提供される。
【0018】
提供されるさらなる態様は、シリコンを精製する方法であって:それぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの共晶重量パーセント以下のシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料と注入ガスを反応させることと;前記金属シリコン合金材料の原子マトリックスから得られたシリコンを含む化学蒸気搬送ガスを生成させることと;シリコン堆積を促進するように構成されたフィラメントに前記蒸気搬送ガスを流すことと;前記化学蒸気搬送ガスから前記フィラメント上に精製された形態でシリコンを堆積させることとを含む方法である。
【0019】
さらなる態様は、化学気相堆積(CVP)プロセスでの使用のためのそれぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの選択された共晶重量パーセントにあるシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料であって、前記合金材料中のシリコン晶子の存在が定義された最大晶子閾値以下である材料である。
【0020】
さらなる態様は、化学気相堆積(CVP)プロセスでの使用のためのそれぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの共晶重量パーセント以下にあるシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料である。
【0021】
さらなる態様は、シリコンの精製装置であって:それぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの共晶重量パーセント以下のシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料と注入ガスを反応させるため、および前記金属シリコン合金材料の原子マトリックスから得られるシリコンを含む化学蒸気搬送ガスを生成させるための第1の反応器と;シリコン堆積を促進するように構成されたフィラメントに前記蒸気搬送ガスを流すための出口と、精製された形態でシリコンを化学蒸気搬送ガスからフィラメント上へ堆積させるための第2の反応器とを具備する装置である。
【0022】
さらなる態様は、化学気相堆積(CVP)プロセスでの使用のためのそれぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの選択された共晶重量パーセントにあるシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料であって、前記合金材料中のシリコン晶子の存在が定義された最大晶子閾値以下である材料である。
【0023】
さらなる態様は、化学気相堆積(CVP)プロセスでの使用のためのそれぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの共晶重量パーセント以下にあるシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料である。
【0024】
銅−シリコン化合物を使用して、銅の触媒性質を利用しかつ金属−シリコンマトリックスを使用して不純物を制御する/ゲッタリングすることが1つの目的である。
【0025】
たとえば光電池用途用の原料としての使用のための高純度シリコンを製造するように、低純度グレードのm.g.シリコンを精製することが、もう1つの目的である。
【0026】
目的のさらなる例は:塩化処理反応器での使用のための銅−シリコンソースの製造であって、(1)鋳造の間の微小なクラックの形成を抑え、(2)所望の保管寿命を有し、重大な酸化を抑え、(3)塩化処理反応器内での使用の間の膨潤/膨張を抑え、(4)塩化処理反応器内での使用の間のダストまたは粉末の放出を抑え、(5)選択された抵抗率閾値を上回る高純度シリコンの製造をもたらし、および/または(6)管理することができ、シリコンが著しく貧化した場合には再び溶解/鋳造(すなわちリサイクル)できる製造である。
【0027】
ここで、以下の図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、閉ループ配置でのクロロシランの生成および高純度シリコンの堆積のための本発明による装置を示す概略断面図であって、2つのチャンバが完全に独立しており、配管系によって接続されている。
【図2】図2は、閉ループ配置でのクロロシランの生成および高純度シリコンの堆積のための本発明による装置を示す概略断面図であって、ここでは、2つのチャンバは取り付けられているが中板によって隔てられている。
【図3】図3は、図1の装置および方法の一例としての、合金材料を使用する一般的な精製プロセスおよび装置を示すブロック図である。
【図4】図4は、図3の合金材料についての相図の一例である。
【図5】図5は、図3の合金材料のマトリックスの一例である。
【図6】図6は、図3の装置のための金属合金材料の共晶の性質の代わりの実施形態である。
【図7a】図7aは、図3の装置に望まれない合金材料の過共晶の性質を示している。
【図7b】図7bは、図3の装置での使用後の図8aの合金材料の一例の結果を示している。
【図8】図8は、図7aの過共晶合金の酸化挙動に対する、銅−シリコン共晶合金材料の酸化挙動を示している。
【図9a】図9aは、図5の合金材料のさらなる実施形態である。
【図9b】図9bは、図3の装置の蒸気生成プロセスで貧化した後のシリコン含有物を示している。
【図10】図10は、図3の化学蒸気製造および堆積プロセスの一例の方法についてのブロック図である。
【図11】図11は、図3の化学蒸気製造プロセスの一例についてのブロック図である。
【図12】図12は、図3の合金材料のための鋳造装置の一例である。
【図13】図13は、図12の装置を使用する鋳造プロセスの一例についてのブロック図である。
【図14a】図14aは、図3の装置で使用する共晶または亜共晶の合金材料から得られる堆積シリコンの厚さを通して測定した抵抗率の図である。
【図14b】図14bは、図3の装置で使用する共晶または亜共晶の合金材料から得られる堆積シリコンの厚さを通して測定した抵抗率の図である。
【0029】
好ましい実施形態についての詳細な説明
Olsonによって提案された銅−シリコン合金の重大な欠点は合金が過共晶であるらしいことであることが認められ、出願人は、過共晶が、大気に曝される際に酸化する傾向を示すことと、それが塩素処理プロセスの間に膨潤して崩壊することとを確かめた。後者は、合金材料中の銅−シリコン共晶マトリックスに散在した相当多量のシリコン晶子および関連するクラックの存在によって生じうる。
【0030】
以下の説明では、多くの用語を広範にわたって使用しているが、本発明の種々の態様の理解を促進するために、以下の定義を提供する。明細書における例、たとえば用語の例の使用は、単に例示を目的としているだけであり、ここでは本発明の実施形態の範囲および意味を制限することを意図していない。数値範囲はその範囲を定義する数を含める。明細書では、用語「含んでいる(comprising)」は、非限定的な用語として使用しており、フレーズ「限定はされないが、〜を含んでいる(including, but not limited to)」と実質的に等価であり、用語「含む(comprise)」は対応する意味を有する。さらに、実例によって示すような特定の手法は、圧力、温度、および/または合金材料16中のシリコン含有量のパーセントを制御することをおおよそ目的にしうることが認められる。規定された特定の手段における僅かな変更は、このような相違の影響がプロセス9、11および/または合金材料16の晶子120含有量にとって僅かであるのならば受入れられる。たとえば、おおよその温度は、上下数度の温度のばらつきを意味しうる。たとえば、おおよそのシリコン重量パーセントは、特定の重量パーセントの測定値の0.01−0.2の範囲内にある上下を意味しうる。
【0031】
本発明は、再循環する閉ループ系での、シリコンの精製、クロロシランの製造、および高純度シリコンの堆積を可能にする。プロセスの始めには、チャンバをH2およびHClの混合物で充填する。2種類のガスの比は、1:9ないし9:1の範囲内および好ましくは1:2ないし2:1の範囲内にある。次に、プロセスガスをチャンバ間で循環させ、低純度シリコンをシリコン−金属合金の形態で中に設置する一方のチャンバ(ここでは塩素処理チャンバと呼ばれる)においてクロロシランを生じさせ、加熱シリコンフィラメントが設置される他方(ここでは堆積チャンバと呼ばれる)でシリコンが堆積される。ロッドを回収して塩素処理チャンバをしにシリコン金属合金を再装入する際、前記装置の体積と等価な体積を有するガスが除去されかつ処理される。それを、直接再使用するために別のタンクに集めかつ貯蔵してもよいし、または排気ガスとしてさらに処理しかつ無力化(neutralized)してもよい。ここでの用語クロロシランの使用は、シリコンに結合した1個以上の塩素原子を有するあらゆるシラン種のことを言う。生成するクロロシランとしては、限定はされないが、ジクロロシラン(DCS)、トリクロロシラン(TCS)および四塩化ケイ素(STC)が挙げられうる。優先的に、精製シリコンの堆積にはTCSが使用される。
【0032】
本発明は、堆積プロセスからの金属不純物の除去を促進する装置および方法を提供する。特に、本発明は、シリコン−金属合金を使用しかつ高純度シリコンに金属不純物の除去を提供する堆積方法を提供する。金属不純物には、たとえばFe、Ca、Na、NiまたはCrなど、揮発性塩化物を形成しないものがあり、そのため、これらは塩素処理チャンバ内の合金材料12に留まる。多少低い沸点を有する塩化物を形成する他のもの(たとえば、AlまたはTi)は蒸発するが、より好ましくは、堆積領域14において、熱いシリコンフィラメント26上に堆積するよりも冷たい表面上で凝縮する。
【0033】
上で述べたように、精製プロセスが行われるチャンバは、ここでは塩素処理チャンバとも呼ばれる。この塩素処理チャンバは、Apparatus for the Production of Chlorosilanesと題された出願人の同時継続出願に記載されたものである。堆積が行われるチャンバは、ここでは堆積チャンバとも呼ばれる。
【0034】
さらなる態様では、本発明は、高純度シリコンの堆積のための方法であって、クロロシランのプロセスガスソースを連続的に製造するように構成された塩素処理チャンバと、後段のシリコンの堆積のためのプロセスガスソースを収容するように構成された堆積チャンバとを有する方法を提供する。
【0035】
本発明のさらなる態様では、2つ以上の塩素処理チャンバが1つの堆積チャンバに接続されている。
【0036】
本発明のさらなる態様では、2つ以上の堆積チャンバが1つの塩素処理チャンバに接続されている。
【0037】
塩素処理チャンバおよび堆積チャンバは、取り付けられているがダイバーターまたはプレートによって隔てられていてもよいし、またはそれらは切り離されていて、配管系によって接続されていてもよい。
【0038】
1つの実施形態では、前記装置の塩素処理チャンバおよび堆積チャンバは、H2およびHC1の初期ソースを収容でき、前記装置は、一度これを収容すれば、この初期ガスソース以外の外部ガス混合物のさらなる追加なしに、クロロシランガスを連続的に生成するように構成されている。
【0039】
もう1つの実施形態では、塩素処理チャンバは、閉ループ装置内からの塩素の気体状のソース(すなわち、堆積プロセスからの排気ガス(主にH2、HCl、TCSおよびSTCからなる混合物))を収容するように構成されており、このガス混合物を使用して、より多量のシリコンをクロロシランの形態にある気相にすることができる。本発明は、シリコンの堆積の間に生じる任意の過剰なSTCを再変換してTCSにする能力を提供する。
【0040】
本発明の装置および方法で使用するシリコン−金属合金を形成するために、任意の金属を使用することができ、ただし、前記金属は低い蒸気圧を有し、HClガスおよび水素との限られた反応性を示し、前記金属は堆積チャンバ内の熱いフィラメント上で分解する傾向にある気体種を形成すべきでない。好ましくは、使用する金属は、塩素処理チャンバの動作温度範囲で揮発性の金属塩化物を形成しない。合金を形成する考えられる金属としては、限定はされないが、銅、ニッケル、鉄、銀、白金、パラジウム、クロムまたはこれらの金属の組み合わせが挙げられる。本発明の好ましい実施形態では、前記合金は、シリコン−銅合金である。
【0041】
シリコン−金属合金は、高い生産性を提供するために少なくとも10%のシリコンを含有すべきであるが、低い生産性を伴うもののそれより低いシリコン濃度も同様に作用する。高い生産性を提供するためおよび選択性を向上させるために、シリコン−金属合金の少なくとも1種の成分は、シリコンの塩酸処理(hydro-chlorination)を触媒すべきである。
【0042】
好ましい実施形態では、塩素処理プロセスのために使用する材料は、共晶または亜共晶の銅−シリコンから形成される。共晶および亜共晶の銅−シリコンは、大気に曝された際の酸化に対する低い親和力によって有名である。さらに、塩素処理プロセスの間の膨潤または粉末化は低減される。これは、ガス流における粒子汚染のリスクを下げる。さらに、プロセスガスが材料のバルクへは浸透しない(過共晶の銅−シリコン合金の場合には過共晶材料の深刻な膨潤を原因として起こる)ので、不純物のゲッタリングを向上させる。それゆえに、プロセスガスとの反応はブリックの表面上で起こりえて、元素の早い拡散が表面に達するであろう。シリコンは、銅−シリコン中での(この合金中の不純物のそれに優る)異常に/優先的に高い拡散係数を有し、不純物に対しての優れたフィルタ/ゲッタリング効果を提供できることが知られている。
【0043】
使用される合金は、チャンバの容易な装入を可能にしかつ好ましくは大きな表面対体積比を提供する任意の形態、たとえばブリック、プレート、顆粒、大きな塊(chunks)、ペブルまたは任意の他の形状を取りうる。この合金は、鋳造プロセスによって製造されてもよいし、焼結されてもよい。
【0044】
本発明は、高純度の、費用対効果のよいシリコンの製造に関する。さらに、本発明は、未精製シリコン、たとえば、限定はされないが、約98ないし99.5%の純度の金属グレードシリコンを、金属不純物に関して6Nより優れた純度を有する高純度シリコンに精製することに関する。本発明は、たとえばウェハ製造用の多結晶または単結晶インゴットを形成するための基礎原料として使用できるソーラーグレードシリコンの精製および製造のためのプロセスおよび装置をさらに提供する。
【0045】
本発明は、シリコンを堆積させるフィラメントの制御とは独立した、シリコンソース、すなわち合金の温度の直接制御を可能にする装置および方法をさらに提供する。
【0046】
本発明の塩素処理チャンバは、合金を入れかつここで説明する初期プロセスガスを収容する寸法形状となっている。構造的および機械的な理由を除いては、塩素処理チャンバについての大きさの限定はない。この塩素処理チャンバは、ここで説明するような該塩素処理チャンバを加熱するように構成された加熱システムに接続されているかまたはこれを含むべきであることが理解されるであろう。このチャンバは、円筒形でもよいし、箱型でもよいし、説明するプロセスに適した任意の幾何の形状でもよい。1つの実施形態では、このチャンバは、より容易な排気とより優れた過剰圧力プロパティとを提供する円筒形である。このチャンバは、以下にさらに詳細に説明するように、内部の加熱器によってかまたは該チャンバに接続された外部の加熱器によって加熱されるように構成されている。
【0047】
このチャンバは、腐食性雰囲気および動作温度の範囲に耐えることができる任意の材料から製造されうる。シリコン−合金を適所に保持するために、装入物キャリアを使用してもよく、この装入物キャリアは、チャンバと同じ雰囲気および温度を耐えなければならず、それ故に同様の材料から作られてもよく、ただし、プロセスのために使用される温度内で合金を形成しない。
【0048】
チャンバは、プロセスガスのための入口および出口を含む。好ましくは、この入口および出口は、チャンバ内に封入された合金にプロセスガスの均一な流れが提供されるように設計されている。流れガイドシステムを使用して均一性を向上させてもよい。出口は、チャンバから出て行くガスが使用される用途に応じて、メッシュまたはパーティクルフィルタを備えていてもよい。
【0049】
チャンバ内に追加の循環を提供しかつプロセスガスの搬送を助けるために、チャンバは攪拌器をさらに含んでもよい。1つの実施形態では、チャンバは内部プロペラである攪拌器を含んでもよい。このプロペラは、ガスの均一な移動が提供されるのであれば、チャンバ内のどこに組み入れてもよい。あるいは、チャンバは、チャンバ内のプロセスガスの搬送を助ける外部ポンプ、たとえばポンプまたはブロワに接続されていてもよい。このポンプまたはブロワは、腐食性ガスに曝され、それゆえに、このような条件に耐えることができる材料で作られるべきである。入口または出口の近くに外部ポンプを設置してもよい。
【0050】
チャンバ内に設置されたシリコン−金属合金を、プロセスガスとシリコンとの速い反応を確実にするのにおよび高い出力を保証するのに適切な温度まで積極的に加熱する。上で説明したように、前記チャンバは、加熱デバイスを含んでいてもよいし、外部加熱デバイスに接続されていてもよい。加熱デバイスは、チャンバおよび合金を直接加熱するように、すなわち、それが主な熱源であるように使用される。用語「積極的な加熱」、またはその変形は、制御される合金の加熱の方法であって、合金の温度が加熱デバイスの出力を変えることによって変更される方法を説明するために使用される。堆積チャンバから塩素処理チャンバへ入る排気ガスの温度は、クロロシラン生成の発熱反応に加えて、追加の熱源を提供するが、これは間接的なオーダーである。合金温度の制御は加熱デバイスに直接関連する。
【0051】
内部加熱デバイスの場合、グラファイトヒーター、好ましくはSiC被覆したもの、または腐食性雰囲気での使用に好適な任意の他の材料を使用することができる。内部加熱デバイスは、大きな径の反応器のための強化加熱を提供し、さらに、より低い壁面温度でのチャンバの動作を可能にして、容器材料の耐腐食性を向上させる。外部加熱デバイスが使用される場合、任意の種類の抵抗加熱器が使用されてもよくこれがチャンバに接続されてもよい。外部加熱デバイスは、塩素処理チャンバの外壁の近くに設置することができ、それはそれに直接接続することもできるし、チャンバの壁の一部とすることもできる。ここで示した説明から、チャンバ内に均一な温度分布を提供するのと共に、加熱デバイスとチャンバとの間の優れた熱接触が必要であることが理解されるであろう。加熱デバイスの数およびそれらの位置は、合金の加熱が可能な限り効率的におよび均一に行われるように設計されることがさらに認められるであろう。ガス入口側でのプロセスガスの予熱を使用することによって、合金の均一な加熱を向上させることができる。加熱デバイスに加えて、この装置は、チャンバからの熱損失を低減させるために断熱材をさらに含んでもよく、これを、チャンバの周囲に設置して、それにより加熱素子およびチャンバを包み込みんでもよい。この断熱材の材料は如何なるときもプロセスガスに曝されないので、技術水準にある任意の断熱材料を使用できる。
【0052】
温度は、技術水準にある温度コントローラによって制御できる。シリコン合金の温度は、高い生成速度を達成するために、150℃よりも高くあるべきであり、好ましくは300℃よりも高くあるべきであり、1100℃を超えるべきでない。当業者は、水素とHClとのガス混合物を注入ガスとして使用する場合、高すぎる温度はシリコンと塩化水素ガスとの間の平衡反応を片側にシフトさせ、他方にあるクロロシランを固体シリコンの方向にシフトさせるであろうことを認めるであろう。純銅−シリコン合金を使用する場合、温度は800℃を超えないほうがよい。なぜなら、これは銅−シリコン合金の共晶温度を示しているからである。より好ましくは、トリクロロシランの形成を最適にするために、温度は300ないし500℃の範囲内に保たれるべきである。より高い融点の金属−ケイ化物を供給材料として使用する場合、それはより高くなるであろう。チャンバの温度は熱伝対または任意の他の種類の温度センサによって制御および/またはモニタされうる。温度センサは好ましくは合金に取り付けるが、そうする必要はないことと、当業者であれば加熱素子の電力消費量に基づいて合金温度を制御できるであろうこととが理解されるであろう。
【0053】
反応器内の圧力は、大気圧より高く制御される。1つの実施形態では、圧力は1−10barの範囲内にある。もう1つの実施形態では約5barである。
【0054】
1つの実施形態では、合金を、この合金の表面がガス流に十分に曝されるようにチャンバ内に設置する。合金は好ましくは銅および低純度シリコン、たとえば金属グレードシリコンである。しかしながら、より高い純度のシリコンを使用してもよいことが理解されるであろう。シリコン濃度は、高いシリコン生産性を確保するために、少なくとも10at%であるべきである。しかし、より低いシリコン濃度も大体においてこのプロセスを損なうことなく同様に使用できる。好ましい実施形態では、塩素処理プロセスのために使用する材料は、共晶または亜共晶の銅−シリコンから形成される。共晶および亜共晶の銅−シリコンは、大気に曝された際の酸化に対する低い親和性によって有名である。さらに、塩素処理プロセスの間に膨潤も粉末化もしないものでありうる。これは、ガス流中での粒子の汚染のリスクを下げることができる。さらに、プロセスガスが材料のバルクへは浸透しない(過共晶の銅−シリコン合金の場合には過共晶材料の深刻な膨潤を原因として起こる)ので、不純物のゲッタリングを向上させる。合金の鋳造プロセスの間に、クロロシランの生成の間の反応時間を早めるために、追加の添加剤を添加してもよい。使用されうる他の添加材としては、限定されないが、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銀(Ag)、白金(Pt)、およびパラジウム(Pd)が挙げられる。
【0055】
シリコン−金属合金は、固定床配置の形態でまたは移動床もしくは任意の他の種類の攪拌床配置の形態で、塩素処理チャンバ内に設置してもよい。このプロセスの間のシリコン−金属合金の再装入は、塩素処理チャンバ内の追加の入口を使用して提供されうる。
【0056】
使用される初期プロセスガスは、反応して、シリコンを運ぶのに適している化学蒸気搬送ガスを形成することができるガスである。1つの実施形態では、初期プロセスガスは、塩素のソースを提供する。1つの実施形態では、初期プロセスガスは、入口を通してチャンバへ供給される水素および乾燥HClガスであり、合金は銅−ケイ化物合金である。水素および乾燥HClガスの比は、1:9ないし9:1の範囲内、好ましくは1:5ないし5:1の範囲内、またはより好ましくは1:2ないし2:1の範囲内にある。この実施形態の場合、塩素処理装置から出て来るガス混合物は、シリコン堆積チャンバへ直接供給できる。
【0057】
プロセスの開始に先立って、前記システムを、乾燥した、酸化物を含まないガスでパージするか、またはそれを排気して、前記プロセス用の酸化物を含まない雰囲気を提供する。
【0058】
供給したら、初期プロセスガスは、シリコン−金属合金の表面でシリコンと反応する。結果として、クロロシラン、たとえばトリクロロシラン(TCS)、四塩化ケイ素(STC)またはジクロロシラン(DCS)が、H2−HCl混合物とシリコン合金との反応によって生じる。この反応によって、シリコンを運ぶための化学蒸気搬送ガスが提供される。簡略化すると、この反応を以下のように書くことができる:
Si + 3HCl → SiHCl3 +H2
【0059】
この反応の典型的な副生成物は、SiH2Cl2(DCS)およびSiCl4(STC)である。
【0060】
反応の選択性は、低い温度のシリコン−金属合金ではTCSの方に、および高い合金温度ではSTCの方にシフトする。
【0061】
クロロシランは、塩素処理チャンバから堆積チャンバへ積極的に運ばれる。シリコンの堆積速度は、塩素処理チャンバおよび堆積チャンバ間の流量(すなわちガス交換速度)によって制御できる。前記装置に接続され、塩素処理チャンバおよび堆積チャンバ内でのおよびそこへのガスの流れを制御するように構成されている制御システムによって、この流量を制御してもよい。あるいは、それはH2対HClによって制御できるし、またはそれはフィラメントの温度によって制御できる。堆積速度は、塩素処理領域12内に設置されたシリコン−金属合金の量にも依存するであろう。
【0062】
上で述べたように、気体状シリコンを、その後、堆積チャンバ内の加熱フィラメント上に、高純度シリコンとして堆積させる。使用されうるフィラメントの種類としては、限定されないが、シリコン、グラファイト、モリブデン、タングステンまたはタンタルのフィラメントが挙げられうる。フィラメントは、そこへのシリコン27の後段の堆積を可能にする任意の形状のものでありうる。好ましくは、フィラメントはU字型である。フィラメントの温度は、1000ないし1200℃の範囲内に制御されかつ維持される。簡略化すると、分解は以下のようになる:
SiHCl3 + H2 → Si + 3HCl
【0063】
この反応の典型的な副生成物は、SiH2Cl2(DCS)およびSiCl4(STC)である。
【0064】
様々な化学反応および反応段階についてのより詳細な議論は、たとえば、A. LuqueおよびS. Hegedus (Eds.): “Handbook of Photovoltaic Science and Engineering”, Wiley & Sons Ltd, ISBN 0-471-49196-9に示されている。上に示した反応後のガスは、塩素処理チャンバへとポンプによって戻され、ここでそれらは、再度、クロロシランの形成のために使用される。このようにして、(a)生じるプロセスガスの量を最小にし、(b)クロロシランの貯蔵および搬送のためのインフラストラクチャに関するコストを下げ、かつ(c)排気ガス処理のための努力を低減する閉鎖系が成立する。
【0065】
プロセスガスは、時間当たりのこのシステムの体積の数倍大きな搬送速度で循環するので、1サイクルでは或る部分のクロロシラン(主にTCS)のみがフィラメント上で反応して、残りの部分は塩素処理チャンバへ戻る。
【0066】
1つの実施形態では、堆積チャンバは、ベルジャーを有するシーメンス式反応器である。ガスの入り口および出口ならびに電気フィードスルーが底板に組み込まれている。チャンバの壁は壁の加熱を避けるように冷却されるべきであることが理解されるであろう。
【0067】
もう1つの実施形態では、ガスの入口および出口は、チャンバの底部および頂部にそれぞれ位置している。この配置は、プロセスガスの定方向流を提供する。
【0068】
もう1つの実施形態では、堆積チャンバは塩素処理チャンバに接続されており、2つのチャンバは分離されているが互いに近くに設置されている。この実施形態では、フィラメントからの逸散した熱の一部が、シリコン−金属合金の積極的な加熱をサポートするのに使用され、このシステムのエネルギー収支を向上させる。
【0069】
塩素処理チャンバ内での反応からの製造した化学蒸気搬送ガスの組成物は、その後、堆積チャンバへ直接供給されることがさらに認められる。化学蒸気搬送ガスの濾過/処理のための途中の工程が塩素処理チャンバと堆積チャンバとの間にあってもよいが、塩素処理チャンバによって製造された化学蒸気搬送ガスの組成物の少なくとも一部が堆積チャンバに収容される(たとえば、汚染物質を濾過してもよいが、それでも堆積目的に望まれる化学蒸気搬送ガスのクロロシラン組成物は堆積チャンバに収容される)ことが認められる。
【0070】
本発明は、フィラメント温度を1000℃ないし1200℃の範囲内の温度へ調節でき、適切な流量のガスが必要とされる量および純度レベルでの堆積を達成するように提供されるのであれば、特定のチャンバの幾何に制限されない。構造的および設計的な理由を除いては、堆積チャンバへ組み込まれるロッドの数についての制限はない。
【0071】
ケイ化銅による不純物ゲッタリングに加えて、前記装置は、1つ以上の追加部材、たとえば、たとえば金属塩化物などの揮発性不純物を捕らえるための凝縮器(いわゆる「塩とラップ」)または堆積シリコン中の不純物濃度をさらに下げるパーティクルフィルタをさらに含んでもよい。
【0072】
塩トラップは、低い流速と大きくて冷却された表面とを有する領域を特徴とし、シリコンの搬送のために使用されるクロロシランの沸点よりも高い沸点を有する揮発性金属塩化物の凝縮を有利にする。塩トラップ内部の温度は、四塩化ケイ素の凝縮を避けるために、約60℃未満ではない方がよい。塩トラップはガスループ中に直接組み込むことができるし、または、一度にガス流の一部のみが塩トラップを通して導かれるように、バイパスループ内に設置できる。
【0073】
パーティクルフィルタとしては、腐食性雰囲気に適合するものであれば、技術水準にあるあらゆる集塵器を使用できる。繰り返しになるが、このフィルタは、ガスループに直接組み込まれてもよいし、バイパスループ内に設置されてもよい。
【0074】
代わりの実施形態では、本発明の装置は、チャンバにプロセスガスを入れるのに先立って、塩素処理チャンバ内でのシリコン−金属合金の予備処理またはエッチングをさらに可能にする。この実施形態では、堆積チャンバは塩素処理チャンバに対して遮断されており、すなわち、塩素処理チャンバ内の如何なるガスも堆積チャンバへと流れることができず、適切なエッチングガス混合物が堆積チャンバへと供給される。使用されうるガス混合物の種類の例としては、H2およびHClが挙げられる。
【0075】
ここで、添付の図面を参照しながら、本発明をより詳細に論じる。例示する実施形態では、シリコンの初期ソースとして、銅−ケイ化物を提供する。
【0076】
図1は、シリコン−金属合金からのクロロシランの生成および化学蒸気堆積(CVD)プロセスによる精製シリコンの製造のために使用される、全体として10と示した装置の概略断面図を示している。塩素処理は第1の容器またはチャンバ12内で行われ、高純度シリコンの堆積は第2の容器またはチャンバ内で行われる。容器12、14は、プロセスガスによって傷つかずかつこれに対して抵抗性のある材料から製造される。合金16は、最大の表面積がガス流に向くように、第1の容器12内に設置される。初期ガス混合物、たとえばH2およびHClは入口18を介してチャンバ内に供給され、このプロセスの終わりに、このプロセスガスは、第2の容器14内に設置された出口20を介してポンプで送り出される。バルブ22a、22bは、このプロセスの間、ループを締め切っている。
【0077】
バルブ22aまたは22bの使用は、プロセスガス分析のためのプロセスの間のプロセスガスのサンプリングまたは特殊ガス種の追加またはH2対HClの比の変更をさらに可能にする。
【0078】
初期ガス流が容器12に入ったら、バルブ22aを閉めて閉ループシステムを保証する。初期ガス流が容器12へ供給される前にバルブ22bは閉められるであろうことは理解されるであろう。次に、加熱デバイス38を使用して、合金16に熱を積極的に適用し、合金の温度が150℃を超えたとき、初期ガス混合物は合金16の表面と反応して、シリコンの気体状ソース、すなわちクロロシランを生成する。次に、クロロシランガスは出口24を介して容器12を出て行き、容器14へ流れる。
【0079】
容器14内には、少なくとも1つのU字型フィラメント26が設置されており、この上にシリコンが堆積される。フィラメント26を1000℃ないし1200℃の範囲内の温度まで加熱して、シリコン堆積を可能にする。次に、H2、HCl、TCSおよびSTCを主に含有する得られたガスは、容器14を出て行き、第2の流路を通って、容器12へ戻る。次に、このガスは初期の塩素ソースとして働き、そのため、閉ループシステム内で生じるもの以外は追加のガスソースは必要とされない。前記STC、またはその一部は変換してTCSに戻るであろうし、前記HCl、またはその一部はシリコン−金属合金からの低純度シリコンと反応してクロロシラン、主にTCSとなるであろう。ガスはポンプ30によって至るところに積極的に循環させられ、搬送速度は流量計32によって測定される。塩素処理チャンバの出口にある塩トラップ34では、揮発性不純物が凝縮して捕捉される。粒子はパーティクルフィルタ36によって捕らえられうる。
【0080】
粒子および金属塩化物は主に塩素処理チャンバから生じるので、パーティクルフィルタおよび塩トラップのより好ましい位置は、塩素処理チャンバの出口の後段である。しかしながら、これらの部材は必須ではなく、ここで説明する装置および方法はこれら部材なしに機能するであろうことは理解されるであろう。
【0081】
さらに、技術水準にある任意のブロワまたは搬送ポンプを2つのチャンバの間に設置することができ、ただしそれは腐食性ガスを扱えるものである。
【0082】
入口28および出口24の設置は、入口については容器12に頂部から入り、出口24については容器12に出口から出て行くように示している。しかしながら、入口および出口の配置は、図示したそれと異なってもよい。
【0083】
図2では、堆積チャンバを出て行く熱いガスがシリコン合金のための追加の熱源として働くように使用されるように、堆積チャンバ13が塩素処理チャンバ12にくっ付いている。このような配置は、システムのエネルギー効率を向上させる。使用する合金の量または堆積させるシリコンの量に応じて、2つのチャンバの大きさおよび体積は様々でありうる。
【0084】
どちらの場合でも、すなわち完全に切り離されている配置またはくっ付いている配置では、プロセスガスのためのガイドシステムを1つ以上のチャンバに組み込み、対応するチャンバ内のガスの流れを最適にしてもよいが、図示していない。
【0085】
ここで説明する方法によって形成された堆積シリコン、および合金を形成するのに使用された金属グレードシリコンの純度についての分析を表1に示す。代表的なサンプルを示している。示していない他の全ての元素は検出限界を下回っていた。シリコンはGDMS(グロー放電質量分光分析,銅の検出限界は50ppbである)によって、独立した認定研究所(NAL-Northern Analytical Lab., Londonderry, NH)によって分析した。
【表1】

【0086】
本発明の方法および装置の性能をさらに説明するために、以下の例を提供する。これらは単なる例であって、何ら限定するものではない。
【0087】
例1
34cmの径および50cmの高さの塩素処理チャンバに、シリコン−銅合金の25個のブリックを装入し、合金の総重量は12kgであり、シリコンの濃度は30wt%であり、すなわち3.6kgであった。これらブリックを塩素処理チャンバの中央に等間隔で設置した。適切な排気をし、チャンバをプロセスガスで充填したのち、この塩素処理チャンバをシーメンス式のポリシリコン堆積チャンバに接続した。このチャンバ内の圧力を大気圧以上に維持した。合金を300ないし400℃の温度まで加熱し、プロセスガスを塩素処理チャンバと堆積チャンバとの間の閉ループシステムにおいて循環させた。塩素処理チャンバ内で生じたクロロシラン(主にトリクロロシラン)を堆積チャンバ内で消費し、堆積プロセスからの排気ガス(特にHClおよびSTCによって富化されている)を、シリコン合金と反応することによって新たなクロロシランを生成させるのに使用した。ガスは、48時間にわたって循環し、その間に、1.6kgのシリコンをシリコン−銅合金から抽出し、堆積反応器内で堆積させた。堆積シリコン中で銅は検出されず、シリコンはGDMS(グロー放電質量分光分析,銅の検出限界は50ppbである)によって、独立した認定研究所(NAL-Northern Analytical Lab., Londonderry, NH)によって分析した。銅の分解能限度は50ppbであり、これは、銅は固相に残り、シリコンのみが気相となって合金から抽出されたことを明らかに示している。固体のピースの形態で挿入された合金ブリックは、シリコンを合金ブリックの内側の領域から抽出しなければならないときでも、優れたガス交換を可能にする、多孔質の多少スポンジ状の材料を形成した。プロセスが止められ、反応器が冷めた後、ガスを不活性ガスによって置換した。
【0088】
例2
4ピースのシリコン銅合金(総重量:1.3kg、シリコンの量:390g)を15cmの径および25cmの高さの塩素処理チャンバ内に設置した。この合金を外部の件津デバイスによって加熱し、プロセスガスを外部の膜ポンプによって循環させた。堆積チャンバの内部に、フィラメントを設置し、これを1100℃まで加熱し、生成させたクロロシランを消費した。塩素処理および堆積チャンバは取り付けた配置で構成されており、シリコン−銅合金を加熱するにフィラメントの熱の一部を使用する。堆積チャンバは、中板(石英ディスクおよび銅板によって作られている)によって塩素処理チャンバから隔てられている。中央の穴は優れたガス交換を可能にする。合金鋳造のために、99.3%の純度を有する金属グレードシリコンを使用した。GDMS測定値(体積シリコンの異なる領域から得た2つの測定値の平均)にしたがうと、金属不純物の総量は250ppb未満であった(詳細には:Al:20ppb、Mg:5ppb、Ca:45ppb、Fe:21ppb、Na:56ppb、K:54ppb、他の全ての金属:検出限界未満)。ホウ素の濃度は0.22ppmであり、リンの濃度は検出限界未満(<10ppb)であった。
【0089】
例3
約1ccmのサイズを有する10kgの塊を34cmの径および50cmの高さの塩素処理チャンバ内に設置した。この塊は、30at%のシリコン濃度の銅−シリコン合金から形成した。38時間以内に、2本の34cmの高さの10×10mmのフィラメント上に、2kgの精製シリコンを堆積させた。堆積温度は1100℃であった。不純物の分析結果を表1の「Run 3.2−17」に示す。
【0090】
例4
28kgの共晶の銅−シリコン(Si含有量16wt%)16を、88個のブリックの形態で塩素処理チャンバ12の中に設置した。チャンバ12をシリコン堆積反応器14に接続し、生成したクロロシランを消費し、堆積プロセスの間に生じる新鮮なHClをシステムに提供した。77時間以内に、3.1kgのシリコンを共晶の銅−シリコンから抽出し、ガスの形態に移し、加熱シリコンフィラメント(フィラメント温度:1050−1100℃)上に堆積させた。共晶の銅−シリコンを350ないし450℃の温度まで加熱した。塩素処理チャンバへ供給された初期ガス組成物はH2およびHClの混合物(60%のH2および40%HCl)であった。このプロセスの間、塩素処理チャンバには、堆積反応器からのオフガスのみを供給した。このプロセスののち、共晶の銅−シリコンプレートの保全性が得られ、プレートの膨潤も粉末化も観察されなかった。堆積シリコンの純度をGDMSによって分析した:ホウ素およびリンは、10ppbの検出限界以下であった。金属不純物としては、Na、K、AlおよびFのみが検出され、他の全ての元素はGDMSの検出限界未満であった。合計で、検出可能な金属不純物の量は<100ppbであった。
【0091】
例5
54kgの亜共晶(純イータ相、Si含有量12wt%)の銅−シリコン16を110個のブリックの形態で、塩素処理チャンバ12内に設置した。塩素処理プロセスの間の温度は、270ないし450℃の範囲内にあった。チャンバ12をシリコン堆積反応器14に接続し、生成したクロロシランを消費し、堆積プロセスの間に生じる新鮮なHClをシステムに提供した。117時間以内に、4kgのシリコンを亜共晶の銅−シリコンから抽出し、ガスの形態に移し、加熱シリコンフィラメント上にポリシリコンとして堆積させた。フィラメント温度は1050−1100℃であった。ロッドの形態は非常に滑らかで、ポップコーン成長も形態学的な不安定性も観察されなかった。塩素処理チャンバへ供給された初期ガス組成物はH2およびHClの混合物(60%のH2および40%HCl)であった。このプロセスの間、塩素処理チャンバには、堆積反応器からのオフガスのみを供給した。このプロセスののち、亜共晶の銅−シリコンブリックの保全性が得られ、プレートの膨潤も粉末化も観察されなかった。
【0092】
例6
60%のニッケル濃度を有する1.4kgのNi−Si合金を塩素処理反応器12内に設置し、350ないし450℃まで加熱した。27時間の期間にわたって、67gのシリコンをニッケル−シリコン合金から抽出し、加熱シリコンフィラメント上に堆積させた。プロセスの間、ニッケル−シリコン合金はその形状を変化させず、膨潤、粉末化または粒子の放出の兆候を何ら示さなかった。
【0093】
装置10および関連するプロセスの代わりの実施形態
図3を参照すると、これ(present)は高純度シリコン27の製造する方法8に関する。特に、これは、低グレードソース材料16から高純度シリコン27を製造する方法8に関する。これは、クロロシラン15の製造のためのソース16をさらに提供する。特に、これは、共晶のまたは亜共晶のシリコン−金属合金16からのクロロシラン15の製造方法を提供する。また、これは、高純度の、費用効率のよいシリコン27の製造にも関する。高純度シリコン27は、たとえば、ウェハ製造用の多結晶または単結晶インゴットを形成するための基礎原料として有用でありうる。さらに、これは、未精製シリコン、たとえば金属グレードシリコン(約98−99%の純度)の、抵抗率閾値(たとえば約50オームcm以上のそれ)を上回る選択された抵抗率での純度を有する高純度シリコンへの精製にさらに関する。
【0094】
プロセス8および装置10
一般に、2種類以上の固体の混合物(たとえば金属シリコン合金材料16(以下、合金材料16とも呼ぶ))の融点は、その成分元素A、Bの相対割合に依存する。図4、図5を参照のこと。以下に加えて、合金材料16は、選択された度合いの共晶プロパティを含む選択された組成の銅−シリコン化合物または他のシリコン−金属合金からの化学蒸気、たとえばクロロシランの形成を促進するように選択する。
【0095】
図3を参照すると、たとえばクロロシランを含有する搬送ガス15の製造のためのソースとして使用される合金材料16が提供されている。共晶および/または亜共晶の金属−シリコン合金材料12からの(搬送ガス15中の)クロロシラン9の製造のための一般的な方法と共に、合金材料16の一般的な望まれる性質、ならびに合金材料16の製造、クロロシラン堆積プロセス8の一例での使用、およびリサイクルの例を説明する。以下の説明はたとえばCVD装置で実行されるCVDプロセス8での使用に望ましいプロパティを有する金属/シリコン合金材料16を提供することが認められる。CVDプロセス8および対応する装置10の以下の例は、単に議論を目的として、塩素処理9−堆積11として説明している。塩素処理を目的としたもの以外のCVDプロセス8(蒸気製造9および堆積11を含む)および対応する装置10も、望まれるのであれば、合金材料16と共に使用できることが考えられる。クロロシランは、合金材料16中のシリコンと注入ガス13(たとえばHClを含有する)との反応の結果として生成する搬送ガス15の一例である。搬送ガス15のほかの例としては、他のハライド(たとえば、シリコンを有する反応性の形態のフッ素、臭素および/またはヨウ素など,HBr、HI、HFなど)を挙げることができる。したがって、ハロゲン化水素の異なる沸点および注入ガス13と金属シリコン合金材料16のシリコンとの異なる反応性のせいで、温度、ガスの組成、圧力および/またはプロセス9、11に関連する他のパラメータに関しての所定の変更が必要となりうる。さらに、プロセス9、11のためにまたはこのプロセス9、11の間に使用される所定の材料との適合性を提供しなければならない。
【0096】
CVDの例としては、たとえば、限定はされないが:動作圧力によって分類されるもの;蒸気の物理的特徴によって分類されるもの;プラズマ法;原子層CVD(ALCVD);熱線CVD(HWCVD);物理−化学混成気相堆積(HPCVD);急熱CVD(RTCVD);および気相エピタキシー(VPE)が挙げられる。搬送ガス生成プロセス9の動作圧力および/または温度は、搬送ガス15の形成に適合する(すなわちこれを促進する)ように、合金材料16の融点と適合するように(たとえば、プロセス9の温度は、合金材料16の融点温度よりも低い)、および/またはマトリック114を通してのシリコンの拡散に適合しておよび/またはそうでなければこれを促進して、合金材料16中に含まれるどんな不純物の拡散にも優先させる(たとえば、これよりも大きい−たとえば少なくとも2倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくなくとも一桁大きい、少なくとも二桁大きい)ように選択されうる。
【0097】
一般に、化学気相堆積(CVD)は、高純度、高性能の固体材料たとえば所望の純度の堆積シリコン27を製造するのに使用される化学的プロセス8である。プロセス8(たとえば、塩素処理9−堆積11のプロセスを含む)は、半導体および太陽電池産業において、所望の純度および形状のシリコン27を製造するのに使用されうる。典型的なCVDプロセス8では、シリコン基板26(たとえば、ウェハまたは付形されたロッドなどのフィラメント)を1種以上の揮発性前駆体(すなわち、塩素処理プロセス9によって製造した搬送ガス15から得られるもの)に曝して、基板26上へのシリコン27の堆積プロセス11を促進させる。したがって、堆積プロセス11では、プロセスガス15中のクロロシランが基板26上で反応しおよび/またはそうでなければ分解して、所望の堆積シリコン27を製造する。
【0098】
さらに、プロセス8は、高純度で、費用効率の高いシリコン27の製造のためにも使用することができ、たとえば未精製シリコン、たとえば、限定されないが、金属/シリコン合金材料16の成分として提供される約98ないし99.5%の純度の金属グレードシリコンの、金属不純物に関しての選択された純度レベル(たとえば、6N)よりも優れた純度を有する高純度シリコン27への精製に適用されうる。また、プロセス8は、たとえばウェハ製造のための多結晶または単結晶インゴットを形成するための基礎原料として使用できる、ソーラーグレードシリコン27の精製および製造のためにも使用できる。
【0099】
図3を再度参照すると、(たとえば、水素ガスおよび乾燥HClガスを含む塩素ソースを提供する)注入ガス13を、蒸気堆積(たとえば、塩素処理−堆積)装置10の化学蒸気製造(たとえば塩素処理)領域12(たとえば、チャンバ)に流し込み、合金材料16(たとえば、銅−ケイ化物合金)と接触させる。注入ガス13は、合金材料16と反応して、シリコンを蒸気製造領域12(たとえば、チャンバ、チャンバの一部)内の合金材料16から装置10の堆積領域14(たとえば、チャンバ、チャンバの一部)へ運ぶための化学蒸気搬送ガス15を形成することができるガスである。
【0100】
上の例と同様に、プロセス8および装置10は、クロロシランを含有する搬送ガス15の製造によるシリコンの精製と、シリコンフィラメント26上への高純度シリコン27の堆積とを提供する。クロロシランガス15は、低純度シリコンがシリコン合金材料16の形態で設置されているところの一方の領域12で生じ9、高純度シリコン27は、加熱シリコンフィラメント26が設置されているところの他方の領域14において堆積される11。ここでの用語クロロシランの使用は、シリコンに結合した1個以上の塩素原子を有する任意のシラン種のことを言う。生成するクロロシランとしては、限定はされないが、ジクロロシラン(DCS)、トリクロロシラン(TCS)および四塩化ケイ素(STC)が挙げられうる。たとえば、TCSは精製シリコン27の堆積のために使用できる。
【0101】
さらに、上で説明したプロセス8では、合金材料16の使用は、堆積プロセス11からの金属不純物の除去を促進することができる。特に、この堆積方法は、高純度シリコン27に合金材料16中に存在する金属不純物の除去を提供することができる。金属不純物には、たとえばFe、Ca、Na、NiまたはCrなど、揮発性塩化物を形成しないものがあり、そのため、これらは塩素処理領域12内の合金材料12に留まる。多少低い沸点を有する塩化物を形成する他のもの(たとえば、AlまたはTi)は蒸発するが、より好ましくは、堆積領域14において、熱いシリコンフィラメント26上に堆積するよりも冷たい表面上で凝縮する。
【0102】
CVDプロセス8のパラメータの例
注入ガス流13が領域12に入ったら、加熱デバイス6を使用して合金材料16に熱7を積極的に適用/供給し、合金材料16の温度が選択した温度T(たとえば150℃)よりも高くなったとき、注入ガスは合金材料16の表面で反応し、シリコンの気体状ソース、すなわちクロロシラン搬送ガス15を製造する。次に、クロロシランガス15はこの領域を出て行き、領域14へ流れる。
【0103】
領域14には、少なくとも1つの付形された(たとえばU字型の)フィラメント26が設置されており、ここにシリコン27が堆積される。フィラメント26を1000℃ないし1200℃の範囲内にある温度まで加熱して、シリコン堆積11を可能にする。合金材料16中の晶子120(図7aを参照のこと)の存在(存在する場合)が選択された最大晶子閾値以下であるように選択された重量パーセントのシリコン(共晶シリコンwt%組成以下のシリコン(共晶または亜共晶マトリックス114)の場合、合金材料16中の晶子120の存在はたとえ存在していても無視できることが認められる)を使用する装置10およびプロセス8で使用するシリコン−金属合金材料を形成するために、任意の金属を使用することができ、ただし、前記金属は、定義された蒸気圧閾値未満の蒸気圧を有しかつHClガスおよび水素との限られた反応を示す。銅シリコン合金材料16の場合、最大晶子閾値は、合金材料16中のシリコンの重量パーセントとして、たとえば、20%未満、19%未満、18%未満、17.5%未満、17%未満、または16.5%未満と定義されうる。
【0104】
さらに、たとえば、金属は、堆積領域14内の熱いフィラメント26上で分解する傾向にある気体種を形成すべきでない。好ましくは、使用する金属は、塩素処理領域12の使用温度の範囲内で揮発性金属塩化物を形成するものでない。合金材料16を形成する考えられる金属としては、限定されないが、銅、ニッケル、鉄、銀、白金、パラジウム、クロムまたはこれら金属の組み合わせが挙げられる。本発明の好ましい実施形態では、合金材料16はシリコン−銅合金である。
【0105】
結果として、クロロシランガス15(たとえばトリクロロシラン(TCS)、四塩化ケイ素(STC)またはジクロロシラン(DCS))が、H2−HCl混合物13とシリコン合金材料16との反応9によって生じる。この反応9によって、シリコンを運ぶための化学蒸気搬送ガス15が提供される。簡略化すると、反応9は以下のように書くことができる。
【0106】
Si + 3HCl → SiHCl3 +H2
この反応の典型的な副生成物は、SiH2Cl2(DCS)およびSiCl4(STC)である。
【0107】
クロロシランガス15は、塩素処理領域12から堆積領域14へ積極的に運ばれる。シリコン27の堆積速度11は、塩素処理および堆積の領域12、14間の流量(すなわちガス交換速度)によって制御できる。装置10に接続され、塩素処理および堆積の領域12、14内でのおよびそこへのガス13、15の流れを制御するように構成されている制御システムによって、この流量を制御してもよい。あるいは、流量は、注入ガス13のH2対HClの比もしくは他の比によって制御できるし、または流量はフィラメント26の温度によって制御できる。堆積速度11は、塩素処理領域12内に設置されたシリコン−金属合金材料16の量、合金材料16の温度T、および/または合金材料16中のシリコンのwt%にも依存しうる。
【0108】
上で述べたように、搬送ガス15中の気体状シリコンを、その後、堆積領域14内の加熱フィラメント26上に、高純度シリコン27として堆積させる。使用されうるフィラメント26の種類としては、限定されないが、シリコン、グラファイト、モリブデン、タングステンまたはタンタルのフィラメントが挙げられうる。フィラメント26は、そこへのシリコン27の後段の堆積11を可能にする任意の形状のものでありうる。フィラメント26の温度は、1000ないし1200℃の範囲内に制御されかつ維持される。簡略化すると、分解11は以下のようになりうる:
SiHCl3 + H2 → Si + 3HCl
この反応11の典型的な副生成物は、SiH2Cl2(DCS)およびSiCl4(STC)である。
【0109】
さらに、シリコン−金属合金材料16は、塩素処理領域12内に、固定床の配置の形態で設置されてもよいし、移動床もしくは任意の他の種類の攪拌床の構成で設置されてもよい。プロセス9の間のシリコン−金属合金材料16の再装入が、塩素処理領域内の再装入口を使用して行われる場合もある。
【0110】
金属−シリコン合金材料12の構造
一般に、2種類以上の固体の混合物(たとえば、金属−シリコン合金材料16(以下合金材料16と呼ぶ))の融点は、その成分元素A、Bの相対比率に依存する。図4、図5を参照のこと。合金材料16は、主たる/多い方の成分元素Bは金属(たとえば、銅Cu、ニッケルNi、鉄Fe、銀Ag、白金Pt、パラジウムPd、クロムCrおよび/またはこれらの組み合わせ)であり、少ない方の成分元素はシリコンSiを含んでいるそれであることが認められる。したがって、金属シリコン(Si)合金材料16は、合金構造114のうち、金属(たとえばCu)の体積割合と比べて小さい割合の体積(たとえば10−16%)をシリコンが占めている金属/シリコン合金として特徴付けることができる。
【0111】
共晶材料または共晶合金材料16は、融点が局部温度Tの最小値であるような比率にある混合物であり、これは、全ての成分元素A、Bが溶融液体Lの溶液からこの温度で同時に結晶化することを意味している。共晶合金材料16のこのような同時の結晶化は、共晶反応として知られており、それが起こる温度Tは共晶温度Tであり、それが起こる合金材料16の組成および温度は共晶点EPと呼ばれている。合金材料16に関して、これは、金属マトリックス/格子114における1種以上の元素A、Bの部分的または完全な固溶体として定義することができる(図5を参照のこと)。完全固溶体合金は単一固相の微視的構造を与える一方で、部分的な溶体は2相以上を与え、これらは熱(熱処理)履歴に依存するが分布が均質でありうる。合金材料16は成分元素A、Bのそれとは異なる物理的および/または化学的性質を有することが認められる。マトリックス/格子114に関して、これは、固体材料の明確に秩序だった成分A、Bの構造(たとえば、結晶または結晶性)として定義することができ、その成分A、Bは、原子、分子またはイオンとして、2つおよび/または3つ全ての空間的次元に広がる規則的な繰り返しパターンで配置している。
【0112】
共晶または亜共晶の金属−シリコン合金16は、この共晶または亜共晶合金16が、鋳造した合金を冷却した際に、過共晶合金の場合には観察されうるシリコンの微結晶120の形成を示さないという点で過共晶合金と区別されうる。この微結晶120の欠如は、共晶または亜共晶のシリコン−銅合金がたとえばここで説明したプロセス8のためのソース材料として使用される場合に利点を提供しうる。
【0113】
図4を参照すると、2種類の固体元素A、Bの混合物を含む二元系についての相平衡図の例が示されており、ここでは、共晶点EPは、液相Lが固相α+βに直接隣接している点である。したがって、相図115は、水平軸117に沿って元素AおよびBの相対重量濃度を、および垂直軸118に沿って温度Tをプロットしている。共晶点EPは、液相Lが固相α+β(たとえば、AおよびBの両方からなる均質混合物)に直接隣接している点であり、成分元素AおよびBの任意の考えられる合金の最小融解温度を表している。示している相図115は、二元系(すなわち、成分A、B)についてのものであることが認められるが、他の系(たとえば三元系A、B、Cおよびそれ以上)を使用して、多い方の成分元素(または元素グループ)Bとしての金属(または様々な金属の混合物)と組み合わせて、Siがたとえば少ない方の成分A中に含まれる(たとえば、Siが、1種以上の様々な金属「B」を含む主成分元素/元素グループと比べて少ない方の成分元素Aである)ように、合金材料16を定義できることが考えられる。合金材料16の例は、限定はされないが:シリコン−銅合金;シリコン−ニッケル合金;シリコン−鉄合金;シリコン−銀合金;シリコン−白金合金;シリコン−パラジウム合金;シリコン−クロム合金;および/またはこれらの組み合わせ(たとえば、Cu−Ni−Si合金)などである合金である。さらに、合金材料16は、シリコン成分Aの重量パーセント(wt%)組成が二元共晶系の平衡図115の共晶点EPの左手側にある亜共晶合金(すなわち、シリコンAの共晶重量パーセント(wt%)組成よりも小さなシリコンAの重量パーセント(wt%)組成を有する合金)でありうることが認められる。したがって、亜共晶合金が存在する如何なる点でも、その点での溶質(すなわちシリコンA)の濃度は、共晶点EPでの溶質(すなわちシリコンA)の濃度よりも小さい。さらに、合金材料16は、シリコン成分Aの重量パーセント(wt%)組成が二元共晶系の平衡図115の共晶点EPの右手側にある過共晶合金(すなわち、シリコンAの共晶重量パーセント(wt%)組成よりも大きなシリコンAの重量パーセント(wt%)組成を有する合金)でありうることが認められる。したがって、過共晶合金が存在する如何なる点でも、その点での溶質(すなわちシリコンA)の濃度は、共晶点EPでの溶質(すなわちシリコンA)の濃度よりも大きい。過共晶合金材料16は多相(たとえば二相)合金(たとえば不均質)であるとみなされ、一方亜共晶合金材料16は単相(たとえば一相)合金(たとえば均質)であるとみなされる。
【0114】
共晶または亜共晶のシリコン−金属合金16は、ソース材料16中のシリコン微結晶120の実質的非存在を少なくとも部分的に原因とする、鋳造合金が冷えたときのクラッキング122に対する抵抗力を有しうる(図7a、bを参照のこと)。クラッキング122の低減は、鋳造ピース16の内部への周囲空気および水分の到達を抑制することができ、それにより鋳造合金16が周囲の雰囲気に曝された際に酸素および/または水分の吸収を減らすことができる。これは、鋳造合金16の保管寿命を延ばすことができる。さらに、(周囲条件への曝露による劣化を原因とする)この合金材料16に導入された酸素または他の不純物の塩素処理領域12への放出を減らすことができ、それにより、たとえば、プロセスガス13中のクロロシラン混合物の純度を向上させるに役立ちかつ堆積シリコン27の純度を向上させるのに役立つ
金属−Si合金材料16
様々な金属シリコン合金材料が、搬送ガス15の製造およびシリコン27の堆積のための装置10において有用でありうることが認められる。たとえば、ニッケルシリコン、白金シリコン、クロムシリコン、および/または鉄シリコンは有用な合金でありうるし、ここで、金属シリコン合金材料16は、この合金材料16中のシリコンの重量パーセントがおおよそ共晶組成以下となるように選択されるように設計されている。シリコン晶子120の量が特定の最大晶子閾値以下であるように、金属シリコン合金材料16中のシリコンの重量パーセントが選択されることが認められる。特定の最大晶子閾値を上回る合金材料中の任意のシリコン重量パーセントが、晶子120および共晶マトリックス114の不適合な/相違する熱膨張特性のせいで合金材料の構造保全性にとって有害でありうるのに十分な数、大きさ、および分布の晶子120を導入することが認められる。既に論じたように、合金材料16中の晶子120の存在は、クラック122のせいで合金材料の構造保全性に有害であり、このクラックは特定の最大晶子閾値を上回る十分な数、大きさおよび/または分布の晶子120の存在のせいで生じる。
【0115】
また、金属シリコン合金材料16がマトリックス114中に2種類以上の金属、たとえば銅、ニッケル、クロム、白金、鉄、金および/または銀を含む群より選択される2種類以上の金属の任意の組み合わせなどを有することができることも認められる。さらに、(たとえば、2種類以上の金属の場合)金属シリコン合金材料16の銅が、シリコンを含む他の全ての合金成分の中でも最も大きい重量パーセントでありうることが認められる。
【0116】
図6を参照すると、金属クロムシリコン合金材料16についての共晶性および範囲の例が示されている。
【0117】
Cu−Si合金材料16の例
合金材料16の更なる例は、多少複雑な相図115を形成し、少なくとも1つの共晶点EPが知られており(Siは約16wt%であり、Tm=800℃)、幾つかの金属間相が形成される、銅CuおよびシリコンSiである。金属間相の中で最も顕著なのは、Cu3Siからなる(温度に応じて所定の相の幅(phase width)を有する)イータ相である。Cu3Si金属間相の融点はT=859℃と報告されている。過共晶範囲(たとえば、Si濃度が約16wt%を上回る範囲)では、銅CuおよびシリコンSiは純シリコンSiまでの濃度範囲全体にわたって液相で完全に混和するが、冷却の間、シリコンSiが分散型の晶子120の形態(数ミリメートルの長さの針状または板状)で結晶化し、これは共晶合金材料16のマトリックス114中に埋没する。イータ相未満の濃度範囲(すなわち、Siが約16wt%未満である亜共晶組成)では、少なくとも5種類の追加の金属間化合物が知られているが、それらの殆どは高温範囲についてのみ確認されている。
【0118】
いずれにしても、Cu−Si合金材料16は、Siが約16wt%の範囲内にある場合には共晶合金材料、Siが約16wt%ないし99wt%の範囲内にある場合には過共晶合金材料、およびSiが1wt%ないし約16wt%の範囲内にある場合には亜共晶合金材料と定義することができる。以下でさらに説明するように、塩素処理−堆積システム10Siの塩素処理チャンバ12での使用のためのCu−Si合金材料16は、たとえば限定はされないが;1−16%、4−16%、5−16%、6−16%、7−16%、8−16%、9−16%、10−16%、11−16%、12−16%、13−16%、14−16%、1−15%、4−15%、5−15%、6−15%、7−15%、8−15%、9−15%、10−15%、11−15%、12−15%、13−15%、14−15%などの範囲内にある共晶点EP未満の重量パーセントのそれであって、合金材料16中でのマトリックス/格子114以外のシリコンとしてのシリコン晶子120(すなわち、自由シリコン)の形成を制限するかまたは抑制する。晶子120がCu−Siマトリックス114以外に生じる析出物であると見なされうることが認められる(すなわち、過剰なシリコン(約16重量%を超える)がCu−Siマトリックス114中に不溶であり、それゆえにこのマトリック114以外に晶子120を形成する)。
【0119】
たとえば、約12wt%Siの亜共晶合金材料16の場合、合金材料16中に存在する自由シリコン(すなわち晶子120)は皆無かまたは実際上それに近い。シリコンのwt%が共晶点EPのそれ(たとえば約16wt%)に達すると、構成する純(native)シリコンは原子ストリングス(atomic strings)中に4wt%まで存在することができ、均質合金混合物に寄与する(すなわち、純シリコンが共晶構造114内に散在しており、それ故に均質混合物を単相の均質混合物とみなすことができる)。共晶点EPのシリコンのwt%(たとえば、約16wt%)を超えると、過剰なシリコンは純シリコン晶子20として固化し、多相不均質混合物(すなわち、共晶材料114およびシリコン晶子120を含むもの)のうちの1相として分散する。したがって、共晶点EPのシリコンのwt%(たとえば、約16wt%)より低いwt%のシリコンを有する合金材料は、単一相の合金材料16とみなすことができる。
【0120】
不均質に対する均質に関して、均質混合物は1つの相を有するが、溶質Aおよび溶媒Bは変化しうる。混合物は、広義では、物理的に同じ位置にあるが化学的に結合していない2種類以上の物質であり、それゆえに比は必ずしも考慮されない。不均質混合物は、機械的に分離することができる2種類以上の成分の混合物として定義することができる。
【0121】
たとえば2種類の純銅系合金材料16、7%の亜共晶シリコン含有量の第1の合金材料16と、22%の過共晶シリコン含有量の第2のそれとを考えてみよう。合金液体の冷却速度は低くて、固化の間の短時間拡散によってこれら相の間に平衡が成立することが想定される。亜共晶合金材料16の構造は、純銅マトリックス114中に散在した微細な共晶Siのネットワークから構成されている。対照的に、過共晶合金材料16が冷めた後、材料の構造は、純銅および共晶Siを含むマトリックス114としての共晶相のそれとは別種の相として散在する主たるシリコン結晶120からなる。
【0122】
さらに、銅を含有する合金材料16の場合、合金材料16の外面における原子的にシリコンまたは他の元素(たとえば、マトリックス114中でシリコンと結合しているもの)と原子的に化合している銅の存在は、搬送ガス15を生じさせるシリコンと注入ガス13との反応を促進する(たとえば、原子的に結合している銅は、シリコンと注入ガス13との間の反応のための触媒として働く)ことが認められる。さらに、銅は、自由な状態(たとえば純銅)ではなく、むしろマトリックス114の中にあるので、搬送ガス15の不純物としての銅の混入を抑制することができることが認められる。
【0123】
過共晶ではない合金材料16の利点
過共晶として説明される合金材料16は、共晶材料相114およびシリコン晶子120(たとえばSi晶子120)を有する多相合金の存在に関連することが認められる。
【0124】
前に説明したように、図7a、図7bを参照すると、過共晶合金材料16の場合、大きな粒径のシリコン晶子120が合金材料16の共晶マトリックス114成分/相の至るところに散在している。この不均質多相合金混合物は、塩素処理−堆積システム10の内側および外側の両方での合金材料16のさらなる使用および挙動に関して重大な結果を招く。たとえば、合金材料16の鋳造プロセス、たとえばシステム10での後段の使用のための合金材料16の製造の間、第1にシリコン晶子120が生じ、それらが共晶金属−シリコンのマトリックス114中に埋没する。シリコン晶子120は、共晶金属−シリコンのマトリックス114と比べると異なる熱膨張係数を有しており、その結果、鋳造プロセスの間の共晶固化点(たとえば、Cu−Siの場合Tm=800℃)から室温までの合金材料16の冷却の間に、共晶金属−シリコンのマトリックス114中にクラックおよび微視的クラックが形成しうる。これら微視的クラック122は、それがたとえば不活性雰囲気中で保管されない限り、鋳造合金材料16の進行酸化をもたらしうる。通常の雰囲気下では、合金材料16の保管寿命は制限されて、ある期間後には合金材料16の鋳造ピースの分解および崩壊をもたらしうる。
【0125】
さらに、連続的な酸化を原因とする過共晶合金材料16中の高められた酸素レベルは、(塩素処理−堆積プロセス8の間に合金材料16から得られる)堆積された高純度シリコン27における酸素濃度の上昇をもたらしうる。さらに、塩素処理プロセス9の塩素処理領域12における通常の動作温度下での注入ガス13への曝露の間、過共晶金属−シリコン材料15は膨潤しうる(たとえば、熱膨張によっておよび/またはクラック122を介しての合金材料16への注入ガス13の浸透によって膨張しうる)し、合金材料16の体積は約2倍に増加しうる。さらに、合金材料16の膨張は、より小さなピース124、126を生じさせうるものであり、それにより、合金材料16の物理的形態が多少不安定な材料の形態であるスポンジ状に変性し、これは、塩素処理プロセスガス13および塩素処理9の関連する塩素処理温度Tに繰り返し曝されると容易に崩れ落ちうる(すなわち粉末化しうる)。過共晶合金材料16の膨潤/分解は、塩素処理−堆積システム10におけるダストおよび粒子124の形成をさらにもたらしうるものであり、これはガス流15によって運ばれる場合があり、精製したシリコン27の純度に悪影響を与えうる。最悪な場合、粒子124は堆積されたシリコン27自体の中に入り込みうる。過共晶合金材料16を使用することのさらなる欠点は、貧化した合金材料16がそのスポンジ状のせいで容易に酸化されて粉末状になりうるものであり、それにより再溶融/再使用のために集めるのが難しくなりうることにある。
【0126】
たとえば、Cu−Si合金材料として体現される合金材料16に関して、共晶または亜共晶の銅−シリコン材料16が鋳造プロセスの冷却の間のクラック122の発生を抑制し、形成した共晶または亜共晶の銅−シリコン材料16が空気または他の環境条件に曝されて酸化剤および/または水分がこの共晶または亜共晶の銅−シリコン材料16に到達したときの酸素および/または水分の吸収を抑制しうる点で、この共晶または亜共晶の銅−シリコン材料16の構造は過共晶合金から区別される。このクラック122の防止は、鋳造材料16の保管寿命を延ばすことができ、さらに、過共晶合金の場合には任意のクラック22中にトラップされて塩素処理プロセス9の間に放出されうる、酸素またはプロセス8に関する他の不純物の量を減らすことができる。
【0127】
共晶または亜共晶の銅−シリコン合金材料16の場合、(過共晶合金材料の場合に形成される)埋没するシリコン晶子120の欠如は、塩素処理反応器のプロセス9での使用に幾つかの重要な結果を招く。プロセス9の間にシリコンが過共晶合金材料16中の晶子120から抽出される場合、大きな空隙またはキャビティ122(すなわち膨張したクラック122)が生じ、プロセスガス13が合金材料16の塊の中に浸透しうる。これは、合金材料16の膨潤/膨張をもたらしうるものであり、合金材料16の部分的な/完全な崩壊または粉末化を引き起こしうる。この崩壊は、以下にさらに説明する所望されない不純物を制御するための合金材料16のフィルタ効果を低めうるものであり、それにより塩素処理−堆積プロセスの精製プロセス8をあまり効率のよくないものにしうる。
【0128】
図8を参照すると、共晶の銅−シリコン合金材料16(約16wt%のシリコン)の酸化挙動を過共晶合金材料128(40wt%シリコン)の酸化挙動と比較している。類似した形状(8×8×1.5cm)の合金材料の2つのピース16、128を通常の研究室雰囲気中で保管し、材料の重量130を時間132の関数として測定した。プレーンの銅のピース134を参照試料として使用した。過共晶合金128は、進行性酸化を表す連続的な重量増加を示した。約3ヶ月以内に、1gよりも大きい重量増加が測定され、これは合金材料128の元の総重量の約0.2%であった(約6ないし12ヶ月後、過共晶ピース128は普通に分解して崩れ落ちた)。同時に、共晶銅−シリコンピース16は大きな重量増加を全く示さず、これは、共晶材料16の中実で、クラックを含まない構造によって説明されうる。
【0129】
合金材料16の形成
図12を参照すると、合金材料15の製造プロセスのために使用される鋳造装置200の一例が示されており、これによると、測定した百分率量の化合した金属およびシリコンを含有した液体材料202を、合金材料16の所望の物理形状の中空キャビティを提供する型204に流し込む。次に、溶融液体材料202を制御した温度で固化させて、合金材料16の所望の共晶または亜共晶のマトリックス114(図7a,b/図9a,bを参照のこと)を提供する。さらに、合金材料16の一体型のマトリック114の性質(たとえば、多結晶構造として特徴付けられるもの)を最大限に活用すると共に、晶子120の形成を最小にする(図7aを参照のこと)ように、冷却プロセスを制御する。固化した合金材料16は鋳造品としても知られており、205から押し出されるかまたは型204から取り出されて、プロセスが完了する。
【0130】
また、図13を参照すると、好ましい実施形態によれば、共晶または亜共晶の金属−シリコン合金材料16が鋳造プロセス220によって製造され、このプロセスはシリコンが貧化した合金材料16のための再鋳造プロセスとして変更することもできる。このプロセスでは、シリコン、たとえばm.g.シリコンを金属(たとえば銅)と共にまたは亜共晶のシリコン−銅混合物(たとえば、貧化した合金材料16)と共に溶融させる。この溶融は、シリコン−銅溶融物202に耐えかつ追加の不純物を溶融物へ不都合に導入することがない黒鉛るつぼまたは任意のるつぼ材料内で行うことができる。次に、溶融物202を型204、好ましくは、排他的ではないが、黒鉛型204に流し込み、(たとえば型204の付形により)定義された形状および幾何の所望の共晶または亜共晶の合金材料16を形成する。より高いシリコン濃度の金属−シリコン合金、たとえば過共晶組成とは対照的に、共晶または亜共晶の材料16は、この材料は応力なしで冷却できるので、広範な様々な形状(ブリック、スラブ、薄板)に鋳造できる。たとえば、鋳造の冷却プロセスは、気孔(gas porosity)、収縮欠陥、型用材料の欠陥、流し込み材料の欠陥、および/または冶金学的な/マトリックス114の欠陥を最小にする/抑制するように構成されている。また、合金材料16の物理形態/形状は、装置10の固定床または流動床反応器(たとえば領域12)のために構成されうることが認められる。
【0131】
したがって、合金材料16を鋳造して、所望の物理形態、たとえば、化学気相領域12の容易な装入を可能にしかつ定義された比の閾値を上回る選択された表面136対体積比を好ましくは提供する、ブリック、プレート、顆粒、塊、ペブルまたは任意の他の形状にすることができる。
【0132】
さらに、鋳造した共晶または亜共晶のピース16にそれを蒸気ガス製造のために使用する前に表面処理を施してもよいし、またはそれらを直接使用してもよい。考えられる表面処理としては、鋳造プロセスの間に形成しうるあらゆる表面汚染物質またはあらゆる酸化皮膜を除去するための、たとえばサンドブラストまたは化学エッチングが挙げられる。
【0133】
たとえば、共晶または亜共晶のブリック、スラブまたはプレート(または必要とされるのであれば如何なる形状でも)を、塩素処理反応器12でのクロロシランの製造のためのソース材料16として使用することができる。
【0134】
合金材料16の再鋳造
図13を参照すると、(それぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの共晶重量パーセント以下の選択された重量パーセントのシリコンを有する金属シリコン合金材料16を製造するための)再鋳造プロセス220であって、プロセス9(図3を参照のこと)において予定された量のシリコンを共晶または亜共晶の材料16から抽出したのちに行われるプロセスが示されている。亜共晶および/または共晶の材料16の場合の合金材料16中に存在する晶子120の実質的非存在(たとえば欠如)によるクラック形成122の抑制のおかげで合金材料16がその構造保全性を保持できるので、貧化したスラブ、ブリックもしくはプレートまたは他の物理形態の合金材料16は、塩素処理領域12から取り出すことができる。製造されるクロロシラン流13または堆積されるポリシリコン27のそれぞれにおいて必要とされる純度レベルに応じて、貧化した材料16を再溶融させ、追加のシリコンと混合させて、塩素処理プロセス9でのさらなる使用のための未使用の共晶または亜共晶の材料16を形成してもよい。貧化した材料16の再循環物の数は、個々の不純物についての閾値と使用するmg.シリコンの不純物レベルとに依存しうる。
【0135】
工程222では、貧化した金属シリコン合金材料16の原子マトリックス114におけるシリコンの濃度が、この金属シリコン合金材料16の外表面136からこの金属シリコン合金材料16の内部140へかけて増加し、それにより、貧化した材料における外表面136に隣接するシリコンの重量パーセントがそれぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコン範囲の亜共晶重量パーセント以下となるように、貧化した金属シリコン合金材料16を溶融することが行われる。工程224では、シリコン(たとえば金属グレードシリコン)を貧化した金属シリコン合金材料16(たとえば溶融したもの、固体または部分的に溶融した形態のものの何れか)に添加して、得られる溶融材料のシリコンの含有重量パーセントを高め、それぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの共晶重量パーセント以下のシリコンの選択された重量パーセントにする。工程226では、溶融合金材料を鋳造して、装置10の化学蒸気発生領域(図1を参照のこと)への再発生に好適な固体金属シリコン合金材料16を製造する。任意の工程228は、鋳造した金属シリコン合金材料16の表面処理である。
【0136】
表面処理(たとえば、表面上に溜まった金属塩化物を洗い落とすなど)を、亜共晶合金に行うことができることが認められる。過共晶では、これは、スポンジ状構造、すなわち議論したようにクラック122の形成のせいで行うことができないであろう。鋳造プロセスの結果としての合金材料16中に含有された不純物についての閾値に応じて、表面処理が行われたり行われなかったりしうる。さらに、鋳造の間、酸化物および/または炭化物のスラッグ除去(slagging-off)を、合金材料16の表面処理として行うことができる。
【0137】
合金材料12のフィルタ効果
図3、図9a、図9bを参照すると、過共晶合金材料16(すなわち晶子120を含んでいる,図7aを参照のこと)の場合、材料16の膨潤が、ガス13の流れに影響を与えるまたはこれを妨げ、(膨張/クラック形成のせいによる)合金材料16の分解からの粉末および粒子の放出が、搬送ガス15へ不純物/汚染物質を導入することがあり、これは堆積シリコン27を汚染しうる。
【0138】
共晶または亜共晶の銅−シリコン(すなわち晶子120が実質的に存在しない,図7aを参照のこと)の場合、合金材料16のピースは、膨潤もしないしその形状を見かけ上変化させることもなく、それにより、クラック122の形成/広がりと、結果的に生じる合金材料16の物理的保全性の分解および/または崩壊とを防ぐ。したがって、注入/プロセスガス13との反応は、亜共晶または共晶材料16の表面136上で起こる。シリコンは、銅−シリコン中で、他の金属元素よりも著しく速い攪拌速度を有することが知られているので、合金材料16中に残ったあらゆる不純物に対して効率的なフィルタ効果を得ることができ、これらの元素(すなわち、合金材料16中のSiまたは任意の他の考えられる不純物元素)のみ表面136に拡散しプロセスガス13と反応することができる。
【0139】
したがって、マトリックス114は、合金材料16中(たとえば、さらには、銅およびシリコンを有するマトリックス114中)の不純物のフィルタまたはゲッターと見なすことができ、これは、搬送ガス生成9のための温度および他の動作パラメータが、合金材料16を通しての考えられる不純物原子(たとえば、Cr、Fe、O2、N2、ホウ素、リンなど)の拡散よりも優先的な(すなわち規模がより大きい)マトリックス中でのシリコンの拡散を提供するからである。それゆえに、マトリックス114は、注入ガス13とのシリコン反応の化学的/金属学的プロセスの間にゲッター/フィルタとして働いて、それがなければ搬送ガス15に入り込むであろう不純物を吸収する。合金マトリックス114中でのシリコンの拡散/移動速度は、プロセス9の温度および/またはマトリックス114中のSiの濃度勾配(たとえば、マトリックス114中のSiの濃度は、注入ガス13との反応によってこの合金材料16の表面付近で最初に貧化し、それにより、合金材料16の外表面と内部との間にマトリックス114中のシリコンについての濃度勾配が生じる)などの多くのパラメータに依存することも認められる。
【0140】
原子拡散は拡散プロセスであり、それにより、固体材料16中の原子のランダムな熱活性化運動が原子の正味の移動をもたらす。移動の速度は、拡散係数および濃度勾配138によって左右される。マトリックス114の結晶固体状態では、結晶格子114内でのSiの拡散は、格子間メカニズムおよび/または置換型メカニズムの何れかによって起こり、格子拡散と呼ばれる。格子間拡散では、拡散物質(たとえば、金属−Si合金中のSi)は他の結晶元素の格子構造の間に拡散する。置換式格子拡散(たとえば自己拡散)では、Si原子はマトリックス114中の他の原子と場所を交換することによって移動しうる。置換式格子拡散は、多くの場合、結晶格子114全体にわたる空格子点の利用能に依存する。迅速であり、本質的にランダムな飛躍(ジャンプ拡散)によって、拡散するSi原子はマトリックス114中の空格子点から空格子点へ移動する。
【0141】
空格子点の普及率(prevalence)はアレニウスの式にしたがって増加するので、結晶固体状態の拡散の速度は温度と共に上昇しうる。欠陥のない結晶マトリックス114中の単一の原子に対して、Si原子の移動は、「ランダムウォーク」モデルによって説明できる。三次元では、長さαのn回のジャンプののち、原子が平均して予め定義した距離を移動するであろうことが示される。多結晶マトリックス114材料16中のSiの原子拡散は、短絡拡散メカニズムを含みうる。たとえば、粒界および転位などの或る結晶114欠陥に沿ってより開いた空間が存在し、それによりSi元素の拡散のためのより低い活性化エネルギーを許容する。それゆえに、多結晶114材料16における原子拡散は、多くの場合、格子と粒界拡散係数との組み合わせである有効拡散係数を使用してモデル化される。一般に、表面拡散は粒界拡散よりも非常に速く起こり、粒界拡散は格子拡散よりも非常に速く起こる。
【0142】
それゆえに、シリコンは、他の不純物元素(搬送ガス15中への導入/混入が望ましくない元素)よりも、金属−シリコン中で著しく速い拡散速度を有することが知られているので、遅く移動する方の不純物元素はバルク材料16中にトラップされ、マトリックス14中のシリコンは反応のための表面136へ優先的に拡散する。過剰なシリコン(すなわち晶子120)を有する合金とは対照的に、マトリックス114からのシリコン元素が貧化すると、マトリックス114中には、大きな空洞(たとえばクラック122)ではなく、カーケンドル空隙のみが主に形成する。表面シリコンとプロセスガス13との反応は、濃度勾配138を生じさせ、それにより表面136への方向にシリコンを拡散させる。表面136で入手可能なリシコンの量は固体状態拡散の速度によって定義されるので、プロセス9の温度が低過ぎる場合には表面136での未使用シリコンの補充が低過ぎとなるように、塩素処理プロセス9の間の温度Tは適切に選択される。温度が高すぎる場合、十分な量のシリコンと共に、不純物がマトリックス114を通って移動し、定義された不純物閾値を越える濃度で搬送ガス15中に望まれずに含まれることがある。原理的に、プロセス9は、200℃から合金材料16の融点(たとえば、Cu−Si合金の場合、共晶合金材料16の融点Tmpは約800℃である)までの間にあるいかなる温度でも動作することができる。たとえば、200℃が、シリコンの拡散が定義された最低拡散閾値未満となるところの下限温度境界の一例でありうる。
【0143】
所望される金属シリコン合金材料16(たとえばCu−Si)の場合、およそ共晶または亜共晶の合金材料16を、加熱手段6によって、トリクロロシランまたは他のガス13の形成のためには選択された温度範囲(たとえば、250℃−550℃、300℃−500℃、350℃−450℃、375℃−425℃、250℃−300℃、350℃−550℃、250℃−300℃、400℃−500℃、400℃−550℃)の間まで加熱し、四塩化ケイ素または他のガス13が好ましい場合にはより高い温度(たとえば、450℃−Tmp、500℃−Tmp、550℃−Tmp、600℃−Tmp、650℃−Tmp、700℃−Tmp、750℃−Tmp、800℃−Tmp)まで加熱する。プロセス9の圧力は、たとえば、1−6barの範囲内にありうる。さらに、他の金属シリコン合金材料16(Cu−Si以外)構造においてマトリックス114を通してのシリコンの拡散を促進する/最大にするように、温度および圧力のプロセスパラメータを調節することができる。
【0144】
堆積シリコン27の性質
図14a、bを参照すると、共晶銅−シリコンをソース材料として使用して(12a)および過共晶合金を使用して(シリコン濃度30%、12b)精製されたシリコン27の抵抗率が示されている。それぞれ過共晶または共晶の銅−シリコン合金材料16を使用することによって塩素処理領域12で製造したクロロシラン(すなわちトリクロロシラン)を分解させることによって、シリコン27を熱いフィラメント上に堆積させた。堆積後、ポリシリコンのロッド27を切断して切片にし、4点プローブによって半径方向の抵抗率プロファイル250を測定した。(注:50/100オームcmよりも大きな抵抗率値は50/100オームcmとした。なぜなら、バルクの抵抗率が測定できるところまでの範囲をこれが大まかに示すからである;50/100オームcmを上回ると、表面条件および粒界の影響が顕著になる。)共晶の銅−シリコンは、過共晶のそれよりも著しく優れたフィルタ効果/ゲッタリング効果を示し、抵抗率値250は堆積されたシリコン27の厚さ全体にわたって実質的に一定であった。平均的に、共晶材料から堆積させた材料は、材料スライスの選択された厚さTの場所で、過共晶材料から堆積させたシリコン27の抵抗率と比較して約一桁大きい抵抗率を示す。(記:第1の3−4mmの半径のところは、シリコンは堆積しておらず、元のフィラメントである)。したがって、少なくとも部分的にプロセス9の間のマトリックス114のフィルタリング効果のおかげで、堆積させたシリコン27の抵抗率は、この堆積させたシリコン27の厚さ全体にわたって、選択された最小抵抗率閾値よりも上に保たれることが認められる。
【0145】
装置10の動作例
図3、図10を参照すると、シリコンを精製するための装置10(図3を参照のこと)を使用する方法230の例が示されており、この例は:注入ガス13を、それぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの共晶重量パーセント以下のシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料16と反応させる工程232と;金属シリコン合金材料16の原子マトリックス114から得られるシリコンを含む化学蒸気搬送ガス15を生成させる工程234と;シリコンの堆積を促進するように構成されたフィラメント16へ蒸気搬送ガス15を流す工程236と;化学蒸気搬送ガス15からフィラメント上へと精製された形態でシリコン27を堆積させる工程とを含んでいる。
【0146】
図3、図11を参照すると、シリコン堆積11によるシリコン精製における使用のための化学蒸気搬送ガス15を製造する方法の例240が示されており、この例は:注入ガス13を、それぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの共晶重量パーセント以下のシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料16と反応させる工程242と;金属シリコン合金材料16の原子マトリックス114から得られるシリコンを含む化学気相搬送ガス15を生成させる工程244と;蒸気搬送ガス15を後段のシリコン堆積11での使用のために排出する工程246工程とを含んでいる。
【0147】
プロセス8前後での合金材料16の結果の例
図9a、bを参照すると、蒸気生成プロセス9(図1を参照のこと)に施される前後での共晶銅−シリコンピース16の概略的な微視的構造が示されている。図9aでは、鋳造後、共晶の銅−シリコン合金材料16は、均一な組成である(たとえば、銅マトリック14中にシリコンが均質に分布している単一相)。図9bでは、塩素処理領域12でのシリコンの抽出後:共晶(または亜共晶組成の場合はこれと類似したもの)がそのまま残っており、合金材料16は、領域12に挿入されたその元の形状を見かけ上変えていない。合金材料16からシリコンの抽出の間、図9aでは、シリコンが合金材料16の表面136にマトリックス14を通って拡散し、ここで注入ガス13と反応する。蒸気生成プロセスの要件に関してシリコンが実質的に貧化すると、マトリックス中のシリコンの濃度が合金材料16の外表面から合金材料14の内部140(たとえば、中央領域)にかけて増加するような、マトリックス14に内在するシリコン残留物の勾配138を合金材料16は含む。
【0148】
合金材料16の内部140での何らかのシリコン晶子の存在(図7aを参照のこと)は、合金材料16を通って拡散し、注入ガス13との後段の相互作用のための表面136に達するに違いないであろう。したがって、元々マトリックス14に内在していたSiの表面136への拡散(たとえばマトリックス拡散)のおよび注入ガス13との後段の相互作用の速度は、元々マトリックス14に内在していなかったSi(たとえば晶子120,図7aを参照のこと)の表面136への拡散(たとえば材料拡散)の速度および注入ガス13との後段の相互作用とは異なるであろうことが認められる。所定の場合には、晶子120中のSiとの間の所望の相互作用は、上で説明した膨張/クラック生成による合金材料16の分解によって優先的に起こりうるものであり、そのため、必ずしも合金材料16を通しての拡散によるものではない(すなわち、クラックが埋没している晶子120を注入ガス13に曝す)。
【0149】

以下の例は、クロロシランガス13の製造9でのおよびその後段の高純度シリコン27の製造11での使用のための共晶および亜共晶の銅−シリコン合金材料16の性質および挙動を説明する。これらは単に例であって、何ら限定するものではなく、特に、金属シリコンマトリック114以外の過剰なシリコン(たとえば、析出した晶子120)の定義された非存在を有する所望の金属シリコンの亜共晶および共晶の合金材料16の精神を順守して金属シリコン合金材料16において使用できる様々な金属を意味する。
【0150】
例1
共晶銅−シリコン(8×8×1.5cm)のスラブを鋳造し、重量を測定して、それを大気(通所の研究室雰囲気)に曝した。比較として、40wt%シリコンのシリコン濃度を有し寸法が類似した過共晶のスラブを鋳造して、前記共晶のそれと同じように処理した。参照として、純銅のプレートを使用した。3つの異なるピースの重量を3ヶ月の期間にわたって測定した(図8を参照のこと)。過共晶合金スラブは、時間の経過と共に連続した重量の増加を示した(3ヵ月後、重量は1グラムよりも大きく増加し、このピースの初期重量は約400gであった)が、共晶銅−シリコンでは著しい変化は認められなかった。これは過共晶合金が酸素および/または水分を連続的に吸収することを示しており、増加した重量の量は連続的な酸化が起こっていることを示している。鋳造した過共晶合金スラブの顕微鏡写真は、微視的なクラックの激しいネットワークを示し、これは酸化のための大きな表面を提供する。さらに、酸化は体積変化/膨張をもたらし、これがより多くのクラックを生じさせ、それによりさらなる酸化を促進することが想定されうる。共晶(さらには亜共晶)の材料は鋳造の間に優先的に微視的クラックを形成しないので、酸化は、スラブ16の表面自体でのみ起こりえて、材料16のバルクの中には浸透しない。
【0151】
例2
共晶および過共晶(30wt%のシリコン)組成の2つのスラブに通常の大気を曝し、特別な処理は適用しなかった。約6ヶ月の保管期間のあと、過共晶スラブはその保全性を失って崩れ落ち、共晶スラブは変化せず、その固体構造を見かけ上では維持していた。
【0152】
例3
3mmの厚さおよび20×10cmの長さの共晶のプレートを黒鉛鋳型で鋳造した。このプレートはクラックを含まないで製造することができた。比較として、類似した幾何の過共晶プレート(30wt%および40wt%)は常に深刻なクラック形成と破断とをもたらし、これは共晶マトリックス114に散在する晶子120との異なる熱膨張係数とを原因とする応力によって少なくとも部分的に生じた。
【0153】
例4
8×8×1.5cmの大きさの共晶スラブ(ブリック)を塩素処理反応器内に設置した(“Method and Apparatus for Silicon Refinement”の出願を参照のこと)。共晶の銅スラブの総量は40kgであり、プロセスガスとの反応の間の塩素処理反応器内の温度は300ないし400℃の範囲内にあった。製造したクロロシランをさらなる精製なしに堆積反応器内に送った(“Method and Apparatus for Silicon Refinement”の出願を参照のこと)。90時間の期間をかけて、4kgのシリコンを共晶スラブから抽出し、別の堆積チャンバ内に設置した加熱シリコンフィラメント上に堆積させた。平均堆積速度は44g/時であった。堆積後、4点プローブを使用して、堆積させたポリシリコンロッドの半径方向の抵抗率プロファイルを測定した。半径全体にわたって、抵抗率は100オームcm以上の範囲内にあり、これは共晶の銅−シリコンによる非常に効率的な不純物ゲッタリングを示している(図12aを参照のこと)。塩素処理全体にかけて、共晶の銅−シリコンスラブは、その物理的形状に見かけ上変化がなく、このプロセスの後、それらは完全に無傷であり、それらの物理的な構造保全性を保持していた。
【0154】
比較として、40wt%シリコンの過共晶合金を類似した方法で鋳造し、同様の塩素処理プロセス9において温度およびガス組成に関して類似した条件下で使用した。使用した過共晶合金の重量は26kgであった。製造したクロロシランをさらなる精製なしに堆積プロセス11内へ送った。総量で5.4kgのシリコンを堆積させ、平均の堆積速度は46g/時間であった。堆積させたポリシリコンの半径にわたっての対応する抵抗率プロファイルは、特にスライスのエッジに向けて著しく低い抵抗率を示した(図12b)。これは、電気的に活性な不純物(すなわち、化学分析によって確かめられるようなホウ素)に対するゲッタリング効果が、過共晶合金の場合、共晶および/または亜共晶のそれと比べて低いことを明らかに示している。塩素処理プロセスの間、過共晶スラブは膨潤し、その大部分が崩れ落ちて、激しい量の粉末を形成した。
【0155】
例5
亜共晶スラブ(イータ相,12wt%のシリコン)を鋳造して、塩素処理反応器内に設置した。塩素処理の間の温度は、270ないし450℃の範囲内にあった。54kgの亜共晶の銅−シリコンを使用した。製造したクロロシランをさらなる精製なしに堆積反応器の中に送った。117時間のうちに、4kgのポリシリコンを加熱フィラメント上に堆積させた。亜共晶スラブはその形状を変化させず、シリコンの抽出後、スラブの保全性は完全に得られた。実質的な粉末化も膨潤も認められなかった。
【0156】
本発明を例示的実施形態および例を参照しながら説明してきたが、この説明が限定的な意味で解釈されることを意図していない。したがって、この説明を参照すれば、例示した実施形態の様々な変更、および本発明の他の実施形態は当業者に明らかにであろう。これは、特に、正確には実施形態または例において説明したものではないが、共晶または亜共晶の組成に近いかまたはその間にあるあらゆる組成のあらゆる銅−シリコン組成物を含む。
【0157】
本発明を例示的実施形態および例を参照しながら説明してきたが、この説明が限定的な意味で解釈されることを意図していない。したがって、この説明を参照すれば、例示した実施形態の様々な変更、および本発明の他の実施形態は当業者に明らかにであろう。それゆえに、添付する特許請求の範囲がこのような変更または実施形態を包含することが考えられる。さらに、請求項の全てはそれにより好ましい実施形態の説明に参照によって組み込まれる。
【0158】
ここで参照したあらゆる刊行物、特許および特許出願は、各個々の刊行物、特許または特許出願が、参照することによりその全体が組み込まれていることが明確に且つ個々に示されているかのように、参照することによりそれらの全体が組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを精製する方法であって:
それぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの共晶重量パーセント以下のシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料と注入ガスを反応させることと;
前記金属シリコン合金材料の原子マトリックスから得られるシリコンを含む化学蒸気搬送ガスを生成させることと;
シリコン堆積を促進するように構成されたフィラメントに前記蒸気搬送ガスを流すことと;
前記化学蒸気搬送ガスから前記フィラメント上に精製された形態でシリコンを堆積させること
を含む方法。
【請求項2】
前記シリコンの重量パーセントは或る重量パーセント範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属として銅を使用する前記金属シリコン合金について、前記重量パーセント範囲は、約8ないし約16重量パーセントシリコンである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記蒸気搬送ガスはクロロシランを含み、前記金属シリコン合金は前記金属として銅を使用する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記注入ガスは塩化水素、水素または塩化水素および水素の組み合わせを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記銅シリコン合金は金属グレードシリコンである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属シリコン合金の前記金属は:銅;ニッケル;鉄;銀;白金;パラジウム;およびクロムからなる群より選択される請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記銅シリコン合金は約1ないし約16重量パーセントのシリコンを含む請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記シリコン−銅合金は約10ないし約16重量のシリコンを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記銅シリコン合金材料は制御された合金材料温度にある請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記制御された合金材料温度は、前記銅シリコン合金材料の最小拡散閾値温度と融点温度との間にある請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記制御された合金材料温度は約300℃の温度と約500℃との間にある請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記金属シリコン合金材料の外表面と前記金属シリコン合金材料の内部との間にシリコン濃度勾配を生じさせ、前記注入ガスによる消費のために、前記金属シリコンマトリックスを通しての前記外表面へのシリコンの原子拡散を促進することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記金属シリコン合金材料中のシリコン晶子の存在が定義された晶子閾値未満である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記定義された晶子閾値は、前記金属合金中の亜共晶重量パーセントのシリコンの性質である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記定義された晶子閾値は、前記金属合金中の共晶重量パーセントのシリコンの性質である請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記金属シリコン合金材料中に存在する定義された不純物成分のためのゲッターとして働く前記金属シリコン合金材料をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記定義された不純物成分のフィルタリングは、定義された最小抵抗率閾値を超えている抵抗率を堆積シリコンの厚さ全体にわたって有する精製シリコンの製造を促進する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記堆積シリコンについて、材料スライスの選択された厚さの位置において、抵抗率が、過共晶合金材料からの堆積シリコンの抵抗率と比較して一桁以上大きい請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記金属シリコン合金材料は酸化に対する親和性が定義された親和性閾値未満であり、この材料が酸化剤に曝露されることによってこの材料が構造保全性を保持することを促進する請求項1に記載の方法。
【請求項21】
定義された晶子閾値未満の前記金属シリコン合金材料中のシリコン晶子の存在は、注入ガスへの曝露の間の金属シリコン合金材料の構造保全性の低下を抑制する請求項14に記載の方法。
【請求項22】
シリコンを堆積させるための装置であって:
それぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの共晶重量パーセント以下のシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料と注入ガスを反応させるため、および前記金属シリコン合金材料の原子マトリックスから得られるシリコンを含む化学蒸気搬送ガスを生成させるための第1の反応器と、
シリコンの堆積を促進するように構成されたフィラメントに前記蒸気搬送ガスを流すための出口と;
前記化学蒸気搬送ガスから前記フィラメント上へ精製された形態でシリコンを堆積させるための第2の反応器と
を具備する装置。
【請求項25】
化学気相堆積(CVP)プロセスでの使用のためのそれぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの選択された共晶重量パーセントにあるシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料であって、前記合金材料中のシリコン晶子の存在が定義された最大晶子閾値以下である金属合金材料。
【請求項27】
化学気相堆積(CVP)プロセスにおける使用のためのそれぞれの金属シリコン合金について定義されたシリコンの共晶重量パーセント以下のシリコン重量パーセントを有する金属シリコン合金材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【公表番号】特表2012−515129(P2012−515129A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542638(P2011−542638)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001877
【国際公開番号】WO2010/078643
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(508227226)アライズ テクノロジーズ コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】