説明

シリコン融液の搬送部材及びその製造方法

【課題】冶金法によるシリコン原料の精製プロセスにおいて、各工程間の搬送経路の途中で溶融シリコンの搬送方向を変える必要がある場合に、好適に使用することができるシリコン融液の搬送部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】厚さ5〜10mmを有する複数のC/Cコンポジット板材の端部を接合して形成され、搬送経路の途中に溶融シリコンの搬送方向を変える方向変更部を有するシリコン融液の搬送部材であり、C/Cコンポジット板材の2枚が互いに所定の角度で接合される接合箇所が、直径3〜8mmφ及び長さ7.5〜32mmの大きさの軸部を有する連結具を4〜50mmの間隔で打ち込んで固定され、かつ、カーボン接着剤で固着されているシリコン融液の搬送部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体素子や太陽電池等の原料として用いられる高純度のシリコンを製造する際に使用される、シリコン融液の搬送部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子や太陽電池等に用いられるシリコン原料の精製プロセスにおいては、従来は気相反応を用いたジーメンス法が広く採用されていたが、近年では、シリコン原料を溶融した後に、スラグ精錬や、電子ビーム溶解等の真空高温処理によって、溶融シリコン中のボロン、リン等の半導体ドーパント成分を除去するが、この前後に溶融シリコンを一方向凝固させることにより鉄等の金属成分を除去する工程等を組み合わせた、いわゆる冶金法が行われるようになっている。(特許文献1、非特許文献1参照)
【0003】
しかるに、この冶金法によるシリコン原料の精製プロセスにおいて、溶融シリコン中からボロンの除去、リンの除去、及び金属成分の除去を行う各工程は各々独立した工程であって、夫々独立した炉を用いて処理される。そして、これら各工程では、シリコン原料が融液の状態で処理され、その量は100kgを超える規模になっている。従って、各工程の間において、シリコン融液をその融液状態のまま搬送することができれば、作業効率を顕著に向上させることができる。しかしながら、シリコンの融点は約1412℃であり、このような高融点のシリコンを融液状態で搬送する際には、途中でシリコン融液が凝固して搬送できなくなることが懸念される。
【0004】
一般に、シリコン以外の多くの冶金プロセスでは、高温の原料融液を搬送するために、特許文献2〜6等に示された方法が採用されている。具体的には、厚い耐火物製の母材に溝を掘り込んで融液が流れる流通経路を形成し、この流通経路の上側に厚い耐火物製の蓋を被せて搬送部材を構成し、この搬送部材の流通経路をガスバーナーや通電加熱等の加熱手段で原料の融点に近い温度まで加熱する方法であり、シリコンよりもはるかに融点が低い銅やアルミニウムの場合でも、搬送部材に加熱手段が用いられている。
【0005】
しかしながら、冶金法によるシリコン原料の精製プロセスにおいて、各工程間でシリコン融液の搬送を上記の如き手段で行う際には、以下に示すような解決しなければならない幾つかの問題がある。
【0006】
すなわち、第一には、シリコン融液はその粘性が著しく低く、かつ、化学的活性が高いので、搬送中にシリコン融液が搬送部材に浸潤し反応するという問題である。このため、搬送部材自体がシリコン融液の浸潤と化学反応によって痛められ、ひいてはシリコン融液が搬送部材を貫通して外部に漏れ出す虞があり、また、これと同時に、搬送部材中に含まれるボロン、リン、重金属等の不純物がシリコン融液側に移動し、精製したシリコンの純度が損なわれる虞がある。
【0007】
また、第二には、溶融シリコンからリン等を蒸発除去する精製工程においては、高真空の中で溶融シリコンを処理することが必要になる。そして、この工程にシリコン融液を供給するためには、シリコン融液の搬送部材を真空炉の内部に設置し、真空ゲートバルブを介して出し入れすることが必要になるが、上述した多くの冶金プロセスで使用されている従来の搬送部材では、それ自体が肉厚であるほか、加熱手段等の付帯物を伴うので設備が大型化し、しかも、搬送部材を構成する耐火物が高温の真空中で気化・蒸発してシリコンの汚染物質になり、また、真空度維持の障害になる場合がある。しかし、このような大型の設備を真空炉内に設置して出し入れ可能にし、また、汚染物質に対する対策を講じることは、設備的に非常に困難である。
【0008】
更に、第三には、シリコン融液は、その活性が高くて酸素と反応し易く、酸素源に触れるその表面に固体の酸化皮膜(SiO皮膜)が生成し、流動性が著しく低下するという問題である。このため、シリコン融液の温度を補償するために、バーナーで直接加熱することは避けなければならず、また、この酸化を防止するためには、搬送部材自体をチャンバーで覆い不活性ガスでパージするか、真空の状態に置く等の対策が必要になるが、これらの対策にも大規模な設備が必要となる。
【0009】
上記の様な数々の理由から、冶金法によるシリコン原料の精製プロセスにおいては、各工程間でシリコン融液を融液状態のまま搬送することは極めて困難であり、実現不可能であると考えられてきた。このため、従来においては、各工程で精製処理したシリコン融液を一旦冷却して固体のシリコン塊とし、次の工程の炉で改めて加熱溶解する方法を取らざるを得ず、時間的にも、熱エネルギー的にも、機械エネルギー的にも、作業労力的にも、多分なコストの発生を余儀なくされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平7−55813号公報
【特許文献2】特開2002−332512号公報
【特許文献3】特開2001−324281号公報
【特許文献4】特開平7−100630号公報
【特許文献5】特開平9−10923号公報
【特許文献6】特開2008−526512号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Solar Energy Materials and Solar Cells 92 (2008)418-424
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明者らは、冶金法によるシリコン原料の精製プロセスにおいて、各工程間でシリコン原料を溶融状態のまま搬送するための方法及び手段について鋭意検討した結果、シリコン原料を溶融状態のまま搬送するためには、シリコン溶湯の搬送部材について、1)高温で使用できること、2)シリコン溶融を汚染しないこと、3)シリコン溶融が漏れないこと、4)シリコン溶融から熱を奪って固化させることのない程度に熱容量が小さいことが要求され、これらの要求、特に熱容量が小さくて上記4)の要求を満たす素材としてカーボン/カーボンコンポジット(C/Cコンポジット)があることを見い出し、このC/Cコンポジットを用いて搬送部材の製造を試みた。
【0013】
そして、本発明者らは、この試みの中で、シリコン融液をその溶融状態のまま、かつ、特別な加熱手段を用いることなく各工程間で搬送するために、シリコン融液の搬送部材についてはその全熱容量が13000J/K以下であることが必要であることを突き止め、このようなシリコン融液の搬送部材を提案し、また、シリコン融液の搬送方法を提案し、多くの成果を収めた(特願2009-137,312号)。
【0014】
しかしながら、各工程間でシリコン融液をその溶融状態のまま搬送する際には、単に直線的に一定の方向のみに搬送するだけではなく、各工程で使用する炉の位置関係や周辺設備等との関係で、不可避的に搬送方向を変更しなければならない場合が生じるが、このような搬送方向を変更する必要がある場合には搬送部材の製造の際に、C/Cコンポジットという制約された材料を用い、全熱容量が13000J/K以下であるという制約された設計条件の下で、この搬送方向を変更するための方向変更部を形成しなければならないという新たな問題が発生した。
【0015】
本発明者らは、この新たな問題を解決すべく更に検討を重ねた結果、方向変更部を有する搬送部材を一体物として製造するには技術的に、あるいは、コスト的に困難であり、また、複数の部材を接合し組み合わせて製造するには、その接合箇所に対して、急激な温度上昇に基づく大きな熱応力に耐えられるだけの強度を持たせる必要があることや、接合箇所に滞留し、あるいは、接合箇所の僅かな隙間に浸透したシリコン融液が固化した際に、その体積膨張により、この接合箇所に隙間が生じ、あるいは、接合箇所の隙間が拡大してシリコン融液が漏れ出すのを防止できるだけの気密性を持たせる必要があることを突き止め、その上でこれらの問題を解消して本発明に到達した。
【0016】
従って、本発明の目的は、冶金法によるシリコン原料の精製プロセスにおいて、各工程間の搬送経路の途中でシリコン融液の搬送方向を変える必要がある場合に、好適に使用することができるシリコン融液の搬送部材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、このようなシリコン融液の搬送部材を安価に製造することができるシリコン融液の搬送部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
先ず、本発明者らは、平板状等のC/Cコンポジット板材を組み合わせ接合してシリコン融液を搬送する搬送部材を製造する場合において、シリコン融液を搬送する際に生じる前記の熱応力に耐えられる接合方法について検討し、板材と板材との間の接合箇所の強度を高くし、この接合箇所にシリコン融液が侵入し難い構造にすることが必要であり、そのためには、互いに所定の角度で接合される2枚のC/Cコンポジット板材の各端部間において、直径及び長さにおいて所定の大きさの軸部を有する連結具を所定の間隔で打ち込んで固定することが必要であり、また、この接合箇所をカーボン接着剤を用いて気密に固着することが必要であることを見い出し、本発明を完成した。
【0018】
本発明は、これらの条件を満足するシリコン融液の搬送部材及びその製造方法であり、その要旨とするところは以下の通りである。
【0019】
(1) 厚さ5〜10mmを有する複数のカーボン/カーボンコンポジット板材(C/Cコンポジット板材)の端部を接合して形成され、シリコン融液と直接接触しながら当該シリコン融液を搬送すると共に、搬送経路の途中にはシリコン融液の搬送方向を変える方向変更部を有するシリコン融液の搬送部材であって、前記C/Cコンポジット板材の2枚が互いに所定の角度で接合されて形成される接合箇所が、直径3〜8mmφ及び長さ7.5〜32mmの大きさの軸部を有する連結具を4〜50mmの間隔で打ち込んで固定されていると共に、カーボン接着剤を塗布した後に不活性ガス雰囲気中1800〜2200℃で焼成して固着されていることを特徴とするシリコン融液の搬送部材。
【0020】
(2) 前記搬送部材の接合箇所において、一方のC/Cコンポジット板材の端部と他方のC/Cコンポジット板材の端部には、それぞれ複数の切欠き部と突起部とが交互に形成されていると共に、一方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各切欠き部と他方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各突起部とが互いに相補的関係を有し、一方のC/Cコンポジット板材の各切欠き部に他方のC/Cコンポジット板材の各突起部が嵌合されていることを特徴とする前記(1)に記載のシリコン融液の搬送部材。
【0021】
(3) 前記搬送部材の接合箇所において、一方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各切欠き部は、一辺が5〜50mmであって他辺が他方のC/Cコンポジット板材の板厚に等しい大きさの矩形状に形成されていることを特徴とする前記(2)に記載のシリコン融液の搬送部材。
【0022】
(4) 前記搬送部材の接合箇所において、一方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各切欠き部は、下底辺が5〜48mmであって上底辺が7〜70mmであり、高さが他方のC/Cコンポジット板材の板厚に等しい大きさの逆台形状に形成されていることを特徴とする前記(2)に記載のシリコン融液の搬送部材。
【0023】
(5) 前記搬送部材の接合箇所において、2枚のC/Cコンポジット板材が形成する当該接合箇所の隅角部には、厚さが0.5mm以上5mm以下である断面略L字状の補強部材がカーボン接着剤により固着されていることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のシリコン融液の搬送部材。
【0024】
(6) 厚さ1〜10mmを有する複数のカーボン/カーボンコンポジット板材(C/Cコンポジット板材)の端部を接合して形成され、シリコン融液と直接接触しながら当該シリコン融液を搬送すると共に、搬送経路の途中にはシリコン融液の搬送方向を変える方向変更部を有するシリコン融液の搬送部材であって、前記C/Cコンポジット板材2枚が互いに所定の角度で接合されて形成される接合箇所には、その隅角部に一辺の長さが12〜30mmである断面三角形状の連結フレームが配置されており、また、前記各C/Cコンポジット板材の端部と前記連結フレームの各辺との間が、直径5mmφ以上の太さの軸部を有する連結具により固定されていると共に、カーボン接着剤を塗布した後に不活性ガス雰囲気中1800〜2200℃で焼成して固着されていることを特徴とするシリコン融液の搬送部材。
【0025】
(7) 前記搬送部材の接合箇所において、2枚のC/Cコンポジット板材が30°以上の角度で接合されていることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のシリコン融液の搬送部材。
【0026】
(8) 厚さ5〜10mmを有する複数のカーボン/カーボンコンポジット板材(C/Cコンポジット板材)の端部を接合して形成され、シリコン融液と直接接触しながら当該シリコン融液を搬送すると共に、搬送経路の途中にはシリコン融液の搬送方向を変える方向変更部を有するシリコン融液の搬送部材の製造方法であって、前記C/Cコンポジット板材の2枚を所定の角度で接合して接合箇所を形成するに際し、互いに接合される2枚のC/Cコンポジット板材の端部を、直径3〜8mmφ及び長さ7.5〜32mmの大きさの軸部を有する連結具を4〜50mmの間隔で打ち込んで固定すると共に、カーボン接着剤を塗布した後に不活性ガス雰囲気中1800〜2200℃で焼成する接着操作を1回以上施して固着することを特徴とするシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【0027】
(9) 前記搬送部材の接合箇所を形成するに際し、一方のC/Cコンポジット板材の端部と他方のC/Cコンポジット板材の端部には、一方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各切欠き部と他方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各突起部とが互いに相補的関係を有する複数の切欠き部及び突起部を形成し、一方のC/Cコンポジット板材の各切欠き部に他方のC/Cコンポジット板材の各突起部を嵌合することを特徴とする前記(8)に記載のシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【0028】
(10) 前記搬送部材の接合箇所を形成するに際し、一方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各切欠き部を、一辺が5〜50mmであって他辺が他方のC/Cコンポジット板材の板厚に等しい大きさの矩形状に形成することを特徴とする前記(9)に記載のシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【0029】
(11) 前記搬送部材の接合箇所を形成するに際し、一方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各切欠き部を、下底辺が5〜48mmであって上底辺が7〜70mmであり、高さが他方のC/Cコンポジット板材の板厚に等しい大きさの逆台形状に形成することを特徴とする前記(9)に記載のシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【0030】
(12) 前記搬送部材の接合箇所を形成するに際し、2枚のC/Cコンポジット板材が形成する当該接合箇所の隅角部には、厚さが0.5mm以上5mm以下である断面略L字状の補強部材をカーボン接着剤により固着することを特徴とする前記(8)〜(11)のいずれかに記載のシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【0031】
(13) 厚さ1〜10mmを有する複数のカーボン/カーボンコンポジット板材(C/Cコンポジット板材)の端部を接合して形成され、シリコン融液と直接接触しながら当該シリコン融液を搬送すると共に、搬送経路の途中にはシリコン融液の搬送方向を変える方向変更部を有するシリコン融液の搬送部材の製造方法であって、前記搬送部材の接合箇所を形成するに際し、互いに所定の角度で接合される2枚のC/Cコンポジット板材が形成する隅角部には一辺の長さが12mm以上30mm以下である断面三角形状の連結フレームを配置し、前記各C/Cコンポジット板材の端部と前記連結フレームの各辺との間を、直径5mm以上の太さの軸部を有する連結具により固定すると共に、カーボン接着剤を塗布した後に不活性ガス雰囲気中1800〜2200℃で焼成する接着操作を1回以上施して固着することを特徴とするシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【0032】
(14) 前記搬送部材の接合箇所において、2枚のC/Cコンポジット板材が30°以上の角度で接合されることを特徴とする前記(8)〜(13)のいずれかに記載のシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【0033】
ここで、本発明で用いるC/Cコンポジット板材は、炭素繊維の織物にピッチ、タール、フェノール樹脂等のバインダーを含浸・加圧した後に高温で焼き固めて形成された材料、あるいは、炭素繊維とピッチ、タール、フェノール樹脂等のバインダーを混錬して成型した後に加圧し、更に高温で焼き固めて形成された材料であって、高温耐熱性、高強度、高弾性、軽量等の優れた特性を有する材料であり、平板材であっても、また、横断面円弧状等に湾曲した湾曲板材等であってもよい。また、このC/Cコンポジット板材の板厚については5mm以上10mm以下、好ましくは7mm以上8mm以下である必要があり、板厚が5mmより小さいと、C/Cコンポジット板材の端部を固定するのに必要な連結具の軸部の直径を後述する必要最小限の大きさ(3mmφ)にすることが難しくなり、結果として接合箇所に十分な強度を付与することができなくなり、反対に、10mmを超えて大きくなると、シリコン融液の搬送部材に要求される全熱容量13000J/K以下を達成するのが難しくなる。ここで、シリコン融液の搬送方向を変更する搬送部材の代表的な大きさとして、300mm×300mm×300mmの立方体を想定すると、C/Cコンポジットの比熱が1800(J/K/kg)であって、密度が1400(kg/m3)であることから、該部材の熱容量Cは下記の計算式から、
C=0.3×0.3×0.01×1800×1400×6=13608(J/K)
となり、該部材だけでシリコン融液の搬送部材に要求される全熱容量13000J/Kを越えてしまう。
【0034】
また、本発明で用いるカーボン接着剤は、黒鉛粉末、焙焼無煙炭、仮焼コークス、カーボンブラック等の炭素微粉末材料と、フェノール樹脂、フラン樹脂、フルフラール樹脂、又はこれらの変性物等の炭化率の高い合成樹脂からなる合成樹脂液と、パラトルエンスルホン酸、燐酸、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤とを含むものであり、塗布され焼成された後には接合層としてカーボン層が形成される。
【0035】
ここで、接合箇所において、塗布されたカーボン接着剤を焼成してカーボン層を形成する際の焼成条件については、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中、1800℃以上2200℃以下、好ましくは1900℃以上2100℃以下の温度で焼成するのがよい。この焼成温度が1800℃未満では必要な強度向上の効果が発現せず、反対に、2200℃を超えると接着剤が消失して所望のカーボン層が形成され難くなる。
【0036】
また、本発明において、2枚のC/Cコンポジット板材の接合箇所を固定する連結具としては、ネジ、ピン、頭付きネジ、ボルトとナット等が挙げられるが、これらの連結具はその軸部の全てが互いに固定されるC/Cコンポジット板材の内部に位置するように打ち込まれているのが望ましい。そして、この連結具の材質としては、単なる黒鉛では強度不足であり、基本的にはC/Cコンポジットと同様に、炭素材系料であって高温耐熱性、高強度、高弾性等の優れた特性を有するものであるのがよく、好ましくはC/Cコンポジット板材と材質的に同様のC/Cコンポジット製であるのがよく、より好ましくは、連結具がネジである場合にはカーボン繊維のクロスを積層してピッチ、タール、フェノール樹脂等からなるバインダーを含浸させ、成型・加圧した後に焼成して得られるC/Cコンポジット製であるのがよく、また、連結具がピンである場合にはカーボン繊維の方向をピンの長さ方向(軸方向)に揃え、その空隙にピッチ、タール、フェノール樹脂などからなるバインダーを含浸させ、成型・加圧した後に焼成して得られるC/Cコンポジット製であるのがよい。
【0037】
そして、この連結具の大きさについては、C/Cコンポジット板材の板厚との関係から、その軸部の直径が3mmφ以上8mmφ以下(C/Cコンポジット板材の板厚から連結具が打ち込まれた後の余肉部分の厚さ1mmを見込んで)、好ましくは5mmφ以上6mmφ以下であって、軸部の長さが7.5mm以上32mm以下(C/Cコンポジット板材の板厚の1.5〜4倍で、連結具の直径の2〜4倍で)、好ましくは10mm以上24mm以下であることが必要であり、また、これらの連結具が打ち込まれる間隔については、互いに隣接する連結具の間に1mm程度の間隔を取る必要があることから、4mm以上50mm以下、好ましくは6mm以上30mm以下であることが必要である。この連結具の大きさが直径3〜8mmφ及び長さ7.5〜32mmの範囲を外れると、連結具の大きさや数が不足して、あるいは、制限された板厚のC/Cコンポジット板材における端部の強度が不足して、いずれにしても接合箇所において所望の強度を達成するのが難しくなる。
【0038】
更に、本発明で用いる断面略L字状の補強部材や断面三角形状の連結フレームについても、その材質としては、基本的にはC/Cコンポジットと同様に、炭素材系料であって高温耐熱性、高強度、高弾性等の優れた特性を有するものであるのがよく、好ましくはC/Cコンポジット板材と同様のC/Cコンポジット製であるのがよい。
【0039】
そして、本発明において、搬送部材の接合箇所において互いに接合されるC/Cコンポジット板材の接合角度については、シリコン原料の精製プロセスにおける各工程で使用する炉の位置関係や周辺設備等との関係で適宜設定できるものである。本発明の接合方法において、互いに当接する2枚のC/Cコンポジット板の接合角度は、切欠き部や突起部の加工、連結具の施工が可能であれば如何なる角度でも対応可能であるが、加工性や施工性を考慮すると、通常30°以上、好ましくは30°以上160°以下、より好ましくは60°以上120°以下であるのがよく、90°の時に切欠き部と突起部の嵌合加工が最も容易である。そして、3枚以上のC/Cコンポジット板材を用いることにより、横断面が略U字状、略半円弧状、略半楕円状等の様々な形状を有するシリコン融液の搬送部材を形成することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明のシリコン融液の搬送部材は、その搬送経路の途中に方向変更部を有してシリコン融液の搬送方向を変えることができ、シリコン原料の精製プロセスにおける各工程で使用する炉の位置関係や周辺設備等との関係に適合したものとすることができるほか、シリコン融液を搬送する際の熱応力に耐えるだけの耐熱性及び強度を有し、また、接合箇所において接合面へのシリコン融液の侵入を確実に防止し得るものであり、安定的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の実施例に係るシリコン融液の搬送部材を示す斜視説明図であり、平板状のC/Cコンポジット板材を用いて全体が箱型流路に形成されていると共に、シリコン融液の搬送方向を変える方向変更部が形成されている。
【0042】
【図2】図2は、図1の搬送部材において、一方のC/Cコンポジット板の端部と他方のC/Cコンポジット板の端部とを直角(90°)に突き合わせ、連結具で固定し、また、カーボン接着剤で固着して接合された接合箇所の正面、右側面及び平面を示す説明図である。
【0043】
【図3】図3は、図1の搬送部材において、各C/Cコンポジット板の端部に互いに相補的関係を有する矩形状の切欠き部と突起部とを形成し、互いに直角(90°)になるように各突起部を各切欠き部に嵌合し、連結具で固定し、また、カーボン接着剤で固着して接合された接合箇所の正面、右側面及び平面を示す説明図である。
【0044】
【図4】図4は、図1の搬送部材において、各C/Cコンポジット板の端部に互いに相補的関係を有する逆台形状の切欠き部と突起部とを形成し、互いに直角(90°)になるように各突起部を各切欠き部に嵌合し、連結具で固定し、また、カーボン接着剤で固着して接合された接合箇所の正面、右側面及び平面を示す説明図である。
【0045】
【図5】図5は、図2の搬送部材において、2枚のC/Cコンポジット板が形成する直角(90°)の隅角部に、断面略L字状の補強部材をカーボン接着剤で固着して接合された接合箇所の正面、右側面及び平面を示す説明図である。
【0046】
【図6】図6は、図1の搬送部材において、2枚のC/Cコンポジット板が形成する直角(90°)の隅角部に断面三角形状の連結フレームを配置し、各C/Cコンポジット板の端部と連結フレームの各辺との間を連結具で固定し、また、カーボン接着剤で固着して接合された接合箇所の正面、右側面及び平面を示す説明図である。
【0047】
【図7】図7は、搬送部材の接合箇所について、その曲げ強度を測定する方法を説明するための概念説明図であり、左側が側面からみた側面図であって右側が正面からみた正面図である。
【0048】
【図8】図8は、の搬送部材の接合箇所について、その引張り強度を測定する方法を説明するための概念説明図であり、左側が側面からみた側面図であって右側が正面からみた正面図である。
【0049】
【図9】図9は、搬送部材にシリコン融液を流して接合箇所の破損等の状態を調べるために用いられるシリコン融液の通液試験装置の概念説明図であり、左側が正面からみた正面図であって右側が側面からみた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1に、本発明の実施の一例に係るシリコン融液の搬送部材1が示されており、厚さ5〜10mmのC/Cコンポジット板を用いて作製され、隅角部が90°のL字状平面を有する底部2aと、この底部2aの相対する各辺部に起立状態に設けられて互いに相対向する2対の側辺部2b,2cとからなり、前記底部2aと1対の側辺部2bとで形成された入口側の上流路FUと、底部2aと1対の側辺部2cとで形成された出口側の下流路FLとの間には、底部2aの平面形状に従って、シリコン融液の流れ方向を90°変更する方向変更部3が形成されている。
【0051】
従って、この実施の一例においては、底部2aと各側辺部2b,2cとの間、及び、一方の各側辺部2bと他方の各側辺部2cとの間は、そのいずれもC/Cコンポジット板の端部が互いに90°の角度で接合された接合箇所となっている。
以下に、この実施の一例に係る搬送部材1の構造を基本構造とし、その接合箇所の具体例を説明する。
【0052】
〔第1の実施形態〕
図2に、本発明の第1の実施形態に係るシリコン融液の搬送部材1における接合箇所が示されている。
この実施形態において、搬送部材1を構成する一方のC/Cコンポジット板製底部2aの端部と他方のC/Cコンポジット板製側辺部2bの端部との間の接合箇所を形成する際には、予め、互いに接合される底部2aの端部及び側辺部2bの端部にネジ又はピンからなる連結具4を挿入する図示外の連結用孔又は穴を形成し、また、これら底部2aの端部と側辺部2bの端部との間の当接部分に予めカーボン接着剤を塗布しておき、次に、底部2aの端部と側辺部2bの端部とを直角に当接させ、連結用孔又は穴内に連結具4を嵌合して固定し、その後に、不活性ガス雰囲気下に所定の温度で焼成する接着操作を実施して固着する。
【0053】
ここで、好ましくは、底部2aの端部と側辺部2bの端部との間の隅角部にカーボン接着剤を塗布し、不活性ガス雰囲気下に所定の温度で焼成する接着操作を更に繰り返して、必要により2回以上繰り返して実施することにより、これら底部2aの端部と側辺部2bの端部との間の隅角部(目地部の融液側)に、焼成後に生成したカーボン層が厚く盛り上がった肉盛部5を形成するのがよい。接着操作を繰り返して肉盛部5を形成することにより、前の回の接着操作の焼成時に溶剤揮発等により発生した僅かなカーボン層の気孔や隙間がその次の回の接着操作により埋まり、接合箇所の接合強度が向上するだけでなく、シリコン融液の侵入防止効果も向上し、結果として搬送部材の破壊を抑制する効果がより改善される。
【0054】
なお、ここでは、方向変更部3を有する搬送部材1において、その底部2aの端部と側辺部2bの端部との間に形成された接合箇所についてのみ説明したが、底部2aの端部と側辺部2cの端部との間に形成された接合箇所や、側辺部2bの端部と側辺部2cの端部との間に形成された接合箇所についても、上記と全く同様に形成することができる。
【0055】
〔第2の実施形態〕
図3に、本発明の第2の実施形態に係るシリコン融液の搬送部材1における接合箇所が示されている。
この第2の実施形態に係る搬送部材1の接合箇所は、上記の第1の実施形態の場合とは異なり、各接合箇所において、底部2a(一方のC/Cコンポジット板材)の端部と側辺部2b(他方のC/Cコンポジット板材)の端部にはそれぞれ3つの切欠き部6aと3つの突起部6bとが交互に形成されており、これら各底部2a及び側辺部2bに形成されたこれら切欠き部6aと突起部6bとは、底部2a側に形成された各切欠き部6a内に側辺部2b側に形成された各突起部6bが気密に嵌合し、また、側辺部2b側に形成された各切欠き部6a内に底部2a側に形成された各突起部6bが気密に嵌合する、いわゆる互いに相補的関係を有しており、底部2aの端部と側辺部2bの端部との間の接合箇所を形成する際には、これら底部2a側及び側辺部2b側の各切欠き部6a内に側辺部2b側及び底部2a側の各突起部6bが気密に嵌合するようになっている。
【0056】
また、これら底部2a側及び側辺部2b側にそれぞれ形成される各切欠き部6aは、一方のC/Cコンポジット板材(底部2a又は側辺部2b)の端部に形成された一辺の大きさが5mm以上50mm以下、好ましくは15mm以上30mm以下であって、他辺が他方のC/Cコンポジット板材(側辺部2b又は底部2a)の板厚に等しい大きさの矩形状に形成されている。そして、このように各切欠き部6aの大きさを形成することにより、各切欠き部6aと相補的関係を有して各切欠き部6a内に嵌合される各突起部6bの強度が確保されるほか、各突起部6b側から各切欠き部6a側に向けてネジ又はピンからなる連結具4を打ち込んだ際に、これら連結具4の打ち込み方向が交互になって結合強度が更に向上する。
なお、この第2の実施形態に係るシリコン融液の搬送部材1は、上記以外の点では、実質的に第1の実施形態に係る搬送部材1と同様である。
【0057】
〔第4の実施形態〕
図5に、本発明の第4の実施形態に係るシリコン融液の搬送部材1における接合箇所が示されている。
この第3の実施形態に係る搬送部材1の接合箇所は、上記の第2の実施形態の場合とは異なり、一方のC/Cコンポジット板材(底部2a又は側辺部2b)の端部に形成された各切欠き部6aの形状及び大きさは、下底辺が5mm以上48mm以下、好ましくは15mm以上30mm以下であって上底辺が7mm以上70mm以下、好ましくは31mm以上46mm以下であり、高さが他方のC/Cコンポジット板材(側辺部2b又は底部2a)の板厚に等しい大きさの逆台形状に形成されている。そして、このように各切欠き部6aの形状及び大きさを形成することにより、互いに相補的関係を有して嵌合される各切欠き部6aと各突起部6bとの間の結合強度が更に向上する。
なお、この第3の実施形態に係るシリコン融液の搬送部材1は、上記以外の点では、実質的に第2の実施形態に係る搬送部材1と同様である。
【0058】
〔第4の実施形態〕
図5に、本発明の第4の実施形態に係るシリコン融液の搬送部材1における接合箇所が示されている。
この第4の実施形態に係る搬送部材1の接合箇所は、上記の第3の実施形態の場合とは異なり、2枚のC/Cコンポジット板材(底部2a又は側辺部2b)が形成する当該接合箇所の隅角部には、カーボン層を厚く盛り上げた肉盛部5を形成することなく、カーボン接着剤により厚さが0.5mm以上5mm以下である断面略L字状のC/Cコンポジット製補強部材7が固着されている。この補強部材7の板厚については、それ自身が壊れ難く、また、補強効果を発揮できる厚みであれば、熱容量を低減する意味からなるべく薄い方が好ましく、板厚の下限は好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であって、板厚の上限は5mm以下であるのがよい。
【0059】
そして、この補強部材7を接合箇所の隅角部に固着する際のカーボン接着剤は、接合箇所の隅角部を形成する2枚のC/Cコンポジット板材(底部2a又は側辺部2b)と補強部材7の各辺とが接触する面の全面に塗布するのがよく、これによって接合箇所の隅角部における補強部材7の接着面積を大きくとることができ、接合箇所の隅角部と補強部材7との間の隙間を低減することができ、シリコン融液の搬送時にこの隙間内にシリコンが侵入するのを可及的に防止することができる。
【0060】
また、この補強部材7は、好ましくはその2辺の間が直角より若干大きめの90.5°以上95°以下、より好ましくは91.5°以上93°以下の角度で開いており、接合箇所の隅角部に固着する際に、この直角より若干大きめの角度を90°まで狭めて固着し、これによって発現される補強部材7の弾性変形を利用して、直角に接合された搬送部材1の接合箇所の隅角部に補強部材7を気密に接合できるようになっている。
【0061】
更に、この補強部材7の長さは、接合箇所の隅角部を隈なく覆う長さであることが好ましく、また、補強部材7の各辺の長さ(幅寸法)は、好ましくは各C/Cコンポジット板材(底部2a又は側辺部2b)の断面方向の長さ(幅寸法)の10%以上100%以下、好ましくは50%以上100%以下、更に好ましくは80%以上100%以下であるのがよく、許容される範囲内でなるべく長い方が接着面積を大きくとることができ、それだけ接合強度が向上する。
なお、この第4の実施形態に係るシリコン融液の搬送部材1は、上記以外の点では、実質的に第3の実施形態に係る搬送部材1と同様である。
【0062】
〔第5の実施形態〕
図6に、本発明の第5の実施形態に係るシリコン融液の搬送部材1における接合箇所が示されている。
この第5の実施形態に係る搬送部材1は、上記の第1の実施形態に係る搬送部材1とは異なり、互いに直角に当接された2枚のC/Cコンポジット板(底部2a及び側辺部2b)の各端部が形成する隅角部内に、断面三角形状、好ましくは断面直角二等辺三角形状のC/Cコンポジット製連結フレーム8が配置されており、これら各C/Cコンポジット板材(底部2a又は側辺部2b)の端部と前記連結フレーム8の各辺との間が連結具4により固定されている。
【0063】
この第5の実施形態に係る搬送部材1においては、連結フレーム8の大きさを比較的大きくして各C/Cコンポジット板材(底部2a又は側辺部2b)との接合面積を大きくすることができ、また、使用するC/Cコンポジット板材(底部2a及び側辺部2b)の板厚が連結具4の軸部の直径による制限を受けないので、このC/Cコンポジット板材の板厚を小さくすることができるほか、使用する連結具4の軸部の直径を大きくすることができる。
【0064】
ここで、連結フレーム8の大きさを互いに直交する各直角二等辺の長さ(辺長)で規定すると、辺長の下限は使用する連結具4の軸部の直径により制限される。そこで、この連結具4の軸部の直径を5mmφ以上とし、5mm以上の深さでネジ切り加工を行った場合の連結フレーム8側の余肉を1mm以上とすると、辺長としては(5+1)×2=12mm以上の長さが必要になり、また、この辺長さは小さいほど熱容量が小さくなってシリコン融液の固化防止の点で好ましいので、その上限は30mm以下であるのがよく、結果として、連結フレーム8はその一辺の長さが12mm以上30mm以下、好ましくは12mm以上20mm以下の断面三角形状であるのがよい。
【0065】
また、使用するC/Cコンポジット板(底部2a又は側辺部2b)の板厚は、通常1mm以上10mm以下でよく、好ましくは3mm以上5mm以下であるのがよく、上記の第1〜第4の実施形態に係る搬送部材1と比較して、その板厚を薄くすることができ、結果として熱容量の低減化を図ることができて、搬送途中におけるシリコン融液の固化を防止することができる。
【0066】
更に、この第5の実施形態で使用する連結具4については、頭付きネジやボルトとナット等が好ましく、連結フレーム8側に雌ネジ穴加工を施し、C/Cコンポジット板(底部2a又は側辺部2b)側には頭付きネジやボルトが貫通する貫通穴を開設し、頭付きネジやボルトを連結フレーム8の雌ネジ穴内に螺着させると共に、C/Cコンポジット板(底部2a又は側辺部2b)側からは頭付きネジ又はボルトに螺合するナットを締め付け、これによってC/Cコンポジット板(底部2a又は側辺部2b)と連結フレーム8との間を密着させ、ネジ締結の際の引張り力で接合強度を発現させるのがよい。そして、このような連結具4については、使用するC/Cコンポジット板材(底部2a及び側辺部2b)の板厚が連結具4の軸部の直径による制限を受けないので、その軸部の直径が通常5mmφ以上、好ましくは6mmφ以上12mmφ以下のものを用いるのがよい。
【実施例】
【0067】
〔実施例1〕
C/Cコンポジット板材(底部2a及び側辺部2b)として、93mm×300mm×7mmの大きさのC/Cコンポジット板(底部2a)(アクロス社製商品名:AC200)と100mm×300mm×7mmの大きさのC/Cコンポジット板(側辺部2b)(アクロス社製商品名:AC200)とを用い、また、連結具4として、カーボン繊維のクロスを積層した後にバインダーを含浸させ焼成して得られたC/Cコンポジット製のネジ4a(直径5mmφ×長さ20mm;アクロス社製商品名:FC500)、又はカーボン繊維の方向をピンの長さ方向(軸方向)に揃えたC/Cコンポジット製のピン4b(直径5mmφ×長さ20mm;(アクロス社製商品名:UDピン))を用い、第1の実施形態に準じて、図2に示す搬送部材の接合箇所と同様の接合構造を有する実施例1の試験用構造体を形成した。
【0068】
ここで、連結具4としてネジ4aを用いた場合には、底部2aの先端面を側辺部2bの端部側面に直角に当接させ、接合面を7mm×300mmとすると共に、側辺部2bの端部を貫いて底部2aの端部内に達する雌ネジ穴加工を施し、また、前記接合面、及び雌ネジ穴の内面にはカーボン接着剤(日清紡ケミカル社製商品名:ST-201)を塗布し、前記ネジ4aを前記雌ネジ穴内に捩じ込んで底部2aの先端面を側辺部2bの端部側面に固定した。また、連結具4としてピン4bを用いた場合には、ネジ4aを用いた場合の雌ネジ穴加工に代えて、側面に雌ネジ加工の無い連結穴加工を施し、ネジ4aを用いた場合と同様にして連結穴内にピンを差し込んで底部2aの先端面を側辺部2bの端部側面に固定した。
【0069】
またこの際に、底部2aの先端面を側辺部2bの端部側面に固定する際の連結具4の位置及び使用本数については、連結具4の軸中心が7mmの板厚の底部2aの先端面の中心位置であって、その一端から25mm、75mm、125mm、175mm、225mm、及び275mmの位置に、合計で6本施工した。
【0070】
次に、このようにして固定された底部2aと側辺部2bの構造体を焼成炉内に導入し、アルゴンガス雰囲気中2000℃の条件でカーボン接着剤を焼成し、底部2aの先端面と側辺部2bの端部側面との間の接合面を固着し、実施例1に係る2種類の試験用構造体を形成した。
なお、この実施例1に係る試験用構造体においては、第1の実施形態の搬送部材に設けられている肉盛部5(図2参照)の形成は行わなかった。
【0071】
〔実施例2〕
上記実施例1で用いたものと同じC/Cコンポジット板(底部2a及び側辺部2b)、ネジ4a、ピン4b、及びカーボン接着剤を用い、各C/Cコンポジット板(底部2a及び側辺部2b)の端部には幅50mm及び深さ7mmの切欠き部6aを100mm周期で形成し、これによって各C/Cコンポジット板(底部2a及び側辺部2b)の端部にはそれぞれ互いに相補的関係を有する3つの切欠き部6a及び突起部6bを形成し、これら各切欠き部6aと突起部6bとの接合面にもカーボン接着剤を塗布した以外は、上記実施例1の場合と同様に、第2の実施形態に準じて、図3に示す搬送部材の接合箇所と同様の接合構造を有する実施例2の試験用構造体(2種類)を形成した。
なお、この実施例2に係る試験用構造体においても、第2の実施形態の搬送部材に設けられている肉盛部5(図3参照)の形成は行わなかった。
【0072】
〔実施例3〕
上記実施例1で用いたものと同じC/Cコンポジット板(底部2a及び側辺部2b)、ネジ4a、ピン4b、及びカーボン接着剤を用い、各C/Cコンポジット板(底部2a及び側辺部2b)の端部には深さ7mm、下底辺43mm、及び上底辺57mmであって斜め約45°に傾斜した傾斜面を有する逆台形状の切欠き部6aを100mm周期で形成し、これによって各C/Cコンポジット板(底部2a及び側辺部2b)の端部にはそれぞれ互いに相補的関係を有する3つの切欠き部6a及び突起部6bを形成した以外は、上記実施例2の場合と同様に、第3の実施形態に準じて、図4に示す搬送部材の接合箇所と同様の接合構造を有する実施例3の試験用構造体(2種類)を形成した。
なお、この実施例3に係る試験用構造体においても、第3の実施形態の搬送部材に設けられている肉盛部5(図4参照)の形成は行わなかった。
【0073】
〔実施例4〕
上記実施例2の試験用構造体において、2枚のC/Cコンポジット板(底部2a及び側辺部2b)が形成する接合箇所の隅角部には、カーボン接着剤の焼成前に、断面略L字状のC/Cコンポジット板製補強部材7をカーボン接着剤により接着して取り付け、カーボン接着剤の焼成時に前記補強部材7を接合箇所の隅角部に固着した以外は、上記実施例2と同様にして、図5に示す搬送部材の接合箇所と同様の接合構造を有する実施例4の試験用構造体(2種類)を形成した。
【0074】
ここで、前記補強部材7としては、その長さが300mmであって板厚が3mmであり、また、各辺の長さが共に70mmで隅角部の角度が93°である断面L字形状の形状及び大きさのものを用いた。
なお、この実施例4に係る試験用構造体においても、第4の実施形態の搬送部材に設けられている肉盛部5(図5参照)の形成は行わなかった。
【0075】
〔実施例5〕
C/Cコンポジット板材(底部2a及び側辺部2b)として、100mm×300mm×3mmの大きさのC/Cコンポジット板(底部2a)(アクロス社製商品名:AC200)と100mm×300mm×3mmの大きさのC/Cコンポジット板(側辺部2b)(アクロス社製商品名:AC200)とを用い、また、連結具4として、カーボン繊維のクロスを積層した後にバインダーを含浸させ焼成して得られたC/Cコンポジット製の両切りボルト・ナット(ボルト軸部:直径10mmφ×長さ24mm、ナット厚み:8mm;アクロス社製商品名:FC500)4cを用い、更に、一辺が30mmの断面直角二等辺三角形状を有する三角柱状であって、長さが300mmのC/Cコンポジット製連結フレーム8を用い、第5の実施形態に準じて、図6に示す搬送部材の接合箇所と同様の接合構造を有する実施例5の試験用構造体を形成した。
【0076】
ここで、前記連結フレーム8の各辺には、その長さ方向に沿ってそれぞれ3ヵ所づつ交互に、一端側から25mm、75mm、125mm、175mm、225mm、及び275mmの位置になるように、深さ10mmで前記両切りボルト・ナット4cのボルト軸部が螺合する合計6ヵ所の雌ネジ穴を穿設し、また、各C/Cコンポジット板(底部2a及び側辺部2b)には、それぞれ前記連結フレーム8に形成した各雌ネジ穴に対応する位置に直径10.5mmの貫通孔を穿設し、連結フレーム8の各辺と各C/Cコンポジット板(底部2a及び側辺部2b)との間の接合面、連結フレーム8の各雌ネジ穴、各C/Cコンポジット板(底部2a及び側辺部2b)の貫通孔、及び両切りボルト・ナット4cの締結部にそれぞれカーボン接着剤を塗布し、第5の実施形態に準じて図6に示す接合箇所を組み立て、両切りボルト・ナット4cで固定した後、アルゴンガス雰囲気中2000℃の条件でカーボン接着剤を焼成し、実施例5に係る試験用構造体を形成した。
なお、この実施例5に係る試験用構造体においては、第5の実施形態の搬送部材に設けられている肉盛部5(図6参照)の形成は行わなかった。
【0077】
〔実施例6〕
実施例2において、不活性ガス雰囲気中2000℃で焼成した後、形成された結合箇所の隅角部(シリコン融液と接する側)に再びカーボン接着剤を塗布し、浸み込ませた後に、再度不活性ガス雰囲気中2000℃で焼成する接着操作を合計で3回繰り返し、前記結合箇所の隅角部にカーボン接着剤焼成後のカーボン層からなる肉盛部5を形成した以外は、実施例2と同様にして、図3に示す搬送部材の接合箇所と同様の接合構造を有する第2の実施形態に準じた実施例6の試験用構造体(2種類)を形成した。
【0078】
〔比較例〕
実施例1において、連結具4(ネジ4a又はピン4b)による固定を行わなかった以外は、実施例1と同様にして比較例の試験用構造体を形成した。
【0079】
〔曲げ強度試験〕
図7に示すように、各実施例1〜6及び比較例の試験用構造体の側辺部2bの上半分(50mm)をクランプ9で固定し、底部2aが空中で水平となるように各試験構造体をセットし、底部2aの先端側から50mmの位置においてその長さ方向に沿って全体に均等に下向き荷重Lを作用させ、接合箇所の接合構造が破壊し始めた時の荷重を測定し、この時の荷重の大きさを曲げ強度とした。
【0080】
〔引張り強度試験〕
図8に示すように、各実施例1〜6及び比較例の試験用構造体の側辺部2bの上部(80mm)をクランプで固定し、底部2aが空中で水平となるように各試験構造体をセットし、底部2aと側辺部2bとの隅角部内で底部2aに密着した位置においてその長さ方向に沿って全体に均等に下向き荷重を作用させ、接合箇所の接合構造が破壊し始めた時の荷重を測定し、この時の荷重の大きさを引張り強度とした。
【0081】
なお、上記の実施例1、実施例3、及び比較例においては、試験用構造体の底部2aをクランプして測定した場合と、側辺部2bをクランプして測定した場合とで接合面に対する荷重方向が異なるため、底部2aをクランプして測定した場合を引張強度Aとし、また、側辺部2bをクランプして測定した場合を引張強度Bとした。
【0082】
〔シリコン融液の通液試験〕
図9に示すように、各実施例1〜6及び比較例で調製した搬送部材の試験用構造体10を、その隅角部を下にしたV字姿勢となり、かつ、水平面に対して傾斜角度3°となるようにセットし、この試験用構造体10の上端側にはシリコン融液11が入った取鍋12をセットし、また、試験用構造体10の下端側にはシリコン融液11の受器13をセットし、上記取鍋12から1kgのシリコン融液11を流してその度に受器13内にシリコン融液を受け取る通液操作を繰り返して行い、試験用構造体10が破損に至るまでの通液回数を調べた。
【0083】
このシリコン融液の通液試験において、通液試験は不活性ガスで置換可能なチャンバー内で実施され、シリコン融液11が試験用構造体10をその上端から下端まで流れるのに約15秒程度を要し、また、各通液操作毎に約30分かけて試験用構造体10を概ね室温まで冷却した。
【0084】
上記の各試験結果について、比較例の試験用構造体において得られた曲げ強度、引張り強度A、及び引張り強度Bの値をそれぞれ1.00とした時の、各実施例の試験用構造体において得られた曲げ強度、引張り強度A、及び引張り強度Bの値を求めた。
結果を表1に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
表1に示す結果から明らかなように、本発明の各実施例1〜6の結果は、比較例に対して、全ての試験において強度向上の効果が認められ、また、少なくとも1回の通液では破損はなく、湯漏れの痕跡が認められない。
【符号の説明】
【0087】
1…搬送部材、2a…底部、2b,2c…側辺部、FU…上流路、FL…下流路、3…方向変更部、4…連結具、4a…ネジ、4b…ピン、4c…両切りボルト・ナット、5…肉盛部、6a…切欠き部、6b…突起部、7…補強部材、8…連結フレーム、9…クランプ、10…試験用構造体、11…シリコン融液、12…取鍋、13…受器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ5〜10mmを有する複数のカーボン/カーボンコンポジット板材(C/Cコンポジット板材)の端部を接合して形成され、シリコン融液と直接接触しながら当該シリコン融液を搬送すると共に、搬送経路の途中にはシリコン融液の搬送方向を変える方向変更部を有するシリコン融液の搬送部材であって、
前記C/Cコンポジット板材の2枚が互いに所定の角度で接合されて形成される接合箇所が、直径3〜8mmφ及び長さ7.5〜32mmの大きさの軸部を有する連結具を4〜50mmの間隔で打ち込んで固定されていると共に、カーボン接着剤を塗布した後に不活性ガス雰囲気中1800〜2200℃で焼成して固着されていることを特徴とするシリコン融液の搬送部材。
【請求項2】
前記搬送部材の接合箇所において、一方のC/Cコンポジット板材の端部と他方のC/Cコンポジット板材の端部には、それぞれ複数の切欠き部と突起部とが交互に形成されていると共に、一方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各切欠き部と他方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各突起部とが互いに相補的関係を有し、一方のC/Cコンポジット板材の各切欠き部に他方のC/Cコンポジット板材の各突起部が嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載のシリコン融液の搬送部材。
【請求項3】
前記搬送部材の接合箇所において、一方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各切欠き部は、一辺が5〜50mmであって他辺が他方のC/Cコンポジット板材の板厚に等しい大きさの矩形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のシリコン融液の搬送部材。
【請求項4】
前記搬送部材の接合箇所において、一方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各切欠き部は、下底辺が5〜48mmであって上底辺が7〜70mmであり、高さが他方のC/Cコンポジット板材の板厚に等しい大きさの逆台形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のシリコン融液の搬送部材。
【請求項5】
前記搬送部材の接合箇所において、2枚のC/Cコンポジット板材が形成する当該接合箇所の隅角部には、厚さが0.5mm以上5mm以下である断面略L字状の補強部材がカーボン接着剤により固着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシリコン融液の搬送部材。
【請求項6】
厚さ1〜10mmを有する複数のカーボン/カーボンコンポジット板材(C/Cコンポジット板材)の端部を接合して形成され、シリコン融液と直接接触しながら当該シリコン融液を搬送すると共に、搬送経路の途中にはシリコン融液の搬送方向を変える方向変更部を有するシリコン融液の搬送部材であって、
前記C/Cコンポジット板材の2枚が互いに所定の角度で接合されて形成される接合箇所には、その隅角部に一辺の長さが12〜30mmである断面三角形状の連結フレームが配置されており、また、前記各C/Cコンポジット板材の端部と前記連結フレームの各辺との間が、直径5mmφ以上の太さの軸部を有する連結具により固定されていると共に、カーボン接着剤を塗布した後に不活性ガス雰囲気中1800〜2200℃で焼成して固着されていることを特徴とするシリコン融液の搬送部材。
【請求項7】
前記搬送部材の接合箇所において、2枚のC/Cコンポジット板材が30°以上の角度で接合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシリコン融液の搬送部材。
【請求項8】
厚さ5〜10mmを有する複数のカーボン/カーボンコンポジット板材(C/Cコンポジット板材)の端部を接合して形成され、シリコン融液と直接接触しながら当該シリコン融液を搬送すると共に、搬送経路の途中にはシリコン融液の搬送方向を変える方向変更部を有するシリコン融液の搬送部材の製造方法であって、
前記C/Cコンポジット板材の2枚を所定の角度で接合して接合箇所を形成するに際し、互いに接合される2枚のC/Cコンポジット板材の端部を、直径3〜8mmφ及び長さ7.5〜32mmの大きさの軸部を有する連結具を4〜50mmの間隔で打ち込んで固定すると共に、カーボン接着剤を塗布した後に不活性ガス雰囲気中1800〜2200℃で焼成する接着操作を1回以上施して固着することを特徴とするシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【請求項9】
前記搬送部材の接合箇所を形成するに際し、一方のC/Cコンポジット板材の端部と他方のC/Cコンポジット板材の端部には、一方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各切欠き部と他方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各突起部とが互いに相補的関係を有する複数の切欠き部及び突起部を形成し、一方のC/Cコンポジット板材の各切欠き部に他方のC/Cコンポジット板材の各突起部を嵌合することを特徴とする請求項9に記載のシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【請求項10】
前記搬送部材の接合箇所を形成するに際し、一方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各切欠き部を、一辺が5〜50mmであって他辺が他方のC/Cコンポジット板材の板厚に等しい大きさの矩形状に形成することを特徴とする請求項9に記載のシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【請求項11】
前記搬送部材の接合箇所を形成するに際し、一方のC/Cコンポジット板材の端部に形成された各切欠き部を、下底辺が5〜48mmであって上底辺が7〜70mmであり、高さが他方のC/Cコンポジット板材の板厚に等しい大きさの逆台形状に形成することを特徴とする請求項9に記載のシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【請求項12】
前記搬送部材の接合箇所を形成するに際し、2枚のC/Cコンポジット板材が形成する当該接合箇所の隅角部には、厚さが0.5mm以上5mm以下である断面略L字状の補強部材をカーボン接着剤により固着することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【請求項13】
厚さ1〜10mmを有する複数のカーボン/カーボンコンポジット板材(C/Cコンポジット板材)の端部を接合して形成され、シリコン融液と直接接触しながら当該シリコン融液を搬送すると共に、搬送経路の途中にはシリコン融液の搬送方向を変える方向変更部を有するシリコン融液の搬送部材の製造方法であって、
前記搬送部材の接合箇所を形成するに際し、互いに所定の角度で接合される2枚のC/Cコンポジット板材が形成する隅角部には一辺の長さが12mm以上30mm以下である断面三角形状の連結フレームを配置し、前記各C/Cコンポジット板材の端部と前記連結フレームの各辺との間を、直径5mmφ以上の太さの軸部を有する連結具により固定すると共に、カーボン接着剤を塗布した後に不活性ガス雰囲気中1800〜2200℃で焼成する接着操作を1回以上施して固着することを特徴とするシリコン融液の搬送部材の製造方法。
【請求項14】
前記搬送部材の接合箇所において、2枚のC/Cコンポジット板材が30°以上の角度で接合されることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載のシリコン融液の搬送部材の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−116707(P2012−116707A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267995(P2010−267995)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(306032316)新日鉄マテリアルズ株式会社 (196)
【Fターム(参考)】