説明

シリコーンで封入された光放出装置及び前記シリコーンを調製するための硬化性シリコーン組成物

【課題】機械的特性及び接着特性に優れた光学的に透明なシリコーン生成物を提供する。
【解決手段】(I)アルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン、Si-H官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン、またはこれらの組み合わせ;(II)特定の分子量を有するハイドロジェンジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン、特定の分子量を有するアルケニル官能性ジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン、またはこれらの組み合わせ;及び(III)ヒドロシリル化触媒を含む組成物を提供する。光放出装置は、前記組成物を光源上に適用した後に硬化させることによって製造される。前記組成物は、光放出装置用の封入材としての使用に適当な機械的特性を有する硬化物質を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国法典第35編第119条(e)項の下で2006年2月24日に出願された米国特許仮出願No. 60/776,575及び2006年1月17日に出願された米国特許仮出願No. 60/759,501の利益を主張するものである。米国特許仮出願No. 60/776,575及び米国特許仮出願No. 60/759,501は、参照のためにここに取り込むこととする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、硬化性シリコーン組成物及びこれらの組成物を硬化させることにより調製されるシリコーン生成物で封入された光放出装置に関する。特に、本発明は、硬化して、光学的透明度、高い屈折率、高温に対する耐性、及び高い機械的強度を有するシリコーン生成物を形成する、ヒドロシリル化硬化性組成物に関する。本発明はまた、シリコーン生成物で封入された、信頼性のある光放出装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許仮出願No. 60/776,575
【特許文献2】米国特許仮出願No. 60/759,501
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学的に透明なシリコーン生成物をもたらす硬化性シリコーン組成物は、光放出装置において、例えばその熱及び光に対する耐性等のためにしばしば使用されている。こうした硬化性シリコーン組成物は、光源から発生する熱及び光の作用によって退色という欠点を呈しうるエポキシ樹脂材料等の従来の材料よりも、高い信頼性という利点を示しうる。
【0005】
しかしながら、光学的に透明なシリコーン生成物の機械的特性及び接着特性は、エポキシ樹脂及び充填シリコーンに劣る可能性がある。こうしたことは、シリコーン生成物の破砕または層間剥離を引き起こし、ひいては光出力の低下をもたらしうる。これに対処するために提案されるアプローチの一つは、該シリコーン生成物に適合性のシリコーン樹脂を強化剤として使用することである。別のアプローチは、該シリコーンポリマー構造中に有機ポリマー成分または官能基を導入することであるが、こうしたシリコーンの変更は、熱及び光に対する耐性については不適当であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(I)アルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン、Si-H官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン、またはこれらの組み合わせ;
(II)特定の分子量を有するハイドロジェンジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン、特定の分子量を有するアルケニル官能性ジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン、またはこれらの組み合わせ;及び
(III)ヒドロシリル化触媒;
を含む成分を混合することによって調製される組成物に関する。成分(I)及び(II)の少なくとも一方はアルケニル基を含む。成分(I)及び(II)の少なくとも一方はケイ素結合水素原子を含む。
【0007】
本発明は、更に、前記硬化性シリコーン組成物を硬化させることによって調製されるシリコーン生成物で封入された、もしくは被覆された光放出装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は光放出装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
全ての量、比、パーセンテージは、特記のない限り重量ベースで表す。以下は、本明細書中で使用される定義のリストである。
【0010】
(用語の定義及び用法)
「光放出装置」は、照明のための装置を意味する。光放出装置には、基体上に発光素子として設置された半導体チップが光学的に透過するシリコーン生成物で封入された、発光ダイオード(LED)が含まれる。こうした封入は、機械的衝撃及び粉塵もしくは湿分の侵入に対する保護に役立つ。これはまた同時に、シグナルの著しい反射もしくは減衰を伴わずに、光路に沿って屈折率整合を向上させ、且つそのバルクを通る光信号の伝搬を補助する媒体としての役割を果たす。媒体は、透明であるかまたは燐もしくは別の添加剤を含んで透明性を変更してよい。光放出装置にはまた、例えば蛍光灯等の別の光放出源が使用される装置またはシステム構造が含まれる。
「層間剥離」は、光放出装置において光発光素子または別の物質からシリコーン生成物がはがれ落ちる傾向を意味する。
「破砕」は、光放出装置において封入材が変形または亀裂、あるいはその両方を示す傾向を意味する。
【0011】
略語「Me」は、メチル基を意味する。
【0012】
略語「Ph」は、フェニル基を意味する。
【0013】
略語「Vi」は、ビニル基を意味する。
【0014】
略語「Hex」は、ヘキセニル基を意味する。
【0015】
「Pa・s」は、パスカル秒を意味する。
【0016】
略語「ppm」は、百万分の一を意味する。
【0017】
成分(I)
成分(I)は、R1aR2bSiO(4-a-b)/2の平均組成式を有するアルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサンを含んで良い。前記アルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサンは、直鎖状、分枝状、環状、または樹枝状シロキサン構造を有して良い。前記アルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサンは、単一成分であっても、1つ以上のアルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサンを含む組み合わせであってもよい。成分(I)は分枝状アルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン及び直鎖状アルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサンを含んで良い。前記分枝状アルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサンの相対量は、組成物の重量に基づいて0.01%乃至35%、あるいは1%乃至15%の範囲であってよい。各R1は、個別に2乃至12の炭素原子を有するアルケニル基である。前記アルケニル基は、以下に限定されるものではないが、ビニル、アリル、ブテニル、及びヘキセニルによって例示される。アルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン中のアルケニル基は、一価、二価、及び三価のシロキサン単位に位置して良い。各R2は、個別にメチル基またはフェニル基である。R2の少なくとも30mol%乃至90mol%はフェニル基であってよい。理論に束縛されるものではないが、フェニル基の量は成分(I)と(II)との適合性が改善されるように選択して良い。成分(I)中のメチル及びフェニル基は、一価、二価、及び三価のシロキサン単位に位置して良い。式中では、a及びbは、a+bが1乃至2.2であり且つa/(a+b)=0.001乃至0.05であることを満たす正の数である。成分(I)は例えば、
【化1A】

【化1B】

【化1C】

またはこれらの組み合わせ等のポリオルガノシロキサンを含んで良い。式中、n、m、lは200未満の正の数であって、ポリマー中の各モノマー単位の平均数を意味し;p、q、r、及びsは全平均組成物中の各モノマー単位の平均モルパーセンテージを意味する。
【0018】
あるいはまた、成分(I)は、HaR2bSiO(4-a-b)/2(式中、R2、a、及びbは上述の通りである)に示される平均組成式を有するSi-H官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサンを含んでもよい。Si-H官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサンは、直鎖状、分枝状、または環状のシロキサン構造を有して良い。Si-H官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサンは、単一成分であっても、1つ以上のSi-H官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサンを含む組み合わせであってもよい。成分(I)は例えば、
【化2A】

【化2B】

【化2C】

またはこれらの組み合わせ等のポリオルガノシロキサンを含んで良い。式中、n、m、l、p、q、r、及びsは上述の通りである。
【0019】
成分(I)としての使用に適当な直鎖状、分枝状、及び環状のポリオルガノシロキサンの調製方法、例えばオルガノハロシランまたはオルガノアルコキシシランの加水分解に引き続く縮合または平衡は、当業者には周知である。
【0020】
成分(II)ハイドロジェンジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン
成分(II)はHR32SiO(SiPh2O)xSiR32Hに示される分子式を有するハイドロジェンジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサンを含んで良い。成分(II)は、単一の成分であっても、1つ以上のハイドロジェンジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサンを含む組み合わせであっても良い。各R3は個別にメチル基またはフェニル基である。式中で、各xは2乃至8の整数であり、さらにxは2乃至4の平均値である。成分(II)は、
HMe2SiO(SiPh2O)xSiMe2H、

HMePhSiO(SiPh2O)xSiMePhH、または
これらの組み合わせを含んで良く、ここでxは上述の通りである。
【0021】
あるいはまた、成分(II)は、R1R32SiO(SiPh2O)xSiR32R1に示される分子式を有するアルケニル官能性ジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサンを含んで良い。式中、R1、R3、及びxは上述の通りである。前記アルケニル官能性ジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサンは、単一の成分であっても、1つ以上のアルケニル官能性ジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサンを含む組み合わせであってもよい。前記アルケニル官能性ジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサンは、
ViMe2SiO(SiPh2O)xSiMe2Vi、
ViMePhSiO(SiPh2O)xSiMePhVi、
またはこれらの組み合わせによって例示され、xは上述の通りである。
【0022】
成分(II)としての使用に適当なオリゴジフェニルシロキサンの調製方法、例えばジフェニルジクロロシランまたはジフェニルアルコキシシランの加水分解及び縮合に次いでキャッピングを行うことは、当業者には周知である。
【0023】
成分(III)ヒドロシリル化触媒
成分(III)はヒドロシリル化触媒である。成分(III)は、当該組成物に組成物の重量に基づいて0.1乃至1000ppm、あるいは1乃至500ppm、あるいは2乃至200、あるいは5乃至150ppmの白金族金属の量で添加される。適当なヒドロシリル化触媒は、当業者に既知であり、市販品を購入できる。成分(III)は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、またはイリジウム金属から選択される白金族金属、あるいはその有機金属化合物、あるいはこれらの組み合わせを含んで良い。成分(III)は、例えば塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、二塩化白金、並びに前記化合物と低分子量オルガノポリシロキサンとのの錯体、もしくはマトリックスまたはコアシェルタイプの構造中にミクロカプセル封入された白金化合物によって例示される。白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体には、白金との1,3-ジエテニル-l,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体が含まれる。これらの錯体は、樹脂マトリックス中にマイクロカプセル封入されていてもよい。
【0024】
成分(III)として適当なヒドロシリル化触媒は、例えば米国特許No.3,159,601;No.3,220,972;No.3.296,291;No.3,419,593;No.3,516,946;No.3,814,730;No.3,989,668;No.4,784,879;No.5,036,117;及びNo.5,175,325、並びに欧州特許公報EP 0 347 895 Bに記載されている。
【0025】
光学成分
成分(I)乃至(III)に加えて、当該組成物には光学成分を加えて良い。適当な光学成分には、(IV)共架橋剤、(V)接着促進剤、(VI)フィラー、(VII)処理剤、(VIII)光学活性剤、(IX)硬化調整剤、(X)レオロジー調整剤、及びこれらの混合物が含まれる。
【0026】
成分(IV)共架橋剤
成分(IV)は共架橋剤である。成分(IV)は当該組成物に、組成物の重量に基づいて0.01乃至50重量部、あるいは0.01乃至25重量部、あるいは1乃至5重量部の量で添加して良い。成分(IV)は、HcR4dSiO(4-c-d)/2に示される平均組成式を有し、成分(II)ではないハイドロゲンシリル官能性ポリオルガノシロキサンを含んで良い。各R4は個別にメチル基またはフェニル基である。R4の少なくとも30mol%はフェニル基である。式中、a及びbはc+dが1乃至2.2であり且つ次の等式c/(c+d)=0.001乃至0.05を満たす正の数である。
【0027】
成分(V)接着促進剤
成分(V)は接着促進剤である。成分(V)は当該組成物に、組成物の重量に基づいて0.01乃至50重量部、あるいは0.01乃至10重量部、あるいは0.01乃至5重量部の量で添加して良い。成分(V)は、(i)アルコキシシラン、(ii)アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンとの組み合わせ、または(iii)これらの組み合わせ、あるいは成分(V)(i)、(ii)、または(iii)と遷移金属キレートとの組み合わせを含んで良い。
【0028】
あるいはまた、成分(V)は、不飽和またはエポキシ官能性の化合物を含んで良い。適当なエポキシ官能性化合物は、当業者には既知であり、市販品を購入可能であり、例えば米国特許No.4,087,585;No.5,194,649;No.5,248,715;及びNo.5,744,507の第4-5欄が参照される。成分(V)は、不飽和またはエポキシ官能性のアルコキシシランを含んで良い。例えば、不飽和またはエポキシ官能性の前記アルコキシシランは、式R5eSi(OR6)(4-e)を有してよく、式中eは1、2、または3、あるいはeは1である。各R5は個別に一価の有機基である(但し少なくとも一つのR5が不飽和有機基またはエポキシ官能性有機基であることを前提とする)。R5としてのエポキシ官能性有機基は、3-グリシドキシプロピル及び(エポキシシクロヘキシル)エチルによって例示される。R5としての不飽和有機基は、3-メタクリロイルオキシプロピル、3-アクリロイルオキシプロピル、及び不飽和一価炭化水素基、例えばビニル、アリル、ヘキセニル、ウンデシレニルによって例示される。各R6は個別に1乃至4の炭素原子、あるいは1乃至2の炭素原子を有する無置換の飽和炭化水素基である。R6はメチル、エチル、プロピル、及びブチルによって例示される。
【0029】
適当なエポキシ官能性アルコキシシランの例には、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが含まれる。適当な不飽和アルコキシシランの例には、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0030】
成分(V)はエポキシ官能性シロキサン、例えば上述のヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物、あるいはヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの物理的ブレンドを含んで良い。成分(V)は、エポキシ官能性アルコキシシランとエポキシ官能性シロキサンとの組み合わせを含んで良い。例えば、成分(V)は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランと、ヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンの3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物との混合物、あるいは3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンとの混合物、あるいは3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとヒドロキシ末端メチルビニル/ジメチルシロキサンコポリマーとの混合物、あるいは3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとヒドロキシ末端メチルビニル/メチルフェニルシロキサンコポリマーとの混合物によって例示される。
【0031】
適当な遷移金属キレートには、チタネート、ジルコネート、例えばジルコニウムアセチルアセトネート、アルミニウムキレート、例えばアルミニウムアセチルアセトネート、及びこれらの組み合わせが含まれる。遷移金属キレート及びその調製方法は、当業者には既知であり、例えば米国特許No.5,248,715、欧州特許出願公報EP 0493 791 Al、及び欧州特許公報EP 0497 349 Blが参照される。
【0032】
成分(VI)フィラー
成分(VI)はフィラーである。当該組成物に添加される成分(VI)の量は、選択されるフィラーのタイプ及びもたらされる光学透明性によって異なる。成分(VI)は、当該組成物に、組成物の重量に基づいて0.1%乃至50%、あるいは0.1%乃至25%の量で添加して良い。適当なフィラーには、強化フィラー、例えばシリカ等が含まれる。適当な強化フィラーは当業者に既知であり、例えばCabot Corporation (Massachusetts)によりCAB-O-SILの名称で市販のヒュームドシリカ等のように市販品を購入可能である。
【0033】
伝導性フィラー(すなわち、熱伝導性、電気伝導性、あるいはこの両方であるもの)もまた成分(VI)として使用して良い。適当な伝導性フィラーには、金属粒子、金属酸化物粒子、及びこれらの組み合わせが含まれる。適当な伝導性フィラーは、窒化アルミニウム;酸化アルミニウム;チタン酸バリウム;酸化ベリリウム;窒化ホウ素;ダイアモンド;グラファイト;酸化マグネシウム;金属粒子、例えば銅、金、ニッケル、または銀;炭化ケイ素;炭化タングステン;酸化亜鉛;並びにこれらの組み合わせによって例示される。
【0034】
伝導性フィラーは、当業者には既知であって市販品を購入可能であり、例えば米国特許No.6,169,142 (第4欄、第7-33行)が参照される。例えば、CB-A20S及びAl-43-Meは、昭和電工より様々な粒径で入手可能な酸化アルミニウムフィラーであり、AA-04、AA-2、及びAAl8は、住友化学工業より市販の酸化アルミニウムフィラーである。銀フィラーは、Metalor Technologies U.S.A. Corp. (Attleboro, Mass., U.S.A.)より市販されている。窒化ホウ素フィラーは、Advanced Ceramics Corporation (Cleveland, Ohio, U.S.A.)より市販されている。
【0035】
フィラー粒子の形状は特に制限されないが、円形もしくは球状の粒子は、当該組成物中にフィラーを多量配合した際に望ましからぬ程度にまで粘度が増大することを回避しうる。
【0036】
異なる粒径および異なる粒径分布を有するフィラーの組み合わせを使用して良い。例えば、より大きな平均粒径を有する第1フィラーとより小さな平均粒径を有する第2フィラーとを、最密充填理論分布曲線に見合う割合で組み合わせることが望ましい。これは充填効率を向上させ、粘度を低減し、且つ熱伝達を向上させうる。
【0037】
フィラーの全てまたは一部がスペーサーを含んでいて良い。スペーサーは有機粒子、例えばポリスチレン、無機粒子、例えばガラス、あるいはこれらの組み合わせを含んで良い。スペーサーは、熱伝導性、電気伝導性、またはこの両方であってよい。スペーサーは25マイクロメートル乃至250マイクロメートルの粒径を有して良い。スペーサーは単分散ビーズを含んで良い。スペーサーの量は、粒子の分布、組成物設置の間にかかる圧力、及び設置温度を含む様々な要因によって異なる。
【0038】
成分(VII)処理剤
フィラーは、任意に成分(VII)処理剤で表面処理されていてよい。処理剤及び処理方法は当業者には既知であり、例えば米国特許No.6,169,142 (第4欄、第42行乃至第5欄、第2行)が参照される。成分(VI)を、この成分(VI)を該組成物の別の成分と混合する前に処理剤で処理してもよく、あるいは成分(VI)をそのまま処理してもよい。
【0039】
処理剤は、式R7fSi(OR8)(4-f)を有するアルコキシシランであってよく、式中fは1,2,または3、あるいはfは3である。各R7は、アルキル基、例えばヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシル等;及び芳香族基、例えばベンジル、フェニル、及びフェニルエチルによって例示される。R7は飽和または不飽和の、分枝状または非分枝状の、また無置換のものであってよい。R7は、飽和の非分枝状の無置換のものであってよい。
【0040】
各R8は、個別に1乃至4の炭素原子、あるいは1乃至2の炭素原子を有する、無置換の飽和炭化水素である。処理剤は、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルエチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせによって例示される。
【0041】
アルコキシ官能性オリゴシロキサンもまた処理剤として使用可能である。アルコキシ官能性オリゴシロキサン及びその調製方法は、当業者には既知であり、例えば欧州特許公報EP1101167A2が参照される。例えば、適当なアルコキシ官能性オリゴシロキサンには、式(R9O)gSi(OSiR102R11)4-gのものが含まれる。この式では、gは、1、2、または3であり、あるいはdは3である。各R9は個別にアルキル基であってよい。各R10は、1乃至10の炭素原子を有する飽和及び不飽和の一価炭化水素基から個別に選択可能である。各R11は少なくとも11の炭素原子を有する、飽和もしくは不飽和の一価炭化水素基であってよい。
【0042】
金属フィラーは、アルキルチオール、例えばオクタデシルメルカプタン他、及び脂肪酸、例えばオレイン酸、ステアリン酸、チタネート、チタネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤、及びこれらの組み合わせで処理して良い。
【0043】
アルミナもしくは不動態化窒化アルミニウム処理剤のための処理剤には、アルコキシシリル官能性アルキルメチルポリシロキサン(例えばR12hR13iSi(OR14)(4-h-i)の部分加水分解縮合物または共加水分解縮合物または混合物)、加水分解可能な基がシラザン、アシルオキシ、またはオキシモである同様の物質を含んで良い。これら全てにおいて、Siに結合する基、例えば上記式中のR12は、長鎖の不飽和一価炭化水素または一価の芳香族官能性炭化水素である。各R13は個別に一価の炭化水素基であり、各R14は個別に1乃至4の炭素原子を有する一価の炭化水素基である。上記式中では、hは1、2、または3であり、iは0、1、または2である(但しh+iが1、2、または3であることを前提とする)。当業者であれば過度の実験を行うことなくフィラーの分散を促進するために特定の処理を最適化することができるであろう。
【0044】
成分(VIII)光学活性剤
成分(VIII)は、光学活性剤である。成分(VIII)の例には、光学拡散物質、燐粉末、フォトニック結晶、量子ドット、ナノ粒子、例えば二酸化チタンナノ粒子またはカーボンナノチューブ、染料、例えば蛍光染料または吸収染料、並びにこれらの組み合わせが含まれる。成分(VIII)の量は、選択される光学活性剤及び最終用途応用を含む様々な要因によって異なる。しかしながら、成分(VIII)の量は、該組成物の重量に基づいて0.01%乃至50%、あるいは1%乃至10%の範囲であって良い。
【0045】
成分(IX)硬化調整剤
成分(IX)は硬化調整剤である。成分(IX)は、本発明の組成物の貯蔵寿命または作業時間、あるいはこれら両方を延長するために添加して良い。成分(IX)は該組成物の硬化温度を上昇させるために添加して良い。適当な硬化調整剤は当業者には既知であり、市販品を購入できる。成分(IX)は、アセチレンアルコール、シクロアルケニルシロキサン、エンイン化合物、トリアゾールホスフィン;メルカプタン、ヒドラジン、アミン、フマレート、マレエート、及びこれらの組み合わせによって例示される。アセチレンアルコールは、例えば欧州特許公報EP0764703A2及び米国特許No.5,449,802に開示されており、メチルブチノール、エチニルシクロヘキサノール、ジメチルヘキシノール、1-ブチン-3-オール、l-プロピン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-l-ブチン-3-オール、3-メチル-l-ペンチン-3-オール、3-フェニル-l-ブチン-3-オール、4-エチル-l-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-l-ヘキシン-3-オール、及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール、及びこれらの組み合わせを含む。
【0046】
シクロアルケニルシロキサンの例には、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、及びこれらの組み合わせが含まれる。エンイン化合物の例には、3-メチル-3-ペンテン-l-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-l-イン、及びこれらの組み合わせが含まれる。トリアゾールの例には、ベンゾトリアゾールが含まれる。ホスフィンの例には、トリフェニルホスフィンが含まれる。アミンの例には、テトラメチルエチレンジアミンが含まれる。フマレートの例には、ジアルキルフマレート、ジアルケニルフマレート、ジアルコキシアルキルフマレート、及びこれらの組み合わせが含まれる。適当な硬化調整剤は、例えば米国特許No.3,445,420;No.3,989,667;No.4,584,361;及びNo.5,036,117に開示されている。
【0047】
あるいはまた、成分(IX)はシリル化アセチレン抑制剤を含んでも良い。理論に縛られることなく、シリル化アセチレン抑制剤によれば、抑制剤を含まないかまたはアセチレンアルコールを含むヒドロシリル化硬化性組成物から調製される硬化性シリコーン生成物と比較して、本発明の組成物から調製される硬化シリコーン生成物の黄色化が低減されると考えられる。適当なシリル化アセチレン抑制剤は、以下の一般式(IX)(i):
【化3】

または一般式(IX)(ii):
【化4】

またはこれらの組み合わせを有して良く、式中、R15は個別に水素原子または一価の有機基であり、R16は共有結合または二価の炭化水素基であり、uは0、1、2、または3であり、tは0乃至10であり、vは4乃至12である。あるいはまた、uは1または3である。あるいはまた、一般式(IX)(i)において、uは3である。あるいはまた、一般式(IX)(ii)において、uは1である。あるいはまた、tは0である。あるいはまた、vは5、6、または7、あるいはvは6である。R15としての一価の有機基の例には、上述の通り、脂肪族不飽和有機基、芳香族基、あるいは芳香族基及び遊離の脂肪族不飽和を含まない一価の置換もしくは無置換の炭化水素基が含まれる。
【0048】
シリル化アセチレン抑制剤は、(3-メチル-l-ブチン-3-オキシ)トリメチルシラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シランメチルビニルシラン、ビス((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)ジメチルシラン、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、メチル(トリス(3-メチル-l-ブチン-3-オキシ))シラン、(3-メチル-l-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-メチル-l-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(3-メチル-l-ブチン-3-オキシ)トリエチルシラン、ビス(3-メチル-l-ブチン-3-オキシ)メチルトリフルオロプロピルシラン、(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オキシ)トリメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルビニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-l-エチン-l-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルビニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-l-オキシ)トリメチルシラン、及びこれらの組み合わせによって例示される。あるいはまた、シリル化アセチレン抑制剤は、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、((l,l-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、またはこれらの組み合わせを含んで良い。
【0049】
シリル化アセチレン抑制剤は、アルコールをシリル化するための当業者に既知の方法、例えば式R15uSiCl4-uのクロロシランと下式:
【化5】

または
【化6】

のアセチレンアルコールとを酸受容体の存在下で反応させる方法等によって調製して良い。これらの式中では、u、t、v、R15、及びR16は上述の通りである。シリル化アセチレン抑制剤及びその調製方法は例えば欧州特許出願公報EP0764703A2及び米国特許No.5,449,802に開示されている。
【0050】
前記組成物に添加される成分(IX)の量は、使用される特定の硬化調整剤、成分(III)の性質、及び成分(II)の組成物によって異なる。しかしながら、成分(IX)の量は、当該組成物の重量に基づいて0.001%乃至10%、あるいは0.001%乃至5%の範囲をとりうる。
【0051】
成分(X)レオロジー調整剤
成分(X)はレオロジー調整剤である。レオロジー調整剤は、前記組成物のチキソトロピー特性を変更するために添加することができる。成分(X)は、流れ調整剤;反応性希釈剤;沈降防止剤;アルファオレフィン;ヒドロキシル末端シリコーン有機子ポリマー、以下に限定されるものではないがヒドロキシル末端ポリプロピレンオキシド−ジメチルシロキサンコポリマー;及びこれらの組み合わせによって例示される。
【0052】
別の光学成分
上述の成分の全部または一部に加えて、またはこれに代えて、更に別の光学成分を添加しても良い(但し、この光学成分によって、当該組成物が硬化してシリコーン生成物を形成することが妨げられないことを前提とする)。別の光学成分の例には、以下に限定されるものではないが、酸受容体;酸化防止剤;安定剤、例えば酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、金属塩添加剤、例えば欧州特許出願公報EP0950685Alに記載のもの、熱安定剤、及び紫外線(UV)安定剤;難燃剤;シリル化剤、例えば4-(トリメチルシリルオキシ)-3-ペンテン-2-オン及びN-(t-ブチルジメチルシリル)-N-メチルトリフルオロアセトアミド;乾燥剤、例えばゼオライト、無水硫酸アルミニウム、モレキュラーシーブ、(好ましくは10オングストローム以下の孔直径を有するもの)、珪藻土、シリカゲル、及び活性炭;光学拡散物質;コロイドシリカ;及び発泡剤、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、及びシラノールが含まれる。
【0053】
全SiH:Vi比
前記組成物中の成分は、該組成物中におけるケイ素に結合した水素原子全量の脂肪族不飽和基に対するモル比(SiHtot/Vitot)が0.5より高く、あるいは少なくとも0.8となるように選択してよい。SiHtot/Vitotの上限は10.0、あるいは5.0、あるいは3.0であってよい。理論に束縛されることを望むものではないが、SiHtot/Vitotが過度に低ければ、該組成物は硬化しないかまたは基体に接着せず、組成物内から別の表面への漏れ(bleed)が増大しうる。理論に束縛されることを望むものではないが、SiHtot/Vitotが過度に高ければ、表面特性、例えば接着等が妨げられ、組成物内から別の表面への漏れが増大しうる。
【0054】
キット
前記組成物は、一部組成物または複数部組成物、例えば二部組成物であって良い。多数部組成物において、成分(II)及び存在するならば光学成分(IV)は、成分(III)とは別個の部分に貯蔵される。成分(I)及び(V)乃至(VIII)のいずれの成分もいずれかまたは両方の部分に添加可能である。当業者であれば過度の実験を行うことなく各部分向けの成分を選択する方策がわかるであろう。
【0055】
複数部組成物が調製される場合、これはキットとして市販して良い。前記キットは、このキットをどのように使用するか、各部をどのように混合するか、または生成する混合物をどのように硬化させるか、あるいはこれらの組み合わせについての情報または指示書またはその両方を更に含む。例えば、A部及びB部を含むキットは、以下のように調製して良い。
A部は、(I)アルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン;
(III)ヒドロシリル化触媒、
任意に(V)接着促進剤、
任意に(VI)フィラー、
任意に(VII)処理剤、
任意に(VIII)硬化調整剤、及び
任意に(IX)レオロジー調整剤
を含み、B部が、
任意に(I)アルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン、
(II)ハイドロジェンジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン;
任意に(IV)共架橋剤、
任意に(V)接着促進剤、
任意に(VI)フィラー、
任意に(VII)処理剤、
任意に(VIII)硬化調整剤、及び
任意に(IX)レオロジー調整剤
を含む。
【0056】
あるいはまた、A部及びB部を有する複数部組成物は、以下のように調製して良い。
A部が、
(II) R1R32SiO(SiPh2O)xSiR32R1(式中、Phはフェニル基を表し、各R1は個別に2乃至12の炭素原子を有するアルケニル基であり、各R3は個別にメチル基またはフェニル基であり、xは2乃至8の整数であり、さらにxは2乃至4の平均値を有する)に示される分子式を有するアルケニル官能性ジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン;
(III)ヒドロシリル化触媒、
任意に(V)接着促進剤、
任意に(VI)フィラー、
任意に(VII)処理剤、
任意に(VIII)硬化調整剤、及び
(IX)レオロジー調整剤
を含み、B部が、
(I) HaR2bSiO(4-a-b)/2(式中、各R2は個別にメチル基またはフェニル基であり、R2の少なくとも30mol%がフェニル基であり、a及びbはa+bが1乃至2.2であり且つa/(a+b)=0.001乃至0.05であるような正の数である)に示される平均組成式を有するSi-H官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン、
任意に(II) R1R32SiO(SiPh2O)xSiR32R1(式中、Phはフェニル基を表し、各R1は個別に2乃至12の炭素原子を有するアルケニル基であり、各R3は個別にメチル基またはフェニル基であり、xは2乃至8の整数であり、さらにxは2乃至4の平均値を有する)に示される分子式を有するアルケニル官能性ジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン、
任意に(IV)共架橋剤、
任意に(V)接着促進剤、
任意に(VI)フィラー、
任意に(VII)処理剤、
任意に(VIII)硬化調整剤、及び
任意に(IX)レオロジー調整剤
を含む。
【0057】
前記キットは、所定の重量比でA部とB部とを混合するための指示書を更に含んで良い。A部とB部とは、0.05乃至20:1、あるいは0.1:1乃至10:1、あるいは1:1乃至5:1のA部:B部の比(A:B)で互いに混合可能である。
【0058】
前記組成物の製造方法
上述の組成物は、あらゆる便宜的手段で成分を混合することによって調製可能である。例えば、前記組成物は、全成分を常温で混合することによって調製可能である。使用されるミキサーは特に制限されず、成分及び組成物の粘度によって決定されるであろう。適当なミキサーには、以下に限定されるものではないが混練機タイプのシグマブレードミキサー、ダブルプラネタリーミキサー、非貫入式(non-intrusive)ミキサー、例えば遠心動作に依存するもの、並びに2本及び3本ロールのラバーミルが含まれる。前記組成物は、混合の後に任意に濾過されて良い。当業者であれば、以下に説明される実施例及び以上に開示される方法によって、過度の実験を行うことなく当該組成物を調製するであろう。
【0059】
光放出装置
本発明の組成物は、光学的透過特性または接着特性または機械的特性、あるいはいずれもが望まれる様々な応用について有用である。例えば、上述の組成物は硬化して高い接着強度及び機械的特性を有する光学的に透明な物質を形成する。
【0060】
本発明の組成物を使用して調製される硬化シリコーン生成物は、成分(I)及び(II)並びに該組成物に添加されるあらゆる光学成分のタイプ及び濃度を含む様々な要因によって、硬質樹脂からエラストマーからゲルまでの様々な特性を有して良い。硬化シリコーン生成物は、好ましくは軟質エラストマーまたはゲルである。前記組成物を使用して調製される硬化生成物は、封入剤または被覆剤としての最終用途応用において有用である。
【0061】
本発明の光放出装置のための封入または被覆の技術は、当業者には周知であり、本発明において使用して良い。こうした技術には、注型、分配、成型等が含まれる。例えば、典型的には型内で行うが、光放出装置を未硬化の組成物で包んだ後にこの組成物を硬化させる。これら組成物は、加熱による1つ以上の工程で硬化させて良い。例えば、硬化は、一実施態様では室温乃至200℃の範囲の温度で行って良い。
【0062】
前記光放出装置は、ハンダ付け条件による熱衝撃並びに光放出条件下での熱及び光への暴露に耐える。例えば、400ナノメートル(nm)での硬化物質の透過率損失は、260℃にて5分間に亘ってハンダ付けされた後でも10%より少ない(試験1)。この硬化組成物は、ハンダ付け処理の間、層間剥離も破砕も示さない。同様の安定性は、以下の光を用いた信頼性試験条件:-40℃と120℃との間の500回の熱サイクル(試験2)、85℃/85%の相対湿度への1000時間に亘る暴露(試験3)、及び150℃への1000時間に亘る暴露(試験4)からも観察される。
【実施例】
【0063】
これらの実施例は、当業者に本発明を詳説するものであり、特許請求の範囲に示される本発明の範囲に制限することを企図しない。
【0064】
(参照実施例1−HMe2SiO(Ph2SiO) 2SiMe 2Hの調製)
温度計、メカニカルスターラー、窒素気体注入管、及びコンデンサーを取り付けた1Lの四つ口フラスコに、735.6グラム(g)のジフェニルジメトキシシラン、45.2gの酢酸、及び670ミリグラム(mg)のトリフルオロメタンスルホン酸を、窒素下で仕込んだ。反応混合物を、上限を55℃として40分間(min)に亘って加温した。80分間に亘って加熱した後、4.5gの炭酸カルシウムの添加により反応をクエンチした。反応混合物を蒸発させて60gの透明なオイルを得た。これをn-ヘキサンから再結晶させて精製し、純粋なMeO(Ph2SiO)2Meを得た。
【0065】
温度計、メカニカルスターラー、均圧滴下漏斗、及びコンデンサーを取り付けた0.5Lの四つ口フラスコに、128gのMeO(Ph2SiO)2Me、73.8gの1,1,3,3-ヘキサメチルジシロキサン、及び34.7gの酢酸を窒素下で仕込んだ。アルコキシシランを溶解させるために、100mlのトルエンを前記フラスコに加え、その後267mgのトリフルオロメタンスルホン酸を反応混合物に添加した。反応混合物を、上限を50℃として加温した。50℃にて45分間に亘ってエージングさせた後、28.1gの無水酢酸を30分間かけてゆっくりと反応混合物に添加した。この添加の後、反応混合物を40乃至50℃にて2時間に亘って静置した。25℃に冷却した後、反応混合物を170mlのトルエンと共に1Lの分液漏斗に移した。有機相を6回、各回毎に50ミリリットル(ml)の水で洗った。残った有機相を蒸発させて153gの無色の液体を得た。
【0066】
(参照実施例2−HMe2SiO(Ph2SiO)2.5SiMe2Hの調製)
温度計、メカニカルスターラー、均圧滴下漏斗、及びコンデンサーを取り付けた2Lの四つ口フラスコに、977.6gのジフェニルジメトキシシラン、1.497gのトリフルオロメタンスルホン酸、及び144gの酢酸をこの順に窒素下で仕込んだ。反応混合物を上限を42℃として加温したが、15分間加熱すること無く反応温度を64℃にまでゆっくりと上昇させた。反応温度を62℃に低下させた後(20分後)、反応混合物を15分間に亘って還流させた。混合物を蒸発させて粗製の中間体MeO(Ph2SiO)2.5OMeを依然トリフルオロメタンスルホン酸を含む混合物として得た。
【0067】
上記残渣に、258gの1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンを添加した。この混合物を50℃に加熱した後、ポット温度を49-51℃に維持しつつ192gの酢酸をゆっくりと添加した。この添加の後、反応温度を5分間に亘って50℃に維持した。水浴を用いて温度を48-52℃に維持しつつ、前記反応混合物に163gの無水酢酸を加えた。この添加が完了した後、反応混合物を50℃乃至51℃に45分間に亘って維持した。室温まで冷却した後、反応混合物を200mlのヘプタンと共に2Lの分液漏斗に移した。有機相を6回、各回毎に50mlの水で洗った。残った有機相を蒸発させて1005gの無色の液体を得た。ジフェニルジメトキシシラン、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、及び無水酢酸を使用して、HMe2SiO(Ph2SiO)2.5SiMe2Hが調製される。
【0068】
(参照実施例3−組成物及び硬化組成物の特徴付け)
組成物を、その25℃での粘度及び25℃での587nmの光の屈折率によって特徴付けた。前記組成物をオーブン中、150℃にて、1分間に亘って加熱することにより調製される硬化シリコーン生成物を、10mmの光路長にて400nmでの透過率及びデュロメーターAもしくはD硬度によって特徴付けた。
【0069】
(参照実施例4−光放出装置の調製)
図1に示される発光ダイオード装置を以下のように調製した。GaN化合物半導体(LED)チップ2をポリフタルアミド(PPA)ケース1中に置き、電気伝導性ペーストを用いてリードフレームのインナーリード3部分にダイ接着し、次いで半導体チップを金ワイヤ4を用いてワイヤ接着した。本明細書に記載のシリコーン組成物を前記半導体チップ上に被覆し、次いでオーブン中、150℃にて、1時間に亘って硬化させて硬化シリコーン5を形成させた。
【0070】
(参照実施例5−光放出装置の信頼性試験)
透過率(%)試験のための試料を、参照実施例3に従って調製し、試料を別々に以下の条件に暴露させた:(1)ホットプレート上、260℃にて5分間に亘る加熱、(2)オーブン中、150℃にて100時間に亘る加熱、(3)相対湿度85%の下、85℃にて100時間に亘る加熱、及び(4)-40℃と100℃との間の熱サイクル500回の試験の適用、並びに(5)150℃にて1000時間に亘る加熱。試料をさらに参照実施例4に従って調製し、同様の条件に暴露させた。暴露後、封入材の外観を層間剥離、破砕、または別の変形について顕微鏡で観察した。暴露前後の透過率(%)を測定し、当初の出力値100に基づく相対出力値を得た。
【0071】
(実施例1−本発明の硬化性シリコーン組成物)
ViMe2SiO(SiMePhO)20SiMe2Vi(44.11%)、ViMe2SiO(SiMePhO)4SiMe2Vi(8.22%)、(ViMe2SiO1/2)0.15(MePhSiO2/2)0.40(PhSiO3/2)0.45(28.78%)、及びHMe2SiO(SiPh2O)2.5SiMe2H(21.89 %)の混合物を、これらの成分を混合することによって調製した。0.38部の触媒(これは90%の1,3-ジエテニル-l,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと10%のl,3-ジエテニル-l,l,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体との混合物であり、前記混合物は4.0%の白金含量を有する)、接着促進剤として(グリシドキシプロピル)トリメトキシシランを有するヒドロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)1.0部、及び硬化調整剤としてエチルシクロヘキサノール0.05部を上記混合物100部に添加することにより、透明な組成物を得た。
【0072】
(実施例2−本発明の硬化性シリコーン組成物)
ViMe2SiO(SiMePhO)44(SiMeViO)1.2SiMe2Vi、(ViMe2SiO1/2)0.25(PhSiO3/2)0.75、HMe2SiO(SiPh2O)2.5SiMe2H、及びPhSi(OSiMe2H)3の重量比40.0:31.1:27.9:1.0の混合物を、これらの成分を混合することによって調製した。0.005部の触媒(これは90%の1,3-ジエテニル-l,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと10%のl,3-ジエテニル-l,l,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体との混合物であり、前記混合物は5.0%の白金含量を有する)、接着促進剤として(グリシドキシプロピル)トリメトキシシランを有するヒドロキシ末端ポリ(メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)1.0部、及び硬化調整剤としてエチニルシクロヘキサン-1-オール0.01部を上記混合物100部に添加することにより、透明な組成物を得た。
【0073】
(実施例3−本発明の硬化性シリコーン組成物)
(ViMe2SiO1/2)0.25(PhSiO3/2)0.75、Ph2Si(OSiMe2Vi)2、PhSi(OSiMe2Vi)3、及びHMe2SiO(SiPh2O)2SiMe2Hの重量比51.5:2.5:2.5:43.5の混合物を、これらの成分を混合することによって調製した。0.01部の触媒(これは90%の1,3-ジエテニル-l,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと10%のl,3-ジエテニル-l,l,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体との混合物であり、前記混合物は5.0%の白金含量を有する)及び硬化調整剤としてエチニルシクロヘキサン-1-オール0.05部を上記混合物100部に添加することにより、透明な組成物を得た。
【0074】
(比較例1−硬化性シリコーン組成物)
ViMe2SiO(SiMePhO)20SiMe2Vi(37.54%)、ViMe2SiO(SiMePhO)4SiMe2Vi(6.11%)、(ViMe2SiO1/2)0.15(MePhSiO2/2)0.40(PhSiO3/2)0.45(43.65%)、及びPh2Si(OSiMe2H)2(12.7%)の混合物を、これらの成分を混合することによって調製した。0.006部の触媒(これは90%の1,3-ジエテニル-l,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと10%のl,3-ジエテニル-l,l,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体との混合物であり、前記混合物は4.0%の白金含量を有する)、接着促進剤としてメタクリルオキシプロピルSi(OMe)3、メタクリルオキシSi(OSiMe2H)3、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、及びHSPrSi(OMe)3の反応生成物0.86部、並びに硬化調整剤としてエチニルシクロヘキサノール0.004部を上記混合物100部に添加することにより、透明な組成物を得た。
【0075】
(比較例2−硬化性シリコーン組成物)
ViMe2SiO(SiMePhO)50SiMe2Vi、(ViMe2SiO1/2)0.25(PhSiO3/2)0.75、及びHMe2SiO(SiPh2O)4SiMe2Hの重量比44.4:36.3:19.4の混合物を、これらの成分を混合することによって調製した。0.005部の触媒(これは90%の1,3-ジエテニル-l,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと10%のl,3-ジエテニル-l,l,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体との混合物であり、前記混合物は5.0%の白金含量を有する)、接着促進剤として(グリシドキシプロピル)トリメトキシシランを有するヒドロキシ末端ポリ(メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)0.1部、及び硬化調整剤としてエチニルシクロヘキサン-1-オール0.01部を上記混合物100部に添加することにより、透明な組成物を得た。
【0076】
(比較例3−硬化性シリコーン組成物)
(ViMe2SiO1/2)0.25(PhSiO3/2)0.75、Ph2Si(OSiMe2Vi)2、及びPh2Si(OSiMe2H)2の重量比69.5:2.8:27.7の混合物を、これらの成分を混合することによって調製した。0.01部の触媒(これは90%の1,3-ジエテニル-l,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと10%のl,3-ジエテニル-l,l,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体との混合物であり、前記混合物は5.0%の白金含量を有する)及び硬化調整剤としてエチニルシクロヘキサン-1-オール0.05部を上記混合物100部に添加することにより、透明な組成物を得た。
【0077】
実施例1乃至3及び比較例1乃至3の組成物を、参照実施例3乃至5に従って評価した。結果を表1に示す。
【0078】
(実施例4)
ViMe2SiO(MePhSiO2/2)19SiMe2Vi(54.84%)、ViMe2SiO(MePhSiO2/2)75SiMe2Vi(20.72%)、(ViMe2SiO1/2)0.25(PhSiO3/2)0.75(7.28%)、(PhSiO3/2)0.4(Me2HSiO1/2)0.6(0.51%)、及びHMe2SiO(Ph2SiO2/2)2.5SiMe2H(15.48 %)の混合物を、これらの成分を混合することによって調製した。0.77部の触媒(これは99%のViMe2SiO(SiMePhO)19SiMe2Vi、0.38%の1,3-ジエテニル-l,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、及び0.62%のl,3-ジエテニル-l,l,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体との混合物であり、前記混合物は25.0%の白金含量を有する)及び硬化調整剤として99%のViMe2SiO(SiMePhO)19SiMe2Viと1%の1-エチニル-1-シクロヘキサノールとの混合物である抑制剤0.39部を上記混合物100部に添加することにより、透明な組成物を得た。この組成物を、参照実施例5の試験(5)に従って評価した。結果を表2に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【符号の説明】
【0081】
1 ケース
2 LEDチップ
3 インナーリード
4 ワイヤ
5 硬化シリコーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I) R1aR2bSiO(4-a-b)/2(式中、R1は2乃至12の炭素原子を有するアルケニル基であり、各R2は個別にメチル基またはフェニル基であり、R2の少なくとも30mol%はフェニル基であり、a及びbはa+bが1乃至2.2であり且つa/(a+b)=0.001乃至0.05であるような正の数である)に示される平均組成式を有するアルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン;
(II) HR32SiO(SiPh2O)xSiR32H(式中、Phはフェニル基を表し、各R3は個別にメチル基またはフェニル基であり、xは2乃至8の整数であり、さらにxは2乃至4の平均値を有する)に示される分子式を有するハイドロジェンジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン;及び
(III) ヒドロシリル化触媒
を含む成分を混合することによって調製される組成物。
【請求項2】
成分(I)が、以下:
【化1A】

【化1B】

【化1C】

(式中n、m、lは200未満の正の数であって、各モノマー単位の平均数を意味し;p、q、r、及びsは各モノマー単位の平均モルパーセンテージを意味する)
またはこれらの組み合わせより選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
当該組成物の重量に基づいて0.1%乃至35%の分枝状アルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
成分(II)が、HMe2SiO(SiPh2O)xSiMe2H、HMePhSiO(SiPh2O)xSiMePhH、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
(I) HaR2bSiO(4-a-b)/2(式中、各R2は個別にメチル基またはフェニル基であり、R2の少なくとも30mol%がフェニル基であり、a及びbはa+bが1乃至2.2であり且つa/(a+b)=0.001乃至0.05であるような正の数である)に示される平均組成式を有するSi-H官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン;
(II) R1R32SiO(SiPh2O)xSiR32R1(式中、Phはフェニル基を表し、各R1は個別に2乃至12の炭素原子を有するアルケニル基であり、各R3は個別にメチル基またはフェニル基であり、xは2乃至8の整数であり、さらにxは2乃至4の平均値を有する)に示される分子式を有するアルケニル官能性ジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン;及び
(III) ヒドロキシシリル触媒
を含む成分を混合することによって調製される組成物。
【請求項6】
(IV)共架橋剤、(V)接着促進剤、(VI)フィラー、(VII)処理剤、(VIII)光学活性剤、(IX)硬化調整剤、(X)レオロジー調整剤、またはこれらの混合物から選択される成分を更に含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物を硬化させることによって調製されるシリコーン生成物。
【請求項8】
i)半導体チップ、
ii)リードフレーム、
iii)リードフレームに半導体チップを接合するワイヤ、及び
iv)前記半導体チップ上に被覆された請求項7に記載のシリコーン生成物
を含む装置。
【請求項9】
前記半導体チップが光放出性である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
A部とB部とを有し、A部が、
(I)R1aR2bSiO(4-a-b)/2(式中、R1は2乃至12の炭素原子を有するアルケニル基であり、各R2は個別にメチル基またはフェニル基であり、R2の少なくとも30mol%はフェニル基であり、a及びbはa+bが1乃至2.2であり且つa/(a+b)=0.001乃至0.05であるような正の数である)に示される平均組成式を有するアルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン;
(III)ヒドロシリル化触媒、
任意に(V)接着促進剤、
任意に(VI)フィラー、
任意に(VII)処理剤、
任意に(VIII)硬化調整剤、及び
(IX)レオロジー調整剤
を含み、B部が、
任意に(I)アルケニル官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン、
(II) HR32SiO(SiPh2O)xSiR32H(式中、Phはフェニル基を表し、各R3は個別にメチル基またはフェニル基であり、xは2乃至8の整数であり、さらにxは2乃至4の平均値を有する)に示される分子式を有するハイドロジェンジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン;
任意に(IV)共架橋剤、
任意に(V)接着促進剤、
任意に(VI)フィラー、
任意に(VII)処理剤、
任意に(VIII)硬化調整剤、及び
任意に(IX)レオロジー調整剤
を含む、
複数部組成物。
【請求項11】
A部とB部とを有し、A部が、
(II) R1R32SiO(SiPh2O)xSiR32R1(式中、Phはフェニル基を表し、各R1は個別に2乃至12の炭素原子を有するアルケニル基であり、各R3は個別にメチル基またはフェニル基であり、xは2乃至8の整数であり、さらにxは2乃至4の平均値を有する)に示される分子式を有するアルケニル官能性ジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン;
(III)ヒドロシリル化触媒、
任意に(V)接着促進剤、
任意に(VI)フィラー、
任意に(VII)処理剤、
任意に(VIII)硬化調整剤、及び
(IX)レオロジー調整剤
を含み、B部が、
(I) HaR2bSiO(4-a-b)/2(式中、各R2は個別にメチル基またはフェニル基であり、R2の少なくとも30mol%がフェニル基であり、a及びbはa+bが1乃至2.2であり且つa/(a+b)=0.001乃至0.05であるような正の数である)に示される平均組成式を有するSi-H官能性フェニル含有ポリオルガノシロキサン、
任意に(II) R1R32SiO(SiPh2O)xSiR32R1(式中、Phはフェニル基を表し、各R1は個別に2乃至12の炭素原子を有するアルケニル基であり、各R3は個別にメチル基またはフェニル基であり、xは2乃至8の整数であり、さらにxは2乃至4の平均値を有する)に示される分子式を有するアルケニル官能性ジオルガノシロキシ末端オリゴジフェニルシロキサン、
任意に(IV)共架橋剤、
任意に(V)接着促進剤、
任意に(VI)フィラー、
任意に(VII)処理剤、
任意に(VIII)硬化調整剤、及び
任意に(IX)レオロジー調整剤
を含む、
複数部組成物。
【請求項12】
A部とB部とを、0.05:1乃至20:1のA部:B部重量比で混合するための指示書を更に含む、請求項10または11に記載のキット。

【図1】
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【公開番号】特開2013−100516(P2013−100516A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−279902(P2012−279902)
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2008−556343(P2008−556343)の分割
【原出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】