説明

シリコーン弾性組成物

【課題】硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の提供。
【解決手段】当該組成物は、各々独立に1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含んでなる、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)(但し前記少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)が、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機ポリシロキサン及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機ポリシロキサンを含んでなる)と、各々独立に、1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなる、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)(但し前記少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)が、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンを含んでなり、前記少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)が、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)に含まれるシリコン結合水素原子の総量の、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)に含まれる1つのシリコン結合アルケニル基に対するモル比が約1.3〜約2.2となる量で使用されている)と、充填材(C)(ポリオルガノシロキサン(A)100重量部に対して約15〜約45重量部の量)と、触媒(D)と、阻害剤を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリコーン弾性組成物、及びそれを用いて形成されるシリコーン弾性体の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン弾性体(エラストメリック有機ポリシロキサンを含む用語)は、様々な有機シロキサンオリゴマー及びポリマー及び充填材を使用して調製できる。有機シロキサン(及び充填材)及び反応条件の特定の組合せの選択は、硬化エラストマーに要求される物理的性質によって、少なくとも部分的に規定される。特定の最終用途に関しては、高い引裂強度、低い硬度を有するシリコーン弾性体による恩恵を受けることもある。
【0003】
かかるエラストメリック有機ポリシロキサンの調製に使用される調製物は流動性の液体から非流動性のゴムまでの粘性範囲で調製でき、得られるゲルは更に、2〜3軸のゴム用ロール機を使用して高レベルの剪断力下で処理することができる。しかし液体シリコーンは現在、望ましくなく高い硬度値と共に、中程度の剪断強度値を実現するに留まっている。
【0004】
従来技術では、ある特定の最終用途に必要とされる様々な特性の組合せを示すエラストメリックポリオルガノシロキサンを開示しているが、様々な所望の最終用途に適する、諸特性の組合せにより調製されたエラストマーはこれまで提供されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の発明者らは鋭意研究の結果、予想外にも、1つの具体的実施形態として、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物を見出すに至った。この硬化性、高い引裂強度、低硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物は、ポリオルガノシロキサン及び有機水素ポリシロキサンのユニークな組合せを含んでなり、ポリオルガノシロキサン及び有機水素ポリシロキサンが、直鎖状及び樹脂状のポリオルガノシロキサンを両方とも含んでなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ゆえに本発明の一実施形態では、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の提供に関する。当該組成物は、各々独立に1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含んでなる、
少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)(但し前記少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)が、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機ポリシロキサン及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機ポリシロキサンを含んでなる)と、
各々独立に、1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなる、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)(但し前記少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)が、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンを含んでなり、前記少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)が、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)に含まれるシリコン結合水素原子の総量の、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)に含まれる1つのシリコン結合アルケニル基に対するモル比が約1.3〜約2.2となる量で使用されている)と、
充填材(C)(ポリオルガノシロキサン(A)100重量部に対して約15〜約45重量部の量)と、
触媒(D)と、
阻害剤を含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
発明者らは鋭意研究の結果、本発明の一実施形態として、直鎖状及び樹状のポリオルガノシロキサン、並びに直鎖状及び樹状の有機水素ポリシロキサンを、特異的な充填材の添加量との組み合わせで調製される、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物を見出すに至った。
【0008】
本願明細書に使用する引裂強度の測定は、ASTM 引裂B法(ASTM法D−624−86に記載)により、少なくとも平均3本のバーを用いた試験により行う。「高い」引裂強度を、1インチあたり約180ポンド(ppi)超の引裂強度のレベルと定義する。
【0009】
本発明で用いる硬度は、ASTM のShoreA硬度で測定されるD−2240−86(約40未満の硬度レベルを低い硬度とする)。
【0010】
本発明で用いる用語「ポリオルガノシロキサン」及び「有機ポリシロキサン」は同義的に用いられる。
【0011】
本発明で用いる用語「有機水素ポリシロキサン」及び「ポリ有機水素シロキサン」は同義的に用いられる
【0012】
用語「センチストーク」を使用する場合、それらは全て25℃で測定されたものであることに留意すべきである。
【0013】
本願明細書に記載する全ての特異的、より特異的及び最も特異的な範囲には、その間に存在する全ての部分範囲を含むことに留意すべきである。
【0014】
特に明記しない限り、重量%と記すときは全て、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の合計量に対する重量%であることに留意すべきである。
【0015】
1つの具体的実施形態では、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)はあらゆる公知の若しくは市販されている有機ポリシロキサンであってもよく、但し、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)は各々独立に1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含んでなり、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)は、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機ポリシロキサン及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機ポリシロキサンを含んでなる。
【0016】
更に更なる実施形態では、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)の有機基は、共通にかかるポリマーと結合するいかなる有機基であってもよく、限定されないが、通常、1〜約8個の炭素原子のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル基)、シクロアルキル基(例えばシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基)、単環の芳香属炭化水素基(例えばフェニル、メチルフェニル、エチルフェニル基)、アルケニル基(例えばビニル及びアリル基)及びハロアルキル基(例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基)から選択してもよい。より具体的な実施形態では、当該有機基は、1〜8の炭素原子数のアルキル基であって、最も好適にはメチル基である。更に更に他の具体的実施形態では、当該有機基はメチル基及び/又はフェニル基を含んでなる。
【0017】
本発明の1つの具体的実施形態では、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)は、直鎖状ポリオルガノシロキサン、分岐状ポリオルガノシロキサン及び三次元網状結合ポリオルガノシロキサンの反応生成物を含んでなり、但し少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)が各々、1分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を含んでなる。
【0018】
本願明細書に他の具体的実施形態では、少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(A)は更に、少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(分子につき独立に少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含む)、及び少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機ポリシロキサン、及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機ポリシロキサンに加えて、直鎖状ポリオルガノシロキサン、分岐状ポリオルガノシロキサン、環状の有機ポリシロキサン、三次元網状結合ポリオルガノシロキサン、樹状のポリオルガノシロキサン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される非アルケニル含有ポリオルガノシロキサンを含んでなってもよく、各ポリオルガノシロキサンはいかなるアルケニル基も含まない。本発明の1つの具体的実施形態では、上記のあらゆるアルケニル基不含有ポリオルガノシロキサンの量は、本願明細書に記載されている硬化性ヒステリシスシリコーンゲル調製用組成物の合計量に対して約5重量%未満の量で存在するのが好適である。
【0019】
1つの具体的実施形態では、直鎖状ポリオルガノシロキサンは、実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンとして定義され、分子鎖端末でトリオルガノシロキシル基(M単位)により終了してもよく、また基本的にジオルガノシロキサン単位(D単位)の繰り返しからなる分子主鎖を有してもよく、式中、M=RSiO1/2、及びD=RSiO1/2であり、R、R、R、R及びRは、1〜約60の炭素原子数の一価の炭化水素基、2〜10の炭素原子数の不飽和の一価の炭化水素基、及びそれらの組み合わせからなる群から独立に選択され、但し、少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(A)は1分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を含んでなる。1つの具体的実施形態では、本明細書で用いられる実質的に直鎖状ポリオルガノシロキサンは、実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンの重量に対して、好適には約30重量%未満、より好適には約20重量%未満、最も好適には約10重量%未満のT及び/又はQ単位を含むポリオルガノシロキサンであり、式中、T=RSiO3/2、及びQ=SiO4/2であり、Rは1〜約60の炭素原子数の一価の炭化水素基、2〜10の炭素原子数の不飽和の一価の炭化水素基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、但し、少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(A)は1分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を含んでなる。
【0020】
1つの具体的実施形態では、実質的に直鎖状ポリオルガノシロキサンは液体となり、実質的に樹状のポリオルガノシロキサンは固体となるが、但し、実質的に直鎖状ポリオルガノシロキサンは固体ではなく、また実質的に樹状のポリオルガノシロキサンは液体ではない。更に別の実施形態では、実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン及び実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンは、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)に関して上記した直鎖状及び樹状のそれと同様に定義される。
【0021】
他の具体的実施形態では、分岐状ポリオルガノシロキサンは、直鎖状ポリオルガノシロキサンとして定義されるが、但し直鎖状ポリオルガノシロキサンが分岐シリコーン鎖を含んでなり、それは幾つかのT及び/又はQ官能基を有するためにポリオルガノシロキサンを必要とし、T及びQは上記の実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンの場合と同様に定義されるが、T及び/又はQ官能基は、分岐状ポリオルガノシロキサンが三次元網状結合を形成する程度ではなく、分岐状ポリオルガノシロキサンは幾つかのT及び/又はQ官能基と共に過剰なD官能基を有して分岐状シリコーン鎖を形成することを必要とし、Dは上記の定義の通りである。
【0022】
他の具体的実施形態では、環状有機水素ポリシロキサンは好適には約3〜約10個のケイ素原子、及びより好適には約3〜約6個のケイ素原子を含む環状構造として定義され、更に好適には、環状有機水素ポリシロキサンはD、D及びDからなる群から選択される式で表され、Dは上記と同様に定義される。
【0023】
他の具体的実施形態では、三次元網状結合ポリオルガノシロキサンは、考えられるあらゆる組合せのM、D、T及びQ単位の反応生成物として定義され、M、D、T及びQは上記の定義と同様であり、但し三次元網状結合の有機ポリシロキサン(A)は1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含んでなり、及び少なくとも1つのT及び/又はQ単位との組み合わせで少なくとも1つのD単位を含んでなり、T、D及びQは上記の定義と同様である。
【0024】
1つの具体的実施形態では、三次元網状結合ポリオルガノシロキサン(A)は上記実質的に樹状のポリオルガノシロキサンと同様に定義され、更に、実質的に樹状のポリオルガノシロキサンの重量に対して、好適には約30重量%未満、より好適には約40重量%未満、最も好適には50重量%のT及び/又はQ単位を含んでなり、T及びQ単位は上記の定義と同様であり、但し実質的に樹状のポリオルガノシロキサンは1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含んでなる。
【0025】
1つの具体的な実施形態では、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機ポリシロキサン、及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機ポリシロキサンは、好適には約10〜約1,000,000、より好適には約25〜約500,000、最も好適には約100,000センチポアズの粘性を有し、以下の式で表され:
vivivi
式中、M=RSiO1/2、Mvi=R101112SiO1/2、D=R1314SiO2/2、T=R17SiO3/2、Tvi=R18SiO3/2、及びQ=SiO2/2であり、式中、R、R、R、R13、R14及びR17は独立に1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、R10は2〜10の炭素原子数の一価の不飽和炭化水素基であり、R11及びR12は独立に1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、R15は2〜10の炭素原子数の一価の不飽和炭化水素基であり、R16は1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、R17は2〜10の炭素原子数の一価の不飽和炭化水素基であり、化学量論を示す下付文字a、b、c、d、e、f及びgはゼロ又は正の数であり、cは10超であり、dは0〜約20であり、d=0のときb=2であり、b=0〜2であり、但しb=0のときd=2であり、b+dは2〜約20であり、b=1のときa=1であり、a+b≧2であり、実質的に直鎖状の有機ポリシロキサンでは、e+f+g>0のとき、a+b+c+d>e+f+gであり、実質的に樹状の有機ポリシロキサンでは、e+f+g>0のとき、a+b+c+d<e+f+gであり、有機ポリシロキサン(A)は1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含んでなる。
【0026】
本発明の1つの具体的実施形態では、少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(A)は上記の直鎖状ポリオルガノシロキサンを含んでなり、前記直鎖状ポリオルガノシロキサンは、以下の表Aから選択される少なくとも1つの直鎖状ポリオルガノシロキサンであり、及び単位M、Mvi、D及びDviは、上記の式Mviviviと同様に定義され、D(Ph)はDと同様に定義され、但しR13及び/又はR14がフェニル基を含有する。本発明におけるビニル基のパーセンテージは、特定の有機ポリシロキサンの合計量に対するビニル基の含量重量%であることが理解されよう。
【0027】
表A:
【表1】

本発明の1つの具体的実施形態では、少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(A)は、上記の実質的に樹状のポリオルガノシロキサンを含んでなってもよく、前記実質的に樹状のポリオルガノシロキサンは以下の表Bから選択される少なくとも1つの樹状のポリオルガノシロキサンであり、単位M、Mvi,Dvi及びQは、上記の式Mviviviに関する定義と同様である。
【0028】
表B:
【表2】

【0029】
1つの具体的な実施形態では、少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(A)の各々に含まれる1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基は、少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(A)の末端の位置、及び/又は当該末端の位置の間に位置しうることが理解され、但し、少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(A)は各々少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含んでなる。他の具体的実施形態では、本明細書で用いられるアルケニル基とは、基あたり2〜約12の炭素原子を含んでなり、基あたり2個の炭素原子間の二重結合を少なくとも1つ有する、直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基を意味する。更なる具体的実施形態では、アルケニル基の非限定的な例としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
1つの具体的実施形態では、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)として適切な化合物(各々独立に1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含む)は、ビニル基、プロペニル基、及びブテニル基を含有するポリオルガノシロキサン及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
一実施形態では、少なくとも2つの当該シリコン結合アルケニル基は、1〜約6個の炭素原子を含んでなる。他の実施形態では、少なくとも2つの当該シリコン結合アルケニル基はビニル基である。
【0032】
本願明細書に他の具体的実施形態では、実質的に樹状の有機ポリシロキサンの使用により、本願明細書に記載されている硬化性、高い引裂強度、及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物に含まれるシリコン結合アルケニル基の大部分が付与される。
【0033】
他の具体的な実施形態では、実質的に樹状の有機ポリシロキサンは、本願明細書に記載されている硬化性、高い引裂強度、及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物に含まれるシリコン結合アルケニル基の合計重量に対して、好適には約70〜約95重量%、より好適には約75〜約90重量%、最も好適には約80〜約85重量%で含まれる。
【0034】
本願明細書に他の具体的実施形態では、実質的に直鎖状の有機ポリシロキサンの使用により、本願明細書に記載されている硬化性、高い引裂強度、及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物に含まれるシリコン結合アルケニル基の大部分が付与される。他の具体的な実施形態では、実質的に直鎖状の有機ポリシロキサンは、本願明細書に記載されている硬化性、高い引裂強度、及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物に含まれるシリコン結合アルケニル基の合計重量に対して、好適には約5〜約30重量%、より好適には約10〜約25重量%、最も好適には約15〜約20重量%で含まれる。
【0035】
本発明の更に他の具体的実施形態では、実質的に直鎖状の有機ポリシロキサンの量は、硬化性、高い引裂強度、及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の合計重量に対して、好適には約55〜約85重量%、より好適には約60〜約80重量%、最も好適には約65〜約75重量%の量で含まれる。
【0036】
本発明の更に他の具体的実施形態では、実質的に樹状の有機ポリシロキサンの量は、硬化性、高い引裂強度、及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の合計重量に対して、好適には約0.5〜約5重量%、より好適には約1〜約3重量%、最も好適には約1.5〜約2.5重量%の量で含まれる。
【0037】
更に更なる実施形態では、実質的に直鎖状ポリオルガノシロキサン及び樹状のポリオルガノシロキサンのあらゆる組合せを用いて、得られる硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体を所望の物理的特性にすることができ、但し、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)は各々、1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含み、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)は、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機ポリシロキサン及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機ポリシロキサンを含んでなる。
【0038】
少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)及び少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)を架橋させ、2次元又は3次元構造を有する硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物を形成させるために、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)の各々における少なくとも2つのシリコン結合水素、並びに少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)の各々における少なくとも2つのアルケニル基が必要となる。硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体の形成は、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物による2次元又は3次元の架橋シリコーンポリマーネットワークの存在を必要とすることが理解できる。
【0039】
1つの具体的な実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は公知の若しくは市販されている有機水素ポリシロキサンであってもよく、但し、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は各々独立に、1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなり、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンを含んでなる。本願明細書に更なる具体的実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)の各々は不飽和脂肪族基が実質的に存在しない。
【0040】
1つの具体的な実施形態では、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンは各々、25℃で、好適には約0.1〜約2000、より好適には約0.5〜約1000、最も好適には約1〜約500センチポアズの粘性を有する。
【0041】
他の具体的実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)の有機基は、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)に関して上記したいかなる有機基であってもよい。更に更に他の具体的実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)の有機基はメチル基及び/又はフェニル基を含んでなる。
【0042】
本発明の1つの具体的実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は、直鎖状有機水素ポリシロキサン、分岐状有機水素ポリシロキサン及び三次元網状結合有機水素ポリシロキサンの反応生成物を含んでなり、少なくとも但し、2つの有機水素ポリシロキサン(B)は1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなる。
【0043】
1つの具体的実施形態では、直鎖状有機水素ポリシロキサンは実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンとして定義され、分子鎖端末でM単位により終了してもよく、基本的にD単位の繰り返しからなる分子主鎖を有してもよく、M=R192021SiO1/2であり、及びD=R2223SiO1/2であり、R19、R20、R21、R22及びR23は、1〜約60の炭素原子数の一価の炭化水素基、水素原子、及びそれらの組み合わせからなる群から独立に選択され、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなる。本発明の他の具体的実施形態では、実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンは、以下の特徴を有する有機水素ポリシロキサンである:実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンの重量に対して、好適には約30重量%未満、より好適には約20重量%未満、最も好適には約10重量%未満のT及び/又はQ単位を含んでなり、T=R24SiO3/2及びQ=SiO4/2であり、R24が1〜約60の炭素原子数の一価の炭化水素基、水素原子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、但し実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン(B)は1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなる。
【0044】
他の具体的実施形態では、分岐状有機水素ポリシロキサンは、直鎖状有機水素ポリシロキサンとして定義され、但し直鎖状有機水素ポリシロキサンが分岐シリコーン鎖を含んでなり、有機水素ポリシロキサン(B)は幾つかのT及び/又はQ官能基を有することを必要とし、T及び/又はQは上記の直鎖状有機水素ポリシロキサンと同様に定義され、但し分岐状の有機水素ポリシロキサンが三次元網状結合を形成するのに充分な程度のT及び/又はQ官能基ではなく、更に、分岐状有機水素ポリシロキサンは幾つかのT及び/又はQ官能基と共に過剰なD官能基を有して分岐状シリコーン鎖を形成することを必要とし、Dは上記直鎖状有機水素ポリシロキサンと同様に定義される。
【0045】
他の具体的実施形態では、環状有機水素ポリシロキサンは好適には約3〜約10個のケイ素原子、及びより好適には約3〜約6個のケイ素原子を含む環状構造として定義され、更に好適には、環状有機水素ポリシロキサンはD、D、D及びDからなる群から選択される式で表され、D=R2526SiO1/2であり、式中、R25及びR26は独立に1〜60個の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、但し当該環状有機水素ポリシロキサンは1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなる。
【0046】
他の具体的実施形態では、三次元網状結合有機水素ポリシロキサンは、M、D、T及びQ単位の考えられるあらゆる組合せの反応生成物として定義され、M、D、T及びQは上記実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンと同様に定義され、但し三次元網状結合有機水素ポリシロキサンは1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなり、少なくとも1つのT及び/又はQ単位との組み合わせで少なくとも1つのD単位を含んでなり、T、D及びQは上記直鎖状の有機水素ポリシロキサン(B)と同様に定義される。
【0047】
本発明の1つの具体的な実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は、上記の三次元網状結合有機水素ポリシロキサン(B)と同様に定義される、実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンを含んでなってもよいことに留意すべきであり、実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンの重量に対して、好適には約30重量%未満、より好適には約40重量%未満、最も好適には50重量%未満のT及び/又はQ単位を含んでなり、T及びQ単位は上記直鎖状有機水素ポリシロキサン(B)と同様に定義され、但し有機水素ポリシロキサン(B)は1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなる。
【0048】
1つの具体的実施形態では、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の提供に関する。詳細には、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンの各々は以下の式で表され:

式中、M=R272829SiO1/2、M=R3031HSiO1/2、D=R3233SiO2/2、D=R34HSiO2/2、T=R35SiO3/2、T=HSiO3/2及びQ=SiO4/2であり、R27,R28、R29、R32、R33及びR35は独立に1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、実質的に不飽和脂肪族を含まず、R30、R31及びR34は独立に1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基又は水素であって、実質的に不飽和脂肪族を含まず、化学量論を示す下付文字h、i、j、k、L、m及びnは0又は正の数であり、Jは0超であり、kは0〜約20であり、k=0のときi=2であり、hは0〜約2であり、更に、i+kが2〜約20であり、i=1のときh=1であり、h+i≧2であり、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンにおいて、L+m+n>0のとき、h+i+j+k>L+m+nであり、少なくとも1つの実質的に樹脂の有機水素ポリシロキサンにおいて、L+m+n>0のとき、L+m+n>h+i+j+kであり、及び少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)の各々は、1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなる。
【0049】
他の具体的実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)の各々に含まれる少なくとも2つのシリコン結合水素原子は、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)の末端位置、及び/又は当該末端位置の間に位置されてもよいことが理解され、但し、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)の各々は、1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を有する。
【0050】
本発明の1つの具体的実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は、上記の直鎖状有機水素ポリシロキサンを含んでなってもよく、前記直鎖状有機水素ポリシロキサンは以下の表Cから選択される少なくとも1つの直鎖状有機水素ポリシロキサンであり、単位M、M、D及びDは、上記の式Mと同様に定義される。水素化物の重量%は特定の有機水素ポリシロキサンの重量に対する数値であることが理解されよう。
【0051】
表C
【表3】

【0052】
本発明の他の具体的実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は上記の実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンを含んでなってもよく、前記実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンは、以下の表Dから選択される少なくとも1つの樹状有機水素ポリシロキサンであり、及び単位M、M、T及びQは、式Mと同様に定義される。
【0053】
表D
【表4】

【0054】
更に他の具体的実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)に含まれる少なくとも2つのシリコン結合水素原子は、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)の末端位置、及び/又は当該各末端位置の間に位置してもよいことが理解され、但し、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなる。
【0055】
本発明の一実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は、同じ又は異なる、本発明に係る実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンを2つ以上を含んでなってもよい。本発明の他の具体的実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は、同じ又は異なる、本発明に係る実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンを2つ以上を含んでなってもよい。
【0056】
更なる具体的実施形態では、実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン及び実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンのあらゆる組合せを用いて、得られる硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体の物理的性質を適宜調節することができ、但し少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は各々1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含み、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機ポリシロキサン及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンを含む。
【0057】
他の具体的実施形態では、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)及び少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は、望ましい硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン組成物及び/又は望ましい硬化性、高い引裂強度及び低い硬度シリコーン弾性体を提供するのに充分な量で用いる。
【0058】
1つの具体的な実施形態では、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)に含まれるシリコン結合水素原子の、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)に含まれる1つのシリコン結合アルケニル基に対するモル比が、好適には約1.3〜約2.2、より好適には約1.4〜約2.0、最も好適には約1.5〜約1.8となる量で用いられる。
【0059】
1つの具体的な実施形態では、本明細書で用いられる「シリコン結合水素原子の量」とは、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)に含まれる個々の分子中の、Si−H結合の数学的な合計個数のことを指す。
【0060】
本発明の他の具体的実施形態では、実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンは、本発明に係る硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物中の、シリコン結合水素原子の大多数の量を付与する。他の具体的な実施形態では、実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンは、本願明細書に記載されている硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物に含まれるシリコン結合水素原子の合計量に対して、好適には約65〜約85重量%、より好適には約68〜約82重量%、最も好適には約70〜約80重量%の量で含まれる。
【0061】
本発明の他の具体的実施形態では、実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンは、本願明細書に記載されている硬化性、高い引裂強度及び低い硬度シリコーン弾性体調製用組成物中のシリコン結合水素原子の少数の量を付与する。他の具体的な実施形態では、実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンは、本願明細書に記載されている硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物に含まれるシリコン結合水素原子の合計量に対して、好適には約15〜約35重量部、より好適には約18〜約32重量部、最も好適には約20〜約30重量部の量で含まれる。
【0062】
本発明の更に他の具体的実施形態では、実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンは、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の合計重量に対して、好適には約0.5〜約5重量%、より好適には約0.7〜約3.5重量%、最も好適には約1.0〜約2.0重量%の量で含まれる。
【0063】
本発明の更に他の具体的実施形態では、実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンは、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度シリコーン弾性体調製用組成物の合計重量に対して、好適には約0.5〜約7重量%、より好適には約1〜約4重量%、最も好適には約1.5〜約2.5重量%の量で含まれる。
【0064】
1つの具体的実施形態では、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)及び少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は、望ましい硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物、並びに/又は望ましい高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体を提供しうる量において用いられる。
【0065】
他の具体的実施形態では、充填材(C)には、公知若しくは又は市販の充填材を使用してもよい。更なる具体的実施形態では、充填材(C)は通常シリコーンゴム又は他の多くのゴムの製造に用いられる成分であって、硬化性シリコーンゴムに物理的・機械的強度を付与するものである。一実施形態では、充填材(C)は、シリカ、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、チタニア、アルミナ、粘土、ウォラストナイトクォーツなど、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるいかなる充填材であってもよく、それらに限定されない。1つの具体的実施形態では、ヒュームドシリカ及びカーボンブラックが補強充填剤の非限定的な例である。本願明細書に他の具体的実施形態では、半補強充填剤(例えば限定されないが沈殿シリカ、処理済クレー及び処理済ウォラストナイト)を用いる。本発明の他の具体的実施形態では、シリカ、チタニア、アルミナ、粘土及びクォーツが、伸長性の充填材の若干の非限定的な例である。本発明の1つの具体的実施形態では、充填材(C)は、本願明細書に記載されている補強充填剤及び任意に他のあらゆる充填材も含んでなってもよい。本発明の1つの具体的実施形態では、ヒュームドシリカは市販のヒュームドシリカであってもよい。
【0066】
本発明の一実施形態では、充填材(C)は、硬度を制御すると同時に、所望の物理的強度を付与する量において添加される。
【0067】
本発明の一実施形態では、充填材(C)は、所望の物理的強度を与える量において添加される。1つの具体的実施形態では、充填材(C)は、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の合計量に対して、好適には15〜約30重量%、より好適には約18〜約28重量%、最も好適には約20〜約25重量%の量で用いる。
【0068】
1つの具体的実施形態では、充填材(C)は、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)の100重量部に対して、好適には約18〜約45重量部、より好適には約24〜約43重量部、最も好適には約28〜約35重量部の量で用いられる。
【0069】
本発明の1つの具体的実施形態は、異なる2つ以上の充填材を含んでなり、更にそれらの充填材が処理済み若しくは未処理であってもよい充填材(C)の提供に関する。
【0070】
本発明の1つの具体的実施形態では、充填材は、好適には約30ミクロン〜約400m/g、より好適には約5ミクロン〜約300m/g、最も好適には約50m/g〜約200のm/gの表面積を有してもよい。他の具体的実施形態では、充填材は、好適には約5nm〜約200nm、より好適には約7nm〜約100nm、最も好適には約10nm〜約50nmの粒度(平均直径)を有してもよい。
【0071】
更に他の具体的実施形態では、触媒(D)はいかなる公知の若しくは市販の触媒であってもよく、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)と少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(A)の付加反応によって生じる硬化を促進するものである。1つの具体的実施形態では、触媒(D)は少なくとも1つのVIII B族触媒である。他の具体的実施形態では、触媒(D)は白金触媒である。更に更なる実施態様において、非白金触媒の例としては、限定されないがプラチナブラック、クロロ白金酸、クロロ白金酸のアルコール修飾生成物、並びにオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレンアルコールとクロロ白金酸との錯体、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。他の具体的実施形態では、触媒(D)はパラジウム触媒であり、非限定的な例としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが挙げられる。更に他の具体的実施形態では、触媒(D)はロジウム触媒であり、非限定的な例としてロジウム−オレフィン錯体及びクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムが挙げられる。一実施形態では、触媒(D)はいわゆる触媒的有効量で添加することができ、所望の硬化速度に応じて適宜調節することができる。1つの具体的実施形態では、触媒(D)は、好適には約3ppm〜約30ppm、より好適には約5つ〜約20ppm、最も好適には約10〜約15ppmの量で使用できる。一実施形態では、触媒(d)の量は、本願明細書に記載されている高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物中に存在する金属白金の総量に相当する。
【0072】
本発明の1つの具体的実施形態では、異なる2つ以上の触媒を含んでもよい触媒(D)の提供に関する。
【0073】
これまでに更に別の具体的実施形態では、阻害剤(E)はいかなる公知の若しくは市販されている阻害剤であってもよく、それは成分(A)(B)(C)及び(D)の硬化時間を適切に制御し、硬化性ヒステリシスシリコーンゲル調製用組成物の実際の使用を可能にする。1つの具体的実施形態では、阻害剤(E)は不飽和脂肪族化合物を含有してもよい。他の具体的実施形態では、阻害剤(E)は不飽和脂肪族化合物を含有しない。更に更なる実施態様において、阻害剤(E)の非限定的な例としては、ジアリルマレエート、D−4ビニル−2−メチル−3−ブテン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキセン−3−オール及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。1つの具体的実施形態では、阻害剤(E)は、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の合計重量に対して、好適には約0.01〜約0.2重量部、より好適には約0.015〜約0.15重量部、最も好適には約0.02〜約0.06重量部の量で用いられる
【0074】
本発明の1つの具体的実施形態では、異なる2つ以上の阻害剤を含有してもよい阻害剤(E)の提供に関する。
【0075】
本発明の1つの具体的実施形態では、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の提供に関し、詳細には、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)は、
実質的に直鎖状のビニル有機ポリシロキサン(A−i)(25℃で約50,000〜約80,000センチポアズの粘性を有し、約45〜約50重量%の量で存在する)と、
実質的に直鎖状のビニル有機ポリシロキサン(A−ii)(25℃で約20,000〜約45,000センチポアズの粘性を有し、約20〜約25重量%の量で存在する)と、
実質的に樹状のビニル有機ポリシロキサン(A−iii)(25℃で約15〜約250センチポアズからの粘性を有し、約1.5〜約2.5重量%の量で存在する)との組み合わせであり、
少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は、
実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン(B−i)((B−i)は分子内に末端シリコン結合水素原子基、及び/又は、末端シリコン結合水素原子基以外の付加的なシリコン結合水素原子を有し、25℃でで約15〜約100センチポアズの粘性を有し、約0.5〜約1重量%の量で存在する)と、
実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン(B−ii)(分子内に末端基シリコン結合水素原子のみであるシリコン結合水素原子を含んでなり、25℃で1〜約10センチポアズの粘性を有し、約0.5〜約1重量%の量で存在する)と、
実質的に樹状の有機水素ポリシロキサン(B−iii)(25℃で約15〜約60センチポアズの粘性を有し、約1.5〜約2.5重量%の量で存在する)の組み合わせであり、
充填材(C)は約200〜約350m/gの表面積を有するヒュームドシリカであり、前記ヒュームドシリカがシランで処理されており、
充填材(C)は約20〜約25重量%の量で存在し、触媒(D)は白金触媒であり、触媒(D)が約5ppm〜約30ppmの量で存在し、
阻害剤(E)は1−エチニル−1−シクロヘキサノールであり、阻害剤(E)は約0.02〜約0.06重量%の量で存在する(全ての重量%は、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の合計重量に対する数値である)。
【0076】
本発明の一実施形態では、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物は、従来公知の方法で調製することができる。1つの具体的な方法では、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の成分(A)から(E)は、1つの反応容器内で溶融させ、熱及び圧力によって更に硬化させることができる。他の1つの実施形態では、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の成分(A)から(E)は、従来公知の方法で、2つの混合システムで調製し、更に熱及び圧力によって硬化させることができる。
【0077】
本発明の他の具体的実施形態では、本願明細書に記載されている硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の重合から得られる、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体の提供に関する。更に他の具体的実施形態では、高い引裂強度、低い硬度を有するシリコーン弾性体は、液体状の射出成形可能なシリコーン弾性体である。
【0078】
1つの具体的実施形態では、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の硬化(又は架橋)は、添加硬化、凝結硬化及びそれらの組み合わせからなる群から選択される方法により実施できることに留意すべきである。
【0079】
本発明の1つの具体的実施形態では、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体は、好適には少なくとも約180ppiのtearB値、及び約40未満未満のShoreA硬度、より好適には少なくとも約200ppiのtearB値、及び約35未満未満のShoreA硬度、最も好適には少なくとも約220ppiのtearB値、及び約33未満未満のShoreA硬度を示す。
【0080】
本発明の1つの具体的実施形態では、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体は、高い引裂強度及び低い硬度を有する弾性体を必要とする様々な用途に好適に使用できる。1つの具体的な実施形態では、かかる用途の若干の非限定的な例として、睡眠時無呼吸用のマスク、針を用いない静脈注射用具、臑動ポンプ膜、靴の中敷及びカテーテルバルーンからなる群から選択される。
【0081】
下記の実施例において、本発明を即時使用する際の態様を例示する。ただしそれらは、本発明の範囲をその実施態様に限定するために開示するものではない。
【実施例】
【0082】
下記の実施例は、1つの反応容器中で成分(A)から(E)の全てを溶融し、加熱及び圧力下で硬化させることによって調製した。
【0083】
実施例を以下に記す:
M=RSiO1/2
=RHSiO1/2
vi=RSiO1/2
D=RSiO2/2
=RHSiO2/2
vi=RSiO2/2
D(Ph)=RSiO2/2
T=RSiO3/2
=HSiO3/2
vi=RSiO3/2及び
Q=SiO2/2
式中、R、R、R、R、R及びRは独立に、1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、R、R及びRは独立に、1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基又は水素であって、不飽和脂肪族基を実質的に含まず、Rは2〜10の炭素原子数の一価の不飽和炭化水素基であり、R及びRは独立に、1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、Rは2〜10の炭素原子数の一価の不飽和炭化水素基であり、Rは1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、Rは2〜10の炭素原子数の一価の不飽和炭化水素基である。
【0084】
1つの具体的な調製物の結果を以下に示す。
調製物の実施例:
【0085】
少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)は、表Aにて説明した25℃で65,000センチポアズの粘性を有するビニル重合体と、表Aにて説明した25℃で35,000センチポアズの粘性を有する他のビニル重合体と、並びに表Bにて説明した25℃で80センチポアズの粘性及び18.5重量%のビニル含量を有するビニル樹脂からなり、それにより15〜約150センチポアズの粘性を有する樹脂を調製した。
【0086】
少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)は、上記表Cにて説明した、鎖上に複数のSi−H基を有し、30センチポアズの粘性を有し、0.4の水素化物含有量を有する直鎖状水素化物と、Si−Hのみの末端を有し、25℃で2センチポアズの粘性を有し、上記表Cにて説明した、0.346の水素化物含有量の他の直鎖状水素化物と、18センチポアズの粘性を有し、表Dにて説明した0.9の水素化物含有量の水素化樹脂からなる。
【0087】
充填材Cは300m/gの表面積を有する市販のヒュームドシリカであり、製造時にヘキサメチルジシラザン(HMDZ)でin situ処理されたものであった。
【0088】
触媒(D)は高濃度のKarsteadの触媒とし、阻害剤(E)は1−エチニル−1−シクロヘキサノール(ECH)とした。
【0089】
本発明では、本願明細書に記載されている硬化性ヒステリシスシリコーンゲル調製用組成物の合計重量に対して、本願明細書に記載されている各成分に関して、その成分の総重量部の合計に対する比率を算出し、それを全ての成分の総重量部の合計で除算し、この比率と100を乗算してその成分の重量%を得ることにより、重量部を重量%に変換できることに留意すべきである。
【0090】
標準的なASTMシートを、176.6℃で成形した。引裂強度はASTM TearB法に従って試験し、平均少なくとも3本の引裂バーを用いたデータとして算出した。ShoreA硬度として硬度を測定した。
【0091】
全てのバッチは、従来の弾性体と同様、約1,000psiの引裂強度、及び約750%の伸長度の優れた物理的性質を示した。
【0092】
LIM6030の典型的なtearB及び硬度値(標準的な40 Duro GE液体シリコーンゴム)を比較例として含めた。
【0093】
表1:
【表5】

【0094】
表1の上記したバッチは、異なる器材を用い、異なる時間に調製した材料であるが、但し同じ組成とした。これを用いて、調製物の強度を試験した。本実施例における、本願明細書に記載の調製物は、最高の引裂強度特性を有する調製物であった。
【0095】
主要な実施例を、(A)に対する(B)の比率が1.58のものとした。
【0096】
上記の通り、この調製物の使用により、35未満のShoreA硬度で、現在市販されているシリコーン弾性体より顕著に高い引裂強度(200ppi超)を有するシリコーンゴムの調製が可能となった。様々なタイプのビニル化及び水素化シリコーン流体を組み合わせる概念は、材料の柔軟性を犠牲にすることなく、シリコーン弾性体の引裂強度を改良するのに有用であることが明らかとなった。
【0097】
主要な実施例では、表2にて説明したように以下の成分を用いた。
【0098】
表2:
【表6】

【0099】
以上の説明には多くの詳細が含まれているが、それらは単に本発明の特定の実施態様を例示するものに過ぎず、これらの詳細に限定されるものと解釈すべきでない。当業者であれば、本願明細書に添付の特許請求の範囲に記載の範囲内で、多くの他の実施態様を想起するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物であって、各々独立に1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含んでなる、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)(但し前記少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)が、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機ポリシロキサン及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機ポリシロキサンを含んでなる)と、
各々独立に、1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなる、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)(但し前記少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)が、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンを含んでなり、前記少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)が、少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)に含まれるシリコン結合水素原子の総量の、少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)に含まれる1つのシリコン結合アルケニル基に対するモル比が約1.3〜約2.2となる量で使用されている)と、
充填材(C)(ポリオルガノシロキサン(A)100重量部に対して約15〜約45重量部の量)と、
触媒(D)と、
阻害剤(E)を含んでなり、
(A)から(E)の混合物により構成される、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項2】
少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)が直鎖状ポリオルガノシロキサン、分岐状ポリオルガノシロキサン及び三次元網状結合ポリオルガノシロキサンの反応生成物を含んでなる、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度シリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項3】
少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(A)が更に、少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(分子につき独立に少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含む)、及び少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機ポリシロキサン、及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機ポリシロキサンに加えて、直鎖状ポリオルガノシロキサン、分岐状ポリオルガノシロキサン、環状の有機ポリシロキサン、三次元網状結合ポリオルガノシロキサン、樹状のポリオルガノシロキサン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される非アルケニル含有ポリオルガノシロキサンを含んでなってもよく、各ポリオルガノシロキサンがいかなるアルケニル基も含まない、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度シリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項4】
実質的に直鎖状ポリオルガノシロキサンがポリオルガノシロキサンであり、約30重量%未満のT及び/又はQ単位を含んでなり、T=RSiO3/2及びQ=SiO4/2であり、Rが1〜約60の炭素原子数の一価の炭化水素基、2〜10の炭素原子数の不飽和の一価の炭化水素基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度シリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項5】
実質的に樹状のポリオルガノシロキサンがポリオルガノシロキサンであり、約30重量%未満のT及び/又はQ単位を含んでなり、T=RSiO3/2及びQ=SiO4/2であり、Rが1〜約60の炭素原子数の一価の炭化水素基、2〜10の炭素原子数の不飽和の一価の炭化水素基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度シリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機ポリシロキサン、及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機ポリシロキサンが約10〜約1,000,000センチポアズの粘性を有し、以下の式で表され:
vivivi
式中、M=RSiO1/2、Mvi=R101112SiO1/2、D=R1314SiO2/2、Dvi=R1516SiO2/2、T=R17SiO3/2、Tvi=R18SiO3/2及びQ=SiO2/2であり、式中、R、R、R、R13、R14及びR17は独立に1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、R10は2〜10の炭素原子数の一価の不飽和炭化水素基であり、R11及びR12は独立に1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、R15は2〜10の炭素原子数の一価の不飽和炭化水素基であり、R16は1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、R17は2〜10の炭素原子数の一価の不飽和炭化水素基であり、化学量論を示す下付文字a、b、c、d、e、f及びgはゼロ又は正の数であり、cは10超であり、dは0〜約20であり、d=0のときb=2であり、b=0〜2であり、但しb=0のときd=2であり、b+dは2〜約20であり、b=1のときa=1であり、a+b≧2であり、実質的に直鎖状の有機ポリシロキサンでは、e+f+g>0のとき、a+b+c+d>e+f+gであり、実質的に樹状の有機ポリシロキサンでは、e+f+g>0のとき、a+b+c+d<e+f+gであり、有機ポリシロキサン(A)が1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を含んでなる、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度シリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項7】
少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基が1〜約6個の炭素原子を含んでなる、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項8】
少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基がビニル基である、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項9】
少なくとも2つのポリオルガノシロキサン(A)の有機基がメチル基及び/又はフェニル基を含んでなる、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度、低い硬度シリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項10】
少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)が、直鎖状有機水素ポリシロキサン、分岐状有機水素ポリシロキサン、環状有機水素ポリシロキサン及び3次元のネットワーク有機水素ポリシロキサンの反応生成物を含んでなる、請求項1記載の硬化性高い引裂強度低い硬度シリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項11】
実質的に直鎖有機状の水素ポリシロキサンが、約30重量%未満のT及び/又はQ単位を含有する有機水素ポリシロキサンであり、T=R24SiO3/2及びQ=SiO4/2であり、R24が1〜約60の炭素原子数の一価の炭化水素基、2〜10の炭素原子数の不飽和の一価の炭化水素基及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項12】
実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンが、約30重量%未満のT及び/又はQ単位を含有する有機水素ポリシロキサンであり、T=R24SiO3/2及びQ=SiO4/2であり、R24が1〜約60の炭素原子数の一価の炭化水素基、2〜10の炭素原子数の不飽和の一価の炭化水素基及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンの各々、及び少なくとも1つの実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンの各々が以下の式で表され:

式中、M=R272829SiO1/2、M=R3031HSiO1/2、D=R3233SiO2/2、D=R34HSiO2/2、T=R35SiO3/2、T=HSiO3/2及びQ=SiO4/2であり、R27,R28、R29、R32、R33及びR35は独立に1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、実質的に不飽和脂肪族を含まず、R30、R31及びR34は独立に1〜60の炭素原子数の一価の炭化水素基又は水素であって、実質的に不飽和脂肪族を含まず、化学量論を示す下付文字h、i、j、k、L、m及びnは0又は正の数であり、Jは0超であり、kは0〜約20であり、k=0のときi=2であり、hは0〜約2であり、更に、i+kが2〜約20であり、i=1のときh=1であり、h+i≧2であり、少なくとも1つの実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンにおいて、L+m+n>0のとき、h+i+j+k>L+m+nであり、少なくとも1つの実質的に樹脂の有機水素ポリシロキサンにおいて、L+m+n>0のとき、L+m+n>h+i+j+kであり、及び少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)の各々は、1分子あたり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含んでなる請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項14】
実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンの各々、及び実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンの各々が、25℃で約0.1〜約2000センチポアズの粘性を有する、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度、低い硬度シリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項15】
実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンの各々、及び実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンの各々が、25℃で約0.5〜約1000センチポアズの粘性を有する、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度、低い硬度シリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項16】
実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサンの各々、及び実質的に樹状の有機水素ポリシロキサンの各々が、25℃で約1〜約500センチポアズの粘性を有する、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度、低い硬度シリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項17】
少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)中に含まれるシリコン結合水素原子の総量の、少なくとも2つの有機ポリシロキサン中に含まれる1つのシリコン結合アルケニル基(A)に対するモル比が約1.4〜約2.0である、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項18】
少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)中に含まれるシリコン結合水素原子の総量の、少なくとも2つの有機ポリシロキサン中に含まれる1つのシリコン結合アルケニル基(A)に対するモル比が約1.5〜約1.8である、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項19】
充填材(C)が少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)100重量部当たり約20〜約40重量部の量で存在する、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項20】
充填材(C)が少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)100重量部当たり約25〜約35重量部の量で存在する、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項21】
充填材がシリカ、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、チタニア、アルミナ、粘土、ウォラストナイト、クォーツ及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項22】
触媒(D)が、少なくとも1つのVIIIB族の触媒である、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項23】
阻害剤(E)が不飽和脂肪族基を有し、ジアリルマレエート、D−4−ビニル−2−メチル−3−ブテン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項24】
少なくとも2つの有機ポリシロキサン(A)が、
実質的に直鎖状のビニル有機ポリシロキサン(A−i)(25℃で約50,000〜約80,000センチポアズの粘性を有し、約45〜約50重量%の量で存在する)と、
実質的に直鎖状のビニル有機ポリシロキサン(A−ii)(25℃で約20,000〜約45,000センチポアズの粘性を有し、約20〜約25重量%の量で存在する)と、
実質的に樹状のビニル有機ポリシロキサン(A−iii)(25℃で約15〜約250センチポアズからの粘性を有し、約1.5〜約2.5重量%の量で存在する)との組み合わせであり、
少なくとも2つの有機水素ポリシロキサン(B)が、
実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン(B−i)((B−i)は分子内に末端シリコン結合水素原子基、及び/又は、末端シリコン結合水素原子基以外の付加的なシリコン結合水素原子を有し、25℃でで約15〜約100センチポアズの粘性を有し、約0.5〜約1重量%の量で存在する)と、
実質的に直鎖状の有機水素ポリシロキサン(B−ii)(分子内に末端基シリコン結合水素原子のみであるシリコン結合水素原子を含んでなり、25℃で1〜約10センチポアズの粘性を有し、約0.5〜約1重量%の量で存在する)と、
実質的に樹状の有機水素ポリシロキサン(B−iii)(25℃で約15〜約60センチポアズの粘性を有し、約1.5〜約2.5重量%の量で存在する)の組み合わせであり、
充填材(C)が約200〜約350m/gの表面積を有するヒュームドシリカであり、前記ヒュームドシリカがシランで処理されており、
充填材(C)が約20〜約25重量%の量で存在し、
触媒(D)が白金触媒であり、
触媒(D)が約5ppm〜約30ppmの量で存在し、
阻害剤(E)が1−エチニル−1−シクロヘキサノールであり、
阻害剤(E)が約0.02〜約0.06重量%の量で存在し、
全ての重量%が、硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物の合計重量に対する数値である、請求項1記載の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物。
【請求項25】
請求項1の硬化性、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体調製用組成物を硬化させることにより得られる、高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体。
【請求項26】
高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体が、液体状の射出成形可能なシリコーン弾性体である、請求項25記載の高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体。
【請求項27】
前記弾性体が少なくとも約180ppiのtearB値、及び約40未満のShoreA硬度を有する、請求項25記載の高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体。
【請求項28】
前記弾性体が少なくとも約200ppiのtearB値、及び約35未満のShoreA硬度を有する、請求項25記載の高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体。
【請求項29】
前記弾性体が少なくとも約220ppiのtearB値、及び約33未満のShoreA硬度を有する、請求項25記載の高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体。
【請求項30】
前記弾性体が、睡眠時無呼吸用のマスク、針を用いない静脈注射用具、臑動ポンプ膜、靴の中敷及びカテーテルバルーンからなる群から選択される用途に用いられる、請求項25記載の高い引裂強度及び低い硬度を有するシリコーン弾性体。

【公表番号】特表2009−515028(P2009−515028A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540068(P2008−540068)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/042738
【国際公開番号】WO2007/056034
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】