説明

シーソースイッチ

【課題】シーソースイッチの美感を損なわずに、操作ノブの誤操作を防止するための部材を前面パネルに設ける。
【解決手段】シーソースイッチ100は、少なくとも1つのスイッチ素子が設けられた基板10上に揺動可能に支持され、揺動によってスイッチ素子を選択的に操作する操作ノブ20と、基板10の上方を覆うパネルであって、操作ノブ20を上方へ露出させる開口部32が形成された前面パネル30と、前面パネル30の上面に開口部32の幅方向の各周縁部に沿って設けられる、操作ノブの誤操作を防止する一対のリブ34とを備える。操作ノブ20は、いずれのスイッチ素子も操作しない中立位置において、操作ノブ20の上面と前面パネル30の上面とが面一になるように基板10上に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーソースイッチ、特に、各種機器の入力操作部などに用いられるシーソースイッチの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電子機器などの操作や設定を行う場合にスイッチ装置が用いられている。スイッチ装置は、用途に応じて適切な形態のスイッチが選択される。スイッチ装置としては、例えば、特許文献1や特許文献2などに開示されているように、操作面の一端部を押下することによりその位置に対応する内部接点を選択的にオン/オフするシーソースイッチが知られている。
【0003】
シーソースイッチは、2つ以上の操作状態の択一的選択が容易であるとともに、操作ノブの操作状態の視覚的判断や触感的判断が容易であり、車両搭載機器のように、一瞬の目視判断や手探り判断を必要とする場合には、有効である。
【0004】
図3Aは、従来の車載用のシーソースイッチ200の外観斜視図である。図3Bは、従来の車載用のシーソースイッチ200の図3Aに記された線A−Aに沿った断面図である。化粧板などの前面パネル300には開口部302が形成されており、操作ノブ202が、この開口部302から露出した状態で基板(図示せず)上に設けられる。前面パネル300の開口部302の幅方向の周縁部302aには、操作ノブ202の両側面に沿って、前面パネル300の上方に向かって突出した一対のリブ304が形成されている。
【0005】
リブは、安全性の観点から、操作ノブが誤って操作されるのを防止するために設けられる部材である。シーソースイッチは、パワーウィンドウ、パーティションパネル、ルーフパネルなどの車載用の差動装置として用いる場合、例えば米国連邦自動車安全基準の一項目であるFMVSS118に対応するように設計される。FMVSS118では、2〜3歳の幼児の膝を模擬した半径20mmの半球形(球形でも可)を、差動装置に荷重135Nで押し当てても、差動装置によって作動される窓などが如何なる開ポジションからもクローズし始めないことが要求されている。そこで、シーソースイッチでは、上記のように、前面パネルにリブを形成することで、操作ノブの誤操作を防止し、FMVSS118に対応するように設計される。
【0006】
【特許文献1】特開平11−53992号公報
【特許文献2】特開2004−47165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来のシーソースイッチでは、図3Bに示すようにリブの前面パネルに対する高さhが高かった。また、リブの高さが高いと、剛性を高くするために肉厚を厚くする必要があり、特にリブの根元部304aの肉厚が厚くなっていた。このように、リブの高さが高く、肉厚が厚いと、意匠の美感を損ねる。
【0008】
本発明は、シーソースイッチの美感を損なわずに、操作ノブの誤操作を防止する部材を前面パネルに設けることを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るシーソースイッチは、少なくとも1つのスイッチ素子が設けられた基板上に揺動可能に支持され、当該揺動によってスイッチ素子を選択的に操作する操作ノブと、前記基板の上方を覆うパネルであって、前記操作ノブを上方へ露出させる開口部が形成された前面パネルと、前記前面パネルの上面に前記開口部の幅方向の各周縁部に沿って設けられる、前記操作ノブの揺動を規制する一対の揺動規制部材と、を備え、前記操作ノブは、いずれのスイッチ素子も操作しない中立位置において、前記操作ノブの上面と前面パネルの上面とが面一になるように前記基板上に支持されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るシーソースイッチの1つの態様では、前記開口部の長手方向の各周縁部は、前記前面パネルの上面から前記基板に向かって下り傾斜する傾斜部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作ノブの上面と前面パネルの上面とが面一であるため、操作ノブの誤操作を防止するための誤操作防止部材の前面パネルの上面からの高さを低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」と称す)について、以下図面を用いて説明する。
【0013】
図1Aは、本実施形態におけるシーソースイッチ100の外観斜視図である。また、図1Bは、本実施形態におけるシーソースイッチ100の平面図であり、図1Cは、本実施形態におけるシーソースイッチ100の図1Bに記された線A−Aに沿った断面図である。なお、図1A,図1B,図1Cでは、図面の簡略化のため、説明に関連しない部分の構造は省略してある。
【0014】
本実施形態に係るシーソースイッチ100は、例えば車両などに設けられ、パワーウィンドウ、パーティションパネル、ルーフパネルなどの車載用の差動装置として用いられる。
【0015】
本実施形態に係るシーソースイッチ100は、基板10と、基板10の上方を覆う前面パネル30と、前面パネル30に形成された開口部32から上面が露出し、操作者の押下操作により揺動する操作ノブ20とを備える。
【0016】
基板10は、シーソースイッチ100の底面を構成する部品である。基板10上には、スイッチ素子(図示せず)が設けられる。本実施形態では、2個のスイッチ素子を有する場合のシーソースイッチ100を例示する。また、基板10上には、一対の支持部14が突設されている。各支持部14には突起部14aが対向して形成されている。各突起部14aが操作ノブ20に設けられた被支持部22の貫通孔22a内に嵌め込まれることにより、各突起部14aを支点として、つまり、各支点を通る揺動軸を中心として、揺動可能となるように操作ノブ20が基板10に支持される。
【0017】
操作ノブ20は、シーソースイッチ100を操作する際に力を受ける部分である。操作ノブ20の上面は略平面である。操作ノブ20の周縁部は面取りされ、上面から底面に向かって下り傾斜する傾斜面20aが形成されている。操作ノブ20の幅方向の両側壁には、上面から底面に向かって延びる一対の被支持部22が設けられている。各被支持部22には、円形の貫通孔22aが外側面に形成される。
【0018】
前面パネル30は、基板10と略平行に配される、いわゆる化粧板である。前面パネル30には、操作ノブ20よりも一回り大きい形状の開口部32が形成され、この開口部32を通じて操作ノブ20が前面パネル30の上方へ露出される。開口部32の幅方向の各周縁部には、操作ノブ20の幅方向の各側面に沿って、前面パネル30の上方に向かって突出したリブ34が形成される。リブ34は、操作ノブ20が誤って操作されることを防止するための誤動作防止部材である。
【0019】
なお、本実施形態では、操作ノブ20は、基板10上に配設された一対の支持部14によって支持されている。しかし、例えば、前面パネル30の裏面に、基板10に向かって延びる支持部材を形成し、その支持部材によって操作ノブ20を揺動可能に支持してもよい。
【0020】
このように構成されたシーソースイッチ100において、本実施形態では、いずれのスイッチ素子も操作しない、つまりスイッチング動作を行っていない中立位置での操作ノブ20の上面と、前面パネル30の上面とが面一になるように、操作ノブ20が被支持部22および支持部14を介して基板10に配設されることを特徴とする。つまり、スイッチング動作を行っていない中立位置での操作ノブ20の上面と、前面パネル30の上面とが同一平面もしくは同一曲面上に位置するように、操作ノブ20を配設することを特徴とする。このように配設することで、FMVSS118の基準を満たし、かつ、操作ノブ20の上面が前面パネル30の上面より高い位置で基板10に配設される場合よりも、前面パネル30の上面からのリブ34の高さを低くすることができる。例えば、従来のシーソースイッチでは、FMVSS118の基準を満たすように、前面パネルの上面からのリブの高さh(図3Bを参照)は、約5.5mmであった。しかし、本実施形態では、FMVSS118の基準を満たし、かつ、リブの高さhを約3.1mmとすることができる。よって、本実施形態によれば、リブの高さを低くできるため、リブの根元部の肉厚を従来より薄くすることができる。
【0021】
なお、リブの高さを低くするために、操作ノブ20の上面が前面パネル30の上面よりも低くなるように操作ノブ20を配設することが考えられる。つまり、操作ノブ20を前面パネル30の上面から陥没した状態で配設することも考えられる。しかし、このような状態では、意匠の美感を損ねるため好ましくない。よって、意匠の美感を損ねないためにも、操作ノブ20の上面と、前面パネル30の上面とは面一にすることが好ましい。
【0022】
ここで、操作ノブ20の上面と、前面パネル30の上面とを面一にした場合、操作ノブ20を中立位置から、各突起部14aを支点として、いずれか一方のスイッチング位置に揺動する際に、図2Aに示すように、操作ノブ20の長手方向の押圧される側の端部20bと、開口部32の長手方向の押圧される側の周縁部32aとの間に操作者の指が挟まれるおそれがある。
【0023】
そこで、本実施形態では、図1Aや図2Bに示すように、開口部32の長手方向の各周縁部32aを面取りして、上開口縁部36aから下開口縁部36bに向かって下り傾斜する傾斜部36を形成する。つまり、開口部32の長手方向の各周縁部32aにいわゆる座ぐりを形成する。このように座ぐりを形成することで、操作ノブ20の長手方向の押圧される側の端部20bと、開口部32の長手方向の押圧される側の周縁部32aとの間に操作者の指が挟まれることを防止することができ、操作ノブ20の操作性を向上させることができる。
【0024】
なお、リブ34は、FMVSS118の基準を満たすように、操作ノブ20の誤操作を防止する誤操作防止部材であればよい。よって、例えば、誤操作防止部材は、複数の突起部材を、開口部32の幅方向に沿って配列することで、構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】本実施形態に係るシーソースイッチの外観斜視図である。
【図1B】本実施形態におけるシーソースイッチの平面図である。
【図1C】本実施形態におけるシーソースイッチの図1Bに記された線A−Aに沿った断面図である。
【図2A】シーソースイッチの開口部に形成される座ぐりについて説明するための図である。
【図2B】シーソースイッチの開口部に形成される座ぐりについて説明するための図である。
【図3A】従来のシーソースイッチの外観斜視図である。
【図3B】従来のシーソースイッチの図3Aに記された線A−Aに沿った断面図である。
【符号の説明】
【0026】
10 基板、14 支持部、20 操作ノブ、22 被支持部、30 前面パネル、32 開口部、34 リブ、36 傾斜部、100 シーソースイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスイッチ素子が設けられた基板上に揺動可能に支持され、当該揺動によってスイッチ素子を選択的に操作する操作ノブと、
前記基板の上方を覆うパネルであって、前記操作ノブを上方へ露出させる開口部が形成された前面パネルと、
前記前面パネルの上面に前記開口部の幅方向の各周縁部に沿って設けられる、前記操作ノブの誤操作を防止するための一対の誤操作防止部材と、
を備え、
前記操作ノブは、いずれのスイッチ素子も操作しない中立位置において、前記操作ノブの上面と前面パネルの上面とが面一になるように前記基板上に支持される、
ことを特徴とするシーソースイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のシーソースイッチにおいて、
前記開口部の長手方向の各周縁部は、前記前面パネルの上面から前記基板に向かって下り傾斜する傾斜部を有する、
ことを特徴とするシーソースイッチ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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