説明

シートシャッタ

【課題】シートドラムを内装するシートケースの左右両端側に配置される支柱に、シャッタ電装品を設けるにあたって、支柱からシャッタ電装品が大きく突出しないシートシャッタを提供する。
【解決手段】シートシャッタは、内部にシート2を上下方向に巻取り且つ繰出すシートドラム5を回転自在に横方向に軸支するシートケース4と、該シートケース4の左右両端部に配置される支柱3とを備え、シート2を昇降案内するシートガイド部11を支柱3の左右内側箇所に設け、シートドラム5の回転を制御する制御盤9又は該回転を操作する操作部9aからなるシャッタ電装品を有するシートシャッタにおいて、支柱3内におけるシートガイド部11よりも左右外側に、シャッタ電装品を支柱の方向に沿わせて着脱可能に収納して支持する収納スペース41を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場や倉庫等建物の出入口や間仕切り部分並びに各種装置に設置することができるシートシャッタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や倉庫等建物の出入口や間仕切り部分に設置され、シートを巻取るとともにシートを繰出すシートドラムを内装するシートケースと、その左右両端部に配置される支柱とを備え、シートを昇降案内するシートガイド部を前記支柱の左右内側箇所に設け、シートドラムの回転を制御する制御盤又は該回転を操作する操作部からなるシャッタ電装品を有する電動式のシートシャッタが広く知られている。このようなシートシャッタにおいて、シート(シャッターカーテン)の巻取り又は繰出しのためにシートドラム(巻取りシャフト)を正逆回転させる操作部(操作部材)を、支柱(建枠)側に設けたものも既に公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−169273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で示されるシートシャッタは、操作部を支柱の側面に設けることにより、スイッチ等を建物の壁面等に取付ける工事を不要にしながらスイッチの切替え操作を容易にするものである。
しかし、スイッチ操作を行う操作部は支柱の左右内側の側面に外付けされて内向きに大きく突出しているため、人や物が移動する際の邪魔になると共に、人や物との接触によって操作部が故障する可能性がある。
なお、上記操作部はワイヤを介してスイッチ操作を行うものであるが、押しボタン式の操作スイッチに置き換えてスイッチ操作を行う場合も同様の欠点があると共に、シートの開閉を自動制御する制御盤を設けた場合も、該制御盤を収納した制御ボックス等を支柱に設けると同様の問題が生じる。
【0005】
シートドラムを内装するシートケースの左右両端側に配置される支柱に、シャッタ電装品を設けるにあたって、支柱からシャッタ電装品が大きく突出しないシートシャッタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために第1に、内部にシート2を上下方向に巻取り且つ繰出すシートドラム5を回転自在に横方向に軸支するシートケース4と、該シートケース4の左右両端部に配置される支柱3とを備え、シート2を昇降案内するシートガイド部11を前記支柱3の左右内側箇所に設け、シートドラム5の回転を制御する制御盤9又は該回転を操作する操作部9aからなるシャッタ電装品を有するシートシャッタにおいて、前記支柱3内におけるシートガイド部11よりも左右外側に、シャッタ電装品を支柱3の方向に沿わせて着脱可能に収納して支持する収納スペース41を形成したことを特徴としている。
【0007】
第2に、制御盤9に設けられた電装ベース42を支柱3に取付けることを特徴としている。
【0008】
第3に、電装ベース42を配線状態が保持された状態で支柱3の外側に引出し可能なように該電装ベース42を支柱3に支持したことを特徴としている。
【0009】
第4に、全体が回動可能なように電装ベース42の一端側を支柱3の収納スペース41内に支持し、電装ベース42を回動させて他端側を支柱3から引出すことを特徴としている。
【0010】
第5に、支柱3内における左右外側寄りに、支柱3内の断面積の2分の1以上の空間を占めるように、前記収納スペース41を形成したことを特徴としている。
【0011】
第6に、収納スペース41を開放させる上下方向の支柱開口部3hを、支柱3の正面側に形成したことを特徴としている。
【0012】
第7に、前記支柱開口部3hの開口縁3j側に、収納スペース41内に窪むチャンネル状の平断面を有するスイッチ取付板62を着脱自在に取付けたことを特徴としている。
【0013】
第8に、前記スイッチ取付板62と、スイッチパネル61との間に支柱開口部3hの開口縁3jを挟持することによって、該スイッチ取付板62を支柱3に取付けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、支柱内に収納スペースを形成し、該収納スペース内にシャッタ電装品を収納すれば、シャッタ電装品を支柱の外側に突出させることなく、支柱内にまとめて簡単に収納できる他、シャッタ電装品の取付け高さを、支柱の方向に沿って比較的自由に設定できる。
【0015】
また、制御盤に設けられた電装ベースを支柱に取付ければ、予め組付けられた電装ベースを介して制御盤を収納スペース内に簡単に取付けることができると共に、コントローラッボクス等を省略した簡潔で廉価な構成で、制御盤を設けることができる。
【0016】
また、電装ベースを配線状態が保持された状態で支柱の外側に引出し可能なように該電装ベースを支柱に支持すれば、制御盤等を簡単に支柱の外側に位置させることができるため、制御盤の着脱作業及びメンテナンス作業を能率よく簡単に行うことができる。
【0017】
さらに、全体が回動可能なように電装ベースの一端側を支柱の収納スペース内に支持し、電装ベースを回動させて他端側を支柱から引出せば、一端を支点に他端側を回動させて大きく引出すことができるため、能率のよいメンテナンス作業を行うことが可能になる。また回動支点側にシャッタ電装品の電線をまとめて配線可能であるため、回動引出し時の電線の動きを少なくできる。
【0018】
なお、支柱内における左右外側寄りに、支柱内の断面積の2分の1以上の空間を占めるように、前記収納スペースを形成すれば、より広いスペースに制御盤等のシャッタ電装品を簡単に取付けることが可能になる。
【0019】
また、収納スペースを開放させる上下方向の支柱開口部を、支柱の正面側に形成すれば、支柱内の空間に容易にアクセスできる。
【0020】
また、前記支柱開口部の開口縁側に、収納スペース内に窪むチャンネル状の平断面を有するスイッチ取付板を着脱自在に取付ければ、操作スイッチを備えた操作部を、収納スペースを利用し、操作を行い易い位置に簡単に取付けることができる。
【0021】
さらに、前記スイッチ取付板と、スイッチパネルとの間に支柱開口部の開口縁を挟持することによって、該スイッチ取付板を支柱に取付ければ、支柱に対し操作部を、支柱方向の所望高さ位置に簡単に取付けることができる。また形状や表示の異なる各種のスイッチパネルをスイッチ取付板に対し互換性を有して取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明が適用されたシートシャッタを一部破断して示す正面図である。
【図2】シートシャッタの支柱に制御盤を収納した状態を示す側断面図である。
【図3】制御盤を取出した姿勢を示す図2の側断面図である。
【図4】図1のA−A線断面図である。
【図5】図4のインナーレールが内側に移動した状態を示す断面図である。
【図6】図1のB−B線断面図である。
【図7】図1のC−C線断面図である。
【図8】図7の操作部を分解した状態を示す断面図である。
【図9】弾性膜部材の斜視図である。
【図10】シート復帰ガイドとインナーレールの側面図である。
【図11】図10のA−A線断面図である。
【図12】シート復帰ガイドの正面図である。
【図13】図12の平面図である。
【図14】制御盤の正面図である。
【図15】図14の側面図である。
【図16】シートケースの別実施形態を示す側面図である。
【図17】弾性膜部材とインナーレールを一体化させたシート張り機構の別実施形態を示す線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るシートシャッタの全体正面図である。符号1は主として建物の出入口に設置されるシートシャッタであり、シャッタ用のシート2の左右端部を支持して上下方向の昇降移動を案内するガイド部材として構成される支柱(サイドフレーム)3と、シート2の開閉機構を内装する筒状のシートケース4等とから構成される。上記支柱3は建物の出入口に構成される柱や壁に沿わせて取付固定され、シートケース4は建物の梁或いは壁面等の設置部に沿って横向きに設置され、且つ左右の支柱3に載置した状態で組付けられる。
【0024】
図示するシートシャッタ1は、シートケース4の両側を、該支柱3の上部外側の取付部材によって、着脱可能に、左右の支柱3、3に載置して取付けている。またシートケース4の内部にシャッタ開閉機構としてシートドラム(繰出装置)5を内部に有しており、シートドラム5の正逆回転によってシート2の巻取り及び繰出しを行う。シート2は、左右の支柱3に設けられたシートガイドに左右両側辺を昇降スライド可能に支持され、このシート2の昇降動作によって出入口の開閉を行う。
【0025】
先ず図1〜図8を参照しシートシャッタ1の全体構成について説明する。
このシートケース4は、側断面視で四角形の筒状に成形されたケース本体6の両側に、端板6a,6bを着脱自在に取付けることにより中空状のケース室を形成する。ケース室内には、左右の端板6a,6bによって自身の軸回りに回転可能に軸支された左右方向に延びる中空円筒状のシートドラム5が収容されている。またケース本体6の下面後部には、左右の支柱3の上端側が臨む開口部6cが形成されており、この開口部6cを介して、シートケース4からのシート2の出し入れが可能になる。
【0026】
ケース本体6の左右一方側(図示する例では右側)端板6aの内側面には、シートケース4内に収容された左右方向に延びる円柱形状のモータ7の一端側がボルト固定されている。モータ7は駆動軸に輪体状の駆動体8を軸支しており、該駆動体8をシートドラム5の内面にスプライン嵌合させることによりシートドラム5を正逆回転させる。
【0027】
ケース本体6の左右他方側(図示する例では左側)の端板6bは、ケース本体6の該他方側の開放端を閉鎖するように取付けられ、シートドラム5の該他方側端部に取付けられる取付板8aの支軸8bを回転可能に支持している。これによりシートドラム5は、シートケース4内に水平に軸支され、モータ7の正逆回転に伴いシート2の繰出し下降(進動)と、巻取り上昇(退動)とを行い建物の出入口の開閉を行う。
【0028】
またシート2の開閉作動は、従来のものと同様に制御盤(シャッタ電装品)9が備える各種操作スイッチからなる操作部(シャッタ電装品)9aの手動操作指令、及び通過体を検知する検知部9bの検知指令等に基づくモータ7の正逆回転制御によって行なわれる。制御盤9は後述する構成によって支柱3の内部に取り出し可能に収納し設置されている。
【0029】
シート2は、透光性及び可撓性を有する合成樹脂製の長方形の幕体からなり、上端(基部側)がシートドラム5の周面に繰出し可能に巻付けられる。図示するシート2の左右の各縁部には、公知の構成からなる駒状のガイド突起10が所定間隔毎に設けており、前記左右の支柱3,3における互いに対向する面(対向面)側にシートガイド部11が設けられ、該シートガイド部11に、ガイド突起10を昇降スライド可能に係合させて収容している。
【0030】
このようにシート2の左右両側が左右のシートガイド部11にそれぞれ昇降可能に係合されるため、該シート2は、横方向に張られた状態で、左右の支柱3,3の間を、スムーズな昇降される。また、このシートシャッタ1は地面又は床面等の設置面に設置されるが、シート2を最下降させてシートシャッタ1を閉じる際、気密性を保持して該設置面に接地させる設置部12が、シート2の下端部に設けられている。この接地部12はウェイトを内装したウェイト部を兼ねており、シート2をウェイトによって下方に向かって張り状態に伸展させる。
【0031】
支柱3は、左右内側端の壁である内側壁3aと、左右外側端の壁である外側壁3bと、両者を前後で接続する接続壁である正面側壁3c及び背面側壁3dとによって、平断面視四角形状をなして上下方向に延びる角柱状に成形されている。この支柱3の内側壁3aの前後方向中間位置には、図4,図8で示すように、外側壁3bに向かって窪んだ平断面視U字状をなす上下方向のアウターレール14が一体的に形成している。
【0032】
具体的には、アクターレール14が、前後の側壁14a,14aと、この前後の側壁14a,14aの左右外側端同士を連接する底壁14bとから構成され、これによって、各支柱3の対向面側には、左右内側が開放された上下方向のレール溝14cが形成されている。言換えると、前後の側面14a,14aの互いに対向する面(溝側面)と、底壁14bの左右内側面(底面)とによって、平断面視左右外側に窪んで上下方向の延びるレール溝14cが形成されている。
【0033】
そして、このレール溝14c内には、インナーレール16と、該インナーレール16の上部に接続されるシート復帰ガイド17とが、レール溝14cの全長方向端部から着脱可能に嵌合されている。また、前後の側壁14a,14aの左右内側端部からは、互いに近づく側に向かって平断面視前後方向に突出する上下方向の内側溝壁(対向壁)14dが一体的に形成されている。この各アウターレール14に設けられた前後一対の内側溝壁14d,14dの間に、レール溝14cの開口部が形成されている。言換えると、レール溝14cの開放側に前後一対の内側溝壁14d,14dを臨ませており、この内側溝壁14d,14dと、側壁14a,14aとの境目には、上下方向に延びる溝コーナ14fが形成される。
【0034】
またレール溝14cの脇側に位置する溝側面を形成する前後の側壁14aを、平断面視で前後に延びる中間壁3eによって、前後の接続壁3c,3dにそれぞれ各別に一体的に連接している。言換えると、支柱3の左右内側端に位置する前後の内側壁3a,3aと、支柱3内の前後の中間壁3e,3eとが、アウターレール14によって接続されるように、該アウターレール14が内側壁3a及び中間壁3eとともに一体的に形成される。
【0035】
このため、所定の太さ以下で設置することが求められる支柱3に対し、その内部で前後方向に大きな負荷を受けるアウターレール14をことさら厚肉にすることなく、その強度を向上させることができる。以上によって、アウターレール14及び中間壁3eの断面形状によって柱強度を十分に高めることができるので、支柱3の太さを徒に大きくすることなく軽量化と製造コストの低減をすることができる。
【0036】
さらに、アウターレール14は、支柱3内の左右内側寄りに位置して、該支柱3内の平断面積の2分の1以内に収まるサイズに形成されており(具体的には、底壁14bが内側壁3a寄りに位置しており)、これによって、平断面積の大きさ(太さ)が制約された支柱3内に、制御盤9並びに操作部9a等の電装品や他の部品を効率よく収納する多目的なスペースを確保する。
【0037】
また、前後の側壁14a,14aと、前後の接続壁3c,3dとの間には、それぞれ支柱3方向の延びる配線スペース3gが形成されている。これに加えて、前後一方側(図示する例では後側)の側壁3aと、該側壁に対向する側の接続壁3dとには、正面視底壁14b側に位置して、互いに近づく側に突出する上下方向のリブ状の突起部14g,3fが一体的に形成され、この一対の突起部14g,3fによって、ハーネス13等を確実に配線スペース3g内に位置決め収納している他、該リブ構造によって支柱3の剛性を高めている(図6参照)。
【0038】
さらに、支柱3は上記のように強度を向上させているので、接続壁3c(さらに具体的には正面側壁3c)の一部を開口させる上下方向の支柱開口部3hを形成できる。該支柱開口部3hは、支柱3の全長方向に沿って形成され、後述する支柱スペース41の多目的な利用を行い易くしている。具体的には、接続壁3cにおける支柱開口部3hの左右両端側に、支柱3内に突出するリブ状の開口縁3jをそれぞれ一体形成する一方で、厚み方向が前後方向に向けられ且つ支柱3方向に帯状に延びる板状部材である蓋カバー15の左右両端部に、支柱3内に突出した係止片15a,15aをそれぞれ形成し、この一対の係止片15a,15aを、前記の一対の開口縁3j,3jにそれぞれ係脱自在に係合させることにより、蓋カバー15を支柱開口部3hに嵌め込み、支柱開口部3hを閉塞する一方で、両者の係合を解除することにより、支柱開口部3hを開放させる。
【0039】
また支柱3は背面側壁3dの左右中途部には、取付用のボルト18を挿入するボルト孔18aが、支柱3の全長方向に沿って、複数穿設されている。そして、蓋カバー15が外されて開放された支柱開口部3hから、ボルト18を支柱3内に入れ、該ボルト18を、ボルト孔18a及び本シートシャッタ1を設置する建造物等に挿入し、締着させることにより、支柱3の固定を簡単に行うことができる。尚、上記のように構成される支柱3は、在来のアルミ製の支柱フレームと同様にアルミ材の引抜き又は押出し加工によって簡単に製作することができる。また蓋カバー15は合成樹脂製の帯状板にすることが望ましく、これにより後述する操作部9aが柱中途に設置された上下の支柱開口部3hの長さに応じた寸法に切断して外観よく蓋をすることができる。
【0040】
次に、図4〜図9を参照しインナーレール16について説明する。
インナーレール16は、アウターレール14のレール溝14cの全長方向全体に亘り上下方向に形成され、平断面視レール溝14c底面に沿うように前後方向に長い板状のレールベース19と、平断面視レールベース19の前後方向中途部から左右内側に突出する係合ガイド21とから構成されている。
【0041】
上記レールベース19の前後の端部には、平断面視左右両側に延びるガイド部(嵌合部)22,22が一体形成されており、この一対のガイド部22,22が前後の側壁14a,14aにそれぞれ面状に接触するようにして、このレールベース19を、レール溝14cの前後の側壁14a,14a間に嵌合させることにより、インナーレール16がレール溝14c内に左右スライド自在に収容支持される。この一対の嵌合部22は、インナーレール16を安定的に左右方向にスライド移動させるとともに、レールベース19を肉厚にすることなくレールベース19の柔軟性及び耐久性を向上させる。
【0042】
上記係合ガイド21は、平断面視左右内側に向かって前後に二股状に分かれて突出し、該形状によって前後一対の保持体23,23を有している。この他、係合ガイド21の左右外側端部である基端部と、レールベースとの接続箇所に、上下方向のガイドコーナ部19aが形成されており、該係合ガイド21の先端部は、レール溝14cの開放側に臨んでいる。
【0043】
前後の保持体23,23の左右内側端部である突出端部(先端部)は、平断面視互いに近くづくように前後に湾曲又は屈曲されることにより、フック状に形成されている。このため、前後の保持体23,23の先端部間には、シート2の左右端部を表裏で把持する把持部23aが形成される一方で、前後の保持体23,23の基端部間には、上下方向に延びる袋状のガイド溝23bが形成される。
【0044】
把持部23aによって表裏が把持されたシート2は、前後の揺れが規制された状態で、昇降ガイドされる。ガイド溝23b内には、上述したガイド突起10が、左右動が許容され且つ前後動が規制された状態で、収納される。ちなみに、左右の保持体23,23は、全体に亘り肉厚が略一定であり、互いに離間する側に弾性的に湾曲又は屈曲させることが可能であって、この離間側への湾曲又は屈曲によって、ガイド溝23bを開放させることができる。
【0045】
これにより図4で示すように、シート2は、左右両端側のガイド突起10が係合ガイド21のガイド溝23bに収容させて左右内側に抜出すのを防止されながら、昇降スライドされる。つまりシート2が昇降時に前後方向の風圧を受けてガイド突起10がシート溝23bを開いてガイド溝23bから抜け出そうとしても、保持体23のフック状の突出端部によって、ガイド突起10の抜出しが防止されるので、シート2はスムーズに昇降を案内される。尚、インナーレール16及びシート復帰ガイド17は、耐摩耗性と、ある程度の可撓性とを有する合成樹脂材によって形成されている。
【0046】
上記のような構造において、上下方向の各レール溝14c内における前後の溝側面と、インナーレール16の係合ガイド21との間には、前後一対の溝空間部(隙間スペース)14eが形成され、このインナーレール16の前後に形成された各溝空間部14eは、平断面視で、係合ガイド21と、レールベース19と、内側溝壁14dと、側壁14aとに、四方を囲繞された状態になる。
【0047】
この各溝空間部14e内には、湾曲変形又は屈曲変形(図示する例では屈曲変形)によって、インナーレール16を、左右外側に弾性的に付勢する弾性膜部材(付勢部材)26が、該溝空間部14eを前後に仕切るように設けられており、このインナーレール16の左右外側への弾性的な付勢に伴って、ガイド突起10及びシート2の左右端部も、左右外側に弾性的に牽引される。この弾性膜部材26によって、レール溝14c内の奥側への水や塵埃等の異物の侵入を阻止し、耐久性に勝れた品質の高いシートシャッタを提供することができる。
【0048】
即ち、図4,図5,図9で示すように、弾性膜部材26は、ゴム又は合成樹脂製であって、前記内側溝壁14dの内面に面状に接当する幅を有する内側座面(開放側接当部,シール部)27と、レールベース19と面状に接当する接当幅を有した外側座面(底側接当部,シール部)28と、両者を接続すると共に牽引方向(シート張り方向)の弾力性と可撓性を有する膜状の弾性膜部(弾性シート部)29とを有して、平断面視Z状をなすように、全体が一体成形されている。
【0049】
言換えると、弾性膜部29の前後の縁部が溝コーナ部14fとガイドコーナ部19aとにそれぞれ当接するように、該弾性膜部29の平断面形状を、溝コーナ部14fとガイドコーナ部19aとの間に斜め方向に形成する他、弾性膜部29の溝コーナ部14f側端部(内側コーナ部27a)に内側座面27を一体的に形成するとともに、弾性膜部29のガイドコーナ部19a側端部(外側コーナ部28a)に外側座面28を一体的に形成している。これに加えて、この内側座面27は、外側座面28に比べて、前後幅が狭くなる長さで且つ各溝空間部14eを開放された左右内側端を閉塞又は略閉塞する長さを有する形状に成形されている。
【0050】
さらに、弾性膜部29の厚さは数ミリ程度にすると共に、弾性膜部29は、平断面形状で、左右中途に蛇腹状に屈曲する屈曲部29a又は湾曲部(図示する例では複数の屈曲部29a)が形成されている。このため、図5に示すように、弾性膜部材26に左右方向の強い圧縮力を加えると、弾性膜部29の複数の屈曲部29aからなる伸縮部が整然と左右に縮小されるように折畳まれて圧縮され、この伸縮部の圧縮量に応じた弾性力を、左右外側への引張力として、インナーレール16に作用させる。このようにして、弾性膜部29は左右方向に伸縮するが、この際、蛇腹状をなす弾性膜部29によって該伸縮がスムーズに行われ、前後方向へのブレが抑制される。
【0051】
このため弾性膜部材26は圧縮時においても、弾性膜部29と側壁14a或いは係合ガイド21との接触を抑制することができるので、長期間の使用においても弾性膜部29の損傷及び劣化を防止することができ、耐久性の高い安定的なシート2の牽引性能を保持することができる。
【0052】
従って、溝空間部14eにブロック状断面の弾性部材を設置したもののように、インナーレール16が内向き移動したとき、弾性部材が圧縮されて膨らんで側壁14aに摺接することによる移動抵抗を伴うことなく、インナーレール16をスムーズに左右動させることができる。さらに上記移動抵抗によってシート2及びガイド突起10への無理を生じさせることなくシート張り作業を安定的に行うことができる。
【0053】
また弾性膜部材26は、通気性や吸水性を有するスポンジ類と異なりゴム又は合成樹脂による弾力性及びシール機能を有する弾性膜部29によって、内側溝壁14dとレールベース19を接続している。このため、レール溝14cの外部から入る水や塵埃は弾性膜部29を通過することなく溝空間部14e内への侵入が確実に阻止される。例えばスポンジ又はブラシ材や繊維材製の弾性部材のように浸み込ませた水と塵埃が、レールベース19と側壁14aの隙間に入り込んで固形化して移動抵抗を生ずるといったトラブルを長期にわたり防止することができる。
【0054】
さらに、弾性膜部29はその両端を、それぞれ内側壁3aと側壁14aとで形成される溝コーナ部14fと、係合ガイド21の基部側とレールベース19とで形成されるガイドコーナ部19aとに接当させて溝空間部14e内に設置しているので次のような作用効果がある。即ち、弾性膜部29は弾力性を有しながら、断面方形状の溝空間部14e内で対角線方向に張設距離を長くした状態で設置されるので、弾性膜部29が圧縮される際に無理に撓ませることなく撓み代を大きくとることができ、膜部の早期劣化を防止し耐久性を高めることができる。
【0055】
また弾性膜部29の左右外側寄り(レール溝14cの底側)端部は、係合ガイド21の基部側のガイドコーナ部19aに接当させるので、弾性膜部29によって仕切られた外側寄りの溝空間部14eは奥側に向けて収束させることができる。従って、シート2に水道水を吹き付けて行う洗浄時において、水が勢いよく外側寄りの溝空間部14e内に入る場合でも、該外側寄りの溝空間部14eは奥側に向けて収束しているため、内側寄りの溝空間部14eへ水の侵入を規制する。また外側寄りの溝空間部14eは収束された狭い空間部であり、洗浄水の水流によって汚れを洗い流し易く且つ排水を促進し乾燥し易い等の利点がある。
【0056】
また弾性膜部材26はZ型断面形状にすることにより、内側座面27と外側座面28とがそれぞれ内側壁3aとレールベース19に広い面積で密着状に接当し、接着剤を要することなく水の浸入を防止することができ、且つ弾性膜部材26の着脱を簡単に行うことができシート張り機構の組付け及び分解を容易にすることができる。
【0057】
尚、弾性膜部材26は、弾性膜部29に内側座面27及び外側座面28を形成したものを図示したが、上記弾性膜部29を例えば合成樹脂製又はスチール製の弾力性及び可撓性を有する帯状板にすることもでき、この場合には前記溝コーナ部14fとガイドコーナ部19aとに位置決め嵌合させることが望ましい。
【0058】
次に、上記のように構成される弾性膜部材26の支柱3内への設置態様について説明する。
先ずレール溝14c内には、レール溝14cの全長方向端部から、インナーレール16及びシート復帰ガイド17を挿入してセットし、その後、レール溝14cの全長方向端部から、溝空間部14e内に弾性膜部材26を挿入しセットすることにより、弾性膜部材26の設置作業を簡単且つ能率よく行うことができる。このとき弾性膜部材26は、弾性膜部材26を弾性膜部29の弾力性に抗して縮めると、内側座面27と外側座面28を近接させた状態で、溝端から溝空間部14e内への挿入を容易に行うことができる。
【0059】
これにより挿入された弾性膜部材26は溝空間部14e内で自由状態にすると、内側コーナ部27aを内側溝壁14dと側壁14aとで形成される溝空間部14eの溝コーナ部14fに位置決めし、外側コーナ部28aを前記インナーレール16のガイドコーナ部19aに入り込ませた状態で位置決めすることができる。従って、支柱3内への弾性膜部材26の配置を簡単且つ速やかに行うことができる。また同時に、内側座面27と外側座面28とは、内側溝壁14dとレールベース19にそれぞれ密着状に接当するため、弾性膜部材26は接着剤等の使用を省略しても溝空間部14e内に安定よく固定される。これにより通水性及び通気性を有しない弾性膜部材26は、溝空間部14eを前後で仕切ることができ、洗浄水や雨水並びに塵埃等が溝外側に入り込んでも、溝内側への侵入を確実に防止する。
【0060】
以上のように構成されるシート張り機構を備えるシートシャッタ1は、強風等によりシート2がシート面に直交する前後方向の強い力を受けた場合に、図5で示すようにインナーレール16が、シート2及びガイド突起10を介し内向き方向の引張力を受ける。このときインナーレール16は、弾性膜部材26に抗してアウターレール14内で内向き方向にスライドするので、風による引張力を緩衝することができる。
【0061】
また車等の通過体がシート2に衝突した場合等に、シート2は前後方向に強く押されながらインナーレール16が図5で示すように内向きに移動し、これによりは弾性膜部材26が折畳み状になって内向き移動限界(スライドの限界)になり、ガイド突起10は押圧方向に傾きながら保持体23,23をその弾力に逆らってこじ開けるように作用する。
【0062】
そして、ガイド突起10は保持体23,23を弾力的に押し開いて、係合ガイド21の拡開したシート溝23bから抜け出しインナーレール16から離脱する。従って、インナーレール16から離脱し支柱3による支持を失ったシート2は、押圧力による無理な引張りが解除されるので、シート2及びガイド突起10の損傷を防止する。またインナーレール16及び関連部材等に対しても、過負荷を生じさせることなく破損を防止することができる。
【0063】
次に、シート復帰ガイド17について図10〜図13を参照し説明する。
このシート復帰ガイド17は図1で示すように、支柱3内にアウターレール14を介しインナーレール16の上部に接続されて設置される。これによりシート復帰ガイド17はシート2の巻取り案内と、繰出し案内とを行うと共に、図12に点線で示すようにインナーレール16から外れたシート2を、巻取り時に引き上げて元の姿勢に復帰させ、再び適正姿勢で繰出させることを可能にする。シート復帰ガイド17は合成樹脂製であり、インナーレール16と概ね同一の断面形状である。即ち、シート復帰ガイド17は、ガイド本体部の中途部にレールベース19を形成し、その内側と外側にガイド突起10を収容するガイド溝23bを形成する係合ガイド21を備えている。
【0064】
またシート復帰ガイド17は、上記係合ガイド21の中途部に、外れたシート2を導入する上下幅の切欠を形成した復帰溝31を設けている。また復帰溝31の上下に位置する各保持体23,23は、上下端の入口部分をそれぞれV字形の傾斜面に形成されている。これにより各保持体23,23の入口傾斜端面は、復帰溝31の上方又は下方から把持部23a及びガイド溝23bへのシート2及びガイド突起10の導入をスムーズに案内する。
【0065】
またシート復帰ガイド17のガイド本体の上部には、保持体23を内向きに延長させて形成したシートストッパ片32を一体的に突設している。このシートストッパ片32は、シート2の巻取りに誤動作があったとき、接地部12の両側に設置したストッパ33を受け止めることにより、シート2のそれ以上の上昇を規制して接地部12の巻込みを防止することができる。
【0066】
上記規制状態においてシートドラム5は、モータ7が過負荷検知手段の検知指令によって回転停止するまで回転するので、巻き取ったシート2を巻締めして巻取り時の膨らみや皺を取り除き適正な巻取り径に修正し、シート2の左右の巻取り径を略均一にすることができる。このようにシートドラム5はモータ7が過負荷検知の指令によって回転停止し、この後、シート2の繰出し回転をする際に、再下降初期の弛みをなくし、接地部12の傾きを防止して適正に接地させることができる。
【0067】
またシート復帰ガイド17は図10,図11で示すように、レールベース19の下端に突設した接続片34を、インナーレール16のレールベース19に着脱自在に嵌合して接続することができる。即ち、シート復帰ガイド17は下端に突設した接続片34を、4本のビス35によってンナーレール16のレールベース19に接続し、前記インナーレール16側から延長される弾性膜部材26によって弾力的に支持される。これによりインナーレール16及びシート復帰ガイド17は、共にレール方向に差込み及び引抜き等の簡単な動作によって組付け及び分解を容易に行うことができ、シート張り機構の部品交換等のメンテナンス作業を簡単に行うことができる。
【0068】
さらにシート復帰ガイド17は、係合ガイド21側から内向きに突出させる肉厚のシートストッパ片32の内部に、ガイド突起10に接触して潤滑剤を供給するフェルト等の含油材からなる潤滑部材36を設けている。この潤滑部材36はシートストッパ片32に横向きに穿設される長方形断面の潤滑孔部37内に挿入された状態で、供給孔38から供給される潤滑油を保持しガイド溝23b内に臨ませている。これにより潤滑部材36は支柱3の最上部位置において、昇降作動するガイド突起10の略全範囲にわたる潤滑を簡単且つ均質に行うことができ、また各摺動部の損耗や騒音を抑制しながらシート2の昇降をスムーズに行わせることができる。
【0069】
次に、図1〜3図,図6,図14,図15を参照し支柱3に設置されるシートシャッタ制御用電装品の取付構造について説明する。
先ず、支柱3は前記シート張り機構の構成により、シートドラム5の回転を制御する制御盤9の他に種々の電装品並びに収納品を収納することができる多目的スペースである前記支柱スペース(収納スペース)41を、支柱3内のアウターレール14の反対寄り(左右外側寄り)に、支柱3内の平断面積の半分以上を占めるように、形成している。
【0070】
そして、図6、図14、図15で示すように制御盤9は、支柱スペース41内に納まる所定長さと前後幅で形成される電装ベース42と、該電装ベース42に取付座を介して取付けられる基板43と、該基板43に設ける制御部品部44、変換機器46及び設定機器47等の電装部品類とをユニット化することによって構成される。
【0071】
電装ベース42は、内側壁3a及び中間壁3eに挿入され且つ支柱3内の後部に位置するボルト(取付部材)52を挿通させる取付孔53が穿設され、該取付ボルト52によって電装ベース42が支柱3にネジ止めされる。これにより図2で示すように制御盤9は支柱スペース41内に収納した状態で、ボルト52を締付けることにより、電装ベース42(制御盤9)を支柱3方向に沿わせて着脱可能に取付固定することができる。また電装ベース42は、突起部3fと底壁14bとに接当させることができ、制御盤9の左右及び前後方向の揺れを簡潔な構成によって防止するように固定される。
【0072】
このとき制御盤9は、振動を避けたい電装部品や制御部品部44並びに多くの配線を有する電装部品等を基板43の上位側に配置する。下位側には日常的なメンテナンス作業や機器の操作を要する設定機器47等を配置する。また基板43の最上部には各種配線を纏めて固定する端子部54を設置している。そして、端子部54はモータより延出させた電線58のコネクターと着脱自在に接続している。
【0073】
これにより支柱3は、制御盤9を収納した状態で、左右の開口縁3j,3jに蓋カバー15の左右の係止片15a,15aを係合させることにより、収納スペース41の前方を開放する支柱開口部3hを蓋カバー15によって簡単に閉塞できる。
【0074】
そして、制御盤9を取出し状態にするときは、上記と逆順の動作により蓋カバー15を外したのちボルト52を緩め、その後、該ボルト52を支点に制御盤9を前方回動させる(電装ベース42を、その上端部を支点に下端部を前方回動させる)と、図3で示すように制御盤9の下部側が、大きく支柱3の前方外側に引出されて露出した取出姿勢に切換えることができる。これにより作業者は、露出状態にある制御盤9に対し必要箇所のメンテナンス作業を容易に行うことができる。このとき、設定機器47等は低い位置にあるため、無理な姿勢を要することなく設定変更作業やメンテナンス作業を能率よく行うことができる。
【0075】
以上のように構成される電装品の取付構造は、制御盤9等を従来のもののように支柱3の側方やシートケース4に突出させて設けることなく、且つ制御盤9等を支柱スペース41に対し支柱方向に簡潔で廉価な構造に纏めて設置することができる。また支柱スペース41は支柱方向である上下方向に形成されるので、例えば大きさ等が異なるシートシャッタ1の型式に適応した制御盤9を所望の高さを選択して設置することができ、また空いている箇所には後述する操作部9aや工具並びに取扱説明書等を収納することができるので、利便性を有する多目的スペースとして利用することができる。
【0076】
また制御盤9は、支柱スペース41内に電装ベース42の一端を回動自在に設け、他端を前後方向に引出し回動可能に取付けているので、動きが少ない回動支点側に電装品を配置し短い長さの電線58によりモータ7と接続し、まとまりのよいコンパクトな配線構造にすることができる。また動きが少ない側に配線される電線58並びに各種コード類は、制御盤9を引出し及び収納する回動時の曲げを小さくすることができるので、配線上のトラブルを解消することができる等の特徴がある。
【0077】
次に、操作部9aについて図1〜3図,図7,図8を参照し説明する。
操作部9aは、各支柱3における起立状態での操作が可能な高さ箇所に、スイッチパネル(操作面板)61を、露出状態で設置することにより構成されている。具体的には、操作部9aは、カバー取付け用の開口縁3j側に取付けられるように支柱開口部3hから収納スペース41側に凹んだチャンネル状平断面を有するスイッチ取付板62と、該スイッチ取付板62内側の上下に固設される座金付のナット63に着脱自在に取付けられるスイッチパネル61と、該スイッチパネル61をナット63及び開口縁3jに取付けるビス64等からなる。
【0078】
スイッチパネル61はスイッチ取付板62に対応する長さとし、支柱開口部3hを覆う幅で両側の開口縁3jの表面段部に嵌合する幅に形成される。スイッチ取付板62にはモータ7を正逆回転及び停止操作させる複数の操作スイッチ66を上下方向に取付け、各操作スイッチ66はスイッチパネル61に穿設された操作孔から押動しON,OFF操作自在に設けている。
【0079】
尚、右側の操作部9aのスイッチパネル61には、操作状況を表示するモニタ67を設けている。またスイッチパネル61に設けられる各操作スイッチ類66等のハーネスは、前記配線スペース3gを通して制御盤9に接続されている。
【0080】
上記構成による操作部9aの取付けは、ナット63をスイッチ取付板62の上下端に皿ビス68によって締着したのち、スイッチ取付板62のコ字状断面の両脚部を開口縁3jの溝部3kに嵌合する。そして、スイッチパネル61を正面側から開口縁3jに嵌合させたのち、ビス64を挿入しナット63に締着する。このビス64の締め付けによりスイッチパネル61は、スイッチ取付板62側に引き寄せられ、両者の両側が対応する開口縁3jを強く挟持するので、支柱3に対する操作部9aの取付けを簡単に行うことができる。言換えると、スイッチパネル61とスイッチ取付板62との間に、一対の開口縁3j,3jを挟持させ、両者を締着固定することにより、操作部9aが支柱3に着脱自在に取付固定される。
【0081】
また操作部9aを取付けたのち支柱3は、該操作部9aの上下に形成される支柱開口部3hに対し、開口長さに切断された各蓋カバー15を嵌め込むことにより閉鎖する。これにより支柱3は、支柱開口部3hの全体が閉じられ外観をきれいに仕上げることができる。一方、操作部9aを分解するときは、ビス64を緩めスイッチパネル61を外すと、スイッチ取付板62を開口縁3jとの接合が解除され、これによって操作部9aを、支柱スペース41内で自由に取扱うことができる。
【0082】
これにより図8に点線で示すようにスイッチ取付板62は、溝部3kから離脱させ傾けた状態にすることができ、支柱開口部3hから取出すことができる。従って、上記構成される操作部9aは、カバー取付け用の開口縁3jの内側を利用し、スイッチ取付板62を着脱自在にすることができるので、支柱方向の取付け位置を自由に選択して適正位置に設置することができる等の特徴がある。
【0083】
次に、以上のように構成されるシートガイドを備えたシートシャッタ1の動作及び使用態様等について説明する。
このシートシャッタ1はシート2がシートドラム5に巻き取られ、シート復帰ガイド17のシートストッパ片32にストッパ33が接当する直前の位置を最上昇位置として、シートドラム5の回転を停止するように回転制御する。この最上昇位置においてシート復帰ガイド17の復帰溝31の上方に接地部12を停止させた状態が次の下降のための待機姿勢になる。シートドラム5が繰出し方向に回転してシート2が繰出されると、シート2の両端のガイド突起10は左右の支柱3のインナーレール16に案内されて下降スライドし、接地部12が設置面に接地した位置でシートドラム5が自動停止し、シート2を巾(横)方向に張って弛みを防止した状態で間口を閉鎖する。
【0084】
このシートシャッタ1はシート2が上記閉鎖状態又は昇降動作しているとき、強風を受けて押圧されガイド突起10が係合ガイド21から抜け出ようとする際に、ガイド突起10は係合ガイド21の係合力によって抜け出しが防止され、この時インナーレール16を弾性膜部材26の牽引力(弾力)に抗して内向きにスライド移動させる。
【0085】
また風圧が弱まるとインナーレール16を、弾性膜部材26の弾力によって元のシート張り姿勢に復帰させる。従って、インナーレール16はシート2を風の変化に対し風圧を緩衝しながら張り支持をすることができ、風によるシート外れを防止しながら開閉作動をスムーズにする。
【0086】
また車等の通過体がシート2に衝突した場合に、シート2が前又は後方向に強い外力を受け、インナーレール16が図5で示すようなスライド限界になりシート2がさらに強く押圧される場合に、ガイド突起10は押圧方向に傾き保持体23,23をこじ開けるように作動する。これによりガイド突起10はシート溝23bを開き係合ガイド21から抜け出してインナーレール16から離脱し、シート2は支柱3による支持を失って自由になる。従って、シート2は耐久限界以上の押圧力を回避して損傷を防止することができ、またインナーレール16及びこれと固定された関連部材等もそれ以上の負荷を受けることはない。
【0087】
上記のようにしてインナーレール16から外れたシート2は、シートドラム5の巻取り回転によって元の状態に復帰するが、このときシート2は左右の支柱3間において自由に撓みながらガイド突起10の位置を前後左右にフリーの状態で上昇する。またシートドラム5側のシート2の両側は、巻上時にシート復帰ガイド17の復帰溝31に対し、外れた側の(前側又は後側の)溝口のいずれからか、外れた部分が自動的に引き込まれ、復帰溝31上部のシート溝23bを通る際に撓みを修正されながらシートドラム5に巻取られる。
【0088】
これにより、接地部12がシート復帰ガイド17の復帰溝31の上方で停止した前記最上昇位置において、シート2は自動的に係合ガイド21内に復帰し下降のための待機姿勢になり、シートドラム5の繰出し回転により再下降することができる。
【0089】
またシート2の昇降において、片方のストッパ33がシートストッパ片32に強く接当して、上昇を規制する抵抗が加えられた状態でモータに引っ張られ、シート2の片側が強く引っ張られるような場合には、その側のシート復帰ガイド17とインナーレール16は、下方側を支点として弾性膜部材26に抗して上方側が全体として傾くように揺動する。このとき、弾性膜部材26は、傾斜による変位量だけ支柱方向に比例的に圧縮変形しながら引っ張り方向の負荷を弾力的に分散させるため、シート復帰ガイド17及びインナーレール16の内向き揺動の緩衝性を高める。
【0090】
このようにインナーレール16の左右方向移動が繰り返されるとき、溝空間部14e内で弾性膜部29が内側コーナ部27aと外側コーナ部28aを溝コーナ部14fとガイドコーナ部19aに各位置決めされている弾性膜部材26は、シート2が大きな上昇負荷或いは押圧負荷を受けてインナーレール16を内向きに移動させる内向き引っ張り力に対し外向きに引っ張って対抗する。即ち、膜幅内に複数の屈曲部29a有する弾性膜部29が、その弾力性に抗して蛇腹状に折畳み状となって圧縮され、また負荷の軽減に応じて伸張しながら外向きに引っ張って対抗する。また弾性膜部29は蛇腹状に屈曲して圧縮されるので、移動ストロークに対しインナーレール16を均等的な弾性力で押圧しインナーレール16の左右移動をスムーズにする。
【0091】
このときインナーレール16の大きな内側移動によって弾性膜部29が圧縮されたとしても、該弾性膜部29は溝空間部14eの対角線方向に張設されて前後に十分な撓みを許容する空間部を形成しているので、屈曲部29aが側壁14aに接触することなく損耗が抑制される。また弾性膜部29は圧縮力を主として溝コーナ部14fとガイドコーナ部19aに集中的に加えるので、各コーナ部は弾性膜部材26の位置ずれを規制する。
従って、長期の使用においても弾性膜部材26は牽引力を効率よく発揮するように作用する。
【0092】
また通水性を有しない弾性膜部材26は、溝空間部14eを弾性膜部29の前後で溝内側と溝外側とに仕切るので、洗浄水や雨水並びに塵埃等が溝外側に入り込んでも、溝内側への侵入を確実に防止することができる。
さらに、ゴム材からなる弾性膜部材26は、表面が滑らかで撥水性が高く且つ乾燥し易いため、水道水による吹き付け洗浄が頻繁に行われたり、強風を伴う雨を受けたとしても、水圧による水の浸入も確実に規制することができる。また塵埃や水の付着も少ないため耐久性及びメンテナンス作業性に優れたシートシャッタ1にすることができる。
【0093】
このとき溝空間部14eの対角線方向に張設される弾性膜部29は、その表面側をレール溝14cの開放端側に対面させて臨ませているので、水道水を直接的に受けることができるため付着物の洗い流しが効率よく行われると共に、溝内奥部への遮水を確実にする。従って、日常的に消毒や水による洗浄を必要とされる食品工場のシートシャッタ1として好適に使用することができる等の特徴がある。
【0094】
尚、弾性膜部材26は、図示例の形状に限定されることなく多様な用途に使用されるシートシャッタ1の形態において、例えば内側座面27と外側座面28とを備えない弾力性を有する薄板帯の弾性膜部29にすることができる。この場合には弾性膜部29の膜幅端には、溝コーナ部14fとガイドコーナ部19aとに係合状態で接当させる接当部を形成することが望ましい。
【0095】
また弾性膜部材26は、溝空間部14eに挿入する向きを、例えば図17で示す向きとなるように反転させた状態で挿入セットすることもできる。即ち、この場合には内側コーナー部27aが係合ガイド21の保持体23側に近接すると共に、外側コーナ部28aはガイドコーナ部19aから離れた状態で設置される。
【0096】
さらに、前記各弾性膜部材26はインナーレール16に対し、係合ガイド21の前後において、予め外側座面28をレールベース19に接着しておくこともできる。この場合にはインナーレール16に前後一対の弾性膜部材26を一体化させた状態で、梱包及び搬送を効率よく行うことができる。またアウターレール14への組付けは、係合ガイド21の前後に接着された弾性膜部材26を圧縮した状態で、アウターレール14内に一側から簡単に挿入することができ組立コストを低減することができる。
【0097】
次に、図16を参照しシートケース4に対し電装品を取付ける場合のシートケース4の別実施形態について説明する。
このシートケース4は、前部面壁71と底部壁72とのコーナ部を内側に切欠状に入込ませることにより、電装品73を収納設置することができる収納スペース74を、シートケース4の全長方向に形成している。即ち、収納スペース74は、前部面壁71の下部側を内方に向けて屈曲させた横面部71aと、底部壁72の前部側を上方に向けて屈曲させた縦面部72aとによって形成している。
【0098】
一方、電装品73は前記制御盤9と同様に、各種電装部品を有する基盤43を電装ベース42に取付けており、該電装ベース42を上記縦面部72aに対しビス76によって取付けることにより、電装品73を収納スペース74内に着脱自在に設置できる。そして、この取付け時において予め、透明又は半透明性を有する合成樹脂材製の電装カバー77によって、電装品73の少なくとも外側面を覆った状態で収納スペース74に取付けることが望ましい。
【0099】
図示例の電装カバー77は、その後面側から電装品73を挿入することができ、この状態でカバー後面壁を電装ベース42と縦面部72aとの間に挟み、ビス76を締着することによって取付けるようにしている。これにより電装カバー77は、収納スペース74内で電装品73の前面及び底面並びに側面の全体を覆った状態で、シートケース4の外形から突出させることなく取付けることができる。また合成樹脂材製の電装カバー77の設置によって、シートシャッタ1の外観デザイン性を高めることができる。
【0100】
尚、支柱3内に制御盤9を設置している場合には、電装カバー77内には、検知部9bや設置面を照らすライト73a或いは各種の表示内容を点燈する表示機器73b等を必要により設けることができる。また上記電装カバー77で覆われる電装品73の設置において、シートケース4の下部側を図2のものに対し下側に向けて膨出状に形成すると、十分な大きさの収納スペース74を設けることができるので、この部に対し前記した構成による制御盤9も容易に設置することができる。
【0101】
次に、図17に基づき、弾性膜部材26の別実施形態について、説明する。
インナーレール16と弾性膜部材26は、両者を一体化させた状態で製作することができる。この場合の、インナーレール16と弾性膜部材26によるシート張り機構の別実施形態について以下に説明する。尚、前記実施形態のものと同様な構成及び作用については説明を省略する。
【0102】
係合ガイド21の前後に配置する各弾性膜部材26は、弾性膜部29の基部29bをレールベース19の内側面の前後端寄りに一体的に接合した構成にしている。そして、弾性膜部29は膜幅内に蛇腹状に折畳み自在とする複数の屈曲部29aと、膜端に内側座面27とをインナーレール方向に沿って一連に形成している。言換えると、弾性膜部29のレールベース19側端部が、該レールベース19とともに一体的に異種形成されている。
【0103】
即ち、インナーレール16のレールベース19と一体で形成される弾性膜部材26は、無負荷状態では図17に点線で示すように各屈曲部29aの折畳みが解除されて伸びた状態になる。そして、係合ガイド21の両側において各弾性膜部材26を折畳み圧縮し、インナーレール16と共にアウターレール14内に挿入する。これにより前後の弾性膜部材26はアウターレール14内で、内側座面27を内側溝壁14dに接当させた状態でレールベース19を底壁14b側に押圧しシート2の牽引性を発揮する。
【0104】
またインナーレール16と一体に構成される弾性膜部材26は、弾性膜部29の外側座面28をレールベース19に接着させる作業工程を省略することができるため、部品の種類及び製造コスト並びに搬送コスト等を低減することができる。また図示例のように弾性膜部29は、その基部29bをレールベース19の前後端寄りに配設されても、レールベース19に一体形成されているため位置ずれを生じない。従って、インナーレール16のスムーズな移動を助けシート2の牽引性能を長期間保持する。
【0105】
尚、インナーレール16と弾性膜部材26との一体化製造は、公知の手段からなる硬質合成樹脂材と軟質合成樹脂材とを一つの成形型の各要部毎に同時に供給する異質材混合一体成形法を利用し、押出し又は引抜き加工によって簡単に製作することができる。尚、この加工において、インナーレール16側の成形型部には硬質合成樹脂材が供給され、弾性膜部材26側の成形型部には軟質合成樹脂材が供給されるものであり、両合成樹脂材は弾性膜部29の基部29bとレールベース19の接合部で安定的な材料結合が行われることになる。
【0106】
なお、弾性膜部材26の内側座面27及び外側座面28の両方を形成する場合において、図4等に示す例では、弾性膜部29を、ガイドコーナ部19aと溝コーナ部14fとに亘り、平断面視斜め方向に形成しているが、これを前後反転させて、溝空間部14e内に設けてもよい。具体的には、弾性膜部29の一端部が、平断面視、溝空間部14eを挟んで、ガイドコーナ部19aの前後反対側に位置する一方で、弾性膜部29の他端部が、平断面視、溝空間部14eを挟んで、溝コーナ部14fの前後反対側に位置した状態になる。
【符号の説明】
【0107】
2 シート
3 支柱
3h 支柱開口部
3j 開口縁
4 シートケース
5 シートドラム
9 制御盤(シャッタ電装品)
9a 操作部(シャッタ電装品)
11 シートガイド部
41 支柱スペース(収納スペース)
42 電装ベース
61 スイッチパネル
62 スイッチ取付板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にシート(2)を上下方向に巻取り且つ繰出すシートドラム(5)を回転自在に横方向に軸支するシートケース(4)と、該シートケース(4)の左右両端部に配置される支柱(3)とを備え、シート(2)を昇降案内するシートガイド部(11)を前記支柱(3)の左右内側箇所に設け、シートドラム(5)の回転を制御する制御盤(9)又は該回転を操作する操作部(9a)からなるシャッタ電装品を有するシートシャッタにおいて、前記支柱(3)内におけるシートガイド部(11)よりも左右外側に、シャッタ電装品を支柱(3)の方向に沿わせて着脱可能に収納して支持する収納スペース(41)を形成したシートシャッタ。
【請求項2】
制御盤(9)に設けられた電装ベース(42)を支柱(3)に取付ける請求項1のシートシャッタ。
【請求項3】
電装ベース(42)を配線状態が保持された状態で支柱(3)の外側に引出し可能なように該電装ベース(42)を支柱(3)に支持した請求項2記載のシートシャッタ。
【請求項4】
全体が回動可能なように電装ベース(42)の一端側を支柱(3)の収納スペース(41)内に支持し、電装ベース(42)を回動させて他端側を支柱(3)から引出す請求項3記載のシートシャッタ。
【請求項5】
支柱(3)内における左右外側寄りに、支柱(3)内の断面積の2分の1以上の空間を占めるように、前記収納スペース(41)を形成した請求項1乃至4の何れかに記載のシートシャッタ。
【請求項6】
収納スペース(41)を開放させる上下方向の支柱開口部(3h)を、支柱(3)の正面側に形成した請求項1乃至5の何れかに記載のシートシャッタ。
【請求項7】
前記支柱開口部(3h)の開口縁(3j)側に、収納スペース(41)内に窪むチャンネル状の平断面を有するスイッチ取付板(62)を着脱自在に取付けた請求項6記載のシートシャッタ。
【請求項8】
前記スイッチ取付板(62)と、スイッチパネル(61)との間に支柱開口部(3h)の開口縁(3j)を挟持することによって、該スイッチ取付板(62)を支柱(3)に取付けた請求項7記載のシートシャッタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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