説明

シートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造

【課題】ビークルセンサの作動時の車室内騒音を低減させる。
【解決手段】センサレバー7は、爪8が歯車5の歯6,6の間に食い込む位置までセンサ
ウエイト11によって回動させられると、ケース3に当接してセンサレバー7の回動を規
制する弾性変形可能な回動規制突起50が形成されている。ケース3には、回動規制突起
50によって回動規制されたセンサレバー7との間に隙間(δ1)が生じるように位置す
るレバーストッパ42が形成されている。センサレバー7の回動中心47から回動規制突
起50とケース3の当接位置P1までの距離をL1とし、センサレバー7の回動中心47
からセンサレバー7とレバーストッパ42の当接位置P2までの距離をL2とすると、L
1<L2となるように、回動規制突起50がセンサレバー7に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両に装備されているシートベルトリトラクタ用ビークルセン
サの取付部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に装備されているシートベルトリトラクタは、衝突時等における車両の
速度変化をビークルセンサで検知すると、ウェビング(ベルト)の引き出しを停止(ロッ
ク)するようになっている(特許文献1参照)。
【0003】
図36は、シートベルトリトラクタに装着されるビークルセンサ(シートベルトリトラ
クタ用ビークルセンサ)100を示すものである。
【0004】
この図36に示すように、ビークルセンサ100は、車両の平常時(停止時や急激な速
度変化がない走行時)に、センサウエイト(金属製の球状質量体)101がセンサホルダ
102内の安息位置(センサウエイト保持穴)103に保持され、作動することがない。
【0005】
一方、図37に示すように、ビークルセンサ100は、車両の衝突等によって車両走行
速度が急激に変化し、センサウエイト101に作用する加速度が所定値以上になると、セ
ンサウエイト101が慣性によってセンサホルダ102内の安息位置103から抜け出て
センサホルダ102内を移動し、センサウエイト101がセンサレバー104を押し上げ
て(回動させて)、センサレバー104の先端に形成した爪105をウェビング巻き取り
ドラムに取り付けた歯車106の歯107,107の間に食い込ませる。この際(ビーク
ルセンサの作動時)、ビークルセンサ100のセンサレバー104は、ウェビングが引き
出し方向へ引っ張られ、ウェビング巻き取りドラムに取り付けた歯車106によってさら
に回動させられると、ビークルセンサ100が取り付けられたシートベルトリトラクタの
ケース108のレバーストッパ110に押し当てられ、センサレバー104の変形がレバ
ーストッパ110によって阻止される。その結果、ビークルセンサ100は、ウェビング
の引き出し方向への歯車106の回転をロックすることができ、ウェビング巻き取りドラ
ムのロック(ウェビングのロック)を始動できる。
【0006】
また、ビークルセンサ100は、車両が振動したり、車両の急激な姿勢変化があった場
合に、センサレバー104がセンサウエイト101によって持ち上げられると、センサレ
バー104の先端部がレバーストッパ110に衝突することによって回動規制されるよう
になっている。
【0007】
ところが、近年、自動車の車室内の静粛化が進み、センサレバー104とレバーストッ
パ110の衝突音がシートベルト装着者に感知されやすくなってきたため、センサレバー
104とレバーストッパ110の衝突音に起因する車室内騒音の低減が課題となっている

【0008】
このような課題を解決するためには、特許文献2に開示されたように、センサレバー1
04の表面をエラストマーで被覆し、センサレバー104とレバーストッパ110との衝
突時の衝撃をエラストマーで緩和し、ビークルセンサ100の作動時の騒音を低減するこ
とが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−212086号公報
【特許文献2】特開平7−101311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、センサレバー104の先端とレバーストッパ110との当接位置がセン
サレバーの回動中心から離れており、センサレバー104の先端がレバーストッパ110
に衝突する速度が大きく、センサレバー104とレバーストッパ110の衝突音を十分に
低減することができなかった。
【0011】
そこで、本発明は、センサレバーとレバーストッパを衝突させることなく、センサレバ
ーの回動規制をすることができようにし、ビークルセンサの作動時の車室内騒音を十分に
低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、図1乃至図11に示すように、(1)合成樹脂製のセンサホルダ1
0内に収容したセンサウエイト11が慣性によって前記センサホルダ10内を移動すると
、前記センサホルダ10に回動可能に支持された合成樹脂製のセンサレバー7が前記セン
サウエイト11によって持ち上げられる方向に回動させられて、前記センサレバー7の爪
8がウェビング巻き取りドラムに取り付けた歯車5の歯6,6の間に食い込み、前記歯車
5のウェビング引き出し方向への回転を規制するようになっているシートベルトリトラク
タ用ビークルセンサ1と、(2)前記ウェビング巻き取りドラムが回動可能に支持される
と共に、前記シートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1が取り付けられた合成樹脂製の
ケース3と、を備えたシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造に関する
ものである。この発明において、前記センサレバー7には、前記爪8が前記歯車5の歯6
,6の間に食い込む位置まで前記センサウエイト11によって回動させられると、前記ケ
ース3に当接して前記センサレバー7の回動を規制する弾性変形可能な回動規制突起50
が形成されている。また、前記ケース3には、前記回動規制突起50によって回動規制さ
れた前記センサレバー7との間に隙間(δ1)が生じるように位置するレバーストッパ4
2が形成されている。また、前記回動規制突起50は、前記ケース3に当接した後、更に
前記センサレバー7を回動させる方向の力が前記歯車5を介して作用すると、前記ケース
3に押し付けられた状態で弾性変形し、前記センサレバー7が前記隙間(δ1)の分だけ
回動して前記レバーストッパ42に当接するのを可能にする。そして、前記センサレバー
7の回動中心47から前記回動規制突起50と前記ケース3の当接位置P1までの距離を
L1とし、前記センサレバー7の回動中心47から前記センサレバー7と前記レバースト
ッパ42の当接位置P2までの距離をL2とすると、L1<L2となるように、前記回動
規制突起50が前記センサレバー7に形成されている。
【0013】
請求項2の発明は、図12乃至図24に示すように、(1)合成樹脂製のセンサホルダ
10内に収容したセンサウエイト11が慣性によって前記センサホルダ10内を移動する
と、前記センサホルダ10に回動可能に支持された合成樹脂製のセンサレバー7が前記セ
ンサウエイト11によって持ち上げられる方向に回動させられて、前記センサレバー7の
爪8がウェビング巻き取りドラムに取り付けた歯車5の歯6,6の間に食い込み、前記歯
車5のウェビング引き出し方向への回転を規制するようになっているシートベルトリトラ
クタ用ビークルセンサ1と、(2)前記ウェビング巻き取りドラムが回動可能に支持され
ると共に、前記シートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1が取り付けられた合成樹脂製
のケース3と、を備えたシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造に関す
るものである。この発明において、前記センサホルダ10には、前記爪8が前記歯車5の
歯6,6の間に食い込む位置まで前記センサウエイト11によって回動させられると、前
記センサレバー7に当接して前記センサレバー7の回動を規制する弾性変形可能な回動規
制突起52が設けられている。また、前記ケース3には、前記回動規制突起52によって
回動規制された前記センサレバー7との間に隙間(δ1)が生じるように位置するレバー
ストッパ42が形成されている。また、前記回動規制突起52は、前記センサレバー7に
当接した後、更に前記センサレバー7を回動させる方向の力が前記歯車5を介して作用す
ると、前記センサレバー7によって弾性変形させられ、前記センサレバー7が前記隙間(
δ1)の分だけ回動して前記レバーストッパ42に当接するのを可能にする。そして、前
記センサレバー7の回動中心47から前記回動規制突起52と前記センサレバー7の当接
位置P1までの距離をL1とし、前記センサレバー7の回動中心47から前記センサレバ
ー7と前記レバーストッパ42の当接位置P2までの距離をL2とすると、L1<L2と
なるように、前記回動規制突起52が前記センサホルダ10に設けられている。
【0014】
請求項3の発明は、図24乃至図35に示すように、(1)合成樹脂製のセンサホルダ
10内に収容したセンサウエイト11が慣性によって前記センサホルダ10内を移動する
と、前記センサホルダ10に揺動可能に支持された合成樹脂製のセンサレバー7が前記セ
ンサウエイト11によって持ち上げられる方向に回動させられて、前記センサレバー7の
爪8がウェビング巻き取りドラムに取り付けた歯車5の歯6,6の間に食い込み、前記歯
車5のウェビング引き出し方向への回転を規制するようになっているシートベルトリトラ
クタ用ビークルセンサ1と、(2)前記ウェビング巻き取りドラムが回動可能に支持され
ると共に、前記シートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1が取り付けられた合成樹脂製
のケース3と、を備えたシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造に関す
るものである。この発明において、前記センサホルダ10には、前記センサレバー7の支
持軸15を揺動可能に収容する軸穴27が形成されている。また、前記センサレバー7に
は、前記爪8が前記歯車5の歯6,6の間に食い込む位置まで前記センサウエイト11に
よって回動させられると、前記軸穴27の弾性変形部57に当接して前記センサレバー7
の回動を規制する回動規制突起58が形成されている。また前記ケース3には、前記回動
規制突起58によって回動規制された前記センサレバー7との間に隙間(δ1)が生じる
ように位置するレバーストッパ42が形成されている。また、前記軸穴27の前記弾性変
形部57は、前記支持軸15の前記回動規制突起58が当接した後、更に前記センサレバ
ー7を回動させる方向の力が前記歯車5を介して作用すると、前記支持軸15の前記回動
規制突起58によって弾性変形させられ、前記センサレバー7が前記隙間(δ1)の分だ
け回動して前記レバーストッパ42に当接するのを可能にする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、センサレバーのうちの回動中心から近い部分である回動規制
突起をケースに衝突させ、その回動規制突起を弾性変形させることにより、センサレバー
の衝突時における衝撃を回動規制突起で吸収し、センサレバーのうちの回動中心から遠い
部分をレバーストッパに衝突させないようにしてあるため、ビークルセンサの作動時にお
ける車室内騒音を抑えることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、センサレバーのうちの回動中心から近い部分をセンサホルダ
に設けられた回動規制突起に衝突させ、その回動規制突起を弾性変形させることにより、
センサレバーの衝突時の衝撃を回動規制突起で吸収し、センサレバーのうちの回動中心か
ら遠い部分をレバーストッパに衝突させないようにしてあるため、ビークルセンサの作動
時における車室内騒音を抑えることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、センサレバーの支持軸に形成した回動規制突起をセンサホル
ダの軸穴の弾性変形部に衝突させ、その弾性変形部を弾性変形させることにより、センサ
レバーの衝突時の衝撃を弾性変形部で吸収し、センサレバーのうちの回動中心から遠い部
分をレバーストッパに衝突させないようにしてあるため、ビークルセンサの作動時におけ
る車室内騒音を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造を示すシートベルトリトラクタの一部断面図である。
【図2】車両の平常時(停止時や急激な速度変化がない走行時)における第1実施形態に係るビークルセンサの正面図であって、図2(a)がビークルセンサの組立状態図であり、図2(b)がビークルセンサの分解図である。
【図3】図2に示したビークルセンサの縦断面図であって、図3(a)がビークルセンサの組立状態における縦断面図であり、図3(b)がビークルセンサの分解時における縦断面図である。
【図4】第1実施形態に係るビークルセンサのセンサホルダを示す図であって、図4(a)がセンサホルダの正面図、図4(b)がセンサホルダの左側面図、図4(c)がセンサホルダの背面図、図4(d)がセンサホルダの平面図、図4(e)がセンサホルダの裏面(下面)図である。
【図5】第1実施形態に係るセンサホルダの縦断面図であり、図4(d)のA1−A1線に沿って切断して示すセンサホルダの断面図である。
【図6】図6(a)が第1実施形態に係るビークルセンサの第1作動状態を示す縦断面図であり、図6(b)が第1実施形態に係るビークルセンサの第2作動状態を示す縦断面図である。
【図7】第1実施形態に係るビークルセンサのセンサレバーを示す図であって、図7(a)がセンサレバーの背面図、図7(b)がセンサレバーの平面図、図7(c)がセンサウエイト押さえの下面側に直交する方向から見たセンサレバーの裏面(下面)図、図7(d)が図7(a)に示したセンサレバーの左側面図、図7(e)が図7(a)で示したセンサレバーの右側面図である。
【図8】図8(a)が図7に示したセンサレバーの正面図であり、図8(b)が図8(a)に示したセンサレバーの縦断面図である。
【図9】第1実施形態に係るビークルセンサを備えたシートベルトリトラクタの第1の作動状態を示す一部断面図である。
【図10】第1実施形態に係るビークルセンサを備えたシートベルトリトラクタの第2の作動状態を示す一部断面図である。
【図11】第1実施形態の変形例に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造を示すシートベルトリトラクタの一部断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造を示すシートベルトリトラクタの一部断面図である。
【図13】車両の平常時(停止時や急激な速度変化がない走行時)における第2実施形態に係るビークルセンサの正面図であって、図13(a)がビークルセンサの組立状態図であり、図13(b)がビークルセンサの分解図である。
【図14】図13に示したビークルセンサの縦断面図であって、図14(a)がビークルセンサの組立状態における縦断面図であり、図14(b)がビークルセンサの分解時における縦断面図である。
【図15】第2実施形態に係るビークルセンサのセンサホルダを示す図であって、図15(a)がセンサホルダの正面図、図15(b)がセンサホルダの左側面図、図15(c)がセンサホルダの背面図、図15(d)がセンサホルダの平面図、図15(e)がセンサホルダの裏面(下面)図である。
【図16】第2実施形態に係るセンサホルダの縦断面図であり、図15(d)のA2−A2線に沿って切断して示すセンサホルダの断面図である。
【図17】図17(a)が第2実施形態に係るビークルセンサの第1作動状態を示す縦断面図であり、図17(b)が第2実施形態に係るビークルセンサの第2作動状態を示す縦断面図である。
【図18】第2実施形態に係るビークルセンサのセンサレバーを示す図であって、図18(a)がセンサレバーの背面図、図18(b)がセンサレバーの平面図、図18(c)がセンサウエイト押さえの下面側に直交する方向から見たセンサレバーの裏面(下面)図、図18(d)が図18(a)に示したセンサレバーの左側面図、図18(e)が図18(a)で示したセンサレバーの右側面図である。
【図19】図19(a)が図18に示したセンサレバーの正面図であり、図19(b)が図19(a)に示したセンサレバーの縦断面図である。
【図20】第2実施形態に係るビークルセンサを備えたシートベルトリトラクタの第1の作動状態を示す一部断面図である。
【図21】第2実施形態に係るビークルセンサを備えたシートベルトリトラクタの第2の作動状態を示す一部断面図である。
【図22】第2実施形態の変形例に係るビークルセンサを示す図であり、図22(a)がビークルセンサの組立状態における縦断面図であり、図22(b)がビークルセンサの分解時における縦断面図である。
【図23】第2実施形態の変形例に係るビークルセンサを備えたシートベルトリトラクタの第1の作動状態を示す一部断面図である。
【図24】第2実施形態の変形例に係るビークルセンサを備えたシートベルトリトラクタの第2の作動状態を示す一部断面図である。
【図25】本発明の第3実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造を示すシートベルトリトラクタの一部断面図である。
【図26】車両の平常時(停止時や急激な速度変化がない走行時)における第3実施形態に係るビークルセンサの正面図であって、図26(a)がビークルセンサの組立状態図であり、図26(b)がビークルセンサの分解図である。
【図27】図26に示したビークルセンサの縦断面図であって、図27(a)がビークルセンサの組立状態における縦断面図であり、図27(b)がビークルセンサの分解時における縦断面図である。
【図28】第3実施形態に係るビークルセンサのセンサホルダを示す図であって、図28(a)がセンサホルダの正面図、図28(b)がセンサホルダの左側面図、図28(c)がセンサホルダの背面図、図28(d)がセンサホルダの平面図、図28(e)がセンサホルダの裏面(下面)図である。
【図29】図29(a)が第3実施形態に係るビークルセンサの第1作動状態を示す縦断面図であり、図29(b)が第3実施形態に係るビークルセンサの第2作動状態を示す縦断面図である。
【図30】第3実施形態に係るビークルセンサのセンサレバーを示す図であって、図30(a)がセンサレバーの背面図、図30(b)がセンサレバーの平面図、図30(c)がセンサウエイト押さえの下面側に直交する方向から見たセンサレバーの裏面(下面)図、図30(d)が図30(a)に示したセンサレバーの左側面図、図30(e)が図30(a)で示したセンサレバーの右側面図である。
【図31】第3実施形態に係るビークルセンサを備えたシートベルトリトラクタの第1の作動状態を示す一部断面図である。
【図32】第3実施形態に係るビークルセンサを備えたシートベルトリトラクタの第2の作動状態を示す一部断面図である。
【図33】図26に示した車両の平常時におけるセンサレバーの姿勢に対応する支持軸と軸穴との関係を示す図である。
【図34】図25、図31に示したセンサレバーの姿勢に対応する支持軸と軸穴との関係を示す図である。
【図35】図33(b)と図34(b)を重ね合わせて示す図である。
【図36】従来のシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造を示すシートベルトリトラクタの一部断面図であり、ビークルセンサ作動前の状態を示す図である。
【図37】従来のシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造を示すシートベルトリトラクタの一部断面図であり、ビークルセンサ作動時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1(以
下、ビークルセンサと略称する)の取付部構造を説明するための図である。
【0021】
この図1に示すように、ビークルセンサ1は、ウェビング巻き取りドラムの回転軸2を
回動可能に支持するケース3のセンサ収容室4内に取り付けられている。そして、ビーク
ルセンサ1は、車両衝突時等の車両の急激な速度変動を検知すると、ウェビング巻き取り
ドラムの回転軸2と同軸上に取り付けられた歯車5の歯6,6の間にセンサレバー7の爪
8を食い込ませて、歯車5がウェビング引き出し方向に回転するのを阻止し、ウェビング
巻き取りドラムの図示しないロック機構(ウェビングのロック機構)の始動を可能にする
。なお、センサレバー7の爪8と歯車5は、ラチェット機構を構成する。
【0022】
(ビークルセンサの全体構成)
図2乃至図3は、ビークルセンサ1を示す図である。このうち、図2は、車両の平常時
(停止時や急激な速度変化がない走行時)におけるビークルセンサ1の正面図であって、
図2(a)がビークルセンサ1の組立状態図であり、図2(b)がビークルセンサ1の分
解図である。また、図3は、図2に示したビークルセンサ1の縦断面図であって、図3(
a)がビークルセンサ1の組立状態における縦断面図であり、図3(b)がビークルセン
サ1の分解時における縦断面図である。
【0023】
これらの図に示すように、ビークルセンサ1は、合成樹脂製のセンサホルダ10と、こ
のセンサホルダ10内に収容される金属で球形状に形成されたセンサウエイト11と、セ
ンサホルダ10に一端が揺動可能に取り付けられてセンサウエイト11上に乗せられる合
成樹脂製のセンサレバー7と、で構成されている。
【0024】
(ビークルセンサのセンサホルダ)
センサホルダ10は、図2乃至図6に示すように、上方(Z軸に沿った方向)に向けて
開口する有底のセンサウエイト収容凹部12と、センサレバー7の一端側の両側面13,
14から突出する支持軸15,16を回動可能に支持する一対の支持脚部17,18と、
を有している(図7乃至図8参照)。
【0025】
センサウエイト収容凹部12は、X−Y方向と平行な平坦面であって且つ平面視した形
状が円形である底面20が形成され、この底面20の中央にセンサウエイト11を着座さ
せるためのテーパ状の座繰り面21が形成されると共に、座繰り面21の底面側開口縁よ
りも小径で且つ座繰り面21と同心の貫通穴22がセンサウエイト収容凹部12の内部空
間を外部空間に連通するように形成されている。そして、センサウエイト収容凹部12に
形成された貫通穴22の座繰り面側開口縁23が、センサウエイト11をセンサウエイト
収容凹部12の中央に保持するようになっている。また、このセンサウエイト収容凹部1
2に形成された貫通穴22の座繰り面側開口縁23は、センサウエイト11に作用する慣
性力が所定以上になるまで、センサウエイト11をセンサウエイト収容凹部12の中央に
保持するセンサウエイト11の安息位置となっている。したがって、センサウエイト11
は、車両の平常時に、センサウエイト収容凹部12の中央(安息位置)から離れることが
なく、センサウエイト収容凹部12内を移動することがない(図3(a)参照)。
【0026】
また、センサウエイト収容凹部12は、底面20と平行となるように形成されたセンサ
ホルダ10の上面24からZ軸(底面20に直交する方向)に沿って延びる円筒状の側壁
面25が略テーパ形状のコーナー面26を介して底面20に接続されている。そして、セ
ンサウエイト収容凹部12の内部空間は、底面20,座繰り面21,コーナー面26及び
側壁面25によって形作られている。ここで、側壁面25は、平面視した形状が底面20
と同心円となるように形成され、センサウエイト収容凹部12の中央に保持されたセンサ
ウエイト11との間に等間隔の隙間が生じるように形成されており、センサウエイト収容
凹部12の中央に保持されたセンサウエイト11がその隙間分だけセンサウエイト収容凹
部12内を移動することができるようになっている。また、コーナー面26は、センサウ
エイト11に接触することがないように形成されている。
【0027】
一対の支持脚部17,18は、センサホルダ10の上面24からZ軸方向(上方)に向
かって突出するように形成されており、センサレバー7の支持軸15,16を揺動可能に
収容する軸穴27,28が形成されている(図7,図8参照)。この一対の支持脚部17
,18は、センサレバー7の支持軸15,16を軸穴27,28に嵌合する際に、互いに
離間する方向へ撓み変形できるようになっており、センサレバー7の支持軸15,16を
軸穴27,28に嵌合した後、元の姿勢に弾性復元するようになっている(図7,図8参
照)。その結果、センサレバー7の支持軸15,16は、一対の支持脚部17,18の軸
穴27,28から抜け出すことなく、一対の支持脚部17,18の軸穴27,28に揺動
可能に支持される。なお、一対の支持脚部17,18は、一方の支持脚部18が他方の支
持脚部17よりもZ軸方向の長さが長く且つ撓み変形し易く形成されている。また、一方
の支持脚部18は、その上端側で且つ他方の支持脚部17に対向する側が傾斜面30にな
っており、センサレバー7の支持軸16が傾斜面30に沿って移動させられるだけで(他
方の支持脚部17との間に押し込まれるだけで)、容易に撓み変形させられ、センサレバ
ー7の支持軸15,16と軸穴27,28の係合が容易になるように工夫されている。ま
た、一方の支持脚部18の軸穴28と他方の支持脚部17の軸穴27は、その大きさ(穴
径)がセンサレバー7の支持軸16,15の太さ(軸径)に応じて異なるように形成され
ており、センサレバー7がセンサホルダ10に正しい姿勢で組み付けられるように工夫さ
れている。
【0028】
また、センサホルダ10は、その両側面31,32に位置決め突起33,34が形成さ
れている。この位置決め突起33,34は、ケース3のセンサ収容室4に形成されたガイ
ドレールとしての位置決め凹部35,36に係合されるようになっている(図1参照)。
そして、ビークルセンサ1は、センサホルダ10の位置決め突起33,34がセンサ収容
室4の位置決め凹部35,36に係合された状態でセンサ収容室4内に装着されると、歯
車5に対して位置決めされた状態でセンサ収容室4内に保持されることになる(図1参照
)。
【0029】
また、センサホルダ10は、センサレバー7の回動ストッパ37が上面24に当接する
まで最大限回動しても、センサウエイト11がセンサレバー7との隙間から抜け出すこと
がないように、センサウエイト収容凹部12の深さが決定されている(図6参照)。
【0030】
(ビークルセンサのセンサレバー)
センサレバー7は、図7乃至図8に示すように、その一端側の両側面13,14に、セ
ンサホルダ10の支持脚部17,18の軸穴27,28に揺動可能に嵌合される支持軸1
5,16がそれぞれ形成されている(図2、図4参照)。また、センサレバー7の他端側
には、センサホルダ10内に収容されたセンサウエイト11に乗せられるセンサウエイト
押さえ38が形成されている。このセンサウエイト押さえ38の下面側には、略円錐台形
状のセンサウエイト収容面(凹面)40が形成されており、このセンサウエイト収容面4
0がセンサウエイト11の表面に接触するようになっている(図3、図6参照)。また、
センサレバー7は、その他端側の上面に爪8が突出形成されており、その爪8の先端側が
鋭角に形成され、爪8の先端側を歯車5の歯6,6の間に食い込ませることができるよう
になっている(図1参照)。このセンサレバー7の爪8は、センサウエイト押さえ38と
支持軸15,16とを接続するアーム部41の幅寸法よりも小さい幅寸法となるように、
舌片状に形成されている(特に、図7(a)〜(c)参照)。
【0031】
また、センサレバー7の一端側の下面には、回動ストッパ37が突出形成されている。
このセンサレバー7の回動ストッパ37は、図6(a),(b)に示すように、ケース3
のセンサ収容室4内に収容される前の状態(例えば、ビークルセンサ1の運搬時やハンド
リング時)において、センサレバー7が自重に反して持ち上げられるように回動させられ
ると、センサホルダ10の上面24に当接して、センサレバー7の回動(図6中における
反時計回り方向への回動)を阻止し、センサウエイト11がセンサホルダ10の上面24
とセンサレバー7との隙間から抜け出るのを防止するようになっている。
【0032】
また、センサレバー7のアーム部41の上面には、弾性変形が可能な棒状の回動規制突
起50が一体に形成されている。この回動規制突起50は、アーム部41に接続された基
端が爪8と支持軸15,16の間に位置し、略球面形状の先端が基端よりも支持軸15,
16寄りに位置するように、斜め上方(図7(a)における右斜め上方)へ向かって起立
するように形成されている。また、この回動規制突起50は、アーム部41の幅方向(図
7(b)におけるY軸に沿った方向)の中央に位置するように形成され、且つ、爪8の幅
方向の中央位置にも合致するように形成されている。
【0033】
そして、この回動規制突起50は、センサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内
を移動するセンサウエイト11によってセンサレバー7が持ち上げられ(図1及び図9の
反時計回り方向へ回動させられ)、センサレバー7の爪8が歯車5の歯6,6の間に食い
込む位置まで回動すると、先端がセンサ収容室4の上部壁面51に当接する。この回動規
制突起50が上部壁面51に当接した際に、センサレバー7とレバーストッパ42との間
に隙間(δ1)が生じ、センサレバー7の回動ストッパ37とセンサホルダ10の上面2
4との間に隙間(δ2(但し、δ2≧δ1))が生じるように、センサホルダ10,セン
サレバー7及びレバーストッパ42が形成されている。
【0034】
また、回動規制突起50は、上部壁面51に当接した後、更にセンサレバー7が回動(
センサウエイト11の振動運動等によって持ち上げられる方向へ回動)すると、センサレ
バー7の回動を阻止する方向へ弾性変形力を作用させ、センサレバー7の回動を規制する
。その結果、センサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内に収容されたセンサウエ
イト11に車両振動等に起因する慣性力が作用しても、そのセンサウエイト11に回動規
制突起50の弾性力がセンサレバー7を介して作用し、センサホルダ10のセンサウエイ
ト収容凹部12内におけるセンサウエイト11の振動が抑えられ、センサウエイト11と
センサホルダ10の衝突音の発生が抑えられる。
【0035】
また、回動規制突起50は、センサレバー7がセンサウエイト11によって持ち上げら
れて上部壁面51に衝突しても、センサレバー7及びセンサウエイト11の運動エネルギ
ーを弾性変形して吸収することができるため、上部壁面51との衝突音の発生を抑えるこ
とができる。
【0036】
図9及び図10に示すように、センサレバー7は、回動規制突起50が上部壁面51に
当接した後、ウェビング引き出し方向へ回動する歯車5の歯6に押されると、センサレバ
ー7とレバーストッパ42との間の隙間(δ1)分だけ回動規制突起50を弾性変形させ
ながら回動し、爪8がレバーストッパ42に当接することにより回動を停止する。その結
果、センサレバー7の爪8は、歯車5の歯6,6の間に食い込むのが規制されると共に、
レバーストッパ42と歯車5の歯6によって挟持(ロック)される。
【0037】
ここで、センサレバー7の回動中心47から回動規制突起50と上部壁面51の当接位
置P1までの距離をL1とし、センサレバー7の回動中心47から爪8とレバーストッパ
42の当接位置P2までの距離をL2とすると、L1<L2となるように、ケース3とビ
ークルセンサ1が形成されている。これにより、センサレバー7の回動規制突起50と上
部壁面51との衝突時の衝撃力は、回動規制突起50と上部壁面51との当接位置P1に
おけるセンサレバー7の揺動時の速度がセンサレバー7とレバーストッパ42との当接位
置P2におけるセンサレバー7の揺動時の速度よりも小さくなるため、センサレバー7と
レバーストッパ42の衝突時の衝撃力よりも小さくすることができる。すなわち、本実施
形態によれば、センサレバー7とレバーストッパ42の当接部分に衝突緩衝用の工夫を施
す場合に比較し、ビークルセンサ1の作動音をより一層効果的に抑えることが可能になる

【0038】
(ケースのレバーストッパ)
図1に示すように、合成樹脂で形成されたケース3のセンサ収容室4の上部には、合成
樹脂製のレバーストッパ42が一体に形成されている。そして、レバーストッパ42の先
端とセンサ収容室4の上部開口縁45との間には、センサ収容室4内に装着したビークル
センサ1のセンサレバー7の爪8が歯車5の歯6,6の間に食い込む位置まで突出するこ
とを可能にする窓44が形成されている。
【0039】
このレバーストッパ42は、センサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内を移動
するセンサウエイト11によってセンサレバー7が持ち上げられ、センサレバー7の回動
規制突起50が上部壁面51に当接した際に、センサレバー7の爪8との間に隙間(δ1
)が生じており(図9参照)、回動規制突起50が所定量撓み変形(弾性変形)した後に
センサレバー7の爪8に当接し、センサレバー7の回動を阻止して、歯車5の歯6,6の
間への爪8の食い込みを規制すると共に、歯車5の歯6との間にセンサレバー7の爪8を
挟持(ロック)するようになっている(図9,図10参照)。
【0040】
(ビークルセンサの作動)
図3(a)に示すように、ビークルセンサ1は、車両の平常時(停止時や急激な速度変
化がない走行時)に、センサウエイト11がセンサホルダ10内の安息位置(センサウエ
イト保持穴として機能する貫通穴22であって、特に、貫通穴22の座繰り面側開口縁2
3)に保持され、作動することがない。
【0041】
一方、図1及び図9に示すように、ビークルセンサ1は、車両の衝突等によって車両走
行速度が急激に変化し、センサウエイト11に作用する加速度が所定値以上になると、セ
ンサウエイト11が慣性によってセンサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内の安
息位置23から移動し、センサウエイト11がセンサレバー7を押し上げながら(回動さ
せながら)、センサウエイト収容凹部12内を移動する。
【0042】
このビークルセンサ1は、センサレバー7の回動規制突起50がケース3の上部壁面5
1に衝突すると、そのセンサレバー7の運動エネルギーを回動規制突起50が弾性変形し
て吸収することができ、センサレバー7とケース3との衝突音を抑えることができる(図
9参照)。
【0043】
また、このビークルセンサ1は、回動規制突起50とケース3の上部壁面51とが当接
する位置までセンサレバー7が回動すると、センサウエイト11によって持ち上げられた
センサレバー7の爪8がウェビング巻き取りドラムに取り付けた歯車5の歯6,6の間に
食い込む(図1及び図9参照)。そして、ビークルセンサ1は、ウェビング引き出し方向
の力(センサレバー7の爪8を持ち上げる方向の力)が歯車5を介してセンサレバー7に
作用すると、回動規制突起50が撓み変形(弾性変形)し、センサレバー7がレバースト
ッパ42に当接するまで回動して、センサレバー7の爪8が歯車5の爪6とレバーストッ
パ42とによって挟持(ロック)され、歯車5のウェビング引き出し方向への回転をセン
サレバー7によって阻止することができる(図10参照)。その結果、ビークルセンサ1
は、ウェビング巻き取りドラムのロック機構(ウェビングのロック機構)を始動させるこ
とが可能になる。
【0044】
なお、図1,図6,図9及び図10に示すビークルセンサ1の作動状態において、セン
サウエイト11に慣性力が作用しなくなると、センサレバー7は、図外のばねによってウ
ェビング巻き戻し方向に回動付勢される歯車5で押圧されて揺動角度を減じる方向へ回動
すると共に、自重や回動規制突起50の弾性力によって揺動角度を減じる方向へ回動する
。その結果、センサウエイト11は、センサレバー7に押されてセンサホルダ10内の安
息位置23に戻される(図3(a)参照)。
【0045】
(本実施形態の効果)
本実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造によれば、
センサレバー7の弾性変形可能な回動規制突起50をケースの上部壁面51に衝突させる
ようになっており、センサレバー7の回動中心47から回動規制突起50と上部壁面51
の当接位置P1までの距離L1がセンサレバー7の回動中心47からセンサレバー7の爪
8とレバーストッパ42との当接位置P2までの距離L2よりも短いため、センサレバー
7の爪8をレバーストッパ42に当接させる場合に比較し、センサレバー7が他部材(ケ
ース3の上部壁面51)に衝突する際の速度を小さくすることができ、ビークルセンサ1
の作動時における騒音を抑えることができる。
【0046】
また、本実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造によ
れば、センサレバー7の回動規制突起50がケース3の上部壁面51に衝突した後、回動
規制突起50が弾性変形することによりセンサレバー7の爪8がレバーストッパ42に当
接するようになっているため、センサレバー7の回動支点としての支持軸15,16に過
度な負荷が作用せず、支持軸15,16の偏摩耗等に起因するビークルセンサ1の作動不
良を生じることがない。
【0047】
(第1実施形態の変形例)
図11は、第1実施形態の変形例に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の
取付部構造を説明するための図である。なお、図11に示すビークルセンサ1の取付部構
造は、図1に示すビークルセンサ1の取付部構造に対応する構成部分に同一符号を付し、
第1実施形態に係るビークルセンサ1の取付部構造の説明と重複する説明を省略する。
【0048】
図11に示すように、本変形例に係るビークルセンサ1は、センサレバー7に形成され
た回動規制突起50の先端が回動規制突起50の基端よりも爪8寄りに位置するように形
成されている。この変形例において、回動規制突起50の先端とケース3の上部壁面51
との接触位置を第1実施形態と同様にすることにより、第1実施形態と同様の効果を得る
ことができる。
【0049】
なお、第1実施形態及び本変形例において、回動規制突起50は、丸棒状のものに限ら
れず、弾性変形可能な平板形状のものでもよい。
【0050】
[第2実施形態]
図12は、本発明の第1実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1(
以下、ビークルセンサと略称する)の取付部構造を説明するための図である。
【0051】
この図12に示すように、ビークルセンサ1は、ウェビング巻き取りドラムの回転軸2
を回動可能に支持するケース3のセンサ収容室4内に取り付けられている。そして、ビー
クルセンサ1は、車両衝突時等の車両の急激な速度変動を検知すると、ウェビング巻き取
りドラムの回転軸2と同軸上に取り付けられた歯車5の歯6,6の間にセンサレバー7の
爪8を食い込ませて、歯車5がウェビング引き出し方向に回転するのを阻止し、ウェビン
グ巻き取りドラムの図示しないロック機構(ウェビングのロック機構)の始動を可能にす
る。なお、センサレバー7の爪8と歯車5は、ラチェット機構を構成する。
【0052】
(ビークルセンサの全体構成)
図13乃至図14は、ビークルセンサ1を示す図である。このうち、図13は、車両の
平常時(停止時や急激な速度変化がない走行時)におけるビークルセンサ1の正面図であ
って、図13(a)がビークルセンサ1の組立状態図であり、図13(b)がビークルセ
ンサ1の分解図である。また、図14は、図13に示したビークルセンサ1の縦断面図で
あって、図14(a)がビークルセンサ1の組立状態における縦断面図であり、図14(
b)がビークルセンサ1の分解時における縦断面図である。
【0053】
これらの図に示すように、ビークルセンサ1は、合成樹脂製のセンサホルダ10と、こ
のセンサホルダ10内に収容される金属で球形状に形成されたセンサウエイト11と、セ
ンサホルダ10に一端が揺動可能に取り付けられてセンサウエイト11上に乗せられる合
成樹脂製のセンサレバー7と、で構成されている。
【0054】
(ビークルセンサのセンサホルダ)
センサホルダ10は、図13乃至図17に示すように、上方(Z軸に沿った方向)に向
けて開口する有底のセンサウエイト収容凹部12と、センサレバー7の一端側の両側面1
3,14から突出する支持軸15,16を回動可能に支持する一対の支持脚部17,18
と、を有している(図18乃至図19参照)。
【0055】
センサウエイト収容凹部12は、X−Y方向と平行な平坦面であって且つ平面視した形
状が円形である底面20が形成され、この底面20の中央にセンサウエイト11を着座さ
せるためのテーパ状の座繰り面21が形成されると共に、座繰り面21の底面側開口縁よ
りも小径で且つ座繰り面21と同心の貫通穴22がセンサウエイト収容凹部12の内部空
間を外部空間に連通するように形成されている。そして、センサウエイト収容凹部12に
形成された貫通穴22の座繰り面側開口縁23が、センサウエイト11をセンサウエイト
収容凹部12の中央に保持するようになっている。また、このセンサウエイト収容凹部1
2に形成された貫通穴22の座繰り面側開口縁23は、センサウエイト11に作用する慣
性力が所定以上になるまで、センサウエイト11をセンサウエイト収容凹部12の中央に
保持するセンサウエイト11の安息位置となっている。したがって、センサウエイト11
は、車両の平常時に、センサウエイト収容凹部12の中央(安息位置)から離れることが
なく、センサウエイト収容凹部12内を移動することがない(図14(a)参照)。
【0056】
また、センサウエイト収容凹部12は、底面20と平行となるように形成されたセンサ
ホルダ10の上面24からZ軸(底面20に直交する方向)に沿って延びる円筒状の側壁
面25が略テーパ形状のコーナー面26を介して底面20に接続されている。そして、セ
ンサウエイト収容凹部12の内部空間は、底面20,座繰り面21,コーナー面26及び
側壁面25によって形作られている。ここで、側壁面25は、平面視した形状が底面20
と同心円となるように形成され、センサウエイト収容凹部12の中央に保持されたセンサ
ウエイト11との間に等間隔の隙間が生じるように形成されており、センサウエイト収容
凹部12の中央に保持されたセンサウエイト11がその隙間分だけセンサウエイト収容凹
部12内を移動することができるようになっている。また、コーナー面26は、センサウ
エイト11に接触することがないように形成されている。
【0057】
一対の支持脚部17,18は、センサホルダ10の上面24からZ軸方向(上方)に向
かって突出するように形成されており、センサレバー7の支持軸15,16を揺動可能に
収容する軸穴27,28が形成されている(図18,図19参照)。この一対の支持脚部
17,18は、センサレバー7の支持軸15,16を軸穴27,28に嵌合する際に、互
いに離間する方向へ撓み変形できるようになっており、センサレバー7の支持軸15,1
6を軸穴27,28に嵌合した後、元の姿勢に弾性復元するようになっている(図18,
図19参照)。その結果、センサレバー7の支持軸15,16は、一対の支持脚部17,
18の軸穴27,28から抜け出すことなく、一対の支持脚部17,18の軸穴27,2
8に揺動可能に支持される。なお、一対の支持脚部17,18は、一方の支持脚部18が
他方の支持脚部17よりもZ軸方向の長さが長く且つ撓み変形し易く形成されている。ま
た、一方の支持脚部18は、その上端側で且つ他方の支持脚部17に対向する側が傾斜面
30になっており、センサレバー7の支持軸16が傾斜面30に沿って移動させられるだ
けで(他方の支持脚部17との間に押し込まれるだけで)、容易に撓み変形させられ、セ
ンサレバー7の支持軸15,16と軸穴27,28の係合が容易になるように工夫されて
いる。また、一方の支持脚部18の軸穴28と他方の支持脚部17の軸穴27は、その大
きさ(穴径)がセンサレバー7の支持軸16,15の太さ(軸径)に応じて異なるように
形成されており、センサレバー7がセンサホルダ10に正しい姿勢で組み付けられるよう
に工夫されている。
【0058】
また、センサホルダ10は、その両側面31,32に位置決め突起33,34が形成さ
れている。この位置決め突起33,34は、ケース3のセンサ収容室4に形成されたガイ
ドレールとしての位置決め凹部35,36に係合されるようになっている(図12参照)
。そして、ビークルセンサ1は、センサホルダ10の位置決め突起33,34がセンサ収
容室4の位置決め凹部35,36に係合された状態でセンサ収容室4内に装着されると、
歯車5に対して位置決めされた状態でセンサ収容室4内に保持されることになる(図12
参照)。
【0059】
また、センサホルダ10は、センサレバー7の回動ストッパ37が上面24に当接する
まで最大限回動しても、センサウエイト11がセンサレバー7との隙間から抜け出すこと
がないように、センサウエイト収容凹部12の深さが決定されている(図17参照)。
【0060】
また、センサホルダ10の一方の支持脚部18には、他方の支持脚部17へ向かって片
持ち梁状に延びる弾性変形可能な丸棒状の回動規制突起52が設けられている。この回動
規制突起52は、一方の支持脚部18の内側面18a(他方の支持脚部17に対向する側
面)で且つ軸穴28の下側の部分に一体に形成されており、一対の支持脚部17,18の
中間位置を越えた位置(図15(d)において、センサウエイト収容凹部12の中心を通
りX軸に沿って延びる中心線CLを越えた位置)までY軸に沿って延びている。そして、
この回動規制突起52は、図14(a)に示すように、センサレバー7が安息位置(セン
サウエイト収容凹部12の座繰り面側開口縁23)に保持されたセンサウエイト11上に
乗せられた状態において、センサレバー7の回動ストッパ37との間に隙間(δ0)が生
じるように位置している。この回動規制突起52と回動ストッパ37との間の隙間(δ0
)は、センサレバー7がセンサウエイト11によって所定量回動させられるまで(センサ
レバー7の爪8の先端側が歯車5の歯6,6の間に食い込むまで)、回動規制突起52と
回動ストッパ37とを当接させないために設けられたものである。
【0061】
支持脚部18に形成された回動規制突起52は、図12及び図20に示すように、セン
サウエイト収容凹部12内を移動するセンサウエイト11によってセンサレバー7が持ち
上げられ(反時計回り方向へ回動させられ)、センサレバー7の爪8が歯車5の歯6,6
の間に食い込む位置まで回動すると、センサレバー7の回動ストッパ37に当接する。こ
の回動規制突起52がセンサレバー7の回動ストッパ37に当接した際に、センサレバー
7とレバーストッパ42との間に隙間(δ1)が生じ、センサレバー7の回動ストッパ3
7とセンサホルダ10の上面24との間に隙間(δ2(但し、δ2≧δ1))が生じるよ
うに、センサホルダ10,センサレバー7及びレバーストッパ42が形成されている。
【0062】
また、回動規制突起52は、センサレバー7の回動ストッパ37に当接した後、更にセ
ンサレバー7が回動(センサウエイト11の振動運動等によって持ち上げられる方向へ回
動)すると、センサレバー7の回動を阻止する方向へ弾性変形力を作用させ、センサレバ
ー7の回動を規制する。その結果、センサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内に
収容されたセンサウエイト11に車両振動等に起因する慣性力が作用しても、回動規制突
起52の弾性力がセンサレバー7を介してセンサウエイト11に作用し、センサホルダ1
0のセンサウエイト収容凹部12内におけるセンサウエイト11の振動が抑えられ、セン
サウエイト11とセンサホルダ10の衝突音の発生が抑えられる。
【0063】
また、回動規制突起52は、センサウエイト11によって持ち上げられた(回動させら
れた)センサレバー7の回動ストッパ37に衝突しても、センサレバー7及びセンサウエ
イト11の運動エネルギーを弾性変形して吸収することができるため、回動ストッパ37
との衝突音の発生を抑えることができる。
【0064】
図20及び図21に示すように、センサレバー7は、回動規制突起52が回動ストッパ
37に当接した後、ウェビング引き出し方向へ回動する歯車5の歯6に押されると、セン
サレバー7とレバーストッパ42との間の隙間(δ1)分だけ回動規制突起52を弾性変
形させながら回動し、爪8がレバーストッパ42に当接することにより停止する。その結
果、センサレバー7の爪8は、歯車5の歯6,6の間に食い込むのが規制されると共に、
レバーストッパ42と歯車5の歯6によって挟持(ロック)される。
【0065】
ここで、センサレバー7の回動中心47から回動規制突起52と回動ストッパ37の当
接位置P1までの距離をL1とし、センサレバー7の回動中心47から爪8とレバースト
ッパ42の当接位置P2までの距離をL2とすると、L1<L2となるように、ケース3
とビークルセンサ1が形成されている。これにより、センサホルダ10の回動規制突起5
2とセンサレバー7の回動ストッパ37との衝突時の衝撃力は、回動規制突起52と回動
ストッパ37との当接位置P1におけるセンサレバー7の揺動時の速度がセンサレバー7
とレバーストッパ42との当接位置P2におけるセンサレバー7の揺動時の速度よりも小
さくなるため、センサレバー7とレバーストッパ42の衝突時の衝撃力よりも小さくする
ことができる。すなわち、本実施形態によれば、センサレバー7とレバーストッパ42の
当接部分に衝突緩衝用の工夫を施す場合に比較し、ビークルセンサ1の作動音をより一層
効果的に抑えることが可能になる。
【0066】
(ビークルセンサのセンサレバー)
センサレバー7は、図18乃至図19に示すように、その一端側の両側面13,14に
、センサホルダ10の支持脚部17,18の軸穴27,28に揺動可能に嵌合される支持
軸15,16がそれぞれ形成されている(図13、図15参照)。また、センサレバー7
の他端側には、センサホルダ10内に収容されたセンサウエイト11に乗せられるセンサ
ウエイト押さえ38が形成されている。このセンサウエイト押さえ38の下面側には、略
円錐台形状のセンサウエイト収容面(凹面)40が形成されており、このセンサウエイト
収容面40がセンサウエイト11の表面に接触するようになっている(図14、図17参
照)。また、センサレバー7は、その他端側の上面に爪8が突出形成されており、その爪
8の先端側が鋭角に形成され、爪8の先端側を歯車5の歯6,6の間に食い込ませること
ができるようになっている(図12参照)。このセンサレバー7の爪8は、センサウエイ
ト押さえ38と支持軸15,16とを接続するアーム部41の幅寸法よりも小さい幅寸法
となるように、舌片状に形成されている(特に、図18(a)〜(c)参照)。
【0067】
また、センサレバー7の一端側の下面には、回動ストッパ37が突出形成されている。
このセンサレバー7の回動ストッパ37は、図17(a),(b)に示すように、ケース
3のセンサ収容室4内に収容される前の状態(例えば、ビークルセンサ1の運搬時やハン
ドリング時)において、センサレバー7が自重に反して持ち上げられるように回動させら
れると、センサホルダ10の上面24に当接して、センサレバー7の回動(図17中にお
ける反時計回り方向への回動)を阻止し、センサウエイト11がセンサホルダ10の上面
24とセンサレバー7との隙間から抜け出るのを防止するようになっている。
【0068】
(ケースのレバーストッパ)
図12に示すように、合成樹脂で形成されたケース3のセンサ収容室4の上部には、合
成樹脂製のレバーストッパ42が一体に形成されている。そして、レバーストッパ42の
先端とセンサ収容室4の上部開口縁45との間には、センサ収容室4内に装着したビーク
ルセンサ1のセンサレバー7の爪8が歯車5の歯6,6の間に食い込む位置まで突出する
ことを可能にする窓44が形成されている。
【0069】
このレバーストッパ42は、センサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内を移動
するセンサウエイト11によってセンサレバー7が持ち上げられ、センサレバー7の回動
ストッパ37が回動規制突起52に当接した際に、センサレバー7の爪8との間に隙間(
δ1)が生じており(図20参照)、回動規制突起52が所定量撓み変形(弾性変形)し
た後にセンサレバー7の爪8に当接し、センサレバー7の回動を阻止して、歯車5の歯6
,6の間への爪8の食い込みを規制すると共に、歯車5の歯6との間にセンサレバー7の
爪8を挟持(ロック)するようになっている(図20,図21参照)。
【0070】
(ビークルセンサの作動)
図14(a)に示すように、ビークルセンサ1は、車両の平常時(停止時や急激な速度
変化がない走行時)に、センサウエイト11がセンサホルダ10内の安息位置(センサウ
エイト保持穴として機能する貫通穴22であって、特に、貫通穴22の座繰り面側開口縁
23)に保持され、作動することがない。
【0071】
一方、図12及び図20に示すように、ビークルセンサ1は、車両の衝突等によって車
両走行速度が急激に変化し、センサウエイト11に作用する加速度が所定値以上になると
、センサウエイト11が慣性によってセンサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内
の安息位置23から移動し、センサウエイト11がセンサレバー7を押し上げながら(回
動させながら)、センサウエイト収容凹部12内を移動する。
【0072】
このビークルセンサ1は、センサレバー7の回動ストッパ37がセンサホルダ10の回
動規制突起52に衝突すると、そのセンサレバー7の運動エネルギーを回動規制突起52
が弾性変形して吸収することができ、センサレバー7とケース3との衝突音を抑えること
ができる(図20参照)。
【0073】
また、このビークルセンサ1は、センサホルダ10の回動規制突起52とセンサレバー
7の回動ストッパ37とが当接する位置までセンサレバー7が回動すると、センサウエイ
ト11によって持ち上げられたセンサレバー7の爪8がウェビング巻き取りドラムに取り
付けた歯車5の歯6,6の間に食い込む(図12及び図20参照)。そして、ビークルセ
ンサ1は、ウェビング引き出し方向の力(センサレバー7の爪8を持ち上げる方向の力)
が歯車5を介してセンサレバー7に作用すると、回動規制突起52が撓み変形(弾性変形
)し、センサレバー7がレバーストッパ42に当接するまで回動して、センサレバー7の
爪8が歯車5の爪6とレバーストッパ42とによって挟持(ロック)され、歯車5のウェ
ビング引き出し方向への回転をセンサレバー7によって阻止することができる(図21参
照)。その結果、ビークルセンサ1は、ウェビング巻き取りドラムのロック機構(ウェビ
ングのロック機構)を始動させることが可能になる。
【0074】
なお、図12,図17,図20及び図21に示すビークルセンサ1の作動状態において
、センサウエイト11に慣性力が作用しなくなると、センサレバー7は、図外のばねによ
ってウェビング巻き戻し方向に回動付勢される歯車5で押圧されて揺動角度を減じる方向
へ回動すると共に、自重や回動規制突起52の弾性力によって揺動角度を減じる方向へ回
動する。その結果、センサウエイト11は、センサレバー7に押されてセンサホルダ10
内の安息位置23に戻される(図14(a)参照)。
【0075】
(本実施形態の効果)
本実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造によれば、
センサレバー7の回動ストッパ37をセンサホルダ10の弾性変形可能な回動規制突起5
2に衝突させるようになっており、センサレバー7の回動中心47から回動規制突起52
と回動ストッパ37の当接位置P1までの距離L1がセンサレバー7の回動中心47から
センサレバー7の爪8とレバーストッパ42との当接位置P2までの距離L2よりも短い
ため、センサレバー7の爪8をレバーストッパ42に当接させる場合に比較し、センサレ
バー7が他部材(回動規制突起52)に衝突する際の速度を小さくすることができ、ビー
クルセンサ1の作動時における騒音を抑えることができる。
【0076】
また、本実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造によ
れば、センサレバー7の回動ストッパ37がセンサホルダ10の回動規制突起52に衝突
した後、回動規制突起52が弾性変形することによりセンサレバー7の爪8がレバースト
ッパ42に当接するようになっているため、センサレバー7の回動支点としての支持軸1
5,16に過度な負荷が作用せず、支持軸15,16の偏摩耗等に起因するビークルセン
サ1の作動不良を生じることがない。
【0077】
(第2実施形態の変形例)
図22乃至図24は、第2実施形態の変形例に係るシートベルトリトラクタ用ビークル
センサ1及びその取付部構造を説明するための図である。なお、図22が図14に対応し
、図23が図20に対応し、図24が図21に対応している。これら図22乃至図24に
おいて、図14,図21及び図22に示すビークルセンサ1及びその取付部構造に対応す
る構成部分に同一符号を付し、第2実施形態に係るビークルセンサ1及びその取付部構造
の説明と重複する説明を省略する。
【0078】
図22乃至図24に示すように、本変形例に係るビークルセンサ1は、回動規制突起5
2が支持脚部18の軸穴28の上方に配置されている点において、回動規制突起52が支
持脚部18の軸穴28の下方に配置されている第2実施形態に係るビークルセンサ1と相
違する。
【0079】
すなわち、本変形例において、回動規制突起52は、図22に示すように、センサレバ
ー7が安息位置(センサウエイト収容凹部12の座繰り面側開口縁23)に保持されたセ
ンサウエイト11上に乗せられた状態において、センサレバー7の上面との間に隙間(δ
0’)が生じるように位置している。この回動規制突起52とセンサレバー7との間の隙
間(δ0’)は、センサレバー7がセンサウエイト11によって所定量回動させられるま
で(センサレバー7の爪8の先端側が歯車5の歯6,6の間に食い込むまで)、回動規制
突起52とセンサレバー7とを当接させないために設けられたものである。
【0080】
また、本変形例において、回動規制突起52は、図23に示すように、センサウエイト
収容凹部12内を移動するセンサウエイト11によってセンサレバー7が持ち上げられ(
反時計回り方向へ回動させられ)、センサレバー7の爪8が歯車5の歯6,6の間に食い
込む位置まで回動すると、センサレバー7の上面7aに当接する。この回動規制突起52
がセンサレバー7に当接した際に、センサレバー7とレバーストッパ42との間に隙間(
δ1)が生じ、センサレバー7の回動ストッパ37とセンサホルダ10の上面24との間
に隙間(δ2(但し、δ2≧δ1))が生じるように、センサホルダ10,センサレバー
7及びレバーストッパ42が形成されている。
【0081】
また、本変形例において、回動規制突起52は、図24に示すように、センサレバー7
の上面7aに当接した後、ウェビング引き出し方向へ回動する歯車5の歯6によってセン
サレバー7の爪8が押されると、センサレバー7とレバーストッパ42との間の隙間(δ
1)分だけ(爪8がレバーストッパ42に当接するまで)センサレバー7によって弾性変
形させられるようになっている。
【0082】
また、本変形例において、センサレバー7の回動中心47から回動規制突起52とセン
サレバー7の当接位置P1までの距離をL1とし、センサレバー7の回動中心47から爪
8とレバーストッパ42の当接位置P2までの距離をL2とすると、L1<L2となるよ
うに、ケース3とビークルセンサ1が形成されている(図24参照)。
【0083】
このような本変形例は、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
なお、第2実施形態及び本変形例において、回動規制突起52は、支持脚部18に一体
に形成する態様を例示したが、これに限られず、支持脚部18に回動規制突起係合穴を形
成し、この回動規制突起係合穴に嵌合固着又は螺合するようにしてもよい。
【0085】
また、第2実施形態及び本変形例において、回動規制突起52は、支持脚部18と同一
の合成樹脂材料で形成されるか、又は支持脚部18を形作る合成樹脂材料よりも柔らかい
合成樹脂材料で形成するようにしてもよい。
【0086】
また、第2実施形態及び本変形例において、回動規制突起52は、支持脚部18に設け
る態様を例示したが、これに限られず、支持脚部17の内側面(支持脚部18に対向する
側面)に設けるようにしてもよい。
【0087】
[第3実施形態]
図25は、本発明の第1実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1(
以下、ビークルセンサと略称する)の取付部構造を説明するための図である。
【0088】
この図25に示すように、ビークルセンサ1は、ウェビング巻き取りドラムの回転軸2
を回動可能に支持するケース3のセンサ収容室4内に取り付けられている。そして、ビー
クルセンサ1は、車両衝突時等の車両の急激な速度変動を検知すると、ウェビング巻き取
りドラムの回転軸2と同軸上に取り付けられた歯車5の歯6,6の間にセンサレバー7の
爪8を食い込ませて、歯車5がウェビング引き出し方向に回転するのを阻止し、ウェビン
グ巻き取りドラムの図示しないロック機構(ウェビングのロック機構)の始動を可能にす
る。なお、センサレバー7の爪8と歯車5は、ラチェット機構を構成する。
【0089】
(ビークルセンサの全体構成)
図26乃至図27は、ビークルセンサ1を示す図である。このうち、図26は、車両の
平常時(停止時や急激な速度変化がない走行時)におけるビークルセンサ1の正面図であ
って、図26(a)がビークルセンサ1の組立状態図であり、図26(b)がビークルセ
ンサ1の分解図である。また、図27は、図26に示したビークルセンサ1の縦断面図で
あって、図27(a)がビークルセンサ1の組立状態における縦断面図であり、図27(
b)がビークルセンサ1の分解時における縦断面図である。
【0090】
これらの図に示すように、ビークルセンサ1は、合成樹脂製のセンサホルダ10と、こ
のセンサホルダ10内に収容される金属で球形状に形成されたセンサウエイト11と、セ
ンサホルダ10に一端が揺動可能に取り付けられてセンサウエイト11上に乗せられる合
成樹脂製のセンサレバー7と、で構成されている。
【0091】
(ビークルセンサのセンサホルダ)
センサホルダ10は、図26乃至図29に示すように、上方(Z軸に沿った方向)に向
けて開口する有底のセンサウエイト収容凹部12と、センサレバー7の一端側の両側面1
3,14から突出する支持軸15,16を回動可能に支持する一対の支持脚部17,18
と、を有している(図30参照)。
【0092】
センサウエイト収容凹部12は、X−Y方向と平行な平坦面であって且つ平面視した形
状が円形である底面20が形成され、この底面20の中央にセンサウエイト11を着座さ
せるためのテーパ状の座繰り面21が形成されると共に、座繰り面21の底面側開口縁よ
りも小径で且つ座繰り面21と同心の貫通穴22がセンサウエイト収容凹部12の内部空
間を外部空間に連通するように形成されている。そして、センサウエイト収容凹部12に
形成された貫通穴22の座繰り面側開口縁23が、センサウエイト11をセンサウエイト
収容凹部12の中央に保持するようになっている。また、このセンサウエイト収容凹部1
2に形成された貫通穴22の座繰り面側開口縁23は、センサウエイト11に作用する慣
性力が所定以上になるまで、センサウエイト11をセンサウエイト収容凹部12の中央に
保持するセンサウエイト11の安息位置となっている。したがって、センサウエイト11
は、車両の平常時に、センサウエイト収容凹部12の中央(安息位置)から離れることが
なく、センサウエイト収容凹部12内を移動することがない(図27(a)参照)。
【0093】
また、センサウエイト収容凹部12は、底面20と平行となるように形成されたセンサ
ホルダ10の上面24からZ軸(底面20に直交する方向)に沿って延びる円筒状の側壁
面25が略テーパ形状のコーナー面26を介して底面20に接続されている。そして、セ
ンサウエイト収容凹部12の内部空間は、底面20,座繰り面21,コーナー面26及び
側壁面25によって形作られている。ここで、側壁面25は、平面視した形状が底面20
と同心円となるように形成され、センサウエイト収容凹部12の中央に保持されたセンサ
ウエイト11との間に等間隔の隙間が生じるように形成されており、センサウエイト収容
凹部12の中央に保持されたセンサウエイト11がその隙間分だけセンサウエイト収容凹
部12内を移動することができるようになっている。また、コーナー面26は、センサウ
エイト11に接触することがないように形成されている。
【0094】
一対の支持脚部17,18は、センサホルダ10の上面24からZ軸方向(上方)に向
かって突出するように形成されており、センサレバー7の支持軸15,16を揺動可能に
収容する軸穴27,28が形成されている(図30参照)。この一対の支持脚部17,1
8は、センサレバー7の支持軸15,16を軸穴27,28に嵌合する際に、互いに離間
する方向へ撓み変形できるようになっており、センサレバー7の支持軸15,16を軸穴
27,28に嵌合した後、元の姿勢に弾性復元するようになっている(図30参照)。そ
の結果、センサレバー7の支持軸15,16は、一対の支持脚部17,18の軸穴27,
28から抜け出すことなく、一対の支持脚部17,18の軸穴27,28に揺動可能に支
持される。なお、一対の支持脚部17,18は、一方の支持脚部18が他方の支持脚部1
7よりもZ軸方向の長さが長く且つ撓み変形し易く形成されている。また、一方の支持脚
部18は、その上端側で且つ他方の支持脚部17に対向する側が傾斜面30になっており
、センサレバー7の支持軸16が傾斜面30に沿って移動させられるだけで(他方の支持
脚部17との間に押し込まれるだけで)、容易に撓み変形させられ、センサレバー7の支
持軸15,16と軸穴27,28の係合が容易になるように工夫されている。また、一方
の支持脚部18の軸穴28と他方の支持脚部17の軸穴27は、その大きさ(穴径)がセ
ンサレバー7の支持軸16,15の太さ(軸径)に応じて異なるように形成されており、
センサレバー7がセンサホルダ10に正しい姿勢で組み付けられるように工夫されている

【0095】
ここで、センサホルダ10の支持脚部17に形成された軸穴27は、支持脚部18に形
成された軸穴28が丸穴であるのに対し、穴形状がD形状であるDカット穴である(図2
5,図26,図28(a),図33及び図34参照)。そして、支持脚部17のDカット
穴である軸穴27に隣り合う位置で且つ軸穴27の一部を形作るDカット面(平取り面)
55の上方位置には、矩形形状の肉抜き穴56がX軸方向に沿って形成されている。この
肉抜き穴56のX軸方向に沿った長さは、Dカット面55のX軸方向に沿った長さよりも
長くなるように形成されている。そして、支持脚部27は、軸穴27と肉抜き穴56の間
の部分が弾性変形部57になっており、その弾性変形部57が支持軸15の回動規制突起
58に押されると弾性変形するようになっている。また、軸穴27のDカット面55は、
弾性変形部57の軸穴27側の面であり、弾性変形部57の一部でもある。
【0096】
弾性変形部57は、支持軸15の回動規制突起58が当接した後、更にセンサレバー7
が回動(センサウエイト11の振動運動等によって持ち上げられる方向へ回動)すると、
センサレバー7の回動を阻止する方向へ弾性変形力が作用し、センサレバー7の回動を規
制する。その結果、センサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内に収容されたセン
サウエイト11に車両振動等に起因する慣性力が作用しても、そのセンサウエイト11に
弾性変形部57の弾性力がセンサレバー7を介して作用し、センサホルダ10のセンサウ
エイト収容凹部12内におけるセンサウエイト11の振動が抑えられ、センサウエイト1
1とセンサホルダ10の衝突音の発生が抑えられる。
【0097】
また、センサホルダ10は、その両側面31,32に位置決め突起33,34が形成さ
れている。この位置決め突起33,34は、ケース3のセンサ収容室4に形成されたガイ
ドレールとしての位置決め凹部35,36に係合されるようになっている(図25参照)
。そして、ビークルセンサ1は、センサホルダ10の位置決め突起33,34がセンサ収
容室4の位置決め凹部35,36に係合された状態でセンサ収容室4内に装着されると、
歯車5に対して位置決めされた状態でセンサ収容室4内に保持されることになる(図25
参照)。
【0098】
また、センサホルダ10は、センサレバー7の回動ストッパ37が上面24に当接する
まで最大限回動しても、センサウエイト11がセンサレバー7との隙間から抜け出すこと
がないように、センサウエイト収容凹部12の深さが決定されている(図29参照)。
【0099】
(ビークルセンサのセンサレバー)
センサレバー7は、図30に示すように、その一端側の両側面13,14に、センサホ
ルダ10の支持脚部17,18の軸穴27,28に揺動可能に嵌合される支持軸15,1
6がそれぞれ形成されている(図26、図28参照)。
【0100】
支持軸15は、支持軸16が丸軸であるのに対し、Dカット穴である軸穴27に嵌合さ
れる部分がDカット軸の一部を切り欠いたような形状に形成されている(図33、図34
参照)。すなわち、支持軸15は、図33及び図34に示すように、軸穴27に嵌合され
る部分のうちのDカット面60の一部が階段状に切り欠かれることにより、回動規制突起
58が形成されると共に、軸穴27に接触することがない切り欠き凹面61が形成されて
いる。このような支持軸15は、切り欠き凹面61の外周面側端縁62が軸穴27のDカ
ット面55に当接する姿勢において、回動規制突起58の先端面63(Dカット面60の
うちの切り欠かれなかった面)と軸穴27のDカット面55との間に十分な隙間が生じる
ようになっており、その隙間の分だけ軸穴27に対して相対回動することができるように
なっている。なお、図33は、図26に示した車両の平常時におけるセンサレバー7の姿
勢に対応する支持軸15と軸穴27との関係を示す図である。また、図34は、センサレ
バー7がセンサウエイト11によって持ち上げられ、センサレバー7の爪8が歯車5の歯
6,6の間に押し込まれた状態(図25、図31参照)におけるセンサレバー7の姿勢に
対応する支持軸15と軸穴27との関係を示す図である。
【0101】
また、センサレバー7の他端側には、センサホルダ10内に収容されたセンサウエイト
11に乗せられるセンサウエイト押さえ38が形成されている。このセンサウエイト押さ
え38の下面側には、略円錐台形状のセンサウエイト収容面(凹面)40が形成されてお
り、このセンサウエイト収容面40がセンサウエイト11の表面に接触するようになって
いる(図27、図29参照)。
【0102】
また、センサレバー7は、その他端側の上面に爪8が突出形成されており、その爪8の
先端側が鋭角に形成され、爪8の先端側を歯車5の歯6,6の間に食い込ませることがで
きるようになっている(図25参照)。このセンサレバー7の爪8は、センサウエイト押
さえ38と支持軸15,16とを接続するアーム部41の幅寸法よりも小さい幅寸法とな
るように、舌片状に形成されている(特に、図30(a)〜(c)参照)。
【0103】
また、センサレバー7の一端側の下面には、回動ストッパ37が突出形成されている。
このセンサレバー7の回動ストッパ37は、図29(a),(b)に示すように、ケース
3のセンサ収容室4内に収容される前の状態(例えば、ビークルセンサ1の運搬時やハン
ドリング時)において、センサレバー7が自重に反して持ち上げられるように回動させら
れると、センサホルダ10の上面24に当接して、センサレバー7の回動(図29中にお
ける反時計回り方向への回動)を阻止し、センサウエイト11がセンサホルダ10の上面
24とセンサレバー7との隙間から抜け出るのを防止するようになっている。
【0104】
また、センサレバー7の回動ストッパ37は、支持軸15の回動規制突起58が軸穴2
7のDカット面55に当接した際に、センサホルダ10の上面24との間に隙間δ2が生
じるようになっている。なお、この隙間δ2は、センサレバー7の爪8とレバーストッパ
42との間の隙間δ1以上の大きさ(δ2≧δ1)になっている。
【0105】
(ケースのレバーストッパ)
図25に示すように、合成樹脂で形成されたケース3のセンサ収容室4の上部には、合
成樹脂製のレバーストッパ42が一体に形成されている。そして、レバーストッパ42の
先端とセンサ収容室4の上部開口縁45との間には、センサ収容室4内に装着したビーク
ルセンサ1のセンサレバー7の爪8が歯車5の歯6,6の間に食い込む位置まで突出する
ことを可能にする窓44が形成されている。
【0106】
このレバーストッパ42は、センサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内を移動
するセンサウエイト11によってセンサレバー7が持ち上げられ、センサレバー7の回動
規制突起58が軸穴27のDカット面55(弾性変形部57)に当接した際に、センサレ
バー7の爪8との間に隙間(δ1)が生じており(図31参照)、回動規制突起58が弾
性変形部57を所定量撓み変形(弾性変形)させて更に回動(隙間(δ1)分だけ回動)
すると、センサレバー7の爪8に当接し、センサレバー7の回動を阻止して、歯車5の歯
6,6の間への爪8の食い込みを規制すると共に、歯車5の歯6との間にセンサレバー7
の爪8を挟持(ロック)するようになっている(図31,図32参照)。
【0107】
(ビークルセンサの作動)
図26及び図27に示すように、ビークルセンサ1は、車両の平常時(停止時や急激な
速度変化がない走行時)に、センサウエイト11がセンサホルダ10内の安息位置(セン
サウエイト保持穴として機能する貫通穴22であって、特に、貫通穴22の座繰り面側開
口縁23)に保持され、作動することがない。この図26及び図27に示すビークルセン
サ1の状態において、支持軸15の回動規制突起58の先端面63と軸穴27のDカット
面55との間には、隙間δrが生じている(図33及び図35参照)。なお、隙間δrは
、支持軸15の回動規制突起58の先端面63と軸穴27のDカット面55との間におけ
る隙間であって、且つ、支持軸15の回動方向に沿った隙間である。
【0108】
一方、図12及び図31に示すように、ビークルセンサ1は、車両の衝突等によって車
両走行速度が急激に変化し、センサウエイト11に作用する加速度が所定値以上になると
、センサウエイト11が慣性によってセンサホルダ10のセンサウエイト収容凹部12内
の安息位置23から移動し、センサウエイト11がセンサレバー7を押し上げながら(回
動させながら)、センサウエイト収容凹部12内を移動する。
【0109】
このビークルセンサ1は、センサレバー7における支持軸15の回動規制突起58がセ
ンサホルダ10における軸穴27のDカット面55(弾性変形部57)に衝突すると、そ
のセンサレバー7の運動エネルギーを弾性変形部57が弾性変形して吸収することができ
、センサレバー7における支持軸15の回動規制突起58とセンサホルダ10における軸
穴27のDカット面55との衝突音を抑えることができる(図31、図34参照)。
【0110】
ここで、センサレバー7の回動中心47から回動規制突起58の先端面63と軸穴27
のDカット面55の当接位置P1までの距離をL1とし、センサレバー7の回動中心47
から爪8とレバーストッパ42の当接位置P2までの距離をL2とすると、L1<L2と
なるように、ケース3とビークルセンサ1が形成されている。これにより、センサレバー
7における支持軸15の回動規制突起58とセンサホルダ10における軸穴27のDカッ
ト面55(弾性変形部57)との衝突時の衝撃力は、回動規制突起58の先端面63と軸
穴27のDカット面55との当接位置P1におけるセンサレバー7の揺動時の速度がセン
サレバー7とレバーストッパ42との当接位置P2におけるセンサレバー7の揺動時の速
度よりも小さくなるため、センサレバー7とレバーストッパ42の衝突時の衝撃力よりも
小さくなる。すなわち、本実施形態によれば、センサレバー7とレバーストッパ42の当
接部分に衝突緩衝用の工夫を施す場合に比較し、ビークルセンサ1の作動音をより一層効
果的に抑えることが可能になる。
【0111】
また、このビークルセンサ1は、センサレバー7における支持軸15の回動規制突起5
8がセンサホルダ10の軸穴27のDカット面55(弾性変形部57)に当接する位置ま
で回動すると、センサウエイト11によって持ち上げられたセンサレバー7の爪8がウェ
ビング巻き取りドラムに取り付けた歯車5の歯6,6の間に食い込む(図25及び図31
参照)。そして、ビークルセンサ1は、ウェビング引き出し方向の力(センサレバー7の
爪8を持ち上げる方向の力)が歯車5を介してセンサレバー7に作用すると、弾性変形部
57が回動規制突起58によって撓み変形(弾性変形)させられ、センサレバー7がレバ
ーストッパ42に当接するまで回動して、センサレバー7の爪8が歯車5の爪6とレバー
ストッパ42とによって挟持(ロック)され、歯車5のウェビング引き出し方向への回転
をセンサレバー7によって阻止することができる(図32参照)。その結果、ビークルセ
ンサ1は、ウェビング巻き取りドラムのロック機構(ウェビングのロック機構)を始動さ
せることが可能になる。
【0112】
なお、図25,図29,図31及び図32に示すビークルセンサ1の作動状態において
、センサウエイト11に慣性力が作用しなくなると、センサレバー7は、図外のばねによ
ってウェビング巻き戻し方向に回動付勢される歯車5で押圧されて揺動角度を減じる方向
へ回動すると共に、自重や弾性変形部57の弾性力によって揺動角度を減じる方向へ回動
する。その結果、センサウエイト11は、センサレバー7に押されてセンサホルダ10内
の安息位置23に戻される(図27(a)参照)。
【0113】
(本実施形態の効果)
本実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造によれば、
センサレバー7における支持軸15の回動規制突起58をセンサホルダ10における軸穴
27の弾性変形可能な弾性変形部57に衝突させるようになっており、センサレバー7の
回動中心47から回動規制突起58と弾性変形部57の当接位置P1までの距離L1がセ
ンサレバー7の回動中心47からセンサレバー7の爪8とレバーストッパ42との当接位
置P2までの距離L2よりも短いため、センサレバー7の爪8をレバーストッパ42に当
接させる場合に比較し、センサレバー7が他部材(センサホルダ10)に衝突する際の速
度を小さくすることができ、ビークルセンサ1の作動時における騒音を抑えることができ
る。
【0114】
また、本実施形態に係るシートベルトリトラクタ用ビークルセンサ1の取付部構造によ
れば、センサレバー7における支持軸15の回動規制突起58がセンサホルダ10におけ
る軸穴27の弾性変形部57に衝突した後、弾性変形部57が弾性変形することによりセ
ンサレバー7の爪8がレバーストッパ42に当接するようになっているため、センサレバ
ー7の回動支点としての支持軸15,16に過度な負荷が作用せず、支持軸15,16の
偏摩耗等に起因するビークルセンサ1の作動不良を生じることがない。
【0115】
なお、本実施形態は、Dカット穴(軸穴27)、肉抜き穴56及び弾性変形部57を支
持脚部27に形成し、回動規制突起58を支持軸15に形成する態様を例示したが、これ
に限られず、Dカット穴、肉抜き穴及び弾性変形部を支持脚部28に形成し、回動規制突
起を支持軸16に形成するようにしてもよい。また、Dカット穴、肉抜き穴及び弾性変形
部を支持脚部27と支持脚部28の両方に形成し、回動規制突起を支持軸15と支持軸1
6の両方に形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1……ビークルセンサ、3……ケース、5……歯車、6……歯、7……センサレバー、
8……爪、10……センサホルダ、11……センサウエイト、15……支持軸、27……
軸穴、42……レバーストッパ、47……回動中心、50,52,58……回動規制突起
、57……弾性変形部、δ1……隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のセンサホルダ内に収容したセンサウエイトが慣性によって前記センサホル
ダ内を移動すると、前記センサホルダに回動可能に支持された合成樹脂製のセンサレバー
が前記センサウエイトによって持ち上げられる方向に回動させられて、前記センサレバー
の爪がウェビング巻き取りドラムに取り付けた歯車の歯の間に食い込み、前記歯車のウェ
ビング引き出し方向への回転を規制するようになっているシートベルトリトラクタ用ビー
クルセンサと、
前記ウェビング巻き取りドラムが回動可能に支持されると共に、前記シートベルトリト
ラクタ用ビークルセンサが取り付けられた合成樹脂製のケースと、
を備えたシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造であって、
前記センサレバーには、前記爪が前記歯車の歯の間に食い込む位置まで前記センサウエ
イトによって回動させられると、前記ケースに当接して前記センサレバーの回動を規制す
る弾性変形可能な回動規制突起が形成されており、
前記ケースには、前記回動規制突起によって回動規制された前記センサレバーとの間に
隙間が生じるように位置するレバーストッパが形成されており、
前記回動規制突起は、前記ケースに当接した後、更に前記センサレバーを回動させる方
向の力が前記歯車を介して作用すると、前記ケースに押し付けられた状態で弾性変形し、
前記センサレバーが前記隙間の分だけ回動して前記レバーストッパに当接するのを可能に
し、
前記センサレバーの回動中心から前記回動規制突起と前記ケースの当接位置までの距離
をL1とし、前記センサレバーの回動中心から前記センサレバーと前記レバーストッパの
当接位置までの距離をL2とすると、L1<L2となるように、前記回動規制突起が前記
センサレバーに形成された、
ことを特徴とするシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造。
【請求項2】
合成樹脂製のセンサホルダ内に収容したセンサウエイトが慣性によって前記センサホル
ダ内を移動すると、前記センサホルダに回動可能に支持された合成樹脂製のセンサレバー
が前記センサウエイトによって持ち上げられる方向に回動させられて、前記センサレバー
の爪がウェビング巻き取りドラムに取り付けた歯車の歯の間に食い込み、前記歯車のウェ
ビング引き出し方向への回転を規制するようになっているシートベルトリトラクタ用ビー
クルセンサと、
前記ウェビング巻き取りドラムが回動可能に支持されると共に、前記シートベルトリト
ラクタ用ビークルセンサが取り付けられた合成樹脂製のケースと、
を備えたシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造であって、
前記センサホルダには、前記爪が前記歯車の歯の間に食い込む位置まで前記センサウエ
イトによって回動させられると、前記センサレバーに当接して前記センサレバーの回動を
規制する弾性変形可能な回動規制突起が設けられており、
前記ケースには、前記回動規制突起によって回動規制された前記センサレバーとの間に
隙間が生じるように位置するレバーストッパが形成されており、
前記回動規制突起は、前記センサレバーに当接した後、更に前記センサレバーを回動さ
せる方向の力が前記歯車を介して作用すると、前記センサレバーによって弾性変形させら
れ、前記センサレバーが前記隙間の分だけ回動して前記レバーストッパに当接するのを可
能にし、
前記センサレバーの回動中心から前記回動規制突起と前記センサレバーの当接位置まで
の距離をL1とし、前記センサレバーの回動中心から前記センサレバーと前記レバースト
ッパの当接位置までの距離をL2とすると、L1<L2となるように、前記回動規制突起
が前記センサホルダに設けられた、
ことを特徴とするシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造。
【請求項3】
合成樹脂製のセンサホルダ内に収容したセンサウエイトが慣性によって前記センサホル
ダ内を移動すると、前記センサホルダに揺動可能に支持された合成樹脂製のセンサレバー
が前記センサウエイトによって持ち上げられる方向に回動させられて、前記センサレバー
の爪がウェビング巻き取りドラムに取り付けた歯車の歯の間に食い込み、前記歯車のウェ
ビング引き出し方向への回転を規制するようになっているシートベルトリトラクタ用ビー
クルセンサと、
前記ウェビング巻き取りドラムが回動可能に支持されると共に、前記シートベルトリト
ラクタ用ビークルセンサが取り付けられた合成樹脂製のケースと、
を備えたシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造であって、
前記センサホルダには、前記センサレバーの支持軸を揺動可能に収容する軸穴が形成さ
れ、
前記センサレバーには、前記爪が前記歯車の歯の間に食い込む位置まで前記センサウエ
イトによって回動させられると、前記軸穴の弾性変形部に当接して前記センサレバーの回
動を規制する回動規制突起が形成されており、
前記ケースには、前記回動規制突起によって回動規制された前記センサレバーとの間に
隙間が生じるように位置するレバーストッパが形成されており、
前記軸穴の前記弾性変形部は、前記支持軸の前記回動規制突起が当接した後、更に前記
センサレバーを回動させる方向の力が前記歯車を介して作用すると、前記支持軸の前記回
動規制突起によって弾性変形させられ、前記センサレバーが前記隙間の分だけ回動して前
記レバーストッパに当接するのを可能にする、
ことを特徴とするシートベルトリトラクタ用ビークルセンサの取付部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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