説明

シートラッピング装置

【課題】基材の表面に対してシートをむら無く貼着してラッピングすることができるシートラッピング装置を提供することである。
【解決手段】複数のローラ6a〜6cにベルト状部材7を懸架し、ベルト状部材7を介してローラ6a〜6cでラッピング対象物2上に配置したシート3を押圧する。シート3における、ローラ6a〜6cに懸架されたベルト状部材7と接触する広範囲Lの部位が押圧される。そして、シート3が基材2にむら無くラッピングされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材等に使用される基材の表面にシートを貼着してラッピングするシートラッピング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建材に使用される基材は、素材そのものが露出するのは無粋であるので、化粧シートを貼着しラッピングして使用することが多い。基材の表面にシートを貼着する発明が特許文献1に開示されている。特許文献1には、貼着面に接着剤を塗布したシートを、ローラで基材に押し付け、基材にシートを貼着しラッピングする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−142976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1に開示されている装置では、貼り付けローラと称される一つのローラで基材にシートを押し付け、基材にシートを貼着している。すなわちシートは、当該貼り付けローラによってただ一箇所で基材に押圧されており、基材とシートとが貼り付けローラを通過すると押圧力がなくなる。その結果、シート貼着面の接着剤が固まる前に押圧が解除されるため、基材とシートの貼着は不安定になり、これがシートによるラッピングの見栄えを悪化させる。
【0005】
そこで、仮に図2に示すシートラッピング装置40のように、複数のローラ41a〜41cでシート42を基材43に押し付けたとしても、各ローラ41a〜41cがシート42のごく一部分(範囲R1〜R3)を押圧するだけである。すなわち、シート42と基材43は、各ローラ41a〜41cが設置された箇所を通過する際だけ押圧され、その以外の箇所にあるときには押圧されないため、基材43に対するシート42の貼着にむらが生じ易くなる。
【0006】
そこで本発明は、基材の表面に対してシートをむら無く貼着してラッピングすることができるシートラッピング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、ラッピング対象物に複数のローラでシートを押し付け、シートをラッピング対象物に貼着してラッピングするシートラッピング装置において、前記複数のローラにベルト状部材を懸架し、ローラが前記ベルト状部材を介してシートをラッピング対象物に押圧することを特徴とするシートラッピング装置である。
【0008】
請求項1の発明では、複数のローラにベルト状部材を懸架し、ローラが前記ベルト状部材を介してシートをラッピング対象物に押圧するので、シートはベルト状部材によってラッピング対象物に面で押圧される。その結果、シートはラッピング対象物にむら無く貼着されラッピングされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、複数のローラにベルト状部材を懸架するので、ベルト状部材を介してローラの押圧力をシートに付与し、ラッピング対象物に対してシートを面で押圧して貼着しラッピングすることができる。すなわち、ラッピング対象物に対してシートをむら無く貼着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のシートラッピング装置の正面図であり、基材にシートをラッピングしている状態を示している。
【図2】従来のシートラッピング装置の正面図であり、基材にシートをラッピングしている状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1に示すようにシートラッピング装置1は、テンションプーリ5、押圧ローラ6a〜6c、ベルト7(ベルト状部材)、複数の基材搬送ローラ4、シート搬送ローラ8a,8b、接着剤供給装置9等を備えている。基材搬送ローラ4は、基材3(ラッピング対象物)を図1の右方から左方へ搬送し、また、シート搬送ローラ8a,8bは、図示しないシート供給装置から供給されたシート2を図1の左方へ搬送する。
【0013】
各押圧ローラ6a〜6cは、等間隔に水平に配置されており、図示しない昇降機構によって昇降が可能になっている。各押圧ローラ6a〜6cは、図1において二点鎖線で示す位置まで上昇が可能である。押圧ローラ6aは、図示しない駆動モータによって回転駆動される駆動ローラであり、押圧ローラ6b,6cは従動ローラである。
【0014】
テンションプーリ5は、各押圧ローラ6a〜6cの上方に配置されている。テンションプーリ5の回転軸は各押圧ローラ6a〜6cの回転軸と平行である。テンションプーリ5も図示しない別の昇降機構によって昇降が可能である。すなわち、図1においてテンションプーリ5は、押圧ローラ6a〜6cとは別に上下移動することができる。
【0015】
各押圧ローラ6a〜6cとテンションプーリ5には、ベルト7が懸架される。ベルト7の張力は、テンションプーリ5の上下移動によって適宜調整される。また、押圧ローラ6a(駆動ローラ)が回転駆動されると、ベルト7によって動力が伝達され、押圧ローラ6b,6c、及びテンションプーリ5が従動回転する。
【0016】
各基材搬送ローラ4は、駆動ローラと従動ローラとが図示しないベルトで動力伝達可能に接続された構成を有するものである。また、シート搬送ローラ8a,8bは、図示しないシート供給装置からシート2を円滑に搬送するガイド機能を提供する。
【0017】
接着剤供給装置9は、シート搬送ローラ8a,8bよりも、シート2の搬送方向下流側に配置されている。そして接着剤供給装置9は、シート搬送ローラ8a,8bを通過したシート2に対して接着剤10(例えば、ホットメルト接着剤)を噴射供給し、シート2の貼着面2aを形成する。
【0018】
次に、シートラッピング装置1の動作について説明する。
【0019】
当初、図示しない昇降機構によって、各押圧ローラ6a〜6cを上昇させておく。
【0020】
次に、図示しないシート供給装置からシート搬送ローラ8a,8bを介して、シート2の先端を押圧ローラ6aの下に配する。シート2の貼着面2aには、接着剤供給装置9によって接着剤10が噴射供給される。
【0021】
同様に、基材搬送ローラ4によって基材3(ラッピング対象物)を図1の右方から左方へ移動させ、基材3の先端(左端)を押圧ローラ6aの下方に配する。そして、シート2の先端と基材3の先端とを位置合わせする。その後、図示しない昇降機構によって各押圧ローラ6a〜6cを下降させ、ベルト7を介して各押圧ローラ6a〜6cでシート2を押圧する。
【0022】
次に、押圧ローラ6aを駆動させる。押圧ローラ6aは、ベルト7を介してシート2及び基材3を押圧して巻き込みながらシート2と基材3を左方へ移動させる。その際、搬送ローラ4は押圧ローラ6aと同期回転する。そのため、基材2とシート3は貼着されながら左方へ円滑に搬送される。
【0023】
シート2と基材3の先端は、押圧ローラ6bを通過し、やがて押圧ローラ6cの位置まで達する。すなわちシート2と基材3は、距離Lだけ移動する。シート2と基材3が距離Lを移動する間、ベルト7によってシート2は基材3側へ押圧され続ける。すなわち、シート2は、距離Lに相当する長さと、シート2の幅(図1の紙面に直交する方向の長さ)とで形成される面で、基材3に対して圧着(押圧)される。換言すると、シート2は、距離Lを移動する間、基材3に対して押圧され続ける。
【0024】
その結果、シート2は基材3に良好に貼着され、基材3はシート2でむら無く一様にラッピングされる。基材3は、連続的にシート2でラッピングされ、ラッピングされた基材3は左方へ排出される。
【0025】
ここで、シートラッピング装置1の始動時に、押圧ローラ6aの下でシート2の先端と基材3の先端とを位置合わせせず、両者をシートラッピング装置1の左方へ引き込み、基材3の途中の部位からシート2をラッピングするようにしてもよい。これにより、シート2の先端と基材3の先端とを神経質に位置合わせする手間が省ける。
【0026】
ベルト状部材の横断面の形状は、シート2や基材3の形状に合わせて任意に設定することができる。例えば、基材の表面に送り方向(搬送される方向)に延びる溝が形成されている場合には、この溝に係合する突条を備えたベルト状部材を選定するのが好ましい。その結果、基材の溝にもシート2が良好に貼着される。
【0027】
基材2に対してシート3が貼着する(接着剤10が固化する)までに時間が掛かる場合には、シート3が完全に貼着される時間が経過するまで基材搬送ローラ4及び押圧ローラ6aを停止させ、完全に貼着する時間が経過した後に基板2及びシート3を距離Lだけ移動させるようにしてもよい。すなわち、基板2に対してシート3を距離Lに相当する長さを単位として順に送って押圧し、接着時間が経過するまで基板2及びシート3を停止させて貼着(ラッピング)する。
【0028】
なお、各押圧ローラ6を外気よりも高圧の冷却空気が充填された空気室に収容し、空気室の下部に各押圧ローラ6の下部を露出させる孔を設け、各押圧ローラ6がシートを押圧すると共に、当該孔から低温の空気を排出し、シートと基材の貼着部位を冷却することも可能である。すなわち、このような構成を採用すると、熱可塑性樹脂を主成分とするホットメルト接着剤でシートと基材とを接着した場合、早期にホットメルト接着剤を固化させることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 シートラッピング装置
2 シート
2a 貼着面
3 基材(ラッピング対象物)
4 基材搬送ローラ
5 テンションプーリ
6a〜6c 押圧ローラ
7 ベルト(ベルト状部材)
8a,8b シート搬送ローラ
9 接着剤供給装置
10 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッピング対象物に複数のローラでシートを押し付け、シートをラッピング対象物に貼着してラッピングするシートラッピング装置において、前記複数のローラにベルト状部材を懸架し、ローラが前記ベルト状部材を介してシートをラッピング対象物に押圧することを特徴とするシートラッピング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−131120(P2012−131120A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285338(P2010−285338)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】