説明

シートリール

【課題】 シートの巻き取り性の悪化及びシートリールの大型化を抑制しつつ、大きな範囲を仕切ることが可能なシートリールを提供する。
【解決手段】 他のシートリール1の保持ケーシング7にフック部9(ハンガーピン9B)を係止可能とすることにより、複数のシートリールを連結可能する。これにより、シート3を過度に長くすることなく、大きな範囲を仕切ることができるので、シート3の巻き取り性の悪化及びシートリール1の大型化を抑制しつつ、大きな範囲を仕切ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートリールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シートリールとは、例えば、特許文献1に記載の発明のごとく、帯状のシート(ベルト又はリボン)、及びこのシートを巻き取るためのドラム等からなるものである。その使用方法として、例えば特定の区域を仕切る際等には、ドラムに巻かれているシートを伸張して縄張りし、その縄張りを解除する際には、伸張したシートをドラムにより巻き取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−310962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大きな範囲を仕切るには、当然ながら長いシートを必要とするが、過度に長いシートを採用すると、シートの巻き取りが困難となるとともに、シートリールの大型化を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、シートの巻き取り性の悪化及びシートリールの大型化を抑制しつつ、大きな範囲を仕切ることが可能なシートリールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、帯状のシート(3)と、シート(3)の長手方向一端側が組み付けられ、シート(3)を巻き取るためのドラム(5)と、ドラム(5)を回転可能に保持する保持ケーシング(7)と、シート(3)の長手方向他端側に組み付けられ、保持ケーシング(7)に設けられた被係止部(7G)に係止可能なフック部(9)とを備え、フック部(9)は、一部が切断されて開放された環状に構成されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、請求項1に記載の発明では、他のシートリールの保持ケーシング(7)にフック部(9)を係止することにより、複数のシートリールの連結することができるので、シートを過度に長くすることなく、大きな範囲を仕切ることができる。
【0008】
したがって、シート(3)の巻き取り性の悪化及びシートリールの大型化を抑制しつつ、大きな範囲を仕切ることが可能となる。なお、特許文献1等に示されたシートリールでは、シートリール同士を連結することができないので、本願の目的を達成することはできない。
【0009】
また、フック部(9)は、一部が切断されて開放された環状に構成されているので、フック部(9)にシート(3)を通すことにより、シート(3)の長手方向他端側(以下、先端側という。)を容易に環状(輪状)することができる。
【0010】
したがって、請求項1に記載の発明では、既存の支柱等にシート(3)の先端側を巻き付けた後、環状に構成されたフック部(9)にシート(3)を通して先端側を環状とすることにより、シートの先端側を容易に既存の支柱等に括り付けることができるとともに、その括り付けを容易に解除することもできる(図12参照)。
【0011】
また、請求項2に記載の発明では、シート(3)を巻き取る向きの弾性力をドラム(5)に作用させる巻取用バネ(11)と、ドラム(5)が巻取用バネ(11)の弾性力によって巻き取りの向きに回転した場合であって、その角速度が予め設定された角速度を超えたときにドラム(5)の回転を抑制する回転抑制機構(13)とを備えることを特徴とする。
【0012】
ところで、巻取用バネ(11)はシート(3)を巻き取る向きの弾性力(以下、この弾性力を巻取力という。)をドラム(5)に作用させるので、シート(3)を長く伸張させるほど巻取力が大きくなり、使い勝手が不便となる場合がある。
【0013】
これに対して、請求項2に記載の発明では、回転抑制機構(13)を備えているので、巻取力が過度に大きくなることを抑制することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0014】
なお、請求項2に記載の発明においては、以下のような構成としてもよい。すなわち、巻取用バネ(11)はドラム(5)の軸線方向一端側に配設され、回転抑制機構(13)はドラム(5)の軸線方向他端側に設けられており、さらに、回転抑制機構(13)は、ドラム(5)と一体的に軸線周りに回転するとともに、軸線に対して近接又は離隔する方向に変位可能な係止部材(13A)、係止部材(13A)を軸線に近接させる向きに変位させる復帰バネ(13B)、及び保持ケーシング(7)に設けられ、係止部材(13A)に作用する遠心力により係止部材(13A)が軸線から離隔する向きに変位したときに、係止部材(13A)が係止される係止突起(13C)を有して構成されている。
【0015】
また、請求項3に記載の発明では、フック部(9)は、一部が切断されて開放された矩形状の環状に構成され、シート(3)のうち一方の面には、掲示用の模様(以下、掲示模様等という。)が記載されており、さらに、シート(3)は、掲示模様等が記載された表面が、掲示模様等が記載されていない裏面より外周側に面するようにドラム(5)に巻かれていることを特徴とする。
【0016】
ここで、「掲示模様等」とは、○や△等のいわゆる模様は勿論のこと、文字等の情報伝達機能を有する模様等も含む意味である。
ところで、ドラム(5)にシート(3)が巻かれると、一般的に、シートはドラム(5)側の面が凹むように撓み変形し易い。そして仮に、表面側が凹むようにシート(3)が撓むと、表面に記載された掲示模様等の視認性が著しく低下するおそれがある。
【0017】
これに対して、請求項3に記載の発明では、シート(3)は、掲示模様等が記載された表面が、掲示模様等が記載されていない裏面より外周側に面するようにドラム(5)に巻かれているので、シート(3)は、掲示模様等が記載されていない裏面が凹むように撓み変形し易くなる。
【0018】
したがって、請求項3に記載の発明では、表面側が凹むようにシート(3)が撓み変形してしまうことを抑制できるので、表面に記載された掲示模様等の視認性が著しく低下することを防止できる。
【0019】
なお、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発明は、以下のように構成してもよい。
すなわち、ドラム(5)の回転に伴ってシート(3)が出入りするシート出入口(7H)が設定されており、保持ケーシング(7)は、ドラム(5)の軸線方向一端側に設けられ、ドラム(5)の軸(5C)を回転可能に支持する第1支持部(7A)、軸線方向他端側に設けられ、ドラム(5)の軸(5C)を回転可能に支持する第2支持部(7B)、及び第1支持部(7A)と第2支持部(7B)と連結するように軸線方向に延びるとともに、保持ケーシング(7)を取付対象体に取り付けるための取付手段(7D)が設けられたプレート部(7C)を有して略コの字状に構成されており、さらに、シート出入口(7H)は、軸線方向と直交し、かつ、プレート部(7C)と平行な方向に向けて開口しているとともに、その開口方向から見て、プレート部(7C)側に設定されていてもよい。
【0020】
これにより、シート(3)を伸張させた場合に、フック部(9)とプレート部(7C)とを結ぶ仮想接線に対して、伸張したシート(3)が大きく傾くことを抑制できる。つまり、複数のシートリール同士を連結した場合であって、これらを軸線方向から見たときに、連結されたシート(3)が鋸歯のように傾いた状態となることを抑制できる。
【0021】
また、シート出入口(7H)のうちシート(3)の表面に接触する部位には、回転しながらシート(3)の移動を案内するガイドローラ(7J)が設けられていてもよい。
これにより、表面に記載された掲示模様等が擦れて消失してしまうことを抑制できる。
【0022】
なお、この場合には、フック部(9)は、シート(3)の長手方向他端側をシート(3)の厚み方向から挟み込むとともに、シート(3)の幅方向に延びるシートホルダ(9A)、及びピン状に形成され、シートホルダ(9A)と離隔した状態で幅方向に延びるハンガーピン(9B)を有して構成され、さらに、ハンガーピン(9B)は、その長手方向一端側にてシートホルダ(9A)に組み付けられた構成とすることが望ましい。
【0023】
また、ハンガーピン(9B)は、バネ鋼にて構成されているとともに、その長手方向他端側には、シートホルダ(9A)側に突出するように湾曲した湾曲部(9H)が設けられていてもよい。
【0024】
これにより、フック部(9)のうち開放された部位が湾曲部(9H)により閉塞された構成となるので、フック部(9)にシート(3)を通す際の作業性を悪化させることなく、フック部(9)にシート(3)を通した後に、フック部(9)からシート(3)が抜けてしまうことを抑制でき、シートリールの使い勝手を向上させることができる。
【0025】
また、シートホルダ(9A)は、シート(3)を挟んで厚み方向一端側に配置された第1ホルダプレート(9C)、シート(3)を挟んで厚み方向他端側に配置された第2ホルダプレート(9D)、及び第1ホルダプレート(9C)を第2ホルダプレート(9D)に固定するためのネジ(9F)を有して構成されていてもよい。
【0026】
これにより、フック部(9)をシート(3)に容易に取り付けることができるので、例えばシート(3)を交換した場合やシート(3)の一部を切断した場合であっても、フック部(9)をシート(3)に容易に再取付でき、シートリールの保守・整備性を向上させることができる。
【0027】
また、ドラム(5)には、シート(3)の長手方向一端側が組み付けられる組み付け穴(5D)が設けられており、さらに、保持ケーシング(7)には、組み付け穴(5D)の位置を保持ケーシング(7)に対して予め設定された位置に固定するためにドラム(5)を回転不能とするロック手段(15)が設けられていてもよい。
【0028】
これにより、シート(3)のドラム(5)への組み付け、及びドラム(5)からの取り外しを容易に行うことができるので、シートリールの保守・整備性を向上させることができる。
【0029】
つまり仮に、ドラム(5)が自由に回転可能であると、ドラム(5)にシート(3)を組み付ける際、又はシート(3)をドラム(5)からの取り外す際に、ドラム(5)が回転してしまうので、保守・整備作業が著しく低下するおそれがある。しかし、上記発明では、ドラム(5)を回転不能とするロック手段(15)が設けられているので、保守・整備作業が著しく低下することはない。
【0030】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係るシートリール1の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るシートリール1の背面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るシートリール1の上面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】(a)及び(b)は、回転抑制機構13の作動説明図である。
【図6】シート3がドラム5に巻かれた状態を示す図である。
【図7】(a)はシート3のドラム5への着脱を示す図であり、(b)はシート3の環状部3Aを示す図である。
【図8】フック部9の拡大図である。
【図9】(a)はシートホルダ9Aの展開図であり、(b)は図9(a)の下面図である。
【図10】(a)、(b)シートロック機構15の作動説明図である。
【図11】シートリール1の使用方法の一例を示す図である。
【図12】シートリール1の使用方法の一例を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係るシートリール1の使用例を示す図である。
【図14】(a)は、アタッチメント20の正面図であり、(b)は図14(a)の下面図である。
【図15】(a)はリング部20Aの断面図であり、(b)は内周壁20Dの展開図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係るシートリール1の背面図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係るシートリール1とアタッチメント20との連結作業方法を示す図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係るシートリール1とアタッチメント20との連結状態を示す図である。
【図19】(a)は、組付用プレート20Jをアタッチメント20に装着した状態を示す図であり、(b)は図19(a)の下面図である。
【図20】(a)、(b)は、組付用プレート20Jの二面図である。
【図21】(a)、(b)は、第4実施形態の特徴を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に説明する「発明の実施形態」は実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的手段や構造等に限定されるものではない。
【0033】
そして、本発明に係るシートリールを「立ち入り禁止区域」等を縄張りすべく仕切る際に用いられるシートリールに適用したものである。以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
1.シートリールの構成
1.1 概要
シートリール1は、図1に示すように、シート3を巻き取るためのドラム5、及びドラム5を回転可能に保持する保持ケーシング7等から構成されている。シート3は、可撓性を有する材質(本実施形態では、PVC)からなる薄い帯状のものであり、このシート3のうち一方の面には、掲示模様等が記載されている。
【0035】
ここで、掲示模様等とは、記号等の模様若しくは文字等の情報伝達機能を有する模様、又はこれらを組み合わせた模様であって、シート3を伸張させて縄張りした際に視認させることを目的とした模様をいう。なお、以下、シート3のうち掲示模様等が記載された面を表面と呼び、掲示模様等が記載されていない面を裏面と呼ぶ。
【0036】
そして、シート3の先端側には、シート3の先端側を壁や柱(ポール)等の取付対象体に取り付けるためのフック部9が組み付けられている。なお、シート3の長手方向一端側は、後述するようにドラム5に組み付けられており、長手方向他端側である先端側にフック部9が組み付けられている。
【0037】
1.2 ドラムの構造
ドラム5は、図4に示すように、シート3を巻くための円筒状のドラム本体5A、ドラム本体5Aの軸方向両端側に設けられた鍔状のフランジ部5B、及びドラム5を支持するためのドラム軸5C等から構成されており、これら5A〜5Cは、本実施形態では樹脂(例えば、POM)にて一体成形されている。
【0038】
なお、フランジ部5Bのうちドラム本体5A側の面は、ドラム本体5Aから離れるほど(径方向外方側に向かうほど)、一対のフランジ部5B間の距離W1が大きくなるようにドラム5の軸線L1の方向と直交する方向(径方向)に対して傾斜したテーパ面にて構成されている。
【0039】
また、ドラム本体5Aには、図3に示すように、シート3の長手方向一端側が組み付けられる組み付け穴5Dが設けられており、この組み付け穴5Dは、ドラム本体5Aの外周面から軸線L1(ドラム5の回転中心)に切り込むように陥没するとともに、軸線L1の方向に拡がったスリット状に形成されている。
【0040】
そして、組み付け穴5Dのうち外周側のスリット幅W2は、軸線L1側(以下、この部分を組み付け穴5Dの係止部5Eという。)のスリット幅W3より小さい寸法に設定されている。なお、スリット幅とは、組み付け穴5Dの陥没方向と直交する方向の内径寸法をいう。
【0041】
一方、シート3の長手方向一端は、図7に示すように、シート3の一部を折り返した環状部(輪状部)3Aが設けられており、この環状部3Aにスリット幅W2より大きな外形寸法を有する硬質な樹脂又は金属製の係止ピン3Bが挿入装着されている。
【0042】
このため、係止ピン3Bが装着された環状部3Aを、図7(a)に示すように、軸線L1の方向から組み付け穴5Dの係止部5Eに挿入すると、シート3の長手方向一端側が係止部5Eに係止されてドラム5に組み付けられる。そして、シート3は、その表面が裏面より外周側に面するようにドラム5に巻かれている(図6参照)。
【0043】
1.3 フック部の構造
フック部9は、図8(a)に示すように、シート3の幅方向に延びるシートホルダ9A、及びシートホルダ9Aと離隔した状態で幅方向に延びるピン状のハンガーピン9B等から構成されている。なお、シート3の幅方向とは、シート3の長手方向及び厚み方向と直交する方向をいう。
【0044】
そして、ハンガーピン9Bは、その長手方向一端側(図8(a)の上端側)にてシートホルダ9Aに組み付けられ、長手方向他端側(図8(a)の下端側)はシートホルダ9Aに組み付けられていない。このため、フック部9は、長手方向他端側(図8(a)の下端側)が切断されて開放された矩形状の環状、つまり、下端側が開放された略コの字状に構成されている。
【0045】
また、シートホルダ9Aは、図8(b)に示すように、シート3を挟んで厚み方向一端側に配置された第1ホルダプレート9C、及び厚み方向他端側に配置された第2ホルダプレート9D等から構成されており、これらのホルダプレート9C、9Dにてシート3を厚み方向から挟み込むことにより、シートホルダ9Aをシート3の先端側に組み付けている。
【0046】
そして、第1、2ホルダプレート9C、9Dは、図9に示すように、他の部位に比べて厚みが薄い薄肉部9Eにて連結されており、シートホルダ9Aは、この薄肉部9Eにて折り曲げられた後、両ホルダプレート9C、9Dが密着するようにネジ9F(図2参照)により固定される。これにより、シート3がシートホルダ9Aに挟まれた(挟持された)状態が保持される。
【0047】
また、ハンガーピン9Bは、バネ鋼等の弾性に優れた材料にて構成されているとともに、その長手方向一端側(図9(a)では上端側)には、シートホルダ9Aにハンガーピン9Bを組み付けるためのハンガー部9Gが設けられ、長手方向他端側には、シートホルダ9A側に突出するように湾曲した湾曲部9Hが設けられている。因みに、湾曲部9Hと反対側に突出するように湾曲した部位9Kは、カラナビや紐を取り付け易くするための湾曲である。
【0048】
なお、第1、2ホルダプレート9C、9Dのうち少なくとも一方には、ハンガー部9Gが位置決めされた状態で嵌り込む溝部(図示せず。)が設けられており、ハンガー部9Gは、この溝部に嵌り込んだ状態で第1、2ホルダプレート9C、9Dにより挟まれてシートホルダ9Aに固定される。
【0049】
また、シートホルダ9Aのうちプレート部(7C)と同一面側(第2ホルダプレート9D)には、図2に示すように永久磁石9Jが配設されており、この永久磁石9Jはシートホルダ9Aに設けられた凹部に嵌め込まれた状態でネジ等の機械的締結手段にてシートホルダ9Aに固定されている。このため、永久磁石9Jは、シートホルダ9Aから突出することなく、両者9A、9Jは略面一となっている。
【0050】
なお、シートホルダ9Aには貫通穴9Lが設けられており、この貫通穴9Lに紐やワイヤー等を通すことによってもフック部9を取付対象体に取る付けることができる。
1.4 保持ケーシングの構造
1.4.1 保持ケーシングの概要
保持ケーシング7は、図2に示すように、第1支持部7A、第2支持部7B及びプレート部7Cにより略コの字状に構成されており、第1支持部7Aは、図4に示すように、軸線方向一端側(図4では、上端側)に設けられてドラム軸5Cを回転可能に支持し、第2支持部7Bは、軸線方向他端側(図4では、下端側)に設けられてドラム軸5Cを回転可能に支持する。
【0051】
プレート部7Cは、図2に示すように、第1支持部7Aと第2支持部7Bとを連結するように軸線方向に延びて両支持部7A、7Bを保持するフレーム材であり、本実施形態に係るプレート部7Cは、SPHC等の強磁性材料にて構成されている。なお、第1支持部7A及び第2支持部7BはABS等の樹脂材にて構成されているため、プレート部7Cと両支持部7A、7Bとはネジ等の締結手段にて連結されている。
【0052】
また、プレート部7Cには、シートリール1(保持ケーシング7)を壁や柱等の取付対象体に取り付けるための取付手段として永久磁石7Dが設けられており、この永久磁石7Dは、プレート部7Cに設けられた凹部に嵌め込まれた状態でネジ等の締結手段にてプレート部7Cに固定されている。このため、永久磁石7Dは、プレート部7Cから突出することなく、両者7C、7Dは略面一となっている。
【0053】
なお、プレート部7Cには、貫通穴7Eが設けられており、この貫通穴7Eに紐やワイヤー等を通すことによってもシートリール1を取付対象体に取り付けることができる。
また、第2支持部7B内には、図4に示すように、シート3を巻き取る向きの弾性力をドラム5(ドラム軸5C)に作用させる巻取用バネ(本実施形態では、ゼンマイバネ)11が収納されている。
【0054】
そして、巻取用バネ11は、渦巻きの中心側がドラム軸5Cに係止され、外側が第2支持部7Bに係止固定されている。このため、シート3が伸張されてドラム5が回転すると、巻取用バネ11が締まっていくように巻かれるため、巻取用バネ11は、その復元力としてドラム5を巻き取りの向き回転させようとする。
【0055】
一方、第1支持部7A内には、ドラム5の回転を抑制する回転抑制機構13が設けられており、この回転抑制機構13は、ドラム5が巻取用バネ11の弾性力によって巻き取りの向きに回転した場合であって、その角速度が予め設定された角速度を超えたときに、ドラム5の回転を抑制する。
【0056】
さらに、第1支持部7Aには、ドラム5を回転不能として、組み付け穴5Dの位置を保持ケーシング7(第1支持部7A)に対して予め設定された位置に固定するシートロック機構15(図10参照)が設けられている。
【0057】
また、第1支持部7Aには、図3に示すように、ハンガーピン9Bが挿入されることによりフック部9を係止することができる被係止穴7Gが設けられており、フック部9(ハンガーピン9B)を他のシートリール1の被係止穴7Gに挿入して係止することにより、複数のシートリール1(シート3)を数珠繋ぎ状に連結することができる。
【0058】
そして、保持ケーシング7のうちプレート部7C側には、ドラム5の回転に伴ってシート3が出入りするシート出入口7Hが設定されており、このシート出入口7Hは、ドラム軸5Cと直交し、かつ、プレート部7Cと平行な方向(図3の右側)に向けて開口しているとともに、ドラム5の軸線(ドラム軸5C)よりプレート部7C側に設定されている。
【0059】
具体的には、シート出入口7Hは、ガイドローラ7J、プレート部7C及び第1、第2支持部7A、7Bにより囲まれた矩形状の開口部によって構成されている。そして、ガイドローラ7Jは、第1支持部7A側から第2支持部7B側に延びるとともに、シート3が出入りする際にシート3の表面に接触しながら回転することにより、シート3の移動を案内する。
【0060】
1.4.2 回転抑制機構の構造及び作動
回転抑制機構13は、図5に示すように、係止部材13A、復帰バネ13B及び係止突起13C等から構成されており、係止部材13Aは、Pネジ13D等の軸部材を介してドラム5のフランジ部5Bに揺動可能に組み付けられた係止用のロック爪である。
【0061】
そして、係止部材13Aの揺動中心(Pネジ13Dの位置)は、ドラム軸5Cから外径側にずれた位置に設定されている。このため、係止部材13Aは、ドラム5と一体的に軸線L1(ドラム軸5C)周りに回転するとともに、軸線L1(ドラム軸5C)に対して近接又は離隔する方向に揺動変位することができる。
【0062】
復帰バネ13Bは、係止部材13Aを軸線に近接させる向き(図5(a)に示す状態となるよう)に変位させるリターンバネであり、本実施形態に係る復帰バネ13Bは、コイル部分にPネジ13Dが挿入された捻りコイルバネを採用している。
【0063】
係止突起13Cは、係止部材13Aが軸線L1から離隔する向きに変位したときに(図5(b)に示す状態)、係止部材13Aが引っ掛かるように係合することにより、係止部材13Aが係止されるものであり、この係止突起13Cは、保持ケーシング7の一部を成す第1支持部7Aに設けられている。
【0064】
すなわち、係止突起13Cは、図5(a)に示すように、ドラム軸5Cから外径側にずれた位置からドラム軸5Cに向けて突出した突起部であって、軸線L1(ドラム軸5C)を周りに複数設けられている。
【0065】
そして、係止突起13Cの頂点13Eから外径側に至る斜面13F、13Gのうち、頂点13Eに対して伸張の向き側に位置する斜面13Fは、径方向(放射方向)と平行又は外径側に向かうほど径方向より巻き取りの向き側に位置するように傾斜している。一方、頂点13Eに対して径方向よりも巻き取りの向き側に位置する斜面13Gは、外径側に向かうほど径方向より巻き取りの向き側に傾斜している。
【0066】
このため、ドラム5の角速度が予め設定された角速度以下の場合には、復帰バネ13Bの弾性力Fsにより、係止部材13Aが図5(a)に示す退避状態となるため、ドラム5は自由に回転することができる。
【0067】
そして、ドラム5の角速度が予め設定された角速度を超えると、係止部材13Aに作用する遠心力Fcが増大し、係止部材13Aが軸線L1側から離隔する向きに変位して係止部材13Aと係止突起13Cとが係止する係止状態に変位する。
【0068】
このとき、ドラム5が巻き取りの向きに回転している場合には、係止突起13Cの斜面13Fが、外径側に向かうほど径方向より巻き取りの向き側に位置するように傾斜しているので、係止部材13Aと係止突起13Cとが衝突した後、両者13A、13Cが係合する。したがって、ドラム5の回転が減速(抑制)された後、係止部材13Aと係止突起13Cと係合した時にドラム5の回転が停止する。
【0069】
一方、ドラム5の角速度が予め設定された角速度を超え、かつ、ドラム5が伸張の向き向きに回転している場合には、斜面13Gが外径側に向かうほど径方向より巻き取りの向き側に傾斜しているので、係止部材13Aと係止突起13C(斜面13G)とが衝突した後、係止部材13Aが頂点13Eを乗り越えて隣接する係止突起13C(斜面13G)に至る。このため、ドラム5は停止することなく、シート3の伸張と共に伸張の向きに回転する。
【0070】
1.4.3 シートロック機構
シートロック機構15は、図10に示すように、フランジ部5Bに設けられた筒部5Fに、第1支持部7Aに設けられたロック棒5Gを挿入することにより、ドラム5の回転を規制するものであり、ロック棒5Gは、筒部5Fの軸方向に変位することができるように第1支持部7Aに組み付けられている。
【0071】
すなわち、筒部5Fは、その軸方向が軸線L1方向と平行となるように、フランジ部5Bのうち軸線L1から外径側にずれた位置に設けられ、ロック棒5Gは、外周部に雄ねじが形成されているとともに、第1支持部7Aに形成された雌ねじ穴に挿入されている。
【0072】
このため、ロック棒5Gの先端側に設けられた摘み部5Hを回すことにより、ロック棒5Gを筒部5F内に挿入させたロック位置(図10(b)参照)と、ロック棒5Gを筒部5Fから離間させたロック解除位置(図10(a)参照)との間で変位させることができるとともに、ロック棒5Gをロック位置又はロック解除位置に保持することができる。
【0073】
そして、筒部5Fは、図3に示すように、軸線L1と平行な方向から見たときに、ロック棒5Gの中心に筒部5Fの中心が一致した場合に、第1支持部7Aに設けられたシート挿入スリット穴7Fと組み付け穴5Dとが一致するように設定されている。このため、ロック棒5Gをロック位置にすることにより、シート挿入スリット穴7Fと組み付け穴5Dとを一致させた状態でドラム5を停止させることができる。
【0074】
2.シートリールの使用方法の具体例
2.1 縄張り
ドラム5には巻取用バネ11により弾性力が常に作用しているので、シート3はドラム5に巻かれた状態でシートリール1に収納され、かつ、フック部9(シートホルダ9A)は、図3に示すように、第1、第2支持部7A、7Bに設けられた凹部7Kに嵌り込んだ状態で収納されている。
【0075】
そして、縄張りする際には、保持ケーシング7のプレート部7Cを壁や柱等の取付対象体に固定した状態で、フック部9を保持ケーシング7から引き離すようにしてシート3を伸張させた後、フック部9を取付対象体に固定する。
【0076】
このとき、保持ケーシング7の固定方法は、(1)プレート部7Cに埋設された永久磁石7Dにて取付対象体に固定する方法、又は(2)プレート部7Cに設けられた貫通穴7Eに結束バンドやワイヤー等を通して取付対象体に固定する方法等がある。
【0077】
また、フック部9の固定方法は、(1)シートホルダ9Aに埋設された永久磁石9Jにて取付対象体に固定する方法、(2)シートホルダ9Aに設けられた貫通穴9Lに結束バンドやワイヤー等を通して取付対象体に固定する方法、(3)ハンガーピン9Bを他のシートリール1に設けられた被係止穴7Gに挿入して他のシートリール1に連結する方法(図11)、又は(4)ハンガーピン9Bとシートホルダ9Aとの間にシート3を通すことにより、図12に示すように、シート3の先端側を環状(輪状)として柱やロードコーン(パイロン)に巻き付け固定する方法等がある。
【0078】
2.2 シートの交換
シート出入口7Hは、図3に示すように、その開口方向から見て、ドラム5の軸線(ドラム軸5C)よりプレート部7C側に設定されているので、ドラム5の回転が停止するまでシート3を開口方向に(図3の右側に向けて)伸張させると、シート挿入スリット穴7Fと組み付け穴5Dとが一致した状態となる。そして、この状態でロック棒5Gをロック位置とする。
【0079】
その後、シート3をドラム5から抜き取るように、シート3を軸線L1方向に平行移動させることにより(図7(a)参照)、シート3をドラム5から取り外すことができる。
そして、シート3をドラム5に組み付ける場合には、シート3をドラム5から取り外す場合とは逆に、組み付け穴5Dにシート3を挿入した後、ロック棒5Gをロック解除位置とすれば、巻取用バネ11の弾性力によりドラム5が巻き取りの向きに回転するため、シート3が自動的にドラム5に巻かれていく。
【0080】
なお、このとき、ドラム5の角速度が予め設定された角速度を超えると、係止部材13Aと係止突起13Cと係合してドラム5の回転が停止するので、ドラム5の角速度が予め設定された角速度以下となるようにシート3又はフック部9に伸張の向きの力を作用させることが望ましい。
【0081】
2.3 フック部の組み付け
例えば、シート3の先端側に損傷が発生した場合には、その損傷した箇所を切断除去し、切断除去後のシート3の先端にフック部9を組み付ければ、シートリール1を再生利用することができる。
【0082】
このとき、本実施形態では、シートホルダ9Aは、シート3を厚み方向から挟み込む第1、第2ホルダプレート9C、9D、及び両ホルダプレート9C、9Dを固定するためのネジ9Fから構成されているので、ネジ9Fを緩め、既存のフック部9をシート3から取り外した後、その取り外したフック部9にて切断除去後のシート3を挟み込んだ状態でネジ9Fを締め付ければ、容易にフック部9をシート3に取り付けることができる。
【0083】
3.本実施形態に係るシートリールの特徴
本実施形態では、図11に示すように、他のシートリール1の保持ケーシング7にフック部9(ハンガーピン9B)を係止することにより、複数のシートリールの連結することができるので、シートを過度に長くすることなく、大きな範囲を仕切ることができる。したがって、シート3の巻き取り性の悪化及びシートリール1の大型化を抑制しつつ、大きな範囲を仕切ることが可能となる。
【0084】
また、フック部9は、一部が切断されて開放された環状に構成されているので、図12に示すように、フック部9にシート3を通すことにより、シート3の先端側を容易に環状(輪状)することができる。
【0085】
したがって、本実施形態では、既存の支柱等にシート3の先端側を巻き付けた後、環状に構成されたフック部9にシート3を通して先端側を環状とすることにより、シートの先端側を容易に既存の支柱等に括り付けることができるとともに、その括り付けを容易に解除することもできる。
【0086】
ところで、巻取用バネ11はシート3を巻き取る向きの弾性力(巻取力)をドラム5に作用させるので、シート3を長く伸張させるほど巻取力が大きくなり、使い勝手が不便となる場合があるが、本実施形態では、回転抑制機構13を備えているので、巻取力が過度に大きくなることを抑制することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0087】
ところで、シート3がドラム5に巻かれる際には、通常、シート3は、図6に示すように、軸線L1の方向に千鳥状態となってしまうので、シート3の幅方向(図6では、上下方向)端部が、巻取力に伴ってシート3に発生する張力によってドラム5側に引っ張られてしまい、ドラム5側の面が凹むようにシート3が撓み変形してしまう。
【0088】
そして仮に、表面側が凹むようにシート3が撓むと、表面に記載された掲示模様等の視認性が著しく低下するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、シート3は、掲示模様等が記載された表面が、掲示模様等が記載されていない裏面より外周側に面するようにドラム5に巻かれているので、シート3は、掲示模様等が記載されていない裏面が凹むように撓み変形し易くなる。したがって、本実施形態では、表面側が凹むようにシート3が撓み変形してしまうことを抑制できるので、表面に記載された掲示模様等の視認性が著しく低下することを防止できる。
【0089】
また、本実施形態では、シート出入口7Hは、その開口方向(図3の右側)から見て、プレート部7C側に設定されているので、シート3を伸張させた場合に、フック部9とプレート部7Cとを結ぶ仮想接線に対して、伸張したシート3が大きく傾くことを抑制できる。
【0090】
すなわち、シートリール1(保持ケーシング7)はプレート部7Cが壁やパイロン等の取付対象体に固定されることから、シート3を伸張させたときに、シート3の裏面がプレート部7C側(取付対象体側)に面し、シート3の表面がプレート部7Cと反対側(以下、正面側という。)に面することが望ましい。このため、シート出入口7Hは、図3の右側に設定する必要がある。
【0091】
しかし仮に、シート出入口7Hを、その開口方向(図3の右側)から見て、軸線L1に対してプレート部7Cと反対側に設定すると、フック部9を他のシートリール1の被係止穴7Gに係止して複数のシートリール1を連結した際に、連結された複数のシート3を軸線L1方向(上下方向)から見ると、これらのシート3が鋸歯状となってしまい、外観上、好ましくない。
【0092】
これに対して、シート出入口7Hを、その開口方向(図3の右側)から見て、プレート部7C側に設定すれば、フック部9とプレート部7Cとを結ぶ仮想接線に対して、伸張したシート3が大きく傾くことを抑制でき、連結された複数のシート3を軸線L1方向(上下方向)から見ると、これらのシート3が略直線状となり、好ましい状態となる。
【0093】
また、本実施形態では、シート出入口7Hのうちシート3の表面に接触する部位には、回転しながらシート3の移動を案内するガイドローラ7Jが設けられているので、シート3の表面に記載された掲示模様等が擦れて消失してしまうことを抑制できる。
【0094】
また、本実施形態では、ハンガーピン9Bは、バネ鋼にて構成されているとともに、その長手方向他端側に、シートホルダ9A側に突出するように湾曲した湾曲部9Hが設けられているので、フック部9のうち開放された部位が湾曲部9Hにより閉塞された構成となる。
【0095】
したがって、本実施形態では、フック部9にシート3を通す際の作業性を悪化させることなく、フック部9にシート3を通した後に、フック部9からシート3が抜けてしまうことを抑制できるので、シートリール1の使い勝手を向上させることができる。
【0096】
また、本実施形態では、シートホルダ9Aは、シート3を厚み方向から挟み込む第1、第2ホルダプレート9C、9D、及び両ホルダプレート9C、9Dを固定するためのネジ9Fから構成されているので、フック部9をシート3に容易に取り付けることができる。
【0097】
このため、例えばシート3を交換した場合やシート3の一部を切断した場合であっても、フック部9をシート3に容易に再取付でき、シートリールの保守・整備性を向上させることができる。
【0098】
また、本実施形態では、組み付け穴5Dの位置を保持ケーシング7に対して予め設定された位置に固定するためのシートロック機構15が設けられているので、シート3のドラム5への組み付け、及びドラム5からの取り外しを容易に行うことができ、シートリールの保守・整備性を向上させることができる。
【0099】
つまり仮に、ドラム5が自由に回転可能であると、ドラム5にシート3を組み付ける際、又はシート3をドラム5からの取り外す際に、ドラム5が回転してしまうので、保守・整備作業が著しく低下するおそれがある。しかし、本実施形態では、ドラム5を回転不能とするシートロック機構15が設けられているので、保守・整備作業が著しく低下することはない。
【0100】
また、本実施形態では、プレート部7CがSPHC等の強磁性材料にて構成されているので、永久磁石7Dの磁力を強化することができ、取付対象体へのシートリール1の固定力を増強することができる。
【0101】
なお、保持ケーシング7全体を鉄系金属にて構成しても、永久磁石7Dの磁力を強化することができるものの、この手法では、シートリール1の製造原価上昇及び重量増を招く。
【0102】
これに対して、本実施形態では、永久磁石7Dが埋設されたプレート部7CをSPHCとして、第1支持部7A及び第2支持部7Bを樹脂製としているので、シートリール1の製造原価上昇及び重量増を招くことなく、永久磁石7Dの磁力を強化することができる。
【0103】
因みに、本実施形態では、シートロック機構15が「課題を解決するための手段」に記載されたロック手段に相当する。
(第2実施形態)
第1実施形態では、ハンガーピン9Bとシートホルダ9Aとの間にシート3を通すことにより、シート3の先端側を環状(輪状)として柱やロードコーン(パイロン)にシート3を巻き付け固定することを想定していた。
【0104】
しかし、本実施形態は、図13に示すように、アタッチメント20を介してパイロンにシートリール1又はフック部9を固定するものである。なお、図13は、シートリール1をアタッチメント20を介してパイロンに固定した例を示している。
【0105】
1.本実施形態に係るシートリール等の構成
アタッチメント20は、パイロン等の取付対象に装着されるシートリール1用の付属品である。このアタッチメント20は、図14(a)に示すように、環状に形成されたリング部20Aを有して構成されている。なお、本実施形態に係るリング部20Aは、全周連続した環状に構成されているが、一部が切断されて開放されたC字状としてもよい。
【0106】
また、リング部20Aには、図15(a)に示すように、リング部20Aの軸方向と略直交する面を有する環状の壁部20Bが設けられている。この壁部20Bには、壁部20Bを軸方向に貫通するピンホール20Cが設けられている。なお、壁部20Bには、図14(a)に示すように、アタッチメント20の内周壁20Dと外周壁20Eとを繋ぐように放射状に延びるリブ壁20Pが複数設けられている。
【0107】
また、ピンホール20Cは、図15(a)に示すように、ハンガーピン9Bが挿入可能な大きさに設定されている。なお、本実施形態では、ピンホール20Cは、等間隔で複数設けられている。具体的には、リング部20Aの中心周りに90度間隔でピンホール20Cが4つ設けられている。
【0108】
また、内周壁20Dは、図15(a)に示すように、軸方向一端側の内周半径が、軸方向他端側の内周半径より小さくなるように、円錐テーパ状に形成されている。なお、内周壁20Dのテーパ角は、一般的なパイロンのテーパ角とほぼ同一のテーパ角に設定されている。
【0109】
そして、内周壁20Dには、図15(b)及び図14(a)に示すように、パイロン等の取付対象の外周面に接触する滑止部20Fが設けられている。この滑止部20Fは、リング部20Aと異なる樹脂材にて構成されているとともに、リング部20Aと共に二色成形法にて一体成形されている。因みに、リング部20Aはポリプロピレン製であり、滑止部20Fはエラストマー製である
また、滑止部20Fは、図14(a)に示すように、内周壁20Dに沿って等間隔で複数設けられている。なお、本実施形態では、3つの滑止部20Fが、リング部20Aの中心周りに120度間隔で設けられている。
【0110】
そして、少なくとも1つの滑止部20Fは、リング側組付部20Gとリング部20Aの中心とを結ぶ仮想線L1上に配置されている。なお、本実施形態では、仮想線L1上のうちリング側組付部20G側のみに滑止部20Fが設けられているが、リング部20Aの中心を挟んでリング側組付部20Gと反対側、つまり図14(a)の上側にも滑止部20Fを設けてもよい。
【0111】
リング側組付部20Gは、アタッチメント20を保持ケーシング7(シートリール1)に組み付けるための係合手段をなすものである。すなわち、リング側組付部20Gは、アタッチメント20の軸線方向から見て、仮想線L1に対して線対称に位置に設けられた一対の係合部20H等を有して構成されている。これら係合部20Hそれぞれは、他方側の係合部20H側が開口した扁平状のコの字状に形成されている。
【0112】
一方、保持ケーシング7には、図16に示すように、一対の係合部20Hと係合する組付部7Lが設けられている。これらの組付部7Lは、ドラム5の軸線方向(図16の上下方向)と直交する方向に突出し、かつ、プレート部7Cと平行な面を有する板状の突出片により構成されている。つまり、本実施形態に係る組付部7Lは、第1実施形態に係るプレート部7C(図2参照)のうち上下方向中間部が切断除去された形状となっている。
【0113】
そして、アタッチメント20をシートリール1に組み付ける場合には、図17(a)に示すように、リング側組付部20Gを上記の切断除去された部位(以下、この部位を除去部という。)に配置した状態でリング側組付部20Gをプレート部7Cに押し付けた後、図17(b)に示すように、アタッチメント20全体を組付部7L側に平行移動させればよい。
【0114】
これにより、図18に示すように、組付部7Lをなす突出片がコの字状に開口した係合部20Hに嵌り込んで係合し、アタッチメント20がシートリール1に組み付けられた状態となる。
【0115】
また、組付部7Lのうち除去部と反対側の端部、つまり組付部7Lの上端には、ドラム5の中心側に突出した係止突起7Mが設けられている。このため、係止突起7Mがアタッチメント20に係止された状態となるので、シートリール1がアタッチメント20に対して下方側にずれて、シートリール1の組付部7Lがアタッチメント20のリング側組付部20Gから抜けてしまうこが防止される。
【0116】
2.本実施形態に係るシートリール等の特徴
本実施形態では、アタッチメント20を介してシートリール1又はフック部9をパイロン等に固定することができる。したがって、容易、かつ、確実に縄張りを行うことができる。
【0117】
また、ピンホール20Cがアタッチメント20に複数設けられているので、フック部9をアタッチメント20に取る付ける際の自由度が大きくなり、縄張りをし易くなる。
また、リング部20Aの内周壁20Dが円錐テーパ状に構成されているので、パイロン等の円錐状の取付対象に対して、アタッチメント20を安定した状態で装着することができる。
【0118】
また、リング部20Aの内周壁20Dに滑止部20Fが設けられているので、アタッチメント20を確実に安定化することができる。
ところで、リング側組付部20Gにシートリール1が取り付けられてアタッチメント20に荷重が作用した場合には、アタッチメント20のうちリング側組付部20Gとリング部20Aの中心とを結ぶ仮想線L1上の位置に大きな荷重が作用する。
【0119】
このとき、本実施形態では、少なくとも1つの滑止部20Fは仮想線L1上に位置するので、その荷重を確実に滑止部20Fで受けることができる。したがって、アタッチメント20を確実にパイロンに固定することができる。
【0120】
(第3実施形態)
本実施形態もアタッチメント20を用いてシートリール1をパイロン等に装着可能とする例である。
【0121】
すなわち、図19に示すように、アタッチメント20のリング側組付部20Gに装着可能な金属製の組付用プレート20Jを設けたものである。この組付用プレート20Jは、図20に示すように、シートリール1に設けられた組付部7Lと同様な形状である。
【0122】
つまり、リング側組付部20Gの係合部20Hに嵌り込む突出片20K、及びリング部20Aの上端に係止される係止突起20L等が設けられている。なお、突出片20K及び係止突起20L等は、SPCC等の鋼板にプレス加工を施すことにより、組付用プレート20Jに一体成形されている。
【0123】
これにより、組付用プレート20Jをプレート部7Cに埋設された永久磁石7Dに磁気吸着させることができるので、リング側組付部20Gに組付用プレート20Jを装着することにより、シートリール1をアタッチメント20に容易に装着することができる。
【0124】
(第4実施形態)
本実施形態は、シートリール1からハンガーピン9Bを廃止したものである。すなわち、図21に示すように、アタッチメント20にシートホルダ9Aを係止可能な係止部20Mを設けたものである。
【0125】
この係止部20Mには、図21(a)に示すように、シートホルダ9Aを挿入することが可能な略C字状の挿入穴20Nが設けられている。そして、図21(b)に示すように、シートホルダ9Aが挿入穴20Nされると、シートホルダ9Aが挿入穴20Nに係止された状態となり、容易にシート3をアタッチメント20に固定することができる。
【0126】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、シート3の片面側のみに掲示模様等が記載されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、シート3の両面側に掲示模様等を記載する場合、又はシート3に掲示模様等を設けない場合のいずれであってもよい。
【0127】
また、上述の実施形態では、係止部材13Aが係止突起13Cに係止されることによりドラム5の回転を抑制したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば摩擦抵抗力によりドラム5の回転を抑制してもよい。
【0128】
また、上述の実施形態では、巻取用バネ11により自動的にシート3を巻き取る構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば巻き取り用ハンドルを設けて手動操作にてシート3を巻き取る構成としてもよい。
【0129】
また、上述の実施形態では、第1、第2ホルダプレート9C、9Dをネジ9Fにて固定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、弾性力を利用した係止固定手段にて第1、第2ホルダプレート9C、9Dを固定してもよい。
【0130】
また、上述の実施形態では、シート3の先端側がシートホルダ9Aに挟まれて保持される構造であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ドラム本体5Aとシート3との連結構造と同様に、シート3の先端側に環状部(輪状部)を設け、この環状部に硬質な樹脂又は金属製の係止ピンを挿入装着するとともに、第1、2ホルダプレート9C、9Dのうち少なくとも一方に係止ピンが嵌り込む溝部を設け、シート3の先端側をシートホルダ9Aで挟み込んでもよい。
【0131】
また、上述の実施形態では、フック部9は、一部が開放された矩形状の環状であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一部が開放された楕円(長円)状の環状であってもよい。
【0132】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0133】
1…シートリール、3…シート、3A…環状部、3B…係止ピン、5…ドラム、
5A…ドラム本体、5B…フランジ部、5C…ドラム軸、5D…組み付け穴、
5E…係止部、5F…筒部、5G…ロック棒、5H…摘み部、7…保持ケーシング、
7A…第1支持部、7B…第2支持部、7C…プレート部、7D…永久磁石、
7E…貫通穴、7F…シート挿入スリット穴、7G…被係止穴、
7H…シート出入口、7J…ガイドローラ、7K…凹部、9…フック部、
9A…シートホルダ、9B…ハンガーピン、9C…ホルダプレート、
9C…第1ホルダプレート、9D…第2ホルダプレート、9E…薄肉部、
9F…ネジ、9G…ハンガー部、9H…湾曲部、9J…永久磁石、9L…貫通穴、
11…巻取用バネ、13…回転抑制機構、13A…係止部材、13B…復帰バネ、
13C…係止突起、13D…Pネジ、15…シートロック機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のシートと、
前記シートの長手方向一端側が組み付けられ、前記シートを巻き取るためのドラムと、
前記ドラムを回転可能に保持する保持ケーシングと、
前記シートの長手方向他端側に組み付けられ、前記保持ケーシングに設けられた被係止部に係止可能なフック部とを備え、
前記フック部は、一部が切断されて開放された環状に構成されていることを特徴とするシートリール。
【請求項2】
前記シートを巻き取る向きの弾性力を前記ドラムに作用させる巻取用バネと、
前記ドラムが前記巻取用バネの弾性力によって巻き取りの向きに回転した場合であって、その角速度が予め設定された角速度を超えたときに前記ドラムの回転を抑制する回転抑制機構とを備えることを特徴とする請求項1に記載のシートリール。
【請求項3】
前記フック部は、一部が切断されて開放された矩形状の環状に構成され、
前記シートのうち一方の面には、掲示用の模様(以下、掲示模様等という。)が記載されており、
さらに、前記シートは、前記掲示模様等が記載された表面が、前記掲示模様等が記載されていない裏面より外周側に面するように前記ドラムに巻かれていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシートリール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−7991(P2013−7991A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−271444(P2011−271444)
【出願日】平成23年12月12日(2011.12.12)
【出願人】(592159966)中発販売株式会社 (10)
【Fターム(参考)】