説明

シート処理装置、画像形成システム及びシート処理方法

【課題】シートサイズや綴じ位置に拘わらず、良好な揃え精度を得ることができるようにする。
【解決手段】搬送されてくるシートを積載する端面綴じ処理トレイFと、端面綴じ処理トレイFに積載されるシートの搬送方向を整合する後端基準フェンス51a,51bと、シート束の綴じ部側の端部に沿って移動し、後端基準フェンス51a,51bによって整合されたシート束に綴じ処理を施す端面綴じスティプラS1と、シート束の綴じ部側の端部を押圧する第1及び第2の押圧部材110a,110bと、第1及び第2の押圧部材110a,110bを端面綴じスティプラS1の移動に連動させて移動させるスライド部材110kと、を備え、連動して移動する側の押圧部材によって綴じ部近傍を常に押さえることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬入された用紙、記録紙、転写紙、OHPシートなどのシート状部材(本明細書では、単に「シート」と称す)を整合し、綴じるシート処理装置、このシート処理装置と複写機、プリンタ、ファクシミリ、デジタル複合機などの画像形成装置と含む画像形成システム、及び前記シート処理装置で実行されるシート処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置から排出されたシートをスティプルトレイに積載し、搬送方向(所謂縦方向)と搬送方向に対して直交する方向(所謂幅方向)の揃えを行ってから綴じを行うスティプラを備えたフィニッシャと称される装置が知られている。スティプラで端面綴じを行う場合、スティプラは用紙の搬送方向の位置を規定する基準フェンスに当接する用紙端部(通常、用紙後端)に沿って、用紙搬送方向と直交する方向に移動し、綴じ位置を変更することができる。その際、綴じられた用紙束の仕上がりの揃え精度を向上させるためには、スティプルトレイに積載された用紙後端の姿勢を維持させるようにすればよい。そこで、前記基準フェンスにシート束の後端が当接した状態でシート束をおさえつけるようにした構成が知られている。この構成は、後述の図1におけるが押圧部材(後端押さえレバー)110であり、押圧部材110は後端基準フェンス51に収容されたシート束SBの後端を押さえることができるように後端基準フェンス51の下端部に位置し、端面綴じ処理トレイFに対してほぼ垂直な方向に往復動することができるようになっている(後述の図7参照)。
【0003】
しかし、従来までの端綴じ処理のシート保持構成、詳しくは、スティプルトレイ内でシート束(特に後端)の姿勢を維持する構成では、シート束を押圧し、保持する押圧部材は、スティプラとの干渉を考慮してスティプラから離れた位置を押圧するようになっている。そのため、スティプルで綴じる際にシート束に撓み等が生じ、良好な揃え精度を得ることが難しかった。また、押圧部材がシート束の幅方向には固定されているため、シートサイズや綴じ位置によっては、押圧部材はスティプル位置からさらに遠く離れた位置を押圧するという場合もあった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1(特開2008−19028号公報)には、綴じ不良を防止する目的で、押圧部材が基準フェンス近傍位置に配置され、押圧部材によるシートの押圧回数及び押圧時間の少なくとも一方を変更する制御手段を備えた構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1記載の発明のように押圧部材が基準フェンス近傍位置に配置され、押圧部材によるシートの押圧回数及び押圧時間の少なくとも一方を変更したとしても、押圧位置がシートサイズや綴じ位置に応じて変更される訳ではないので、押圧位置と綴じ位置が離れてしまうこともある。そのような場合には、前述のように撓みが生じることがあり、押圧位置やシートサイズの変更に十分に対応できてはいない。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、シートサイズや綴じ位置に拘わらず、良好な揃え精度を得ることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、第1の手段は、搬送されてくるシートを積載する積載手段と、前記積載手段に積載されるシートの搬送方向を整合する整合手段と、前記シート束の綴じ部側の端部に沿って移動し、前記整合手段によって整合されたシート束に綴じ処理を施す綴じ手段と、前記シート束の綴じ部側の端部を押圧する押圧手段と、前記押圧手段を前記綴じ手段の移動に連動させて移動させる連動手段と、を備えたシート処理装置を特徴とする。
【0008】
この場合、前記連動手段は、前記綴じ手段が前記押圧手段に当接し、当接状態で前記押圧手段を移動させるようにし、前記押圧手段は、前記綴じ手段による綴じ位置のシート搬送方向上流を押圧する。
【0009】
また、前記押圧手段が複数の押圧部材を含み、そのうちの1つの押圧部材が前記綴じ手段に連動して移動する際、他の1つの押圧部材を前記1つの押圧部材と対称に移動させる移動機構を備えるようにする。
【0010】
その際、前記移動機構を、シート束の両端部を押圧する第1及び第2の押圧部材と、シート束の中央部を押圧する第3の押圧部材と、シート搬送方向と直交する方向にスライド自在に前記第1及び第2の押圧部材を支持する第1の支持部材と、前記第1及び第2の押圧部材をそれぞれ第3の押圧部材側に弾性付勢する弾性付勢手段と、前記綴じ手段をシート搬送方向と直交する方向に往復動させる駆動源を含む第1の駆動手段と、を備えた構成とし、前記連動手段を、前記綴じ手段の移動時に当該綴じ手段と係合して移動し、移動時に前記押圧部材の一方に当接して当該一方の押圧部材を一体に移動させる係合部材と、前記他方の押圧部材を前記第1の支持部材に沿って前記一方の押圧部材の移動動作と対称な動作を行わせる連結手段と、を備えた構成とする。
【0011】
なお、前記係合部材には、前記綴じ手段が一方向に移動するときに前記係合部材が当接する第1の当接部及び前記押圧部材に当接する第1の当接面と、前記綴じ手段が他方向に移動するときに前記係合部材が当接する第2の当接部及び前記押圧部材に当接する第2の当接面と、を設ける。
【0012】
また、前記押圧手段が複数の押圧部材を含み、そのうちの1つの押圧部材を前記綴じ手段に連動して移動させ、他の1つの押圧部材をシートの幅方向中央側によった初期位置に保持させる移動機構を備えるように構成することもできる。その場合、前記1つの押圧部材と前記他の1つの押圧部材をそれぞれ互いに近接する方向に弾性付勢する弾性付勢手段を設ける。
【0013】
また、前記綴じ手段の綴じ位置近傍を押圧する押圧部材には、前記綴じ手段が斜め綴じを行う際に当該綴じ手段との干渉を回避する切り欠き部を設けるとよい。
【0014】
さらに、前記整合手段をシート搬送方向と直交する方向にスライド可能に支持する第2の支持部材と、前記押圧部材のシート搬送方向と直交する方向の移動に伴って前記整合手段を前記第2の支持部材に沿って前記押圧部材と対向する位置に移動させる第2の駆動手段と、を設けることが望ましい。
【0015】
これらの場合において、前記押圧部材は複数の押圧部材を含み、1つの駆動源によって前記複数の押圧部材をシート束方向に近接離間駆動し、シート束を押圧する第3の駆動手段を設ければ、一体的にシート束を押圧、保持することができる。
【0016】
第2の手段は、第1の手段に係るシート処理装置と、前記シート処理装置側に画像形成済みのシートを搬出する画像形成装置と、を備えた画像形成システムを特徴とする。
【0017】
第3の手段は、搬送されてくるシートを積載手段上に積載し、前記積載手段に積載されるシートの搬送方向を整合手段によって整合し、前記シート束の綴じ部側の端部に沿って移動し、前記整合手段によって整合されたシート束に綴じ手段によって綴じ処理を施すシート処理方法であって、前記綴じ手段の移動に連動して移動する押圧手段によって前記シート束の綴じ部側の端部を押圧した状態で前記綴じ手段によって綴じ処理を行うことを特徴とする。
【0018】
なお、後述の実施形態では、シート束は符号SBに、積載手段は端面綴じ処理トレイFに、整合手段は第1及び第2の後端基準フェンス51a,51bに、綴じ部側の端部はシート後端STに、綴じ手段は端面綴じスティプラS1に、押圧手段は第1ないし第3の押圧部材110a,110b,110cに、連動手段はスライド部材110k、第1及び第2の係合部材S1e1,S1e2、又は端面綴じスティプラS1の第1及び第2の係合部材S1g1,S1g2に、シート搬送方向は矢印J方向に、第1の支持部材は第2のガイドシャフト110g1に、弾性付勢手段は弾性部材110m1,110m2に、駆動源はスティプラ移動モータ159に、第1の駆動手段はスライド軸141、スライド溝142、タイミングベルト159a,159bに、係合部材はスライド部材110kに、連結手段はタイミングベルト110g23に、第1の当接部は第1の被当接部110k3に第1の当接面は当接面110k5に、第2の当接部は第2の被当接部110k4に第2の当接面は符号110k6に、移動機構はガイドシャフト110g3,110g4に、弾性付勢手段は弾性部材110m3,110m4に、切り欠き部110b7に、第2の支持部材はスライド軸50cに、第2の駆動手段はタイミングベルト50e及び幅方向フェンス駆動モータ50d3に、1つの駆動源は駆動モータ110jに、第3の駆動手段はタイミングベルト110i5及び支持部110c4に、シート処理装置はシート後処理装置PDに、画像形成装置は符号PRに、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、シートサイズや綴じ位置に拘わらず、良好な揃え精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態の実施例1に係るシート処理装置としてのシート後処理装置と画像形成装置とからなるシステムを示すシステム構成図である。
【図2】図1における端面綴じ処理トレイをトレイの積載面側から見た概略構成図である。
【図3】図1における端面綴じ処理トレイ及びその付属機構の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図1における放出ベルトの動作を示す側面図である。
【図5】図1におけるスティプラの移動機構を示す斜視図である。
【図6】端面綴じ時における端面綴じ処理トレイにスタックされたシートと後端基準フェンスと端面綴じスティプラとの関係を示す図である。
【図7】端面綴じ処理トレイFの下部の概略構成を示す要部正面図である。
【図8】図2及び図3に示した端面綴じ処理トレイ、後端基準フェンス及び押圧部材の関係を詳細に示す斜視図である。
【図9】シート束を押さえていない状態の図8−A方向矢視図である。
【図10】シート束を押さえた状態の図8−A方向矢視図である。
【図11】シート束を押さえていない状態の図8−B方向矢視図である。
【図12】シート束を押さえた状態の図8−B方向矢視図である。
【図13】図8−C方向矢視図である。
【図14】端面綴じ処理トレイ、後端基準フェンス、及び押圧部材の要部を示す斜視図である。
【図15】端面綴じスティプラとスライド部材との関係を示す斜視図である。
【図16】斜め綴じを行うときのスライド部材と端面綴じスティプラの関係を示す図である。
【図17】手前綴じのときの端面綴じスティプラ、第1ないし第3の押圧部材及び後端基準フェンスの関係を示す動作説明図である。
【図18】奥綴じのときの端面綴じスティプラ、第1ないし第3の押圧部材及び後端基準フェンスの関係を示す動作説明図である。
【図19】2箇所綴じのときの端面綴じスティプラ、第1ないし第3の押圧部材及び後端基準フェンスの関係を示す動作説明図である。
【図20】手前綴じのときの端面綴じスティプラ、第1ないし第3の押圧部材、及び後端基準フェンスの関係を示す斜視図である。
【図21】奥綴じのときの端面綴じスティプラ、第1ないし第3の押圧部材及び後端基準フェンスの関係を示す斜視図である。
【図22】斜め綴じのときの端面綴じスティプラ、第1ないし第3の押圧部材及び後端基準フェンスの関係を示す斜視図である。
【図23】2箇所綴じのときのときの端面綴じスティプラ、第1ないし第3の押圧部材及び後端基準フェンスの関係を示す斜視図である。
【図24】押圧部材による押圧位置を示す説明図である。
【図25】シート後処理装置と画像形成装置からなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【図26】実施例2における端面綴じ処理トレイ、後端基準フェンス及び押圧部材の関係を詳細に示す斜視図で、シート束を押さえていない状態を示す。
【図27】端面綴じ処理トレイ、後端基準フェンス及び押圧部材の関係を詳細に示す斜視図で、シート束を押さえた状態を示す。
【図28】手前綴じのときのシート束押さえ状態を示す側面図である。
【図29】奥綴じのときのシート束押さえ状態を示す側面図である。
【図30】斜め綴じでシート束を押さえた状態を示す側面図である。
【図31】実施例2における端面綴じスティプラの搬送機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、綴じ手段に連動した押さえ部材が動くようにし、シートサイズあるいはシートの綴じ位置の相違に拘わらず、常にスティプル位置の近傍を押さえ部材によって押さえた状態で綴じ処理が行えるようにしたことを特徴とする。
【0022】
以下、本発明の実施形態について実施例を挙げ、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で、同一の構成若しくは同一の機能を有する各部に添え字a,b、・・・と付けているが、これら各部を総括的に称する場合には、添え字は省略する。
【実施例1】
【0023】
図1は本実施形態の実施例1に係るシート処理装置としてのシート後処理装置PDと画像形成装置PRとからなるシステムを示すシステム構成図である。
【0024】
図1において、画像形成装置PRは、入力された画像データを印字可能な画像データに変換する画像処理回路、画像処理回路から出力される画像信号に基づいて感光体に光書き込みを行う光書き込み装置、光書き込みにより感光体に形成された潜像をトナー現像する現像装置、現像装置によって顕像化されたトナー像をシートに転写する転写装置、及びシート転写されたトナー像を定着する定着装置を少なくとも備え、トナー画像が定着されたシートをシート後処理装置PDに送り出し、シート後処理装置PDによって所望の後処理が行われる。画像形成装置PRはここでは前述のように電子写真方式のものであるが、インクジェット方式、熱転写方式などの公知の画像形成装置が全て使用できる。なお、この実施例では、前記画像処理回路、光書き込み装置、現像装置、転写装置、及び定着装置が画像形成手段を構成している。
【0025】
シート後処理装置PDは、画像形成装置PRの側部に取り付けられており、画像形成装置PRから排出されたシートはシート後処理装置PDに導かれる。シート後処理装置PDは、搬送路A、搬送路B、搬送路C、搬送路D及び搬送路Hを備え、前記シートは、1枚のシートに後処理を施す後処理手段(この実施例では穿孔手段としてのパンチユニット100)を有する搬送路Aへまず搬送される。
【0026】
搬送路Bは搬送路Aを通り、上トレイ201へ導く搬送路であり、搬送路Cはシフトトレイ202へ導く搬送路Cである。搬送路Dは整合及びスティプル綴じ等を行う処理トレイF(以下「端面綴じ処理トレイ」とも称する)に導く搬送路Dである。搬送路Aから搬送路B,C,Dへは、それぞれ分岐爪15及び分岐爪16によって振り分けられるように構成されている。
【0027】
このシート後処理装置では、シートに対して、穴明け(パンチユニット100)、シート揃え+端部綴じ(ジョガーフェンス53、端面綴じスティプラS1)、シート揃え+中綴じ(中綴じ上ジョガーフェンス250a、中綴じ下ジョガーフェンス250b、中綴じスティプラS2)、シートの仕分け(シフトトレイ202)、中折り(折りプレート74、折りローラ81)などの各処理を行うことができる。そのため、搬送路Aと、これに続く搬送路B、搬送路C及び搬送路Dが選択される。また、搬送路Dはシート収容部Eを含み、搬送路Dの下流側には端面綴じ処理トレイF、中綴じ中折り処理トレイG、排紙搬送路Hが設けられている。
【0028】
搬送路B、搬送路C及び搬送路Dの上流で各々に対し共通な搬送路Aには、画像形成装置PRから受け入れるシートを検出する入口センサ301、その下流に入口ローラ1、パンチユニット100、パンチかすホッパ101、搬送ローラ2、第1及び第2の分岐爪15,分岐爪16が順次配置されている。第1及び第2の分岐爪15,16は図示しないばねにより図1の状態に保持されており(初期状態)、図示しない第1及び第2のソレノイドをONすることにより、分岐爪15、16をそれぞれ駆動し、第1及び第2のソレノイドのON/OFFを選択することにより、第1及び第2の分岐爪15,16の分岐方向の組み合わせを変えることによって、搬送路B、搬送路C、搬送路Dへシートを振り分ける。
【0029】
搬送路Bへシートを導く場合は図1の状態、すなわち、第1のソレノイドをOFF(第1の分岐爪15は下向きが初期状態)状態のままとする。これにより、シートは搬送ローラ3から排紙ローラ4を経て上トレイ201に排出される。
搬送路Cへシートを導く場合は、図1の状態から第1及び第2のソレノイドをON(第2の分岐爪16は上向きが初期状態)とすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方にそれぞれ回動した状態となる。これにより、シートは搬送ローラ5及び排紙ローラ対6(6a,6b)を経てシフトトレイ202側に搬送される。この場合には、シートの仕分けが行われる。シート後処理装置PDの最下流部に位置するシフトトレイ排紙部で、シートの仕分けが行われ、シートの仕分けは、シフト排紙ローラ対6(6a,6b)と、戻しコロ13と、紙面検知センサ330と、シフトトレイ202と、シフトトレイ202をシート搬送方向に直交する方向に往復動させる図示しないシフト機構と、シフトトレイ202を昇降させるシフトトレイ昇降機構とに行われる。
【0030】
搬送路Dへシートを導く場合は、第1の分岐爪15を駆動する第1のソレノイドをON、第2の分岐爪を駆動する第2のソレノイドをOFFとすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方に回動した状態となり、シートは搬送ローラ2から搬送ローラ7を経て搬送路D側に導かれる。搬送路Dに導かれたシートは、端面綴じ処理トレイFへ導かれ、この端面綴じ処理トレイFで整合及びスティプル等を施されたシートは、ガイド部材44により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、折り等を施す中綴じ・中折り処理トレイG(以下、単に「中綴じ処理トレイ」とも称する)へ振り分けられる。シフトトレイ202に導かれる場合には、シート束は排紙ローラ対6からシフトトレイ202に排紙される。また、中綴じ処理トレイG側に導かれたシート束は、中綴じ処理トレイGで折り及び綴じを施され、排紙搬送路Hを通り排紙ローラ83から下トレイ203へ排紙される。
【0031】
他方、搬送路D内には分岐爪17が配置され、図示しない低荷重ばねにより図の状態に保持されており、搬送ローラ7によって搬送されるシートの後端が前記分岐爪17を通過した後、搬送ローラ9、10、スティプル排紙ローラ11のうち少なくとも搬送ローラ9を逆転させ、シートをターンガイド8に沿って逆行させることができる。これにより、シート後端からシートをシート収容部Eへ導いて滞留(プレスタック)させ、次シートと重ね合せて搬送することが可能なように構成されている。この動作を繰り返すことによって2枚以上のシートを重ね合せて搬送することも可能である。なお、符号304はシートをプレスタックさせる際の逆送タイミングを設定するためのプレスタックセンサである。
【0032】
搬送路Dに導かれ、シート揃えと端部綴じを行う場合、スティプル排紙ローラ11によって端面綴じ処理トレイFへ導かれたシートは、端面綴じ処理トレイF上に順次積載される。この場合、シート毎に叩きコロ12で縦方向(シート搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53によって横方向(シート搬送方向と直交する方向−シート幅方向とも称す)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、シート束の最終紙から次のシート束先頭紙までの間で、図示しない制御装置からのスティプル信号により綴じ手段としての端面綴じスティプラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。綴じ処理が行われたシート束は、直ちに放出爪52aが突設された放出ベルト52(図2参照)によりシフト排紙ローラ6へ送られ、受け取り位置にセットされているシフトトレイ202に排紙される。
【0033】
なお、端面綴じスティプラS1は図1に示すようにスティプル針を打ち出すステッチャ(ドライバ)S1aと、スティプル針の先端を折り曲げるクリンチャS1bとからなり、両者間が第1及び第2の後端基準フェンス51a,51bが通り抜けることができる空間部S1cとなっていることから、端面綴じスティプラS1と後端基準フェンス51が干渉することなく端面綴じスティプラS1は移動する。また、端面綴じスティプラS1は、中綴じスティプラS2とは異なり、ステッチャS1aとクリンチャS1bが一体となっている。ステッチャS1aはシート面に対して垂直方向には移動せずに固定側として機能し、クリンチャS1bがシート面に対して垂直な方向に移動する移動側として機能している。これにより、シート束SBに対して綴じ動作を行う場合には、第1及び第2の後端基準フェンス51a,51bのスタック面51a1,51b1に当接したシート束SBの所定の被綴じ部分をクリンチャS1bがステッチャS1a側に移動し、その過程で綴じ動作が行われる。
【0034】
放出ベルト52は図2及び図4に示すようにシート幅方向の整合中心に位置し、プーリ62間に張架され、放出ベルト駆動モータ157により駆動される。また、複数の放出ローラ56が前記放出ベルト52に関して対称に配置され、駆動軸に対して回転自在に設けられ、従動コロとして機能している。なお、図4は図1における放出ベルトの動作を示す側面図で、矢印K方向がシート搬送方向である。
【0035】
放出爪52aは、放出ベルトHPセンサ311によりホームポジションが検知されるようになっており、この放出ベルトHPセンサ311は放出ベルト52に設けられた放出爪52aによりオン・オフする。放出ベルト52の外周上には対向する位置に2つの放出爪52aが配置され、端面綴じ処理トレイFに収容されたシート束を交互に移動搬送する。また必要に応じて放出ベルト52を逆回転させ、これからシート束を移動するように待機している放出爪52aと対向側の放出爪52aの背面で端面綴じ処理トレイFに収容されたシート束の搬送方向先端を揃えるようにすることもできる。
【0036】
なお、図1において、符号110a,b,cは押圧部材(後端押さえレバー)であり、後端基準フェンス51に収容されたシート束SBの後端を押さえることができるように後端基準フェンス51の下端部に位置し、端面綴じ処理トレイFに対してほぼ垂直な方向に往復動する(図7:矢印Y1,Y2方向)。端面綴じ処理トレイFに排出されたシートは、シート毎に叩きコロ12で縦方向(シート搬送方向)の整合が行われるが、端面綴じ処理トレイFに積載されたシート後端がカールしていたり、腰が弱かったりするとシート自身の重量によって後端が座屈し膨らむ傾向にある。さらに、その積載枚数が増えることによって、後端基準フェンス51内の次のシートが入る隙間が小さくなり、縦方向の揃えが悪くなる傾向にある。そこで、シート後端の膨らみを少なくしてシートが後端基準フェンス51に入りやすくするようにしたのが、シート後端を押さえる押圧機構であり、シート若しくはシート束を直接押さえるのが押圧部材110a,100b,100cである。なお、押圧部材は押圧レバーとも称される。
【0037】
また、図1において、符号302,303,304,305,310はそれぞれシート検知センサであり、設けられた位置におけるシートの通過の有無、若しくはシートの積載の有無を検知する。
【0038】
図2は端面綴じ処理トレイFをトレイの積載面側から見た概略構成図で、図1の右側面側から見た場合に相当する。同図において、上流側の画像形成装置PRより受け入れたシートの幅方向の整合はジョガーフェンス53a及び53bによって実施され、縦方向は第1及び第2の後端基準フェンス51a,51b(図1では符号51で示す)に突き当てて整合される。
【0039】
図3は端面綴じ処理トレイF及びその付属機構の概略構成を示す斜視図である。同図に示すように、スティプル排紙ローラ11により端面綴じ処理トレイFへ導かれたシートは順次端面綴じ処理トレイF上に積載される。このとき、端面綴じ処理トレイFに排出されるシートの枚数が1枚の場合、シート毎に叩きコロ12で縦方向(シート搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53a,53bによって幅方向(シート搬送方向と直交するシート幅方向)の整合が行われる。叩きコロ12は支点12aを中心に叩きSOL170によって振り子運動を与えられ、端面綴じ処理トレイFへ送り込まれたシートに間欠的に作用してシート後端STを後端基準フェンス51に突き当てる。なお、叩きコロ12自身は反時計回りに回転する。ジョガーフェンス53は、図2及び図3に示すように前後一対(53a,53b)設けられ、正逆転可能なジョガーモータ158によりタイミングベルトを介して駆動され、シート幅方向に往復移動する。
【0040】
図5はスティプラ移動機構を示す側面図である。端面綴じスティプラS1は図5に示すように、支持板140の両側板間に支持されたスライド軸141と、支持板140に前記スライド溝141と平行に形成されたスライド溝142とによってシート幅方向にスライド移動可能に支持されている。一方、スライド軸141と平行にタイミングベルト159bがプーリ159c,159d間に張設され、正逆転可能なスティプラ移動モータ159によりタイミングベルト159aを介してタイミングベルト159bが駆動される。端面綴じスティプラS1はタイミングベルト159bに取り付けられていることから、スティプラ移動モータ159の回転駆動力が端面綴じスティプラS1に伝達され、端面綴じスティプラS1は、シート後端部の所定位置を綴じるためにスライド軸141及びスライド溝142に沿ってシート幅方向に移動する。
【0041】
その移動範囲の一側端には、端面綴じスティプラS1のホームポジションを検出するスティプラ移動HPセンサ312が設けられており、シート幅方向の綴じ位置は、前記ホームポジションからの端面綴じスティプラS1の移動量により制御される。端面綴じスティプラS1は、シート後端部で1箇所若しくは複数個所(一般には2箇所)綴じることができるように構成され、少なくとも後端基準フェンス51a,51bによって支持されるシート後端STの全幅にわたって移動可能となっている。また、スティプル針の交換のために装置前側には最大限移動できるようになっており、ユーザのスティプル針交換操作の便を図っている。
【0042】
図6は端面綴じ時の端面綴じ処理トレイFにスタックされたシート束SBと、後端基準フェンス51と、端面綴じスティプラS1との関係を示す図である。同図から分かるように、第1及び第2の後端基準フェンス51a,51bは、それぞれ内側にシート後端STが当接するスタック面51a1,51b1を備え、シート後端STを支持し、延いてはシート束SB全体が支持するようになっている。支持は従来では4点で可能であるのが一般的であったが、本実施形態では、2点支持となっており、2点でシート後端STの位置が規定される。また、図6(a)は端面1箇所綴じであるが、1箇所斜め綴じの場合、端面綴じスティプラS1は図6(a)の端面1箇所綴じの位置から端面綴じスティプラS1本体がスティプル針S1sの図6(b)において、シート後端ST側の端部を中心に回転し、斜めの角度傾いた状態で綴じ処理を行う。
【0043】
図6(a)に示すようにシート束SBは後端基準フェンス51のスタック面51a1,51b1の2箇所に接触してスタックされる。そして、スティプラS1によって綴じ処理される。図6(b)は斜め綴じ後のスティイプル針S1dと後端基準フェンス51bとの関係を示す図であり、整合動作完了後は、端面綴じスティプラS1により綴じ処理が施され、図4の放出ベルトの動作を示す斜視図から分かるように、放出ベルト52が放出ベルト駆動モータ157によって反時計方向に駆動され、綴じ処理後のシート束は放出ベルト52に取り付けられた放出爪52aによってすくわれ、端面綴じ処理トレイFから放出される。なお、符号64a,64bは前側板及び後側板である。また、本動作は整合処理後に綴じ処理を実施しない未綴じ束においても同様の動作が可能である。
【0044】
図7は端面綴じ処理トレイFの下部の概略構成を示す要部正面図である。端面綴じ処理トレイFの下部には、後端基準フェンス51、端面綴じスティプラS1、スティプル排紙ローラ11が設けられ、後端基準フェンス51と対向する側に押圧部材110が配置されている。押圧部材110は前にも触れたが、後端基準フェンス51に収容されたシート束SBの後端を押さえるためのもので、後端基準フェンス51の下端部に位置し、端面綴じ処理トレイFに対してほぼ垂直な方向に往復動(矢印:Y1,Y2方向)することができるようになっている。押圧部材110はシートの幅方向に複数(本実施例では3個)設けられ、それぞれの押圧部材110a,110b,110cは後述の機構によりシート幅方向に端面綴じスティプラS1に連動して移動するととともに、シート束に対して近接離間動作が可能であり、シート束の後端を所定圧で押圧動作し、綴じ処理を行う際、後端基準フェンス51との間でシート束SBを保持する。
【0045】
端面綴じ処理トレイFのシート搬送方向下流側には、シート束偏向機構Iが設けられている。図1に示すように端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ、また端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へシート束SBを送る搬送路、及びシート束SBを搬送する搬送手段は、シート束SBに搬送力を与える搬送機構35、シート束SBをターンさせる放出ローラ56、シート束SBをターンさせるためのガイドを行うガイド部材44とから構成されている。
【0046】
各々の詳細な構成を説明すると、搬送機構35のローラ36には駆動軸37の駆動力がタイミングベルトによって伝達される構成となっており、ローラ36と駆動軸37はアームによって連結支持され、駆動軸37を回転支点として揺動可能となっている。搬送機構35のローラ36の揺動駆動はカム40によって行われ、カム40は回転軸を中心に回転し、図示しないモータによって駆動される。搬送機構35では、ローラ36の対向する位置には従動ローラ42が配置され、従動ローラ42とローラ36によってシート束を挟み、弾性材によって加圧し、搬送力を与えている。
【0047】
端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへシート束をターンさせる搬送路は、放出ローラ56と放出ローラ56に対向する側のガイド部材44の内面との間に形成される。ガイド部材44は支点を中心に回動し、その駆動は束分岐駆動モータ161(図2参照)から伝達される。端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へシート束を搬送する場合には、ガイド部材44が支点を中心に図示時計方向に回動し、ガイド部材44の外面(放出ローラ56と対向しない側の面)とその外側のガイド板間の空間が搬送路として機能する。端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへシート束Pを送る場合、端面綴じ処理トレイFで整合されたシート束SBの後端を放出爪52aで押し上げ、搬送機構35のローラ36と、これに対向する対向する従動ローラ42との間でシート束を挟み、搬送力を与える。このとき搬送機構35のローラ36は、シート束SB先端にぶつからないような位置で待機している。次に、シート束SB先端が通過してからシート表面に搬送機構35のローラ36を接触させ、搬送力を与える。このときガイド部材44と放出ローラ56とでターン搬送路のガイドを形成し、シート束SBを下流の中綴じ処理トレイGへと搬送する。
【0048】
中綴じ処理トレイGは、図1に示すように搬送機構35、ガイド部材44及び放出ローラ56からなるシート束偏向機構の下流側に設けられている。中綴じ処理トレイGは、前記シート束偏向機構の下流側にほぼ垂直に設けられており、中央部に中折り機構が、その上方に束搬送ガイド板上92が、また、下方に束搬送ガイド板下91が配置されている。
【0049】
また、束搬送ガイド板上92の上部には束搬送ローラ上71が、下部には束搬送ローラ下72がそれぞれ設けられているとともに、両ローラ71,72間を跨ぐように束搬送ガイド板上92の側面に沿って両側に中綴じ上ジョガーフェンス250aが配置されている。同様に束搬送ガイド板下91の側面に沿って両側に中綴じ下ジョガーフェンス250bが設けられ、この中綴じ下ジョガーフェンス250bが設置されている個所に中綴じスティプラS2が配置されている。中綴じ上ジョガーフェンス250a及び中綴じ下ジョガーフェンス250bは図示しない駆動機構により駆動され、シート搬送方向に直交する方向(シートの幅方向)の整合動作を行う。中綴じスティプラS2は、クリンチャ部とドライバ部とが対となったもので、シートの幅方向に所定の間隔をおいて2対設けられている。
【0050】
また、束搬送ガイド板下91を横切るように可動後端基準フェンス73が配置され、タイミングベルトとその駆動機構とを備えた移動機構によりシート搬送方向(図において上下方向)に移動可能となっている。駆動機構は図1に示すように前記タイミングベルトが掛け渡された駆動プーリと従動プーリと、駆動プーリを駆動するステッピングモータとにより構成されている。同様に束搬送ガイド板上92の上端側には、後端叩き爪251と、その駆動機構が設けられている。後端叩き爪251はタイミングベルト252と図示しない駆動機構とによって前記シート束偏向機構から離れる方向とシート束の後端(シート束導入時に後端に当たる側)を押す方向とに往復移動可能となっている。
【0051】
中折り機構は、中綴じ処理トレイGのほぼ中央部に設けられ、折りプレート74と折りローラ81と、折られたシート束を搬送する搬送路Hとからなっている。なお、図1において、符号326は後端叩き爪251のホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ、符号323は中折りされたシートを検出するための折り部通過センサ、符号321はシート束が中折り位置に到達したことを検知する束検出センサ、符号322は可動後端基準フェンス73のホームポジションを検出する可動後端基準フェンスホームポジションセンサである。
【0052】
また、この実施例では、下トレイ203に中折りされたシート束SBの積層高さを検出する検出レバー501が支点501aによって揺動自在に設けられ、この検出レバー501の角度を紙面センサ505によって検出し、下トレイ203の昇降動作及びオーバーフロー検出を行っている。
【0053】
図8は図2及び図3に示した端面綴じ処理トレイF、後端基準フェンス51a,51b、及び押圧部材110の関係を詳細に示す斜視図、図9はシート束を押さえていない状態の図8−A方向矢視図、図10はシート束を押さえた状態の図8−A方向矢視図、図11はシート束を押さえていない状態の図8−B方向矢視図、図12はシート束を押さえた状態の図8−B方向矢視図、図13は図8−C方向矢視図、図14は端面綴じ処理トレイF、後端基準フェンス51a,51b、及び押圧部材110の要部を示す斜視図である。なお、A方向矢視図は後端基準フェンス51a,51bに後端が支持されたシート面に平行に端面綴じ処理トレイFを上方から見た図であり、B方向矢視図はシート面に後端基準フェンス51a,51bに後端が支持されたシート面に平行に端面綴じ処理トレイFを左側面から見た図であり、C方向矢視図は端面綴じ処理トレイFを正面から見た図である。
【0054】
これらの図から分かるように端面綴じ処理トレイFの下部には一対の後端基準フェンス51a,51bが配置され、それぞれの後端基準フェンス51a,51bに対向する位置に第1及び第2の押圧部材110a,110bが配置され、両者の間であって、放出ベルト52に対向する位置に第3の押圧部材110cが設けられている。これら3個の押圧部材110a,110b,110cはシート束SBに対して垂直な方向及びシート面に平行な方向に移動可能に支持部材110dに支持され、押圧部材駆動機構110drvによりシート束SBに対して垂直な方向に往復動可能となっている。
【0055】
押圧部材駆動機構110drvは、支持部材110d上に搭載された以下の機構により構成される。
すなわち、支持部材110dには、両端側にシート面に対して垂直な方向に延びる一対の第1のガイドシャフト110e1,110e2が設けられ、このガイドシャフト110e1,110e2にそれぞれ第1及び第2のスライダ110f1,110f2が摺動可能に装着されている。第1及び第2のスライダ110f1,110f2間には2本の第2のガイドシャフト110g1とスライドベース110g2が設けられている。第2のガイドシャフト110g1には、第1及び第2の押圧部材110a,110bのスライダ部である第1のスライダ部分110a1及び第2のスライダ部分110b1が摺動可能に装着され、第3の押圧部材110cの基部110c1が当該第2のガイドシャフト110gの中央部に固定されている。また、スライドベース110g2には、第1及び第2のプーリ110g21,110g22が設けられ、両者間にタイミングベルト110g23が張設されている。
【0056】
そして、図17に示すように第1のスライダ部分110a1及び第2のスライダ部分110b1のそれぞれの連結部110a11,110b11がタイミングベルト110g23の一方と他方の第3の押圧部材110cの基部110c1に関して対称な位置にそれぞれ連結されている。また、図17に示すように第1及び第3の押圧部材110a,110cの間、第2及び第3の押圧部材110b,110cの間にはそれぞれ両者を互いに近接する方向に常時弾性付勢する弾性部材(例えば、引張りコイルばね)110m1,110m2が設けられている。これにより、タイミングベルト110g23の回転に応じて第1及び第2の押圧部材110a,110bは第3の押圧部材110cを挟んで対称に互いに近接し、離間するようになっている。
【0057】
前記第1及び第2のスライダ110f1,110f2の側部には、それぞれプーリ110hが配置され、対となるプーリ110h間には第1及び第2のスライダ110f1,110f2と平行に第1及び第2のタイミングベルト110i1,110i2が張架され、また、支持部材110dの後端基準フェンス51配置側から離れた側に配置されたプーリ110hの駆動軸には同軸に他のプーリ110h1,110h2が設けられ、両者間には第2のガイドシャフト110gと平行に第3のタイミングベルト110i3が張架されている(図13参照)。さらに、第2のスライダ110f2配置側には、当該配置側に配されたプーリ110hの一方を駆動する駆動モータ110jが設けられ、当該駆動モータ110jの駆動プーリ110j1と前記一方のプーリ110hとの間に張架された第4のタイミングベルト110i4によって駆動力が伝達される。これにより駆動モータ110jの駆動力が第4のタイミングベルト110i4から第1及び第2のスライダ110f1,110f2に伝達され、第1及び第2のスライダ110f1,110f2がシート面に対して垂直な方向に往復動可能となり、第1及び第2の押圧部材110a,110bはシート面の幅方向(シート搬送方向に直交する方向)に移動自在な状態で、前記往復動に伴って第1ないし第3の押圧部材110a,110b,110cのシート束SBに対する押圧離間動作が可能となる。
【0058】
第1ないし第3の押圧部材110a,110b,110cは、それぞれのスライダ部分110a1,110b1,110c1に、押圧部側をシート面に弾性付勢する方向に弾性部材(例えば、圧縮コイルばね)110a2,110b2,110c2によって常時弾性付勢された状態で支持されている。図9は無負荷の初期状態を、図10はシート束SBを押圧した負荷状態をそれぞれ示す。無負荷状態では、第1及び第2のスライダ110f1,110f2がシート面から後退し、最大限離間し、負荷状態では第1及び第2のスライダ110f1,110f2が最大限前進し、弾性部材110a2,110b2,110c2は圧縮される。このようにしてシート束SBを押さえる場合には、弾性部材110a2,110b2,110c2から押圧力がシート面に作用する。
【0059】
第1ないし第3の押圧部材110a,110b,110cはシート面を直接押圧する押圧部110a3,110b3,110c3と、押圧部110a3,110b3,110c3を支持する支持部110a4,110b4,110c4と、支持部110a4,110b4,110c4と一体に連結された支持軸110a5,110b5,110c5とからなり、支持軸110a5,110b5,110c5に前記弾性部材110a2,110b2,110c2が装着され、前記支持部110a4,110b4,110c4をシート面側に弾性付勢している。
【0060】
第3の押圧部材110cの押圧部110c4はA矢視方向から見たときに二股に分かれ、二股に分かれた空間部110c41を放出爪52aが通過することができるように構成され、第3の押圧部材110cの押圧部110c4と放出爪52aが干渉しないようになっている。これにより、第1ないし第3の押圧部材110a,110b,110cのシート面に対する押圧状態が解除された時点で、放出ベルト52を駆動し、放出爪52aによってシート束SBを押し上げることが可能となり、次ジョブ間の待ち時間を最小にすることができる。なお、二股に分かれた空間部110c4のシート幅方向の中心は、ジョガー53による整合中心53c(図17参照)と一致している。
【0061】
また、支持部材110dの中央部には、ガイド溝110d1が、前記第2のガイドシャフト110gと平行に設けられている。このガイド溝110dは、スライド部材110kをシート搬送方向と直交する方向にスライド移動させるためのもので、スライド部材110kのベース部110k1が遊嵌され、ガイド溝110dの長手方向に移動可能となっている。
【0062】
スライド部材110kは図15の斜視図に示すようにベース部110k1、垂下部110k2からなり、垂下部110k2はベース部110k1の端面綴じスティプラS1側から下方に折曲されて形成されている。垂下部110k2はスティプラ移動方向(スライド方向:矢印X)に延びた形状となっており、当該移動方向の前後には端面綴じスティプラS1の支持部材110d側先端部に設けられた当接部材S1eが当接する第1及び第2の被当接部110k3,110k4が設けられている。両被当接部110k3,110k4の間隔はスティプラS1の移動範囲に応じて適宜設定される。また、ベース部110k1の前記移動方向の前後の端部には当接面110k5,110k6が設けられている。当接面110k5,110k6は第1及び第2の押圧部材110a,110bの支持部110a4,110b4の側面と当接し、端面綴じスティプラS1の移動に応じて移動するスライド部材110kにより第1及び第2の押圧部材110a,110bを弾性部材110m1,110m2の弾性付勢力に抗して第3の押圧部材110cから離間する方向に移動させる。なお、図15は当接部材S1eの下側に垂下された第1の当接部S1e1の内側に当接した状態を示している。
【0063】
図16は斜め綴じを行うときのスライド部材110kと端面綴じスティプラS1の関係を示す図で、前記スティプラ移動方向(矢印X方向)に対して直交する方向から見た図である。図16では、端面綴じスティプラS1の当接部材S1eの第1の当接部S1e1とは逆側の端部で山形に起こした第2の当接部S1e2がスライド部材110kの第2の被当接部110k4に当接し、端面綴じスティプラS1が45度回転(矢印R1方向)した斜め綴じの状態を示している。なお、端面綴じスティプラS1とスライド部材110kの動作については後述する。
【0064】
後端基準フェンス51の幅方向移動機構50は、ベース50b、スライド軸50c、タイミングベルト50e及び幅方向フェンス駆動モータ50d3からなる。ベース50bの両側には側板50aが立設され、スライド軸50cは、両側板50a間に支持固定され、後端基準フェンス51a,51bの支持部51a2,51b2をスライド移動可能に支持する。タイミングベルト50eはスライド軸50cと平行に駆動側及び従動側のタイミングプーリ50d1,50d2間に張設され、タイミングベルト50d4を介して幅方向フェンス駆動モータ50d3により駆動側のタイミングプーリ50d1を駆動することにより回転駆動される。
【0065】
この幅方向移動機構50では、後端基準フェンス51aの支持部51a2は平行なタイミングベルト50eの一方の側50e1に、後端基準フェンス51bの支持部材51b2は前記タイミングベルト50eの他方の側50e2に、幅方向中央の支持部材50d5に関して対称にそれぞれ取り付けられている。これより、例えばタイミングベルト50eが右回転すると、互いに前記幅方向中央50d5に対して対称に近接し、左回転すると、前記幅方向中央50d5から対称に離間する(矢印50d7方向)。その結果、スタック面51a1,51b1の位置と両者間の距離をフェンス駆動モータ503d3の回転量によって設定することができる。そのため、制御の容易性と精度を勘案して幅方向フェンス駆動モータ50d3には、例えばステッピングモータが使用される。
【0066】
また、図14に示すようにベース50bは後端基準フェンス51の搬送方向移動機構55に連結され、搬送方向フェンス駆動モータ55aによって駆動される駆動力伝達機構55bによってシート搬送方向の所定範囲内で上下方向に移動可能となっている。
【0067】
図17は手前綴じ、図18は奥綴じ、図19は2箇所綴じのときのそれぞれ端面綴じスティプラS1、第1ないし第3の押圧部材110a,110b,110c、及び後端基準フェンス51a,51bの関係を示す動作説明図であり、図20は手前綴じ、図21は奥綴じ、図22は斜め綴じ、図23は2箇所綴じのときのそれぞれ端面綴じスティプラS1、第1ないし第3の押圧部材110a,110b,110c、及び後端基準フェンス51a,51bの関係を示す斜視図、図24は押圧部材による押圧位置を示す説明図である。なお、手前綴じ、奥綴じ及び斜め綴じは端面1箇所綴じの所謂端綴じである。
【0068】
手前綴じの場合、図17に示すように端面綴じスティプラS1はスティプラ移動モータ159により装置手前側の綴じ位置(手前綴じ位置)まで移動する。その際、図13に示したように当接部材S1eの第1の当接部S1e1の装置手前側の面がスライド部材110kの第1の被当接部110k3に当接し、移動に伴ってスライド部材110kを装置手前側(矢印X1方向)に移動させる。この移動により、スライド部材110kの当接面110k5が第1の押圧部材110aの支持部110a4の側面に当接し、弾性部材110m1の弾性付勢力に抗して第1の押圧部材110aもスライド部材110kとともに端面綴じスティプラS1の綴じ位置と対応する位置まで移動する。また、第2の押圧部材110bは、タイミングベルト110g23の回転により第1の押圧部材110aから離間する方向(矢印X2方向)に移動し、第3の押圧部材110dに関して第1の押圧部材110aと対称な位置に位置する。
【0069】
この状態で、駆動モータ110jが駆動され、第1及び第2のスライダ110f1,110f2がシート束SBを押圧する方向(矢印Y1方向:以下同様)に所定距離移動する。その結果、各押圧部材110a,110b,110cの押圧部110a3,110b3,110c3がシート束SBのシート面に当接し、所定圧で押圧した状態(矢印Z方向:以下同様)で停止する。押圧力は弾性部材(圧縮コイルばね)110a2,110b2,110c2の弾性力によって付与される。
【0070】
図20は図17に対応する手前綴じの状態を示す斜視図である。このときの綴じ位置と押圧位置との関係を図24(a)に示す。図24(a)において、符号110a3’は押圧部110a3による押圧位置を、符号110b3’は押圧部110b3による押圧位置を、符号110c3’は押圧部110c3による押圧位置を、符号110a6’は押圧部110a6による押圧位置を、符号110b6’は押圧部110b6による押圧位置をそれぞれ示す。なお、スティプル針S1dによる綴じ位置は図示の通り、シート後端ST近傍かつ幅方向手前側の側部近傍であり、図24(a)に示す手前綴じでは押圧部110a3,110a6によって綴じ位置近傍が押圧され、シート束SBが保持されていることが分かる。
【0071】
図18は奥綴じの場合の例であり、端面綴じスティプラS1が装置奥側の綴じ位置(奥綴じ位置)まで移動する。その際、当接部材S1eの第1の当接部S1e1の装置奥側の面がスライド部材110kの第2の被当接部110k4に当接し、移動に伴ってスライド部材110kを装置奥側(矢印X2方向)に移動させる。動作自体は図16の手前綴じの場合と方向が逆になるだけで同様の動作となる。図21は図18に対応する奥綴じの状態を示す斜視図である。このときの綴じ位置と押圧位置との関係を図24(b)に示す。図23(b)に示す奥綴じでは押圧部110b3,110b6によって綴じ位置近傍が押圧され、シート束SBが保持されていることが分かる。
【0072】
図24(c)は斜め綴じの場合の押圧位置とスティプル針S1dの綴じ位置との関係を示す図である。斜め綴じは奥綴じ位置からさらにスティプラS1を奥側に移動させる。その際、スティプラS1の装置奥側(矢印X2方向)への移動をスライド部材110kによって規制すると、図15に示したように端面綴じスティプラS1の第2の当接部S1e2がスライド部材110kの第2の被当接部110k4に当接した状態でさらに奥側に移動しようとすることから、端面綴じスティプラS1に回転モーメントが付与され、端面綴じスティプラS1はスライド部材110kの第2の被当接部110k4に当接した状態で第2の当接部S1e2を中心に図15において反時計回転方向(矢印R1方向)に回転する。この状態を図22の斜視図に示す。
【0073】
ここでは、端面綴じスティプラS1は45度回転するように設定されているので、スティプル針S1dはシート端面に対して45度傾き、この状態で綴じ処理が行われる。図24(c)はこのときの状態を示す。なお、端面綴じスティプラS1が45度傾くことから、綴じ位置まで回動すると、第2の押圧部材110bの押圧部110b3と端面綴じスティプラS1が干渉する。そこで、本実施形態では、第2の押圧部材110bの押圧部110b3に切り欠き部110b7を設け、両者の干渉を防止している。
【0074】
また、この回転動作時の端面綴じスティプラS1の軌跡を規定するために、図5に示すように、端面綴じスティプラS1のスライドベース160には、回転時のガイド溝160a,160bが設けられ、スティプラS1本体側の図示しない突起が遊嵌されている。これにより、前記突起が前記ガイド溝160a,160bに沿って移動し、端面綴じスティプラS1を支持するとともに動作精度を確保している。
【0075】
2箇所綴じの場合は、綴じ位置が異なるだけで、図19(a)及び(b)に示すように、手前綴じと奥綴じと動作は同一である。綴じ位置はシート束SBの幅方向の中央側に寄った位置であって、整合中心53c(整合後のシート束SBの幅方向の中央)から対称な位置に設定されている。すなわち、動作自体は図19(a)に示した手前側綴じでは、図17を参照して説明した手前綴じと整合中心53cからの距離が異なるだけで同一であり、この動作後、奥側に移動して、図19(b)に示した奥側綴じを行う。この奥側綴じも、図18を参照して説明した奥綴じと整合中心53からの距離が異なるだけで同一である。手前綴じ、奥綴じ、2箇所綴じの場合、綴じ位置は後述の制御回路のCPU_PD1によってスティプラ移動モータ159のモータドライバを制御することにより設定される。
【0076】
図23(a)は2箇所綴じにおける手前側綴じの場合の斜視図、図22(b)は奥側綴じの場合の斜視図であり、いずれも端面綴じスティプラS1の移動に連動させて第1及び第2の押圧部材110a,110bを綴じ位置近傍に移動させる。このときの綴じ位置と押圧位置との関係を図24(d)に示す。図24(d)に示す2箇所綴じでは押圧部110a3,110a6、あるいは110b3,110b6によって綴じ位置近傍が押圧され、シート束SBが保持されていることが分かる。
【0077】
図25はシート後処理装置PDと画像形成装置PRからなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。シート後処理装置PDはCPU_PD1、I/OインターフェイスPD2等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路を備え、CPU_PD1には、画像形成装置PRのCPUあるいは操作パネルPR1の各スイッチ等、及び図示しない各センサからの信号が通信インターフェイスPD33を介して入力され、CPU_PD1は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。さらに、CPU_PD1は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インターフェイスから装置内のセンサ情報を取得する。また、制御対象やセンサに応じてI/0インターフェイスPD2を介してモータドライバによってモータの駆動制御を行い、センサからセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、図示しないROMに格納されたプログラムコードをCPU_PD1が読み込んで図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
【0078】
また、図25におけるシート後処理装置PDの制御は画像形成装置PRのCPUからの指示若しくは情報に基づいて実行される。ユーザの操作指示は画像形成装置PRの操作パネルPR1から行われ、画像形成装置PRと操作パネルPR1は通信インターフェイスPR2を介して相互に接続されている。これにより、画像形成装置PRからはシート後処理装置PDへ操作パネルPR1からの操作信号が送信され、また、シート後処理装置PDの処理状態や機能が操作パネルPR1を介してユーザ又は作業者に通知される。
【実施例2】
【0079】
図26ないし図31は実施例2を説明するためのもので、図26は端面綴じ処理トレイF、後端基準フェンス51a,51b、及び押圧部材110の関係を詳細に示す斜視図でシート束を押さえていない状態を示し、図27はシート束を押さえた状態を示す斜視図、図28は手前綴じでシート束を押さえた状態の側面図、図29は奥綴じでシート束を押さえた状態の側面図、図30は斜め綴じでシート束を押さえた状態を示す側面図、図31は本実施例における端面綴じスティプラS1の搬送機構を示す斜視図である。
【0080】
なお、実施例1において図1ないし図7に示した各部の構成を及び動作は図5の端面綴じスティプラS1の搬送機構を除いて同一若しくは同等であるので、重複する説明は省略する。
【0081】
図26では、端面綴じ処理トレイF、後端基準フェンス51a,51b、及び押圧部材110の関係が図示されている。このうち端面綴じスティプラS1は、図31に示す支持板140に沿ってシート幅方向に往復動し、後端基準フェンス51a,51bは実施例1と同様にスライド軸50cに沿って同じくシート幅方向に近接離間動作を行う。第1及び第2の押圧部材110a,110bは端面綴じスティプラS1の移動動作に連動してシート幅方向に移動し、第3の押圧部材110cはシート幅方向の移動は行わない。また、第1ないし第3の押圧部材110a,110b,110cは、シート面に垂直な方向に駆動モータ110jとこの駆動モータ110jによって回転駆動されるタイミングベルト110i5の回転に従って往復する。タイミングベルト110i5は、駆動モータ110jの駆動軸に嵌着された駆動プーリ110j1と、駆動プーリ110j1からシート面方向に近接した位置に設けられた従動プーリ110j2間に張設され、このタイミングベルト110i5に第3の押圧部材110cの支持部110c4が連結されている。この支持部110c4には、ガイドシャフト110g3,110g4が固着され、第1ないし第3の押圧部材110a,110b,110cが一体としてシート面に対して垂直な方向に往復移動する。また、弾性部材(例えば、引張りコイルばね)110m3,110m4が第3の押圧部材110cに対して第1及び第2の押圧部材110a,110bを互いに近接する方向に弾性付勢している。
【0082】
端面綴じスティプラS1は図31に示すように支持板140の両側板に支持されたスライド軸141と、スライド軸141に対して大略平行に支持板140に形成されたスライド溝141に支持されている。スライド溝141は、平行な部分が第1ないし第4のスライド溝部141a,141b,141c,141dの4つの部分に分かれて1つの移動経路を構成する。
【0083】
第1のスライド溝部141aは端面綴じスティプラS1の針交換位置、第2のスライド溝部141bは手前綴じ及び2箇所綴じの手前側の位置、第3のスライド溝部141cは端面綴じスティプラS1の第3の押圧部材110cとの干渉を防ぐために中央部142cがシート束端部に対して後退し、奥綴じ及び2箇所綴じ奥側の位置に移動するときに通過する位置、第4のスライド溝部141dは奥綴じ及び2箇所綴じの奥側の位置となっている。スライド軸141に対して第1及び第3のスライド溝部141a,141cの平行部の距離は同一であり、同様にスライド軸141に対する第2及び第4のスライド溝部141b,141dの平行部の距離も同一である。
【0084】
一方、スライド軸141と平行にタイミングベルト159bがプーリ159c,159d間に張設され、正逆転可能なスティプラ移動モータ159の駆動によりギア159e,159fを介してタイミングベルト159bが駆動される。端面綴じスティプラS1はタイミングベルト159bに取り付けられていることから、スティプラ移動モータ159の回転駆動力が端面綴じスティプラS1に伝達され、端面綴じスティプラS1は、シート後端部の所定位置を綴じるためにスライド軸141及びスライド溝142に沿ってシート幅方向に移動する。
【0085】
また、端面綴じスティプラS1本体の側部から支持突起S1fが突設され、スライドベース160の側板に形成された長孔160cに遊嵌されている。長孔160cはスライドベース160のベース面に平行に形成され、これにより端面綴じスティプラS1は前記ベース面に沿って上下方向(スライド軸141に近接離間する方向)に移動可能である。
【0086】
このように構成されていることから、スライドベース160がスライド軸141に沿って手前側から奥側(シート幅方向)に移動する間に、手前綴じ位置、2箇所綴じ手前側、及び第3の押圧部材110cを回避(迂回)して2箇所綴じ奥側、奥綴じ、及び斜め綴じ位置に移動することができる。
【0087】
さらに、端面綴じスティプラS1の移動方向の両側面には、第1及び第2の係合部材S1g1,S1g2が突設されている。第1の係合部材S1g1は移動方向手前側に、第2の係合部材g2は移動方向奥側にそれぞれ配置され、図26に示すように端面綴じスティプラS1を手前側に移動させたときに、第2の係合部材S1g2が第1の押圧部材110aの奥側の側面に当接し、押圧部材110aと一体的に手前側に移動する。
【0088】
シートは1枚排紙される毎に後端基準フェンス51a,51bでシート束後端の整合とジョガーフェンス53a,53bによるシート束の幅方向の整合が行われる。端面綴じの場合には、図26及び図28に示す位置に端面綴じスティプラS1と第1の後端基準フェンス110aが移動し、第2の後端基準フェンス110bは弾性部材110m2によって整合中心S1c方向に弾性付勢され、内側の初期位置で待機している。この位置関係でシートが端面綴じ処理トレイFに排紙され、前述の整合動作が繰り返されて1ジョブのシート束SBが後端フェンス51a,51bのスタック面51a1,51b1上に集積されると、図27に示すように駆動モータ110jが駆動され、第3の押圧部材110cをシート束SB方向に移動させ、一体に移動する第1及び第2の押圧部材110a,110bによってシート束SBを後端フェンス51a,51bに押し付け、その状態で端面綴じスティプラS1による綴じ処理が行われる。これにより、シート束SBに対する端綴じが行われる。
【0089】
その際、図27及び図28に示すように、第1の押圧部材110aの垂下部110a8と第1の後端基準フェンス51aのスタック面51a1、第2の押圧部材110bの垂下部110b8と第2の後端基準フェンス51bのスタック面51b1とが干渉しないように、第1及び第2の押圧部材110a,110bの移動位置が設定されている。
【0090】
図29は奥綴じの場合の端面綴じスティプラS1、第2の押圧部材110b、及び第2の後端基準フェンス110bの関係を示すもので、前述のようにして第3の押圧部材110cを通過した端面綴じスティプラS1は、図28に示す手前綴じの場合とシート幅方向整合中心S1cに関して対称な奥綴じ位置まで移動する。その際、第2の押圧部材51bの垂下部51b8に端面綴じスティプラS1の第1の係合部材S1g1が係合し、第2の押圧部材51bを端面綴じスティプラS1の移動に伴って一体的に移動させる。
【0091】
この状態で図29に示すように駆動モータ110jが駆動され、第1ないし第3の押圧部材110a,110b,110cを前進させ、シート束SBを後端フェンス51a,51b間で押圧し、保持する。この状態で端面綴じスティプラS1により奥綴じが実行される。
【0092】
図30は、図29の状態からさらに端面綴じスティプラS1が奥側に送られ、斜め綴じの状態となった場合を示す。図29の状態から端面綴じスティプラS1がさらに奥方向に搬送されると、実施例1において図16を参照して説明したように、図示しない回転中心に関して端面綴じスティプラS1が矢印R1方向に回転し、斜め綴じの状態となる。回転範囲は図30に示すように第1の係合部材S1g1が第2の押圧部材110bの垂下部110b8の先端に形成された係合部110b9に係合することにより設定される。
【0093】
図30に示すように斜め綴じの場合に端面綴じスティプラS1が回転し、端面綴じスティプラS1の上面と第3の押圧部材110bの下部が干渉するので、第3の押圧部材110bの下部は、実施例1と同様に端面綴じスティプラS1の回転時の形状に合わせて切り欠き部110b7が設けられ、両者間の干渉を防止している。
【0094】
このようにして、奥綴じの場合も斜め綴じの場合も、端面綴じスティプラS1の綴じ位置近傍を端面綴じスティプラS1に追従して、若しくは連動して移動する第2の押圧部材110bによって綴じ位置近傍を押圧し、シート束SBを確実に保持した状態で綴じ処理が行われる。
【0095】
その他、特に説明しない各部は前述の実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
【0096】
なお、本実施例では、弾性部材110m3,110m4は常時第3の押圧部材110c側に近接する方向に第1及び第2の押圧部材110a,110bを弾性付勢し、係合側の押圧部材すなわち綴じ側の押圧部材のみが綴じ位置側に移動し、非係合側の押圧部材は第3の押圧部材110cに近接した初期位置に位置した状態でシート束SBを保持する。
【0097】
なお、実施例1及び2において、第1及び第2の押圧部材110a,110bの移動機構として、端面綴じスティプラS1の移動に連動させる機構を採用しているが、例えば端面綴じスティプラS1の移動機構あるいは後端フェンスの移動機構を使用して移動するように構成することも可能である。
【0098】
また、実施例1及び2において、第1ないし第3の押圧部材110a,110b,110cは一体的にシート束SBに対して近接離間動作を行うようになっているが、それぞれ個々に駆動手段を設け、独立して駆動することも可能である。なお、駆動機構も直進往復運動が可能な構成であれば、実施例の機構に限定されるものではない。
【0099】
さらには、直線往復運動でなくとも、シート束SBのシート面に対して近接離間動作が可能で、綴じ処理時にシート束SBを確実に押圧保持できる機構であればよく、実施例の機構に限定されるものではない。
【0100】
加えて、実施例1及び2においては押圧部材が3個設けられているが、押圧部材の数を限定するものではなく、また、押圧個所の数を限定するものでもない。綴じ位置近傍を適切に押圧できれば、これらの個数は任意である。
【0101】
以上のように、本実施形態によれば、端面綴じスティプラS1のシート幅方向の移動に連動してシート束SBを押さえる第1及び第2の押圧部材110a,110bが端面綴じスティプラS1と近接した状態で動くので、シートサイズ、綴じ位置、綴じ方法に拠らず、常にスティプル位置の近傍を押圧部材によって押圧することができる。これにより、端面綴じスティプラS1により綴じ動作を行う際の揃え精度不良の原因となるシート若しくはシート束の撓みを抑制することができるので、常に良好な綴じ精度を確保することが可能となる。
【0102】
このように本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記各実施例は、好適な実施形態をそれぞれ示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲により規定される範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
50c スライド軸
50e タイミングベルト
50d3 幅方向フェンス駆動モータ
51a,51b 後端基準フェンス
110a,110b,110c 押圧部材
110b7 切り欠き部
110g1 第2のガイドシャフト
110g23 タイミングベルト
110i5 タイミングベルト
110j 駆動モータ
110k スライド部材
110k3 第1の被当接部
110k5,110k6 当接面
110k4 第2の被当接部
110k6 当接面
110m1,110m2,110m3,110m4 弾性部材
110g1,110g3,110g4 ガイドシャフト
141 スライド軸
142 スライド溝
159 スティプラ移動モータ
159a,159b タイミングベルト
110c4 支持部
F 端面綴じ処理トレイ
PD シート後処理装置
PR 画像形成装置
S1 端面綴じスティプラS
S1g1,S1g2 係合部材
SB シート束
ST シート後端
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2008−19028号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくるシートを積載する積載手段と、
前記積載手段に積載されるシートの搬送方向を整合する整合手段と、
前記シート束の綴じ部側の端部に沿って移動し、前記整合手段によって整合されたシート束に綴じ処理を施す綴じ手段と、
前記シート束の綴じ部側の端部を押圧する押圧手段と、
前記押圧手段を前記綴じ手段の移動に連動させて移動させる連動手段と、
を備えたシート処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート処理装置であって、
前記連動手段は、前記綴じ手段が前記押圧手段に当接し、当接状態で前記押圧手段を移動させること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のシート処理装置であって、
前記押圧手段は、前記綴じ手段による綴じ位置のシート搬送方向上流を押圧すること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート処理装置であって、
前記押圧手段が複数の押圧部材を含み、そのうちの1つの押圧部材が前記綴じ手段に連動して移動する際、他の1つの押圧部材を前記1つの押圧部材と対称に移動させる移動機構を備えていること、
を特徴とするシート処理装置。
【請求項5】
請求項4記載のシート処理装置であって、
前記移動機構が、
シート束の両端部を押圧する第1及び第2の押圧部材と、
シート束の中央部を押圧する第3の押圧部材と、
シート搬送方向と直交する方向にスライド自在に前記第1及び第2の押圧部材を支持する第1の支持部材と、
前記第1及び第2の押圧部材をそれぞれ第3の押圧部材側に弾性付勢する弾性付勢手段と、
前記綴じ手段をシート搬送方向と直交する方向に往復動させる駆動源を含む第1の駆動手段と、
を備え、
前記連動手段が、
前記綴じ手段の移動時に当該綴じ手段と係合して移動し、移動時に前記押圧部材の一方に当接して当該一方の押圧部材を一体に移動させる係合部材と、
前記他方の押圧部材を前記第1の支持部材に沿って前記一方の押圧部材の移動動作と対称な動作を行わせる連結手段と、
を備えていること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
請求項5記載のシート処理装置であって、
前記綴じ手段が一方向に移動するときに前記係合部材が当接する第1の当接部及び前記押圧部材に当接する第1の当接面と、
前記綴じ手段が他方向に移動するときに前記係合部材が当接する第2の当接部及び前記押圧部材に当接する第2の当接面と、
を備えていること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート処理装置であって、
前記押圧手段が複数の押圧部材を含み、そのうちの1つの押圧部材を前記綴じ手段に連動して移動させ、他の1つの押圧部材をシートの幅方向中央側によった初期位置に保持させる移動機構を備えていること、
を特徴とするシート処理装置。
【請求項8】
請求項7記載のシート処理装置であって、
前記1つの押圧部材と前記他の1つの押圧部材をそれぞれ互いに近接する方向に弾性付勢する弾性付勢手段を備えていること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシート処理装置であって、
前記綴じ手段の綴じ位置近傍を押圧する押圧部材が、前記綴じ手段が斜め綴じを行う際に当該綴じ手段との干渉を回避する切り欠き部を有すること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のシート処理装置であって、
前記整合手段をシート搬送方向と直交する方向にスライド可能に支持する第2の支持部材と、
前記押圧部材のシート搬送方向と直交する方向の移動に伴って前記整合手段を前記第2の支持部材に沿って前記押圧部材と対向する位置に移動させる第2の駆動手段と、
を備えていること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載のシート処理装置であって、
前記押圧部材が複数の押圧部材を含み、
1つの駆動源によって前記複数の押圧部材をシート束方向に近接離間駆動し、シート束を押圧する第3の駆動手段を備えていること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載のシート処理装置と、
前記シート処理装置側に画像形成済みのシートを搬出する画像形成装置と、
を備えた画像形成システム。
【請求項13】
搬送されてくるシートを積載手段上に積載し、
前記積載手段に積載されるシートの搬送方向を整合手段によって整合し、
前記シート束の綴じ部側の端部に沿って移動し、前記整合手段によって整合されたシート束に綴じ手段によって綴じ処理を施すシート処理方法であって、
前記綴じ手段の移動に連動して移動する押圧手段によって前記シート束の綴じ部側の端部を押圧した状態で前記綴じ手段によって綴じ処理を行うこと
を特徴とするシート処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−166898(P2012−166898A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28968(P2011−28968)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】