説明

シート処理装置及びシート情報読取装置

【課題】比較的簡単な構成で液体噴射面を効率よく清掃することができて低コスト化を実現することができるシート処理装置及びシート情報読取装置を提供することにある。
【解決手段】搬送路に沿ってシートを搬送する搬送手段と、搬送されるシートに対して液体を噴射する液体噴射部を着脱自在に保持するキャリッジ部とが設けられた装置本体を備えており、キャリッジ部に装着される液体噴射部は、装置本体の一部を構成して着脱自在に設けられたカバー部材によって覆われ、装置本体のカバー部材で覆われる部分には、液体噴射部の液体噴射面を清掃する清掃部が配置されているシート処理装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、シートにインク等の液体を噴射するシート処理装置、及びこのシート処理装置を備えてシートの情報を読み取るシート情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を噴射する液体噴射装置としては、例えば、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが知られている。このようなインクジェット式記録ヘッドは、複数のノズルからインク滴を吐出することによりシート等に所定の記録を行うことができる。
【0003】
一般的に、このようなインクジェット式記録ヘッドにおいては、ノズル(インク吐出口)近傍にインクや紙粉、埃等が付着して残留することがある。このようにノズルの近傍にインク等が付着したままで放置してしまうと、例えば、ノズル詰まり、インク吐出不良、あるいは印刷品質の低下等の様々な問題が発生するおそれがある。これらの問題を回避するためには、例えば、ノズル面を使用頻度に応じて適宜清掃することが望ましい。
【0004】
ここで、上述したインクジェット式記録ヘッドは、シートを搬送しながらシートの情報を読み取る情報読取装置に印刷ヘッドとして実装され、例えば、情報を読み取ったシートに対する印刷処理に使用される(特許文献1参照)。具体的には、この特許文献1に開示された読取装置は、磁気インク文字等の磁気パターンを読み取って磁気インク文字データを取得するための磁気インク文字読取装置であり、磁気インク文字を読み取った後、シートの裏面に所定の印刷を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−065779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示の磁気インク文字読取装置において印刷ヘッドに上記インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射装置を採用した場合には、上述したようにノズル面を清掃する必要がある。これに対しては、ノズル面を清掃するワイピング手段等を別途設けることが考えられるが、このような対策では装置構造の複雑化や装置の大型化等を招くこととなり、コスト高となってしまうという問題がある。
【0007】
なお、上述した問題は、磁気インク文字読取装置に限って発生するものではなく、その他の読取装置、シート処理装置等に液体噴射ヘッドを搭載する場合においても同様に発生するおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、比較的簡単な構成で液体噴射面を効率よく清掃することができ、低コスト化を実現することができるシート処理装置及びシート情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のシート処理装置は、搬送路に沿ってシートを搬送する搬送手段と、搬送されるシートに対して液体を噴射する液体噴射部を着脱自在に保持するキャリッジ部とが設けられた装置本体を備えており、前記キャリッジ部に装着される前記液体噴射部は、前記装置本体の一部を構成して着脱自在に設けられたカバー部材によって覆われ、前記装置本体の前記カバー部材で覆われる部分には、前記液体噴射部の液体噴射面を清掃する清掃部が配置されていることを特徴とする。また、本発明は、このようなシート処理装置を備えてシートの情報を読み取るシート情報読取装置についても広く対象としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、比較的簡単な構成で液体噴射面を効率よく清掃可能なシート処理装置及びシート情報読取装置を低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1に係るシート情報読取装置の概略斜視図。
【図2】実施形態1に係るシート情報読取装置の概略構成図。
【図3】原稿の一例を示す図。
【図4】実施形態1に係るシート情報読取装置の要部拡大斜視図。
【図5】実施形態1に係るシート情報読取装置の要部拡大斜視図。
【図6】実施形態1に係る印刷ヘッド交換時を示す要部拡大斜視図。
【図7】実施形態1に係る印刷ヘッドの清掃作業を示す腰部拡大側面図。
【図8】実施形態1に係る印刷ヘッドの清掃作業を示す腰部拡大側面図。
【図9】他の実施形態に係る清掃部の構造変形例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るシート処理装置を有するシート情報読取装置の概略斜視図である。また、図2は、図1の概略構成図である。また、図3は原稿の一例を示す図である。さらに、図4及び図5は、図1の要部拡大斜視図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、本実施形態のシート情報読取装置10は、チェックとも呼ばれる小切手等の原稿Sを読み取るための磁気インク文字読取装置(チェックスキャナ)である。なお、このようなシート情報読取装置10は、図示しないが、通信ケーブル等の通信ユニットを介してホストコンピュータ(情報処理装置)に通信可能に接続され、ホストコンピュータからの制御が可能となる。
【0014】
ここで、本実施形態のシート情報読取装置10で読み取る原稿Sの一例について説明する。具体的には、図3に示す原稿Sは、銀行等の金融機関で扱われる手形等である。この原稿Sには、磁気インクによってMICR(Magnetic ink Character Recognition)文字が印字され、このMICR文字を情報読取装置(原稿処理装置)で読み取ることにより、複数の原稿を銀行別・口座別・金額別・支払日別等の記録情報に分類している。そして、原稿Sの画像やMICR文字の情報を電子ファイルとして集中センタに設置されたホストコンピュータに転送し、集中センタでホストコンピュータが受信した情報を基に金額の支払処理等が行われている。
【0015】
ところで、上述の一連の処理は、利用者から原稿を預かってから、例えば1日以内という短期間に終了させる必要があり、迅速な処理が求められる。そのため、多くの金融機関では各本店又は支店毎の原稿処理を行わず、原稿だけを専門に扱う、例えば集中センタと呼ばれる部署を設け、該集中センタにおいて高速処理可能な大型の情報読取装置を用いて大量の原稿を一括処理することがある。
【0016】
一方、近年の通信技術の発達により、各支店毎に原稿のMICR文字及び画像はじめとする個別情報を読み取り、読み取った情報を電子ファイルとして集中センタに伝送し、集中センタで電子ファイルと個別情報を基に、原稿が集中センタに届く前に、金額の支払処理等を済ませようとする業務形態が取られるようになった。このような電子データを利用した処理は、例えば顧客から受け取った原稿そのものをその日のうちに集中センタに集める必要がなくなり、集中センタと各支店とにおける手形の運搬業務が減少するので、コストの削減が可能となるだけでなく、原稿の迅速処理が可能となる。
【0017】
このような業務に対応するために、本実施形態のシート情報読取装置10では、原稿Sに表された磁気インク文字を磁気ヘッドにより読み取った読取信号波形と、磁気インク文字認証用の基本波形データとを照合して文字認識を行って、原稿の迅速処理を実現している。そして、詳細は後述するが、文字認識を行った後、磁気ヘッドの下流側に配置された印刷機構により、磁気インク文字が読み取られた原稿に対し、電子決済済み等の印刷(予め決められた所定の印字等)を行うことができるようになっている。
【0018】
このような本実施形態のシート情報読取装置10は、図1及び図2に示すように、原稿Sの束を立てた状態で装置本体20の端部に設けたホッパ(原稿載置部)30にセットし、ここから装置本体20内に原稿Sを1枚ずつ給送し、搬送路21に沿って原稿Sを搬送しながら原稿Sの磁気情報等を読み取って排出するようになっている。
【0019】
具体的には、シート情報読取装置10の装置本体20の端部には、小切手等の原稿Sを載置するためのホッパ30が設けられている。このホッパ30には、装置本体20内に原稿Sを給送するための給送手段である給送ローラ31と、原稿Sの載置有無を検知する原稿載置検知センサ32とが取り付けられている。また、ホッパ30内の給送ローラ31の対向側には、原稿Sを給送ローラ31に付勢するための手段である押圧板33が設けられている。
【0020】
ホッパ30からの排出口(装置本体20内への給送口)には、原稿Sを搬送路21に送り出すためのフィードローラ34、このフィードローラ34に対向し給送された原稿Sを1枚ずつに分離するための分離ローラ35が原稿分離手段として配置されている。また、フィードローラ34及び分離ローラ35の下流側には、搬送路21に送り出された原稿Sを下流側に向かって搬送する搬送ローラ対36が設けられている。
【0021】
また、搬送ローラ対36よりも下流側には、原稿Sの表面画像と磁気インク文字を読み取るタイミングをとるための原稿端検知センサ37が配置されている。その更に下流側には、原稿Sの表面画像を読み取る表面読取センサ38、原稿S上に印刷された磁気インク文字の磁化方向を整列させる永久磁石39、磁気インク文字を読み取るための磁気ヘッド40とが配置されている。この磁気ヘッド40に対向する部分には、原稿Sの磁気インク文字が印刷されている部分を磁気ヘッド40に密着させるための押圧ローラ41が設けられている。
【0022】
さらに、このような押圧ローラ41よりも下流側には、搬送ローラ対42,43,44がそれぞれ所定間隔で搬送手段として配置され、原稿Sを更に下流側に向けて搬送できるようになっている。搬送ローラ対44よりも下流側には、原稿Sの裏面画像の読み込みのタイミングや原稿Sの裏面への印刷のタイミング等をとるための裏面先端検出センサ45が配置されている。この裏面先端検出センサ45の下流側には、上流側で磁気インク文字を読み取られた原稿Sに、例えば、日付や原稿Sが持込まれた金融機関名等、読み取った磁気インク文字から作成された情報等を印刷するための印刷部となる印刷ヘッド(エンドーサ)60がキャリッジ46に着脱自在に設けられている。この印刷ヘッド60を保持するキャリッジ46よりも更に下流側には、原稿Sの裏面の画像イメージ(印刷後の裏面画像イメージ)を読み取りとる画像読取センサ47が配置されている。
【0023】
なお、上述した順番で各種処理が施された原稿Sは、排出ローラ対48,49を介して装置本体20の外に排出される。そして、本実施形態では、この排出ローラ対48の直後に、磁気ヘッド41で読み取った磁気インク文字のデータから排出される原稿Sを振り分けるためのフラッパ50が設けられている。このフラッパ50は、ホストコンピュータからの指示あるいは所定の仕分け基準等に基づいて、排出された原稿Sを排出トレイ51a,51bにそれぞれ仕分け制御される。
【0024】
なお、上述したシート情報読取装置10は、上記の各種ローラ群を駆動する駆動モータ65等の全体を制御するために、インタフェースケーブルを介して接続されている図示しないコンピュータとの通信を行うためのコントローラユニット66が設けられている。
【0025】
なお、印刷ヘッド60は、キャリッジ46に保持され、且つキャリッジ46に設けられた不図示のコンタクト部を介してコントローラユニット53と電気的に接続されている。
【0026】
ここで、本実施形態では、上述したようにインクジェット式記録ヘッドである印刷ヘッド60がキャリッジ46を介して搭載された後、このような印刷ヘッド60(キャリッジ46)及びその周辺部は、装置本体の一部を構成する着脱自在なカバー部材である開閉カバー70によって覆われる。
【0027】
具体的には、本実施形態では、キャリッジ46に隣接する位置に、印刷ヘッド60の液体噴射面としてのインク吐出面60b(後述する図7参照)を清掃するための清掃部52が設けられている。そして、このような清掃部52は、上述したキャリッジ46及びこのキャリッジ46に装着される印刷ヘッド60と共に開閉カバー70によって覆われるようになっている。
【0028】
即ち、上記の印刷ヘッド60と清掃部52とは、シート情報読取装置10の通常使用時においては、開閉カバー70によって全体が覆われており、装置作動中はオペレータが触れることができないようになっている。なお、開閉カバー70は、装置のメンテナンス等において矢印A方向に着脱可能である(図1参照)。また、印刷ヘッド60は、開閉カバー70を取り外した後、矢印B方向に着脱可能である(図4参照)。
【0029】
ここで、図4及び図5を参照して、清掃部52の構成について詳細に説明する。図4及び図5に示すように、オペレータが開閉カバー70を開放することで印刷ヘッド60が交換可能となり、また、同時に印刷ヘッド60のインク吐出面60bの清掃が清掃部52を用いて可能になる。このような清掃部52は、搬送路21の内側に設けられている。例えば、本実施形態では、搬送路21を装置本体20の外周部に沿って装置本体20の内側を取り囲むように設けられ、清掃部52及び印刷ヘッド60は、この搬送路21の内側に設けられている。これにより、清掃部52と印刷ヘッド60(キャリッジ46)とが近接した位置関係になるため、開閉カバー70によって一度に効率的に覆うことができる。
【0030】
また、このような清掃部52には、印刷ヘッド60の突起部60aが係合しながらスライド移動可能となる案内溝(ガイド部)53が設けられている。この案内溝53に沿ってオペレータが印刷ヘッド60を手動でスライド移動させることにより、インク吐出面60aの清掃が可能となっている。
【0031】
具体的には、清掃部52の案内溝53で挟まれた部分には、印刷ヘッド60のインク吐出面60bに付着した紙粉や残留インク等を拭取るための弾性材料からなるワイパー(ブレード部)54と、このワイパー54で清掃されたインク吐出面60bに圧接してインク吐出面60bから残留インクを吸い出すための清掃部材となる多孔質部材(インク吸収体)55とがそれぞれスライド方向に沿って併設されている。
【0032】
また、多孔質部材55は、案内溝53に対して所定の角度を持って配置されており、印刷ヘッド60を案内溝53に沿ってスライド移動させた時に、一定の接触圧(拭取り圧)となるように構成されている。即ち、多孔質部材55の上面は、印刷ヘッド60のスライド方向(図5の矢印C方向)とは逆方向に下り坂のように傾斜した傾斜面55aとなっている。
【0033】
なお、本実施形態では、印刷ヘッド60のインク吐出面60bが多孔質部材55の長手方向一端部から他端部に亘って摺接(接触)するように多孔質部材55の高さ及び傾斜面55aの傾斜角等を設定している。これにより、印刷ヘッド60のスライド方向への移動によって、多孔質部材55が印刷ヘッド60のインク吐出面60bに当接する圧力が段々と大きくなり、インク吐出面60bから付着物を効率的に除去できる。
【0034】
また、本実施形態では、印刷ヘッド60と多孔質部材55とを密着状態とすることによってノズル内からの残存インクの吸い取り効果も期待できる。なお、ここでは、多孔質部材55に傾斜面55aを設けた場合を説明したが、例えば、多孔質部材の表面に複数の当接壁(スライド方向と直交する複数の溝)をスライド方向に併設したり、あるいは多孔質部材55の素材の変更等によって弾力性を適宜調整したりすることで上述した傾斜面55aを設けないような構成としてもよい。
【0035】
このような構成の清掃部52では、上述した多孔質部材55が交換可能に設けられている。即ち、ある程度、残留インクを拭取った後の使用済みの多孔質部材55を新しいものに交換できるようになっている。なお、ワイパー54は、本実施形態では、清掃部52に固定して設けているが、このワイパー54も多孔質部材55と同様に交換可能に設けてもよい。また、本実施形態では、清掃部52は、装置上部の一部を構成するように設けているが、上述した多孔質部材55やワイパー54と共に全体が着脱可能に設けられていてもよい。あるいは、ワイパー54は設けず多孔質部材55だけで清掃するようにしてもよい。
【0036】
ここで、図7,図8を用いて印刷ヘッド60を清掃する場合の手順について説明する。図7、図8は図5におけるD−D断面図である。具体的には、印刷ヘッド60を清掃するには、まず、図4で示すように開閉カバー70を取り外し、印刷ヘッド60を矢印B方向に引っ張りキャリッジ46から取り外す。
【0037】
そして、取り外した印刷ヘッド60は、図8に示すように印刷ヘッド60の突起部60aを案内溝53に合わせて矢印E方向にスライド移動させる。すると、まず、ワイパー54がインク吐出面60bに当設する。ワイパー54は弾性をもっているため、インク吐出面60bと当接すると当接圧によって図8のようにたわみ変形する。
【0038】
そして、ワイパー54のエッジ部54aによってインク吐出面60bに付着した紙粉や異物、残インク等を掻き取り清掃する。次に、インク吐出面60bは多孔質部材55に当接する。多孔質部材55は、上述したように案内溝53に対して所定の角度で取り付けられているため、印刷ヘッド60をスライドさせる時の負荷が徐々に高まるようになっている。そのため、オペレータが印刷ヘッド60をスライドさせる時の動作が安定し、且つ確実にインク吐出面60bに多孔質部材55が押し付けられる。これにより、インク吐出面60bの吐出孔(ノズル孔)からインクの吸い出だしが安定する。
【0039】
また、多孔質部材55の体積を大きくしてもインク吐出部60bに接触する面積は最小にできるので、吸い出したインクの吸収量を多くすることが可能となり、清掃部52自体の寿命を長くすることができる。このような清掃操作により、インク吐出孔の内部に入り込んでしまった異物についてもインクと共に吸い出して取除くことで清掃が完了する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のシート情報読取装置10によれば、印刷ヘッド60を着脱するために開閉する開閉カバー70の内側に配設し、この開閉カバー70の内側に清掃部32を設けたことにより、清掃作業の効率化を図ることができる。具体的には、ユーザが開閉カバー70をあけて印刷ヘッド60の着脱を行った後、そのまま直ぐに清掃部52で印刷ヘッド60のインク吐出面60bの清掃作業に移ることができる。このため、印刷ヘッド60の着脱からインク吐出面60bの清掃に至る一連の作業効率を向上することができる。例えば、1つの開閉カバー70を開放することで印刷ヘッド60の着脱と清掃が同じタイミングで効率よく行うことができるため、印刷ヘッド60の着脱及び清掃時の操作における煩わしさも低減できる。さらに、印刷ヘッド60が装置本体20内に収納されるので周囲の書類等を汚してしまうことも殆どない。そして、清掃部52は、通常、開閉カバー70で覆われていることから、オペレータが誤って触れて手を汚すことも少なくなる。
【0041】
また、本実施形態では、開閉カバー70の内側に印刷ヘッド60と清掃部52とを配置した構成である。このため、清掃部52が塵や埃(紙粉等を含む)等の異物によって汚れることもなく、印刷ヘッド60のインク吐出面60bの乾燥を防ぐキャップ機構や、インク吐出面60bをクリーニングする回復ユニット等の特別な機構を別途設けなくてもよい。これにより、装置の構成を簡略化することができる。したがって、装置の大型化を防止しつつ、装置の小型化を図り易い構成を実現することができる。また、部品点数の低減によって装置コストや製造コストの低減を図ることもできる。さらに、オペレータが清掃用具(拭取り用の紙やブラシ等)を別途用意する必要もなく簡単に印刷ヘッド60のインク吐出面60bを効率よく清掃することができる。
【0042】
なお、ここで図2等を参照し、上述したシート情報読取装置10における原稿Sが搬送される場合の動作について一例を挙げて説明する。まず、ホッパ30に原稿Sが束ねられて積載されると、原稿Sは押圧板35により給紙ローラ31に押し付けられる。そして、積載センサ32がホッパ30に原稿Sが積載されていることを認識する。その後、通信ケーブル(例えば、インタフェースケーブル)を介して接続されているホストコンピュータを操作し、原稿読み取りの指示をコントローラユニット53へ送ると、給紙ローラ31が回転し、装置本体内へ原稿Sが給送される。
【0043】
次に、給送された原稿Sは、フィードローラ36により搬送路に搬送される。この際に給紙ローラ31において、複数枚の原稿Sが給送された場合には、フィードローラ36に対向して配置された分離ローラ37によって1枚ずつ分離されて搬送される。搬送された原稿Sは、原稿先端検出センサ37を通過後に、表面画像読取センサ38に送られる。ここで、画像読み取りのタイミングは、先に通過した原稿先端検知センサ37によって取られる。表面の画像を読み取られた原稿Sは永久磁石39により磁気インク文字の磁化方向が整列させられた後に、その下流側の磁気ヘッド40に向けて搬送される。なお、本実施形態においては、磁化を整列させるために永久磁石39を使用したが、電磁石等の別の磁化整列手段を用いることもできる。
【0044】
次いで、磁気ヘッド40に搬送された原稿Sは押圧ローラ41で磁気ヘッド40に押し付けられ磁気インク文字が読み取られる。この際の磁気インク文字読み取りのタイミングは、原稿先端検知センサ37によって取られ、磁気ヘッド40からの出力のサンプリングを開始することになる。
【0045】
その後、磁気インク文字を読み取られた原稿Sは、搬送ローラ対42,43,44により裏面先端検出センサ45を経て印刷ヘッド60に向かって搬送される。ここで、裏面先端検出センサ45でタイミングを取り、コントローラユニット66から指示された日付やこの原稿Sが持込まれた金融機関名等文字情報、もしくは磁気インク文字読み取り結果から得られた情報等を印刷ヘッド60により印刷する。そして、裏面読取センサ47へと導かれる。このとき、裏面先端検出センサ45でタイミングを取って原稿Sの裏面画像が裏面読取センサ47によって読み取られることになる。
【0046】
なお、コントローラユニット53は先に読み取った磁気インク文字のデータに基づいて、フラッパ50を駆動する駆動機構に指示を出力し、原稿Sの通過のタイミングに合わせて、予めフラッパ50を動作させて搬送路を切換える。原稿Sは排紙ローラ49によって、排紙トレイ51a,51bの何れかに排出される。そして、ホッパ30に積載された全ての原稿Sが排出されると、原稿積載検知センサ32が原稿無しを検出して読取動作は自動的に停止する。
【0047】
(他の実施形態)
以上、本発明を実施形態1に基づいて詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態1に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、装置本体の上部に清掃部52を設けた構造例を説明したが、本発明は勿論これに限定されず、例えば、図9に示すようにカバー部材80の内側に清掃部52Aを設けるようにしてもよい。これにより、オペレータは、開閉カバー80を片手に持って印刷ヘッド60の清掃を行えるため、オペレータはより楽な姿勢で印刷ヘッド60の清掃が可能となる。したがって、オペレータの負荷を有効に減らすことか可能である。
【0048】
なお、上述した実施形態1では、磁気インク文字読取機能を備えたシート情報読取装置、具体的にはチェックスキャナを例示して説明したが、本発明は磁気インク文字読取機能を備えたシート情報読取装置に限定されるものではない。例えば、書類の画像情報を読み取り、且つその書類に画像読取日や管理番号を印刷するインプリンタ機能を備えたドキュメントスキャナー等の画像読取装置等のシート情報読取装置を広く対象とし、これら各種装置における液体噴射面の清掃部に適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 シート情報読取装置
20 装置本体
21 搬送路
30 ホッパ
40 磁気ヘッド
46 キャリッジ
50 フラッパ
52 清掃部
55 多孔質部材
60 印刷ヘッド
60a 突起部
60b インク吐出面
70 開閉カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿ってシートを搬送する搬送手段と、搬送されるシートに対して液体を噴射する液体噴射部を着脱自在に保持するキャリッジ部とが設けられた装置本体を備えており、
前記キャリッジ部に装着される前記液体噴射部は、前記装置本体の一部を構成して着脱自在に設けられたカバー部材によって覆われ、前記装置本体の前記カバー部材で覆われる部分には、前記液体噴射部の液体噴射面を清掃する清掃部が設けられていることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記清掃部は、前記カバー部材によって前記液体噴射部と共に全体が覆われていることを特徴とする請求項1記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記清掃部は、前記装置本体に固定される下側とは反対側の上端部に清掃部材を保持し、前記カバー部材は、前記清掃部材を覆う部材を兼ねていることを特徴とする請求項1又は2記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記清掃部材は、液体を吸収する多孔質部材からなることを特徴とする請求項3記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記清掃部の上端部には、前記液体噴射部をスライド移動させて前記液体噴射面を前記清掃部材に摺接させるためのガイド部が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記清掃部の上端部には、前記ガイド部のスライド移動方向上流側に前記液体噴射面に当接するブレード部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記清掃部は、前記液体噴射部のスライド方向に対して傾いた傾斜面で前記液体噴射面を清掃する清掃部材を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記搬送手段によってシートを略垂直に立てた起立姿勢で搬送する搬送路が前記装置本体の外周部に沿って当該装置本体の内側を取り囲むように設けられ、
前記搬送路の上流側で且つ当該搬送路の外側に設けられてシートの一方面側の情報を読み取る読取手段を有し、
前記キャリッジ部は、前記搬送路の内側で且つ当該搬送路の下流側に配置され、当該キャリッジ部に装着される前記液体噴射部からは、前記読取手段で情報の読み取りが行われたシートの他方面側に液体を噴射するようにし、
前記清掃部は、前記搬送路の内側で且つ前記キャリッジ部に隣接した部分に設けられ、
前記カバー部材は、前記キャリッジ部及び前記清掃部を覆う部材となることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のシート処理装置を備えていることを特徴とするシート情報読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−255514(P2011−255514A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129318(P2010−129318)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】